【其々の未来】どこにいるの、何をしているの
●注意
当依頼は、PBWアライアンス『コイネガウ』からのシナリオです。
PBWアライアンス『コイネガウ』の詳細を以下でご確認お願いします。
公式サイト:(https://koinegau.net/)
公式総合旅団:(https://tw6.jp/club?club_id=4737)
●未来は続く
たとえそれがどんなものであろうとも、学園生活はいつかは終わる。
しかし、それは全ての終わりではない。学校を出れば、その先にはそこで学んだことを活かし、あるいはさらに伸ばす無限の選択肢があるのだ。
その未来、果たしてどこで、何をしているのか。
今日はそれを教えて欲しい。
●どこで何をしているの
「こんにちは……本日は、皆さんに近況報告をしていただきたいと思います……」
アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)が久しぶりに集まった者たちの前で頭を下げる。その姿は、卒業生を見送ってから数年たっても代り映えしない痩せた少女のままだ。
「皆さんが学園を卒業して数年……学園の入学パンフレットに載せるため、卒業生の現状を少し取材することになりました……」
学園を出たものがどこでどのような日常を送っているか。それを紹介することで入学希望者への指針とするという話だ。
「とは言っても、別に特別なことをする必要はありません。皆さんは普段通りに日常を送っていただければ、こちらでそれを記録して纏めておきます。また仕事だけでなく、休日の過ごし方や家族や友人との交流、普段何をして遊んでいるかなど、そういうオフの部分を見せて頂いてもいいです……」
人生とは仕事だけではない。趣味や交友関係、私人としての時間をどう過ごしているかも大事な日常だ。
「一応、記録とかはさせて貰いますが、特に希望がない限りこちらからアクションはしません。カメラを持った空気だと思って、自然体でお過ごしください……あ、ちなみに、取材許可ですが……私が以前関わった場所や人につきましては、大体許可を取ってあります。もしそれらの方々に今も関わっているのなら、その部分につきましては見せられるだけ見せて頂いて大丈夫です……」
アレクサンドラは希島でいくつかの依頼を出してきた。それに関わる事柄に関しては、基本的に見せられると思っていいということだ。
「まあ、そう言うわけなので、卒業してから数年、皆さんが今何をしているか……是非、お教えください……」
そう言ってアレクサンドラは一礼し、カメラとレコーダーを持って卒業生たちの後ろにつくのであった。
鳴声海矢
注:当依頼は、コイネガウ暦20X5年4月における通常エピローグの後日談です。
各MSによるシナリオはどれも内容が独立している為、重複参加に制限はありません。
注2:後日談の依頼一覧表は以下です。
鳴声海矢MS:日常。皆の未来の後日談の日常編。
にゃんさん。MS:お色気。皆の未来の後日談のお色気編。
ヤタ・ガラスMS:戦闘。皆の未来の後日談の戦闘編。
こんにちは、鳴声海矢です。今回はコイネガウの数年後の後日談です。
希島に関わった方が、数年後のコイネガウ世界でどんな日常を過ごしているかの近況報告をしていただきます。
パンフレットのための取材という体ではありますが、実質どんな日常を送っているかを紹介していただく依頼となりますので、カメラを意識する必要はありません。
希島でどんな仕事についているか。あるいは定住していなくてもどのように関わっているか。どんな生活をしてどんな人間関係を築いているか……
数年後の自分はこんな風にしている、という思いをプレイングにしてください。
鳴声作のコイネガウ関連シナリオに出て来た舞台やキャラクターは自由に使ってください。基本的には特に変わりない日々を続けているはずです。お色気関連のシナリオに登場したものも使えますが、お色気描写は基本あまりできません。
また|情報屋《グリモア猟兵》に関しては、アレクサンドラとゾンビーヌのみお声がけ頂ければ登場します。好きな役回りで使ってください。
一応能力値行動は以下の通りですが、特に気にせず自由にやってください。全種類見せて頂いてももちろんOK。
POW:仕事などの公的な日常を主に見せる。
SPD:趣味などの遊びの日常を主に見せる。
WIZ:家族などの私的な日常を主に見せる。
それでは、プレイングをお待ちしています。
第1章 日常
『プレイング』
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POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
イラスト:YoNa
👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
あれから数年後。希島の人々は何をしているだろうか。
「以上です。何か質問は? ……私の歳? それは治療に必要あることですか?」
歳を重ねながら、あるべき道を進み続けているかもしれない。
「急に不思議な力を持って困ってるかもしれないけど、安心してくれ。ここにはたくさん仲間がいるから、少しずつ慣れていけばいい。俺もこの活動をやって長いんだ」
過去の経験、あるいは過ちから学び、それを元に未来を築いているかもしれない。
「ほら早く手伝え! もういい年なんだから、仕事の一つくらい覚えて!」
歳を重ね、大人の社会へ踏み出しているかもしれない。
君は今、どこで何をしているか。まだ未来に至らない子たちの導とするため、それを見せて欲しい。
コニー・バクスター
コニーの未来、どんなかな?
おまかせするね☆
【日常系】
「種族」か「ジョブ」を活かした行動描写をお願いします。
レプリカント(種族)が活きる場面は、ロボネタで対応です。
ジョブは、量産型キャバリア(BRR)を操るパイロットです。
ジョブが活きる場面は、キャバリアネタや国防軍ネタで対応です。
学園生の為、学園系シナリオは特に参加歓迎です。
【戦闘系】
戦闘の立ち位置は中衛のスカウトです。
主にキャバリアに乗って戦いますが、本人が戦うのも可。
ナイフ、二丁拳銃、狙撃、偵察等が得意技。
メインで戦う人がいたら役割は補助的です。
逆にメインで戦う場合かソロの場合は中衛攻撃に特化です。
UCお任せ。
アドリブ・連携歓迎。
NG無し。
西行寺・銀治郎
俺の未来か、わくわくだぜ!
おまかせだ!
【日常系】
「種族」か「ジョブ」を活かした行動描写をお願いします。
サイボーグ(種族)が活きる場面は、改造人間ネタで対応です。
ジョブは、バトルゲーマーとフリッカージョーカーです。
ジョブが活きる場面は、ゲームネタや大道芸ネタで対応です。
希島学園生の為、学園系シナリオは特に参加歓迎です。
【戦闘系】
戦闘の立ち位置は前衛の壁役と囮役です。
残念な役で敵を引き付ける技を得意とします。
ゲームや大道芸を使うトリックスターなキャラでもあります。
メインで戦う人がいたら役割は補助的です。
逆にメインで戦う場合かソロの場合は前衛攻撃に特化です。
UCお任せ。
アドリブ・連携歓迎。
NG無し。
希島には、その発展に尽力した人物がいた。コニー・バクスター(ガンスリンガー・ラビット・ガール・f36434)と西行寺・銀治郎(国立希島学園の一般的な残念男子学生・f38167)は、その中でも中核と言える人物であった。
当然、二人は数年がたった今でも希島で活躍している。
まずコニーは、自身がキャバリア乗りだということもあり、やはりそれに関する活動を行っていた。
時に国防軍としてキャバリアを駆って戦列に加わり、時にその研究開発に知恵を貸す。キャバリアに関わる活動に多方面にわたって関わり、最早希島のキャバリアは彼女失くしては語れないと言っても過言ではないような状態であった。
そんな彼女の乗騎は、かつてと同じ量産型キャバリア『BRR』。元々生産性と安定性を重視した量産型であり、奇しくも彼女の活躍により日進月歩であるキャバリア界に置いて、数年前の量産型など最早型遅れと言ってもいいような前時代機。そんなキャバリアを使い、コニーは新人キャバリア乗りたちと演習を行っていた。
「それじゃ、どこからでもかかってきていいよ!」
無線越しに若手パイロットたちに告げるコニー。その声に、映像が繋がっていないのをいいことに若者たちは馬鹿にしたような笑みを浮かべていた。
自分たちが乗るのは最近量産体制が整ったばかりの最新型。量産型であっても一昔前のワンオフ以上の性能を持つ機体だ。それが前時代の量産機に負けるものか。
機体への自信と共に吹かしたブーストで、流線形のその機体は真っ直ぐBRRへと突進した。
「うん、やっぱりテンプレ通り」
それをBRRは、噴射機能すら使わず脚部のサスペンションのみで跳ねて避けた。そして空中で二丁の拳銃を構え、通り過ぎていった機体のバーニアを撃ち抜く。
「若い子はすぐフルスロットルで真っ直ぐ突っ込んでくるんだよね。しかも制御もバランサー任せで自分で動かさない」
まるで玩具のように、つんのめって前に倒れる若手の機体。その人類有史からあったであろう間抜けな転倒は、パイロットの『最新』という言葉への妄信に機体諸共土を付けていた。
「どんなにいい機体に乗ってても、パイロットの腕が悪くちゃダメだね」
キャバリアとは機械技術だけを発展させても意味がない。人を育てるという形でも、コニーはキャバリアの未来を紡ぎ続けているのであった。
一方、銀治郎はというと。
「さーて、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!」
街の大通り。休日で人通り溢れるその場所で、大声を上げて人を呼び込んでいた。
「希島伝統ストリートパフォーマンス、漢字で言えば大道芸! え、そんな伝統聞いたことない? そう言わずに見てってよ!」
その言葉通り、彼が行おうとしているのは大道芸。まずはよくあるジャグリングや中華独楽、デビルスティックやカードマジックなどを次々と披露していくが、足を止める人はそこまで多くない。
「おっと、あんまり反応がよろしくない? じゃ、これでどうだ!」
客入りが良くないのを見た銀治郎が取り出したのは、刃を輝かせる数本のナイフ。物騒なそれに一瞬通行人たちも足を止める。
「大丈夫、危ないことはないさ。それっ!」
そのナイフを放り投げ、空中でキャッチしてはまた投げるジャグリングを繰り出す銀治郎。光を反射しきらめく刃が危うい輝きを放ち、その芸に彩を加える。
「まだまだ、こんなことだってできるぜ!」
さらに今度は宙を舞うナイフの、刀身の方を取っては投げ始めた。よりスリリングになった芸に観客もさらに増えていく。
「それじゃとっておき、いくぜ!」
ここが見せ場。銀治郎は一斉にナイフを空中に投げ、そこに強く息を吹きかける。するとナイフの持ち手の部分が突然発火し、燃え上がり始めたのだ。
それを取ってお手玉する銀治郎。ナイフと松明、どちらもジャグリングの道具としては定番だが、その二つを合わせたパフォーマンスに観客はすっかり釘付けだ。
そして最後にそれらをキャッチ、勢いよく振り抜いて消火してフィニッシュを決めた。その銀治郎に、周囲からは拍手の嵐。
「すごーい! どうやって火つけたの」
「ケガとかしないの?」
希島学園の制服を着た少女達からの声援に、銀治郎は笑って答える。
「あ、俺サイボーグだからこんなナイフじゃ傷つかないし、ちっちゃい火炎放射器なら仕込めるから……」
あっさりのネタ晴らしに少女たちは急に白けた表情。黙っていればいいものを。何年たっても、やはり銀治郎は残念なのであった。
そんな日常を送っている彼らは、時折顔を会わせて近況報告をし合う。
「……ってことで、コニーは希島のキャバリアの発展に大いに尽くしているのだ☆」
「そっか。俺は相変わらず楽しくやってるよ」
自身の力を公的にも大いに役立てているコニーと、自分と周囲が楽しく過ごすために『無駄遣い』している銀治郎。
学園で学んだこと、目覚めた力に飲み込まれず、振り回されず、自分の人生の一部として使いこなすその生き方。
異能をもって学園に入学した者たち。学園性格の中で異能に目覚める者たち。方向性は反対ながら、二人の生き方は、この希島で異能に目覚めたものの人生の送り方としてはきっと大いな指標となることだろう。
パンフレットには二人の名前と能力と共に、その旨が掲載されるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
(メカクレ+黒ストレート+巫女装束/十代前半の爆乳少女が出迎えて)
アレクサンドラ様、女神様の社へようこそ御出で下さいました。
此方の社を預かる『|剳澳・紗宵《かまおく・さよい》』と申します。
|使徒《るこる》様、ですか?
いえ、数年前に一度御出でになって以来、お会いしておりませんね。
他の世界で猟兵として過ごされる中、偶然いらしたとのことでしたので、恐らく今も同様に活動されているのではないかと。
ええ、そのお会いした際に此方の『|勾玉の首飾り《奘珤で製作した品》』を授かり、今も|修行《祈祷&豊胸&大食いの修練》に励んでおります。
宜しければ、|体験して《詳細お任せ》行かれませんか?
希島のあまり目立たない場所にひっそりとある社。学園関連の施設ではなく、また何かしらの事件に巻き込まれたこともないその場所に、今回の取材役であるアレクサンドラは訪れていた。
アレクサンドラを出迎えたのは巫女装束の十代前半の少女。長い黒髪を真っ直ぐ延ばし、また前髪も一目には眼が見えなくなるほどの長さがある。そして何より目を引くのは、巫女服にまるで収まらない頭部をゆうに超える大きさの巨大な乳房であった。
「アレクサンドラ様、女神様の社へようこそ御出で下さいました。此方の社を預かる『|剳澳・紗宵《かまおく・さよい》』と申します」
丁寧に一礼すると、その動きに連動し巨大乳がぶるんと揺れる。それを何年たっても変わらぬ表情で一瞥してから、アレクサンドラは本題に入る。
「ええと、一応、希島に関わった人の後日談を聞いているのですが……るこるさんは、どちらに……?」
アレクサンドラが探すのは猟兵の夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。グリモア猟兵としてのアレクサンドラの依頼に幾度となく応えた凄腕の猟兵であり、希島にも回数は少ないが、訪れたことがある。
「|使徒《るこる》様、ですか?」
しかし、それに対して紗宵は首をかしげるばかり。
「いえ、数年前に一度御出でになって以来、お会いしておりませんね。他の世界で猟兵として過ごされる中、偶然いらしたとのことでしたので、恐らく今も同様に活動されているのではないかと」
元々余り希島と縁のないるこる。ここでの活動は紗宵に任せているということか、希島に訪れることもずっとないようだ。
これではるこるの事をパンフレットに載せることはできない。だが、だからと言って手ぶらで帰るわけにもいかない。
紗宵はるこるからいわば『希島担当』を任された存在。彼女なら何か知っているのではないかと、アレクサンドラは紗宵へとインタビューを試みた。
差し当たってと言うことで彼女の身の上を聞いてみると、彼女はるこるの部下に当たるような存在であり、修行も兼ねてここにいるとのこと。
「ええ、そのお会いした際に此方の『|勾玉の首飾り《奘珤で製作した品》』を授かり、今も|修行《祈祷&豊胸&大食いの修練》に励んでおります」
そう言って紗宵は半ば胸に埋もれている勾玉を見せる。ユーベルコード製の勾玉で、訓練道具も兼ねて彼女に与えられたものなのだろう。
その勾玉(が埋まっている部分)を冷たい目で見るアレクサンドラ。その様子を見て、紗宵は一つ提案する。
「宜しければ、体験して行かれませんか?」
その言葉に、アレクサンドラは躊躇なく紗宵の胸に手を突っ込み、勾玉を引っ張りだした。
そして勾玉を首から下げ、上着を脱いで自分の薄い胸に押し当てる。紗宵と違い乗せたり挟んでおくものもないので、押し当てておかないと密着度合いが稼げないからだろう。そもそも密着させる必要があるのかは定かではないが。
そしてそのまま待つことしばし。
「……何も起こらない……」
アレクサンドラの胸は、平らなままであった。
勾玉の効果は『豊胸』ではなく『身体的発育』。どこが発育するかは本人の適性に左右されるものだし、また付与技能も祈祷や大食い。アレクサンドラは無宗教だし、食べたものは変身と筋力の方へエネルギーが回る。
つまるところ彼女はこの勾玉との相性が悪すぎたのだ。
「……そう言えば、使徒様が昔こんなことがあったと仰られていたような……」
かつてるこるが見た、女神の加護の髄をもってしてもその恩恵を得られぬ者の存在。あらゆる恩寵を打ち消すほどの際限なき負の力。肉体改造や獣化でなら膨らませられるアレクサンドラがそれと同質のものを持っているとは限らないが、ともあれ勾玉の力は彼女の肉体を変異させることは出来なかったようだ。
うなだれて服を着るアレクサンドラ。困惑する紗宵の前で、彼女は社の写真を撮り始める。
「……僧侶系能力の人用の資料にしますので、とりあえず……」
希島は人工島だが、魔法や神学系の技術を持つ異能者も多くいる。外部から来て根を下ろした信仰もあるという事実と共にそれを掲載し、そう言った者向けの案内にするつもりなのだろう。
「まだまだ修行が必要そうですね……」
紗宵も数年住んだだけではまだ測り切れぬ希島の懐と貧乳の闇の深さを目の当たりにし、己もまた|先《未来》へ向けて邁進する意思を新たにするのであった。
大成功
🔵🔵🔵
有山・優音
アドリブ歓迎やで!
あたしは父ちゃん(濱城・優茂:f32495)と一緒に漁の特訓しとるよ!
まだまだ素潜りも達人の域には達してないさかい、あたしの目標は目指せ5mまでの潜水や!
……父ちゃんは泳げへんから舟の上で箱メガネ※使うて見とるけど。
※硝子を張った箱。海中が覗ける
優茂「頑張りやーーっ」(顔だけ水面に近づけてエールを送る父)
うん、頑張るー!ってポーズを送ってウニとかアワビとか、獲れればええけども。
(5分後)
ふぅっ、沢山獲ってきたでー!
見て見て父ちゃん、ウニがこんなにおったん!凄いやろ?
醤油かけて美味しく頂けちゃうで!
てな感じで、今日は素潜り。明日は釣りでもして過ごそかな!
海が大好きやからね~!
開拓とサバイバルの世界、オーシャンフロンティア。そこは希島とは異世界でありながら交流を持っていた世界であり、有山・優音(あまはん・f39297)と濱城・優茂の親子はその世界の中心とも言える人物であった。
二つの世界で海を中心に様々な活動してきた彼女は、数年がたった今でも絶賛修行中の身であった。
「まだまだ素潜りも達人の域には達してないさかい、あたしの目標は目指せ5mまでの潜水や!」
サバイバルを極めたと評される父に並ぶべく、優音は今日も海へと潜る。
5m、字面で見れば大したことないと思う者もいるかもしれない。だが、建物にすれば大きめの二階建て。そして一度経験すればわかることだが、補助具なしで潜れば2m程度でも体に圧がかかるのが実感できる。
さらに海女の素潜りはただ潜るだけではない。水中で獲物を探し、獲らねばならないのだ。その為に意識を集中し、また通常の潜水とは異なる動きを続ける必要もある。
そんなハードな水中作業だが、実のところここにおいては彼女は父をとっくに超えていた。
「頑張りやーーっ」
水上に待機する船から優茂のエールが飛ぶ。そんな彼は箱にガラスを付けた『箱メガネ』を使い、水中を覗いていた。
何を隠そう、優茂は泳げないのである。
もちろんそれでも海や漁に対する知識と技術は達人級。釣りや網など潜らない漁であればまだまだ優音に負けはしない。
だからこそこの一分野だけでも。優音は『うん、頑張るー!』と水中でポーズをとり、父の応援に答えた。
水中で優音の目に入るのは、自由に泳ぐ魚や岩に潜む生き物。もちろん優音にとってそれは綺麗な観賞用などではなく、捕らえるべき獲物候補。
あれもこれもと追いかけても体力と酸素を浪費するだけ。今この一回で何を獲るべきか。
「……あれや!」
その時、優音の目が何かを捕らえた。それを今回の漁獲とするため、優音は頭を下にして水を掻き、一段深い所へと潜っていくのであった。
そして、優音が海に入ってから五分後。
海面から顔を出した優音が大声で叫んだ。
「ふぅっ、沢山獲ってきたでー!」
そう言う優音の持つ籠の中には、棘だらけの物体が大量に。
「見て見て父ちゃん、ウニがこんなにおったん! 凄いやろ?」
「おー! これは大量やな!」
船に上がって籠一杯のウニを見せると、優茂も感心するように声を上げる。
「醤油かけて美味しく頂けちゃうで!」
「よし、ほなちょっと待ってな」
優茂がウニを取ると手際良く殻を割って中身を取り出し、軽く塩水で洗ってから醤油を垂らす。
濃厚な甘みに潮の匂い、そして醤油の味が合わさって口の中にほろがるその味わいは、まさに海の恵みそのもの。
「やっぱこの辺のウニはええなぁ!」
「せやな。けど美味いからって取り過ぎたらあかんで」
ただ取って食べればいいというものではない。開拓するということはそこに人の営みが根付くということであり、そうなれば漁業権や環境保全と言った現実的な話にも気を配らなければならなくなる。
ロマンだけでは済まされない開拓者の心得を父から教わりつつ、優音は希島の海の幸に舌鼓を打つ。
そして取ってきた者を一通り楽しんだ後、優音は目の前に広がる海に目を向ける。
「今日は素潜りしたし、明日は釣りでもして過ごそかな!」
海の楽しみ方、サバイバルの仕方は一つではない。
「お、それやったら負けへんで。なんせ釣りの年季が違うもんな」
優音が何年もオーシャンフロンティアや希島の海に潜ってきたように、優茂もまたずっと自然と戦い続けてきた。壮年となってなおフロンティアスピリッツ尽きぬ父に負けぬ様にと、優音も気合を入れる。
「海が大好きやからね~!」
何年たっても変わらぬ思い。どれほど時が流れても海が悠久であり続けるように、その思いだけは時に流されず不変であり続けるのだ。
そしてこの親子の様子を海洋系学部や留学生用の資料として、少し離れたところに浮かぶ船からずっと撮影されていたのであった。
かくして、希島学園関係者の今を取材した学園広報誌が完成した。これを参考にして、新たに今を生きる者たちが次の未来を決めていくことになるはずだ。
その未来はいずれ今になり、やがて過去になる。そしてそれを追ってまた次の未来が紡がれていくことになるだろう。
時は、永遠に流れ続けるのだ。
大成功
🔵🔵🔵