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音の海に沈めばいい

#UDCアース #【Q】 #憑依型UDC

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 無理やりチケットを買わされて、いやいや来たライブハウスで、買わせてきたクラスメートの麗華に声をかけられた。
「麻美、来てたんだ。ねぇあんたってギターできたよね? 次のライブ、ギター持って一緒に出てくんない? 格好だけでいいからさ。ギターの子、体調悪くなっちゃってぇ」
 チケット買わせたときと同じくらい強引だ。
 ギターは好きだし、下手ではないと思うけど。人前でなんて絶対に無理だ。なのに。
 結局、ライブ衣装を押し付けられ、ロッカールームで自分はのそのそ、衣装に着替えている。短めのスカートに鎖をじゃらじゃらさせて、全然自分の趣味じゃないのに。嫌だって思ってるのに逆らえない、つまらない自分、いらいらが、むしゃくしゃが高まっていく。前にもこんなこと考えていたような。
「もう、今すぐライブハウス壊れてくれないかな。ペシャって」
 心に思っていることが口に出る。すると、
『ぶっ壊してあげるわ。会場をじゃなくて、ここにきてるお客さん全員』
 自分の言葉に返答するような、そんな声が脳内に響いたかと思うと、彼女の意識が遠のいた。
 ステージで準備をしている麗華に向かって麻美は言った。
「ライブだって? いいわ、やってあげる。ただ、お前の声はいらない、あたしが歌う」
 麻美の暴言を言い返せない。麻美であるはずの少女に、威圧感、あるいは恐怖を感じていた。麗華は、やっと声を絞り出す。
「……あんた、本当に麻美?」
 答えず、ただ、にいっと笑い、言う。
「なんだっていいじゃない、ステージ行くよ」

「『超次元の渦』から滲み出て、人に憑依する『憑依型UDC』が見つかったんだ。宿主は麻美という女子高生。精神的に追い詰められた時、その肉体を乗っ取られているようだね」
 猟兵たちの前でカナ・ディラック(ミレナリィドールのガジェッティア・f00179)が説明している。
「憑依型UDCが宿主を乗っ取っている時なら、ユーベルコードによる攻撃も通用するようになる。今回はライブハウスのステージで彼女の体を乗っ取る事はわかっている。そこで暴れだすことも」
 だから。
「ライブでの凶行を皆に抑えてもらいたい。それが上手くいけば、敵の力は弱まり、UDCが正体を現し、本体との決戦となったとき、宿主ごと殺してしまうことなく、怪物だけを倒す事ができるかもしれない」
 猟兵たちが頷くのを確認すると、カナは更に続け。
「皆にはライブハウスに入ってもらいたいんだけど、その扉を開けようとする時に、邪神のせいかはわからないけど、皆の過去の記憶が呼び起こされる事になる。それは、トラウマだったり、あるいは逆に幸せな思い出だったり、何かしらのやり方で皆の戦う意思が削ってこようとするはず。どうにか克服して扉を開けてほしい」
 それじゃ、皆、くれぐれも気を付けてね。そう言ってカナは猟兵たちをUDCアースへ送った。


八雲秋
 第一章 それでも、扉を開け、先に進んでください。
 第二章 バンドのメンバーのみならず、ライブハウスの客すらも支配しようとするUDCのたくらみを砕いてください。
 第三章 正体を現したUDCとの対決です。
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第1章 冒険 『あなたの物語』

POW   :    恐ろしいトラウマを打ち破り、先に進む

SPD   :    忌まわしい記憶を乗り越え、先に進む

WIZ   :    幸せな思い出を振り払い、先に進む

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

橘・レティシア
ライブハウスは楽しい思い出を作るところ。
この事件、放ってはおけないわ。

意を決して扉を開けたら、見覚えのある光景が……。
ああ、これは武蔵坂学園にいた頃の、ライブハウスの光景ね。
灼滅者同士が戦う、武蔵坂学園独自の武装訓練ネットワーク。
こちらは一人、向こうは複数。
相手チームも灼滅者で殲術道具を持っているけれど、みんな影法師みたい。
でも負けないわ。私、あの時よりもずっと強くなったんだから。

愛用のチェーンソー剣で舞うように攻撃を。
サイキック斬りは、射程と攻撃回数に振り分けて。
歌いながら、相手を幻惑させる音響攻撃も混ぜて倒していきましょう。

思い出に浸ってはいられない。
過去を振り切って、先に進みましょう。



「ライブハウスは楽しい思い出を作るところ。この事件、放ってはおけないわ」
 橘・レティシア(灼滅者のサウンドソルジャー・f44010)は意を決し、建物の扉を開ける。
 そこはライブハウス。だが。
 中には自分に対峙する者らがいた。姿は影法師のようだが、彼らが灼滅者であり、手にしているのは殲術道具である事も彼女はわかっていた。
「ああ、これは武蔵坂学園にいた頃の、ライブハウスの光景ね」
 その言葉が開戦の合図かのように、灼滅者たちが襲ってきた。自分一人VS何人もの灼滅者。
「でも負けないわ。私、あの時よりもずっと強くなったんだから」
 力任せに交通標識を振りあげる相手をレティシアは冷静に、ひらりとかわす。
 そのまま、くるりと回り、攻撃を避けられバランスを崩した相手の背を愛用のチェーンソー剣で斬る。
 止まることなく、前に向き直る。灼滅者らが彼女を包囲しようとするのを確認し、唱える。
「『音楽を力に変えて――受けなさい、サイキック斬り!』」
 攻撃回数を増やし射程を伸ばす。ライブハウスの中、レティシアの歌声が響き渡る。
 人海で押そうとする者らを切り伏せ、遠距離から天星弓や魔導書で狙う者たちをも逃すことはない。
 ならばと二人組が連携し彼女を挟み撃ちするが攻撃は彼女ではなく互いを貫いていた。
 歌声の中に織り込まれた幻惑の力。同士討ちした二人を彼女がとどめを刺す。
 ライブハウスにいるのはレティシアだけとなった。久々の爽快感。ふっと息をついた後、彼女は顔を上げ、フロアの入り口を見る。
「思い出に浸ってはいられない。過去を振り切って、先に進みましょう」
 確かに自分は強くなっているという手ごたえを感じながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロイド・サングルガット
歌を聞く集まりらしいよ、フィン(アイテム欄の不死鳥)
懐かしいな。何百年か前、一族で集まった頃……そう、まだ私の一族が無事だった頃だ。
歌の得意な子が、即興のオペラをパーティーで披露してくれた事があった。

ああ、本当に懐かしい。みんな死んでしまった……。
君と契約を交わして戻った私を迎えたのは、城を埋め尽くすほどの遺灰だった。
吸血鬼は死ぬと灰になる。そう、君も見ただろう? 私のフィン。
私が旅に出なければ、我が血族の滅亡は防げただろうか?
今でも考えてしまう事がある……。

……ああ、フィン。そうだね。もう終わってしまったことだ。
君の唄は、いつも私を勇気づけてくれる。
行こうか。今は眼前の殺戮を防ごう。



「歌を聞く集まりらしいよ、フィン」
 ロイド・サングルガット(白夜・f45226)は使い魔の不死鳥に話しかける。
 歌と言えば。そんなことを思いながら扉に触れると。
「ここは……懐かしいな」
 彼は城の中にいた。時は何百年か前、一族で集まった……まだロイドの一族が息災であった頃。
 見回せば広間で楽しげに会話を交わす人々。自分に話しかけてくる人すらいる。ふいに歌声が聞こえてくる。その声の方を振り返れば、
「やっぱり、あの子だ」
 歌の得意な子が、即興のオペラをパーティーで披露してくれた事があった。これはその時の……。
「ああ、本当に懐かしい」
 彼の声は、どこか苦しげだ。ただ思い出というだけでなく、それは失われたものだから。もう、    
「みんな死んでしまった……」
 呟きと共に、城の中は誰もいなくなった。静寂の空間。ロイドは自分と共に残された使い魔に言う。
 あの時――パーティの風景ではない――旅から帰った日を思い出しながら。 
「君と契約を交わして戻った私を迎えたのは、城を埋め尽くすほどの遺灰だった。吸血鬼は死ぬと灰になる。そう、君も見ただろう? 私のフィン」
 この場に、あの時のような遺灰すらないのは、せめてもの救いなのか。
 今でも彼は考えてしまう事がある。自分が旅に出なければ、我が血族の滅亡は防げただろうか? 
 考えに沈み込みそうなロイドの耳に先程と違う唄が聞こえる。
 それは自分の傍らにいつもいる。
「……ああ、フィン。そうだね。もう終わってしまったことだ。君の唄は、いつも私を勇気づけてくれる」
 そして再びロイドは扉に触れ、
「行こうか。今は眼前の殺戮を防ごう」
 扉を開ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

綺羅星・ソラ
転校ばっかりで友達の居なかったぼくに最近できたお友達のユメちゃん
ユメちゃんはオブリビオンと戦うアイドルじゃないけど、歌の動画を出したりライブをやったり人気の歌手なんだ〜☆

この前、ユメちゃんから言われた
「事務所に入って私と一緒に歌いなさいっ!」
ってお願いをなんとなく断った日が記憶として蘇る

あの時、ユメちゃん残念そうな顔してたな〜
ずっとぼくに歌の才能があるって言ってくれてて……
もう一度ユメちゃんと話さなきゃ〜。

すぐに帰りたいって気持ちが芽生える。

けど目の前の人を助けないのは違うよね〜。
多分帰っても帰らなくてもモヤモヤする。
そうするとユメちゃんが好きって言った歌にならないから
というわけでオープン〜☆



 ライブハウスの前にいる綺羅星・ソラ(ふわふわソラちゃん・f45134)の頭に自然に浮かんだのは、お友達のユメちゃんの事だった。
 オブリビオンと戦うアイドルじゃないけど、歌の動画を出したりライブをやったり人気の歌手のユメちゃん。
 転校ばっかりで友達の居なかったソラに最近できたお友達。
「ずっとぼくに歌の才能があるって言ってくれてて……」
 そう、それに。
『事務所に入って私と一緒に歌いなさいっ!』
 命令するみたいに自信満々にしてきたお願いを、なんとなく断ってしまった。その日のことが記憶として蘇る。 
「あの時、ユメちゃん残念そうな顔してたな〜」 
 もしかしたら断られるなんて、思ってなかったのかもしれない。
 今はユメちゃんみたいなアイドルではなくて、ユメちゃんと一緒にライブで歌ってはいないけど、マジカル☆アイドルとしてここにいる。
 あの日のことがあったから、自分は覚醒できたような気もしている。
 今なら、あの時のことを、もう少しうまく伝えられるかもしれない。
「もう一度ユメちゃんと話さなきゃ〜」
 口に出したら、すぐにでも帰りたいって気持ちが芽生えてきた。帰る気なら扉を開けずにライブハウスに背を向けてしまえばいい。けれど、
「けど目の前の人を助けないのは違うよね〜」
 ソラはそうしない。この世界の人を助けないで帰ってユメちゃんに会うのも、ここで帰らないまま先に進むのも、どちらを選んでも、多分、モヤモヤするのは変わらないから。そうするとユメちゃんが好きって言った歌にならないから。だから。 
「というわけでオープン〜☆」
 ソラは両手を扉において、思いっきり開いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『アングラ・デスメタ・コンサート』

POW   :    ライブ会場に乗り込み、対バンを申し込む。目には目を、音楽には音楽を……!!

SPD   :    会場の防災サイレンを鳴らすなりしてオーディエンスの目を覚まさせて避難誘導する

WIZ   :    音楽には洗脳する呪詛が組み込まれているようだ。魔術等で解呪(ディスペリング)を試みる

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
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 ライブハウスのフロアには大勢の観客がいた。歌に合わせて踊る人、陶酔したようにステージを見つめる人、掛け声か叫びか区別がつかないような声を上げる人、反応は様々だが、皆、麻美の姿をしたUDCのステージに魅入られつつあるようだった。
 一刻も早く、UDCのライブを終わらせ、観客やバンドのメンバーを正気に戻さなければならない。
 UDCの目論見を見事に挫くことができれば、UDCが正体を現した後も、本体である麻美を殺してしまうことなくUDCを撃退することができるはずだ。
ロイド・サングルガット
ご覧よ、フィン。なんと品のない歌だろう。
このままでは昼を生きる者たちが壊れてしまう。そうなっては困る。

念動力でUDCのマイクを奪おう。私も貴族だからね。芸術事は嗜んでいる。
黒白刃鍵を展開。念動力で演奏しながら、オペラを歌おう。催眠術を乗せた魔声でね。
風に乗せて音楽を全体に行き渡らせる。同時に指定消失を行い、フロア内の人物たちから洗脳呪詛を消し去ろう。
フィン、炎のイルミネーションを見せてあげてくれないか? 熱は抜いておくれ。昼の子どもたちに、本物の芸術を見せてあげよう。
乗っ取られている君にも届いたかな?

人間とは歓楽のびっくり箱。|不埒者《オブリビオン》如きに壊されては困るというものだよ。



「ご覧よ、フィン。なんと品のない歌だろう」
 ライブを聴くロイド・サングルガット(白夜・f45226)は眉を顰めた。明らかに、この音楽は観客を毒している。
 このままでは昼を生きる者たちが壊れてしまう。そうなっては困る。
 念動力でUDCの使っているマイクを弾き飛ばす。
「ライブの邪魔するのは、あんた?」
 UDCがロイドに気づき、睨みつけた。
 意に介さない様子で彼は黒白刃鍵、黒と白の鍵盤を浮遊させると、念動力で演奏し、
「私も貴族だからね。芸術事は嗜んでいる」
 胸に手を当て、息を吸い込み、口を開け、歌う。
「~~♪」
 それはオペラ。よく響く歌声は催眠術が編み込まれた魔声、風に乗り音楽は会場中に。
「邪魔したって、もう遅いわよ!」
「そうでしょうか?」
 いつのまにか観客の奇行が減っている。『指定消失』の力で人々から洗脳呪詛を消し去っていく。
「フィン、炎のイルミネーションを見せてあげてくれないか?」
 観客に向かおうとするフィンに注意するように人差し指を立て、
「熱は抜いておくれ――昼の子どもたちに、本物の芸術を見せてあげよう」
 空中を炎の輪郭を持つ鳥が、羽ばたきキラキラと燃えぬ火の粉を頭上に散らし、滑空しては風を受けその姿を美しく揺らめかす。
「そんな……私の観客を奪うなんて」
 驚いた顔のUDCをまっすぐ見、その内にいる麻美に語り掛けた。  
「乗っ取られている君にも届いたかな?」
 フィンは人々を救う。
「人間とは歓楽のびっくり箱。|不埒者《オブリビオン》如きに壊されては困るというものだよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

綺羅星・ソラ
激しくて破滅的、だけど綺麗で素敵な歌だね。

残念だけど危険だからぼくの歌で対抗するね〜。

聴いてください『白のアッコルド』

どこか壮大なイメージのイントロのキーとテンポを調節し、UDCのロックと無理矢理リミックスさせて曲を乗っ取りに行くよ〜☆

UC効果で放つ白い光でライブハウスに居るみんなの心を超回復させよ〜。



 綺羅星・ソラ(ふわふわソラちゃん・f45134)はフロアに入り、一番後ろの位置から、ライブを聴きリズムや旋律を確認しながら、うんうんと頷き。
「激しくて破滅的、だけど綺麗で素敵な歌だね」
 それでもと、ちょっと肩をすくめ、
「残念だけど危険だからぼくの歌で対抗するね〜」
 ソラは無軌道に踊る観客の間をすいすいとすり抜けステージ下まで歩いていくと、観客の方を向き、言う。
「聴いてください『白のアッコルド』」
 そしてソラは当たり前のように歌いだす。
「なに、あなた。勝手に!」
 怒鳴るUDCに振り向いてニコっと笑顔を返した後、ソラはすぐにまた歌を続ける。
 ソラは本来なら壮大なイメージの自分の曲を、彼らのロックの曲調に半ば無理やりにリミックスする。UDCのバックバンドが、まるで自分のメンバーになったかのように。
 次第に観客もソラのメロディに心が移っていく。体を揺らすリズムがソラの曲に合わせたものになっていく。
「なっ……ちょっと。ドラム! ベース! この子の歌に合わせてるんじゃないわよ!」
 UDCが声を荒げると、メンバーは慌て、
「ち、違う、俺らは変えてない」
 皮肉にも彼女の歌とは真逆な不調和。
 そんなUDCとバンドメンバーのごたごたを、ソラは背中で聞きながら、クスッと笑った後、顔を上げ、とっておきの笑顔を観客全員に振りまく。
「~♪~~♪」 
 歌いながら祈るように指を組む。と、白い光が放たれる。その光を浴びた観客たちが、自分たちの心を回復し、声援を送る。 
「みんな、ありがとう!」
 ソラが手を振ってこたえた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

橘・レティシア
心を揺さぶるライブはいいものだけど、それも方法次第ね。
音楽で人を狂わせるなんて、許してはおけないわ。

まずはUDCのパフォーマンスをできる限り観察して。
曲と曲の間に、CHILL OUTで歌を差し込むようにしましょう。
歌いながら舞台袖から現れて、しっとりと、会場の熱気を抑えるような曲を。
無線式マイクも役に立ちそうね。
バイオレンスギターを鳴らして、泣きのギターの響かせましょう。

対バンだし、向こうも曲を演奏してくるかも知れないわね。
しっとりした曲でUDCの戦意を下げた後は、二曲目。燃え上がるようなアップテンポの曲で観客の心をグッとこちらに引き寄せましょう!
準備はいい? さあ、盛り上がっていくわよ!



 心を揺さぶるライブはいいものだ。観客たちはUDCの音楽に興奮しているかもしれないけれど。
「それも方法次第ね。音楽で人を狂わせるなんて、許してはおけないわ」
 橘・レティシア(灼滅者のサウンドソルジャー・f44010)はUDCらの演奏を観察する。
 一曲終え、UDCが観客らに言う。
「まだ、休ませないわよ、あんたらも、私らも! 次の曲は」
 言いかけたところで、
「『ほら、落ち着いて』」 
 会場に声が響いた。ユーベルコード。
 演奏する手が止まり。舞台袖から柔らかなしっとりとした歌声が聞こえてきた。会場がざわめく。無線式マイクを着けたレティシアが歌いながらステージに向かう。 
「え、あ……」
 CHILL OUTの効果かUDCは後ずさり、中央を譲る。
 バイオレンスギターを構え、かき鳴らす。
 ギュイーン、ギュン、ギュン。
 ギターの泣きの響き。
 皆が音楽に集中し異常な熱気がおさまっていく。
 曲が終わったのに気づくとUDCが彼女を押しのけ、
「ふん、変化球で場を奪おうって? 冗談じゃない、次の曲!」
 激しいナンバー。メンバーもぎりぎりまでのテクニックを要求される。UDCの野性的な歌声、咆哮。
 歌を終え荒い息をつく。レティシアは首を傾げ問う。
「それで全力? なら私は」
 ギャゥン、ギャゥン、ギャギャギャギャ! アップテンポなギターのイントロ。きっと激しく熱い曲だと観客の
ボルテージがあがっていく。
「嘘、こんな曲までこなす気?」
 UDCが呟く。
「準備はいい? さあ、盛り上がっていくわよ!」
 観客の心はもうすでにレティシアの物になっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『マリアネスの歌姫』

POW   :    深き海の底で尊ばれる唯一のもの
【自身の喉】から、戦場全体に「敵味方を識別する【解明不能な言語による冒涜的な歌声】」を放ち、ダメージと【歌姫の歌声以外を認識できない五感異常】の状態異常を与える。
SPD   :    昏き海に誘う歌
自身が【冒涜的な歌を歌って】いる間、レベルm半径内の対象全てに【邪神の眷属ではない事を苛む呪詛】によるダメージか【何らかの深海生物への変化に伴う眷属化】による治癒を与え続ける。
WIZ   :    深海に微睡む邪神の寵愛
【誘因突起からの妖しい光】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。

イラスト:もりさわともひろ

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は火奈本・火花です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 タタタ、タン。
 ドラムの音が途切れ、UDCのバンドの音が途絶えた。
「ちょっと、なんで勝手に演奏やめてるのよ?」
 UDCがとがめても、メンバーは目をそらしたまま。
 観客も、皆、正気を取り戻し、そそくさと退場する動きを見せ始めた。
「あんたたち、よくもやってくれたわね」
『マリアネスの歌姫』 が猟兵たちに怒りの声を上げた。
ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。

口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。

食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆

※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。


ミーガン・クイン(サポート)
 はぁい♪
サキュバスの魔女、ミーガン・クインよ。

 私のユーベルコードの拡大魔法や縮小魔法、
アイテムの巨大化薬や縮小薬で色んなものを大きくしたり小さくしたり。
きっと楽しいことが出来るわね♪

 ミュールフォンは無口で無表情だけど従順で私を守ってくれる、
剣と盾で戦う天使ちゃん。
戦闘面はこの子にお任せ♪
巨大化で蹂躙しちゃいましょう♡

 サポートに不思議な魔法の力はいかがかしらぁ?
私のことを好きに使ってみてね♡


ロイド・サングルガット
室内なのは助かるね。色々とやりやすい。
爪で自身の頸動脈を切り、吹き出した血を霧化させて室内を満たそう。
その体で歌うなら、息を吸う必要があるだろう。
君が吸い込んだ血の霧は、内側から浄化の炎となり、憑依している君だけ焼くだろう。
歌など歌えないだろう?

ライブハウスでよかったよ。ここはとても暗い。
好い加減空腹だったんだ。君の血を吸わせていただくよ。
影から湧き出したコウモリたちの群れで室内を満たそう。
|昼の子どもたち《一般人》からは吸わないが、催眠術をかけて避難させよう。これから戦闘が始まるわけだから。
ついでに、私の事は忘れてもらおうかな。


綺羅星・ソラ
ん〜。お客さんが帰るのはぼくもちょっと残念かも〜?
けど、ぼくの世界(アイドル☆フロンティア)と違って怪我する可能性が高いから仕方ないか〜。

麻美ちゃんに届くか分からないけど歌うね〜☆
『愛斬々』
〜〜
♪─アイジョウ レットウ 変わらないじゃん 現状─
〜〜
♪─あれもこれも斬り裂いて!─

この曲は自分の劣等感も斬り裂く歌

自分で制御しきれない気まぐれへの嫌気も、相手の歌で植え付けられた苛みも全部斬り裂くよ〜☆

歌に合わせて自分も斬り裂くようなふりのダンスを、自分の愛を切り裂いてキラキラの演出へ。
メロディワンドに纏わせてからマリアネスの歌姫を攻撃しに行くよ〜。



 「早く、ここから立ち去りなさい。そして、私たちの事は忘れて」 
 ロイド・サングルガット(真夜中の太陽・f45226)が催眠術で残る人々を避難させた。
 彼が|昼の子どもたち《一般人》からは吸うことはない。これから戦闘が始まるわけだから。
「誰も入ってこないだろうけど、一応ね」
 そう言って、ミーガン・クイン(規格外の魔女・f36759)はステージのスピーカーや、フロアのテーブルを巨大化させて誰も入ってこないように出入り口をふさいだ。
「何をする!」 
「はぁい♪ サキュバスの魔女、ミーガン・クインよ」
 声を上げた『マリアネスの歌姫』に、手をひらひらさせて笑って見せるミーガン。
「この! まずはお前からか」
 襲い掛かるUDCとミーガンの間に何かが割込み、盾で防ぐ。
「何?」
 小柄な美しい天使が戦闘態勢で剣をUDCに向けていた。ミーガンが言う。
「ミュールフォンは無口で無表情だけど従順で私を守ってくれる、剣と盾で戦う天使ちゃん」
「そんなこと、聞いてるんじゃ……?」
 見る見るうちにミュールフォンが巨大化していく。ミーガンのユーベルコード拡大魔法だ。
「ミュールフォン、押しつぶしちゃえ♪」
 ミュールフォンはUDCを壁際に追いやり、剣を振るう。
「くっ、簡単にはやられないよ!」
 攻撃を受けながらもUDCは誘因突起を光らせた。光を受けた天使は苦しげな表情で剣を下げる。
 綺羅星・ソラ(ふわふわソラちゃん・f45134)はライブハウス内をぐるりと見まわし、呟いた。
「ん〜。お客さんが帰っちゃったのはぼくもちょっと残念かも〜?」
 さっきまでは、ここでソラの歌を聞いて盛り上がってくれていた人たちがいたのだ。
 ミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)が、そんなソラの顔を覗き込むようにして言う。
「でもでも、賑やかなイベントは好きだけど。普通の人が被害にあうのは許せないにゃ」
 不機嫌な様相のUDCがミーヤに問う。
「許せないなら、どうするっていうの?」
「こうするにゃ!」
 ミーヤは素早くガジェットを取り出した、が。
「えっと、これは何かにゃ」
 首をひねる。必ず役に立つはずだが、いつも、一見してわかるものは出てくれない。今日は銃に見える形というだけでもまだましだ。
「とりあえず、撃つにゃ!」
 パシューン! バッテンの形の白いものが飛び出す。攻撃力があるようには見えない。
「たいしたことなさそうね」
「そんなことないにゃ!」
 パシュ! 次に撃ったバッテンは誘因突起に当たるとぐるりと巻き付き、光が遮られた。そうかと気づいたミーヤは
ガジェットを
連射する。すると、バッテンは次々にUDCの体や口にへばりついていく。これはまずいとUDCははがそうとするが、
「?――!――!」
 その粘着力はすさまじい。UDCの体力を確実に削り取った。
「く、うっとうしい! ……あんたは、さっき人がいなくなって、残念がってたわね」
 どうにか口の絆創膏をはがしたUDCはソラに目を付けた。
「残念て言ったけど、ぼくの世界と違って怪我する可能性が高いから仕方ないかな〜」
 ここはUDCアース。アイドル☆フロンティアならではないから。
「ライブハウスにいた人たちはいなくなっちゃったけど、歌うね〜☆」
 届くかはわからないけど麻美ちゃんに。
「『愛斬々』」
 自分の劣等感も斬り裂く歌。
「♪─アイジョウ レットウ 変わらないじゃん 現状─」
 愛斬々、斬り裂くのは、麻美の自己嫌悪、ソラの自分で制御しきれない気まぐれへの嫌気。
 UDCはソラの歌が自分に効果がないと思い込み、せせら笑い言う。
「私も歌で返してあげるわ『昏き海に誘う歌』」 
 その冒涜的な歌でUDCがソラに植え付けようとする苛む呪詛もソラは斬り裂く。歌詞のように。
 歌にふさわしく刀の姿になったメロディワンドを体に当て、
「♪─あれもこれも斬り裂いて!─」
 歌詞に合わせて自身を斬り裂く振り付けをしてみせる。
 切り裂いた自分の愛はキラキラと光り、メロディワンドに纏う。自分の愛の分、メロディワンドは鋭さを増し、
「行くよ〜」
 軽やかなステップで接近し、思い切り肩口を切りつけた。  
「ぐっ! ……ちっ、まだ、やられないわよ」
 傷口を手で押さえながらも、UDCは毒づく。 
「私だって、歌で攻撃ができるんだ。ここにいる邪魔な連中を全員……」
「やめろ。お前の歌は、もういい」
 UDCの言葉を遮ったのはロイドだった。
「私の攻撃が怖いのかい? のこのこ、ここに来た自分を恨みなよ」
 ロイドは、ふっと笑い、自身の尖った爪を首筋にあて、
「室内なのは助かるね。色々とやりやすい」
 頸動脈を切り裂いた。血が噴き出し、その血は霧となって閉ざされた空間を満たす。
 いぶかしげな表情を浮かべ、それでも歌おうとするが、
「う、これは、どういうこと」
 口元を左手で覆い呻く。
「歌うなら、息を吸うのだろう? 君が吸い込んだ血の霧は、内側から浄化の炎となり、憑依している君だけ焼く……とても歌など歌えないだろう?」
 口元を抑えた格好のまま睨むUDCをさげすむように見返し、言葉を続ける。
「ライブハウスでよかったよ。ここはとても暗い」
 ヴァンパイアストームにはうってつけの、閉ざされた、暗い空間。
「好い加減空腹だったんだ」
 彼が言うと同時に闇の中からライブハウスの中を満たさんばかりの無数の吸血コウモリの群れが現れ。バサバサバサ。一気にUDCを取り囲み、その血を奪う。コウモリの数だけ奪われていく。
「君の血を吸わせていただくよ」
「―――!」
 UDCは声にならない悲鳴を上げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

橘・レティシア
人を惑わせるライブももう終わりね。
お客さんも捌けたことだし、存分に戦うとしましょうか。
歌姫って名前にはなんだか魅力を感じるけれど、貴女は私の目指すようなものではないから。

|チェーンソー斬り・改で《ズタズタラッシュ》 で攻撃しましょう。
チェーンソーの響きに、音響攻撃の技を乗せて、ダンスするように斬り込みましょう。斬撃波も使って逃さないように。

貴女はもう相当なダメージを負っている……そうよね?
味方と連携するのも戦いの大切な要素よ。
貴女に味方はもういないようだけれど。

人を操り傷つけるような歌声では、本当の味方は作れない。
これは自戒でもあるけれど、ね。
骸の海に還りなさい。
最後は私が手伝ってあげるわ。



『マリアネスの歌姫』は、どうにか立ち上がる。前には橘・レティシア(灼滅者のサウンドソルジャー・f44010)がいた。
「人を惑わせるライブももう終わりね」
「くっ……」
「お客さんも捌けたことだし、存分に戦うとしましょうか」
 UDCの持つ『歌姫』の響きに魅かれはしたが、ただ惑わし、従え、傷つけるための歌を歌う存在は彼女の目指すようなものではない。
「どきな!」
 彼女の背にある扉へ向かう敵を前に唱える。 
 ユーベルコード、|チェーンソー斬り・改《ズタズタラッシュ》。チェーンソー剣、最大駆動。
 ギュイン、ギュイーン、ギュイーーン! チェーンソーの音を響かせる。
「どく気が無いなら」
 敵が突っ込んでくる。剣の音の響きに合わせ、強襲をダンスの動きで身をそらしてかわし、ステップで回り込み、相手の全身を切り刻む。
「ぐっ……この!」
 UDCが放つ光を彼女は難なくよける。
「もう歌えない?」 
 睨むUDCに重ねて問う。
「貴女はもう相当なダメージを負っている……そうよね?」
 無言のUDCを斬撃波で奥に弾き飛ばす。
「味方と連携するのも戦いの大切な要素よ。貴女に味方はもういないようだけれど」
「邪魔さえ無ければ……」
 UDCの言葉を遮り。
「人を操り傷つけるような歌声では、本当の味方は作れない」
 この言葉は自戒でもあるけれど。
「骸の海に還りなさい。最後は私が手伝ってあげるわ」
「黙れ!」 
 自棄になり襲ってくる。レティシアは真向に受け、再びチェーンソー剣で斬り刻む。
「……!」
『マリアネスの歌姫』は血を吹き出し倒れ伏すと、霧のように消え、後には麻美が残された。
 レティシアは麻美の無事を確かめ、
「さぁ、帰りましょう」
 共に戦った猟兵たちに、そう言った。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年05月07日


挿絵イラスト