モフィンクスの冒険~爆誕!? 地下アイドル☆モフノ!
幻武・極
【モフィンクスの冒険】
第10話 モフィンクスコレクション2025 I
アルダワののんびりモフモフゆるキャラ災魔のモフィンクスの1匹がちょこっとやる気を出し……夢の世界へと足を踏み入れてしまいました。
そして、夢の世界の散歩はまだまだ続きます。
モフィンクスが飛び込んだ次の夢は、
アイドルステージでアイドルたちが戦う、アイドル☆フロンティアでした。
不幸な人が変身した姿がなんとモフィンクスでした。
どうやら意識はモフィンクスで不幸な人に憑装したかのようです。
しかも、フォーミュラが健在なこの世界ではどうやらオブリビオンとして世界の敵をしなければいけないようです。
いかにもオブリビオンとして、この世界に現れてしまったモフィンクスの命運は?
モフィンクスの冒険は続く。
アイドル☆フロンティアにオブリビオンとして現れてしまったモフィンクスが何をしてどうなったのか?はおまかせします。
お好きに展開を進めてください。
オムニバス形式で続けていくノベル企画になりますので、納品後にタグで#モフィンクスの冒険 と付けてください。
それでは、どうぞよろしくお願いします。
今日は学園の生徒達が忙しない。
まるでお祭りでも始まりそうに皆がそわそわしているが、何があるのだろう。
気になったモフィンクスは、ちょっぴりやる気を出して催しに参加してみようとしたものの……いつもの如く寝落ちし、別世界へ旅立ってしまったのでした。
バターン!!
「キャーッ!! モフノちゃん、しっかりっ!」
突然天地がぐるりとひっくり返り、床にしたたか体を打ちつけた。痛い。
モフノ? いや、我はモフィンクスであるはずだが。のっそりと起き上がるも、何かがおかしい。手足が全然モフモフしていない。これでは人間のようだ。
周りを眺めると、そこは教室によく似た『レッスンスタジオ』なる場所のようだった。そして鏡を見たモフィンクス、いやモフノは驚く……我、美少女になってる!?
しかも全くモフみのない、むしろ凛々しい感じのクールな美少女だ。もしや、これは最近猟兵たちがよく言っている『あいどる』なるもの。グループメンバーらしき少女達が心配そうにモフノを覗きこんでいる。何か答えるべきだろうか。
「モフ~ン」
「た、大変! モフノちゃん、レッスンとライブとトークイベントとラジオと握手会とSNSとサブスク更新とグッズ撮影と……後なんか色々で忙しすぎておかしくなっちゃった!」
地下アイドル『オマエと見たかったあのモフ』――略してオマモフの絶対的センターにして大エース、メンカラはオレンジのモフノ・ザ・ショートスリーパー。
それが、このアイドル☆フロンティアにおいて、モフィンクスがうっかり憑依してしまった美少女の正体だった。
この世界では、心の中から骸の海が溢れだすほど不幸な人がオブリビオンになってしまうというが、モフノの不幸の原因は推して知るべしだ。アイドルだけに。
――休みたい休みたい休みたい休みたい休みたい……。
モフノ(本物)の心の声が聴こえる。節々が痛い。すごく痛い。それに眠い。ショートスリーパーってキャラ設定きつくない?
「モッ、モフゥゥ……」
モフィンクスにはとても耐えられない蓄積疲労だった。スタジオの床に這いつくばりながらごろごろし始めるモフノの姿を見て、メンバーとマネージャーが悲鳴を上げる。
「いや、これは逆にバズるチャンスかもしれない!」
「プロデューサー!?」
「普段ストイックなモフノのだらしない顔、レアだろうが!!」
「そ、そうだよね、イェスタのストーリーに載せなきゃ」
突如Pを名乗る人物が現れ、動画を撮り始めた。メンバーたちもそれに続く。人の心とかないんかこいつら……そう思うところだが、生憎モフィンクスにはアイドルがわからぬ。
お願い流れ星! 我、眠い!
「モフ~……ZZZ」
「あ、あれ? なんか急に眠くなっ……ZZZ」
そして急にまったりゆるキャラへ路線変更したモフノのオーラにあてられ、オマモフに関わる人々は徐々に地下アイドル業へのやる気も、推しを推す熱意も失っていったのだった。
いや、別にいいじゃない。ハピエンじゃんって事はない。
「モフモフゥ」
(うう、眠くて体が動かない……確かに少しは休みたいって思った……でもこんなの違う。私は誰よりオマモフを愛してる!)
そんなモフノ(本物)の心の声が、今日も日がな一日自宅でごろごろ中のモフィンクスには聴こえていた。
この世界のフォーミュラは現役だ。拒否したくてもオブリビ業、やらなきゃいけない。嗚呼、まるで事務所の意向には逆らえない哀しきアイドル。
これは悪い流れだ。もしや倒されちゃうのでは、なんて事も特に考えずモフノが眠りこけていた時、窓の外に流れ星が落ちた。
「モフ!?」
気づいたらステージ上に立たされており、モフノは驚く。ほとんど真っ暗な中、ぽつりぽつりとオレンジのサイリウムが揺れている。
それはオブリビオンの干渉を受けてもなおモフノを、そして彼女が築いたキミモフを諦めきれなかったほんの僅かな、だが熱心なファンの想いだ。
「モフ……」
眠たげなモフノの瞳から勝手に涙が流れる。この感情は何だろう?
そして、急に金色のサイリウムが客席を埋めつくす。モフノを元に戻しにきた猟兵が現れたのだ。
「君は過重労働の常習犯だな。労基法違反で逮捕する」
警官衣装の青年に銃撃を受け、モフノは眠るように意識を手放した。
『モフノちゃん、今まで全部任せっきりでごめん! あたし達も本気でファンサとか頑張るから』
『俺もスケジュールを詰めすぎていたよ……もっと皆に平等に仕事を割り振れるようにしないとな』
さあ、今日からキミモフ第二章の始まりだ――円陣を組んで嬉しそうに微笑むモフノの姿を、モフィンクスは神の視点で見下ろしていた。遠くから見てこの衣装、とはしゃぐ学生の声が聴こえる。どうやら全部夢だったらしい。
「モフゥ……」
トホホ、アイドルもオブリビオンももうこりごりモフ~っ!
視界が丸く閉じながら暗転し、モフィンクスは無事安眠へ入ったのでした。
成功
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