ケルベロス・ウォー⑦〜燭火のチルドレン
●ケルベロス・ウォー
星の輝きは生命。
生命の輝きが示すのは未来。
一つの理想が誰かを傷つける。傷は軌跡。軌跡は地図を描く。
それは運命と呼ばれる。
生命はいずれもが未来を指針にして歩み続ける。
時は巻き戻されることはない。
時は常に未来に進んでいく。過去を踏みつけ、加速していく。
ならば、できることは創造することだけだ。
より良きを想像する世界は、きっと運命を変えるだろう。
「私達は死ぬ訳にはいかない。全力を尽くして尚、死力を尽くして尚、万一にも敗北もあり得るかも知れない。その時のために備えはいつだって必要だ。これもまた私達の生存を第一とするデウスエクスとしての本能であり方策の一つだ」
十二剣神『黄道神ゾディアック』は猟兵たちとの戦いが始まる前に、己が抱える完全球体『ゾディアック・ドーム』で育んでいたデウスエクスの子供たちを見やり、そう言った。
それが彼女の母性からの言葉であったのか、それともデウスエクスを束ねる指揮官として取れ得る作戦を伝える言葉であったのか。
理解できるのは彼女と『ゾディアック・ドーム』にて育てられた子供たちだけであった。
「君たちは僅かなグラビティ・チェインでも生きて行けるように調整した」
だから何も心配するなと言うように『黄道神ゾディアック』は笑む。
無論、己が猟兵達に負けるつもりはなかった。
だが、万一のこともある。
絶対はない。
永遠不滅であるデウスエクスですら、生存を第一としているのは、全てはグラビティ・チェインのためである。
生存するためならば、例えどんな手段とて取る。
例え、己が目眩ましにしかならぬ手段であっても、だ。
『黄道神ゾディアック』は浮遊繭を己の最も美しきユーベルコードの輝きの背に向けて放つ。
露見せぬように。
この戦いに己が敗れようとも。人類が地球を守りきったとしても。
それでもデウスエクスが生存し続けられるように。
己が礎にならんとするように、最も美しき輝き共に。
そして、その輝きを受けて『ゆりかごの子供達』――『黄道神ゾディアック』が『ゾディアック・ドーム』で育んでいた特殊なデウスエクス新種族の子供達『ヘリオライト』たちの額に存在する紅色の長石が煌めいた――。
●ゆりかごの子供達
ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は、『黄道神ゾディアック』の放つ美しきユーベルコードの光の奥に一つの繭のようなものが浮かびながら離れていくのを、その瞳に認めていた。
「あれは……一体……?」
その繭は飛んでいく方角からして、湾岸の決戦都市へと向かっているようだった。
ナイアルテにはあれがなんなのかわからない。
だが、『黄道神ゾディアック』がこの期に及んで無意味なことをしないだろうとも思っていた。
そして、猟兵達は戦いの最中に湾岸の決戦都市から緊急連絡を受け取る。
亜麻色の髪の女性『エイル』博士からの通信だった。
「君たち、手が空いた者がいれば……こ、……――、これは、――……かわ、って……、『セラ……』が! ダメ……こ……らに来ては……!」
途切れ途切れの通信。
それが何事かが湾岸の決戦都市に起こったことを示していただろう。
不穏な空気が流れる。
ナイアルテは頷く。
どう考えてもおかしい。
「皆さん! 動ける方は、どうか湾岸の決戦都市へ急行してください! 何か、何かが起こっています!」
その言葉に駆け出す猟兵達もいただろう。
彼らが見たのは、変わり果てた湾岸の決戦都市の有り様だった。
本来ならば防衛のために配備されている決戦配備、体高5m級の鋼鉄の巨人とも言うべき、自律人型戦術兵器『セラフィム』が決戦都市を破壊しているのだ。
「『セラフィム』!? どうして!」
理由はわからない。
だが、異常な事態が決戦都市を襲っていることはわかるだろう。
「……きこえ、……聞こえるかい! 状況は最悪だ。決戦都市のサポートAI『第九号』君が『環境変異兵器』に乗っ取られた!『セラフィム』の暴走は、そのためだ! それだけじゃない……、新型決戦兵器『セラフィ・L』と『セラフィ・X』も……!」
『エイル』博士の通信が聞こえる。
そして、猟兵達は見ただろう。
暴走を続ける『セラフィム』達の奥に完全なる青き二騎の異なる自律人型戦術兵器が炎の中に立つのを。
『熾天合体。ゴー、セラフィエルクス』
響くは湾岸の決戦都市のサポートAI『第九号』の声。
その言葉を合図に二騎が一騎に合体し、その力を増幅させる。
背には浮遊する繭、『ゆりかご』。
明らかに『セラフィエルクス』は『ゆりかご』を守るような立ち位置に立っていた。
新型決戦兵器として本来ならば人類守護のために力をふるった『セラフィエルクス』は今、猟兵たちから『ゆりかご』を守る敵対者として立ちふさがる。
「……破壊するしかない! デウスエクスの手にあれがわたることは許されない! それにあの浮遊する繭は一体……!」
「わかりません。ですが、この状況を収め確保しなければならないでしょう」
ナイアルテの言葉に猟兵達は動く。
何をどうするのかは猟兵達に委ねられている。
何が正しいのか。
誰も教えてはくれない。
なら、自らで決断するしかないのだ――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『ケルベロス・ウォー』の戦争シナリオとなります。
デウスエクスによる地球侵略作戦の約半分を指揮していたデウスエクス連合軍最強の指揮官にして、十二剣神のリーダー格である『黄道神ゾディアック』は、自分たちが全滅する可能性を考慮し浮遊する繭『ゆりかご』を用意いていました。
この『ゆりかご』は最低限の『環境変異兵器』を乗せ、地球にばらまかれています。
そのため『ゆりかご』の一つが到達した湾岸の決戦都市は『環境変異兵器』によって、危険な状況に陥っています。
体高5m級の自律人型戦術兵器『セラフィム』が暴走し、新型決戦兵器であった二騎が合体して一騎へと変貌する自律人型戦術兵器『セラフィエルクス』もまた、皆さんと敵対し『ゆりかご』を守ろうとしています。
この混乱を皆さんは収めなければなりませんし、『ゆりかご』を確保しなければならないでしょう。
この『ゆりかご』の処遇は猟兵である皆さんに一任されています。
その場で破壊してもよし、人間のいない地中深くに埋めても良し。あるいは……他の選択をするも良しです。
※プレイングボーナス……変異した環境を乗り越える/『ゆりかご』に対する処遇を決める。
それでは、狙われた地球を守るために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『『ゆりかご』を確保せよ』
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POW : 環境変異兵器の破壊を試みる
SPD : 決戦都市の地形を利用し、迅速に移動する
WIZ : 何らかの手段で環境変異に耐える
イラスト:yakiNAShU
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ハル・エーヴィヒカイト
まさかこのような手段でくるゆりかごがあるとはな……
巨神キャリブルヌスに[騎乗]しての[空中戦]
UCを発動し外套型装甲の周囲に纏わせるように剣翼を展開
高速機動で翻弄しながら斬り裂く形でセラフィエルクスを無力化する
決戦都市のサポートAIが侵食されているのなら機体だけ止めてもダメだろう。
ゆりかごのどこかにそれを行った環境変異兵器があるはずだ
それを[心眼]で[見切り]停止させる
ゆりかごの中の子供はこれなしに生きていけるのかわからない
だがそれでも最初から諦めるのではなく共存の道を探るためにまずは保護したい
生まれたばかりの彼らにきっと罪はないはずだ
青い鋼鉄の巨人。
それは湾岸の決戦都市においては、守護の象徴であった。
だが今は違う。
決戦都市に配された兵器を蹂躙し、破壊をもたらし炎に揺らめくように照らされながらアイセンサーを剣呑に輝かせている。
『環境変異兵器』。
それは浮遊する繭――『ゆりかご』に搭載された最低限の自衛兵器であると言えるだろう。
だが、問題であったのは、その環境変異兵器が最低限であろうとも決戦都市のサポートAIを侵食し、甚大なる被害をもたらしている、ということだった。
「まさか、このような手段でっくる『ゆりかご』があるとはな……」
ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣聖・f40781)は、破壊の炎に包まれた決戦都市を己がキャバリア『キャリブルヌス』のコクピットから見下ろす。
青い鋼鉄の巨人……新型決戦兵器『セラフィエルクス』もまた見上げていた。
交錯する視線。
「来るか」
ハルは即座に呼応するように飛翔しながら『セラフィエルクス』の突進を躱す。
速い、とハルは『セラフィエルクス』のスペックを把握するように飛翔しながら距離を取る。
外套型装甲が翻り、空中で反転し『キャリブルヌス』が『セラフィエルクス』へと迫る。
加速すると同時に外套型装甲の周囲に剣翼が六翼出現し、すれ違いざまに斬撃を叩き込む。
火花が散って、『セラフィエルクス』が空中で体勢を整えながら斬撃の一撃を受け止める。
装甲が削れ、きしみながら『セラフィエルクス』が睨めつけるように『キャリブルヌス』へと頭部を向けた。
「ほう、受けるか。サポートAIが侵食されているのならばこそ、か。機体だけを止めても駄目だということか。であれば!」
ハルは、反転して迫る『セラフィエルクス』の五体が分離……いや、分割されるようにいくつかのパーツの塊となって『キャリブルヌス』を取り囲む。
「オールレンジ攻撃!」
放たれる光条を『キャリブルヌス』は外套型装甲で受け止める。
光が反射し、周囲に光条が迸る。
「『ゆりかご』に搭載された環境変異兵器さえ潰せれば……が、行かせてはもらえぬか」
眼前に迫る『セラフィエルクス』。
ハルの瞳には浮遊する繭『ゆりかご』が映っている。
その何処を破壊すれば良いかはわかるのだが、それでも『セラフィエルクス』は分離し、合体し、ハルと『キャリブルヌス』を追い立てる。
「『ゆりかご』の中の子供らは、これなしに生きているかわからない、か。だが」
最初から諦念にまみれてはいられない。
共存の道を探るためには、まず彼らを保護しなければならない。
「生まれたばかりの彼らにきっと罪はないはずだ
もしも、生まれたこと事態が罪だというのならば、それを背負うのが子供らよりも先に生まれた者の責務だというようにハルは『キャリブルヌス』と共に『セラフィエルクス』と激突し、戦いを繰り広げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ジークリット・ヴォルフガング
●SPD
本来は民を護りし力であろうが、その矛先が変われば脅威に…な
我々はデウスエクスに対抗する為に新たな兵器を開発し、これを以て迎撃にしようしてきた
敵も力押しでなく搦め手でこちらの兵器を奪い、乗っ取るのも想定される事態のひとつである
エイル博士にとっては足元をすくわれる痛い勉強代だろうが、どれだけ減らせるかが腕の見せ所であろう
手短に事態の収束を図るのであれば破壊するしかないが、話を聞けばサポートAIが環境変異兵器とやらの浸食を受けている
ならば、蝕む病巣を祓うまで
多くのセラフィムを引きつけ、合体及び分離の際に生じる僅かな|隙《タイミング》を見計らっての『桜花除霊斬』
あとはゆりかごを破壊するのみだ
炎の中を鋼鉄の巨人が歩む。
放たれる一撃は本来であれば地球を守るために振るわれるものであったことだろう。
だがしかし、今『ゆりかご』の環境変異兵器によって決戦都市のサポートAIが侵食され、その湾岸の決戦都市の『決戦配備』である『セラフィム』は決戦都市を破壊するために活動を開始している。
「民を護りし力……その矛先が変われば脅威に……な」
ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)は炎の中を進む『セラフィム』を見上げ、呟く。
人類はデウスエクスの脅威に対抗し、新たな兵器を開発し送り出してきた。
迎撃し、破壊され、開発し、向上する。
そうやって人類はデウスエクスに抗してきたのだ。
だが、今まさにデウスエクスは搦手でもって己たちの兵器を奪い、こうして被害を拡大させているのだ。
恐るべきことである。
「想定された事態の一つであるはずだが、『エイル』博士にとっては足元すくわれる痛い勉強代といったところか」
「構いやしない。生命に変えられはしないだろう!」
ジークリットは亜麻色の髪の女性『エイル』の言葉に頷く。
「だが、どれだけ被害を抑えられるのかは我らの腕の見せ所だ」
確かに『エイル』博士の言う通りだ。
生命には代えられない。
機械はこれても直すことができる。だが、生命が失われては、直す、というわけにはいかないのだ。
「であれば」
環境変異兵器。
それは周囲の環境を恐らくデウスエクスにとって都合良い環境に変える兵器なのだろう。
決戦都市のサポートAIが侵食され、『セラフィム』のコントロールが奪われたのは、全てそこに起因があると言っていい。
「蝕む病巣を祓うまで」
迫る鋼鉄の巨人たち。破壊の一撃がジークリットめがけて放たれる。
ジークリットは、その一撃をかわしながら『セラフィム』たちを引き付け続けた。破壊するのは一番手っ取り早い。
だが、破壊して『セラフィム』の数が減れば、ケルベロス・ウォーを終えた後……果たして、勝利を収めることができたとしても続くであろうデウスエクスとの戦いには必要なものだ。
そして、敗北を喫するのならば、なおのこと必要な存在となるだろう。
故にジークリットの瞳はユーベルコードに輝き、その輝きは彼女が手にした斬霊刀の刀身に灯される。
「桜花浄霊斬、その侵食を受けたサポートAIのプロトコルのみを切除する」
侵食されたサポートAIのコントロール。
それをジークリットは花吹雪と共に切り裂き、踏み出す。
目指すは浮遊する繭、『ゆりかご』だ。
破壊しなければならない、とジークリットは走る。だが、そこに青い巨人『セラフィエルクス』が立ちふさがる。
分離合体を繰り返す新型決戦兵器。
その実力はジークリットも知るところであっただろう。
「ならば、相手にとって不足なし」
ジークリットは分離して迫る『セラフィエルクス』のパーツを相手取り、『ゆりかご』への道を切り開くように戦うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
上野・イオナ
今の所、大切な物がこの世界に無い僕は生存競争の外側の存在だ。防衛の手伝いならまだともかく、この立場の僕がデウスエスクを殺す事に正当性を見いだせない。
それでもこの戦いに関わるのなら地球人もデウスエスクも両方できる限り保護する!
保護保護保護保護保護保護!
ゆりかごの子を保護したい気持ちをオーバー気味に全力でチェレステカリヨンに乗せてガンガン鳴らしてもらう事で『セラフィエルクス』から味方判定を貰いに行きます。
『セラフィエルクス』も地球を守るために必要な戦力なのは分かるので仲間にして壊さないように
ぬるいように見えるかもしれないけど逆に突っ切って覚悟決めないと地球を守る戦いに参戦出来ないと思ったから
ケルベロス・ウォーは生存競争だ。
互いに生存できない。
生存するためのエネルギーをデウスエクスは求めて地球を滅ぼす。地球人類は己たちが住まう地球を守るために戦う。
どちらも、ではない。
どちらか、なのだ。
そして、世界の外からやってきた猟兵にとって、戦うモチベーションというものは、どこにあっただろうか。
上野・イオナ(レインボードリーム・f03734)は、大切なものがこの世界にはない。
なら、この生存競争の外側に自分がいると理解していた。
防衛の手伝いはできる。
だが、この立場にいる己がデウスエクスを生存をかけて戦い、これを殺す正当性を見いだせない。
そもそも、だ。
永遠不滅のデウスエクスは猟兵であっても滅ぼせない。
滅ぼしうる可能性があれば、それは宿縁かグリモアエフェクトのいずれかえある。
「それでもこの戦いに関わるのなら、地球人もデウスエクスも両方できる限り保護する!」
イオナは手にしたオルゴールから音色を放つ。
「保護保護保護保護保護!」
彼の瞳に映るのは、浮遊する繭『ゆりかご』である。
その中には恐らく十二剣神『黄道神ゾディアック』が調整した新種族デウスエクスが存在しているのだろう。
気持ちが先走る。
イオナに正当性はない。
けれど、己の心に従うのなら、誰も失わせたくはないと思ったのだ。
「空を翔ける小鳥が歌うは夢の音色(チェレステカンツォーネ)」
打ち鳴らすようなオルゴールの音色。
だがしかし、その音色は環境変異兵器によってコントロールを乗っ取られた湾岸の決戦都市の決戦配備『セラフィエルクス』には届かないようだった。
もしも、人類がデウスエクスが乗っているのならば、イオナの思いも届いただろう。
だが、あれをコントロールしているのはサポートAIだ。
AIに思いは届かない。
理解はされるだろうが、届かない。
あと一歩の所でイオナの思いは届かないのだ。
「それだって地球を守るためにも必要な力だろう!」
多くを護りたいとイオナは思った。
けれど、地球とデウスエクス。
その両者の間に横たわるのは、どこまでいっても、侵略される側と侵略される側という決定的な立場の違いだけだった。
イオナは、己の思いがぬるいことを理解している。
けれど、逆に貫かねばならないとも思っていた。ぬるいと言われても、それでも突っ切っていく覚悟を決めなければ、地球を守る戦いに参じる資格すらないと思ったからだ。
吹き荒れる戦禍が環境変異兵器によって歪められた戦場に満ちていく。
「それでも! どちらも壊さない!」
そう、それがイオナの選択だった。
どちらかではない。
どちらも、なのだ。
貫けるか、その意思。そう問いかけるような世界の在りようがイオナに襲いかかり続けた――。
大成功
🔵🔵🔵
メリーナ・バクラヴァ
決戦都市の構造は、お尋ねすれば簡単にわかるでしょう?
私は可能な限り市街に隠密して、セラフィムの足元まで進みます。
……見つかります?やっぱり見つかりますよね?
でも大丈夫っ、見つかったタイミングで潔く【終幕】を発動させます!164m以内にゆりかごの環境変異兵器があればそれを破壊します。
届いていなければ影の伸縮を繰り返すことで何とか攻撃範囲内までたどり着いてみせますっ♪
…そして、ゆりかごの子の処遇ですね?
何も知らない、何もしてない幼子の命を摘み取ることは私にはできませんよ。
たとえ今戦っている相手の子だとしても、でーすね♪
…私、ディバイド側にも近頃は住居を持っているんです。
だから…
うちの子になる?
湾岸の決戦都市の有り様は、惨憺たる状況だった。
あちこちから炎が立ち上っている。破壊の跡はデウスエクスの侵略行為によるものではなく、本来この決戦都市を守る決戦配備の自律人型戦術兵器によってもたらされたものだった。
全ては、浮遊する繭……『ゆりかご』に搭載されていた環境変異兵器によるためであった。
環境変異兵器は決戦都市のコントロールを奪い、自律人型戦術兵器『セラフィム』によって、『ゆりかご』に近づく全てを排除して環境を変えようとしていたのだ。
その破壊の跡が残る決戦都市の影をメリーナ・バクラヴァ(リスタートマイロード・f41008)は走っていた。
「……しっかり暴れまわっているじゃないですか」
メリーナは息を吐き出す。
市街地の破壊の混乱にまぎれて彼女は体高5m級の鋼鉄の巨人である『セラフィム』の足元まで接近する。
当然、それだけ接近すれば、こちらは察知されてしまうだろう。。
「……見つかります? やっぱり? でもっ!」
瞬間、『セラフィム』の駆体が膝をつく。
そればかりではない。
膝をついた『セラフィム』は頭上から見えないなにかに抑え込まれるようにしてひしゃげていくのだ。
機体のフレームが耐えられなかったのか、きしみながら鋼鉄の巨人は鉄塊へと変わっていくように地面に付して、小規模な爆発を起こしながら破壊されていく。
「終幕(オシマイ)ですっ♪」
メリーナは『ゆりかご』を守るようにして動いている『セラフィム』たちを同様の手段でもって破壊していた。
この『ゆりかご』を取り巻く環境こそが、環境変異兵器によるものだった。
なら、この脅威を取り除きつつ『ゆりかご』に接近しなければならない。
どうするのが一番いいのか。
答えはない。
けれど、メリーナは思う。
あの『ゆりかご』の中にいるのは、何もしらない、何もしていない幼子たちなのだ。
「その生命を私は摘み取ることはできません。例え、今戦ってる相手の子だとしても、でーすね♪」
そうなのだ。
メリーナは『うりかご』を破壊できない。
できるのは、環境変異兵器と、その影響によって破壊を行う自律人型戦術兵器だけだ。
このケルベロス・ウォーが終わった後、『ゆりかご』の子供達がどうなるのかは、まだわからない。
「……私、ディバイド側にも近頃は住居を持っているんです。だから……」
もしも、保護された『ゆりかご』の子供達に行く宛がないというのなら、メリーナは自分が保護してもいいと思っていた。
それでどうなるわけでもないかもしれない。
何も変わらないかもしれない。
デウスエクスとの生存をかけた戦いは続くかもしれない。
けれど、もしかしたらと希望を抱くことはやめられない。
「もしも、生存のためのエネルギーを奪い合って争わなくてもいいのなら、うちの子になる?」
それは義務感だっただろうか。
それとも彼女の中にある母性だっただろうか。
いずれにせよ、このケルベロス・ウォーが終わらねば、問題は先送りだ。
けれど、メリーナは決めたのだ。
『ゆりかご』の子供たちを保護する、と――。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
皆々様と作り上げた防衛ロボのように。
セラフィムさんも創り手の願いや、護られてきたヒト達の愛着や感謝が込められてるでしょうから。
その悲しみを癒やし、壊しきらずに済むよう、原因である環境変異兵器やその影響のみを攻撃するのでっす!
それにしても。
生存のために手段を選ばない割には侵略を捨てる、ということはできないのでっすねー。
それまた手段の一つですのに。
いえ。チェイン枯渇するゾディアックさん本人が侵略するのは理屈として成り立つのでっすが。
微量のチェインで生きられるお子さん達に環境変異兵器付けてるのは逆効果では?
最低限でも環境変異とか目立ちすぎてて、ゾディアックさんの陽動台無しですし。
現にこうして騒ぎになってますし。
ステルスとかの方が良かったのではー?
永遠不滅の存在が、侵略者で在り続けたが故の、業、でっしょうかー。
でしたら、ええ。
変革を。
皆々様の生存を願った母の笑顔は、きっと皆様が生きる力となるでしょう。
でも。
生き方までも母の真似をしないでも良いのです。
保護するのでっすよー。
『セラフィム』――それは湾岸の決戦都市の決戦配備である自律人型戦術兵器である。
多くはケルベロスや猟兵たちをサポートするための兵器だ。
単体ではデウスエクスに敵うべくもない。
しかし、今その力は本来守るべき決戦都市に向けられているのだ。
全ては『ゆりかご』に搭載された環境変異兵器によるものだった。環境を変える。そう、この決戦都市のコントロールを奪い、己達を害する者を排除せんとしているのだ。
鋼鉄の巨人が、市街地を破壊する。
まるで大地を均すように建造物を破壊し続けているのだ。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は、そんな破壊の渦の中に飛び込む。
心にあるのは、グランドロンロボをと共に建造した思い出がある。
目の前に迫る『セラフィム』と重なって見えた。
あの『セラフィム』だって、この決戦都市を、人々を守るために建造されたものだろうとわかるのだ。
守られて来た人々がいる。
愛着がある。
感謝がある。
そうしたものが今、環境変異兵器によって悲しみに変わっていく。
「その原因だけを!」
藍は息を吸う。
いつだってできることは歌うことだけだ。
「心を込めて歌うのでっす! あなたに届けと歌うのでっす! 藍ちゃんくんでっすよー!」
ナンバーは、藍音Cryね(アイ・ネ・クライネ)。
届け、届けと藍は理屈も条理も超越した穏やかで優しい歌を歌い続ける。
この戦場に満ちる悲しみや恐怖、憎しみを癒やし、そして、その原因たる環境変異兵器のみを藍の歌は打ち据えるようにして響くのだ。
いつだってそうだ。
ケルベロスディバイド世界において世界は二分されている。
即ち、侵略者と被侵略者とに、だ。
どこまでいっても、デウスエクスは生存のための手段を選ばない。
そのために侵略行為は捨て去ることはできないのだ。
「それも手段の一つですのに」
だが、グラビティ・チェイン枯渇するデウスエクスにとって、それは生存のための正当なる行為なのだ。
理屈としては理解している。
けれど。
「子供たちを守るためとは言え、これはやりすぎなのでっす。むしろ、逆効果じゃないでっすかー?」
藍は思う。
もしも、『ゆりかご』のデウスエクス新種族の幼子たちが少量のグラビティ・チェインであっても生きていけるのなら、もしかしたら人類と共存もできるかもしれない。
「あれだけ派手に陽動しておいて、環境変異兵器で周囲の環境を還れば、ここになにかあるぞって言っているようなものなのでっす。現にこうして騒ぎになっていますし」
ただ雲隠れするだけでよかったのではないか。
いや、もしかしたら。
人類の防衛本能に刺激されたのかもしれない。
異物を排除せよという人類の総意に、環境変異兵器が呼応し、排除されぬようにと攻撃的な行動にでてしまったのかも知れない。
「全部、かもしれないでっすがー。これが永遠不滅の存在が侵略者であり続けたがゆえの、業、でっしょうかー。でしたら、ええ」
ここからは己の役目だ。
己ができることは歌うことだけ。
けれど、歌はただ歌のままなのか。違う。
「変革を。皆々様の生存を願った母の笑顔は、きっと皆様が生きる力となるでしょう。でも」
藍は『ゆりかご』の幼子たちに向けて歌う。
母から生まれたからといって、母のように生きねばならぬという道理などない。
「皆様は自由なのでっす。生き方までも母の真似をしないのでっす。皆様が思うままに生きられるように」
保護するのだ、と藍は歌声と共に『ゆりかご』へと手を延ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
『セラフィム』、『第九号』……そう、あなた達は幼い命を守っているのね
操られているとしても、立ちはだかるその姿は、守護者のよう
……その子達はオブリビオンではない
未来を持った、可能性に満ちた子供達
だから――私には、彼らを殺すなんてできない
『天人結界』で宙を飛び、攻撃を躱しながら身を守りつつ、静かに彼らへと近づく
こちらからは攻撃しない。ただ、手を差し伸べるだけ
その手が、届くかどうかはわからない。けれど――
もし『ゆりかご』を確保できたなら、そのまま結界の内に包み込むように守るわ
私は、子供を保護することを選ぶ
この手に抱きしめた命の、かけがえのない尊さを……私はもう、知っているから
本来とは真逆。
環境変異兵器によってコントロールを奪われた決戦配備の自律人型戦術兵器『セラフィム』。
地均しするように街を破壊するのは、浮遊する繭『ゆりかご』を守るためだった。
その姿を認め、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は頷いた。
自分でもそうしたかもしれないと思ったからだ。
「『セラフィム』、『第九号』……そう、あなた達は幼い生命を守っているのね」
その姿は例え、コントロールを奪われても尚守護者としてのあり方を代えないようだった。
少量のグラビティ・チェインによって生存できるように調整されたデウスエクス新種族。
今はまだ幼い彼らを守るのは『ゆりかご』と『セラフィム』たちであった。
デウスエクスはオブリビオンではない。
「その子達は未来を持った、可能性に満ちている。だから――私には、彼らを殺すことなんてできない」
そう、幼い生命は静漓にとって可能性だった。
どんなものにもなりえる。
自らが思うままになれるし、自らが予想しないものにだってなり得るだろう。
そんな可能性を護りたいと静漓は思ったのだ。
ユーベルコードに輝く瞳が戦場に残光として刻まれ、静漓は迫る『セラフィム』を障壁結界で押しのけるようにして弾き飛ばす。
「害意はないわ。だから」
そう告げる静漓。
けれど、『セラフィム』は彼女を敵対者として排除しようとする。
静かに飛ぶ彼女にいくつかの『セラフィム』が迫る。
四方を囲まれた静漓。
放たれる攻撃を障壁結界で受け止めながら静漓は、『ゆりかご』に手を向ける。
それは差し伸べるような所作だった。
「この手が届くかどうかはわからない。けれど……」
けれど、そう。
静漓は思う。自らの心に従うのだ。自分はどうしたいのか。どうするべきなのかではない。何を望んでいるのか。
それを言葉にすることも、行動にすることも、己はできるのだ。
だからこそ、静漓は己を待っていた障壁結界を『ゆりかご』へとまとわせる。
護らなければと思った心が叫んでいるのだ。
幼い生命までも、このケルベロス・ウォーの犠牲にしてはならない。
「私は、あの子達を守ることを選ぶ」
なぜなら、と静漓は静かに迫る『セラフィム』たちを障壁で再び受け止める。
力の奔流が迸る。
腕が痛む。
それでも。
「この手に抱きしめた生命の、かけがえのない尊さを……私はもう、知っているから」
だからもう二度と失わない。
見失わない。
己が見た光は、今も灯されている――。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
隣人の貴重品を破壊する
隣人の|貴重品《都市》を破壊する
隣人の|貴重品《ゆりかご》を破壊する
隣人の|貴重品《命》を破壊する
隣人を…潰す!
全身をドット絵に変換!なんかいるキャバリア?共にハラスメントをかましていくでござるよ
都市なら大体あちこちに隙間があるでござるからな、隙間に潜り込んで背後に回って打撃!銃撃!爆撃!叩かれる前に再度隙間に潜り込んで離脱ですぞ
攪乱に攪乱を重ねていけ!まともに戦ってもらえると思うなよ!
ちまちまダメージを与えつつ隙を見てゆりかごにタッチダウンだ!こう近づけば攻撃は無理だな!
あれそういえばこのゆりかごのヘリオライトってヘリオンになる貴重なヤツだったような…?
まあいっか壊そ
破壊する。
それだけのことだった。
「隣人を……潰す!」
エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は己が体躯を奇妙なドット絵に変換させていた。
何故そんなことをしたのか、まるでわからない。
わからないが、しかしエドゥアルトの姿はカクカクしていた。
手足は棒のように角ばっていたし、表情も全てが四角形で構成されていて、どうにも読みづらい。
しかし、彼が呟く言葉の端々から理解できることがあった。
破壊である。
そう、破壊。
世界には多くの貴重品が満ち溢れている。
だが、同時に誰かの大切なものは、誰かにとっては無価値であるところも理解すべきであろう。
故に隣人の貴重品を破壊する。
それは都市であったり、『ゆりかご』であったり生命だったりするだろう。
「というわけで、隣人の貴重品を破壊するでござる!」
全身ドット絵になったエドゥアルトは容易く決戦都市の市街地のビルとビルとの間に飛び込んで、するりと鋼鉄の巨人に近づく。
この決戦都市の決戦配備、自律人型戦術兵器『セラフィム』。
「な~んか、キャバリアみたいな、キャバリアもどきみたいな、キャバリアじゃねーかこれ! って感じの連中にハラスメントをかましてくでござるよ!」
何ハラ?
簡単である。
ドット絵であるということは平べったいということ。
正面からみれば、なんか落書きみたいなエドゥアルトであるが、横から見たら、縦棒一本である。
スニーキングはお手の物。
背後からこっそり忍び寄って、アンブッシュ。
「おっらぁ! 打撃! 銃撃! 爆撃! 叩かれる前にひらりと隙間にイン! してからの脱出ですぞ! 飛び出してけ、撹乱に撹乱を重ねていく、なんかこうプラズマティック!」
ちまちまとエドゥアルトは『セラフィム』たちにダメージを与えつつ、混乱を引き出して『ゆりかご』に迫る。
他の猟兵達によって張り巡らされた結界が、タッチダウンを阻む。
「むっ! 結界!」
エドゥアルトは他の猟兵の張った結界に阻まれて歯噛みする。タッチダウンしそこねた!
が、背後を振り返る。
迫っていたのは青い鋼鉄の巨人『セラフィエルクス』であったが、こちらを攻撃して来ない。
「なるほどですぞ、こうも近づけば攻撃は無理だな!」
それフラグってやつである。
『セラフィエルクス』の五体が細かく分離し、エドゥアルトを四方八方から攻撃してくるのだ。
やっぱりフラグって奴じゃねーか。
光条の爆発に煽られながらエドゥアルトは『ゆりかご』の中に見える幼子たちを認める。
額に紅い鉱石を持つ子供ら。
『ヘリオライト』。
なんか貴重ぽそう。
けれど、貴重だから壊さす、エドゥアルトはそう決めていたのだ。だが、迫る爆風に刻の涙を見る――。
大成功
🔵🔵🔵
クゥ・ラファール
あの暴走兵器は破壊して良い、と。
了解。クゥが片付ける。
Rafaleで出撃。
【推力移動】で【空中機動】、敵を頭上からLooSterの【一斉発射】で仕留めていく。
その前に気付くなら、実弾モードのDualFaceでの射撃とEliminatorでの【切断】で対応。
頭上からの攻撃は、敵の意識を空に向けさせ地上の破壊を抑制しつつ、地上戦力に立て直しや反撃の余力を与える為。
セラフィエルクス等、強敵に対しては暴威の統制を発動。
DualFaceで爆発弾を撃ち込み、行動を封じ込め仕留めよう。
後は環境兵器の破壊。
ゆりかごも破壊のつもりだけど、隔離や保護を望む人が居るなら其方優先で。
クゥには如何こう言う資格は無いし。
「『セラフィム』の暴走がまだ続いている……あれが環境変異兵器……! 致し方ないことだ!『セラフィム』を破壊してくれ!」
亜麻色の髪の女性『エイル』博士の言葉にクゥ・ラファール(Arrow Head・f36376)は静かに頷いた。
「あの暴走兵器は破壊して良い、と。了解。クゥが片付ける」
彼女は己のキャバリアと共に戦場に飛び出す。
この湾岸の決戦都市の決戦配備である自律人型戦術兵器『セラフィム』は体高からしてキャバリアと同一に思えた。
同じ人型戦術兵器同士であるというのならば、体高差のアドバンテージはすでに埋めれれていた。
そして、ここはクロムキャバリアではない。
飛翔するのに制限がないのならば、クゥの駆るキャバリアは枷から解き放たれたように一気に飛び出し、キャバリアライフルとミサイルランチャーによる火器の一斉解放による斉射でもって『セラフィム』を追い込む。
爆風に煽られながら『セラフィム』が後退する。
だが、その後退の隙をクゥは見逃さなかった。
「遅い」
それは戦場を支配するような動きだった。
ふるったレーザーブレードがほとばしり、『セラフィム』の胴を両断する。
自律人型兵器であるからこそ、容赦なく破壊することができる。
地上の破壊を抑制するためには、速攻が肝要であった。しかし、そんなクゥに迫ったのは青い鋼鉄の巨人だった。
「あれが、新型決戦兵器」
『セラフィエルクス』。
青い『セラフィム』とも言うべき機体の体高は他の『セラフィム』よりも大きかった。二騎が一騎に合体した姿である『セラフィエルクス』であればこそだろう。
明らかに他の『セラフィム』とは異なるとクゥは理解しただろう。
「何もさせない、やらせない。無力のままに、死に絶えるがいいさ」
クゥの瞳がユーベルコードに輝き、戦場内の全事象が流れ込んでくる。
超感覚網。
それがクゥのユーベルコードだった。
汎ゆる事象を処理する脳がなければ、情報の濁流で神経が焼き切られることだろう。
「『ゆりかご』の破壊……は、無理だね」
それに、とクゥは理解していた。
あれを護りたい、『ゆりかご』内にいるであろう幼子を護りたいと願う猟兵もいることを。
「クゥには如何こう言う資格は無いし」
なら、と今は対峙する『セラフィエルクス』を押し留めなければならない。
放つ爆発弾の生み出した爆発の中から『セラフィエルクス』が飛び出してくる。速い。そして攻撃が重たい。
クゥはそれを理解し、戦場を疾駆する。
飛翔し、三次元的な動きで持って『セラフィエルクス』を『ゆりかご』から引き離すように動き、他の猟兵たちの選択に任せるように戦いを繰り広げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
エリー・マイヤー
決戦配備には何度もお世話になりましたが…
まさかそれが敵に回るとは。
まったく、効果的すぎてイヤになりますね。
さて、ボヤキは程々にしてお仕事です。
念動力で敵の攻撃を逸らしつつ、【凍結能力】で機体を冷却。
凍結させて身動きを封じます。
まぁ、金属は冷やしても凍りはしないですが…
グリスが凝固し、間接に霜が降りては、まともに動けないでしょう。
動力源が熱を媒介にして発電してるなら、そちらも止められます。
ついでに施設の消火もできて、一石二鳥です。
難点は、私がちょっと寒いことですね。
ゆりかごは、できれば確保したいところです。
機械のない場所か、安全な機械で囲まれた場所か。
丁度いい土地がないか、長官に相談しましょう。
まさか、という思いがあった。
決戦配備。
それはケルベロスディバイド世界において猟兵やケルベロスの味方するものであった。
しかし、湾岸の決戦都市を今襲っているのは、他ならぬ決戦配備である自律人型戦術兵器『セラフィム』であった。
鋼鉄の巨人はまるで周囲の市街地を地均しするように破壊行動を取っている。
何故、と戸惑うだろう。
だが、エリー・マイヤー(被造物・f29376)は理解していた。
あれが『ゆりかご』に搭載された環境変異兵器なのだ、と。
この決戦都市のコントロールを奪い、『ゆりかご』を守るために周囲にある敵対者の設備を破壊しようとしているのだろう。
「敵に回ると、これほど厄介とは。環境変異兵器……まったく、効果的すぎてイヤになりますね」
ぼやく。
が、仕事はしなければならない。喫緊の課題というやつである。
であればと、エリーは己に迫る『セラフィム』の砲撃を念動力で逸らす。
これがもし、デウスエクスであれば難しかっただろうが、自律人型戦術兵器である『セラフィム』の攻撃であれば容易い。
性能差というものがあるのだろう。
「完膚なきまでに破壊するまでもありませんね」
エリーは己の念動力でもって大気中の水分を集め『セラフィム』の関節フレームを凍結させ、動きを止める。
「まともに動けないでしょう。環境変異兵器を如何にかするまで、止まっていてください」
エリーは、 凍結能力(クライオキネシス)を持ち得る猟兵である。
サイキックの冷気は戦場を支配するように、次々と『セラフィム』の関節を凍りつかせて動きを止め続ける。
「これで施設内の消火もできて、一石二鳥です。難点は、私がちょっと寒いことですね」
周囲の気温が下がっている。
寒いな、とエリーは肩を抱いて擦る。
「まだだ、『セラフィエルクス』が来る!」
通信が入る。
亜麻色の髪の女性『エイル博士』だろうとエリーは思った次の瞬間、エリーの頭上から迫るのは青い鋼鉄の巨人『セラフィエルクス』であった。
エリーのサイキックの冷気を吹き飛ばしながら飛来して一撃を叩き込んだのだ。
しかし、エリーはサイキックで『セラフィエルクス』の一撃を受け止めていた。
鋼鉄の拳。
その一撃は彼女のサイキックで震えるようにして、それ以上振り下ろされることはなかった。
「この状況でも動ける機体……さすがは新型決戦兵器、というところでしょうか」
エリーはサイキックで『セラフィエルクス』を弾き飛ばす。
「『ゆりかご』を確保しなければ」
エリーは、『ゆりかご』を破壊しようとは考えてはいなかった。
環境変異兵器さえ潰せれば、角法する場所は選ばないだろう。それに、あの中には幼子たちがいる。
彼らを保護するという観点からも『ゆりかご』は保護すべきだと思ったのだろう。
「それは長官にちょうどよい土地がないか祖横断しなければなりませんね」
ともあれ、今は、とエリーは立ち上がる青い鋼鉄の巨人を見上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・ラーズグリーズ
【POW】
博士はまた何かフラグ建てたんですか……!?
あーもう!ノエル・ラーズグリーズ、『白銀』……出ます!
こういう時狙うべきは大元の汚染源、それにまだ戦いが続く以上、下手にセラフィムを破壊すれば余計な出費と戦力減に悩むことになる…!
『スプリガン』に白銀を護衛させ、『バンシー』が立体映像と音響効果で挑発をし、『ヴェーラ』複数機のUCをおまけにつけてこっちでセラフィムタイプの足止めを!
その間に『ブラックドッグ』と『デュラハン』を迂回・突破させての環境変異兵器とかいうやつの破壊を試みます!
……中身は……えーと、とりあえず方針としては確保しておく!
一応は隔離寄り、中身の様子次第で保護に切り替えで!
ノエル・ラーズグリーズ(楽園の追放者・f40853)は毒づいていた。
炎あがる湾岸の決戦都市。
この状況を見れば、毒づきたくなる気持ちもわからないでもない。
魔導装甲車両『白銀』の中で、ノエルはアクセルを全開にして戦場に急行する。
「あの博士はまた何かフラグを建てたんですかね……!?」
亜麻色の髪の女性『エイル博士』。
彼女はこれまで多くのフラグを建てていた。いや、ノエルにはそう思えてならなかった。
全てはデウスエクスの侵略行為のせいではあるのだが、彼女自身が何かこう、敗北フラグのようなものを乱立しているようにしか思えてならなかったのだ。
それはこれまでの結果を受けてのことだ。
日頃の行いとも言えただろう。
そういう意味ではノエルは『エイル』博士のやることなすことが、全部悪い目を引き当てることに対して確信を得ているようだった。
彼女の前を塞ぐように『セラフィム』が無数に立ちふさがる。
デウスエクスに敵うべくもない性能であるが、こうも数が多いのであれば手間取るかもしれない。
厄介なことである。
「あーもう! ノエル・ラーズグリーズ、『白銀』……いきます!」
こういう時、狙うべきなのは大本の汚染源である。
ならば、環境変異兵器こそが狙い目なのだ。
しかも、下手に立ちふさがる『セラフィム』を破壊すれば、余計な出費と戦力減に悩むことになるだろう。
なにせ、まだケルベロス・ウォーは終わりを迎えていないのだ。
戦後のことを気に掛ける余裕すらない総力戦であるが、しかし、後々を見据えないのなら、それは愚か者のやることだ。
「『スプリガン』、『バンシー』!」
ノエルは鋼鉄の巨人のような機械妖精と、黒い機械妖精を『白銀』の周囲に展開し『セラフィム』を撹乱する。
開かれた道を一気に『白銀』が駆け抜ける。
「『セラフィム』タイプの足止めは……っ、後は!」
来る、とノエルは見上げた。
その先にあったのは飛翔する青い鋼鉄の巨人『セラフィエルクス』であった。
二騎が合体して一騎になる新型決戦兵器。
本来は、ケルベロスや猟兵をサポートするための機体である。
分離してユーベルコードを強化する力を持っているのだ。だが、今は環境変異兵器によってコントロールを奪われて、己たちの前にたち塞がてチルのだ。
「あくまで立ちふさがるというのなら!」
ノエルの瞳がユーベルコードに輝く。
「タイプ“ヴェーラ”発進!……これより凍結魔導機銃による制圧射撃を開始します!」
航空機のような機械妖精が『白銀』より射出され、凍結機銃によって『セラフィエルクス』の動きを止める。
機体の装甲にこびりつくような氷結に『セラフィエルクス』は機体の姿勢を崩して、大地に沈む。
「環境変異兵器とかいうのは!」
どこだ、とノエルは『ゆりかご』を見やる。
中身……即ち、デウスエクス新種族の幼子たちを、どうするのかはノエルはまだ決めかねていた。
悩む。
どうするのが正しいのか。
「とりあえず、確保で! 後のことは、後で考える! まずは隔離して、様子見して、保護に切り替えていくしかないでしょ!」
ノエルは決断する。
その背後で凍結を無理矢理にこじ開けるようにして解除した『セラフィエルクス』が迫る。
「しつこいですね!」
ノエルは、さらに追いすがるような『セラフィエルクス』の攻勢を躱しながら、『ゆりかご』の確保に動くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
悪霊にしてダンピール、そして咎人殺し
生まれながらの闇の眷属である私に慈悲などありません
……無差別殺人者であるわけでもありませんが
まずはあれをどうにかしてからですね
暴走した兵器どもが起こした災禍の影が地上に揺らめいているはず
闇に紛れ結界でセンサーを誤魔化しつつ接近
アイテム「劫夢呪鏖鏈」を範囲攻撃
相手の|魂《AI》をハックして作動を停止させましょう
降り注ぎなさい鮮血の雨よ
セラフィエルクスの攻撃を弾き装甲を溶解させるのです
とどめは私自身のこの牙
これがゆりかごですか…
私に慈悲はありませんが
我がしもべとなるのならそれも一興
「鋼は魂に口づける」で赤子の魂を内側から縛り
吸血による口づけで支配を試みます
生まれながらの闇の眷属。
それが己であると、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は炎立ち上る戦禍に包まれた湾岸の決戦都市に降り立つ。
悪霊にしてダンピール、そして咎人殺し。
それは己に慈悲がないことをあり方で示すようであった。
しかし、無差別殺人者であるとも言わない。
生命を奪う相手は選ぶのだ。
「とは言え、まずはあれをどうにかしてからですね」
彼女の視線の先にあるのは鋼鉄の巨人たち。
この湾岸の決戦都市の決戦配備であるという自律人型戦術兵器『セラフィム』。
本来はこの都市を守るための要であろう。
しかし今は、『ゆりかご』の環境変異兵器によってコントロールを奪われ、地均しのように周囲の街を破壊しているのだ。
暴走した兵器。
これほど災禍を撒き散らすものもないだろう。
「災禍の影が揺らめいていますね」
その影の中を飛ぶようにして彼女は『セラフィム』に接近し、劫夢呪鏖鏈――始まりの猟兵の武器である吸血グローブによる一撃で『セラフィム』の装甲を撃ち抜く。
自律人型戦術兵器であるということは、内部にコントロールしている部位があるはずだ。
これを彼女は掌握し、握りつぶす。
機体のアイセンサーから光が消失し、鋼鉄の巨人は力を喪ったように、その場にうなだれるばかりだった。
しかし、その頭上に迫る影があった。
青い鋼鉄の巨人『セラフィエルクス』。他の『セラフィム』よりも僅かに大きな体躯が、拳を振りかぶり魅夜へと叩きつけたのだ。
その一撃を彼女は吸血グローブの一撃で受け止める。
火花が散り、互いの体が弾かれる。
だが、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
「降り注ぎなさい、鮮血の雨よ。世界の傷よ血を流せ、狂える運命に報いを与えよ」
それは時空間ごと溶かす血の雨。
浴びせられる鮮血に青い装甲が染まっていく。
さらに放たれた鎖が駆体を縛り上げ、魅夜は存在を破壊する牙でもって『セラフィエルクス』へと突き立てる。
装甲が砕け、フレームがむき出しになる。
それでも抵抗するように振り抜かれた拳を魅夜は弾き返し、『ゆりかご』の上に立つ。
「これが『ゆりかご』ですか……」
己に慈悲はない。
だが、デウスエクス新種族が己のしもべになるというのならば、それも一興というものである。
魂を縛れば、他のデウスエクスのように人類への脅威へとなりえないかもしれない。
その支配を試みんとした魅夜へと叩き込まれたのは、『セラフィエルクス』の一撃だった。
装甲を砕かれながらも、アイセンサーが煌めいている。
振り返り、魅夜は受け止めた拳を弾く。
「まずは、鋼鉄の巨人、あなたからですね」
魅夜は、そう告げ『セラフィエルクス』の脅威を振り払わんとするのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
!?
なん……だと……。
ステラさんが叫ばない!?
『エイル』さんがぴんちっぽいという、|大変な《おいしい》状況なのに!?
どうしたんですかステラさん!
食べ過ぎですか!?寝不足ですか!?昨日のご飯美味しくなかったですか!?
って、え?わたしも!?
演奏してもいい!?演奏許可!?ステラさんが!?
どうしちゃったんですか!シリアスにやられましたか!?
練乳まだ少し残ってるのでよければ……。
あっ。はい。ちゃんとします。ちゃんとやります。
それにしてもこの機に乗じないのがステラさんの真面目なところですよね。
乙女の正々堂々のためにも、ここは凌ぎますよ!
かもん、【ソナーレ】!あーんど!【カンパネラー】!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!
って言ってる場合じゃない!
ルクス様、『叫ばなかった!?』とか驚愕しているルクス様?
ヘリオライト……確かケルベロスブレイドの……
新しい世界を作る光、ですか
ですが、まずは!
ケルーベイム!
ルクス様!セラフィムを止めますよ!
私はセラフィエルクスを相手取ります
ルクス様はセラフィムを!
演奏!しても!いいから!
第九号様!
何をやっているのですか貴方様は!
|エイル《エイル博士》の想いを叶えるのが貴方様の役割でしょう!?
こんな事をエイル博士が望んでいるとでも!?
そんなに簡単に乗っ取られて!
と挑発したところで【ヘレヴ】!
目を覚ましなさい! コール! プロメテウスバーン!
「|『エイル』様《主人様》の! って言ってる場合じゃない!」
「!? なん……だと……」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)が叫ぶのを自らキャンセルしたのを認めて、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思わず瞠目していた。
叫ぶことこそメイドの存在意義みたいなところまで浸透してきたこのタイミングでまさかの自らキャンセル。
遮られてキャンセルされるでもなく、自発的に?
まさか、メイドにそんなことができたのかと思うのも無理なからぬことであった。
なにせ、現状を鑑みれば『エイル』博士のピンチなのだ。
むしろ、この状況こそステラからすれば|大変な《おいしい》状況のはずなのに、だ。
「どうしたんですかステラさん!」
がし、とルクスはステラの肩を掴んだ。
絶対おかしい。
何かがおかしい。
何がどうおかしいか言えないけれど、なんかやっぱりおかしい!
「食べ過ぎですか!? 寝不足ですか!? もしかして昨日のご飯美味しくなかったですか!?」
「ルクス様?」
「それともそれとも、もう叫ぶのやめたんですか!? アイデンティティクライシスですか?!」
「ルクス様? 落ち着いてくださいまし」
今、それどころじゃないと示すように鋼鉄の巨人『セラフィム』が迫ってきているのだ。
「私は『セラフィエルクス』を相手取ります。ルクス様は『セラフィム』を!」
そう言ってステラはルクスを突き飛ばすようにして迫る『セラフィム』へと向かわせるのだ。
「って、え? わたしも!?」
「演奏! しても! いいから!」
「演奏しても良い!? 演奏許可!? ステラさんが!?」
いや、結構許可してるシーンあったよ。
けれど、ルクスからすればこんなにスムーズに演奏許可、しょーにん! みたいな感じでやっつけな具合にやられるとは思ってもいなかったのだ。
「どうしちゃったんですか! シリアスにやられちゃいましたか!? 練乳少し残っているのでよければ……」
「ご遠慮いたします! いいから、『セラフィム』抑えてください!」
「あっ。はい。ちゃんとします。ちゃんとやります」
ルクスは『ソナーレ』と共に『セラフィム』を抑え込むように、増幅されたLa Campanella(ラ・カンパネラ)の一撃を『セラフィム』に叩き込む。
「ま、この機に乗じてってことをしないステラさんの真面目さ。乙女の正々堂々のためにも、ここは凌ぎますよ!」
ルクスは大張り切りである。
で、結局演奏は? しないのであろうか?
やっていることは物理でぶっ叩くことである。破壊される『セラフィム』のひしゃげる音こそが旋律なのか? どちらにせよ、破壊の旋律であることには変わりはなかった。
「『第九号』様! 何をやっているのですか、貴方様は!」
『セラフィエルクス、敵の排除を』
響くは、サポートAIの音声。
そこに人格を見出しているのは、ステラたちの観点であった。
だが、『第九号』と呼ばれたサポートAIは、ただ只管に環境変異兵器によって奪われたコントロールのままに『セラフィエルクス』の内部にあってステラの『ケルーベイム』と対峙していた。
「|『エイル』《エイル博士》の想いを叶えるのが貴方様の役割でしょう!? こんなことを『エイル』博士が望んでいるとでも!?」
『私の役割、役割は、守ること。守護すること。守るここここここ、と。守る守る守る守護、守護、守護、しゅご』
音声が異常を示すように、割れるように響き渡る。
「そんな簡単に乗っ取られて!」
スラスターの突撃で『ケルーベイム』が走る。
青い鋼鉄の巨人が分離する。
無数に宙に浮かぶ駆体のパーツ。それが円を描きながら、『ケルーベイム』の装甲を打ち据える。
内蔵兵器の解放が間に合わない。
「くっ……! ですが!」
分離したとなれば、此方にとどめを刺すために合体するはずだ。
その隙を見逃さない。
ステラの瞳がユーベルコードに輝く。
『熾天合体、ゴーセラフィエルクス。コード』
「目を覚ましなさい! コール!」
互いの視線が交錯するように光が満ちる。
胸部砲口が開放される互いの熱線兵器。
『プロメテウスバーン』
その炸裂する光は互いの中央で激突し、膨大な熱エネルギーを生み出す。
光が周囲を包み込み、晴れた瞬間『ケルーベイム』は『セラフィエルクス』をロストしていた。
「……ッ!『第九号』様! どこに!」
センサーに『セラフィエルクス』の反応はない。
どこに、とステラは目を見開く。
だが、どこにも。
何処にも『セラフィエルクス』の姿はなかった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カシム・ディーン
竜眼号搭乗
…ちっ…セラフィムの奴…裏切ったとか
「多分ゆりかごとかの影響じゃないかな☆」
って事は壊すのも厳しいか…
「ご主人サマー☆ゆりかごの処遇とセラフィム君をどうにかするなら…もうあれだよね♥」
うっがぁぁ!
【情報収集・視力・戦闘知識】
セラフィムと動きと状況
ゆりかごの位置も捕捉
【念動力・属性攻撃・弾幕・集団戦術】
10師団
竜眼号護衛
残り半分
セラフィムに襲いかかり念動光弾を叩き込みつつ動きを止め凍結弾を撃ち込んで動きを阻む
基本数の暴力だが可能な限り傷つけない
残り
ゆりかごの捜索と共に強奪!
選択
この僕がお持ち帰りする!その後は誰もこれない絶海の孤島に残すか決める
その間は竜眼号で確保だこらぁ!!
「ちっ……裏切りか、これは?」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は戦場となった湾岸の決戦都市の有り様を見て舌打ちした。
破壊の跡。
これをなしたのはデウスエクスではなく、この湾岸の決戦都市の決戦配備である自律人型戦術兵器『セラフィム』であった。
鋼鉄の巨人が地均しのように建造物を破壊しているのだ。
それは一見すれば、人類側からの造反を想起させるものであったことだろう。
だが、そうではない。
これは浮遊する繭『ゆりかご』に搭載された環境変異兵器による影響だったのだ。
コントロールを奪われた『セラフィム』たちは、環境を変えるために『ゆりかご』の周囲を破壊しているのだ。
『これって、ゆりかごの影響じゃないかな☆』
「ってことは、壊すのも厳しいか…・・・」
『ご主人サマー☆ ゆりかごの処遇とセラフィム君をどうにかするなら……もうあれだよね❤』
「うっがぁぁ!!」
いやだ、とカシムは喚いた。
喚いたが言っている場合ではないのだ。
「ああ、くそ! どうにかしろ! やるのは、わかってるな! ゆりかごの探索と強奪だ!」
対軍撃滅機構『戦争と死の神』(メルシーハルノヨウジョマツリ)によって飛び出すのは幼女メルシー軍団であった。
「ひゃっはー☆」
彼女たちが次々と『セラフィム』に襲いかかる。
それは蹂躙劇であったことだろう。
数の暴力。
まさにそういうほかないほどであった。
「できるだけ傷を付けないで無力化すんだぞ! で、そのゆりかごってのはどこだ!」
周囲にあった脅威、最大とも言える脅威だった『セラフィエルクス』の反応が消えていた。
一体何処に、とカシムは思っただろう。
だが、あれは新型決戦兵器である。
厄介そのものだ。
けれど、敵にコントロールされているのならば、なおのこと。捨て置けない。
「あれは何処行ったんだよ」
『わっかんない☆』
なんか消えちゃったね、とメルシーの言葉にカシムは頭をかきむしる。
どのみち、あの『ゆりかご』は確保しなければならない。
処遇が猟兵に一任されているというのならば、ひとまずは確保だ。そうするしかない。
「ともかく、ゆりかごの確保だ! いくぞ、メルシー!」
『あいさー☆』
カシムは『セラフィム』たちを退け、『ゆりかご』に迫る。
『ゆりかご』の中にいるデウスエクス新種族の幼子たち。
彼らの未来がどうなるかはまだわからない。わからないが、しかし、無為に奪うこともないだろう。
敵対者であるデウスエクスであるが、しかし、もしかしたのならば、人類とデウスエクスとの間にかけられる架け橋になれるかもしれない。
可能性としては低いだろう。
けれど、もしかしたらと思うのならば、手を伸ばさずにはいられないのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
んもー博士ー
だからボクはあれほど言ったのに全然聞かないから―!
何って…?常々ロボットには自爆装置は必須って言ってるでしょー
てのは1割くらい冗談として!
●無いものは(UC『神知』使用)
[|叡智の球《スマートボール》]くんたちの出番だよ!
彼らを介しロボットくんの制御をさらに上書き【ハッキング】!
どこをいじれるかは【第六感】が教えてくれる!
それでエンジンにどんどん【エネルギー充填】!オーバーロード!
ドッカーーーンッ!!
●繭
あーダメだよ[餓鬼球]くんたち、これは今日のおやつじゃないからー
生存のためかー
つまるところもう一歩進めて、彼らが不死(仮)でなくなくなればいいんじゃない?
んもー、とロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は湾岸の決戦都市の有り様を見て、ほら見たことか、と言わんばかりであった。
「だから、ボクはあれほど言ったのに全然聞かないからー!」
何が、と思っただろう。
いや、あれである。
あれ、とは?
「自爆装置だよ! 常々ロボットには自爆装置は必須だってボクは言っていたよー! 一割くらいの冗談として!」
ちょっとしたユーモラスなギャグのつもりだったけれど、今まさに必要とされる状況になったじゃん! とロニは、『ゆりかご』の環境変異兵器によってコントロールを奪われ、決戦都市の街並みを地均しのように破壊する『セラフィム』を指さした。
こういう状況に陥った時に、敵に利することないように自爆させられたのならば、話は速かったはずなのだ。
だが、そうはならなかった。
何故なら、自爆装置があったとしてもコントロールを奪われた時点で、自爆など許されないであろうからだ。
「ま、ないものは仕方ないよね! こういう時は彼らの出番さ!」
ロニが掲げるのは、球体。
その球体は、ユーベルコードの光を発露し、『セラフィム』のコントロールを奪っている環境変異兵器の影響を上書きしていくのだ。
ハッキング、というのが正しいだろうか。
無論、ロニにそうした知識はない。
だが、神知(ゴッドノウズ)はある。
なんとなく、そうなんとなく。プログラムが地図のようなものであるのならば、あっちかな? こっちかな? と直感一つでプログラムを書き換えていくのだ。
「うん、これっぽいよね! あとはこっちをこうして、あっちをあーして、これで、こうして、あれがそれ!」
はい、ぽちっとな、とロニはハッキングした『セラフィム』の炉を過剰に稼働させ、エネルギーを充填させていくのだ。
それは溜め込めるエネルギーの限界値を超えたものであったし、許容量を確実にオーバーするものであった。
「これでドッカ――ンッ!!」
その言葉と共に蓄えられたエネルギーを抑えきれなくなった『セラフィム』が内部から自壊するように破壊され、飛び散る。
破片が散る中、ロニは頷く。
「あーダメだよ。これは今日のおやつじゃないからー」
ロニは『ゆりかご』に張り巡らされた結界をかじる餓鬼球たちをたしなめながら近づく。
この中にはデウスエクスの新種族がいるらしい。
生存にグラビティ・チェインは少量で済む、ということであるが、もう一歩進めれば人類と共存できるのかもしれないと思うのだ。
そう、例えば。
「彼らが不死でなくなればいいんじゃない?」
それが正しいのかはまだわからない。
けれど、可能性としてあるのならば、ロニはそれもまた選択肢の中の一つだと言うように結界に包まれた『ゆりかご』をみあげるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風
陰海月、落ち込んでて影でじっとしてるんですよねー…。
だから、環境変異兵器だけを攻撃するように。
霹靂に騎乗し、どのような場所であれ対応するように。そして、環境変異兵器に向けて、UCつきの漆黒風を投擲していきましょう。
『ゆりかご』は…確保後にDIVEDに預けるのも一考では。
教育が届けば、共存の道にいけそうな。
※
霹靂「クエッ」
友達が落ち込んでた…。
だからというわけでもないけれど、おじーちゃん乗せて飛ぶ!攻撃は見切って避ける!
現実とはままならないものだ。
だから理想を夢見る。
理想の中でなら、現実とは違うことができる。
けれど、それでも生命は現実を生きている。理想の中ばかりで生きていけないと知ったのならば、踏み出すしかないのだ。
「……」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、己の影の中で落ち込んでじっとしている『陰海月』を見やる。
「クエ」
『霹靂』が鳴く。
心配しているのだろう。
彼が動かないのならば、己が『疾き者』を背に乗せなければならないと、迫りくる環境変異兵器にコントロールを奪われた自律人型戦術兵器『セラフィム』と対峙する。
動きは単調だ。
コントロールを奪われてはいるものの、これまでのように統制された集団的のような動きを見せていないからだ。失われていると言ってもいいだろう。
周囲にあった建造物をただ地均しするように破壊しているばかりなのだ。
「どういうわけかはわかりませんが……『霹靂』、いきますよー」
「クエッ」
破壊すべきは環境変異兵器のみ。
目指すは『ゆりかご』。
搭載された環境変異兵器さえ破壊できれば、コントロールを奪われた『セラフィム』も動きを止めるだろう。
そう判断して『疾き者』は己が握り込んだ棒手裏剣にユーベルコードの光を込めた。
飛翔する『霹靂』の羽ばたきと共に『疾き者』は己たちを敵対者と認めた『セラフィム』へと棒手裏剣を投げ放つ。
放たれた一閃は『セラフィム』のアイセンサーを貫いて破壊し、道を切り開くように一直線に『ゆりかご』へと走るのだ。
「これが『ゆりかご』ですか。既に結界が張ってある、と」
他の猟兵が『ゆりかご』を傷つけぬようにと結界を張っているのだろう。
これならば確保するには容易いだろう。
「確保後は特務機関DIVIDEに預けるのは一考でしょうね。それに生存するのに少量のグラビティ・チェインで済むともなれば……」
もしかしたのならば、教育が行き届くことさえできれば、共存の道に導くこともできるかもしれない。
それはもしかしたのならば、地球とデウスエクスとの戦いを収める一歩になるかもしれない。
どれもが、もしかしたのならば、という可能性の問題でしかない。
確証はない。
どこにも保証はない。
けれど、理想に近しい現実に手を延ばすことができるのならば、それに手を伸ばさずにはいられないのもまた事実なのだ。
『疾き者』は未だ影の中で落ち込み続ける『陰海月』の様子に息を吐き出しつつ、いずれも導くのは容易ではないのだな、と言うように『ゆりかご』を見上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ソニア・コーンフィールド
えー両方コントロール取られちゃったの!?
セキュリティ甘いとかじゃなくて向こうが上手だったのかな。
ともかく博士が頑張ってたの知ってるし、壊さず無力化したいかな!
プラクトのも組み込んだ熾天怪獣王に騎乗!
こっちに合わせて変幻自在に変形合体するだろうけど…でも封じる!
頑丈さで耐えつつUC起動、ガジェット召喚!
…電力とか魔力吸い上げつつ周囲からの供給遮断する投網っぽいの発射する銃、かな。
キャバリアサイズのそれを狙い定めて合体したタイミングで発射、一気にエネルギー切れ狙うね。
環境変異兵器は破壊、ゆりかごは確保してDIVIDEに保管場所相談。
殺すよりも仲良くなって戦い止めた方がいいし。
※アドリブ絡み等お任せ
雨河・知香
頼れる味方が敵になるとか厄介だねえ。
だけどこのエイル博士の成果を奪わせる訳にはいかない。
多少予算担当には泣いて貰う事になるけども…止める!
UC起動、活性化した生命力活かして敵の攻撃を凌ぎダッシュで切り込みつつ環境変異兵器を目指していく。
最善は環境変異兵器だけを砕いてコントロール取り戻す事、邪魔するならセラフィムとかも推進装置とかだけ砕き行動だけを封じたい。
…必要ならもっと壊すけどね!
ゆりかごは確保。壊さずに中の子供達に呼びかける。
殺しに来たわけじゃない、アンタ達がどう生きるのかを話にきた、と。
…中から出すのは準備いるだろうしDIVIDEにゆりかご保管場所相談しないとねえ。
※アドリブ絡み等お任せ
「えー!?『セラフィエルクス』の反応がロストしたの!? それにまだ『セラフィム』のコントロール、取られたまま!?」
ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)は状況を理解して声を思わず上げてしまっていた。
湾岸の決戦都市に飛来した、浮遊する繭『ゆりかご』。
搭載されていた環境変異兵器によって決戦都市の決戦配備たる自律人型戦術兵器『セラフィム』と新型決戦兵器『セラフィエルクス』のコントロールが奪われてしまっていたのだ。
戦いの最中、『セラフィエルクス』は反応を消し、姿を消していた。
セキュリティが甘かったわけではないだろう。
ただ、デウスエクスの環境変異兵器が一枚上手だった、ということだけなのだ。
「頼れる仲間が敵になるとか厄介だねえ」
雨河・知香(白熊ウィッチドクター・f40900)は、辟易したように呟いた。
しかし、やらねばならない。
これまで亜麻色の髪の女性『エイル』博士が歩んだ道のりを考えれば、その成果を無為に奪わせるわけにもいかない。
ただ、この状況が状況なのだ。
「あんなに博士が頑張っていたのに……壊さずなんとか無力化したい!」
「なんとかしなくちゃあね」
ソニアの言葉に知香はうjなずく。
だがまあ、多少は予算担当は泣くことになるだろうことを知香は理解していた。
それほどまでにコントロールを奪われた『セラフィム』は厄介だったのだ。
「さあ気合い入れていくよ!」
空に浮かぶは、銀の満月。
偽物であるが、しかし知香の身体機能は活性化され、拳を構える。
ファイティングポーズ。
瞬間、彼女の体が弾けるようにして大地を蹴って体高5m級の鋼鉄の巨人へと弾丸のように飛び込み、その拳を叩き込む。
その殴打は連打となって『セラフィム』の頭部を一瞬でひしゃげさせるのだ。
「頭部にセンサー類が集約されてるはず。なら、そこを壊せばコントロールを受信している部分を潰せる!」
これで動きが封じられるはずだと知香は頷き、『セラフィム』を打ち倒す。
そのまま走り抜け、背後からソニアの駆る『熾天怪獣王』が追従する。
機体が揺れ、『セラフィム』の攻撃を受け止めた。
「まだまだいけるよ!」
ガジェットが生成され、『熾天怪獣王』の内部から展開される。
「投網! 動きを封じて!」
さらに『セラフィム』の駆体をコントロールしていた環境変異兵器による影響を遮断するのだ。
これによって機体を傷つけずに奪われたコントロールを奪い返すことができるのだ。
「おや、いいじゃあないか。下手に壊すより、そっちのほうが効率的だね」
「『ゆりかご』が見えたよ! きっとあれが環境変異兵器だよ!」
ソニアが示す先にあるのは浮遊する繭『ゆりかご』。
そしてその下部から電波のようなものを発信している装置が見える。
それを認め、知香は大地を蹴って飛ぶ。
「これを破壊すれば!」
振りかぶった拳が発信装置を砕く。
それに伴って、『ゆりかご』が大地に落ちた。
結界が他の猟兵によって張り巡らされていたため、『ゆりかご』自体に損壊はない。
多くの猟兵たちは、この『ゆりかご』の中にいるであろうデウスエクス新種族の幼子たちの保護に動いていた。
「殺しに来たわけじゃない。アンタたちがどう生きるのかを話にきた」
知香の言葉に、『ゆりかご』の中の『ヘリオライト』……額に紅い鉱石を宿した幼子たちは応えるだろうか。
ソニアはそんな様子を見やり、思う。
殺すよりも仲良くなって戦いを止めたい、と。
己達猟兵にとっての敵は、オブリビオンだ。
なら、デウスエクスは永遠不滅であり、オブリビオンではない。
「仲良くなれるかな」
「わからないよ、まだ。中から出すのは準備もいるだろうし、特務機関DIVIDEだって動くだろう。それに『ゆりかご』の保管場所だって相談しないとだからねぇ」
二人は、確保した『ゆりかご』を見下ろし、これからどのように事態が転がっていくのか。その未来に思いを馳せるのだった――。。
大成功
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