白黒ギルド対抗アリーナ・陣取り合戦!
※このシナリオはオブリビオンとの戦闘が発生しない、特殊な第一章のみで完結するシナリオです。
猟兵同士での戦闘行為を扱うことを前提としております。内容をご確認の上でご参加をよろしくお願いいたします。
●前日譚:|白《ホワイト》と|黒《ブラック》のギルドバトル。
究極のオンラインゲーム、ゴッドゲームオンライン。
|統制機構《コントロール》から現実逃避したい多くの人々にプレイするこの世界では、ゲームプレイヤーによるギルド活動も活発である。
その中に、二つのギルドが存在する。
比較的明るく高潔なロールプレイを重視する社会人ギルド、『|純白企業《ホワイトビジネス》』。
比較的うす暗くダーティなプレイを重視する社会人ギルド、『|漆黒結社《ブラックファーム》』。
二つのギルドはメンバーのログイン時間が似通っているため狩り場が重なることも多く、長年抗争を続けている。
時に白が優位に立ち、時に黒が形勢を強め、互いに一進一退の状況を繰り返す間柄。
両者共に鎬を削る好敵手の関係であるが、そろそろ雌雄を決しないかとギルドリーダー同士で話し合いの場を設けられていた。
そして、決戦の時が訪れる。
ゴッドゲームオンラインには、様々なルールでプレイヤー同士が対戦するPvPコンテンツも実装されている。
『アリーナ』と総称されるこれらの闘技場コンテンツには様々な対戦モードがあり、その機能を利用して両ギルドのほぼ全員が一同に会していた。
総力戦による、対抗戦。
アリーナ専用の広大なバトルフィールドに移動してそれぞれがギルド領地を構築し、互いに攻め込み合って先に制圧した側が勝者となる陣取り合戦を開催するのだ。
審判役に呼ばれたドラゴンプロトコルが見守る中、集まったギルド所属のゲームプレイヤーたちが各々の武器を手に戦いのゴングが鳴らされる時を待っている。
「「白黒はっきりつけようか!」」
●招集:なおギルド間の仲は良好です。
「陣取り合戦の傭兵を募りマース!」
グリモア猟兵、バルタン・ノーヴェは元気な様子で猟兵たちに招集をかける。
今回はオブリビオンが関与していない日常的な催しを案内するようだが、その内容は戦いだ。
『アリーナ』という対戦モードによる、いわゆるプレイヤー同士のPvPに参加しないかと声をかけているのだ。
「ゴッドゲームオンラインのとあるエリアにて、『|純白企業《ホワイトビジネス》』と『|漆黒結社《ブラックファーム》』、二つのギルドが対抗戦を行いマース!
勝敗で特別なメリット・デメリットがある訳ではありマセンガ、勝てばドヤ顔 負ければ悔しい! そんなシンプルバトルのイベントデース!
そこにエブリワンもエントリー! 猟兵、参上! と加わることができマース!」
そんなギルド対抗戦に、猟兵たちも傭兵として参加して盛り上がろうではないか。
それがバルタンの提案であり、両ギルドも主力になる猟兵が来てくれるならと快く承諾してくれている。
だが……白と黒、どちらに加わるかは猟兵たち各々が決めることだ。
すなわち、猟兵同士でぶつかり合う可能性もあるのだ。
「どちらに加勢するかは自由におまかせしマース!
ただ、両方を敵にするとか裏切り枠はお控えくだサーイ。トラブルの原因になりマスゆえ、片方の勝利のために頑張りマショー!」
もっとも、純白企業も漆黒結社も双方甲乙つけ難い力量のプレイヤーたちで構成されている。
社会人であるが故に課金装備も潤沢で、猟兵といえど油断すれば足を掬われるくらいには実力がある。
たとえ猟兵が片側に集中したとしても、歯ごたえのある腕試しにはなるだろう。
「事前に所属ギルドを喧伝しても良し! ご友人と示し合わせて対立しても良し!
恨みつらみや因縁のない、スッキリとしたバトルをエンジョイしてくだサーイ!」
この派手なイベントに参加して楽しんでもらえれば幸いだと、バルタンはゲートを開く。
なお、バルタンは往来のゲートを維持するため、呼ばれても戦場には降り立つことは無い。
安心していただきたい。
リバーソン
こんにちは。リバーソンです。
マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。
今回の舞台はゴッドゲームオンライン。アリーナによるギルド対抗戦に、傭兵として参加することが目的です。
このシナリオはオブリビオンとの戦闘が発生しない、特殊な第一章のみで完結するシナリオです。
猟兵同士での戦闘行為を扱うことを前提としております。
内容をご確認の上でご参加をよろしくお願いいたします。
まず、留意していただきたい点といたしまして。このシナリオの戦いは……。
※『|純白企業《ホワイトビジネス》』が勝ちます。 ※『|漆黒結社《ブラックファーム》』が負けます。
勝者になりたい方はプレイングの冒頭に【白】と記載してください。
敗者になりたい方はプレイングの冒頭に【黒】と記載してください。
記載がない場合、および【灰】や【シルバー】や【深淵よりも暗き色】など、白黒の判断が付けられない場合は安全を考慮して不採用にさせていただきます。
どちらのギルドに猟兵の参加者数が偏っても勝敗は変わりません。純白企業が勝ちます。
サポートにて執筆する場合は、純白企業側で採用させていただきます。
プレイングボーナスはありませんが、【白】は相手のギルド領地への侵入して、【黒】は自分たちのギルド領地に侵入されて、双方激突する形を想定しております。
また、猟兵同士で思いっきり戦って腕試しをすることになりますので、過度な言動には注意して戦いを満喫してください。
オープニング公開後の断章はなく、すぐにプレイング受付開始となります。
プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたしますが、今回はシナリオの都合上参加者全員まとめての合同リプレイになります。
そのため、締切告知が普段より短い期間になる可能性があります。ご了承ください。
皆様、よろしくお願いいたします。
登場人物:純白企業と漆黒結社のゲームプレイヤーたち。
課金装備や社会人経験による連携が取れている腕利きのプレイヤーたちです。
双方のギルドメンバーは狩り場が被った時に一緒に遊ぶ仲でもあります。
猟兵たちと正面からぶつかれば吹き飛んでいきますが、猟兵と連携して行動することも可能です。
世界説明にあるジョブとアイテムを駆使し、ゲームプレイヤーのユーベルコード《スキルクロス・リユニオン》を使用することができます。
純白企業が勝ちます。
第1章 冒険
『ギルド領地への侵入』
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POW : 肉体や気合で解決や交流
SPD : 速さや技量で解決や交流
WIZ : 魔力や賢さで解決や交流
イラスト:のこきび
👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ニクロム・チタノ
【白】クロム・チタノさんと参加
白黒はっきりつける、ボクの大好きな言葉だね!
先鋒で敵陣に斬り込んだ所でクロムと激突する
猛吹雪で視界が遮られてもリサーチゴーグルでクロムの位置は見逃さないよ
この猛吹雪の中でも使える武装を用意してるんだよ、反抗の火炎放射器さ、反抗の思いが強い程この火炎は勢いを増すよ!
巨大な氷壁も火炎に炙られて強度が下がっているね、ゴルディウスをチャクラムに変えて投擲して氷壁を切断するよ!
クロムがいない?まさか、上!?
く、抜かったね…だけど余裕という『傲慢』が敗因だよ!
反抗の時は来た
ギリギリで光線を躱したつもりかもしれないけど、さっき飛ばしたチャクラムが帰って来たよ?形勢逆転だね!
クロム・チタノ
【黒】ニクロムと参加
ふふ、来ましたねニクロム、姉妹同士腕試しと参りましょう
手加減は致しませんよ?制裁執行もはや猶予なし
私のクロムアイは猛吹雪の中でも貴女を捉える事が可能です、しかし貴女もこの吹雪の中移動する手段があるようですね?
ならば次に移行します、巨大な氷壁を展開します
火炎放射器とはちょこざいな物を、しかしこちらへの注意が逸れたようですね
チャクラムの投擲は無意味、既に切断された氷壁を飛び越え貴女の頭上に接近しております
とった!これまでです!!
む、悪足掻きを…後方からチャクラム!?先程の投擲はこれが狙いですか!
まさかここまで成長しているとは、流石でした、貴女はもう立派な反抗者ですね
ルナ・キャロット
【黒】でも人数偏ってそうなら白でも
何でも歓迎
私は高潔で純白な姫騎士なのですが…
傭兵として呼ばれたなら仕方ないですね。全力を尽くします。
(黒に染まる姫騎士というのもかっこいいですねんへへ)
かっこいい姫騎士として活躍してチヤホヤされますよ!
城の防衛として待ち構え、此処から先は行かせません!
スキル発動して薔薇のフィールドかっこいい!
GGOやり込みなら誰にも負けません
すべての攻撃をジャストパリィで弾きアクセルコンボの連撃で沈めていきます
超絶激レアSSRの双剣を自慢気に見せびらかしながら活躍して気持ちよくなります!
でも褒められすぎるとニヤけ顔で姫騎士RPがくずれたり、猟兵の別ゲーな技は対応しきれないかも
布都御魂・アヤメ
【黒】アドリブ歓迎
こういうの参加してみたかったんだー!すっごくゲームって感じだもんね、楽しみ!よろしくお願いしまーす!
集団戦も経験は全然ないんだけど…足を引っ張らないように、皆に合わせて頑張るよ!
ま、まだ子供だけど…ボクだってやれるよ!
敵を見つけたらとにかくダッシュ!
経験差上等!軽業と野生の勘で攻撃を避けながら爪とか尻尾でグラップル!床以外も駆け回ってフェイントも混ぜて…ちょっとでも翻弄できたらいいな
劣勢になってもチャンスがあったら怪力で押し込んで、大技をねじ込む!一か八かの勝負…全力だっ!
心意気なら負けないよ!どんな状況でも、次へ繋ぐバトンになるんだ!
レオニダス・ウナンナ
白い猫なので【白】で参加するにゃん
人語は喋れないけどなぜか言いたいことは伝わるのが猫だから、俺様に任せておきな と背中で語って単独敵陣に潜り込むにゃ
かわいい猫NPCのふりをして敵に近づいて油断させたら猫の悪戯で暴れまわって相手側の装備を壊したり使用不能にして弱体化にゃ
そのあと大声で鳴いて味方に突撃させるにゃ
自分も突撃に混ざって敵の後ろから忍び寄ってとびついて驚かせたり、足にぶつかってすっ転ばせたり 地味な嫌がらせで敵の行動を阻害して味方をサポートするにゃん
敵方に見知った顔がいてもお構いなしにぶつかってやるにゃ
相手領地を占領したらそこでのんびり丸くなったりその辺の柱で爪研いだりして勝利を満喫にゃ
メリーナ・バクラヴァ
【白】
※芝居がかった台詞を混ぜがちなゴキゲン系ケルベロスです!
元役者につき『舞台作り』が得意でーす♪ ……ってことで、序盤は高所に控えつつ味方のプレイヤー達に要所要所で助言や後方支援を送る形で、盤面コントロールに勤しみましょうか。
こちとら一度世界救った歴戦のケルベロスです。集団戦はお手のものです!
で、敵陣にルナさんを見つけてからが私の本番。
ペロっと唇湿らせたら、音もなく駆けて一直線に躍りかかります。
えへへ。――双剣対決でーすよっ!
武器は#22 #78を使用。
邪道系・アクロバット系の双剣使いで、身体の『影』を巧みに利用しつつ、極限まで高めた人間観察力で敵の意表をついては連撃を加えていきますよ!
●白黒ギルド対抗戦、開幕!
戦いの幕開けを知らせるゴングがアリーナに響き渡る。
|純白企業《ホワイトビジネス》と|漆黒結社《ブラックファーム》、互いの誇りとプライドを賭けた陣取り合戦が始まった。
血気盛んなギルドメンバーたちが我先にと飛び出して、白黒入り乱れてぶつかり始める。
眼下で思い思いの武器を振り上げるゲームプレイヤーたちに、旅役者として世界を駆け抜けた女性がテンション高めに声をかける。
「さあさあ始まりますよ、陣取り合戦! 白黒はっきりつけましょう♪
純白企業の勝利と栄光のために、皆さんファイトです!」
急造した高い物見櫓の上に立ち、メリーナ・バクラヴァ(リスタートマイロード・f41008)は芝居がかった台詞を混ぜて、ご機嫌な様子で士気高揚を務め上げている。
元が役者であるが故に『舞台作り』が得意なメリーナの声援や支援を受けて、純白企業側のゲームプレイヤーたちは連携を取って動いてる。
一度世界を救った歴戦のケルベロスにとって、集団統率はお手のものだ。
「レディース・えーんど・ジェントルメーン! 漆黒結社は左翼右翼も厚く敷いていますよ!
ですので中央突破でガンガン行きましょー!」
「白黒はっきりつける、ボクの大好きな言葉だね! いいよ、真正面から突撃する!」
反抗者たるレプリカントの仙人、ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)はメリーナの檄を背に受けて先鋒として黒の敵陣に斬り込んでいく。
立ち塞がる漆黒結社の一般ゲームプレイヤーを鎧袖一触切り伏せて、ドンドンと先に進んでいく。
ニクロムの威勢に続いて続々と味方も進む中、飼い主の留守の間にこっそりゴッドゲームオンラインにログインしている猫、レオニダス・ウナンナ(猫の白猫拳士・f41930)もこっそりと黒の陣地に潜り込む。
人語は喋れないけどなぜか言いたいことは伝わるのが猫。
その背中は、俺様に任せておきな。と語っており、鳴き声を漏らすことなく静かに単騎敵陣へと入り込んでいく。
「私は高潔で純白な姫騎士なのですが……傭兵として呼ばれたなら仕方ないですね」
そして、白と黒がぶつかり合う戦場を睥睨し、黒の本陣で堂々と待ち構えているのはゴッドゲームオンラインでは知る人ぞ知る兎獣人の聖剣士(グラファイトフェンサー)。
高レアの武具に身を包んだルナ・キャロット(†月光の聖剣士†・f41791)は威風堂々と漆黒結社のゲームプレイヤーたちを率いる姫騎士として降臨していた。
「(黒に染まる姫騎士というのもかっこいいですねんへへ)」
「こういうの参加してみたかったんだー! すっごくゲームって感じだもんね、楽しみ!」
ちょっと悪っぽいポーズを決めているルナの隣に立つのは、とある事をきっかけに猟兵の力を得た、正義の味方に憧れるキマイラの少年。
布都御魂・アヤメ(正義を目指す少年・f40135)だ。
アヤメは元気いっぱいな様子でドラゴンみたいに大きくて自慢の真っ赤な大きな尻尾を奮い立たせて、やる気十分に見せている。
そして、封神武侠界の邪仙に改造を施され、尽きぬ渇きを癒す為に只管戦いに身を投じるクロム・チタノ(傾国狂戦士・f32170)も、純白企業の先陣を切る|姉妹《ニクロム》に真っ直ぐ眼差しを向けて、迎撃の構えを取る。
「ゲームとはいえ真剣勝負。全力で望みましょう」
「うん! 集団戦も経験は全然ないんだけど……足を引っ張らないように、皆に合わせて頑張るよ!
みんな、よろしくお願いしまーす!」
「よろしくね。それじゃ、漆黒結社。全力を尽くしましょう! 出撃ー!」
ルナの号令を受けて、漆黒結社のゲームプレイヤーたちも気炎を揚げて戦闘を繰り広げる。
ここに、二つのギルドの壮絶なるバトルが展開される。
「かっこいい姫騎士として活躍してチヤホヤされますよ!」
そんなルナの目論見と共に。
●ニクロム VS クロム!
「制裁執行もはや猶予なし」
「! この攻性プログラムは……!」
先鋒で敵陣に斬り込んだニクロムの前に、凄まじい猛吹雪が広がる。
同行していたゲームプレイヤーたちが断末魔もかき消されて吹き飛ばされ、突出したニクロムは純白企業の味方と分断される。
『反抗の妖刀』を手に警戒するニクロムの前に、強い冷気を発する『クロムレイピア』を携えたクロムが現れ、両者が激突する。
「待ってると思っていたよ、クロム!」
「ふふ、来ましたねニクロム、姉妹同士腕試しと参りましょう。手加減は致しませんよ?」
クロムのユーベルコード、《氷狂え無慈悲になお冷たく(チタノツンドラ)》はクロムの胸に埋め込まれている動力炉『チタノドライブ』に組み込まれている攻性プログラムだ。
冷気と氷雪を駆使して攻撃力、防御力、状態異常力のいずれかを重視してクロム自身を強化することができる。
猛吹雪で相手の視界を遮りつつ、自身は高性能演算改造眼球『クロムアイ』の視力でニクロムを捉えて猛攻を叩き込むクロムだが、ニクロムもまた持ち込んだ『リサーチゴーグル』でクロムの位置を見逃すことなく攻撃を捌ききっている。
「どうやら、貴女もこの吹雪の中移動する手段があるようですね?」
「当然。戦う前の準備は万全に、だよ。それにこの猛吹雪の中でも使える武装を用意してるんだよ」
白兵戦を切り結ぶ最中、ニクロムが取り出したのは火炎放射器。
銃口をクロムに向けて、トリガーを引けば凄まじい炎が放たれる。
広範囲を蹂躙する焼却の炎が雪を溶かし、クロムに火の手を伸ばす。
「これは……火炎放射器とはちょこざいな物を」
「『反抗の火炎放射器』さ、反抗の思いが強い程この火炎は勢いを増すよ!」
「ならば次に移行します」
火炎が迫る寸前、クロムは《氷狂え無慈悲になお冷たく》による強化を切り替え、巨大な氷壁を展開する。
防御力の高い氷壁が炎を食い止めるが、火炎放射器に炙られて徐々に強度が下がっていく。
それを見抜いたニクロムは妖刀を治め、魔界の金塊から鋳造された武器にも道具にも変えられる黄金球『ゴルディウス』をチャクラムに変えて投擲し、氷壁を切断する。
そして、その奥にいるクロムへと追撃を仕掛けようとして……そこには誰もいないことに気づく。
「クロムがいない? まさか、上!?」
「こちらへの注意が逸れたようですね」
クロムは氷壁を展開した後すぐにその壁を駆け上がり、上空へと跳躍をはかっていた。
切断された氷壁を飛び越えて、クロムはニクロムの頭上に接近している。
「チャクラムの投擲は無意味! とった! これまでです!!」
「く、抜かったね……だけど、余裕という『傲慢』が敗因だよ!」
ニクロムはクロムを見上げ、カウンターで《圧政に反抗せよ(チタノクロニクル)》を発動する。
傲慢か必勝の感情を与える事に成功した対象に、召喚した反抗の竜チタノから、高命中力の力を奪う光線を飛ばすユーベルコードは、管理社会で生まれたニクロムの圧政に反抗する強い信念が具現化した力だ。
チタノが放つ光線を、クロムは両足に仕込んだ隠し武装『クラッシュレッグ』の鉤型の刃で氷壁に張り付き、空中で回避を試みる。
それは、ニクロムは為すすべなく討たれる訳がないと信じての用心だった。
慢心をしなかったことで命中力を下げた《圧政に反抗せよ》を避けて、クロムは今度こそ必勝の感情を抱いて『クロムレイピア』を振り絞る。
「―――」
「悪足掻き。これで決める」
「―――反抗の時は来た」
そして、足に力を込めたクロムの背後、崩れていく氷壁が再び砕かれる。
その原因は、チャクラムに変形した『ゴルディウス』だ。
「む……後方からチャクラム!? 先程の投擲はこれが狙いですか!」
「反抗の時は来た」
ギリギリで《圧政に反抗せよ》を躱したクロムに、ニクロムが飛ばしたチャクラムがブーメランのように帰って来たのだ。
踏ん張りの効かない空中で不意の一撃を受けたクロムは体勢を崩し、そのままニクロムが待つ地上へ落ちていく。
素早く抜刀したニクロムの妖刀が白刃を煌かせる。
「まさかここまで成長しているとは、流石でした。……貴女はもう立派な反抗者ですね」
「形勢逆転だね!」
二人の陰が交錯し、片方がそのまま倒れ伏す。
氷雪に覆われた前線で行われた姉妹対決は、激闘の末にニクロムの勝利で飾られた。
●ルナ&アヤメ VS メリーナ&レオニダス!
「むむっ、クロムさんがやられましたか……。ならばここが正念場!
防衛戦力の要として、此処から先は行かせません! これが激レアドロ武器の力です!」
頼もしい味方が倒れたことを聞き、ルナはスキルを発動させる。
薔薇の女王の暗き炎を封じ込めた双剣『SSR:宝双剣ローゼンクイーン』に宿る暗く揺らぐ茨を解き放つと、漆黒結社の陣地、半径154mが薔薇のフィールドと化していく。
《パッシブスキル:ローゼンクイーン》。
敵には暗く揺らぐ茨で足止めを与え、味方には女王の加護で癒しを与える集団戦に適したスキルだ。
とてもかっこいい。
「GGOのやり込みなら誰にも負けません。皆さん、GOGO!」
「おお! すごい、力が湧いて来る! よーし、ボクも行ってくるよルナさん!」
女王の加護で|治癒効果《リジェネ》を受けて、アヤメは黒のゲームプレイヤーたちと共に大暴れを始める。
暗く揺らぐ茨で足止めされている白のゲームプレイヤーを見つけたらダッシュで近づき、野生の勘と軽業で相手の攻撃を避けながら爪とや尻尾で倒していく。
「くぅ……! やるな、坊主! 《スキルクロス・リユニオン》でマキシマムカウンターを決めてやるぜ!」
「ま、まだ子供だけど……ボクだってやれるよ!」
アヤメは身軽な身のこなしで先手を取り、相手のゲームプレイヤーがユーベルコードを起動した時には、クロムの造った氷壁の残骸や陣地の壁を足場にして駆け回り、マキシマムカウンターを受けないよう翻弄する。
思うように動けない純白企業に対して、漆黒結社は優勢に戦いを進めることができていた。
「経験差上等! このまま一気に形勢を!」
「にゃん!」
「えっ!?」
そんなアヤメの背後で、突如猫の鳴き声が轟く。
かわいい猫NPCのふりをして黒の陣地内に紛れ込んだ、レオニダスの作戦が発揮したのだ。
レオニダスは猫魔力を纏って最大時速595kmで跳び回り、触れた物品や対象の装備を破壊、あるいは使用不能にする《猫の悪戯》で漆黒結社のゲームプレイヤーたちを弱体化させて回っていたのだ。
なお、レオニダスとルナは同じギルド『ラピットナイツ』のメンバーであるため、ルナに勘付かれないために接近はしておらず彼女のSSRアイテムは無事である。
「ああああ、僕のシャドウクロークがあ!?」
「うちのグラファイトブレイドが使用不能に!?」
「うっ、皆さんの装備が……! 周りで無事なのは、ボクだけか!」
そして、アヤメは生身で戦うタイプだ。《猫の悪戯》の被害はあまり受けずに済むため、レオニダスは味方のサポートに回る。
すなわち、後ろから忍び寄ってとびついて驚かせたり、足にぶつかってすっ転ばせたり。
地味な嫌がらせでアヤメの行動を阻害していく。
「にゃん」
「うわ! ちょ、あ、危ない……!」
「隙ありィ! チェストォォォ!」
装備が使えない黒のゲームプレイヤーたちは白のゲームプレイヤーたちに追い立てられ、レオニダスのサポートを受けたゲームプレイヤーがアヤメを囲んで叩こうとする。
もはや、多勢に無勢。
それでも……劣勢になっても、アヤメの目には諦める気持ちは微塵もない。
「一か八かの勝負…全力だっ!」
チャンスがなければ強引に作ればいいと、アヤメは迫る敵を怪力で押し込んで、自身から30cm以内の対象にしか使えない大技をねじ込む。
【素手】による超高速かつ大威力の一撃を放つユーベルコード、《獅子寸勁(シシスンケイ)》。
一撃必殺の攻撃で、白のゲームプレイヤーたちをフッ飛ばしていく。
「ぐわああーっ!?」
「心意気なら負けないよ! どんな状況でも、次へ繋ぐバトンになるんだ!」
「お、……おお! そうだ!」「装備がなくても、素手で戦うぞー!」
アヤメの奮闘に意気消沈していた漆黒結社のゲームプレイヤーたちもやる気を取り戻し、武装した白のゲームプレイヤーたちに殴り掛かって行く。
前線の戦況は、拮抗状態にもつれ込んでいた。
「……にゃ」
だが、これは集団戦の陣取り合戦。
強力な個であるアヤメを前線に封じ込めたことで目的を果たしたレオニダスは、|味方《メリーナ》と合流して共に黒の陣地の奥へ戻って行く。
「ルナさん発見です! さあ、クライマックスですよー!」
「この声は、メリーナさん!」
十分に盤面をコントロールしたメリーナは、颯爽と物見櫓から下りてルナのいる敵陣に駆け込んだ。
薔薇のフィールドの中央に立つルナは、かっこよくて良く目立つ。
メリーナはペロっと唇湿らせたら、暗く揺らぐ茨の隙間を音もなく駆けて一直線に躍りかかる。
「えへへ。―――双剣対決でーすよっ!」
「んふん! いいでしょう、姫騎士なので絶対に! 負けない! いざっ!」
メリーナが『#22』と『#78』、鞘だけが派手な両の短剣を手に邪道系・アクロバット系の双剣技を行使する。
《見斬り(フルアドリブ)》。
短剣を自身の身体の影となる位置に納めている間、0秒攻撃もしくは自動反撃が可能なユーベルコードは、極限まで高めた人間観察力でルナの意表を突くべく連撃を加えていく。
メリーナの身体の『影』を巧みに利用する連続攻撃だが、ルナは全ての攻撃をジャストパリィで弾いていく。
そしてメリーナの攻撃の合間の、ほんのわずかな納める必要がある隙を狙ってアクセルコンボの連撃を撃ち込む。
メリーナの技量も一流であるが、ひたすらクエを周回して培ったルナの双剣の腕もゴッドゲームオンライン内で(たぶん)噂になっているほどだ。
ルナは自らの超絶激レアSSRの双剣を自慢気に見せびらかしながら、武器の性能の差を思う存分に発揮して叩きつける。
「くっ、さすがルナさん……! これは、このままでは……!」
「んふふそれほどでも……ありますかね!」
快調な攻防にルナは気持ちよくなり、ウェへへとニヤけ顔で姫騎士RPがくずれ、調子に乗り始める。
それでも、ゴッドゲームオンラインでの経験の差、双剣使いのレベル差を活かせれば……このままメリーナと一騎討ちを続けていれば、押し勝つことはできただろう。
だが、これは集団戦の陣取り合戦。
「にゃあ」
「うえあっ!?」
「ナイスサポートですウナちゃん!」
目の前のメリーナとの対決に夢中になっていたルナは、背後から近づいてくるもう一匹の純白企業側の猟兵に気づかなかった。
レオニダスは敵方に見知った顔がいてもお構いなしにぶつかってやるにゃ、とばかりに『発勁手袋』で衝撃波をルナに放つ。
勢いよく弾かれたルナに対して、追い込まれていた演技をしていたメリーナは容赦なく《見斬り》を撃ち込んだ。
「こ、この私が、このわたしがぁ……! がくっ」
「これが私たちの|絆の力《チームワーク》です!」
「にゃあん」
ルナが戦闘不能になったことで、《パッシブスキル:ローゼンクイーン》が解除される。
猟兵という傭兵ユニットの数的不利と、指揮官たる姫騎士ルナが討ち取られたことで趨勢は決した。
事態を把握して黒の本陣に戻ろうとするアヤメをクロムに勝利したニクロムが立ち塞がって時を稼いでいる間に、メリーナが漆黒結社のギルドマスターを打ち倒し、レオニダスが陣地を占領した。
「決着ぅ♪」
「にゃあ」
「「「うおおおお!!」」」「「「負けたぁぁぁ!!」」」
勝利の喜びと敗北の無念の叫びがアリーナに響き渡る。
審判が純白企業の勝利を宣言し、この白熱したギルド対抗戦が決着したことを周知した。
戦いに参加した猟兵たちは互いに健闘を称え合っていることだろう。
そしてレオニダスは嬉しそうに、漆黒結社のフラッグポールで爪を研ぎ、のんびり丸くなって勝利の余韻を満喫するのだった。
大成功
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