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ケルベロス・ウォー③〜月下の狂進曲

#ケルベロスディバイド #ケルベロス・ウォー #メリュジーヌ

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 たんたかたーん。
 だぁん、だぁん、だぁん。

 戦場には似つかわしくない軽やかな音が聞こえてくる。

「なんでこんなめんどくさい事をしてるんだろうね!」

 可愛らしい外見と裏腹に悪態をつく兎型ダモクレスが、音の発信源だった。

 たんたかたーん。
 たんたかたぁん。

 ドラムの上で軽やかにタップを踏んでいたかと思えば、地団駄を踏み、悪態をついて、ダモクレスは進む。
 その様子を不自然に空に浮かぶ満月が見守っていた。



「電気、通信網への攻撃を加えようとしているダモクレスが居る」

 龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)が一同に言った。|妨害配備《ジャマー》施設の一種として造られている「狂鳴の満月」が浮かぶ一角から、東京都内の電気通信網に壊滅的打撃を与えようとしているのだという。

「目的を果たすためにダモクレスは「狂鳴の満月」の破壊も目論んでいるようだ」

 「狂鳴の満月」を呼び出した「メリュジーヌ」達は、ユーべルコードを喪失した妖精種。押し留める事は可能だが、退ける力は持たない。彼等を助けるため、そして、|決戦配備《ポジション》施設を一基でも多く確保する為には、猟兵の力が不可欠である。
 しかし、ダモクレスも|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》により強化されており、一筋縄ではいかない。

「そこで力を発揮するのが「狂鳴の満月」の力なんだが……」

 「狂鳴の満月」の名の通り、そこから放たれる光は「狂月化」を種族すら問わずに引き起こす。それにより、己の力の上限を引き上げれば、強化されたダモクレスと同等、もしくはそれ以上に渡り合えるだろう。

「月の魔力は強大だが、あんた達なら完全に呑まれる事も無いだろう」

 だから、「狂鳴の満月」と「メリュジーヌ」達を護り助けて欲しいと、翡翠は告げて一同を送り出すのだった。



 たんたかたーん、だんだんだん。
 たかたかたーん、だんだかだん。

 偽りの月が照らす中、ダモクレスの行進曲は続く。
 どうやら月の光は彼等のなけなしの集中力をも奪っているようで、足踏みをする頻度が上がってきているようだ。

(あんなのが都市に潜入してきたら、それはそれで目立つ気がするのだけど……)

 「メリュジーヌ」の一人がそんな事を思ったのと、猟兵達が彼達の傍らに転送されたのはほぼ同時だった。


白神 みや
 初めましてのかたは初めまして。
 そして、そうでない方はご無沙汰しております。|白神《しらかみ》です。

 ケルベロス・ウォー シナリオ、三本目。
 |妨害配備《ジャマー》の施設建造にあたるためのシナリオです。
 シリアスっぽくみえますが、ややゆるもふ傾向になりそうな気配もちらり。

●プレイングボーナス
 メリュジーヌと協力して戦う。
 「狂月化」して戦う。

●お願い
 MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
 今回のプレイング受付開始は【5/16 8:31〜】です。
 5/17 8:30以降に🔵が👑を上回った事を確認した時点で〆切予定です。
 開始時刻より前のプレイングはお返しする事となります。また、期間内に頂いた方、できるだけ全員お受けする方向ではおりますが、キャパシティとの相談でお返しすることになる可能性もありますので、ご了承ください。
 タグに状況を記載しますので、宜しくお願いします。
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第1章 ボス戦 『都市潜入型ダモクレス・アングリビット』

POW   :    ああ!もう!イライラする!イライラする!!
予め【地団駄を踏んでドラムロールをしておく 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    物理破壊なんて、ただブっとばせばいいんでしょ!
召喚したレベル×1体の【重量級爆弾 】に【推進エンジン】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
WIZ   :    この辺にあるもの全部、僕のいう事聞けよおおお!!
【超強力なコントロール奪取電波 】を放ち、戦場内の【電気】が動力の物品全てを精密に操作する。武器の命中・威力はレベル%上昇する。

イラスト:夏屋

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠セラー・ミメシスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

卯乃巫・八香
狂月化してみたけど…なんだか気分上がってくる。楽しい。
(表情には出ないがそんな感じらしい)
けど、戦いに支障出ない程度には【落ち着き】を保って、敵へ向かう。

この敵、凄く不機嫌そう。
こっちは気分上がってるのに、感じ悪い。やっつける。

爆弾を呼び出してくるようだから、無尽の風刃で真空刃を放ってこれを撃ち落とす。
ついでに爆発させて、敵を巻き込めれば尚良し。
巻き込めてないなら、敵に直接真空刃を撃ち込む。

トドメはメリュジーヌにお任せして、私はまだ暴れてる敵を優先的に攻撃。
この調子でどんどん倒してく。
…やっぱり、なんだか楽しくなる。



●月光は氷狼と狂鳴する
「狂月化するね」

 端的にそう言って、メリュジーヌが止める間もなく前線に進み出たのは、卯乃巫・八香(夢中の狗・f29763)だった。
 月の光を浴びれば、狂気に襲われる筈なのだが、見た所は浴びる前の八香から著しい変化を感じない。

(なんだか気分上がってくる。――楽しい)

 本人の中では、狂気が何某かの高揚感に変化したのかもしれない。普段とは違う感覚を覚えながら、八香は前方の機械兎へ視線を向けた。

 たかたかたーん。たんたかたー……。

「なんだよ、邪魔するなよ! こっちは忙しいんだよ!」
「……感じ悪い」

 己の侵攻を阻まれた機械兎がついた悪態に、高揚感でいっぱいだった八香は水を差された気分になる。

「ブっとばせば邪魔はなくなるよね!」
「――やっつける」

 機械兎の放つ爆弾と八香の風の刃が交錯し、風の刃が爆弾の爆風すらも飲み込み斬り裂いていく。

「トドメは、あなた達にお任せする」

 ひとしきり風の刃で機械兎を攻撃した八香は、高揚感に包まれたまま後をメリュジーヌ達に託すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メリーナ・バクラヴァ
ああ、マスコットのフリ的な潜入?そういうコンセプトは好きです♪

ともあれ、
美しい夜の狂騒を私も存分に楽しみましょうかね♪
狂月化します!

途端に荒れ狂う感情の中、私はどうにも「芝居がしたくて仕方がない」衝動に支配されそうになります。
そして終幕の人型「影絵」で敵を縛るのですが、その影絵がどうしてもゆらゆらと一種の神秘劇のようなものを演じる「影絵芝居」の形をとってしまいまして……
ああしまった、これで「影絵芝居」をするのは役者を辞めた時に封印したはずですのに! ――っていうか、芝居してたら敵さん捕縛できません!!
必死に制御です。

重量級爆弾は弧を描く動きであらぬ方向に誘導しつつ頑張って避けましょう!



●月影に衝動が燻る
「ああ、マスコットのフリ的な潜入?」

 メリーナ・バクラヴァ(リスタートマイロード・f41008)は事情を聴いて楽しそうに笑う。機械兎のコンセプトは非常に好ましいものだったからだ。
 とはいえ、相手はダモクレスなのである。しかも戦場下なのである。捨て置くわけにはいかない。

「美しい夜の狂騒を私も存分に楽しみましょうかね♪」

 そう言うとメリーナは地を蹴って、月光をその身に受ける。

(――ん、これは……)

 月の光に煽られたのは、メリーナの裡に静かにしまっていた筈の衝動。

「『緞帳が降りて、「魔法」が解けて――』」

 そのまま、煽られた衝動のままに、メリーナは己の力を発動する。
 ピンスポットを浴びるように月光に照らされたその影が、“メリーナの影”から剥がれるかのようにゆらりと立ち上がり、機械兎の方へとその身を伸ばそうとする。

「ああ、もう! なんなんだよ、コイツはぁ!!」

 進路を妨げられた機械兎が腹立たし気にそう叫んで、|エンジンをはやした爆弾《ミサイル》を喚び出して影とメリーナの方へと向かわせる。メリーナと影は、いつしか手に手を取って、踊るように踊りながら爆弾を避け始めていた。

(あ、ら?)

 幾らか爆弾を避けた所で、メリーナの意識が衝動から僅かに引き戻される。そうして己が影と芝居を演じてしまっている事に気づいた。

(ああ、しまった……これで「影絵芝居」をするのは役者を辞めた時に封印したはずですのに!)

 月の力の恩恵を受けねばならない事は理解している。しかし、その衝動に呑まれてしまっては元も子もない。

(――っていうか、芝居してたら敵さん捕縛できません!)

 影の手を振り払ったメリーナは、懸命に己の裡の衝動を抑え込み、影の動きを制御下に置く。そうして、機械兎の歩みを抑え込んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フール・アルアリア
つまり全力でこのもふもふしたいって欲求に従えばいいんだね?
ええっと、絵図すごい怖いことになりそうだけど、倒さなきゃいけない対象がもふもふだからこうなるだけで、くれぐれももふもふ全てにこうな訳じゃないからね?ね?

じゃあ遠慮なく…はぁ、可愛いっ(恍惚のヤンデレポーズ)うさぎさんのくせに飛翔するとか生意気、うさぎさんは大地をぴょんぴょんしていればいいんだよ。飛ぶ鳥すら風にキリモミされるんだから、君にこれが躱せるはずないよね?

さあ、僕が欲しいのは君の頭、カマイタチでぶっ飛んじゃえ!きみが敵じゃなければただもふもふするだけだったのに残念。君が頭だけになったあと、たくさん撫でてもふるね!これで僕のもの。



●Crazy for Fluffy
「ねぇねぇ、あの月の光を受けたら狂化、するんだよね?」

 メリュジーヌの一人へ気さくに話かけたのは、フール・アルアリア(No.0・f35766)だった。
 フールのその問いかけに、話しかけられたメリュジーヌは、頷いて説明する。曰く、本来は|獣人種族《ウェアライダー》達しか発症しない「狂月病」に似た状態を強制的に引き起こすのが、彼等の狂鳴の満月の光が起こす狂月化なのだという。

「おっけー! じゃあ遠慮なく!」

 え、そんなお茶でもしに行くみたいに軽くでいいの?! と、話していたメリュジーヌが口にしかけたのと、フールが狂鳴の満月の光を浴びに前線に飛び込むのはほぼ同時だった。
 躊躇も迷いもなく月の光を浴びたフールは、身の裡に沸き起こる衝動を受け止め、理解しようとする。

「つまり全力でこのもふもふしたいって欲求に従えばいいんだね?」

 受け止めた結果、下した結論をあえて口にしたその視線には、不機嫌そうにマーチを奏でる機械兎。

「……はぁ、可愛いっ」

 身の裡に渦巻く衝動のままに、思わず恍惚とした吐息を吐いた。

「邪魔しないでくれないかなぁ! 邪魔なんだよ、邪魔ぁ!!」

 結果的に機械兎の進路を塞ぐ形になったフールへ向けて、機械兎が召喚した爆弾が現れる。

「あっははは! 可愛いねぇ、ほんっと可愛い!」

 もともとふわふわもふもふとした生き物が大好きなフールが、その愛玩欲を狂気にひっくり返した結果、どこをどうしてか、嗜虐欲めいたものに転じてしまったようだ。

「こういうの、かわいそかわいいっていうのかなぁ!」

 そう言いながら暴風のユーべルコードを起動させる。十重二十重に吹き荒れる風の刃が、容赦なく機械兎へと襲い掛かるのだった。



 なお、戦闘が一区切りついた頃。

「――ええっと、倒さなきゃいけない対象がもふもふだから“こうなった”だけで、くれぐれももふもふ全てにこうな訳じゃないからね? ね?」

 月の魔力から解き放たれたフールは、どこかおびえた顔のメリュジーヌ達へそう弁明していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御形・菘
妾的にはメリュジーヌへの好感度は問答無用で超高い! 理由は見ての通り!
とゆーか妖精って、ファンタジーで羨ましいのう
ともかく、連携してド派手にバトろうではないか!

右手で、眼前の空間をコンコンコンっと
はーはっはっは! ようこそ妾の統べる世界へ!
空には実にエモい満月が昇り、地には花々が満ち、そして後ろには仲間が沢山!
普段以上に妾のテンションはMAX、からの上限突破だ!

メリュジーヌの皆の衆よ、妾に渾身の応援を浴びせてくれ
それに、こんな素敵な状況で理性を手放す理由などない!

はっはっは、好きなだけ地団太でも踏むが良いさ
どれだけブチ切れようが、妾の左腕の一撃の前に容易くブッ飛ばされる運命なのだからな!



●それはとても“エモい”月下散華
 御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)にとってメリュジーヌという存在はとても好ましいものである。何しろ蛇神である彼女自身もその半身が蛇のそれなのだから。

(とゆーか妖精って、ファンタジーで羨ましいのう)

 ただ、蛇神であり邪神でもある菘からすると、妖精であるメリュジーヌ達はほんの少し眩しく見えなくもない。

「ともかく、連携してド派手にバトろうではないか! のう、メリュジーヌたちよ!」

 菘は高らかにそう告げて、目の前の空間を、そこに扉があるかのようにノックをすれば、周囲の戦場は瞬く間に白い紫陽花と月下美人が咲く平原へと転じる。

「ようこそ妾の統べる世界へ!」

 メリュジーヌ達と、彼等に付随する「狂鳴の満月」、そして、機械兎を巻き込んで広がる散華世界に、菘のテンションは際限なく上がっていく。

「なんなんだよぉ! 都市はどこ行ったんだよ!」

 己が対処する筈の電子機器とは縁遠い散華世界の光景に機械兎が地団駄を踏めば、それに合わせて足元のドラムがやや場違いにも思える軽やかな音が響く。いや、菘にとってそのドラムロールすら“エモく”する要素なのかもしれない。

「好きなだけ地団太でも踏むが良いさ! そして、メリュジーヌの皆の衆よ、妾に渾身の応援を浴びせてくれ!」

 菘の訴えにメリュジーヌ達が首を傾げる。大体の猟兵達は彼等の月の力を借りて戦っていたので、その意図を咄嗟に理解できないようだ。

「こんなにエモい空間神様のお通りだ・f12350)にとってメリュジーヌという存在はとても好ましいものである。何しろ蛇神である彼女自身もその半身が蛇のそれなのだから。

(とゆーか妖精って、ファンタジーで羨ましいのう)

 ただ、蛇神であり邪神でもある菘からすると、妖精であるメリュジーヌ達はほんの少し眩しく見えなくもない。

「ともかく、連携してド派手にバトろうではないか! のう、メリュジーヌたちよ!」

 菘は高らかにそう告げて、目の前の空間を、そこに扉があるかのようにノックをすれば、周囲の戦場は瞬く間に白い紫陽花と月下美人が咲く平原へと転じる。

「ようこそ妾の統べる世界へ!」

 メリュジーヌ達と、彼等に付随する「狂鳴の満月」、そして、機械兎を巻き込んで広がる散華世界に、菘のテンションは際限なく上がっていく。

「なんなんだよぉ! 都市はどこ行ったんだよ!」

 己が対処する筈の電子機器とは縁遠い散華世界の光景に機械兎が地団駄を踏めば、それに合わせて足元のドラムがやや場違いにも思える軽やかな音が響く。いや、菘にとってそのドラムロールすら“エモく”する要素なのかもしれない。

「好きなだけ地団太でも踏むが良いさ! そして、メリュジーヌの皆の衆よ、妾に渾身の応援を浴びせてくれ!」

 菘の訴えにメリュジーヌ達が首を傾げる。大体の猟兵達は彼等の月の力を借りて戦っていたので、その意図を咄嗟に理解できないようだ。

「こんなに“エモい”空間で、仲間の声援を背に受けて戦えるのだ! 妾が負ける道理などないわ!」

 高らかに笑いながら菘は地を蹴り機械兎へと距離を詰め、左腕を振り抜いた。

「僕は高性能で繊細なんだよ! 精密機器は丁寧にって、習わないのかお前らは!」

 そんな悪態をつきながら、機械兎は吹き飛ばされていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

メリュジーヌたちが頑張ってる
「姿は可愛くても騙されないから」
圧し負けない為に俺達がいる
何時も通り武器を合わせ
「やろう!」

俺は一度狂気の月光に身を任せた
今もまた光は俺に激烈な闘争本能を齎すけど

陸井の瞳が紅く染まるのが視える
きっと、俺も

「いや!」
力は受け取ってそれでも己の衝動に否を
無二の相棒と挑む今日は
狂気を御しきって連携して戦う
それが一番大事

「やるよ?」
打てば響く返事に頷き返して
全霊を籠めアークヘリオン詠唱

月光に俺の光が重なり力が狂気を孕んで
呼応し乱反射して敵を焼き尽くす

右往左往しても無駄だよ?
高速・多重詠唱で繰り返し

相棒の止めに併せてもう一度!
消えて無くなれば良い!


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

見た目は確かに可愛いが
やろうとしている事は可愛くないな
「手加減するつもりもないからな」
この場を落とさせない為にも
互いに武器を合わせていくよ
「やるぞ!」

相棒は躊躇ってない
俺も勿論、全力で戦う為
狂月化に身を任せて受け入れる
「成程な」
壊せという衝動が押し寄せる
だけど敵を引き裂きたくなるような
そんな衝動も、二人で戦うから
冷静に心に持って戦える

「合わせるぞ、時人」
相棒の詠唱と同時に周囲に墨を展開
術式の形にしたそれを幾重にも
目的の場所へ固めていく

狂月化の力で増幅されたそれを抑えつけ
水で模った和弓を手にして
相棒の繰り返し放たれる光と共に
弓を引き絞って、放とうか
「全てを引き裂け!」



●衝動を超える矜持
「やろうとしている事は可愛くないな」
「姿は可愛くても騙されないから」

 凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)と葛城・時人(光望護花・f35294)。戦場を縦横に駆ける二人が、メリュジーヌ達の助力に謝意を伝えつつ、彼等を交えて言い交わす。戦線を維持し、十二剣神を護る|永遠回廊《グラビティ・ゲート》を打ち破る為に「狂鳴の満月」を維持し続けるメリュジーヌ達に、少しでも感謝と敬意を伝えたくて。

「大丈夫。圧し負けない為に俺達がいるんだ」
「手加減するつもりもないからな」

 二人はメリュジーヌ達にそう言うと、互いの武器を合わせて前線へと向かう。



 時人はこの戦争中に単騎で他のメリュジーヌ達の一団の助力を受けたことがある。その時はその身の裡を闘争欲に染められた。恐らく今回もそうなるのだろうと、思っていた。
 それ故に、前線に立ち「狂鳴の満月」の光を受けたと同時に、沸き上がった衝動は、覚悟していたものであった。
 だからとて、身の裡から湧き上がる衝動という名の狂気を、全て受け流し切れるものであるわけでもない。

(この前は、衝動に押し流されそうになった、けれど――)

 今日は無二の相棒が、傍らに居るのだ。無様は見せられない。何よりも。

(力は受け取る。それでも、その衝動に否を!)

 その思いと決意を銀鎖の錫杖に宿して、掲げた。



(成程な)

 時人の話を聞いていた陸井もまた、そうなるのだろうと推測していた。
 壊せ、蹂躙せよと、暴虐というべき衝動が、身の裡で吼え荒れる。其れに身を委ねれば、恐らくとてつもない力を手にできるだろう。しかし、その背に負った一文字が、その一文字の意味が、そんな暴虐を許す訳がない。

(この地に武器を手に立つのは何の為か――)

 暴虐を抑え込むために己にそう問いかけた時、銀鎖の音が微かに聞こえた。数多の猟兵達は無論の事、今この身の傍らには、共に駆ける相棒が居るのだ。

(ああ、そうだ。独りじゃない)

 護る為に、この戦場に立つのは、独りではないのだ。



 暴虐なる狂気に赤黒く濁っていた瞳が、彼等の生来の彩を取り戻した。
 そこに至るまでの重く深い攻防は、彼等以外にとってはほんの僅かな逡巡に過ぎなかったが、電脳を駆使する機械兎に取っては十分すぎる時間であった。

「まったく! 僕の邪魔をしておいて呆けるとかね!」

 どうやら他の決戦都市から支援の為にやってきていた、支援ドローンを支配下に置いたらしい。
 戦う力を持たぬ一般人、あるいはメリュジーヌ達であれば絶体絶命という状況かもしれない。だが、此処に立つ二人は、猟兵だ。

「合わせるぞ、時人」
「勿論、やるよ」

 その一言で、長く共に背を預けてきたからこそ、時人は陸井の意図を理解して、短く応じた後すかさず錫杖を振るい掲げる。

「『始まりの刻印よ、創世の光もて敵を討て!』」

 その詠唱と共に空に浮かぶのは光の刻印。その光に思わず視線を向けた機械兎に向けて、刻印が光を放つ。本来ならば真っ直ぐに敵を穿つ其れは、「狂鳴の満月」の光と絡まりあうように複雑な軌道を描く。
 錫杖を掲げ、光を制御する時人の傍らで、陸井は自分たちを機械兎を取り囲むように術式陣を幾重にも重ねて組み上げていく。ひとの叡智と意思を貫き護る為の、一矢を放つために。

「ああもう! ほら! 撃ち落せよ! ドンくさいなあ!」

 射撃性能を持つドローンの狙いを変え、時人の光と相撃たせようとするが、急ごしらえに切り替えた状態では的確に狙う事は儘ならない。

「『全てを引き裂け――』」

 狂乱する機械兎と対照的に、冷静な声音が響く。それは陸井が術式を組み上げきったという事。そのまま、掲げた水弓の弦を引き鳴らす。
 轟音と共に、重なり合う術陣から雷雨の矢が飛ぶ。それは、時人の光と共に機械兎を撃ち据え、その歩みを確かに止めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年05月19日


挿絵イラスト