銀河も、地球も、生命も――森羅万象――ひとつの行為からは逃れられず、それ故に、今日まで輝きを失わずに済んでいる。ひとつの行為とは即ち『回転』である。回転とはあらゆる『もの』に内包されている力であり、その力は様々な事柄の根幹として成されている。たとえば、人体。その秘密を暴く為にはまず自らを痛めつけなければならないのだ。いや、より正確に描写をするのであれば、自らの三半規管を苛め抜かなければならないのだ。古代バトリンピア時代――神は確かに存在していた。人々は神と同一化し、新たな次元へと至る為ひとつの|儀式《こうい》を見出したのだ。そう、まさしく回転! 回転とは――ぐるぐるとは――ぐるぐるバットとは――🌈の彼方に身投げする為の神聖な儀式であったのだ! そして現代! アスリートアース! その他スポーツ『ぐるぐるバット』はダークリーガーにも……オブリビオン・フォーミュラにも……新生フィールド・オブ・ナインにも知られている。嗚呼、サイクロン! ぐるぐるバットは今、最も熱いスポーツといっても過言ではない!!! そして視よ、此度、神聖なる舞台に上がった二人の選手を!
ぐるぐるバットの時間よ! 準備は良い? 私の|お友達《ライバル》……! Grgr! 完璧な基本姿勢を魅せたのはぐるぐるバットの申し子、吐院・ぐるめだ。彼女はぐるぐるバットがあまり注目されていない頃から『🌈』を讃えていた生粋のぐるラーである! そして何より名前の通りだ。……ぐるめちゃん。わたし、いつも本気だけど、今日は一段と気合が入っているからね☆ 黄金色のオーラを……神の気配を身に宿している此方の選手は花走・りな。実はぐるめ選手よりも『覚醒』が早かった事は内緒である。……同じ領域に辿り着いた者同士……どっちが勝っても恨みっこなしだからね! 如何なものか。冒涜的なのかもしれないが――ぐるぐるバットの神はひとつではない! 一方は黄金色――球状と棒状の未曾有――もう一方は果たして――赫々とした、流れるような回転のオーラ。レッツ・ゴー・サイクロン!!!
イベントのようなものだ。客席には様々なアスリート――ダーク化したバット・サイクロンの選手達、ダークリーガーまでも――が座っている。いや、坐している者など一人としていない。試合観戦に夢中がすぎて、つい、目が回り、倒れてしまうほどに! おお、視よ、二人のサイクロンを。文字通りのサイクロンを! その竜巻、黄金と赤の埒外性とやらを――! さすが……花走さん……私の全力の全力、その先まで……既に……。ひとつ、赤色の竜巻が消え去った。消え去ると同時に――中心だったぐるめが、ぐるぐる目でぶっ倒れた。……回転の美しさ、数はわたしが有利……だけど……ぐるめちゃんの本領は……! 噴水だ! 噴水ができている。🌈の噴水がステージを彩っているのだ。いや、これは勿論『イメージ』でしかない。されど……審査員の心には突き刺さっているだろう。……うぅ……オェ……ゲホ……だけど、これで……。ずさぁ! 振盪している眼球、渦のような其処に滑り込んできたのは――目を回したアイドル的魅力の|お友達《ライバル》! ……め、目が回る……うん。ここから、ここからが、限界を超うぇっ……。派手にブチ上げたのか。派手にブチ撒けたのか。兎も角――噴水ではない。アートだ。見たまんまの🌈――|喝采《アブロース》!
一点差。花走・りな選手の勝利である。
目が回ってフラフラな二人の耳朶……三半規管を……情け容赦なく喝采が迎える。
花走さん……私、もっと、練習頑張るね……🌈
わたしが、追われる側になるなんてね🌈
成功
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