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ケルベロス・ウォー④〜灰の空に聖歌が響く

#ケルベロスディバイド #ケルベロス・ウォー #パラディオン

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 漆黒の竜が悠然と空を舞っている。
 その目指す先には、東京タワーが聳え立っている。主たる|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》の望むものが其処にあるから、竜は空を飛ぶ。

 ――だが、その進みが止まる。
 竜の進みを阻む“何か”が其処にある。無理に進もうとすれば、その身を戒める“何か”。
 忌々しげに首を振る竜の耳には、不快な“音”が響いていた。



「戦況は一進一退という所みたいだ」

 猟兵達に、龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)は把握している戦況を告げた。
 ポジションの建造も、それを阻むデウスエクス達への対処も進んでいる。しかし、敵もここまで人間と渡り合ってきた者達。一筋縄ではいかぬということのようだ。

「|術式配備《キャスター》として建造中の施設に『聖王女教会』というものがある」

 聖なる歌の「奇蹟」を以て戦う者達、「パラディオン」。嘗てはユーべルコードを奮う者達であったが、戦いの中でその技を喪ってしまった者達。彼等もまた、この星の危機に、立ち上がったのだ。

「ユーべルコードではない「奇蹟」だが、東京タワーへ先行しようとするドラゴンを捕らえて足止めをしている」

 ユーべルコードを扱えない彼等の「奇蹟」では、それが限界であるということであるが、見方を変えれば好機ともとれる。

「彼等の「奇蹟」は、敵の足止めだけでなく、戦う俺達に力を与えてくれる」

 歌うユーべルコードを持つものならば、或いはその技を真似て「奇蹟」をその身に降ろす事も出来るかもしれない。
 とはいえ、それは無理筋を通す手段なので、どのような反動が起きるか定かではないのだが。
 戦争が始まって十日近く経とうとしている。猟兵達が、ケルベロス達が前線で戦う事で、|決戦配備《ポジション》の建設は徐々に進んでいる。彼等との共闘はそれを後押しする事になるだろう。

「彼等が捕らえた敵は、魔竜だ。「パラディオン」達が必要以上に傷つかないよう、気を引き締めて事にあたってくれ」

 戦場である以上、全てが無傷で終わる事はない。この世界で生きてきた翡翠は、一同に改めて念押すようにそう告げた。



 まるで戦いの危機を告げるかのように曇る空の下、歌が聞こえる。
 聖なる歌の宿す力が竜への戒めとなり、抗う竜の動きにあわせて時折鐘の音にも似た音を立てる。

(こいつを東京タワーに向かわせてはいけない!)
(竜を抑える間に、|決戦配備《ポジション》設備を――!)

 歌を途絶えさせれば、この拮抗は崩れる。そんな張り詰めた空気の中に、猟兵達は転送されたのだった。


白神 みや
 初めましてのかたは初めまして。
 そして、そうでない方はご無沙汰しております。|白神《しらかみ》です。

 ケルベロス・ウォー シナリオ、二本目です。
 |術式配備《キャスター》の設備を整える為の戦いです。

●プレイングボーナス
 パラディオンの発動させる「奇蹟」の力を受けて戦う。
 パラディオンならざる身でも、無理矢理自分の肉体に「奇蹟」を降ろして戦う。

●お願い
 MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
 今回のプレイング受付開始は【5/10 8:31〜】です。
 5/11 8:30以降に🔵が👑を上回った事を確認した時点で〆切予定です。
 開始時刻より前のプレイングはお返しする事となります。また、期間内に頂いた方、できるだけ全員お受けする方向ではおりますが、キャパシティとの相談でお返しすることになる可能性もありますので、ご了承ください。
 タグに状況を記載しますので、宜しくお願いします。
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第1章 ボス戦 『魔竜デストラクション・ブラック』

POW   :    殲滅!デストラクション・インパクト
単純で重い【前足】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    焼却!デストラクション・ブレス
【口】から【超高熱のドラゴンブレス】を放ち、レベルm半径内の敵全員を攻撃する。発動前の【タメ】時間に応じて威力アップ。
WIZ   :    召喚!クリエイション・サヴァント
レベル×1体の【竜牙兵やオーク、ドラグナー】を召喚する。[竜牙兵やオーク、ドラグナー]は【炎】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。

イラスト:8mix

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はクローネ・マックローネです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎

その勇気でもって立ち向かうのは、尊敬に値するのう。
だからこそ、わしは…わしらは戦うのよ。

霹靂に騎乗し、空を行こう。
そして、その魔竜の前に姿を現して、パラディオンたちから気を反らせる。
そして、そのまま見切り、空中機動をもって、その前足の攻撃を避けて…懐に入るように。
そして、UC付きで黒燭炎で突き刺していくのみよ!魔竜ならば、わしらよりデカいであろうからな!


霹靂「クエッ」
空を行くなら、自分も負けない。
限界突破な速度でいくから!クエクエ。



●狼鷲、翔ける
「その勇気でもって立ち向かうのは、尊敬に値するのう」

 空で戒められた竜を見上げてそう零したのは、|馬県・義透《馬舘・景雅》(死天山彷徨う四悪霊・f28057)。この戦場に適するのは武の才際立つ己だと、『侵す者』たる彼がこの地に立っていた。

「だからこそ、わしは……わしらは」

 その言葉と共に、手にする焔纏う黒槍で地を突けば、“彼等”の影から愛騎である|獣鷲《ヒポグリフ》が姿を顕した。|霹靂《かむとけ》の名を持つ“彼等”の愛騎は、一声啼くと主がその背に乗るのを待つ。

「戦うのよ」

 そう続けると共に、|獣鷲《ヒポグリフ》の背に乗れば、主の意を組んだ獣鷲は空へと舞い上がる。

「魔竜の前へ疾く行こうか」
「|クエックエ、クエクエックエ《わかった、限界突破な速度でいくから》!」

 |義透《景雅》の指示に、何処か機嫌の良さそうな啼き声で応じた|霹靂《かむとけ》は、統べるように駆ける。

(わしらが視界に現れれば、魔竜は此方に気を向けるだだろうよ)

 そう思いつつ|義透《景雅》は宿縁を絶って得た|力《ユーべルコード》を解き放てば、黒槍がゆるりと纏っていた焔が一際強くなった。黒竜は視界に入りこんだ“邪魔者”の姿に、疎ましそうに咆哮をあげ、その前肢を振り上げる。

(やはりわしらよりデカいな、魔竜よ!)

 |義透《景雅》が解き放った力は、彼等よりも身体が大きい敵に対して優位になるよう強化するもの。焔纏う黒槍で黒竜の前肢を受け流した『侵す者』たる|義透《景雅》は、黒槍を翻し、竜へ向けて鋭い突きを入れるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・律
俺の家族は音楽の専門家が多くてな。義理の母は病弱で歌い続けて若くして斃れた。だからパラディオンの皆さんの話を聞くとなんとか負担を引き受けたいと思う。同じ音楽を愛する同士として心重ねよう。

火雷の意志発動。敵の攻撃は【残像】【迷彩】【心眼】で凌ぎ、パラディオンの皆さんの奇蹟の負担は【狂気耐性】【呪詛耐性】【激痛耐性】【回復力】で耐える。耐えなきゃパラディオンの皆さんの覚悟に失礼だしな。

さあいくぜ!!音楽の調和の力と共に!!【怪力】+【限界突破】で全力の【切断】だ!!おまけに追撃で【電撃】喰らわせてやるか。



●雷炎、閃く
 真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)はパラディオン達の在りように、義理の家族――妻の家族の事を思い起こしていた。
 |闇深き世界《ダークセイヴァー》の音楽家の家の出であった義父、病をおしてなお歌を歌い続けた義母と、妻の家族には音楽を生業同然として居た者が多く、そんな|縁《えにし》故に律自身も今は音楽を嗜んでいる。
 だからこそ、彼等が負う負担を幾らかでも引き受けたいと思うのだが、それを直接言葉にするのは、彼等の矜持にかかわるかもしれない。であれば、律が出来る事は、同じ音楽を愛する同士として心重ね、その「奇蹟」をその身に受け入れて黒竜と戦う事だろう。
 パラディオン達に、己にその「奇蹟」を降ろすように乞うた律は、その身に雷炎を纏いつつ、彼等の「奇蹟」の力を受け入れる。

(耐えなきゃパラディオンの皆さんの覚悟に失礼だ……!)

 身体だけでなくその魂までも軋むような感覚が、律を襲う。彼等も堂々、もしかするとこれ以上の反動を受けているのだろうか。それとも、パラディオンではない自分だからこれ程の負荷がかかっているのか。しかしそれは、今の状況では些末な話だ。
 彼等が与えてくれた加護と己の力で、あの黒竜を倒すのだ――!

「さあいくぜ!! 音楽の調和の力と共に!!」

 纏った雷炎を翼と変えて、律は竜が足止めされている天へと翔け、手にした両手剣を竜に向けて振り抜いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
SPD
アドリブ歓迎

「命をかけてオレ達をサポートしてくれるのか…。
だったら!それに応えるのがオレ達猟兵の仕事だ!
やるぜ勇輝龍!本当のドラゴンってやつをみせてやろう!」
UCを発動して真紅の龍が戦場へと現われる
放たれるデストラクション・ブレスを真正面から劫火のブレスにて迎撃
只単純に隔絶した威力でデストラクション・ブレスを吹き飛ばす

「ヒーローは奇蹟を起こすが!
今回は奇蹟を起こす加護まで来ている!ならば!全てが必然だ!」
勇輝龍のブレスの中から炎を纏って飛び出す
本来なら火傷を受ける暴挙だが、奇蹟によって威力だけが増す
「超必殺!ミラクルドラゴンブレェェイズ!!」
全力の火焔パンチを叩き込み撃波だ!



●ブレイザインは奇蹟に応える
(命をかけてオレ達をサポートしてくれるのか……)

 真紅の機械鎧纏う空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は、歌声と鐘のような音が響く中感嘆する。ユーべルコードを喪失していながら、この最前線に立つのは、文字通り死と隣り合わせの状況だろう。それでも彼等はこの地に馳せ参じて、その「奇蹟」を以てケルベロスを、猟兵を支援しようとしてくれているのだ。

「だったら! それに応えるのがオレ達猟兵の仕事だ!」

 清導は祈り歌うパラディオン達の前へと躍り出ると共に、天へ右手を突き上げる。

「やるぜ勇輝龍! 本当のドラゴンってやつをみせてやろう!」

 その声と共に姿を顕すのは真紅の|勇輝龍《ドラゴン》。すかさずその背へと乗り、黒竜へ向けて飛翔する。黒竜は視界に入る同族のように見える紅龍が、その背に人を乗せている事に気が付くと、理解できないかのように首を振ったあと、その首をもたげる。

「ブレスを吐く気か! 勇輝龍、こっちも劫火のブレスだ!」

 清導の声に従い、真紅の龍がその口から炎のブレスを放つ。黒竜のそれより先に放たれたそれは、黒竜が溜めていた焔をも巻き込んで灼き尽くさんと燃え上がった。

「ヒーローは奇蹟を起こすが!」

 それを好機と清導は勇輝龍の背を蹴り飛び出した。勇輝龍と黒竜の間にはブレスの焔と熱が渦巻いており、機械鎧を纏う清導にとっては、身をただ焼かれるよりも手酷い傷を負いかねない状況。

「今回は奇蹟を起こす加護まで来ている!」

 そう、パラディオン達の聖歌の奇蹟が、清導に力を与えているのだ。

「ならば! 全てが必然だ!」

 故に、今此処に渦巻く熱と焔はただ目の前の敵を討つ力となり、その拳へと収束する。

「超必殺! ミラクルドラゴンブレェェイズ!!」

 火焔纏う拳が、黒竜の背を強かに撃ち据えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

熊ヶ谷・咲幸
「歌の力を途絶えさせるわけにはいかないです!」
パラディオンさん達の頑張りにどこか自分を重ねてやる気十分です!
とりあえず【怪力】で手当たり次第に周りのものを投げて牽制して、自分のユーベルコードの間合いまで突撃します。途中の攻撃とか『奇蹟』の力で耐えられるといいな
「ここまでくれば!」
150m以内まで近づければ、全身図にあるステッキからビームを出して掴み、思い切りぶん回します
「ハアアアアトフル☆ハアアアアケエエエエン!!」
3回目の攻撃あたりで先端部分を敵に引っ掛け、ビームを収縮することで敵の側まで近づき、踵落としかダブルスレッジハンマーあたりでブレス発射寸前の頭部を叩き、ブレスを暴発させたいです



●チアフル☆クレッシェンドは全力疾走
「歌の力を途絶えさせるわけにはいかないです!」

 |歌と流星の魔法世界《アイドル☆フロンティア》のお騒がせ☆アイドルである熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)にとって、歌の力はとても密接な力。それゆえに、パラディオン達が聖歌の奇蹟を降ろして、DIVIDEを猟兵を助けようとしている状況に、自分自身の在りようを重ねてしまう。

(だから、私も頑張らなくっちゃ!)

 決意と共に、咲幸は竜が暴れる事で生み出されたと思われる瓦礫をがしりと掴んで。

「いっきまぁぁぁす!」

 竜に向かって投げた。続けて、もう1つ。瓦礫を投げては前に進む。
 その膂力がもたらす勢いだけで投げている事もあり、流石に竜に当たる事は無かったのだが、牽制には成りえたようだ。パラディオン達の奇蹟の力も相まって、ほぼ無傷で咲幸は竜との距離を詰める。

「ここまでくれば! チアフル☆ロッド!」

 此処からならばと見定めた咲幸は、魔法のロッドを手にする。

「ハアアアアトフル☆ハアアアアケエエエエン!!」

 可愛らしい姿と反比例する雄々しさで、ロッドの力を解き放つ。ロッドからリボンのように伸びたビームを掴み、鎖打棒のような要領でロッドを振り回す。パラディオン達の一部も巻き込まれそうになったが、間一髪でそれは避けられたようだ。もう少し位置がずれていたら、大変なことになって「お騒がせ」の面目躍如だったかもしれないが。

「こ! れ! でぇぇぇ!」

 ロッドを分銅代わりにして竜の脚にビームを巻き付かせる事が出来たことを目視した咲幸は、ビームリボンを収縮させて取りついた。そのままアイドルになるまでの山篭りで培った経験を駆使して、竜の身体を器用によじ登っていく。

「それぇぇぇぇ!!」

 竜の頭の天辺に向けて振り下ろされたのは、可愛らしいブーツに包まれた咲幸の踵。
 過たず的確に振り下ろされたそれは、竜がブレスを放つために貯めてた魔力を四散させたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

全力で戦う人達とこの世界を護る
それは俺達の存在意義そのもの
「往こう、陸井」

相棒とパラディオン達に助力を謝す
その上で
「強く力を授けて欲しいんだ」
危険かもだけど
「魔竜を絶対退治する為に」
俺達に任せてと告げて

加護を享けた途端魂身全てに歌が満ちた
強い力に心を持ってかれそうになるけど
歯を食いしばり
俺の中の至高のヴァイオリンの音を思い己を保ち
全力で光蟲の槍を起動し強く光を希う

幻想の弦楽と加護の力と光の収束音
錫杖の銀鎖の揺れ、蟲達の羽ばたき凡てが
一つの歌に収束した瞬間に…槍を放つ!

聖歌で強度を増した槍が真っ直ぐ貫いた!
足止めの間に次は陸井の龍が魔竜を噛み裂く
決して逃しはしないよ!


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

猟兵の力が無くとも
世界の為に命をかける彼らの覚悟は
何よりも尊く強いものだよ
死なせるわけにはいかないな
「勿論だ。行こう、時人」

「猟兵だ。加勢に来た」
ギリギリな所で申し訳ないが
敵も侮れるような相手じゃない
竜を屠る為にも彼らの力が必要だ
時人みたいにうまく言えればいいんだが
俺は正面から頼む
「『奇蹟』の力、頼めるかな」

加護を授かって、力が満ちる
ユーべルコードとはまた違う力に
意識を持ってかれそうになるが
優しく響く妻の歌声を想って
纏う聖歌を制御する

相棒の攻撃で足を止めている間に
俺は文字を画いて銃へ装填
聖歌と龍が調和して力が満ちるから
後はしっかりと狙いを定め、放つ
「これで終わりだ」



●護りし者、馳せ駆ける
 護る者として。
 渡る事の叶う世界が危機に瀕しているというのであれば、その身その力の全てで護り通す。

 それは、護の一字を背負う凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)と、その相棒である葛城・時人(光望護花・f35294)にとって、存在意義そのものである。まして、|超人衛りし世界《ケルベロスディバイド》の|戦う為の埒外の力《ユーべルコード》を持たぬ人々が、支援の為にその命を顧みず前線に出てきているのだ。
 その何よりも尊く強い覚悟に応えないという選択肢が二人にある筈もなかった。

「往こう、陸井」
「勿論だ。行こう、時人」

 二人は頷きあうと、浮揚する黒竜を見上げながら聖歌を歌うパラディオン達の方へを歩み出した。



「猟兵だ。加勢に来た」

 陸井が短くそう告げれば、パラディオン達も二人がどういう存在かを理解したようだ。響く歌声に紛れて微かに言い交わす声がする。

「君たちの助け、本当に助かってるよ」

 その中で時人が|銀の雨降る世界《シルバーレイン》の能力者だった頃から変わらないその誠実さで、パラディオン達に頭を下げつつ、言葉を続ける。

「――俺達に、強く力を授けて欲しいんだ」

 パラディオン達ですらその命を削って降ろしている奇蹟。それをこの世界の外の人間がその身に降ろすとなれば、その危険は如何ばかりか。

「魔竜を絶対退治する為に、俺達に任せて」
「頼めるかな」

 改めて頭を下げる時人の傍らで、陸井も頭を下げて、パラディオン達に頼む。時人が訴えた通り、あの魔竜を追い払うには、猟兵である二人の力だけではなく、彼等の奇蹟も不可欠なのだ。真摯に誠実に訴える二人の言葉は、パラディオン達に受け入れられたのか、二人それぞれの前にパラディオンが進み出る。

「ありがとう」
「その信頼に、応えるよ」

 二人に向けてかざされた手から、二人に力が流れこんだ。その身の裡に歌が満ちる感覚と共に、その強い力が重しのように身体を抑え込む感覚に襲われる。身体どころか意識まで攫われそうになる二人の裡で、満たされた歌と重なるように、最奥から重なる音があった。

(――あれは)

 陸井の裡では、共に在る伴侶の歌声が。聞いたことのない歌声は、果たして何処の歌なのか。

(あの音は――)

 時人の裡では、“彼女”が聴かせてくれた、あの弦楽器が奏でる旋律が。あの旋律こそが、時人にとって至高の音色。

 二人の最奥から溢れる音色は徐々に聖歌と重なりあい、1つの旋律へと束ねられていく。それは、身に受けた奇蹟が確かに二人の力へと成った証左。それを感じた二人は其々にユーべルコードを起動する。
 その性質上、先に動いたのは時人。錫杖を彩る銀鎖の微かな音と共に、光蟲の槍が魔竜へと放たれる。真っ直ぐに飛ぶ槍が魔竜の身を射抜き、光の柱に包み込み、その動きを封じる。

 時人の攻撃の間に、陸井の描く戦文字は完成し、転化した弾丸が短刀銃へ装填されていた。光の柱に捕らわれた竜を狙うのは、陸井にはさして難しい事ではない。それでも、過たず銃弾が穿つよう狙いを定めて、弾丸は放たれた。

「さぁ……これで終わりだ」

 こうして、この地に襲い来ていた黒魔竜は追い払われ、永遠回廊を相殺せんとするパラディオン達の祈りが満ちていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年05月14日


挿絵イラスト