ケルベロス・ウォー①〜セントール・プリティウォー!
「みんな、聞いたかしら? ケルベロスディバイドで戦争が始まったみたいなの!」
ふわりと揺らめく色とりどりのシャボン玉の奥から、グリモア猟兵・ユメカ・ドリーミィは猟兵たちに語り掛ける。
「戦線はいくつかあるけれど、今回あたしが予知できたのは『クラッシャー』の決戦配備につながる戦場よ。ここを突破できれば『黄道神ゾディアック』を攻略できる可能性があるみたい。……まあ、いちいち選ぶのも面倒だから、全員ぶっ倒す!でもいいと思うけどね!」
実も蓋もねえが実際猟兵はこれまでずっとそれでやってきたので仕方がない。とにかく、「何か知らないけど喧嘩売りましたね? 高値買取中です! サービスで全滅をプレゼントします!!」というのが猟兵なのだから。
「で。今回の戦場なんだけど、早くも味方の妖精種族、「セントール」の皆さんたちが、『さあケルベロス賞のゲートが開きました各馬一斉に綺麗なスタート!』みたいな感じでデウスエクスの群れにツッコんじゃってるみたいなのね」
ユメカは困ったような顔をして柳眉をよせた。
「でもそれだと、いわゆる戦力の逐次投入って一番ダメなパターンよね。このままではセントールさんたちが各個撃破されて危険がピンチだわ、と思ったらそうでもなくて」
ユメカはすうっと息を吸い込み、改めて猟兵たちを見回した。
「なんと敵もセントール型のデウスエクスだったの! その結果何が起きたかっていうと……なんかレースが始まっちゃったのよ。どうなってるの?」
どうと言われても困るが、お互いにウマ型種族の本能ともいうべきか、互いに「先頭の景色は譲らない!」と意地になって、戦闘よりも誰が一番早いかのレースの様相を呈してしまっているようだ。
「ということで……みんなには、この爆走してる敵味方のセントールさんたちに何とか追い付いて合流してほしいの。上手く追い付けたら味方のセントールさんたちと力を合わせて敵セントールを殲滅してね」
ユメカはグリモアを輝かせ、競馬場……もとい、戦場への扉を開く。
猟兵たちはすでにすんごい速さで競争しているセントールたちにどうやって追い付くかを工夫し、その上で味方セントールと力を合わせて敵を撃破してほしい。
「もし勝ったら、その後で味方セントールの皆さんとライブとかやってもいいわよ。やりたいなら」
やりたいならね。
天樹
こんにちは、天樹です。
久しぶりの戦争、血が湧きたちますね!
ということでこちらは戦争シナリオとなり、一章で完結し、戦争全体に影響を及ぼします。
プレイングボーナスは『味方セントールと連携し、まとまった敵群に範囲攻撃を叩き込む』です。この要素が含まれるプレイングは有利な判定となりますのでご一考ください。セントールたちはすごい速さでなんか敵と競争を始めちゃってますので、まずそこに追いつくことが必要となりますが。
では皆様のご参加を心よりお待ちいたします。
第1章 集団戦
『セントールナイト』
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POW : 背蹄脚
【後ろ足による強烈な蹴り】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : ランスインパクト
【ランスを構えた状態で行う高速の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【味方】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ : エクスプローダー
【ランス】が命中した部位に【オーラ】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
イラスト:8mix
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
イヌイ・イヌバシリ
イエス!敵っていうかもう動いてるモン皆ぶっ潰す勢いで参りましょ…あ、全員動いてるんでありますね?
えーとまず味方に追いついた上で協力して敵と戦って…やることが多い!
しかしこのイヌイ考えましたよ!追いくんじゃない、同じ速さになればいいじゃないと!
えーとつまりですね、こうUCで味方の皆様と自分にぱぱーっと健やか属性をエンチャント!140キロくらいあればさすがに敵にもどうにかなると信じて!そんで敵に追いついたらそこを捕縛能力と五感共有の協力プレイでガツン!速さ!力!勝利!
いやー勝利は格別でありますなぁ─えっこの流れでライブあるんですか!?全力疾走の後で戦ってるのに歌って踊る!?え…!?
「わかりました、つまりこうでありますな? 動いてるモンみんなぶっ潰す!」
なるほどわかりやすい。いやわかっちゃっていいのかなそれ。
「だってでありますね!」
と、イヌイ・イヌバシリ(飴色の弾丸・f43704)はプンスカとして眼前の戦場を睨みつける。
「どれがどれだかわかんねーですよ! みんな同じに見えるであります! 困ってしまって鳴きたくなるでありますよ!」
然り、この戦場においては、敵も味方もすべてセントール。それが種々に乱れ、入り交じり、ごっちゃになって、しかも皆して同じ方向を向き全力疾走のレースを繰り広げているというカオスな状況なのだ! どうやって識別すればいいというのか!
「……っていうか、考えてみれば、あれ全部スピード違反じゃねーですか? いかんです、お巡りさんとしてはビシッと取り締まらないと!」
イヌイは俄然憤然、使命感に燃え上がる。地域の皆さんの安心安全を守るお巡りさん(自称)としては、スピード違反のパラリラな軍団は例え味方であっても見逃すわけにはいかぬ! かくしてイヌイは全力で駆けだした、セントールたちに追いつくために。
「あーあー、こちらは犬のおまわりさんです! そこのセントールの皆さん、止まるであります! 切符切るであります! 止まるですよ、止まれってば!」
ホイッスルをピーピー鳴らし、拡声器で目いっぱいの大声を張り上げ呼びかけるイヌイだったが、セントールたちは止まらない。別にイヌイの呼びかけを故意に無視しているわけではなく、レースに夢中になって耳に入らないのだ!
「ええい、走りに夢中になって周囲が見えなくなるとはなんたることでありましょう。こうなればこちらもスピードアップ! 止まりなさいそこのセントールの皆さーん!!!」
20㎞、50㎞、80㎞! イヌイの健脚がスピードに乗った時、彼女の固有スキルが……じゃなく、ユーベルコードが発動する! なんかこう一瞬別空間に躍り出たイヌイがカッコいいポーズをビシッと決めてダッシュしていくようなCGエフェクトが繰り広げられたとイメージしていただきたい!
「張り切って元気いっぱいに行くでありますよ! 『|御用だわっしょい《ゴーゴーケンリョク》』!!!」
ばびゅーん! 風を切り虚空を引き裂いたその速度は、おお、なんと140㎞/hを超えた! 最後尾から追いかけたはずのイヌイだったが砂塵を蹴立ててみるまにセントールの馬群に追いつき、凄まじい追い込みを見せ、集団をまとめてぶち抜いていく! その峻烈な速さは天空に閃く稲妻のごとく、セントールたちを置き去りにして栄光へとまっしぐらだ!
「ふはははははは! 何人も自分の前は走らせねえであります!!!」
……取り締まりは?
「速さ! 力! 勝利!! トップは貰ったでありますぅぅぅぅぅぅ!!!!」
……そう、イヌイはわんこ。犬であるゆえに、やっぱり走り出したらその楽しさに夢中になってしまうサガなのだった……。
だが凄まじい勢いの大逆転劇を見せ、大差で先頭に立ったイヌイの姿は、セントールたちに夢と感動を与えずにはおかなかった。走りにすべてを捧げたものたちにとって、イヌイの疾走する姿はまさにスーパーヒロインそのものであったのだ。
もはや勝負あった。誰しも今のイヌイには適うまい。敵も味方も、セント-ルたちは万雷の拍手でイヌイを讃える。そう、力を尽くしたレースのあとにはただ友情だけしか残らないのだ。さあ、勝者を言祝ぐウイニングライブの始まりだ!
「ありがとう、みなさん、ありがとう! いやー、勝利は格別でありますなあ。じゃあ、ライブのために、妖精種族の皆さんとデウスエクスの皆さんできれいに整列してほしいであります!」
うんうん、と素直に列を作り並ぶセントールたちに、イヌイはキランと目を輝かせる。
「あーなるほど、そっちが妖精の皆さんで……で、そっちがデウスエクスでありますな? やっと見分けがついたであります! ──では妖精の皆さん、こいつらブッ飛ばすであります!!!」
マジか今お祝いしてあげたのに!? 友情は!? 友情はどうしたの!?って顔になるデウスエクスたち。ひどくない?
「デウスエクスは侵略してきた悪党なのは確かなので仕方ないであります! お巡りさんとして、悪は許さないのであります! かかれー!!」
まあそれもそっかあ。
ということで、イヌイと妖精セントール軍団は力を合わせデウスエクスどもを張り倒し、見事勝利を飾ったのだった。
ケルベロスウォー第1レース確定、1位イヌイ・イヌバシリ(正義のおまわりさん勝ち)!
大成功
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クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【SPD判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪
UCによる高速飛翔で味方のセントール達に合流したら、【大軍指揮/団体行動/集団戦術】で敵をまとめる様に誘導してもらって、まとまったところに【エネルギー弾】の【弾幕】による【範囲攻撃】を叩き込むよ♪
ワタシとセントール達の【連携攻撃】で敵をやっつけよう!
UCは『ワタシの飛翔型上級悪魔兵変形』
攻撃対象数5倍の【飛翔・攻撃能力特化型デモノイドロード】形態に変形して飛翔状態になって戦うね♪
レベル×100km/hでの飛翔だから、すぐに追いつける筈だよ♪
「おー、これはなかなかの壮観だね♪」
クローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)は、壮烈な勢いで大地を駆け抜けていくセントールの大群の圧倒的な迫力を感嘆した表情で打ち眺める。
「鍛え上げられた肉体の躍動、血と汗を振り絞り全力で一瞬の勝負に挑む誇り高き戦士たち……うんうん、素敵♪ 何事によらず、肉体の極限まで力いっぱい振り絞ることは気持ちいいものね★」
クローネの述懐の通り、セントールたちは味方の招請種族も敵であるデウスエクスたちも今は戦争を度外視し、己の肉体の限界に挑戦する激しいレースの真っ最中だ。
……いやまあ、大事な戦争忘れんなよ?というツッコミはあってしかるべきではあるが! それでも、一瞬の煌めきにすべてを懸けて走り抜けるセントールたちの生きざまはそれはそれで魅力的ではあった。
「できればクローネちゃんもみんなの中に混じって思う存分肉体を躍らせたい★ 激しい汗を流して情熱を滾らせたい★ ……そんな気持ちがないわけじゃないけど♪」
なんか微妙にえちい感じがしなくもない、というか、クローネ、心なしか頬を上気させ息が荒くなっているような気がする!
「ま、それは次の機会かな♪ 今はとりあえず妖精さんたちに力を貸してデウスエクスをやっつけよっか★」
とりあえず自制したらしいクローネはおもむろに精神を集中し、その体の深奥から湧き出る深遠なる力を汲み上げていく。セントールたちの群れはその驚くべき脚力を存分に生かし、既に遥か彼方を疾駆している、だが問題なし。クローネに蒼天斬り裂き大気を貫く秘奥義あり!
「いくよ、『|ワタシの飛翔型上級悪魔兵変形《ブラック・デモノイドロード・スカイフォーム》★』
見よ、漆黒に艶めくクローネの流麗にして妖艶な身体が異形なる姿へと変幻していく!
これこそが彼女の能力、大いなる悪魔兵へと姿を変え天にはばたき空を駆けぬけるスカイフォームの完成だ!
「ごーっ★」
一颯! 漆黒の翼をはためかせたクローネは風を友とし陽の光を煌めかせて天へ舞う!
音速さえも遥かに超えたその超高速は、セントールたちすら一瞬のうちに抜き去って彼らの上空へとたちまちのうちにたどり着く。
「セントールのみんなー、走りたくなるのはわかるけど、とりあえずデウスエクスやっつけてからまた走ろうよ♪」
上空から降り注ぐのどやかなクローネの言葉はまさに天の声か。彼女ののんびりとした声は、しかしその響きの中に不思議と、人々を惹き付け、魅了するような蠱惑的な音色となって届くのだ。あたかも彼女が天性の団体指導者であり、生まれながらの大軍の指揮者であると示すかのように。
「はっ!! そ、そうだった。みんな、あの猟兵殿の言うとおりだ。今はデウスエクスどもを倒すのが先だ!」「うむ、みんな、猟兵殿に従おう!」
セントールたちは我に返り、一斉に自らの使命を反芻する!
「世界を護るためデウスエクスを倒すのだ!」「クローネ・マックローネの旗の元に集え!! うおおおおお!!!!」
……なんかちょっと度を越してテンション上がってるような気もするが。まあ真っ先に戦場に乗り込んしまったり、かと思えば敵とレースを始めてしまったりするような種族である、ある意味では単純……こほん、いやその、真っ直ぐな気質のみなさんなのだ。
「わお、情熱的★ よぉしみんな、敵を囲い込むよ♪ 両翼から包み込むようにデウスエクスを追い込んでいってね♪」
クローネの指示の下、一糸乱れぬ動きでセントールたちはデウスエクスのセントールどもを包囲していく。
デウスエクスたちも慌ててランスを用いた突進攻撃を行ってはみるが、それは本来集団での連携によって最も威力を見せつけるべきもの。千々に乱れた散発的な攻撃では十分な威力を発揮し得ず、クローネの指揮の下、完全に統率の取れた妖精セントールたちには及ばない。
「よぉし、今だね♪ みんな、散会して★ とどめ、いっくよー★」
一斉に潮が引くかのようにセントールたちは陣を解き、同時!
クローネの身が恒星のごとく光輝いたかと思うと、天空の彼方より幾千幾万の流星が降り注ぐように、無数の光球が豪嵐となってデウスエクスどもに落ちかかったのだ! 圧倒的なまでの破壊力を持って、クローネの放ったエネルギーの雨は侵略者たちを殲滅していったのだった。
「みんな、ありがとう♪」
空中から手を振るクローネに、セントールたちは歓喜で応える。
「うおおおおお!!! クローネ! クローネ! 我らが指導者!!!」
その熱狂に、さすがのクローネも苦笑を漏らさざるを得ない。
「あー、お馬さんって群れの生き物だっけ♪ はは、ちょおっとばかり、指揮が効きすぎちゃったかな♪」
ケルベロスウォー第2レース確定、1位クローネ・マックローネ(偉大なるリーダー勝ち)!
大成功
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ファルコ・アロー
はぁー!?
何のんきにレースなんざやってんですか!?
てめーらの世界が滅びるかどうかじゃねーんですか!
それに……ボクを差し置いて速さ比べたぁ生意気なんですよ!
そんな訳でチェンジ・ファルコン!
全速力で飛んでそっこー追い付いてやるですよ!
やいセントールども!ナイトじゃねー方です!
どうせレースするなら勝ちやがれです!
そんで横に広がって敵を通せんぼするですよ!
限界の奴らは下がって次のレースまで鍛えてやがれです!
これなら味方集団の速度で敵軍をまとめた上でコントロールできるはずです。
後はビーム砲連射の範囲攻撃で牽制して、全速力の体当たりで一網打尽にするだけですよ!
おらおら、味方は上手く避けろです!
「はぁー!? 何のんきにレースなんざやってんですか!? てめーらの世界が滅びるかどうかじゃねーんですか!」
そうだそうだ! ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)が鋭く激しく言うとおりだ!
おそるべき侵略者、デウスエクスの群れが世界を脅かしているというのに、妖精種族セントールたちは敵セントールとのレースに興じているという! そんな場合か! まったくファルコの爪の垢でも煎じて飲むべきである!
「だいたい、ボクを差し置いて速さ比べたぁ生意気なんですよ!」
違った! ファルコもそっち側だった!
「えっだって速さっていったらボクでしょ? あと凄いっていったらボクでしょ? あとそれから速くて凄いっていったらボクでしょ?」
そうかな……そうかも……。
「ってことで全世界的にボクの速くて凄いカッコよさを見せつけてやるですよ! もちろん世界はとっくにボクの速さと凄さを知っているはずですけどね! ボク成分はナンボあってもいいですからね!!」
そうかな……そうかも……いや本当にそうか?
「そうなんです! ではそんな訳で……チェェェェェンジ・ファルコンンンンッツ!!!」!」
ギャキィ! ファルコが身構えたと同時、その身を構成する超合金レンブランタイトが構造を変化させ、新たな姿へと生まれ変わらせる!それこそは天空しろしめす大いなる翼、白銀なる大空の王者、ファルコンと化したファルコだ!
「全速力で飛んでそっこー追い付いてやるですよ! うおおおおお!」
虚空を斬り裂き風を貫いて、今こそファルコは飛翔する! 爆音すら置き去りにした超音速、いや亜光速の世界に突入したファルコにとってセントールなどもはや敵ではない!
「何がケルベロス賞ですか! 今からこのレースはファルコカップと名を変えるですよ! そして出場者はボク! 優勝者もこのボク! すべての栄光はボクのためにィィィ!!!!」
……なんか目的変わってた!?
そう、滅茶苦茶自負心の強いファルコにとって、他者の用意したレースなど興味はない! ファルコのファルコによるファルコのためのレースがあるのみなのだ!
どばびゅん! 空間をぶち抜くほどの勢いで飛行したファルコは一瞬にして何だあれ……的な顔をしているセントールたちを眼下に、圧倒的な勝利を飾ったのだ! ファルコカップ優勝ファルコ!
「しゃああああ!! 見たですかボクのボク的な大ボク勝利を!!!」
ただ、それでは何の問題の解決にもなっていないのだが。
「あれ? そっか、あのデウスエクスたちをやっつけないといけねーでしたね……しょうがない」
我に返ったファルコはやむを得ずゴール地点からUターン、再びセントールの群れへと取って返す。
「やいセントールども! ナイトじゃねー方です! ナイトじゃないと! なんてね!」
……うわあ。
みたいな静寂が一瞬広まり、期せずして衆目がファルコに集まる。
「くっ、な、何ですかその目は! だが注目されたので良しとするです! いいですかてめーら! 一列横隊を組むですよ! そう、これこそ古の兵法に言う鶴翼の陣ってやつです!」
なんとまさかこの場で兵法を使うとは恐るべきファルコ! もっとも本来の鶴翼の陣とは敵を包み込み包囲殲滅するためのものなのだが、このレース場において、広がった横列の目的はただひとつしかありえない。
「そう、敵を通せんぼするですよ!!!」
いや良いのかそれ!? レースで!?
「どうせレースするなら勝ちやがれです! 勝つためには手段は選ばねーのです!」
そうかな……そうかも……。
何となく勢いで流されたセントールたちはファルコの指揮に従い一斉に横列展開! デウスエクスたちの前方を遮断した!
これにはデウスエクスたちもまともに走ることはできず、自然に纏まった一団と化してしまう。その隙を見逃すファルコではない!
「今です! ビーム砲爆裂斉射ああああ!!!」
小型のビッグバンかとさえ思えるほどの閃光が天空に輝いたと見えた次の瞬間、ファルコの装備したビーム砲が大気を焦がし焼き尽くすほどの勢いで轟然と乱射された! それはあたかも裁きの業火が天から降り注ぐ審判の日を思わせる地獄絵図! デウスエクスたちは見る間にビーム砲の餌食となって薙ぎ倒されていく! ファルコたちの完全勝利だ!
「ふはははは! ボクは常に絶対勝利に輝く運命の元に生まれたですからね!!」
でもいったんゴールしてから逆走したよね?
「……えっ?」
逆走したのでケルベロス賞は失格です。
「……え、いや、あれえええ!!!???? ……でもまあいいや、ファルコカップはボクの優勝ですからね!!」
ケルベロス賞第3レース確定、ファルコ・アロー失格。
……でもファルコカップ優勝、ファルコ・アロー(勝利はボクのためにある勝ち)!!
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
わかりました三千円貸してくだされ
追っかけるの面倒でござるな…なのでこう
!!!!!!!!!!
これ?地面に【!】を縦横にぶっ放してコース作りの最中ですぞ
こういうのはちゃんとしたコースを決めた方が決着が解りやすいでござるからな
後はあのウマ共をコースまで誘導してやればいいんだな
オラッUAV発進、速そうな奴を追っかけるのがあいつらの習性だから飛ばせば着いてくるだろ
やるならちゃんとコースで決着つけなさいお前ら、芝2400m左回りで勝負だ
という訳でゲートインさせて出走でござる
パーパパパーパパパー(ドンドン)パパパパー
いけーっ
えっ範囲…攻撃…?ゴール後適当に!をぶつけとけばええか
「わかりました、三千円貸してくだされ」
「誰が何をいつどこで何故どうやって!??」
そりゃあセントールたちも5W1Hのお手本のような返答を返さざるを得ないというものだ。だって、彼らは今全力全開決死かつ必死な勢いで疾走している真っ只中なのだから。それなのにいきなり真横に現れて三千円貸してとか言われた日にはどうすればいいのだろう。
え、誰がって、そりゃ、そんなことするのはエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)くらいじゃん?
「だってセントール氏たちはレースしてるんでござろう?」
「そうだよ!? 全力で走ってんだよ!? なのになんでその『真横』にいるんだよ!?」
「まあそれはさしおいてでござるな、レースといえば三千円借りるものなんでござる。これはもう仕方ないね、世界の法則だからね。法則は守らないといけないからね。だから三千円」
「どっから突っ込んでいいかわかんねえ!? とりあえずスタートもしてないのに並走してる時点でお前が一番世界の法則守ってないからね!」
「なんだよ―世界の法則とか細かいこと気にしちゃってさー。仕方ないでござる、いったんスタート位置に戻りますかな」
ということでリプレイはここから改めてスタートである。
はるか彼方に砂塵を蹴り立て疾駆していくセントールたちの群れを手をかざして眺めつつ、エドゥアルトは眉根を寄せてつぶやいた。
「追っかけるの面倒でござるな……こっからパンジャンドラムでも転がしたら、うまくストライクとれねーでござるかね。全員まとめてすこーんと」
冗談ではなく本気でやりかねないのがエドゥアルトだが、それではシナリオ達成条件を満たさないということで一応自制したようだ。少し悩んだ末に。悩むな。
「ま、どうせレースするんならでござるな、きちんとコース作った方がいいでござるからなあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!I」
きぃぃぃん。
いきなり絶叫したルーデルの大蛮声に、セント-ルたちは思わず耳を抑えて横転側転大転倒!! なにしろ馬は超音波さえ聞き分けられるほど、めっちゃ耳がいいいのだ!
「な……なんでいきなり叫ぶんだ……どっかおかしいのかお前!? いやむしろおかしくないところがどこかあるのかお前!?」
フラフラになりながら起き上がったセントールたちの頭上から……おお! 流星のような勢いで凄まじく、空気を引き裂き落ちてきた!
何が、と問うならば。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!I
が、である。
わからない?
ならばもう一度説明しよう。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!I
が、である。
「いや分からんわ!!」
敵味方を問わずセントールたちの心が今一つになる! わけわからねえという一事の前に! だがエドゥアルトは髭だらけの口元をニヤリと歪ませた。
「よく見てほしいでござるなあ、ほら、できているでござろう? 上から落ちてきた『!』によって、競馬のコースが!」
「な。何ィィィッ!?」
思わず振り返るセントールたちの目前にあったものは!
「……『!』、全部転がってるけど」
「チッ、さすがにかっこよく刺さってくれなかったでござるか。仕方ねえ。セントール氏たちも手伝うでござる、これを使ってコースを作るんでござるよ。こういうのはちゃんとしたコースを決めた方が決着が解りやすいでござるからな」
「まあ……そういわれればそうだが。仕方がない、手伝うか……」
かくしてセントールたちは敵味方共に仲良くわからないが『!』を拾い上げてサクサクと地面に突き刺していく。
「……俺たち何やってんだろうな?」
そんな人生的な問いを脳裏に浮かべながら。
それはともかくついにレース場は完成した! 芝2400m左回り、東京モデルだ! ……ケルンとかハンブルグじゃないんだ。
「よぉしじゃあ改めてゲートに入るでござるよ! はいトランペット! ぷっぷくぷー!!」
出走のファンファーレが鳴り響くと共にゲートが開き、各場一斉にスタート!
その優駿たちの後ろ姿を眺めながら、エドゥアルトはおもむろに取り出すのだった。
Iを。
なんて?
いや、Iを。
「さっき『!』と一緒に『I』も出しておいたでござる。Iは!と違って出っ張りがあるでござるから、ロープとか引っかけやすいんですなあ……そぉい!」
ぐいと引っ張ったと同時、埋設されていたロープが次々と地面から浮きあがる! レース場全体に仕掛けられていたIに巻き付いていたロープにより、レース場全体が巨大な罠と化す! 妖精種族のセントールはそれを身軽に飛び越えていくが、デウスエクスであるセントールナイトたちは、おお、なんたることか。身に纏った鎧の重みにより、ロープを飛び越えられぬ!
かくて……どんがらがっしゃん! ナイトたちは一斉にひっくり返ったのだった!
「よし一網打尽!!!」
見事デウスエクスたちを討ち取ったエドゥアルトの前に、妖精セントールたちがわらわらと群がる。
「なあに礼はいらねえですぞ。するべきことをしたまででござるからな」
「いやアブねえだろあんな罠仕掛けて! 慰謝料だ慰謝料、三千円!!」
「あれえ!!??」
ケルベロス賞第4レース確定、転倒事故により勝負なし!
大成功
🔵🔵🔵
レン・ランフォード
人格:れん
レースだってたろー…馬どもに教えてやろう…
一番早いのは|うちの子《たろー》だってね…!
(とりあえず思いっきり走れそうなので喜んでる白狼の霊)
UCを使って実体化・巨大化したたろーに乗ってえんとりー…
走るのは完全にたろーに任せる…自由に走りなたろー…
れんがするのは妨害に対する妨害…
槍でついてきたら伸ばしたオーガースラッシャーでカウンター…
回避はたろーの野生の勘で避けるけど
拙いと思ったら変わり身丸太君2号に攻撃を受けてもらうよ
勝負が終わったら一吠え…目、覚めた?
じゃあやろうか…と味方側と協力して敵にグレネードで範囲攻撃叩き込むよ…
ライブはたろーだんす…できない?
「代わりに歌います?」
蓮…
「ふうん、レースだって、たろー……」
訥々とした口調ながらもそのうちに秘める意気軒高な様子を隠すことなく、レン・ランフォード(|近接忍術師《ニンジャフォーサー》・f00762)は傍らに控える巨大な獣に話しかける。それこそは純白の雪のような毛並みを靡かせた勇猛な狼だ。敵に対しては狂猛な霊狼・数珠丸太郎だが、主、というより家族に近いレンに対しては純粋な忠誠と愛情を示す。
いや、レンというより、『れん』というべきか。レンの中には三人の人格が共存しており、今表に出ているのはそのうちの一人、『れん』なのだから。
『まあ、真正面きってのチャンバラじゃねえんなら俺は引っ込んでるわ。若干血が滾るけどな』
『私でもいいですが、れんがやる気満々みたいですからね』
残りの二人の人格、錬と蓮がいうように、れんはきゅっと拳を握り締め、その静かな瞳の奥に傲然と燃え上がる炎を宿しているかのようだ! 気合に満ちた体からは青白い闘気が吹き上がるようにさえ見える! 実際コワイ!
「ふふふ……馬どもに教えてやろう……一番早いのは|うちの子《たろー》だってね……!」
れんの形相は、既に遥か彼方を駆け抜けているセントールたちの群れにいささかも後れを取る気なし! そうだ、それは自信ではない、確信なのだ! たろーならばこの勝負に負けるはずはない! 見ているがいい馬ども!
『セントールだけどな』
馬などにたろーは負けない! 馬なんかに!! 馬ごときに!!!
『半分はお味方ですよ……』
──それはそれとして、尻尾をパタパタ振ってひたすら上機嫌そうな太郎なのだった。
『……数珠丸、ただ思いっきり走れそうだから嬉しいだけだなこれ』
『まあそれはそれでいいんじゃないでしょうか……』
身体の中で錬と蓮が見守る中、かくしてれんを背に乗せた太郎は勇躍疾駆、レース場へと白い風となって駆けこんでいく!
「自由に走りな、たろー……!」
れんの声に応じ、太郎は大地を蹴立て空間を引き裂くかのごとき勢いで爆走する。おお、大気が圧縮され爆発的に弾け飛んでいくかのような超高速を見よ、太郎の白い体躯は残像さえ残さぬほどのスピードで、あっという間にセントールたちの最後尾へと追い付いたではないか!
「何っ!? こいつ、どこから!? 速いっ!?」
驚愕の色を浮かべたのは、最後尾近くを走っていた、重装備のセントールだ。
「ええと……こっちは敵の馬だっけ、味方の馬だっけ……?」
『鎧を着ている方は敵ですよ!』
『あとセントールな』
「じゃあやっつける……!」
言葉も終わらぬうちに翻った一刃は翠緑なる閃光の剣オーガスラッシャー! その煌めきが尾を引くところ、デウスエクスのセントールナイトは槍を奮う間もないままに、水もたまらず斬り捨てられる!
どどっ、と馬群が揺れた。明らかに異質な、そして速さという意味でも強さという意味でも恐るべき参加者が現れたことによって!
「わるい馬は……ぜんぶ馬刺しにする……!」
『うん、セントールな』
『セントール刺しってあるんでしょうか……』
恐慌に陥る敵軍の中を、れんと太郎はまっしぐらに駆け抜けていったのだった。
純白の疾風はその輝きだけで目を射竦める。そしてその身に纏った薫風もまた。
雄々しく馬群を突破した霊狼は瞠目するセントールたちを尻目に悠然と先頭に立った。その結果は、単に太郎の能力が秀でていたというだけではないだろう。セントールたちのように誰かと争うためのレースではなく、ただひたすら自由に、ひたすら楽しく駆け抜けた無垢なる狼の心ゆえに手にした栄誉であったかもしれぬ。
WOOOOOOO………!!
楽しかったー! というように、太郎は獣王たるに相応しい凛とした遠吠えを木霊させた。
その声に、あっという間に戦闘を取られたことに呆然としていたセントールたちははっと我を取り戻す。そうだ、今なすべきは速さを競うことではない、世界を護ることではなかったか!
「……いやそれいまさらかー……でも、目、覚めたね? ……じゃあ、やろうか……わるい馬やっつけるの」
『……まあもう馬でいいや……』
『諦めちゃった!?』
かくしてれんとセントールたちはデウスエクスたちに猛攻を叩き込み、これを殲滅せしめたのだった。
「じゃあウイニングライブはたろーだんす……できない?」
『あっじゃあ代わりに歌います? 歌いましょうか? いやもう仕方ないですからね、仕方なく歌いましょうか!?』
『……錬、蓮押さえといて』
ケルベロス賞第5レース確定、1位、数珠丸太郎(やっぱりうちの子が一番勝ち)!
大成功
🔵🔵🔵
有坂・紗良
アドリブ絡み諸々歓迎
ウッソ、こんな時にレースなんかやってる場合なんスか!?
しかも時期的に…いや今は割といい頃合いか…
さて、ボクの足でアレに追いつくのは到底無理な訳で…
となれば『サメボード』でGO!ケルベロス賞に殴り込みっス!
こいつの小回りなら馬群の中を抜けて全力でカッ飛ばせば間に合わない事はない…はず
そんで連中は固まってると、ならレース場をドッカンドッカン耕してラリー会場に変えちゃいましょうかね
セントールさんたちの背中を借りれば爆撃地点も確認しやすそうっスね、ちょっと乗せてもらってもいいっスか?
さーてレース最終盤、トップに出るのはボクかセントールさんか…見ものっスねぇ!
「なるほど、セントール……確かに凄いスピードっス。いやまあこんな時にレースなんかやってる場合なんスかって気はするっスけどね!」
有坂・紗良(天性のトリガーハッピー人間・f42661)は凄まじい勢いで戦場を駆けまわる敵味方入り乱れたセントールたちを慨嘆交じりに眺めた。
確かに風のように疾走するセントールたちの脚力は瞠目すべきものがある。圧倒的なそのスピードの前には、なまじの生物では、いやマシンを使っても追い抜くことはおろか、追いつくことさえ容易にはできまい。ならばどうするか。
「サメっス!」
……なんて?
「相手がウマならこっちはサメっス! 地上のスプリンターが馬ならば! 地上のスプリンターはサメってわけっス!」
地上二回言ってない?
「だってサメは海でも地上でも空でも宇宙でもどこにもいるっスからね!」
ウンソウダネ。
「ということで、相手が人馬一体のセントールなら、こっちは人鮫一体のサメトールっスよ!!」
ギャキィ! ということで颯爽と紗良が取り出したのはサメ型のマイクロボードだ! 小型と侮ることなかれ、サメボードはサメの性能を遺憾なく反映した、サメよりもさらにサメっており最早サメそのものといっても過言でないほどにサメなのだ! その行動領域は海を征き空を飛び地上を走る! だってそれがサメだから!
「よおおし、GO! ケルベロス賞に殴り込みっス!」
まさしく大海原の白浪を背びれで勇壮に斬り裂くサメのように、ボードを駆った紗良は最高速でレース場に突進する!
「直線での最高速はさすがにセントールさんたちの方が上っスかね……逆に言えばこっちの武器は」
と、紗良はサメボードのウイングを軽快に操作しつつ分析する。
「小回りと機動性。なら、……それを使えるようにすればいいだけっスね!」
ニヤリと唇に笑みを浮かべた紗良は精神を集中し一気に開放、ユーベルコードの発動だ!
「『|特攻小隊出撃《スウォームチームロールアウト》』っス!!!」
彼女の詠唱が響くところ、無数のドローン部隊が虚空を圧して出現した! その機体に搭載された高性能爆薬は一体でさえ恐るべき威力を備えるのだ。
「まずは……右っス!!」
そのドローンの一群を、紗良は馬群の右側に突っ込ませた! 轟爆! 凄まじい爆炎と共に、おお、見よ! 戦場に大穴が開いたではないか! これにはさすがにセントールたちも大きくコースを曲げて走り続けざるを得ない! いや走るのやめなよ? とか言ってはいけない! だってそれがセントールだから!
その馬群のカーブを利し……紗良のサメボードは一気にインを突き最後尾から突き抜け中盤まで達した!
「次は左っス! そしてまた右!」
コースの左側が爆発! 次は右側が轟焔! そのたびにセントールの一群は右に左に流れを変える!
そう、これこそが紗良の作戦であった。ドローンたちによる爆撃で、彼女は、コース自体を作り変えているのだ。直線メインのセントールに有利なルートから、大きくランダムに蛇行した機動性有意なコースへと!
中盤から先頭集団へ、サメボードは大海を泳ぎ渡るがごとくに馬群をかき分け驀進する。
そしてついに、最後のドローンが大爆発を起こし作り出した巨大な陥穽を避け、セントール群は最後のコーナーを大きく曲がった! 他の大地はすでにボコボコに穴が開き、目の前の空き地が自動的にゴールとなることは誰の目にも明らかだ! 同時、とうとう紗良のサメボードは巧みなコーナリングで集団を追い抜き、先頭に立つことに成功した!
だが他のセントールたちも負けじと追いすがる。
「くっ、さすがにしぶといっスね! こっちはもうドローン使い切っちゃったから、これ以上コースを作り変えてコントロールできないっスし……! あとはひたすら突っ走るしか!」
ほんの僅かに紗良が先を行くが、後続との差はごく僅かだ!
駆け抜けるか、紗良!
追い抜くか、セントール!
両者もつれ合うように……今、ゴールだ! 結果は写真判定に持ち越された! 写真撮ってんの誰だよとか言ってはいけない!
結果は……。
勝者、紗良!!
ほんの僅かの差だが、サメボードの尖った鼻が先にゴールに達していたのだ!
「やったー! やっぱりサメは地上にて最強っス!!」
なお、気が付いたらデウスマキナたちはドローン爆弾で全滅していたのだった。
鎧着てて重かったからね。
ケルベロス賞第6レース確定、1位、有坂・紗良(地上最速のサメ勝ち)!
大成功
🔵🔵🔵
ギュスターヴ・ベルトラン
経緯は聞いた上で言うが、なんでレースを…?
思わず頭を抱えたが、気を取り直して【祈り】を捧げる
追いつくために、走るぞ|Galgalim《魔導バイク》!
飛べるバイクだし追いつけるだろうが、走りながら味方へ【声を届かせる】
そこの先に始めてる面子!
今更だろうが、レースならファンファーレが必要だろ?
盛大に鳴らすから、聞こえたら敵から離れとけよ
鳴らし始めたら、オレも止められねえんでな
UC発動――|L'heure de la fin. Repens-toi.《終末の時だ。悔い改めろ》
鳴り響くのは、世界の終わりみてぇなドでかい一発!
急な音に敵が怯んだならば…後は進行方向とその周りに喇叭の音を届けるだけ
「なるほどな、そうか、ふむ、理解した。話は良くわかったぜ」
ギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)は深く頷き、聡明なる知性で理解を示すと、改めてその口を開いた。
「……だからってなんでそうなるんだ!?」
理解と納得は違うからね、仕方ないね。
ギュスターヴのサングラスの奥の瞳が見据えるものは、敵と味方のセントールたちが一団一軍となって激しい地響きを上げ凄まじい砂塵を蹴立てて爆走疾駆しているという訳の分からない光景であった。
セントールの本能ってそういうものだから……走り出したら止まらないから……と、まあ理解はできるとは言え、ギュスターヴは頭を抱えざるを得ない! 今それやってる場合かよ!? とツッコみたくなる気持ちは大いに共感できようというものだ!
「そもそもこんな場所で一番とか決めようとするんじゃねえよ。競馬といえばわが祖国フランスの偉大なる凱旋門賞が世界最高峰だろうが!!」
あ、そっちの方向だった。いやまあ確かにおっしゃる通りですが。
「……いやセントールが凱旋門賞に出られるかどうかは知らねえけどよ! まあそれは後回しにするとして」
ふう、とギュスターヴは息をつき、気持ちを切り替えて改めて顔を上げる。何もかも、自らに課せられた務めを果たしてからのことだ!
「主よ導き給え……よし、走るぞ|Galgalim《魔導バイク》!」
ガオン!!! 荒々しくも雄々しきエンジンの咆哮を響かせたギュスターヴの鋼の馬、すなわち魔導バイクGalgalimが大地を蹴り、轟然と烈風を従えて、今、疾走を開始する!
出し惜しみはない、最初からフルスロットルだ! 大気の引き裂かれる悲鳴すら、ギュスターヴの耳に届く前にはるか後方へと置き捨てられる。
最前までは遥か彼方に豆粒のようにしか見えていなかったセントールたちの群れが、見る間に大きく視界に捉えられていく。魔導バイクの激走は天空を駆け抜け風を友とし、空間を引き裂いて吠え猛る!
「よお、そこの先に始めてる面子!」
セントールの一団に追いつきながら、ギュスターヴは鋭く声を飛ばす。
「今更だろうが、レースならファンファーレがあったほうがいいだろ? テンション上がるしな!」
「んっ? それがどうしたというんだ!」
怒鳴り返すセントールに、ギュスターヴは言い放つ。
「今から盛大に鳴らしてやるから、聞こえたら敵から離れとけよ! なんたって――鳴らし始めたら、オレも止められねえんでな!」
その言葉の真の意味を知るはずもなく、されどその言葉に宿る戦慄すべき意図を間違いなく悟って、妖精セントールたちは表情をこわばらせ、さっと道を開けた。前に見えるは重厚にして荘厳な鎧を身に纏った騎士たるデウスエクス……セントールナイトたちだ。
その暗示的な光景を目にし、ギュスターヴはサングラスの奥の目を微かに細めた。
「……やれやれ、『喇叭』の鳴り響く戦場に『騎士』が現れるたぁ、なんてぇめぐりあわせだ。『蒼褪めた』セントールがいねえのがせめてもの救いだな……」
一瞬苦く笑み、それでもギュスターヴは己の任務を遂行する。
「――L'heure de la fin. Repens-toi.……終末の時だ。悔い改めろ!!」
號然――!
世界はそこに主の御業をもって打ち立てられ、主の御心を持って終焉を告げられん。
悠久なる時の果て、久遠なる祝福のときが到来したことを示すかのごとく、断罪と審判の音色は高らかに鳴り響く!
凛冽なる楽奏は、邪なるものに終末をもたらす神聖なる音曲となって天地をしろしめす!
「――この世の国は我らの主とそのメシアのものとなった。主は世々限りなく統治される……『|黙示録の喇叭吹き《トロンペット・ドゥ・ラポカリプス》』!!!」
もとよりいと高き御方の御業をただびとなる身が真似られようはずもない、それでもギュスターヴの放った力の波動は世界を揺るがし天と大地を翻転せしむに不足なし!
見よ、戦場の大地に破局的に穿たれた大穴は、かわしきれなかった罪深きデウスエクスたちを次々と奈落の底へと飲み込んでいく。かろうじてかわし得たものどもも、第二の、第三の喇叭が鳴り響くたびに崩落する大地の底へと、ついには送り込まれることを免れ得ようか!
僅かに残されたデウスエクスを、ギュスターヴと妖精セントールたちは集団で仕留め、この戦場に浄化の時をもたらしたのだった。
口々にギュスターヴを讃えるセントールたちに、彼はぶっきらぼうに言い放つ。
「いいかお前ら、忘れんな。凱旋門賞が世界一なんだからな?」
ケルベロス賞第7レース確定、1位ギュスターヴ・ベルトラン(ロンシャンで待ってるぜ勝ち)!
大成功
🔵🔵🔵
ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!
ちなみに私は超目立ちたがり屋!
であれば私の次の行動、わかりますよね!?
そう、敵のセントールの皆さんを追い抜いて私の方が早いと高らかに煽る!
UC【醜悪!邪王穢澱烙印槍】なら
味方のセントールさんたちに見つめてもらって力をためれば
あっというまに追い抜けるでしょう!
そして煽る!
そうして怒りの視線を頂戴しながら敵の皆さんを惹き付け
イイ感じにまとまったところに『ブライトホーリーランス』をぴかーっと光らせ
うおっまぶし!したところを味方のセントールの皆さんと一緒に包囲殲滅しちゃいます!
ワルですねー!
「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!……もしもーし? 聞いてますかーみなさーん!? わーたーしーはー!! だーてげほっげほっ!!」
これはいけない! ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)の高らかな宣言がいつものようには通用せぬ!
それもそのはずであった、なぜならば、聞いてくれるはずの聴衆が今はいない、というか、はるか向こうの彼方を突っ走っているのだから!
そう、セントールとセントールナイトたちはウマ族の本能のまま、最高最速を決めるレースに全身全霊を懸けて戦場を走り抜けている真っ最中。とてもダーティの言葉を聞いてくれるような状態ではない!
「むむむー、これはいけません。何とかして目立たなくては! そう、あのレ-スに参加してトップに立てばきっと目立ちます……」
と。
そこまで考えて、しかしダーティははたと思い悩む。
「……私とすれば目立てればいいのですよね……トップに立つことが目的ではなくて。そうです、手段と目的を取り違えてはいけませんでした!!」
いや目的はデウスエクスたちをやっつけることなんだけど、その時点で目的がどっか行っちゃってない?
「フッ……ならば、こうです!」
聞いちゃいねえダーティは恐るべきワルな計画を実行に移したのである!
「うおおおお!! 俺こそが最速! 俺こそが先頭に立つんだあああ!!」
凄まじい勢いで激闘を繰り広げているセントールたち。だが、その視界の片隅に、ふとよぎったものがある。
「む? なんだ……?」
思わずちらりと横を見るセントールたちが見つけたものは。
「とおおおおおおお!!!」
なんかとんでもない方向にあっち行ったりこっち行ったりと爆走……いや、迷走している謎の女性の姿であった!
「な、なんだあれ!?」
「一緒に競争してるわけでもなく……なんか変な方向にいったり……またこっち来たり!? 何してんだ!?」
「なんか怖い! 怖いよう!!」
おお、セントールの皆さんはその意図も目的もわからぬトンチキな行動の前に怯え上がってパニック寸前! だが、もちろん、その謎の女性こそがダーティに他ならなかったのだ!
「ふふふ。競馬中継とかで時々見ます。コースを外れて一人で明後日の方向に行ってしまう馬を! そして、そんな馬を人々は放っておけません! 絶対に注目するのです! つまり! 注目されたければ『一緒に競争する』のではなく!『わけわかんない所を走る』ことこそが正解なのです!!」
な、なんてワルなんだ! デタラメに走ることであえて注目を浴びようとは!
だがまさにそれこそが正解だ。何しろ、「見て」貰わなければダーティは真の力を発揮し得ないのだから。
「ふふふ、見ましたね!? 私の姿を見ましたね!? 今です!『醜悪!|邪王穢澱烙印槍《ジャオウアイデンラクインソウ》』!!」
「見られる」ことでダーティの身には爆発的に魔力が一気に増大! 膨れ上がったエネルギーを瞬間的に凄絶に放射し、一条の赤紫の光の矢と化してダーティはまっしぐらに飛翔した!
……どっか別の方向へ!
「え、ええええ!???」
「俺、てっきりあのスピードでこのレースに勝つ気でいるのかと……」
「ち、違うのか!?一体どこに行ったんだ!?」
「き、気になる……あの速さでどこへ……!?」
これこそワルの隙を生じぬ二段構え! ダーティはあえてわけわかんない方向へ飛んでいくことで……。
「「「「追っかけてみようぜ!!」」」」
見事にセントールの群れを誘導したのだ! 速さに惹かれるセントールの習性を利用して!
「ふふふふふ! 私を追いかけてくるということは! 自然に私が先頭になっているということです!」
おお、ダーティは『始まっているレースに勝つ』のではなく、『自分が既に先頭になっているレース自体を作り上げてしまった』のだ! まさにこれは時代のKINGに相応しい大衆操作!
そして十分に自分を注目させたところで・……。
「イイ感じにまとまりましたね! 今です、『ブライトホーリーランス』!」
新たな太陽が現出したかと思えるほどの眩い煌めきが虚空に展開した!
思わず視界を失ったセントールたちのうち、鎧を着こんだ重装騎兵たちがバランスを失い次々と転倒する。それこそがデウスエクスのセントールナイトどもだ。鎧の重みゆえ、一度コケると彼らは起き上がることが至難!
「今です皆さん、やっつけるのです!!」
ダーティの号令の下、妖精セントールたちはジタバタもがいているデウスエクスのセントールナイトどもをフルボッコにしたのだった。
「ふふふ、見事に目立てましたね! 目的達成です!」
いやだから目的はデウスエクスを……そっちも達成してるからいっかあ。
ケルベロス賞第8レース、レース消滅のため無効
ただしゲイズコレクション賞確定、1位、ダーティ・ゲイズコレクター(いつでも配下募集中です勝ち)!
大成功
🔵🔵🔵
アレフ・フール
機神搭乗
いや何をやってるのだ奴等は!?
「あー速さに拘りあるみたいだな…俺の故郷のジャパニアの叡智皇もそう言うところあったっけ…」
【戦闘知識】
全知・超克発動
敵とセントールの状況把握
後はコースと追い付くための最短ルートも解析(念の為)
UC発動
超高速で飛びながら追い付き
「俺も速さには自信はあるぜー!」
【二回攻撃・グラップル・貫通攻撃・重力攻撃】
セントール達と連携して並走しながら魔剣で連続斬撃や拳を叩き込み
【属性攻撃・砲撃】
砲撃兵装より火炎弾をを敵群に叩き込みながら
重力球を発生させて真ん中に叩き込み圧縮
ブラックホールを発生させてそのまま敵群を圧潰させる!
重力獄へと沈むが良い!
この後はライヴをしてみる
『あー、奴ら、速さに拘りあるみたいだな……思い出すぜ、俺の故郷のジャパニアの叡智皇もそういうところあったっけ……』
「うむ、そうだな。誰でもそういうところはあるものよな。……って納得するか!」
感慨深げに合成音声を発する相棒たる機神アレウスに、アレフ・フール(愚者・f40806)のツッコミが鋭く飛ぶ!
「何をやっておるのだ奴等は!?」
アレフの指すものは大地の彼方に砂塵を上げて爆走する一団の馬群、いや、セントールの大集団だ。味方の妖精セントールとデウスエクスのセントールナイト、共に頂点を譲れない二つの集団が出会ってしまったからには是非もなし。いざや決着をつけん、とばかりに両者一斉に走り出す、ただひたすらに栄光を目指し、全霊を懸けすべてを捨てて! なんたる雄々しき疾走者の魂の輝きか!
「いい感じっぽく表現すればなんでもスルーされるもってのではないぞ!?」
『だからよマスター。譲れないものはあるってことさ』
「いや譲れ! 今は譲っておけ! 世界の危機なのじゃからとりあえず今は譲ってもらわんと困るわ!」
『HAHAHAHA! 俺に怒鳴られても困っちまうぜマスター!』
「肩を大袈裟に竦めて陽気にカラ笑いをするな、陽気なオモシロアメリカ人枠かお前は。そしてわしはそんなオモシロ枠に振り回される頑固爺さんポジションか」
『……マスター意外にハリウッドアクション映画とか見てる系?』
「見てはおらぬが自然に知識が入ってくるのだ。何しろ……」
アレフの漆黒の瞳が深く輝きを増す。その奥底に秘めた無窮の知識の泉から神秘なる叡智が滾々と湧き出でるがごとくに。そう、それこそはアレフのユーベルコード、|全知・超克《カンゼンナルケンジャノエイチ》!
「戦闘に関する知識ならすべてこの身に宿るのだからな」
『そしてハリウッドアクション映画といえば戦闘のお手本みたいなもの。だからわかっちゃってるわけか。なるほど繋がったぜHAHAHAHA』
「だからそのオモシロ枠やめいというのに。……とにかくも、奴らに追いつくぞ!」
『了解だ。俺も速さには自信はあるぜー!』
鮮烈なる衝撃波が虚空を引き裂き、機神アレウスは天空の覇者のごとくに風に乗り宙を懸ける! 爆風が一条の筋を引き、飛翔する鋼の翼の航跡を示して天に刻まれる。アレウスは飛ぶ、まっしぐらに怒涛の如く走り続けるセントールの一群に追いつくために!
『だがマスター、奴らは走るのに夢中だ! 連携して戦うにも目を覚まさせてやる必要があるぜ!』
「うむ、軽く横っ面を張ってやるとするか! ……効果をコントロールし、軽減した重力弾を放ってな!」
『なるほどそいつはいい! ケツを蹴り上げてやるぜ!!』
アレフの指示の下、アレウスはセントールたちに対し軽い威力の重力弾を連射した。軽いとは言えどもその威力は侮りがたく、思いっきりどやしつけられたかのごときインパクトがセントールたちを襲う!
「うわっ! なんだ!?」「はっ、俺たちは何をしてたんだ……?」
はっと我に返った様子のセントールたちに、アレフは意気軒昂に呼びかける。
「セントールたちよ、騎兵隊の到着だ! 我に続けい!」
『あいつらの方が騎兵っぽいがな! ってかマスターの戦闘知識、西部劇までチェックしてたのかい!』
高らかに進軍ラッパが鳴り響くかにさえ思える勢いで、アレフは妖精セントールたちに的確に指示を下し、デウスエクスたちを追い詰めていく。セントールたちがデウスエクスの陣形を崩し、そこへ躍りかかるアレフとアレウスが次々と敵を叩き伏せていくのだ。
剣閃が舞い鉄拳が唸る、それはあたかもカンフー映画のように!
そして紅蓮の火炎弾が天を焦がす、スーパーヒーロー映画のように!
『……マスターの映画知識スゲーな……』
時は熟し時は満ちた。今こそ、最大最強の一撃を見舞う時だ!
「とどめだ! アレウスよ、お前の力を見せて見よ!」
『任せろマスター! 全部ぶっ壊してやるぜ!』
「重力獄へと沈むが良い──『|機神重撃拳《アレウス・アーツ》』」ッッ!!!」
人機の大いなる意思が一つに重なった時、終末を呼ぶ漆黒の破局が天空より現れる。それこそはあらゆるものを飲み込み光さえも封じ込める絶対の結末、暗黒劫洞の恐るべき来襲! すなわち超重力の墓場、ブラックホールの再現だ!
悲鳴すらも時空の果てへと吸い込まれ、デウスエクスたちはここに一兵たりとも逃げること能わず、完全にして完璧に消滅という終焉を迎えたのだった。
勝利を迎えたセントールたちはアレフとアレウスを大喝采で迎える。アレフもそれに手を振って応じ、ウキウキとした顔で小さな体を躍動させた。
「フッ、なんだか、ハッピーエンドのラストシーンに相応しい、はいてんしょんなロックが流れてきそうだのう! よし、いっちょうわしの踊りを見せてやるか!」
『……完全にハリウッド映画脳だなマスター……ま、いいけどな、HAHAHA!!』
ケルベロス賞最終レース確定、1位、アレフ・フール(映画って本当にいいものですよね勝ち)!!
大成功
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