ケルベロス・ウォー⑦〜美しき星界の大魔術
「ケルベロス・ウォーへの参戦に感謝します。リムは状況を報告します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は現在の状況を語り始めた。
「|決戦配備《ポジション》クラッシャーの建造が目標数に達したことで、|永遠回廊《グラビティ・ゲート》のひとつが破られ、十二剣神『黄道神ゾディアック』との交戦が可能になりました」
ゾディアックは十二剣神のリーダー格にして、デウスエクスによる地球侵略作戦の約半分を指揮していた、デウスエクス連合軍最強の指揮官。本人も天体の魔力を操る強大なユーベルコードの使い手だが、もっとも警戒すべきは戦いの「先」を見据えて行動する戦略眼かもしれない。
「ゾディアックは自分達デウスエクスがこの戦いで全滅する可能性も考えて、『ゆりかご』と呼ばれる特殊な浮遊繭を地球にばら撒こうとしています」
この『ゆりかご』の中には、微弱なグラビティ・チェインで生きていけるよう調整を受けた、特殊なデウスエクス新種族の子供達が載せられている。原生デウスエクスの滅亡が避けられぬ状況になった場合でも、種を存続させるための次世代のデウスエクスだ。
「そしてゾディアックはこちらの目を『ゆりかご』から逸らすために、自らの有する『最も美しいユーベルコード』で人類を派手に攻撃してきます」
彼女の切り札は天空の美しき星々がもたらす『ガンマ・レイ・バースト』。これを浴びて強化されたゾディアックのユーベルコードは、知性や精神の有無を問わずあらゆる生命体と無機物を魅了する。そのため通常の手段で彼女を傷つけることは不可能だ。
「唯一、『ゾディアックの攻撃よりも美しいユーベルコード』だけは、その美しさを跳ね除けてゾディアックに手傷を負わせることが可能になるようです」
何をもって「美しい」とするかは個人によって様々な基準があるだろうが、今回それを判断するのは天空の星々である。お互いのユーベルコードの美しさを比べあい、こちらがより美しいと認められれば、ゾディアックの魅了効果は無効化される。
「ですので、皆様が有する中でもっとも美しいと思うユーベルコードを、ゾディアックにぶつけてください」
十二剣神であるゾディアックに挑むなら、ガンマ・レイ・バーストを無効化してようやく五分といったところか。
向こうにも背負うものがある以上、途中で撤退する可能性などは考えられない。全力をもって討ち倒すのみだ。
「十二剣神のリーダー格であるゾディアックを撃破できれば、戦後のデウスエクスの動向にも大きな影響があるのは間違いありません。どうかよろしくお願い致します」
説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、黄道神ゾディアックのもとに猟兵達を送り出す。
デウスエクス連合軍の指揮官にして、大いなる星界の魔術の使い手との、種の未来を賭けた戦いが始まる――。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回のシナリオは十二剣神『黄道神ゾディアック』との決戦です。
このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。
プレイングボーナス……ゾディアックよりも美しいユーベルコードを使って戦う。
天体の星々から『ガンマ・レイ・バースト』を浴びたゾディアックのユーベルコードは、あらゆる生命体と無機物を魅了します。これを無効化してダメージを与えるには、ゾディアックよりも美しいユーベルコードを放つしかありません。
どちらのユーベルコードがより美しいかは、天空の星々が判断します。皆様の考える「最も美しいユーベルコード」をぶつけてください。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『十二剣神『黄道神ゾディアック』』
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POW : |三裂せし射手座の矢《サジタリウス・トリフィド》
【分裂を繰り返す星光】で射抜いた対象を【天より降り注ぐ射手座の光矢】で攻撃し、着弾点からレベルm半径内の仲間を【ピンクと青の星光】で回復する。
SPD : |牡牛座の超新星《クラブ・パルサー》
【頭上全てを覆い尽くす超新星の煌めき】を披露する事で【白き光を纏う星神】に変身し、戦場内の敵全てを攻撃する【中性子線】を降らせる能力を得る。
WIZ : |地を睨む水瓶座の神瞳《ヘリックス・ネビュラ》
偽物の【「神の目」とも呼ばれるヘリックス星雲】を創造し、戦場上空に浮かべることで、【滅びをもたらす銀河光】による連続攻撃能力と超再生能力を得る。
イラスト:稲咲
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
幸・鳳琴
生命体と無機物までをも魅了する
まさに圧倒的な存在ですね
けれども貴女を乗り越えなければ平和は掴めない
ならば打ち勝ってみせましょうとも!
ゾディアックを傷つけることが出来るのは
美しいユーベルコードを叩き込むその時だけ
まずは万全に「その時」を迎えるのみですね
残像や、功夫でのフェイント攻撃を仕掛け少しでも注意をそらして
相手からの攻撃をオーラ防御で凌ぎ間合いを詰めていきますね
攻撃力も圧倒的ですが、地球の人達の支えを思い出しけして負けない
叩き込むは私の最大火力《幸家・六芒精霊龍》!
六芒星に集う地・水・火・風・光・闇の増幅魔法を
美しく閃かせ、龍状の輝く闘気を収束・叩き込みますね
これが私達の……「輝き」ですっ!
「生命体と無機物までをも魅了する。まさに圧倒的な存在ですね」
星々の「ガンマ・レイ・バースト」を受けた『黄道神ゾディアック』の力を、幸・鳳琴(精霊翼の龍拳士・f44998)は素直に認めた。ただの人間では太刀打ちすることさえ叶わない、十二剣神のリーダー格にふさわしい力と言えよう。
「けれども貴女を乗り越えなければ平和は掴めない。ならば打ち勝ってみせましょうとも!」
「来るがいい。私達の非道な侵略を、打ち破る力があるのなら」
鳳琴の決意と挑戦を真っ向から迎え撃つ構えで、ゾディアックは【三裂せし射手座の矢】を発動。天空の星々から放たれた輝きが分裂を繰り返し、美しい軌跡を描きながら標的を襲う。天体の魔力を自在に操る、最高クラスの魔法だ。
(ゾディアックを傷つけることが出来るのは、美しいユーベルコードを叩き込むその時だけ。まずは万全に「その時」を迎えるのみですね)
鳳琴は軽やかなフットワークで残像を生み、オーラで身を守りながらゾディアックとの間合いを詰めていく。彼女は数々のデウスエクスを葬ってきた熟練の降魔拳士であり、ケルベロスブレイド世界で培った武術と功夫は並ではない。
「……射抜け」
しかし分裂した星光の一筋が彼女を掠めた瞬間、射手座の光矢が天空より降り注ぐ。目を見張る美しさのみならず、ゾディアックのユーベルコードは攻撃力も圧倒的。矢の着弾点より生じた爆発が、ピンクと青の輝きで地上を包んだ。
「負けられません。ここまで来るために、多くの人に助けてもらったのですから」
射手座からの爆光に呑まれながらも、鳳琴はなおも前に進む。自分達ケルベロスは個人の力だけで戦っているのではなく、地球の人達の支えを受けてきた。この星の希望を託され、未来を拓くために拳を振るう――それは、故郷の世界と同じ。
「参ります!」
「来るか……!」
ついに間合いを詰め切った鳳琴は、ゾディアックに拳打を放つ。向こうもまた彼女の事を十全に警戒しており、魔術士とは思えぬ身のこなしで攻撃を回避する、が。初撃は敵の注意を逸らすためのフェイントであり、本命はその次だ。
「私の闘志と共に輝け、六芒に集いた精霊よ!」
鳳琴が叩き込むのは【幸家・六芒精霊龍】。六芒星に集う地・水・火・風・光・闇の増幅魔法を美しく閃かせ、龍状の輝く闘気を拳に収束。いかなる防護も破壊する、超威力・超高速の一撃を叩き込む、最大火力のユーベルコードだ。
「これが私達の……『輝き』ですっ!」
自分ひとりではなく地球人との「絆」が生んだその力を、天の星々も「美しい」と認めた。ガンマ・レイ・バーストの効果は破られ、突き出された拳はまっすぐゾディアックに突き刺さる。今度は避けられる隙も、防ぐ暇もなかった。
「見事……! 貴女達の絆の輝き、確かに見せて貰った……」
殴り飛ばされたゾディアックは大きく後退し、その身を護る黄金鎧にピシリと亀裂が走る。侮っていたわけではないとはいえ、予想を超える力だっただろう――美しさにおいても、力においても、地球のケルベロスはすでに十二剣神に届く刃を備えている。彼女は自らの「敗北」さえ視野に入れ、この戦場に立っていた。
大成功
🔵🔵🔵
スピカ・ネビュラスター
ゾディアックは天体の魔力を操るとか
銀河の魔女であるボクとちょっとかぶってて気に入らないんだよね
ここでやっつけてやるよ!
『魔界渾天儀』を操作して、『星天支配』を発動だ!
天文操作による星の動きと
星の魔力を用いた事象改変の美しさを見せてあげよう
でもね、メインの狙いはもう一つ
天文操作……つまり、審判たる天空の星々を支配下に置けば
美しさの判定なんてこっちの自由になるのさ!
あはははは!!
ズルいも卑怯もデビルキングワールドの住人には誉め言葉だよ
天変地異で滅び去れ!
敵の攻撃は魔星『アークツルス』に乗っての空中戦と
守護衛星『Aegis』の自動防御で対応するよ
「ゾディアックは天体の魔力を操るとか、銀河の魔女であるボクとちょっとかぶってて気に入らないんだよね」
奇しくも類似した魔法の使い手である『黄道神ゾディアック』に、スピカ・ネビュラスター(銀河の魔女・f31393)は一方的な対抗心を抱いていた。デウスエクスの指揮官にして十二剣神のリーダー格、といういかにもラスボスっぽい肩書きを持ってるらしいが、こっちだってラスボス(種族)だ。
「ここでやっつけてやるよ!」
「その自信の由来、拝見しよう」
星々の「ガンマ・レイ・バースト」を浴びたゾディアックを、通常の手段で傷つけることは不可能。だが、この能力が無敵でないことは他ならぬゾディアック自身がよく知っているはずだ。万物を魅了するユーベルコードを破るため、スピカは魔界渾天儀【凶星】を操作する。
「さあて、キミはどうしてあげようかな……?」
発動するのは【星天支配】。スピカのウィッチクラフトは単なる星詠みなどという矮小なものではなく、言葉通り星の力を支配する。渾天儀を通じて星の動きを操作し、天空に思うがままの星図を描いて、星の魔力を用いた事象改変を引き起こす。
「どうだい、美しいだろう?」
「なるほど、見事だ。では私の力も披露しなくてはな」
対抗してゾディアックは【地を睨む水瓶座の神瞳】を発動。「神の目」とも呼ばれるヘリックス星雲を、丸ごと複製して戦場上空に浮かべる。仇なすものに滅びをもたらす銀河の光もまた、スピカのウィッチクラフトに劣らぬ美しさ。星天をテーマにするもの同士、両者のユーベルコードは甲乙つけ難いかに思われた。
「でもね、メインの狙いはもう一つ。天文操作……つまり、審判たる天空の星々を支配下に置けば、美しさの判定なんてこっちの自由になるのさ!」
はなからスピカは純粋な「美しさ」の比べあいをする気はなかった――無論負ける気もなかっただろうが。審判を自分の側に引き入れることで、確実な判定勝ちをもぎ取るのが本命。星雲を創造するゾディアックのユーベルコードも大したものだが、あくまで偽物である以上判定には関与できない。
「そう来たか……最初からこちらの土俵で勝負するつもりはなかったのだな」
「あはははは!! ズルいも卑怯もデビルキングワールドの住人には誉め言葉だよ」
戦いのルールはこちらが決める。ワルくて強いヤツが彼女の地元じゃ一番エラいのだ。可憐な少女の姿で高笑いしながら、銀河の魔女は星々を己が手中に収める。ガンマ・レイ・バーストを放つ星も支配してしまえば、魅了効果も打ち切りだ。
「どうやら私では分が悪いようだが。ここで退く訳にはいかないのでな」
「いい悪あがきだね!」
すでに星の加護が己のもとにないことを把握しながら、それでもゾディアックは攻撃を仕掛ける。「神の目」より放たれる銀河光は無数の矢となってスピカのもとに降り注ぐが――彼女は魔星「アークツルス」に乗ってひらりひらりと空を舞い、守護衛星「Aegis」の自動防御で光を弾く。
「天変地異で滅び去れ!」
「くっ……!」
お返しは数十倍で。地が震え、天が哭き、突然の落雷や暴風、地割れといった様々な現象がゾディアックを攻める。
トドメには支配した星天から隕石の落下まで。ユーベルコードによる超再生能力を上回るほどのダメージを受けて、星の魔道士は膝を地についた。
大成功
🔵🔵🔵
陽・緋蜂
こいつはまた随分と派手な敵デスネ。
でも派手さならフェイも負けないデス。
ひとつ、勝負といくデスヨ!
噴進炎翼の【推力移動】で空を飛び、ゾディアックに近づくデス。
間合いを詰めまセンと始まらないデスシ。
デスガ、敵のユーベルコードは厄介デスネ。
派手な上に効果も強烈。
なラ、コイツで勝負デス。
導弾爆嵐発動、ミサイルを撃ちマス。
今回は白い炎を纏って飛翔し、着弾時に爆発と一緒にキラキラの光を撒く特別仕様デス。
流星群みたいなイメージデスネ。
ミサイルの狙いは全弾、敵が生んだ偽ヘリックス星雲。
徹底的にに叩き込んで破壊して、ユーベルコード解除を狙いマス。
後はゾディアック本体に機関砲の集中射撃をお見舞いデス!
「こいつはまた随分と派手な敵デスネ」
星の魔力を操る『黄道神ゾディアック』のユーベルコードと、星々がもたらす「ガンマ・レイ・バースト」の美しさは、陽・緋蜂(機甲武装的虎尸人小娘・f39902)も思わず感嘆するほど。見栄えだけで強さが決まるわけではないが、あれを凌駕するのは簡単ではなさそうだ。
「でも派手さならフェイも負けないデス。ひとつ、勝負といくデスヨ!」
「受けて立とう。勇敢なる戦士よ」
ジェットパック「噴進炎翼」からプラズマ炎を噴射し、その推進力で空を飛ぶ緋蜂。まずは間合いを詰めないことには始まらないが、ゾディアックも易々と近づけさせてはくれまい。上空には彼女が創造した【地を睨む水瓶座の神瞳】が、煌々と戦場を睥睨していた。
(敵のユーベルコードは厄介デスネ。派手な上に効果も強烈)
ヘリックス星雲を丸ごと偽造するという規模もさることながら、その「神の目」より放たれる銀河光の連続攻撃は、死者である僵尸にさえ滅びをもたらす。加えて星雲の輝きはゾディアックに超再生能力をもたらしており、ガンマ・レイ・バーストを無効化できたとしても生半可な攻撃は通じそうにない。
「なラ、コイツで勝負デス」
以上を踏まえて緋蜂が発動したのは【導弾爆嵐】。袖の中に仕込んだ「暗器:爆火槍砲」から、数百発のミサイルを一斉発射する。白い炎を纏って飛翔するミサイルは、着弾時に爆発と一緒にキラキラの光を撒く、美しさを意識した特別仕様だ。
「流星群みたいなイメージデスネ」
狙いは全弾、敵が生んだ偽ヘリックス星雲。白炎の軌跡と滅びの銀河光が衝突し、多くのミサイルが撃墜されるが、それでも撃ち落とされなかった分が次々と着弾し、爆光の星図を戦場の空に描く。その美しさは、天空にまたたく真の星々も認めたようだ。
「ガンマ・レイ・バーストが破られたか……!」
散り散りになって消えていく星雲を見上げて、ゾディアックが目を細める。万物魅了の効果が有効なら、ミサイルの爆発でも傷ひとつ付かなかったはず。【地を睨む水瓶座の神瞳】の破壊は、ゾディアック本人にもダメージが通るようになったことを示していた。
「纏めて吹っ飛ばしてやるデス!」
星々の審判が再び敵に傾く前に、緋蜂はミサイルの残弾と一緒に「暗器:機関砲」の集中射撃をお見舞いする。彼女の袖の中には一体どれだけの武器が仕込まれているのか。封神武侠界生まれ、人民租界育ちの機甲武装的虎尸人の力、とくと味わってもらおう。
「見事だ。兵器という暴力を、かくも美しく魅せるとは」
やむを得ず後退するゾディアックだが、ガトリングの弾幕とミサイルの爆炎は彼女の身に相応の傷を負わせている。
この戦いの前に彼女が思い描いた最悪の想定――十二剣神たる自身の敗北と死が、徐々に現実味を帯び始めていた。
大成功
🔵🔵🔵
山吹・慧
敵の攻撃は【気功法】で高めた闘気による
【オーラ防御】、【ジャストガード】、
【受け流し】で耐え凌ぎます。
確かに煌びやかな星の光ではありますが、
所詮はその場しのぎのまやかし……。
それが何だというのです?
この惑星……、いいえ幾多の世界で数多の生命が
今この時を懸命に生きている。
この惑星の生命は、今この時も恐怖に抗い
苦痛に耐え、それぞれの想いの為に
限られた時の中であなた方に立ち向かっている。
その太陽にも劣らない生命の輝きは
何よりも尊く、そして美しい……。
あなたにも御覧に入れましょう。
この惑星の生命(気)とその輝きを味方にした
【羅山天昇波】を放ちます。
「どうした、地球の戦士達よ。まだ私は立っているぞ」
猟兵やケルベロスの挑戦を真っ向から受け、己の存在を誇示するように戦う『黄道神ゾディアック』。天空の星々から「ガンマ・レイ・バースト」を浴びた彼女の【三裂せし射手座の矢】は、幾条にも分裂を繰り返し、戦場を光の軌跡で埋め尽くさんとしていた。
「確かに煌びやかな星の光ではありますが、所詮はその場しのぎのまやかし……。それが何だというのです?」
これに対峙するは山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)。気功法で高めた彼の闘気は、鋼よりも強固な鎧となって、星光を防御する。ゾディアックが擁する中でも最も美しいユーベルコードにも、この男の心はまるで惹かれなかった。
「この惑星……、いいえ幾多の世界で数多の生命が、今この時を懸命に生きている」
止まぬ星光の雨に射たれながら、慧は毅然とした言葉で己の意を主張する。銀誓館学園の卒業生である彼は、生命の強さと美しさをよく知っている。かつては自分も「生命賛歌」を掲げ、死と隣り合わせの青春を駆け抜けたのだから。
「この惑星の生命は、今この時も恐怖に抗い、苦痛に耐え、それぞれの想いの為に、限られた時の中であなた方に立ち向かっている」
彼らの懸命な尽力なくして決戦配備は完成せず、永遠回廊を破ることも、自分達が十二剣神と対峙することもできなかっただろう。グラビティ・チェインのある地球が特別だからではない。これぞ生命があるがままに持つ輝きなのだ。
「その太陽にも劣らない生命の輝きは、何よりも尊く、そして美しい……。あなたにも御覧に入れましょう」
天より降り注ぐ射手座の光矢を、オーラによるジャストガードで受け流し、凌ぎきった慧は、満を持して攻撃の構えを取る。この惑星に息づく生命の気と輝きを味方につけて、天をも貫く一撃を放つ――その技の名は【羅山天昇波】。
「今、この惑星の全ての生命が僕の味方ですよ」
「――……!!!」
莫大な気を束ねた拳が、閃光と衝撃波を生む。その美しさは天空の星々も認めるもので、黄道神を無敵たらしめていたガンマ・レイ・バーストが解除される。当のゾディアックですら、彼の技と生命の輝きに思わず目を奪われていた。
「これが……生命の、美しさか……」
【羅山天昇波】が直撃したゾディアックの鎧に、またひとつ大きな亀裂が走る。その身を突き抜けていった衝撃は、簡単に癒せるものではないだろう。己らが収奪の対象としたこの星に、かくも強く美しき存在が息づいていたことを、彼女は身をもって理解した――。
大成功
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ハル・エーヴィヒカイト
戦場に味方がいる場合は事前に[集団戦術]によって私の視界に入らないようさがってもらおう
刮目せよ星々よ。降り注ぐガンマ・レイ・バーストよ
我が手に星の聖剣
全ての光をその身に集め、究極の光として輝かせるもの
UC発動。射手座の光矢も天空の星々の輝きも、この場にある全ての光をその美しさごと取り込んでなによりも眩しい極光として放つ
ゾディアックよ。あなたの願いは正しい
少なくともあなたは正しく種の生存をかけて挑んできているのだろう
だがその手段は受け入れられない。生き残るのは我らだ
「私の視界に入らないよう下がっていてくれ」
十二剣神との決戦に赴く際、ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣聖・f40781)は戦場にいる猟兵達に警告を発する。
これから発動するユーベルコードは、ともすれば味方まで巻き込みかねない。地球の命運を賭けたこの戦いに、彼も全力ということだ。
「何をするつもりだ……? 悪いが、待ってやる余裕はない!」
危機感を抱いた『黄道神ゾディアック』は、仕掛けてくる前に全力で叩き潰さんと【三裂せし射手座の矢】を発動。
分裂する無数の星光と、天より降り注ぐ射手座の光矢は、殺意に満ちていながら見惚れるほどに壮麗で。天空の星々もその美しさを讃えている。
「刮目せよ星々よ。降り注ぐガンマ・レイ・バーストよ」
対してハルは、この戦いの審判者たる星々に呼びかけ、右手を高く天に掲げる。そこにはまだ何も握られてはいないが、微かに光が宿っている――彼自身が光を放っているのではない、周囲にある光を自らの元に吸い寄せているのだ。
「我が手に星の聖剣。全ての光をその身に集め、究極の光として輝かせるもの」
ゾディアックが放った射手座の光矢も、天空の星々の輝きも。この場にある全ての光を、その美しさごと取り込んでしまえば、それは異論なく「最も美しいユーベルコード」となる。戦場がにわかに暗闇に包まれていく一方で、彼の手に集まった光は一振りの剣を形作った。
「ゾディアックよ。あなたの願いは正しい。少なくともあなたは正しく種の生存をかけて挑んできているのだろう」
完成した星剣を構えながら、ハルは黄道神に告げる。グラビティ・チェイン枯渇という未来から全デウスエクスを救うため、己の非道さを自覚しながら地球侵略を主導してきた十二剣神のリーダー格。その覚悟と信念は敵ながら見事なものだ。
「だがその手段は受け入れられない。生き残るのは我らだ」
「その意気やよし……ならば私は最期まで残虐を貫こう!」
この星に生きる者のひとりとして、生存権を勝ち取らんとするケルベロスの意志も、何者にも譲れぬ強固なものだ。
ハルの宣告を受け止め、なお己の決めた道を突き進むデウスエクスも、全力で迎え撃たんとするが――ゾディアックの下に、すでに星々の加護はない。
「星剣解放――薙ぎ払え、|七星極光《しちせいきょっこう》」
全ての光をひとつに束ね、なによりも眩しい極光として放つ。敵のユーベルコードも取り込んだ【境界・七星極光】は、視界内の全てを断つ必殺の斬撃となった。それは本来魅了する側であったはずのゾディアックが、一瞬ながら目を奪われてしまうほど。
「見事、だ……ケルベロスよ……」
戦場の闇が晴れると同時、星光に斬り伏せられたゾディアックから真っ赤な血飛沫が噴き上がる。それでも彼女は敵であるハルを讃えた。定命の者でありながら、全デウスエクスの頂点に立つ十二剣神さえ追い詰める、この星の生命の力を――。
大成功
🔵🔵🔵
空桐・清導
POW
アドリブ・連携歓迎
「今までこの世界を攻めてたのに、
子供だけは護る為に戦うなんて卑怯だぜ…!
アンタ達デウスエクス達がどれだけの人を
傷つけてきたと思っているんだ!」
怒りと共感によってぐちゃぐちゃになった顔で
ゾディアックを見上げる
「だから!オレは全力でアンタを殴る!
恨みっこ無しだ!ゾディアック!」
UCを発動して黄金の追加装甲を纏っていく
清導の[勇気]と[希望の力]が形となったソレは、
宇宙の輝きよりも雄々しく美しい
だが、今その輝きに悲しみも宿っていた
放たれる光矢を弾き飛ばし、遠くに弾き飛ばすことで回復を妨害
全霊の力を拳に宿し、光焔も煌々と燃え上がる
仮面で顔を隠しながら、何度も拳を叩き付けて倒す
「今までこの世界を攻めてたのに、子供だけは護る為に戦うなんて卑怯だぜ……!」
十二剣神『黄道神ゾディアック』と対峙する、空桐・清導(ブレイザイン・f28542)の拳は震えていた。それは単純な怒りによるものではない。敵にもまた護るべきものが、遺したいものがあると知ってしまったがゆえの葛藤だった。
「アンタ達デウスエクス達がどれだけの人を傷つけてきたと思っているんだ!」
「弁解の余地はない。貴方の怒りは正当なものだ。だが、それでも私は非道を貫く」
どれほど罵倒されても仕方のない所業をしてきたと、デウスエクスの指揮官たるゾディアックは一番理解している。
彼女がこの局面において己の力を誇示するような戦いを始めたのは、次世代のデウスエクスを育む『ゆりかご』から地球人の目を逸らすため――そのためなら己の死も厭わない覚悟が、清導には分かる。分かってしまう。
「だから! オレは全力でアンタを殴る! 恨みっこ無しだ! ゾディアック!」
「ああ、それでいい。私もまた、全力をもって貴方達を滅ぼそう」
怒りと共感によってぐちゃぐちゃになった顔で、清導はゾディアックを見上げる。応じるゾディアックの表情は冷たく、内なる葛藤も罪悪感も窺い知る事はできない。己を殺し、非道な侵略に徹してきた、デウスエクスの頂点に立つ者の顔がこれだ。
「オレのタフネスは天下一品! 支える心は無限大!! 不撓不屈の男! 空桐清導!!!」
そんな悪の侵略者を討ち倒す「ヒーロー」として、清導は【全力全開! 不撓不屈たる証明を此処に!!】を発動。
装着中の機械鎧"超鋼真紅ブレイザイン"に、黄金の光焔でできた追加装甲を纏っていく。彼の勇気と希望の力が形となったソレは、宇宙の輝きよりも雄々しく美しい――しかし今、その輝きには悲しみも宿っていた。
「本気も超本気!! 超々熱血で!! 全力全開でいくぜ!!!!」
勇ましく名乗りを上げ、ヒーローは強大な敵に立ち向かう。力なき人々に、か弱き生命に、その背中は希望を与えるだろう。しかし彼の素顔は仮面に隠され、心情を推し量ることはできない。奇しくも今対峙している敵と同じように。
「地球の民よ。我が【|三裂せし射手座の矢《サジタリウス・トリフィド》】により、その儚き命を散らせ」
ゾディアックの手からは分裂を繰り返す星光が、天空からは射手座の光矢が降り注ぐ。すでに星々の審判は覆され、「ガンマ・レイ・バースト」による魅了効果は失われているが、それでも星の魔力を操る彼女のユーベルコードが脅威であることに変わりはなかった。
「うおおおおおおおッ!!」
清導に撤退や後退の選択肢はない。全霊の力を拳に宿し、放たれる光矢を弾き飛ばしながら、前に突き進むだけだ。
弾かれた矢は誰もいない遠くに着弾し、ピンクと青の星光を散らす。あの光には回復作用もあるようだが、範囲内にゾディアックがいなければ無意味である。
「ブレイジング・ナックル!」
「ぐぅッ……!!」
そのまま至近距離まで接近した清導は、がむしゃらに拳を叩きつける。いかにデウスエクスが不滅の存在といえど、不撓不屈のヒーローとなった彼と殴り合えば、いつかは力尽きるであろう。致命傷や疲労の蓄積でさえ、今の彼を止めることはできない。
「これが! オレの! 全力だ!!」
その胸に勇気ある限り、黄金の光焔は煌々と燃え上がる。だが、殴るたびに清導の拳には痛みが走る。仮面で顔を隠しても、揺るがぬ決意で鎧っても、感情は決して消えはしない。それでもヒーローは拳を振るい続ける――悪が倒れるその時まで、護ると決めたもののために。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
美しいUCだと?そんなものよりパワーの方が大事ではないか!
さっちゃん「…待って下さい主様!此処は一つ…あの料理忍術を使うべきでは!(必死」
…む…あれは邪道中の邪道なのだが…
「あれこそ最強の美です!その後奴は好きにしていいから!」
む…確かに奴の血は美容に良さそうだ…仕方あるまい!
「…ほっ」
【戦闘知識・第六感・見切り】
敵の動きと能力を解析
その美しさの性質も
【念動力・弾幕・空中機動】
飛び回り念動障壁を展開して回避
【料理・爆破】
UC発動
お前の美しさは視覚でしかない
ならば
全てを満たす真の美を見せてやろう
懐石料理(MS一任
見目も拘り
触感
味覚
嗅覚
音感
温感
全てを美に満たし…爆破!!
尚、血の採取は行う
「美しいユーベルコードだと? そんなものよりパワーの方が大事ではないか!」
何事も基本的に合理性を優先する皇・絶華(影月・f40792)は、わざわざ戦闘中に見栄えを意識する意義を感じられなかった。万物を魅了する「ガンマ・レイ・バースト」を無効化するには、敵よりも美しいユーベルコードを放つ必要があると言われても、いまいちピンとこない。
「……待って下さい主様! 此処は一つ……あの料理忍術を使うべきでは!」
「……む……あれは邪道中の邪道なのだが……」
そんな彼に必死のアドバイスをするのは、連環神機『サートゥルヌス』の人間態である黒髪少女「さっちゃん」だ。
絶華がこのままパワー重視でゴリ押した場合、色んな意味でヒドいことになると予想できたのだろう。本人が気乗りしなくても、ここは例のアレを使ってもらわければ。
「あれこそ最強の美です! その後奴は好きにしていいから!」
「む……確かに奴の血は美容に良さそうだ……仕方あるまい!」
相棒にここまで説得されては無碍にもできまい。若干やる気を出した絶華に、さっちゃんは「……ほっ」と一安心。
方針が決まればあとは実戦あるのみだ。美しさで勝てる自信はあっても『黄道神ゾディアック』は強敵に違いない。
「来たれ、【牡牛座の超新星】よ」
ゾディアックが詠唱を紡ぐと、超新星の煌めきが頭上全てを覆い尽くす。白き光を纏った彼女の姿は、まさに星神と呼ぶに相応しく、佇むだけで中性子線を戦場全域に放つ。ただの人間であれば、その圧倒的な美を前にして何もできずに死んでいくだろう――。
「お前の美しさは視覚でしかない。ならば、全てを満たす真の美を見せてやろう」
しかし絶華は落ち着いて敵の動きと能力を解析し、その美しさの性質も見抜いていた。念動力の障壁を張りながら空中を跳び回り、中性子線の嵐を回避しつつ星神ゾディアックに迫る。果たして彼が言う「真の美」とは一体何なのか。
「極めて……極めて不本意だが……必要ならば仕方あるまい……我が虐殺料理……此処に披露しよう」
発動するのは【料理忍術『爆獄』】。現れたのは、膳に盛られた懐石料理のセットであった。基本となる一汁三菜をベースに、魚料理や菓子なども加え。食器のデザインから盛り付けまで丁寧に拘り抜かれたそれは、ある集の芸術作品の如き美しさを備えていた。
「こ、これは……?!」
デウスエクスは本来、グラビティ・チェイン以外のエネルギーを活動に必要としない。にも関わらずゾディアックは絶華の用意した料理から目が離せなかった。見た目が美しいだけでなく、触感、味覚、嗅覚、音感、温感、全てを美に満たした逸品は、星々さえも虜にするほどの魅力を放っていたのだ。
「さあ食うがいい」
「い、いただこう……うっ!!!」
敵の作ったものだと分かってはいても、促されるまま料理を口に運んでしまう。その瞬間、ゾディアックはかっと目を見開いて叫んだ。毒などという無粋な仕込みがあったわけではない――ただ美味すぎて、肉体が衝撃を受け止めきれなかっただけだ。
「ち、地球の民は……これほどに、素晴らしいものを……ぐわぁっ!!」
あまりの美味さに耐えきれなかったゾディアックは(なぜか)爆発して吹っ飛ぶ。これが、絶華がこの忍術を邪道としていた理由である。どんなに絶品でも食べた者がノックダウンしまうのでは、おいそれと振る舞えないではないか。
「まあ、今回は役に立ったがな」
爆発したゾディアックから飛び散った血をちゃっかり採取して、絶華は調理器具を片付ける。この血を使って次に彼が何をするつもりなのかは、あまり聞かないほうがいいかもしれない。さっちゃんがすごーく不安そうな顔で明後日の方角を見ていたから。
大成功
🔵🔵🔵
月隠・新月
人間の言う『美しさ』はよくわからないことが多いのですが……俺の目にも、奴のユーベルコードは美しく映ります。
美しさの基準は各々で違いますが、それでもあらゆるものを魅了するとは、十二剣神らしい異常性ですね。
俺は【ブランクオベリスク】で奴を攻撃しましょう。
この|透明な《ブランク》オベリスクに、奴の披露する超新星の煌めきを吸収すれば(【魔力吸収】)、劣らず美しく見えるはずです。
このオベリスクは脆いものですが、儚さもまた美しさでしょう。俺は強靭な方が好きですが、判断するのは天空の星々ですので。
奴の放つ中性子線、あまり浴びたいものではありませんね。中性子線を防ぐため、水を【魔力具現化】して防御しましょう。
「人間の言う『美しさ』はよくわからないことが多いのですが……俺の目にも、奴のユーベルコードは美しく映ります」
星の魔力を自在に操る『黄道神ゾディアック』のユーベルコードを見上げ、月隠・新月(獣の盟約・f41111)はそう呟いた。悠久の時を経た星々の光が紡ぎ、束ね、描くものには、文化や種族の価値観を超えた普遍的な美しさがある。
「美しさの基準は各々で違いますが、それでもあらゆるものを魅了するとは、十二剣神らしい異常性ですね」
「お褒めに預かり光栄だ、と思っておこう」
彼女の前でゾディアックが披露するのは【牡牛座の超新星】。頭上全てを覆い尽くす超新星の煌めきが、剣神を白き光纏う星神に変える。荘厳とさえ形容できる美しさではあるが、この光は地球の生命にとって友好的な存在ではない。
「現れ、写し、砕く。此方は白紙のオベリスク」
対して新月は【ブランクオベリスク】を発動。詠唱により現れたのは、一切の記述が刻まれない透明なオベリスク。
画家のキャンバスと同じように、それは何にでも染まりうる。味方の色にも、敵の色にも、どんな色を置くかは描き手次第。
(このブランクオベリスクに、奴の披露する超新星の煌めきを吸収すれば、劣らず美しく見えるはずです)
林立するオベリスク群が天上からの光を浴びて、燦然たる白色に輝きだす。空だけでなく地までもが光に染まる光景は、まるで水晶の森に迷い込んだかのよう。そしてオベリスクは光とともに取り込んだ魔力をもって、ゾディアックに攻撃を仕掛けた。
「このオベリスクは脆いものですが、儚さもまた美しさでしょう。俺は強靭な方が好きですが、判断するのは天空の星々ですので」
「なるほど、見事なものだ」
ゾディアックがオベリスクを迎撃すれば、砕け散る破片が刹那の美を演出する。星々の「ガンマ・レイ・バースト」も、その光景をより美しいと認めたようだ。魅了効果を失った星神は、純粋な威をもっての制圧に戦法を切り替える。
(奴の放つ中性子線、あまり浴びたいものではありませんね)
中性子線を防ぐため、新月は魔力で水を具現化して防御する。水分に含まれる水素原子は中性子を遮断し、効率的に威力を減衰させる。完全に防ぐためには大量の水が必要となるが、ブランクオベリスクは彼女の魔力の結晶でもあり、具現化用のエネルギーに不足はない。
「どうやら、俺の勝ちのようです」
「認めよう。やはり一筋縄ではいかぬな」
結晶と水と光が織りなす饗宴が、剣となり盾となりて黄道神を攻め立てる。この星を守護するケルベロスの実力を、ゾディアックは今一度改めざるを得なかった。その身を護る鎧兜は罅割れ、肌に滲んだ血が劣勢を物語っている――。
大成功
🔵🔵🔵
ベリル・モルガナイト
美しさ。……私は。盾の騎士。
なれば。私の。示すべき。美しさは。唯一つ。
この身。砕けようと。星々に。示すのみ。
周囲の。物体を。宝石の盾に。変換。
こちらも。戦場上空に。展開。
放たれる。銀河光を。星々の。判断が。下るまで。防ぎ続けます。
私が。示すのは。宝石の。美しさだけに。あらず。
この盾は。守る意思の。高まりで。より硬さを。増すもの。
この星を。この世界を。守らんとする。意思の。美しさこそを。示しましょう。
魅了が。無効化された。ならば。その瞬間に。盾の。矛先を。ゾディアックへと。
無数の。盾を。使った。特大の。【シールドバッシュ】を。浴びせましょう。
美しさとは。目に。見えるもの。だけに。あらず。
「美しさ。……私は。盾の騎士。なれば。私の。示すべき。美しさは。唯一つ」
単純な武威ではなく美を競い合えと言うなら、ベリル・モルガナイト(宝石の守護騎士・f09325)の回答は決まっていた。モルガナイトのクリスタリアンである彼女の容貌は、ただ佇んでいるだけでも芸術品のようだが、彼女が魅せようとする「美」はそこではない。
「この身。砕けようと。星々に。示すのみ」
「……何をするつもりだ?」
その発言に並々ならぬ覚悟を感じ取った『黄道神ゾディアック』は、「ガンマ・レイ・バースト」の審判が覆る前に彼女を討ち取らんとする。戦場上空に偽造されたヘリックス星雲――【地を睨む水瓶座の神瞳】から、滅びをもたらす銀河光が放たれた。
「ここに。立つは。幾度。砕けようとも。立ち上がる。煌めきの。守護」
対するベリルは周囲の無機物を宝石の盾に変換。【其れは誉れ堅き薄紅の城塞】を、こちらも戦場上空に展開する。
天上の「神の目」から連続照射される銀河光は、またたく間に盾を削っていくが、砕けるたびに宝石は再構築され、より輝きを増していく。
「美しい盾だ……だが、それだけでは星は靡かない」
「私が。示すのは。宝石の。美しさだけに。あらず」
この盾は、守る意思の高まりに応じて、より硬さを増すもの。ベリルが示したいのは見た目の煌びやかさではない。
なぜ戦うのか、なぜ盾を掲げるのか。このユーベルコードには、彼女がここに立つ理由そのものが表現されている。
「この星を。この世界を。守らんとする。意思の。美しさこそを。示しましょう」
どんな宝石よりも硬く、美しい、守護騎士の決意。それが黄道神のユーベルコードに勝るものか、星々の判断が下るまで、ベリルは銀河光を防ぎ続ける。地に降り注ぐ滅びを一条たりとも通さない、有言実行の守備を披露することで。
「ッ……」
そして幾度目の攻防であったか――割れた宝石の破片のひとつがゾディアックの顔を掠め、頬に小さな傷をつけた。
それはガンマ・レイ・バーストの魅了が無効化された証。その瞬間にベリルは盾の矛先をゾディアックへと向ける。
「美しさとは。目に。見えるもの。だけに。あらず」
宝石にも星々にも勝る美とは、魂に宿る。騎士の意志に照らされたモルガナイトの盾は、今こそ最高の輝きを発す。
このユーベルコードの用途は防御に限らず。無数の盾を使った特大のシールドバッシュが、黄道神に浴びせられる。
「なんと清らかで、美しき魂よ……がはぁッ!!」
戦場にて己の信念を通しきったベリルの強さを、ゾディアックも認め――そして薄紅の城塞に押し潰される。鉄壁の強度と質量を誇る盾は、武器とすれば何物にも防ぎ得ない。敵を讃える余裕こそあれ、彼女が追い詰められているのは紛れもない事実だった。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィルジニア・ルクスリア
ゾディアックの攻撃よりも美しいユーベルコード?
十二剣神のリーダー格の強敵を相手をするだけでも大変なのに、面倒なこと極まりないわね。
相手も「ゆりかご」の為に画策しているみたいだけど私たちも負けるわけにはいかないわ。
見せてあげる、美しいユーベルコードを!
『聖杯降臨』発動
超メガリス「聖杯」の力で自身を強化、更に『神火旋渦』発動
高速で旋回して渦巻く創世記の炎。
これなら、天空の星々の美しさにも負けてない……はず。
普段よりも多く現れる炎の三分の一を自身の周囲に展開して相手からの攻撃に備える。
残りの炎で相手の超再生力を上回るように【焼却】するわ。
※アドリブ歓迎
「ゾディアックの攻撃よりも美しいユーベルコード? 十二剣神のリーダー格の強敵を相手をするだけでも大変なのに、面倒なこと極まりないわね」
仮に小細工なしで戦ったとしても『黄道神ゾディアック』は手強い相手だろう。それが「ガンマ・レイ・バースト」の加護を受け、万物を魅了する力まで備えている。十二剣神がそこまでするのは、デウスエクス側もこの戦争に種族の存亡がかかっているからだろう。
「相手も『ゆりかご』の為に画策しているみたいだけど私たちも負けるわけにはいかないわ」
地球と生命の未来を託されている以上、背負う責任はヴィルジニア・ルクスリア(|甘やかな毒《ダークメルヘン》・f36395)も同じ。果たして明日を手にするのはどちらになるか――上空に創造された【地を睨む水瓶座の神瞳】を見上げ、彼女は決戦の大舞台に上がる。
「見せてあげる、美しいユーベルコードを!」
発動するのは【聖杯降臨】。超メガリス「聖杯」を我が身に憑依させ、その力で自身を強化するユーベルコードだ。
聖杯の加護は他のユーベルコードにも及び、効果を倍増させる。これを活かしてヴィルジニアはさらに【神火旋渦】を発動させた。
「燃え盛れ」
現代に蘇りし創世記の炎が、高速で旋回して渦を巻く。紅蓮が大地を舐め、天空さえ火の粉で焦がすさまは、原初の時代を再演するかの如し。普通の人なら呼吸することさえできない熱気だが、その光景はある種神々しくすらあった。
「これなら、天空の星々の美しさにも負けてない……はず」
「星よりも古き創世の火か……なるほど。大したものだ」
炎の渦から飛び散った火の粉が、ゾディアックの髪の毛先を焦がす。些少でも火傷を負ったということは、ガンマ・レイ・バーストの効果は予想通り無効化できたらしい。とはいえ攻撃が通るようになっただけで、敵の戦闘力が衰えたわけではないが。
「ここからは実力勝負ね」
「その通りだ。全力で行かせて貰う」
【聖杯降臨】の効果で【神火旋渦】の炎は普段よりも多く現れる。そのうちの3分の1をヴィルジニアは自身の周囲に展開して、相手からの攻撃に備える。天空に浮かぶ「神の目」は、今も地上を睥睨しており――ゾディアックが号令を発した瞬間、無数の閃光を解き放った。
「分かっていたけれど、やっぱり美しいだけじゃないわね」
滅びをもたらす銀河光が、創世記の炎と衝突し、互いを打ち消しあう。単純な破壊力も連射力も凄まじいものだが、そう簡単に突破はさせない。防御用の渦が【地を睨む水瓶座の神瞳】を抑えている間に、ヴィルジニアは残りの神火をひとつに纏め、ゾディアック本体に反撃を仕掛けた。
「なら、あなたも。炎の美しさを見るだけでなく、直に感じてみなさい」
「この私を、焼き尽くす気か……!」
ヘリックス星雲の加護により星神へと変じたゾディアックは、並大抵の攻撃では傷つかない超再生能力を得ている。
しかし集束された【神火旋渦】はその超再生すら上回る火力で、彼女の肉体を焼却する。骨の髄まで焼き尽くさんとする熱量に、黄道神はたまらず苦悶の表情を浮かべた――。
大成功
🔵🔵🔵
エリー・マイヤー
いやー、絶景ですね。
他の世界でもそうは見ない、美しい星空です。
実に素晴らしい。
この空を平和に楽しめたなら、より素晴らしかったのですが。
まぁ、言っても始まりませんね。
お仕事お仕事。
さて、満天の星空で出迎えていただいたわけですし…
こちらも相応にキレイなものを披露しないとですね。
まず、サイキックエナジーを放ち、周囲を満たします。
そして、それを渦巻くように大きく回転させます。
【念動トルネード】。
サイキックで青く輝く、巨大な光の渦。
その雄大にして神々しい破壊現象をもって、敵を星雲ごと吹き飛ばします。
本来なら、この世界ではお目にかかれないであろう光景です。
たっぷり目に焼き付けるといいでしょう。
「いやー、絶景ですね。他の世界でもそうは見ない、美しい星空です」
戦場の上空に浮かぶ巨大な星々の煌めき――「神の目」とも称されるヘリックス星雲を見上げて、エリー・マイヤー(被造物・f29376)は称賛の言葉を述べる。遥か数百光年彼方の星から放たれたガスと光が、地球を睥睨する瞳のように映るさまは、壮大にして神秘的である。
「実に素晴らしい。この空を平和に楽しめたなら、より素晴らしかったのですが」
この星空は敵のユーベルコードであり、目的は観賞用ではなく地球侵攻である。あの【地を睨む水瓶座の神瞳】から降るのは、滅びをもたらす銀河光。美しさに魅了されて眺めていたら、たちまち息の根を止められるのが残念な所だ。
「まぁ、言っても始まりませんね。お仕事お仕事」
エリーとて、ここに来た目的は天体観測ではない。星雲からの光撃に気をつけながら、この美しきユーベルコードの創造主――『黄道神ゾディアック』を見やる。「神の目」と「ガンマ・レイ・バースト」の加護を受けし十二剣神は、星々を統べる者にふさわしい威光を纏っていた。
「さて、満天の星空で出迎えていただいたわけですし……こちらも相応にキレイなものを披露しないとですね」
「拝見させてもらおう。その美しさが、星々の輝きを超えられるというのであれば」
星々に「美しさ」を認めさせなければ、どのような手段でもゾディアックを傷つけることは不可能。そこでエリーはまず、莫大な規模のサイキックエナジーを放ち、周囲を満たす。そして、それを渦巻くように大きく回転させ始めた。
「本来なら、この世界ではお目にかかれないであろう光景です」
サイキックで青く輝く、巨大な光の渦。念動能力者であるエリーが現出させたのは、天災級の【念動トルネード】。
竜巻状に指向された運動エネルギーの暴力は、範囲内に存在する全てをまとめて吹き飛ばす。エリー本人ですら制御をしくじれば暴走の危険があるほどだ。
「これは……!!!」
その雄大にして神々しい破壊現象を前に、ゾディアックは言葉を失う。グラビティ・チェインと異なるエネルギーに由来したエリーのユーベルコードは、彼女の理解と想像を超えていた。それはきっと、この世界の星々も同じだろう。
「たっぷり目に焼き付けるといいでしょう」
サイキックエナジーの出し惜しみはしない。最大規模の【念動トルネード】で、エリーは敵を星雲ごと吹き飛ばす。
上空の「神の目」がかき消されると同時にガンマ・レイ・バーストの加護も消え――魅了の力を失ったゾディアックは、生身でサイキックの暴威に晒される。
「お、おぉぉぉぉぉ……ッ!!!」
目を閉じることもできない破壊の大渦。たまらず絶叫するゾディアックの身体が、軋み、歪み、引き裂かれていく。
美しさにも様々なパターンがあるが、エリーが魅せたのは誰も触れることを赦されぬ、圧倒的な破壊の美であった。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
難しい戦場なのは重々承知してる
けど…俺自身がこの暴虐を許せそうにない
勝手に攻めてきて勝手に搾取を行う
滅ぼそうとする
勝手に魅了して勝手にダメを突き付ける
強大なモノだからって
何故泣いて諦めると思うのか
そんな身勝手は絶対にお断りだ!
だから、覚悟を決めた
猟兵になって沢山のUCを見出し編み出した
今の自分が一番美しいと感じるのは
俺自身が焦がれて望んだ光の果て
思い定めて静かに終焉光を詠唱する
魅了は確かに感じるけれど
今俺が放つのは創世に顕れた光
刻も未だ存在しない宇宙に迸った
始原の光そのもの
銀河も星も無い一番最初の
誰も見た事がないはずの光の奔流を
全霊で送り出す!
全ては始まり終わるもの
お前たちの暴虐に終焉を導こう
「難しい戦場なのは重々承知してる。けど……俺自身がこの暴虐を許せそうにない」
美しき星々の魔力が支配する戦場で、葛城・時人(光望護花・f35294)は怒りに震えていた。「ガンマ・レイ・バースト」の加護を受けた『黄道神ゾディアック』は今、自らの手で地球の生命を滅ぼさんとしている。この星に宿るグラビティ・チェインを、根こそぎ奪い尽くすために。
「勝手に攻めてきて勝手に搾取を行う、滅ぼそうとする、勝手に魅了して勝手にダメを突き付ける。強大なモノだからって、何故泣いて諦めると思うのか」
なにが十二剣神だ。宇宙にいるデウスエクスのために、地球人に死ねというのか。その暴虐で苦しんでいる人々を、そして立ち向かおうとする人々を、時人はこの戦争を通じて何度も見てきた。彼らはまだ、誰一人として諦めてなんかいない――故にこその|全世界決戦体制《ケルベロス・ウォー》だ。
「そんな身勝手は絶対にお断りだ!」
だから、時人も覚悟を決めた。猟兵になって沢山のユーベルコードを見出し、編み出してきたが、その中でも今の彼が一番美しいと感じるのは彼自身が焦がれて望んだ光の果て。ゾディアックが創造した【地を睨む水瓶座の神瞳】にも勝ると、確信を持てるものだ。
「光の果ては永遠の闇……終わりを導こう」
思い定めて、静かに囁くは【終焉光】の詠唱。ひとたび発動すれば本人にも中止不能となる、激烈なる創世の光だ。
其はまさに原初にして終焉。都市にまたたく人工の光とも、夜空に浮かぶ星々の光とも異なる光を、彼は喚び出す。
「私を許せないと言うのなら、魅せるがいい。貴方の光を」
対するゾディアックも白き光を身に纏い、【地を睨む水瓶座の神瞳】から滅びをもたらす銀河光を放つ。時人の怒りと糾弾に弁明する言葉を彼女は持たない。許されざる非道と知った上で、デウスエクスの未来のため、悪を貫く覚悟があるだけだ。だからこそ彼女のユーベルコードは美しく、生命体も無機物も等しく魅了する――けれど。
「今俺が放つのは創世に顕れた光。刻も未だ存在しない宇宙に迸った、始原の光そのもの」
銀河も星も無い一番最初の、誰も見た事がないはずの光の奔流を、時人は全霊で送り出す。上空の「神の目」に着弾した【終焉光】は、滅びの光ごと星雲の一部を消滅させた。それは星々の審判が、彼のユーベルコードをより美しいと認めた証。
「全ては始まり終わるもの。お前たちの暴虐に終焉を導こう」
時人の【終焉光】は数分間に渡って放たれ続ける。偽りの星雲を消滅させ、星神の権能を剥ぎ取るには十分な規模。
いかに超再生能力を得ていたとしても、全てを消し去る創世光を浴び続けては、肉体の修復が追いつくはずもない。
「ここが、私の終焉だというのか……だとしても……!」
鎧を剥がれ、身体を削がれ、重傷を負うゾディアック。敗色濃厚を実感しながらも、彼女の目はまだ死んでいない。
彼女の目的はこの戦いに勝利することではない。終戦後の未来まで見据えて、己の命をなげうつ覚悟であった――。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
美しさ……なんとも曖昧なものに委ねねばならないのですね
我が光こそが至高であると信じるしかありませんね
白き翼の姿に変身、空を翔ける(空中戦)
聖なるかな聖なるかな聖なるかな
詠唱を繰り返しながら飛翔し、銀河光の連続攻撃を避ける(空中機動)
我が身に光が集う(神聖攻撃・集中力)
充溢する光と熱の魔力を練り上げる(全力魔法)
【気合い】と【根性】で【限界を突破】して無限に威力を強化する
そう、「ガンマ・レイ・バースト」に対抗するなら、これをおいて他になし
天に煌めく星々よ、我が極光の一撃を見るがいい
【至高天極星砲】ッ!!
「美しさ……なんとも曖昧なものに委ねねばならないのですね」
何をもって美しいとするか、美しさに優劣をつける基準は、人によって千差万別。武力による明白な決着がつく戦いよりも見方によっては難関かもしれないと、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は考える。
「我が光こそが至高であると信じるしかありませんね」
今回判断するのは天空の星々とはいえ、結局の所は自分の信じた「美しさ」を見せつける他にできる事はない。白き翼の戦乙女の如き姿へと変身したオリヴィアは、上空にて待ち受ける『黄道神ゾディアック』に向かって空を翔けた。
「来るか。私の【地を睨む水瓶座の神瞳】を、どう破る?」
星々の「ガンマ・レイ・バースト」を浴びたゾディアックのユーベルコードは「神の目」とも呼ばれる巨大な星雲を創造する。その神瞳より放たれる銀河の光は、あまねく敵を滅ぼす矢でありながら、無機物さえ魅了するほど美しい。
「聖なるかな聖なるかな聖なるかな」
矢継ぎ早に放たれるその銀河光を避けながら、オリヴィアは詠唱を繰り返す。素晴らしい空中機動だが、避けているだけでは突破口は開けない。星の審判を覆してこちらの攻撃を通じさせるには、本人も言ったように「至高」の輝きが必要だ。
「聖なるかな聖なるかな聖なるかな」
幾度も幾度も詠唱を繰り返すうちに、オリヴィアの身体に光が集う。敵が星々の魔力ならこちらもまた恒星の如く、充溢する光と熱の魔力は触れれば火傷では済むまい。彼女はそれをさらに練り上げて、一極に束ねるように集中する。
(そう、「ガンマ・レイ・バースト」に対抗するなら、これをおいて他になし)
奇しくもユーベルコードの名称に共通点があったのは、まったくの偶然だが。ならばそれを運命に変えてみせよう。
降りかかる星の光にも負けぬ、無窮の神威をここに。純白の光熱を身に纏いながら、彼女は聖槍を天に突き上げた。
「天に煌めく星々よ、我が極光の一撃を見るがいい」
攻撃に晒されながらも詠唱を続けたそのユーベルコードは、気合いと根性で限界を突破し、無限に威力を強化する。
そして今、解き放たれる光熱は超極大破壊光線となり、ゾディアックと【地を睨む水瓶座の神瞳】を一直線に貫く。
「【|至高天極星砲《エンピレオ・ガンマレイ》】ッ!!」
「――……!!!!」
この極光の前では星雲の光さえも翳るであろう。眩さばかりが基準ではないが、全てを呑み込むその輝きは、星々に「美しい」と認めさせるに十分なもの。あまりに鮮烈なオリヴィアの一撃に、ゾディアックも思わず言葉を失い――。
「……美しい、な」
その絞り出すような一言が、万象滅尽の極光に灼かれたゾディアックの賛辞だった。「神の目」が与えた超再生能力でも、まるで回復が追いつかない超火力。偽りの星雲は消え去り、そこには全身焼き焦がされた黄道神の姿があった。
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
『美しさは罪』とはどこかで聞いた詞ですが、実際“黄道神”ゾディアックの罪な術式を美しさで上回らなければなりません。頑張ります。
「全力魔法」夢の「属性攻撃」「範囲攻撃」「催眠術」「結界術」でサイコフィールドを展開。
普段なら鴇色の空間が広がるだけですが、今回は「アート」に挑戦してみます。
メルヘンチックなお星様や三日月や天の川を結界内に配置して、ベガとアルタイルも忘れずに。
防御に関しては、結界に「オーラ防御」を上乗せした上で、そもそも味方は回復する領域ですから。
眠くなってきませんか、“黄道神”?
あなたの見る夢を「精神攻撃」で結界に引き出し、皆さんに見てもらいましょう。
夢の担い手を舐めては困ります。
「『美しさは罪』とはどこかで聞いた詞ですが、実際“黄道神”ゾディアックの罪な術式を美しさで上回らなければなりません。頑張ります」
地球の生命を滅ぼすために披露されるゾディアックの美は、紛れもなく罪であろう。「ガンマ・レイ・バースト」の審判を覆し、万物を魅了する力を無効化するために、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)は気合いを入れる。
「さあ。貴女は何をもって私のユーベルコードに挑む?」
対するゾディアックは【牡牛座の超新星】で迎え撃つ。頭上全てを覆い尽くす超新星の煌めきは、彼女を白き光纏う星神に変身させ、戦場全域を中性子線による攻撃範囲に収める。ただ美しいだけではなく、殺傷力も極めて高いユーベルコードだ。
「今回は『アート』に挑戦してみます」
ゾディアックが紡ぎあげた星の芸術に対抗して、芽亜は【サイコフィールド】を展開。夢の魔法に催眠術や結界術を複合させたそれは、普段なら鴇色の空間が広がるだけだが、彼女はそこにひと手間加え、メルヘンチックなお星様や三日月や天の川を結界内に配置していく。
「ベガとアルタイルも忘れずに」
天の川を挟んで織姫と彦星がまたたく様は、一足早く七夕が訪れたよう。夢幻の産物だからこそ表現できる、現実にはない美しさ。天空の星々もそれを認めたのか、ゾディアックの下から「ガンマ・レイ・バースト」の輝きが消えた。
「自らの想像力で星空を創り上げるか。見事なものだ」
芽亜の魅せた美をゾディアックも称賛しつつ、超新星より中性子線を降り注がせる。魅了が消えたとはいえユーベルコード自体は継続中であり、攻撃力に変化はない。芽亜もそれを把握した上で、結果としても機能するユーベルコードを使ったのだ。
「そもそも味方は回復する領域ですから」
オーラで防御力を上乗せされた結界が中性子線を減衰させ、防ぎきれなかったダメージも夢幻によって癒やされる。
同時にこちらからも攻撃は始まっている。夢の魔力を操り紡いだフィールドは、敵の肉体ではなく精神を侵食する。
「眠くなってきませんか、"黄道神"?」
「む……これは……!」
ふいに襲いかかってきた強烈な睡魔が、ゾディアックを眠りの淵に沈めようとする。十二剣神ともなれば心身ともに強靭であろうが、激戦による消耗が精神に隙を作る。夢を操ることにかけては一線級の芽亜は、その隙を見逃さない。
「あなたの見る夢を、皆さんに見てもらいましょう」
「な……やめろ!」
慌てたところでもう遅い。ゾディアックの精神から引き出された夢が、結界をスクリーンのようにして投影される。
それは「ゆりかご」の中で育まれたデウスエクスの子供達が、健やかに暮らす光景――彼女が夢見るのは、あくまでデウスエクスの未来であった。
「夢の担い手を舐めては困ります」
なぜゾディアックがこのタイミングで派手な攻勢を仕掛けてきたのか、予知情報の裏付けも取れた。「ゆりかご」の対処は別件に任せるとして、芽亜は【サイコフィールド】の出力を高め、より深い眠りへと敵を落とさんとする。彼女の結界に囚われた時点で、十二剣神の夢は潰えるが定めだ――。
大成功
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リンカ・ディアベルスター
いいだろう、私の美しいユーベルコードによる超新星をお見せしよう!
と指定UCと指定UCの効果でUC記憶の星神『浮耀』を発動する
知恵の力による超越概念干渉魔法と記憶を司る力で再現したスペースオペラワールドの超新星を再現して後は天空の星々に任せる
さあ、反撃と行こうか!
敵のUCは心眼と『知恵』の力により超越次元移動で中性子線を回避しつつ高速詠唱で結界術を展開する
これならどうかな?
超越概念干渉魔法と衝撃波を組み合わせた技で敵に攻撃した
「いいだろう、私の美しいユーベルコードによる超新星をお見せしよう!」
敵よりも美しいユーベルコードを披露することで「ガンマ・レイ・バースト」の魅了を無効化する。このミッションに対してリンカ・ディアベルスター(星神伝説を知る開拓者・f41254)は、ふたつのユーベルコードを同時発動した。
「知恵の星神よ、記憶の星神よ、私を導いてください!」
黒い機械と銀色の触手が混じった【『知恵』の星神 ミスティ】は、人智を超えた叡智で超越概念干渉魔法を操る。
そして身体が水晶でできた【記憶の星神『浮耀』】は、その名の通り記憶を司る。このケルベロスディバイド以外の世界の記憶も含めて、だ。
「これでどうだ!」
二柱の星神の権能にて再現するのは、スペースオペラワールドの超新星。それは『黄道神ゾディアック』が披露した【牡牛座の超新星】にも負けぬ煌めきをもって戦場を照らす。いずれ劣らぬ美しさなれば、ガンマ・レイ・バーストも一方に肩入れはできまい。
「自信に違わぬか。私もこれほど美しい超新星にはそうそうお目にかかったことはない」
ゾディアックもリンカと星神の御業を讃えつつ、魅了効果が消えたとなれば即座に直接攻撃に切り替える。上空より降り注ぐ中性子線のレーザーは、生命体にとっては致命的な害をもたらす死の光。たとえ猟兵でも無事では済まない。
「当たらないよ!」
リンカは己の心眼と『知恵』の力により、次元を超越した移動で中性子線を回避。さらに高速詠唱で結界を展開し、防御を盤石とする。頭上を覆う【牡牛座の超新星】からは、なおも攻撃が続いているが、これで暫く持ち堪えられる。
「さあ、反撃と行こうか!」
知恵の星神の魔法は単なる演出用ではない。無限の知識から編み出される秘儀の数々は、攻撃に用いれば威力抜群。
リンカはその魔法を衝撃波と組み合わせることで、時空を震撼させる波動を生み出し、ゾディアックに解き放った。
「これならどうかな?」
「ッ……凄まじいな……!」
星々の魔力を操るゾディアックだが、リンカの連れてきた異界の星神の力は、手に余るものであったらしい。衝撃波を受けた鎧が砕かれ、概念のレベルから肉体が破壊されていく。目視で確認できる以上に、彼女が受けたダメージは甚大だろう――。
大成功
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ゼーレ・ユスティーツ
美しいユーベルコードね…
『なら、僕に任せてほしいな』
呪神鎌エーリュシオンから声が聞こえると指定UCの効果で時空呪神・エーリュシオンを発動し神の姿へ変身した
『さてと…時空の神の力をお見せしよう…』
時空呪神エーリュシオンは自身の力で時空操し、ユーベルコード『時と空間』を発動し時空干渉と概念破壊の応用で超新星爆発から宇宙の創造する景色を作り出した
そしてどちらが美しいのかは天空の星々に判断してもらいます
後は斬るだけね…!
判定の結果戦えるなら自身の心眼とエーリュシオンの時空操で敵のUCにより発生した中性子線を回避する
スタールイー…レイド!
指定UCを発動して敵に攻撃した
「美しいユーベルコードね……」
殺伐とした戦場を生きてきたゼーレ・ユスティーツ(彷徨う『黒蝶の死神』・f41108)にとって、その要求はやや難易度が高いものだった。天空の星々を納得させられる「美しさ」を披露しろと言われても、すぐにはピンとこない。
『なら、僕に任せてほしいな』
そこに聞こえてきた声は、彼女が持つ「呪神鎌エーリュシオン」から発せられていた。呪鎌は自らの意志でユーベルコードを発動すると、黒いフードを被った【時空呪神・エーリュシオン】の姿に変身する。普段は表に出てこないが、今回は自分の力が必要だと判断したらしい。
『さてと……時空の神の力をお見せしよう……』
エーリュシオンは自らの力で時空を操り、ユーベルコード【時と空間】を発動。時空干渉と概念破壊の応用によって戦場の時空を一部歪め、星の終焉に生まれる絶景――超新星爆発から、さらには宇宙が創造される景色を作り上げる。
「なんと……!」
永い年月を生きるデウスエクスでさえ、その光景を実際に見た者は稀であろう。『黄道神ゾディアック』の披露した【牡牛座の超新星】も美しかったが、限定的とはいえ宇宙創世すら再現した時空呪神のほうがスケールでは凌駕する。
「……どうやら星々も、貴女達のユーベルコードを認めたようだ」
ゾディアックを照らしていた「ガンマ・レイ・バースト」の光が消える。星々の審判は下され、万物を魅了する力は失われた。それで本人の力が落ちたわけではないものの、これで彼女は他のデウスエクスと同じ――斬って倒せる相手になったわけだ。
「後は斬るだけね……!」
「そう簡単には……!」
大鎌形態に戻ったエーリュシオンを構え、敵に斬り掛かるゼーレ。ゾディアックも中性子線の放射で迎え撃たんとするが、呪神の時空操作は光の軌道さえも歪める。加えてゼーレ自身の心眼があれば、回避できない攻撃ではなかった。
「スタールイー……レイド!」
中性子線を躱し敵と肉薄したゼーレは、渾身のユーベルコードを発動。神速を超越した【無限影斬・スタールイー・レイド】が、頭上の超新星もろともゾディアックを斬り裂く。死の呪いを纏った大鎌は、不滅のデウスエクスにも一時の「死」をもたらす。
「ッ……やはり、侮れないな……『心』を所以とした、貴女達の強さは……」
臓腑に達した傷から鮮血を滴らせ、地に膝を屈しながら、黄道神は地球人類の奮戦を讃える。不死不滅の存在であるデウスエクスの侵略を、幾度となく跳ね除けてきた定命の者達を、彼女は侵略側のリーダーでありながら高く評価し、そして己の敗北を悟りつつあった――。
大成功
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紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
歌うのでっす。
全てを込めて歌うのでっす!
ゾディアックのお姉さんより美しくあるために?
違うのでっす!
藍ちゃんくんにとって、美しさは競うためのものではないのでっす。
美しさで勝つために歌ってるのではないのでっす。
ゾディアックさん相手だからではないのでっす。
いかなる相手であろうとも。
藍ちゃんくんは謳い続けてきたのでっす!
世界に!
己自身に!
胸を張れる藍ちゃんくんであり続けたい!
可愛く!
かっこよく!
美しい!
藍ちゃんくんでっすよー!
それでも。
ええ、それでも。
藍ちゃんくんの歌が、求道が、在り方が、UC。
より美しいのだと星々が感じてくださったのなら。
お姉さん自身さえもどこか認めて、矢を緩めてくださったのなら。
それは、お姉さんの美しさが藍ちゃんくんに負けたからではないのでっす。
お姉さんも。お姉さんの矢も。とてもとても美しかったのでっす。
ただ、今回その美しさは、囮や目眩ましとして用いられてしまった。
美しいだけではあれなかった。
純然たる美しさではあれなかった。
その純度の差、なのでっす。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
天の美しき星々と、十二剣神『黄道神ゾディアック』の前で、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は高らかに名乗りを上げ、そして歌う。美しいユーベルコードという題に、彼ほど適任な猟兵もそうはいるまい。己の美意識を貫くものこそが彼だ、と言う事もできるのだから。
「歌うのでっす。全てを込めて歌うのでっす!」
どこまでも響けとばかりに、本気の歌を戦場に披露する藍。歌唱力や芸術性という点で見ても確かにそれは美しい。
だが、これまで様々な猟兵が「美しさ」を表現してきたのを見てきたゾディアックは、彼の美しさの本質はそこではないように感じた。
「貴方の武器は歌なのか? 私のユーベルコードより美しくあるために」
「違うのでっす! 藍ちゃんくんにとって、美しさは競うためのものではないのでっす」
ゾディアックの問いかけに、間奏のパートで藍は否定する。彼は美しさで勝つために歌ってるのではないし、ましてゾディアック相手だからでもない。この戦争期間を通じて――いや、どんな世界で、どんな戦いであっても、彼のスタイルは一切ブレない。
「いかなる相手であろうとも。藍ちゃんくんは謳い続けてきたのでっす!」
何故そこまでと問われると、他人には理解が難しいかもしれない。少なくとも彼の人生のバックボーンを知らなければ分からない話だろう。ただそれでも、どれだけの覚悟をもって歌っているかは分かるだろう。そして「何故」の理由は案外シンプルなものだ。
「世界に! 己自身に! 胸を張れる藍ちゃんくんであり続けたい! 可愛く! かっこよく! 美しい!」
己が理想とする自分を世界に叩きつけるように、謳う。歌だけではなく、ファッション、パフォーマンス、あらゆる形で自分を表現する。誰かの評価を軸にするのではなく、あくまでも己を基準に。どんな逆風に見舞われても、決して卑屈にはなるまいと。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
何度でも、何度でも高らかに。全身全霊をもって放つのは、幸福を運ぶ青い鳥のオーラ。星空を包み込むように広がる翼が【三裂せし射手座の矢】を受け止める。分裂を繰り返す星光も、天より降り注ぐ光矢も、彼の歌を止めることはできなかった。
「………美しい、な」
藍の歌が、求道が、在り方が昇華したユーベルコードを、天空の星々だけでなく、ゾディアックも美しいと認めた。
競うためのものではないと彼は言ったが。それでも――或いは、だからこそ彼のユーベルコードは「より美しい」と感じ、「ガンマ・レイ・バースト」の魅了効果が失われる。そして黄道神自身も、矢を緩めた。
「それは、お姉さんの美しさが藍ちゃんくんに負けたからではないのでっす。お姉さんも。お姉さんの矢も、とてもとても美しかったのでっす」
攻撃が緩んだのを感じて、藍はゾディアックに声をかけた。慰めのつもりで言っているのではなく、本心から美しいと感じたことを。叶うならばこの降り注ぐ星光の元で、思いっきりライブをやることができれば、さぞ楽しかったことだろう。
「ただ、今回その美しさは、囮や目眩ましとして用いられてしまった。美しいだけではあれなかった。純然たる美しさではあれなかった」
ゾディアックには大義があり、自らを囮にしてでも護らねばならぬものがあった。だからこそ「最も美しいユーベルコード」で猟兵達の注意を引き付けたのだ。彼女の立場からすれば致し方のない事だが、だからこそ「純粋さ」が足りなかった。
「その純度の差、なのでっす」
「そうか……ふふ、敵わぬわけだな」
敗北の理由を悟り、どこか満足げな笑みを浮かべたゾディアックを。藍の【¡Ay qué bien!】が青い翼で包み込む。
幸福のオーラは戦闘意欲を完全に奪い去り――すでに負傷度には限界を迎えていた黄道神には、それがトドメの一撃となった。
「見事だ、猟兵、ケルベロス……地球の民よ。私の、敗北だ……」
全ての地球人に向けてそう告げて、黄道神ゾディアックは星々の光とともに消えていった。
十二剣神のまとめ役でもある星界の大魔術士は、かくして敗退を喫したのである。
大成功
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