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灰の魔女と吸血鬼達ダンピール

#ダークセイヴァー #ノベル #猟兵達のバレンタイン2025

鳳・雛子



山理・多貫



綾小路・美樹
【吸血鬼と魔女】
〇呼び方口調
多貫、雛子
~かな。~だね。~だろう
王子様口調で

○ノベル概要
いつのまにか魔女の血を吸う事になってしまった。
優しく、王子様のように血を吸う。

○同行者
山理・多貫(吸血猟兵・f02329)、鳳・雛子(灰の魔女・f40342)

○大まかな流れ
多貫が血をせがんで泣く泣く吸わせる→
もうやめて欲しいところに美樹が連れ出す→血色が落ち着いたところで愛でるように吸う…… 

綾小路 美樹について

・男装の麗人女性には紳士的に
・吸血行為は、無理に吸うより雰囲気を楽しむタイプ。
・裕福な家庭で育った。
・吸血鬼の一族に生まれる(灰の魔女・f40342)
・恋愛対象は男性。女生徒はプラトニック。
・薔薇が好き。

ブレイング

・流れで吸う事になってしまった。雛子のよな凛々しい女性の血の味はどんな味なんだろう。
しばらく見ていると、多貫が暴走しそうなほど吸っている。
雛子の血色が悪くなってきたので、多貫から保護をする。
「覚えておい、てくださ、いね」と言われた。
王子様微笑でかわして、雛子を介抱する。
涙目の雛子も可愛いな。優しく抱きしめその可憐な首に、牙を向ける。
「痛くしないからね」
そう耳元でささやく。
唇から、血の味がしてくる。こちらも暴走しそうだった。
優しく背中を撫でく抱きしめ、意識を飛んだ所で
吸血をやめた。

「おやすみ眠り姫」



●魔女は美味しい?

 とある少女ダンピールが言った『魔女の血は美味しい』と――

「そうな、のです、か」
 と、呟きながら山理・多貫(吸血猟兵・f02329)の血の様に赤い瞳は、話題の人物である鳳・雛子
(灰の魔女・f40342)を映していた。
 口元を吊り上げ、本人は笑っているつもりだが第三者でなくとも怪しい笑みに見える笑顔を向けた。
 さて、ここは多貫が住み着いた元宿屋の廃墟で、多貫、雛子と少年の様な中性的な美しさを持つ綾小路・美樹
(薔薇の微笑の麗人・f08858)が二人を微笑みながら見詰めている。
「しかし、俺は――」
 正確には“魔女”ではない、と雛子が言おうと唇を動かして言葉を紡ごうとしたら多貫がグイッと顔を近付けた。
「魔、女の血、飲んでみ、たいです、ね」
 多貫の瞳が妖しく金色へ変わると、スンスンと犬の様に雛子を嗅ぎながら彼女の赤い唇に指先を添えるとゆっくりと下へ滑らせた。
「……っ」
 くすぐったくて雛子は体をビクッと震わせ、多貫の指は喉元を過ぎて首元で止めると青い血管静脈を撫でまわす。
「魔、女……ど、んな味がするんでしょ、うか?」
 欲しい、と言わんばかりの瞳を雛子に向けながら多貫は呟くと、思わず口から溢れた涎を舌で舐め取った。
「(これは……断っても何か強引な理由を付けてでも、ってレベルに厄介だな。アイツ執事気持ち苦労が分かったよ)」
 雛子は大きくため息を吐くと、待てされている大型犬の様な多貫を見上げた。
「でも、俺は魔女ではない」
「魔、女て、名乗ってい、るじゃな、いです、か」
 雛子が首を横に振ると、多貫が間髪入れずに答える。
 嫁や女の口を吸った事はあるが、吸血行為なんてされた事もした事もない側からすると少し怖い。
「そうなんだが、あのな――」
「ダメ……私、違いわ、から、ないも、ん」
 多貫は雛子の肩を掴み、再び口元を吊り上げた。
 声色や口調は不貞腐れた少女の様で、金色の瞳を見詰める雛子は徐々に絆されてしまう。
「わかった。そんなに興味があるならば……吸ってみるか?」
 と、答えると多貫は答えるより先に口を開け、雛子の首筋へ噛み付こうとする。
「待て、ここでは人目がある」
「私は気、にしませ、んよ」
 雛子が視線が窓に向けられ、血色の悪い顔の子供がコチラを見ている姿が映る。
「多貫、雛子も君もレディだ。誰も来ないだろうけど、窓からはプライバシーは丸見えだからね?」
 と、美樹は言うと雛子を抱えた。
「い、いや、一人で――」
「いいから、ね?」
 美樹が雛子の唇を指先で軽く押さえると、ウィンクしながら開いている部屋へと運んだのであった。

●多貫と魔女
 たまに誰かさんが手入れや掃除しているのであろう、思ったよりも綺麗な宿泊部屋のベッドへ美樹は雛子を下ろした。
 抑止なんて言葉は無い多貫は瞳を爛々と光らせながら雛子を押し倒して首筋に牙を立てた。
「ッ――!」
 痛みが走り、雛子は多貫の腕を掴んで爪を立てた。
 官能的な感じでもなく、生娘でもないのに恐怖と痛みに小さく呻き声を漏らしながら体を震わせる。
 力を入れても、吸血衝動に支配された彼女多貫はビクともしない。
「ま、まて――」
「待ち、ませ、ん」
 どんな手段を使ってでも雌で雄が満足する様な、愛情は無くモノとして使う一つの行為に近い事をさせられている感覚に近い。
「す、スペースを落として、くれ」
「い、や」
 雛子が喉から絞り出して言ったものの多貫は血を啜りながら即答した。
 『血の気が引く』とはこの様な状態なのだろう、と思いながら体から血を奪われて体温が下がって行く感覚に恐怖を感じる。

 痛みよりも、自衛官として戦場の空気を肌で感じた恐怖よりも――

 一方的に生命の元を。

 一方的に奪われているダケの行為。

 見た目は少女の様で、ある程度は年齢を重ねている半吸血鬼ダンピールである多貫は己を繋ぐ鎖を引き千切る程のけだものだと改めて理解わかる。
 雛子は冷たくなった指先に力を入れようとしても、入らずに目の前のタヌキには敵わない。
「……っは」
 雛子は酸素を口から取り込むので精一杯だ。
 視界の端に美樹が映り、声を発する事も出来ないので視線だけで助けを求める。
「多貫」
 見ていた美樹は立ち上げると、多貫から雛子をスルリと奪い抱き上げた。
「美、樹」
 口元を血で濡らした多貫は舐め取りながら顔を上げ、恨めしそうな瞳で美樹を睨む。
「これ以上は雛子の命も体も持たないね」
「覚えておい、てくださ、いね」
 と、捨てセリフを吐きながら多貫は、まだ飲み足りなさそうな表情のまま足音をワザと立てながら部屋から出て行った。

●王子と姫
「大丈夫かな?」
 多貫の背中を見送った美樹は、雛子をそっとベッドに寝かせると顔に掛かっている髪を払い退けながら言った。
 こくり、と力無く雛子は頷く。
「少し休むと良いよ」
 少し冷たくなった雛子の手を美樹は優しく両手で包んだ。
 安心したかの様に雛子は目を閉じ、寝息を立て始めたのを見ると美樹は毛布を掛ける。

「(ん、あぁ……多貫に散々と)」
 再び雛子が目を覚ますと、優しく手を握られている感触を感じて視線を向けた。
「おはよう。気分はどうかな?」
「あ、あぁ……少しフラつくが、大丈夫だ」
 血色は戻っているものの少し頭がフワッとしている雛子が顔を上げると美樹の顔が近付く。
「あ……え、と――」
 美樹に抱きしめられると優しい温もりと、恐怖を思い出して雛子の目から涙が頬を伝う。
 幼い子供様に抱き着き、美樹の胸に顔を埋めると肩を震わせた。
「怖かったね」
「うぅ……」
 そっと美樹は雛子を頭を撫で、額に唇を寄せる。
「優しくするから」
「ん……」
 王子が姫に接吻するかの様に美樹は優しく雛子に囁くと、首元へ唇を寄せて優しくキスをする。
 多貫の自分善がりな吸血ヤリモクとは違い、互いに求めて愛し合う様な感覚で優しく吸血行為をしようと準備する。
「可愛いよ、雛子」
 指を絡める様に手を握り、美樹は雛子を首元に優しく牙を立てる。
「あっ……美樹」
 雛子の表情がいつもの凛々しいのではなく、恋する乙女の様な女の表情で王子とのひと時の逢瀬を遂げる一輪の花の如く。
 指を何度も絡め、優しく吸われる感覚に頬は紅潮して瞳に熱が宿る。
「――っ、はっ……」
「綺麗だよ、どの花よりも」
 蕾から開花してゆく薔薇の様に、熱い吐息と共に吐き出される声は咲き誇ろうとしている少女は大人へと向かう様で愛おしく感じる。
 これは単なる交わりではなく吸血行為。
 性別は関係ない。
 この場では二人はただの王子と姫。
「美樹……っ!」
「ん、雛子」
 名を呼んでは指を何度も絡め直し、互いの熱を求め、互いに熱を注ぎ合いながら背中に腕を回して抱きしめる。
 加速していきそうになる気持ちを押え、美樹は口を離すと同時に雛子は咲き乱れながら意識を手放す。
 握りしめられた手に唇を寄せながら美樹は呟く。

「おやすみ眠り姫」

 と――

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年03月29日


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