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UDCアースの謎

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「まず最初に言っておくけれど、『UDCアース』には二つの『UDC』が対立してるんだよね」

 パズクルス・ヴィリーヴ(初心忘るべからず……な放蕩者・f45022)が予知した『UDCアース』には言葉通り二つの『UDC』が存在する。結構紛らわしいので、ここはおさらいしておこう。

 一つは『UDC』(アンディファインド・クリーチャー)――この現代の地球に太古から蘇った邪神とその眷属達の事である。
 もう一つはそれに立ち向かう為、狂気にさらされながらも邪神を取り込み力にする人類防衛組織の『UDC』(アンダーグラウンド・ディフェンス・コープ)だ。
 この二つの『UDC』は一般の民間人には知られていない。但し、近年様々な要因で出現するUDC怪物が狂暴化・頻出化している為かその存在を一般の民間人が知るのも危うくなってきている。
 その原因とは太古の封印が解かれたり、邪悪な教団の暗躍。謎の都市伝説、意味不明なオブジェクト……等様々である。それ以前まではまだ数も少なく弱かったので何とかなっていた。

「当然にして|猟兵《イェーガー》の皆と協力・連携を取ってくれるのは人類防衛組織の『UDC』(アンダーグラウンド・ディフェンス・コープ)の方だよ。唯、彼等彼女等組織の一員はあくまでも交通手段の確保や民間人の情報統制、|猟兵《イェーガー》が滞在中の優雅な生活を保障するだけでその戦力は|猟兵《イェーガー》に大きく劣る」

 だからこそ今回の事件。『UDCアース』で予知されたUDC怪物の血を引く人間の一人が血族に伝わる秘術を用いてUDC怪物を召喚したのを黙って見過ごす訳にはいかない。
 その人物の目的は今の所分かっていない。だが、こうしている間にも召喚されたUDC怪物が現場各地で民間人に危害を加えたり、何かしらの凶行に走ったりしているのは確かだ。
 そして……それを止められるのは唯一の存在。そう。他でもない|猟兵《イェーガー》の君達だ。

 『何らかの理由や要因でUDC怪物の血が混ざった一族』――その一人がUDC怪物に縋った犯罪行為に手を染めねばならない程追い詰められた訳ありの人物なのか?
 それとも単純に自分の血の力を過信して怪物を利用しようとしている屑なのかはまだ分からない。
 一つ言える事は予知のあった地に赴き、事件を阻止する事。

 ここ『グリモアベース』に緊急招集された|猟兵《イェーガー》達が解決に導かねばならない。

「まず、やるべき事は敵の目的を知る事よりも先に今現在、召喚されしUDC怪物を止める事だね。僕がテレポートで事件発生の場所まで皆を運ぶから、その後は任せたよ?」

 皆は首肯した。今、事件が発生中ならば、何としてでも阻止せねばならない。今は敵の目的を探っている場合じゃない。被害に遭った民間人の救助と敵の殲滅。例のUDC怪物の血を引く人間の一人がUDC怪物を召喚した理由は分からない。だが、この最初の事件を解決に導く事で手掛かりや有力な情報を得られるかもしれない。

 これが今回の『UDCアースの謎』だ。事件の全貌を明るみにすべく|猟兵《イェーガー》達はパズクルスの合図で現場へとテレポートした……!


ふーもん
 皆さんこんにちは。ふーもんです。

 早速ですが今回の『UDCアースの謎』について解説していきたいと思います。

 第一章『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』(集団戦)
 既に現地で召喚されたUDC怪物が事件を起こしているので現場へ急行し、殲滅して被害を防いで下さい。
 召喚されし敵はお料理教室に通う少年少女達(小中高生)です。あくまでパパ活邪神教団の『候補』なので、場合によっては救える子も、そうでない子もいます。料理は愛情と言う教えを受け、料理で友達(=仲間)を増やそうとします。

 第二章『洗脳された人達』(冒険)
 最初の事件(第一章)を阻止後、ひとまず事件は終息したかに思えたが今回の『UDCアースの謎』の首謀者はどうやら下級UDCの召喚術式を会得してる様です。犯人の居場所を何とかして突き止めて、捕まえなければまた、同じ様な事件が起きてしまうかもしれません……!
 『洗脳された人達』は邪心の力により洗脳されて、無意識の内に生贄になる祭壇へと向かいます。
 洗脳は簡単には解けませんので、彼等が生贄になるのは防がないといけません。
 この冒険を乗り越えて首謀者を取り押さえにレッツゴー♪

 第三章『希望の信仰者』(集団戦)
 居所を突き止められた犯人は、最後の手段とばかりにUDC怪物の群れを召喚してきます! ……が、召喚された怪物達は犯人の制御を離れて暴走! 事件の首謀者である彼(彼女)に襲い掛かります。自業自得ですが、怪物を野放しにする訳にはいきません。敵味方の区別なく襲撃する怪物を一体残らず撃破しましょう。事件の首謀者である犯人を生きたまま救出出来れば、その後UDC組織が適切に処遇してくれます。
 『希望の信仰者』は現実に絶望し、唯ひたすら希望を求める狂信者集団です。『希望』なる曖昧な概念の為ならば平気で何でもする狂人。奴等の最大の脅威は……その狂気性を隠し、一般人として振る舞える所だ。

●マスター:ふーもんのどうでも良い一言。
 『UDCアースの謎』とかミステリアスでカッコ良く謳い文句を掲げたは良いものの、いつもの戦闘シナリオに何ら変化がない……一体これはどうしたものか? 最大の謎です。
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第1章 集団戦 『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』

POW   :    お食事の時間
【美味しくて精のつく手料理】を給仕している間、戦場にいる美味しくて精のつく手料理を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
SPD   :    アナタのために作りました
【美味しくて精のつく手料理を食べさせる事】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【味の好み】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    胃袋鷲掴み
【完成された美味しくて精のつく手料理】を披露した指定の全対象に【美味しくて幸せ。人生の伴侶にしたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

イラスト:多毛田ちゃけ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●小さき邪神教団。その候補生達のクッキングタイム♪

 パズクルスのテレポートにより現場に到着した|猟兵《イェーガー》達。
 しかし、そこには驚くべき光景が待ち受けていた。
 どんな凶悪なUDC怪物が待ち構えているのかと思いきや……目の前に映るのは数人の子供達。

 しかも、場所は子供のお料理教室だ。

 唯、その子供達の様子が何やらおかしい。
 一見すると普通に手作りの料理を楽しんでいるのかと思われる。
 だが、やはり異様なオーラを放ちUDC怪物として召喚されたのはこの小さき料理人軍団で間違いなさそうだ。

 いきなりこれは不味いかもしれない。そう本能が疼き、瞬間的に感じた|猟兵《イェーガー》達は一斉に武器を解き放ちそれぞれが身構えた……!
響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです


納花・ピンチン(サポート)
ブギーモンスターの勇者×殺人鬼
布を被ってから11年が経ちましたわ
普段はお嬢様口調で、時々関西弁がちょこっと
……って、勉強中なんですわ!

あくまでお仕置きをしに来ているから
あまり殺伐とした戦い方はしませんわ
武器も直前で刃を返して叩いたり
その光景はギャグになることが多いですわ

商人街出身、お話しや交渉なんかも好きです
小さなスイーツや飴ちゃんを渡して一緒に食べると
色々話してくれるんですわ

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し
多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功の為でも
公序良俗に反する行動はしません

あとはおまかせ
ほないっちょ、よろしくおねがいします



「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」

 おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っている響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)はここにテレポートした際に相手がか弱い子供達だと知って、先ずは敵であろうとも寛容な姿勢を崩さない。ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒す気だ。

「なにごとも、ほどほどが肝心ですわ。いい子もいたずらっ子も、やりすぎはよくありませんわ。アタシも昔は本当に振り切れてて……っと、まあこの話は置いといて」

 もう一人はブギーモンスターの勇者×殺人鬼の納花・ピンチン(ブギーモンスターの勇者・f31878)だ。どこかちょっと抜けた所が憎めない可愛いシーツお化けである。実は関西弁を勉強中で、時々口調がもしや関西弁なのはお約束。

「納花様、今日はあの子達を出来得る限り多く助ける為にご協力お願いします」
「こちらこそですわ。響納さん。ほないっちょ、よろしくおねがいします」

 響納が言った救うべき『あの子達』とは、目の前の料理教室でせっせと調理に勤しんでいる小さなコックさん達だ。
 今回の事件。『UDCアースの謎』を解き明かす為にも、ここは避けて通れない道。
 それを十二分に理解している響納と納花はこの目の前の集団戦に気を引き締めた。

「召喚された敵であるUDC怪物はあのリトルシェフ集団。あくまでお仕置きをしに来ているからあまり殺伐とした戦い方はしませんわ」
「敵である相手がまだ救える子供である限り、状況によってスキルや戦い方を変化させるのが良いですわね」

 響納と納花が何気なく作戦会議に入ってる所に一人の少女がトコトコと小走りにやって来た。二人は目を合わせてアイコンタクト。警戒心を露わにする。

「あなた達もしかして|猟兵《イェーガー》さん? 一体ここに何の用ですか? 私達の手料理を食べに来たのですか? だとしたら私、嬉しい……!」

 ……何かホラーだ。しかし、その可愛らしい出で立ちのエプロンを着た少女はニッコリと笑い自分のオリジナル手料理を響納と納花に披露したいみたいだ。

 見た目は一見普通の少女。その姿に一瞬油断した響納はそのオリジナル手料理に食指が動く。

「……あ、響納さん! 油断大敵ですわ!」

 納花が声を掛けた時にはもう遅い。彼女、響納は既にそのお手製料理(フルーツタルト? の様な物)を口にしてしまっていた。
 自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうこともある響納はほんの一時、敵であるUDC怪物。その見た目に騙された。

「……んぐんぐ。ん、美味しいですわ。納花様も口にしてみてはいかがでございませんこ……」

 その時だ。その可愛らしい少女がニッコリではなく、ニタァ~……と、歪んだ微笑みを見せた。仕舞った……! と、響納は心中で相手が今回の事件の首謀者。その何者かに召喚されたUDC怪物である事を思い起こす。
 それはまるで|罠《トラップ》に掛けた獲物を見る目である。それに引っ掛かったのは他でもない響納……なのだが。

「味に変な所はありませんですわね。毒も盛られた感じではないですし、あなたの狙いは一体何ですの……?」

 今の所、召喚されたUDC怪物。少女の作ったお手製料理を口にした響納には異常はない。そう。……本人には効果が現れないのが『お食事の時間』の肝だ。

 『お食事の時間』(POW)――目の前の二人。響納と納花に【美味しくて精のつく手料理】を給仕している間、戦場にいる美味しくて精のつく手料理を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。

 『お食事の時間』――【美味しくて精のつく手料理】を提供され口にしたのは響納だけ。もう一人の|猟兵《イェーガー》。納花の行動速度が5分の1に落ちてしまう……!

「ひ……響納さん! 何だかアタシ、とても動き難いのですわ……! まるで両手両足に重い鉄枷を嵌められた気分ですわ」

 その光景はギャグになることが多い納花だが、今は『本気』と書いて『マジ』でヤバいらしい。これが召喚されしUDC怪物。クッキング少女の狙いだ。
 他にもここにテレポートでやって来た|猟兵《イェーガー》達。その【美味しくて精のつく手料理】を食べていない人物の動きが急激に鈍くなる。

 ……くっ! 何だこれは!?
 何か急に体が重くなって来たわ……!

「な!? もしかして、動きが落ちるんですの? このデザート(フルーツタルト? の様な物)を食べた事によって、スイッチが入り自分以外の仲間全員が……? そうですわね!?」

 思わず目の前の子供。その化けの皮を被った少女。UDC怪物の肩を揺さぶる響納。

「お姉ちゃん、怖~い! 私の手料理美味しくないの?」

 そいつはいつまでも無邪気な子供を装い、はぐらかすばかりだ。そしてようやく響納も冷静な判断を下せる様に落ち着いてきた。

 敵は目の前にいるのですわね。躊躇したら殺られますわ!

 時すでに遅し。だが、救援がメインの時は回復系のUCを使用する響納……!

 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『生まれながらの光』を発動し、自身の疲労度を顧みずに【聖なる光】が命中した複数人の対象を同時に高速治療していく。

「ふぃ~♪ アタシもう一巻の終わりかと思いましたわ。ホンマ、頼んますよ響納さん!」
「……ふぅ。納花様、申し訳ございませんわ。私のミスで……。だけどもう、同じ過ちは犯さないですわ。あの子供達は確かに危険ですわね。間違いなく今回の事件に絡んでいるUDC怪物でありますわね」
「疲れは……言うまでもないですわね。ここにいる半分以上の|猟兵《イェーガー》はんを高速治癒したのですから。大丈夫ですの? 響納さん」
「少しだけ……休憩時間を下さい納花様。その間に私はこの子達をどう救えるのか作戦を考えておきますので」

 どちらかというと、そっと陰でここにいる皆さんを支える立場を取ろうとする響納はそう言って座り込み、クタリ……と料理教室の壁を背にして、疲労が回復するのを待ち自分の脳内で作戦会議に入った。

「あらまあ~。これは参りましたわね。ここからはアタシだけであの危険な子供達の手料理と対決しなくては……さて、果たしてアタシの手料理で満足のいくものが作れるでしょうか……って、なんでやねん! アタシは|猟兵《イェーガー》や! こんな所であの子ら相手に手料理提供して誰得や? それに奴等は可愛らしい格好したUDC怪物なんやで? 下手したらアタシが料理されて食われますわ。ほんまええ加減にせえ。……もうええわ!」

 ノリツッコミも忘れない。納花。取り敢えずここは自己紹介のナレーションを開始♪

「布を被ってから11年が経ちましたわ。普段はお嬢様口調で、時々関西弁がちょこっと……って、勉強中なんですわ!」

 危うく自分のキャラが崩壊しかけた納花。その隙を突くかの様にまたしてもクッキングを終えたお子様。『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』の一人が自分の作った料理を提供してくる。キャラ崩壊よりも危険な事態が差し迫って来た……!

「お化けさん。アナタのために作りました。これ……食べてくれる?」

 商人街出身、お話しや交渉なんかも好きです。小さなスイーツや飴ちゃんを渡して一緒に食べると色々話してくれるんですわ。

「ほな、おおきに。アタシからは飴ちゃんしかないのですわ。今度、山盛り御飯とお好み焼きを|奢《おご》るから、今日は堪忍してな♪」

 すっかり関西弁に嵌まってしまった納花は自我を忘れかけていた。思わずUDC怪物。『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』の一味の何が起きるか分からない手料理。今度はスタミナの付きそうな熱々の豚の角煮丼(?)の様な物に箸を付けてその肉を口にしようと、口でふーふーする。

 あ~ん。……そのままパクリ♪ としようとしたその時! 納花の頭にハリセンがスパーン! と、叩かれ快音を鳴らした。

「それを食べちゃ駄目ですわ! 全く油断も隙も無いですわね。それにさっき納花様、私に注意喚起したでございませんこと? 油断大敵だと」

 やっとこさ疲労回復したのは他でもない。響納だ。自身の中でここにいる子供達をどうやって救い出せるのか整理は付いたみたいだ。

「……あ、アタシの豚の角煮が~って! そうでしたわ……! すんませんでした響納はん。ほんま関西人は『食』に関して理性のタガが外れるんですわ! おおきに」
「分かれば良いのですわ。私も復活しましたので、ここからは二人三脚で敵。あのリトルシェフズと真っ向から立ち向かいますわね!」

 料理を1ターン毎に提供して来る『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』。さっき、納花に謎の豚の角煮丼を給仕してきたお子様は暗い顔になって――チッ! と舌打ちした。

 『アナタのために作りました』(SPD)は、【美味しくて精のつく手料理を食べさせる事】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【味の好み】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する効果がある。

「予想以上に厄介ですわ。響納さん、どうやって戦いましょか」
「私に良い考えがありますの。さっき、納花様が私と同様にあの子達。リトルシェフズに騙された時、飴を用意してましたのですわね?」
「ええ、まあ。アタシにとって飴ちゃんを持参する事は朝起きて歯を磨く事と同じく朝飯前。日常茶飯事なのですわ」
「それですわ。強いて申し上げるなら、『飴と鞭』作戦。その逆バージョンとでも言いますわね」

 つまり作戦名『飴と鞭』……ではなく『鞭と飴』作戦! 早速、ミッション開始♪

 敵。『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』の最後の一人がまたしても手料理を持って来た。しかし、その見た目にさすがにもう騙されない二人。納花は手に持っていた武器も直前で刃を返して叩いたりして、その『胃袋鷲掴み』(WIZ)する【完成された美味しくて精のつく手料理】――これがまた美味そうな和食。お重に入った御飯に香ばしいタレの効いたうなぎの蒲焼(らしき豪華な代物)――を断固拒否する。
 そして【美味しくて幸せ。人生の伴侶にしたいという】感情を与えられずに、その効果を拒絶した。

「この薔薇のように綺麗に滅して差し上げますわ」

 更に戦いでは、主に響納が|UC《ユーベルコード》(WIZ)『白薔薇の嵐』(シロバラノアラシ)を使い展開。基本、戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況や場面によって、スキルを使用する。

 今は『鞭と飴』作戦の『鞭』の時間だ! 響納は自身の装備武器を無数の【白薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

 お料理教室の中、全体が白い薔薇に包まれる中。納花も|UC《ユーベルコード》(SPD)『九死殺戮刃』を発動!
 綺麗な白薔薇に塗れたお料理教室内がパニックに陥落している中、自身の【瞳】が輝く間、【殺戮刃物】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。

 殺戮の為だけに鍛え抜かれたサブ武器で敵のリトルシェフズを8人。さり気なく味方|猟兵《イェーガー》にも攻撃を加える納花。

 ……ちょっと! 何すんのよ!? 私は味方よ! 攻撃しないでよね!!

「攻撃? いえいえ『どつく』と言うんですわ!」

 正直、納花も寿命が減るのは勘弁なので必死に味方をどついていた。そして、『鞭と飴』作戦。最後の『飴』の時間がやって来る……!

 響納は|UC《ユーベルコード》(WIZ)『サクラサク花の舞い』(サクラノイヤシヲアナタヘ)を発動した!

「疲れましたか? では私が癒やして差し上げましょう」

 【桜の花吹雪】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。

 『鞭と飴』作戦。『鞭』は攻撃。『飴』は睡眠と言う名の癒やし。見た所、『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』は全員眠りに就いた。
 それに、納花が所謂どついた味方|猟兵《イェーガー》も回復の兆しが見えている。『鞭と飴』作戦成功である。

 その後、UDC組織が眠りに就いたUDC怪物。その子供達である『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』を適切に処遇。一応全員生きている事が確認されたが……この少年少女達は謎の『UDC怪物の血を引く人間』に召喚されたのだ。この子達の記憶もどこまでが本当でどこまでが嘘か曖昧だった。

 今回の件。無事に保護されたのは何よりで響納と納花の『鞭と飴』作戦のお陰だが、『UDCアースの謎』はより深まった気がする二人なのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(自分からは喋らない)
・基本的にはヘタレで気弱、慎重な面がありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキって墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいい
・やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器
・キャバリア・劫禍との関係はUCの秘密設定あたりで察してください
・キャバリア戦などでは劫禍のパーツに利用できそうなものは入手できそうなら回収

 UCは活性化した物をどれでも使用し、例え依頼のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容



「僕に任せてよ。きっと何とかなるから。……多分」

 テレポートした先に待っていたのは……何の冗談か小中高生達の集う子供達のお料理教室だ。
 戸惑う|猟兵《イェーガー》達の中で一人だけめげずにそう言ったのは印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)だが、なんだかんだで人がいい彼女もこの目の前の状況をどうしようかと考えを巡らしていた。それが故、他|猟兵《イェーガー》達を鼓舞する。

 しかし、GGO(ゴッドゲームオンライン)での事件からあるグリモア猟兵に助けて貰い、自分の性別も変化した彼女印旛院にとってこの状況は理解の範疇内であるのもまた事実であった。自分からは喋らないが、その見た目とは裏腹に思考や嗜好は成人男性のものなのです。

 そんな境遇的なものもあり、やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器なヘタレウサギさんの印旛院は基本的にはヘタレで気弱、慎重な面があるが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキって墓穴を掘ることもあったりする。

「……相手は本当に唯の子供達なのかな?」

 その為、ここは慎重に動く。まるで自分に言い聞かせる様にして、印旛院は敵と思しきその謎めいた集団に目を向ける。見れば見る程、料理を楽しんでいる普通の小中高生の集団にしか見えない。
 だが、逆にそれが不気味だ。何か嫌な予感がする。そしてそれは見事に的中するのだった。嫌な予感ほどよく当たるのはどうしてか?

「ねえ、ウサギお姉さん? お食事の時間だよ。僕が作った【美味しくて精のつく手料理】を食べてくれる?」

 いきなり背後から声を掛けられた。その子供は見た感じだと中学生くらいの男の子だ。
 しかしその正体は『『パパ活邪神教団・候補生』のリトルシェフズ』の一人。

「うひゃあ! き、君! あ、いや中学生……さん? いつの間にそこにいたのかな?」
「……え? 最初からだけど。それよりもお食事の時間だよ」

 全く気配を感じていなかった印旛院。やはり、この子達は何者かに召喚されしUDC怪物で間違いなさそうだ。
 例の『UDC怪物の血を引く人間の一人』が血族に伝わる秘術を用いてこの子達を召喚したのなら……理由次第では許す事など出来ない。
 何せ、それ程この目の前の子供達は純真に料理を楽しんでいる。印旛院の目にはそう映ったからだ。

「さ、最初から? ……まあ、そうだよね。それでお食事の時間って言うのはどういう事なのかな? その料理を食べても良いって事?」

 UDC怪物の中学生。その男の子はニコニコ笑顔で頷く。彼の持っている丸いトレーの上には何やらお手製の料理が皿に盛り付けてあった。
 見た所、ハンバーグにライス。その上に目玉焼きが乗っかっている。香ばしい匂いが一瞬、印旛院の鼻孔をくすぐり油断を誘う。

「へぇ~。それ自分で作ったんだよね? とっても美味しそうだね!」
「ありがとう! ウサギお姉さん。お食事の時間だよ? どうぞ召し上がれ♪」

 そう言えばちょうどお腹が空いていた印旛院。そんな状態で目の前に食事を用意されれば、大半の人は断れないだろう。
 そんなこんながありーの、思わず目玉焼きハンバーグをパクッ♪ と、ひと口。やっちまった印旛院。

「う~ん……! 美味し~い! 口の中にとろける目玉焼きの黄身とこれまたハンバーグの肉汁がたまんない! ご飯も進むよ。おかわりしたいくらいだね!」

 どこぞのグルメリポーターか知らないがやたら饒舌にどうでも良い目玉焼きハンバーグの感想を言ってのける印旛院。
 しかし、彼女は気付けなかった。それは甘い罠。例え中学生の子供であろうとUDC怪物に違いは無いのだ。
 もぐもぐ食べ進めていく途中。例の中学生と目が合った。ニタァ~……と怪談話に出て来るお化けの様に彼は笑っていた。
 明らかに様子がおかしい。さっきのニコニコ笑顔とは異質な笑みを見て、自分が墓穴を掘った事を覚る印旛院。だが、時既に遅し……!

 『お食事の時間』(POW)――【美味しくて精のつく手料理】を印旛院に給仕している最中、戦場にいる美味しくて精のつく手料理を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1の速度に落としてしまう……!

 な、何か……体が!?
 ……お、重いぃ~!!

 周囲にいた仲間の|猟兵《イェーガー》達に異変が起こる。それは、印旛院の様に【美味しくて精のつく手料理】を楽しんでいる者以外に降りかかる呪いの様なものだった。

「……ゲホッ! ゲホゲッホ! ゴホ! は、嵌められた! 君、見事に僕を騙したね!?」

 咽る印旛院。実際は嵌められた訳ではなく、騙した訳でもない。勝手に印旛院が引っ掛かっただけなのである……だが、そこにお食事を提供してくれた中学生の男の子はいない。全くもって困った事態だ。しかし、今食べた目玉焼きハンバーグ。確かに美味しかった。

「……くそ~! もう騙されないぞ! 大丈夫。見た目が子供だからって、二度も同じ攻撃(お食事)なんか喰らうもんか!」

 しかし、そこに第二の刺客が解き放たれた。次はどう見ても小学生の女の子。

「アナタのために作りました。私のお料理食べてくれる? ウサギお姉ちゃん!」
「ぼ、僕の為に……!? 何て良い子なんだ。それはホットケーキだね?」

 思わず感動~♪ ……している場合じゃない! 明らかにこれは第二の罠だ。しかし、目の前の小学生の女の子がせっかく自分の為に作ってくれたんだ。これを拒否するのはいただけないだろう(料理だけに)。

 印旛院は出来立てホットケーキにプリンと数種類のフルーツが乗せてあるその豪華なデザートに目が眩んだ。駄目だ! それを食べるな!! ……印旛院・ラビニア!!!

 ……パクリッ! 理性と本能。食欲は時に正義を打ち砕く事をこの時から学んだ印旛院なのだった。もぐもぐ……うん、美味い♪

 『アナタのために作りました』(SPD)――【美味しくて精のつく手料理を食べさせる事】で印旛院を攻撃する。また、攻撃が命中した相手の【味の好み】を覚え、同じ相手に攻撃する際の命中力と威力を増強する。

 女の子はニッコリ笑顔からニタァ~と悪魔の様な微笑みに切り替わり、またしても自分が釣り餌に引っ掛かった魚と化してしまった事に気付いた印旛院。しかし、時既に遅し……!

 『攻撃』とは催眠作用と幻覚作用のダブルコンボ。更にその『攻撃』がヒットした相手の【味の好み】を記憶し、【美味しくて精のつく手料理】を食べさせた印旛院に『攻撃』(催眠と幻覚)する時の命中力と威力が共に強化されていく。正に蟻地獄の中に引きずり込まれていく蟻の様に……。だが、ここで終わる程印旛院は単なるヘタレウサギじゃない!

「うわぁ――――! 美味しい手料理にここまで翻弄されるなんて……! こうなったら僕も手段は選ばないよ?」

 催眠作用で眠くなってくる……幻覚作用で例のUDC怪物達。小中高生達が悪魔の形相で自分に襲い掛かって来る……! だが、そこは|猟兵《イェーガー》の力の見せどころ!

 技能スキル『浄化15』と『回復力5』を併用し、催眠作用と幻覚作用が消し飛んだ。直ぐに普段の自分に持ち直すと、印旛院は『学習力60』と『チューニング25』を用いて自分も小中高生達。そのUDC怪物軍団のクッキングに参加した。
 正直、料理に自信があるかと言えばそうでもない。だが、『情報検索5』『流行知識5』『幸運5』をふんだんに使いカバーしてチャレンジ! 作るのは……簡単な卵料理だ。

「出来た……! 皆、これを食べて目を覚ませ! その名も『ラビニア・オムライス』!」

 美味しい手料理には美味しい手料理でお返しを。そう思って愛情込めて作りました。

「うん。美味しいね」「……美味しい」「お姉ちゃん、凄い」「これはまた美味ですね」

 しかし、『ラビニア・オムライス』の効果はそれだけだった。
 美味しい手料理には美味しい手料理でお返しを。そう思って愛情込めて作りました。

 そんなこんなで(勝手に)苦戦している印旛院。そこにまたしても新たなる手先が香ばしい香りと共に【完成された美味しくて精のつく手料理】を披露するが如くやって来た。正に悪魔の所業である。

「お姉さん。『ラビニア・オムライス』ありがとう! これ、私からのお礼と言っては何だけど……お口に合えば嬉しいな♪」

 お次はこのお料理教室の中で一番年長であると思しき高校生くらいの女の子だ。その両手に持っているのは……皆大好きな王道を突っ走るカレーである。

 あのスパイシーな匂いが思わず印旛院の胃袋を鷲掴みする! もうなんかここまで来たら流れ的に食うしかないだろ。スプーンでそれを一匙すくってパクついた。

 それはこれまでにない幸せの一時。美味しい……いや、美味しいを飛び越えてもう人生の伴侶にしたい。そう思い込ませる程の何か危ない薬やってるみたいな幸福感が印旛院の心中を襲う!

 『胃袋鷲掴み』(WIZ)――【完成された美味しくて精のつく手料理】を披露した指定の全対象に【美味しくて幸せ。人生の伴侶にしたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びていく。

 ……ああ。今、僕は何て幸福なんだろう。たった一杯のカレーライスに……こんなにも心を揺さぶられるなんて! 人生の伴侶にした――

 技能スキル『瞬間思考力40』と『見切り20』を寸での所で駆使して危ない思考回路を元の自分に切り替えた印旛院。

「――あ、危なかったぁ~! あと少しで完全に洗脳されてしまう所だったね。これは『カレーライス』と言う名のスパイシーな非合法ドラッグだよ!」

 何とか自我を取り戻した印旛院。チッ! 後もう少しだったのに……と、その謎カレーを提供してくれた女子高生の|仮面《ペルソナ》は剥がれ落ちて本性が露わになる。

 きっと他の皆もこのカレーライスの魔力。【美味しくて幸せ。人生の伴侶にしたいという】感情に支配されてるだろう。
 皆の目を覚ますには力尽くでやっていくしかない。それも飛びっきりの|調味料《スパイス》が必要だ。
 もう相手の見た目に惑わされてる場合じゃない! 相手は立派な敵。UDC怪物『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』だ。ここは小手先の手料理と言うよりも、力技でいこう!

「力技と言えば……キャバリアだよね!」

 子供達のお料理教室は思いのほか天井が高く設計されていたので、5m程の高さを誇る印旛院のキャバリア。オブリビオンマシン『|劫禍《ごうか》』も何とか室内を移動できると言うもの。

 そこで印旛院はオブリビオンマシン『|劫禍《ごうか》』を召喚! 邪悪なキャバリアだが、ラビニアに惚れ込んで同行した。色々しつこい。人型にもなれる。

 キャバリアを使った戦闘などでは劫禍のパーツに利用できそうなものは入手できそうなら回収するつもりだが、今回回収するのはここでUDC怪物達『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』が大量生産している危険料理の数々である。
 因みにキャバリア・劫禍との関係はやや一方的に印旛院・ラビニアに恋している人型劫禍がラビニアの貞操を奪わない程度に攻めて来る。そんな間柄だ。

 そして更にここから|UC《ユーベルコード》(SPD)『誘いの矢印』(クリック・アンド・スティール)を発動!

「さて、ゲットさせてもらうよ~」

 印旛院が狙うはこれまで食べて来た物も含めた『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』の美味しい料理!

 【電脳魔術で作り上げたカーソル】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【ストレージポーチ内の電脳空間】の中に転移させる。
 さすがに入らないものは転移できないのだが、印旛院が言うには――

「ストレージ内は電脳空間だからね。ほぼいくらでも入るんだよねこれが」

 ――との事。そして、電子空間に直結させることでサイズや重量を無視し物体を収納できるアイテムポーチ。
 その名も『ストレージポーチ』に次から次へと『誘いの矢印』を発動したカーソルでクリックして数々の出来立て料理を収納。抜け目なくゲットしていく!

 印旛院はキャバリアのオブリビオンマシン『|劫禍《ごうか》』の|操縦席《コックピット》にて、移動しながら|UC《ユーベルコード》『誘いの矢印』を発動しているので、UDC怪物『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』の子供達は当然太刀打ち出来ない。本性を現した包丁やお玉を武器に襲い掛かって来る者もいたが、正にそれは象を相手にした蟻の様なもので無駄な抵抗と言うものだ。
 
 そうやって敵の攻撃(手料理)を無力化する。全ての料理を『ストレージポーチ』に入れ終わった時にはUDC怪物『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』の小中高生達。男女全てが気を失いその場に突っ伏していた。彼等彼女等はあくまで『パパ活邪神教団・候補生』なので、救える者とそうでない者がいる。

 だが、今回はどうやら無事に全員救出出来たみたいだ。

「ほらね! やっぱり僕のお陰で何とかなった」

 散々敵の料理に翻弄されては来たが、確かに印旛院の言う通り。何とかなったのは事実だ。
 周囲の|猟兵《イェーガー》達は印旛院のお陰で被害に遭ったり救われたりしたので、何だか複雑な気分。
 唯、そのドヤ顔は憎めないものであった。

 *

 その後、結局UDC怪物『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』として召喚された子供達は『UDC怪物の血を引く』人間の一人。その首謀者に召喚された事実を断片的に覚えてはいたものの、その殆どは謎に包まれていて、有力な情報を得る事は出来なかった。

 だが、しかーし。|猟兵《イェーガー》の一人である印旛院は非常に満足していた。なぜなら……あの子供達から回収した数多の料理を只今絶賛お食事中なのだから! もちろん、あの子等は皆、印旛院が救ったので妙な効果は消失して普通の美味しい手料理へと戻っている。

「う~ん! これも美味しいね! 事件の首謀者、その正体はともかく置いといて今回参加して良かったよ!」

 ヘタレウサギの印旛院にとって、それはそれ。これはこれである。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・セカンドカラー(サポート)
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい♥

それはまるでチートのような、とんでもない才能であると便利な|舞台装置《デウス・エクス・マーキナー》役な|狂言回し《サポート》。

瞬間的に|主観の世界観を切り替える魔術的パラダイムシフト《高速詠唱早業先制攻撃多重詠唱拠点構築化術結界術》で妄想を魔力具現化する|混沌魔術《欲望開放》で|戦闘、諜報、輜重《多重詠唱×各種技能》とマルチに活動可能。
|大概のことは高水準でこなせるわ《高性能を駆使する、応用力》

依頼の成功を大前提に、あわよくば己の欲望を満たそうとするかも?
大食い×魔力供給×料理で|えっちなのうみそおいしいです♥《感情エネルギーをエナジードレイン》



「|大概のことは高水準でこなせるわ《高性能を駆使する、応用力》」

 まるで目の前のお料理教室の子供達を前にしても、全然動じない女|猟兵《イェーガー》がいた。

 他でもないアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)だ。

 ダンピールのソーンイーター × シャーマンの彼女は瞬間的に|主観の世界観を切り替える魔術的パラダイムシフト《高速詠唱早業先制攻撃多重詠唱拠点構築化術結界術》で妄想を魔力具現化する|混沌魔術《欲望開放》で|戦闘、諜報、輜重《多重詠唱×各種技能》とマルチに活動可能。

 そんなアリスは何やら意味深に微笑んだ。依頼の成功を大前提に、あわよくば己の欲望を満たそうとするかも?

「う~ん❤ 何やら良い匂いがするわね。あの子達が『UDC怪物の血を引く人間の一人』が召喚した『UDC怪物』で間違いないのよね?」

 アリスは妖艶に笑んで、その『UDC怪物』――『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』の小中高生達が無邪気にお料理教室の中でクッキングに精を出しているのを見つめる。さて、そんな召喚されし『UDC怪物』なる子供達相手をどう料理しようか?

 正に今回は『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』のクッキングタイム……と言うよりもアリスのクッキングタイムだった。
 それはまるでチートのような、とんでもない才能であると便利な|舞台装置《デウス・エクス・マーキナー》役な|狂言回し《サポート》。

 アリスの手に掛かれば例え『UDC怪物』の『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』が何か企んでいようとも、その見た目に騙される事なく倒すのは赤子の手をひねるよりも簡単な事なのだ。

「お姉ちゃん! お食事の時間だよ」

 すると背後から声を掛けられた。まだ幼い子供。小学生低学年くらいの女の子か?

 ……いつの間に? しかし、アリスは驚く事なく振り返りその子に悪戯っぽく優しい声を掛ける。まるで天使の様な微笑みを|仮面《ペルソナ》として顔に張り付けた小悪魔少女。

「そうなのね。せっかくのお食事の時間、わたしもお邪魔して良いのかしら?」
「もちろんだよ! ここにいる人達皆に私達の手料理を楽しんで欲しいもん!」

 汝が為したいように為すがよい❤ ここはお任せするわ。その天使の|仮面《ペルソナ》の下に小悪魔は薄く笑んで舌なめずりした。

 アリスは何気なく近くの丸テーブルに座る。直ぐに様々な年齢の子供達が我先にと、食べ物、飲み物、スプーンにフォークにナイフ、ナプキン等を用意してくれた。

 ……なぜそんなに慌てて給仕するのかしらね? まあ、この子達はあくまで敵。何者かに召喚された『UDC怪物』なのだから何か裏があると見て間違いないのだけれど。

 そんな事を思うアリス。そうして食事の用意が終わると、予期せぬ出来事が起きた。

 『お食事の時間』(POW)――【美味しくて精のつく手料理】を給仕している間、戦場にいる美味しくて精のつく手料理を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。

 直ぐにそれは表に現れた。食事の時間になっても警戒して席に着いていない他|猟兵《イェーガー》達や何気なく席を立った|猟兵《イェーガー》、その他にも様々な理由で各々が【美味しくて精のつく手料理】を楽しんでいる様子を見せていない|猟兵《イェーガー》達に異変が起きる……!

 ぐっ! 何だこれは……!
 何これ……体が言う事を聞かないわ!

 どうやらこの『お食事の時間』とやらに何かの罠が仕掛けられていたのだろう。アリスは得心がいった。普通は席に着いたアリス自身にその矛先が向くが、敵は純粋にお料理を楽しんでいる為か、それに従わない者には罰を……と言う訳か。それにしても周囲の|猟兵《イェーガー》達の動きが鈍くなるのは中々、巧妙なやり口だ。

 だが、それを黙ってやり過ごす訳にもいかない。ここは早めに先手を打っておこう。そう思いアリスは動く!

 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『虚影の混沌魔術』(ケイオスマジック)を発動!

「私達の知覚を離れた客観的真理などない、故に、あらゆることは真実であり可能である☆」

 アリスがそう唱えると自身のユーベルコード5つを装備中の【虚影の仮身】に籠め、24時間、行動毎に[虚影の仮身]から2種類づつ発動できる。

 そしてここからはアリスの身代わり。『虚影の仮身』の出番だった。アリス本体は技能スキル『変わり身1』と『瞬間着替え1』、更に『目立たない1』でさり気なくリトルシェフズの中に紛れ込んだ。

『さて、『お食事の時間』なのよね? 誰がわたしのウエイター、ウエイトレスをやってくれるのかしら?』

 『虚影の仮身』は身代わりや影武者となる、思念から具現化した仮初の肉体です。仮初なので盛ったりも?

 その転身式神に5つの|UC《ユーベルコード》を『虚影の混沌魔術』(ケイオスマジック)により籠めておく。果たしてアリス本体(本人)の狙いは……?

「アナタのために作りました。是非、俺の美味しくて精のつく手料理を食べてくれませんか? 小さな可愛いお姉さん」

 そこに勇気を持ってやって来たのは、高校生くらいの男子だ。思春期真っ盛りなその男子は少し恥ずかしそうに手料理を提供する。何だかアリスに気があるみたいだ。勘の鋭いアリスはすぐに気付く。そして、そこに付け入る様にして話を盛る。もちろん『虚影の仮身』の分身体ではあるが。

『あなた、可愛いのね? 気に入ったわ。その勇気に免じてわたしからもプレゼントよ❤』

 |UC《ユーベルコード》(POW)『The last kiss』(サイゴノキス)……発動!

『極上の最期をアナタに……♪』

 【唇】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。

 チュッ❤

「グッハァ――――!」

 小悪魔のアリスとしては少し茶化した程度だったが……物凄い効いた。その高校生男子の敵は全身が火照って人体発火現象でも起こしそうな勢いだ。

『あらら♪ あなたこういうのまだ初めてなのね? 可哀想な事しちゃった❤』

 一人のリトルシェフがアリスの魔手に絡めとられ、沈没。だが、敵もしぶとくそこから雪崩の如くやって来る!

 何としてでもアリスに自分の手料理を食べさせようと躍起になっている。それも策と言えば策なのだが……アリスは2人いる上に、まだ扱える|UC《ユーベルコード》が【虚影の仮身】に4つ控えていた。質よりも量の作戦なのに、アリス一人だけの正に独壇場。

 そのアリスワンマンショーにまたしても愚かな挑戦者がやって来る。チャレンジ精神抜群。蜘蛛の巣に引っ掛かった紋白蝶である。

「アナタのために作りました。是非とも食べて下さい……!」

 お次は丸眼鏡とおさげがお似合いの少し大人びた小学生。女の子だ。正直、地味な印象を受ける。更にもう一人。

「アナタのために作りました。こっちもよろしくお願いします」

 何だか口調同様に生真面目な印象を受ける。セミロングの髪を肩まで下げた同い年位の少女。
 アリスは何か妙な既視感を覚えた。二人をよく見比べる……すると、ある一つの答えに辿り着く。

『もしかして……あなた達。双子?』
「はい……!」「……そうですけど?」

 格好こそ違うものの、雰囲気がそっくりだ。
 『UDC怪物』に双子の概念があるとは……。まあ、それはどうでも良い事。

『それじゃあ、二人分いただくわね?』

 アリスの分身は双子少女。最初の丸眼鏡のおさげ少女の料理。出来立てホットドッグにセミロング少女の料理。出来立てサンドイッチをいただく事に。

 アリスの分身はそれぞれその料理を食べた……すると!?

 『アナタのために作りました』(SPD)――【美味しくて精のつく手料理を食べさせる事】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【味の好み】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。

 『攻撃』効果は幻覚と催眠作用のダブルパンチ! 敵である双子はやってやった! ……と、思わずニタリと笑いお互いに手を叩くが――次の瞬間、アリスの報復が始まる事に一歩気付くのが遅かった。

 アリスに付与した催眠作用と幻覚作用はそもそもアリス(本体)の『虚影の仮身』(影武者)なので意味がない。

 そして|UC《ユーベルコード》(POW)『創世・混沌魔術』(ケイオスマジック・エボリューション)を発動する!

『その|結末《エンディング》を|認めない《ブレイクする》。天地開闢に連なる力、創世神術を取り入れた混沌魔術なら望む未来を創造できる』

 無敵の【気に入らない結末を覆し望む未来に導く手段】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。

 更にそこから|UC《ユーベルコード》(WIZ)『快楽には抗えない』(ヨクボウニミヲマカセナサイ)も発動!

『すー……っごく気持ちよくして、あ・げ・る♡』

 詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【催淫/快楽】属性の【すっごく気持ちよくなっちゃうビーム】を、レベル×5mの直線上に放つ。

 その【すっごく気持ちよくなっちゃうビーム】は『創世・混沌魔術』(ケイオスマジック・エボリューション)との相乗効果で更に強力になり、敵の双子少女はもちろんの事、『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』全員に照準を定め、確実に仕留めていく……!

 しかし、アリスの分身の中にはまだ、2つ|UC《ユーベルコード》のストックが残っていた。この際だから全部使ってしまおうかしらね。リトルシェフズの集団に紛れ込んだ変装中のアリス本体(本人)はそう思い遠慮容赦なく残りの|UC《ユーベルコード》を発動する。

 |UC《ユーベルコード》(POW)『欲望の権化』(ムサボリクラウモノ)と|UC《ユーベルコード》(SPD)『アリスと遊びましょ♡』(アリストアソビマショ)を同時に発動!

『溢れる痴性と抑えきれない恥的好奇心で、欲望のままにオブリビオンを私好みの男の娘と萌化させて捕食するわ♡ 私の念動力は現実すら改竄す』

 【欲望を具象化する精神世界を召喚し】【自身が活躍や苦戦をする度】【所持技能を自身のLV×10倍にすること】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。

『アリスと遊びましょ♡』

 非戦闘行為に没頭している間、自身の【顕現した星辰界により具現化した妄想世界】が【快楽と精力を貪り周囲からエナジーを吸収し】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。

 もうなんか皆がエロい事ですったもんだしている。そんな最中、やっとこさアリス本人の本性が露わになった。

 大食い×魔力供給×料理で|えっちなのうみそおいしいです❤《感情エネルギーをエナジードレイン》

 その後、この事態をUDC組織が収拾するのにえらい手間取ったのだがアリスとしては単なる日常を満喫したに過ぎなかった。

 まあ、これはこれでありなのかもしれない♪

成功 🔵​🔵​🔴​

水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像で目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ



「水心子真峰、推参。さて、真剣勝負といこうか」

 数多の|猟兵《イェーガー》達が|転送《テレポート》されし場所。この小中高生達の集うお料理教室の中にて、『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』を目にした瞬間戸惑いを露わにしている。

 そんな中、一人だけ迷いなくそのリトルシェフズを敵認定した|猟兵《イェーガー》がいた。他でもない水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)である。

 彼女、水心子はとある刀匠が打った太刀のヤドリガミだ。その為か本体は佩いているが抜刀することはない。

「あの子らが本当にゆーでぃーしー怪物なのか? 正直、私は疑いたくない……が、それが事実ならばこのまま放置する気も毛頭ない」

 唯、身構えた水心子も内心ではまるで時計の振り子の様に複雑な思いが揺れ動く。本当にあの子達が召喚されしUDC怪物ならば、自分は斬るしかない。
 他の|猟兵《イェーガー》達だって同じ思いだろう。一人一人その考えや思惑は違えど、ここを切り抜けるにはリトルシェフズを倒さなければ前へは進めない。
 ……何たる卑劣な手段! 今回の事件の首謀者の目的とは一体何なのだろうか?

「もしも本格的な戦いを仕掛けるならば錬成カミヤドリの一振りか、鞘が超硬質なので抜かない脇差静柄や茶室刀を使うぞ」

 可能ならば全員を無傷で救いたい。そんな事を脳裏で何度か繰り返しては、同じ問いをぶつけ葛藤する水心子。しかし、有効な手段は見つからない。
 若武者として武士として、彼女水心子が精一杯応える事が出来る手段は……やはり本気で刀を交える事。
 戦うときにその真意が見えるのだ。

「ねえ、お姉ちゃんもここでお料理しに来たの?」
「……え? 私が料理?」

 水心子が重大な問題の決着を再度確認。見つけた時、いきなり背後から声を掛けられた。何やら小学生くらいの女子が少し照れた様にはにかみながら聞いてきた。
 どうやら水心子の事を中高生くらいの女の子だと思っているみたいだ。
 年齢は既に成人女性。見た目は……15歳前後に見えてしまう水心子。そんな彼女も意表を突かれて思わず、ぷっ! と吹き出した。
 本当は溜め息を吐く所だが、あまりの不意打ちに拍子抜けしたのだ。
 お陰で肩の力が抜けた。

「……そうだな。そうしたい所だが私は料理をしにここへ来た訳じゃないんだ。私は……君達の中にいる『悪』を成敗しにきたんだ」

 吹っ切れた水心子。思い切って自分の本心を吐露する。敵は目の前にいるぞ……! と、間接的に挑発をする。

 ――正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな。まあ最後は大体直接斬るがな。

「……? もうお食事の時間だよ? 私の給仕を受けてくれないの?」
「悪いがその手には乗らない。私はこれでも|猟兵《イェーガー》……そして若武者であり武士だ。君達が『ゆーでぃーしー怪物の血を引く人間の一人』に召喚されたりとるしぇふである以上、ここで退く訳にはいかないんだ」

 その時だ。UDC怪物――『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』の一人。目の前にいた小さな女の子の目元が急に暗くなった。明らかに先程までの無邪気でシャイな雰囲気が消え失せ、漆黒の闇オーラが唐突に現れる……!

「……そうなんだ。じゃあ、ここでお別れだね!」
「!? ……何だこれは!」

 急に体が重くなってきた。どうやら既に自分が目の前の少女。リトルシェフズの一人の|罠《トラップ》に掛かってしまった事を覚る水心子。だが、さっきのやり取りのどこにそんなものがあったというのだろうか?

 『お食事の時間』(POW)――【美味しくて精のつく手料理】を給仕している間、戦場にいる美味しくて精のつく手料理を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。

 明らかに動きが鈍くなった水心子。正に一瞬の油断が命取りになる。中々上手く身動きが取れない状態で敵であるリトルシェフズの一人。小学生の女の子が包丁片手にじと~り……と睨め付けて来る。どうやら、少女の『お食事の時間』を断り台無しにした代償が自身の体の動きを鉛の様に重くする効果を生んだらしい。

 ぐ……! クソ!!

 体が言う事を聞かないわ!

 水心子以外の|猟兵《イェーガー》達もその罠に嵌められた者が多数いた。リトルシェフズの『お食事の時間』に素直に従わないと、行動速度が落ちるみたいだ。

「さ~てと……。コイツをどう料理してあげましょうか?」

 小学生の女の子から殺気に近いものを咄嗟に感じ取った水心子。背筋が凍ったが、こんな所で殺られる気は毛頭ない。素早く頭の中を整理してシフトチェンジ。技能スキル『時間稼ぎ77』を用いて切り替える。

「君の手料理。食べてみたいな」

 その言葉を聞いた時、ピクッ! と、小学生の少女。彼女の動きがほんの一時止まる。やはりな……水心子は内心でぐにゃりと湾曲した笑みを零す。

 ここに召喚されたUDC怪物達。『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』は元々、料理好きの子供達の寄せ集めだ。どんな因果か知らないが彼等彼女等はUDC怪物と化した。唯、あくまでパパ活邪神教団の『候補生』に過ぎないので、救える者もいればそうでない者もいる。

 料理は愛情。その教えを従順に受けて料理で友達(=仲間)を増やそうとしている。つまり、目の前の少女がまだ救える余地があるならば、いっその事ある程度交渉して敵の懐に飛び込むのも手だ。

「私の手料理。食べたい?」
「ああ。君の手料理を食べたい」

 水心子の思惑と作戦。そこから技能スキル『時間稼ぎ77』を用いた事により、敵の少女がまだ手料理をもてなし、その相手の喜ぶ顔を見てみたいという自我が残っている事を確信した。
 ここは我慢の時間帯だ。落ち着いて譲歩し、敵の逆鱗に触れない様に気を付ける。何せ自分は今、ロクに動ける体じゃないのだ。

「……分かった。特別だよ?」

 本性を再び隠した少女はニッコリ笑顔で応じてくれた。彼女の御馳走。手料理にも食べたら何かしらの罠が張ってあるのは見え見えだが、少しだけ時間に猶予が出来た。その間に技能スキル『封印を解く77』で自分の行動速度を縛っている状態異常を回復する。

「……ふう。危なかった。何とか窮地を脱出できたが、ここからが勝負どころだな」

 思わずぼやく水心子の言葉通り。

 確かに時間稼ぎをして、行動速度が5分の1になった状態異常から回復したのは上手く敵を言葉で誘導した成果だが、また新たな手料理をあの少女。リトルシェフが持って来る事が確定している。しかも、次はどんな罠が待っているのか分からない。

 水心子は敵であろうともその何が起こるのか分からない料理を食べるつもりだ。
 例え口約束だとしても、武士としての|誇り《プライド》がそれを否定するのを阻んだのだ。

「アナタのために作りました。是非ともご賞味ください!」
「分かったでござる。拙者、貴殿の料理を有り難く頂戴するでござる」

 覚悟は決めた。武士として覚醒した水心子は、UDC怪物の少女が作ったカレーライスをスプーンですくう。
 何かが起こったらいつでも戦闘モードに入るつもりだ。

 パクリ♪ と、一口。口の中に広がるスパイシーな香りとカレールーの中に入っていたジャガイモやニンジン、牛肉が大盛り御飯に絶妙にマッチしている。

 ……うん。普通に美味い。だが、それだけじゃないのは百も承知! さて、何が待っているのかな?

 『アナタのために作りました』(SPD)――【美味しくて精のつく手料理を食べさせる事】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【味の好み】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。

「……美味いでござる。む!? 貴殿、これは……!」
「キャハハハハハ! ひ~っかかった♪ 引っ掛かった♪」

 予想通り。敵は『美味しくて精のつく手料理を食べさせる事』で攻撃してきた。その『攻撃』は催眠作用と幻覚作用を同時に及ぼすまたしても状態異常である。

「謀ったでござるな? そうと来たならば、拙者も子供相手とは言え容赦はしないでござる!」

 催眠作用と幻覚作用はすぐさま技能スキル『破魔77』で見破り、切り抜ける。正直、その『攻撃』に『破魔77』が通用するのか半分賭けだったが上手く作用した。そして、ここから反撃だ!

 敵がお子様であろうと容赦しない。見た目が何であれUDC怪物に間違いはないのだ。目の前の少女だけじゃなく、他の小中高生達も全員相手にして全員救ってみせる! そう言った気概で武士の水心子は躊躇わず攻勢に出た。

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『錬成カミヤドリ』発動!

 自身が装備する【自分の本体(器物)】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。因みに戦闘中に太刀(自分)を使う時は必ずこの複製版を使用。本体を抜くことは無い。

 乱舞させた複製刀で撹乱、敵の少年少女達の目や足を斬り付け隙ができたところを更に死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける。

 突然の奇襲。敵の小中高生達はいきなりの事で最初戸惑っていたが、直ぐに本性を現す。血走った眼で包丁やらナイフやら物騒な物を手に持ち、水心子に相対! しかし、全体を攻撃対象にした|UC《ユーベルコード》『錬成カミヤドリ』を発動した水心子の方に分があるのは火を見るよりも明らか。

 そこで『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』は多勢に無勢の質より量を活かした頭脳戦に打って出る! ある程度の犠牲は厭わずに刃の舞いを潜り抜けて来た!
 目の前に現れたのは男子高校生のリトルシェフ。何故か両手に料理の乗ったトレーを持ち、そのまま視界から消えた。

 ……仕舞った! 水心子がそう思った時、一瞬の隙を突いて他のリトルシェフが足払いをかます。背中から転んだ水心子はつい今し方、視界から消えていた男子高校生のリトルシェフが跳躍し、空中から両手に持ったアップルパイを水心子の口元に無理矢理ねじ込んだ!

 ぐっ! また何か罠を仕掛けた手料理でござろう? 水心子はそう思い、出来るだけそのアップルパイを吐き出した。だが、勢い込んでぶち込まれたそれを全部外に出す事は叶わずに、ほんの少しだけ飲み込み食道から胃に雪崩れ込んだ。味は……普通に美味しい。

 『胃袋鷲掴み』(WIZ)――【完成された美味しくて精のつく手料理】を披露した指定の全対象に【美味しくて幸せ。人生の伴侶にしたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

 ……ああ美味しい。今、拙者はなんて幸せでござろう。人生の伴侶にした――

 だが、しかしそこで意識が戻った。どうやら薬や毒と同様に量が少なければ効果は薄い様だ。

「……チッ! もう一度だ!!」

 敵のリトルシェフズは更に畳みかけて来るが、二度も同じ手を喰らう程水心子は甘くない! 再び複製刀を念力で起動させ、次から次へと敵を斬っていく!

「拙者の勝ちだ。勝負あったでござる!」

 更に残っている相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像で目眩まし背後から斬る、なんて手を使う。

 こうして敵全員を斬撃でねじ伏せ、沈静化させた。

 *


 召喚されしUDC怪物。『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』は全員所々に傷だらけになったものの致命傷に至る程の怪我はなく、後はUDC組織が適切に処遇してくれた。この時、幾つか今回の事件の質問を受け応えした水心子は何だかちぐはぐな言葉で答えた。

 それと氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい水心子は外来語が苦手だ。
 なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ。

 まあ、何はともあれ何者かに召喚されし『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』全員を救えたのは良かったが――

「金輪際、この様な戦い(食事)は御免だな」

 思わずそんな本音が出てしまうのも無理もない水心子だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

飯綱・杏子(サポート)
狩った獲物は持ち帰ってもいいっすか?

|食材《オブリビオン》がヒト型でなければ料理して喰らうっす
ヒト型の食材を料理するときはこちらがヒト型を辞めるのが|マナー《マイルール》っす

リビングアーマーや宇宙船の類だってきっと貝類みたいに美味しい可食部があるし、食器としても活用するっす

悪魔だから|毒は利かない《【毒耐性】持ち》っす。酔うけど。腐敗も発酵もわたしには一緒っす。|熟成肉《リビングデッド》うまうま

|八つ裂きにされても死なない《【切断部位の接続】持ち》っす

同行者の都合で、ヒト型を性的な意味で食い散らかしてもいいっすよ
白子もミルクも大好きっす



「|食材《オブリビオン》がヒト型でなければ料理して喰らうっす。ヒト型の食材を料理するときはこちらがヒト型を辞めるのが|マナー《マイルール》っす」

 |転送《テレポート》した先に待ち受けていた場所。『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』の小中高生達が集うお料理教室を見て目をキラキラと輝かせてそう言ったのは飯綱・杏子(悪食の飯テロリスト・f32261)だ。

 元来、悪食としてその名を馳せて来た彼女、飯綱にとってこれは絶好の機会であった。何せ相手は小中高生達で構成されたリトルシェフズ。一体、どんな料理を提供してくれるのだろう? ワクワクドキドキする。

 今回は食べるだけでなく、自分も料理してみせようとする気概は十分にある。そんな中、一人の中学生男子がやって来てこう宣った。

「お食事の時間です。僕達の手料理を是非とも楽しんでいって下さいませ」
「もちろんっす! リビングアーマーや宇宙船の類だってきっと貝類みたいに美味しい可食部があるし、食器としても活用するっす」
「え~と? リビングアーマーに宇宙船? ……それはクッキングとしてどうなのでしょうか」

 リトルシェフが軽く混乱しているとこ申し訳ないのですが、飯綱の興奮はこの程度じゃ止まらない。

「何なら同行者の都合で、ヒト型を性的な意味で食い散らかしてもいいっすよ。白子もミルクも大好きっす」
「ちょっと仰ってる事に犯罪臭が漂っていますが……お食事の時間です。僕達の手料理を楽しんでいって下さいませ」

 さすがに面食らった中学生男子のリトルシェフ。正直、今回は相手が悪い。唯、気付いた時にはもう遅かった。

 何せ、飯綱・杏子――24歳。女――は蟲毒のグルメさんなのだから♪ 酔った時は……降魔酔拳使いになるのだから!

 ルンルン~♪ と、鼻歌交じりに『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』の手料理を待ちわびている飯綱は上機嫌。
 一方、お食事の時間の給仕に入っているリトルシェフズは――アイツ、ヤバい。これまでの敵とは違う……強敵だ!
 その情報はすぐさまリトルシェフ全員に行き渡る。だが、取り敢えずいつもの作戦通り、お食事の時間を開始する。

 『お食事の時間』(POW)――【美味しくて精のつく手料理】を給仕している間、戦場にいる美味しくて精のつく手料理を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。

 当然だが、その『お食事の時間』の美味しくて精のつく手料理の給仕を喜んで受け入れた飯綱に行動速度を鈍らせる効果は無い。

 あれ……? 何か体が動きにくくなってきた!

 ちょっと~な……によこれ~!

 周囲の【美味しくて精のつく手料理】を給仕してる最中、その歓待を拒否した|猟兵《イェーガー》達に異変が起きる。行動速度が鈍くなってるのだ。

「……ん? 何か他の皆に異常が起きてるみたいっすね。でも、わたしは何も起きてないっすよ?」
「それはあなたが特別な御客人だからですよ。マドモアゼル」

 適当に取り繕う先程の中学生男子のリトルシェフ。口先だけは上手いなコイツ。

「特別な御客人……。良い響きっすね! 俄然食欲が湧いてきたっす!!!」

 ゴォオオオ……! と、何か漫画みたいに飯綱の周囲に見えないオーラが揺らめいている。

 ――オイ! 何かさっきよりも手強くなってるぞ! やる気出させてどうするんだ……!
 ――すんません。ちょっと口が滑ったら、何か勝手に強くなってしまいました。

 リトルシェフズが珍しく焦っている。こんな光景は見た事がない。しかし、このまま強敵。飯綱・杏子――悪食の飯テロリストをやり過ごす事は出来ない。

「あの~さっきから何やってるっすか? 肝心の御飯は?」

 致し方なく、中学生男子のリトルシェフはリタイヤ。ハイタッチして、少し年上の高校生男子が飯綱の相手をする事に。

「はいはい。お待たせしました~♪ こちら、アナタのために作りました。美味しくて精のつく手料理……牛肉のフィレステーキです」

 ――おい、ホントにイケるのか? アレで。
 ――大丈夫よ。これまで何人の|猟兵《イェーガー》達がアレで倒れたと思ってんの?

 急遽、作戦変更。あまりにも飯綱がハイパフォーマンスを発揮してくれそうなので、リトルシェフズも本領発揮。

 鉄板皿の上にジュウジュウいってるそのフィレステーキ。実はこれまでのとは違う。『牛肉』とは大嘘で、どこから調達したのか謎な『リビングデッド』の熟成肉を使用。普通の人が食ったら『猛毒』で体が殺られ、下手すりゃ即死である。
 詰まる所それは……スペシャル~☆ な、要するに殺人ディッシュだ。

「うわお~♪ これは美味しそうっすね! それではいただきます!」

 両手を合わせて合掌した後、周囲の目を気にする事なくその『猛毒』フィレステーキに齧り付く飯綱。

 『アナタのために作りました』(SPD)――【美味しくて精のつく手料理を食べさせる事】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【味の好み】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。

 但し、今回の『攻撃』は致死性の高い『猛毒』である。リトルシェフズは飯綱とは違う意味で合掌する。
 だが……この後、予想外の出来事が待ち受けていた!

 3、2、1――アクション!

「|熟成肉《リビングデッド》うまうま」

 ええええ~!?!?!?!?

 さすがのリトルシェフズもこれにはお手上げである。何せ『リビングデッド』の肉。それも毒がたんまりの熟成肉だ。一体、何がどうしてこうなった!? 見当も付かない。

「ちょっと、そこのアナタ! どうしてそれが『リビングデッド』の熟成肉だと分かってて食べたの? てゆーか何で生きてるの!?」
「悪魔だから|毒は効かない《【毒耐性】持ち》っす。酔うけど。腐敗も発酵もわたしには一緒っす。もっと言えばわたし|八つ裂きにされても死なない《【切断部位の接続】持ち》っす」

 な……!? そんなんあり? ほぼ無敵じゃん!

 だが、それだけ『食』に強く執着心もあるのならばこれは逆にチャンスだ! 最後の一手が奥の手に変わり、一筋の光明がリトルシェフズに差した。

 ちょうどいい具合に酔っ払った飯綱。そうだ……今ならば、必殺の『胃袋鷲掴み』が最高の効果を発揮する筈! それを実行に移す時!!

「……そ、そんなアナタに『完成された美味しくて精のつく手料理』は如何かしら? こちらの料理は私達の至高の一品。金色に輝く『ゴージャス炒飯』ですよ!? 正にアナタの胃袋を鷲掴みする事間違いなし! ……たぶん」
「ワタシの為に作ってくれたアルネ? もちろんいただくアルヨ♪」

 そんなこんなでレンゲを思いっきり例の金色に光る『ゴージャス炒飯』のど真ん中に突き刺し、豪快にすくってがぶり♪ と、一口! 酔った勢いで何の警戒心も無く飯綱はコーションオールグリーンで全部食った。

 『胃袋鷲掴み』(WIZ)――【完成された美味しくて精のつく手料理】を披露した指定の全対象に【美味しくて幸せ。人生の伴侶にしたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

 ……カラ~ン、コロン♪ 思わずレンゲを取り落とした飯綱(何故かその瞬間だけスローモーション)。それを見ていた『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』は思わず息をのんだ。果たして何が待っているのやら……恐怖と困惑、そして僅かな期待が静寂に広がる。

「……ああ、美味しい。何て……何てわたしは幸せなんだろう。この料理を作ったシェフを人生の伴侶にしたいっす」

 酔いもぶっ飛ぶほどの絶大な効果だったらしい。それもそうだ。『胃袋鷲掴み』する金色の『ゴージャス炒飯』を一息で全部胃袋に流し込んだのだから。これで効果が無かったらチートも良い所である。

「やった……でかしたぞ! あのバケモン遂に陥落!!」
「……やったわ!!! やっぱりどんな怪物にも弱点はあるのね♪」

 しかし、次の瞬間にそれはぬか喜びに終わる。あまりにも効果が強すぎて、飯綱の様子がおかしい。

「ああ……人生の伴侶にわたしからもお恵みを差し出すっす! 是非是非、わたしの料理を食べて欲しいっす♪」

 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『失われた料理』(アンブロシア)を発動……!

 【特別な効果を持つオブリビオン料理の香り】で触れた対象に「制約:【温かいうちにたんと召し上がれ】」を宣告する。制約を破るたび、激痛を与える【空腹感】が対象に降り注ぐ。

 そんなん聞いてない……話が変な方向へ転がり込んだ♪

「温かいうちにたんと召し上がれ」

 う、うおわあああああああああ!!!!!
 ぐ、ぎゃああああああああああ!!!!!

 その『失われた料理』(アンブロシア)を拒否した『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』は強烈な『空腹感』に襲われて、激痛で次から次へとバッタ! バッタ! と、倒れていく……!

 そして、飯綱に『胃袋鷲掴み』の効果が消える頃には――全員が『空腹感』で殺られていた。

「狩った獲物は持ち帰ってもいいっすか?」

 果たしてその『失われた料理』(アンブロシア)はどんな味がするのだろうか?

 それを知る者はここにはいなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『洗脳された人達』

POW   :    洗脳された人達を気絶させる

SPD   :    洗脳された人の前に回り込み生贄になりに行くのを阻止する

WIZ   :    洗脳を解く

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●導く先にあるのは『光』か『闇』か?

 『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』との戦いから、一人一人の|猟兵《イェーガー》達は『何らかの理由や要因でUDC怪物の血が混ざった一族』の一人が事件に荷担している事はもう理解出来た。そして事件は終息の一途を辿る事はなく、次に事件の首謀者である何者かが向けた矛先は……人々の『洗脳』である。
 『洗脳された人達』は自我が無く、自然と先程リトルシェフズとの戦いを終えた|猟兵《イェーガー》達の冒険に牙をむく……!

 彼等彼女等の足取りは重く、ひたり……ひたりと邪神の力で生贄の祭壇に向かって行く。
 その『洗脳』は簡単には解けない。だが、『洗脳された人達』をそのまま野放しにして生贄にして良い筈もない。

 何とか人々を正気に戻し、また似た様な事件を起こされるのを阻止しつつ今回の事件の首謀者は何者なのか?

 それを問い質す必要がありそうだ。

 果たしてその先にあるのは……『光』か『闇』か?

 答えは目前に迫っている!
水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像で目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ



「ふむ。りとるしぇふの次は今回の事件の首謀者に洗脳された人達の『洗脳』を解く事だな。これはまた、前の事件とは打って変わって難解な仕事だ」

 それと外来語が苦手だ。……そんな事を呟いたのは、曲者軍団の『『パパ活邪神教団・候補生』リトルシェフズ』との駆け引きに見事打ち勝ち、返り討ちにして見せた水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)だ。

 あの時はリトルシェフズのカレーライスとアップルパイに文字通り一杯食わされた水心子だが、技能スキルと|UC《ユーベルコード》を駆使して、皆を窮地から救ってみせた。

 どうしても刀(本体ではない。本体は佩いているが抜刀することはない)でのパワープレイになってしまいがちな、水心子。今回の相手は洗脳された人達が相手なので、剣だけではなく言葉での説得も必要になる。

 氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい水心子は、なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ。

 唯、今回は前回みたいな催眠作用と幻覚作用みたいな事を喰らう事は無さそうだ。そこ等辺は警戒しなくても良いが、問題なのはこの目の前を歩いていく洗脳された人達をどうやって正気に戻すか? 下手を打つと、変に刺激して戦う事を余儀なくされる事態になるかもしれない。

 何がきっかけで戦闘になるのか分からない。そこが難しい所だ。

「水心子真峰、推参。さて、真剣勝負といこうか」

 取り敢えず洗脳された人達の先頭を歩く人だかりを遮る様にして、若武者の彼女。水心子は一言だけの前口上を述べる。

 当然、洗脳された人達がそれを聞いて、はい。そうですか。こちらこそ宜しくお願いします――等と応じる筈もない。
 『洗脳』を受けた人々は朦朧とした意識の中……唯、黙々と前進あるのみ。
 彼等彼女等が向かう先は今回の事件の首謀者が指定した場所。生贄の祭壇だ。これは予想以上に骨が折れそうだと水心子は思った。

「……君達、皆聞いてくれないだろうか! 私は|猟兵《イェーガー》の一人。水心子真峰と言う! ここから先は危険だ。君達は事件の首謀者により『洗脳』されている! このままだと、生贄の祭壇でその大切な命を捧げる事になるぞ……!!!」

 水心子は太刀のヤドリガミだ。だからこそ『洗脳』された人達とどこかしら共通点が見つかると思い、必死になって声をかける。

「……んん? それはどういう事だ? 私は自分の命を捧げる気など毛頭ないのだが?」

 その思いが通じたのか……? 一人の初老の男が水心子の言葉に応じてくれた。だが、少し様子が変だ。

「おかしい。自分で声をかけておいてこう言うのも変だが……あの老人は本当に『洗脳』されているのか?」

 『洗脳』とは冷静に客観的な視点を持っている第三者が何言っても通用しないから『洗脳』と言える訳で、たった一人だけとは言え自分が発した言葉に落ち着いた物腰で耳を傾ける事等、本来あり得ない。

 水心子は不気味に思い、思わず身構える。するとその初老の男は――ホッホッホ♪ と、口元の白い髭を軽く揺らし、緩み切った笑いを浮かべる。

「若武者よ。まあ、そう急くな。……お主。|女子《おなご》にしては中々に良い筋をしておるな? 恐らく戦闘のプロじゃろ?」
「……どうしてそれを? 『洗脳』されているのか、いないのか? 言葉が通用するのは何かの罠でも張っているのか? まずは名を名乗れ!」

 ホッホッホ♪ 最近の若者は威勢だけは良いのう。と、謎の白髭爺さんは前置きし、名乗る。

「私の名は『コルドヴァン』と言う。よ~く覚えておけ? これでもここいらじゃ名の知れた格闘家じゃ♪」
「名の知れた格闘家……だと? それで? コルドヴァンとやら、君はここで列を成している『洗脳』された人達とは一線を画している様だな。私としてはこのまま無難に協力関係を仰ぎたいのだが?」
「……ホッホッホ♪ それは御尤もな意見じゃろうな。だが、私もお主同様『武士』……とは言わないが、『拳闘士』の血筋が流れてる云わば『武人』の一人だと心得ている。それで一つ提案じゃ水心子真峰とやら♪ この私、コルドヴァンと組み手をしてはくれないか?」
「組み手……だと?」

 どうも目の前にいる相手。コルドヴァンは『洗脳』された人達とは異質な空気が流れていた。能天気な口調の中にどこかしら陰りのある不気味な雰囲気を併せ持つ、得体のしれないオーラ。だが、それは彼自身の中にいる『|野獣《ビースト》』を大人しく閉じ込める対抗措置。

 能ある鷹は爪を隠す――だが、水心子には分かった。目の前に立ち塞がるは難敵だ! ……と。

 まるで自分の本性を覚られない為の……『拳闘士』の修行途上で修得した『武人』の|誇り《プライド》。

「ああ、そうじゃ。私はつい先ほどまで何者かの『洗脳』を受けていたのじゃが……どういう訳か正気に戻った様での。ちょいと組み手をして、本来の自分なのか確かめてみたくなったのじゃ」
「……ふん。口が達者だな。それは最初に私が名前を名乗ってからじゃないのか?」
「ホッホッホ♪ なぜ……そう言い切れるのかな?」
「私はコルドヴァンの『洗脳』が解けた後に自分から名前を名乗った覚えは無いぞ」

 ホッホッホ♪ これは失礼した。ちょっとした『おやじぎゃぐ』じゃ。全く最近の若者は頭がキレて敵わんのう――そんな事を宣いながらコルドヴァンは組み手の姿勢に入る。

「どこからでもかかって来なさい。何、組み手とは言っても武器、技の使用はありじゃ! 心配せんで良い」

 すぅ~……はぁ~……。と、気合を入れて呼吸を整えると水心子も若武者から武士にスイッチを切り替えた。彼、コルドヴァンと組み手をして倒せば今回の事件。謎の首謀者の正体に迫り、有力な情報を得られるかもしれない。

「そうとくれば……拙者。全力で立ち向かうでござる! 戦うときは錬成カミヤドリの一振りか、鞘が超硬質で抜かない脇差静柄や茶室刀を使うぞ」

 正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな。早々に片付けるのが得策だ――相手がどれだけ名の知れた格闘家……『拳闘士』の血筋が流れてる『武人』だとしても、負ける訳にはいかない。それに水心子は|猟兵《イェーガー》だ。それなりに自信があった。

 何せ相手は素手で、こちらは本体を抜くことは無いとは言え得物を翳している。戦闘が長引いてこちらの太刀筋を見破られるのだけは避けたい所だ。
 それと、まだ『洗脳』が解けていない人達の行列も足止めをする必要がある。

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『錬成カミヤドリ』を発動!

 自身が装備する【自分の本体(器物)】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
 戦闘中に太刀(自分)を使う時は必ずこの複製版を使用。本体を抜くことは無い。

「ホッホッホ♪ これは面白いものをお持ちじゃな♪」

 乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける。

「……くっ! 貴殿、やるでござるな? 拙者の複製刀の束。『錬成カミヤドリ』を紙一重で躱していく芸当。伊達に『拳闘士』の『武人』を名乗るだけある!」

 水心子の言葉通り。他の『洗脳』が解けていない人達は兎も角、例の格闘家。コルドヴァンは水を得た魚の様に軽いステップを刻み跳躍。『錬成カミヤドリ』の複製刀の束。その攻撃をひらりひらりと避け続ける……!

 まるでコルドヴァンだけ、360度に視界が解き放たれているかの様な錯覚さえ覚える。しかし、負けてはいられない。水心子は次の攻撃に移る!

 相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像で目眩まし背後から斬る、なんて手を使う……!

「やったでござる……!」
「……何の!!」

 キン! ……バシン!!

 水心子の背後からの一撃。確実に決めたと思った。その刹那……爺さんコルドヴァンの眼光が鋭く光る。
 何と、信じられない事に水心子の残像をその目で読み取ったコルドヴァンはそのまま姿勢を反転し、複製刀の刀身を両手で挟み込んだのだ。
 所謂、真剣白刃取りと言うヤツである……!

「ふむ♪ その動きからして合格点じゃな」
「な……!? まだ、勝負は終わっていないでござる!」
「ホッホッホ♪ 若武者……いや、武士の一人よ。お主がそう思うのならば、そうなのだろう。じゃが、この老いぼれ相手に同士討ちする気か? 私とお主はほぼ互角じゃろ?」

 コルドヴァンの言う通り、力の差は肌で感じた。唯、その力量の差はあとほんの少しだけの紙一重の差。

「一体、拙者には……何が足りないのでござろう?」
「何、簡単な事じゃよ。水心子真峰……お主の実力は本領を発揮すれば私よりも上。だが、それを阻害している『気の迷い』があると見た」
「『気の迷い』……でござるか」
「そう。もう少し分かり易く言えば、『狡さ』だ。真剣勝負に徹するならば、時に自分よりも強大な敵と戦う事もある。そんな時に敵との間で『ふぇあー』な関係でいよう等とは思わぬ事じゃな。その『気の迷い』がお主の剣を鈍らせるのだ」

 齢のせいかコルドヴァンも所謂外来語が苦手の様だ。『ふぇあー』とは『フェアー』の事。この場合、戦いにおいて公正な判断を下す事だ。

「『気の迷い』に『狡さ』……それを邪魔しているのが拙者の中にある『ふぇあー』な精神でござるか」
「そうだ。……さて、私との組み手に付き合ってくれたお礼じゃ。何か聞きたい事があるんじゃないかの?」
「……貴殿の『洗脳』をしていた人物。その名前や特徴を覚えているでござろう? 是非とも教えて欲しいでござる」

 ふむ。私を『洗脳』していた人物の事か。久方ぶりの強者との組み手に夢中でそこまで頭が回らんかったわい。私も齢だな……等とうなじの辺りをボリボリ掻いて、コルドヴァンは思い出す。

「そうじゃったそうじゃった。奴は何かに憑りつかれた様に用心深い。そして……恐らく、自身の狂気に耐えきれんかったのかもな。自分の『UDC怪物の血』とやらを恐れて周囲にいた人物。私も含めた敵味方誰彼構わずその力を解放してしまったんじゃ。その一つが『洗脳』だったのかもしれん。しかし……じゃ。もしかしたら奴自身が『UDC怪物の血』に『洗脳』された一番の被害者だと私は見ている」

 『UDC怪物の血』……それ自体が今回の事件の|引き金《トリガー》であり、その|引き金《トリガー》を引いてしまったのが事件の首謀者。何やら今回の事件の全貌は本人が望んでいない結果を生んでいるのかもしれない。

「……ふむ。そうだったのでござるか」

 それを聞いて少しだけ得心した水心子は『茶室刀』(護身用の短刀代わりに差す室内木刀。見事な彫刻が施された一品)を何気なく取り出し、コルドヴァンの背後からそのまま殴りつけた。

 ポッカ――――ン!

「痛い……!!! 何するんじゃ!」
「言ったでござろう? 勝負はまだ終わっていないと。それに拙者の『気の迷い』である『ふぇあー』な精神が勝負を決める『狡さ』の邪魔をしていると説いたのは貴殿でござるぞ」
「……ぐぬぬぬ。確かに! だが、訂正じゃ! 今のは組み手の内に含まれない! それでお相子!」

 その言葉に思わず吹き出した水心子。どうやら今回の勝負はお預けの様だ。

 まあ最後は大体直接斬るがな。

成功 🔵​🔵​🔴​

風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ヴァンパイアを狩るため、あるいは次に狩るべきヴァンパイアの手掛かりを得るためにここにいる。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。


クローネ・マックローネ(サポート)
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

基本は一般人の安全を優先で♪
多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪
他の猟兵に迷惑はかけないよ♪
シリアスな場面では状況の解決を優先するよ
コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪
えっち系・状態変化系もばっちこい♪
絡みOK、NG無しだよ★

UCは状況に応じてMS様が好きなのを使ってね★

後はMS様におまかせするね♪
よろしくおねがいします★



「【世界知識】としてダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになるが、すぐに慣れるだろう」

 場所は『UDCアース』の今回の事件。『UDC怪物の血』を受け継いだその首謀者が何らかの理由で人々を『洗脳』して、その『洗脳された人達』が列を成して徘徊しているとある路地。
 そこの大通りにて、ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する風雷堂・顕吉(|吸血鬼《ヴァンパイア》|狩人《ハンター》・f03119)が『洗脳された人達』の行く先にある生贄の祭壇へと辿り着くのを何とかして阻止すべく、立ち塞がる。

「風雷堂ちゃんに迷惑はかけないよ♪ 基本は一般人の安全を優先で♪ 多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪」

 そしてもう一人の女|猟兵《イェーガー》が同行。その名はクローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)だ。
 もちろん彼女も風雷堂同様、この目の前に群れて意思無き行列を作る『洗脳された人達』を救出する為に様々な脳内レスキューをイメトレして、準備万端だ。

「クローネ、それは頼りになるな。約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。ヴァンパイアを狩るため、あるいは次に狩るべきヴァンパイアの手掛かりを得るためにここにいる」
「もっちろんだよ! こっちとしても頼りにしてるからね♪ 風雷堂ちゃん♪ 今日はよろしくおねがいします★」
「ああ。さて……と、前置きはこの辺にしておいて、俺とお前がこの何者かに『洗脳された人達』をどう引き止めるか……だが、何か妙案はあるか?」

 風雷堂の一言に笑顔を絶やさずにクローネは答える。果たしてどんな対策を講じるのか?

「この現場に来てから思ったんだけどね♪ 良い方法があるんだよ!」
「……ほう。それはどんな作戦だ?」
「えっちなコスプレして悩殺すれば『洗脳』なんてちょろいんだよね★」

 コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪

「えっち系・状態変化系もばっちこい♪」

 クローネは自信満々でウンウン頷く。その言葉に一瞬凍り付いた様に唖然とする『もう百年も吸血鬼を狩り続けている狩人』の風雷堂。

「……却下だ」
「え~? 良い作戦だと思うんだけどな★ クローネちゃんのえっちなコスプレ姿見たくないのかな? 風雷堂ちゃん♪」
「そういう問題じゃないだろう。俺がお前の(えっちな)コスプレ姿を見て喜ぶかどうか……は置いておいて、そんな簡単にこの『洗脳』が解けるとは思えない。そもそもその策略は男にしか効かないだろう」
「……あ、そうか♪」

 ポン! と手を打って風雷堂の言葉に納得がいったクローネ。
 一方、風雷堂はガクッ! と肩を落とし、なぜか精神的なダメージをありもしないのに喰らっていた。内心で思わず呟く。コイツ……大丈夫か?

 しかし、そんな平和ボケに似た一時もそう長くは続かない。少しずつ……。だが、確実に『洗脳された人達』は『生贄の祭壇』に向かって距離を縮めているのだ。

 何か良いアイディアは無いか? 実はこの事態は結構難題だ。明確な敵が存在しないから対症療法も一つに限定出来ない。
 こんな時に『オブリビオン』の様な『UDC怪物』。分かり易い標的が出現すれば、こちらとしてもシンプルに片付けるだけで済むのだが……。

 ――その時だ。何者かの気配を2人は察知した。明らかな敵意ある視線……!!

「ウフフフ♪ ようこそ『生贄の参道』へ! ワタクシ、手品師『K・F・K』と、物申す。我が主にしてその忠実な|僕《しもべ》★ そして、ここにいる『洗脳された人達』の中で、唯一新しい自我に目覚めた特別な存在。それがワタクシデスね★」

 呆然とそいつを見つめる。風雷堂。
 キョトンとしている。クローネ。

 男女の|猟兵《イェーガー》コンビは同時に思う。あいつ……何?

「ちょっとちょっと! 反応薄いな~★ ここはもっとこう……打ち上げ花火みたいなド派手なリアクションかましてくれないと! まあ、夏だし?」

 手品師『K・F・K』? そんな奴、さっきまでここにいたのか?

 思わずクローネにアイコンタクトでそう尋ねる風雷堂。

 え……え~と、そんな事言われたってクローネちゃんも分からないんだよ!

 思わず風雷堂にアイコンタクトで返す、クローネ。

「アッハッハッハ! どうやらどうやらこの手品師『K・F・K』の見目麗しいご登場に面食らって吃驚したのかな? だけどここで終わりじゃない。ショーは始まったばかりデスね★」

 何かピエロみたいな恰好した不思議な道化師が意味わからん事言ってる。

「なあ、お前。手品師K……え~と。なんたらつったか? さっきの華麗な登場シーンに言ってた『我が主にしてその忠実な|僕《しもべ》』ってのはここにいるお前も含めた『洗脳された人達』の事で、『主』は今回の事件の首謀者であってるのか?」

 今度は風雷堂がその謎の道化師に直で尋ねた。目の前にいるそいつに言葉が通じるのかどうか怪しいが。

「手品師『K・F・K』! ここアンダーライン引いてちゃんと覚えてね? |試験《テスト》に出るよ♪ ……それとお前のその質問に正直に答えよう。答えはYESデスね★」

 ビンゴだ。この目の前にいる道化師=ピエロを締め上げれば、単純に『UDC怪物の血』を受け継いだ首謀者の正体を吐くかもしれない。風雷堂は心の中で笑った。

「あの~……それならどうして手品師『K・F・K』ちゃんだけ、『洗脳された人達』の中で、自我に目覚めたのかな?」

 質疑応答は続く。次に聞いたのはクローネだ。もう既に風雷堂の中で敵認定された事に気付いていない手品師『K・F・K』は嬉しそうにウンウン頷いた。

「良い質問デスね★ ワタクシ、これでもマジシャンデスので……『洗脳』されても自我を残すくらい容易い事デスね★ ですが、あくまでもワタクシは主の忠実な|僕《しもべ》。この『生贄の参道』の先にある『生贄の祭壇』に他の『洗脳された人達』を誘導するのがワタクシの役目デスね★」

 う~ん……クローネちゃん達はその『洗脳された人達』を何とかして『生贄の祭壇』に行くのを阻止するのが役目だよね★ だとしたら、この目の前に出てきた手品師『K・F・K』ちゃんは敵で合ってるのかな? でも、手品師『K・F・K』ちゃんも自我が残ってるだけで……『洗脳』されてるのに変わりはないんだよね★

 心根の優しいクローネは頭がパンクしそうになる。だが、そこに風雷堂の少しスパルタな教育指導が入る。

「奴を叩くぞ。クローネ。もしかしたら今回の事件の首謀者の話が聞けるかもしれないだろう?」
「|了解《ラジャー》★ 風雷堂ちゃん♪ 絡みOK、NG無しだよ★」

 それを聞いた手品師『K・F・K』はピクッ! と眉を寄せた。何やら彼にとって癇に障る発言だった。当然だけど。

「……ほほう! このワタクシを倒すと聞こえましたが? お前達、例のどこかからここに|転送《テレポート》されてきた|猟兵《イェーガー》デスね★」
「話が早くて助かる。その通りだ。もし、お前がお前も含めた『洗脳された人達』の首謀者の情報を吐いてすぐさま『洗脳』を解き、回れ右して帰ってくれればこちらとしても楽に片付いて良いんだがな」
「クローネちゃんも風雷堂ちゃんの意見に賛成だね♪ 特にこれだけの数の『洗脳された人達』を無事に生きて帰すには『キャバリア』が必要になるのかな?」

 完全に相手(手品師『K・F・K』)をこの事件の首謀者に操られた可哀想な人――つまり、格下として見ている風雷堂とクローネ。
 当然その言葉にカチンと来たのは手品師『K・F・K』だ。このまま風雷堂とクローネを生きて帰す訳にはいかない……!

「……ウフフフ♪ どうやらこの手品師『K・F・K』の実力を心底侮っているみたいデスね★ 良いでしょう! お前達|猟兵《イェーガー》男女2人組もワタクシ達と同じ『生贄の祭壇』にその供物を捧げて上げましょう」

 ――よし。挑発に乗った。自前のサングラスを光らせ、風雷堂は心の中で思わず強かに笑う。

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『抜刀術の極意』を発動!

 【日本刀】を自身の【鞘】に納めている間、0秒攻撃もしくは自動反撃が可能。使用後は再び納める必要がある。

「……ん? 今、何かしましたか――」

 手品師『K・F・K』がそれ以上言葉を発する前に【日本刀】の『|小竜公《ドラクリヤ》』(鉄塊の如き鎧砕きの刀です。銘は|小竜公《ドラクリヤ》です)の0秒攻撃が火を噴いた。あっという間に手品師『K・F・K』のやたらと派手な服だけが斬撃により切り裂かれ、本物の|道化師《ピエロ》と化す。

「キャ――――! ワタクシの大事な衣装が……!!」

 女みたいな一オクターブ高いソプラノ調の悲鳴を上げる手品師『K・F・K』。裸となった彼は一気に先程までの脅威が消え失せる。股間を中心に大事な部分を両腕を器用に使い、隠す。

「さっきまでの自信はどこ行ったんだ? お前。戦闘は剣士の動きだ。俺は次に攻撃参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。……ホラ!」

 風雷堂がそう言って親指で指し示した先を手品師『K・F・K』は思わず見る。そこには予告通り、女|猟兵《イェーガー》のクローネが戦闘準備に入っていた……!

 ――よし♪ 挑発に乗ったね★ ブラックタールの死霊術士×シャーマンのクローネは思わず素の状態で笑った。|UC《ユーベルコード》は状況に応じて好きなのを使っていくね★

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『ワタシのキャバリア操作術』(ブラック・キャバリア・リモート・コントロール)を発動!

「クローネちゃんが乗っていなくても、キャバリアを動かす方法はあるんだよね★」

 【召喚魔術や|超能力《サイキック》】によって、自身の装備する【キャバリア】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。

「シリアスな場面では状況の解決を優先するよ。後は『キャバリア』におまかせするね♪」

 クローネの『キャバリア』――PSY-C『|黒御姉《クローネ》』が大暴れ!

 凡ゆる武装を召喚し使いこなすという、変型合体機構付き人型サイキックキャバリアのPSY-C『|黒御姉《クローネ》』は素早く『洗脳された人達』の前に回り込み生贄になりに行くのを阻止。そのままパワープレイで気絶させたりして『洗脳された人達』を回収していく……!

「……後は『洗脳』を解くだけだね♪ どうするの? 風雷堂ちゃん★」
「手品師『K・F・K』に聞くしかないだろう」

 どうやって口を割らせるのか風雷堂は淡々とクローネはお茶目に残酷な会話をし始めた。

「わああああ~! 分かった分かりました! ワタクシ全部吐きます! だからここは穏便にデスね★ 宜しくお願い致します……」

 こうして裸の|道化師《ピエロ》は白旗を掲げた。

 *

「事件の首謀者は何かに憑りつかれた様に用心深いのか。だからこそ自分の狂気――『UDC怪物の血』が流れ、それが開放されるのを恐れた」
「そして制御するのに遂に耐えきれなくなって……その手品師『K・F・K』ちゃん達を『洗脳』して今回の事件を引き起こしたんだね★」

 どうも手品師『K・F・K』の話の筋道を辿るとその様な答えになるらしい。

 つまり、今回の事件は意図的に引き起こされた訳ではなくあくまでも『UDC怪物の血』が暴走したと捉えるべきだろう。

 首謀者は『悪』ではない。寧ろ……被害者?

 風雷堂とクローネが導かれし先にあるのは『UDC怪物の血』という『闇』だ。だが……その先に『光』はある。

「……ふん! 中々有力な情報を得られた。やるな手品師『K・F・K』」
「クローネちゃんも同じ気持ちだよ★ 後は『キャバリア』のPSY-C『|黒御姉《クローネ》』を操作して、UDC組織にここにいる『洗脳された人達』を引き渡すだけだね♪」

 こうして風雷堂とクローネは『洗脳された人達』を保護。UDC組織に無傷で返す事に成功した。

「……あの~。出来ればワタクシの『洗脳』……と言うかこの格好も何とかしてくれませんか? へっくしょん!!」

 たった一人。丸裸の手品師『K・F・K』だけを残して……。風雷堂とクローネは微かな希望の『光』を目指して歩き出す。

「……そう言えばあいつ。手品師『K・F・K』の『K・F・K』って何だ?」
「クローネちゃんにも分からないんだよね★ 手品師だから種も仕掛けもないんだよ! きっと♪」

 今回の事件。最大の『謎』はそんな所にあったが、もう既に風雷堂とクローネの頭の中にその記憶はない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メリー・ドール(サポート)
「私メリー、助太刀に来たの!」

 ミレナリィドールの殺人鬼×悪霊、12歳の女です。
 都市伝説〝メリーさんの電話〟を元として生まれた人形の怪異。
 純粋無垢な少女のように無邪気に、かつ残酷に振る舞う。
 口調はステシ参照。最初に「私メリー」と言うのが口癖。
 戦闘方法としては包丁や首切り鋏で【切断】したり、電話を用いて【呪詛】【音響攻撃】など。


 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「私メリー、助太刀に来たの!」

 どこかからホラーな気配。それは都市伝説〝メリーさんの電話〟を元として生まれた人形の怪異。
 ミレナリィドールの殺人鬼×悪霊、12歳(現13歳)の女です。

 本当は寂しがり屋なメリー・ドール(怪異・メリーさんの電話・f44614)だ。

 唯、最初に「私メリー」と言うのが口癖。でも、純粋無垢な少女のように無邪気に、かつ残酷に振る舞う。

 そんな美少女メリーの言葉通り、今日は『洗脳された人達』を正気に戻す為に助太刀に来てくれた。

「私メリー、本当にここにいる人達皆、誰かに『洗脳』されてるのよね……?」

 ……クヒャハハハ♪ その通りだ女|猟兵《イェーガー》!

 どこかから声だけが聞こえる。その方角を何気なくメリーは見ると、一人だけ異質な雰囲気を纏った男がいた。

「私メリー、あなたは何者? もしかして……今回の事件の首謀者なのね」
「おいおい俺をあんな奴と一緒にしないでくれよ。俺も奴に『洗脳』された犠牲者の一人なんだからさ♪」
「私メリー、『洗脳』された犠牲者? でも、あなただけ明らかに会話が成立しているわよね? どういう事なの」

 フフン! と軽く鼻であしらい、その蝙蝠みたいな黒いジャケットを羽織った男は宣った。目元にはモノゴツイ派手なサングラス。

「俺の名前は『|B・D《バッド・デビル》』! ええ。ちゃ~んと奴の御託宣。『洗脳』とやらを喰らいましたよ?」
「私メリー、それ本名じゃないよね? それに好い加減な事を言わないでよ。『洗脳』された様には見えないのよ。あなた」
「まあまあ落ち着けっての! メリーさん? 人の話を聞け。俺はな、奴に対して特別な憎悪を抱いてたんだ」

 ……ぴくっ! と、メリーの眉根が寄る。

 今回の事件の首謀者に対しての特別な憎悪。それがこの目の前にいる人物を……通称『|B・D《バッド・デビル》』に変えた。

「私メリー、今回の事件。その首謀者に対しての憎悪? それって何なの?」
「答えは当然。本当はお前も薄々感じてるんじゃないのか? 『UDC怪物の血』だ!」

 『UDC怪物の血』――今回の事件の核。その元凶。その恐るべき力によって、事件は引き起こされた。

「私メリー、『UDC怪物の血』がどうしてあなたの怒りを買うのよ。それにあなたを『|B・D《バッド・デビル》』に変えた理由が分からないのよね?」
「フフフ……鈍いな~メリー。何で奴が特別扱いされ、俺はモブキャラなんだ? そこにはこの世に生まれ落ちてからの明確な違いがあるじゃないか」
「私メリー、『UDC怪物の血』なのね」
「その通りだ! 奴には『UDC怪物の血』が確かに流れている! そしてこの俺にはそんなものはない! だからこそ俺は奴を憎んだ! もしも俺に『UDC怪物の血』が流れていれば……この世は俺の思いのままに動いていた筈なのに……!」

 『洗脳』を通り越して、精神が崩壊。自分に『洗脳』を仕掛けた首謀者に憎悪だけが膨張し、悪人へと成り果てた。それが『|B・D《バッド・デビル》』の正体。

「私メリー、今ならまだ間に合うよ。あなたから降参すれば……今回は許してあげる」
「降参? 何の冗談だ? 俺はこれから『|B・D《バッド・デビル》』としてこの『洗脳された人達』を生贄に捧げた後、奴に奇襲を仕掛けるんだ! 本物の悪魔はこの俺だってな……!」

 過去の自分を捨てて、『|B・D《バッド・デビル》』として生きる事を望んだ。そんな哀れな男にメリーは深い溜め息を吐いた。

「私メリー、……そうなの。なら仕方ないのよね? あなたとなら少しは通じ合うものがあるかと思ったのだけど」
「ほーう。言うじゃねえか! この『|B・D《バッド・デビル》』様にそんな口を利くとは良い度胸だ。何なら俺の最初の配下にメリー。お前を指名してやっても良いんだけどな!」
「私メリー、残念だけど……それには及ばないわよ」
「ハッハッハ! 随分強きじゃねえか。どういう意味だ? それは――」

 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『怪談:メリーさんの電話 type:A』(コール・オブ・メリー・タイプ・エー)を発動!

「私メリー、今あなたの後ろにいるの」

 突如、そのどこかくぐもった声に全身に怖気が走る『|B・D《バッド・デビル》』。恐怖で言葉が出ない。ふと気付いた。さっきまで会話していたメリーの姿がない。消えた? ……いや、違う。答えはもう出ている。しかし、体が硬直して動けない。振り向こうとしても、その先に待っている静かな殺意に向き合える勇気が出ない。

 【電話を通した音声】を向けた対象に、【その背後に転移し、包丁による近接攻撃】でダメージを与える。命中率が高い。

「私メリー、さっきまでの威勢はどうしたの? 【|B・D《バッド・デビル》】さん。あなたが本当の悪魔なのよね?」

 そして……遂にメリーの残酷なショータイムが幕を開けた。

 戦闘方法としては包丁や首切り鋏で【切断】したり、電話を用いて【呪詛】【音響攻撃】など。

「うわああああああ!!!!」

 敵『|B・D《バッド・デビル》』が自身のプライドをかなぐり捨てて逃げ出す。その背中に包丁を投げて刃を突き立てると、奴はずでーん! と、間抜けにこけた。

「私メリー、どこへ行くのよ『|B・D《バッド・デビル》』さん? あなたの敵はここにいるのよ」
「ひえええ……! 怖い! なあ、頼む。俺だってまだ死にたくない! ここは見逃してくれないか?」
「私メリー、残念だけど……敵であるあなたの願いを聞く程、|猟兵《イェーガー》として職務怠慢ではないのよ」
「な、なら! 俺と手を組もうメリー……! 俺達がタッグを組んだらきっと『UDC怪物の血』だって超えられる! ……な!?」

 その言葉で一瞬、メリーの動きが止まる。

 目の前の敵。『|B・D《バッド・デビル》』と手を組んで『UDC怪物の血』を超える。やがてそれは世界を脅かす力に……。

「私メリー、今あなたの後ろにいるの」
「!?」

 だが、もう答えは出ていた。もう一度、奴――『|B・D《バッド・デビル》』の背後に回り込んだメリーは容赦なく『首切り鋏』を用いて敵が振り向く前に切断した……!

 真っ赤な血で染まったそれはアンティーク風のオシャレなデザイン、でも切れ味抜群の巨大な鋏。

「私メリー、情報はある程度引き出せたの。だからもう、この『|B・D《バッド・デビル》』を名乗る男に用はないのよね?」

 仲間のUDC組織が『|B・D《バッド・デビル》』の遺体を少し吐き気を堪えながら片付けていく。そんな最中にもメリーは自分に言い聞かせる。

「私メリー、でも本当は『|B・D《バッド・デビル》』さん。あなたの答え次第では……友達になりたかったのよ」

 寂しがり屋なメリーは本音を吐露し、その場から去って行った。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 集団戦 『希望の信仰者』

POW   :    『希望』は全てを解決してくれる
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【希望への渇望】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
SPD   :    『絶望』は殺すしかないよね
【一般人への擬態】を脱ぎ、【狂信的殺人鬼】に変身する。武器「【文房具や調理器具などの日用品】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。
WIZ   :    これは高かったんだからね!
200G(万円)相当の【怪しい通販で買った召喚石】をx個消費し、ランダムな強さ・外見を持つ【邪神】族の【集団型オブリビオン】をx体召喚する。

イラスト:安子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●『UDC怪物の血』、その狂気。解放者。

 『洗脳された人達』の一部からどうにかこうにかして今回の事件。『UDC怪物の血』を暴走させた首謀者の居所を突き止めた|猟兵《イェーガー》達。
 そして、現場へ向かうと……そこでは最後の手段に出た(耐えきれなくなった)事件の元凶。鍵となる人物がその力をまたしても暴走させてしまった!

 それは『希望の信仰者』。

 一見すると一般人の様であるが、その狂気性は計り知れない。何せ『UDC怪物』だ。油断は出来ない。
 今回の事件の首謀者はとても用心深く、自身に宿る『UDC怪物の血』。その狂気に晒されながらも何とかして、事件発生まで持ち堪えてきた。
 その人物の正体はまだ明かされていないが、この戦いを終わらせれば……事件の真相を暴く事が出来るだろう。

 唯、今言える事。それは『希望の信仰者』を野放しにせずに戦い殲滅しこのどす黒く色の無い世界。『闇』に縁どられた中に微かにある『光』を取り戻す事。……それ即ち、事件の首謀者。『UDC怪物の血』を自分の意図してない形で発生させてしまった最後の被害者を真に救う事だ。

 『希望の信仰者』はその『光』を『闇』に塗り潰して仮初の『光』で、この世に希望があると説くが……騙されてはいけない!

 この戦いは事件の元凶である『UDC怪物の血』を持つ首謀者(被害者)を敵の魔の手から救う事にある。
 そうでもしなければ事件は迷宮入りになってしまうだろう。

 『UDC怪物の血』を持つ首謀者(被害者)は最後の解放。『UDC怪物』である『希望の信仰者』を召喚後、意識があれば自分の命を狙われながらも|猟兵《イェーガー》達に何かしらサポートに回ってくれるかもしれない。
 その助言を活かすも殺すも、信じるも信じないも|猟兵《イェーガー》である君達次第だ。

 そして『UDC怪物の血』を持つ首謀者(被害者)を生きて取り戻す事が出来れば……今回の事件。

 『UDCアースの謎』の真相を無事に解決する事が出来るだろう。
リカルド・マスケラス(サポート)
『正義のヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
NPCに憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能

接近戦で戦う場合は鎖鎌の【薙ぎ払い】と鎖分銅の【ロープワーク】による攻撃がメイン
遠距離戦では宇宙バイク内臓の武装で【薙ぎ払い】や【一斉発射】。キャバリアもあります
その他状況によって魔術的な【属性攻撃】や【破魔】等使用

猟兵や戦闘力のあるNPCには【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる
また、無力なNPCが大人数いる場所での戦闘も彼らを【仮面憑きの舞闘会】で強化して戦わせつつ身を守らせることも可能。



「ウェーイ、チャラにちわ~っすよ」

 今回の事件の再終幕。それを演じるのは既に『UDC怪物』を解放させ、意識を失いかけた事件の首謀者。
 未だ謎に包まれた人物に憑依したリカルド・マスケラス(希望の|仮面《マスカレイド》・f12160)だ。

「うふふふ~ん? あなた|猟兵《イェーガー》ね? ……私達の召喚者。『UDC怪物の血』を持つその子をどうするつもりかしら?」

 『UDC怪物』である『希望の信仰者』の狂信者集団はニッコリ笑う。場所はどこかの工場跡地。廃墟と化した戦うにはうってつけの場所だ。

「どうする……? いや~。それは敵に教える訳にはいかないっすね。正義のヒーローの登場っすよ~」

 事件の首謀者は自身の狂気に晒されながらも必死で持ち堪えていた。これまで様々な事件を引き起こしたが、云わば被害者だ。
 しかも……その正体はまだ年端もいかない少女だった。

 チャラ男のリカルドはこれでもヒーローマスクの忍者×スターライダー。かつては絶望を振り撒く殺戮者を生み出す呪いの仮面だったが今は違う。
 基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地にいたその少女から身体を借りたのだ。そういうこともある。
 その少女『ココロ』に憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能。
 装着者の外見は藍色の髪にオレンジの瞳。

 つまり、今の少女『ココロ』に憑依したリカルドは戦闘体勢準備万端という訳だ。

 しかし、それを敵である狂信者集団『希望の信仰者』が黙って見過ごす訳もない。

 ジリジリと両者は間合いを少しずつ詰めていき……戦いの幕が切って落とされる!

 接近戦で戦う場合は鎖鎌の【薙ぎ払い】と鎖分銅の【ロープワーク】による攻撃がメイン。両者の間が近付いた瞬間にリカルドはその二つの特性を活かし、敵の狂信者集団『希望の信仰者』を捕縛して空中から叩き落としたり、鎖鎌の【薙ぎ払い】を応用して鎌鼬の様に切り刻んだりして着実にダメージを与えていく!

 しかし、敵はまだ余裕を見せていた。何せこちらはあくまでも一人(憑依している少女『ココロ』を含めても二人)に対して、敵は複数いる。

 遠近両方の戦闘に対応した『鎖鎌』でも、ある程度伸長可能な分銅で攻撃するも鎖で相手を拘束するもよしの『鎖分銅』でも限界はある。

 そんな中、遂に一瞬の隙を突いて敵の猛攻が始まった……!

 『希望』は全てを解決してくれる(POW)――あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【希望への渇望】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。

 単独ではない。敵は複数で既に【希望への渇望】を自身の困難さに応じた量だけ代償にする為、己の信仰心を支えに……目を潰し、鼓膜を破り、視界と音を遮断した!

「……なんつ~奴等っすか!?」

 さすがのリカルドも焦る。このままだと不味い! まだ、代償を満たしていない奴から自身の代償を【希望への渇望】に変えられる前に先手を打ちに行く……!

 それはまだ遠くで待機している狂信者集団『希望の信仰者』が|標的《ターゲット》だ。

 遠距離戦では宇宙バイク内蔵の武装で【薙ぎ払い】や【一斉発射】。キャバリアもあります。

 宇宙バイク『アルタイル』を乗り回しているリカルドは、その機動力よりパワーや運搬力を重視した宇宙バイクで、武器をバイクから射出する事も可能。
 そこで発射されたのは主に二つ。ビーム砲【ミルキーウェイ】とミサイルランチャー『リベルタス』だ。

 ビーム砲【ミルキーウェイ】は言うまでもなく宇宙バイク『アルタイル』に搭載されたビーム砲。ビーム砲の他にも遠赤外線とか出せる。
 ビーム砲【ミルキーウェイ】で敵を圧倒。蹴散らした後、効率良く物陰に潜む敵集団を遠赤外線で探索。
 見つけたらお次はミサイルランチャー『リベルタス』でミサイル攻撃。宇宙バイクに搭載されたこのミサイルランチャー『リベルタス』。弾頭は使用者の技能くらい多彩。その内の一つ、技能スキル『誘導弾11』を駆使し、遠赤外線で見つけた敵の狂信者集団『希望の信仰者』達を追尾し確実に仕留めにいく!

 ウィーン……ズドドドドド――――ン!!!!!

 強烈な爆発音と熱風。黒煙が廃工場の一部を支配し、狂信者集団『希望の信仰者』達を圧倒。今の攻撃で破砕された廃工場の天井に穴が開いた。
 黒煙の狼煙がこの最後の戦いの居場所を告げる。

 だが、宇宙バイク『アルタイル』を乗り回しているリカルドに余裕は微塵も感じられない。先程の――『希望』は全てを解決してくれる(POW)により、自分の視力と聴力を失い【希望への渇望】に代償として捧げた敵が残っているのだ。

「うふふふ♪ どうやら焦っている様ですね~。どうしますか? 今なら私達、『希望の信仰者』の信者にあなたとあなたに憑依された……その子。『ココロ』ちゃんを歓迎しますよ~?」
「ほざいてろっす……!」
「なら死ね」

 視力と聴力の代わりに【希望への渇望】を得た奴等、狂信者集団『希望の信仰者』の一味があらゆる行動に成功する攻撃を放ってくる……!

 『絶望』は殺すしかないよね(SPD)――【一般人への擬態】を脱ぎ、【狂信的殺人鬼】に変身する。武器「【文房具や調理器具などの日用品】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。

 自身の【希望への渇望】を利用した更なる攻撃。

 それは素早さを活かした『絶望』を殺す為の【一般人への擬態】から【狂信的殺人鬼】に脱皮した戦闘力増強と武器である「【文房具や調理器具などの日用品】」による攻撃だ。

 最悪の組み合わせだ。リカルドは思った。何せそれは絶対に成功するのだから。逆に言えば、何たる執念。自分と憑依した少女『ココロ』を殺す為にはどんな犠牲も厭わない。その執着に思わず背筋が凍る。

「きゃはははは! 死ね死ね死ね死ね――――!!!!」

 あらゆる文房具。コンパス、三角定規、ボールペンや、あらゆる調理器具。包丁、まな板、お玉等を武器として出鱈目に刺したり、殴打したりしてくる狂信者集団『希望の信仰者』の連続攻撃。
 【狂信的殺人鬼】と化した敵の攻撃を全て受け止めたリカルドは何とか持ち堪えたが、それなりにダメージを蓄積。目に見える形で全身に血を流し、痣も目立つ。だが、不幸中の幸いか致命的な攻撃は受けていない。

 その時。先程の宇宙バイク『アルタイル』からビーム砲【ミルキーウェイ】とミサイルランチャー『リベルタス』の連携。

 遠赤外線と『誘導弾11』による追尾攻撃でこの廃工場の一部を派手にぶっ壊した轟音と穴の開いた天井に上がる黒煙で他の|猟兵《イェーガー》と仲間のUDC組織が駆け付けて来た!

「まだまだ……これからっすね!」

 |UC《ユーベルコード》(POW)『跳梁白狐』(チョウリョウビャッコ)を発動するリカルド!

 そのやって来た猟兵や戦闘力のある人達には【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる。

 それは全身を【ヒーロースーツに変え、主導権を装着者主体】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
 更に装着者に猟兵の身体能力と無敵の防御力を与えるが、リカルドは念動くらいしか出来ない。

「さ、今は無敵のヒーロータイムっす。好きに暴れるといいっすよ」
「ふ~ん? 中々に小賢しい手を使いますね」
「……これで終わりと誰が言ったっすか?」
「何!?」

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『仮面憑きの舞闘会』(マスカレイドパーティ)を発動!

 【弧面の分体を召喚して憑依させることで、】【周囲の自身のLv体までの対象に対し、】【リカルドの身体能力や技能】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。一度に沢山の人に憑依可能な半面、本体への負担が大きい。

「さあ、楽しい宴の始まりっすよ!」

 また、無力なUDC組織の人達が大人数いる場所での戦闘も彼らを【仮面憑きの舞闘会】で強化して戦わせつつ身を守らせることも可能。

 その仲間達に戦闘力を与えたリカルドは代償として『流血』を受けたが、敵は突然の増援に困惑し更にその増援が強化された事で|混乱《パニック》に陥る。

 一人……また一人と狂信者集団『希望の信仰者』が倒れていく。正に立場逆転。次に焦り始めたのは『希望の信仰者』の側だ。

「……くっ! 汚い真似を……!」
「『UDC怪物』如きに好きな真似はさせないっす!」

 一通り敵が片付き、リカルドは『跳梁白狐』を解除。全く動けず、念動くらいしか出来なかった状態から素の状態へと戻る。
 『跳梁白狐』と『仮面憑きの舞闘会』で全身ズタボロにされた敵が最期の悪足掻きとばかりにリカルドに一矢報いようとするが、それは雑魚同然である。
 その他状況によって魔術的な【属性攻撃】や【破魔】等使用して軽くあしらう。

「あああ……何て事を! そんなあなたには私達『希望の信仰者』による懲罰が必要ですね!」

 何か仕掛けて来る! 思わずリカルドは身構えた。

 『これは高かったんだからね!』(WIZ)――200G(万円)相当の【怪しい通販で買った召喚石】をx個消費し、ランダムな強さ・外見を持つ【邪神】族の【集団型オブリビオン】をx体召喚する。

 どうやら敵は最後の手段に出た様だ。『謎の召喚石』を3個消費。それぞれランダムな強さと外見をした『邪神』族。『集団型オブリビオン』が3体召喚される……!

「くっ……! 新たな『邪神』……『集団型オブリビオン』を3体も! どこまでもしつこい連中っすね!」

 身構えていたリカルドは更に神経を研ぎ澄ませる。この現状を回避する方法がまだ何か残っている筈だ。そう自分に言い聞かせて。

 その時だ。憑依した今回の事件の首謀者であり被害者。『ココロ』がリカルドの仮面の内側からどんな|仕掛け《ギミック》か自分の意思を伝えて来る。

 ――……私。『ココロ』が『UDC怪物』と召喚された3体のオブリビオンの動きを一時的に封じます。その間に|猟兵《イェーガー》様は何とかして|UC《ユーベルコード》を発動して、この戦いに|終止符《ピリオド》を打って下さい……!――

 吃驚したリカルド。まさか白い狐のお面である自分が憑依したその張本人からその意思を伝達されるとは……もしかしたら稀有なケースかも知れない。

「『ココロ』……どうやって自分の意思を? まあ、今は細かい事を気にしてる場合じゃないっすね!」

 ――早く……!――

 次の瞬間、召喚者である『希望の信仰者』とその召喚されし3体の『邪神』族。『集団型オブリビオン』の動きがピタリ……と止まる。

 その間に結界展開型キャバリア『ヴェガ』を使い、仲間達の安全を確保。
 結界展開能力特化の拠点防衛型キャバリア。『ヴェガ』は他の機体の装甲パーツになったりも可能。
 そして直ぐにリカルドは『ココロ』の|助言《アドバイス》を行動に活かす!

 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『森羅穣霊陣』(グレイスフル・ガーデン)を発動!

「ここに悪しきを払い、恵みをもたらせ!」

 【描かれた破魔と属性の力を込めた結界】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に植えた作物が即収穫できる程の豊穣を与え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

「ぐはっ! ……はぁはぁはぁ、くそ! 一体何が起きた……!? 一瞬、動きを何者かに封じられた。この感覚は……まさか!」

 一時的に動きを封じられた『希望の信仰者』は覚る。かつて自分達を支配していた存在。『UDC怪物の血』を持つ少女『ココロ』の強い精神を。

 そして今、その力はあの男。お面であるリカルドの中で発揮され、それを受け止めたリカルドは少女『ココロ』を巧みに利用した!

 『UDC怪物の血』を引く少女『ココロ』はリカルドのお陰で、初めてその力を正しい道に使う事が出来たのである。

 それは少女『ココロ』のひたむきなまでの強い意志!

 そんな中でも戦いは続く。これが最後の幕引き。

「ここならどんな作物も育ち放題っすよ~」

 通常は火・風・破魔属性で悪しきを払い、水・土属性で恵みをもたらすこの|UC《ユーベルコード》『森羅穣霊陣』(グレイスフル・ガーデン)。

 リカルドの言葉通り、悪しきを払い、恵みをもたらすこの場で、結界展開型『ヴェガ』に守られていた仲間達(他の|猟兵《イェーガー》やUDC組織の人間)の士気が見る見るうちに上がっていく。『地形に植えた作物が即収獲できる程の豊穣』を与え、その上に立つリカルドを中心とした味方連中の戦闘力が上昇。

 対する狂信者集団『希望の信仰者』と3体の『邪神』族。『集団型オブリビオン』は対照的に『描かれた破魔と属性の力を込めた結界』に閉じ込められ、連続でダメージを喰らう。更にそこに力を得たリカルド、仲間達が畳みかける。

 グオオオオン! ギエエエエエ! ギャアアアア!

 3体の『邪神』族。『集団型オブリビオン』は呆気なく消滅し、狂信者集団『希望の信仰者』も残り1人となった。もう既に瀕死の状態である。

「……ぐっ! ふ! ふふふふ……さすがです。|猟兵《イェーガー》のリカルド。まさか、私達の主。『UDC怪物の血』を持つ少女『ココロ』の意思を汲み取るとは! 最期に聞かせて貰えないでしょうか? あなた、もしかしてそれも全て計算の内として『UDC怪物の血』を持つ少女『ココロ』に憑依したのですか?」

 リカルドはそれを聞いた時、一瞬吹き出しそうになった。そして戦いの終わりを覚り、思わず油断すると素の口調になってしまう。

「俺がそんな奴に見えるか? お前が話しかけてるのは単なるお面だぜ。そうだよな?」
「くっ! ふふふふ! この期に及んで……まあ良い。もう私達『希望の信仰者』は終わりだ。最後に良い好敵手と出会えて良かった……」

 そして、リカルドは止めを刺し狂信者集団『希望の信仰者』との戦いを終えた。

 *

 今回の事件の首謀者。『ココロ』は情状酌量の余地がある……とは言えその被害に遭った人達も存在する為、彼女はUDC組織の元に預けられた。
 結局の所、今回の事件は『UDC怪物の血』が全ての|引き金《トリガー》で、仮に『UDC怪物の血』を悪用しようと『ココロ』が思ったとしても何も変わらない。
 そこにある違いは『善』と『悪』――『光』と『闇』の関係なのだから。

 リカルドは自分の仕事を終えると、宇宙バイクに跨り帰路に就く為の準備を整える。その時。

 ――ありがとう。リカルド様――

 どこかで聞いた様な声がリカルドの意識に響いたが……それがあの少女。

 『ココロ』本人であるかどうかは分からない。

成功 🔵​🔵​🔴​

シン・クレスケンス(サポート)
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。
窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける。

◆戦闘
射撃(愛用は詠唱銃だが、様々な銃器を使い分けている)と魔術による広範囲攻撃が主。
魔力の操作に長け、射撃の腕も確か。
作戦次第では、闇色の武器を召喚(UC【異界の剣の召喚】)して前衛を務めることもある。

◆特技
・情報収集
・機械の扱いにも魔術知識にも精通している

◆UDC『ツキ』
闇色の狼の姿をしており、魂や魔力の匂いを嗅ぎ分けての追跡や索敵が得意。
戦闘は鋭い牙や爪で敵を引き裂き、喰らう。

◆口調
・シン→ステータス参照
(※使役は呼び捨て)
・ツキ→俺/お前、呼び捨て
だぜ、だろ、じゃないか?等男性的な話し方



「ここは……廃工場ですか? 確かに他人の目を避けるには絶好な場所。『UDC怪物の血』を解放した人物はここにいるんですね、ツキさん」

 ここ『UDCアース』出身の|猟兵《イェーガー》。シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)は落ち着いた物腰で現場の廃工場を見つめた。
 夜。シーン……と静まり返った廃工場の唯一の光源は月明かりのみ。その不気味な雰囲気に飲み込まれない様にシンは技能スキル『偵察1』と『闇に紛れる3』を使い冷静に一歩一歩その廃工場外部を彷徨う。

「シン、お前俺の索敵能力を信じていないのか?」

 UDC『ツキ』は闇色の狼の姿をしており、魂や魔力の匂いを嗅ぎ分けての追跡や索敵が得意。
 闇色の黒い狼の如く、戦闘は鋭い牙や爪で敵を引き裂き、喰らう。

「もちろん信じています。だからでしょうか? ここから先はとても嫌な予感がするんです」

 落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。シン・クレスケンスは窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける。

 暫く廃工場跡地を探索した後、全体の中心部である一際大きな建物と遭遇した。

 (恐らく……ここから先に進めば元に引き返す事は出来ないだろうな)

 独り言は黙して考える。シンはそれを承知で巨大で赤錆びた両扉を開いた。

 ゴオオオオオン……!

「ようこそ。|猟兵《イェーガー》さん。私達『希望の信仰者』の最後の砦へ。うふふ♪ ……待っていましたよ?」

 薄暗い闇。広い廃工場の中で待機していたのは……言うまでもなく『希望の信仰者』達だ。どうやら既にシン達が来る事を予見していたらしく、かなりの数が集っていた。

「……あなた達が『希望の信仰者』ですね? その子をどうするつもりですか?」

 『希望の信仰者』達がまだ年端もいかない少女をロープで縛り付けて椅子に座らせていた。口にはガムテープで固定し、喋る事すら儘ならない。

「まあ、落ち着いて下さい。彼女……『ココロ』さんは『UDC怪物の血』を持つ今回の事件の首謀者です。これくらいの事をしておかないとまた暴走しますよ?」
「だからと言ってそれはやり過ぎではないですか? それにその『ココロ』さんが事件の首謀者ならば、あなた達『希望の信仰者』は生みの親を拘束してるのと同じ事ですよ?」
「生みの親?」

 ……くふふふ。うふふふ。ひゃははは。『希望の信仰者』達は気味の悪い笑みをそれぞれ浮かべる。しかし、この時から既にシンの作戦は始まっていた。情報収集が得意なシンはその『情報』を得る為、出来る限り話を引き延ばす。

「違いますか?」
「ふふ♪ 分かった様な口を利きますね。私達の生みの親は『ココロ』さん。この少女の中にある『UDC怪物の血』ですよ。つまり、彼女の血のサンプルさえあれば、後は『ココロ』さんを煮ようが焼こうが自由です」

 シンの眼鏡越しの目が細く鋭くなる。『UDC怪物の血』。そのサンプルを得て、この狂信者集団『希望の信仰者』は何か企んでいる。大方その目的は自分達の仲間を増やす事。
 だが、今はそれを気にしている時ではない。目の前の事に集中し、あの少女。『UDC怪物の血』を持つ『ココロ』を何とかして救出しなければ。

 ある程度の情報収集は片付いた。今回の事件。『UDC怪物の血』を持つ首謀者である人物。『ココロ』はどうやら意図して『UDC怪物』を生み出していた訳ではない様だ。

「さて……。お喋りが過ぎましたね。申し訳ないですが、これもまた運の尽き。私達『UDC怪物』。狂信者集団である『希望の信仰者』の望むべき『光』を妨げる者には罰を。|猟兵《イェーガー》であるあなたにはここで消えて貰いましょうか」

 敵の狂信者集団『希望の信仰者』はゆらゆらと覚束ない足取りで、シン達のいる方向へ近付いて来る……!

「……僕は僕の信じる『光』を手繰り寄せるまでです。ツキさん、近付いて来る狂信者集団を出来るだけ蹴散らして下さい。その間に僕はあの少女。『ココロ』さんを救出します」
「お安い御用だ。思う存分暴れてやるぜ。シン、他にもどこに敵が潜伏してるか分からない。油断するなよ!」
「分かってます」

 そう言葉を交わしてから、シンとツキは不敵に笑った。

「余裕ですねぇ~♪ 良いですよ。良いですよ? それでこそ、私達に相応しき|猟兵《イェーガー》です……!」

 相棒の狼。ツキが相手を牽制、蹂躙しているその最中、シンは『スナイパーライフル』を取り出し既に索敵していた廃工場のキャットウォークを足場にしている敵を技能スキル『ヘッドショット50』で冷静に一体ずつ始末していく。

 『スナイパーライフル』は遠距離射撃に特化した、命中精度に優れる狙撃銃。対オブリビオン用に改良されている。

 機械の扱いにも魔術知識にも精通しているシンは射撃(愛用は詠唱銃だが、様々な銃器を使い分けている)と魔術による広範囲攻撃が主。魔力の操作に長け、射撃の腕も確か。

 ある程度敵を殲滅した後、冷静に周囲を見渡しツキが開けてくれた敵のいない|空間《スペース》を駆け抜けて奴等。狂信者集団『希望の信仰者』達に捕らわれていた少女。『ココロ』を椅子から自由にさせる。口に張り付けてあるガムテープをはがし、体を拘束していたロープも解いた。

 体の自由が利いた少女『ココロ』は開口一番に叫んだ。

「……シン様! 敵が背後に!」
「!」

 『希望』は全てを解決してくれる(POW)――あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【希望への渇望】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。

 そいつは自身の【希望への渇望】を満たす為の条件として自分に足枷を取り付けていて、敢えて動き難い素早さを殺した代償を捧げたが……少女『ココロ』の声に素早く反応したシンの方が一歩速かった!

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『異界の剣の召喚』(サモン・ケイオスソード)発動!

「混沌よ、我が命に従い、立ち塞がりしモノを断て!」

 それはいま戦っている対象に有効な【未知の材質で創られた深い闇色の武器】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
 作戦次第では、闇色の武器を召喚して前衛を務めることもある。
 【武器召喚術】名に「剣」と付くが、形状は様々。魔法陣が展開し、その中から出現する。

 あらゆる行動に成功する敵の攻撃はどうやら【希望への渇望】をその困難さに応じた量に満たなかったみたいだ。重い|鈍器《フレイル》を振り下ろされる前に、魔法陣から出現した刃の切っ先が炎を想起させる様に揺らめく異界の剣を手にしたシンは敵の攻撃を弾くと、優雅な剣の舞を展開した!

 どうやらその異界の剣には炎属性が付与されている。剣の舞は炎の揺らめきをそのまま具現化し、シンを中心として周囲にいた狂信者集団。『希望の信仰者』達を炎の中に飲み込み、体の外から中から焼き尽くす……!

「お、おのれ~! 貴様……高々|猟兵《イェーガー》一人にここまでやられるとは……! だが、調子に乗るなよ! 私達『希望の信仰者』の『光』はまだ失われて……いない!!」
「シン! 気を付けろ! 何か来るぞ……!」
「分かってます! ツキさんも一度退避を……! さて、『ココロ』さん。さっきは助けて下さり有り難うございました。立てますか?」
「……は、はい。こちらこそ助けて下さり有り難うございます。ですが、良いのですか? シン様。あの人達、『UDC怪物』の生みの親は……他でもないこの私。それに『希望の信仰者』達が求める『UDC怪物の血』を持つのも……この私です。正直に言います。あなた達は私自身。『ココロ』を生餌に誘き出された可哀想な迷える子羊です。大人しく『UDC怪物の血』のサンプルを渡した方が……誰も血を流さずに平和的に解決出来るのでは……?」
「平和的な解決? 『UDC怪物』がそんな事を望んでいる訳が無いでしょう! 『ココロ』さん。今は細かい事を話している時ではないです。大丈夫、僕達を信じて下さい。必ず敵を倒してあなたを救い出してみせます」

 当然、敵『希望の信仰者』達がシンと『ココロ』のそのやり取りを黙って見過ごしている訳もない。戦闘は次の段階に入り、一層苛烈になっていく……!

「うふふふ~ん? 良いですね~そのあなた達の希望に縋るひた向きさ……! 例え、表向きの|演技《やり取り》だとしても涙なしでは見ていられません……ならば『絶望』は殺すしかありませんね!」

 ――何か来る!? シンは直感でそう思い、『ココロ』を自身の背後に回した。大人しく『ココロ』もそれに応じる。

 『絶望』は殺すしかないよね(SPD)――【一般人への擬態】を脱ぎ、【狂信的殺人鬼】に変身する。武器「【文房具や調理器具などの日用品】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。

「きゃはははは……! 死にたくなければ『ココロ』さんを渡せ~!!! 『UDC怪物の血』を我等が狂信者集団『希望の信仰者』のものにするんだ……! それこそが私達に残された最後の希望の『光』!」

 あらゆる文房具――三角定規やコンパス、万年筆などを出鱈目に投げ付けてきた後、シンの懐に潜り込んだそいつはそのまま勢いを殺さずに出刃包丁で思いっきり突き刺してくる……!

「……しまっ――」

 自分でも迂闊だと思ったシン。『ココロ』との会話で少しの隙が出来たのだろう。そこを躊躇なく攻撃してくる敵の一人は目が殺気立っていた。

 ガルルルル!

「やらせないぜ! どうしたんだシン! お前らしくもない」

 その敵とシンとの僅か数センチの距離に割って入って来たのは他でもないツキ。体を器用に折り曲げて出刃包丁を持っている敵の右腕に噛み付いた!

「……ぐっ! この犬如きが! くたばりやがれ!!」

 一秒ごとに理性を喪失していくその『希望の信仰者』は容赦なくツキの下腹部を蹴り込んだ!

「グアッ……!」

 その蹴りで吹き飛ばされたツキ。だが、宙に浮いた時に素早く反転して、そのまま着地する。

「ツキさん!」
「俺は大丈夫だ! それよりも、奴等を止める|UC《ユーベルコード》を使え……シン!」

 相棒の一頭であるツキの言葉に敵への怒りを冷静に抑え込んで、頷いたシン。もう一羽の梟の姿の精霊『ノクス』の力を使う!

 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『隔絶結界』(スタンドアローン・キューブ)を発動!

「我が友、月と夜の精霊ノクスよ。隔てる力を貸し与え給え」

 シンがそう唱えると、ノクスが得意とする護りの力を借り、電脳魔術など複数の系統の術式を組み合わせている謎の迷路が出現……!

 それは戦場全体に広がり、【外の世界と全く同じ風景の異空間】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。

「くそが! こうなったら最後の手段だ!」

 迷路の中、狂信者集団『希望の信仰者』達は統率が取れずにそれぞれがバラバラに拡散した。シンは敵の最後の攻撃に備える為、『ココロ』を連れていち早く出口に向かいキャットウォークへと続く階段。一番高い全体が見渡せる場所を陣取る。
 技能スキル『情報伝達30』を使い迷路の中にいるツキを安全な場所に誘導し、自分は最初に使った『スナイパーライフル』を取り出し、スコープ越しに敵達の位置を把握。射撃体勢を整える。

 その時だ。敵の最後の手段とやらが発動された……!

 『これは高かったんだからね!』(WIZ)――200G(万円)相当の【怪しい通販で買った召喚石】をx個消費し、ランダムな強さ・外見を持つ【邪神】族の【集団型オブリビオン】をx体召喚する。

 謎の召喚石を3個。そこから召喚された『邪神』族の『集団型オブリビオン』は3体……! だが、その『集団型オブリビオン』も迷路に取り込まれる!

「……くそが! |猟兵《イェーガー》め! 一体どこに潜んで――」

 ズドン!

 狂信者集団『希望の信仰者』達が迷路に迷い込んでいる中、まさかシンが迷路から脱出して一番高い位置を陣取っているなど露程も思わず、技能スキル『スナイパー100』で次から次へと敵は急所を撃たれて消えていく。

 頼みの綱である『邪神』族も例外ではない。例え『集団型オブリビオン』だとしても、シンの持っている『スナイパーライフル』は対オブリビオン用に改良されているからだ。これまでの戦闘での勘がシンの脳裏を過ぎり、敵の最後の手段がオブリビオンを召喚してくるものだと知覚した。

 敵の策略の更に上をいく。キレモノなシンと狂信者集団『希望の信仰者』達との駆け引き。頭脳戦はシンに軍配が上がった。

 もちろん、相棒の一頭と一羽。闇色の狼ツキの助言と梟の姿をした精霊ノクスの力を借りた|UC《ユーベルコード》を使わなければこれ程の規模を制する事は出来ないのも確かではあったが。

 ズドーン!

 最後の『邪神』族。『集団型オブリビオン』を倒した後、銃声を聞いて駆け付けて来たUDC組織を確認し、戦闘は終了。

 シンとツキ、ノクスの力により『UDC怪物の血』を引く少女。『ココロ』を生きて救う事に成功した。

 *

「有難うございました。シン様。それとツキ様にノクス様。これで私の中にある『UDC怪物の血』を付け狙う狂信者集団『希望の信仰者』はいなくなりました。ですが……」
「……また、いつ『UDC怪物の血』が暴走するのか分からない。そう言いたいのですか? 『ココロ』さん」
「ええ……まあ」
「大丈夫ですよ。『ココロ』さん。僕達、|猟兵《イェーガー》が何の為にいるのか……分かりますか?」

 『ココロ』は今にも泣きそうな顔でシンの顔を見る。ふるふると被りを振る少女。ニッコリと笑うシンの眼鏡越しの瞳。真摯なその眼には一点の曇りもない。

「あなたの様な困った人を救う為にいるんです。それだけは忘れないで下さいね?」

 それを聞いた『ココロ』は一瞬、はっ! と、不意を突かれた様に驚いたがすぐに笑顔を取り繕い深々とお辞儀をした。

 UDC組織に身柄を確保された『ココロ』。もう彼女の中に迷いはない。新たな『光』……今にも消え入りそうなそんな微かな『光』だったが、いつまでもどこまでも消える事のないそんな力強い希望の『光』が彼女の中に灯る。

 それを見届けたシンは満足そうに微笑み、ツキ、ノクスはこれで少女『ココロ』はもう大丈夫だろうと確信した。

「さて、僕達も帰りましょうか」

 もしも彼女の『UDC怪物の血』がまた暴走したら、いつでもどんな時も駆け付けて少女『ココロ』の『闇』を照らす『光』になろう。

 そんな|猟兵《イェーガー》でいる事を唯、ひたすら信じて。

成功 🔵​🔵​🔴​

古賀・茉莉(サポート)
 人間の殺人鬼×魔女、17歳の女です。
 普段の口調は「口調:ボクっ娘(ボク、~君、だね、だよ、~かい?)
戦闘中はボクっ娘(ボク、~君、だね、だよ、~かい?)

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
ジャンルは戦闘が特に好きです。
描写は自身の血みどろ、苦戦、スプラッタ、バイオレンス、内臓露出するくらいの負傷描写を特に好みます。
スキルは特に使わず武器のみで戦います。
よろしくおねがいします!



「ここが……例の『UDC怪物の血』を引く者が潜んでいる場所かい? 随分とオンボロな工場跡地だけど、本当にいるのかい?」

 月明かりが光る闇の中、好敵手を求めてふらりと現れた少女。古賀・茉莉(人間の殺人鬼・f33080)は既に頭の上に『?』マークだ。

「うふふふふふ……! その通りですよ。女|猟兵《イェーガー》さん? あなたは運が付いています。何せ私達、狂信者集団『希望の信仰者』の血みどろの|標的《ターゲット》に選ばれたのですから!」

 廃工場の屋根に一人。月光を背景に姿を現したのは一人の薄気味悪い雰囲気を併せ持つ女だ。
 月明かりに映えた不気味に歪んだ微笑みを浮かべ、その容貌はより一層恐怖を煽る。

「ふ~ん? だったらどちらがよりイカれているのか勝負しないかい? 獲物はキミかそれともボクか?」

 それでも古賀は全然動じず強気な姿勢を崩さない。何せ古賀はより強く戦闘欲を駆り立てるそんな敵を求めてここに来たのだ。
 『UDC怪物の血』を持つ今回の事件の首謀者。もちろんその人物も探すが、それは戦いの二の次だ。
 そんな彼女に対し、狂信者集団『希望の信仰者』はニタァ~……とこれ以上なく嬉しそうに微笑む。そして、指をパチン♪ と鳴らす。

 その合図で工場跡地の至る所から顔を出す、『UDC怪物』の狂信者集団『希望の信仰者』達。どうやら事前にここに|猟兵《イェーガー》が来る事を予期して隠れ潜んでいた様子。古賀の周囲を囲むそいつ等を見てなぜか嬉しそうに微笑んだのは他でもない女|猟兵《イェーガー》の古賀の方だ。

 人間の殺人鬼 × 魔女の性質を併せ持つ戦闘が特に好きな古賀は所謂、戦闘狂。
 相手との力量差があるほど燃えてしまう癖を持つため不利であるほど笑みを浮かべてしまう。それ故にスキルは特に使わず武器のみで戦います。

「ふむ……この状況でも笑いますか? それはいけませんねぇ……せっかく我が主。『UDC怪物の血』を持つ『ココロ』さんの感情。その狂気に抑え付けられた欲望の塊から解放されたばかりだと言うのに。少しお喋りが過ぎましたか。まあ、単独行動を取っていた女|猟兵《イェーガー》の一人や二人。殺しても問題は無いでしょう。我等が希望の『光』を求める事を邪魔するのならば始末するだけです!」
「あ~もう! 前置きが長いんだよ! こっちは戦いたくてうずうずしてるのに……少しは察してくれないかい?」

 『黒星ノ双剣』を取り出してその柄を握り締める古賀。その武器は――取り回しやすい黒の刃に星の刻印がされた双剣。力より技を用いて命を刈り取る。

 敵が四方八方から古賀の間合いに飛び込んでくるのを、体を捻りくるりと回転。全て避ける古賀は容赦なく狂信者集団『希望の信仰者』達の脇腹を刺し、抉り、そこから溢れ出す鮮血。返り血を浴びる。誰よりもバイオレンスでスプラッタな少女、古賀にとって敵との接戦。
 この命を刈り取るか、または刈り取られるかの異常なまでの緊張感が彼女の精神を揺さぶり、ハイにさせる……!

 その生きるか死ぬかのスリルを味わいつつ、敵のあらゆる肉体部分。腕を斬り落とし、両脚を切断。鳩尾である下腹部を滅多やたらと内臓が露出するくらい斬り付ける古賀。その可憐なツインテール姿からは想像も付かない遠慮容赦なき攻撃。正に綺麗な花には棘がある。そんな言葉が嫌でも脳裏を過ぎる。
 実は天真爛漫な少女、古賀に恐怖を覚え始めた狂信者集団『希望の信仰者』達は一度撤退し、怯んだ。

 今、目の前に立っているのはスタイルの良いツインテールのボクっ娘……ではない! 猟奇的な戦闘を好む……悪鬼羅殺だ!
 『UDC怪物』が今更何を言うのか? だが、逆を言えばその狂信者集団『希望の信仰者』達はそれ程の衝撃を受けたのだ。

「あれ? どうしたの? もう終わりかい?」

 全身血みどろで武器『黒星ノ双剣』の刀身に付着した敵の血を舌で器用に舐めて、ツインテール少女、古賀はニタリと笑う。

「ぐ……! あなた、本当は鬼じゃないですか?」
「ボクはそうは思わない。でも、よく言われるよ……!」

 戦闘再開!

 逃げ腰な敵達を尻目に古賀は攻めて攻めて……攻めまくる!

「くそが! 調子に乗るなよ小娘!!」

 |UC《ユーベルコード》(POW)『希望』は全てを解決してくれる――あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【希望への渇望】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。

 敵。狂信者集団『希望の信仰者』達が奥の手である一つを発動した! どうやらそれは自分に敢えてリスクを課し、『希望への渇望』を絶対に成功させる為のものだ。

 それが故、狂信者集団『希望の信仰者』達はツインテール少女。古賀から受けた肉体的ダメージを利用してリスクとして使う。古賀の先程までの攻撃はとても残虐な負傷を敵に与えたので、その効果は絶大だ。

「グルルルル……!」
「うわ! 死んだかと思ってた奴等が起き上がってこっちに来る……もしかしてこれが|UC《ユーベルコード》の効果かい?」

 まるでゾンビ軍団。さっき古賀が倒した連中はまだ死んではいない。息も絶え絶え死にかけの状態で、纏めてやって来た!

「く……! どいて! 何だこいつ等!? 全然ビクともしない!」

 思わぬ苦戦。周囲360度囲まれた状態で、死にかけの狂信者集団『希望の信仰者』達が爛れた胃や腸を剥き出し、肺や心臓を露出し、肋骨や足の筋肉繊維をそのまま曝け出して、古賀の肉体。四肢を拘束していく。

 その血みどろ合戦中、まだ戦いに参戦していない後方にいた狂信者集団『希望の信仰者』達はせせら笑う様に次の手に打って出る。

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『絶望』は殺すしかないよね――【一般人への擬態】を脱ぎ、【狂信的殺人鬼】に変身する。武器「【文房具や調理器具などの日用品】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。

 絡み付く血塗れた敵の手首、腕を『黒星ノ双剣』でズバズバと切断し、完全に息の根を止めた後、何とかゾンビ軍団から抜け出した古賀。
 その全身は血や敵の皮膚、髪の毛、脳漿、筋繊維の欠片が所々に付着し、酷い臭いを発していた。着ている服も台無しだ。血が凝固して黒く染まる。
 ぶるぶるっと、犬や猫が水浴びした後全身を振るわせる様にツインテールの頭と体の各箇所を振るい、それ等を払い落し再び『黒星ノ双剣』を構える古賀。

「きゃははっ! 素敵な衣装ですねぇ~お嬢さん!」
「キミ達に褒められても、全然嬉しくないんだよね!」

 文房具、調理器具を武器として、理性を失った敵は戦闘力が強化。容赦なくカッターナイフを投げ付けてくる。

 カキン!

 それを『黒星ノ双剣』の刀身で弾き返し、敵。狂信者集団『希望の信仰者』達の後方支援している連中。『狂信的殺人鬼』に変身した先程囲われたゾンビ軍団よりもヤバそうな連中に地を蹴り、廃工場の外壁を蹴って軽く跳躍。屋根の上で攻防を開始する……!

 しかし、その時。古賀と相対する敵。狂信者集団『希望の信仰者』にとって予期せぬ出来事が起きた。

 バキ……! ガラガラガラガラ~!!!

 突如、廃工場の屋根が崩壊。崩れ落ちる古賀と狂信者集団『希望の信仰者』、複数いた『狂信的殺人鬼』達。

「……うわっとと!」
「くふふふ~♪」

 空中で宙返りして、そのまま難無く着地。するとそこには……。

「もしかして……あなたは|猟兵《イェーガー》様!?」
「……ん? もしかしてキミが例の『UDC怪物』を生み出した『UDC怪物の血』を持つとか言う事件の首謀者かい?」
「私は『ココロ』と言います。でも、信じて下さい! 私は決して本意に『UDC怪物』を生み出した訳ではないのです」
「それは、この状況を見ればボクだって信じるよ。『ココロ』君」

 少女『ココロ』は工場の中。狭い|空間《スペース》に監禁されていた。
 その天井を突き破って落ちてきた古賀と複数の『狂信的殺人鬼』と化した『希望の信仰者』。

「きゃはは……。いけませんねぇ~『ココロ』さん。我等が敵に安易に情報を提供するのは」
「『UDC怪物』のあなた達に私の何が分かると言うの!?」

 激高する『ココロ』を見て、古賀は全てを理解した。

 例え『UDC怪物の血』を持つ張本人であったとしてもこの事件。全ての『親』である『ココロ』はその『子』である『UDC怪物』達を自分の思い通りに操るどころか、本人が望んでいないその優しさに付け込まれて逆に『UDC怪物』達にやりたい放題されていた。

 何せ、今回の事件の首謀者と言うレッテルを彼女、『ココロ』は張られているのだ。

 それが『UDCアースの謎』の真相。だが、まだ事件は解決していない。

「きゃっはは♪ 『ココロ』さん。あなたが私達『UDC怪物』を呼び出したのですよ? その体の中に流れる『UDC怪物の血』でね~」
「私は……こんな結果を望んで、あなた達を呼び出した訳じゃない! 『UDC怪物の血』を何とかして抑え込んでいたと言うのに……それなのにあなた達は現れた!」
「ふむふむ。つまり、『ココロ』君。キミとこの『UDC怪物』。狂信者集団『希望の信仰者』は敵対してる訳かい?」
「そうです! |猟兵《イェーガー》様。だから私は奴等に監禁されていたのです! 『UDC怪物の血』を悪用される為に敢えて殺さずに生かされていた」

 古賀はニヤリと笑う。それだけで十分だ。ややこしい問題は後回しにして、敵は絞り込めた。目の前の『UDC怪物』。狂信者集団『希望の信仰者』達を殲滅すれば事は大方解決する。

「くふふふ~♪ ちょっとお喋りが過ぎましたねぇ~? もう好い加減、片を付けましょうか? 女|猟兵《イェーガー》。最期に名前くらい聞いておきましょう。せめてその名を私達『希望の信仰者』の支配する世界。その墓碑銘に刻んであげますよ?」
「ボクの名前? 古賀・茉莉だよ。でも、せっかくだな……その墓碑銘に刻まれる事は無いと思うよ」
「ほざくな! このクソアマ!!」

 廃工場内でのラストバトル。敵は新たな|UC《ユーベルコード》を展開!

 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『これは高かったんだからね!』――200G(万円)相当の【怪しい通販で買った召喚石】をx個消費し、ランダムな強さ・外見を持つ【邪神】族の【集団型オブリビオン】をx体召喚する。

 敵は『怪しい通販で買った召喚石』を3個消費。すぐさまランダムな姿と容姿を持つ『邪神』族の『集団型オブリビオン』が3体出現!

「古賀・茉莉様!」

 ピンチと恐怖で思わず叫ぶ『ココロ』。

「分かってるよ。『ココロ』君。ここはボクに任せて」

 遂に覚悟を決めた古賀。彼女も|UC《ユーベルコード》を起動して、徐々に『瞳』が光り輝き出す。

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『九死殺戮刃』――自身の【瞳】が輝く間、【殺戮刃物】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。

「うふふふ♪ 行け……! オブリビオンども! あの女|猟兵《イェーガー》、古賀・茉莉を殺すんだ!」

 先手を打ちに行く狂信者集団『希望の信仰者』達。だが、古賀の|UC《ユーベルコード》『九死殺戮刃』のスピードに翻弄されて、中々手が出せない!
 しかもそこから繰り出される『殺戮刃物』の攻撃回数はこれまでの9倍に相当する。例え敵が多かろうとも、逆に小柄な体の韋駄天少女に次から次へと先手を打たれて中々、上手く機能しない。
 そうこうしているうちに敵の『集団型オブリビオン』が一体、また一体と沈んでいく。『殺戮刃物』で肉体からあらゆる臓物を引きずり出されて、強烈な悲鳴と共に三体目も息絶えた。それでもまだ、殺し足りないのか? 古賀の『瞳』は光り輝いている。

 自分達が劣勢に立たされている事を感じた狂信者集団『希望の信仰者』は焦り出す。そして最後の卑怯な手段に出た……!

「攻撃を止めろ! 古賀・茉莉! この少女。『ココロ』がどうなっても良いのか~?」

 いつの間にか敵は『ココロ』に刃物の切っ先を向けて人質にしていた。それを見た古賀は敢えて聞いた。

「正気かい? その子を殺せば……」
「ああ、我等を召喚した『UDC怪物の血』は途絶える。くふふ♪ だがね、それはまた別の『UDC怪物の血』を持つ者を探せば済むのさ……!」
「そうだね。……なら、死ね」

 ――は?

 狂信者集団『希望の信仰者』の最後の一人。『ココロ』を人質に取っているそいつは唖然とした。
 速攻で無理矢理『ココロ』と刃物を向けているその敵の間に割って入って来た古賀は光り輝く『瞳』で自身が持つ得物『殺戮刃物』を逆手に持つ際に、そのもつれ合いの最中、軽く刃が『ココロ』の腕の部分を掠めた。肌に赤い線が走り血が少し滴り落ちるが、大した怪我ではない。傷痕も残らないだろう。

 敵と『ココロ』が完全に引き剥がされた後、そこはもう古賀の|殺戮時間《クッキングタイム》だ。意表を突かれた最後の『希望の信仰者』は何の抵抗も出来ない。そのまま『殺戮刃物』でズタズタに肉体を解剖され、破壊され、血と臓器が一緒くたにバラバラになっていく。

「ぐっ……貴様……古賀・茉莉……お前は……」

 本当に鬼だ。殺人鬼だ。それが敵の最期の言葉となり、古賀の『瞳』の輝きも光を失う。

「ふぅ~。やっぱりこれくらいのスリルは必要だね!」

 古賀が単独で敵を一掃した直後。現場を突き止めたUDC組織が到着した。

 *

「まずは『ココロ』君。キミに謝らなければいけない事があるね」
「……あ、あの時の事なら別に大丈夫です! 私は全然大した怪我してないですから」

 UDC組織がテキパキとグロテスクな現場の点検と掃除をしている最中、頭を振ってそれを否定する古賀。

「そうじゃないんだよ。実はボクの|UC《ユーベルコード》にはある一つのデメリットがあるんだ」
「デメリット?」

 古賀は『九死殺戮刃』を発動した時の味方を1回も攻撃しないと寿命が減ると言うリスクを説明した。

「だから敵がキミを人質に取った時に思ったんだよ。このまま躊躇してたら、敵の思うつぼ。それならば少し無茶をして、一気に攻めた方が良い。ボクの|UC《ユーベルコード》は『瞳』が輝いている間にだけしか発動出来ないからね」

 あの時。敵が『ココロ』を人質に取った際にもつれ合いの中、古賀が『殺戮刃物』を逆手に持ったのはわざとだ。味方である『ココロ』にほんの少しの軽傷を与え、自分の寿命が減る効果を削いだ。

「……良いんです。それで。何せこれは私が蒔いた種。古賀様に与えられたこの腕の傷。それはその代償と言えば大袈裟ですが、今回の事件の首謀者。私が生んだ亡き者達。『UDC怪物』達のせめてもの慰みなのですから」
「『ココロ』君……」
「『UDC怪物』の亡霊も、それで成仏してくれると良いのですが」
「……え? 今、何か言ったかい?」
「え~と。その……古賀様が蹴散らしてくれた『UDC怪物』の幽霊達が――」

 キャア……!

「ど、どうしたんですか? 急に叫んだりして。あ、そう言えば言ってませんでしたね。私、『UDC怪物の血』を持っているせいかその手の幽霊が見える体質なんですよ~」
「ちょ、ちょっと急用を思い出したよ! これにてボクは失礼する……!」

 フルダッシュで去っていく古賀を見て、一瞬ポカ~ンとしていた『ココロ』は思わずプッと吹き出した。そして一言。

「古賀様。沢山の人達に憑かれていますね。幽霊が苦手みたいですけれども……お互い大変ですね」

 また私の『UDC怪物の血』が暴走したら、その時もお願いしますよ?

 そう心の中で念じて『ココロ』はクスクス笑った。

成功 🔵​🔵​🔴​

轟・やゆよ(サポート)
語尾に「だわさ」「なのよさ」とかつく熱いアニソン好きな女の子

またわらわらと出てきただわさ…
まとめて倒すのよさ!
(虫系の敵は苦手でちょっと怯える)
説得の通じる相手なら説得を試みるしワケありの相手には思わず情を口にするだわさ

その場で必要なUCや技能を使って攻撃や支援をするだわさ

もちろん公序良俗に反することや他人の迷惑になることはしないのよさ!

アドリブ絡み歓迎


ベルト・ラムバルド(サポート)
キャバリアを使用できる環境なら愛用のキャバリアを操縦します
そのとき装備してるキャバリア用の剣と槍を振るい敵群を蹴散らします
キャバリアの操縦技術は優れています
キャバリア使用不可なら生身とその時の装備してる物で戦いますが残念ながら生身だとそんなに強くありません
それを補助するのが己のハイカラなオーラとセンスと瞬間思考力とUCによる謎の召喚術で頑張ります



「ここに今回の事件。『UDCアースの謎』を解き明かす鍵……『UDC怪物の血』を解放した首謀者がいる筈だわさ!」
「ふむ。しかし、こんな廃工場を自らの|根城《アジト》にするとは……。その『UDC怪物の血』を持つ首謀者の目的は今一分からないな」

 目的地にやって来た2人組の|猟兵《イェーガー》の疑問は脳内でくるくると回り、何周もしている。『UDC怪物の血』を持つ首謀者は寧ろ被害者側に立っていると聞いたが、それでは真の敵は誰なのか……? やはり『UDC怪物』なのか?

 そんな事を思っている片割れ。女|猟兵《イェーガー》の轟・やゆよ(あにそん伝道師・f06396)は語尾に「だわさ」「なのよさ」とかつく熱いアニソン好きな女の子。

 更にもう一人の|猟兵《イェーガー》はベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)だ。これだけ広い廃工場の跡地ならば、キャバリアで戦える。ベルトのキャバリアの操縦技術は優れています。

「所で、盗賊騎士ベルトくん。今日はあたしのアニソンを聞くだわさ!」
「私は盗賊騎士じゃなくて暗黒騎士だ! 知りたまえよ!」

 全くジャンルの違う個性キャラ2人が軽く戯れていると、遂に敵さんがこの廃工場の中からやって来た……!

「くふふふ……♪ 仲が宜しくて羨ましいですねぇ~。……ですが、それも今日この日を境に終わりを迎えます。私達の手によってね!」

 思わず声のする方へと同時に視線を投じる轟とベルト。そこには夜闇に紛れ、月光を背景にした不気味な女が廃工場の屋根を足場にして立ち、嘲笑っていた。

「暗黒騎士ベルト。こんな所で口喧嘩している場合じゃないわね」
「ふむ。珍しく意見があったな轟・やゆよ。私もそのつもりだ」

 轟にベルトはすぐに戦闘体勢に移る。2人の直感だが、敵は今出てきた奴だけじゃない。その廃工場の屋根にいる不気味な女の余裕ある表情がそれを色濃く反映させていた。だが……それでも轟は思う。一方、ベルトは何時でもこのキャバリアを使用できる環境なら愛用のキャバリアを操縦します。

(説得の通じる相手なら説得を試みるしワケありの相手には思わず情を口にするだわさ)

「わたしの名は轟・やゆよ。あんたが『UDC怪物の血』を持つ今回の事件の首謀者から召喚された『UDC怪物』ね? もし大人しく『UDC怪物の血』を持つ者の所へ案内してくれるのなら、わたし達も矛を収めるわよ」

 その口調は真剣そのもの。真剣な時は轟の口調は意外と淡々としている。だが……どうやら敵さんはそれに応じる気は毛頭ない様だ。

「くっくっく! 何を言うのかと思えば我々、狂信者集団『希望の信仰者』と交戦せずに、平和裏に事を済まそうと言う魂胆か? 我々を失望させるな! 女|猟兵《イェーガー》轟・やゆよ。我々はやっと……そう、やっとの思いでこの地『UDCアース』の土を踏んだのだ。最初の獲物は貴様等2人。当然ながら『UDC怪物の血』を持つ者の居場所は教えない」

 その言葉を聞いて逆に決意を新たにした轟。そして、ベルトは寧ろ好都合とばかりにニヤリと口角を曲げた。

「私はベルト・ラムバルドだ! そうか……君等が『UDC怪物』の狂信者集団『希望の信仰者』であり、私達と戦う……そう言うのならば、こちらとしても容赦はしない! 覚悟するんだな」

 もしも、キャバリア使用不可なら生身とその時の装備してる物で戦いますが残念ながら生身だとそんなに強くありませんベルト。唯、今回は廃工場跡地が舞台。少しの損壊はUDC組織が戦闘後に何とかしてくれるだろう。それ故にキャバリアを存分に発揮出来そうだ。

「くくく……。そうですそれで良いのですよ! 何せ私達狂信者集団『希望の信仰者』はあなた達の様な|猟兵《イェーガー》を一人残らず消すのが目的なのですから……!」

 轟とベルトはお互いに背中を合わせて、背後を取られない様に身構えた! すると、何時の間にやらこの工場跡地。2人のいる場所を中心として周囲を取り囲む狂信者集団『希望の信仰者』達の姿が所々に現れた。

「またわらわらと出てきただわさ……」
「どうする轟? 私は予定通りキャバリアを使うが……君は?」
「あたしはその場で必要なUCや技能を使って攻撃や支援をするだわさ。それで……」
「……それで?」
「まとめて倒すのよさ!」
「これまた奇遇だな。私もそのつもりだ!」

 轟が最初に説得を試み、出会った廃工場の屋根の上を陣取っている狂信者集団『希望の信仰者』の一人に向かって跳躍!
 また、ベルトはキャバリア『パロメデス』――ドサクサにパクってあれこれと暗黒騎士風に改造した専用のクロムキャバリアです――を使って技能スキル『ローラーダッシュ10』で狂信者集団『希望の信仰者』達の敵陣営に突っ込みかき回す!

「くっくく! さあ、戦いの時間ですよ~♪ そうです。『希望』は全てを解決してくれる……! あなた方、2人の|猟兵《イェーガー》には『闇』を我等が『希望の信仰者』には『光』を!」

 |UC《ユーベルコード》(POW)『希望』は全てを解決してくれる――あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【希望への渇望】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。

 敵である『希望の信仰者』達は武器を持たず、技能スキルを敢えて封印。轟やキャバリアを使うベルトとの差別化を図る。特に強力なキャバリアを用い、その優秀な|操縦者《パイロット》であるベルトとの力量差が広がる程、奴等の|UC《ユーベルコード》は活性化されあらゆる行動に成功する。『希望』は全てを解決してくれる。それが自身の『希望への渇望』を困難さに応じた量だけ代償にした奴等の『光』の正体!

 ああああ――――!!!! わたしが相手になるわ―――!!! この狂信者集団『希望の信仰者』達め……!!!!

 技能スキル『大声6』を『範囲攻撃12』で拡張させ、そこから更に『声を届かせる2』で確実に敵の注意を自分に集中させた轟。元々アニソン好きな彼女独自の御業である。

 ビリビリビリ……! と、思わずその拡声器を最大のボリュームにした様な強大な大声が敵の鼓膜を割るんじゃないかと思う程に振動させた! そして敵の動きが一時的に止まる。

「……ふふ。やるじゃないか轟。これで奴等の|UC《ユーベルコード》の効果を破壊しただろう。それにしても君らしい支援攻撃だな!」

 キャバリア『パロメデス』に乗っていたベルトは内部の|操縦席《コックピット》にいたので、轟の大声は何とか耐えられた。耳がキーンとなったのは確かだが……。

「今だわさ! ベルトくん! 奴等の動きが止まっている内に、敵を叩くのよさ!」
「分かってる……!」

 2人の意思疎通は阿吽の呼吸でピタリと嵌まった! キャバリア『パロメデス』で颯爽と動きの停止している敵達の元へと再び加速移動するベルト。そこで取り出したのは『RXカリブルヌスソード』と『RBXSサークランサー』だ。

 『RXカリブルヌスソード』はキャバリア用に製造された巨大な西洋剣です。
 『RBXSサークランサー』は巨大荷電粒子ビーム砲を発射出来るように改造されたキャバリア用の巨大槍です。

 そのとき装備してるキャバリア用の剣と槍。『RXカリブルヌスソード』と『RBXSサークランサー』を振るい敵群を蹴散らします。

「ぐわぁ……!」
「げはぁ……!」

 次々と敵を撃破。明らかに戦況は大きく変わっていく。それも、轟が敵達の注意を自分に引き囮になった事で隙が出来た所をキャバリア『パロメデス』に搭乗したベルトが巨大武器で突き、叩いた事によりコンビネーションが発生!
 この即興のコンビネーションは二回、三回と立て続けに巧みに嵌まり、2人の|猟兵《イェーガー》は劣勢どころか優勢に立つ事に成功した。

「……ぐっ! き・さ・ま・ら~。我等が狂信者集団『希望の信仰者』の逆鱗に触れたな? こうなったら……『絶望』は殺すしかないよね?」

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『絶望』は殺すしかないよね――【一般人への擬態】を脱ぎ、【狂信的殺人鬼】に変身する。武器「【文房具や調理器具などの日用品】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。

「……何か来るぞ! 気を付けろ! 轟!」
「分かってるわさ! こちとらこれでも女|猟兵《イェーガー》の一人なのよさ!」

 敵は半分以上減った。それでも狂信者集団『希望の信仰者』達の邪悪な『光』は消し飛ぶ所か増加していく……! 恐るべき執念である。

「きゃははは! いっくぞ~♪ ほら、ホラ、ほらぁ~!!」

 『狂信的殺人鬼』に変身した『希望の信仰者』。その手に持つ武器は『文房具や調理器具などの日用品』で毎秒理性を喪失してはいたが、その分だけ戦闘力が増加して、包丁や巨大な三角定規で滅多やたらと轟を攻撃! 冷徹で普段何考えているのか分からない分、その『狂信的殺人鬼』の猟奇性は恐るべき脅威を轟に植え付けた。

「……ぐっ! 何なのよさ! こいつ、さっきよりも強くなってるわさ!」

 |猟兵《イェーガー》に宿る強靭な身体能力で何とか敵の攻撃を紙一重でかわし、凌いでいる轟。そこにキャバリア『パロメデス』で援護しに向かうベルト。

 『RBXSサークランサー』に搭載された巨大荷電粒子ビーム砲を発射する!

「喰らうがいい……『UDC怪物』達! 例えそのタフな肉体に戦闘力増加されたとしても君等の体にこれは効くぞ?」

 自分の言ってる皮肉に思わず苦笑。そのままキャバリア『パロメデス』を操縦し、巨大荷電粒子ビーム砲の発射ボタンを押した。

 ポチリ♪ ビ――――! ズドドドドドド――――――――ン!!!!!

 狂信者集団『希望の信仰者』達はその巨大荷電粒子ビーム砲で一掃された。例え|UC《ユーベルコード》で戦闘力を強化してようが、『狂信的殺人鬼』になろうが、『文房具や調理器具などの日用品』を武器に変えようが、理性を喪失してようがお構いなし。次から次へと巨大荷電粒子ビーム砲の出力をチャージして射出する!

 当然、味方の轟に当たらない様に注意していたがそれは杞憂と言うものだった。あのアニソン好きな女の子。女|猟兵《イェーガー》轟は自身の身体能力を活かして、バク転、バク宙、側転、側宙を駆使し巨大荷電粒子ビーム砲の着弾点を紙一重で避ける避ける。まるでサーカスの一団員の様に粉塵と煙が上がる中を踊り、敵陣から離れていった。

「ふふん♪ アニソン好きを舐めるなよさ!」
「……いや、君。アニソン好きは関係ないだろう。轟」

 轟には聞こえないだろうが、思わずキャバリアの中からでもツッコミを入れてしまうベルト。

「……今、何か言っただわさ? ベルトくん」
「いやいやいや! そんなまさか轟さん。わたしは無実です」

 油断していたまさかの地獄耳。轟には今後気を付けようと誓うベルト。

 既に敵の勢力は3分の2以上殲滅。機転の利く轟にキャバリアの操縦が巧みなベルト。この2人組。案外相性良いんじゃないか?

「ぐ……! クソが―――――――! ここまで来て……私達の目的を邪魔させる訳にはいかない! 相手はたかが|猟兵《イェーガー》2人! まさか……最後の|UC《ユーベルコード》を使う羽目になるとは……これは高かったんだからね!」

 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『これは高かったんだからね!』――200G(万円)相当の【怪しい通販で買った召喚石】をx個消費し、ランダムな強さ・外見を持つ【邪神】族の【集団型オブリビオン】をx体召喚する。

「くっくっく! これで終わりだ」

 敵。狂信者集団『希望の信仰者』の生き残り。その一人が何やら怪しく輝く謎の石をマジシャンの様に掌の指の間に3つ嵌めて取り出した。
 それを宙に投げて3つ消費する。

「ベルト! お喋りは終わりだわさ」
「轟! 君も気を付けるんだ!」

 何か嫌な予感がする。そう2人の|猟兵《イェーガー》がこれまでの戦闘経験から直感を働かせる。それは……見事に的中した。

 敵が『怪しい通販で買った召喚石』を3つ消費すると、そこから出現したのは……何とランダムな強さ・外見を持つ『邪神』族の『集団型オブリビオン』3体だ。

 その『邪神』族。『集団型オブリビオン』は運悪く強力! しかも、その内の一体はカマキリの様に鋭い鎌を両手に持ち、ベルトの乗っているキャバリア『パロメデス』と同等かそれ以上の大きさを誇る巨大なオブリビオンだった。

「ちっ! ……奴等、切り札を出して来た様だな! 轟、君は一端退避するんだ! ここはキャバリア『パロメデス』に乗ってる私に任せろ」
「……」
「轟? どうしたんだ? 早くしろ! このままだと奴等の思うつぼだ! さっきみたいにその場から離れるんだ! 君なら出来るだろう?」
「ベルトくん……あたし」
「ん? 何だ? 今は悠長に話してる場合じゃないだろう!」

 キャバリア『パロメデス』越しからすぐさま応答。轟の様子が変だ。そして、敵の狂信者集団『希望の信仰者』に『邪神』族。『集団型オブリビオン』3体がジリジリと轟に近付き、その距離を縮める。これはさすがに不味い……!

「ひぃ――――! 虫が苦手なのよさ!」

 ずでーん♪ と、キャバリア『パロメデス』ごと豪快にズッコケるベルト。どうやらあの『邪神』族。『集団型オブリビオン』の中の一体。カマキリに似た巨大な姿を虫と認識した轟。実は虫系の敵は苦手でちょっと怯える。

 しかし、勢いよくズッコケた事で轟と敵対勢力の間に滑り込みセーフで奇跡的に間合いに入れた。

「……くっ! こうなったらこの私が操縦するキャバリア『パロメデス』がぶっ壊れるまで、あの3体の『邪神』族と応戦しよう! 今は轟の盾として! ……巨大カマキリは私に任せろ! 轟は残った敵を倒して、今回の事件の首謀者。『UDC怪物の血』を持つ者の居所を突き止めるんだ!」

 ギィイイエエエエエ!

 グオオオオオオオン!

 ガルルルルルルルル!

 3体の『邪神』族。『集団型オブリビオン』を相手にキャバリア『パロメデス』で一人果敢に立ち向かうベルト。敵はそれぞれ違う形態をしていて巨大カマキリに空飛ぶトカゲ、そして獰猛な肉食獣の牙を剥き出しにしたモンスターウルフが相手だ。

「……わ、分かったのよさ! あの複数のデカいカマキリを相手してくれるんだったら、あたしも何とか動けるわさ。……よ、よ~し! こうなったらあたし。歌っちゃうわさ! この声を届けて、『UDC怪物の血』を持つ者。今回の事件の首謀者を誘き出すのよさ!」

 熱いアニソン好きな女の子。その名は轟・やゆよ。本領発揮!

 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『英雄歌花舞台』(アニソンショウタイム)を発動!

 【アニソン】を披露した指定の全対象に【テンションを上げて盛り上がる】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

『あたしが歌えば、ここがステージになるのよさ!』

 轟が発動した|UC《ユーベルコード》『英雄歌花舞台』(アニソンショウタイム)に技能スキル『歌唱33』『パフォーマンス17』『ダンス16』『鼓舞14』『誘き寄せ1』を用いて、ベルトのテンションを急上昇させる。更にそこから、この工場跡地全体に聞こえる声で、『UDC怪物の血』を持つ者を導き出す!

 見つめるあたしのこの瞳~♪ そこに~映るは廃工場♪ 例えこの身が雨に濡れても……あたしの心は真っ赤な炎! 消える事ない真っ赤な炎! もしもあなたがまだここにいるのなら……姿を見せてよ。いつまでも色褪せないその背中だけでも~♪ あたしはいつまでもいつまでもここで待ってるから……あなたの事を待ってるから♪ 土砂降りの雨の中ずっと消える事なく待ってるから♪ だから……届いてこの声だけでも。あたしはあなたの力が必要なの……だからこの声よ~届いて……!

「良いぞ……! その調子だ。轟! 段々この戦闘が楽しくハイになって来た!」

 テンション爆上げなベルト。全ては|UC《ユーベルコード》『英雄歌花舞台』(アニソンショウタイム)を発揮した轟の歌声のお陰だ。

 『RXカリブヌスソード』の剣閃で巨大カマキリを薙ぎ払う。
 『RBXSサークランサー』の巨大な槍を突き刺し空飛ぶトカゲを空から打ち落とす。
 更に『RBXSサークランサー』の巨大荷電粒子ビーム砲を何発も放ち、モンスターウルフを一掃。

「後は……このキャバリア『パロメデス』がどこまで持つか? それと、今回の事件の首謀者である『UDC怪物の血』を持つ人物がいつどこで現れるか……だな」

 敵の『邪神』族。『集団型オブリビオン』3体を相手に何とかハイテンションで乗り切ったベルト。その難敵を倒した直後。遂にキャバリア『パロメデス』は派手な音を立ててぶっ壊れた。

 動力部に煙が上がり、どこかのパーツが焦げる異臭が|操縦席《コックピット》に充満した後、ドカーン! と爆発。その一時前、転がり落ちる様に脱出していたベルトは何とか持ち堪えて体勢を立て直す。

「そう言えば……狂信者集団『希望の信仰者』達の姿が見えない。大分片付けたのは確かだがその残党がどこかにいる筈。……む!? 遠くにいる奴等がそうだな。こうなったら……あれをやるしかないな」

 キャバリアの操縦は確かだが、生身だとそんなに強くないと自負してるベルト。それを補助するのが己のハイカラなオーラとセンスと瞬間思考力とUCによる謎の召喚術で頑張ります。

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『猛烈!悪魔王魂!』(ゴーゴー・デビルキングスピリット)を発動!

 【レベル数の様々な外見を持つ悪魔の皆さん】を召喚する。300㎞/hで飛翔し、【腕力や個人の持つ攻撃ユーベルコード】による攻撃や、召喚者との【その世界の常識や善悪の概念、情報の】共有が可能。因みにこのデビルキングワールドの悪魔召喚。彼等の力なら世界征服も容易い事をベルト本人は知らない。

『デビルキングワールドの一般悪魔の皆さん! あれが敵です! あれが悪! つまりあいつを倒せばもの凄い悪ってこと! という訳で……レッツゴー!』

「全ては私を召喚してくれた主の『悪』の意のままに……!」
「誰よりも悪いのはこの私よ!」
「『デビルキング法』に則り奴等を処罰します!」

 様々な容姿の悪魔軍団が召喚され、ベルトの声に反応。一瞬にして遠くにいた残党。狂信者集団『希望の信仰者』に襲撃を敢行! 物凄いスピードと破壊力のある|UC《ユーベルコード》で次から次へと敵を撃破していく!

 もう敵は殲滅した……そう思い、油断していたべると・らむばるどくんはそんな中、どこまでも聞こえていた轟の歌声が急に消滅した事に気付いた。

「轟君、何かあったのでしょうか?」

 すると、そこに一体のベルトに仕える悪魔がやって来て……とんでもない事を告げた。

「轟様が敵の残党に拉致されました。いかがなされましょう?」
「何ですと!?」

 すぐさま現場へと急行。ベルトは自分が召喚した『デビルキングワールド』の悪魔軍団を引き連れて工場跡地の最奥にある工房にやって来た。
 あの轟がそう簡単に敵に拉致される筈はない。これは自分の過失。少し油断していた結果がこれだ。ベルトは自分自身を許せなかった。

「くふふふ……や~っと現れましたねえ?」
「さあ、条件は揃ったわ! その子。『ココロ』を解放しなさい」

 そこには狂信者集団『希望の信仰者』の最後の一人。そして……何かを取り引きしていたと思しき轟の姿があった。

「轟……? 拉致されてたんじゃないのか?」

 聞いていた情報と違う。直ぐに察したベルト。恐らくあの厳重に鎖で捕縛されている『ココロ』とか言う少女が今回の事件の首謀者。『UDC怪物の血』を持つ者だろう。

「なるほど。轟。君が最初に言っていたのは決してハッタリじゃなかった訳か」

 ――もし大人しく『UDC怪物の血』を持つ者の所へ案内してくれるのなら、わたし達も矛を収めるわよ――

「ちょっと待て。我等が主。『UDC怪物の血』を持つこの少女『ココロ』を今、解放したら次に確実に狙われるのは私だ。貴様等|猟兵《イェーガー》なら分かるだろう。この程度の捕縛など自分達なら簡単に解く事が可能だと」
「それが何だと言うのだ?」
「ベルト! 挑発に乗らないで!」

 珍しく轟が焦っている。敵はたった一体。だが、ふと見るとその手には鋭利な刃物が握られていた。それは鎖で捕縛された少女『ココロ』の頸動脈をいつでも掻っ切る事が出来る様に首筋にあてがわれていた。

 正直、この距離からだといくら急いだとしても敵の方が先手を打つだろう。それはつまり、今回の事件の首謀者。『UDC怪物の血』を持つ『ココロ』自身を失う事に繋がる。それだけは何としてでも避けなければいけない。だが――

 ベルトは敵に覚られない様に轟にウインクした。轟が一体何を……と、思った瞬間。全てを理解した。

 |UC《ユーベルコード》(POW)『暗黒聖騎士の剣』(ダークパラディンソード)を発動するベルト!

「……な!? 貴様、正気か? この女。『ココロ』がどうなっても良いのか――」

 しかし、そこに少女『ココロ』はいない。いつの間にか捕縛が解けている! そして、狂信者集団『希望の信仰者』の最後の一人。その背後に潜んでいたベルトの配下。『デビルキングワールド』の住人が軽く叩いて自分の手から刃物を落とした。そのまま両腕を抱えて拘束……!
 次に飛んできたのは今まで怒りを抑えていた轟の飛び蹴り。顔面に直で喰らい、何本か歯を持っていかれた。

「全く! 手間ばかりかかっちゃったわさ……!」

 しかし、これで終わりではない。ラストはこんな小手先の手段で自分を翻弄した怒りの鉄槌。ベルトの|UC《ユーベルコード》をお見舞いする……!

 自身の【装備する武器】から、戦場の仲間が受けた【攻撃力】に比例した威力と攻撃範囲の【光と暗闇のオーラを纏う斬撃波】を放つ。

『私はベルト・ラムバルド! 光明の暗黒騎士だ! そしてこれが光と闇のオーラだ! 喰らえー!』
「ま、待て! 待て待て待て! 私はまだ――」

 強力な斬撃波が一瞬にして最後の一人。狂信者集団『希望の信仰者』をその場から消し飛ばした。

 *

「……ありがとうございました。轟様にベルト様。何とお礼を申し上げたら良いのか……」

 今回の事件の首謀者。『UDC怪物の血』を持つ人物『ココロ』は深々と轟とベルト2人にお辞儀した。

「別にお礼なんて要らないわさ!」
「轟君の言う通りです。わたしは|猟兵《イェーガー》として当然の事をしたまでです」
「コラ! ベルトくん! あたし『達』……なのよさ!」

 軽くベルトの頭を小突く轟。それを見た『ココロ』は思わず穏やかに微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木元・祭莉(サポート)
「おおー、いっぱいいるねー♪」

グラップラー×サウンドソルジャー、17歳の人狼少年です。
前衛肉弾派で、積極的に行動します。
まだまだ未熟なアホの子です。

いつも深く考えず、楽しそうにテンション高く対応します。
どどーん、ばばーん、ひゅいーんなど、擬態語を多用します。

ユーベルコードは、補助的に使うことが多いです。
状況に応じて、グラップルでの接近戦、衝撃波でのなぎ払い、浮遊とジャンプ・ダッシュを組み合わせた空中戦のどれかで戦います。

多少の怪我は耐性で耐え、肉を切らせて骨を断つ、がモットー。
いつも笑顔で、後先考えず。でもちょっとビビリ。

あとはおまかせで。よろしくおねがいします!



「おおー、いっぱいいるねー♪ ホントにここが敵のアジトだったんだね♪」

 場所は例の『UDC怪物の血』を持つ今回の事件の首謀者が潜むと言われている広い工場跡地。その一区画にて、木元・祭莉(銃弾を次から次へと叩き落とすなにかの達人・f16554)は能天気にそう言った。

「うふふふ……! 随分と余裕ですねぇ~。最初は迷子かと思いましたが、確かにここは私達。『UDC怪物の血』を持つある人物から生まれた狂信者集団『希望の信仰者』達の|根城《アジト》ですよ。それにしてもたった一人でここにやって来るとは。飛んで火にいる夏の虫という言葉を知っていますか? 例え|猟兵《イェーガー》だとしても……自分の仰っている失言にお気付きで?」

 木元の言う通り。そしてその敵の言う通り。

 木元自身を囲う様にして廃工場の至る所に狂信者集団『希望の信仰者』達は隠れ潜んでいる。いつも深く考えず、楽しそうにテンション高く対応します。果てしなくアホの子。グラップラー×サウンドソルジャー、17歳(現18歳)の人狼少年です。

「おいらの名前は木元・祭莉だよ! 狂信者集団『希望の信仰者』ちゃんが相手だとしても負ける訳にはいかないんだよね☆ おいら、一人前の猟兵になるんだー♪」

 ビキ! と、狂信者集団『希望の信仰者』達の相手をしていた一人。その人物の額に青筋が浮かんだ。どうやら奴等の逆鱗に触れたみたいだ。木元の言葉を宣戦布告と捉える。

「……一人前の猟兵になる。そうですね……『希望』は全てを解決してくれる。そのあなたの眼に映る僅かな『光』。『闇』のカーテンで今の内にあなたの心をへし折って差しあげましょう。覚悟するんだな!」

 |UC《ユーベルコード》(POW)『希望』は全てを解決してくれる――あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【希望への渇望】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。

 敵対勢力の狂信者集団『希望の信仰者』達は敢えて肉弾戦を選び木元と戦う。他の遠くにいる敵達も遠距離射撃の武器などを持たず、同様に素手での戦いを義務付ける。自分達に不利の状況である所謂『縛り』を加える事で、『希望』は全てを解決してくれる……その力技の|UC《ユーベルコード》はあらゆる行動に成功するのだ。

 だが、それでも木元はたった一人。|猟兵《イェーガー》とは言えこの次から次へと出現する狂信者集団『希望の信仰者』達との戦闘は明らかに不利だ。
 唯、前衛肉弾派で、積極的に行動します。その為木元にとってこの状況はある意味喜ばしいもの。歓迎すべき事態ではある。

「どどーん! おいらに接近戦を挑むとは良い度胸だね♪ こちとらこれでも格闘術には自信があるんだよ!」

 どどーん、ばばーん、ひゅいーんなど、擬態語を多用します。まだまだ未熟なアホの子です。
 状況に応じて、グラップルでの接近戦、衝撃波でのなぎ払い、浮遊とジャンプ・ダッシュを組み合わせた空中戦のどれかで戦います。

 木元が自ら豪語する通り。接近戦、狂信者集団『希望の信仰者』達との取っ組み合いでは、やはりと言えば良いのか木元に軍配が上がる。
 多少の怪我は耐性で耐え、肉を切らせて骨を断つ、がモットー。

 一方、想定外の白旗を掲げた狂信者集団『希望の信仰者』達は次々と接近戦に持ち込んだのが裏目に出た。倒されていく仲間達を見て直ぐに作戦を切り替える。

「……確かに。接近戦での力技が通用しないのは認めましょうか。それならば『絶望』は殺すしかないよね? 木元・祭莉さん」

 それでも、まだ余裕がある狂信者集団『希望の信仰者』達。次に発動した|UC《ユーベルコード》はこれまでの肉弾戦を修正した代物だ。

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『絶望』は殺すしかないよね――【一般人への擬態】を脱ぎ、【狂信的殺人鬼】に変身する。武器「【文房具や調理器具などの日用品】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。

「……むむむ! これまた怖そうなユーベルコードだね♪ だったらおいらからもお返しするよ! ばばーん!」

 いつも笑顔で、後先考えず。でもちょっとビビリ。そんな木元のユーベルコードは、補助的に使うことが多いです。

「お返し……だと?」

 まさか自分達が|UC《ユーベルコード》を発動した後、それを仕返しの様な形で|UC《ユーベルコード》のカウンターを喰らう羽目になるとは。さすがに狂信者集団『希望の信仰者』達の殺気立った眼も一瞬だけそのオーラが消えた。意表を突かれたのだ。

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『守護神降臨』(テンテキ・ガ・キタ)を発動する木元……!

 レベル×1体の、【額】に1と刻印された戦闘用【ニワトリ型ロボ】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。

 コケ―♪ コッコッコ♪ 木元のレベルは『163』なので……何とそこに現れたのは163匹の『ニワトリ型ロボ』!

『毎日が修業!』恐るべき数の『ニワトリ型ロボ』を召喚してドヤ顔。まるで既に勝負は着いたとでも言いたげにドヤ顔!

「ぐ……ヒャッハッハッハ! まさかこの狂信者集団『希望の信仰者』達を、それも『一般人への擬態』を脱いだ『狂信的殺人鬼』を目の前にして、その無駄に多い『ニワトリ型ロボ』なるガラクタの山で対抗してくるとはね! ある意味キミが一番の狂人かもしれないな!」

 その言葉は『UDC怪物の血』を持つ今回の事件の首謀者になっていた最大の被害者。その名を『ココロ』と言う狂信者集団『希望の信仰者』達の生みの親であるまだ年若き少女の事も何気なく含まれていた。

 コケコッコー♪ 163匹の『ニワトリ型ロボ』が工場跡地の至る所に散っていく。無論、その鳥類のロボットは敵の狂信者集団『希望の信仰者』達の化けの皮を脱いだ本性。戦闘力を増加された『狂信的殺人鬼』により『文房具や調理器具などの日用品』で、このままだと次から次へと始末されてしまう……!

 だが、実はその『ニワトリ型ロボ』……モデルは妹の杏が捕まえてきた野生の雌鶏。世界一凶暴。メカたまこは海上も走る!?

「質より量とでも言いたげだけれど……残念だったねぇ~。結局、キミ一人じゃ我々には敵わないんだよ坊や! 一人前の猟兵だと? 笑わせるな!」

 しかし、ここで終わる程木元も馬鹿じゃない。敵が持つあらゆる武器(文房具や調理器具などの日用品)を『衝撃波45』での『なぎ払い30』で打ち落としていく!

「ひゅいーん! それにしては手こずってる様に見えるけどね! おいらも漸く一人前の猟兵になれた証なのかな?」
「ほざけ! この犬コロ如きが!」

 確かに木元の言う通り。たった一人の|猟兵《イェーガー》が数十人はくだらない敵を相手に良く善戦していると思われる。
 だが、敵は最後の|UC《ユーベルコード》をまだ奥の手として残していた。
 そして……この戦い。派手に暴れ回っているのは唯一の仲間。世界一凶暴(?)な『ニワトリ型ロボ』だけ。このままでは不味い。

「……く! こうなったら!」
「チ! もう良い。あれを使うか……!」

 またもや木元と敵の攻防戦が|交錯《クロス》する。

 木元は量より質の作戦に切り替える。
 敵は最後の|UC《ユーベルコード》を切り札に使う。

「残りの皆……! 合体だよ!」「覚悟せよ、木元・祭莉……これは高かったんだからね!」

 木元と敵は同時発声で作戦変更! |UC《ユーベルコード》『守護神降臨』(テンテキ・ガ・キタ)で召喚した『ニワトリ型ロボ』を|1匹だけ残して《・・・・・・・》緊急招集する。集まったのは121匹。思っていたよりも多く集う。そして合体!

 『額』に刻印された数字が『1』から『121』に変化して戦闘用『ニワトリ型ロボ』はより大きくなり、雄々しく猛々しく強くなる!
 その雄姿はまるで|不死鳥《フェニックス》を想起させる。そしてまるで自分の背中に乗る様にと木元に背を向けて促し、木元はその背中に飛び乗った……!

 ここからは『額』の刻印『121』の戦闘用『ニワトリ型ロボ』――|不死鳥《フェニックス》に乗った木元の空中戦が肝となる。そして――

 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『これは高かったんだからね!』――200G(万円)相当の【怪しい通販で買った召喚石】をx個消費し、ランダムな強さ・外見を持つ【邪神】族の【集団型オブリビオン】をx体召喚する。

 ――敵も最後の|UC《ユーベルコード》を発動。勝負に出た。謎めいた召喚石を3個消費して、『邪神』族の『集団型オブリビオン』が3体。空を飛んでいる木元の真下。工場跡地の全景が見渡せるその一区画ずつ。3つの|場所《エリア》に姿を現した!

「あちゃ~! あんな個体の『邪神』族。『集団型オブリビオン』をおいら、3体も相手できるかな? でも、狂信者集団『希望の信仰者』達をこのまま野放しにしたら、一人前の猟兵とは言えないんだよね☆」

 ギィエエエエエ……! 『邪神』族。巨大なカマキリに似た『集団型オブリビオン』の咆哮。

 グオオオオオオ……! 『邪神』族。空飛ぶトカゲ、『集団型オブリビオン』の咆哮。

 ワオ――――ン……! 『邪神』族。モンスターウルフである『集団型オブリビオン』の咆哮。

「よ~し! ここからはおいらの得意な空中戦で勝負だよ! あの『邪神』族を1匹ずつ始末していくんだよね☆」

 その木元の意向が通じたのか|不死鳥《フェニックス》事、戦闘用『ニワトリ型ロボ』が最初に空から奇襲を仕掛けたのは、巨大カマキリの『集団型オブリビオン』だ!

 基本は浮遊とジャンプ・ダッシュを組み合わせた空中戦。そこに飛んでくる両手の巨大鎌をバク宙して避けた後、技能スキル『迷彩10』で背景と同化。そこから『電撃10』での『カウンター35』を一体ずつ喰らわせていく! 着地する足場はもちろん戦闘用『ニワトリ型ロボ』|不死鳥《フェニックス》の背中だ。電撃カウンターで一時的に怯み、動けなくなった敵達。そこにすかさず『鎧無視攻撃6』をかまし、一体ずつ確実に仕留めた。

 次に相手したのは、空飛ぶトカゲの『集団型オブリビオン』。基本はさっきと同じだが、敵も空を飛べる上複数いる。木元は警戒して『吹き飛び耐性8』と『落下耐性8』を用いて、空飛ぶトカゲ達のかぎ爪攻撃を何とか凌ぎつつどこから来るのか分からない所に『気配感知10』を使って戦いを有利に進めた。
 最終的に『威圧10』で敵を一蹴。そこから出来た隙を使って『気絶攻撃5』で空中から何匹も打ち落とす事に成功した。

 ラストは地上にいるモンスターウルフ達。奴等は『モンスターウルフ』を名乗るだけあり、口から火炎と氷の息吹を吐いてそれが弾丸の様に空にいる木元の乗っている戦闘用『ニワトリ型ロボ』。|不死鳥《フェニックス》を襲う……!
 実際、何度か喰らったがすぐさま『火炎耐性10』『氷結耐性10』で覆い、耐える。そしてそのまま一気に地上へ滑空。敵との距離を縮めて|十八番《オハコ》である浮遊とジャンプ・ダッシュを組み合わせた空中戦に持っていく……!
 そこに近付いてきたモンスターウルフに『頭突き10』と『目潰し7』を喰らわせて『マヒ攻撃7』で確実に仕留めた後、『ぶん回し15』で他の敵と衝突させて混乱を招いていく!

「やったー! 今、おいら最高だね♪ 残る問題は今回の事件の首謀者。『UDC怪物の血』を持つとか言う謎の人物。その人を|無事に見つけてくれていれば《・・・・・・・・・・・・・》解決なんだけど……」

 自身の技能スキルを的確に利用した木元はまさかの予定通り。あれだけいた敵を一掃した。しかも、木元はこの時の為に1匹の『ニワトリ型ロボ』をコッソリと合体に使わずに工場跡地を徘徊させていた。敵は飛行している木元に釘付けで、その『ニワトリ型ロボ』は一度も見つからずに例の『UDC怪物の血』を持つ今回の事件の首謀者。『ココロ』の元へと辿り着く。

 そう。あの時。敵が最後の|UC《ユーベルコード》を切り札に使い、木元が量より質の作戦に切り替えたあの時。
 『ニワトリ型ロボ』を1匹だけ残していた|理由《わけ》はこの時の為にあったのだ。

 ……コケコッコー!

 そしてその『ニワトリ型ロボ』が正に『ココロ』を見つけた! とでも言わんばかりに盛大に鳴いた。

 *

「ありがとうございました。|猟兵《イェーガー》の木元・祭莉様。何とお礼を申し上げればよいのか……」

 今回の事件の首謀者。『ココロ』の『UDC怪物の血』の中で暴走し始まった今回の事件。それは『ココロ』自身が望んで引き起こしたものでは無い。
 寧ろ『ココロ』はそれを必死に制御して、一匹でも多くの『UDC怪物』をこの『UDCアース』に出現させまいと躍起になっていた。

「良いんだよ! 『ココロ』ちゃん。君は何も悪くないんだから、これからもその『UDC怪物の血』に負けないでいて欲しいな☆ また、何かあったらおいらが駆け付けるからさ! ……まあ、おいらはまだ|猟兵《イェーガー》として半人前なのかもしれないけどさ!」

 その言葉を聞いた『ココロ』は一瞬、呆けた顔になって……クスクス笑った。

「……え? おいら何か変な事言ったかな?」
「いえ、失礼しました。だって木元様、単独であの『UDC怪物』の|根城《アジト》に乗り込んで、この私を敵だと微塵も疑わずに救い出してくれたでしょう? それは事前に正確な情報を仕入れて、この『UDC怪物の血』を持つ今回の事件の首謀者である私が敵ではない事を知っていたから。木元様は私にとって立派なヒーロー。一人前の|猟兵《イェーガー》ですよ?」

 その言葉を聞いた単純明快な性格の木元の顔はパァッ! と、輝き、思わず有頂天。ドヤ顔もドヤ顔。ドヤァ~である。

「ありがとう! 『ココロ』ちゃん! おいら一人前の|猟兵《イェーガー》としてもっともっと強くなるよ!」
「その意気です! 私はいつまでも今回の事件を忘れずに助けてくれた木元様を心から応援していますよ」

 そして、まだ年端もいかない少女。『ココロ』は今回の事件の首謀者。『UDC怪物の血』を持つ者としてUDC組織に事件の概要を説明すべく、連行されていった。それを何気なく心苦しく思いながら、いつまでも木元は彼女に手を振る。

 ぐぅうううう~……。

「あ~。おいら、『ココロ』ちゃんを無事に助けた途端に安心してお腹が空いてきたんだよねぇ……」

 お腹が減ると甘えん坊な木元・祭莉。これでも『一人前の猟兵』のお墨付きを貰った人狼少年。次に向かうは温かい食卓が待つレストラン。

 こうして『UDCアースの謎』は無事解決。希望の『光』は灯る。

 唯、今の木元の頭の中は食べ物の事しかない様だが……それも御愛嬌。

 一人前の(?)|猟兵《イェーガー》に食事は欠かせないのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年08月22日


挿絵イラスト