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歌ってみたら全て灰燼に帰したので実は私最強歌姫でした

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●アイドルの境界
 ありとあらゆるエンターテインメントが溢れるキマイラフューチャー。
 映像配信などのサイバーな娯楽が主流なこの世界でも、直接間近で歌手やアイドルを応援できる『リアルイベント』は人気なもので。
「そんなわけで! 今日は活動3周年ライブに来てくれてありがとうございましたー!」
 ある地区の大きめなイベントスペース。
 輝くステージの上ではキマイラの美少女が集まった人々に笑顔を振りまいていた。
 彼女はこの、なんか最近すごく人気があるっぽいアイドルなのだ。
「うおおおおおおお!! スイレちゃんこっちこそありがとおおおおおおおおおお!!」
「これからもスイレちゃんを応援するぜえええええええええ!!」
「新たな伝説に立ち会ってしまったか」
 キマイラの皆さんは今日もげんき。
「フ……」
 もみくちゃの客席の隅で一人腕を組み、眼差しを向ける者がいた。
 男はこのアイドル――スイレが細々と個人で映像配信している頃からのファンであり、最古参の一人であることから周囲より『准将』などと呼ばれ慕われている、たぶんきっとすごい人である。
「准将閣下もほら、まだ若いのですから我々と飛び跳ねるように応援しましょう! ああもちろん、マナーやルールの範囲内で」
「いいや、俺はいい……」
「はっ!? 閣下、目元に光るものが……」
「なに、ステージの眩しさが目に染みただけだ」
 客席の一角で「こんなやり取りあるある」をやっている間にも、ライブはもうじきエンディングを迎えようとしていた。
「とっても名残惜しいですが、次の曲でラストになってしまいました」
「くっ、刻の流れはかくも残酷なものか!」
「いや、この濃縮された素晴らしい催しに感謝すべきだろう!」
「ありがと、みんな! それじゃ最後まで――もり――って――」
 不意にスイレの声がノイズ混ざりに消えた。
「機材の故障か?」
「このタイミングで!? なんてこった!」
「これはこれで美味しいかもしれないな」
「新たな伝説に立ち会ってしまったか」
 観衆も少しばかりざわめくが「少しくらいトラブルがあった方がライブ感があって良い」と朗らかに復旧を待った。
 程なくしてスタッフが問題を解消したのだろう。イベントスペースに声が戻った。
「私の名はアンマリス・リアルハート! かのリアルハート王国の王の娘だ!」
 が、これは耳馴染みのある彼女の声ではない。
「私の歌を聴いて、聴き惚れ、私の臣下になるといい!」
 ファンは勿論、ステージ上のスイレも驚いた顔をしながらきょろきょろと周囲を見回している。
「ほう、このタイミングでサプライズゲストか?」
「盛り上げ上手だねぇ。てか、王国?」
「凝った設定だが、しかし見たことのない少女よな」
「新たな伝説に立ち会ってしまったか」
 やんややんやと盛り上がるファンご一行。
 やがて軽快な音楽が流れはじめ、謎の――自称姫の華麗なる歌声が、
「××××××××××××~♪」
「「「ぐわあああああああああああ!!」」」
 全てを破壊した。

●ストラップを付け、周囲への配慮を忘れないようにしましょう
「おはようございます! 皆さんはアイドルって好きっスか?」
 グリモアベースの一角で、文坂・いち子(人間のサイキッカー・f13991)は光る棒を両手に集まった猟兵たちに問いかけた。
「いやぁ、私ももうちょっと小さい頃は憧れてたものっスけど、そう簡単になれるものじゃないっスからねぇ……と、そんな話はどうでもよくて」
 いち子はキマイラフューチャーで行われるアイドルのライブにオブリビオンが現れてめちゃくちゃにされてしまうと予知したのだ。
 そのオブリビオンの名はアンマリス。
 可憐な少女の姿をしており、いわゆる「歌ってみた」や「踊ってみた」で自らをアピールし、それを観て好意を抱いた者を忠実なる僕にしようとしているそうなのだが……。
 ここにひとつ問題がある。
「アンマリスは歌と踊りがヘタなんスよねぇ。それも壊滅的に」
 ここでの壊滅的とは、あまりのヘタさに周囲の人あるいは物を壊し滅する意味を指す。
 歌を歌えばガラスは割れ、飛ぶ鳥は落ち、ヒトに深刻なダメージを与える。
 そして踊れば自然、周囲の全てを破壊し尽くす災禍となるのだ。
「どうしても歌って踊りたいみたいっスけど、それだけは絶対に阻止してほしいっス!」
 いち子が予知した通りの展開を防ぐためには、あらかじめイベント会場に潜り込んでおくのがベストだろう。
「事情を説明すればアイドルさんやスタッフさんもよろこんで協力してくれそうっスよ。なんなら一緒にステージに立つって手もあるっスね」
 猟兵たちの介入に気付いたアンマリスは強硬手段に出るかもしれない。
 つまり、無理矢理にでも歌い出す可能性がある。
「その時は……そうっスね、秘策があるっス」
 ここぞとばかりにいち子は不敵に笑った。
「先手必勝、向こうに歌われる前にコッチから歌ってやるっス!」
 それはとてもクールな方法だ。
 ライブを乗っ取ってしまうような形にはなるが、良いパフォーマンスを繰り出せばキマイラフューチャーの住民なら許してくれるばかりか、喜んでくれるに違いない。
「ん? 歌や踊りができない人はどうすればいい、と? ……うーん、まあ、何かこう、避難誘導とか頑張るっス!」
 良い言い方をすれば「一任」したいち子は、光る棒をぶんぶん振り回しんがら猟兵たちを送り出した。


黒柴好人
 アリーナ席のみんなー!
 黒柴です。

 第1章でライブ会場に溶け込み、
 第2章でオブリビオンを妨害しながら歌い踊り、
 第3章で決着を付けましょう。

 ライブ会場への溶け込み方の補足としまして……。
 キマイラアイドルのスイレちゃんのステージにはスペシャルゲストという形で参加できます。
 我こそはというアイドルスピリッツをお持ちの方は是非ステージへ!
 裏方をしても良いですし、客席から応援していても構いません。
 とにかく色々気にせず楽しみましょう!

 それではよいライブを!
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第1章 冒険 『アイドルライブを怪人から守れ!』

POW   :    自分がアイドルに扮してステージに立ち、怪人を迎え撃つ

SPD   :    ステージ周辺に秘密裏に潜伏し、怪人を待ち受ける

WIZ   :    スタッフに紛れ込み、怪人の出現に備える

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アンネリーゼ・ディンドルフ
【POW】自分がアイドルに扮してステージに立ち、怪人を迎え撃つ

「アイドル・・・ですか?」

故郷のエルフの森では歌姫として活躍していたアンネ。
アイドルという単語が何か知らなかったが、察するに歌姫のようなものだろうと理解する。

「歌には自信があります。私の【歌唱】を皆さんに楽しんでいただきましょう。」
アイドル衣装を身に纏い、ステージに立つ。
本人に自覚は無いが、アンネの美貌はアイドルとして十分に通用するものであろう。


彩波・いちご
これでも私はアイドルなので!
……ローカルですけど
でも、ステージと聞けば黙っていられません!

というわけで、スタッフさんに話をして、一緒にステージに立たせてもらいますね♪

ミニスカ和服の可憐なステージ衣装で、歌とダンスのパフォーマンスを存分に披露しちゃいます!

※アイドルとしては女性アイドルということになってますのでよろしく

スイレさんとの歌をカバーして歌うところからスタート
その後は彼女とアイドルデュオを組むように、ダンスパフォーマンスを見せましょう
その後は私のソロパートもいただいて、キュートでポップなアイドルソングを
「私の歌に恋しちゃってくださいねー🎵」
ノリノリでいっきまっすよー!

アドリブ大歓迎です


境・花世
真剣な顔でファンへと相対し
コミュ力を駆使して避難を促そう

それでも残るきみたちがいるのなら
しかたないなあと小さく笑って
傍にいて、いざとなったら守るから

――このライブ、必ず盛り上げてみせる!

猟兵仲間がステージに上がったら
熱い声援をめいっぱい送ろう
名前コールもするし
ペンラはイメージカラーに切り替えて振り

ほんとうは、ライブなんて初めてで
ちょっぴり緊張してたんだ
だけど周囲の馬鹿な朋友たちと揃う動きに
少しずつ芽生えていく一体感

楽しい? うん、楽しいよ

笑い合えば客席に振られるてのひら
今、絶対目が合った気がする!
まだまだいけるよ、暴れよう

……? アンマリ……? そんなのいたっけ???

※アドリブ・絡み大歓迎


河南・聖
歌と踊りとノリと運の良さなら任せてください!
スイレちゃんのファンを奪っちゃうくらいの意気込みで頑張りますよー!

服は制服っぽいアイドル衣装とかよく見ますし
魔法学園服のままでいけますよね!
【誘惑】【釣り】【鼓舞】【残像】【早着替え】【勇気】辺りの技能をフルに駆使していきましょー!

※アドリブ・連携絡み歓迎



 まばゆいステージに弾む音楽と歌声。
 熱い視線と声援が渦を巻き、それらの中心にいるのは輝くアイドル。
 キマイラフューチャーの小さなアイドルは大勢のファンの心を虜にしていた。
「――というわけで、今度出る新曲を歌わせてもらいましたっ! みんなのココロと繋がれたかな?」
 額に汗を浮かべながら肩を上下させるキマイラのアイドル、スイレ。
 彼女のパフォーマンスに会場はもりもりに盛り上がっていた。
「おおおおおお! 最高だああああああ!!」
「ハート繋がってるううううううううう!!」
 ファンのボルテージもぐんぐん上昇してなかなかのヒートアップぶりを見せている。
「突然ですがっ、今回は私のライブに色々なゲストさんが来てくれています!」
 スイレのお知らせに会場はにわかにざわついた。
「びっくりですよね。私もなんですけど。それでは、どうぞー!」
 腕を片側に広げてひらひらと動かすスイレの紹介で登場したのは、和風なミニスカ衣装に身を包んだ彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)。
 いちごがステージ袖から歩き出すと同時に流れ始めた音楽は、スイレが過去にリリースした曲のひとつ。
「この曲はスイレちゃんのインディーズ時代幻の一曲!」
「あの青髪耳っ子、一体何者だ……!?」
 若干困惑の色を見せるファンの中、一人の女性が大きく息を吸い込み――。
「L・O・V・E! い・ち・ごちゃーーーーん!!」
「姐さん!?」
「皆! わたしに続け!」
 ペンライトを青色に切り替えた境・花世(*葬・f11024)は、思い切り腕を振り上げ周囲を扇動する。
「ステージに立つアイドルは誰であろうと応援せよとの掟がある。野郎ども、花世の姐さんに負けずに声を張り上げろ!!」
「「「応ッ!!」」」
 大きな声援に包まれる中、スイレの曲を見事に歌い上げたいちご。
 掴みに手応えを感じたいちごは間髪入れずにスイレとの即席デュオを組み、いや、即席らしからぬダンスコンビネーションを披露する。
 アイドルとしてだけでなく、様々な場数を踏んでいるいちごがスイレをうまく引っ張っているようだ。
「私の歌に恋しちゃってくださいねー♪」
「恋してまーーーす!!」
 ノリノリでレスポンスを返す花世に、いちごははにかむように笑った。
「姐さん、おかげでいいステージを応援する事ができました」
「……きみたちにはこれから起こる危険について説明したよね」
 ライブが始まる前に花世は集まったファンにオブリビオンの襲来とその結果について話し、避難するよう説得をした。
 だがファンは首を振り、言うのだ。彼女を放って避難などできないと。
「それに危なくなっても貴女が、貴女の仲間たちがスイレちゃんを護ってくれるのでしょう?」
「自分の心配は二の次、か……。まったくもう」
 しかたがないなあ、と苦笑する花世はペンライトを次の色に切り替えながら大声を張り上げた。
「――このライブ、必ず盛り上げてみせる!」
「「「うおおおおおおおお!!」」」
 ファンの士気が上がる中、ステージに登場したのは次なるゲスト。
「エルフの歌姫アンネリーゼと幸運の女神ひじりちゃんんんんん!!」
 デュオを組んでのアンネリーゼ・ディンドルフ(エルフの歌うグールドライバー・f15093)と河南・聖(ペガサスナイト・f00831)。
 想像以上の熱気にアンネリーゼは目を丸くしている。
「アイドル……とは歌姫のようなものだと考えていましたが、随分歓迎されるものなのですね」
「アンネリーゼさんは綺麗ですし、みんなテンション上がっちゃったんですね!」
「いえ、私などよりいちごさんや聖さんの方がお綺麗でしょう」
「いやいやそんなご謙遜をー!」
 そも、一部はエルフという存在に対して過剰に反応している者もいるのだ。
 エルフは、強い。
 当然ながら、どことなくはつらつさがスイレに似ている聖にも注目が集まっている。
「容姿などより、歌には自信があります。私の歌唱を皆さんに楽しんでいただきましょう」
「私も負けません! スイレちゃんのファンのハートをがっちり掴んで離さないような歌を披露しますよー!」
 清楚なアイドルをイメージした衣装のアンネリーゼと、昨今の流行を踏まえあえて魔法学園の制服で挑む聖。
 清らかな、しかし力強く歌うアンネリーゼに対し、元気でチャーミングな可愛さを振りまきながら歌う聖の二人は一見すると相反するものに思える。
 しかしそれは違う。
 全く別の属性がひとつに融合するとき、それは最上のハーモニーを生み出すのだ。
 惜しみない声援とコールを送り続ける花世は、屈託無く笑っていた。
 まわりのファンもだ。
 意識と緊張の壁は崩れ、生まれる一体感に身を委ねるのがこれほどまでに楽しいものなのか。
 絶対に護らなければ。
 ステージに立ったいちごも、アンネリーゼも、聖も同じ想いが膨らんでいた。
 このアイドルとファンの笑顔を壊させてなるものか、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セシル・バーナード
みんな、楽しんでる!? スペシャルゲストのセシル・バーナードだよ、よろしく!

それじゃ始めよう。
「パフォーマンス」を交えたシンセサイザーの「演奏」に合わせて、ポップな「歌唱」をいくよ。
みんな、ついてきてね!

歌自体がシンフォニック・キュア。ぼくの歌で、みんな元気になって。
いけないところが元気になった人は、後で楽屋に来てね。

一曲二曲、自分の持ち歌を披露したら、スイレにぼくの演奏に合わせて歌ってもらおうか?
どんな感じで行こうか?

さあ、クライマックスはデュエットといこう。
フォックスファイアを舞台照明代わりに。周りに引火しないよう注意しつつ展開して、ステージを盛り上げるよ。

ありがとう! 次は何を聴きたい?


鴇沢・哉太
スイレちゃんのステージに
スペシャルゲストとしてお邪魔しようか
男性アイドルの隆盛も著しい昨今
歌い手の端くれとして俺も負けてはいられないな

どうせなら本格的にアイドルになりきろう
常とは異なりアップテンポで軽快な曲を用意し
衣装もきらきらしい改造制服っぽいものに袖通す

マイクを手に極上の微笑みを掲げる
今日みんなに会えて嬉しいよ
出来たら心の真中に俺の居場所を作って帰ってね

華麗なダンスと伸びやかな歌声
観客に視線を投げる他ファンサは徹底的に
投げキッスだって披露
会場を煽り盛り上げよう
観客席に知り合い(f05366)を見つけ内心笑む

アンマリスも惹き付けるくらいのライブになれば尚いい
意識されたなら妨害もやりやすいよね


明智・珠稀
【POW】
ふ、ふふ!
かしこまりました、アイドルとして奮闘し
客席を盛り上げにアゲまくってみせましょう、ふふ…!
あ、全裸は駄目ですかそうですか。
ならば…!【変装】【早着替え】
たまちゃーん、アイドルフォーーム!
(変な決めポーズと謎の光。そして女性アイドルチックな衣装へ変・身★)

スペシャルゲスト、ラブキュン★たまちゃん参上です!(184cmの女装)
ムダ毛の処理はバッチリですよ、ふふ!

さぁ、聴いてください♡
アイドルたまちゃんデビュー曲
『アナタのカカトで踏みつけて♡』
(変な曲と歌詞だが【歌唱】【パフォーマンス】【アート】でそれっぽく)
『あんみつだいすき たまちゃーん!』←コール

※アドリブ、ネタ大歓迎♡



「みんな、楽しんでる!? スペシャルゲストのセシル・バーナードだよ! そして!」
「同じくゲストの鴇沢・哉太。よろしくね」
 まだまだ登場のゲストたち。
 今度は趣をがらりと変え、美少年・美青年アイドルのセシル・バーナード(セイレーン・f01207)と鴇沢・哉太(ルルミナ・f02480)が華麗に参上する。
 当然ではあるが、美少女アイドルのファンとは男性がその大半を占める。
 つまり、「女の子じゃないのかよ!」とか「スイレちゃんとどんな関係なんだ?」だとかそんなざわめきが起こるのも無理からぬことで。
「今日みんなに会えて嬉しいよ。出来たら心の真中に俺の居場所を作って帰ってね」
 ざわつきの中、哉太が微笑みながらウィンクをひとつ。
 その瞬間、ステージから客席に向かって爽やかな風が突き抜けた。
「あっ……なに、この気持ちは……」
「ば、馬鹿な……俺のこの感情は……ときめき……?」
 おいおいなんだよこのイケメン、ちょっとおい、たれ目が素敵すぎない?
 哉太は一瞬にして男衆、そして少数の女性ファンを魅了してしまった。
「ちょっと、ぼくのことも忘れないでよね」
 哉太が優しそうなお兄さんとすればセシルは一瞬女の子にも見える中性的な顔立ちの、どこか蠱惑的な笑みを浮かべる美少年妖狐。
 尻尾をふわりと動かし、わざとらしくも思える拗ね方を見せると一部のファンが鼻血を噴出しながら倒れた。
「ぐふぉあッ!?」
「お、おいしっかりしろ相棒!」
「俺は……禁断の扉を開けてしまうかもしれない……」
 セシルは反応を愉しむように追い打ちをかけた。
「ぼくの歌で、みんな元気になって。いけないところが元気になった人は――後で楽屋に来てね」
「がああああ!!」
「相棒が野性味を帯びた叫び声を上げながら吐血しているー!!」
 こういった場ではままある光景なのでイベントは滞りなく続行される。
「さて、自己紹介も終わったところで……俺の歌、聞いてくれる?」
 普段よりも一段と甘い声で囁く哉太は、照明の光を余すところなく反射して煌めく改造アイドル制服なジャケットを翻すと、マイクを口元に当てた。
 アップテンポにまとめられた明るく伸びやかな曲に、時折ファンを見つめたり、間奏中に投げキッスをサービスしたりとアイドルオーラを全身から放出させっぱなしの夢の如き一時を演出する。
「うおおおおお! 今の絶対俺のコト見てた!」
「いや我だ!」
「オレの」
「わたしの」
 王子――プリンス――のきゅんきゅんして見惚れてしまう歌と踊りを堪能したその次は、シンセサイザーの鍵盤を撫で、そして跳ねるような指捌きで楽しげな調べを奏でるセシルの番。
「さあ、いくよ! みんな、ついてきてね!」
 ありとあらゆる楽曲を知るセシルは、皆が飛び跳ねて楽しめるようなポップスで場を盛り上げる。
 演奏しながら歌うセシルだが、ひょんなところで踊りを交えたり、かと思えば目にも留まらぬ速度で打鍵する速弾きをしてみせたりと驚きを交えて観客に飽きる暇を与えない。
 美のフルコースに満足してもうお腹も一杯に……。
「ふ、ふふ! それはまだ早いですよ!」
 この声は!
 会場にいる全ての者が声の主を探すと、ステージの背景、その上部にあるキャットウォークに謎の人影が。
「たまちゃーん、アイドルフォーーム!」
 奇っ怪なポーズと共に影が飛び降りた。
 落下中、珍妙な音楽に合わせるように謎のカラフルな光が影を包み込む。
 危なげない着地と同時に光の繭が解き放たれ、姿を現したのは。
「スペシャルゲスト、ラブキュン★たまちゃん参上で」
 哉太とセシルはたまちゃんに向かって舞台装置の強力なスポットライトを照射した。
「あっ、まぶしっ! ちょ、光! 光やめてくださーい!」
「オブリビオンかと思って」
「スイレに見せちゃいけないものかと思って」
 今度こそ白飛びしていた姿があらわになったのは明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)がアイドルとして変身した姿、『ラブキュン★たまちゃん』である。
 具体的に言うと、身長184cmの成人男性がふりふりな女性アイドル衣装を着たものである。
「この通りムダ毛の処理はバッチリですし、こんなにお尻もプリッとしているといいますのに! ふふ!」
「じゃあいいか」
「いいよね」
 アイドル界は寛容だった。
 いや、ここがキマイラフューチャーでなければ法の下に裁かれていた可能性があるが。
「お許しも出たことで……さぁ、聴いてください。アイドルたまちゃんデビュー曲
『アナタのカカトで踏みつけて♡』! 皆さんもご一緒に!」
「という事だから、スイレもどう?」
 手を差し出したセシルに、スイレは「喜んで!」と輪に加わった。
 フォックスファイアの篝火に照らされ、シンセサイザーの音色を響かせるセシル。
 ダンスパフォーマンスで彩りを加える哉太。
 カオスながらも何故かテンションの上がる歌を熱唱する珠稀。
 そしてスイレ。
「さあ皆で!」
「「「あんみつだいすき たまちゃーん!」」」
 コールも決まり、奇跡的にライブはブチ上がるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マーリス・シェルスカナ
Oh…、アイドルというのは歌で人を魅了する以外に歌で破壊もできるのですネ、スペースワールドの隕石対策に取り入れられるカナ?
(宇宙魔女、電脳空間で情報を見ながら色々と考えている模様)

(方針)
ワタシ歌は踊りはどうしても苦手ネ、でも見ての通り機器操作なら得意ヨ。
だから私はスタッフ側に協力する形で紛れ込むヨ。
見た目が(魔女だから)怪しいと思われるかもしれないケド、試しに
電脳空間につないで操作できることアピールするヨ。

裏方に紛れ込めたら、後はその時を待つネ。


白神・杏華
キマイラアイドルのスイレちゃんか〜。かわいいなぁ〜!
やっぱりアイドルって近くで見るとオーラがすごいよね!
というわけでスタッフに紛れるよ

基本的には猟兵だとかバレないようにしつつ、スタッフとして雑用するよ
実際のスタッフの指示に従って真面目に働きます!
同時にステージの付近とかに影の追跡者を召喚して置いておこう
もしオブリビオンが来たらすぐ気付けるようにね!

ところで、お仕事終わったらスイレちゃんにサイン貰いに行ってもいいですか?
いや、例えダメでも貰いに行こう! 【目立たない】特性を駆使してこっそり抜け出してね!


ヴィクトリア・アイニッヒ
【wiz】判定

…アイドル。良く分からない文化ではあるのですが、多くの人を惹き付ける文化であるという事は判りました。
私は人前に立てる程の『何か』に自信がある訳では無いですし…ここは裏方に専念しましょうか。

スタッフに話を通し、警備スタッフの一員に紛れ込む。
会場の案内図、避難の順路、それぞれの担当場所など確認するべき点は漏れ一つ無いようにチェックしておく。
…神官騎士団にもおりましたから、警備には自信がありますよ?
こういった時には、それぞれの担当をしっかりと明確にしておき…何かトラブルが起きた時は、手筈通りに動く事が大切です。
…手筈通りにいかない場合? その時は…各自の能力に任せ、臨機応変に、ですね。



「Oh……アイドルというのは歌で人を魅了する以外に歌で破壊もできるのですネ」
 裏方に回り、コントロールルーム的な部屋で照明や音響、映像関係の機材を巧みに操りながら呟くマーリス・シェルスカナ(宇宙(そら)飛ぶマーリンレディ・f15757)。
 歌うだけで周囲のものを破壊できるというのであれば、自分の世界――スペースシップワールドの隕石や宇宙ゴミなどの処理に役立つのではないのだろうか。
 しっかりと仕事をこなしつつ、片手間であれこれ計算するマーリス。
「いやいやマーリスさん、そんなの普通のアイドルにはムリだって!」
「たしかにこうして見る限りあの子には力学的なエネルギーは感じないネ」
 しかし人を惹きつける確かな魅力は感じる。
 これはこれでとことん追求してみたくなるテーマだが、ところで、とマーリスは話しかけてきたスタッフに目を向ける。
「自分で言うのもヘンですガ、ワタシの格好を怪しいと思わなかったですカ?」
「え?」
 スタッフは一瞬きょとんとした後、笑いながらマーリスの疑問に答えた。
「この辺じゃあどんな格好していても珍しくもないよ! 魔女コスチューム、よく似合ってますよ!」
「Hmm、そういうものなのですネ」
 そもそも猟兵だと名乗った瞬間に快く受け入れてくれるあたり、この世界は懐が深いというかなんというか。
「それに、正直スタッフの数が少なくててんやわんやになりそうだったから本当助かったよ!」
「機器操作ならお手のモノですヨ」
 こうして会話しながらもマーリスの手は素早く的確に動き続けている。
「……失礼します」
 そこへ、凛とした佇まいの女性が一礼をしてマーリスたちのもとへやってきた。
「マーリスさん、こちらは異常ありませんか?」
 ヴィクトリア・アイニッヒ(陽光の信徒・f00408)もまた、裏方、警備スタッフとして会場に溶け込んでいるのだった。
「今のところ問題オールナッシングですヨ、ヴィクトリアさん」
「それは何よりです。お手伝いの方も順調そうで……」
 膨大なスイッチ類やモニターに向かって「何かすごいことをしている」マーリスに圧倒されるヴィクトリア。
 少しの間を置いて我に返ったヴィクトリアは、事前に受け取っていた会場の見取り図を広げた。
「……っと。そろそろこの催しも佳境を迎える頃、より警戒を強めないといけませんね」
 警備の巡回ルート、避難経路、一般スタッフや他の猟兵たちの位置などなど。
 図には必要そうな情報が事細かくメモしてあった。
「ヴィクトリアさん、こういうの慣れているみたいだけど」
 見取り図を覗き込んだスタッフの言葉に、ヴィクトリアはどこか懐かしそうに静かに微笑む。
「……神官騎士団にもおりましたから、警備には自信がありますよ?」
「騎士団!? カッコイイ!」
「いえ、そんな……」
 スタッフがヴィクトリアを羨望の眼差しで見つめていると、
「ファンレターやプレゼントの整理、終わりましたー!」
 元気な声が部屋に響いた。
 台車の上に大きな箱を載せ、ころころと転がしてきた白神・杏華(普通の女子高生・f02115)はスタッフに仕事の報告を行った。
「やあ、ありがとう杏華さん!」
 会場に訪れたファンがスイレにプレゼントを渡したい場合、専用のボックスに入れるとスタッフがそれを回収し、仕分けをした後にスイレ本人にプレゼントが渡るシステムになっている。
 今回杏華が裏方の仕事を手伝いたいと申し入れるとこの仕事が割り当てられたのだ。
「こんなにたくさんのプレゼントが届くなんて、やっぱり人気なんだなぁ」
「最近数が増えてて。早めに渡してあげたいから手伝ってくれて助かったよ!」
「スイレちゃん、かわいいですもんね。やっぱりアイドルって近くで見るとオーラがすごいよね!」
 スタッフとしてあちこちを駆け回っていた杏華は、ステージ付近に『影の追跡者』をこっそりと配置するなど猟兵の仕事も抜かりはない。
「ところで、お仕事終わったらスイレちゃんにサイン貰いに行ってもいいですか?」
「そうだなぁ、色々と頑張ってくれたし……特別にいいよ!」
「やった!」
 サインの確約に成功した杏華は小さく跳ねると、部屋の出口へと駆けだした。
「ありがとうございます! それじゃ仕事に戻りますね!」
「こんなにも人を喜ばせられるとは、アイドルとは素晴らしいものですね」
 杏華の様子にヴィクトリアも感銘を受けながら、見取り図を手早く懐に収めた。
「……では私も警らに戻りましょう」
「Wait! ちょっと二人ともちょっと待つデス!」
 モニターに目を向けていたマーリスが杏華とヴィクトリアを呼び止める。
「なにか様子ガ……」
「……全員、気を付けてください」
 ヴィクトリアも得物に手を掛け、部屋の出入り口を警戒する。

 それから間もなくのこと。
「ここがコントロールルーム的な部屋か!」
 それはあまりにも普通に現れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『次のスターは私だぁ!』

POW   :    熱い思いを伝えろ!パッションな選択肢だ!

SPD   :    卓越した技を見せつけろ!テクニシャンよ集まれ!

WIZ   :    溢れる知性で返り討ちにしてやれ!イーンテリジェンス!

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 コントロールルーム的な部屋に、襲撃というには穏やかすぎる侵入を果たしたオブリビオン――アンマリス・リアルハート。
「つべこべ言わずにこの曲を流すのだ。無理矢理というのは姫としてはしたくないのでな!」
 一方的にデータが入っているであろうディスクをスタッフのひとりに投げつけると、
「私はステージに向かう! ははは、楽しみだ! 滅びてしまったリアルハート王国の再興も一気に進みそうだ!」
 アンマリスは言うだけ言うと、ステージの方へ向かっていった。
 全ての猟兵に連絡が送られ、オブリビオンの出現を知った彼らはステージに集結、あるいはそれまでに行動を起こす必要がある。
 戦闘までにいかに優位を築けるか。
 そして何よりも……歌われる前に歌え、猟兵!
セシル・バーナード
いらっしゃい、お姫様。
ステージに上がりたいなら、ぼくらを倒してからにしてよね。
一応、「礼儀作法」は守ろう。

「パフォーマンス」「歌唱」「楽器演奏」で、引き続きシンセサイザーを演奏しながらの熱唱を。
「誘惑」と「催眠術」を忍ばせて、観客を更に熱狂させてみようかな?
サウンド・オブ・パワーも使って、皆に元気になってもらおう。

どう、まだまだぼくらの出番は終わってないんだよ。
君の出番はずっと後。
その時が来たら、嫌でも相手してあげるから、もうしばらく舞台袖で待っててよ。

君だってこのセッションをぶち壊しにはしたくないでしょ? ファンがいてこそのアイドルだ。
そうやって「時間稼ぎ」をしながら、避難が終わるのを待つ。


マーリス・シェルスカナ
…ハッ!?オブリビオンとしては穏便な行動に一瞬でもひるんでいまシタ!
n~、テープを流さないとアノ子が何を仕出かすか分からないデスね…。

(方針:WIZ型)
とりあえず、テープ再生「まで」はしてあげても良いデスけど…、再生中の【アクシデント】は仕方ないデスよね?
(電脳空間で操作して)音がチグハグになってしまったり、(わざと)音楽がチグハグになってしまったり、(こっそりと)音が小さくなったりしてしまったり、Machineの故障ではしょうがないのですヨ((∀`*ゞ)テヘッ)

…所であの子、リアルハートKingdom(王国)の再興とか言ってましたけど、元は良い所のLadyだったのデショウか?


彩波・いちご
私は引き続き、スイレさんと一緒にライブ
格好とか女子アイドルなのも前章同様

デュオにアレンジした彼女の歌をメドレーで歌い
キレキレのダンスで盛り上げて

今回は敵も現れるのでその邪魔もしないといけませんね
なので【幻想よりきたる魔法の演者】を使います
召喚するオブジェクトは、ステージエフェクトにもなる様々な色のハートマークや星のマークがたくさん!宙に浮かべます
歌に合わせて光り輝きステージを煌めかせるんです♪
「みなさーん、楽しんでますかー♪」

同時にこれは魔法の発現なので
邪魔する者(アンマリス)にはサーッと向かっていって、はじけてBOM!
観客にはポップな爆発エフェクトを、敵にはしっかりダメージを与えちゃいます♪


アンネリーゼ・ディンドルフ
【SPD】卓越した技を見せつけろ!テクニシャンよ集まれ!

「私はバックコーラスに回りますね。」
そう言ってアンネはUCドッペルゲンガーを発動。
もうひとりの自分を出現させ、美しいハーモニーで魅了する。


ヴィクトリア・アイニッヒ
…あまりにも自然に来られたので拍子抜けしてしまいましたが。
ともあれ、ステージ上の事はあちらの方々にお任せして。私はこのまま裏方に徹しましょう。

警備担当のスタッフと手分けして、観客の避難誘導などを。
怪人的な何かが出現したので、騒がず慌てずゆっくりと逃げる様に、と呼び掛けていく。
怪我人を出しては、本来の主役であるスイレさんに申し訳が立ちませんからね。皆さんの団結力を促したい所です。
(使用技能:礼儀作法・コミュ力・救助活動・存在感・優しさ、等)

…しかし無理矢理が嫌だと言いつつ、一方的に過ぎる行動ですね。いえ正面から話し合いに持ち込んでも疲れそうな手合ではありますけれど…


明智・珠稀
ふ、ふふ!
オブリビオンが来るまでに
更に観客の皆様をメロメロにしてみせましょう…!
(UC【どちらがお好みですか?】で女明智を召喚。
男明智同じく愛らしいアイドル衣装に身を包んだナイスバディ女性)
『さぁ、双子デュオ【アケチーズ】として更に激しく狂おしく愛を伝えます♥️』

■ライブ
「さぁ!私達の愛を…!」
『全身で堪能してくださいね、ふふ!』
双子デュオとして再登場
『それでは二曲目【どちらがお好みですか?】聴いてください♥️』
デュエット曲を艶っぽく&激しく狂おしく歌い踊る。
『♪貴方の好みになりたいの』
な熱烈ドM愛憎ドロドロな歌詞のくせに
やけに明るく爽やかな曲調で
(詳細お任せ)

※アドリブ&ネタ&絡み大歓迎♥️


境・花世
みんなの歌の力が、
きみたちのスイレを救うんだって
全力を出すしかないよね?
敵が現れる前に観客席の気持ちを一つにして
正々堂々と立ち向かおう

悪戯っぽく笑って掲げるペンラは、
今度は自分の薄紅のいろ
わたしはアイドルでも歌手でもない、
ただの、凡人だけど
観客には観客の――やり方が、ある!

舞台に立つ仲間たちの歌はもう覚えてる
重ね合わせるようにハモってみたり
波のように掛け合いのアンサーを入れたり
敵が歌う隙なんて与えやしないから
自由に歌っておいで、とスターたちへ笑顔で頷いてみせ

ところで実はわたし、初ライブの筈なんだけど
我ながらどうしてこんなに馴染んでるのかなあ

ハッまさか、魂に刻まれた業――?

※アドリブ・絡み大歓迎


櫟・陽里
前座、幕間の余興、あるいはバックダンサー代わりの演出として
バイクパフォーマンス、採用してみないか?
相棒をオフロードタイプに変形し出演

トライアルデモンストレーション!
客席側から登場して後輪ジャンプで段差登り
ステージの柱を利用して壁登りから後方宙返りなどなど
ライディングテクのオンパレードで盛り上げるぜ!
エンジン音って最高にテンション上がるだろ?
拍手が足んねぇ!声上げろ!最高の大ジャンプ観たくねえのか!!

…なーんてね
姫様の曲が始まりゃエンジンふかして妨害するし
バイクの機動力活かして素早く庇いに入れるステージ周りで待ち伏せできる
バイクの助走のためとか言って
客の前列ラインを下げさせられたらラッキーだな!



「……ハッ!? オブリビオンとしては穏便な行動に一瞬でもひるんでいまシタ!」
「……ええ、あまりにも自然だったので拍子抜けしてしまいましたが……」
 マーリスとヴィクトリアはオブリビオンが去っていった方を眺めながらも、現状について思案する。
「……しかし無理矢理が嫌だと言いつつ、一方的に過ぎる行動でしたね」
「結局、話し合う余地はないのデスか。しかし……n~、テープを流さないとアノ子が何を仕出かすか分からないデスね……」
「ど、どうしようマーリスさん!」
 ディスクを受け取ったスタッフはあわあわと右往左往している。
 口元に手を置いていたマーリスは、ふと顔を上げた。
「つまり、Musicを再生まではする必要があるわけデスね。再生『まで』」
「い、いいの? 話を聞く限りだと、アレが歌ったらとんでもないことになるって……」
「So、再生はしてあげマス。でもきっと、歌うことはできないでしょうネー」
「マーリスさん、何か妙案が浮かんだようですね」
「Yes! ここはお任せくだサイ」
「では私は観客の避難誘導を進めます。全班集合!」
 いつの間にか集まっていた警備スタッフに指示を飛ばすヴィクトリア。
「……2班、退路の障害物をできるだけどかして道を広く整えてください。3班4班は誘導指示を。1班は私と共に指揮の補佐と殿を。騒がず慌てずゆっくりと……これを忘れないように。さあ、行きましょう!」
「「「はっ!!」」」
「Oh、この短時間でよくあれだけの統率を……」
 ヴィクトリア警備チームはプロの如き動きで各所へと散らばっていった。

 一方ステージでは。
「ふふ! さあさあ更にメロメロになってください!」
 珠稀が2人に……正確には女体化した珠稀が増えていた。
 より正確にはユーベルコードの効果によって増えたのだが。
「じょ、女子のたまちゃん……だと……?」
「ぶっちゃけ俺、好みなんだが」
 珠稀は言動がアレなだけでかなりの美形であり、女体化すればそれはもうナイスバデーな妖艶美女になるわけで。
 ついでに男版同様アイドル衣装に身を包んでいるわけで。
「女たまちゃんだけでよくね?」
「いや、男たまちゃんもいけるだろ!」
 観客の皆さんも倒錯しはじめたところで。
「ふ、ふふ! 一定の需要は満たせたようですね……!」
『さぁ、双子デュオ【アケチーズ】として更に激しく狂おしく愛を伝えます♥️』
「私達の愛を……!」
『全身で堪能してくださいね、ふふ!』
 珠稀ともうひとりの珠稀が交互に話す様子は
『それでは二曲目【どちらがお好みですか?】聴いてください♥️』
 一人双子デュオ、アケチーズによる「よく聴くと愛する人の好みになりたいドが過ぎたMの愛憎劇」であるが、妙に突き抜けた明るさのある爽やかMIXでお届けしている。
 そんな混沌の極みを煮詰めてドロドロながらもすっと飲み下せるスープのような難解な曲にあわせ、バックダンサーならぬバックバイクパフォーマンスを繰り広げる櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)。
 登場からして観客席の中央にある通路をバイクに乗って登場した陽里。
 すわ青春を謳歌しまくっちゃってる系の人の乱入か、と思われたが……とことんまでにこだわり抜いたチューンを施した宇宙バイクの『ライ』を駆るその姿は見たものを魅了しないわけがなかった。
 音楽に乗せてステージの壁を走り、あるいは登り、頂点に達する直前でくるりと後方宙返り。着地と同時に前輪を浮かせ、くるくると舞う。
 まさに相棒と呼べるバイクを自分の手足のように操り、舞台狭しと大暴れ。
 勿論他の演者や観客に危険は無いように構成されているので安心安全のパフォーマンスとなっている。
 特殊な訓練を積んでいないよい子は真似してはいけないぞ。
「歌の力がきみたちのスイレを掬うんだって。それなら全力を出すしかないよね?」
 そう言いながら客席でにまりと笑顔を見せ、周囲を鼓舞する花世。
 天を貫かんと高く振り上げたペンライトの色は花世を想起させる薄紅色。
「俺たちはステージには立てない。だが!」
「我らには我らのやり方がある……そういうことですね、姐さん!」
 漢たちの眼差しを受け、花世はあらためてステージを仰ぎ見る。
「その通り。みんなの歌はもう覚えたよね。なら盛大にハモり、レスポンスを返し、オブリビオンの付け入る隙なんてみっちりと埋めてやろう!」
 さあ、自由に歌って――そんな意味を込めた、これ以上無い笑顔を輝くスターたちに送った。
(「わたし、初ライブの筈なんだけど……わたしよりも明らかに歴戦のファンに『姐さん』とか呼ばれたり、我ながらどうしてこんなに馴染んでるのかなあ」)
 よもや魂に刻まれた業……宿命なのではなかろうか。
 ペンライトが見せる光の奥に答えはある、のかもしれない。
 花世たちの応援はステージのいちごの耳朶を打ち、想いは受け取ったとばかりに頷いた。
「みなさーん、楽しんでますかー♪」
「「「おおおおおおお!!」」」
 ユーベルコード『幻想よりきたる魔法の演者』を用いて立体ホログラムのように空間上にカラフルなハートや星のマークを浮かべ、ファンシーな世界の中を歌い踊るいちご。
 バックコーラスを務めるのはアンネリーゼ。
 ドッペルゲンガーを発動してサラウンドに音を広げつつ曲に深みを加えることに一役買っている。
 ここまで盛り上がっていれば自分の入る余地はないとオブリビオンも諦めて帰ってくれればそれに越したことはないのだが……。
「はっはっは、楽しそうな臣民よ! よおく聞けい!」
 全ての音を上書きするような大声が響く。
「私の名はアンマリス・リアルハート!!」
 さりげなく「私たちはあなたの臣民ではありません」といった内容のコーラスを挟む。
「私の歌を聴き、聴き惚れた者は私の臣下に――って、ええい! まずはこの曲を止めないかー!」
 恐らくマーリスに向けて叫んでいるのだろう。
 やがてステージの音楽はフェードアウトしていく。
 代わりに流れてくるのは知っている者は知っている、ある有名な曲のイントロ。
「よしよし。ではあらためて、私の歌を! 踊りを! とくと味わい……む、むむ!?」 なのだ、が。
 音が飛び飛びになったり音量が小さくなったり、かと思えば急にサビが流れ出したりノイズが走ったり、猫の鳴き声が紛れ込んだりし出した。

「イヤー、困りまシタ。まさかMachineの故障が起きてしまうとはなんたるBad luck! いや本当に、こうなって私とてしょうがないのですヨ」
 コントロールルーム的な部屋ではマーリスが電脳を駆使してあらゆる不具合を意図的に発生させ……ではなく、復旧困難な『アクシデント』にお手上げ状態となっていた。
「確かにこれじゃ歌えない! さっすがマーリスさん!」
「あとはステージ上の皆がうまくTimeを稼いでくれるデショウ」
 それにしても、とマーリスは首を傾げる。
「リアルハートKingdomの再興……あの子、元は良い所のLadyだったのデショウか?」

「な、なんだこれは! まさか彼奴ら、我が王国に仇なす者の一味だったのか!?」
 歌い出しに失敗したアンマリスの前に恭しく頭を垂れる少年が現れた。
「いらっしゃい、お姫様。一応名乗っておこうか。ぼくはセシル」
「うむ? うむ。アンマリス・リアルハートだ」
 セシルの作法に則った所作に、思わずアンマリスも名乗り返す。
「ステージんい上がりたいなら、ぼくらを倒してからにしてよね」
「何?」
 言うやシンセサイザーに飛び移り鍵盤を叩くと、周囲を漂っていたハートマークがアンマリスの側で爆ぜた。
 『BOM!』とコミカルなピンク色の爆煙に包まれたアンマリスは、会場に響く音楽が猟兵たちのものに戻っていることに気付く。
 更にリズムよく響くバイクの排気音。
「拍手が足んねぇ! 声上げろ! 最高の大ジャンプ観たくねえのか!!」
 陽里の扇動する声に、観客はここ一番の歓声を飛ばしてきた。
「いいぜ、その調子だ!!」
「くっ、リアルハート王国に楯突く賊め……!」
 煙を振り払ったアンマリスにとても楽しそうな視線を向けながらセシルが告げる。
「どう、まだまだぼくらの出番は終わってないんだよ。君だってこのセッションをぶち壊しにはしたくないでしょ?」
 その時が来たら嫌でも相手してあげるから、と演奏を続ける。
「いい盛り上がりだな! そんなに俺のエキサイティングなジャンプが見たいか? いいぜ、見せてやろうじゃねえか!!」
 助走が必要だと陽里は最前列付近の観客に下がるよう指示する。
 これを機に全ての避難準備を整えたヴィクトリア率いる警備チームが主導となり、観客の避難が始まった。
 アンネリーゼは「落ち着いて、駆け出さず、熱い心はそのままに避難してほしい」旨をバックコーラスで伝えることを忘れない。
「……スイレさんに心配をかけないように、落ち着いて退出をお願いします」
 ヴィクトリアの呼びかけに観衆は「もちろん!」「あの怪人を倒すんでしょ?」「新たな伝説に立ち会ってしまったか」などなど好意的な反応をしながら和やかに避難していく。
 やがて客席に残ったのはすれ違うファンというファンから応援された花世ひとり。
 そして多数の猟兵がアンマリスを囲む。
「わ、私の臣下候補をことごとく逃がすとは……いや、それとも私の歌を独り占めにしたいということか?」
 ならば寛大に許そう、とアンマリスはふんぞり返る。
「いえ、それは遠慮します」
「なんだと!?」
 本当の歌姫であるアンネリーゼからぴしゃりと拒否が宣言される。
「さて、そろそろぼくたちのセッションをはじめようか」
 セシルは一歩踏み出すと、片手を差し出した。
「もっとも、君に歌う猶予が与えられるかはわからないけれどね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『アンマリス・リアルハート』

POW   :    歌は自信があるぞ、聞いていけ!
【わりと壊滅的な歌声】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    ダンスは教養、出来て当然だ!
【躍りながら振り回す剣】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    私はちゃんとできてる!間違ってるのはそっちだ!
【現実をみないだだっ子モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。

イラスト:さとみ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アンノット・リアルハートです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マーリス・シェルスカナ
Hey、ユーはちゃんと自分を省みてますカ?
自信が有るのはGoodデスが、悪い所も見直さないとアイドルとして2nd以下ネ。
…時に、ユーは自分のSongを録音して聞いてみたりしまシタか?
(電脳空間を展開し、防御の姿勢で)

(方針)
少し気が悪いですケド、彼女の気にしている事を言って挑発しマス
気に障って歌いだしたら(≒彼女がユーベルコードを発動したら)
『Analyze And Reproduction』で防御ネ。完全に防御は難しいケドこれはMust事項

再現プログラムへの変換が終わったラ、自分を省みさせる機会として彼女に集中して当たる様に(彼女「だけ」によく聞こえる様に)お返しするネ!


セシル・バーナード
さーて、それじゃ灼いていこうか。
こんなのがいるんじゃ、おちおちライブも出来なくなりそうだし。

ああ、もしぼくの恋人になって歌は封印するって言うなら歓迎するよ?(「誘惑」「催眠術」)

世の中思い通りには行かないよね。それじゃ討滅しよっか。
「全力魔法」でフォックスファイアを生み出し、全てを結集させてぶちかます。
可愛い子は可愛いままに彼岸へ送りたいけど、こればっかりはどうにもならないからね。

火の「属性攻撃」で追い詰め、フォックスファイアで灼いていく。
オブリビオンになったってことは、この世に未練があったんだよね。
でもそんなもの、誰も覚えていない。
君はもう、存在しないも同然の存在なんだ。大人しく眠ってね。


ヴィクトリア・アイニッヒ
一般人の皆さんは、無事に退避出来ましたね。
さて…ここからは多少手荒に参りましょうか。

『神威の光剣』を自身の周囲に展開。アンマリスに向けて間断なく撃ち込み続ける。
四肢を貫き動きを封じられれば良し。そうはならずとも、飛来する光剣に常に意識を向けさせ、他の皆さんの立ち回りに注意を向けさせる余裕を無くさせるだけでも十分でしょう。

歌や踊りは横に置くとして。アンマリス、貴方のその性根は只々不愉快です。
アポイントも無しの乱入、傍若無人な振る舞い。努力と成果を積み重ね、ここまでの高みに至ったスイレさんの労苦を横から攫おうとするような所業。傲慢以外の言葉はありません。
…主よ、傲慢なる悪意を祓う力を、此処に!



 歌ったり踊ったりするとその壊滅的センスにより周囲に甚大な被害を及ぼすオブリビオン、アンマリス・リアルハートが襲来するも、猟兵の活躍によって一般人の避難より先に自慢の喉を披露されることを阻止するに至った。
 そして。
 ライブステージには猟兵たちとアンマリスが睨み合う形で対峙しているのだった。
「――一般人の皆さんは、無事に待避できましたね」
 警備スタッフに「ご武運を!」と送り出され、全てのファンやスタッフの待避が済んだことを確認すると、ヴィクトリアもまた客席からステージへと乗り込んだ。
「……ここからは多少手荒に参りましょうか」
「そうだね。こんなのがいるんじゃ他の場所でもライブなんか出来なくなりそうだし」
 ああそうだ、とセシルは前置きをしながらアンマリスに微笑みかけた。
「もしぼくの恋人になって歌は封印するって言うなら歓迎するよ?」
「ふはは、好いた者のやりたいことを封じて恋人と呼べるものか。ふざけるなっ!」
 差し出したセシルの手に手袋をぺしーんとぶつけて拒否するアンマリス。
「ま、わかってたけどね」
 世の中はうまく行かないものだと嘆息しながら、セシルは投げつけられた肌触りのよい黒手袋を返す。
「Hey、ユーはちゃんと自分を省みてますカ?」
 いそいそと手袋をはめなおすアンマリスに問いかけるマーリス。
「どういう意味だ」
「つまり、どうして私たちがユーを止めようとするのか、Understand?」
「ん? 私の歌声や踊りの才能に嫉妬しているのではないのか?」
 もしくは王国再建の邪魔立てか。
 どう見ても茶化したり誤魔化している様子のない、本当にそう考えているのだと感じ取れる答えにマーリスは「Oh……」と天を仰いだ。
「……時に、ユーは自分のSongを録音して聞いてみたりしまシタか? どんな歌声だか知っていますカ?」
「自分の、歌を……? それはつまり」
 小さく呟き、鋭い眼光でマーリスを睨む。
「レコーディングはまだか、私のグローバルデビューはまだかという催促か!」
「NoNo、どれだけ都合の良い解釈をするつもりデスカ!」
「うわー、あれは人の話を聞かない系だよね」
 挑発のつもりだったが、頭の中は相当なお姫様のようだ。
「よいよい。お前は我が臣下に相応しい! ならば聴け! 特等席で我が歌う姿を観る栄誉を与えよう!」
「マーリスさん!」
 大きく息を吸い込んだアンマリスに、ヴィクトリアはマーリスを護るために飛び出そうとするが、彼女はそれを片手で制止する。
 異なる捉え方をされはしたが狙い通りだと、もう片方の手で電脳の窓をいくつも展開し、それを防壁のように身体の前に集約させていく。
「Analyze……開始!」
 その瞬間、表現するのが困難な音の暴力が猟兵たちを襲った。
「うわー! 想像以上の音痴ー! そして声大きい!」
「な、なんと不快な音ですか……!」
「でも、鼓膜以外のダメージはなさそうー!?」
「……言われてみれば、確かに」
 耳を塞ぎながら自分や周囲を確認するが、どういうわけだろう。
 これといった被害はなさそうだ。
「っ! マーリスさんは……!?」
 ヴィクトリアが顔を上げ、マーリスの姿を目に捉えると――。
「うぬぬ……なかなかHeavyデス……デス、ガ……!」
 単一の方向に集中した、目に見える濃密な衝撃波のようなものがビームのようにマーリスの、マーリスの電脳世界へと吸い込まれていく。
「完全に無意識だろうけど、『攻撃』には聴かせたい方向に集中させる指向性を持たせることができるということなのかな……! 今はこらえているみたいだけど、あのままだと……」
 セシルの懸念は、歌がサビに入る直前に終わることになる。
「Analyze……解析完了! And……Reproduction!」
 マーリスが気合いと共に両腕を突き出すと、これまで彼女を襲っていた衝撃波、それそのものが今度はアンマリスに向けて照射されているではないか。
 アンマリスの歌はマーリスの電脳世界で解析され、それを『再現するプログラム』に変換されていたのだ。
「んなあ!? なんだこの雑音はー!?」
「雑音、ネ。それがユーの『歌』ですヨ」
 いくつもの警告が表示された電脳空間を閉じながらマーリスは言い放つ。
「何!? そんなわけあるか!」
 それならばもう一度と歌いかけたアンマリスの四肢を光の剣が貫く。
「ぐぬう!?」
「歌や踊りは横に置くとして。アンマリス、貴方のその性根は只々不愉快です」
 光剣を放ったヴィクトリアが厳しい目を向ける。
「……アポイントも無しの乱入、傍若無人な振る舞い。努力と成果を積み重ね、ここまでの高みに至ったスイレさんの労苦を横から攫おうとするような所業。傲慢以外の言葉はありません」
「不愉快、傲慢……だと……?」
「反論の余地はありませんよ。貴女には自覚がなさそうなのがより質が悪いと言わざるを得ません」
 怒りに呼応するように、次々とヴィクトリアの周りの空間に光剣が現出していく。
 神聖な光を湛える切っ先はその全てが元凶に向けられている。
「いやいやまさかいくら私が輝かしいからと、あまりそうライトアップされても」
「……主よ、傲慢なる悪意を祓う力を、此処に!」
 戯れ言をやめないアンマリスに、ヴィクトリアは容赦なく光を撃ち込みはじめた。
「ふたりともなかなか豪快だね。さーて、可愛い子は可愛いままに彼岸へ送りたいけど、こればっかりはどうにもならないからね」
 光剣に翻弄され、動きが鈍っているアンマリスを眺めながらセシルは手の中に火を生み出していく。
「オブリビオンになったってことは、この世に未練があったんだよね」
「くっ、何のことやら……!」
「いいよ、思い出したり教えてくれなくても。そんなもの、誰も覚えていないから」
 火は炎となり、セシルの身体を纏うように漂う。
「君はもう、存在しないも同然の存在なんだ」
「……!」
 どろりと動く狐火はやがてステージを蒼く彩り。
「大人しく眠ってね」
 一体のオブリビオンを飲み込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
「いちご、チャンネル~♪」
【これから始まる生放送】で生中継用ドローンを召喚して、退避したお客さんと端末に強引に割り込んでお届けします♪
「ここからは中継で私のステージ楽しんでくださいねー♪」
さっきまではスイレさんのカバー曲でしたが、ここからは私のオリジナルを
「アンマリス、貴方のような破壊音波には負けませんよ?」
というわけで全力でポップなアイドルソングを歌います
元気で明るい、みんなが私に恋しちゃうような歌を
【天使のような悪魔の歌声】でアンマリスへのダメージに変えて

♪いつでも私を見つけ出して♪
♪もう私から目をそらさないで♪

どちらがアイドルにふさわしいか、視聴者の応援に決めてもらいましょー!


境・花世
ライブはすごく楽しいし
一生懸命歌うひとは輝いてみえるよ
……だけど、
今のきみの歌は聞きたくないなあ

お世辞がいえなくて、ごめんね

心底申し訳ない気持ちで素直に謝る
? 精神的ダメージ?
そっか、じゃあちょうどいいかな
さくりと切り替え早業で駆け出して、
物理的に追い打ちをかけよう

だめだよ、わがままは通用しない
ファンは本当はすごくシビアなんだ

きみの欲しがった喝采と花束の代わりに、
ラストステージを彩る爛漫の薄紅を
躯の海でたくさん練習しておいで
じょうずになったら今度は聞いてあげるよ

全て終えれば静寂に蘇るライブの感動
みんなのコラボ、すごかったね
新たな伝説に立ち会ってしまった、かな?(まねっこ)

※アドリブ絡み歓迎


アンネリーゼ・ディンドルフ
【SPD】
まずはUCタイムズ・アローを使い【早業】で【先制攻撃】を試みる。
また、【スナイパー】で【援護射撃】を試みる。

※タイムズ・アローに射抜かれたオブリビオンは己の時を進め深刻なダメージを被る


明智・珠稀
ふ、ふふ!
遂にいらっしゃいましたね、アンマリスさん…!
さぁ、アイドル勝負です!
(UC【どちらがお好みですか?】にて女体化明智を引き続き召喚し)

■戦闘
男明智は剣を、
女明智は鞭をを手に
「さぁ、最高のパフォーマンス対決を愉しみましょう…!」
『私の鞭で踊ってください、ふふ♡』
男明智は剣舞の如き剣技で【ダッシュ】【先制攻撃】、また
【歌唱】でミュージカルの如く相手に歌わせる隙を与えないよう
【武器落とし】しつつ攻撃を
女明智も同じく舞うように鞭を振るい攻撃
【マヒ攻撃】で無力化を狙い
歌わせないように動く

敵UCには【オーラ防御】【盾受け】
「ポロリも辞さない覚悟ですよ、ふふ!」

※アドリブ&絡み、ネタ大歓迎です!


櫟・陽里
そんじゃ姫様、ダンスを一曲…お相手願おうか?
あくまでもバイクからは降りず
でっかい態度でお誘いだ
引き続きパフォーマンスめいたライディングテクで
振り回される剣をひょいひょい躱す
躱しながらこっそり鋼糸を足止め罠としてステージに張っておく

足元がお留守なんじゃねぇの
一度国が滅びた、という事は何か原因がある
ちゃんと反省出来てんの?
自分の立ち位置を見極められなきゃ同じ事の繰り返し
…なんて話はオブリビオンには無駄か?

恨みはねぇしショーは楽しめたけど
姫様に似合いの舞台は過去にしかねぇ
お帰りいただく時間だぜ

ユーベルコードで戦闘力を上げた拳銃の射撃
仲間の行動に合わせる
援護が必要なら連写
決め手が必要ならよーく狙う



「いちご、チャンネル~♪」
 突如イベントスペースやその周辺のモニター、あるいは避難したアイドルファン個人の端末から明るい声とポップなBGMが聞こえてきた。
 映し出されたのは、まさに今オブリビオンとの対決を控えたいちご。
 そう、いちごは生中継撮影用のドローンを飛ばし、現状をリアルタイム配信しているのだ。
「ここからは中継で私の、私たちのステージ楽しんでくださいねー♪」
『いちごちゃーん!』
『かわいいいいいいいい』
『い・ち・ご! い・ち・ご!』
『さっきまで会場にいたやつ挙手』
『バトルマダー?』
 早速怒涛のように流れるコメント。視聴者数のカウンターもガンガン回り続けている。
「ふ、ふふ! 私もいますよ!」
『ぎゃああああああ』
『オレンジジュース鼻から噴出した』
『たまちゃんだあああああ!!』
『女たまちゃんは俺の嫁』
 にょきっとフレームインした珠稀アンド女体化珠稀もなかなかの人気っぷり。
 ドローンはゆっくりと旋回し、ステージの様子を高画質でお届けしていく。
『謎のすげえライダーも映ってるぞ!』
『今ちらっと姐さんの姿が!』
『エルフの歌姫さんもだ!』
「配信を観てるお前ら! 俺のライディングテク、まだまだすげぇ事になるから見逃すんじゃねぇぞ!」
 指を突き付ける陽里に、メカや派手なアクション好きな層が一斉に沸き立つ。
「う、ぐぐ……こ、こんな登場だけでちやほやされて……!」
 先の大火炎を受け、大の字に転がっていたアンマリスはのっそりと起き上がり、一変した状況に当惑しながらも生配信されている状況については理解したようだ。
「私はちゃんと歌えてる! 踊れてる! なのに、なのにっ! 間違ってるのはそっちだー!」
 急に聞き分けのない子供のように泣き出した。
 どうしたものか。猟兵たちが若干困惑していると――。
「私の歌で王国をごふぅッ!?」
 アンマリスの胴体を矢が貫いた。
「少しは歌を愛する心があるかと思いましたが、見込み違いでしたか」
 ハープの形をした弓を下ろするのはアンネリーゼ。
 エルフといえば弓矢、とのお約束に視聴者も笑顔になりつつ泣き止ませる一石二鳥、いや一矢二鳥のユーベルコード……タイムズ・アロー。
「ナイス、アンネリーゼ!」
「子供をあやすための技ではありませんが……」
 若干不本意そうなアンネリーゼだが、好機は生まれた。
「だめだよ、わがままは通用しない。ファンは本当はすごくシビアなんだ」
 叱りつけるのではなく、諭すように語り掛ける花世。
 ファンと共に過ごし、共感し、語り合い……自らも全身全霊をかけてアイドルを応援した立場だからこそ、彼女の言葉はとても重い。
「ライブはすごく楽しいし、一生懸命歌うひとは輝いてみえるよ」
 だけど、と花世は残念そうに、しかしはっきりと続けた。
「今のきみの歌は聞きたくないなあ」
「うあーん!!」
 腕を振り回し、再び泣き出しながらやぶれかぶれに突撃するアンマリス。
 その進路上に踊るように飛び出したのはいちご。
「そうやって嫌になったら何もかも投げ出すようでは、一生かかっても成長できませんよ」
 ――いつでも私を見つけ出して、もう私から目をそらさないで♪
 口直し、もとい耳直しにといちごはオリジナルのアイドルアイドルしたアイドルソングを楽しそうに披露する。
 一般の視聴者や仲間たちには可愛らしい歌声にほっこりし、敵対する相手にはたくさんの視聴者の声援の力を歌に乗せた超音波にも等しい衝撃派を与えるのだ。
 ……アンマリスのような環境破壊音ではないのでそこは安心して欲しい。
 壊滅的な歌声のそれとは比べものにならないほど清らかな衝撃に、アンマリスは多少正気を取り戻したようだ。
「くっ、見苦しいところを見せたようだな……」
「アンマリス、貴方のような破壊音波には負けませんよ?」
「誰が破壊音波か!」
 やっぱりどうやっても自覚しないんだなあ。
 もうあっぱれと評する他ないだろう。
「さあ。どちらがアイドルにふさわしいか、視聴者の応援に決めてもらいましょー!」
「ほう。ならば私の華麗な舞を見せ、存分に魅了してくれよう!」
 すらりと細剣を抜き放つアンマリスは、
「おいおい姫様、ダンスに剣は必要なのか?」
「フ、その方が凜々しさが際立つだろう?」
 陽里の当然の疑問を凜々しさの一言で一蹴する。
「なら仕方ねぇ。俺でよければ一曲、お相手願おうか?」
 ステージの音楽はダンスサウンドに切り替わる。
「機械の馬に乗った王子、というわけか? 態度が不遜だが……面白い。ついて来られるならついて来るといい!」
「ああ……いくぜ!」
 愛車・ライのアクセルを開け、ウィリー気味にアンマリスに突っ込む陽里。
 その時、中継ドローンはライにフォーカスを当て、疾駆する様を格好良く映し出す。
『あのバイクは……!』
『知っているのか!?』
『あれだ、すごいとしか言いようのないすごい機体だ……!』
『すごい』
 視聴者の語彙力を限りなくゼロにする程にライが、陽里が走る姿は抜群に画になるものなのだ。
「正面からとは、情熱的な奴だ!」
 動きが壊れたCG映像のような滅茶苦茶な動きで……ああ、これがアンマリスの言う踊りなのだが、とにかく自慢のステップ? で避けつつ、陽里に細剣の乱刺を繰り出す。
「遅ぇ! そんなんじゃ俺と相棒にはかすりもしねぇぜ!」
 大胆さの中に繊細な操作を織り交ぜ、曲芸のように飛び跳ね、地を滑り、ターンを炸裂させる。
「このっ……!」
「そんな迂闊に飛び出していいのか? 足元がお留守なんじゃねぇの」
 アンマリスは縦横無尽の陽里を捉えようと深く踏み込もうとした、が。
「なっ、これは!」
 いつの間にか周囲には鋼糸が結界のように張り巡らされ、下手に動くと斬り刻まれる空間が形成されていた。
「動き回ってる間にちょちょっと、な?」
 躊躇い、動きが止まったところをアンネリーゼの矢が目の前をかすめる。
「あぶな!」
「足元ばかりを見ているのも問題ですね」
 そうして完全に格好の的になったところを、陽里は走行するバイク上から弾丸尽きるまで拳銃を発砲し続ける。
「一度国が滅びた、という事は何か原因がある。ちゃんと反省出来てんの?」
 後輪をスライドさせてようやく止まると、車上からアンマリスを見下ろす。
「自分の立ち位置を見極められなきゃ同じ事の繰り返し……」
 なんて話は無駄か、とゴーグルを跳ね上げる陽里。
 細剣を地面に突き刺し、裂帛の咆哮をあげて周囲のワイヤートラップを破壊したアンマリスが次に見た光景は、眼前一杯に広がるほのかに紅差す牡丹の花びら。
「きみの欲しがった喝采と花束の代わりに、ラストステージを彩る爛漫の薄紅を――」
「何だこの花は……。私を称える祝典、ではないのだろう」
「そうだね」
 少し哀しそうな顔で花世は頷く。
「躯の海でたくさん練習しておいで。じょうずになったら今度は聞いてあげるよ」
「さぁ、無数の花弁に抱かれながら最高のパフォーマンスを愉しみましょう……!」
『私の鞭で踊ってください、ふふ♡』
 歌いながら男珠稀は剣を、女珠稀は鞭を振るい、アンマリスへと迫る。
「私は幻でも見ているのか!? ならば私もこのステージを踊り尽くすのみ!」
 踊りとは名ばかりのどたばた細剣めった斬り。
 明確な太刀筋があるわけではないだけに、本来ならば近寄りがたいが。
「私は引きませんよ。何故ならポロリも辞さない覚悟だからです! ふふ!」
 刃でいなしながらずんずん進んでいくアケチーズ。
 躱し切れない切っ先が珠稀の衣装を一か所、また一か所と裂いていく。
「ふ、ふふ! これで」
『閉幕ですよ……!』
 殺到する花びら、そして珠稀の一撃がアンマリスの膝を折った。
 最後に立っていた男珠稀の衣装は完全に破壊されていた。

「姫様に似合いの舞台は過去にしかねぇ……ってな」
 エンジンを切り、一息つく陽里。
「それはさておき」
「花びらで色々隠れていましたから、大丈夫! 大丈夫です!」
 瞬間、いちごは慌ててドローンを明後日の方向に向けており放送事故を回避……いやそもそも見えてはいないからセーフなのだが。
「そうですね、大丈夫です」
 布でぐるぐる巻きになった珠稀の様子を確認するアンネリーゼ。
「それにしてもこの扱いは……いや、ふふ、これはこれで?」
「新たな伝説に立ち会ってしまった、かな?」
「色んな意味でな」
 花世と陽里、そしてライブを盛り上げ戦い抜いた猟兵たちはどこか遠い目で未だにコメントが流れ続けるモニターを見ていた。
 猟兵を賞賛するもの、もう一度ライブをやり直そうというもの、そして。
 控えめに、しかし確かに伝わる感謝のメッセージ。
 猟兵たちは一人のアイドルを救い、多くのものを守り抜いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月30日
宿敵 『アンマリス・リアルハート』 を撃破!


挿絵イラスト