ケルベロス・ウォー③~月に謳うメメント・モリ
●死を忘るる勿れ
ぬらり、蛇が巻きつく本。
「死を招く言葉」たちの番人をしている。
デウスエクスには存在しないはずの「死」。それを司り、もたらす『死定神『免れ得ぬ運命の蛇』』
偽物の満月が煌々と輝く中、蛇は向かってくる者たちを睥睨する。
お前たちに、死をもたらしてやろう。
狂気に自ら堕ち、その中で溺れ死ぬがいい、と。
●グリモアベース
「『神経樹グラビティピラー』の永遠回廊が開けたみたいだね。この調子で他も進めていこう。僕が今回案内するのは【ジャマー】の決戦配備。狙うは『原罪蛇メデューサ』だ。
メリュジーヌと協力し、狂月化して戦ってほしい。相手は死を司る……こいつも蛇だ。『死定神『免れ得ぬ運命の蛇』』」
デウスエクスは不滅。故に、彼らにはそもそも「死」という概念が存在しないはずだが、そのデウスエクスは死を司るのだという。
「強敵だし、狂月化のもたらす症状は苦しいだろう。でも、まだまだ戦いは続く。こんなところで倒れるようなヤワな猟兵なんていないって、僕は知ってる。
だから、よろしく」
そう告げると、シイナは転移を開き、戦地へと猟兵たちを送った。
●廻る
蛇がとぐろを巻いていた。
原罪を唆した悪魔と言い、どうにも蛇は悪しきものの印象が強い。
猟兵たちの姿に、蛇は静かに目を細めた。
狂いに来たか。殺されに来たか。
そう、見下ろすように。
見下すように。
瞳の輝きと月の輝き。どちらが明るいだろうか。
今更、神に立ち向かうことなんて怖くはない。
|僕ら《ケルベロス》が戦ってきたのはいつだって|神に似たる者《デウスエクス》だ。
九JACK
どうも、九JACKです。
【ジャマー】です。蛇。
一章完結、断章なし、公開後すぐ受付、クリア可能になり次第受付は〆ます。
「グラビティピラーはやらないんですか?」
「いやでもみなさんメデューサに会いたくありません?」
というわけで、【ジャマー】をがんばります。
最近ちょっとリプレイをシンプルめにまとめるようになってきました。
よろしくお願いいたします。
プレイングボーナスです。
プレイングボーナス……メリュジーヌと協力して戦う/「狂月化」して戦う。
第1章 ボス戦
『死定神『免れ得ぬ運命の蛇』』
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POW : 瞳に映る死
【自分の瞳】に映し出された【対象の死に様】を見た対象全てに【絶望】を与え、行動を阻害する。
SPD : 理解され得ぬもの
自身が対象にとって未知の存在である限り、通常の行動に追加して「【生命力流出】」「【急速老化】」の心霊現象を与える。
WIZ : 拡散する静寂
【全身】から【死の瘴気】を放ち、近接範囲内の全てを攻撃する。[死の瘴気]は発動後もレベル分間残り、広がり続ける。
イラスト:塚原脱兎
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ボーリャ・コータス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ゼロ・ブランク
◆アドリブ連携大歓迎
この世界を守るためなら、一時的な狂月化なんて怖くないよ
だからメリュジーヌちゃん、協力よろしくねぇ!
狂月化すると、タガが外れ、アートへの渇望が強くなる
空中や壁に、蛇の天敵である鷹や鷲、ワニを沢山沢山描いていく
それらはUCの効果で具現化し、一斉に運命の蛇に襲いかかる
蛇を丸呑みにして『捕縛』したり、噛みちぎらせて『攻撃』していく
[魔力供給]してアートに炎を吐かせたり……ね♪
アートって楽しい!
ねえ蛇さん、アタシのアート見えてる~~?
アタシの芸術を、その身体で目一杯感じていってねえ~~!!
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎
ふむ、これは…四悪霊だけで行くが良いだろう。
狂月化は…苦しいが。それをも狂気耐性で耐えて、一撃を加えてやろうぞ。
死に様なぁ…すでに死んどるから、まあ関係はない。悪霊としてある以上、忘れぬしな。
だからこそ…ダッシュで素早く近づき、そこから黒燭炎によるUC付きの叩きつけをみまってやろうぞ!
ああ、月が綺麗だの?かつては狼に連なる者(生前は狼のキマイラ)であったわしには…お似合いの舞台であるなぁ!
ギュスターヴ・ベルトラン
神に栄光、地には平和を
それを乱す者には【断罪】と【神罰】を
オレが狂うならば、それは信仰に狂うという事
常に心掛けて来た他者への理解を放棄し、己を理解されることも望まず
|Galgalim《魔導書》を携えて、天の主を称える為だけに動く
自らの死に絶望などするものか
【狂気耐性】と【霊的防護】のお陰もあるが、そも今のオレは狂っている
御大層な名だが、蛇は蛇
創世記3章15節にもあるだろう?
手前がオレの踵を砕こうとも、オレは手前の頭を砕いてやるよ
UCを発動し禁呪を連ねて蛇を焼く
主よ、あなたの|天使《Galgalim》に命じ給え
悪しき者を灰に、と
破壊と浄化の火…この火は主の怒りか、それともオレの妄信か
織部・藍紫
月と蛇、まるで昔の…いや、今はいいか。
狂月…狂気に呑まれないように、気は張らんとなぁ。
でもな、それで対抗できるんなら、甘んじて受けるだけや!
蛇なぁ。…もっと蛇増やしたろか。
実はな、わしも蛇に連なるものやけん。【翼の生えた蛇】っていう変わり種に変身できるんやでな!
その瞳を見ない様にしながら、動き回って毒を確実に与えるように。
そして、その速度低下で…メリュジーヌたちが攻撃もできるような隙を作り出せるように。
速度低下したら、なかなか目を合わすことも難しいんちゃうかなぁ。
や、神の如き者と戦うんは、この戦争が初めてやけどな?
…地球崩落なんて、放っておけるわけ、ないやろ。
●委ねましょう、戦いましょう
偽物の満月を作ったのは、メリュジーヌだ。狂月化をもたらす「狂鳴の満月」は猟兵だけでなく、メリュジーヌにも影響を及ぼしている。
けれど、それも望んだうち。眼前の敵に一矢報いれるなら、己を狂気に浸すくらい、なんでもない。
狂うことを恐れる必要はない。
槍を携え、蛇に立ち向かおうとするメリュジーヌの前に現れたのは、ゼロ・ブランク(スリーオーブラック・f42919)。ゴッドペインターで絵を描くことが大好き。天真爛漫な少女は狂気の月の下、その碧玉を爛々と輝かせていた。
ひたすらに綺麗な目。何も恐れないそれは、けれど狂気に染め上げられていた。
メリュジーヌと目が合うと、彼女はにぱっと笑い、手を振る。
「メリュジーヌちゃん、手助けに来たよ~! よろしくね!」
メリュジーヌはこくりと頷く。朗らかな笑顔は優しく、それでも狂気を抑え込んでいるわけではない。
狂気に身を任せる。恐れず、許容する。芸術を、アートを探究する者は、いつだってそうして目新しいアートを見つけるのだ。
「ふっ、ふふふっ……すごいな、すごいな♪いつもとは違うインスピレーション!! 蛇さん、アタシのアートを見て! その大きな目で見て、全身で感じて? ねっ!」
筆がざっと振るわれ、ゼロはインスピレーションの赴くままに描き出していく。それは凶悪で獰猛なピラミッドの頂点にいる猛者たち。
猛禽の二大巨頭、鷹と鷲。水陸共に王者然とする鰐。鋭い眼光、威厳ある翼、重厚感ある塗りで表現されたそれは、今にも動き出しそうだ。
蛇の目が険しい色を宿す。わざとなのだろうか。蛇の天敵揃いだ。だが、所詮は絵——
そこで蛇は思考を止めた。止めざるを得なかった。何故なら、絵は動き出したのだ。
鷹がその速さで蛇の目を啄もうとする。鰐はその大きな口で、尾を噛み千切ろうとした。
【|秘技!ゼロのアート活性化術《リビング・アート》】! ゼロのアートは生きているのだ。
生きているのなら、死ぬだろう。そう断じ、蛇は【死の瘴気】を展開しようとするが、鰐や鷲の影から現れた武人が、ざんっと槍を振るい、その一撃を蛇の体に叩きつける。
蛇は目をこれでもか、と見開きに見開いた。少しのタイムラグ。すぐに「この瞳に映すべき者は誰か」と探す。
死を与えねばならない。生あるものには、すべからく。
蛇に一撃を与えたのは馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)、その中の「侵す者」である。
いつも連れている巨大ミズクラゲの「陰海月」やヒポグリフ「霹靂」の姿はない。死を司る神がいるというのと——狂月化の月に、晒すわけにもいかないため。
体を苛み、己を食い破ろうとせんほどの狂気。普通は耐えがたいものだ。苦しいが、義透には狂気耐性がある。
それに、相手は死を司るというが、義透は今更、死など怖くはない。彼は、彼らは悪霊だ。既に死んでおり、死んだ四人が集合しただけのこと。死に様を、死そのものを忘れることはない。忘れることができないからこそ、この世に留まっているわけなのだから。
【|それは火のように《シンリャクスルコトヒノゴトク》】により、侵す者の振るう黒燭炎は単純で重い一撃を出すわけだが、狂月化による強化も相まって、その威力は絶大だ。
神を名乗るだけあり、一撃で倒れることこそしなかったが、平然とした様子なのに、蛇の体には痙攣がある。衝撃が抜けきっていないのだろう。
「神に栄光、地には平和を。
それを乱す者には【断罪】と【神罰】を」
神を名乗る者の前で、そう謳う者があった。
カソックを身に纏い、ロザリオを首から提げ、手には聖書を模す魔導書。経験なる神の信徒の装いだが、目にでかでかとかかっているサングラスだけが少々異様に映った。
ギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)、彼はひたすらに主を信じる者であった。
死の神を名乗る蛇は、決して彼の主ではないが。
蛇がじろりと忌々しげに聖職者を見やる。
耳障りな文言だ。信仰を掲げることで、神に酔いしれているふりをして。その実、本当に酔いしれているのは神に対してでなく、神を信望する己の姿にだろう? 浅ましいこと甚だしい。
そう語りかけてくるような蛇の佇まい。ギュスターヴが激昂することはなかった。
蛇の忌まわしい瞳に映されても、彼は信じることをやめない。主を讃えることをやめない。それは呼吸で、狂信だ。
「デウスエクスが聖書を嗜むかは知らないが、御大層な名を冠しても蛇は蛇。創世記3章15節にもある」
『わたしは、おまえと女との間に、また、おまえの子孫と女の子孫との間に、敵意を置く。彼は、おまえの頭を踏み砕き、おまえは、彼のかかとにかみつく』
|蛇《サタン》とイヴ、そして|その子孫《キリスト》の間に因縁が横たわり続けることを予言した文言。
死の国の蛇に、主たるその者が打ち勝つという予言である。
「手前がオレの踵を砕こうとも、オレは手前の頭を砕いてやるよ」
宣告と共に放たれるは、破壊の炎。死を徒にもたらし、貪る蛇を浄化する炎か。【Grimoire:Galgalim】。着弾を避けても、放たれる禁呪は地を焼く。延焼する炎の腕からは逃れられない。煽るように、ゼロによって描き込みが加えられた鷲が口から火を噴き、鷹が風を起こして煽る。
その狭間を縫い、義透が黒燭炎の一撃。なんと望ましい偶然か、侵す者は火のごとく猛き者。火の海の戦場など、滾る。
狂気に身を委ねたアーティストの鮮やかなる芸術、死を知り、炎の如く走る者の槍術、狂える妄信がもたらす炎。容赦のない猛攻から、蛇は逃れるすべもない。
逃げようと道を探しても、すぐ炎が埋め、逃げ道を探せばそれを塞ぐ武人。目が見えなくなっちゃえば、逃げようもないよね、なんて無邪気な声が猛禽を遣わす。補助するように、鰐ががぶり。蛇の尾から半身を丸呑みして捕縛する。
万事休すと思われたそのとき、鼻先を雨が降った。雨。雨とは乾いた地に恵みをもたらすもの。火を掻き消すもの。蛇にとっては救いであった。
神に見放されてはいない——しめしめと、蛇はそんなことを考えた。見放すも何も、神なのは自分であろうに。
しかし……それは本当に「恵み」か、「救い」か。疑うことを、思考することを止めてしまったために、蛇は足元を掬われる。
猟兵でもなんでもない、メリュジーヌが三人ほど。槍で突撃をしてきただけだった。その槍は二又。どこぞの冥府の王の得物と形が同じであるが、形が同じだけだ。ユーベルコードもないちっぽけな突撃など、蚊に刺される程度。
蛇ゆえなのか、傲慢。しかしその身体はぐらついた。ずぷり、と槍が一つ刺さる。痛い、痛い。こんなちっぽけな命など、尾で薙ぎ払えば……いつの間にか自由になった尾を振るおうとして、自由が利かないことに気づいた。
尾だけではない。全身の倦怠感。強い痺れ、視界がぐるりと回転しそうだ。蛇はそこでようやく察する。
この雨、毒か!
天を見上げ、雨を降らす存在を探す。いた。蛇だ。奇しくも蛇だ。翼なぞ生やしているが、アレは蛇だ。
忌々しい、忌々しい、忌々しい……!
自分のことは棚に上げ、蛇は不快極まれり、と上空を翔る蛇を見た。が、それは死をもたらすには至らない。
翼の生えた蛇、その正体は織部・藍紫(シアン・f45212)という猟兵の一人だった。
藍紫のユーベルコード【|翼の生えた蛇《アムフィフテーレ》】は飛翔し、速度低下のデバフと毒を降らせるもの。速度低下自体が毒のようなものだが、どんな要因であれ、動きが鈍れば、メリュジーヌにも攻撃のチャンスが与えられる。
ゼロの鷹や鷲から目潰しを食らっていたのもあり、蛇は藍紫に瞳を向ける余裕すらないようだ。敵のみを蝕む毒は、ユーベルコードを持たぬ者も含め、好機を与えていく。
(狂気に呑まれんように気を張るのはしんどいけど、思わぬラッキーってくらいにあの蛇には効いてる! このままいったろ!)
藍紫が雨を降らせ続ける中、止まない炎の中から、武人が現れる。アートや炎になぶられ、メリュジーヌたちにさんざっぱら串刺しにされた蛇は、最後の抵抗とばかりに、武人を睨む。
この雨は藍紫が降らせている。そのため、空に雲はなく、月を妨げるものはない。
「ああ、月が綺麗だのう」
かつて狼に連なる者であったわしには、似合いの舞台であるなぁ。
ダッシュ、踏み込み、【|それは火のように《シンリャクスルコトヒノゴトク》】、重量のある叩きつけ。
ずしゃり、蛇は倒れた。
蛇が消えゆくのを見届け、藍紫が人間の姿になり、降り立つ。
アイドル☆フロンティアで過ごしていた藍紫が|神の如き者《デウスエクス》と戦うのは初めてだ。ケルベロスディバイドとは、縁もなかった。
それでも。
「……地球崩落なんて、放っておけるわけ、ないやろ」
その思いは、同じなのだ。
大成功
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