ツヴァイヘンダー・ジュリスプルーデンス
●巨大な
「こんなのどうやって振り回せってんだよ……」
手にした重さに若き騎士はうめいた。
ずっしり、と形容するだけでは足りないほどの重量感が我が手の中にある。まるで長柄の武器のような手触りであったし、また重さは比類できないほどであった。
「お弟子くん~、きみならできるはずだよ~」
「そんな投げやりな言い方って……」
「いやいや、本当に~」
若き騎士はイリアステル・アストラル(魔術の女騎士・f45246)の言葉に、いやいや、と頭を振る。
できる、と言われてできるのならば弟子入りなんかしていないのである。
今まで彼が手にしていたのは一般的な長剣だ。
盾と併用することができるように刀身と柄が調整されているし、また両手で扱うことも考慮されていると言ってもいいだろう。
だが、今彼が手にしているのは汎用性もないものだった。
イリアステルが彼に手渡した長大な巨大剣。
それがツヴァイヘンダー。
イリアステルの身の丈を超えるのではないかと思うほどの全長。
あまりの重さにうまく扱える気がしないのだ。
「きみの動きは大味だけれどね~、その動きを活かす方向に行こうっていうのなら、案外、こういう剣がきみに合ってると思ったんだよね~」
「いや、いくらなんでも長すぎでしょ。狭所なんかじゃ振り回せないですよ。取り回しだって悪いですってば」
「ん~確かに問題点もあるんだけど、極めれば強いよ~?」
「……!」
その言葉に若き騎士は発奮する。
そうだ。
なんのために彼女に弟子入りをしたのか。
当然、強くなるためだ!
ならば、四の五の言う前にやってみろ、という話である。
「ぐっ……くっ、くくっ!」
重い!
なんとか持ち上げられはした。
けれど、手に馴染む気がする。自分の動きを大味と言った意味もわかった。
だが、それは短所でもあり長所でもあったのだ。ならば、と持ち上げた剣を振るう。
振り回される。
「体を真芯にしてみて~もうわかってると思うけど~」
「わっかんないですってば!」
だが、剣を振るえばわかる。
今の自分は独楽だ。振るう刃は遠心力で叩きつけられ、大地を抉るようにして粉塵を上げる。
威力は絶大。
「……でも、これ絶対明日筋肉痛になるだろ……」
だが、それでも師匠はこれを簡単に振り回しているのだ。
まだまだ道は遠い。
けれど、目指すべき場所が標としてあることのありがたさを噛み締めながら、若き騎士は邁進するのだった――。
成功
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