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中国秘境の恐竜人たち

#獣人戦線 #戦後 #幻朧帝国 #【Q】 #中国戦線 #恐竜

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●山奥に住まう鱗たち
 獣人戦線、人民租界北西部。
 険しい山の狭間にある窪地に、小さな村が存在していた。
 その村に住まうのは少数種族である恐竜、ほっそりとした体型ながら頑強な肉体と鱗を有し後肢に大きな鉤爪を具えており、日々超大国の侵略に備え鍛錬を重ねていた。
 たまに外から入ってくる情報から、昨年に大きな戦いがあり超大国が大打撃を受けたという事はこの村の住人には周知されている。それを為し得た猟兵という存在も。

『どんだけ強いんだろうなー』
『手合わせしてみたいよなー』

 そんな感じの会話をしながら恐竜の獣人達は格闘の訓練を行っていた。
 ――しかし彼らは知らない。
 悪しき赤鱗の幻朧帝国軍人の魔の手がこの村に迫っていて、何も対応できなければ鏖殺されてしまうだろう未来を。

「はーい、注目! 獣人戦線でまた幻朧帝国が悪さする予知が見えたからちょっと力を貸してくれないかな?」

 グリモアベース、明るい声で猟兵達に呼びかけるのは、ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)というドラゴニアンの少女。

「人民租界の北西部……ワルシャワ条約機構に近い地域で幻朧帝国のエージェントが逢魔弾道弾でとある町……村って言った方がいいかも、そこで破壊工作しようとしてるみたいだよ。それを許したら村が逢魔が辻に変えられちゃうから先に向かってエージェントをきっちり迎撃、逢魔弾道弾の起爆を阻止するのが今回の目的になるよ」

 阻止できなかったら村がまるっと滅びちゃうから絶対阻止しないとね! とソニアは言い、彼女の見た村について情報を伝える。

「まずその村は他の幻朧帝国に狙われた街と同じように、特定の種類の獣人が大半を占めてるんだよね。具体的に言うと恐竜……だから獣人というより恐竜人って言った方が正しいかも。まあ他の獣人戦線の獣人種族と同じで肉食は禁止されてるし|糧食《レーション》も普通に作ったり食べたりしてるからとっても特殊な対応が必要とかそういうのじゃないから安心して大丈夫! ただ地理的に来客が少ないから旅人には興味津々になるみたい。特に去年の獣人世界大戦で大活躍した猟兵って伝えたらなおさらなんじゃないかな? だから多分特訓というか鍛錬というか……とにかく腕を磨く為に戦ってみたい! って反応になるかもだから、それに付き合えば交流を深めることはできるだろうね」

 到着はお昼前で、エージェントがやって来るまで時間はあるからそこは気にしなくて大丈夫、とソニアは語る。

「それで夜になったら村の中心部に向かってエージェントが逢魔弾道弾を持ち込んでやってくるみたいだよ。エージェントは『陸軍大尉・茂木竜迅』、こっちも恐竜人だけど血に飢えたわるい奴だから遠慮なくぶっ飛ばしちゃってね。刀を使ったり炎っぽい技使ってきたり接近戦が得意みたい。もし現地の住民と仲良くなってたら迎撃に力を貸してくれるかも?」

 そしてソニアは説明を終え、彼女のグリモアである青銅色の立方体パズルを取り出す。

「獣人戦線には本当沢山の種族がいるけど猟兵に覚醒したひとがいない種族も沢山いる。そんな種族が多く住む集落を狙う幻朧帝国の狙いははっきりしないけど、この破壊工作を許したら多くの命が犠牲になっちゃう。けれどそれを阻止し続ければ、サメみたいに猟兵に覚醒するひとが出てくるかもしれないよね。まーとにかく、事件をきっちり防いで超大国の野望を叩き潰しちゃおうね!」

 そう明るく締め括るとソニアはパズルを組み替え、そして溢れ出した光は猟兵達を人民租界の恐竜人たちの村へと転移させたのだった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 恐竜は滅んでも恐竜人は居る、なにもおかしくはない……かも?

 第一章は恐竜の獣人が八割以上を占める中国の山奥の村で現地住民と模擬戦や鍛錬を行い交流しましょう。
 外からの来客は少ないようでどのような戦い方をするのか興味津々のようです。ユーベルコードはやり過ぎない程度に手加減されます。
 第二章は逢魔弾道弾を設置しようとやってくる『陸軍大尉・茂木竜迅』との戦いになります。
 こちらは断章で冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらもご確認下さい。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 日常 『鍛錬あるのみ!』

POW   :    真っ向から力をぶつけ合い鍛え上げよう!

SPD   :    速度や技術を競って磨き上げよう!

WIZ   :    戦術や戦略、獣呪術を活用した戦いを試してみよう!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

賤木・下臈
模擬戦をします。ところでご存じですか?白亜紀末期に恐竜が絶滅した後、地上の生物の覇者となったのは我々あやしき下臈です。しかし一斉に自爆して絶滅したので、我々の時代は5分で終わりました。

意味が分からない?その通り、無意味な戯言です。しかしこの場の|下臈《げろ》さ、つまりナンセンスな雰囲気が高まっているのにお気づきですか?これにより、私の技の威力が増します(諸説あり)。

今あなたの後ろにいるのは誰ですか?私です。右に居るのも、左に居るのも私です。後ろの木の陰に居るのも私。あの荷物の影に居るのは……ゴリラですね。出現確率1%です。

この辺でUCの幻覚を止めます。まあ、こんな戦い方もあるのですよ。



●熱病に浮かされた時の夢のような
 恐竜人の村へとやってきた猟兵に、外からの来客が滅多にないらしいこの村の恐竜人は興味津々な様子で集まってきた。
 そして彼らの要望に応じ、村の中心の広場で猟兵を交えた模擬戦を行う事になり、最初に賤木・下臈(おいしいクッキーです・f45205)という簡素な和風の着物姿の男が恐竜人の若者と戦う事になった。
 武器は持たず、引き締まった肢体は格闘を得意としているのだろう。足に見える大きな蹴爪やしなやかな尾はまともに受ければ中々の威力になるだろう。
 ――まともに格闘で戦えば、の話だが。
 下臈は和歌短冊を取り出しつつ、おもむろに呟く。
「Gerotic Ethereal Reverie Of Underlings」
 完璧なイントネーションの発音の英語――その意味は『賤しき者たちの|下臈《げろ》い幽玄夢想』。
「ところでご存じですか? 白亜紀末期に恐竜が絶滅した後、地上の生物の覇者となったのは我々あやしき下臈です」
 この獣人戦線で恐竜の絶滅の歴史が現代地球と同じようにあったのかはともかく、後半で一気に胡乱な説をぶちかます下臈。
「しかし一斉に自爆して絶滅したので、我々の時代は5分で終わりました」
 丁寧な口調のまま突然かっ飛んでいく話に、どう見ても困惑しているようにしか見えない恐竜人達。
『ええと……日本? ではそんなジョークが流行ってるのか?』
 意味がわからない、と対戦相手の若者も多少言葉を選んでいる気がしなくもない。
 その気持ちはわかる。
「意味が分からない? その通り、無意味な戯言です。しかしこの場の|下臈《げろ》さ、つまりナンセンスな雰囲気が高まっているのにお気づきですか?」
 その下臈の言葉に恐竜人たちははっと目を見開く。観戦している者も含め、彼らを取り巻く空気が奇妙に変質していることに気がついたのだ。
 ――【|G. E. R. O. U. ACT1《ゲロウ・アクト・ワン》】、下臈のユーベルコードによる不条理かつナンセンスな夢が、周囲一帯を覆っていた。
「これにより、私の技の威力が増します」
 諸説あるらしいことをあたかも自明の事実のように淡々と言う下臈だが、彼の言葉は止まらない。
「今あなたの後ろにいるのは誰ですか? 私です。右に居るのも、左に居るのも私です。後ろの木の陰に居るのも私」
『なんだこれ!? 壊れないねえぞ!?』
 彼の言葉通りに幻は彼の姿をあちこちに映し出し、対戦相手の若者は半分恐慌状態で蹴り砕こうとする。
 だがそれらは霞のようにするりと抜けて破壊されない。破壊に必要なのは下臈を上回る知恵なのだが、彼のペースに呑まれた状態では難しいだろう。
『……いや待て、あの荷物の陰のデカくて黒いのはなんだ!?』
「それはゴリラですね。出現確率1%です」
 観戦者の一人の指摘にレアですね、と役に立つのかたたないのかわからない事をのたまいつつ、下臈はユーベルコードの幻を解除する。
 元の風景に戻った周囲を見渡し安心して座り込む恐竜人たち。
「まあ、こんな戦い方もあるのですよ」
 とらえどころのない猟兵の強さを示しながら、飄々と下臈は穏やかに言ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベロニカ・サインボード
恐竜人!そういうのも居るのか
で、その村が襲われるのね。まさか見過ごすわけにはいかない!

なにはともあれ挨拶。
はじめまして、私はベロニカ・サインボード。戦い方はッ!(体から飛び出すようにして、狼獣人型エネルギー体【ワーニン・フォレスト】が現れる)

せっかくだからって訳じゃあないが、私はこの村で学びたい事がある
それは恐竜人たちの戦闘術。私のフォースオーラ【ワーニン・フォレスト】は素早く力強いが、「ちゃんとした武術」を習得したら更に戦える
じっくり観察・その場で実践。先生がいっぱいいるんだから、チャンスは活かさないとね

彼らが猟兵になる希望、消させない。力を尽くす



●武を磨き、希望を繋げ
(「恐竜人! そういうのも居るのか」)
 外から来た猟兵の示したいきなりの変化球に戸惑う恐竜人たちであったが、白い毛並みのベロニカ・サインボード(時計ウサギの道しるべ・f35983)は恐竜人の存在に少しばかり高揚していた。
 爬虫類系の獣人種族に限ればコブラやワニなどが数多く存在する地域もある。しかし恐竜の獣人は少数種族であり、他の世界では元の恐竜自体が絶滅している事の方が多いため、とても珍しいのだろう。
 しかしこの恐竜人の村まで幻朧帝国に狙われ襲撃される、らしい。
(「まさか見過ごすわけにはいかない!」)
 情熱を胸に秘めつつ、表面上はクールに。まずは恐竜人達に挨拶を。
「はじめまして、私はベロニカ・サインボード。戦い方はッ!」
 そうベロニカが叫べば彼女の身体からエネルギー体が飛び出すように出現、狼獣人型の形をとり彼女のすぐ背後に立った。
 鋭利な爪、衝撃を吸収する体毛に革鎧は接近戦に適した形をしており、それを見た恐竜人達がおお、とざわめいた。
「私はこの能力、【ワーニン・フォレスト】で戦うわ。誰か手合わせしてくれないかしら」
 そうベロニカが誘い掛ければ、血気盛んな若者がずい、と前に出て構えを取る。
 構える姿は様になっており、この地方――或いはこの村の恐竜人に伝わる武術を体得しているのだろう。
 ――守るためだけではなく、ベロニカ自身も恐竜人から学びたい事がある。
 それは彼らの戦闘術。フォースオーラのワーニン・フォレストは素早く力強いけれども、ちゃんとした武術を習得している訳ではない。
 元より素の力でオブリビオンとも渡り合える力が武術を習得したなら、更なる強敵とも互角以上に戦えるようになるだろう。
 あまり離れては戦えぬワーニン・フォレストを操りつつ、恐竜人の戦い方を至近距離で観察するベロニカ。
(「成程、軽業を主体として一撃必殺の蹴りを叩き込む……そこに至るまでの崩しが重要そうね」)
 この地の恐竜人は足の鉤爪が発達しているようだ。地形に引っ掛けての跳躍、斬撃と見紛う程に鋭い蹴り等が派手で強烈であるが、その前段階での距離の取り方や立体的な戦い方は学べる部分が多い。
 流石に尾をも使った疑似的な三本足での独特な重心移動は再現するのは難しいかもしれないが、その原理を学んでおけば何らかの形で応用できるかもしれない。
 ――彼らが猟兵になる希望、消させない。
 そう力を尽くすと決意したベロニカはワーニン・フォレストを通し、多くの先生たちと実践するチャンスを活かしめきめきと腕を磨き上げていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『陸軍大尉・茂木竜迅』

POW   :    武器は刃のみに非ず
【鞭のようにしなる強靭な自身の尾】のスイングで近接範囲の敵全員にダメージを与え、100m吹き飛ばす。
SPD   :    血塗れ緋竜
【炎を纏わせた日本刀】で攻撃する。命中すると【敵の返り血と緋色の陽炎】を纏い、レベル分間[炎を纏わせた日本刀]の威力と切断力が上昇する。
WIZ   :    死線は此処に
【全身に燃え盛る炎の如き緋色の刃の鱗】を生やした【鏖殺】形態に変身する。毎行動時、敵味方問わずランダムな対象を合計10回攻撃する。

イラスト:月夜野サクラ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ソニア・コーンフィールドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●悪しき緋竜の襲来
 猟兵と恐竜人たちの模擬戦に熱が籠り、実りある時間を過ごし日が暮れて。
 夜の闇を払うように照明が灯り始めた村にずかずかと、燃えるような緋色の鱗の恐竜人が一人入り込んできた。
『こんな村まで潰しに来なきゃならねえとはな』
 溜息混じりのその恐竜人は『陸軍大尉・茂木竜迅』、この村へと逢魔弾道弾の災厄を齎さんとする幻朧帝国のエージェントである。
 村の中心の広場へとそのまま入り込んだ竜迅、彼を迎え撃つのは猟兵、そしてこの村の恐竜人の若者だ。
 この村を滅ぼそうとするエージェントの襲来は既に猟兵により警告されており、共に鍛錬した恐竜人の若者もそれを聞いて共に戦いたいと申し出てくれたのだ。
『……つまらねえ任務だとおもってたが、これは楽しくなりそうじゃねえか!』
 緋色の恐竜人は獰猛に笑い抜刀、炎を纏わせて構えた。
 そして直後、この村を守るための戦いの火蓋が切られたのだった。
アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。


四条・眠斗(サポート)
ぅゅ……くぅ……あらぁ?
いつの間にか始まってましたかぁ?
さっさと事件を解決しないとぉ、安心してもうひと眠りできませんからねぇ。
ユーベルコードは出し惜しみしても仕方ありませんからぁ、
一気に片づけるつもりでやっちゃいましょう。
こう見えてもぉ、腕には少し自信があるのですよぉ。
それにぃ、様子を見てる間にまた眠くなっちゃっても困っちゃいますしぃ。
荒事じゃなくてぇ、楽しいことならめいっぱい楽しんじゃいましょう。
のんびりできるところとかぁ、動物さんがたくさんいるところなんか素敵ですよねぇ。
でもぉ、身体を動かすのも好きですよぉ。
お互いに納得の上で全力が出せると一番良いですよねぇ。
※アドリブ・絡み歓迎



●暴れる緋竜を叩きのめせ
「まずは俺からいくぞ!」
 そう叫んだ緋鱗の恐竜人は身を屈めると、直後一気に加速。炎を纏わせた日本刀でこの村の恐竜人たちに斬りかかった。
 素早く鋭い斬撃は鍛錬を積んだ恐竜人でも完全に躱す事はできず、鱗を燃える刃で裂かれ血がぱっと散った。
 その返り血を浴びた竜迅の身体の周りに緋色の陽炎がゆらりと漂い始め、炎纏う刃の切れ味が増してオブリビオンの力を高めている。
 斬撃を受けて後退した恐竜人に入れ替わる形で若者の恐竜人が襲い掛かる。日頃拳法の功夫を積んでいる彼らの攻撃は当たればオブリビオンにも有効打になり得るだろう。
 だが、竜迅は身を低くしたまま一回転。尾を鞭のようにしならせて飛び掛かってきた恐竜人たちに叩きつけ強烈に吹き飛ばした。
 ガードが間に合ったからか戦闘不能者はでていないようだが、軽く百メートルは吹き飛ばされた彼らが合流するには少々時間がかかるだろう。
「次はてめえだ!」
 次に竜迅が狙い定めたのは銀髪のサイボーグ、アス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)。
 炎纏った日本刀を構え一気に距離を詰めてくるオブリビオンに、アスは冷静に二丁の熱線銃『ブルーブラスター』から青の光線を放ち牽制。
 舌打ちしつつ側方に飛んで銃撃を躱す竜迅、そのまま光線を躱しながら接近を試みるが、アスも近づかれぬよう距離を取りつつ牽制を続ける。
 そこに、
「……あらぁ? いつの間にか始まってましたかぁ?」
 のっそりと、村の家屋の陰から巨大な白錘を持った四条・眠斗(白雪の眠り姫・f37257)が姿を現す。
『まずはそっちの女から片づけてやる!』
 冷静に対処してくるアスを攻めきれぬと判断した竜迅は標的を眠斗へと切り替え、一気に距離を詰め懐に飛び込まんとする。
 見た目に拠らぬ怪力で白錘を振るう眠斗、その内側へと飛び込むことに成功した恐竜人のオブリビオンは強靭な尾を眠斗に叩きつけ吹き飛ばそうとした。
 しかし尾をしならせ勢いをつける予備動作を認識した眠斗は白錘から手を離して【びったんびったん】のユーベルコードを起動、振るわれた尾をしっかり見切って手でガード、思い切り握りしめて頭上へ振り上げた。
『げっ!?』
 強靭な恐竜の尾で吹き飛ばす前に空中に持ち上げられてしまった竜迅、眠斗は掴んだオブリビオンの尾を振り回しそのまま地面に数度叩きつけ、そして勢いのまま空へと放り上げた。
「隙を見せたな……!」
 眠斗のアシストに合わせ、アスが【コード:神殺しの聖星槍】を起動、二丁の熱線銃を放り出された竜迅へと構えて、
「神殺しの槍に相応しい末路をやろう……覚悟しろ!」
 合わさったブルーブラスターから放たれる凄まじきレーザーはさながら槍のよう、狙われた空中の竜迅は咄嗟に体を捻り致命傷を回避するが、光線は鋭く緋鱗の恐竜を穿ちダメージを刻み込んだ。
 負傷しながらも着地を決めたオブリビオンは憎悪に満ちた目で猟兵達を睨みつけ、さらなる荒々しさで再び襲い掛かるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。



自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
                      プロデューサーより


筒石・トオル(サポート)
「邪魔をしないでくれるかな」
「油断大敵ってね」
「ここは任せて」
正面切って戦うよりも、敵の動きを封じたり、属性防御を固めて盾や囮となったり、味方が倒し切れなかった敵にトドメを刺して確実に倒すなど、味方の安全性を高めるように動く。
ユーベルコード使用はお任せ。
使用しない場合は、熱線銃での援護射撃を主に行う。
人見知りではあるが人嫌いではないし、味方が傷付くのは凄く嫌。
戦うのも本当は好きではないが、誰かを守る為には戦う。
もふもふに弱い。敵がもふもふだと気が緩みがちになるが、仕事はきちんと行う……ホントだよ?




「ここは任せて」
 静かに住民の恐竜人たちに告げ、殺意向ける緋色の恐竜人のオブリビオンに対し前に出たのは筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)という物静かな印象の眼鏡の青年の猟兵。
 本当は戦いは好きでは彼だが、この村の獣人達を守るには戦わねばならない。誰かが傷つくのを見過ごせるような性格でないのだから。
「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん、ただいま参上」
 番組の為に、いつもの前向上の台詞を絶望的な表情で言いながら音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)がオブリビオンに向かって決めポーズを取る。
『……何だテメエ愚弄してんのか!?』
 同時にやってきた二人の猟兵、竜迅の殺意は何故か後者の方に強く向いているようだ。
 アイドル文化への理解も興味もまるでないらしい竜迅は殺気を放ちつつ全身に刃の如き鋭さと長さを持つ緋色の刃鱗を生やした鏖殺形態へと変身、敵を切り捨てんとダッシュで距離を詰めてくる。
「ひぃっ!? なんで私を狙うのよ……」
 何故か敵の勘に障ったらしい事に鬱詐偽は怯え、絶望的な表情を一層深めてしまう。
 だがその恐怖心こそ鬱詐偽のユーベルコード【リアライズ・バロック】を起動する引き金となり、160体ものバロックレギオンが出現。
 鬱詐偽へと恐怖を与えた竜迅へと一斉に襲い掛かるバロックレギオン達。それらをオブリビオンは日本刀、そして全身に生やした刃鱗で増やした手数で切り払い両断していくが、数の暴力に鬱詐偽へと距離を詰めることはできない。
『ああうっとおしい!!』
 緋色の刃の恐竜が暴れ回り執拗に襲い掛かるバロックレギオンを切り捨てて、そしてそれに紛れて近づいてきていた眼鏡の少年と目が合った。
「光よ我が願いを叶えたまえ。聖なる力、邪なる者を封じる力をここに」
 |トオル《トール》が静かに呟き【ヒプノシスリストラクション】のユーベルコードを起動すれば、その眼鏡から点滅する光が放たれ恐竜人のオブリビオンに直撃、その精神を催眠状態へと落とし込む。
 トオルの別人格――双子の兄が得意とした魔法はこのオブリビオンにも有効で、混乱した緋の恐竜は自身の身体を刀で斬りつけてその痛みに正気を取り戻す。
 だがそこに残っていたバロックレギオンの群れが殺到、迎撃もままならぬまま一斉攻撃を受けた竜迅は大ダメージを負い、荒く息を吐きつつ猟兵に殺意を向けてきた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ベロニカ・サインボード
やっかいねコイツは…素早い剣戟で牽制しつつ、尾で吹き飛ばしてくると見た。半端な遠距離攻撃は弾かれるだけね、シンプルに強い
攻撃をくらう前提で|どうするか《・・・・・》

それでも接近戦を挑む!
|想定通り《・・・・》フォースオーラと共に私も吹き飛ぶ、その衝撃は…私自身に「ゴム製看板」をつけて軽減する

よしよし…顎の裏から看板が伸びて、口を強引に押し広げてるな

尾で触れられた時に看板をつけた
「噛む」ってのは重要だ…人体で最も力の入る部位の1つ。そこに支障をきたすようにした
それに恐竜人は体の構造上、顎が開けば目の位置もズレ、視点を合わせにくくなる
それでもワーニン・フォレストの拳を捌けるのかな
くらえッ!



●悪竜には拳の鉄槌を
「やっかいねコイツは……」
 荒れ狂うように暴れ回る恐竜人のオブリビオンの戦い方を観察しつつ、ベロニカ・サインボード(時計ウサギの道しるべ・f35983)という白兎は呟いた。
 素早く鋭い剣戟で敵を傷つければ燃える刃はより研ぎ澄まされ、生やした緋の刃鱗は手数を増やし、そして敵に包囲されたなら尾で纏めて吹き飛ばす――とにかく一対多の接近戦を得意とする、まさに切り込み隊長なのだろう。
 そんな戦い方を得意とする以上、引き撃ち等の半端な遠距離からの攻撃には万全の体勢であるなら素の身体能力と技量で対応し弾いてくるだろう。
 ――シンプルに強い、強敵だ。
(「攻撃をくらう前提でどうするか……」)
 思考する間にバロックレギオンの群れは切り刻まれ吹き飛ばされ、再び攻撃を仕掛けてきた住民の恐竜人に荒々しく吼えて刀を振るい応戦する竜迅。
 思考している時間はそうないだろう。ならば、
「……それでも接近戦を挑む!」
 相手が強敵であろうと自身の直感の先に道があると、覚悟を決めたベロニカは斬撃を躱し後退する現地の恐竜人と入れ替わる形で前に出て、
「ワーニン・フォレスト!」
 ユーベルコード【看板をつける能力】を起動、出現した狼女型のフォースオーラがオブリビオンに殴るかかるが、
『まとめて吹き飛ばしてやらあ!』
 しかし竜迅はワーニン・フォレストの鋭利な爪を回避し体を全速で回転、最大限にしならせた尾で周囲を一気に薙ぎ払う。
 ワーニン・フォレストが間に挟まってベロニカへのダメージはそれ程ではない。しかし衝撃で家屋の壁に向かって勢いよく吹き飛ばされて。
(「……|想定通り《・・・・》」)
 しかしここまでベロニカの想定通り。
 吹き飛ばされた先の家屋の壁に勢いよく衝突する、しかし彼女自身に取り付けられたゴム製看板の弾力で、彼女にかかった衝撃は軽減される。
 そしてゴムの反動を脚力に加算しつつ跳躍、地形を利用する恐竜人達の動きを模倣、アレンジする形で攻撃直後の竜迅へと飛びかかる。
『……ガッ!? 顎が……!?』
 尾での攻撃直後で背を向けていた竜迅も振り返るが、何故か口を開いたまま左手で顔を抑えている。
(「よしよし……顎の裏から看板が伸びて、口を強引に押し広げてるな」)
 彼の口の中、下顎から『看板』が生えて上顎を押し上げつっかえ棒のようになっていた。
 ベロニカが恐竜人の尾で|吹き飛ばされた《触れられた》瞬間に設置したそれは、次につなげる為の一手。
「『噛む』ってのは重要だ……人体で最も力の入る部位の1つ。そこに支障をきたすようにした」
 獣人であっても生物であるなら噛む行為は重要だ。そしてその上で恐竜人は体の構造上口を開いた状態では目の位置がずれて、焦点を合わせ難くなる。
 瞬間的な判断が重要となる高速の接近戦において、顎を開いた――普段と視覚が違う状態で|ベロニカの攻撃《ワーニン・フォレストの拳》を捌けるだろうか。
「くらえッ!」
 この村の恐竜人の拳法を取り込んだワーニン・フォレストの目にも止まらぬ拳撃の|連打《ラッシュ》がオブリビオンのガードを崩すのみならず緋色の鱗や胴を叩き壊す勢いで叩き込まれ、
「これで終わりよッ!」
 最後に顔面を力強く殴り飛ばされた幻朧帝国のエージェントは驚愕の表情のまま殴り飛ばされ墜落、そのまま消滅したのだった。

 応戦したこの村の住人の数人に怪我人は居たが、重大な怪我を負った者はいなかった。
 数日立てば傷も治るだろうと明るく言う彼らに見送られ、猟兵達はグリモアベースへと帰還したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年04月23日


挿絵イラスト