11
アリーナ~『風の天衣』

#ゴッドゲームオンライン

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ゴッドゲームオンライン


0





 ゴッドゲームオンライン、浮遊大陸エリア。
『魔導の奇跡か、はたまた超科学の遺産か――空中に浮遊する巨大な大陸!』
 猟兵たちが浮遊大陸エリアへと入れば、視界の端や手に持つ端末にこの地域のキャッチコピーがポップアップされていく。
 謳い文句の通り、大陸には魔導の名残が見つかる由緒ある古都、古遺跡のダンジョン、謎解きの塔や称号を得るための試練クエスト、素材採取など。
 プレイヤーにとっては探索しがいのある、そして知的好奇心赴くままにゲームを進め考察も深めていけるエリアだ。
 このエリアにも、他のエリアと同じようにプレイヤー同士が対戦するPvPコンテンツ「アリーナ」がある。

 ――アリーナ専用バトルフィールド・浮遊島。
 猟兵たちが訪れるのは大陸のはずれ――大小の浮遊島が漂うバトルフィールドだ。
 人ひとりが立てる大きさの浮遊岩だったり、家一軒が建てられるくらいの小さな島だったり。
 魔導の奇跡によるものなのか、常に風吹くその場所はプレイヤーたちの身体を浮遊状態へと導く。
 ただただ浮いて遊ぶのも楽しいが、ここは闘技場コンテンツあるフィールドだ。
 風を味方につけて岩々を飛び回り、または自身が持つ技能で空中を意のままに飛び進んだり、はたまた大きな念動力で周囲の岩・石・礫をまとめて盾や砲弾がわりなどに利用したり。
 プレイヤーたちが得意とする技で一工夫できるアリーナとなっている。
 仲間と飛び回っての対戦、もしくは個人で訪れて魔導の力を蓄えた鉱石の採取をしたりと様々な遊び方が、ここではできる事だろう。


「と、まあ、飛んで戦えるPvPフィールドとなっているの」
 猟兵たちに、さらさらら~と説明をしていくのはポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)。
 ゴッドゲームオンラインには、様々なルールでプレイヤー同士が対戦するPvPコンテンツが実装されていて、各地の街に存在する|闘技場施設《アリーナ》を通じて友達や見知らぬ他プレイヤーとの勝負を楽しめるとのこと。
「浮遊島や岩や礫は利用できるし、大きめの浮遊島では魔導の力を蓄えた鉱石採掘もできるみたい。それを使って爆弾が作れそうなら作ってもいいし? トリリオンは必要になるけど、闘技場限定アイテムとしてシャチやサメ、グリフォンや、装備品として『翼』の貸し出しや買取もできるみたい。乗って戦えるかしらね?」
 薄い本のページをぺらぺらと捲りながらポノが話す。
「あ、これ? 浮遊大陸の町で配布されてるガイドブックなのよ。アリーナのギミックはそんな感じ。あとは皆さんのやりたいことやセンスで戦っていけるみたいね」
 個人で浮遊島を散策&PvP対策の――なんかしたいこと(ゆるふわ)をやっていくのもアリアリだろう。
「もちろん、皆さんは猟兵だからユーベルコードを使った戦いもできるってワケね♪ たくさん楽しんできてちょうだい!」
 にっこり笑顔でそう言ったポノは猟兵たちをゴッドゲームオンラインへと送り出すのだった。


ねこあじ
 ねこあじです。よろしくお願いします~。

 浮遊島や岩があるエリアでは飛べるので(基本、地面は無いものとします)、それを利用して対戦していく感じになるかと思います。
 と言いつつ、何でもどうぞな感じです。
 氷無限生成の魔導石を採掘して、かき氷(回復アイテム)屋さんをしても大丈夫です(ゆるふわ)。

 再送が起こらないようにやっていくつもりですが、もしかしたら再送となる可能性もあります。
 ご了承くださいませ。
 それでは! プレイングお待ちしています!
158




第1章 冒険 『浮遊大陸エリアの大冒険!』

POW   :    襲撃してくる翼竜を迎撃する!

SPD   :    風の流れを読んで迅速に進む!

WIZ   :    特殊な鉱石を採掘する!

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

オニキス・ヴァレンタイン
魔導石が無限に採掘できると……それって|NPC《ノンプレイヤーキャラクター》も参加していいんですか? その話、乗ったぁ!

闘技場限定アイテムは翼を買っておきましょう。もし色が白い場合は素材で黒にカラーチェンジしてから装備します。

よっと。風に乗るって初めての経験ですね。祭服が風で捲れないか心配でしたけど、なかなか楽しいです。

へぇ、魔導石でかき氷が作れちゃうんですね。僕、甘い物には目がなくて〜。頑張って採掘していきましょう!

って、ヤバ! 翼竜がいるじゃないですか! 僕、ヒール職だから硬い敵はちょっと……!
浮遊した岩の物陰に隠れてやり過ごしたいですが、駄目そうだったら千里眼射ちで矢弾の雨です。えーん。


橘・レティシア
ゴッドゲームオンライン、一度来たいと思っていたのよね。
戦う人たちのためにお店を開くのも面白そう。

まずは奏働精霊で、陽気な小人たちを召喚して、楽しく採掘作業を。
氷の魔導石と、炎の魔導石を手に入れたら、今度はお店をクラフト!
小人たちは150人くらいいるから、皆で力を合わせて。
ゲームだし、上手く行く……わよね。きっと。

お店が出来上がったら、いよいよ開店よ。
かき氷や、翼竜の肉を焼いた食べ物を提供しましょう。
調理とかは小人たちにやってもらって、私は売り子を。
色とりどりのシロップをかけた、かき氷を振る舞って。
翼竜のお肉は攻撃力アップとかの効果もあるはず。

こういう体験ができるのも、ゲームの良いところよね!


デミヒム・モンガータ
※アドリブ連携歓迎
※基本は声と小型ウィンドウで感情を表現

うわー、最高フィールドですねー!
どなたか、風を感じてキメたいひと居たら是非乗り手になって欲しいくらいです。
この環境なら音速も狙える!![><]

でも、闘技と聞いたらメディックタイプの血も騒ぐので、ひとまず回復アイテムの準備や、勝負を盛り上げる為の行動します
同じく回復アイテム作るひとがいたら、提携したいですね
効果同じでも味変や色違いにしたり、器を変えたり
あと配達ついでに宣伝と盛り上げしましょう
対戦内容に合わせて『○○大決戦応援のお供に冷たいものいかがですかー』と声がけします

皆さん頑張れー!
あ、メディックが必要なら呼んでくださいね!(シュー!)




「魔導石が無限に採掘できると……それって|NPC《ノンプレイヤーキャラクター》も参加していいんですか? ――その話、乗ったぁ!」
 意気揚々とした雰囲気でアリーナ専用バトルフィールド・浮遊島へとやってきたのはオニキス・ヴァレンタイン(八月のヴァレンタイン・f41830)。
 『リキッド迷宮』や『コロミノ町』、『渡り鳥草原』など、名の付く場所へ入った時のように『風の天衣』というイベント名が一瞬表示された。
「わ……」
 息を呑んだような驚いた声がオニキスの耳に届いた。
 そこには、彼と同じタイミングでこの地に入った橘・レティシア(灼滅者のサウンドソルジャー・f44010)がいた。
「ここが『ゴッドゲームオンライン』、なのね。絶景ね」
 一度訪れてみたいと思っていた場所なの。
 と呟き零したレティシアは、こんにちはとオニキスに挨拶をした。
 いつだってこの世界は新しく参入するゲームプレイヤーを歓迎する――オニキスは微笑んで挨拶を返し、
「ようこそ、ゴッドゲームオンラインの世界へ!」
 と、ノンプレイヤーキャラクターとしてお決まりの台詞をレティシアに告げた。
「あっNPCさん! 私も、私も! 初心者ゲームプレイヤーなので『はじまりの挨拶』をください!」
 フィールドの入り口となる草原から走ってきたのはライドキャリバーのデミヒム・モンガータ(ライドキャリバーの衛生兵・f45209)だ。
 デミヒムからホログラムの小型ウィンドウが出てワクワクとした顔文字が表示された。テレビウムみたいに可愛らしいものだ。
 にっこり笑顔になるオニキス。
「お任せ下さい! 『ようこそ、ゴッドゲームオンラインの世界へ!』 こんにちは、冒険者の方々。今日はPvPをしに? それとも……」
「私は、戦う人たちのためにお店を開くのも面白そう、と思って」
 ゲーム画面なら選択肢が現れそうな誘導に、レティシアがくすくすと笑って答える。
「お店! いいですねぇ! 私は勝負を盛り上げる為の応援や、出場者を乗せて走るために来たんですよ。私は、救助活動支援装備、個体名・デミヒムです。『メディック!』と叫んでくだされば即座に駆けつけますよ!」
 弾むような声の二人に、オニキスはにこにこ笑顔で頷いた。
「いいですね、いいですね。この世界はやりたいことがたくさんできる世界――ひとつが終わればまた次の目的が、と興味の尽きない世界ですから」
 リアルなフィールドを歩くだけで好奇心が刺激され、挑戦しがいのあるクエストは数知れず。
「めいっぱい! 楽しんでくださいね」


「お店を作るには、どんな素材が要るのかしら」
 オニキスにやり方を教えてもらったステータス画面を表示させ、このフィールドで採取できる素材一覧を確認するレティシア。
 手に入れた素材でアイテムや装備品はもちろん、インテリアを作って箱庭風にゲームを楽しむこともできるらしい。
 近くの浮島を『鑑定』してみれば島の強度も分かる。
「なるほど……これは使えそうね。でも、まずは素材をたくさん集めなければ――さあ、皆。出番よ!」
 奏働精霊を発動すれば「でばん! 出番!」「採掘の仕事じゃ~!」と現れた小人たちがわらわらと周囲の浮島複数に散っていく。
 ツルハシを持った157体くらいの小人たちが一斉に採掘を始めて、辺りにとても賑やかな作業音が響き渡っていく。
「ひと掘り! ふた掘り! さあさあ何が出るかや♪」
 ざくざく! ごつごつ!
 岩を砕き、削いで、彼らは歌いながら魔導石を入手していった。レティシアのアイテム一覧にどんどんと魔導石の数値が増えていく。
「皆で力を合わせれば、きっとすぐね」
 それじゃあ私は次の行動を。
 闘技場限定アイテムをカスタマイズした、自身の人造竜騎に似せたエネルギーの翼を広げて、レティシアは空へ。

 闘技場限定アイテム――カラーチェンジした黒の翼を装備し、空を飛ぶオニキス。
 翼はフィールドに満ちる魔導の力と風をよく捉え、オニキスの思い描く方向へと進んでいくことができる。
「風に乗るって初めての経験ですね」
 岩々をすり抜けてくる上昇気流に乗れば極上の浮遊感。
「祭服が風で捲れないか心配でしたけど、なかなか楽しいです」
 風の天衣で配布されたフィールドの限定属性【ツルハシ】。
 それをいい感じの木の棒にカスタマイズして振るえば、ツルハシな魔導の力が浮岩を砕き、魔導石をドロップする。
「この魔導石は氷の属性……そういえばレティシアさんはかき氷も作りたいと仰られてましたね」
 春の終わり、初夏を迎えんとするこの時期のかき氷はきっと先取り感もあって美味。
「僕、甘い物には目がなくて~。頑張って採掘していきましょうか!」
 ドロップする魔導石は氷属性だけでなく、火や風、音の属性を持っていたりと様々だ。
「いやあ、これはほくほくですねぇ!」

「うわー、最高フィールドですねー!」
 好奇心赴くままにぐんぐんと空を駆けあがっていくのはデミヒム。
「どなたか、風を感じてキメたいひとが居たら是非乗り手になって欲しいくらいです。――この環境なら音速も狙える!!」
 障害物は浮島のみ。風を捉えびゅんと駆けたり、迫った島の斜面にタイヤを押し付けて高く飛んだり。
「ふむふむ。荷重があるともっと跳べそうですね! それにしてもどこまで行けるのか」
 浮島と雲が入り交じる層を突き抜けていくと、そこから気温がぐっと下がり、浮島に付着する氷晶が採取できた。
 岩に付いてた氷晶が無くなり、アクセルを踏んで岩にアタックすれば魔導石がドロップする。
「氷晶……と、鋼の魔導石、こっちは硝子素材の魔導石! これがあれば凄くいい感じの器ができるんじゃ……?」
 思考する表示から、ぴーんと何かを思いつき、『(゚▽゚*)』の表情表示になるデミヒム。
 帰りは砕いた浮岩から下の方へと飛び下りて、新たな浮岩へアタックしながら。降下の勢いと荷重を利用して破壊し、採掘しながらデミヒムも魔導石を集めていく。

 デミヒムが降下しながらドロップアイテムを稼いでいた、その時。
 メディック! と呼ぶ声がして、デミヒムはすぐにテレポートを行った。

「ああ! よかった! デミヒムさんに声が届いたようで助かりました!」
 テレポート先にいたのはオニキスだった。浮島の影に隠れて体育座りをしている彼は、ほっとした表情。そして再会を喜ぶ顔に。
 デミヒムはハンドルをぐりりんと傾けた。
「オニキスさん、何か救援を――」
「とりあえず先に、デミヒムさんも島の影に隠れてください」
 車体を傾けて隠れたデミヒムに、オニキスが上方を指差した。
「翼竜がいるんです。……僕、ヒール職だから硬い敵はちょっと苦手でして……隠れてやり過ごそうと最初は思っていたのです、が!」
 ――が。
 翼竜もしばらく旋回してて身動きが取れなかった様子のオニキス。
 オニキスの説明に、「なるほど」とデミヒムは頷きのアイコン。
 翼竜の空を打つはばたきは重低音を伴い、降ってくるかのように周囲に渡っている。
「救援要請、承りました! オニキスさん、私に騎乗してください」
 このまま離脱しよう――そう思ったが、ふとデミヒムは思考する。
「あの翼竜のドロップアイテムも、役立ちそうですね」
「え? ああ、確かに。このフィールドで使う素材としては優秀なものかと……」
「ふむふむ。オニキスさん、私とオニキスさんがいれば百馬力です。ここは力を合わせて翼竜を倒しませんか?」
 ライドキャリバーからの提案に、えっ、と少し驚きの声をあげるオニキス。
「大丈夫です! 翼竜のドロップ品はきっとレティシアさんのお店の役に立ちますよ」
 デミヒムの言葉に「えーと」とオニキスは演算する。
 デミヒムの機動と自身の千里眼射ちを組み合わせれば勝算は高い。お釣りがくるほどだ。そしてこの地での強い敵――翼竜の経験値はけっこうオイシイものだ。
「なる、ほど……? デミヒムさんがいらっしゃれば回避もお任せできそうですね。ならば共に空を翔けましょう!」
「はいっ、音速で行きます!!!!」
「……音速……お、お手柔らかにお願いします~!」
 こうして二人は頭上を飛び交う翼竜退治へと乗り出した。


 竜の翼膜、竜の皮、竜の鱗――そして竜の肉。
 浮島を少し削り、奥行きを作って竜の翼膜と皮を利用したタープを張り出す。
 広々とした場所にテラスのようにして作り上げた、浮島のお店。
「ここなら翼竜の肉も焼きやすいわね」
 焚火を起こし肉を焼いていくのはレティシアの小人たちだ。【加工】は簡単だけども、【調理】などでひと工夫重ねていけば、効果の良いアイテムが出来上がる。
 小人たちは氷属性の魔導石を使ってかき氷も作っていく。
「さあ、開店よ! どんどん宣伝していってね、小人さんたち」
 レティシアの言葉に、宣伝係となった小人たちがPvPを楽しむプレイヤーたち目指して飛んでいった。
「レティシアさん! 今、ドラゴンプロトコル同士のエキシビジョンマッチが開催されるとの情報を掴みました。観戦者も多いようです。私、売り子として行ってきます!」
 デリバリー要員として、レティシアと業務提携を行ったデミヒムが戻ってきて開口一番にそう言った。
「それなら、焼きたてで攻撃力も大幅アップ中の翼竜の肉と、一定時間常に体力が回復するかき氷をお願いしようかしら」
 氷晶と鋼や硝子の魔導石でクラフトした冷たい器に盛られているのは色とりどりのかき氷たちだ。
 それらを積んでデミヒムが空をゆく。
 そしてそれぞれの浮岩や島で観戦を決め込むプレイヤーたちへと声掛けた。
「GMを司る、ドラゴンプロトコル大決戦! 応援のお供に冷たいものはいかがですかー」
「あっ! くださーい!」
「冷たい物、欲しかったの!」
 かき氷のシロップに合わせた色の器は、手にとればひんやりとしている。
「溶けることを気にせずに、ゆっくり食べられそうだね」
 プレイヤーはにこにこ笑顔でそう言って、トリリオンを払う。
「攻撃力がアップする翼竜の肉もありますからねぇ! あ。あと、PvP中にメディックが必要なら呼んでくださいね!」
 ウィンドウに音符マークを出して、デミヒルは空を駆けていくのだった。

 アリーナに構えたレティシアの店には、PvPの最中に一息つきにきた者、採掘の途中に立ち寄った者など、色んなプレイヤーがやってくる。
「オニキスさん、高山ベリーの味はどうだったかしら」
「ええ、とても美味しいですよ! 熟れてるものも良いですが、ジャムにしたものはかき氷の甘さも増して美味ですね」
 アイディアを考えながらかき氷を振る舞うレティシア。
 味見係としてかき氷の感想を述べつつ、クラフトのコツを教えるのはオニキスだ。
 採取の小人が拾ってきた高山ベリーを加工したところ、美味しそうなジャムが出来たのだ。
「ベリーは肉用ソースにも加工できるかしら」
「さ、さらに美味しい物が……!? お店の品々に、どんどん深みが増していってて凄いですね!」
 オニキスが感嘆すれば、レティシアは微笑みを返す。
「こういう体験ができるのも、この世界の良いところね」
 周囲を見れば、まるで祭りのような賑わい。
 なりたい自分になって、やりたいことをやって。
 喜びや楽しみを感じて、『自分』を育てていくゲーム。
 レティシアの言葉に、オニキスはやわらかく頷いた。
「ゴッドゲームオンラインは楽しみ方も十人十色なのです。これからも、良きゲームライフをお送りくださいませ!」
 この世界にノンプレイヤーキャラクターとして生まれ生きるオニキスは、嬉しそうにそう言うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミノア・ラビリンスドラゴン
うっひょ~! アリーナですわ~!!(テンション爆上げ)
血湧き肉躍る白熱のPVP!!
観戦も参戦も大好きでしてよ~!!

此度はドラゴンプロトコルとして、このエリアを管轄する|同族《ドラゴンプロトコル》とエキシビションマッチと参りましょう!
すごくけしからんドレスアーマーを身に纏い、双龍剣を装備した二刀流|聖剣士《グラファイトフェンサー》スタイルの出で立ちですわ!

流星の如く【ダッシュ】で空を翔け、目にも止まらぬ神速斬撃!
【迅龍閃牙】で激しく斬り結びますわ!
この超スピードを支えるものはいったい!?
それはこのミノア印の迷宮ミルク!
【瞬間強化】が得られる優れものでしてよ~!
と、迷宮城の宣伝も抜かりなく!



「うっひょ~! アリーナですわ~!!」
 テンション爆上げな楽しげな声が、アリーナ専用バトルフィールド『風の天衣』に渡っていく。
「わっ、誰だろう?」
「あの純白のおねーさんかな?」
 ゆったりとフィールドを進んでいたプレイヤーが声の方角を見る。
 そこには純白の、そして真珠のような光沢のあるすごくけしからん純白のドレスアーマーを纏って飛ぶミノア・ラビリンスドラゴン(ポンコツ素寒貧ドラゴン令嬢・f41838)の姿があった。
 空をゆくミノアの眼下では、魔導石で加工した武器で派手派手な必殺技を繰り出し戦うプレイヤーたちの姿。赤や緑、白銀や漆黒と、オーラの色が衝撃波となって蒼穹の天を翔け抜けていく。
「いいですわよ~! 血湧き肉躍る白熱のPVP!! わたくし、観戦も参戦も大好きでしてよ~!!」
「もしかしてミノアさんでは!? 一戦お願いします!」
 とあるプレイヤーが意気込んでミノアの元へと飛んでくる。
 管理者AIとしてこの世界に座するミノアには、見覚えがあった。ゲームマスターとして管轄するエリアやダンジョンのクエストを受けたことのあるプレイヤーだ。
「いつぞやの沼城クエストを挑戦されたプレイヤーさんですわね! ここでお会いしたのが116日とんで22時間と少し! お元気そうで何よりですわ~!」
 グラファイトブレイドを振り抜いたプレイヤーが初手の降下軌道を取る。
 当時、パーティを組んでいたプレイヤーはやはり一番手としてミノアの元へ飛び込んできたのだ。
 降下の勢いに任せた一刀を双龍剣のひとつで払えば、相手のブレイドは流麗な動きを見せた。時に滝の如き圧ある振り下ろしは、十全に力とスピードを溜めた必殺コンボのあかし。
 ミノアもまた舞うように双龍剣を扱う――指先を躍らせれば柄を起点に刀身が回り、逆手に装備して剣を振るった。
 応戦するミノアは凛とした、華麗なる二刀流|流聖剣士《グラファイトフェンサースタイル》の出で立ち。
 小気味よい剣撃の音が数度響き渡った次の瞬間、プレイヤーが持つグラファイトブレイドは弾き飛ばされ、その衝撃に持ち主の姿勢も崩れる。
「うわわっ……! 僕の負けですね……! さすがミノアさん!」
 空のフィールドなせいか、一度崩した姿勢を立て直すのには少し苦労するようだ。くるくると回るように浮遊している。
「良い勝負でしたわね! あなたもかなりレベルが上がっているのではなくて?」
 勝負後の握手を交わしながらミノアは彼を引っ張り、衝撃の余韻を払った。
「わたくし、此度はこのエリアを管轄する|同族《ドラゴンプロトコル》とのエキシビションマッチに参りましたの! あなたもどうぞ、観戦なさっていってくださいまし~!」
 にっこり笑顔でミノアは告げた。
 観に行きまーす!! とプレイヤーの声援を背に、改めて彼女は飛び立つ。

 ――とあるクエストのボスとして現れる、カノたん。
 『風の天衣』と名付けたアリーナへ様子を見にやってきたカノたんは、エンジェルアクセサリーである翼を装備し、真白の一枚布を女神のように纏っている。
「見つけましたわよ~! カノたんさん!」
「……あら?」
 まさしく流星の如く。艶やかな白銀の珠が飛来したかと思えば、繰り出されるは迅龍閃牙。
「……ハイリヒトゥーム」
 肉薄されたカノたんが呪を唱えれば風の繭が形成され解かれてゆく――対する者がその身に受ければ逆風そのもの。だがミノアもまた飛翔からの速度バフが掛かっている!
 風繭の間へすらり差し込まれた刃が、カノたんが瞬時に構築した『風の聖域』の核に振れ――ミノアは一気に双龍剣を振るった。
 繭盾が掻き消える。
 即座にカノたんが女神の槍で突きを放てば、衝撃波として伴う螺旋の風が放たれた。
 ミノアのドレスがぶわりと翻り、輝かんばかりの脚が露わになる――風に乗り、人魚のような滑らかさで双脚は空を泳ぐ。
 片脚を軸にし、もう片方の脚で風圧を蹴ったミノアが一弾指なる間で体勢を切り替えた。
「甘いっ、ですわ!」
 双龍剣のひとつを振り下ろし、相手の槍を阻害するミノア。もう片方の剣が柄を滑り、カノたんの眼前へと迫っていく。
 刹那に火花が散り、けれどもミノアはハッとした表情を浮かべ、身を翻した。
 残滓となった風、軌道から徐々に空にとけていく白銀、それらが流れていく前に下段から突き上がる槍と上段から振り薙がれる双剣が激しくぶつかり合った。
「すっ、すごい……! このフィールドってスピードを極めるのが難しいのに……!」
「浮遊感が独特なんだよね。ミノアさん、何か装備してるのかな?」
 猟兵の称号を持つプレイヤーたちが作ったかき氷を食べながら、観戦するプレイヤーたち。
「よくぞお気づきになられましたわね~! ――この超スピードを支えるものはいったい!? それはこのミノア印の迷宮ミルク!」
 突如、プレイヤーたちの前に開かれていくウィンドウ。そこには、アイテム『ミノア印の迷宮ミルク』が表示されていた。
「お試し版としてアイテム配布いたしますわ~! ミノア印の迷宮ミルクは【瞬間強化】が得られる優れものでしてよ~!」
「……うふふ、今の時間帯限定のバトルが楽しめる、ってわけね。攻撃力がアップする翼竜の肉も、今、有志のプレイヤーたちによって期間限定で販売されているみたいだから、皆さん、思いのままにアリーナを楽しんでいって頂戴」
 観衆を集めてのドラゴンプロトコルたちの|宣伝《エキシビジョンマッチ》。
「……さあ、ミノアさん、決着をつけましょう!」
「望むところでしてよ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガーネット・グレイローズ
ふむ、この浮遊大陸エリアは広大な空のフィールド……
まるでブルーアルカディアのようだね。
今回の目的は、希少な鉱石探し。
にわとり型ドローン「メカたまこEX」を《宝探し》モードに設定して
フィールドに放ち、鉱石の反応を探ってもらおう。
「たまこ、アイテムの探知を頼む」

ここではPvPも体験できるんだったな。どんな相手が来るのかな?
《仙術》を使って体を仙人のように軽くして、《低重力適応》と《空中戦》で身軽に戦おう。自身のブラッドエーテルを周囲の石に流し、
《念動力》で操り石礫に利用。
接近戦では紅剣の斬撃や《功夫》を駆使した《連続コンボ》で対戦相手をスピーディに攻めよう。コンボの締めは【烈紅閃】の強力な一撃で!


ロレッタ・ハーヴェル
このアリーナ?の中で、魔導石を採掘できると耳にしましたので参加いたします。
翼をお借りし、浮遊島などで[第六感]を頼りに様々な魔導石の採掘をしましょう。魔杖などを鍛えておきたかったもので都合の良い機会ですね。可能ならば薬草類も採取を。

……空からの眺めは壮観ですね。

極力は好戦的な方々への対策で極力戦闘を避けます。
傷ついた方を見つけたら、敵意が無ければ可能な範囲で採取したものや、紅茶を振る舞ってお助けしましょう。
敵に対しては[見切り]で避けつつ岩・礫を利用し視界外へ飛び、[不意打ち]で相手の首へダガーで[急所突き]や[ナイフ投げ]を。或いは《サイレンス・ウェイブ》で手早く、無駄なくお掃除いたします。



 ゴッドゲームオンライン。
 草原から浮遊島フィールドへ入っていくと、プレイヤーたちの視界や思考に『風の天衣』というフィールド名が一瞬表示される。
 風は強まり、波打つ野草たちが擦れ合ってしゃらしゃらと音を奏でている。
「――ふむ、この浮遊大陸エリアは広大な空のフィールドなのか……。まるでブルーアルカディアのようだね」
 靡く赤髪を軽く手で押さえ、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は広がる景色を輝く双眸に映す。
 そこは彼女の知る世界のように、どこまでも続く蒼穹。
 大地を軽く蹴って空に身を躍らせれば、自動的に纏われた風の天衣がガーネットに浮遊感を与えた。
 反対にあちらこちらと靡いていた髪は重力を思い出したかのように鎮まり、ガーネットの動きによってさらりと流れる。
 風の気配を鋭敏に読み取れる感覚――足を動かせば、吹く風の圧を捉えることができて、ガーネットは一気に上空へと駆け上がることが出来た。
「風があるぶん、宇宙空間より動きやすいね。まるで仙術を使っている時のようだ――たまこ」
 そう呼んでメカたまこEXを空へ放つガーネット。
 にわとり型ドローン、通称『たまこ』が「コケッ!」と鳴いて翼を羽ばたかせた。
 バタバタッ……パタタッ。
 最初は激しく翼を動かしたたまこであったがAIはすぐに状況を読み取り、この空に適した羽ばたき動作へと移行した。
「たまこ、宝探しモードだ」
「コケー」
 スムーズに滞空し、自身の設定を変えるたまこにガーネットはにっこりと微笑んだ。そして今回の目的を告げる。
「たまこ、アイテムの探知を頼む」

 フィールドでは自身の技能を駆使し身一つで飛翔するプレイヤーや、闘技場限定アイテムを使って風を捉え自由気ままに飛ぶプレイヤーたちの姿がある。
 早々に立ち回りを習得できる限定アイテム――そのひとつである翼を装備し、青き空をゆくはロレッタ・ハーヴェル(|流離《さすらい》のメイド・f42645)だ。
 飛び立った最初こそ少し揺らいだものの、翼を一度羽ばたかせれば気流を捉え、滑らかに上昇することができた。
「……空からの眺めは壮観ですね」
 蒼穹の奥へ奥へとこの身を進めていけば、ゴッドゲームオンラインで実装されている草原を奏でる自然の音が遠ざかっていく。
 聴こえるのは風の音と、風に嬲られ軋む浮遊島の音。
 反響がまばらなここでは人の声もすぐに遠ざかってしまうようだ。賑やかなプレイヤーたちの声も普段より遠い。
 意外にも雲もまた音を奏でるのだとロレッタは気付いた。雲が彼女の身を抜けていく時、氷粒が付着した。それらはすぐに溶けてしまうものであったが――。
「氷……雲や霧は幻影の術によさそうですね」
 今日は魔杖などの強化のため、鉱石を採掘しに訪れたロレッタ。自然と運用方法を考えてしまうようだ。
 手頃な大きさの浮島に降り立ち、島の強度を視認する。
 周囲を見回せば、浮島と浮岩の魔力含有量は大きく異なっているようだ。
 啓賢の魔書を持てば、フィールド限定技能【ツルハシ】の力が宿っている。
 魔法攻撃を放てば目前の地が穿たれ、魔導石がドロップした。一つ、二つ、三つと採掘していくロレッタ。
 手に入った魔導石は氷や風、草の属性が多いものの、火、そして鋼や硝子などの属性もあった。素材として使える属性が揃っているのだろう。
 このフィールドで採取できるアイテムはゲームマスターによって開示されているため、薬草の一覧も見ていくロレッタ。
「薬草、高山ベリー……豆……――豆の木があるのでしょうか」
 空に伸びる豆の木があるのかもしれない。
 魔導石の他にも色々と採取アイテムがあるこのフィールドは、自己鍛錬の場でもあるのだろう。
 強化に必要な個数を揃えるべく、次の浮島へとロレッタは飛んだ。

 ……コッ……コッ……。
 ……ガツッ……!
 何か不思議な音……? 声? がする。
 ロレッタが採掘を行っていた大きな浮島はちょっとした丘などの凹凸があるせいか低木が生えており、そこでは薬草なども豊富に採取できる島であった。
 このフィールドには――アリーナなので遭遇率は低めだが――翼竜などのモンスターも生息する。不意打ちされるのは厄介だ。
 ほんの少し警戒しながら、ロレッタが音の出所を探ると――そこには機械仕掛けのにわとりが懸命に採掘作業を行っていた。
「コケッ!」
 一声鳴いて、岩にガツッと一撃を加えたにわとりは魔導石を採掘しているようだ。
 そこへ空からふわりと降りてくるプレイヤー。
「いいぞ、たまこ。だいぶ探知できたようだね。採掘もえらいよ」
 にわとりからアイテムを受け取り、自身のアイテム一覧を確かめたのだろう。
 ――と、ここで、ロレッタとプレイヤーとの視線が合った。
「おや、メイドの装備……いや、その凛とした佇まいだとメイド職の方だろうか? 私はガーネット・グレイローズというよ。こっちは愛鳥のたまこ」
 ガーネットと名乗りにこりとした笑みを浮かべた彼女は、明らかに上級の位につくものだ。
「お初にお目に掛かります。ロレッタ・ハーヴェルと申します。ロレッタとお呼びください」
 ロレッタは挨拶とともに一礼を返す。
 …………。
 二人の間に流れる一瞬の沈黙。たまこは構わず採掘を続けていて、たまこの気合の声だけが聞こえてくる。
「ここはアリーナのフィールドだけれど、ロレッタはPvPをやりにきたのかい?」
「いいえ。本日は採掘のために来ております」
 ここで何だかほっとした雰囲気が双方に流れた。
「装備は?」
「いつものように相応に。備えております」
「――良かった。では、ロレッタ、少し一狩りいかないか? 対象は翼竜だ」
 聞けば、今日は有志の|プレイヤー《猟兵》たちによって、焼肉を伴うかき氷屋の店が開かれているらしい。
 かき氷は魔導石からの生成で無限に作れるが、焼いた肉は食材がなくなりやすい。
 翼竜の肉は攻撃力が上がることもあり、買って行くプレイヤーも多いそう。
「商売をしているのなら、できるだけ力になりたいとも思っているんだ」
 商業組織「ガーネット商会」も担うガーネット。
「……承りました。御供致します」
 少しの思考――ロレッタもまた、商いをやっていた実家のことを思い出していた。
「よかった。この期間の採掘は山分けにしよう。――たまこ、宝探し・分配モードだ」
「コケケ~」

 仙術で一層身軽となったガーネットは、風を捉えかなりの速度で翼竜へと接近していく。
 彼我の距離を縮めるその道中にブラッドエーテルで鹵獲していくは、小さな石たちだ。
 接敵前に石礫を繰り出せば、矢弾の雨の如く翼竜の全身を撃つ。
 一拍、二拍ほど時を置き戦場へ入ったロレッタは、方向転換に浮岩を利用して鋭角の軌道を描き飛ぶ。
 竜の首に放つは、風切り音を立てないサイレントダガーだ。
『ギャギャギャッッ!!』
 事切れる前、仲間を呼ぶ翼竜――瞬時に羽撃つ音が二つ、三つ。
 イクリプスを構え、ロレッタは唱う。
「大浪よ、静謐を齎し給え――」
 サイレンス・ウェイブを放てば、竜の翼音は鈍り、彼女の魔力の大波濤が敵の接近を遠ざけた。
 彼我に与えられた時間を活用するはガーネットだ。
 眩い真紅の光の剣をダガーのように飛光させ、接近戦の間合いへと入ればその光は自身の拳を覆うものに。
「多少手荒にいかせてもらうぞ。穿ち、砕く――烈紅閃!」
 鮮血のように紅いエーテルを纏う徒手空拳の数撃が、翼竜へと撃ちこまれる。
 ここは天空フィールド。重力から解放された場所で放つ烈紅閃の威力は、まさしく本領発揮。
 翼竜たちは次々に撃破され、翼竜の素材が大量にドロップした。

 イチゴ色のかき氷に高山ベリーのジャムが添えられている。
 陽射しの下で美しく煌めく氷の粒と、ベリー色の調和。そして硝子属性魔導石で作られた冷たい器に、ロレッタは感嘆の息を零した。
「翼竜の肉は美味しいものだったし、かき氷も、ジャムが加わってさっき訪れた時より豪華になっている。美味しいね」
 良い仕事をした、と。ガーネットの上機嫌な声に、ロレッタは頷きそして「はい」と答えた。
 ――猟兵が開いたという浮島の店は賑やかだ。
 遠ざかっていたプレイヤーの楽しそうな声、作業する小人たちの歌、雷属性の魔導石をつつくたまこの歌うようなコケコケとした囀り。
 翼竜の翼膜で作られたサンシェードが風を受け、たまにバタバタと音を立てる。
 そして彼女たちの眼前に広がるは蒼穹。
 眼下には雲が流れていき、数々の島が浮いていた。
「……この場所からの眺めも、壮観ですね」
 最初来た時とはまた少し違う、佳景を楽しんでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

髪を花舞でひとつに括り
耳には空雫、桜模様のイヤリング
垂れみみ付の帽子を被り花舞を綻ばせればふわり風に乗り
浮遊大陸の鉱石探し、準備おっけー
んむ?勝負?受けて立つ(ぴしっ

うさみん☆もまつりんへの牽制よろしく
大陸の端を蹴り岩を足場に
灯る陽光をぶんと振る風で体勢崩しも狙ってこ
まつりん、どんな効果の鉱石欲しい?
わたしはね、沢山食しても満腹にならないヤツ...(お菓子げっとしつつ照れ顔

鉱石のキラキラ発見
そして大陸の翼竜も発見
桜の花弁を纏い防御もおっけ
ん、少し道を譲ってね(怪力込めた手でぐいっと押す

木には果実
まつりん、少し休憩しよう
鉱石の戦利品を見せ合いながら
木の上で水分補給


木元・祭莉
わーい、アンちゃん(f16565)いざ尋常に勝負!(如意な棒 ぶんぶん)

とぅいんくるトンボメガネに付け翼で、踊り避け!
先読みの念動力に、軽業空中機動で対抗戦。
怪力喰らわないように気を付けながら、ときどき陽動にお菓子を投げる!
ぴゅんぴゅん空中散歩、風が気持ちいいねー♪

虹色にキラキラする岩がある!
ぐいんと抱きかかえ、ぱきんと割る。
はっ、コレは新型メカたまこ作成に使えるやも!?
レインボー鉱石やアンバー鉱石。

電撃落としたら、強力マグネットになったよ?
くっ付いたり反発したり。
鉱石型のリニアミニカー、作れるかな♪

倒した翼竜の羽根をシートに、ふゆー陸地でピクニック。
いやー、よく戦ったー。決着は次回ね!




「わーい、原っぱから次は大陸のはしっこ~!」
 ゴッドゲームオンライン。草原から浮遊島フィールドに走ってやってくる木元・祭莉(銃弾を次から次へと叩き落とすなにかの達人・f16554)。
 見渡す限りの草原の景色から、崖が迫り、どこまでも続くような蒼穹が目の前に広がっていた。
「ん、原っぱの匂いから空の匂い! 風が気持ちいいね!」
 狼のしっぽをぱたぱたと動かしながら深呼吸をする祭莉。風になぶられている赤茶の髪はぼさぼさだ。
 ね、アンちゃん! と振り返れば、そこには周囲を見回して感嘆の息を零す木元・杏(視線の連打・f16565)の姿。
「ん、空の匂い」
 端的な言葉と頷きだったけれど、たぶんこれは景色をめいっぱい瞳に映して、たくさんのものを感じているから。双子の妹はとても嬉しそうで楽しそうだ。
 ゆっくりとこの場に馴染んでいこうとする妹と、行動して確かめる! な兄。
 祭莉が呼び出してみたステータス画面の端っこに『風の天衣』という表記がなされ、あるリンク先にはフィールド限定アイテムがずらりと並んでいた。
「近くに町があるんだ! へぇぇ、こっからアイテムも買えるのかぁ~」
 町で買ってもいいし、直接フィールドにやってきたプレイヤーのために速達メール便添付でアイテム一覧に放り込まれもするようだ。
 ぽちっとなー! のノリでまずは、プレイヤーが風を読みやすくそして最初から動きやすくなる付け翼を購入する祭莉。
 杏は目をぱちぱちとさせて祭莉の一連の行動を注視していた。
「まつりん、おしゃれ♪」
「でしょー♪」
 兄が装着したとぅいんくるトンボメガネが、角度と陽射しに応じてきらりと光る。オーロラ色の、星をちりばめた輝きだ。
「アンちゃんは? 準備はいーい?」
 祭莉の問いを受けて、杏が耳に触れれば空雫。『ここ』と同じ空色の硝子には、よく見れば桜模様が映っている。
 イヤリングから少し手を横へ伸ばせば、掌ほどの花の髪飾りに触れた。蕾が綻び始めており、開花はすぐそこ。
 垂れみみ付のウサミミ帽子を被って。杏はにっこり微笑む。
「ん、準備おっけー」
 じゃあ行こ! と告げた祭莉がフィールドの風――風の天衣を纏ってふわり空へ。
 あんなに強く感じたフィールドの風が落ち着いたように感じる。ぼさぼさの髪を撫でつけると、再ぼさぼさになることはなかった。
 きっと風を纏ったからだろう。
 杏もふわり風に乗る――「わ」と呟いて、両腕を広げればくるんと姿勢は水平近くに。
 けども祭莉は手を貸すことはしなかった。だってここはアリーナなのだから。両親の、にこやかに獅子の子を崖から突き落とす教育方針がここに活きている。
「いざ尋常に勝負!」
 たんっと風を蹴り、彼我の距離をとった祭莉が如意みたいな棒をぶんと回す。
「んむ? 勝負……? 浮遊大陸の鉱石探し……ではなかった?」
 一回転して風の動きを捉えることを覚えた杏は一旦着地して思案の表情。けれどもすぐにナルホドと頷いた。
「受けて立つ」
 ぴしっと親指を立てて、キリリとした顔になる杏。
「うさみん☆もまつりんへの牽制よろしく」
 杏の言葉に、りょ! という風に一瞬敬礼のポーズを取ったのはうさみみ付メイドさん人形『うさみん☆』だ。
 大陸の端を蹴って鋭く飛ぶ杏とうさみん☆。風の天衣のおかげで空中にもかかわらず、速度を維持したまま途中から別方向の進路をとる跳躍だった。
 真っ直ぐに突っ込んでくる杏の手には大剣となった灯る陽光。重力から解放された大剣は軽やかに鋭く祭莉の方へと伸びてくる――にっと笑んだ祭莉が如意みたいな棒で大剣を受け止めた。
「イヤ、ムリ~。重い~……!」
「まだ|本気《怪力》出して、ない」
「えぇ……」
 その衝撃を、刹那に発生する接点を利用し、如意みたいな棒で灯る陽光に圧を掛けくるりと回る。
 杏の背後へ移動して死角を突く攻撃も可能だろう――だが祭莉はひょいとさらに飛んで、うさみん☆の蹴撃を踊るように回避。
 追おうとする杏であったが、ふいに視界を過ぎっていく何か、否、あれはお菓子!
 ぱしっと取って確認すれば、可愛らしくラッピングされたブラウニー。
 またまた過ぎって通過していくお菓子を取れば、同じラッピングの恐らくはチーズクッキー。
「うさみん☆……!」
 ぽいぽいと放たれ風に流れていくお菓子たちを杏とうさみん☆が集めていく。
 手の長さくらいのチュロスを頬張って、杏は幸せそうな顔で風に流されていく。すっかりリラックスモード。
「まつりん、まつりん。まつりんは、どんな効果の鉱石欲しい?」
「一旦鉱石探しにいく~? 魔導石だっけ? おいら、遊べるやつ!」
 祭莉の答えに、まつりんらしい、とこくこく頷く杏。
「わたしはね、たくさん食しても満腹にならないヤツ…………」
 頬に手を添えて、ぽっとした照れ顔になる杏。空いた手で口へ運ぶは一口サイズのえびせん。……これは乙女のたしなみ。
「アンちゃんらしい……。はい、ラムネもあげるね」
「ありがと、まつりん」
「ところで気付いた? おいらたちの武器、なんか【ツルハシ】っていう属性付いてるよ」
 祭莉が寝っ転がったような体勢でステータス画面を開き、ほら、と杏に見せる。
「つる、はし! 鉱山ではたらく浪漫!」
 ぐ、と拳を握って今度は熱気ある顔になる杏。
 さあ、次は鉱石掘りだ!
 
 大きな浮島に降り立って見回してみれば、なんかアヤシイ岩を見つける祭莉。
「虹色にキラキラする岩がある!」
 アヤシイではなく、なんかイイカンジの岩だった。
 触ってみれば何だか軽そうで、祭莉はぐいんと抱きかかえてみる。まるで大きな卵を持ったかのよう。
「あ」
 命名『大きな卵みたいな岩』が落ち、ぱきんと割れた。
 砕け散る岩――これ自体が大きな魔導石だったみたいだ。
 レインボー鉱石やアンバー鉱石がたくさん散らばって、祭莉はひょいひょいと集めていく。
「はっ、コレは新型メカたまこ作成に使えるやも!?」
 たまこの系譜――サイバーたまこやメカたま・ザ・サード、たまこ・きゃばりゃなどなど。さらに新型のメカたまこの発案に至る祭莉。
「メカタマコ、イイ感じの魔導石探してー」
 幼馴染に習って、様になってきた指パッチン。
 祭莉の合図に召喚されるニワトリ型ロボ。
 コケコケと駆動音を立てて歩く様はまさにロボなニワトリ。メカタマコは適当な大きな岩に目星をつけたのだろう。
 裁きの雷で岩に極大ダメージを与える。ツルハシの力が一刀両断へと導き、大きな岩はパカッと割れた。
 バリバリバリと地面にも雷気が満ち、駆けていき、祭莉が集め置いていた鉱石に作用する。
「お~、アンちゃん、強力マグネットになったよ?」
「わ。……すごいね、まつりん。理科だよ」
 くっ付いたり反発したり。
「鉱石型のリニアミニカー、作れるかな♪」
「すごいね、まつりん。かがくしゃ……! わたしもお助けする」
 発案がもはや技術者だ。面白そうな遊びの気配に、ふんふんと気合を入れて助手をつとめることを誓う杏。
 ――その時、ばさばさと翼をはばたく音がした。
 双子が空を見上げれば、そこには翼竜の姿。きっと雷を見て飛来したのだろう。
 少し離れた場所にばさばさと風を繰り出しながら着地してきた翼竜は双子には気付いていない。雷気まじる地を不思議そうに突いている。
 ギャギャギャッ! と鳴く声は凶暴だ。
 ――桜の花弁を纏い防御力を上げる杏。そろり、竜の死角から近付く。
 そして怪力込めた手でぐいっと押した。
「ん、少し道を譲ってね」
「ギャ!?」
 対角からはうさみん☆がぐいぐい押しており、圧倒的ぱぅわーに挟まれた翼竜のHPゲージはどんどんと減っていく。
 そんな妹と人形を見て、祭莉はメカタマコをちろっと見た。
「メカタマコ、もっかいやっとく?」
『コケ!』
 任せろというように返事をするメカタマコ。

 こうして、撃破した翼竜からは、翼竜の羽根、鱗、風袋(電撃属性)などなど。
 本来の竜のものから電撃属性がプラスされたものも入手したのだった。


「氷の魔導石で作ったかき氷だって!」
「美味……♪」
 冷めたさを保ったままの器に入ったかき氷は、このフィールドで一日店を開く猟兵たちと小人が作ったものだ。
 かき氷に添えられた高山ベリー。
 祭莉と杏は探索した時に見つけた――下から上まで続く大きな豆の木(?)の果実を提供して、かき氷と物々交換をした。
「果実も、美味」
 りんごのような食感で、しゃくりと小気味よい音が立つ。
 杏のアイテム一覧は【食べられる】判定の採取物でいっぱいだ。アイテム説明には美味しい食べ方も載っていて、読んでて飽きない。
 二人はゲットした翼竜の羽根をシートにして、浮遊島ピクニック。
 風の天衣を纏っているので、強い風はなんともない二人だけど、島はゆらゆら。ゆっくりと移動していく。
 双子は足をぶらぶらとさせて。
「そういえば。アンちゃん、翼竜の肉も渡してたよね?」
「ん! 帰りに焼きたてを貰って帰る!」
 祭莉の問いに、元気いっぱい、わくわくとした声が返ってくる。
「じゃあもちょっと翼竜倒してく? 新しいお肉も渡して、おいら、小人さんが焼くところも見たい! ――決着は次回ね!」
 と言う祭莉に、一瞬キョトンとする杏。
「けっちゃく…………? 翼竜は倒す」
 そしてお肉たくさんゲットする。
 そう呟いた杏は、先程の謎はもう頭にないようだ。
「レティシア、お料理、がんばってたね。他にも調理できそうなもの、見つけたい」
 どんどんと目的が出来ていく杏の様子に、祭莉は微笑み見守る。
「くるみみたいな木の実もあるといいねー。さっきの豆の木? のトコ、もっと探索しようよ」
「ん」
 そんな風に提案しあって。
 今日も二人は楽しい道を築いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユディト・イェシュア
GGOにはこういうエリアもあるんですね
バグプロトコルを気にせず好きなことができるのはいいですね

どなたかと対戦して鍛錬を積むのもいい修行になりそうですし
…けれど今日の目的はこれです
今まで依頼で貯めたトリリオンで翼を借りてきました
空中戦はあまりしたことがないので
いい機会なので飛ぶ練習をしましょう

それに…
なぜか猟兵コレクションでアイドル衣装を仕立てることになりましたから…
こう飛んだりできた方がアイドルっぽい気がしますし
今のうちに練習しておきましょう

義姉はあの世界が気に入って家でもファンサの練習とかしてましたけど
…いやでもここで手とか振ってたらおかしいですよね
とりあえず大人しく飛ぶことに集中しましょう



「ゴッドゲームオンラインにはこういうエリアもあるんですね……」
 プレイヤー同士が対戦するPvPコンテンツ、通称『アリーナ』。
 ダンジョンであったり、町であったり、こういったフィールドであったり。
 アリーナへ訪れたユディト・イェシュア(暁天の月・f05453)は蒼穹が続くフィールドをゆっくりと眺めた。
 草原からそのまま続くここが、浮遊大陸だったことを知るプレイヤーもいることだろう。
 大陸の草原を流れていく雲の影が崖の端で切れて、次からは下の島々に映されていく。
 爽やかな草の匂いから、澄んだ空の匂い――さらさら音を奏でる草たちは鎮まり、かわりに吹く風と、風を受けて動く島々の軋み音が聴こえてくる。
 『風の天衣』とアリーナ名が表記された。
「バグプロトコルを気にせず好きなことができるのはいいですね」
 少々強い風を受けながら、ユディトは穏やかに呟く。
 この世界に訪れるプレイヤー兼猟兵はバグプロトコルと戦うことが多いのだ。
 こういった場所で、誰かと対戦して鍛錬を積むのもいい修行になりそうだが――ユディトはフッと一瞬目を閉じた。
(「……けれど、今日の目的はこれです……」)
 刹那、家でファンサの練習をする義姉の姿が過り、いやいや、と軽く頭を横に振るユディト。ソッチではない、と自戒する。
 今までの依頼で貯めてきたこの世界の通貨、トリリオン。
 トリリオンで借りた翼を装備欄へ反映させてみれば、ユディトの背中に純白の翼が現れた。
 瞬間、あんなに強かった風が和らぎ、はためいていた聖衣も重力が宿ったかのように落ち着いた。
「……なるほど。これが風の天衣。名の通りですね……」
 フィールドに一歩踏み込めば、風を纏う感覚――仙人の羽衣のようなものが感じ取れる。
 とん、と大地を蹴ったユディトの身は空中へ。
 ――そう。本日の彼の目的は、飛行の練習だ。
(「空中戦はあまりしたことがないので……いい機会を得ました」)
 ふと感じた風を蹴れば、軽やかな移動――大地がないのは少々心許ないけれども。
 翼は気流を捉え、はばたき一つでぐんぐんと上昇していく。
 試しにと払暁の戦棍を振るえば、風の天衣の助力があるのか、いつもの重撃感がない。
「……ふむ?」
 設定欄を開き、『調整』をしていくユディト。
 重力を多少戻せば払暁の戦棍の本来の重みが戻ってくる。
「となると、ゆっくり下降……ですが、踏み込むには丁度良いくらいですね」
 今度は駆けあがるように空をゆく。
 翼の動かして方向転換――常に滞空状態だが、駆けあがってからの重力を感じる滞空感を身体に覚え込ませた。
 と、ここでユディトの脳裏を過るは――またもや義姉の姿だ。
『ジャンプがてら、くるっと回っての振り向き練習よ!』
「――!」
 跳躍がてら、くるっと回って振り向き……ファンサポーズ!
『ダンスレッスン! 行き渡らせるようなファンサービスレッスン! アイドルの道は過酷なのよね』
 悩ましい乙女のポーズで夜な夜などんなアイドル技術があるのか、最近研究し続けている義姉の話を思い出す。
 アイドルに関して彼女が言ったことは、もれなくユディトにも仕込まれる仕様だ。
「開催される猟兵コレクションで、なぜかアイドル衣装を仕立てることにもなりましたしね…………」
 ――そう、聞かされているだけではなかった。
 ――もう、ユディトはアイドルの世界に足を突っ込んでいるも同然。
「こう……飛んだりできた方がアイドルっぽい気がしますし、今のうちに練習しておきましょう」
 彼は既に、|アイドル《プロ》の世界を見据えている……!
 歌って踊れるアイドルの世界は華やかで、そして努力が必要な世界。
『ステージを見てくれた皆が「わぁ~っ!」って湧くような手の振り、こんな感じかしら?』
 キラッと笑顔で、大振りに!
 義姉の探究、教えそのままに、ユディトも笑顔で手を振ろうとして…………我に返る。
 ばっさばっさと上空を過ぎていく翼竜の姿が見えた。
「……いやでもここで手とか振ってたらおかしいですよね」
 ちょっと恥ずかしそうに、姿勢を戻すユディト。
 そんな彼の元へやってくる人物(?)がいた。浮遊岩をぴょんぴょんと飛んできた小人だ。
『音楽がいるかい?』
「いえ、今は……いりませんね」
 話しかけられてしまった。
 そうかい、と答えた小人は次に「ん」とチラシを差し出してきた。
『主がかき氷屋さんをやっている。よかったら食べに来るといい。音楽もあるぞ』
 渡されたチラシを見てみれば、プレイヤー兼猟兵が開いたお店のよう。音楽は小人の主に関係しているのだろうか……?
「お、音楽は大丈夫です……あの、主さんにお伝えしなくても大丈夫ですからね??」
 伝えるなという圧を込めて小人に言うユディト。
 おっけーおっけーとジェスチャーする小人だが、どうにも不安だ。
「ですが、かき氷はいただきに行きます。ちょうど休憩にしようと思っていたところなんです」
 案内をお願いしてもいいでしょうか?
 そう言うと、小人はまたもやおっけーおっけーのジェスチャー。
 ――小人に着いていくように飛ぶのも練習になるだろう。
(「とりあえず飛ぶことに集中しましょう」)
 先程のふわっとしたアイドル練習を思い出し、何となく落ち着かない何かを払うため、ユディトはけほんと咳払いをした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
折角ですからPvPに参加してみますね
他の方の戦い方を実際に体験するのは
きっとこれからの役に立ちそうです

竪琴を奏でて風の魔力を操作しながら
尻尾を🌀すれば
軽快に飛行できます
いざ!

自在に飛び回りながら
演奏を続けて
リートから不可視の風の魔力を放って
攻撃していきます
尻尾ぐるぐるの猫魔力?で威力が増していますよ♪

対戦の最中
対戦相手の方の近くを浮遊する岩に
私の影がかかりましたら
旋律と共に揺れる影からランさんを呼び出して
奇襲攻撃を仕掛けたりします

一撃が避けられても
私とランさんの息のあった連携攻撃を
畳み掛けていきますよ

相手の方の攻撃に対しては
ランさんはドリルのように回転して吻で受け払ったり
私も風の渦を盾のようにして受けたりしていますよ

勝っても負けても良い経験となりました
お礼をお伝えしましたら一休みしましょう

人間大サイズの小さな浮遊石にちょこんと座って
風の心地よさを感じながら心の赴くままに爪弾いて
旋律を風に乗せて世界へと響かせていきます
楽しい時間をありがとうございました!


アミリア・ウィスタリア
浮遊島……!
不思議な場所ですね。そこにアリーナがあるというのも面白いです!

まずは氷無限生成の魔導石を採掘に行きたいです
魔導石でかき氷も楽しそうですが――
折角ですもの、この氷を上手く使って、どなたかと戦えないかしら?
猟兵の方でも、たまたま居合わせたプレイヤーさんでも……
もしかしたら一人用の勝ち抜きの競技もあるのかしら?
殺伐とした戦いではなく、楽しく鍛えられる戦いが出来たら嬉しいですね

闘技場ですもの、不意討ちはいけませんね
きちんと挨拶してお手合わせをお願いしましょう♪
ごきげんよう!
ミラと一緒に戦う練習をしてくださいませんか?

うふふ、『護衛蝙蝠』の子達もやる気十分みたい
皆、今日はやりすぎは駄目よ?
――言わなくても大丈夫みたいね、いい子
先陣はお願いね
攻撃は『le ciel』で防ぎつつ、空色の蝙蝠たちに反撃をお願い

氷無限生成の魔導石と『夜色の本』の力で雪玉を作り出します
季節は少し違うけれど……雪合戦です!
驚かせたところにUC
思考が追い付かないうちに蝙蝠達に『死角攻撃』を指示
一気に攻め込みます!




 ゴッドゲームオンライン、浮遊大陸エリアの端っこに位置する草原を駆けていくひとつの影。黒いケットシー。
 原っぱは吹く風によって波打っていたが、そこへ彼が立ち向かうようにして軌跡が刻まれていく。
 草原から浮遊島フィールド――通称『アリーナ』へと箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)が入ればそこには果てなく続く蒼穹が広がっていた。
「わぁ……! すごいですねぇ!」
 風は一層強くなり、仄々は思わず星飾りのついた帽子が飛ばないようにと押さえた。
 若葉を思わせるエメラルドの瞳に澄んだ青を映し、浮遊大陸を囲うように浮く島や岩の眺める。
 一歩、一歩と足を進めていけばまさに風の天衣と呼ばれるに相応しい風の力が仄々の周囲を巡る。
 すると、どうだろう――あんなに強く感じていた風は弱まったように感じ、舞い踊りそうだった帽子はすっかりと鎮まっていた。
 尻尾を右に左にと緩く振って。
「えいっ」
 と、大陸から離れるようにジャンプすると、浮遊する仄々。
「ふんふん、ふむふむ……なるほどです」
 ふよふよと大陸側に少し戻って、地に映る自身の影を見下ろす。じっと見つめていると、影はゆらりと幅を広げたり元に戻ったり。
「大丈夫そうですね」
 影へと声掛ける仄々はニッコリ笑顔。
 ゆらゆら浮遊状態でカッツェンリートをポロロン♪ と奏でて、纏う風と自身の魔力を調和させてゆく。
 そして尻尾をぐるぐると回せば、尻尾を中心に弱い旋風が起こって仄々の身を上昇させていく。
 しゅぴぴっ! と尾を一瞬伸ばせば前進するように飛翔。
 ユーベルコード『ニャンコプター』で尻尾の高速回転を保つ。
「では、参りましょう!」

 蒼穹をゆく白のシルエットは、遠くから見ればまるでモーラットのようにふわっとしている。
 けれども近付けば、それはフリルたっぷりのスカート、羽衣のように揺蕩うショールなのだと分かった。
 アミリア・ウィスタリア(綻び夜藤・f38380)が少し大きな浮遊島に着地すれば、白い大輪の花が咲いたようだ。風を受けとめていたle cielを軽く振って、差し直す。
「うふふ……楽しい……!」
 モーラットに変身した時のように風に流されてみるのもまた一興。風の天衣を纏うアミリアは、自らも天女であるかのようにふわふわとしている。
「不思議な場所ですね。ここにアリーナがあるというのも面白いです!」
 PvPをしにきたと言うプレイヤーたちと遭遇したり、アリーナに出店したばかりの店のチラシを配る小人と出会ったり、魔導石を採掘しにきたというプレイヤーと出会ったり。
「氷の魔導石は、上の方でより質が良い物が採れるとのことですが――この辺りで良いかしら?」
 親切なプレイヤーから教えてもらった情報を元に、浮岩を蹴って上を目指してきたアミリア。
 勘で選んでみた浮遊島の魔力含有量は多い気がする。
 夜色の本を開き、先程チラシを持ってきた小人に似た絵を想像した――すると、【ツルハシ】を持った小人たちが具現化し、近くの岩をカッキン! と攻撃する。
 カッキン! ガッキン!
 賑やかな音色が二度三度と響き渡れば、岩が砕けて水色やピンク色に輝く魔導石がドロップした。
「ふふ♪ やりました!」
 ごくろうさま、と小人たちに声を掛ければ、絵の具が空に溶けていくように消えていく。
 ドロップした魔導石を拾い上げれば、その一つはお目当ての氷属性。
「氷無限生成……魔導石でかき氷も楽しそうですが――」
 微笑みながら、手のひらの魔導石をころころと転がした。
「折角ですもの、この氷を上手く使って、どなたかと戦えないかしら? 性能を確認して、それを伝えてから、素敵なものに加工して貰いましょう」
 きっと喜ぶわ。と同居人のことを思い浮かべるアミリア。
 さあ、誰かいないかしら? と空色の傘を開き、浮遊島から飛び降りるように飛翔した。

 le cielを使ってアミリアが緩やかに下降していくなか、「あれっ?」とちょっと驚いた声が聞こえた――そう、ここでばったり出会ったのは。
「仄々さん、ごきげんよう! お久し振りですね」
 尻尾をぐるぐると回して飛んでくる仄々だった。
「アミリアさん、こんにちは! 先日は、アヤカシエンパイアの戦場で会いましたね」
 お元気でしたか? ええ! と軽やかなやり取りが続く。
 戦場、そして坂東武者たちを送る際に少し会話をする時間もあった。
「アミリアさんも、今日はPvPに参加しにいらっしゃったのですか?」
 仄々の言葉に、彼もまたPvPに参加しに来たのだと分かって、アミリアは微笑んだ。
「ええ、折角ですから。仄々さんも、でしょう? だったら、ミラと一緒に戦う練習をしてくださいませんか? 楽しく鍛えられる戦いが出来たら嬉しいです」
 アミリアの誘いに、仄々はぱあっとした表情になった。
「はい! 楽しく! 私も同じ気持ちです。それに、他の方の――アミリアさんの戦い方を実際に体験するのは、きっとこれからの役に立ちそうです」
 カッツェンリートを手に、そしてアミリアはle cielと夜色の本を手に。
「では、いざ!」
「よろしくお願いします♪」


 アミリアの周囲では護衛蝙蝠たちが一体、二体、三体とその姿を露わにしていく。
 キィキィ! と気合十分な蝙蝠たちの声に、アミリアは微笑む。
「うふふ、やる気十分ね? でも皆、今日はやりすぎは駄目よ?」
 四体、五体。増えていくアミリアの可愛い子たちは、彼女に鳴いて答える。
「――言わなくても大丈夫みたいね、いい子。先陣はお願いね」
 アミリアの命令に蝙蝠たちが上空の仄々目指して飛んでいく。
 蝙蝠たちが音波を放ちながら仄々の元へと向かえば――ポロン♪ ポロロン♪ と響かせる竪琴の音が迎え撃つ。
 流麗にしかし細やかな波の如き奏では仄々の魔力――不可視の風に乗り、前衛に位置する蝙蝠たちの進行を狂わせた。
「そういえば……猫さんの聴覚は人間の数倍だったかしら……」
 となれば、仄々の演奏は蝙蝠たちの聴覚に影響ある音も出せるのかもしれない。
 蝙蝠と同じく、光のない場所での狩りに優れているということだ。
 尻尾ぐるぐるの猫魔力によって威力のアップした、不可視の風の魔力はアミリアにも向かってくる。
 le cielを前面に開き、風を受け流すアミリア。
 反撃にと飛び出していくのは空色の蝙蝠たちだ――完全にこの蒼穹に溶け込み、仄々の風と同じく不可視のものとなっている。
 広範に展開していた不可視の風に当たる抵抗を感じ取り、「ランさん!」と仄々が呼ぶ。
 彼の影が映る島から目旗魚のランさんが飛びあがり、アミリアの側を細剣のような吻が過ぎていく。
「きゃっ!」
 空色の蝙蝠たちを散らすように鋭く回るランさん。
 そして浮岩が多い地帯へ仄々が入れば、浮かぶ岩々に映るケットシーの影――影を揺らして、ランさんが飛び込んで消える。
 陽動するかのように影から影へと飛ぶランさん。
「ランさんの吻はレイピアみたいに鋭そうですね。……あれを受けたら、きっと一溜まりもないわ」
 大海を泳ぎ、海面を跳ねる魚を止めるにはどうすればいいか――。
 魔導石を手に、夜色の本を開いたアミリアが盾のように周囲に氷を巡らせていくも、仄々の渦巻く風がそうはさせまいと突き破り払っていく。
「まだまだですっ!」
 仄々が演奏で畳みかけてくる。
 風の圧が竜の飛翔の如き重さで周囲を嬲っていく。アミリアが風圧を受けて流されていく。
 砕けて氷粒となったそれが陽射しを反射し、刹那に虹を浮かべて風に散っていった。
「仕掛けますよ! ランさん!」
 竪琴で勇壮な曲を爪弾き始めた仄々と、影から出てきたランさんが向かってくる。
「さすがですね、仄々さん。なら、これはいかがでしょうか?」
 そう言ったアミリアが夜色の本で次に創り出すは、数多の雪玉。
「季節は少し違うけれど……雪合戦です!」
 放たれた雪玉がランさんの吻に三つ四つと突き刺さり、雪の串団子が出来上がる。
 驚いたランさんが頭を振るもそうそう容易くは抜けない魔法の雪玉だ。
 ランさんはそのままで行くことにした様子。向かってくる新たな雪玉を叩くように払い、仄々の周囲を守る。
 主を守ろうとする動きはアミリアの蝙蝠たちにも通ずる信念だ。
 藤花の祈りを捧げるアミリアから光が生じる――蒼穹に降るはソーダ水の雨。まるで狐の嫁入りのような雨。
「……くっ!」
 仄々が呻く。
 だが、音楽家でもある彼は思考が鈍ろうとも、その指運が止まることはない。
 風の渦を盾にし、雨を阻害する。
 その時、島影から……仄々の死角から現れるは複数の護衛蝙蝠。
 黒い塊同士がぶつかりあい――弾き飛ばされたのはケットシーの姿であった。


「はにゃ……負けてしまいましたねぇ~」
「お見事でした。思考力が鈍っても演奏を続けるのは、音楽家の鑑ですね」
 思考が鈍り、またたびを受けた猫のようにくんにゃりとなっていた仄々へ、アミリアが駆け寄ってくる。
「仄々さんは、ずっとユーベルコードを展開し続けていましたからね。読み切らせていただきました」
 支えて彼を座らせて、介抱しながらアミリアは言う。
「ふにゃ……良い経験となりました。アミリアさん、勝負をありがとうございました」
「ミラこそ! ありがとうございました! ……あの仄々さん、よかったらお礼に、ミラにかき氷を奢らせて貰えませんか?」
「かき氷ですか?」
 お好きですか? と問うアミリアにこくりと仄々は頷いた。
 アミリアはにこっと微笑んで、勝負前に手に入れていたチラシを仄々に見せる。
「魔導石のかき氷屋さん……? 翼竜の焼き肉もあるんですか……!」
「お店は翼竜の素材で作ってあるらしいですよ。ミラ、そのお店も見てみたくって!」
「すごく行ってみたいです」
 どんな店なんだろう、とわくわくしてくる。

 プレイヤー兼猟兵が開いたかき氷屋さんは、デリバリーもやっているという何ともサービス豊かな店であった。
「高山ベリーのジャム、こちらはリンゴジャムかしら? そのままの果実も楽しめるみたいですよ。トッピングも色々あるんですね」
 プレイヤーたちがこの地の素材を持ち込んでくるため、ラインナップは常時更新されていくようだ。
「これは……アイディアの手腕が問われますね」
 イチゴ味のかき氷に、きんきんに冷えた高山ベリーをトッピングしてもらった仄々が感心の声。
 器もまた魔導石で作られたものなのだろう。
 硝子素材で、かき氷とは別に冷え冷えとなっている仕様だ。
「うふふ、では、ミラはベリージャムを添えたものにしましょう。シロップはおすすめのものでお願いします♪」
 まったり、二人で美味しくかき氷を食べてゆく。
 しばらくして「ごちそうさまでした」と仄々はスプーンを置いて、カッツェンリートを手にした。
「それでは、私からもお礼を」
 と、再び竪琴を奏で始める。
 浮遊島のお店に合う、明るい一曲だ。
 ばたばたとはためく翼膜のタープの音と、島の小人たちの賑やかな歌。
 風の心地よさを感じながら心の赴くままに爪弾いて。
 旋律を風に乗せて世界へと響かせてゆく。
 美しい竪琴の音色に、アミリアはほうっと息を零した。
 演奏が終われば、仄々を称える拍手が、アミリアからそして島にいるプレイヤーたちから起こる。
 仄々は一礼を返して、にこっと笑った。
「アミリアさん、今日は楽しい時間をありがとうございました!」
「こちらこそ。ありがとうございました!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾花・ニイヅキ
【波咲神社】

PvP……?
ふむふむ、プレイヤー同士が戦うことをいうのか
――そういうことなら、仁
久々に手合わせ願おう
む、なんだ、不満か?
それとも――
今度こそ僕に負けるのが怖いのか?
……むぅ、この程度の挑発では全然だめか
とはいえ手合わせに乗って貰えたから良いか

仁のことは戦友としても信頼している
格闘については僕に何度か指導してくれてるしな
だからこそ――本気で叩き潰す!

飛んで戦えるのならいつもの仁と同等だな
つまり、いつもの浮遊分の優位性はないぞ
……と思っていたが、慣れの差はあったか

悔しいが近接格闘は仁のが上
しかし魔法は僕のが長けている
魔弾を絡めて戦えば……いけるか

《武器受け》できるよう『月影』は発射せず持ったまま戦う
仁はやはり距離を詰めてくるか
近くにある岩を蹴り時間を稼げないか試みつつ《弾幕》展開
至近距離なら完全には防ぎきれまい
更に魔弾を増し《一斉発射》だ!

自己強化、上手くなったんだな
僕も仁も強くなってるのか
……ふふ、良い事だな!
なら――今の僕の全力をぶつけるぞ!(UC)

※勝敗引き分け含めお任せ


青梅・仁
【波咲神社】

噂に聞くPvPなあ
競争とか絡むとやっぱり楽しくなるのかね
ここはバグプロトコルの影響がないようで良かった

……お前さん、案外手合わせ好きな?
いやいや、良い事なんだけどよ
……挑発も上手くなったもんだ
誰から教わったのかねえ
挑発に乗る訳じゃないが、最近一緒に戦う機会も少なかったしな
いいぜ、戦い方見てやるよ

浮遊が関係ないから互角?
どうだかな、慣れってのがあんだろ
あと別に普段そこまで有利な訳でもない……(ぼそ)

格闘については何度か見てやったが
魔法についてはあっちのが上だし俺も見て貰った側だしなあ
戦い方に縛りを設けなければ、まあ……ほぼ互角……か?

一方的に弾幕で対策されるのはだるい
近接戦闘に持ち込むとするか
ある程度の迎撃はしてくるだろうから《オーラ防御》で備えておく
隙を見計らってUCを展開
“嬢ちゃん”に加護をやれないのはおじさんも心苦しいぜ?
そ、前にコントロールについては教えて貰ったからな
威力を増した『居合』『斬撃波』で勝ちを狙う
……確かにPvPっての、楽しいかもな?

※勝敗引き分け含めお任せ




「っはー! チーム戦、楽しかったねぇ!」
「俺らが勝ったんだから、ちゃんと奢れよー」
 若く初々しいプレイヤーたちが小さな浮遊島群を飛ぶようにジャンプして渡ってくる。
 大きな島に着地して、「さ、食べよう~!」と言いながら歩いていく数人のプレイヤーたちを見送るのは、青梅・仁(鎮魂の龍・f31913)。
 若者の和気藹々とした雰囲気に和みつつ、彼は自身の手元に意識を戻した。
「噂に聞くPvPなあ……競争とか絡むと、やっぱり楽しくなるのかね?」
「PvP……たしか、プレイヤー同士が戦うことを言うんだったな」
 仁の言葉に応じながらも、尾花・ニイヅキ(新月の標・f31104)は自身の手元から目を離さない。そこにはブルーベリー色のかき氷があった。
 高山ベリーや空色ベリー。このフィールドで採れる果実を盛り付けたかき氷は食べ応えのあるものだった。
 ちなみに仁が食べているかき氷は葛切りと蜜が掛かったもの。
 先程やってきたプレイヤーたちも、休憩にとかき氷を食べに来たのだろう。
「ここはバグプロトコルの影響がないようで良かったぜ」
 盛られたかき氷をスプーンで削るように。しゃく、と音がした。
 仁の呟きにニイヅキは頷く。
「そうだな。……それにしても美味しいな」
 しみじみとしたように味わっていた彼女からは、さらに感動の声。

 大小の浮遊島が漂うバトルフィールド、通称『アリーナ』にやってきた二人は早々に――というか、ニイヅキが――フィールドの入り口付近にあった、猟兵兼プレイヤーが営むかき氷屋に引き寄せられていた。
 テラスのように整えられた広い浮島。竜の翼膜を素材にしたタープ、氷の魔導石で作られていく削り氷。ベリーや葛切りはこのフィールドで採取できる素材を加工したものだという。

「そういえば、ニイヅキ。翼竜の肉は食べなくてもいいのか?」
「――焼かれていく肉の香りは非常に気になっている……けど、翼竜の肉は【攻撃力アップ】となるものらしい」
「ほぉ」
 売り子の猟兵に聞いたニイヅキが物知り顔で仁に説明する。
「仁、僕はたくさん食べるだろう?」
「まぁな」
「食べてしまえば【ばふ】というものが重ね掛けとなり、そうなれば公平なる手合わせはできなくなる」
 そんなの、つまらないからな。
 と、どこかドヤッとした表情で言いながらニイヅキはかき氷を平らげた。
「…………」
 仁は食べるペースを上げながら考える。
「…………えっ、もしかして俺、気ィ遣われてる??」
「折角の手合わせの機会だからな。自分の力で、存分に戦い合いたいと思うのは自然なことだろう?」
 なるほど、と仁は思う。つまり、ニイヅキが言いたいことは――。
「……お前さん、案外手合わせ好きな?」
「む、なんだ、不満か?」
「いやいや、良い事なんだけどよ」
 猟兵たるもの、日々の鍛錬は大事なことだ。手合わせは自身の練度が今どの辺りに位置するのかも把握できる。
 そんな会話をしながらも、ご馳走様と手を合わせて器を返しに行く二人。
 浮遊島の端へと移動しながら「それとも」とニイヅキは会話を続ける。
「今度こそ僕に負けるのが怖いのか?」
 ふと、真剣なニイヅキの声。彼女から放たれた気迫に仁は肩を竦めた。
「……挑発も上手くなったもんだ。誰から教わったのかねえ」
 まるで暖簾に腕押し。むぅ、とニイヅキが脹れた声を零す。くつくつと仁は笑った。
「……挑発に乗る訳じゃないが、最近一緒に戦う機会も少なかったしな。――いいぜ。戦い方、見てやるよ」
 否、柳に風。
 挑発には失敗したが、仁の答えにニイヅキは「やった」と小さく呟いて、ぱっと笑顔を浮かべたのだった。


 アリーナ『風の天衣』――その名前の通り、このフィールドでは風を纏い自由自在に飛ぶことができる。
 足場のない空中だったが、吹く風がそのかわりとなることにニイヅキは気付いた。
 刹那の加速、方向転換。一度試せばコツはすぐに掴めた。
「飛んで戦えるのならいつもの仁と同等だな。つまり、いつもの浮遊分の優位性はないぞ」
 漆黒の柄に白銀の穂先。同色の槍旗をなびかせて、ニイヅキは月影を構えた。
 一方、仁は佩いた銀ノ波に手を添える。
「浮遊が関係ないから互角? ――どうだかな、慣れってのがあんだろ」
 自動的に纏わされた風の天衣に自身の神気を馴染ませていく。
 仁の言葉に、「そうか」とニイヅキは一瞬考えこむ表情。
「慣れの差というものがあったな」
「……あと別に普段そこまで有利な訳でもない……」
 ぼそ、と仁が付け足した言葉はニイヅキには届かない声量だ。わざわざ伝えてやることでもない。現に、今は陸がないので引力を感じ難い。
「浮遊感には慣れたかい? “嬢ちゃん”」
 今となってはどこか懐かしさも感じる仁からの呼称に、ニイヅキは「ああ」と力強く頷いた。
 そして改めて告げる。
「仁のことは戦友としても信頼している。格闘については僕に何度か指導してくれてるしな」
 そうして微笑む表情は、今まで積み重ねてきた自信を表すもの。
「だからこそ――本気で叩き潰す!!」
「よく言った!」
 ニイヅキの言葉が合図となり、彼我の距離を詰めようと先に動いたのは仁であった。
(「仁はやはり距離を詰めてくるか」)
 ニイヅキとしては距離を保ったまま迎え撃ちたいところだ。
 風を蹴り、後方へ飛び退いたニイヅキは浮岩を蹴り、鋭角の軌道を描く跳躍。仁よりも高度を取る位置に、かつ、急な方向転換が行える岩群へ入っていく。
 だが虚空で方向を変えるのは常に空中に在る仁の方が長けていた。しかしニイヅキはニッと笑み、魔力を展開する。
「掛かったな、仁!」
 浮岩が滞空する場では自然と飛翔の『道』も決められていく。
 こちらに向かってくる仁――かつ逃げ場のない位置を見定めたニイヅキは魔弾を次々と放った。魔弾による弾幕だ。
(「悔しいが近接格闘は仁のが上。しかし魔法は僕のが長けている」)
 魔弾を絡めた戦法。
 弾幕と、魔弾によって破壊された浮岩が仁へ降り注ぐ。
「やっぱだりぃなぁ……」
 ニイヅキが弾幕で対策を打ってくるだろうことは予測していたが、それはそれとして面倒には面倒だ。
 風に馴染ませた神気を旋風のように巻き起こし、礫を払って弾幕の軌道を歪ませる。
「とはいえ、浮岩の排除はできたか」
 視界を晴らしてくれてありがとよ。
 そう告げる間にもニイヅキは新たに魔弾群を放つ。彼女とてずっと同じ場所にいるわけではない。輝く魔弾を織り交ぜ一時の目眩ましに。
 仁の怨嗟の昏き海のオーラが光を遮断する。
(「格闘については何度か見てやったが、魔法についてはあっちのが上だし……俺も見て貰った側だしなあ」)
「戦い方に縛りを設けなければ、まあ……ほぼ互角……か?」
 彼我の距離を誤らせるニイヅキの弾幕だが、完全なる明後日の方向から放たれているわけではない。移動前に残された魔力の残滓はニイヅキの軌道。
 しかしそれを素直に追うつもりはない。
 仁が神気を操れば、冷たい風が吹き始めた。暗雲を呼ぶ風だ。
 降り始めるのは、怨嗟の海の水を含んだ慈雨――敵にはダメージを、味方には彼の神気が与えられる龍の黒雨。
 いつもならば、龍の恩恵を受ける側にいるニイヅキであったが。
「悪いな。“嬢ちゃん”に加護をやれないのはおじさんも心苦しいぜ?」
 今日の彼の雨はニイヅキを浸食するものとなっている。
 彼女の――ミレナリィドールの身体に僅かな軋み――ずっと打たれれば、恐らくは身体の先端に魔力が届かなくなっていく。
 ニイヅキは自身の指先へ向けて多くの魔力を送り出した。魔力の供給が途切れても僅かな時間、動かせるように。
 動きの鈍りを自覚した彼女に対し、加速したのは仁だ。
 銀ノ波を抜き放ち、繰り出した斬撃を受ける月影。太刀を一瞬叩き返したニイヅキは、完全に押し返せない銀ノ波を穂先、長柄へと滑らせて絡めて弾く。
「仁、自己強化、上手くなったんだな」
 それでも発生する斬撃波がニイヅキの身体を嬲っていった。
「僕も仁も強くなってるのか」
「そ、前にコントロールについては教えて貰ったからな」
 近距離で交わされる会話。
「……ふふ、良い事だな! なら――!」
 一撃を月影で受け流したニイヅキは、肉迫した仁に告げる。
「今の僕の全力をぶつけるぞ!!!」
「……!」
 天翔星の発動。
 穂先で弾いた太刀は仁の腕を、胴を開いていた。
 龍の黒雨によって防御力が増していようとも、構わず月影の強い一撃が仁を穿つ。
 至近距離で放つ、一撃に賭けた必中。
「――撃ち抜け!!」
 大空に声を響かせて魔力を響かせて。
 肉を斬らせて骨を断つ――天翔ける星々が黒雨を払っていった。
 海が怨嗟で荒れる時も、凪いだ時も、星は誰かの願いを背負って流れていくものだと、龍に教えるように。


 強くなったなぁ。と言う仁の言葉に満面の笑みを浮かべたニイヅキ。
 そんな彼女は今、仁の奢りで翼竜の肉を頬張っていた。
「はぁ……しかし負傷がすぐに治ってよかったぜ」
 アリーナでの勝負がつき、ニイヅキの損傷具合に一瞬狼狽えた仁であったが、ここはゴッドゲームオンラインの世界。アリーナではPvPのダメージも直ぐに回復するシステムとなっているのだろう。
 だが消費した魔力は減ったまま。
 エネルギー補給中のニイヅキはもっくもっくと焼き肉を食べていく。
「仁、デザートにかき氷が欲しいな。さっき仁が食べてたやつがいい」
「……はいはい」
 仰せのままにと呟いて仁はかき氷を買いに行く。
 山盛りの肉を食べながら自身のステータス……【攻撃力アップ】が足されていくのを、開いた画面で眺めていたニイヅキ。
 ふと、先程と同じくわいわいとプレイヤーたちがやって来るのに気付く。
「よっしゃ今日は勝った~!」
「もー、次は負けないからね!」
 勝った方は嬉しそうで、負けた方は悔しそう。
 でもどちらも楽しそうだ。
 そうだ、とニイヅキは呟き、戻ってきた仁を見上げた。
「仁、手合わせありがとう! すごく楽しかったよ!」
「アリーナやプレイヤーによって条件が違ってくるんだったか? ……確かにPvPってのは、楽しいかもな……?」
 ちと、肝が冷えた部分はあったが。と、仁は言う。
「次はチーム戦をやってみるのも楽しそうだな」
 組み合わせで色んな戦法がとれそうだ。
 わくわくと考え始めるニイヅキ。きっと友人や仲間のことを思い浮かべているのだろう。
 最初は独りだったけれど、いまはそうではない。
 猟兵として、一個人として、今まで培ってきた成長がちゃんと見えてくる。
「……そうだなぁ。チーム戦なら、組み合わせは――」
 仁もまた話に乗って。
 そして己もまた独りではないのだと、思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年05月05日


挿絵イラスト