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ケルベロス・ウォー③〜幻惑の土蔵篭り

#ケルベロスディバイド #ケルベロス・ウォー #土蔵篭り

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●全世界決戦体制
 如何なる思惑か。
 デウスエクスの統括者たる『十二剣神』、その六柱は地球に対して総力戦を仕掛ける。
 彼らの最大の目的は、特務機関DIVIDE本部『東京タワー』の地下に渦巻く『地球の精髄』である。
 これを奪われれば、地球は遠からず崩壊を迎える。
 無論、これを阻止せねばならない。
 だが、十二剣神は無敵の『永遠回廊』で防護し、如何なるユーベルコードをも阻む。
「敵性デウスエクスの侵入を確認した。やはり環状道路のトンネル部か……!」
 亜麻色の髪の女性『エイル』博士は呻いた。
 何故なら、それは予測できた事態であったからだ。
 十二剣神の一柱『原罪蛇メデューサ』は『おそれ』を利用してデウスエクスを地球に送り込むことができる。

 現代の怪談においてトンネルというのは、異界への出入り口である。
 それ故に多くの都市伝説が生まれ、人々は『おそれ』を抱く。
 言ってしまえば、トンネルは間口如何に関わらず、『おそれ』の吹き溜まりになってしまうのだ。となれば、『原罪蛇メデューサ』がこれを利用しないわけがない。
「くっ……次々と反応が増えている……!」
「おまかせを。我らが一族、このときのために備えておりました」
『エイル』博士が振り返ると、そこにいたのは『土蔵篭り』の一族であった。
 忌まわしき純血の霊能力者。
「キミらは……! そうか、『還らずのトンネル』か!」
「ええ、そのとおりです。敵がトンネルにたまった『おそれ』を介してやってくるのならば、我らが秘術にて、これを封じ込めるのみ。しかし、一度結界してしまえば、抑え込む手段はございません」
「つまり、急がねばならない、そういうことだね?」
「ご明察です。さすれば、戦力の一点集中にてデウスエクス軍団を殲滅を――」

●ケルベロス・ウォー
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。ケルベロスディバイド世界にてケルベロス・ウォーが勃発いたしました」
 ナイアルテは頭を下げた。
 人類の協力の元、今も多くの決戦配備が建造されつつある。
 しかし、十二剣神もこれを座して待つほど愚かではない。
 すでに多くの戦力を地球に送り込んできているのだ。

「はい、そのとおりです。『おそれ』を介して地球に転移させることができる十二剣神『原罪蛇メデューサ』……その軍団が環状道路のトンネル部に溜まった『おそれ』を利用して送り込まれてきています」
 大量に溢れ出した『タロス兵』たちが溢れ出せば、最前線にて決戦配備を建造している人々に被害が及ぶことだろう。
 それは避けねばならない。
 ナイアルテの言葉に猟兵たちは急がねば、と思っただろう。
「ですが、今まさにデウスエクス軍団を食い止めるべく、純血の霊能力者『土蔵篭り』の一族が、トンネルに入り込んだ者を惑わし逃さない『還らずのトンネル』へと作り変えたのです」
 これは好機だ。
 敵は出口を求めて出口のないトンネル内部をさまようだろう。
 これを一体残らず殲滅することができれば、敵の鼻っ柱をへし折ることができる。

「しかし、この『還らずのトンネル』も一度、外部に溢れ出してしまえば続々と飛び出していくでしょう。迅速に『タロス兵』たちを撃破しなければなりません」
 無論、この『還らずのトンネル』には『土蔵篭り』たちもいる。
 彼らと協力して戦うことで優位に戦いが進むかもしれない。それに加えて、猟兵たちもトンネル内部の奇妙な地形に惑わされてしまうのを防げば、敵を一方的に攻撃できるはずだ。
「トンネル内部は出口のない迷路そのもの。これを利用することができれば……」
 そう、やはり鍵は『土蔵篭り』たちだろう。
 彼らも危険を承知で最前線にでてきているのだ。
 その意志に報いるためにも『おそれ』によって溢れ出すデウスエクスを逃してはならない。
 ナイアルテは再び頭を下げて猟兵たちを送り出すのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『ケルベロス・ウォー』の戦争シナリオとなります。

『十二剣神』を守る『永遠回廊』を破るためには『決戦配備』が必要になります。
 今回はトンネル内部にたまった『おそれ』を利用してデウスエクス軍団を送り込んでくる『原罪蛇メデューサ』に対抗するために、『土蔵篭り』の一族が作り変えた『還らずのトンネル』での戦いになります。
 内部は出口はなく、迷宮のようになっています。
 この地形を利用し、『土蔵篭り』たちと連携して敵を打倒しましょう。

 ※プレイングボーナス……土蔵篭りと協力して戦う/還らずのトンネル内部の奇妙な地形に惑わされず戦う。

 それでは、狙われた地球を守るために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『タロス兵』

POW   :    ドリル鉄甲
【巨大ドリル状に変形させた腕】を【一時的に増幅させたグラビティ・チェイン】で加速し攻撃する。装甲で防がれた場合、装甲を破壊し本体に命中するまで攻撃を継続する。
SPD   :    フルメタル武装
【剣や槍などの近接武器の形状に変形させた腕】でダメージを与えた対象を【鉄杭】で貫いてから【鋼の鎖】で捕縛し、レベル秒間、締め付けによる継続ダメージを与える。
WIZ   :    ギガント鉄拳
【鉱物を纏わせて巨大化した拳】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。

イラスト:良之助

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

池神・聖愛
【陽蛇】
藍紫さんと、今の関係になって初めての共同作業…なんてね。
ここはアイドル☆フロンティアではないですが…デリシャス☆マリア、特別興行!

あたしは、紅茶を藍紫さんや土蔵篭りの皆さんへ配布。
これによって、少なくともこの戦いの最中、傷は治り続けますから!
藍紫さんの、カッコいいところ…見てみたい!
…あ、藍紫さん、わかり易すぎるくらい張り切って…。

…今回、あたしは後方支援。だからこそ、できることを精いっぱいやるだけ。
この地球を守りたいのは、あたしたちも一緒。


織部・藍紫
【陽蛇】
聖愛ちゃん、言い方ぁ!!
いやまあ、そういうことになる…んやろか、これ。

で、聖愛ちゃん…もといデリシャス☆マリアちゃんの紅茶、貰って飲んだ。
それに…その言葉貰ったら、やるしかないわな!
相手はどう動いても、近接が主体になるんやね。なら…このUCによる蹴りの軌跡を、離れたところでもええ、道なりに設置する。
そうすると…触れざるをえんやろ。勝手に傷つく。
動きも制限されるはずや。そこに、さらに蹴りをな。

まさか、かつて別世界とはいえ…地球侵略兵器やったわしが、地球守るなんてなぁ。
…やったろやないかい。だーれが崩落なんてさせるか。



 明滅するトンネル内部。
 仄暗い穴蔵を思わせる中にあって、燦々と輝くような溌剌たる声が響く。
「これって藍紫さんと、今の関係になって初めての共同作業ですね」
「言い方ぁ!!」
「でもそうですよ、これって」
 にこやかに笑う池神・聖愛(デリシャス☆マリア・f45161)の顔が、仄暗いトンネルの中でも輝いて見えるように織部・藍紫(シアン・f45212)には思えてならなかった。
 それくらいに惚れ込んでいるというのが正しいのだろう。
 ここが『還らずのトンネル』であるということ、そして、この穴蔵の中で蠢いているのはデウスエクス軍団『タロス兵』たちである、ということを忘れそうになる。

 いやいや。
「いやまあ、そういうことになる……やろか、これ」
「そうですよ、きっと」
 ね、と笑う聖愛に藍紫は頷くしかなかった。
 とは言え、気は抜けない。
 迷宮のように姿を変えた『還らずのトンネル』の中には鋼鉄の体躯を持つ『タロス兵』たちが跋扈しているのだ。
 これらがあふれかえる前に一体残らず殲滅しなければならない。
 ここはアイドル☆フロンティアではない。
 ではないが、聖愛にとっては関係のないことであった。
「それじゃあ、行きますよ。デリシャス☆マリア、特別興行です!」
 聖愛の瞳がユーベルコードに輝く。

 彼女が手にしたのはティーポット。
 特別製法の茶葉によって抽出されたフレグランス・スペシャリテ。
 穴蔵の中にあって、その香りが充満していく。
「いい香りがするね」
 その香りに『土蔵篭り』は鼻を軽く引く付かせる。
 彼らにとって、それは異文化であったがよおい香りというのは共通するところであったのだろう。
 その様子に聖愛は微笑む。
「はい、どうぞ。これで少なくともこの戦いの最中は、傷が治り続けますから!」
「聖愛ちゃん、わしにも」
「もちろんです。はいどうぞ」
 藍紫は聖愛から紅茶を受け取って飲む。暖かく、味わい深い。
 体の奥からぽかぽかしてくるのは、きっとユーベルコードの効果だけではなかっただろう。

 よし、と藍紫は自分のやる気がみなぎってくるのを感じただろう。
 だが。
「あたし、藍紫さんのカッコイイところ……見てみたい!」
「……!!」
 藍紫は聖愛の言葉にビクッと肩を震わせる。わかりやすい。『土蔵篭り』は、ああなるほどそういう関係性なのか、と得心顔で頷く。
 野暮なことを言うつもりもない。
「……その言葉もらったらやるかないわな!」
 よっしゃー! と藍紫は『還らずのトンネル』の中を走る。
 止める間もなかった。それくらいに猪突猛進であった。
 止められるもんなら止めて見ろやと言わんばかりに音速を超えたクレセント・スラッシャーの蹴撃を『タロス兵』たちに叩き込み、その鋼鉄の駆体を反撃を許さずに吹き飛ばすのだ。

「!?!?」
 突然の蹴撃に混乱する『タロス兵』たち。
 さもありなん。
 振るわれた蹴撃の衝撃波は、暫く三日月型の衝撃波としてその場に残り続ける。
『タロス兵』たちがもがけばもがくほどに衝撃波が彼らの鋼鉄の駆体を削り、その身を破壊されていくのだ。
 さらにそこにかかと落としのように藍紫が打ち込めば、『タロス兵』たちは身動き一つできぬままに絶命するしかなかったのだ。
「わかり易すぎるくらい張り切って……」
「頼もしい限りだね」
「はい、本当です!」
「それじゃあ、僕らも後方支援がんばろうか」
「できることで精一杯お手伝いしちゃいますね! この地球を守りたいのは、あたしたちも一緒ですから!」
 聖愛はにっこり微笑んで、藍紫の活躍する背中を見守る。
 きっと藍紫だって同じ気持ちだろうと彼女は理解していた。
 生まれが異なれど、思いは一つ。
 だから、このケルベロスディバイド世界の人々と同じように、違っても同じことに取り組むことができるのだと聖愛は確信し、紅茶の香りが満ちる『還らずのトンネル』にて、迫るデウスエクス軍団を退けるために紅茶を振る舞い続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔
ふむふむ了解。味方の土蔵篭りが作り出した迷宮を利用して戦えってことだな。
じゃあまずは土蔵篭りの人にこのトンネルでの立ち回りについて聞いておこう。
味方が作った迷宮なんだから聞けることはしっかりと聞く。
その上でしっかりと[地形の利用]。
[第六感]を駆使してこの奇妙な迷宮の構造を把握し物陰・死角からUCを使った高速飛行での襲撃を繰り返して敵兵を駆逐していく。
集団に対しては分身の如き[残像]を使った[範囲攻撃]で纏めて[焼却]だ。
相手のドリルは[心眼]で[見切り]しっかり避ける。これは受けちゃダメな奴だ。



「これがそうなのか」
 久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)は、一見すれば何の変哲もないトンネルではないかと『土蔵篭り』たちが作り変えた『還らずのトンネル』内部を見回して呟いた。
 そう、一見すれば普通のトンネルだ。
 環状道路の一部。
 仄暗い灯りに照らされたトンネルの内部。
 その奥に鋼鉄がこすれる音が響いている。
 音の正体はデウスエクス軍団『タロス兵』である。
 彼らは鋼鉄の体を持ち、『原罪蛇メデューサ』によって、トンネル内部に溜まった『おそれ』を利用して地球に転移してきている。
 放っておけば、このトンネルから次々と『タロス兵』たちが転移し、溢れかえってしまうだろう。

 それを防ぐために『土蔵篭り』たちがトンネルを『還らずのトンネル』に作り変えたのだ。
「そうだよ。この迷宮は決して踏み込んだ者を外に出さない。そういうものなんだ。けれど、溢れかえってしまえば、もう効果を及ぼさない。だから、敵を一体残らず撃退して欲しいんだ」
「了解。この迷宮を利用できれば戦いも優位に運べるだろうな。立ち回りはどうなる?」
 遥翔の言葉に『土蔵篭り』は頷く。
「そうだね、遮蔽物を上手く利用しよう。敵の位置を察知して、攻撃を一方的に叩き込めるはずだよ」
「よし、なら利用させてもらおう。天焔解放(オーバーフロウ)――フレアライザー・ヘヴンッ!」
 遥翔の瞳がユーベルコードに輝く。
 漆黒と黄金の焔が立ち上り、身をオオオっていく。
 手にした剣の刀身にすら、焔が宿り、『還らずのトンネル』の内部を煌々と照らし出す。

「いくぜ!」
 遥翔はトンネル内部に踏み出し、一気に加速する。
 迷宮のような形に変貌したトンネル内部を高速で飛翔し、感知した『タロス兵』を見つけた瞬間、焔黒剣を振るう。
 斬撃が焔をまとって、一瞬で『タロス兵』の体躯を溶断する。
「ふっ!」
 呼気を漏らして跳ねるようにトンネル内部の天井へと飛び、蹴って方向転換して『タロス兵』たちの背後を取る。
「敵……! 強襲!」
「遅い!」
 背後を取った遥翔の斬撃が横薙ぎに振るわれ、『タロス兵』たちは真っ二つに溶断される。

「反撃……!」
 討ち漏らした『タロス兵』が一時的に増幅されたグラビティチェインと共に衝角へと変貌した腕部を遥翔に叩き込まんと振るう。
 だが、それを彼は見極めていた。
 あれは受けてはならない。 
 この迷宮の地形は、入り組んでいる。
 ならば一直線に己を狙った一撃を交わせば、必ず壁面に突き立てられるだろう。
「……!」
 その目論見通り、衝角が壁面を削り『タロス兵』は動きを止める。
 軋むように動きを止めた『タロス兵』に遥翔は踏み込む。
「甘かったな、目論見通りにはいかせねえよ!」
 ふるった焔黒剣が『タロス兵』を溶断し、遥翔はさらにトンネルの奥から迫るデウスエクス軍団を迎え撃つために走るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍之宮・翡翠
DIVIDEに関わらない者達がこれほど居るとは、
猟兵達がこの世界に関わらなければ知らないままだったかもしれないな
この状況は危機的ではあるが、助力がありがたい

土蔵篭り達にDIVIDEのケルベロスであり、助力に来た旨を伝え、
彼等が構築したトンネルの構造を判る範囲で教えてもらう
直接デウスエクスと渡りあうのは、|ケルベロス《此方》の仕事だ

教えてもらった構造を利用し、可能な範囲で不意打ちを狙う
もし攻撃が来たら受け流して反撃を
あの腕の攻撃を喰らうと厄介な事になりそうな気がするので、
出来るだけ避けるように立ち回る

|決戦配備《ポジション》を準備してくれている人々の為にも、お前達は此処で止めてみせる!



『土蔵篭り』。
 それは忌まわしき純血の霊能力者一族である。
「まさかこれほどいるとは」
 龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)は、環状道路のトンネルに吹き溜まるようにして色濃くなった『おそれ』を介して次々と現れるデウスエクス軍団『タロス兵』の姿を認め呻いた。
 確かに『タロス兵』がトンネルから溢れ出せば、ますます『おそれ』はトンネル内部に満ちて際限なくデウスエクス軍団が地球に転移してくることになる。
 これは絶対に一体たりとて残してはいられない戦いなのだ。
 だが、それ以上に翡翠は『土蔵篭り』を始めとした、この世界に存在する種族やジョブにつく者達の存在に驚きを禁じ得なかった。
 それ以上に助力を惜しみない彼らの心に感服するものであった。

「この危機的状況での助勢、ありがたい」
「いいや、僕達が住まう地球のことだ。他人事ではいられないよ。今こそ、僕らの秘儀をもって君たちを手助けしよう」
 翡翠の言葉に『土蔵篭り』たちは頷く。
『還らずのトンネル』。
 それが彼らの力である。
 一度踏み込めば、出口のない迷宮へと変貌する『還らずのトンネル』。
 この内部に『タロス兵』たちを閉じ込め、漏らすことなく殲滅できれば、『おそれ』もまた払うことができるだろう。

「このトンネルは迷宮になっている。ある程度の法則性もある。なら、わかるよね?」
「なるほどな」
 所謂、左手の法則というやつだ。
 敵は迷うばかりである。しかし、こちらは法則性によって迷う敵を背後から強襲することができる。
 であれば、話は早い。
「では、そのように」
「うん、頼んだよ。僕らは迷宮の維持に務める。任せてしまって申し訳ないけれど」
「いいや。戦うのは俺たちの役目だ。最前線、危険が多い中、よく駆けつけてくれた。ありがとう」
 そう言って翡翠は『還らずのトンネル』の中を走る。
 構造を利用できるアドバンテージで翡翠は『タロス兵』たちの背中を認める。

「空を疾走れ――漣波(レンハ)」
 翡翠の瞳がユーベルコードに輝く。
 手にした斬霊刀が、その光を受けて刀身を煌めかせる。振るう斬撃は漣のように広がり、『タロス兵』の装甲へと叩き込まれる。
「……!?」
 背後からの強襲に『タロス兵』たちはつんのめるようにして、先行していた別の『タロス兵』へと激突し、混乱が満ちる。
 その隙を翡翠が逃すわけがない。
 一気に踏み込み、手にした斬霊刀の一閃でもって『タロス兵』を両断する。

「悪いが、ここから先へは行かせない。|決戦配備《ポジション》を準備してくれている人々の為にも、お前たちは此処で止めて見せる!」
 そう、これい以上は往かせない。
 その意思を込めて翡翠は衝撃波を解き放ち『タロス兵』たちを斬り伏せるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
でっすよー!
よー!
反響チェック、良しなのでっす!
ではでは土蔵篭りの皆様方!
藍ちゃんくんと一緒に歌ってくださいなのでっすよー!
何せトンネルでっすからねー。
歌もよく響くのでっす!
別にわざわざ探しに行ったり、相対せずとも戦場全体に響く歌なら一方的にライブし放題なのではー?
反響に合わせてチューニングしたお歌を選ぶので、そこは心配なく!
反響により音源は探りにくいでしょうが、それでも見つかった時は!
皆々様!
逃げるのでっすよー!
トンネル慣れしている土蔵篭りさん達に導いてもらう藍ちゃんくん達に対して、慣れてないタロス兵さん達は追いかけ途中で散り散りになるやもでっすしねー!



 環状道路のトンネル。
 そこはもはや通常のトンネルではなかった。
 そう、『おそれ』たまりデウスエクス軍団が転移してくる魔窟。
 否、それでもない。
 トンネルは今や『還らずのトンネル』へと変貌を遂げていた。『土蔵篭り』たちの力によって、足を踏み入れた者を外に出さぬ迷宮へと作り替えていたのだ。
 これによってデウスエクス軍団はトンネルの外に出ることなくさまよい続けていた。

 そんなトンネルの内部に響き渡る声があった。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
 でっすよー!
 よー!
 わんわんと響く紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の声。
「反響チェック、良しなのでっす!」
 藍の言葉に『土蔵篭り』は頷く。
 そんなことをしなくてもよかったのではないかと内心思っていた。心配しなくても、此処はトンネルなのだ。
 けれど、藍のプロフェッショナルな精神がそれを許さなかった。
 どんなステージだってリハーサルが必要なように、この戦いにだって準備は必要なのだ。
 いつだってそれができるとは限らないが、それでもできうる限りのことはしたいと思うのは当然であったのだ。
「ではでは、『土蔵篭り』の皆様方!」
「うん。任せておいて」
「頼もしいでっすねー! それでは、藍ちゃんくんとコラボレーションでっすよー!」
 藍色の瞳がユーベルコードに輝く。
 
 それは仄暗いトンネルにあって虹色の如き煌きであった。
「涙色の空に笑顔の虹をかけるのでっす!(リーアー・アイリス)」
 その声と共に『土蔵篭り』たちの声と藍の声が重なる。
 藍のユーベルコードによって生まれる『土蔵篭り』との合唱。
 それは『還らずのトンネル』のんマカに響き渡り、そしてデウスエクス軍団『タロス兵』たちの耳に届くだろう。
 そう、藍たちはわざわざ危険を冒してまで『タロス兵』たちを探しにいかなくていい。
 この迷宮に音が響くのならば、遠く離れた場所からでも力強い合唱は届くのだ。
 そのためのユーベルコード。
『土蔵篭り』たちの想いのこもった魂の歌。
 それが『タロス兵』たちの屈強なる体躯を打ち据え、その鋼の体躯を揺るがしていくのだ。

「そう、ライブし放題なのでっす!」
 反響する音はこの迷宮内において発生源を特定しづらい。
 それゆえに藍と『土蔵篭り』たちを察知されることなく、一方的に攻撃することができるのだ。
「でも、見つかったらどうするんだい?」
「その時は逃げるのでっすよー!」
「なるほど、ヒット・アンド・アウェイ、というやつだ」
「そうとも言うのでっす! それでは皆さんご一緒にー?」
 藍ちゃんくんでっすよー、と盛大な歌が響き渡り、『タロス兵』たちは一方的に魂の歌で揺さぶられ、その体躯を散り散りにしていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第四『不動なる者』盾&統括役武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:黒曜山(刀)

ふむ、この『還らずのトンネル』を利用すればよいのだな。
そして、迷路であるということは…ふむ、こうしよう。

UC使って黒曜山を使うとなぁ。限定的に未来が見える。
つまり、どの道にタロス兵が来るかどうかもわかるのよ。
そして…その道に斬撃波を置けば良い。そうしたら、タロス兵は勝手に倒れていくのよな。

ふふ、危険を承知で出てきておるのならば、わしは戦うのみよ。
四悪霊は、『誰かの故郷を守る』ために戦うものであれば。



 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『不動なる者』は、『還らずのトンネル』の中で頷いた。
 この『還らずのトンネル』は『土蔵篭り』たちによって作り替えられた迷宮である。
 一度踏み込めば、出口などない迷宮に閉じ込められる。 
 だが、『おそれ』貯まるトンネルの中には次から次にデウスエクス軍団『タロス兵』たちが転移してきているのだ。
 これらを一体残らず倒すことで、『おそれ』は晴れ、後続を断ち切ることができる。
「ふむ、この『還らずのトンネルを利用すればよいのだな」
「そうだよ。君たちならば有効的に利用することができるだろう? 迷宮であること、それを上手く、ね」
『土蔵篭り』の言葉に『不動なる者』は頷いた。
「であれば、こうしよう」
 手にした『黒曜山』を見やる。

 黒い輝き。
 その輝きの先に未来を視る。
「それは?」
「この『黒曜山』、現敵的ながら未来を視ることができる。そして、これ、このように」
 振るえば、斬撃が不可視となってその場に残るのだ。
 その斬撃を『不動なる者』は払って、前に進む。
「敵は溢れかえらんとしている。であれば、どこにでてくるのかがわかっておれば」
「そこに蒸しの斬撃をおいておけば良い、ということだね? つまりは、見えない罠、というわけだ」
「その通りよ」
 だが、『タロス兵』とて斬撃一つで倒れるものではないだろう。
 そう心配する『土蔵篭り』に『不動なる者』は笑む。

「心配は無用よ」
「でも、大丈夫なのかい?」
「構わぬ。斬撃を超えてこようとも、わしらがおる。お主らはドンと構えておくがいい」
 なぜなら、と『不動なる者』は言う。
「わしら四悪霊は、『誰かの故郷を守る』ために戦う者なれば」
 危険は承知の上。
 だが、それは『土蔵篭り』たちとて同じだろう。
 共に戦うという気概があるからこそ、己たちは突き動かされたのだ。その意思を守るためにも。明日を守るためにも。
 すでに明日を立たれた悪霊たちであればこそできることをするのだ。

「そら、おいてきた斬撃にかかった敵がおる。さあ、此処はわしらに任せて」
「ああ、他の皆のところに協力しにいくよ。頼んだよ」
 その言葉に『不動なる者』は頷く。
 守るために戦う。
 それがどんなに己たちの心を鼓舞するのかを知っている。
 斬撃を超えて迫る『タロス兵』たち。だが、その身は刻まれ摩耗していると言ってもいい。
「十全でなければ、数など意味無し」
 振るわれる『黒曜山』が煌き、そのユーベルコードの輝きを発露しながら『タロス兵』を一撃のもとに下しながら『不動なる者』は、迷宮より溢れかえらんとする敵を屠るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テスティナ・ヴァシリッサ
ぴるぴる。それでは始めましょう、ぴる

閉所での戦闘とのことですので、コルピオスもノスカルもスクリオも役に立ちませんぴる
なので味方に待ち構えるのに都合の良い地形があるか先に確認しておきます
後はその場所に陣取りUCで高消化性スライム状物体を召喚、洞窟内に浮かせておき、『ゼルガリアスオオカミ』を先行させ敵にちょっかいをかけ、こちらまで誘導させますぴる

後は浮遊するスライム体に接触し破裂させて思い切り高消化性液体を浴びたところにサイキックガンを向け手の念動力による追い打ちと、私の護衛兵数体を差し向けて追い打ちをかけるとしましょう
必要ならば追加で『故郷の水』…パルセノを追加で浴びせさらに弱らせます、ぴる



 閉所での戦い。
 それが『還らずのトンネル』にて起こっている。
 ぴるぴる、とテスティナ・ヴァシリッサ(ゼルガリアスの姫巫女・f38690)はケルベロスディバイド世界の環状道路のトンネルの中にいた。
 此処はすでに迷宮。
『土蔵篭り』と呼ばれる者たちによって、『おそれ』介して地球に転移してくるデウスエクス軍団『タロス兵』を閉じ込めた場所なのだ。
 しかし、閉じ込めただけでは、完全に封じ込めることはできない。
 次々に送り込まれる『タロス兵』たちによって、『還らずのトンネル』が満たされ溢れれば、その効果は打ち破られてしまう。
 一度結界したダムの修繕が容易ではないのと同じだ。

 故に己たちという戦力が必要なのだ。
「それでははじめましょう、ぴる」
 テスティナは、このような閉所での戦いにおいて己の持ち得る戦力の多くがやkに立たないことを理解していた。
 だからこそ、この迷宮たる『還らずのトンネル』を活用しなければならない。
「あらかじめ聞いていてよかったです、ぴる」
 そうテスティナは『土蔵篭り』たちから迷宮が一箇所開ける場所を聞き及んでいた。
 迷宮において最も広い場所とはどこか。
 当然、『おそれ』が溜まっている場所だ。
 つまり、『タロス兵』たちが転移してくる場所。
 すでに多くの猟兵達によって『タロス兵』たちは排除されつつあったが、発生原因の中心には、まだ多くの兵力が残っているのだ。

 であればこそ、テスティナは猟兵たちが開いた道を走り、溢れるように転移してくる『タロス兵』たちの元へと急行する。
「ぴるぴる。なるほど。確かに開けていますが、敵が次から次に溢れています、ぴる」
 であれば、と彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 故郷の水が入ったボトルを逆さにすれば、様々な形をした高消化性スライム物体があふうれ出す。
 浮かぶスライムの端を『ゼルガリアスオオカミ』を走らせ、『タロス兵』たちの注意を引く。
「……!」
 即座に敵性存在に気がついた『タロス兵』たちが拳を振り上げる。
 叩きつけられた拳が地面を砕き、破片が散る。
 そのさなかにスライムがふよふよと飛び、『タロス兵』たちのもとへ向かう。

「……下手に触れない方がよいですよ?」
 テスティナはそう告げたが、『タロス兵』たちは聞く耳を保たない。
 明らかに敵性存在。 
 であれば、先手必勝とばかりに、振り上げた拳がスライムへと打ち付けられる。瞬間、その体躯は弾け、高消化液体を撒き散らし、『タロス兵』たちの鋼鉄の体躯を崩壊させていくのだ。
 腐食反応。
 それによって、『タロス兵』たちはもがくように手を伸ばす。
 だが、そこにテスティナのサイキックガンの追い打ちが走る。
「……溶けますから……と言っても遅かったですね、ぴる」
 テスイティナは頷いて、サイキックガンの引き金を引き続ける。敵が次から次に溢れ出しているが、ここで引いてはただの対処療法でしかない。
 根源を打ちのめすためには徹底的に、だ。
 彼女はさらにユーベルコードを瞳にきらめかせ、迫る『タロス兵』たちを蹂躙するかのように腐食させていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
SPD
アドリブ・連携歓迎

「なるほど。無限に広い閉鎖空間での戦闘か!
ならば、先手必勝が重要そうだな!
土蔵篭り達!オレが先行して敵を撃破していく!
みんなはある程度集団になって動いてくれ!」
簡単に作戦を立てていよいよ戦闘開始だ

「いくぜ!超変身!ブレイザイン・アクセルモード!さあ、振り切るぜ!」
凄まじい速度で還らずのトンネル内を進んでいく
急なカーブなんかは速度に任せて壁を駆けていく

タロス兵が駆け抜ける音に気付く頃には胴体を[切断]されている
剣や槍となった腕をしたタロス兵を優先して狙い、
振るわれるよりも早くその場で回転してタロス兵達を[なぎ払う]

殲滅したら土蔵篭り達を探す
「出口、教えてくれないか?」



『還らずのトンネル』は迷宮だ。
 咥えて狭い場所でもある。出口はなく、ただただ踏み込んだものを外に出さない牢獄であるとも例えられただろう。
「なるほどな」
「わかってもらえたかい。敵は『おそれ』でもって地球に転移してくる。確かに此処に閉じ込めておくことはできるんだけれど、溢れかえってしまえば、出口をこじ開けられてしまう。そうなると……」
「まずいな! ならば先手必勝ってわけだ!」
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は『土蔵篭り』たちの言葉に頷いた。
 彼らがこの『還らずのトンネル』を造り出していたのだ。
 迷宮となったトンネル内部は入り組んでおり、『おそれ』を介して地球に転移してくる『タロス兵』たちは未だ脱出できていない。
 
 加えて、猟兵たちが『タロス兵』たちを片っ端から倒し続けている。
「でも、終わりが見えないんじゃないのか?」
「敵が転移してくるのは『おそれ』が溜まっているからだ。逆に言えば、一体残らず倒しきってしまえば、そこに『おそれ』はたまらない。肝要なのは」
「殲滅ってことだんあ! わかった。オレが先行する。皆は、ある程度集団になって動いてくれ。危険なのは重々承知だけれど」
「わかっているよ。地球の危機なんだ。我が身を可愛がることはしないよ。でも、君の言うこともわかる」
 そう、無駄に傷つく必要はない。
 だからこそ、清導は己が矢面に立つと言ったのだ。

「いくぜ! 超変身! ブレイザイン・アクセルモード! さあ、振り切るぜ!」
 ブレイジング・アクセラレーションによって清導はトンネル内部を疾駆する。
 迷宮であるがゆえに直線ばかりではないことは承知の上だ。
 速度に任せた走りは、急カーブであろうとも壁面と天井を駆け抜け、螺旋を描くようにして疾駆し、『タロス兵』を見つけては、勢いのままにこれを切断するのだ。
「……!?」
「遅い! このアクセルモードを捉えることができると思うなよ!」
 圧倒的な速度。
 それによって振るわれる一撃は光速めいた斬撃を『還らずのトンネル』内部に刻み込む。
『タロス兵』からすれば、光を認識した瞬間に胴を薙ぎ払われるようにして切断されているのだ。

「一体残らず殲滅してやる!『おそれ』なんて一欠片も残してはやらないぞ!」
 清導は更に加速していく。
 誰も傷つけさせはしない。
 最前線に危険を承知で駆けつけた者達の意志は、己の背中を押してくれる。
 だから、こんなにも早く疾走れる。
 振るうブレイジング・レザーの斬撃と共に切断された『タロス兵』の残骸が舞う。
 砕け落ちた残骸の音すら置き去りにして、清導は、さらなる敵を求めて『還らずのトンネル』の奥へと踏み込んでいくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼロ・ブランク
◆アドリブ連携大歓迎

土蔵篭りさんの力を借りて、敵さんボコボコにしちゃうよぉ!
という訳で、土蔵篭りさん、ご協力よろしくお願いしまっす!!

戦闘のイメージは、迷宮にトラップを張って攻撃していく感じ!
UC『0の領域』を使用して、塗ったことがバレないような色で転がっている石や岩を塗装し、アタシの指示で動くようにするよ
そして敵を待ち受け、遭遇したら塗装した石や岩に動け!と指示して攻撃!
石はともかく、岩が飛んできたら敵さんだってひとたまりもないでしょお?
敵さんの攻撃は[軽業]でサクッと避けちゃうねぇ!

ふぅ~~エイル博士、アタシちゃんと役に立てたかなっ!?



『土蔵篭り』。
 彼らは忌むべき純血の霊能力者であるという。 
 その成り立ちは忌避されるものであったかもしれないが、しかし地球の危機に駆けつける彼らの意志は本物であった。
 危険も顧みず、最前線にて『還らずのトンネル』を作り上げ、デウスエクス軍団『タロス兵』たちを封じ込めているのだ。
 だが、これも時間の問題だ。
 トンネル内部に満ちた『おそれ』を利用して『原罪蛇メデューサ』が次々と配下たるデウスエクス軍団を送り込んできているのだ。
 今はまだ、『還らずのトンネル』内部に収めているが、これが溢れかえれば如何に出口のない迷宮と言えど、決壊するように飛び出していくだろう。

 そうなってはもう手が付けられない。
 故に猟兵たちの手が必要なのだ。
「つまり、敵さんをボコボコにしちゃえばいいんだね?」
「そうだね。結局デウスエクス軍団という『おそれ』がトンネル内部に残っているから敵が転移し続けているんだ。であれば」
「なるほどね! 敵を殲滅しちゃえば、『おそれ』なんてそもそも発生しないってわけだね!」
 ゼロ・ブランク(スリーオーブラック・f42919)は『土蔵篭り』たちの言葉に力強く頷いた。
 であれば、やることは一つだ。
「じゃあ、数をまず減らさないと! こういうのって得意なんだよね、任せておいて!」
 ゼロは己の手にしたスプレー缶を示して見せる。
「これで、っと!」
 有機溶剤の匂いと共に噴射音が響き、スプレー缶から塗料が噴出する。
『還らずのトンネル』内部に描かれたグラフィティが蠢くようにして撓み、まるで知性を持つかのようにゼロに従うのだ。

「お願いね、敵が来たら動いて攻撃してほしいんだ」
 ゼロは知性を与えた『還らずのトンネル』内部の壁面や岩にそう指示を出して、待ち受ける。
「罠を作るっていうのはこういうことなんだね」
「そう、そこらへんにある岩とかなら敵さんも気が付かないでしょ。だって一見すればただの岩なんだもの」 
 ゼロは得意気に笑って『タロス兵』たちがやってくるのを待つ。
 程なくして『タロス兵』たちが迷宮となった『還らずのトンネル内部』を進んでいく。どうやら他の猟兵たちの攻撃を免れた『タロス兵』たちなのだろう。
 彼らが何も知らずにゼロが仕掛けた罠の上を歩んだ瞬間、地面は撓み、壁面はまるで迫りくる壁のように『タロス兵』たちを挟み込む。
「……!?」
 困惑する『タロス兵』たち。
 その動揺の中にゼロは、さらにスプレー缶から塗料を噴射させ、そのユーベルコードの力たる0の領域(ゼロズ・アート・ゾーン)を拡大させていく。

「壁よ、押しつぶしちゃえ!」
 その号令と共にグラフィティ描かれた壁面が『タロス兵』たちを圧壊させるように押しつぶし、砕くのだ。
 そしてさらにゼロは身動きの取れない『タロス兵』たちに向かって、岩たちに跳ねるように指示する。
 跳ねる岩は、その質量と共に『タロス兵』たちの頭部に降りかかり、ひしゃげさせる。
「サクッとね! ふぅ~アタシ、ちゃんと役に立てたかなっ!?」
 無論、言うまでもない。
 ゼロの活躍で討ち漏らすことなく敵の戦力を恙無く殲滅する作戦の推移が順調に進んでいるのだ。
 このトンネル内部の敵を全て一体残らず倒すのも遠くはない。
 ゼロは更にスプレー缶から塗料を噴出させ、己が領域を拡大させながら『タロス兵』へと襲いかかっていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
逃げ場のない迷宮での戦闘かぁ。ある意味わかりやすくはあるけどやっぱ怖ぇな。
『土蔵篭り』って頼れる味方の人もいるみてーだけど、全部任せっきりにするわけにもいかねえし。
……大丈夫。今までだってこういう戦いはあったんだ。怖くても、乗り切ってみせる。
(震える身体に活を入れて)

UCを使って『土蔵篭り』たちも含めた味方の能力をブースト。
〈第六感〉を活かして敵の攻撃を〈見切り〉つつ、〈スナイパー〉ばりの一撃で反撃していく。
まともに撃ち合うだけじゃなくて迷宮という〈地形を利用〉したり、〈暗視〉を働かせて敵の不意を突いたりして、戦いを有利に進めるようにする。
勿論、味方に適宜〈援護射撃〉を送ったりしながら、な。



 どうしてもこういう場所というのは怖いと思ってしまう。
 いいや、ここが味方の領域だってことは承知している。わかりやすいとも言えるが、しかし狭い場所であるし、締め切った場所でもあるのだ。
 そう、ここは『土蔵篭り』達によって作り替えられた『還らずのトンネル』だ。
 一度踏み込めば、二度と出ることのできない迷宮。
 その説明を聞いただけでも、鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は己の背が粟立つのを感じただろう。
「やっぱ怖ぇな」
「敵を封じ込めるためには、こうするしかなかったんだ。けれど、住めば都というだろう? トンネルの中もそう悪いことばかりではないよ」
『土蔵篭り』の言葉に嵐は、そういうものかな、と思った。
 だが、自分にはどうにも性に合わないと思えたのだ。
「わかった。頼りになる。けど、任せっきりにするわけにもいかねえよな」
「無理してないかい?」
 見透かされているな、と嵐は思っただろう。

 確かにちょっと無理をしている。
 けれど、だ。
「……大丈夫。今までだってこういう戦いはあったんだ。怖くても、乗り切って見せる」
 嵐は震える体に活を入れ、己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
「魔笛の導き、鼠の行軍、それは常闇への巡礼なり……耳を塞いでくれよ?」
「構わないさ。こういう歌も悪くはない」
 嵐がが召喚した道化師たちの演奏が『還らずのトンネル』内部に響き渡る。
 それは敵の注意を惹きつけるものであったが、同時に演奏に共感した全ての者の戦闘力を増強する笛吹き男の凱歌(ラッテンフェンガー・パラード)であったのだ。
 そう、この場において道化師たちの演奏に共感できるものは、仲間たちだけだ。
 デウスエクス軍団『タロス兵』たちには共感でき得ぬ演奏。
 それによって嵐のみならず『土蔵篭り』たちの前頭力が一時的であれど増強されたのだ。
「すごいな……」
「これでみんな戦えるだろう。みんなで戦えば怖くない、ってわけじゃあないけれど……危険が少しでも減らせるのなら、御の字だ。いこう!」

 その言葉と共に嵐は『土蔵篭り』たちと共に『タロス兵』たちへと打って出る。 
 スリングショットを構え、狙いすましたような弾丸を『タロス兵』の目へと叩き込む。
「まともに打ち合う必要はない!」
 そう、これは迷宮という地形を利用したゲリラ戦だ。
 敵の数を減らすことも重要だが、最も優先されるのは『土蔵篭り』たちの安全だ。
 だからこそ、敵の不意をついた一撃を叩き込み、引きつけ、戦いを優位に運んでいくのだ。
「手を貸してほしいやつは、叫んでくれ!」
 嵐は『土蔵篭り』たちと共に『還らずのトンネル』でゲリラ戦を繰り広げる。
 全ては戦いを優位に進め、犠牲者を出さないこと。
 危険な最前線での戦いに犠牲はつきものだ。
 けれど。
「それでも犠牲なく戦えるんなら、その方が良いに決まってる! みんなで戦い抜くぞ!」  
 嵐は戦いの中にあっても、己の恐怖心を捨てない。
 捨てれないだけかもしれないけれど、それでも、その恐れがあるからこそ勇気が生まれ、困難を乗り越えていくことができる。
 ともに戦う者がいれば尚更だというように嵐は、戦場を駆け抜け、スリングショットの一撃を敵に叩き込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の香りがしまーーーーすっ!!
エイル博士、今月はいっぱい会えて嬉しいです(はーと

ルクス様の表情が解せぬ
なんですか誰がやべーメイドですか
早く行けってああんエイル博士のいけずぅ

さて
ダンジョンといえば勇者
出口のない迷路とてお手の物でしょう
というわけでルクス様を先頭に攻略
あれ?意外に反応が悪い?

うーんそれでは
迷路とはいえすべて繋がっているのなら『埋めて』しまえばいいのです
もちろん土ではありませんよ
トンネル内部ならば反響を利用しない手はありません
すなわち音
ルクス様、全力演奏です全力
私も合わせましょう
【アウルム・ラエティティア】
難点は敵も味方もヤラレルってことですね
ぐふっ


ルクス・アルブス
【ステルク】

状況が状況とはいえ、なんか今月通い妻みたいですね。
ステラさんも、毎回叫んでるとやべーが普通になっちゃいますよ?

あ、もう手遅れでしたね(宇宙勇者顔)

って、『エイル』さんも。
ご褒美はほどほどにしないと『エイル』さんもやべーと思われちゃいますよ。

むぅ。ダンジョンですかー。
勇者の嗜みとして、攻略するのはいいんですけど……。
あんまり好きじゃないんですよね。

って、え!?

演奏していいんですか?
ダンジョンで?
しかも全力!?

い、いえ、ステラさんがおっけーならいいんですけど!
で、ではいきますよー!

あー、ほら!
崩れてきましたー!
鼓膜とか破ってる場合じゃないです!早く逃げないと生き埋めになりますよ!



 なんていうか、とルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、ケルベロス・ウォー勃発して以来、ずっと思っていたことをついに口に出した。
「状況が状況とは言え、なんか今月通い妻みたいですね」
 何が? と誰もが思ったかも知れない。
 いや、普通に疑問である。
 通い妻?
 どういうこと?

 その答えはすぐに分かる。
「|『エイル』様《主人様》の香りがしま――すっ!!」
 そう、もうおわかりであろう。
 通い妻というのは、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)である。メイドである。通い妻じゃない気がするのだが、もうそんな状態がしっくりくるほどにステラは通い詰めていた。
「『エイル』博士、今月はいっぱい会えて嬉しいです」
 はーと。
 じゃあないんだが。
「もう手遅れですね」
 毎回叫んでいるとやべーが普通になるとルクスは思っていたが、もう遅い。というか、むしろ、何故今まで手遅れじゃないと思っていたのだ?
 宇宙勇者猫みたいな顔になてしまうのも、さもありなんというやつである。

「いいから早く『還らずのトンネル』に救援に向かって欲しい。これは殲滅戦なんだ。人手というのはいくらあってもありがたいものなんだよ」
 だから、はよ行け、と『エイル』博士はステラを引き剥がした。
 今の今までくっついていたのか。
「ああん『エイル』博士のいけずぅ」
「いいから」
「『エイル』博士、それってご褒美なんですよ、ステラさんにとっては。『エイル』さんもこのままじゃ、やべーメイドのいるやべー博士になっちゃいますよ」 
 手遅れだよ。それは。

「わかったから、はやく」
「では、行ってまいります! さて、ダンジョンと言えば勇者。出口のない迷宮とてお手の物でしょう?」
「いや、冒険者でしょ、普通は。まあ、勇者の嗜みとして攻略するのはいいんですけど……あんまり好きじゃないんですよね」
 そもそも、この『還らずのトンネル』は出口がない。 
 出口がないダンジョンをどうして攻略できようか。
 そもそもちょっと面倒くさいまである、とルクスは思っていた。
「以外に反応が薄いのですね。うーん、それでは」
 ステラは仕方ないなぁとばかりに切り札を切る。いや、それは自分にとっても致命打になりえるジョーカーであった。
 間違ってもワイルドカードではなかったのだ。

「迷路とは言え、全てつながっているのです。『埋めて』しまえばよろしいじゃあないですか」
「土でですか?」
「違います。トンネルならば反響するでしょう。そう、音です」
「……?」 
 まだルクスはピンと来ていなかった。
 え、何が? と言った具合である。
「ルクス様、全力演奏です全力」
「えっ!? いいんですか!? ダンジョンで!? しっかも全力!?」
「したくないのですか、演奏」
「い、いえ、ステラさんがおっけーならいいんですけど! で、でも……」
「いいから合わせますよ。ハリーアップ」
 はよ、とステラはルクスの心配顔を他所に早く仕事を終わらせて『エイル』博士成分を補充したいと目論んでいた。
 どう考えても邪念しかない。

「わ、わかりました。で、ではいきますよー!」
 あ、それ! とルクスがバイオリンを演奏する。
 不許和音。
 それはバイオリンから到底流れていいものではない破壊音波魔法であった。
 迸る音。
 反響する音の洪水。それは『タロス兵』たちを散々に打ちのめし、押し返すことができた。
 ついでのようにステラもまたユーベルコードによるシャウトを迸らせていた。
 だが、ステラは自分の耳もやられてしまうことを覚悟していた。
 さっくり仕事をちょっぱやで終わらせるためには致し方ない。覚悟を決めていたのだ。
 
 だが、彼女の目論見は明後日の方角から飛んでくる。
 揺れるトンネルの天井。
 そう、2人分の音の洪水はトンネルの天井を崩落させたのだ。
「ほ、ほらー! 崩れてきたじゃないですかー!」 
 そう、ルクスはこれを心配していたのだ。 
 確かに音の洪水で一網打尽である。しかし、それは同時に『還らずのトンネル』にさえ影響を及ぼす威力だったのだ。
 これによって二人のいた天井が崩落して落ちてきていたのだ。
「ぐふ……」
「ステラさん、ぐったりしている場合じゃないですって! 鼓膜とか破っている場合じゃないです! 早く逃げないと生き埋めに、あーっ!?」
 崩落してくる天井に二人は隙間に挟まることでなんとか押しつぶされることを逃れた。
 敵を巻き込んでの崩落。
『土蔵篭り』達によってなんとか救出されたが、ステラは思っただろう。
「もう二度とトンネル内部で演奏は致しませんように」
「いえ、絶対ステラさんの雄叫びがやべーからですよ」
「誰がやべーメイドですか」
 解せぬ、とステラはルクスの言葉を聞きながら、九死に一生を得た心持ちで崩落したトンネルから這い出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロガネ・コウサク
ふむ、土蔵篭り殿、道案内を頼もうか。

土蔵篭りに敵の居る場所まで案内とその先の地形情報の提供を頼む。
囮にするつもりはない。万が一死なれては今後に関わる。

やたらに暴れられても面倒よな。お主は見つからぬようしばし隠れておれ。
ひそりとやろう……。

『隠密術』【迷彩】透明化し機動力強化、五感で知覚される事なく【忍び足】で孤立しておる敵に寄り、抜刀、威力増強した忍者刀で胴を薙ぎ【切断】敵が複数おれば、両腕をしならせ【怪力】で威力増強苦無を複数【早業投擲】し【貫通攻撃】からプラズマ【爆破】で仕留め、敵がやたらに拳を振るうなら【念動力】で宙を飛び寄るか手裏剣の電流で止めるなりしてから追撃し仕留めようか。



「さあ、こっちだ。迷宮とはいっても僕らは長い事、この暗がりの中で生きてきたからね」
 その言葉にクロガネ・コウサク(ビハインドニンジャ・f43673)は頷いた。
 目の前を歩く者は『土蔵篭り』の一族であるらしい。
 忌まわしき純血の霊能力者と呼ばれるケルベロスディバイド世界の住人。
 彼らは猟兵ではない。 
 だがしかし、地球の危機に際して立ち上がった志士であるとも言える。
 危険を承知で最前線までやってきているのだ。
 そして、『おそれ』を介して出現するデウスエクス軍団『タロス兵』たちを、己が能力でもって『還らずのトンネル』に封じ込めている。

「道案内、かたじけない」
「そう固くならないで。僕らだけではデウスエクス軍団をどうにかすることはできない。君たちの力がなくては、そもそも成り立たない作戦なんだから」
「謙遜を。これだけの力、そうそうあるものではない。『土蔵篭り』殿らの献身なくば、そもそもが成り立たかなったであろう」
「何、これも一つの協力体制というやつさ。地球に僕らも愛着があるのでね。さあ、こちらだ」
「無論」
 そう、コウサクは彼らの身を案じている。
 地形情報の提供だけでよかったのだが、彼らは案内をすると行って聞かなかった。
 囮にするつもりはなかったが、万が一のこともある。
 今後のことにも関わるゆえに遠慮をと思ったが、彼らの熱意に圧されてしまっていたのだ。

「……そら、いるぞ」
「そうみたいだね」
 その言葉、その視線の先にあるのは『タロス兵』たちであった。
 彼らは一様に迷宮の中を彷徨っている。
 まだ此方に気がついていないのだろう。無防備であると言える。
「では、ひそりとやろう」
 コウサクは『土蔵篭り』を手で制する。
 ここからは己の領分だと言うように静かに透明化していく。
 ユーベルコード、隠密術(シーク・アサシン)。
 彼の姿は五感で知覚されなくなる隠密形態へと移行し、手にした忍者刀を逆手に持って、密やかに『タロス兵』たちの背後に回り込む。
「まずは、一つ」

 忍び足にて近寄った『タロス兵』の背中から、ぞろりと伸びた忍者刀が白刃煌き、一瞬でその首をかき切る。
「……!?」
 何が起こったのかさえ、己が絶命したのかさえ『タロス兵』には理解できなかっただろう。 
 倒れ込む『タロス兵』。
 その音が響くより先にコウサクは手裏剣を放ち、さらに苦無を投げはなって振り返らんとしていた『タロス兵』を瞬く間に処理してしまったのだ。
「……!!」
「気がついたか、だがもう遅い」
 瞬間、コウサクは踏み込み投げはなった苦無にプラズマを流し込み、一気に爆破する。
 内部から炸裂した一撃は『タロス兵』の胴部を貫き、ぐらりと体を揺らす。
 そうなってしまえば、もう敵は警戒を密にするだろう。

「遅いと言った」
 そう、もはや無駄な行いだった。
 警戒していようとコウサクの姿は感知できない。警戒するだけ無駄な行いの内にコウサクは駆け抜け、見事な斬撃で持って次々と『タロス兵』たちを打倒し、瞬く間に一帯のデウスエクス軍団を霧散霧消させるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

飛・曉虎
●POW
ムハハ!
つまり、行きは良い良い帰りはできぬという奴だな!
しかしである
それは吾輩も迷い込めば帰れぬということでもあるな

ここは【野生の勘】と【竜脈使い】をもってして吾輩がどこに居るかを頭に置かねばであるが、土蔵篭りらの臭いも道標となろう
そうと決まれば思う存分暴れるのみである!
随分と奇妙な地形に変わってしまっているが、これを利用するのもありのありであるな
姿を隠し、耳を澄まし、臭いを嗅ぎ、タロス兵を先に見つければタイミングを見計らって…襲いかかるのみ!

ムハハ!
自慢のドリル腕も、吾輩の【裂鋼爪】で腕の関節ごと切断されればそれまでよ!
一気呵成に反撃の隙を与えず狩り尽くしてやるわ!



『還らずのトンネル』。
 それは一歩でも踏み出せば、もはや還ることのできぬ黄泉路。
 進むは迷宮。
 戻るも迷宮。
 入口はあれど出口はない。
 それが『土蔵篭り』たちによって生み出された怪異めいた『還らずのトンネル』なのだ。
「ムハハ! なるほど、つまり行きは良い良い帰りはできぬというやつだな!」
 飛・曉虎(大力無双の暴れん坊神将・f36077)は豪快に笑いながら、ためらわず『還らずのトンネル』に踏み込んだ。
「しかしである。それは吾輩も迷い込めば帰れぬということでもあるな!」
「『おそれ』さえなくなってしまえば、『還らずのトンネル』を解除してもいいでしょ?」
『土蔵篭り』の言葉に曉虎は、そうなのか? と首を傾げる。

 そう、『原罪蛇メデューサ』は『おそれ』を介してデウスエクス軍団を地球に送り込むことができる。
 それ故にトンネルには都市伝説などの『おそれ』が溜まりやすいのを利用しているのだ。もし、ここにデウスエクス軍団がいなくなれば、当然『おそれ』もなくなる。
 そうなれば、新たにデウスエクス軍団を地球に送り込めなくなる、というわけだ。
「だから、一体も残しては駄目なんだよ」
「ムハハ! なるほどな! ならば、任せておけい! 吾輩にまかせておくのである!」
 野生の勘とも言うべきか、曉虎は一気にトンネル内部へと走り出す。
 龍脈を伝い、彼女は己が何処にいるのかを把握しつつ、しかし惑わされているのも感じていた。
 戻るにはどうするべきか。
「あやつらの匂いはもう覚えた。であれば、出口なくとも標はあるというもの! そうと決まれば思う存分――」
 獰猛なる笑みが浮かぶ。
 そう、ここからは己の時間だ。
「暴れまわるのみである!」

 曉虎は即座に見つけた『タロス兵』へと飛びかかる。
 姿を隠し、耳を澄まし、匂いを嗅ぎ、常に野生の獣めいた挙動でもって彼女は敵を見つけ、先制たる一撃を振りかぶる。
「手入れは毎日欠かさず怠っていない故に、我輩の剛爪は何時でも切れ味バツグンよ!」
 分厚い鋼鉄をも切り裂く神将の鉤爪。
「名付けるのならば、裂鋼爪(レッコウソウ)よ! ムハハ!」
「……!!」
 振りかぶられた一撃に『タロス兵』も腕部を衝角に変えて振り抜く。
 だが、曉虎は靭やかな動きで持って『タロス兵』の一撃を躱し、踏み込む。
「鈍重鈍重! のろまめ! 兄者のげんこつを伊達にもらっとらんわ、蝿が止まるかと思うたわ! ムハハ!」
 高笑いと共に曉虎の爪が『タロス兵』の腕部の関節ごと切断し、さらに返す爪で胴を一気に引き裂く。
「……!?」
「ムハハ! 驚いておる! だが、そんな暇などないぞ!」
 さらに振り抜かれる反対側の手。
 爪の描く軌跡は交錯し、『タロス兵』は四分割されて地面に崩れ落ちる。

「これよりは一気呵成よ! 狩り尽くしてくれるわ、ムハハ!」 
 曉虎は意気揚々として『還らずのトンネル』を疾駆する。
 次なる獲物はどこだ、と目を爛々と輝かせ、まさしく獣のように走る。
 どんな存在であろうとも己を道行きを邪魔立てなどさせぬ。狩り尽くすまで狩りだと言わんばかりに彼女は鋼鉄を切り裂く爪と共に『タロス兵』たちを強襲し、蹂躙しつくすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

にゃーにゃーにゃー!
にゃー?
にゃーにゃー!にゃ!
にゃにゃ?

●分かってくれた!(分かってない!)
つまりこの曲がりくねったトンネルの中をうろうろしてるってわけだね
よしよしじゃあ敵の位置を教えて!分かればだけど大まかでいいから!
と彼らの情報とボクの【第六感】で精度を上げてUC『神猫』のにゃんこを放つ!ゴーゴー!
まあ多少ずれても勝手に修正射して狙ってくれるでしょ!
あ、気を付けて!最大限説得してみたけれどあの子ってボクたちも狙ってくるからね!
ダイジョーブ!ボクの|指示《【第六感】》に従って避けてればボクたちより敵の方が先に倒れるさ!
さあみんな誰が生き残ることができるかな!



「にゃーにゃーにゃー! にゃー? にゃーにゃー! にゃ! にゃにゃ?」
 急に何。
 そう思わざるを得ない光景であった。
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は自身の足元にいる猫に向かって、自らも大地に身を伏せて、猫のような体勢でもって猫に訴えていた。
「にゃ」
「にゃにゃにゃ!」
「にゃ」
「にゃーにゃにゃー」
 なんだこのやりとり。
 誰もがそう思ったかもしれない。
 暫くして、ロニはすくっと立ち上がった。

「わかってくれた!」
 何が!? 本当に何が?
 だが、ロニは構わなかった。
「つまりね、この曲がりくねったトンネルの中をうろうろしているってわけだね、敵が!」
「そ、そうだね。連中を一体残らず殲滅しなければならないんだよ」
「おっけー! よしよし、じゃあ敵の位置を教えて」
『土蔵篭り』たちはしばし困惑していたが、手伝ってくれるというのならば、まさしく猫の手も借りたいところであった。
『おそれ』によって転移してくるデウスエクス軍団。
 彼らを撃退しきることで、このトンネル内部にたまった『おそれ』を排除することができるのだ。

「ええと、一番最奥への道がこっちだよ」
「おっけー! ならちょっぱやで行ってくるね! おおまかだけど、とりあえず、一体残らず倒しちゃっていいんでしょ! ゴーゴー!」
 その言葉と共にロニは迷宮に神猫(ゴッドキャッツ)と共に走り出す。
 その背中を『土蔵篭り』たちは見やり、本当に大丈夫かなぁ……と心配になった。
「ダイジョーブ!」
 そんな心配を見透かしたようにロニは遠くから言う。 
 本当かなぁ……。

 心配を他所にロニたちは迷宮を走っては、目に付いた『タロス兵』たちを即座に叩きのめしていた。
「あ、いたー! それー!」
 その言葉と共に猫たちが凄まじい速度で『タロス兵』に激突する。
 いや、激突ではない。
 あらゆるものを切断貫通する突撃なのだ。
 気がついたときには、もう『タロス兵』は貫通され、切断されていた。
「!?!?」 
 何が起こったかわからない。 
 それもそのはずだ。だって、気がついたら猫が飛び込んできて、大穴を開けられているのだ。
 どういう理屈なのかさっぱりわからない。
「そーだよねー猫と和解できていないデウスエクスなんてこんなものさ! さあ、君は生き残ることができるかな!」
 ビシ、とロニは指差す。
 そのさなかにも猫たちは次々と『タロス兵』たちをなぎ倒していく。
 汎ゆるユーベルコードを無効化する無敵性。
 それによって猫たちは、ロニよりもずっと無法な振る舞いを行い続け、『還らずのトンネル』をまさしく、一度入れば生存も許されぬキルゾーンに変えてしまう。
 程なくして『おそれ』は払われ、デウスエクス軍団も出現しなくなった。
 一体残らず殲滅された証明でもあったのだ。

「よかった、これで……」
『還らずのトンネル』は効果を失う。
 出口のないトンネルはなく、あとに残ったのは環状道路のいつも通りの風景。
 また一つ猟兵たちは世界の窮地を救ったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年05月11日


挿絵イラスト