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ケルベロス・ウォー⑥〜機動診療所を防衛せよ

#ケルベロスディバイド #ケルベロス・ウォー #心霊治療士

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「緊急事態発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々と――しかし表情には微かな緊張を浮かべながら語りはじめた。
「ケルベロスディバイドにて、デウスエクスの統率者『十二剣神』のうち六柱が、地球に総力戦を仕掛けてきました」
 彼らの目的は、特務機関DIVIDE本部『東京タワー』の地下に渦巻く『地球の精髄』。これを奪われれば、地球は遠からず崩壊を迎えることになるだろう。オブリビオンとも異なる不死の存在であり、さらには無敵の『|永遠回廊《グラビティ・ゲート》』に守られた十二剣神を撃破するのは、いかなるユーベルコードでも不可能だ。

「地球存亡の危機を迎えた特務機関DIVIDEは『|全世界決戦体制《ケルベロス・ウォー》』の発動を宣言。文字通り地球の総力を結集して『永遠回廊』を破るための|決戦配備《ポジション》建造に着手しました」
 この戦いにはケルベロスや猟兵だけでなく、いまだケルベロスに覚醒していない種族や、古代の秘伝を受け継ぐジョブなど、地球上のあらゆる人々が参戦している。世界経済が停滞することも覚悟の上で、莫大な戦費と資材も惜しげなく投入し、人類一丸となってこの危機を乗り越えようとしている。
「皆様の役目は、|決戦配備《ポジション》建造に着手する彼らに協力し、東京タワーに押し寄せるデウスエクス軍団を迎撃し……そして最終的には、永遠回廊の先にいる十二剣神を撃破することです」
 この戦争においても、ユーベルコードを使える猟兵が最大戦力であることは間違いない。永遠回廊から無尽蔵に出現するデウスエクスを食い止めるには、その力が絶対不可欠だ。決戦配備が完成する前に戦線が崩壊すれば、十二剣神撃破の希望も露と消える。

「皆様には決戦配備メディックの要である、機動診療所の防衛をお願いします」
 民間人・ケルベロス・猟兵の別を問わず、この戦争での負傷者に対して迅速に救助・収容・治療を行うべく立ち上げられた機動診療所。これを狙ってデウスエクス『妖精騎士団弓手』部隊が襲撃を仕掛けてくる。彼らの迎撃と診療所の防衛が今回の依頼だ。
「ここの診療所の主はキミアさんという手練れの『心霊治療士』…… エクトプラズムで疑似肉体を造り外傷を塞ぐ『心霊手術』の使い手です」
 彼女がやられてしまえば機動診療所は立ち行かなくなるため、襲来するデウスエクスの迎撃はこちらで引き受け、負傷者の治療に集中してもらうのが良いだろう。回復系のユーベルコードや医術の心得がある者なら、治療の手伝いをするのもありだ。

「救護体制の確立と維持は、戦場全体に影響を及ぼす重要な要素です。どうか皆様の力をお貸しください」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、ケルベロスディバイドの東京へ猟兵達を送り出す。
 地球上に出現した6つの『無限回廊』。これを打ち破り、不死身の十二剣神を打ち破る事は、果たして叶うのか。
「転送準備完了。ケルベロス・ウォー、開戦です」



 こんにちは、戌です。
 ついにケルベロスディバイドで戦争の幕開けです。今回のシナリオは決戦配備「メディック」の建造支援として、機動診療所を防衛する依頼です。

 このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。

 プレイングボーナス……心霊治療士を守って戦う/心霊治療士の治療行為を手伝う。

 機動診療所の要となるのは心霊治療士という、古の秘伝を受け継いだ心霊手術の使い手です。
 デウスエクス『妖精騎士団弓手』の集団は、この診療所の機能を停止させるために襲撃を仕掛けてきます。心霊治療士は特殊な術士ではあってもユーベルコードは使えないため、デウスエクスと直接戦うことはできません。
 皆様の活躍次第で、この診療所と治療士の命運が決まるでしょう。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『妖精騎士団弓手』

POW   :    フェアリーテイル
【妖精の矢】で射抜いた対象に、ダメージの代わりに【妖精の加護】を与える。対象は行動速度2倍、知覚力16倍になる。
SPD   :    ゾディアックアロー
【星座の力を宿した弓】から【妖精の矢】を放つ。ダメージは与えないが、命中した対象の感情から【怒り】と【冷静さ】を奪う。
WIZ   :    妖精の悪戯
【星座の力を宿した弓】から無限に供給される【妖精の矢】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。

イラスト:ソロ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月隠・新月
この危機を乗り越えるため、機動診療所のような存在は絶対に必要です。治療なくして長くは戦えませんから。
やられるわけにはいきませんね。

【魔獣領域】を使用しましょう。魔力の奔流を発生させて敵にダメージを与えつつ、敵の矢は落とすか軌道を逸らして味方に当たらないようにしたいですね。
同じく魔力の奔流で敵を立ち止まらせないようにして、攻撃速度の上昇はなるべく阻止しましょう。

心霊治療士に攻撃が向かないよう、俺の方に敵の攻撃を引き付けるように立ち回りましょう。
ユーベルコードの発動時に【遠吠え】する関係で目立ちますし、敵にダメージを与えたり攻撃の邪魔をしたりしていれば、おのずとこちらを狙うのではないでしょうか。



「この危機を乗り越えるため、機動診療所のような存在は絶対に必要です。治療なくして長くは戦えませんから」
 一般の兵士からケルベロス・猟兵に至るまで、戦場において負傷しない者はいない。彼らの命を救い、癒やすための機動診療所がデウスエクス軍団に狙われていると聞いて、月隠・新月(獣の盟約・f41111)は直ちに救援に向かった。
「やられるわけにはいきませんね」
 ここを失えば、治療を受けられずに亡くなる人間は激増する。なにより、そこに務めている者だって掛け替えのない命だ。新月が駆けつけた時はまさに、エインヘリアル『妖精騎士団弓手』の一団が診療所に矢を射掛ける瞬間だった。

「ウォォォォォォン!!!」
 咄嗟に新月の放った遠吠えが、戦場に【魔獣領域】を発生させる。診療所を中心に渦巻く魔力の奔流は、放たれた矢の軌道を逸らして落とし、味方に当たるのを防ぐ。同時にそれを放った弓兵達にも、荒ぶる魔力はダメージを与えた。
「ッ……ケルベロスか」
「ケルベロス! 助かりました!」
 咆哮の主たる漆黒の魔犬――新月の姿を見た敵味方の反応は対極的だった。妖精騎士達は兜の下で顔をしかめながらも冷静に任務を果たさんと矢をつがえ、心霊治療士キミアをはじめとする診療所の職員は歓喜の声を上げる。彼女らこそ地球を守る最後の希望、ケルベロスなのだから。

「放て」
 部隊長らしき妖精の号令一下、弓手達は一斉に矢を放つ。星座の力を宿した彼女達の弓には【妖精の悪戯】で無限に矢が供給され、途切れることのない連射は全て新月を狙う。治療士よりもケルベロスを直近の脅威とみなしたからだろうが、彼女にとっても好都合だ。
(目立った甲斐がありました)
 派手な遠吠えや戦場全体に影響を及ぼすユーベルコードを使えば、おのずと敵の注意はこちらに向く。心霊治療士に攻撃が向かないよう引き付けるのが彼女の優先事項だった。その上で、自分への攻撃は全て魔力の奔流で打ち落とす。

「俺の領域で、好き勝手できると思うな」
「くっ……?!」
 さらに魔力の奔流は強風となって敵を押しやり、弓の狙いを狂わせる。妖精騎士団弓手のユーベルコードが最大限効果を発揮するには、立ち止まって射撃に専念する必要があるのだが、この【魔獣領域】内部でその姿勢を維持し続けるのは困難だ。
「俺には守るべきものがある。お前達に奪わせはしない」
「がは……っ!!」
 戦場を己のテリトリーとし、診療所の防衛と敵への攻撃を両立させる新月。やがて攻守のバランスは逆転し、攻め込んだ弓手達のほうが逆に追い込まれる側となる。人々の命を繋ぐ診療所を、ひいては地球の危機を救わんとするケルベロスの意志を、彼女らは思い知っただろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳獣寺・棗子
世界は違えど、民の安堵が為に戦うはわたくしの務め。
傷つかれし方々も、キミア様はじめ治療に携わる方々も。わが術の限りを以て、守り抜いてみせます。
ご心配には及びませんとも。

機動診療所を囲み、敵の進軍経路に向かう形にて式符を散布。
符術・退魔活命陣を発動し、治療の助けと致します。
陣は同時に、敵の侵攻への牽制とも為します。これ以上の狼藉は罷りなりませぬ、どうぞお引き取りを。

とはいえ敵は弓手、陣の外より矢を放ち来ることかと。
符を放っての【結界術】にて防ぐと共に「胡我羅摩曽彦」様が分霊を敵中へ放ちます。
【暴力】を以て荒ぶることにて、敵の射撃への集中を妨げて頂くのが狙いです。
このまま、守り抜いてみせましょう。



「世界は違えど、民の安堵が為に戦うはわたくしの務め」
 今回の戦争に参加しているのは、ケルベロスディバイド出身だけではない。異世界から訪れた猟兵もまた、地球の危機を見過ごせずデウスエクスとの戦いに赴く。鳳獣寺・棗子(獣鬼御遣の陰陽師・f42827)も、そんな猟兵の1人だ。
「傷つかれし方々も、キミア様はじめ治療に携わる方々も。わが術の限りを以て、守り抜いてみせます」
 典雅な桃色の装束をまとった平安貴族のいでたちは、現代の戦争からは浮世離れしているが。彼女は単なる深窓の姫に非ず、幼いながらに家伝の式神使役術の卓抜した才を持ち、すでに一人前と認められるほどの腕を持った陰陽師だ。

「いけない、また敵が……!」
「ご心配には及びませんとも」
 棗子は持参した「陰陽式符」で機動診療所を囲み、敵の進軍経路に向かう形にて【符術・退魔活命陣】を発動。散布された符が描く方陣は浄化の力をもたらし、内部にいる味方の回復力を高める。これで多少でも治療の助けとなれば幸いだ。
「……全員止まれ」「これは、結界か」
 同時に、浄化の方陣は敵に対してダメージを与えるため、侵攻する『妖精騎士団弓手』への牽制にもなる。陣の存在に気付いた妖精騎士達は、警戒して進軍を一時停止した。迂闊に突っ込んでこない辺り、慎重さと冷静さを兼ね備えた敵のようだ。

「これ以上の狼藉は罷りなりませぬ、どうぞお引き取りを」
 陣の内側から平安貴族らしく凛とした態度で告げる棗子。とはいえ、これで素直に引き下がってくれるなら苦労はないだろう――デウスエクス側もこの戦争に全種族の命運を賭けているのだ。どれほどの犠牲を払おうと、地球人を絶滅させて「地球の精髄」を奪う覚悟である。
「総員、射撃体勢を取れ」
 陣の中に踏み込めないなら、陣の外から攻めるまで。弓手としての技量を活かし、騎士達は【妖精の悪戯】にて矢を放ってくる。星座の力を宿した弓から無限に供給される妖精の矢は、現代兵器にも負けぬ連射速度で棗子と診療所に襲い掛かった。

「そう来ることかと思いました」
 勧告に応じぬ狼藉者の矢を、さらなる符を放って結界術にて防ぐ棗子。そう簡単にやられはしないが、このまま防戦一方ではいずれ突破されるのも自明の理。ならばと彼女は反撃の一手として、獣神「胡我羅摩曽彦」の分霊を動かす。
「胡我羅摩曽彦様、何卒その御力を示し下さいませ」
 巫たる棗子の請願に従い、敵中へ放たれた獣神の分霊は、荒ぶる暴力をもって|神の如き者《デウスエクス》に真の神威を見せつける。
 ひたすら暴れ回ることによって、射撃への集中を妨げて頂くのが狙いだ。陣に籠もるのではなく打って出られたら、流石に敵も立ち止まってはいられまい。

「ッ……!」「怯むな、撃ち続けろ」
 胡我羅摩曽彦の分霊になぎ倒され、妖精騎士団の陣形が崩れる。それでも弓手達は矢を射続けるが、連携は乱れ標的も分散した。この隙に棗子は陣を整えて守りを盤石にし、符の散布範囲を広げることで分霊の戦いを後方から支える。
「このまま、守り抜いてみせましょう」
 民草の安寧のため結界を張るのは、常日頃から平安貴族の職務なれば。棗子の振る舞いは普段通り、齢不相応なほどに落ち着いたものだ。その澄んだ金瞳に宿るは決意――これより先、邪なる者が踏み入るは罷りならぬと、浄化の陣は煌々たる霊威を発した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

家綿・衣更着
アドリブ歓迎

衣更着参上!おいらも頑張るっすよ!

まずは後方支援の充実を図るっす!
UC『友達妖怪召喚』!
ユニコーンさん、心霊治療士さんの治療を手伝ってっす!

救助活動しつつユニコーンの馬車を使って負傷者を運搬、治療を手伝う。
敵がやってきた場合は綿ストールを結界術も交えて硬化させて大きめの盾に変形、妖怪煙で煙幕を張りながら化術と幻影使いを使って機動診療所の残像を作って攻撃を誘導することで守り、敵に忍者手裏剣を乱れ撃ち投擲して倒していく。
負傷や状態異常はユニコーンに直してもらう。

今回の敵はオブリビオンじゃないから敵も必死なのは分かるけど、おいらたちも地球を滅ぼさせるわけにはいかないっす!



「衣更着参上! おいらも頑張るっすよ!」
 地球と人類の存亡を賭けた戦争に、颯爽と駆けつけるのは家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)。東京タワーを中心に繰り広げられる猟兵・ケルベロスとデウスエクスの戦いは、最前線だけでなく支援を担当する機動診療所にまで及んでいた。
「まずは後方支援の充実を図るっす! 【友達妖怪召喚】!」
 衣更着は診療所の仕事に協力しようと、仲間と一緒に救助活動に参加。こういったケースで彼の友達で頼りになるのは、治癒力を持つユニコーンだ。彼らの象徴である一本角には、水を浄化したり毒を中和したり、ケガや病気を治すなどの力があるという。

「ユニコーンさん、心霊治療士さんの治療を手伝ってっす!」
 運搬用の馬車と一緒に召喚されてきたユニコーンは、機動診療所と一緒に戦場を駆け回り、負傷者を拾っては治療を行う。医師も医薬品も運搬手段も、あらゆる手が足りていない現状において、その全てを兼ねる存在はありがたいに決まっている。
「感謝します。これでもっと多くの人を助けられる……!」
「礼には及ばないっす。それより、来たっすよ!」
 心霊治療士キミアの礼には振り返らず、衣更着はこちらに向かってくる『妖精騎士団弓手』の部隊を睨む。救護の要である機動診療所を攻撃目標にするのは、デウスエクス側からすれば当然の事だった。戦争法など関係なく、向こうは本気で人類を滅ぼしてでも地球のグラビティ・チェインを根こそぎ奪う気なのだ。

「治療の邪魔はさせないっす!」
 衣更着は化術用の妖怪煙をどろんと立ち上らせて、煙幕を張りながら機動診療所の残像を作成。どれが本物か敵には分からなくした上で、首に巻いていた「打綿狸の綿ストール」を硬化させ、結界術も交えて大きめの盾に変形させる。
「治療士から狙え」「はっ」
 敵は冷徹にも非戦闘員への攻撃を躊躇わないが、その照準は幻影に誘導されたもの。放たれた矢は衣更着の盾に阻まれて、治療士やユニコーンの元には届かない。忍者の機動力と妖怪の化かし力、両方をフル活用した拠点防衛戦術だ。

「おいらが相手っす!」
「……厄介だな」
 立ちはだかる綿狸忍者への評価を改めたか、妖精騎士団弓手は星座の祝福を受けし弓より【ゾディアックアロー】を放つ。こちらの矢は物理的なダメージではなく怒りや冷静さなどの感情を奪い取ることで、動揺を引き起こす攻撃だ。
「ユニコーンさん、お願いするっす!」
 機動診療所を守りながら戦う都合上、全ての矢は躱せない。しかし衣更着の友達の癒しの角は、負傷や状態異常にも効く。感情に異常を受ければすぐに治してもらい、冷静さを失わないようにしながら、彼は自分の持ち場を離れない。

「今回の敵はオブリビオンじゃないから敵も必死なのは分かるけど、おいらたちも地球を滅ぼさせるわけにはいかないっす!」
 容赦のない攻勢に一方的にやられはしまいと、衣更着は盾を構えたまま忍者手裏剣を乱れ撃ち。正確な投擲技術で敵の急所を射抜き、ダメージを与えていく。対する妖精騎士団弓手も、同胞が何名討たれようと一歩も退かない構えだ。
「ここで敗れれば、我らデウスエクスに未来はない……!」
 冷静な妖精騎士達が滲ませる激情は、この戦争に賭ける不退転の覚悟。"過去"であるオブリビオンとは違う、未来を勝ち取ろうとする生者の意志が、そこにはある。ならばこそ双方退路はなく、戦いは激化の一途を辿るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリィ・ジゼル
診療所が陥落すれば、その戦いに大きな影響を及ぼすでしょう。ここはなんとしてでも死守しなくては。

というわけで診療所を守るべく、我々が盾となって戦います。
そう、我々です。UCと用いて増殖とリスポンを持って敵デウスエクスの集団をフルボッコにします。

おそらくは敵の矢で我々は冷静さを欠くでしょう。
しかし逆に考えて頂きたい。

息を吸うように増殖し、延々とリスポンを繰り返し、チェーンソーや分からせ棒を振り回し、脈絡もなくサメを呼ぶ、冷静さを欠いたサメぐるみ集団。
それは相手にとっても恐怖をもたらす存在ではないでしょうか。診療所どころではなくなること間違いないです。

我々の混沌ぶりを見せつけてやるぜ!!



「診療所が陥落すれば、その戦いに大きな影響を及ぼすでしょう。ここはなんとしてでも死守しなくては」
 救護体制が整っているかどうかによって、戦場の死亡率は大きく変わる。不滅のデウスエクス軍団に定命の地球人が挑むにあたって、機動診療所の存在はまさに生命線と言えるものだ。エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)も、その重要性は理解している。
「我々が盾となって戦います」
「ありがとうございます……我々?」
 診療所を守るべく来てくれたエミリィに、診療所の心霊治療士キミアは感謝を伝えるが、その言葉に疑問も覚える。
 我々と言うが彼女は単独で今回の作戦に参加しており、仲間や部下などの同行者もいない。個別行動している他の猟兵のことを指しているのかとも思ったが――。

「そう、我々です」
 そう言って【増えて蘇るメイドの術】を発動すると、新しいエミリィが|出現《スポーン》する。幻覚とか影武者とかではなく、能力的にもほぼ同一の個体である。サメの着ぐるみに入って、物騒な「わからせ棒」や「シャークチェーンソー」で武装しているところまで同じ。
「分身か。なんと言う事はない」「全て射殺すだけのこと」
 常識的には異様な光景を前にしても『妖精騎士団弓手』は流石に冷静だった。機動診療所の破壊という任務を妨げるのなら、どんなにヘンテコな連中が立ち塞がっても倒すだけ。星座の力を宿した彼女らの弓矢は、容赦なくエミリィ達を襲った。

「ぎゃー」「やられたー」
 しかし、矢で射貫かれたエミリィは一時的に消滅するものの、すぐにまた新しいエミリィが出現する。リスポーンと増殖を組み合わせた「無限ゾンビ戦法」こそが【増えて蘇るメイドの術】の真価だ。どれだけ自分自身に犠牲が出ようがお構いなしに、敵をフルボッコにしようと襲いかかる。
「我々の底力としぶとさと面倒臭さを思いしれ!」
「……確かに、これは面倒かもしれない」
 ただの分身だと侮っていた妖精騎士達は、顔をしかめて戦法を変更。物理ダメージではなく精神的な異常をもたらす【ゾディアックアロー】を放って、エミリィ達を混乱させようとする。怒りや冷静さといった感情を奪い、あわよくば同士討ちを引き起こすつもりだ。

「むっ、なんだか落ち着かなくなってきました」「我々、このままでいいんでしょうか?」
 妖精の矢を受けたエミリィ達は、まんまと冷静さを奪われる。「敵をフルボッコにする」という目的で纏まっていた統率は乱れ、個々がバラバラな行動を取り出す――ここまでは敵の思惑通りだろうが、しかし逆に考えてもらいたい。
「よく分からないので全員ぶん殴ります!」「じゃあわたくしはサメを呼びます!」
 息を吸うように増殖し、延々リスポンを繰り返し、チェーンソーや分からせ棒を振り回し、脈絡もなくサメを呼ぶ。
 そんなサメぐるみ集団が冷静さを欠き、最低限の連携すら失って好き勝手を始めるのだ。どっちみちヤバい奴らには変わりないではないか。

「な、なんだこいつらは……ぐあっ?!」「ち、近寄るな!」
 カオスさを増したエミリィの無限ゾンビ戦法は、妖精騎士達まで巻き込んでいく。サメに齧られる者、分からせ棒でボコられる者、チェーンソーでバラバラになる者。B級パニック映画のような惨劇が目の前で繰り広げられれば、彼女達も冷静ではいられない。
「我々の混沌ぶりを見せつけてやるぜ!!」
「「や、やめろーーーッ!!」」
 もはや診療所どころではない。理解不能な存在への恐怖に囚われたデウスエクス達を、サメぐるみ集団が蹂躙する。
 いくら彼女達が不滅の存在だとは言っても、この体験は復活した後もしばらくトラウマになるかもしれない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
戦場ではヒーラーから潰すのは定石と言えば定石ですが……
医療施設への攻撃という非道、完全な絶滅戦争ですね

ナース衣装を身に纏い、キミアさんの治療(医術)を手伝う
簡易救急キットから抗生物質の軟膏(薬品調合)を取り出し患部へ塗布
擬似肉体との癒合部で炎症が起こらないように
大丈夫、きっと元通りに治りますよ

医療行為に冷静さは絶対必須
それを奪わんとする悪しき妖精の矢を【天眼通】で【見切り】、キミアさんに当たる前に蹴り落とす
手は治療のために清潔しなければならないので、卓越した【功夫】の脚技で迎撃
鏃に触れず、シャフトの部分を蹴り折る



「戦場ではヒーラーから潰すのは定石と言えば定石ですが……医療施設への攻撃という非道、完全な絶滅戦争ですね」
 東京タワー地下に渦巻く『地球の精髄』を奪い、全てのグラビティ・チェインを奪い取る。デウスエクス達は本気で地球の民を滅ぼす気でいると、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は深く理解した。これは何方かが生き残り、何方から滅ぶ、生存を賭けた闘争なのだ。
「私も医術の心得はあります。お手伝いさせてください」
「助かります!」
 機動診療所に駆けつけたオリヴィアはナース衣装を身に纏い、医療活動に協力する。心霊治療士キミアを初め、この診療所には腕のいい医師や看護師が配属されているが、それでも増え続ける負傷者に対して人手はいくらあっても足りないのが実情だった。

「うぅっ……お、俺の腕が……」
「すぐに塞ぎます! オリヴィアさんは薬を!」
「はい、準備できています」
 簡易救急セットから抗生物質の軟膏を取り出し、負傷者の患部へ塗布するオリヴィア。心霊治療士がエクトプラズムで外傷を塞いでも、擬似肉体との癒合部で炎症が起これば予後不良になることもある。彼女の処置は後遺症を残さないためのものだ。
「大丈夫、きっと元通りに治りますよ」
「ほ、本当かい……?」
 そう言って優しく微笑み、患者を安堵させるオリヴィアの振る舞いは、まさに白衣の天使そのもの。新たな負傷者はひっきりなしに運ばれてくるが、ここで自分達が動揺を見せてはいけないと理解している。医療行為には「冷静さ」が絶対必須なのだ。

(そう……もし治療士が冷静さを欠けば、大変な事になる)
 それを奪わんとする悪しき妖精の矢を、オリヴィアは【天眼通】で見切っていた。白衣からしなやかに伸びた脚が、キミアを狙った【ゾディアックアロー】を蹴り落とす。まばたきする間の出来事に、狙われた当人は何が起きたのか分からず、一拍遅れて「きゃっ?!」と悲鳴を上げた。
「奇襲です。患者さん達と一緒に窓から離れてください」
「は、はいっ!」
 今の奇襲は間違いなく『妖精騎士団弓手』のもの。キミアに警告を遺してオリヴィアが表に飛び出せば、物陰に身を隠した妖精が次の矢をつがえようとしている。騎士とは名ばかりの非道な戦法だが、任務を最優先とする彼女らに躊躇はない。

「気付かれたか。では貴様からだ」
「甘く見るな!」
 全力疾走で迫るオリヴィアに、弓手が二度目の【ゾディアックアロー】を放つ。怒りや冷静さといった感情を奪い取る妖精の矢は、肉体的なダメージよりも場合によっては脅威だろう。だが、どちらにせよ射撃攻撃なら迎撃は可能だ。
「手は治療のために清潔しなければならないので」
「なっ……ぐはッ!!」
 卓越した功夫の脚技で矢のシャフト部を蹴り折り、鏃に触れぬまま敵の攻撃を捌ききるオリヴィア。ナース離れした身のこなしに驚愕する間もなく、追撃のつま先が敵に突き刺さった。苦悶の表情で崩れ落ちる弓手――彼女がここにいる限り、診療所に対する奇襲は全て予知めいた直感で見抜かれ、迎撃されることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エインセル・ティアシュピス
【アドリブ連携歓迎】
にゃーん!けがをなおすのはすっごくだいじだもんね!
ちりょーしさんをきずつけるわるーいやつは、ぼくがやっつけるよう!

【式神使い】!にゃんげいざーをよぶよ!
【結界術】とひかりのまほう(【属性攻撃】)でぴかーってさせて【おびき寄せ】てもらうの!
にゃんげいざーはかちかちだからゆみやなんていたくないもん!

ぼくは【指定UC】でてきさんに【範囲攻撃】しながら、みんなのけがをなおすよ!
てきさんをやっつけながら、つかれたみんなやちりょーしさんたちをかいふく(【回復力】)してあげるの!
そしたらきっとはやくたたかいがおわるようになるにゃーん!
まもるのもおてつだいするのもぜんりょくでがんばるよう!



「にゃーん! けがをなおすのはすっごくだいじだもんね!」
 戦えば誰だって怪我をする。戦争であればなおさら大勢の怪我人が出る。彼らを救うために自らを危険に晒しながら奔走する機動診療所の治療士に、エインセル・ティアシュピス(生命育む白羽の猫・f29333)は心から敬意を抱いた。
「ちりょーしさんをきずつけるわるーいやつは、ぼくがやっつけるよう!」
 子猫のように純真無垢な正義感をもって、彼は診療所に迫る『妖精騎士団弓手』と対峙する。兜の下に表情を隠し、非戦闘員の殺害という非道な任務を冷静かつ黙々と実行する彼女らは、こちらから見れば絶対に「わるもの」だった。

「きて、にゃんげいざー!」
 多勢の騎士団に立ち向かうため、エインセルは「鋼鉄猫帝ニャンゲイザー」を召喚。古代魔法帝国時代の技術で開発されたこのスーパーロボットは、みんなを守りたいという優しき意思でエインセルと呼応し、彼の使い魔として従う。
「……なんだ、あれは?」「地球人の新兵器か?」
 戦場に突如姿を現した巨大ロボットを、妖精騎士団も無視することはできまい。さらにニャンゲイザーは結界術と光の魔法で全身をピカーっと輝かせ、敵の注意を引き付ける。とにかく派手に目立つことで、診療所よりもこっちに敵をおびき寄せるつもりだ。

「……放置はできん。やるぞ」「ああ」
 得体の知れない存在への警戒心が勝り、弓手達は一斉に矢を射掛ける。星座の力を宿した彼女らの弓は、ユーベルコードを使わずとも銃器以上の殺傷力を持つ――だが、降りかかる矢の雨を浴びても、ニャンゲイザーはびくともしなかった。
「にゃんげいざーはかちかちだからゆみやなんていたくないもん!」
 自信たっぷりに胸を張るエインセルの言う通り、鋼鉄の猫帝は戦場の盾となって敵の攻撃を耐え凌ぐ。護るべきものが背後にあるから、きっとニャンゲイザーも張り切っているのだろう。幾重にも張られた結界が万華鏡のように輝く。

「にゃーん! ぼくがみんなをまもるんだ!」
 そしてエインセル自身は【白風揺蕩う白羽の猫】を発動。その身から溢れ出る浄化の波動が、白い風となって戦場に吹きすさぶ。彼が「わるいやつ」とみなした相手に、この風は容赦しない――飛んでくる矢も払い散らして、妖精騎士を吹き飛ばす。
「ッ……やってくれる……」
「この風……不思議、なんだか元気が出てくるわ」
 押し返される敵軍とは真逆の反応が、機動診療所のほうでは起こっていた。悪を浄化する白き風は、味方や治療士達には温かなそよ風となって、疲労や怪我を回復する。攻撃と治療を同時に行えるのが、このユーベルコードの利点だ。

「そしたらきっとはやくたたかいがおわるようになるにゃーん!」
 戦いが長引けばそれだけ怪我人も――死んでしまう人も増える。みんなを守るために悪者をやっつけて戦いを終わらせる、エインセルの考えていることはシンプルだ。純粋でまっすぐなその心は、凄惨な戦争における希望の風となる。
「まもるのもおてつだいするのもぜんりょくでがんばるよう!」
「ありがとう!」「助かった!」
 治療士達は感謝を伝えながら、負傷者の救護と治療に専念する。そこに妖精騎士団弓手がちょっかいをかけるのは、エインセルとニャンゲイザーが断じて許さないだろう。地球人の医療施設を潰すというデウスエクスの目論見は、既に大きく崩れ始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
リミティアさんは20歳になられたのですよね
そのお祝いに戦勝という花を添えさせていただきましょう
私は殺し屠り滅ぼすもの、防衛戦は専門ではありませんが
まあ敵を倒せばいいだけの話です

呪詛を満たしたオーラを結界として展開
空間を歪め敵の矢の軌道を逸らしつつ
早業により我が牙で手首を噛み裂き鮮血を霧として噴出
UCを使用します
いちいち相手をするのも面倒ですのでお互いに殺し合ってください
同時にこの能力は治療士キミアさんの疲労や怪我人を回復させます
本職には及びませんけれどね、ふふ

私自身も悪霊、体はエクトプラズムでできています
あとでキミアさんにエクトプラズムの上手な使い方などを教わるのもいいかもしれませんね、ふふ



「リミティアさんは20歳になられたのですよね。そのお祝いに戦勝という花を添えさせていただきましょう」
 今回の出撃を要請したグリモア猟兵と知己である黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は、彼女の誕生日を祝いつつ、微笑と共に戦場に向かう。作戦内容は救護活動中の機動診療所および心霊治療士を狙うデウスエクスの撃退、という話だったか。
「私は殺し屠り滅ぼすもの、防衛戦は専門ではありませんが、まあ敵を倒せばいいだけの話です」
 特に複雑な依頼でもないと、魅夜は呪詛を満たしたオーラを結界として周辺に展開。迫りくる『妖精騎士団弓手』を迎え撃つ体制を整える。善良な治療士や怪我人の方々に悪影響をもたらしはしないが――悪霊たる彼女の呪いが、敵に情けをかけることはない。

「結界か」「総員、射撃体制」
 不吉なオーラの気配を感じ取った妖精騎士団は、結界の手前で立ち止まると一斉に矢を放ち始めた。怒りや冷静さを奪う【ゾディアックアロー】か、それとも通常の矢か。どちらにせよお得意の遠距離攻撃で診療所を脅かす気だろう。
「勿論、やらせはしませんが」
 結界の内側に入った矢は、軌道を変えてあらぬ方向に逸れていく。強すぎる呪詛が空間をわずかに歪めているのだ。
 魅夜は依然微笑んだまま、己の牙で手首をさっと噛み裂き。噴き出した鮮血を霧状に拡散して、さらに強力な呪いを発動した。

「己の手で摘み取れ己の罪咎、我が手を下すにも価せず」
 その詠唱の意図を訳せば「いちいち相手をするのも面倒ですのでお互いに殺し合ってください」となる。【応報せよ鮮血の闇、自ら受けよ罪業の因果】――魅夜のユーベルコードは戦場全体を巻き込み、遮断も消去も不可能な真紅の闇を発生させた。
「なんだ、急に暗く……ぐッ?!」「お前達、なにをしている!」
 異変はすぐに騎士団の側に現れた。鮮血の呪詛で錯乱し、同じ陣営の味方に全力で攻撃を仕掛ける妖精が現れだしたのだ。本来の冷静さも寡黙さも無くした錯乱者の数はまたたく間に増え、血腥い同士討ちが闇の帳で繰り広げられる。

「なんだ?! 急に暗くなったぞ!」
「大丈夫です。これはきっと猟兵の方の……」
 一方の診療所のほうでも、突然真紅の闇に包まれたことで多少の混乱はあったが、それが危険な現象ではないことはすぐに周知された。むしろ魅夜のユーベルコードは、味方に対しては身体・精神の損傷および状態異常の回復作用をもたらすのだ。
「本職には及びませんけれどね、ふふ」
「そんな! すごく助かります!」
 機動診療所の職員の疲労や、治療を受けている患者の怪我を回復させれば、最終的により多くの命を救えるだろう。
 増え続ける負傷者に対して回復手段はいくらあっても足りることはない。心霊治療士キミアは深く感謝を述べ、自らも治療に専念した。

「あとでキミアさんにエクトプラズムの上手な使い方などを教わるのもいいかもしれませんね、ふふ」
 エクトプラズムで疑似肉体を作り出し、患者の外傷を塞ぐキミアの治療法を見て、魅夜はふとそんなことを考える。
 魅夜自身も悪霊であり、その体はエクトプラズムでできている。他者の肉体さえ復元するほどの精密さでそれを操れるようになれば、色々と応用がききそうだ。
「まあ、まずは現状が落ち着いてからですね」
 地球が滅亡するか否かの瀬戸際に、ゆっくり教えを請う暇はあるまい。この戦いをきっちりと勝利で終わらせるために、魅夜は血の呪詛を強める。真紅の闇の向こうからは、同士討ちを続ける妖精達の断末魔が聞こえてきていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギュスターヴ・ベルトラン
|Salut. Vous cherchez un miracle, hein《よう。奇跡をお望みかい》?
戦場にエクソシストが助けに来たぜ

――幸いなことよ、弱っている者に心を配る人は
――わざわいの日に、主はその人を助け出される

【祈り】を捧げて聖句を唱える
発動するのは遍く人々を癒す【祝福】の光だ
…まぁ、人を癒す本職の医者には遠く及ばねえが、この力の良い所は範囲でカバーできる所
きちんとした治療がその人に届くまで、この光が消えることはないから安心しな

…これそういうUCだからってのもあるが、すっげえついでみたいに敵にダメージ与えてるなぁ
おらっ、敵共は散れ散れ!治療の邪魔してんじゃねえよ!



「|Salut. Vous cherchez un miracle, hein《よう。奇跡をお望みかい?》」
 そう言って機動診療所に現れたのは、黒いカソックを着た若い神父。サングラスをかけてニヒルな笑みを浮かべた、彼の名はギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)。救援に駆けつけた猟兵にして灼滅者だ。
「戦場にエクソシストが助けに来たぜ」
「し、神父様……?」
 こちらの世界ではいわゆる悪魔祓い師というジョブはあまり一般的ではないため、名乗りに怪訝な顔をされたりもするが。地球を滅ぼそうする|神の如きもの《デウスエクス》なんぞ、言ってしまえば悪魔と同じだ。彼奴らを滅ぼし、無辜の人々を救うのが彼の務めである。
 
 ――幸いなことよ、弱っている者に心を配る人は

 ――わざわいの日に、主はその人を助け出される

 診療所の職員とベッドに寝かされた患者、そして襲来する『妖精騎士団弓手』にも聞こえる範囲で、ギュスターヴは祈りを捧げて聖句を唱える。発動するのは、あまねく人々を癒す祝福だ。その身よりあふれ出る光が、包み込むように周囲を照らす。
「痛みが引いた……」「見て、傷が!」
 その効果はすぐに目に見える形で現れ、負傷者の血が止まり、ゆっくりとだが傷が塞がっていく。エクトプラズムを利用した心霊治療士の治癒魔術ともまるで異なる、まさに奇跡としか思えない光景に、驚きの声を上げる者も多数だ。

「……まぁ、人を癒す本職の医者には遠く及ばねえが、この力の良い所は範囲でカバーできる所だ」
 自分の能力の限界と利点を、ギュスターヴは正しく把握していた。生死に関わる重症患者に対して彼の祝福は延命措置にしかならないが、その間に医師や心霊治療士が治療を済ませれば、本来ならトリアージしなければいけなかった命も救える可能性が出てくるのだ。
「きちんとした治療がその人に届くまで、この光が消えることはないから安心しな」
「あ、ありがとうございます!」「みんな、ここが踏ん張り時だぞ!」
 この救援をムダにはすまいと、キミアを筆頭に診療所の職員達は奮起。持てる技術と魔術の限りを尽くして、負傷者の治療に奔走する。たとえ戦う術は持たずとも、彼女らの表情は紛れもなく、命がけの戦場に立つ「戦士」と同じだ。

「がっ……な、なんだこれは……!」「ぐぁぁあぁ……!」
 一方、診療所の外にいた妖精騎士団弓手にも、ギュスターヴの光は及んでいた。ただし、エクソシストの祝福が彼女達にもたらすのは、癒しではなく断罪。悪しき者を灼滅する裁きの光条こそ【ジャッジメントレイ】の本質と言える。
「……これそういうユーベルコードだからってのもあるが、すっげえついでみたいに敵にダメージ与えてるなぁ」
 みたいなと言うより、まさに治療ついでに苦しんでいるデウスエクスどもを、ギュスターヴは冷ややかな目で見る。
 放っておけば診療所の治療士も患者も見境なく殺しまくっていたであろう外道どもだ。のたうち回って地を這おうが憐れだとは思うまい。

「おらっ、敵共は散れ散れ! 治療の邪魔してんじゃねえよ!」
「「ぐあぁぁぁぁッ!?!!」」
 邪魔な虫けらを払うような手つきで【ジャッジメントレイ】を浴びせるギュスターヴ。太陽の如き眩き光に灼かれ、妖精騎士達はひとり、またひとりと力尽きてゆく。こんなぞんざいな形で追い払われるとは、よもや彼女達も思っていなかっただろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
藍ちゃんくん、慰問ライブの幕開けなのでっす!
というわけで早速大声で歌って踊って注目集めておびき寄せるのでっしてー!
藍ちゃんくんが囮になって診療所の被弾を減らすだけではないのでっすよー?
悪戯好きは妖精さんだけではないのでっしてー。
藍ちゃんくん、小悪魔もいけるのでっすよー?
いつの間にか釣らてしまった弓手さん達は踊っている以上、攻撃速度は等倍のままな上に!
矢がでたらめに飛び続けるのでっす!
射撃し続けるでっすからねー。
途中で止めれないでっすよねー!
藍ちゃんくんのターンに合わせて皆様回転すると、矢は真っすぐ飛ばず四方八方飛んでいって誤射しまくりかと!
集団なのが命取りなのでっす!



「藍ちゃんくんでっすよー!」
 戦場での救護活動に奔走する機動診療所に、ハイテンションな名乗りとともに現れたのは紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)。彼の目的はもちろんここにいる治療士達を応援すること、そして敵に治療の邪魔をさせないことだ。
「藍ちゃんくん、慰問ライブの幕開けなのでっす!」
 というわけで早速彼はマイクを握り締め、戦場の真っ只中でパフォーマンスを披露する。大声で歌って踊って注目を集めれば、当然デウスエクスだっておびき寄せられて来るだろう。敵が診療所を狙っているなら、そっちよりも派手に目立ってしまえの心意気だ。

「なんだアレは? 陽動か?」「ひとまず黙らせるか」
 残念なことに『妖精騎士団弓手』は、藍の華麗なライブパフォーマンスの良さも分からない粗忽者の集まりらしい。
 油断なく弓を構え、即席ステージめがけて矢を放つ。もちろん藍だって猟兵だ、ダンスの振り付けに合わせて軽やかな動きで身を躱す。
(藍ちゃんくんが囮になって診療所の被弾を減らすだけではないのでっすよー?)
 こっちを気にしてくれるに越したことはないが、それだけで全ての攻撃を引き受けるのは難しいだろう。妖精騎士団の目的はあくまで機動診療所の破壊で、慰問ライブの妨害ではないのだから。だから、藍がパフォーマンスを披露した本当の目的は別にある。

「おい、どうした?」「いや、体が勝手に……!」
 最初に異常が現れたのは、藍のダンスの動きに照準を合わせようとしていた弓手だ。見事かつ「案外真似できそう」とも思わせる振り付けを見ているうちに、ついつい釣られて体が動いてしまい、気づけば一緒に踊りだしていたのだ。
「悪戯好きは妖精さんだけではないのでっしてー。藍ちゃんくん、小悪魔もいけるのでっすよー?」
 これが【藍ちゃんくんと愉快な観客達!】の力。踊りながらでは弓の狙いも定められず、【妖精の悪戯】を万全にするために足を止めることもできない。いくら矢が無限に供給されるとは言っても、攻撃速度は等倍のままな上、でたらめな方向に飛び続けるばかりだ。

「くそっ、これでは……」「あ、当てられない……!」
 ひとりの弓手から始まった異変は他の者にも伝染し、やがて騎士団全体が藍のパフォーマンスに合わせて踊りだす。
 藍のようなプロでなければ、ダンスしながら戦うなんて無茶な話である。いっそ射撃を止めたほうがまともに動けるだろうが――。
「射撃し続けるでっすからねー。途中で止めれないでっすよねー!」
 一度発動した【妖精の悪戯】が中断不可能であることも見越して、藍はこのユーベルコードを選んだのだ。ステージの上で彼がくるりとターンすれば、敵も一緒に回転し、合わせて放たれる矢はまっすぐに飛ばす、四方八方に散らばって誤射を引き起こす。

「集団なのが命取りなのでっす!」
「ぐわぁッ!?」「こ、こんなことで……!」
 歌って踊るだけの芸人だと、彼のことを甘く見たのが運の尽き。診療所に襲来した妖精騎士団は、自らの矢を受けて息絶えるという、己の非道に見合った末路を辿ることとなる。悲鳴を上げながら踊り狂う敵の前で、藍は最高のパフォーマンスを魅せ続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

幸・鳳琴
ここが己の生まれた世界ではなくとも。
人々を護る拳を振るうはケルベロスの務め
さぁ、診療所を守り抜きましょうか!

積極的に前へ出て、心霊治療士の方々を護り
拳と蹴り、そして黄龍三節棍を振るいましょう

前衛の自分に構わず後ろの心霊治療士を狙うなら
時に攻撃からかばうことも厭わず、
盾としての役割を果たします

UCは己の後ろの方々への癒しとなる《幸家・伏龍》!
治療行為への手伝いとなれば幸いですね

相手は弓矢に長けた相手
拳が届かないなら、
気功砲でのレーザー射撃を撃ち込み遠間から掃討ですよ

思い出しますね、強敵との闘いや鉄火場では
ディフェンダーをよくやったものです
誰一人、犠牲とさせない
皆で笑顔で勝利を迎えましょう、必ず!



「ここが己の生まれた世界ではなくとも。人々を護る拳を振るうはケルベロスの務め」
 ブレイドの世界から訪れた降魔拳士の少女、幸・鳳琴(精霊翼の龍拳士・f44998)にとってはこの星も己が守るべき世界に違いはなかった。デウスエクスとの総力戦、|全世界決戦体制《ケルベロス・ウォー》の発令――耳に馴染みのある言葉が、彼女の闘志を震わせる。
「さぁ、診療所を守り抜きましょうか!」
 機動診療所に迫るはエインヘリアル『妖精騎士団弓手』部隊。心霊治療士達を護るため、鳳琴は積極的に前に出る。
 敵の矢面に立つ危険などいつものことだ。愛用の「黄龍三節棍」を構える勇姿からは、炎の如きオーラが立ち上る。

「あくまで診療所を守る気か」「だが、我々は任務を遂行するのみ」
 寡黙な妖精騎士達は、あくまで命令に従い淡々と任務をこなす。何名かが鳳琴に矢を放つ一方で、他の者は【フェアリーテイル】を自分に撃ち込む。行動速度と知覚力を強化したうえで取るのは曲射の体勢――こちらの頭越しに診療所を直接攻撃する気だ。
「やらせません!」
 敵の狙いを察した鳳琴は跳び上がり、三節棍と蹴りで心霊治療士を狙った矢を撃ち落とす。必要とあらば身を挺して彼女らをかばうことも厭わぬ覚悟だ。紅蓮のオーラを羽のように散らしながら、華麗に空中で戦うさまは鳳凰が如し。

「そうだろうな」「だが、いつまで保つ?」
 診療所を攻撃すれば鳳琴がかばうことは弓手側も想定内だろう。だからこそ、彼女達は優先的に診療所を攻撃する。
 熟達した妖精騎士からの斉射を完璧に対処することはできまい。捌ききれなかった矢は鳳琴の腕や肩に突き刺さる。
「思い出しますね、強敵との闘いや鉄火場では、ディフェンダーをよくやったものです」
 だが、それでも鳳琴は盾としての役割を放棄しようとはしなかった。味方を守りながら戦うのは慣れたもの、相手が手強くても諦める理由にはならない。手負いとなっても彼女の闘気は弱まるどころか、より激しく燃え盛るのだった。

「折れることなき、心をもって――」
 鳳琴の身からあふれたオーラは、彼女の後方にいる者達の心を鼓舞し、傷を癒やす【幸家・伏龍】となる。あくまで自分の身ではなく診療所の護りを優先したユーベルコード。ディフェンダーとしての彼女の覚悟と矜持が見て取れる。
「治療行為への手伝いとなれば幸いですね」
「感謝します……!」
 その覚悟に必ずや報いんと、心霊治療士キミアは負傷者の治療に全力を尽くす。戦い方は違えども、彼女達は同じ戦場で背中を預けあう仲間だ。命を救うために秘伝の術技をふるう彼女に、鳳琴もある種の信頼と安心感を覚えていた。

「では、私もそろそろ反撃といきましょう」
 引き続き三節棍で矢を打ち払いながら、鳳琴は拳から閃光を放つ。相手は弓矢に長けた妖精騎士、拳が届かないならこちらも飛び道具を使わせてもらうまで――気功法により収束された闘気のレーザーは、妖精の矢にも劣らぬ威力だ。
「ぐっ?!」「がは……っ!」
 気に撃ち抜かれた妖精騎士が倒れ、射撃陣形が崩れる。この機を逃さず鳳琴は前に出て、得意の肉弾戦に持ち込む。
 紅翼の闘魂を宿した拳と蹴り、そして黄龍三節棍による怒涛の乱舞が、これまでの鬱憤を晴らすかのように敵をなぎ倒していく。

「誰一人、犠牲とさせない。皆で笑顔で勝利を迎えましょう、必ず!」
「はいっ!!」
 友朋を鼓舞する鳳琴の叫びに、機動診療所の治療士達も応える。伏龍のオーラに包まれた彼女達の想いはひとつだ。
 全員が一丸となって、この未曾有の危機を乗り越える。過酷な激戦の最中にあっても、一同の心には希望があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
僕は、回復のお手伝いをします

念のため攻撃の防衛手段として
高速詠唱、多重詠唱で水、氷魔法の範囲攻撃
敵を凍結させることによる動き封じと同時に
矢の軌道を遮るように氷の壁を生成しておくことで攻撃が来ないように
万一壊されそうになっても音で気付けるから
その前に対処出来るよう警戒

そのうえで僕は指定UCを発動
薔薇の香りで多人数を一気に回復させることで
キミアさんの負担を少しでも減らせたら

また、治療は必ずしも肉体的な面だけじゃないからね
安心させ、希望を持ってもらうための声掛けも忘れない
心と体、同時に救ってこその治療だもんね
勿論、頑張ってくれているキミアさん自身も

大丈夫
ここは必ず僕が…ううん、僕達が守るから



「僕は、回復のお手伝いをします」
 猟兵とデウスエクスが激戦を繰り広げられるなか、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は癒し手として機動診療所に協力することにした。各戦線で増え続ける負傷者に対して、医師や心霊治療士の数は限られている――回復ができる人材は一人でも多い方がいいはずだ。
「貴様もメディックか」「ならば……なにっ」
「来ないでください」
 弓矢を向けようとする『妖精騎士団弓手』には、高速多重詠唱から水と氷の魔法を放つ。これで敵を凍結させて動きを封じつつ、氷の壁を生成して矢の軌道を遮る作戦だ。突破できないわけではないが、治療の時間稼ぎにはなるはず。

「癒しと希望、そして幸福を……この小瓶に詰められた全ての可能性をあなた達に」
 氷壁が壊される音には警戒を払いつつ、澪は【癒しと希望の薔薇の芳香】を発動。取り出した香水の小瓶を開けば、薔薇の香りがふわりと診療所に立ち込める。この香気には清浄なる魔力が宿っており、周囲の味方の傷を癒やすのだ。
「これでキミアさんの負担を少しでも減らせたら」
「わあ……すごく助かります、ええ!」
 多人数を一気に回復させられるのが、このユーベルコードの利点だ。比較的軽傷な者はこれで治し、キミアは重傷者の治療に専念する。そうすれば最終的により多くの人を救えるだろう。キミア含む診療所の職員一同も、大いに感謝していた。

(また、治療は必ずしも肉体的な面だけじゃないからね)
 患者を安心させ、希望を持ってもらうための声掛けも澪は忘れない。ただでさえここは戦場の只中なのだ、治療中も患者が受けるストレスは相当のものだろう。体が弱っている時は心も弱り、生きる意思が弱まれば体も衰弱していく。
「大丈夫。ここは必ず僕が……ううん、僕達が守るから」
「う、うん……」
 ひとりひとり患者の手をそっと握り、優しく微笑みながら声をかける。血と硝煙の匂いをぬぐう薔薇の香りも、不安を和らげるのに一役買うだろう。彼がやって来てから、診療所の空気も患者達の表情も、少し明るくなった気がする。

「心と体、同時に救ってこその治療だもんね」
「ええ、その通りです」
 患者のメンタルケアの重要性は、もちろんキミア達も理解している。だからこそ、彼の協力はとても有り難かった。
 周囲に張った氷の壁も、まだ破られる気配はなさそうだ。安全が確保されているうちに、彼らは怪我人の治療と心の平穏に務める。
「勿論、頑張ってくれているキミアさん自身もだよ」
「……ふふ。ありがとうございます」
 医者の不養生という言葉もあるが、治療に携わる者こそ時に深く心を病みやすい。過酷な仕事に疲れてはいないかと気遣う澪に、キミアは笑顔で応じた。彼女達の心から希望はまだ消えていない――必ず全員を救うのだという決意が、その胸には灯っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菜花・深月
此処が無くなったら本当に不味い!
周りと自身に念動力で強化した結界術を展開してから敵を迎撃する

凍れ!
敵のUCに対しては自身もUCを発動しつつ弾道計算をしながら耐性無視し確定で凍結状態にする必中の月矢を放ち矢に向かって放つ
ついでにバリアを味方全員に展開し更に防御を固める

今だ!星海獄…アンダー・カレンド!
発動UCの効果でUC星海獄・アンダー・カレンドを発動し敵のいる場所へ星の渦潮を放つ

…ここはうちのもう一つの故郷なんだから!
と弓矢を構えながら戦闘態勢をとる



「此処が無くなったら本当に不味い!」
 戦争中の負傷者を救助・治療する機動診療所の重要性は、菜花・深月(止まった時間が再び動き出す時・f41809)も勿論理解していた。もし心霊治療士キミアをはじめとする医師達が殺されれば、彼女らが救うはずだった大勢の生命も失われる。
「絶対に護らなきゃ!」
 診療所に急行した深月は周囲と自身に念動力で強化した結界術を展開し、防備を万全にしてから敵を迎撃する。相手は射撃戦に優れた『妖精騎士団弓手』。非戦闘員の殺害という非道すら黙々と遂行する、非情なるデウスエクス達だ。

「護りは固いな」「だが任務に変更はない」
 兜の下で感情の籠もらぬ言葉を紡ぎ、妖精騎士は矢を射る。星座の力を宿した【ゾディアックアロー】は、当たれば感情を奪う危険なユーベルコードであり、それを放つ弓手の技量も巧み。だが、弓矢の腕前なら深月も負けていない。
「凍れ!」
 弾道計算しながら流星デザインの「月光弓」を構え、放つは【氷刻矢雨の月矢】。キラキラと白銀の軌跡を描きながら飛んでいった矢は、必ず目標に命中し「耐性無視かつ確定の凍結状態」という強力なバッドステータスを付与する。

「これがうちのとっておき!」
「くっ……!」
 弓を引くための腕を凍らされた妖精騎士団弓手が、顔をしかめて後退する。直後に深月はバリアを展開して、味方全員の防御をさらに強化。後方にいる心霊治療士や負傷者にもその効果は及ぶため、これで機動診療所の守りは完璧だ。
「今だ! 星海獄……アンダー・カレンド!」
 そのまま深月は追撃のユーベルコード【星海獄・アンダー・カレンド】を発動。大地から突如として発生した巨大な渦潮が、敵部隊をまとめて呑み込んだ。大渦の中で無数の星の光がまたたくさまは、まるで銀河が地上に降りてきたかのようだ。

「「――……ッ!!!?」」
 星の渦潮に巻き込まれた妖精騎士は、慌てて浮上しようともがくが、水中用の装備もない彼女達には不可能な話だ。
 凍結状態では満足に泳ぐこともできず、頼みの弓矢も失って、彼女達の姿は海の藻屑と消える。よもや地上でこんな死に方をするとは思ってもいなかっただろう。
「まだまだっ!」
 渦潮に呑まれなかった妖精騎士へ、深月は再び【氷刻矢雨の月矢】を射掛ける。ここで逃せば連中はまた機動診療所を襲うか、他の戦場に増援として現れるだろう。地球の民を、そして地球そのものを滅ぼそうとするデウスエクスは、1人たりとも許さない。

「……ここはうちのもう一つの故郷なんだから!」
 遺伝子番号を失い労働奴隷に落とされ、身ひとつで迷い込んだ自分を、この地球の人々は優しく受け入れてくれた。
 生まれた世界は違えども、この星を守りたいという気持ちは他のケルベロスと変わらない。今こそ恩を返す時だと、深月は闘志を奮い立たせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メイティナ・ヴァーンフォルカ
落ち着いて行こうぜ、メイティナさん
【防衛戦ですね…!】
鷲の被り物を装着し看板を上げつつ裕士と共に戦闘態勢をとる


【歌え、私の名の元に!】
私はUCを発動し己と味方に星導覚醒の光を放ち身体能力を上げる

【当たらなければ】
どうって事はねえ!
敵のUCは妖精の矢は心眼と気配感知で見つつ推敵の矢を弾道計算し推力移動で距離を詰め怪力で腕力を強化しアナザー・ベインでシャドウパリィし矢を落とす
裕士は素早く炎属性の弾丸を放つ


天誅ぅぅぅ!
裕士はUCの効果でUCクレセント・スラッシャー・天誅を発動し敵を蹴りとアッパーで攻撃する

【…遅い!】
私もアナザー・ベインで敵を斬り裂いた



「落ち着いて行こうぜ、メイティナさん」
【防衛戦ですね……!】
 鷲の被り物を装着した少女が、仮面を被ったガンマンの男と看板で会話をする。少女の名はメイティナ・ヴァーンフォルカ(狂人と勘違いされた神がクソゲーハンターとなる話・f41948)、男の名は裕士。機動診療所の防衛に駆けつけた援軍である。
【歌え、私の名の元に!】
 そう書かれた看板をメイティナが掲げると【星導覚醒・破滅の歌劇場】が発動。自分と裕士を含めた味方全員に星導覚醒の光を放ち、身体能力を強化する。戦争規模の集団戦ともなれば、この手のユーベルコードが戦況に及ぼす影響は大きい。

「旗色は悪いが」「せめて1人でも治療士は始末する」
 こうした状況でも『妖精騎士団弓手』の態度は淡々としたもので、任務遂行のため【ゾディアックアロー】を放つ。
 目的は診療所の破壊および護衛の撃破。どこまでも非情に徹する精神と、熟達した射撃技術は依然として脅威だが。
【当たらなければ】
「どうって事はねえ!」
 メイティナは心眼で矢の軌道を計算し、攻撃の気配を察知すれば推力移動で距離を詰め、終断神剣「アナザー・ベイン」で矢を斬り落とす。星導覚醒の光で強化していれば、この程度はどうってことはない。裕士も拳銃から炎の弾丸を素早く放ち、矢を次々に撃ち落としていく。

「天誅ぅぅぅ!」
「がふッ?!」
 敵の一斉射を凌ぎきったら、裕士は反撃の【クレセント・スラッシャー・天誅】を発動。マッハ5を超える極超音速蹴を敵に叩き込み、追撃のアッパーで殴り飛ばす。弓手の動体視力でも追いきれない一瞬の連撃に、妖精騎士は斃れた。
「強いぞ」「全員でかかれ」
 それを見た残りの騎士達が、一斉に弓矢を裕士に向ける。この距離での同時攻撃なら、いくら素早くても外さない。
 しかし、囲まれた裕士のほうに焦りの様子はなかった。連中が警戒すべき存在は、もう1人いることを忘れている。

【……遅い!】
 星導覚醒の光を身にまとい、神速で斬り込んできたのはメイティナ。片手で看板を掲げたまま、もう片方の手でアナザー・ベインを振るう。彼女の「世界を変える意思」によって神剣に至ったという無双の一振りは、デウスエクスにもその切れ味を存分に発揮した。
「「ぐぁ……ッ!?!」」
 斬り裂かれた妖精騎士団弓手の断末魔が戦場に響く。結局、彼女達は任務を果たすことなく戦場に力尽きた。機動診療所を巡る戦いもいよいよ決着が迫るなか、メイティナと裕士の二名は油断なく残敵の掃討に尽力するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・久遠
メディックは銀誓館でも戦線を支える大事なポジション
負傷者を守るためにも一肌脱ぎましょか

敵は多数の弓手……ふむ
なら少し離れた所から、攻撃と妨害と治療をいっぺんにやれば無視は出来んやろ
UCで銀誓館名物・生命賛歌擬きを披露しましょ
メガリス破壊効果の、言語化出来ないあの歌をスキャットで
光属性の歌声にピカッと【目潰し】効果もおまけして
【楽器演奏+音響攻撃】で伴奏も添えましょ
あとは【道術】で木行の風を起こして操れば、流石に診療所に矢は向かわんやろ
その代わりボクがモテモテになるけど【見切り】ます

ボクの得意なポジションはこの世界にはないけど
単騎の防衛や時間稼ぎは十八番やねんよ
絶対診療所には行かせんから覚悟しぃ



「メディックは銀誓館でも戦線を支える大事なポジション。負傷者を守るためにも一肌脱ぎましょか」
 世界や時代によって戦略の形は変わるが、医療設備や救護耐性が重視されない戦場はない。銀の雨が降る時代を戦った劉・久遠(迷宮組曲・f44175)も当然理解していた。大勢の命を預かる診療所を、みすみす敵に陥とさせはしない。
「地球人の癒し手はまだ健在か」「誰からでもいい。少しでも損害を与えろ」
 すでに大きな損害を受けた『妖精騎士団弓手』は、標的を診療所の職員に絞りつつあった。心霊治療士キミアのようなヒーラーを1人でも殺せば、実質的に数百の命を奪うことに等しい。相手が非戦闘員だろうが躊躇は一切ない、非情の戦法であった。

「敵は多数の弓手……ふむ。なら少し離れた所から、攻撃と妨害と治療をいっぺんにやれば無視は出来んやろ」
 そんな連中の殺意を診療所から引き剥がすために、久遠は【A Psalm of Life】を発動し、銀誓館名物『生命賛歌』を披露する。本来はメガリスという神秘の塊を壊すことで初めて発動できる能力だが、彼のユーベルコードはそれを限定的に再現することができた。
「謳えや謳え、銀の雨降る世界に生きる我らが生命の喜びを。その無限の輝きを!」
 言語化出来ないあの歌を、記憶を頼りにスキャットで模倣し、生命の輝きを乗せた歌声は光を放つ。その歌を聞いた全ての味方は、身の内に湧き上がる力を感じるだろう。重傷を負った者でさえ再び立ち上がる力を得、死に瀕するはずの傷からも1度は生還する――これが、かつて銀誓館学園の能力者達を幾度となく救った力だ。

(まあ、ボクのはあくまで生命賛歌"擬き"やけど。それでも十分やろ)
 スラッシュギター「Labyrinth Suite」で伴奏も添えて、戦場全体に歌声を届かせる久遠。光り輝く生命賛歌は診療所にいる負傷者達を癒やす一方で、敵である妖精騎士団弓手には目潰しと音響攻撃の役目も果たしていた。いくら劣化版と言っても、回復力も攻撃力もけっして低くはない。
「まずいな。これ以上歌わせるな」「はっ!」
 戦場全体への攻撃と回復を兼任されたままでは、デウスエクス側に勝ち目はない。現状で最優先で始末すべき癒し手として、久遠を認識した妖精達は一斉に【ゾディアックアロー】を放つ。これで彼の思惑通り、診療所への直接攻撃は防げたわけだ。

「その代わりボクがモテモテになるけどな」
 飛来する数多の矢を、久遠は冷静に見切りつつ道術を使う。木行の術により巻き起こる風は、彼の身を守るように吹き荒れ、矢を散らす。どんな効果を持つ妖精の矢だろうと、当たらなければ意味はない。ついでに流れ矢のカバーもすれば、流石にもう診療所に矢は向かわないだろう。
「ボクの得意なポジションはこの世界にはないけど、単騎の防衛や時間稼ぎは十八番やねんよ」
 集中攻撃を受けてもまだ余裕のある口ぶりから、その発言が虚勢ではないことが分かる。風を操りながら歌と演奏を続ければ、風に乗った生命賛歌擬きはより遠くまで届く。絶える事なき命の煌めきは、戦況を盤石のものとしていた。

「絶対診療所には行かせんから覚悟しぃ」
「くそっ……!」
 寡黙だった妖精騎士の口から、思わず悪態が漏れる。もはや、この状況で彼女らが1人でも地球人の命を奪うことは不可能だった。久遠の生命賛歌擬きから受けたダメージも含め、猟兵達との戦闘により部隊もすでに壊滅状態である。
「……撤退だ」
 そしてついに彼女らは任務続行を諦め、残存兵力を纏めて退いていく。無論、猟兵の追撃を受けてどれだけの騎士が生き延びるかは分からないが――妖精騎士団弓手の撤退によって、機動診療所の防衛戦は猟兵達の勝利で幕を閉じた。



 戦場にて戦士の命を繋ぐ、メディックの|決戦配備《ポジション》の要がひとつを守り抜いた猟兵達。
 ケルベロス・ウォーはまだ始まったばかりながら、緒戦を制した地球人類の士気は高まっていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年05月07日


挿絵イラスト