碎輝の帰還祝い流しそうめんパーティー
「俺の知り合いのグリモア猟兵くんは、しあわせな王子さまの帰還を祝うガーデンパーティーをやったそうです。先日」
雨月・雨莉(は何もしない・f03581)が、グリモアベースで腕を組みつつ言う。ああそう、と猟兵達は思った。王子さまの帰還は喜ばしい。以上。解散。というわけでさっさと立ち去ろうとした猟兵達を、雨莉は慌てて呼び止めた。
「いや待って!? しあわせな王子さまの帰還パーティーはやったのに碎輝の帰還パーティーはやらないんじゃ、碎輝が人気ないみたいで悲しいじゃないっすか!」
それはお前に碎輝の帰還パーティーやるだけの企画力と行動力がなかっただけじゃ。だいたい、碎輝が帝都櫻大戰の折、転移したサイバーザナドゥから帰ってきて……もう半年くらいは経つ。帰還パーティーやるにしても今更すぎないか? そんな猟兵達の真っ当なツッコミに、雨莉はでも、と俯いて両手の人差し指同士をツンツンしている。
「……神王サンサーラに対抗できるだけの強さは失われたといっても、最弱の状態から『無限に』成長する碎輝の特性自体は変わってないわけで。ほっとくとカタストロフを引き起こしかねないじゃないすか」
それもそうだった。彼の強さを抑え込むため、そして半ばこのグリモア猟兵の趣味で(←)、定期的に碎輝を倒し、しばらく成長しない小学生形態にしているのは周知の事実だ。
「なんで帰還パーティーついでに、いつも通り真正面から彼と戦って小学生形態にしましょー!」
雨莉が拳を突き上げる。お~……とやる気なさそうに猟兵達ものろのろ拳を上げた。ちなみに真正面から戦うのは、碎輝は卑怯な敵に怒りを感じた時、最も無限成長が早くなるからだ。帰還パーティー自体、彼と友好を深め、騙し討ちとかじゃなく正々堂々戦うためのお膳立てといえるだろう。
「それで、帰還パーティーっていっても何するんだ? しあわせな王子さまみたいにガーデンパーティー?」
「いえ、同じことやっても面白くないんで流しそうめんにしましょう。そろそろ暑くなってきたし」
雨莉がパンと手を叩く。
「ちょうどいい感じの竹林見つけたんで、設営はオナシャス」
とそのまま手を合わせて。オイ。まあこいつは行けないしな……。
そういえば、と彼女が言う。
「カクリヨファンタズムの竹林は、夜になるとでたらめに光りだすのがお約束……流しそうめんって昼にやるイメージっすけど、あえて夜にやるとこう……パーティー感というか、パリピ感? が出て楽しいかもっす。夜で暗い中だと、そうめん掴む難易度も上がりそうなんで……どっちが多く食べれるかとか、碎輝と競争してもいいかもしれないっすねー。それに……」
彼女の目が不意に懐かしむように細められる。
「……流しそうめんっていえば、いつかの夏に山本親分の誘いで流しお中元やりましたっけねぇ。ほら、お中元の中身を竹のレーンに流すやつ。そうめんとかゼリーとか」
そういえばあったあった。流しそうめんと言いつつ、その時みたいにそうめん以外のものを流したっていいだろう。一応帰還パーティーという名目なのだから、華やかにやりたいところだ。なんだか夏を先取りしているような気配に、知らず猟兵達の心も弾む。それを待っていたように、雨莉の持つハート型のグリモアも輝き出した。
「俺は行かない……行けないっすけど。碎輝の帰還パーティー、楽しんで来てくださいっすねー」
と。
ライ麦
ライ麦です。今年はなんか、いいかなとか思ってたのに結局碎輝登場4周年記念のシナリオ出しました。だってしあわせな王子さまの帰還パーティーは(ノベルで)やったのに、碎輝はやらないんじゃ人気ないみたいで悲しいじゃないですか……(ノベルでやれ)。
以下、簡単なまとめです。
●第1章
フラグメントで最初に出てきたやつ使いました。碎輝の帰還パーティーという名目で竹林で流しそうめんしましょう。暑くなってきたしね。
流しそうめんは昼にやるイメージですが、「カクリヨファンタズムの竹林は、夜になるとでたらめに光りだすのがお約束」という戦争時の文面見つけて「何それ楽しそう」ってなったので夜にやります。パリピ感ありますね。
拙作、「お中元流し」( https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=43857 )の内容とか参考に、そうめん以外を流すのも楽しいかと思います。碎輝とどちらが多くそうめんを取れるか勝負! とかやっても楽しそうです。ズルとかしなければ彼はノリノリで乗ってくるかと思います。
●第2章
碎輝と戦います。他に言うことある??
夜の竹林という設定ですが、周囲の竹がでたらめに光ってる上にたぶん碎輝も黄金に光り輝くんで(ユーベルコードで黄金竜に変身するとかで)、光源の心配はしなくて大丈夫な気がします。
倒されると碎輝はダウンして、この戦闘分も含め、しばらく成長しない「小学生形態」に変形します。その後余裕があれば小学生碎輝と改めて流しそうめんやっていただいても大丈夫ですが、採用できるかはその時のタイミング(書く順番もありますので)次第です。
それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております!
第1章 日常
『カクリヨ☆流しそうめん!』
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POW : そうめんをたくさんとって食べる
SPD : そうめんを器用にとって食べる
WIZ : そうめんを味わって食べる
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
尾守・夜野
WIZ
よっす
久しぶりだな
俺ここの住人じゃねぇけど
まぁおかえり?だぜ
夏に遊んだきりだっけ?(ノベル:57898、57409)
あ?いやいや、流石に食べもん使っての勝負は仕掛けねぇっての楽しみは後に取っとくもんだろ?
…俺そんなに食えねぇから勝負に使っても食い切れる気がしねぇし気ままにさせてもらうさね
まぁお前さんいるしこの後どうやるかだけ決めとくかい?
前決闘した時はガンマンみてぇな果たし合いとしていたがね
別のかっけぇを追求してもいいんでね?
って事で碎輝を巻き込みかっこいい決闘()を追求し始めるぞ
何か決まってもいいしグダってもよしでアドリブ連携はおまかせするぜ
なお、俺は戦う時は流石に生前の姿にゃ戻るぞ
「よっす。久しぶりだな」
軽く手を挙げて挨拶する尾守・夜野(一応生前は成人済な物で。・f05352)に、碎輝も相好を崩した。
「夜野! 久しぶりだな、いつぶりだっけ?」
「夏に遊んだきりだっけ? 俺ここの住人じゃねぇけど、まぁおかえり? だぜ」
おかえり。その言葉を聞いた碎輝の頬は、でたらめに光る竹に照らされて、嬉しそうに微かに朱が差している。彼がカクリヨへの帰還を果たしたのは約半年前。当然妖怪達にも他の親分にも出迎えてもらっただろうが、やはり一緒に遊んだ猟兵にそう言ってもらえるのは、改めて胸に来るものがあるのだろう。噛みしめるように頷いて、
「……ああ、ただいま! 夜野も帰るの手伝ってくれて、ありがとな」
と今一度礼を言う。
「どういたしまして……で、今度はどうする?」
「? どうする……って?」
「勝負だよ。やるんだろ?」
「ああ……」
夜野の答えに、碎輝は両手を腰に当てて視線を動かす。向かう目線の先には、いつの間にやら、誰がセッティングしたのか。立派な流しそうめんの台があった。
「……流しそうめんの準備してあるから、てっきりあれで勝負するのかと」
「あ? いやいや、流石に食べもん使っての勝負は仕掛けねぇっての楽しみは後に取っとくもんだろ? ……俺そんなに食えねぇから勝負に使っても食い切れる気がしねぇし、気ままにさせてもらうさね」
手を横に振る夜野に、それもそうか、と碎輝は頭を掻く。
「じゃあ流しそうめんは戦った後のお楽しみってことで……どーすっかなー、ここでいきなりおっぱじめるのもなんかアレだし……」
うーん、と腕を組んで悩み始める碎輝に、
「まぁお前さんいるしこの後どうやるかだけ決めとくかい?」
夜野は笑う。碎輝の目が少年のように煌めいた。
「おっ、そうだな! 前に夜野とやり合った時、開始合図について話し合ったもんな。今回はどうする?」
「前決闘した時はガンマンみてぇな果たし合いとしていたがね。別のかっけぇを追求してもいいんでね?」
「別のカッコいいか……そうだなあ……」
考え始めた碎輝の目が、再び流しそうめん台に行く。
「……猛スピードで流れてくるそうめんを、こんなのなんでもないぜって顔してサッと箸で取るのはちょっとカッコよくないか? それか目瞑ったまま取るとか」
「いや結局食べもん使った勝負になってるじゃねぇか」
夜野のツッコミに、わりぃ、と碎輝は舌を出す。
「流しそうめんの準備とかしてあると、ついそっちに意識行っちゃってさ。夏に遊んだ時は、満足いく戦闘を提供出来そうにないって言ってたし……そういや体大丈夫か?」
不意に気遣う碎輝に、
「戦う時は流石に生前の姿にゃ戻るぞ」
夜野は答える。そうか、と碎輝は安堵の息を吐いた。
「サイバースペースで戦った時もそうだったもんな。なら、安心して戦えるな!」
ニッと笑う彼の瞳は、今から闘志に燃えていた。
大成功
🔵🔵🔵
ウィル・グラマン
あー…流しお中元か
結局『アレ』を贈ったのは誰だったか分からず終いだったな(遠い目
ま、今はそんなのはどうでも良いよな!
碎輝としあわせの王子様が戻ってくるまで山本親分と新し親分が大変だったとか話題にしながら、さいき団の面子も呼んで流しソーメンを楽しむぜ!
…でもよぉ、段々食い飽きてくるんだよなぁ
じゃ、素麺以外も流して見ようぜ!
バトルキャラクターズを流す役にして…まずはミニトマト!
転がって来るのをタイミング良く…ゲットだぜ!
他にも輪切りにしたチクワ、ゆで卵、パイナップル、ぶどう、みかん、グミ、ゼリー…お、焼き餃子の焼き水餃子とかメロンのウォーターメロンとか皆もノってきたな
色々流せるもんだな、にゃはは!
「あー……流しお中元か」
でたらめに光る竹林の中に設置された流しそうめん台を見て、ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)の脳裏に浮かぶのは、いつか山本親分とやったお中元流し。その際、一体誰が贈ったものやら。ピンクの三角ビキニなどが紛れていて、ウィルはそれで散々な目に遭ったものだ。
(「結局『アレ』を贈ったのは誰だったか分からず終いだったな……」)
などと遠い目をしている彼に向かって、
「ウィル! 久しぶりだな! 元気だったか?」
碎輝が手を振りながら駆けてくる。それで思考が現在に戻ったウィルは、
「ま、今はそんなのはどうでも良いよな! 久しぶり! そんでおかえりだぜ!」
と彼とハイタッチを交わした。
「ああ、ただいま! ウィルも帰還、手伝ってくれてありがとな。東方親分と新し親分から聞いたけど、俺がいない間大変だったんだって?」
「ああ、碎輝としあわせの王子様が戻ってくるまで、骸魂を抑えるための大祓年越しかくし芸大会とかやってさあ」
「僕達もいたよー!」
ひょっこり、鬼の子やら座敷童やら河童の子やらといった「さいき団」の面々が顔を出す。碎輝の帰還祝いということで、ウィルが呼んだのだ。
「おやぶーん、前も言ったけど改めておかえりー、そんで……僕たちも流しソーメン、やりた~い!」
一つ目小僧が、ただでさえデカい目玉をさらにキラキラさせて流しそうめんの台を見ている。やはり、子供心を刺激するのだろう。
「ああ、いいぞ! 早速やろうぜ!」
大きく頷いた碎輝が、自らも心躍らせた様子で素麺をじゃんじゃん流していく。子供達は歓声を上げて台にかじりついた。素麺が流れてきてはいちいち声を上げ、取れたとか取れなかったとかワイワイ言いながら楽しそうに素麺を啜っている。無論碎輝もウィルもその列に加わり、
「こうやって……目を瞑ってサッと箸で取るのカッコよくないか?」
などと「カッコいい」の実演したりしながら流しそうめんを満喫していたのだが。
「……でもよぉ、段々食い飽きてくるんだよなぁ」
暫しの後、ウィルが素麺を啜りながらポツリ呟いた。
「……だよな」
碎輝も流れてくる素麺を横目に見ながら同意する。素麺は美味しいし、流れていくのをキャッチするのもワクワクするが、それだけだと味が単調なのも確かだ。さいき団の面々も、
「なんか……ソーメン、飽きちゃった~」
「違うのな~い?」
などとブーブー言い出しているし。
「じゃ、素麺以外も流してみようぜ!」
ウィルがパチンと指を鳴らす。召喚したゲームキャラクターを流す役にして……。
「まずはミニトマト! 転がって来るのをタイミング良く……ゲットだぜ!」
上手いことミニトマトを箸でつまみ、掲げたウィルに、妖怪の子供達は「すごーい!」と目を輝かせている。
「私もやってみよ……あ~ん上手く取れな~い!」
「ソーメンとは勝手が違うよな~」
流すものが違えば難易度も違ってくるもの。転がりやすいミニトマトはなかなか箸で掴めないらしく、子供達は悪戦苦闘しながらも楽しそうに挑戦している。
「え~んトマト全然取れな~い!」
そう嘆く座敷童の子に、
「じゃあこれは?」
と輪切りにしたチクワを流してみれば、穴に上手く箸が嵌まったようで。
「やった~! 取れた~!」
嬉しそうに高々と掲げている。他にも、ゆで卵、パイナップル、ぶどう、みかん、グミ、ゼリー……などと、目にも鮮やかな食材を次々流してみれば、
「宝石箱みたい! キレ~!」
「こんなに色々あると食べ飽きないよな~!」
「うまく取るの、難しいけど楽し~い!」
子供達はもう夢中で群がっている。
「あ、焼き餃子を流して水餃子にするとかどう?」
「メロンのウォーターメロンとか!」
新しいアイデアも次々出てきて、賑やかさが止まない。光る竹と相まって、まるで縁日の夜のようだ。そんな景色に、
「おっ皆もノってきたな! 色々流せるもんだな、にゃはは!」
ウィルも愉快そうに笑っていた。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
パリピという単語は人に装飾にとたびたび聞けど
普通の元気やライトアップとの違いがまだピンと来てなかったんだけど…
なるほど…?(光り輝く竹を眺めつつ
とりあえず改めておかえり、碎輝さん
いつも通り僕はそんなに食べれる方じゃないから
お互いゆっくり楽しもうよ
…ちなみに甘味好きとしては流しゼリー?気になるんですけど
ゼリーの場合どうやって掴むんですか(興味津々
この後の事もあるから腹八分くらいで調整
そういえばね、今回はいつもと違う戦い方を模索してみようと思って
碎輝さんにどこまで通用するかわからないし
もしかしたら僕の方が負けちゃう可能性もあるけど…
単独での戦術レパートリーをもっと増やしたくって
付き合ってくれる?
生い茂る竹が順番も何もなく、次々に光り消えてはまた光りを無秩序に繰り返している様は、まさに「でたらめ」だった。なんだか、色とりどりのライトに照らされた綺羅びやかなステージを連想してしまう。その様を見た栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は思った。
(「パリピという単語は人に装飾にとたびたび聞けど、普通の元気やライトアップとの違いがまだピンと来てなかったんだけど……なるほど……?」)
これがパリピというものだと、断言するにはまだ至らず。頬に指先を当てて小首を傾げていたら、後ろから肩を叩かれた。
「よっ、久しぶりだな澪! この間は帰還、手伝ってくれてありがとな!」
「うん。どういたしまして。とりあえず改めておかえり、碎輝さん」
背後でニカッと笑っている、黄金の竜の角を備えた青年にそう言って振り向けば、彼は照れくさそうに頬を掻いた。
「ああ、帰ってきたのはけっこう前だけど……何回おかえりって言われても嬉しいもんだな。ただいま!」
そんな竜神親分に微笑み、澪はセッティングされた流しそうめん台に目を移す。
「いつも通り僕はそんなに食べれる方じゃないから、お互いゆっくり楽しもうよ」
「そうだな。そうめんって、意外と腹膨れるし……少食ならそうめん以外のやつの方がいいか? 何がいい?」
そう訊いてくる碎輝に、
「甘味好きとしては流しゼリー? 気になるんですけど、ゼリーの場合どうやって掴むんですか」
澪は興味津々で尋ねる。碎輝はふむ、と顎に手を当てて答えた。
「ん〜、ゼリーの場合は、掴むっていうか……スプーンで掬う感じになるんじゃないか? 流れてる最中に崩れないように、硬めのやつの方がいいかもな」
「なるほど……」
彼のアドバイスに頷き、澪は早速硬めゼリーを流してみる。竹のコースを流れていく彩り豊かなゼリーは、目にも鮮やかで涼しげだ。尤も、タイミングよく掬うのはなかなか難しく、コツを掴むまで少々苦労もしたが、その分上手く取れた時の喜びや美味しさはひとしおで。碎輝と一緒に、澪は流しゼリーを満喫する。
「そうめん以外を流してみるのも、けっこー面白いもんだな! 掬うのが難しい分、より『成長』できる気がするぜ!」
などと、流れるゼリーに向かってウキウキとスプーンを伸ばしている彼に、澪はふと手を止めた。この後の事もあるから腹八分くらいにしておこうと思ったのもあるが、それ以上に、『成長』という単語で思い出したことがあったから。スプーンを器に置き、話しかける。
「そういえばね、今回はいつもと違う戦い方を模索してみようと思って。碎輝さんにどこまで通用するかわからないし、もしかしたら僕の方が負けちゃう可能性もあるけど……単独での戦術レパートリーをもっと増やしたくって。付き合ってくれる?」
「おっ、熱心だな。もちろんいいぜ。どっちがより『成長』できるか……競争だな!」
口に咥えていたスプーンを外し、碎輝は不敵な笑みを浮かべる。その瞳の奥には、流しゼリーに興じていた少年のような煌めきとは違う、煌々とした光が宿っていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『竜神親分『碎輝』成長電流形態』
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POW : 成長電流
【黄金竜】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【状態から次第に強くなっていく電流】を放ち続ける。
SPD : 黄金竜神
【体に雷を纏う】事で【無限に成長を続ける黄金竜の姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 超電竜撃滅衝
自身が装備する【槍】から【無限に成長する巨竜型の雷電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【麻痺】の状態異常を与える。
イラスト:108
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「いやー、食った食った。改めて、帰還祝いありがとな! 流しそうめん……っていうか、流し色々? 楽しかったぜ」
笑顔で猟兵達に振り向いた碎輝が、さて、と槍を構える。
「こっからは戦いの時間だな! いつも通り、無限に成長する俺と戦い、そして俺を超えてくれ! 神王サンサーラと戦った直後の俺にだって勝てたんだ、できるよな!」
彼の体が、バリバリと音を立てて輝く雷を纏う。もちろんだ、と頷き、猟兵達も武器を構えた。
※マスターより
第2章、碎輝との戦いです。
マスコメにもありますように、夜の竹林という設定ですが、周囲の竹がでたらめに光ってる上に碎輝も黄金に光り輝くので、光源についてはお気になさらず。周囲を巻き込む心配もあんまりしなくていい気がします。竹は成長早いしね。
倒されると碎輝はダウンして、この戦闘分も含め、しばらく成長しない「小学生形態」に変形します。その後余裕があれば小学生碎輝と改めて流しそうめんやっていただいても大丈夫ですが、採用できるかはその時のタイミング(書く順番もありますので)次第です。
プレイング受付は、6/12(木)の朝8:30~6/15(日)の昼12:00くらいまでにさせていただけたらと思います。それ以前に来たプレイングは原則として採用せず、それ以降に来たプレイングについては間に合えば採用しますが、基本足りない分はサポートで埋め、15日中の完結を目指します。
第2章からのご参加も歓迎です。
それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております!
尾守・夜野
んじゃ決まった通りスチール・ケージ・マッチと洒落込もうじゃねぇの!
こんならお前さんも周りの妖怪、そうめんその他気にせず戦えんだろ!
今はつまみになるもんもあんだし周りも楽しいんじゃね?
一般通過妖怪さんがたの野次とかも歓迎
まぁ多分自動でサンダードームの方になってるだろうが、碎輝が全力で、かつ周りが安全な状況で観戦されながらってのはなかなかやれねぇだろ?
プロレスそのものじゃねぇけど何か互いにかっけぇのしたかったのでこうなった
一応俺は絶縁靴履いてるがそこは碎輝に了承得てるぞ
じゃねぇと金網(檻)蹴れねぇしそも動けなくなるからな
範囲は大きめに取ったつもりだが碎輝も動けるか?
あ、平気か?
俺はUC切っちまってっから真の姿は使わせて貰うぞ
ならはじめっか
勝負にそもならないって要因は無くしたんで後は漢と漢のガチンコ勝負よ!
勝負の後は前章で話してた通りちまちまそうめん食ったりしてる
アドリブ歓迎
リカルド・マスケラス
「帰還おめでとーっすよ。せっかくなんで、忍者らしく色々と見せちゃうっすかね」
【手裏剣投げ】で高速移動に牽制かけつつ、他の忍法系UCを繰り出す
「そっちが雷なら、こっちはこれっすよ」
【神火分霊撃】で分身の炎を飛ばして派手に攻撃
他のUC使用もOKであれば、攻撃を受けた時に【微塵隠れの術】ですり替わった分身を自爆させたり、【影魔人の術】で呼び出した魔人の伸縮する腕で殴りかかったり、【木の葉竜巻の術】で吹き飛ばし、【忍犬術】で忍犬をけしかけ、動きを封じられれば【虚空弾】を叩き込む。有効性より派手さ重視で立ち回る
「後でまた流しそうめんパーティするっすか?」
付け合わせのタレとか色々アレンジしちゃうっすから
ウィル・グラマン
●SPD
ふぅ、食った食った
後はいつも通りにバトって溜め込んだ電気を放電してやるだけだな
碎輝もさいき団の子分達が観戦して応援してるだけあって何時もより張り切ってるし、オレも負けねぇようにしねぇとな
つー訳で、行けベア!
光る竹で夜の竹林に浮かび上がる黒いボディは成長した碎輝よりカッケーぞ、にゃはは!
子分達の視線がベアに集まれば碎輝もムキになって黄金竜に変身するだろうが、オレ様が予想した通りの展開だな
…ほら、あんま呆気なく倒しちまうとさいき団親分としての沽券があるだろ?
ベアも素早い黄金竜に苦戦する振りをして貰いながらギリギリまで粘って…『サイドバイサイド・オーバーテイク』の逆転劇をおっ始めようぜ!
栗花落・澪
さて、碎輝さんからの承諾も得れたし…
成長の為だから、立ち回り下手でも許してよね
自分にオーラ防御を纏いながら翼で空中戦
正直今回の戦法だと防御の方が心もとないんだけど
碎輝さんの速さに追いつく事は考えてない
雷の予兆は聞き耳で察知し
高速詠唱で雷魔法の属性攻撃を纏わせた杖を振り回し
雷同士誘導する事で軌道を逸らし回避
更にCandy popの中身(飴)を全部空中にぶちまけ
同時に多重詠唱で催眠術を乗せた光魔法の範囲攻撃
飴に込めた魔力に共鳴させる事で光を拡散反射
催眠による混乱で一瞬でも足止めし
その隙に彩流星
追尾型の多属性魔力砲で攻撃
この技きょーりょくだけど
こうなっちゃうからじっせんでは使いにくいんだよね(幼児化
「ふぅ、食った食った。後はいつも通りにバトって溜め込んだ電気を放電してやるだけだな」
ポンポンとお腹を擦り、ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は碎輝を見やる。すると、傍らの尾守・夜野(一応生前は成人済な物で。・f05352)はニヤリと笑って宣言した。
「んじゃ決まった通りスチール・ケージ・マッチと洒落込もうじゃねぇの! ルールは簡単、『檻の中敵対者が戦えなくなるまで戦い続ける』だけさ!」
瞬間、バリバリと光り輝く檻が、碎輝と猟兵達を包み込むように縦横無尽に張り巡らされる。おお、と碎輝は目を見開いて辺りを見回した。
「なんか……スゲーな! これ電流の檻か? カッコいいな……あ、でもさいき団の奴らとか大丈夫か?」
電流の檻に子供達が巻き込まれたりしていないか。不意に心配する彼に、夜野はこともなげに答える。
「ああ、敵以外は絶対安全観客席に閉じ込められてるからな。こんならお前さんも周りの妖怪、そうめんその他気にせず戦えんだろ! 今はつまみになるもんもあんだし周りも楽しいんじゃね?」
その言葉を裏付けるように、「親分もりょうへいさんたちもがんばれー!」と、檻の外からさいき団の子供の、元気な声援が聞こえてくる。さらに、どこで噂を聞きつけたものやら。
「おい、竜神親分と猟兵がデスマッチやるらしいぜ」
「マジか? あ、ちょうどいい具合に流しそうめん台あるじゃん。流しそうめんやりながら観戦しようぜ」
「ああ、白熱のバトルに見入ってるとそうめん取り逃しそうだけどな」
などとワイワイガヤガヤ。角を備えた青肌の一つ目鬼やら、棍棒を肩に担いだ虎パンツのいかにもな赤鬼やら。一般通過妖怪まで集まって来た。でたらめに光る竹は、まるで勝負を盛り上げるための舞台演出のよう。それを見た碎輝は呟く。
「なんか……プロレスみたいだな」
「プロレスそのものじゃねぇけど、何か互いにかっけぇのしたかったのでこうなった。碎輝が全力で、かつ周りが安全な状況で観戦されながらってのはなかなかやれねぇだろ?」
夜野の言葉に、碎輝は口角を上げた。
「ああ、正々堂々、真っ向からの真剣勝負。俺好みのシチュエーションだな。気に入ったぜ!」
「ならよかった……俺は絶縁靴履いてるがいいよな。じゃねぇと金網(檻)蹴れねぇしそも動けなくなるからな」
一応の確認にも、碎輝は頷いて答える。
「了解だ。俺はいいけど、夜野はそうもいかないからな」
「よし。範囲は大きめに取ったつもりだが碎輝も動けるか? あ、平気か?」
「ああ、大丈夫だ」
試しに槍を振り回し、上も見上げた碎輝が首肯する。たとえ黄金竜に変身し、上空を飛び回ったとしても充分な空間が、そこには広がっていた。
「ならはじめっか」
夜野の姿形が、肘の辺りから3本の剣を生やす、異形の獣の腕を備えた真の姿に変わる。
「勝負にそもならないって要因は無くしたんで後は漢と漢のガチンコ勝負よ!」
地を蹴り、碎輝に向かってバッと飛び掛かる夜野。碎輝の片頬に笑みが浮かんだ。
「そう簡単に俺を捕まえられると思うな!」
黄金竜に変じた碎輝が空を舞いながら、幾筋にも分裂して光る電流を放つ。早速の派手な技に、観客達はそうめんを取ることも忘れて、上空を見上げながらおおーっとどよめいていた。ウィルも手ひさしして飛翔する竜を眺めつつ、不敵に笑う。
「さすが碎輝のヤツ、さいき団の子分達が観戦して応援してるだけあって何時もより張り切ってるな。オレも負けねぇようにしねぇとな! つー訳で、行けベア!」
ウィルが指差す、その先にガシーンと音を立てて、漆黒のスーパーロボット、『ベアキャット』が降り立った。光る竹に照らされて黒光りするボディに、特に男子の妖怪が目を輝かせて叫ぶ。
「すっげー! カッコいー!!」
ロボットはいつの時代も男の子の憧れ。絶対安全の観客席から、食い入るように見つめているさいき団の男子に、ウィルは両手を腰に当てて笑った。
「だろ? 成長した碎輝よりカッケーぞ、にゃはは!」
「何だと!?」
思った通り。その挑発にムキになったらしい碎輝が、全身に雷を纏い、急降下してくる。
「無限に成長を続ける俺と、そのロボットとどっちがカッコいいか、勝負つけようじゃないか!」
啖呵を切り、真っ直ぐに突っ込んでくる黄金の竜は、そのスピードと相まってまるで巨大な弾丸のよう。うわぉ、と首をすくめ、ウィルはスタコラベアキャットに乗り込み駆け出した。
「こら待て、逃げんなウィル!」
吠える碎輝が、先に走り出したはずのベアキャットに並ぶのは秒だ。だが、そのままでは彼の爆発的に増大したスピードにベアキャットの方が追い越されるはずが、ユーベルコード【サイドバイサイド・オーバーテイク】の力は、その速さに着いていくことを可能にする。並走しながらもその力でどうにか碎輝から猛スピードで繰り出される雷やら竜の爪やら尻尾やらの攻撃をいなしながら、
「……ほら、あんま呆気なく倒しちまうとさいき団親分としての沽券があるだろ?」
ウィルはそう弁解した。いうて、このままではジリ貧だ。そこに颯爽と飛んできた狐のお面の忍者、リカルド・マスケラス(希望の|仮面《マスカレイド》・f12160)が、
「帰還おめでとーっすよ。せっかくなんで、忍者らしく色々と見せちゃうっすかね」
と手裏剣を放つ。光る竹、電流の檻、それに碎輝自身の雷によって照らされる黄金竜の体が作り出す幾つもの影。それらを地に縫い付けるように刺さった手裏剣が、碎輝の高速移動を阻害する。縫い付けられた影に引き留められるように、クッとその場に止まった彼が、苛立ったように振り向いた。
「なんだこの手裏剣……思うように動けねぇ! だがな、こっちには雷だってあるんだぜ!」
影を縫い付けられていようと、雷を放つことには支障がない。リカルドに指先を向け、雷を降らせる碎輝に、
「そっちが雷なら、こっちはこれっすよ」
リカルドは飄々と100を超える炎をお見舞いする。空中でぶつかり合い、火花を散らす炎と雷。派手に輝く攻撃に、観客達は歓声を上げて見入っている。取り忘れて流し台下のバケツに入ったそうめんはたぶんとっくに伸びてるだろう。それはともかく。その隙に、杖『Staff of Maria』を構えた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は碎輝を見据えて立ち上がる。
「さて、碎輝さんからの承諾も得れたし……成長の為だから、立ち回り下手でも許してよね」
オーラを纏った澪が、オラトリオの翼で飛び立つ。木の葉竜巻の術で吹き飛ばすわ、忍犬をけしかけるわ、派手に忍術を操るリカルドと戦っていた碎輝も、飛ぶ彼に気付いて目を止めた。
「おっ、来たな澪! 一体何を見せてくれるんだ!?」
いつもと違う戦い方を模索してみたい、という澪の言葉を覚えていたのだろう。隠し切れない好奇心に竜の瞳を煌めかせつつ、縫い付けられた影を振りほどくように飛翔した碎輝は、先ほどより強さを増した電流を放つ。まずは小手調べというように。息を吸って、澪は『Staff of Maria』を両手で構え直した。正直今回の戦法だと、防御の方が心もとない。だが、彼の速さに追いつく事は考えていない。耳を澄まして四方八方に放たれる電流の筋道を察知し、高速詠唱で雷魔法を纏わせた杖を振り回す。音を立てて光る稲妻を纏った杖は、まるで避雷針のように碎輝の放った電流を誘導し、宙に受け流した。
「へえ、そんなこともできるのか。やるな」
感心している碎輝の目の前で、澪は懐から可愛らしい飴玉が沢山入った小瓶を取り出し……さっと中身の飴を全て空中にぶちまける。
「……えっ?」
食べるんじゃないのか、っていうかなんてもったいないことを、と目をテンにしている碎輝をよそに、澪は小さな口で光の魔法の呪文を幾つも紡ぐ。ぶちまけた飴はただの飴ではない。魔力の込められた、特別なもの。秘めた魔力が共鳴し、落ち行く色とりどりの飴玉は光を拡散反射してまばゆく輝く。その光にやられたように、額を押さえた碎輝の体は空でグラリ傾いた。先ほどの光魔法には催眠術も乗っかっている。混乱するのも無理はない。それでもどうにか宙に踏みとどまった彼が大きく翼をはばたかせ、体勢を立て直すその隙を突き、澪はStaff of Mariaの先端を黄金竜に向けた。
『属性と属性の合わせ技、見せてあげる!』
追尾型の多属性魔力砲が、杖の先端から放たれる。極大威力のそれをくらった碎輝はたまらず地に落下した。その衝撃で竜への変化も解け、人型に戻った彼の体は泥にまみれている。だが、爪で地を掻き、面を上げた彼の瞳には、未だ闘志が宿っていた。
「さすがだな……だが、俺の成長はまだまだこれからだぜ!」
雷を纏った碎輝の姿が、再び無限に成長を続ける黄金竜に変わる。咆哮し立ち上がった彼は、電光石火の速さで猟兵達に襲い掛かり……。
「そいつはどうかな?」
――否。それよりも早く、ベアキャットの拳が碎輝の横腹にめり込む。もんどりうって倒れた彼は、その拍子に竜人の姿に戻りつつ、驚愕の瞳でベアキャットを見上げていた。
「な……俺のスピードを超えるなんて……なんで……」
「『成長』するのは、碎輝だけじゃないってことさ!」
ベアキャットの中で、得意げにウィルは腕を組む。
「そーいうこった、な!」
電流の檻を蹴り、跳躍した夜野の腕が、背後から碎輝の背を切裂いた。血飛沫を上げて倒れ伏す彼の背丈は縮み、小学4年生くらいの体格になる。一瞬の静寂の後、わっと割れんばかりの拍手の音が、辺りに響き渡った。
「スゲー! スゲーよ猟兵に親分!」
「ああ、ナイスファイトだったぜ! 見入っちゃってせっかくのそうめんが全部流れたくらいだ」
小学生形態の碎輝の肩を抱き、助け起こしながらも興奮のあまりバンバン彼の背中を叩いている一般妖怪達に、碎輝は照れくさそうに笑っている。そんな彼らに、リカルドは軽い調子で声をかけた。
「それじゃ、また流しそうめんパーティするっすか? 付け合わせのタレとか色々アレンジしちゃうっすから」
「おお、いいなそれ!」
妖怪達が喜びの声を上げる。ベアキャットから降りてきたウィルも、
「次は何流すかなー」
とニッカリ笑っていた。
「ぼくも、もう少しだけたべようかな」
服の裾を引きずりながら、ひょっこり澪が――澪、には違いないんだろうが。ずいぶんと縮んで、幼くあどけない姿になった彼が顔を出す。碎輝は目を丸くした。
「あれ、澪? 澪……だよな? なんでそんな姿に……」
「あの技きょーりょくだけど、こうなっちゃうからじっせんでは使いにくいんだよね」
ぶかぶかな袖で腕を組む澪。愉快そうに、碎輝は笑う。
「そっかそっか、俺と同じだな!」
同じっていえばこっちもか、と碎輝は夜野に目を向けた。真の姿を解いた彼は10歳程に縮み、ちまちまそうめんを食ったりしている。あちこちで流しそうめんを楽しむ声が響く。でたらめに光る竹に照らされた流しそうめんパーティーは、まさしく『宴』だった。なんだか帰還の宴を思い起こさせるようで、でもその時とは違っていて。碎輝は目を細める。改めて、2番目の故郷に帰ってこられた事実を噛みしめるように。
大成功
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