潰せ! 悪の暗黒地下ベーゴマ大会!
「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵たちの前で、リミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「キマイラフューチャーにて、悪の暗黒地下ベーゴマ大会が問題になっています」
今なんて?
「悪の暗黒地下ベーゴマ大会です。怪人たちがキマイラフューチャーの都市の地下で、違法なベーゴマ試合を繰り返しているのです」
その大会ではベーゴマの不正改造、レギュレーション違反は当たり前。場外乱闘から対戦相手の闇討ちまで何でもありという、まさにベーゴマ界の暗黒(ダークネス)。
だがそれゆえに通常のベーゴマでは味わえないスリリングな試合は、刺激に飢えた一般キマイラの心を捉えて離さない。
「大会の様子は動画配信もされており、再生数は余裕のミリオン越え。このままでは善良な一般キマイラの方々が悪いベーゴマの魅力に取り付かれ、なんやかんやで怪人の手先になってしまいます」
なんやかんやって何だ。
大事なところをぼやかされた猟兵たちだったが、構わずにリミティアは話を続ける。
「怪人の企みを放置するわけにはいきません。リムは悪の暗黒地下ベーゴマ大会殴り込み作戦を提案します」
ベーゴマにはベーゴマで対抗。怪人が操る悪のベーゴマを、猟兵の正義のベーゴマの力で打ち破ることで、人々の目を覚まさせるのだ。
正義のベーゴマとは何ぞや、という問いに対し、リミティアの回答は一言。
「勝てば正義です」
なんと分かりやすいことか。
「無事に大会を壊滅させても、この大会を主催していた怪人はまた別の場所で同じような地下ベーゴマ大会を開くかもしれません。逃さず撃破してください」
猟兵の熱いベーゴマ魂がキマイラフューチャーに平和を取り戻すことを信じて、リミティアは手のひらにグリモアを浮かべる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回のシナリオはキマイラフューチャーにて、怪人主催の地下ベーゴマ大会に殴り込み、これを壊滅させるついでに怪人を退治するのが目的になります。
ぶっちゃけ試合と怪人を潰せれば手段は何でも良いです。ですが無理やりベーゴマにこじつけて行動したほうがプレイングボーナスが付きやすいかもしれません。
一章では悪のベーゴマを操る怪人たち(集団戦にも出てこないザコです)とのベーゴマ勝負を繰り広げ、二章以降は大会を主催する怪人たちとの戦闘になります。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『ベイゴマ対決で勝利せよ!』
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POW : 重たいベイゴマで周りを蹴散らす。
SPD : 軽いベイゴマの速度で翻弄する。
WIZ : 特殊なベイゴマで作戦勝ちする。
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ククク……ついに来たかイェーガー……」
悪の暗黒地下ベーゴマ大会の会場に乗り込んだ猟塀たちを待ち構えていたのは、まるで最終回のようなオーラを放つボス怪人であった。
その姿は謎の黒いシルエットに覆われてよく見えない。まだ見ぬ強敵――そんな感じの雰囲気をかもし出している。
「この大会を潰しに来たか。だが貴様らの貧弱なベーゴマ力など、我らの鍛え上げたベーゴマ力の前では無力!」
ベーゴマ力とは何ぞや。それを説明してくれる者は誰もいなかった。
「これよりエキシビションマッチを開催する! 行け我が精鋭のベーゴマ使いよ!」
ボス怪人の号令が上がると、観客席からは一斉に歓声が上がり、邪悪なオーラを放つベーゴマを持った怪人たちが現れる。
とにかく勝て。そういう依頼だ。
黒城・魅夜
なるほど。勝てばいいのですか。
……勝てばいいのですね?(大事なことなので二回言った)
ベイゴマ、なるものはよくわかりませんが、【ロープワーク】や【早業】、それに【投擲】、【スナイパー】の技術ならば、多少腕に覚えがあります。
高速回転型のコマを使い、SPD勝負で蹴散らしていきましょう。
……さて。勝てばいいのですよね(大事なことなので)。
――では、時を止めましょう。
相手のコマの軸をちょっとだけ指でチョンとずらして時を再動。
バランスの崩れた相手のコマは、私のコマがかするだけで、あっけなく場外に吹っ飛んでいくでしょう。
勝てばいいのですよね(大事な以下略)。
「なるほど。勝てばいいのですか。……勝てばいいのですね?」
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は二回言った。確認は大事だ。そして間違っていない。とにかく勝てばいいのだ。
ベーゴマなるものをよく知らない魅夜だったが、紐の扱いや素早く狙い済ました投擲などには覚えがあった。
素人が意外な才能を発揮してプロに勝っちゃうのはホビーアニ……この手の業界ではお約束である。
使用するコマは軽量化した高速回転型。一瞬で勝負をつける心積もりである。
――だが、奇しくも彼女の対戦相手もまた、高速ベーゴマを操る怪人であった。
「ヒッヒッヒ、オレのモーター内臓ベーゴマで、テメェのベーゴマを成層圏まで吹っ飛ばしてやるぜ!」
彼のベーゴマの回転数はなんと秒間3000回!!
投げ放てば戦場には嵐が吹き荒れ、竜巻が巻き起こる!!
ベーゴマに動力を仕込むなんて卑怯だ、違法改造だなどと叫ぶ者はいない。これが悪の暗黒地下ベーゴマ大会である!!
「試合、開始ィィィィィィッ!」
合図と同時に投げ込まれる二つのベーゴマ。
しかしやはり回転速度は怪人のベーゴマが圧倒的。このままでは魅夜に勝ち目はないように思われた。
しかし彼女は眉ひとつ動かさず、念のためにもう一度確認する。
「……さて。勝てばいいのですよね」
「おいおい、テメェのベーゴマの貧弱なスピードで、どうやって勝つつもりだァ?」
挑発的な怪人のセリフをYES、と受け取った魅夜は。
「――では、時を止めましょう」
は? と怪人が口を開いた直後――世界が凍った。
魅夜の牙が啜るものは生物の血のみにあらず。それは『時』さえも吸血する。
モーター内臓だろうが秒間3000回だろうが、ゼロ秒間の回転数はゼロである。
静止した世界の中で、魅夜はチョンと相手のコマの軸を指先でずらすと、時を再動させる。
するとバランスの崩れたまま動き出したコマは自らの回転速度が仇となって、盛大にスピン。
あとは魅夜のコマがちょっとかするだけで、あっけなく場外に吹っ飛んでいく。
彼女の狙い通り、戦いは「一瞬」で勝負がついた。
「な、な、何をした?! まさかテメェ、本当に時間を……?!」
いったい何が起こったのかもわからないうちに敗北していた怪人は、開いた口が塞がらない。
猟兵チームの第一勝を挙げた魅夜は、あくまで淡々とそれに答えた。
「勝てばいいのですよね」
仰るとおりである。
大成功
🔵🔵🔵
ルパート・ブラックスミス
なんやかんや、か…キマイラフューチャーだ、さもありなん。
さて、生前の記憶が無い手前、初めての独楽遊びだが…
(短剣をバキバキと潰したり丸めたり燃える鉛と混ぜたりとベーゴマの形に【武器改造】して)
…策の用意はある。
UC【燃ゆる貴き血鉛】起動。
発火させた改造ベーゴマを渾身の【怪力】込めて【投擲】、敵を蹴散らす。
【誘導弾】として機能する短剣を改造したものだ、ある程度はこちらの思う通りに動かせる。
卑怯?インチキ?
だからどうした。そもそもそういう大会なのだろうが。
つまらないと思うだけの公平性があるならこんな試合など見向きもせずに真っ当にベーゴマと向き合うがいい。
【アドリブ・絡み歓迎】
「なんやかんや、か……キマイラフューチャーだ、さもありなん」
ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は一人呟く。
時になんやかんやで危機に陥るのがこの世界だ。どうかそういうものだと思って受け入れてほしい。
とにかくベーゴマで勝てばいいのだなと納得し、彼はリングに立つ。
「さて、生前の記憶が無い手前、初めての独楽遊びだが……」
「オイオイ甲冑の兄ちゃんよぉ、そんな格好でベーゴマ投げられんのかぁ?」
対戦相手の挑発をスルーして、ルパートはおもむろに鎧内から短剣を取り出し。
バキバキ、グシャグシャと潰して丸めて、仕上げに体から零れる鉛を少々混ぜて。
「……策の用意はある」
「お、おぅ」
淡々と完成した(文字通り)お手製のベーゴマを見せるルパートに、対戦相手は既にちょっと気圧され気味だった。
「レディィィィィィ、ファイッ!!」
そして戦いが始まる。
ルパートの相手のベーゴマは超重量型。キマイラフューチャー製のよくわからん金属で作られたそれは鉛より重く鉄よりも硬い。
「コイツの前じゃ、どんなベーゴマも貧弱なモヤシ野郎だぜ!」
自信たっぷりに怪人はリングにベーゴマを投げ放つ。
それに応じて、ルパートも自らのベーゴマをリングに投擲――しなかった。
いや、正確に言うと投擲はした。ただしそれはリングに向かってではなく。
「――吹き飛べ」
対戦相手に向かって。
ルパートがベーゴマに混ぜた鉛は彼の血潮。それは彼の意志ひとつで発火し、青い炎でベーゴマを包む。
そしてベーゴマの素材とされた短剣もまたルパートの身体の一部であり。ある程度は彼の思う通りに動かせる。
そんなものを対戦相手に向かって投げれば結果は自明の理。
「グギャァァァァァアッチィィィィィィィ?!」
燃える蒼炎のベーゴマ型誘導弾を食らった怪人は、火達磨となって爆発四散。
だがルパート渾身の怪力を込めて投げ放たれたベーゴマはそれだけでは勢いを止めず、客席にまで飛び込んで観客を蹴散らす。
「「「ギャァァァァァァァァ?!」」」
もちろんこの会場にいるのは全員が怪人だ、何も問題はない。
「卑怯だ!」
「インチキだ!」
日ごろ自分たちがやっていることを棚に上げてオーディエンスが叫ぶ。
だがルパートはブーイングに動じることなく悠々と返す。
「だからどうした。そもそもそういう大会なのだろうが。つまらないと思うだけの公平性があるならこんな試合など見向きもせずに真っ当にベーゴマと向き合うがいい」
ぐうの音もでない正論であった。
勝者にのみ何かを言う資格があり、正義を定める資格がある。
それが悪の暗黒地下ベーゴマ大会のルールなのである。
大成功
🔵🔵🔵
オウカ・キサラギ
コマで戦うのはいいよ改造しちゃうのもまぁいいよ
でもね、ルールを破った上に闇討ちするなんてダメすぎるでしょ!
ここはボクが楽しくて熱いベーバトル(今考えた)を見せてあげよう!
まずはコマ改造だ!
スピード重視の改造を施すけど【物を隠す】【迷彩】でギミックを隠しておく!
そのギミックは回転速度が落ちると装甲が開いてブレードを展開!
攻撃力を高めて相手のコマを斬り捨てちゃうよ!
撃ち出す時も気を抜かないよ!
【力溜め】【スナイパー】で場の高い部分を狙って撃つよ!
高所から滑らせることで重力も味方につけるのだ!
さらに!
闇討ちを警戒して炎精を発動!
対戦相手が余計なことをすればすぐに燃やせるように待機させるよ!
アドリブ○
「コマで戦うのはいいよ、改造しちゃうのもまぁいいよ。でもね、ルールを破った上に闇討ちするなんてダメすぎるでしょ!」
続いてリングに立ったのは、そのハートに熱いベーゴマ魂を燃やすオウカ・キサラギ(お日様大好き腹ペコガール・f04702)。
「ここはボクが楽しくて熱いベーバトルを見せてあげよう!」
挑戦的に高々と天を指差し、対戦相手と観客に堂々宣言する。
なおそのネーミングは彼女が今考えたオリジナルである。
「フッ、若造が……そのような甘い考えがここで通じると思うな」
ニヒルに笑う対戦相手は、冷静沈着なデータ派ベーバトラー(今考えた)だった。
(あの女のベーゴマの改造は見たところスピード重視。ならばこちらはウェイト重視のベーゴマで持久戦に持ち込む。万が一に備えて「奥の手」も万全……俺の勝率は100%だ!)
戦う前からもう勝った気でいる怪人。だがそれは少々猟兵というものをナメすぎである。
「いくよ!!」
試合が始まると、オウカはベーゴマ台の縁の近く――場の高い部分を狙ってベーゴマを投げ込む。
(ほう。高所から滑らせることで重力を味方につける作戦か。どうやら素人ではないらしい)
彼女の戦術を瞬時に分析した怪人は、だが、とほくそ笑む。
(そちらは高所を取ったが、おかげでこちらは無傷で台の中央を確保できた。持久戦では安定して中央に居座り続ける方が生き残る――俺の勝利はやはり揺らがない!)
高所より勢いをつけて襲い掛かるオウカのベーゴマと、中央で迎え撃つ怪人のベーゴマ。両者の激突は怪人の分析通りオウカ側が弾き返されて終わる――筈だった。
「今だっ! ギミック発動!」
インパクトの瞬間、オウカが叫ぶ。すると――なんということだろう! 彼女のベーゴマの装甲が開き、内部からシャキーンとブレードが展開されたではないか!
「馬鹿なっ!? ギミックを隠していただとっ?!」
驚愕する怪人。そう、これがオウカのベーゴマの切り札。攻撃力アップ引き換えに回転速度は低下するが、それを補うためのスピード重視の改造と投法である。
「いっけぇーーーーっ!!!」
圧倒的攻撃力を得たオウカのコマが、怪人のコマを一刀両断する。
(馬鹿な、この俺の予測が外れるなど……いや、まだ「奥の手」が残っている!)
バトルに敗北した怪人は懐からさっとナイフを取り出し、オウカに飛び掛かる。
「この大会、最後に立っていた者が勝者なのだ! つまり貴様が死ねば俺の勝――熱っちいイイイイイイイイイイイッ?!」
「そう来ると思ってたよ!!」
こんな事もあろうかと、事前に待機させていたオウカの炎精が怪人を焼く。
悪の企みは暴かれ、無法には必ず裁きが下るのだ。オウカの炎はその象徴であった。
――ベーゴマにブレード仕込んで相手のコマを切断するのはいいのかって? いいよそういう大会だから。
大成功
🔵🔵🔵
甲斐・ツカサ
【SPD】
オレが地球で戦ったベーゴマは、心技体を賭してぶつかり合う、真夏の太陽輝く空のようなアツくも爽やかなバトルだった!
それを汚す暗黒地下ベーゴマ、やっつけてやる!
用意したのは、黒く塗られた上面のところどころに点々のついただけのただのベーゴマ
それをただ、裂帛の気合と必勝の覚悟、そして悪に屈さぬ勇気と共に渾身の力を籠め、残像が出るほどのスピードで回すだけ!
その回転で上面の模様は夜空の星々を描き、周囲には衝撃波が巻き起こる
それこそオレのベーゴマ、"星空の嵐(ギャラクシーストーム)"さ!
巻き起こる嵐にマフラーをはためかせて教えよう!
ただ、磨き上げた心技体で勝つ!
それが王道にして正義のベーゴマ道だ!
「オレが地球で戦ったベーゴマは、心技体を賭してぶつかり合う、真夏の太陽輝く空のようなアツくも爽やかなバトルだった!」
居並ぶ怪人どもに向けて甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)は宣言する。
それはベーゴマ試合の本来あるべきカタチ。薄暗闇が支配するリングを燦然と照らす光のごときベーゴマ論。
「それを汚す暗黒地下ベーゴマ、やっつけてやる!」
ツカサのハートは燃えていた。
炎よりもアツく、太陽よりも眩く。
「ゲースゲスゲスゲスッ……眩しいでゲスなぁ。ならアンタの正義、あっしが叩き潰してやるでゲス……!」
対峙するベーゴマ使いの怪人は、絵に描いたようなゲス笑いを浮かべ、ゲスなオーラを漂わせていた。
その心の闇を体現するように、彼のベーゴマも濃い闇のオーラで包まれている。
これではどんなヤバい改造を施しても分かったものではない。なんと卑劣な!
怪人の闇のベーゴマに対してツカサが用意したのは、黒く塗られた上面のところどころに点々の模様がついただけの、ただのベーゴマだった。
「ゲススッ……そんなノーマルベーゴマであっしに勝つつもりでゲスかぁ?」
怪人の嘲笑に彼は応えない。無粋な改造も言葉も、戦いには不要。
ベーゴマに込めるのはただ、裂帛の気合と必勝の覚悟、そして悪に屈さぬ勇気――それだけで良いのだから。
試合開始のゴングが鳴り響く。
「いくでゲスよっ!!!」
「うおおおおおおおおっ!!!」
ツカサは渾身の意志力、技力、膂力すべてを籠めてベーゴマを投じる。
「さぁ、行くゲスよ我が闇のベーゴマ、その雑魚ゴマを闇に呑み込んで――なっ、何ィッ?!」
ゲス怪人が驚愕する。ツカサの放ったベーゴマは、怪人のベーゴマを安々と弾き返すスピードで猛然と回転していた。
リングに一陣の風が吹く。ベーゴマの起こした風だ。それは瞬く間に竜巻となり、会場すべてを巻き込む嵐となる。
「クッ、何でゲスかこの風は――!!」
再び、怪人は驚愕する。
何の変哲もないはずのツカサのベーゴマに、星の輝きを見たからだ。
ツカサのベーゴマ上面の模様は、高速回転することで残像を生み――ただの点々だと思われていた模様は、美しい夜空の星々を描いていたのだ!
それこそがツカサのベーゴマ、"星空の嵐(ギャラクシーストーム)"の真の姿である!!!!
"星空の嵐"によって怪人のベーゴマから闇は払われ、台の縁に押しやられていく。
「な、何故だァッ……! あっしのベーゴマが、ただの無改造ベーゴマに負けるなんて……!?」
「理由が知りたいか? なら教えよう!」
巻き起こる嵐にマフラーをはためかせ、ツカサは宣言する。
「ただ、磨き上げた心技体で勝つ! それが王道にして正義のベーゴマ道だ!」
その信念と心技体、何よりも熱きベーゴマ魂が生み出した嵐によって、闇のベーゴマは舞台の遥か彼方へと吹き飛ばされていった。
「これが、ベーゴマの王道……ふっ、いいモン見させていただきやしたよ……」
敗北した怪人は、しかし憑き物が落ちたような表情を浮かべ、潔くリングから去っていった。
きっと彼もこれで、正義のベーゴマ道に目覚めてくれることだろう――次章以降の登場予定は未定だけど。
大成功
🔵🔵🔵
オーキッド・シュライン
≪心情≫
・あ、暗黒地下ベーゴマ大会、何それ怖いですの…
い、いえ、決してビビッてなんていないんでございますのよ。
・ベイゴマ‥懐かしいですわね。
わたくしも実家でよくやりまし…って違いますわ。
I am not japanese。OK?
・は、初めて見るゲームですわね。ええ。似たようなおもちゃは
見たことあるんですが、こういう紐を使ったのは初めてですの。
ちゃんと回せるかしら
≪ベーゴマ≫
・無駄になれた手つきでベーゴマに紐を巻き付け、無駄に様になった
フォームでベーゴマを回す
・地獄化した左腕で回したため【炎属性】がつき燃え出るベーゴマで
周囲を燃やし蹴散らす
・怪人はUCでなんやかんやで雑に燃やします
「あ、暗黒地下ベーゴマ大会、何それ怖いですの……い、いえ、決してビビッてなんていないんでございますのよ」
おどおど、きょときょと、と荒くれ怪人どもが集う地下闘技場を見回し、はっとなって見栄を張りなおす一人のお嬢様。
薄暗い地下には似つかわしくない金髪碧眼、巨乳、高身長の完璧淑女(自称)。オーキッド・シュライン(絢爛なる豪火・f15793)お嬢様のご出陣である。
「ベイゴマ……懐かしいですわね。わたくしも実家でよくやりまし……って違いますわ。I am not japanese。OK?」
誰に向かって言い訳してるんですかお嬢様。
「オイオイお嬢様よォ……アンタみたいなイイトコの娘が、ベーゴマの回し方なんて知ってんのかァ?」
対戦相手となったいかにもガラの悪そうな怪人は、下卑た身振りを交えてオーキッドを挑発する。
「それくらい知って……い、いえ。は、初めて見るゲームですわね。ええ。似たようなおもちゃは見たことあるんですが、こういう紐を使ったのは初めてですの。ちゃんと回せるかしら」
うっかり挑発に乗りかけたお嬢様だが、すぐに気を取り直すとベーゴマに紐を巻き付けていく。まずはコマに対して縦向きに紐を一周させ、しっかり固定してからくるくるくるくるくるっと。
「……オイ、なんか無駄に慣れた手つきじゃねぇか?」
「そ、そんなことありませんわよ?」
冷や汗流れてますよお嬢様。
準備完了と同時に試合開始のゴングが鳴る。
オーキッドは足を広げて腰を低くし、無駄に様になったフォームでベーゴマを構え――。
「オイお前絶対初心者じゃねぇだろ!!」
「ですから、そんなことありませんってば!」
反論しながらもまったくブレないフォームのまま、手首のスナップを利かせコマを放った。
「チッ、素人のフリとは騙される所だったぜ。だが所詮ノーマルのベーゴマで俺に勝てるわけ……って待てぇッ?!」
投げ込まれたオーキッドのベーゴマを見て、怪人は思わずツッコんだ。
そりゃあツッコみたくもなるだろう。対戦相手のコマが炎に包まれていれば。
オーキッドの左腕は地獄化している。その腕でベーゴマを投げ込めば、地獄の炎がコマに燃え移りこうなるのは自明の理。
そしてその炎は自身のみならず敵のコマも燃やし、ベーゴマ台を燃やし、リングに燃え広がっていく。
「あちちちちちちっ?! テメェこれを狙ってやがったな?! チクショォォォォォォォ!!!!」
「し、知りませんわ」
地獄の業火に包まれ灰と化していく対戦相手からの糾弾に、オーキッドは雑にすっとぼけてそっぽを向いた。
そうこうしている内に地獄の炎は客席にまで燃え広がっていく。
「ギャァァァァァァァ?!」
「逃げろォォォォォォォ?!」
悲鳴を上げて押し合いへし合いし、なんやかんやで雑に燃え尽きていく観客たち。
客席の安全は自己責任である。みんな怪人だし、暗黒地下ベーゴマ大会だからね。
――その後、消火活動と燃えたリングの復旧は小一時間ほどで完了した。
悪のベーゴマ怪人と猟兵の戦いは、もうちょっとだけ続く。
大成功
🔵🔵🔵
三原・凛花
わたし、男子達がやってるのを見たことある位で、ベーゴマってほとんどやったことないんだよね。
でも何でもありなら、わたしには必勝の策がある。
【愛し子召喚】で息子と娘を呼んで、息子をわたしのベーゴマに取り憑かせて自由に動かせれるようにするよ。
そして息子をわたしの【呪詛】で強化させることで、その息子が取り憑いてるベーゴマも一緒に強化させる(娘にはわたしの隣で、わたしの【呪詛】を強化してもらう)!
これで余程のことがない限り弾かれず、しかもわたしの思い通りに動く最強のベーゴマが出来たわけだね。
卑怯とは言わないよね?
ここは暗黒地下ベーゴマ大会。
UCでも技能でも何でも使って勝ち抜いてみせるよ。
「わたし、男子達がやってるのを見たことある位で、ベーゴマってほとんどやったことないんだよね」
会場の復旧後、次にリングに立った三原・凛花(『聖霊』に憑かれた少女・f10247)はそう呟く。
しかしそれは彼女に勝機がないことを意味しない。むしろ逆。彼女の瞳は自信に満ちていた。
「何でもありなら、わたしには必勝の策がある」
ここは暗黒地下ベーゴマ大会。ユーベルコードでも技能でもアイテムでも、勝つためならすべてが許される世界である。
「「「俺たちゃ最強ベーゴマブラザーズ!! 俺たちの連携殺法でテメェのベーゴマ血祭りに上げてやるぜ!!!」」」
凛花の対戦相手となったのは、三人組の怪人だった。
この大会って一対一じゃないの? ベーゴマに血ってあるの? など様々なツッコミはあるだろうがまあ待ってほしい。
彼らは三つのベーゴマに連結ギミックを搭載することでこれを一個のベーゴマだと言い張り、試合に出場しているのである。
戦いは数である。それはベーゴマ勝負の世界でも変わらない。彼らはこのゴリ押し同然の3対1によって数々の勝利をもぎ取ってきたのだ!
「いざ尋常に……初めっ!!!」
「「「ヒャッハァー!!! 行くぜェーッ!!!」」」
試合開始と同時に投げ込まれたブラザーズのベーゴマは連結を解除し、3つのコマとなって凛花のベーゴマを包囲する。
後はこのまま袋叩きにするだけ――勝利を確信していた彼らだったが、ふとあることに気付く。
「なぁ……」
「む、どうした兄者」
「対戦相手、なんか増えてね?」
怪人が指差した先には、凛花の隣に佇む霊――彼女の『愛し子』の娘がいた。
その次に異変に気付いたのは、ブラザーズの末の弟だった。
「お、おい兄者たち! このベーゴマ、なんか動きが変だぞ!!」
彼の指摘通り、凛花のベーゴマはコマ本来の挙動を無視し、まるで生きているように自在に台の上を動き回る。
それは、同じく彼女の『愛し子』である息子がコマに取り憑き、母の意のままにコマを動かしていたからだ。
凛花の息子は凛花の放つ呪詛の力を受けて強化され、同時に息子の取り憑いたベーゴマも強化される。そして凛花の隣にいる娘は、凛花の呪詛の力を増幅させる能力を持つ。
娘が凛花を強化→凛花が息子を強化→息子がベーゴマを強化、という流れである。
ややこしいって? では簡単に纏めよう。
余程のことがない限り弾かれず、使い手の思い通りに動く、最強のベーゴマの完成である。
「「「馬鹿な、俺たちの連携殺法が、こんなヤツらにぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」」」
かきーんかきーんかきーん、と弾き飛ばされる三つのベーゴマ。
しょせんは数の暴力でしかない三兄弟の連携を、親子の連携が上回ったのである。
「卑怯とは言わないよね?」
勝利を収めた凛花は周囲に問いかける。勿論、そんなことを言い出す者はいない。
ここは暗黒地下ベーゴマ大会だし――何より観客側もそろそろ、猟兵たちの破天荒なベーゴマ戦法には慣れてきたので。
大成功
🔵🔵🔵
短夜・いろは
ベーゴマとか何のことやら全然知らないけどさー、ずっと回ってるのを見てたら目廻ってきて気持ち悪いんだけど。
酔い止めにジェリービーンズ飲み下したら吐いたわ絶対許さん。
よってテメーは【橙色】に染めてやる
なんでオレンジかって? 決まってんだろーがよー、早そうな色の青色の補色だからだよ。
グレネードで敵全体に橙色の塗料を塗布してから、アタシは速そうな青色のベーゴマで全てを蹂躙してやらー。
更にペイントボールで床の色も青色に上書きしてフィールド効果補正も付けてやる。
青色と青色の相乗効果で実際私の手駒の強さは1×1で百倍にも達する。一方相手は橙色の補色効果でマイナス百倍。
負ける要素が見当たらねーなー。しゅーと!
「ベーゴマとか何のことやら全然知らないけどさー、ずっと回ってるのを見てたら目廻ってきて気持ち悪いんだけど」
ぐるぐるぐるぐると回り続けるベーゴマ同士の熾烈なバトルを延々見させられていた短夜・いろは(やさぐれスプラトゥーン・f15837)は、そろそろ我慢の限界だった。嘔吐感的な意味で。
「酔い止めにジェリービーンズ飲み下したら吐いたわ絶対許さん」
訂正、もう限界を超えていたらしい。
とりあえず酔い止めにはジェリービーンズより飴やガムをお勧めする。
「よってテメーは【橙色】に染めてやる」
「なんでだよ?!」
びしっ、と指を突きつけられた対戦相手の怪人は思わず叫ぶ。
まあこれについては理不尽だと思う。酔いやすいなら本当はこんな大会来なければいいのだから――そうも言ってられないのが猟兵の宿命だが。
「なんでオレンジかって? 決まってんだろーがよー、早そうな色の青色の補色だからだよ」
「いや知らねぇよ!! カラーに不満があったわけじゃねぇよ!?」
アーティストの思考は彼のような一般怪人にはちょっと理解が難しかった。
「馬鹿にしやがって……テメェは俺の超スピードベーゴマで蹂躙してやらぁ!」
怒りに震える怪人が取り出したベーゴマには、なんと底にダッシュローラーが付いていた。
この車輪で台の中を超高速疾走するのだ。もはやコマでも何でもないが、文句を言う者はいない。だってここは暗黒地下ベーゴマ大会だから。
「ならアタシはこのベーゴマで全てを蹂躙してやらー」
対するいろはが取り出したのは青一色にカラーリングされたベーゴマであった。
「ほう、そいつがテメェのベーゴマか。一体どんな改造を……」
「いや、青く塗っただけだけど?」
「してねぇのかよ! 色だけかよ!」
「速そうだろ?」
その根拠の意味はよくわからないが、とにかくすごく自信満々だった。
試合前から既に完全にいろはのペースだが、ともかく試合は始まる。
「そんなベーゴマで勝てるわけねぇってこと、思い知らせてや――ぶべっ?!」
自慢のハイスピードベーゴマを投げ込もうとした直前、怪人の顔面にいろはの放ったグレネード弾が直撃する。
炸裂した弾頭の中から飛び散ったのは、大量のオレンジ色の塗料。事前に宣言されたとおり、橙色一色に染まる怪人。
「おらおらー」
続けていろははペイントボールを取り出すと、ぽいぽいとベーゴマ台やリングの床に向かって投げつける。
割れたボールからはブルーの塗料が飛び散り、戦場は見事な青色に上書きされた。
「な……何をやっていやがる?」
「見りゃわかんだろー」
困惑する橙色怪人に、いろはは青いフィールドの上に立ち、青いベーゴマを構え、得意げに解説する。
「青色と青色の相乗効果で実際私の手駒の強さは1×1で百倍にも達する。一方相手は橙色の補色効果でマイナス百倍」
色々とツッコミ所満載の理論だが、彼女はゴッドペインター。色とアートを支配するもの。
彼女の手にかかればクロだってシロに塗り変わるのだ。
「負ける要素が見当たらねーなー。しゅーと!」
青いフィールドに降り立つ青いベーゴマ。それはいろはの理論通りに異様な加速を始め――。
「なんでだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」
なんやかんやで、橙色怪人のベーゴマを完膚なきまでに叩きのめしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィサラ・ヴァイン
ベーゴマってあれですよね。旧人類のレトロな遊び…ですよね? 何で今流行ってるんです???
何はともあれベーゴマ対決
私はその辺をコンコンしたら出て来た、この『ハイパーベーゴマ:タイプストーン』で勝負します
その特徴は何と言っても『石製』という事
普通に使うと割れたり欠けたり、何より重さが足りなくて簡単に負ける代物です
むしろ色の綺麗さでコレクション向きだとか
さて、何故ピーキーなベーゴマを使うかと言うと…【ゴルゴンの傑作】でコピー出来るからです
大量にコピーして物量で勝負ですよ!
「私のタイプストーンは108式まであります」
ふっ……あまりの恐怖に相手も観客も押し黙ってしまいましたね……(恐怖を与える)
「ベーゴマってあれですよね。旧人類のレトロな遊び……ですよね? 何で今流行ってるんです???」
白熱する暗黒地下ベーゴマ大会。その最中、ふと疑問を口にしたのはヴィサラ・ヴァイン(大蛇を殺すゴルゴン・f00702)。
むしろ今までなんでスルーされてたのかってレベルで当然の疑問だが、何でと問われればそれはここがキマイラフューチャーだからとしか言いようがない。
何はともあれベーゴマ対決である。
「ヒョーッヒョッヒョッヒョ。このワシが開発した超合金キマニウム製ベーゴマは、あらゆるベーゴマを凌駕する!!」
白衣を着たマッドサイエンティストっぽい怪人が取り出したのは、妖しい虹色に輝くベーゴマだった。
キマニウムとは何ぞや? それは重く、硬く、強靭な、まさにベーゴマのために産み出された超合金である。
キマイラフューチャーの怪人科学の粋を集めて開発されたベーゴマに対し、ヴィサラが取り出したベーゴマは。
「私はこの『ハイパーベーゴマ:タイプストーン』で勝負します」
その辺をコンコンしたら出て来た、ただの石製のベーゴマだった。原始時代かな?
普通に使うと割れるし欠けるし、何より重さが足りず簡単に負ける。むしろ色の綺麗さでコレクション性の高い代物である。
「ヒョヒョヒョ! そんな石コロでワシのキマニウムベーゴマで勝つつもりか?」
当然のように勝ちを確信し、ヴィサラのベーゴマを嘲笑う怪人。
だが、ヴィサラは伊達や酔狂でこんなピーキーなベーゴマを使うのではない。
このベーゴマは石製――そう、それこそが重要なのだ。
ヴィサラのユーベルコード【ゴルゴンの傑作】は、石を素材とした精巧なコピーを作り出せるのだから。
「ヒョーッヒョッヒョ! 一撃で決着をつけてや――――」
試合開始のゴングが鳴るのと同時に、怪人は絶句した。
確かにヴィサラの石製のベーゴマなど、キマニウム製ベーゴマなら一撃で粉砕できただろう――相手が一個だけなら。
ぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいっ!!!!!!
ユーベルコードで複製した大量の石製ベーゴマを、ヴィサラは一斉に投擲する。
その圧倒的物量。前にも言った気がするが戦いは数である。
「私のタイプストーンは108式まであります」
どこかで聞いたようなキメ台詞と同時に、石コロの山がベーゴマを押し潰した。
「――いや、流石にそれは反則じゃろ? 使うベーゴマは普通一個だけじゃろ?」
「使ったベーゴマは一個だけですよ。これは質量を持った残像みたいなものです」
対戦相手の抗議は、ヴィサラの無理やりな理論武装によって結局押し切られる。
勝てばいい、それこそが暗黒地下ベーゴマ大会のルールなのだから、彼女の言い分に反論できる者はいない。みんな絶句である。
「ふっ……あまりの恐怖に相手も観客も押し黙ってしまいましたね……」
それはちょっと違うと思う。
大成功
🔵🔵🔵
空雷・闘真
「つまりこれはルールに守られたお上品なスポーツ大会ではなく、「何でもあり」の戦場というわけか。面白い」
凶暴な笑みを浮かべ、闘真は己のベーゴマに豪快且つ丹念に紐を巻き付けろる。
スポーツ化した格闘技界に馴染めず、ルールのない戦場へと足を踏み入れた闘真。
この暗黒地下ベーゴマ大会に奇妙な親近感を覚えていた。
闘真の狙いは、ベーゴマを『武器』とした【グラウンドクラッシャー】を放つこと。
【力溜め】【怪力】【気合い】を使用して思い切り紐を引き、全力のベーゴマを台に向けて【投擲】するつもりなのだ。
「正々堂々なんてお題目に拘る気はないが…「何でもあり」を「力」でねじ伏せるってのが俺は好きでな」
繰り返される死闘。白熱する駆け引き。破天荒な戦法の数々。
それらをじっと観察していた空雷・闘真(伝説の古武術、空雷流の継承者・f06727)は、あるひとつの確信に到達する。
「つまりこれはルールに守られたお上品なスポーツ大会ではなく、『何でもあり』の戦場というわけか。面白い」
そう、ここは戦場。ベーゴマを武器に血で血を洗う真剣勝負の場だ。
というかこんなスポーツ大会があったら嫌だ。
凶暴な笑みを浮かべた闘真は、ギリッ、ギリリッ……と、己のベーゴマに豪快且つ丹念に紐を巻き付けていく。
その溢れ出す闘気と殺気は、まさしく命懸けの戦場に身を置く戦士のもの。
スポーツ化した格闘技界に馴染めず、ルールのない戦場へと足を踏み入れた闘真は、この暗黒地下ベーゴマ大会に奇妙な親近感を覚えていた。
「正々堂々なんてお題目に拘る気はないが……『何でもあり』を『力』でねじ伏せるってのが俺は好きでな」
「ヘッ、いいなアンタ……猟兵にしとくのが勿体無いぐらい『こっち側』だぜ」
闘真の対戦相手となったのは、この大会参加者の中でも最強のパワータイプと言われる怪人だった。
その豪腕から放たれるベーゴマは、鋼鉄のベーゴマさえ粉々に粉砕するという。
二匹の獣は目を合わせただけで互いを理解し、ニヤリと笑う。
もはや言葉は不要――あとはベーゴマで語るのみ。
「ルール無用! 一本勝負! 始めぇぇぇぇぇぇぇぇいッ!!!!」
試合開始の号令が上がり、闘真と怪人は同時に思い切り紐を引いた。
溜めに溜めた豪腕のエネルギーは解放され、裂帛の気合と共に投擲されるベーゴマは、もはや小さな隕石にも等しい。
ベーゴマを武器とした単純で重い一撃。これぞベーゴマ奥義・グラウンドクラッシャー投法である!!
叩き付けられた二つの全力は、台の中央で激突し――爆ぜた。
その衝撃は台を吹き飛ばすのみに留まらず、一瞬でリングを粉砕し、さらには会場全体にまで破壊の余波を広げていく。
「ヤベェ、崩れるぞ!!」
「逃げろ、押し潰され――ぎゃぁぁぁぁ?!」
ゴゴゴゴゴゴ、と音を立てて会場が崩壊していく。
降り注ぐ瓦礫で観客や選手を押し潰しながら。
「ヘッ……負けたぜ、完敗だ」
闘真の対戦相手だった怪人は、ベーゴマ同士の激突の衝撃により吹き飛ばされ、瓦礫の中に半身を埋めていた。
対する闘真はベーゴマを投じた位置から一歩も下がっていない。勝敗は誰の目にも明らかである。
「………」
闘真は敗者に手を差し伸べない。瓦礫から彼を救い出すこともなく、労いの言葉もかけはしない。
ただ、一言。
「また闘ろう」
「ああ、次は地獄でな――!!!」
獣のような笑みを浮かべて、ベーゴマの闘士は瓦礫の中に消えていく。
これが、悪の暗黒地下ベーゴマ大会の終焉であった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『戦闘員・ナグルド』
|
POW : 強靭で無敵だド!
全身を【頑丈なサンドバッグ 】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : バチバチするド!
【触れると爆発する砂 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 飛び道具卑怯だド!
【ボクシンググローブ 】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
イラスト:井渡
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「おのれイェーガー、私の暗黒地下ベーゴマ大会をよくも……!!」
瓦礫の山と化した会場から姿を現したのは、シルエットに覆われた主催者怪人。
殆どの怪人は会場の崩壊と共に命を落としたが、こいつは流石にしぶとかった。
「かくなる上は一時撤退し、新たなベーゴマ大会を開く! 次の名前はブラックダークネスベーゴマファイトがいいかな!」
そう言うや否や、怪人はばっとその身を翻して遁走を開始する。
この怪人を仕留めない限り、キマイラフューチャーに悪のベーゴマの芽は残り続けるのだ。
逃がすか、と追撃を仕掛けようとした猟兵の前に、突然黒い影が立ちはだかる。
「「「ここは通さんド!!!」」」
それは戦闘員・ナグルド。耐久力と守備力に長けたサンドバッグの怪人だ。
どうやらあの怪人の護衛として雇われていたらしい。
主催者を追いかけるためにはまず、この怪人の群れを突破しなくてはならない。
君たちはその為にベーゴマを使ってもいいし使わなくてもいい。
とにかくこいつらを倒せばいいのだ。
ルパート・ブラックスミス
(猟兵たちの周りの瓦礫を退かしつつ)客も選手も火に巻かれ果ては会場崩壊…このような恐ろしい大会は再開させられんな。
引き続きUC【燃ゆる貴き血鉛】を纏わせたありったけの短剣を【武器改造】したベーゴマの【投擲】で戦う。【誘導弾】だ、味方には当てん。
「飛び道具?ベーゴマ大会関係者がベーゴマを否定する気か?そもそも貴殿らはその格好でベーゴマを扱えるのか?」
苦手だが口先で【挑発】して他の猟兵が突く隙を誘う。
相手が無敵防御を発動するなら戦法変更、【怪力】任せに周囲の瓦礫を投擲、動けないまま生き埋めにしてくれる。防御を解いたらすかさずベーゴマを叩き込む。
【共闘・アドリブ歓迎】
ヴィサラ・ヴァイン
相手が怪人とは言え大惨事だね???(崩壊した会場と名もなき怪人への追悼をしながら)
まあオブリビオンだから仕方ないですか。深く考えたら負けです
そんな事よりこのサンドバッグ達を何とかしないと…あ、マズイ。ベーゴマ大会って言うからベーゴマ(石)しか持って来てない…仕方ないからこれで怪人の相手をします!
…これでどうやって戦えばいいんだ…!
もう108式とか縛らず【ゴルゴンの傑作】でもっと大量にコピーしてサンドバッグ怪人達を石の山に埋めます
「墓石にもちょうどいいですね、タイプストーン」
後で名もなき怪人さんの分も作っておきましょうか
「客も選手も火に巻かれ果ては会場崩壊……このような恐ろしい大会は再開させられんな」
猟兵たちの周りの瓦礫を退かしつつルパートは言う。半分くらいは猟兵たちのやったことのような気もするが深くは考えまい。
「相手が怪人とは言え大惨事だね???」
その傍らでヴィサラは崩壊した会場に沈んだ名もなき怪人たちを追悼する。
いかに悪の暗黒地下ベーゴマ大会と言えども、ここまでの事態になろうとは誰が想像したことか。彼らもさぞや無念だったろう――。
「まあオブリビオンだから仕方ないですか。深く考えたら負けです」
しかし彼女は切り替えが早かった。まだ事の元凶は健在で逃走中なのだ、いつまでも冥福を祈っているわけにもいかない。
そんなわけで元凶を追わんとする二人の前に立ち塞がる戦闘員・ナグルドの群れ。
どっしりとしたサンドバッグボディでバリケードを築き、ボクシンググローブの拳を構え、絶対に猟兵を先に行かせない構えである。
「さあ、どこからでもかかってくるド!!」
「ではそうさせて貰おう」
ざらざらざらっ、と鎧の隙間からルパートが取り出したのは大量のベーゴマ。すべて大会で使用したのと同じブラックスミスの短剣製ベーゴマwith燃ゆる貴き血鉛仕様である。
投じられたベーゴマは彼の意思に従って一直線に飛んでいき、青い灼熱の火炎弾と化してナグルドたちに直撃する。
「ゴフッ!! と、飛び道具は卑怯だド!」
こいつらには足がないので移動速度が遅い。遠距離攻撃の手段もない。つまり距離を取って戦われると殴られ放題のまさにサンドバッグ。
抗議の声を上げるナグルドだったが、ルパートは動じることなく淡々と返す。
「飛び道具? ベーゴマ大会関係者がベーゴマを否定する気か? そもそも貴殿らはその格好でベーゴマを扱えるのか?」
「おぐ……っ!!!!」
その言葉になんか知らんがものすごいショックを受ける怪人。
「お……オデたちだって、本当は大会に出場したかったド……でもボクシンググローブじゃあベーゴマを回せないんだド……!」
実は結構気にしていたらしい。主催者の護衛に回されていたのもそれが理由か。
「だが貴様の言うことは尤もだド……ベーゴマに限り飛び道具を認めてやるド!」
「よし。言質を取ったぞ」
「ええ、しっかり聞きました」
ひょこ、とルパートの鎧の影から姿を現したのはヴィサラ。その腕に抱えているのは大量の石のベーゴマ。やはり大会でも使用していたハイパーベーゴマ:タイプストーン、ゴルゴン印のコピー品である。
サンドバッグ達を何とかしようにもベーゴマ大会と聞いてベーゴマ(石)しか持って来てなかった彼女。
『仕方ないからこれで怪人の相手をします! ……これでどうやって戦えばいいんだ……!』
そんな自問自答を繰り広げていたが、やっぱり彼女は切り替えが早かった。
質の低さはとにかく数でカバーすればいいのである。
ぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいっ!
「私のタイプストーンは108式まであると言いましたね。あれは嘘です」
「ちょっ、いくらなんでも多すぎるド!?」
余計な縛りを捨てたヴィサラのコピーするベーゴマの数はまさに無尽蔵。怪人の抗議もスルーしてひたすら投げる、投げる、投げまくる。
「あ、すみません。投げるの手伝ってください」
「いいだろう」
青炎のベーゴマを投げ終えたルパートも協力して、石礫の集中豪雨がサンドバッグ怪人たちに降り注ぐ。
「ぐっ……だがこんな石コロ程度!」
やりたい放題されているナグルドたちだったが、ここにきてようやくユーベルコードを発動する。
頑丈なサンドバッグに変身(見た目は変わらない)になった彼らは身動きが取れなくなる代わりにあらゆる攻撃に対してほぼ無敵になる。
「これでもう効かないド!」
「ふむ、なら戦法変更だ」
カキンカキン、と敵がベーゴマを弾き返しだしたのを見て、ルパートはおもむろに周囲に転がっていた大きな瓦礫に目を留めると、ひょい、と持ち前の怪力で持ち上げる。
そしてそれをぐっ、と怪人たちに向かって振りかぶれば、当然ながら彼らは慌てる。
「ちょ、ちょっと待つド! 飛び道具はベーゴマに限るって言ったはずだド!?」
「何故自分が貴殿らのルールに従う必要がある?」
ごもっともである。
「ドォォォォォォォ?!」
放り投げられた瓦礫がナグルドたちの頭上に落下。もちろん無敵状態の彼らにダメージはない。
が、構わずルパートは次から次へと瓦礫を投げつける。それに合わせてヴィサラもさらに大量の石ベーゴマを投げつける。
二人の目的はダメージではなく、動けない彼らを生き埋めにすることだ。
「やっ、やめるドォォォォォォォ!!!」
悲鳴を上げるナグルドたちだったがもはや時すでに遅し。
数分後、彼らは瓦礫とベーゴマの山に埋もれて姿を消したのだった。
「墓石にもちょうどいいですね、タイプストーン」
見ようによってはお墓のようにも見えるその光景を眺めていたヴィサラは、後で名もなき怪人さんの分も作っておきましょうか、と考える。
しかし今は主催者に追いつくのが先決だ。ルパートとヴィサラはナグルドの墓を踏み越えて先へ進む。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
短夜・いろは
は? なんだよブラックダークネスってよー。【色彩】が足りねーだろ【色彩】がよー。
てなわけでテメーらは【青】に染めてやる。
なんで青かって? 余ったベーゴマの使いまわしだよ!
くらえ、青ペンキ迸る疾走するベーゴマを!
おっと、私をそのグローブで殴るのか? いいぜ。だが地面を見てみな!
ベーゴマがぶつかり合い、よろめき、時に直進しそして砕けて描いた自由軌道の直線と曲線のコラボレーションがあるだろうがよ!
この圧倒的アートを見て、てめーは何も感じ入るもんがねーのかよー。あぁ!?
「は? なんだよブラックダークネスってよー。【色彩】が足りねーだろ【色彩】がよー」
ゴッドペインターのいろはさんは主催者のネーミングセンスに大変ご立腹であった。確かに黒一色しかない、というか端的にダサい。
おまけに狙ったのか知らないが立ち塞がる戦闘員・ナグルドも見事な黒一色のサンドバッグボディである。こりゃー許せるわけがない。
「てなわけでテメーらは【青】に染めてやる」
「なんで青なんだド?」
「余ったベーゴマの使いまわしだよ!」
「ただの在庫処分かド?!」
せめて赤とかサンドバッグらしい色にしてくれとナグルドたちは抗議するが、もちろんいろはに聞き入れる理由はなかった。
「くらえ、青ペンキ迸る疾走するベーゴマを!」
いろはが放つのは青一色に染められた幾つものベーゴマ弾。塗りたてでまだ乾ききっていないベーゴマは青いインクを撒き散らしながら怪人たちに襲い掛かる。
「グヌヌ、こんなものどうってことないド! ぶっ飛ばしてや――」
「おっと、私をそのグローブで殴るのか? いいぜ。だが地面を見てみな!」
インクの飛沫を浴びながらぴょんぴょんぴょん、といろはに襲い掛かろうとしたナグルドたちは、彼女に言われてふと視線を下に向ける。
だが、そこには何もない。せいぜい瓦礫とベーゴマと、飛び散ったインクの跡が残っているくらいで――。
「――こっ、これはぁッ?!」
不意に、一人の怪人が声を上げた。何だ何だと困惑する同士たちに、よく見るド! とグローブで地面を指差す。
言われて地面を凝視する怪人たちの表情が次々変わっていくのを見て、いろはは口の端を吊り上げる。
そう、それはただのインクの跡ではない。ベーゴマを筆代わりに彼女が描き出したアート作品だったのだ!
ベーゴマがぶつかり合い、よろめき、時に直進しそして砕けて描いた自由軌道の直線と曲線のコラボレーション。
「この圧倒的アートを見て、てめーらは何も感じ入るもんがねーのかよー。あぁ!?」
びしり、といろはに指を突きつけられて、ピシャーン!! と雷が落ちたようなショックを受ける怪人たち。
「こっ、これは……青空? いや……海?」
「そうか……この青い軌跡は"さざなみ"の表現!」
「寄せては返す波を、ぶつかって離れるベーゴマの軌道になぞらえているんだド!」
「なんと奥深いアートなんだド!」
興奮気味にベーゴマが描いたアートへの解釈と感想を口にする怪人たち。それを聞いているいろははこう思った。
『いや、私は特になーんも考えてないんだけど』
現代アートにいろはも知らない解釈を勝手に積み上げていく怪人を、冷めた目でいろはは眺めていたが、本人たちはノリノリである。
圧倒的インスピレーションの波に飲まれた彼らは説明不要の精神的ショックに陥り、しばらくは議論に夢中で現実世界に戻ってこないだろう。
すっかり戦いを忘れた彼らを放置して、いろははさっさと先に進むのだった。
成功
🔵🔵🔴
オーキッド・シュライン
≪心情≫
・おーっほっほ!わたくし案外やれますのね。
・怪人くらいわたくしの炎で簡単にってっみぎゃー、なんですの、
あの気持ち悪いサンドバックは。えっ、あれと戦うんですの?
・さっきの戦闘?戦闘ですわよね。それで左腕の感覚は掴めましたわ。
ま、わたくしに任せてくださいまし。
≪戦闘≫
・【炎属性】の細剣とブラスターの2刀流。
・ブラスターでけん制をしつつ、攻撃を【見切り】右手の細剣で
【武器受け】して攻撃を捌きつつ【カウンター】で【串刺し】。
・POWで無敵になった相手にはブレイズフレイムですわ。
相手がUCを解除するまでいえ、倒せるまで延々と燃やし続けますわ。
おーっほっほ!燃えろ、燃えろーですわ!
「おーっほっほ! わたくし案外やれますのね」
一度はベーゴマ会場を大炎上させたオーキッドお嬢様。しかしご本人はその一件でむしろ自信を持ったようである。
「さっきの戦闘? 戦闘ですわよね。それで左腕の感覚は掴めましたわ。ま、わたくしに任せてくださいまし」
内心では(なんですの、あの気持ち悪いサンドバックは。えっ、あれと戦うんですの?)とか若干引き気味のお嬢様だが、そんな態度はおくびにも出さない。
炎を纏った細剣とブラスターを構え、オーキッドは悠然と怪人に挑む――が。
「怪人くらいわたくしの炎で簡単にってっみぎゃー!」
「オラオラ、ぶっ飛ばすド!」
ぶおんぶおん、とボクシンググローブの拳を振り回し襲い掛かってくるナグルドの群れに、悲鳴を上げるお嬢様。
腐っても主催者の護衛を任されていた怪人である、大会で焼かれた名もなきモブ怪人よりは遥かに手ごわい。
移動が遅くて長距離攻撃手段がないので、アウトレンジだと一方的にボコボコにされる欠点があるが、純粋な殴り合いならそれなりに戦えるオブリビオンであった。
――まあ、とは言っても。猟兵なら落ち着いて対処すればどうとでもなる相手だ。
オーキッドは打ち込まれる敵のグローブを右手のフレイムフェンサー・カトレアで受け流し、無防備となったボディにカウンターの刺突を放つ。深々と貫いた細剣に纏わせた地獄の炎が、怪人を焼き尽くす。
多数に囲まれて袋叩きにされないよう、左手ではインフェルノブラスター・デンドロビウムのトリガーを引き絞り、熱線の弾幕で敵を牽制する。
「なんだ、わたくしやっぱりやれますのね!」
自信を取り戻したお嬢様は、華麗に敵の動きを見切りながら次々と怪人を屠っていく。
「くっ、こいつ強いド!」
「こうなったら、無敵モードだド!」
正攻法ではオーキッドに勝てないと悟ったナグルドは、ユーベルコードを発動させて攻撃を捨てた徹底防御の構えを取る。
より頑丈になったボディは、細剣の刃でもブラスターの熱線でも貫けそうにない。
ならばとオーキッドが放ったのはブレイズフレイム。地獄化した彼女の左腕から迸る紅蓮の炎が、怪人を包み込む。
「無駄だド! このボディは炎だって通さ、な――」
最初は自信満々だったナグルドの表情は、すぐに一変する。自らを包んだ炎がいつまで経っても消えないことに気付いて。
無敵状態の間はダメージが通らないなら、相手が無敵を解除するまで延々と燃やせばいい。いや、いかにユーベルコードと言えど完全な無敵とはいかないはず。スリップダメージのように蓄積する炎の負荷で、敵を倒せるまで燃やし続ければいいのだ。
「おーっほっほ! 燃えろ、燃えろーですわ!」
「ご、ゴリ押しじゃないかドォォォォォォォォ?!」
抗議も虚しく、じわじわと地獄の炎に身を焦がされ力尽きるサンドバッグ怪人。
高笑いを上げるオーキッドは、さっと左腕を振るうと次なる標的を炎に包んでゆくのだった。
成功
🔵🔵🔴
黒城・魅夜
耐久力の高い敵だからこそ、じっくりじわじわいたぶり滅ぼすのも嫌いではありません。
しかし、今は怪人を追うのが優先。
つまり、あなたたちは邪魔です木偶の坊。
先制攻撃・範囲攻撃・ロープワーク・早業を使い、我が鎖を舞わせて、相手をまとめて縛り上げましょう。
そして……せーの。あなたたち自身がベーゴマにおなりなさい!
撒きつけた鎖をぎゅんと引けば、くるくるとよく回りそうな体形をしていますものね。
くらくらになったところにすかさず死神札を飛ばし、影を縫い付けます。
意思と武器と動きを封じ、文字通りの木偶の棒にしてしまえばいいだけのこと。
あとは他の皆さんにお任せするもよし、後で私自身が手を下すのもよしです
三原・凛花
ベーゴマの次はサンドバッグとか、何でもありにも程があるでしょ!
それならわたしはあくまでベーゴマに拘って戦うよ。
まず昔の忌まわしい記憶を思い出して、『憤怒』の感情を全身に漲らせる。
それから【大罪喰らい】で『憤怒』を喰わせて肉体をパワーアップ。
そして【聖霊受肉】で紐の形になった『聖霊』を召喚。
相手は無敵になる代わりに動けなくなるんだよね?
動けなくなってる敵に紐状になった『聖霊』を巻き付けて、それを思い切り引く!
サンドバッグベーゴマ…とでも名付けようかな。
それを他の敵にもぶつけていくよ。
「ベーゴマの次はサンドバッグとか、何でもありにも程があるでしょ!」
まるで統一感のない組み合わせにツッコむのは凛花。とはいえこの程度はキマイラフューチャーでは日常茶飯事……かもしれない。
「それならわたしはあくまでベーゴマに拘って戦うよ」
彼女の心に燃えるのは正義のベーゴマ魂……ではないかもしれないが、今この瞬間の熱意は本物だった。
「耐久力の高い敵だからこそ、じっくりじわじわいたぶり滅ぼすのも嫌いではありません。しかし、今は怪人を追うのが優先」
ひゅんひゅんと鉤の付いた鎖を舞わせながら魅夜は言う。その視線の先にいるのは戦闘員・ナグルド。
「つまり、あなたたちは邪魔です木偶の坊」
「失礼な奴だド!!」
木偶の坊扱いされて怒り心頭のサンドバッグ――あまり変わらない気もするが――は、ブンブンと体を左右に揺すり、体内に詰め込まれていた砂を放出しだす。
単なる砂埃と侮るなかれ。オブリビオンの力が込められたこの砂は、触れれば爆発する小さな爆弾なのだ。
だが、ナグルドが十分な砂を辺りに撒き散らすより、魅夜の攻撃のほうが速い。
咎人をどこまでも追う108の鎖は、まるで生きているかのように魅夜の操るがままに舞い、サンドバッグの群れをまとめて縛り上げる。
「ムム、動けないド!?」
「なら無敵になるド!」
拘束された怪人たちはすぐさま頑丈な無敵モードに変化。身動きの取れない状態でも、これならどんな追撃を受けても大丈夫だろうと考えたのだろう。
――自分から動きを止めてしまったことが、どんな結果を招くかも知らず。
ビクともしなくなったサンドバッグに追撃を仕掛けるのは凛花。
彼女はかつての忌まわしき記憶を思い出し、『憤怒』の感情を全身に漲らせる。その感情は、彼女に取り憑いた『聖霊』に与える糧だ。
『憤怒』を喰らい力を増した『聖霊』は、宿主の肉体を強化しながら長い紐状の形状で実体化する。凛花はそれを動かない怪人目掛けて放ち、がっちりと巻き付ける。
「な、何だド? 何をするつもりだド?」
鎖と『聖霊』、二重の拘束を受けたナグルドが困惑の声を上げる。魅夜と凛花はそれには答えず、互いに目くばせをすると、せーの、と息を合わせ。
「あなたたち自身がベーゴマにおなりなさい!」
「サンドバッグベーゴマ……とでも名付けようかな!」
魅夜が撒き付けた鎖をぎゅんと引き、凛花が強化されたパワーで思い切り『聖霊』を引く。するとどうなるか。二人分の力で引っ張られられた怪人は、ぎゅるんぎゅるんぎゅるん! と大回転する。
「ドオオオオオオオオオッ?!?!」
ベーゴマと化したサンドバッグは、互いにぶつかり合い、派手に弾け飛ぶ。お互いに頑丈な無敵モードだからこそ、ぶつかった時の衝撃も大きかった。
「くるくるとよく回りそうな体形をしていますものね」
魅夜のそんな見立ては間違っていなかった。その光景は潰滅したはずの暗黒地下ベーゴマ大会の再演……もしくはスケールアップ版であった。
「ド……ドォォォ……吐きそうだド……」
ようやく回転が止まっても、もはや満足に起き上がれる怪人はそこにはいない。
あんな強烈なスピンを味わった直後では平衡感覚がボロボロなのも当然である。
くらくらになったサンドバッグたちに、魅夜はすかさず死神札を飛ばし、影を縫い付ける。
背徳の媚態を示せ裏切りの影――彼女のユーベルコードは標的の意思、武器、動きの三つを封じる。これで彼らは文字通りの木偶の棒である。
「あとはお任せしますね」
「じゃあ、もう一回ししてみようかな」
「ド、ドォォ……?!」
再び巻き付けられる『聖霊』の紐を見て、顔色もないのに青ざめる怪人。やめるド! と言いたかっただろうが今の彼らに拒否権はない。
無慈悲なるサンドバッグベーゴマ大会は、彼女たちの周辺の敵が一掃されるまで続いたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
空雷・闘真
「ふむ、自身を【頑丈なサンドバッグ】に変え、あらゆる攻撃に対し無敵になるわけか…面白い!」
闘真はゆらりと構え、凶暴な笑みで怪人を睨め付ける。
「ならば…相手が無敵になる前に拳を届かせればいいだけのこと!」
全身を撓ませ、深く地に沈み込み…
闘真は奥義を発動させんと、【怪力】【力溜め】を行う。
【踏みつけ】による二重の踏み込み、そしてそこから生まれる超神速の【ダッシュ】。
それにより怪人が無敵になる前に間合いを詰め、そこから【捨て身の一撃】【鎧砕き】を加えた【空雷流奥義・電】を直撃させるつもりなのだ。
「さっきのベーゴマ勝負…中々に楽しめたと、地獄で待つお前の同輩に伝えておいてくれ。またやろうぜってな」
「ふむ、自身を【頑丈なサンドバッグ】に変え、あらゆる攻撃に対し無敵になるわけか……面白い!」
これまでの戦いから敵の能力を看破した闘真はゆらりと構え、凶暴な笑みで怪人を睨め付ける。
果たして彼は無敵のサンドバッグ相手にどのような攻略法を見出したのか――。
「ならば……相手が無敵になる前に拳を届かせればいいだけのこと!」
それは、極めてシンプルな解答であった。
全身を撓ませ、深く地に沈み込み……闘真は己が奥義を発動させんと力を溜める。
隆起する筋肉と湧き上がる闘気は彼の身体を一回りも二回りも大きく見せ、野獣か鬼かと錯覚させる。
尋常ならざるその気魄に、当然ながらナグルドたちも脅威を覚える。
「こ、こいつは不味いド……!」
慌ててユーベルコードを発動させ、無敵モードにならんとした、その瞬間――闘真は地を蹴った。
生物が行動を起こす時には、脳からのシグナルが肉体に伝達されるまでの一瞬のタイムラグがある。
そのタイムラグの間に標的に接近し攻撃を叩き込めば、理論上はどんな防御も行わせることなく相手を倒すことができる。
そんな事が可能なのか? ――可能である、猟兵ならば。何よりも闘真ならば。
地面が爆ぜ飛ぶほどの強烈な二重の踏み込み、そこから生まれる超神速のダッシュ。それにより闘真は怪人の反射を超え、無敵化が発動する前に間合いを詰める。
そして繰り出されるのは防御を省みぬ捨て身の覚悟と、あらゆる護りを粉砕せんという意志を加えた渾身の拳。
これぞ空雷流奥義・電――ヒトも怪人も、疾る稲妻を超えることはできない。
衝撃波が吹き荒れ、ナグルドが現状を認識した時には、彼らは闘真の拳によって宙を舞っていた。
「ド、ドォォォォォ……?!」
「ま、まさか、やられたのかド……?!」
状況を理解できぬまま地に倒れ伏すサンドバッグの山。闘真は彼らを一瞥することなく、主催者の逃げていった方角へと歩き出す。
口元に凶暴な笑みを浮かべたまま、彼は言う。
「さっきのベーゴマ勝負……中々に楽しめたと、地獄で待つお前の同輩に伝えておいてくれ。またやろうぜってな」
「……フッ……いいだろう、伝えといてやる……オデたちも、次は負けんド……!!」
自慢の守りを正面から突破された怪人はどこか満足げに呟き、そして散った。
闘真は進撃する。次の戦場へと向かって。
成功
🔵🔵🔴
オウカ・キサラギ
SPD
こらー!黒幕なんだから最後まで相手しろー!
このまま逃がしちゃったら大変だ!絶対に追いついてやるぞー!
自作したベーゴマは大事に撮っておくよ。少しの間とはいえ相棒だったんだ。ベーバトル以外で使いたくないな。
宝石弾を使った【属性攻撃】を【クイックドロウ】で乱れ打ちするよ!
反撃に飛んでくる砂は下手に触れないから竜巻を起こす風の宝石弾で迎撃!砂を全部巻き上げてやる!
敵は耐久度があるしもしかしたら宝石弾だけじゃ倒しきれないかもしれない
そんな時は双短剣に切り替えて【早業】【2回攻撃】【鎧無視攻撃】で攻撃するぞ!
反撃が怖いけど【ダッシュ】で逃げながら少しでも狙いを逸らしていくよ!
他者との絡みアドリブOK
「こらー! 黒幕なんだから最後まで相手しろー!」
逃げていく主催者の影を追って、瓦礫と化した会場を駆けるのはオウカ。
このまま逃がしてしまったら大変である。新たな闇のベーゴマ大会が開かれ、動画再生数は鰻上り、なんやかんやでキマイラフューチャーは怪人の手に落ちるかもしれない。ベーゴマで。
「絶対に追いついてやるぞー!」
「おっと、そうはいかないド!」
意気込む彼女の前に立ちはだかるのはサンドバッグの怪人・ナグルド。
既に何体も倒されているのに、しつこいヤツらである。
オウカのポーチの中には、大会で自作したベーゴマが大事にしまわれている。少しの間とはいえ相棒だったそれを、彼女はベーバトル以外で使うつもりはなかった。
かわりに取り出すのは魔力を付与した宝石弾。様々な属性の力を宿したそれを次々と乱れ打ちする。
「っででで、痛いド!」
炸裂する宝石弾を浴びて、破れたナグルドのボディの中から大量の砂が溢れ出す。
触れると爆発する怪人の砂は、濛々と吹き荒れる砂嵐となって襲い掛かる。
オウカはさっと砂嵐の範囲から飛び退き難を逃れるが、このままでは先に進めない。
「これは下手に触れないね……だったら砂を全部巻き上げてやる!」
オウカが取り出したのは緑に輝く風の宝石弾。愛用のスリングショットにそれを弾丸としてセットし、砂嵐の中心目掛けて発射する。
宝石弾は砂嵐と接触した瞬間、竜巻を発生させて砂を吹き飛ばしていく。
「なんだドォッ!?」
驚愕するナグルド。その隙にオウカは得物を万能ダガーとサンライト・ハートの双短剣に持ち替え、竜巻に紛れて一気に距離を詰める。
「これでどうだっ!」
「ドォォォォッ!!?」
目にも留まらぬ早業で振るわれる双刃は、頑丈なはずの怪人のボディをケーキのように切り裂いていく。
いかに耐久度のある怪人といえども、これには耐え切れない。
「くっ、やってくれるド!」
仲間を倒され怒り心頭のナグルドたちが、ボクシンググローブを振りかざし襲い掛かってくる。だがオウカは足を止めることなく戦場を駆ける。足がなくて移動速度の遅い敵は彼女に追いつけない。
ある程度距離を取れば再び宝石弾を乱れ打ちし、怯んだところを双短剣でトドメ。
蝶のように舞い蜂のように刺す、完璧なヒットアンドアウェイでオウカは敵を追い詰めていく。
成功
🔵🔵🔴
甲斐・ツカサ
ベーゴマはベーゴマとの戦いにだけ使うもの。
お前達はこの『黒ノ鋭刃』でやっつけてやる!
見た感じ、ボクシングをする敵みたいだし、ここは相手に合わせよう
パンチを上手く掻い潜って(こういう時は小っちゃくて良かったって思うよね)、タイミングよく勇気を乗せた全力のカウンターをお見舞いだ!
もちろん、お見舞いするのはパンチじゃなくてオレの必殺技だけどね!
でも、力いっぱい攻撃したら頑丈になるんだっけ
……別に良いんだけどさ、動けないならオレ、主催者追いかけに行っちゃうよ?
仕方ないよね、動けないんだもんね
それじゃあねー!
もし無敵解除したら、結び付けたワイヤー引っ張って引き寄せてからもう一発必殺技お見舞いしてあげよう
「ま、まずいド。もうオデたちしか残ってないド!」
「踏ん張るんだド! サンドバッグ怪人の誇りにかけて!」
猟兵たちとの戦いの末、気がつけば残ったナグルドの数はあと二体。もはや勝ち目がないのは明らかな状況だったが、それでも彼らには意地があった。
あと多分、逃げようと思っても足が遅くて逃げ切れないし。
「ベーゴマはベーゴマとの戦いにだけ使うもの。お前達はこの『黒ノ鋭刃』でやっつけてやる!」
対峙するは正義のベーゴマ使いとしての誇りを胸に宿す少年、ツカサ。彼の手にはベーゴマに替わって、宵闇のように黒い刀身を持つ短剣が握られていた。
「ウォォォォォッ! だド!」
不退転の決意を胸に、ボクシンググローブを振りかざして襲い掛かる怪人ナグルド。ジャブ、ジャブ、フック、ストレート。その見た目に違わぬボクシングスタイルによる猛ラッシュがツカサを襲う。
しかし、あえて相手のスタイルに合わせることを選択したツカサは、軽快なステップとフットワークでパンチの嵐を掻い潜る。
(こういう時は小っちゃくて良かったって思うよね)
小柄な身体を活かして敵の懐に潜り込むと、そのまま相手の攻撃の勢いに合わせた全力のカウンターをお見舞いする。
もちろん見舞うのはパンチではなく彼の必殺技――溢れる勇気と燦然と輝く冒険心の具現、AZ-Lightの光を纏った黒ノ鋭刃による一撃。
その名も、暗刻斬り拓く蒼穹ノ光刃(スカイセイバー・クロノブレイク)!!!
「ドォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
至近距離から光刃に一閃された怪人は、真っ二つになって爆散する。必殺技を食らった怪人は爆散。それが世界のルールである。
「あ、相棒ォォッ!! くっ、だがオデはやられないド!」
とうとう最後の一人となったナグルドは、ユーベルコードを発動し徹底防御の構えを取る。
「これで無敵だド! さあ、どっからでもかかって来るがいいド!」
確かにこのモードならばツカサの必殺技でも耐えられるかもしれない――が。
「……別に良いんだけどさ、動けないならオレ、主催者追いかけに行っちゃうよ?」
「え?」
「仕方ないよね、動けないんだもんね」
「え、えええ?!」
そう。最後に残った彼がここで防御を固めていたら、もうツカサを足止めする怪人はいない。
彼の目的はここで彼らを全滅させることではないのだから、当然そうなる。
「それじゃあねー!」
「ちょ、ちょっと待つド!!」
慌てて無敵化を解除し追いかけようとするナグルド。だが、それを見たツカサはにやっと笑い。
「それっ」
「ドォッ?!」
いつの間にか怪人の身体に結び付けられていたワイヤーが引っ張られる。バランスを崩しながら引き寄せられたナグルドが目にしたのは――再び必殺技の構えを取ったツカサ。
「最後に言い残すことはある?」
「あ……悪の暗黒地下ベーゴマ大会は不滅だドォォォォォォォォォ!!!!」
ズバッ!! と蒼光纏う黒刃に両断された怪人は、断末魔の絶叫と共に爆散する。
――かくして障害はすべて排除された。あとはこの事件の首謀者を倒すだけだ。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『安西九郎・来伝・ペディア』
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POW : これぞ明代の武将、天仁須(てにす)の爆炎投法よ!
【テニスラケット】から【球状の爆弾】を放ち、【着弾時の爆発】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : これぞ宋の侠客、春空琉(はる・くうる)の斬撃走法
自身に【謎の魔力】をまとい、高速移動と【移動の際の衝撃派】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : あれは○○闘法!知っている(つもりな)のか来伝!
対象のユーベルコードを防御すると、それを【亜行参紗行伍のページに写し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
イラスト:笹本ユーリ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠水貝・雁之助」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「クッ、もう追いついてきたのか、イェーガーめ!」
戦闘員・ナグルドの妨害を突破した猟兵たちは、ついにこの事件の首謀者たる怪人を追い詰める。
剥がれたシルエットの下から現れたのは、一見するとケモミミキマイラの少女のような姿の怪人。
その名も安西九郎・来伝・ペディア。凄い名前だ。
「かくなる上は仕方ない……どうやら私自らの手で貴様たちを倒さなければならないようだ」
ようやく覚悟を決めたらしい来伝は、足先を揃えて爪先立ちになり、腕を左右に広げる奇妙な構えを取る。そう、それはまるで――ベーゴマのように。
「ベーゴマの起源、それは唐代の僧侶、辺威護摩(べいごま)法師によって編み出されし古流武術……その真髄を極めたこの私に、果たして勝てるかな?」
果てしなく胡散臭い話だが本人は自信たっぷりであり、全身から溢れ出す気魄はそのトンチキな構えがただの見掛け倒しでないことを物語っている。
伊達に数多くの怪人を巻き込んだ悪の暗黒地下ベーゴマ大会の主催者ではないということか。
兎にも角にも、コイツさえ倒せばこの事件も完全に幕引きである。
悪のベーゴマの親玉に正義のベーゴマの鉄槌を下すべく、猟兵たちは決戦に挑む。
黒城・魅夜
なんですって辺威護摩法師……!
民明何とかという出版社が出していた「世界の怪拳・奇拳」という本に載っていたようないなかったような気がしなくもありません!
確かにあの構えから繰り出される高速回転攻撃は脅威。
うかつに攻撃を仕掛けても、弾き返されてしまうでしょう。
まさに攻防一体となった恐るべき拳法です……!
しかし!
高速回転するコマの唯一にして最大の弱点はその回転軸。
足元を狙って鎖を全弾撃ちこみます。
……すべて弾き返された?
……フッ、外してはいません。あなた自身を狙ったわけではないのですから。
そう、あなたの回転に弾かれた鎖は地面を穴だらけにしています!
自分の開けた穴につまずいて、その勢いのまま自爆なさい!
「なんですって辺威護摩法師……! 民明何とかという出版社が出していた『世界の怪拳・奇拳』という本に載っていたようないなかったような気がしなくもありません!」
知っているのか魅夜! と思わず言いたくなるようなセリフを口にする魅夜。
しかし出版社からして既に限りなく信憑性は薄そうなものだが。それでも安西九郎・来伝・ペディアは大マジだった。
「行くぞ……!!」
ベーゴマのような構えを取った状態からぐる……ぐる……ぐるぐるぐるぐるぎゅるぎゅるギュルンギュルン!! と高速回転を始める来伝。
その回転に何の意味が、とか言ってはいけない。ベーゴマは回るもの。太陽が東から昇るよりも当たり前のことである。
「確かにあの構えから繰り出される高速回転攻撃は脅威。うかつに攻撃を仕掛けても、弾き返されてしまうでしょう。まさに攻防一体となった恐るべき拳法です……!」
「ふふふ、よく分かっているじゃないか。さらにこれに宋の侠客、春空琉(はる・くうる)の斬撃走法を加え入れれば……!」
魅夜の解説に気を良くしたのか、来伝は謎の魔力をその身に纏い、回転したまま周囲に衝撃波を撒き散らしながら高速移動を始める。
これでは危険すぎて近寄ることすらできない。恐るべしベーゴマ武術!!
「しかし! 高速回転するコマの唯一にして最大の弱点はその回転軸!」
敵の急所を即座に見抜いた魅夜は、自らが操る108本の鉤付き鎖を一斉に撃ちこむ。回転軸――つまりは足を縛るなり絡めるなりしてしまえば、それだけで回転は止まってしまう。
ベーゴマ武術敗れたり! と笑みを浮かべる魅夜。だが、来伝は襲い掛かる鎖を見てもまったく動じることなく。
「ふっ。この私をそんじょそこらのベーゴマ使いだと思って貰っては困る!」
ギュルルルルルルルルッ!! ベーゴマと化した来伝の回転数がさらに増す。吹き荒れる衝撃波と本体の高速回転によって、108の鎖はすべて弾き返されていく。
魅夜の得意の鎖攻撃を凌いだ怪人は、会心のドヤ顔を浮かべて叫ぶ。
「どうした、この程度かイェーガー! これでは私を止めることはできんぞ!」
「……フッ、外してはいません。あなた自身を狙ったわけではないのですから」
「負け惜しみを……なにっ! こ、これはっ!!」
そのドヤ顔はすぐに驚愕の表情へと一変する。彼女が見たのは己の足元。そこには――。
「そう、あなたの回転に弾かれた鎖は地面を穴だらけにしています!」
108の鎖によって砕かれ、引き裂かれ、破壊され、デコボコになった地面。こんな穴だらけの場所をベーゴマが通行したらどうなるか。それは夜の次に朝が来るよりも自明の理!
「自分の開けた穴につまずいて、その勢いのまま自爆なさい!」
「し、しまったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
地面の穴に足を引っ掛けた来伝は、そのまま自身の高速回転が仇となって盛大にスピン。鉤付きの鎖や瓦礫が散らばって大変に危険な地面をゴロゴロと転げまわる。
「いだだだだだだ?!」
魅夜がそれ以上手を下すまでもなく、勝手に傷だらけになっていく来伝。
どうするんだベーゴマ武術。開幕速攻で弱点が露呈したぞ。
大成功
🔵🔵🔵
空雷・闘真
「天仁須…まさかあの伝説の…!」
闘真はその【戦闘知識】から、敵の奥義を瞬時に見抜く。
そして≪バトルアックス≫をテニスラケットのように構える。
「まさかあの伝説の技が見れるとはな…」
闘真は敵の沙悪武(さあぶ)の軌道を読もうと≪心眼≫【見切り】【第六感】【野生の勘】を使用する。
狙いは敵の【球状の爆弾】を『武器』とした【グラウンドクラッシャー】。
≪バトルアックス≫の刃の部位をラケットに見立て【武器受け】で爆弾を受け、それを【カウンター】【投擲】【吹き飛ばし】【グラウンドクラッシャー】で打ち返すつもりなのだ。
「新たな歴史に刻むがいい…これが俺の奥義、愚羅雲怒理多暗(ぐらうんど・りたあん)だ!!」
「くっ、流石はイェーガー。我がベーゴマ武術の弱点をこうも早く見抜くとは……だが! 私の武術はベーゴマのみにあらず!」
擦り傷まみれになった安西九郎・来伝・ペディアは、しかし今だ闘志を萎えさせることなく立ち上がる。
ふさふさの尻尾にむんず、と手を突っ込み、そこから取り出したものは――テニスラケット。
「明代の武将、天仁須(てにす)の爆炎投法、受けてみるがいい!」
ベーゴマのお次はテニスで勝負らしい。
「天仁須……まさかあの伝説の……!」
「知っているのか貴様。だが私の技は開祖のそれとは一味違うぞ!」
相手の武器(テニスラケット)を見るや、その戦闘知識から敵の奥義を瞬時に見抜いたのは闘真。だが、その次に来伝が取った構えは、彼の知るどの天仁須の技とも違っていた。
足先を揃えて爪先立ちになり、腕を左右に広げる奇妙な構え。そう、それはまるで――って最初と同じじゃねぇか!
「これぞベーゴマとテニスを組み合わせたまったく新しい古流武術! 受けてみるがいい!」
来伝は球状の爆弾を宙に放り投げるとその場で高速回転。天仁須の奥義・沙悪武(さあぶ)にベーゴマの回転力を加えた必殺の一打が、今、闘真に襲い掛かる!
「まさかあの伝説の技……いや、伝説を超えた技が見れるとはな……」
えも言われぬ高揚感を覚えながら、闘真は自らの心眼を開く。
それは膨大な戦闘経験の蓄積によって培われた『洞察力』。加えて研ぎ澄まされた第六感と野生の勘があれば、彼に見切れない攻撃はない。
奇怪な構えから繰り出される沙悪武の軌道を読んだ闘真は、無骨なバトルアックスをまるでテニスラケットのように構える。
そして飛来するテニスボー……ではなく球状の爆弾を、斧の刃の部位をラケットのガットに見立て、受け止める!
「防いだだとっ?!」
驚愕する来伝。しかしここで終わりではない。テニスとは相手のボールを受け止めるのではなく、打ち返すものなのだから。
闘真の筋肉が隆起する。伝説を超えた敵の技に応えるに相応しい技を放つために。
「新たな歴史に刻むがいい……これが俺の奥義、愚羅雲怒理多暗(ぐらうんど・りたあん)だ!!」
それはただのグラウンドクラッシャーではない。彼が身につけた数々の技能、そして敵の爆弾さえも武器とした究極のリターン!
自身の沙悪武を遥かに上回る勢いで返された爆弾に来伝は焦るが、もう遅い!
「こ、これはまさかあの伝説の古武術、空雷流の……ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
着弾したボールの勢いと爆発の威力が相乗効果を生み、凄まじい破壊の嵐が戦場に巻き起こる。
その爆心地となった来伝は黒コゲになってどこかに吹っ飛んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィサラ・ヴァイン
あの黒幕が何を言ってるのか全く分からりません…
ついでに名前の読み方も分からないですし、UCも何がなんだか分かりません…
えっと……面倒なので【霧中の死】で毒殺します[毒使い]
UCのコピーですか? どうぞどうぞ。私は[毒耐性]ありますし、他の猟兵には『異形生まれの血清』を渡してありますので、毒は効きませんよ?
むしろ毒耐性の自分の首を絞める事になるかと
視界を遮る効果もそのままじゃ逆効果ですよ
私? [第六感]で位置掴めますけど?
そのまま近づいて蛇に毒殺させますけど??
何を知ってるんですか来伝(読めない)さん???
ベーゴマしか持ってないのに血清があるのは何故かって…?
血清は常備する物だからセーフです
「むむむ、まさかベーゴマ武術のみならずテニス武術まで破られるとは……!」
猟兵の奥義を食らって盛大に吹っ飛んだ来伝だったが、黒コゲになった以外はわりと元気そうに戻ってくる。怪人とは頑丈さが取り得なのだろうか。
「だが、私の武術は108式まである……! その内のたった二つを破った程度でいい気にならないことだなイェーガー!」
その手に携えた武術書『亜行参紗行伍』を紐解き、次なる武術の構えを取る。
「あの黒幕が何を言ってるのか全く分かりません……ついでに名前の読み方も分からないですし、ユーベルコードも何がなんだか分かりません……」
目の前で繰り広げられる謎のバトルにヴィサラは困惑していた。考えるな、感じろ。あと名前の発音は『あんざいくろう・らいでん・ぺでぃあ』である。
「えっと……面倒なので毒殺します」
「面倒なので毒殺?!」
あんまりと言えばあんまりな物言いに来伝が思わずビビッた、その隙にヴィサラが放つのはユーベルコード【霧中の死】。彼女の血から生成された猛毒の霧が周囲に満ちていく。
「こっ、これは娯瑠魂(ごるごん)闘法!」
「何を知ってるんですか来伝さん???」
霧に巻かれながらもペラペラと、亜行参紗行伍に記された内容を語り始める来伝。
「娯瑠魂(ごるごん)闘法……それは古代中国からシルクロードを渡り、ギリシアのオリュンピア競技祭で活躍したという格闘家、娯瑠魂を開祖とする武術。独自に調合した猛毒を扱うその残虐な戦法はギリシア中で恐れられ、一説によるとプロレスにおける悪役レスラーの毒霧攻撃もこの闘法が源流であると……ゲッホゲッホゴホガホゴホォッ?!?!」
解説の途中で盛大に吐血する来伝。そりゃあ、毒霧のド真ん中でそれだけ喋れば毒の回りも早くなろうってものである。
「くっ……流石は娯瑠魂闘法の使い手。珍しい技を見るとつい解説してしまう私の習性すら逆手に取るとは、恐ろしい……」
「自爆しただけなのに勝手に怖がらないでくださいよ」
「だが! 貴様の技はもう理解した。己の闘法の威力、自ら味わってみるがいい!」
ちょっと傷ついた顔を見せるヴィサラに、毒霧を吐きかける来伝。彼女は『亜行参紗行伍』に記されたあらゆるユーベルコードを体得、再現できるのだ。
それは確かに凄い才能なのかもしれないが――しかし今回は相手が悪かった。
「私は毒耐性ありますし、他の猟兵には解毒薬として血清を渡してありますので、毒は効きませんよ?」
「何ぃっ?!」
ベーゴマ以外の装備を忘れても血清だけは常備する。それがゴルゴンのたしなみ。
「むしろ毒耐性の無い自分の首を絞める事になるかと」
「ハッ! 言われてみれば私は毒霧の再現はできても耐性までは再現できな……ゲホォッ!!」
再び盛大に吐血する来伝。馬鹿なのかな?
「ぐ、ぐぬぬ、これはマズい、早くここから出ないと……!」
必死に駆け回る来伝だが、どっちに行けば出られるのか分からない。ヴィサラの毒霧には視界を遮る効果もあるのだ。
一方のヴィサラは心眼と第六感で標的の位置を掴める。この霧の中はさながら彼女の狩り場である。
「娯瑠魂闘法、恐るべし……ギャー!!!」
「だから違いますよ???」
すっと近づいてきたヴィサラの蛇髪に、ガブガブと毒牙で噛み付かれる来伝。
彼女の地獄は霧が晴れるまで続いたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
甲斐・ツカサ
すごいや、この世界のベーゴマってそういうモノだったんだね!
おねーさんは物知りなんだなあ……
じゃあ、ここからはオレの知ってるベーゴマとおねーさんの知ってるベーゴマ、どっちがみんなを熱く出来るかの勝負だね!
自分の知ってる、地球でのベーゴマバトル……ベーゴマとの出会い、初めて出会ったライバル、敗北と再起、続々と現れる新たな強敵、全国大会……そんな王道ベーゴマ物語を語ろう……地球で見たアニメの話だけど!
ペディアちゃんがこの力を借りて自らのベーゴマを語るなら、どっちの物語が人気になるか勝負さ!
ところでそっちは一つの話だけ?
こっちには二期があってね。
舞台は世界大会なんだけど、伝説のベーゴマがね……?
「くっ、ひどい目にあった……だが私はまだ倒れん! 辺威護摩(べいごま)の力をこの世界に知らしめるまでは!」
猟兵の猛攻を受けながらも、愛書『亜行参紗行伍』を手に再び立ち上がる安西九郎・来伝・ペディア。
彼女の胸に宿るのはベーゴマへの執念。歪んではいるがそれは愛着と呼べるものかもしれない。
「え、何? 私とベーゴマの出会いを聞きたいって? 過酷な修行を乗り越えて辺威護摩武術の真髄に目覚める激動の我が半生を聞きたいって?」
そして誰も聞いてもいないのに語り始めた。猟兵の誰もが思った、コイツ喋らせると長くなるタイプだ。
しかしその中でただ一人、バカみたいに長い彼女の話に耳を傾ける者がいた。ツカサである。
「すごいや、この世界のベーゴマってそういうモノだったんだね! おねーさんは物知りなんだなあ……」
彼はどこまでも純粋な冒険少年だった。独りよがりな来伝のトークにもちゃんと相槌を打ってくれるし、欲しいリアクションをちゃんと取ってくれる。
「いい子だなぁキミは……!」
これには来伝の目からも喜びの涙が。たぶん、話を聞いてくれる人をずっと求めていたんだろう。
「――と、これが辺威護摩の全てだ。凄いだろう!」
「うん、すごかった。じゃあ、ここからはオレの知ってるベーゴマとおねーさんの知ってるベーゴマ、どっちがみんなを熱く出来るかの勝負だね!」
「何ぃッ、貴様の知るベーゴマだと……?!」
驚く来伝の前で、ツカサはうん、と頷き。
「ペディアちゃんがこの力を借りて自らのベーゴマを語るなら、どっちの物語が人気になるか勝負さ!」
どうやらそういう勝負になったらしい。
「なるほど、よかろう!」
そして来伝、二つ返事で了承。かくして視聴者巻き込み型ベーゴマトークバトルが始まった!
「オレの知ってるベーゴマはね……」
ツカサは自分の知る地球でのベーゴマバトル……ベーゴマとの出会い、初めて出会ったライバル、敗北と再起、続々と現れる新たな強敵、全国大会……そんな王道ベーゴマ物語を語る。
「そこで主人公のベーゴマが破壊されて……」
「何ぃッ、新しいベーゴマの誕生だと!?」
「そしてついに全ての元凶が姿を現して……」
「主人公チームが全滅……ど、どうやってそんな強大な敵に勝つんだ?!」
山あり谷あり熱血ありロマンスありの壮大なストーリーに、来伝は思わず聞き入ってしまう。
――まあこれ、全部ツカサが地球で見たアニメの話なのだが。
「……こうして主人公はラスボスを倒して、みんなの待つ街に帰ってくるんだ」
「感動した……ッ!」
激アツのラストバトルを制した末の感動のハッピーエンドに、滂沱の涙を流して拍手喝采する来伝。
これには彼女も敗北を認めざるを得ない。辺威護摩とかいう胡散臭い武術の薀蓄よりも、エンタメ性を研ぎ澄ませた地球のアニメの方が聞き応えあるのは当然だろう。
「ところでそっちは一つの話だけ? こっちには二期があってね」
「なにぃっ、まだ続きがあるだと?!」
「舞台は世界大会なんだけど、伝説のベーゴマがね……?」
「伝説の?! ちょっ、もっと詳しく!!」
もはやバトルとかそっちのけで、来伝はツカサの話に夢中であった。
「ふっ、心地よい敗北感だ……ついでに休憩も取れたし、さあ続きだイェーガー!」
あっ、まだ戦うんですね。
大成功
🔵🔵🔵
オウカ・キサラギ
SPD
え、この子が黒幕?
さっきと雰囲気違ってない?気のせい?
とにかく速さ比べならボクだって負けられない!
【ダッシュ】【ジャンプ】を駆使しながら【属性攻撃】で乱れ打ちするよ!
なっ、この動きはボクと同じ!?しかも移動だけで攻撃も兼ねているなんて、ボク以上の動きだ!
春空琉、なんて恐ろしい!
それなら敵の退路を断つように爆発する宝石弾で攻撃!
跳ぶしかできない状況を作り出す!
そして着地の瞬間、それこそが最大の弱点!
ボクは鎧の魔力を開放して瞬間的に敵以上の速度で【封印を解く】ことで太陽の力を得た剣で【襲撃する疾風の刃】を発動!
春空琉……破れたり!
君は、まさしく強敵(とも)だった。
あれボクこんなキャラだっけ?
「え、この子が黒幕? さっきと雰囲気違ってない? 気のせい?」
「正体が明らかになるまでは、なるべく黒幕っぽいムーブを気をつけようかなって思って……」
一章や二章との微妙なキャラの違いに首をかしげるオウカに答える安西九郎・来伝・ペディア。けっこうキャラ作りとか気にするタイプだったらしい。
「いや、そんなことは今はどうだっていいのだ! 行くぞ!!」
気を取り直して駆け出す来伝。それもそうだね、とオウカも駆け出す。
瓦礫があちこちに転がる崩壊したベーゴマ会場跡地を戦場に、オウカは持ち前の身軽さで瓦礫を飛び越え駆け抜けながら宝石弾を乱れ打ちする。
だが来伝も同じく軽快な動きで瓦礫だらけの戦場を自在に駆け回り、それに伴う衝撃波で宝石弾を打ち落としていく。
「なっ、この動きはボクと同じ!? しかも移動だけで攻撃も兼ねているなんて、ボク以上の動きだ!」
思わず口に出して解説をしてしまうオウカ。対する来伝はにやりと笑い。
「そう、これぞ宋の侠客、春空琉(はる・くうる)の斬撃走法よ!」
「春空琉、なんて恐ろしい!」
くっと歯噛みするオウカ。だが彼女にも速さ比べなら負けられないというプライドがある。ただ駆けるだけでは勝てないなら、技術と戦術も駆使して敵を上回るのだ。
オウカはポーチから爆発する宝石弾を数発取り出し、矢継ぎ早に打ち出す。狙いは撃破ではなく、敵の退路を断つことだ。
来伝の周囲で立て続けに起こる爆発が、彼女に進むも退くもできない状況を作り出す。その瞬間を狙って高純度の魔力を込めた宝石弾を放つオウカ。
「これでっ!」
「甘いわ!」
たんっ、と力強く地を蹴る来伝。爆風も宝石弾も、跳躍し空中に逃れる彼女を捉えることはできない。
「その程度か?」
ドヤ顔で相手を見下す来伝。だが、これこそがオウカの狙いだった。
跳躍した来伝が着地する瞬間――敵の動きが完全に止まる一瞬を見逃さず、オウカは駆け出す。
「速く、速く、もっと速く! ボクは今、一陣の風となる!」
師より与えられた革鎧の魔力を開放し、その身に風を纏うオウカ。劇的な身体能力の向上はこの一瞬、来伝の春空琉の速度を上回る。
「何ぃ……っ?!」
慌てて迎撃しようとする来伝だったが、そこではっと気付く。彼女の春空琉は確かに移動と攻撃を両立した強力なユーベルコードだが、それは言い換えれば移動と攻撃が不可分ということ。
着地の瞬間、足の止まってしまうこのタイミングでは衝撃波を放つこともできず、完全に無防備となる!
「春空琉……破れたり!」
封印を解かれたサンライト・ハートが、太陽の光を束ねた剣へと姿を変える。疾風の如きスピードを保ったまま、オウカは来伝目掛け光剣を一閃!
これぞ! 彼女の必殺のユーベルコード、襲撃する疾風の刃(ブレイドガスト)である!
「ば、馬鹿なぁぁぁぁぁっ!!!」
太陽の刃に切り裂かれ、吹き飛んでいく安西九郎・来伝・ペディア。たぶんまだ生きているだろうが、大ダメージを与えたには違いない。
「君は、まさしく強敵(とも)だった」
飛んでいった来伝を振り返らず、元に戻ったサンライト・ハートを鞘に収めるオウカ。
フッ……とニヒルな笑みを浮かべる彼女は、ややあってふと気付く。
「あれボクこんなキャラだっけ?」
だいぶ相手に毒されてましたね。
大成功
🔵🔵🔵
オーキッド・シュライン
≪心情≫
・なんでしょう‥このトンチキなのに無駄な強敵オーラは…。
・まあ、この方を倒せばこのベーゴマ騒ぎは終わりなんですのね。
・むむ…あれはラケット。いや、何でテニス‥ベーゴマはどうしたん
ですのおおお!!
≪戦闘≫
・装備には【地獄の炎】を纏わせる。
・右手の細剣、左手のブラスターの【2回攻撃】をメイン。
・近接攻撃は【見切り】、右手の細剣で【武器受け】して逸らし
【カウンター】の【串刺し】か【零距離射撃】を見舞う。
・敵のUCについてはみぎゃあああって言いながら喰らいつつも
【火炎耐性】で爆炎に耐え、反撃のUC攻撃を【カウンター】で
ぶち込む。
「わたくしに炎で攻撃したのが間違いでしたわね。おーほっほほ!」
「むむむ、春空琉は破られたか……だが、まだ私の武術のすべてが破られたわけではない!」
自慢の技を何度打ち破られても、その度に愛書『亜行参紗行伍』を手に立ち上がってくる安西九郎・来伝・ペディア。その気魄は今だ衰えてはいない。
「なんでしょう……このトンチキなのに無駄な強敵オーラは……」
どうして彼女はこんなに自信満々なのか。トンチキなのに意外と強いのか。様々な釈然としない思いを飲み込みながら、オーキッドは細剣とブラスターを構える。
「まあ、この方を倒せばこのベーゴマ騒ぎは終わりなんですのね」
「ふっ、倒せるものならばな!」
そう言って来伝が取り出したのは網張りのスポーツ用具。
「むむ……あれはラケット。いや、何でテニス……ベーゴマはどうしたんですのおおお!!」
「テニスとベーゴマの合わせ技は既に破られてしまったからな!」
4つくらい前のリプレイ参照である。
「行くぞッ!!」
全身に闘士を漲らせ、来伝はオーキッドに殴りかかる――テニスラケットの縁で。
全国のテニスプレイヤーさんが見れば激おこ案件の攻撃を、オーキッドは細剣で受け流してすかさず反撃のブラスター射撃を放つ。
ほぼ零距離から撃ち出された熱線を、来伝は素早いテニスラケットの一振りで弾き飛ばす。
「熱線を、ラケットでレシーブ?!」
「驚くには値せん。これがテニスの真髄だ!」
目を丸くするオーキッドの前でラケットを構えなおす来伝。オーキッドは細剣とブラスターを組み合わせた連続攻撃で攻め立てるが、来伝はラケットを時には剣のように、時には盾のように自在に操り彼女の攻撃を捌いていく。
オーキッドは確信した。こいつ、真面目に戦うと結構強い。
「フッ、ではそろそろ見せてやろう。明代の武将、天仁須(てにす)が編み出した武術の奥義、爆炎投法を!」
攻防の最中、一瞬の隙を突いてオーキッドと距離を取った来伝は、おもむろにサーブの構えを取る。
そこから撃ち出されるのは勿論、ただのテニスボールなどではなく――凄まじい爆発力を秘めた爆弾魔球! よくこれをシラフで武術って言い切れるもんだ!
「みぎゃあああ!!!」
魔球の直撃を受け、爆炎に飲み込まれるオーキッド。勝ったな、と笑みを浮かべた来伝は次の獲物を探そうとくるりと背を向け――。
「――なんて、言うと思いましたの?」
「何ぃっ?!」
爆炎を切り裂き飛び出したオーキッドに驚愕する来伝。完全に油断していた彼女に、轟々と燃え盛る紅蓮の炎が襲い掛かった。
「わたくしに炎で攻撃したのが間違いでしたわね。おーほっほほ!」
その炎の左腕が示すとおり、オーキッドはブレイズキャリバー。この程度の爆炎に耐えるなど容易いもの。
本物の"炎"を教えてやるとばかりに放たれたブレイズフレイムが来伝を包み込む。
「あぢっ、あぢぢぢぢぢぢっ?! あ、これヤバ……?!」
火達磨になって地面を転げまわる来伝の懐から、コロコロと爆弾テニスボールの予備が転げ出る。それは瞬く間に地獄の炎に引火し――。
チュドォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!
「みぎゃああああああああああああああああ!!!!!!」
凄まじい大爆発によって、黒コゲになった来伝は再びどこかに吹っ飛ばされていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
短夜・いろは
あーん? てめー、マジで言ってんのか?
私のコレが分かるだとー? 知ってる? 意味を読み取れる?
てめーの薄っぺらい古本に私の最新鋭の現代アートがマジに理解できんのかよ! この短夜いろはのグレネード劇場がよー。
ほー。やってもらおーじゃねーの。
テメーの思い上がりを【黒色】に塗りつぶしてやる。
おらっ、なんだその役にたたねー辞典はよ! 漢字ばっか使いやがって読めねーじゃねーかよ。
あれもこれもスプレーで黒色に検閲してやらー。戦後だオラ!
だが何も問題はねーぜ。そのアートの意味を読み取れば消された単語の百倍の価値があるんだからよー。
おっと、その古本は私の直筆アート入りだぞ? プレミア確実だから保存しとけ!
「けほっ、こほっ……お、おのれイェーガーめ……」
ぶった切られたり黒コゲにされたり散々な目にあう安西九郎・来伝・ペディア。しかし彼女は諦めない。そろそろ諦めたらいいのに、と思うのだが、往生際の悪さだけは天下一品だった。
「しぶてーな、てめー」
そんな来伝の前に立ち塞がったのは、いろは。彼女の格好を見た来伝の目が輝く。
「むむっ! 貴様のそのグレネードランチャー、そしてスプレー缶……分かったぞ! さては春秋戦国時代の王者、守不羅斗雲(すぷらとうん)のアート武術の使い手だな! 知っているぞ……!」
パラパラと愛書『亜行参紗行伍』のページを捲り、再び薀蓄を垂れ流しはじめる来伝。彼女は隙あらば自分の知識をひけらかしたくてたまらないタイプなのだ。
――だが今回に限ってそれは最悪の行動だった。アーティスト相手に迂闊に「わかる」とか言っちゃいけないのだ。
「あーん? てめー、マジで言ってんのか?」
ぴきっ、と頭に怒りのマークを付けたいろはは知ったかぶりで薀蓄を語る来伝をぎろりと睨み付け。
「私のコレが分かるだとー? 知ってる? 意味を読み取れる? てめーの薄っぺらい古本に私の最新鋭の現代アートがマジに理解できんのかよ! この短夜いろはのグレネード劇場がよー」
「ひぅっ?! わ、わかるとも! この書には古今東西あらゆる武術の源流が記されているのだからな!」
相手の剣幕にビビりながらも『亜行参紗行伍』を見せ付ける来伝。あくまで持論を曲げないつもりの彼女に対し、いろははじゃきっ、とグレネードランチャーを構え。
「ほー。ならやってもらおーじゃねーの」
ばしゅん、と音を立てて発射されるカラーボール。
「テメーの思い上がりを【黒色】に塗りつぶしてやる」
ばぁんと炸裂したボールから飛び散った真っ黒いインクが、来伝の顔面に直撃。
「ぼふっ?! や、やったな?!」
正月の羽根つきで大敗した人みたいな顔になった来伝は、自身もどこからともなくカラーボールを取り出し、いろはのユーベルコードを模倣しようとする。
しかし残念――武術ばかりやってきた彼女には、芸術的センスが皆無だった! アートで人を感動させなければいろはの【High Graffiti】は何の効果も発揮しない!
「え、えーとぉ……ああっ?!」
「おらっ、なんだその役にたたねー辞典はよ!」
ボールを振りかぶったまま何を描くか悩む来伝の手から、いろはは『亜行参紗行伍』をひったくった。
「漢字ばっか使いやがって読めねーじゃねーかよ」
「か、返してぇ!!」
「あれもこれも検閲してやらー。戦後だオラ!」
「やめてぇぇぇぇぇぇぇ?!」
黒のスプレー缶の中身を吹き付けて『亜行参紗行伍』の文字を塗りつぶしていくいろは。あっという間に黒線だらけである。
「そっ、それが無いと、私はっ!」
「何も問題はねーぜ。そのアートの意味を読み取れば消された単語の百倍の価値があるんだからよー」
ぽい、と検閲済みの辞典を投げつけるいろは。慌ててキャッチする来伝。
「こ、この黒塗りが、アート? いったいどこに芸術要素が……?」
「それすら読み取れなくて守不羅斗雲(すぷらとうん)がどうとか言ってたのかよおめーはよー!」
「みぎゃー!!」
黒インクのグレネード弾を次々と浴びせられ、ほうほうの体で逃げていく来伝。その姿からは、これまでのような無駄な自信も気魄もまるで感じられない。
……ひょっとすると、あの『亜行参紗行伍』こそが、この怪人の力の源だったのかもしれない。
「おっと、その古本は私の直筆アート入りだぞ? プレミア確実だから保存しとけ!」
「いらんわっ!! そんなのっ!!」
逃げていく来伝の涙混じりの絶叫が、戦場に轟いた。
大成功
🔵🔵🔵
三原・凛花
これまた突っ込み所しかないような奴が現れたね。
ともかく私は敢えて最後までベーゴマを貫くよ!
まずさっきと同様、過去の記憶を思い出してその『憤怒』を【大罪喰らい】で肉体強化に変える。
それから【聖霊受肉】で『聖霊』をバレエのトウシューズにして(見た目は白い肉塊みたいでキモいけど)、それを履いて爪先立ちになる。
そして雷電…じゃなかった来伝同様、私も腕を左右に広げた構えを取り…
爪先を軸に体を回転させて、そのまま来伝目掛けて突っ込んでいくよ!
こいつに勝つ唯一の方法…
それは私自身がベーゴマになることだ!
私も回転しながら【呪詛】を纏った【衝撃波】を放射して、敵の【移動の際の衝撃波】を相殺していくよ。
「うぐぐぐぐ、イェーガーめ、よくも私の大事な『亜行参紗行伍』を!」
愛読書を失った安西九郎・来伝・ペディア。その心身は激戦の結果、すでにボロボロとなっている。そんな彼女を支えているものは怒りだった。悪の暗黒地下ベーゴマ大会を潰し、部下をぶちのめし、自分をボコボコにした猟兵たちへの。
「私は負けない! お前たちを倒し、新たな地下ベーゴマ大会……ブラックダークネスシャドウベーゴマバトルを開催するまでは!」
なんかちょっと増えてる。
「これまた突っ込み所しかないような奴が現れたね」
怒りの炎を燃え滾らせる来伝に対峙するのは凛花。怒りには怒りのパワーで対抗するべしと、彼女は再び自らの記憶の蓋を開き『憤怒』の感情を『聖霊』に喰わせる。
凛花の肉体を強化しながら再び顕現した『聖霊』は、バレエのトウシューズのような形をしていた。見た目は白い肉塊のようなので、非常にキモいが。
「ともかく私は敢えて最後までベーゴマを貫くよ!」
「ほう、貴様も辺威護摩(べいごま)を――」
『聖霊』のトウシューズを履いた凛花は腕を左右に広げた構えを取り、爪先を軸に体を回転させる。それは奇しくも――否、必然的に相手と同じ構え。
「こいつに勝つ唯一の方法……それは私自身がベーゴマになることだ!」
強化された肉体と『聖霊』の力が生み出す脅威的な回転速度! 身も心もベーゴマとなった凛花は、そのまま来伝目掛けて真っ直ぐに突っ込んでいく!
「いいだろう、受けて立ってやる!」
対する来伝も辺威護摩の構えを取る。春空琉(はる・くうる)の斬撃走法も取り入れた高速回転が衝撃波を生み出し、凛花に襲い掛かる。だが凛花もまた自らの纏う呪詛の力を衝撃波として放射し、敵の衝撃波を相殺する。
互いに一歩も譲らないまま、迫る決着――二人、いや二機のベーゴマは回転速度を上げ、竜巻を巻き起こしながら激突する。
「うおおおおおおおっ!」
「やあああああああっ!」
ガンッ、ガンッ、ガンッ!! 激しい激突音が鳴り響き、火花が散る。小細工なしの真っ向勝負、剥き出しのベーゴマへの想いのぶつかり合い。
その戦いを制したのは――!
「私のっ、勝ちだよ!」
ガッキィィィィィィィィィィィィィィンッ!!!!!!!
一際激しい激突音が響いた直後、戦場に立っていたのは凛花。彼女の肉体、呪詛、聖霊の三位一体のパワーに敗れた来伝はそのまま戦場の端まで吹き飛ばされていく。
「ば、馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…………!!!!!!」
今日だけで何度目かの敗北を喫している来伝だが、流石に彼女のトンチキ武術のネタも底が尽きてきた頃だろう。
すなわち――決着の時は近い。
大成功
🔵🔵🔵
ルパート・ブラックスミス
まさかこの技を実際に試す時が来るとは思わなかったが……いいだろう、奥の手だ。
まずはUC【錬成カミヤドリ】展開。鎧(身体)を複製。その内の幾つかから腕を外す。
残った複製鎧は他の猟兵を敵の攻撃から【かばう】壁にする。
そして外した複製鎧の腕の中に燃える鉛と、ついでに改造ベーゴマも詰める。
UC【炎抱きて白熱せし鋼肢】起動。白熱化した(複製鎧の)四肢、今回は外した腕を【投擲】。
即席の手投げ弾だ。錬成カミヤドリと改造ベーゴマの能力を備える【誘導弾】、的確に当てるぞ。
猟兵になってから様々なことを知り、学ぶ自分だが……今回も教えられた。
ベーゴマというのはこういうものじゃない。
【共闘・アドリブ歓迎】
「くっ、何故だ、何故勝てない……?」
もはや満身創痍と成り果て、戦場の端っこにまで吹き飛ばされてきた安西九郎・来伝・ペディア。その敗因は何よりも猟兵を敵に回したことだろうが、付け加えるならばマトモな武術を覚えて来いと言いたい。
「やむを得ん……ここは一旦退いて、いつの日か再起の時を……」
「悪いが、そうはさせん」
「!!」
よろめきながら去ろうとする来伝の前に立ち塞がったのはルパート。いかにトンチキな相手だろうと、これだけの事件を引き起こしたオブリビオンを見逃す道理など、彼にあるはずがなかった。
「くっ……そこをどけぇっ!」
破れかぶれの来伝が取り出すのはテニスラケットとベーゴマ。爆炎投法に使用する爆弾ボールを使い果たした彼女はベーゴマをボール代わりにして連続サーブを放つ。
「まさかこの技を実際に試す時が来るとは思わなかったが……いいだろう、奥の手だ」
敵の必死の抵抗に対し、ルパートは錬成カミヤドリを発動。自らの本体――すなわちボディである黒騎士の鎧を幾つも複製する。
複製された鎧が防壁となってベーゴマ打球を受け止めている間に、彼は鎧の幾つかから腕のパーツを外し、そこに「仕込み」を行っていく。
「な、何をするつもりだっ?!」
「言っただろう、奥の手だ」
ルパートは外した腕の中に燃える鉛をたっぷりと注ぎ込み、ついでとばかりに例の改造ベーゴマも詰める。鉛と共に炎と熱を溜め込んだ腕は次第に白熱化を始める。
「完成だ」
ユーベルコード【炎抱きて白熱せし鋼肢】の応用によって出来上がった即席の手投げ弾を、ルパートは複製鎧の防壁の隙間から来伝目掛けて投擲した。
「あ、あれはまさか伝説の……露結斗般稚(ろけつとぱんち)……!!!?」
自身目掛けて一直線に飛んでくる鎧の腕を見た来伝は、慌てて踵を返して遁走する。しかし錬成カミヤドリによって複製された鎧のパーツと、その中に詰め込まれた改造ベーゴマは、ルパートの意のままにどこまでも標的を追尾する。
「やっ、やめろ来るな、あっち行け……げふぅっ!」
とうとう逃げ切れなくなった来伝の背中に手投げ弾が直撃。その瞬間、白熱する腕はその内側に溜め込まれた熱量を開放し、カッ!!! と光り輝き――。
「わ……私が倒れても、いずれ第二第三の悪のベーゴマ使いが……!!!!!」
チュドォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!!!!!
青い劫火の爆発に飲み込まれ、安西九郎・来伝・ペディアの姿が消える――それが、彼女の最後であった。
「猟兵になってから様々なことを知り、学ぶ自分だが……今回も教えられた」
戦いの決着を見届けたルパートは、爆発の跡地を見つめながら、得た教訓を口にする。それは今回の依頼を締めくくるに相応しい一言であった。
「ベーゴマというのはこういうものじゃない」
ですよね。
大成功
🔵🔵🔵