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我々のエクエク

#キマイラフューチャー #エクセレント・エクスプローラーズ

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#キマイラフューチャー
#エクセレント・エクスプローラーズ


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●キマイラフューチャー
 エクセレント・エクスプローラーズ――通称"エクエク"。
 キマイラフューチャーで大人気のMMORPG、いわゆるネトゲである。
 ちなみに、プレイヤーは『ピカピカな戦士』略して"ピカセン"という。
 今日は、とあるリゾート地でエクエクのイベントが開催されている。
 の、だが……。

「いやらしい……」
「我々のエクエクを……」
「イヤラシイ! イヤラシイ!」
 大量のピカセンを取り囲み、口々に囁くマッチョども。
 見よ! そのポージング、そしてポージングとポージング……!!

 ポージングしかないですね。
 奴らの名は、量産怪人アルパカマッスルブラザーズ!
「いやらしい!」
「我々のエクエクは我々のものだ!」
「ワレワレノモノダ!」
 どうやらイベントを邪魔しに来たらしい。なんと迷惑な奴らか!
 善良なファン達は、すさまじい数のマッスルに囲まれてだいぶ嫌そうな顔をしている。
 このままでは楽しいファンイベントが台無しだ!
 早く来てくれ猟兵! そしてさくっとこいつらをやっつけてくれ!

●グリモアベース
「Zzz……煌き、煌きが集まらない……ううう……はっ」
 居眠りぶっこいていたグリモア猟兵の白鐘・耀が目を覚ました。
 可憐な猟兵を自称しているが、目元にはばっちりクマが刻まれている。
「ごめんなさいね、ここのところ徹夜続きなのよ。
 エクエクは遊びじゃないから……あんたたちもそう思うでしょ?
 ……思わない? え、なんで猟兵やってるの???」
 廃人プレイヤーの戯言はさておき。
「キマイラフューチャーで暑苦しい怪人どもが悪事を働こうとしているわ。
 連中が狙ってるのはネトゲのファンイベント……まあようは公式のお祭り開場よ」
 会場では開発陣によるトークだとか、スペシャルゲストとの対談とかあるらしい。
 あとはゲームの世界観をモチーフにしたミニゲームとか、出し物もある。
 楽しいイベントなのだ。それを怪人どもは、なんという連中か!
「というわけで軽く行ってバーンとぶっとばしてくれる?」
 はしょりすぎだ。

 敵戦力は、まず大量の量産怪人アルパカマッスルブラザーズ。
 奴らはマッチョであり、ポージングがすさまじい。
 なんせユーベルコードが全部ポージングだ。
「多分ボスが居ると思うんだけど、そいつもマッチョみたいね」
 正体不明ということらしい。手強いのはたしかだろう。
「こいつらはエクエクを自分たちの都合のいい遊び場にしたがってるみたいなの。
 ようはゲーム内でも迷惑行為とかしまくりなのよ。暴言吐いたり回線切断したり」
 なので、ぶちのめすのに遠慮はいらない。
 戦っている間も色々間違った主張をしてくるので、それを論破してやるといいだろう。

「無事に連中をぶっ倒したら、そのあとはファンイベントを楽しむのもありかもね」
 なにせ大きなイベントである。参加者は皆エクエクを愛する者達だ。
 つまりファンイベント、イコール、愛を伝える場!
 そういうわけなので、ゲームへのもしくは他のなんかへの愛を伝えよう。
 愛を伝える、イコール、イベントを楽しむである。なんの破綻もない。

「あ、説明は終わりよ。ゲームはみんなのものだってこと、物理で教えてやんなさい」
 火打ち石を取り出しカッカッと小気味よく鳴らした。
 それが転移開始の合図となった。


唐揚げ
 第六猟兵マスター兼プレイヤー兼非常食、堅パンです。
 OPいかがで……エッ読んでない?
 ではまとめいってみましょう。

●目的
 『量産怪人アルパカマッスルブラザーズ』の撃滅(1章、よわよわ)
 ???の撃滅(2章、つよつよ)
 ファンイベントを楽しみ愛を伝える(3章、日常)

●備考
 無事にマッチョどもをぶちのめしたあとなら、
 3章でのみ当方担当NPCの『白鐘・耀』を招聘することができます。
 めちゃくちゃ早口で『エクエク』への愛を語ると思いますが、
 それでもいいという奇特なお客様はどうぞプレイングにお書きください。

 では前置きはこのあたりにして。
 皆さん、聞いて感じてよろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『量産怪人アルパカマッスルブラザーズ』

POW   :    ポージング
自身の【逞しい肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    ポージング
自身の【躍動する肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ   :    ポージング
自身の【洗練された肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●エクセレント・エクスプローラーズ・ファンフェスティバル
 そんなわけでファンイベント会場。
「いやらしい……我々のエクエクを!」
「こいつめ! こいつめ!」
「イヤラシイ! コイツイヤラシイ!」
 エクエクのファン=ピカセン達を取り囲む汗臭い妖精達。
 もとい、アルパカマッスル・ブラザーズ。
 数は……うーん、なんかたくさんいるんじゃない? たくさん。
「我々のエクエクはもっと殺伐としているべきなのだ!」
「エクエクは我々のものなので開発を叩いてもいいのだ!」
「イヤラシイ! アルパカイヤラシイ!」
 仲間割れしてないか?

 奴らは口々に間違った主張をのたまう。そして汗臭い。
 ギスギスとかセクハラとか開発スタッフさんを揶揄するのとか……。
 とにかくなんかこう、奴らはよくないことをしている!
 このままでは人々はおろか、楽しいエクエクの世界自体が台無しだ!
 そんなわけでキマイラ達は絶体絶命だ! なんとかしてあげよう!
須藤・莉亜
「ばかやろー、開発さんを叩いてもしょうがないじゃないか。人数多すぎて、イベントが進められなくなっても、文句言わず列を作って順番待ちするのが真のピカセンでしょ?」
…はっ、ついテンションが上がってしまった。

斧…、じゃなくて大鎌を複製して27本全部で敵さんを攻撃。
「何故だか斧で攻撃しないといけない気がする…。もしくは刀。」

トドメは地獄招来【第九圏・悪魔大王】で悪魔大王さんにぶん殴ってもらう。
「ギスギスはのーせんきゅー。楽しく行こうぜー。」

煌き…?気合いと根性で徹夜と寝落ちを繰り返せばイケるイケる…。



●紫煉のダンピール
「ばかやろー」
 開口一番、須藤・莉亜はマッスル妖精達を痛罵した!
 なんということだ、彼は普段から気怠げでダウナーな男だというのに、
 その声には確かな怒気が溢れている……!
「開発さんを叩いてもしょうがないじゃないか」
 彼は至極真っ当に指摘しつつ、こう続けた。
「たとえ人数が多すぎてメインクエストが進められなくなっても、
 文句を言わず列を作って順番待ちしたり」
 ん? やけに具体的ですね?
「パーティのクラス構成によってボスの攻撃が右に来るのか左に来るのか、
 実はバグで確定してるのがわかってたとしても笑って許すべきだし」
 彼はまくしたてる。
「システムのバグのせいでログアウト出来なくなってGMを呼んだのに、
 定型文で返されてそのまま放置されても待ち続けるのがピカセンでしょ?」
 ここまで一息で言って、彼は我に返る。
「……はっ、ついテンションが上がってしまった」
 あ、ピカセンさんだったんですね。

 そんな彼の主張、もとい真っ当? な言葉を聞いたアルパカどもはというと。
「ふざけるな! なぜ我々が待たねばならないのだ!」
「待ってやってもいいが詫び石とかよこせ! それか人形!」
「ココハ通サン! ココハ通サン!」
 などと喚いていた。いやこれほんとに反対してんのか?
 さておき、奴らは敵対的。それを理解した莉亜はため息をつく。
「仕方ないなぁ。じゃあ打ち砕かせてもらうよ、岩みたいに」
 言いつつ彼が己の装備する白き大鎌・血飲み子を両手で構え、掲げる。
 するとどうだ、それらは次々に分身し、合計で27振りの致死的武器が現れた!
「……なぜだか斧で攻撃しないといけない気がする」
 さもなければ刀だ。しかし彼は今回は大鎌を使うことにしたらしい。
 鎌でも両手持ちだし実質斧でいいんじゃないだろうか。
「こ、こいつめ! なんといやらしい!」
「エクエクは我々のものグワーッ!?」
「強情な猟兵略してゴージの分際でグワーッ!?」
 アルパカマッスルブラザーズが次々に大鎌に切り裂かれていく!
 たまらず一体のマッチョが背中を見せて逃げようとするのだが、
「はいダメー、僕の前から逃げるなんてよくないなぁ」
 莉亜はとっさに咎人封じを使用し、鎖つきの枷でそれを拘束した!
 見た目にそぐわぬパワーでマッチョが引き戻され、接近状態に!
「それとも何、僕みたいな奴一人に勝てないの?」
 しかも挑発だ! マッチョどもの目が一気に攻撃的な赤に染まる!

 だがこれこそは莉亜の最後通牒(アルティメイタム)であった。
「ま、逃げても無駄だけどね。――開門。んでもって第九圏へ直結」
 マッチョどもの頭上に禍々しい魔法陣が出現し、ぎぎぎ……と開かれる。
 その奥の恐ろしい空間より、悪魔大王の拳が叩きつけられた!
「「「グワーッ!?」」」
「ギスギスはのーせんきゅー。楽しく行こうぜ―」
 へらへらと莉亜は笑う。痩せ型ながら破竹の勢いまさに猛牛の如し……!
 彼ならば、たとえ片腕を失ったとしても一騎当千の戦いぶりができるだろう。
「……あーそういや、あの子煌きがどうとかいってたっけ」
 一仕事終えた莉亜はタバコを取り出しつつ、呟いた。
「気合と根性で徹夜と寝落ちを繰り返せば、イケるイケる……。
 まあその前にひたすらガチャしないといけないんだけどねぇ」
 なぜか遠い目になった。ピカセンなりの悲哀があるのだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ビードット・ワイワイ
あらかじめ【怪力】にて持参した自動車でビルドロボット
迷惑行為とは怒り心頭不届き千万
お引き取りを願おうか。出口はあちら出ぬならこちら
我の腕で纏めて掴み会場外に【槍投げ】の要領で【吹き飛ばし】

ところでエクエクとは何ぞや?
我は全くもってゲームの知識を持たぬゆえ
初のキマイラフューチャーに来たところ騒ぎがあったゆえ
来たがゆえ。MMORPGの知識もあまりあらず
魅力は何であり?語れ語れ語れ、此の魅力を語るがよい
断末魔代わりに聞いてやろう

聞いたのちになるほど、つまりどういうことであろうか
ゲームの楽しさはやらないと分からないものである


アルジャンテ・レラ
猟兵が必要とのことで招集に応じましたが……
何でしょう。優秀な探究者、とは。
はあ……インターネットを介して遊ぶゲームですか。
あのような筋肉自慢御用達のゲームなんでしょうか。
やはり私にはまだ知らないことばかり。
乗り掛かった船です。
最後までお力添えしますよ。

……
…………(弓を構えたまま微動だにせず)
あの。戦う気は?
妙です。
ポーズを決めるばかりで攻撃する様子が見られません。
どんな物語にもこのような悪はいませんでした。
……世界はどこまでも広いようです。
好都合なので、ポージングに夢中な個体を射抜いて差し上げましょう。
動かない標的ほど弱い獲物はいませんね。

嗅覚という機能を不要に思えたのは、今日が初めてです。



●若葉の皆さん
「……なんなんですか、この状況は」
 弓を構えたまま、アルジャンテ・レラは途方に暮れていた。
 妙である。なにせあの暑苦しい連中は、さっきからポージングしてばかりだ。
 そもそもこの戦場、いや正しくはこの会場の催し自体彼にはよくわからない。
「戦う気がないのは件のゲームが関係しているんでしょうか……?」
「見たり見たり見たり。同じ初心者を見たり」
 ドッシ、ドッシと物々しい足音とともに、ビードット・ワイワイがやってきた。
 彼の両手にはポージングを続けるアルパカマッスルブラザーズが二体ずつ。
 ぶーん、と無造作にそれを会場の外に放り投げつつ彼は言う。
「エクエクとは何ぞや? 我はまったくもってゲームの知識を持たぬゆえ。
 これなる世界は初の来訪、騒ぎがあったゆえに来たがゆえ」
 ようは彼も、この戦いの背景がよくわかっていないのである。
 ……それで戦いに来るのもどうなんだろうか。猟兵はそういうものか。

 そんな彼らの呟きを、オブリビオンどもは聞き逃さない!
「何ぃ!? 貴様らエクエクのなんたるかを知らんのか!?」
「なんといやらしい連中か! こいつめ、我々のエクエクを!」
「ニワカハ帰レ! ニワカハ帰レ!」
 な、なんと非協調的かつ閉鎖的な典型的中級プレイヤーめいた物言いか!
 初心者は業界の宝。本来なら手厚く保護すべき大事な大事なひな鳥なのだ。
 それをあろうことか痛罵し、あのように威圧的ポージングを……いやポーズはどうでもいい。
「そもそもなんですか、優秀な探求者とは。筋肉自慢御用達のゲームなんですか?」
「理解せり。エクエクとやらは筋肉自慢御用達のゲームなりか」
「「「違ぁあああああうっ!!!!!!」」」
 素っ頓狂な二人(正しくは二体)物言いにアルパカマッスルブラザーズ、キレた!
「いいか! エクセレントエクスプローラーズとは!!」
「異世界メオルゼイアに生きる冒険者となり!!」
「数多の謎を解き、強敵と戦うファンタジーRPGなのだッ!!」
 いちいち台詞のたびにポーズをとるのが大変鬱陶しいアルパカども。
「……はあ」
「いまいち魅力が不明瞭なり」
「「「貴様らーッ!!!!!」」」
 威圧的モストマスキュラー! コワイ!!

「エクエクの魅力! それは広大な世界と!!」
「美麗なグラフィック! 個性的なエリア!!」
「そして多種多様なモンスターの数々!!」
 ビシッ。さあどうだの視線×3。
 アルジャンテとビードットは顔(カメラアイ)を見合わせる。
「割とありがちなセールスポイントですね」
「然り然り然り。魅力と呼ぶには遠からじ」
 さもありなん! だいたいのRPGは美麗グラフィックをウリにしている!!
「そ、それだけではないぞ! アイテムもたくさんあるのだ!!」
「プレイヤーがなれるクラスもいろいろあるし、生産もできる!」
「あとは自分のハウスを持って改築や家具の設置もできるのだぞ!!」
 ビシッ。さあどうだの視線×3。
「……現実に住まいがありますし、この通り猟兵ですから」
「如何にもその通りなり。我ら戦いを戦い続けるモノなり」
 アルパカマッスルブラザーズは愕然とした。
 プレゼンが……通用しない! これが猟兵とオブリビオンの違いなのか!?
 実際はただ単にこいつらの推し方が下手くそなだけなのだが。

 そんなわけでショックを受けて固まってしまうアルパカども。
 やや沈黙ののち、アルジャンテが言った。
「好都合です、一体ずつ仕留めましょう」
「賛同せり。あれらの断末魔は聞き飽きたなり」
「「「グワーッ!?!?!?」」」
 シュパッ! ぶーん、ぐしゃ。
 シュパッ! ぶーん、ぐしゃ。
 まるで屠殺業者のような、淡々とした殲滅処理だったという。
「おのれ猟兵、いやらしいぞグワーッ!?」
「何がいやらしいのかまったくもってわかりません(矢を放つ)」
「せめてもう少しセールストークを聞けグワーッ!?」
「汝らのマーケティングは不要なり(掴んで投げる)」
 初心者には優しくしなければならない。キマイラ達は大事な教訓を得た。
 でないとあのように、矢衾にされたりぶん投げられたり大変な目に遭うのだ。
 アルパカマッスルブラザーズよ、反面教師となってくれてありがとう……!

●結論
「……本当になんだったんでしょうか、あれは」
 最後まで腑に落ちない顔で首をかしげるアルジャンテ。
 彼の読んだ本にあんな悪党が出た試しはない。そりゃそうだ。
「動かない標的ほど弱い獲物はいませんね」
「さもありなん、されど我はひとつ真理を得たり」
 ビードットの言葉に、アルジャンテは興味深げな表情をする。
「……それは一体?」
 ウォーマシンはカメラアイをぐるぐる動かしてからこう言った。
「ゲームの楽しさは、やらないとわからないものである」
 至極真っ当な結論であった。
 とっぴんぱらりのぷう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

黒川・闇慈
「ゲームですか……私もそこそこ嗜む程度ですが、何がいやらしいのでしょうねえ。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
洗練された肉体というのなら、隕石くらいは受け止めていただかないと。
というわけで、属性攻撃、全力魔法、高速詠唱の技能を活用して岩獄破軍を使用します。隕石を召喚して叩きつけるといたしましょう
隕石の岩の塊は皮装備すらしていない相手には遅れを取りませんよ。

『彼方より来たれ冥獄の流星よ。一切全てを打ち砕け、ハデス・トループ』
「どうも、後衛職の私です。もっとも、ゲームのように詠唱が終わるまで無防備だなんてことはないのですが。クックック」

【連携・アドリブ・組み合わせ歓迎】


ジョン・ブラウン
「イベントの楽しみって言えば色々あるけれど、僕はそう、会場限定のグッズだね!」
「オリジナルマグカップにゲームキャラのぬいぐるみ!
ははっ、Tシャツはちょっと派手過ぎて普段着には難しいかな?」

「わぁ、アイテム型のスマホケースまで?もうどれ買うか迷っちゃ…………え、売り切れ……?」

「買い占め………転売?ネトオクにもう出品されてる……?」
「出品者の登録名は?アルパカ筋肉兄弟?そう……」

「ウィスパー、強化プログラム全投与。ありったけだ……あの筋肉ダルマ達をぶちのめす力を僕によこせ……!」
「ジョブチェンジの時間だオラァ!」

崩崩崩双双連正不破秘
双双崩連正崩双双破連
正崩双双秘崩連正破双
双不崩連正崩双双破連……


難駄芭院・ナナコ
うーん、の の の の…
はっ、ついうとうとしちまった!
ちくしょー、夢にまで見てしまうぜ…!
アタイも立派な「の」の住民だぜぇ…!ガチャはいつ終わる…!

ギスギス×でお願いします!><
ん?どっかで聞いたフレーズだって?知らんなぁ!

そこまでだこのアルパカ野郎ども!
楽しいファンイベントだというのにえぇい暑苦しい!
ピカピカな戦士ことナナコさんがぶっ飛ばしてやんよぉ!

POW
黄金果実活性法、これでつよーいバフを付けるぜ!
効果はバナナが美味しいと思うまで!永続!無敵!
「ヒャッハー!思う存分やってやんよぉ!」

そして決めてやるぜぇ!カッコいいバナナのポーズ!
全身をバナナ着ぐるみコーデでキメッ!
フッ、決まったぜ…ッ!



●どうして……
「イベントの楽しみって言えばいろいろあるけれど、僕はそう、会場限定のグッズだね!」
 開口一番、ジョン・ブラウンはウキウキした様子で言った。
「オリジナルマグカップにポーグリ(※エクエクのマスコットキャラのひとつ)のぬいぐるみ!
 ははっ、Tシャツはちょっとハデすぎて普段着には難しいかな?」
 誰に言うともなくまくしたてながら、警戒なステップで物販コーナーへ。
 今回はたっぷり軍資金を用意してある。もちろん事前計算もした上でだ。
 この手のイベントの物販コーナーのレジは大変なのである。いやほんとに。
 すばやくアイテムを選び、ちょうどのお金を出す。これが多くの人を救う知恵だ。
「わぁ、よく見たらツームストーン(※エクエクのゲーム内に出てくるアイテムのこと)型のスマホケースまで出てるじゃないか!
 いやあ、もうどれ買うか迷っちゃうなあ! ははっ、まさにパラダイスだ!」
 おやおや物販コーナーはガラガラだ。まあ襲撃受けてるので当然だ。
 ジョンは鼻歌などをば歌いつつ、礼儀正しく購入者通路を右に左に歩く。
「……クックック、少し……よろしいですか?」
 そこで彼に声をかけたのは、同じ猟兵の黒川・闇慈である。
 ゲームはそこそこ嗜む程度らしい。何がいやらしいのかはわからない。
「え? 僕のこと? 悪いけど列は譲らないよ?」
「いえ、その物販のことなんですが」
「まさか一緒に数量限定のグッズを買ってくれって? ノーサンキューだね!」
「それがですね」
「僕は今日を楽しみにしてたもんでね、まあ早い者勝ちだよ!」
「いえ、ですから……物販は」
「もう全部売り切れてんぞ?」
 あっ。
 闇慈が笑顔のまま固まる。ジョンも固まる。少女はバナナを食う。
 蛍光灯切れてるねぐらいのテンションで通りすがったのは難駄芭院・ナナコ。
 徹夜プレイによる眠気を目元をこすってバナナを食べて押し殺しつつの参戦だ。
「…………………………売り切れ?」
「いや、それは」
「アルパカどもが買い占めたって」
「…………」
「ですから、いいですか。まずは戦いを」
「転売もされてるってよー。ひっでーよなあ」
「………………………」
「……クックック」
 あまりのどストレートっぷりに闇慈は笑うしかなかったので笑った。
 ジョンはしばし無言。そこで彼の装備するデバイスからAIの音声。
『検索完了。出品者の登録名は"アルパカ筋肉兄弟"です』
「私が言うのもなんですがどなたも火に油を注ぎますねえ」
 ぶちりと何かが切れる音がした。
 それが処刑開始の合図となった(オープニング風)。

●敵視が高まりすぎるとこうなる
「フハハハハハ! これで全てのグッズは我らのものだ!」
「なぜならエクエクは我々のものだからだ! フハハハハハ!」
「相場ハ我々ノモノダ! 相場ハ我々ノモノダ!」
 会場限定グッズを梱包しながら勝ち誇る邪悪なオブリビオンども。
 もはや救いはないのか! 神は死んだのか!?
「"ジョブチェンジ"の"時間"だオラァ!?」
「「「"!?"」」」
 そこに特攻(ぶっこみ)を仕掛ける者あり。ワンダーギーク!
 だが彼は圧倒的後衛タイプだ、なにせギークなので。
 同じ後衛タイプの闇慈も、彼の背中を見送りつつ思案している。
「大丈夫なのでしょうかねえ? まあ止めませんが……クックック」
「うーん、の、の、の……開始27分まで待って下さい……」
「こちらの方はこちらの方で何の夢を見てるんでしょうかねえ」
 そんな二人をよそに、ジョンは怒りの形相で猛進する。
 敵は筋肉だるまども。だが彼には秘策あり!
「ウィスパー、強化プログラム全投与。ありったけよこせ……!」
『了解。拡張チップ、デバイスにセット。アーマリーシステム、起動。
 プラグイン、タイプ・フィストマスター。仮想アイテムレベル、規定』
 ジョンの装いが一瞬にして変化する。黄色を基調とする拳法家めいた姿に!
 これぞプログラムアドバンス。そして彼は疾風の羅刹めいた勢いで急加速!
「フハハハ愚かな猟兵めグワーッ!?」
「崩崩崩双双連正不破秘!!」
「貴様一体何者グワーッ!?」
「双双崩連正崩双双破連!!!」
「この筋肉にそんなコンボは通じグワーッ!?」
「正崩双双秘崩連正破双!!!!」
 なにかやっているのはわかるがあまりにも動作が早すぎてよくわからない!
 スピードの高まりのせいかジョンのシャウトももはやお経めいている。
 そう、まるで愚かで哀れなオブリビオンどもへの葬送めいて……!
 一つ言えるのは、疾風迅雷めいた彼の攻撃は、その闘気を無限に高めているということだけだ!
 あとおそらくDPS(ダメージ・パー・セコンド。1秒ごとに与えるダメージの平均値を指す)もすこぶる高い。

「うーん言い方ってもんがあるがろうが……はっ!」
 鼻提灯を膨らませて寝ていたナナコがようやく起きた。
「おやお目覚めですか? もう始まっていますよ、クックック」
「アタイとしたことが出遅れちまうなんてな! それもこれもガチャがいけねえんだ!」
「よくわかりませんが大変ですねえ、クックック」
 闇慈はだいぶスルー技術がこの戦いだけで磨かれている感がある。
 さておき、ナナコは新たな敵の増援に対し、両手にバナナを握りながら見得を切った!
「そこまでだこのアルパカ野郎ども! 楽しいファンイベントだってのに暑苦しい奴らめ!!」
「ええまったく、さっさとご退場願いたいですねえ」
 闇慈もそのあとに続く。なにせ彼は後衛なので。
「黙れ猟兵め! エクエクは我々のモノだ!」
「周回チームに飛び込んでくるような初見はボコボコに叩くのだ!」
「ギブアップ投票カイシ! ギブアップ投票カイシ!」
 なにかよくわからないが非常にマナーの悪いことを言っていることは間違いない。
「てめえら……ギスギスはやめてください! ギスギス✕でお願いします!」
 妙に聞き覚えのあるフレーズを叫ぶナナコ。だが奴らは聞く耳持たない。
 なぜなら奴らはアルパカマッスルであり、さらにブラザーズであり、妖精だからだ!
 ……妖精ではない気がするが、まあとにかく徒党を組んでるので話は聞かない。
「「「死ね! 猟兵! 死ねーッ!!」」」
「やはり汚いですねオブリビオンは汚い……クックック」
 闇慈の周囲に魔法陣が展開され、魔力が満ちる! こちらもこちらで戦闘開始だ!

 だが前衛はナナコ一人。あっちではジョンが死亡遊戯の真っ最中だ!
 はたしてどうする? 彼女はまさか、その両手のバナナを!
「このピカセンことナナコさんがぶっとばしてやんよぉ!」
 バナナを……ふたつ同時に、食べると……言うのか!?
「これは私以上に隙だらけではないですかねえ?」
 高速詠唱を始めながらも闇慈は訝しむ。おお、だが、見よ!
「フンッ!!」
「ですぞー!!」
「ホーホーホウ! ホーホーホウ!」
 なぜかアルパカマッスルブラザーズは突撃途中でポージングを開始した!
 なぜだ!? 理由は簡単だ、ユーベルコードがそれしかないからだ!!
「むしゃむしゃごっくん。バナナうめぇえええ!!」
 その間にナナコは普通に食事を終えた。全身からバナナパワーがみなぎる!
 おそらく一時間は持続するだろう。なにせふたつ同時に食べたので。
「ヒャッハー! デリシャスバナナブレイカー二刀流だぁー!!」
 愛用の武器を逆手に構え縮地めいた速度で敵に急接近!
 そして斬る! 斬る、斬りまくる! なにせ敵はポージングしかしないので!!
「「「グワーッ!?」」」
「うおおおおバ気(バナナ気のこと。バナナの気、またはそのさま)が溜まってきたぜぇー!!」
 武器を連結! 長柄化したそれを、手裏剣よろしく大投擲!
 ぐるんぐるんと猛回転するデリシャスバナナブレイカーは新たな敵すら切り裂いていく!

「ゲームのように詠唱が終わるまで無防備、なんてことはないつもりでしたが。
 どちらかというとあちらのほうが隙だらけですねえ、クックック」
 それはそれで重畳。闇慈はいちいち正道を気取る手合いでもない。
 黒黒とした魔力が彼を包み込み、足元の魔法陣が雄々しく明滅する!
「貴様の魔法なぞ、我らの筋肉で弾き返してくれるわ!」
「しかるのちスタンさせて囲んで棒で殴ってくれるわ!」
「イヤラシイ! 後衛イヤラシイ!」
「そうですか、ありがとうございます。マッスルブラザーズすごいですねえ」
「「「それほどでもない」」」
 オブリビオンどもは口を揃えて謙虚にもそれほどでもないと言った。
 言質を得たので、闇慈は大人気なく全力の魔力を術式に注ぎ込む!
「まあ私は聖騎士でもなんでもないので当然のように叩き潰させていただきます。
 "彼方より来たれ、冥獄の流星よ、一切全てを打ち砕け――!"」
 それはまるで祝詞のような、地の底から響き渡る呪詛の合唱。
 唱えているのは闇慈一人であるはずなのに、響き渡る口訣は幾重もの声が音叉しているかのように混じり合い、体を、いや、魂を震わせる!
 そして見よ! ファンイベント会場の天井部を!
 そこに禍々しい魔法陣が生まれ……おお、現れたのは、巨大な隕石!!
「おい、やめろバカ! 早くもこの戦闘は終了だな!!」
「あまり調子に乗っているとキマイラフューチャーでひっそり幕を閉じるぞ!」
「マレニヨクアル! マレニヨクアル!」
 ポージングしながら慌てふためくアルパカマッスルブラザーズ達。
 奴らはマナーの悪いネトゲプレイヤーなので口が達者だ。だが逃げない。
 なぜならそれしかユーベルコードがないので。
「そのまま骨になっていただきましょう。岩獄破軍(ハデス・トループ)ッ!!」
 そして呪文は完成せり。天の裁きここに降臨せり!
 降り注いだ隕石は筋肉を誇示するアルパカマッスルブラザーズを押しつぶし、盛大な断末魔が響き渡る!
「隕石の岩の塊は皮装備すらしていない相手には遅れを取りませんよ?
 なんだかんだ私の怒りも有頂天ですからねえ……クックック」
 深淵じみた笑みを浮かべながら、探求者は静かに呟く。
 かくして敵はすさまじい勢いで駆逐されていく。さあ狩りの時間だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 に呼び出されて

ピカセン……、エクエク……?
何やら知らない単語ばかりで、
なんの事だか全く分かっていないのですが
はぁ……回線切断の意味は分かりませんが、
暴言は良くないでしょうね……?
勢いに圧倒されつつそれだけ返し
……いや、そもそも何故俺はここに
お願いされたら断れないじゃないですか
分かっててやってんのかこの娘は

オルハス……なんだそれは
ヨハネス……? なにやら分からないが勘弁して欲しい
頼むから俺に分かる言葉を話してくれませんかね

うっ……。ポージングに吐き気がする
言われずとも追撃しますよ。見ていたくない
闇を這わせて、2回攻撃でずたずたに引き裂いてやりましょう


オルハ・オランシュ
強引に呼び出したヨハン(f05367)と

月イチでしかログインしてないけど
私もピカセンの一人として見過ごせないよ!
神聖なるエクエクの祭典で暴れまわるなんて最悪
回線切断も暴言も最っ低
ヨハンもそう思うでしょ!?
さ、あんな奴ら10秒で倒しちゃおう
後方から支援をお願い!
君ならきっと快諾してくれるって思ってたよ

私エクエクの中でも槍使いなんだよね
まるで気分はオルハス(キャラ名)……
あっ、そうだ
今度ログインしたらヨハネスってキャラ作ろっと

なんて躍動的なポージング……!
でも今のうちに【範囲攻撃】でさくっと三叉槍をふるっちゃう
これで終わりだと思わないで
空に舞い上がってヨハンからの追撃に期待
何度見ても凄い力だね



●エクエクは忙しい人にも敷居が低い優秀なMMORPGです
「あの、ちょっといいですか」
「そんな暇はないよ、急いでっ!」
「いやそもそもなんですかエクエクって」
「いいから早くっ!」
「ピカセンとかいうのもよく意味が」
「いーいーかーらっ!!」
「あ、はい」
 ヨハン・グレインは、オルハ・オランシュのただならぬ剣幕に気圧された。
 彼らを知る者が見れば、一体何が起きたのかと思うことだろう。
 かたや陰気で怜悧な知識人、かたや天真爛漫で溌剌な少女である。
 ヨハンが口を挟めぬほどにオルハを激昂させる。只事ではない。

 そう、只事ではないのだ!
「神聖な祭典で暴れまわるなんて、最っ悪!」
 眦を釣り上げながら愛鉾・ウェイカトリアイナを携える少女。
 オルハは、キマイラである。店番をし、月イチでログインして暮らしてきた。
 けれども悪質プレイヤーに対しては、人一倍に敏感であった。
「エクエクは我々のものなので、回線切断も許されるのだ!」
「我々を糺そうとする身の程知らずには暴言を吐いてやるのだ!」
「晒シモスルゾ! 晒シモスルゾ!」
 オルハは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の筋肉をアレせねばならぬと決意した。
「なんて最低な奴らなの……っ!!」
 矛を握る拳がぶるぶる震える。割とガチでキレていた。
「ヨハンもそう思うよねっ!?」
「えっ」
 あまりの剣幕なので、少年はわりと素の顔で驚いてしまったという。
 正直、オルハの激怒も、あのマッチョどもののたまうことも殆ど理解できない。
 回線切断ってなんだ? ネトゲとは一体……?
 しかしこれ以上それを口にすると、なんだか正座させられそうな気がしてきたので、
「ぼ、暴言は良くない、でしょうね……?」
 とだけ返すことにした。少女はにっこり微笑んだ。
「ヨハンならそう言ってくれると思ってた! 快諾してくれたもんねっ!
 さ、あんな奴ら10秒で斃しちゃおう! 支援よろしくっ!」
 そして少女は色つきの風めいて敵陣へ飛び込んだ!

 ぽかんとそれを見送りつつ、ヨハンはようやく我に返った。
 そもそもなぜ自分はこんなところに。なぜって今の剣幕で引っ張ってこられたからだ。
「お願いされたら断れないじゃないですか」
 誰に言うわけでもないのに呟く。なお、手は動かしながらである。
(わかっててやってんのかあの娘は……)
 口に出さないあたりがヨハンの限界である。いやでも怖いから仕方ないよね。
 上の空で解き放たれた魔力が敵を吹き飛ばす。やることはやるのだ。

 見れば、下手すると初めて見るかもっての勢いでオルハは無双していた。
「おのれ我々のエクエクを横取りしようとするいやらしい奴め!」
「ドラさんは(※エクエクのクラス、ドラゴンナイトの愛称)枠はないぞ!」
「イヤラシイ! ドラサンイヤラシイ!」
「近接アタッカー舐めんなーっ!!」
「「「グワーッ!?」」」
 こんな感じでアルパカどもをふっとばしているのである。
 唖然とするヨハンをよそに、オルハはすっきりした顔で額を拭う。
「ふう、まるで気分はオルハス(※キャラ名)だね。現実でもエクエクでも槍が一番っ!」
 どうやらエクエクのプレイヤーキャラクターも同じ得物を使うようだ。
 槍使い……すなわちドラゴンナイトは色々と不遇な歴史を辿ったクラスである。
 それを罵倒されればこうもなろう!
「あっ、そうだ」
「あの、頼むから少しは俺に分かる言葉で……」
「ログインしたらヨハネスってキャラ作ろっと」
「待ってくださいよくわからないですがそれは勘弁してください」
 ヨハンは真顔で口を挟んだ。さもありなん。
 エクエクは豊富な装備アイテムと自由度の高いおしゃれ要素が特徴のゲーム。
 きっと漆黒の髪に無藍想な目つきの眼鏡男子が生まれていただろうから……!!

「おのれいやらしい奴らめ!」
「我々の紳士的なポージングを見よ!」
「キャッチデスゾ! キャッチデスゾ!」
 新たに駆けつけたアルパカの一団がムキッとポーズをとる。
 なんと完成されたマッスル。そこはかとなく紳士的ですらある!
「うっ」
 ヨハンはめまいを感じた。自分がなんでこんなとこにいるのかとか、
 あとはマッチョどもの暑苦しさとか、エクエクってなんだ的な拭えぬ疑問からだ。
「ちなみに初心者には無料体験版がおすすめ!(ムキッ)」
「いまなら35レベルまでほぼ制限無しで遊び放題!(ムキッ)」
「ストーリーモ遊ベル! ストーリーモ遊ベル!(ムキッ)」
「なんでポージングしながらマーケティング仕掛けてくるんですかこいつらは」
 悪夢のような光景である。しかし好機だ! 奴らはポージングの真っ最中!
 何をしようがポージングしかしないので殴り放題なのは秘密である。
「なんて躍動的……でも、これで終わりだと思わないでっ!」
 オルハは両足に力を込め、翼をはためかせるとともに高く跳躍。
 すさまじいジャンプだ! さながらエクエクのドラさんめいている!
「そんな飛べたんですか!?」
 何もかも予想外のオルハのムーブに軽くヒきつつ我に返るヨハン。
 銀指輪から蠢く闇を解き放ち、頭上からの攻撃に合わせ地面を這わせる!
「喰らえっ、蒼碧のキマイラダイブーっ!!」
「いやなんですかその技名初耳なんですが!?」
「「「グワーッ!?!?」」」
 炸裂! 経緯はさておき上下からの同時攻撃が敵陣を一蹴した!
 高度を得たオルハの落下は盛大な衝撃波によってマッスルどもを撃破。
 そこをヨハンの放った闇が飲み込み、これを燼滅せしめたのだ。

 もうもうと土煙が立ち上る中、オルハがヨハンのもとへ戻ってくる。
「何度見ても凄い力だね、ヨハン」
「俺としては色々すごすぎてツッコミが追いつかないんですが」
「ううん、気にしないで。それよりヨハン!」
「……なんですか」
 この状況で言い出すことはろくな話じゃないぞと思いつつ問い返す。
 少女はにぱっと華が咲くように微笑んで、こう言った。
「フレンド招待特典アイテム欲しいから、エクエク始めない?」
「断固としてお断りします」
「ええーっ!?」
 マーケティングはしばし続いたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ネグル・ギュネス
なんだこれ。

───と言うかだ
暴言罵声?自らの未熟を棚に上げて良くぞまあ
回線切断?逃げているだけではないか

真の熟練者はな、初心者にも下手な人にも優しく教えていくものだ!
その上で自分の黒歴史や下手な時代や痛々しいを思い返して………………うぐぅ(どんより)

今貴様らは私に黒歴史を思い出させたよって死ねィ!!

汚い筋肉より、美しい黒鉄の荒馬を紹介しよう!
コール・ファントム!(指パッチン)
幻影疾走・速型で轢き散らし、吹き飛んだ所を刀でぶった斬ってくれるわ!!

ちなみに今日の刀の鞘はピカセン仕様
これ、自作なんだよね、とちょっと自慢げ

オーダーメイドもできるから是非、なんてレイヤーさんあたりを盛り上げちゃおうかな!


フルール・トゥインクル
殺伐?ギスギス?ノーサンキューなのです!
それぞれの楽しみ方があるのですよ。
初見未予習でもいいではないですか、効率知らずにクエスト寄り道だっていいではないですか。
勝手に方向性を定めるなんて、めっなのですよ!

せっかくのファンイベントですし魔法風にユーベルコード使ってみちゃうのも楽しそうなのです
エレメンタル・ファンタジアでこう、いつもやってるみたいにカードをドローする感じで属性を選んで……選んで……同じ属性ばっかなのですよ!?運命の策略なのですか?!(精霊の気まぐれです)

もう知らないのです!樹属性の津波で妥協してマッチョさんを攻撃しつつ木の根で他の方々をお守りするのです



●メンターの心得
「なんだこれ」
 ネグル・ギュネスが呆然としたのも無理はない。
 イベント会場にひしめくオブリビオンども。ポージングしかしないマッチョ達。
 しかし奴らの悪辣な文言を耳にしているうち、やがて彼は強く拳を握りしめた。
「暴言に罵声? 自らの未熟を棚に上げてよくぞまあほざく。
 おまけに回線切断など……実力が足りないから逃げているだけではないか」
 鋼の裡に怒りの炎が燃え上がる。かの邪悪許すべからず!
「まったくその通りなのです! 殺伐もギスギスもノーセンキューなのです!」
 そんな彼の隣にやってきたのは、妖精のフルール・トゥインクル。
「ゲームには、プレイヤーそれぞれの楽しみ方があるのですよ……」
 フェアリーの少女は強く、強く意志の光を瞳に宿して語る。
 初見未予習でもいいじゃないか。効率度外視でサブクエに寄り道してもいいじゃないか。
「勝手に方向性を定めるなんて、めっなのですよ!」
「ああ、まったくフルールの言う通りだ」
 親しき友人の言葉に首肯し、ネグルはアルパカどもをびしっと指さした。
 そして渾身のキメ顔とともに颯爽たる声で言い放つ!
「真の熟練者はな、初心者にも下手な人にも優しく教えていくものだ!」
「ネグルさんの言う通りなのですっ!」
「その上で自分の黒歴史や下手だった頃や痛々しさを思い返してうぐぅ」
「ネグルさんーっ!?」
 どんよりと暗いオーラを背負ってうずくまる青年を、フルールは慌てて励ます。
「だ、大丈夫なのですよ! ネグルさんはよく頑張ってると思うのです!」
「ありがとうフルール、だがその励まし方は微妙に嫌なものを思い出すな……」
 なぜかこのタイミングで脳裏をよぎった悪夢の光景を振り払いつつ、彼は笑う。
「だが、相変わらず君は優しいな。私はやはり、君のことを――」
「えっ。き、君のこと……?」
 ざわっ。ポージングしていたアルパカ達もキマイラ達も一気に静まる。
 視線が二人に集まる。そして微笑んだネグルが口を開き……!

「……君のことを、愛らしく優しい、よき友人だと思うよ」
「あ、はいなのです」
 少女は目に見えて落胆した。ため息がぷしゅうと口の端から漏れていた。
 ネグルは訝しむ。よく見ると周りのアルパカやキマイラ達も、
「マジかよ……」
「オーウ、故郷のマーマ」
「ハアーやれやれ」
 などと肩をすくめたり、頭を振って呆れ返っていた。なんだこれ。
「ちょっと待て、なんだその反応は!? 私の大切な友人を笑うつもりか!」
「「「そういうとこだぞ!」」」
「何がだ!?」
「そういうとこなのです」
「フルールまで!?」
 謎のアウェイ感に苦しむネグル!

 彼の脳裏に去来する記憶……黒歴史の数々……。
 ワイプ(※ボス戦で時間切れや全滅になること)理由を他のプレイヤーに押しつけたり、
 初心者に啓蒙しようとしてドン引きさせてしまったり、
 その時ハマってた作品の台詞やキャラをそのままパクったり……!!
「……貴様らは」
 ゆらり。男が立ち上がる。そしてぎらりと敵を睨めつけた。
「いま貴様らは私に黒歴史を思い出させたよって死ねィ!!」
「ネグルさん記憶が戻ったのですー!?」
「…………悪逆なるオブリビオンよ死ねィ!!」
 かくして戦端は切って落とされた!

●レディチェックが開始されました
「おのれ猟兵め!」
「我々のエクエクを奪おうとするのか!」
「イヤラシイ! 猟兵イヤラシイ!」
 気を取り直したアルパカどもが威圧的ポージングで対抗する!
「そんな汚い筋肉よりも、我が美しい黒鉄の荒馬を紹介しよう――コール・ファントム!」
 パチン! 軽やかなフィンガースナップが響き渡る。
 すると彼の背後から猛然たるエンジン音とともに、漆黒の愛機が出現!
「行こうか、相棒、そしてフルール。我らが疾走、誰にも止められぬさ」
「はいなのですっ!」
 フルールは笑顔で彼の肩に掴まり、同時にアクセル全開で急発進!
 幻影の名を冠する荒馬は、立ちはだかるマッチョどもを次々薙ぎ払う!
「せっかくのファンイベントですし……私もちょっと遊んでみるのですっ!」
 少女はユーベルコード、エレメンタル・ファンタジアの術式を起動する。
 妖精の友たる精霊達が実体化し、杖ではなくカードへと変化した!
「なんと! それはもしや、エクエクのヒーラークラス……アストロジアンの!?」
「なのです! ドロー、カード! さあ属性を選ぶのですよーっ!」
 アストロジアン。それは魔法のカードを手繰り寄せ、味方を癒やし時に強化するクラスだ。
 ランダム性が高いぶん、かっちりと効果が噛み合った時の強さは随一である!
「……水属性なのですね」
「少々相性が悪いな」
「ならもう一度なのですっ! 今度は火属性が来るはずなのです!」
「私も大好きな色だな!」
 パララララ……シュパッ(水瓶が描かれたカード)
「「…………」」
 パララララ……シュパッ(水瓶が描かれたカード)
「「…………」」
 パララララ……シュパッ。水瓶が……。
「あーもー、知らないのですー! オランジェー!!」
「フルールがしびれをきらせた!?」
 ともあれ少女の呼び声に応じ、樹属性の津波が彼らの後から荒れ狂う!
「まあいい私のイタタPCネームとともに死ねィ!!」
「「「グワーッ!?」」」
 かくしてアルパカマッスルブラザーズ、駆逐! 勝利のファンファーレも鳴り響く!

 そしてSRファントムが急停止。二人は互いを見やり、微笑み合う。
「やはりフルールは頼りになるな」
「ネグルさんこそ、お疲れ様なのですっ」
「「「うわああ猟兵だーっ!!」」」
 そんな二人を取り囲むのは、この区画で捕らわれていたキマイラ達だ!
 彼らはヒーローである二人を口々に讃える。照れる二人だがまんざらでもなさそうだ。
 そこでフルールは思い出す。そう、ここはファンイベント会場。
「あ、あのネグルさん。戦いが終わったらイベントを私と……」
 などとちょっと照れつつ誘おうと……して、彼の方を見やる。
「「「これもしかしてあの装備の再現ですかー?」」」
「ええ、まあ。何を隠そう自作でしてね」
「「「ワースゴーイ!」」」
「オーダーメイドも出来ますから、よければ是非」
「「「ワースゴーイ!」」」
 コスプレイヤー達に囲まれ、ネグルは自慢げに刀の鞘を披露していた。
 エクエク内の刀を再現したとっておきのアイテムである。黄色い歓声!
「……」
「ああ、そういう貴殿の衣装も――ん? どうした、フルール?」
「そういうとこなのですっ!!」
「だから何がだ!?」
 少女はしばらくへそを曲げたままだったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鎧坂・灯理
なぜそうまでして気に入らないゲームを文句を言いながら続けているんだ?
さては貴様らマゾヒストだな?
よし、ならばそこに並べ。一発ずつ撃つから。
【UC】使用。脳天を重点的に撃つ。撃つ。撃つ。
頭に詰まってる綿菓子を良く揉み込んで聞け、オブリビオン。
私はな。貴様らのような口ばかりで、何も変えようとせずにひたすら文句をこね続けて資源を消費し続けるクソッタレが、本当に、嫌いだ。


テン・オクトー
みんなが楽しみにしてるイベントに、我が物顔で邪魔しにくるなんて無粋なアルパカマッスルズだね。皆んなで遊ぶ事で自己中なのって嫌われるんだよ?イベントはもちろん、ゲームだって相手は人なんだよ。npcや村人じゃないんだから、暴言とかダメだよ〜。イベントとキマイラさん達を守るためにお仕置きだよ!
WIZ
うわあ、立派な筋肉ズだね…つよい?おなつよい?
ところでピカセンもいいけど鈍器振るう殴りクレリックってどう思う?ボクはね、有りだと思うんだ。結構いい勝負出来ると思うんだよね。
(反撃されにくくなるように)UCで目くらまし〜+愛用のフレイルでポコポコポコポコいっぱい殴っちゃうよ!

連携絡みアドリブ歓迎です。



●ゲームは楽しく遊びましょう
 転送が終わるなり、漂う汗臭さと連中の戯言に、テン・オクトーは顔をしかめた。
「みんなが楽しみにしてるイベントに、我が物顔で邪魔しにくるなんて……」
 アルパカマッスルブラザーズの無粋さは筆舌に尽くしがたいのだ。
 きっとゲーム中でもそうなのだろう。考えるだけで嫌になってくる。
「みんなで遊ぶのに自己中なのって嫌われるんだよー?
 なんて、正論を言っても聞かないか。おしおきを――ひっ!?」
 ぶわわっ! 突如として漂うプレッシャーに、テンは尻尾を膨らませて飛び上がる。
 そして恐る恐る振り返る、そこには腕組みした黒髪の麗人が一人……!
「…………」
 すさまじい眼力である。(男装をしているが)彼女の名は鎧坂・灯理。
 別にエクエクのユーザーというわけでは……おそらく、ないのだろう。
 だが立ち上る怒りは、サイキックエナジーとなってゴゴゴゴと漏れ出す有り様だ。
「あ、あの……だいじょーぶ?」
 テンが思わず慮るほどの激怒っぷりである。というか普通に怖い。
 ギロリ! 足元に近づいてきたケットシーを探偵が睨めつける!
「ひぃ!?」
「……猟兵か。失礼した」
 ふう、と嘆息し、目を閉じる。そして謝罪すると、灯理は一歩を踏み出した。
「私はな、好き嫌いが多いタチなのだ」
「う、うん」
「だがその中でも特に嫌いなものがある。それは――」
 ザッ。立ちはだかる彼女の前に現れる筋肉の群れ!
「エクエクは我々のものなのだ!」
「クソゲーだろうが我々のものなのだ!」
「モウヤランワコンナゲーム! モウヤランワコンナゲーム!」
 口々にゲームを罵る様にテンも再び顔をしかめる。
「こいつら、筋肉は立派なくせに! やっぱりお仕置き……を?」
 灯理はずんずんと徒手空拳で突き進む。ポージングなど意に介さない。
 そして胸元に手を入れると、無造作に銃を引き抜きトリガーを引いた!
 BLAMBLAMBLAM!!! あまりにも決断的な銃撃だ。
「「「グワーッ!?」」」
 断末魔をあげて倒れたアルパカマッスルブラザーズの屍体をさらに撃つ。
 あまりの無慈悲っぷりにブルブル震えるテン。灯理は屍体を見下ろし呟く。
「なぜそうまでして、気に入らないゲームを文句を言いながら続けている?」
「おのれ猟兵! このいやらし(BLAM!)グワーッ!?」
 脳天に一撃。ばたりと新手が倒れる。
「さては貴様らマゾヒストだな?」
「何を言うか、我々に挑戦する(BLAM!)グワーッ!?」
 脳天に一撃。台詞すら許さない。
「よし、ならばそこに並べ。一発ずつ撃つから」
「イヤラシイ! 問答無用ノ猟兵イヤ(BLAM!)グワーッ!?」
 脳天に一撃。灯理の鋭い眼差しを、ぎらりと輝くメガネのレンズが覆い隠す。
「全員殺してやる、怪物どもが」
「……こ、怖ぁあああ……!!」
 テンは震えながらよそのマッスルどもを叩くことにした。味方のはずなんだけどなあ!

「チンパン乙! 若葉からやり直してどうぞ!」
「我々のエクエクに低PSは必要ないのだ!」
「イヤラシイ! 床ペロイヤラシイ!」
 そしてやっぱりここにも居た、好き放題に暴言を撒き散らす悪党ども!
 テンは自慢のフレイルをぶんぶんを振り回しながら叫ぶ。
「ゲームだって相手は人なんだよ? NPCじゃないんだから暴言はダメだよ!」
 当然聞く耳を持つ連中ではない。なのでテンももはや問答は無用だ!
 おもむろに指先……もとい肉球を向け、天からの光を放つ!
「「「グワーッ眩しい! 眩しいグワーッ!!」
「よーし、いまのうちだ!」
 だっ、と猫の俊敏さで飛び出し、ジャンプ! アタック!
「グワーッ!?」
 ジャンプ! アタック!(頭部に)
「グワーッ!?」
 ジャンプ! アタック!(むこうずねに)
「アバーッ!?」
 あっという間にアルパカマッスルブラザーズは爆発四散だ!
「ふう……やっぱり鈍器はいいなあ」
 手応えにうっとりと浸るテン。彼も彼でだいぶヤバげなところがある。
「ピカセンもいいけど、殴りクレとかいいよね~……ワレニカゴー! みたいなさ」
 ぐるんぐるんぐるん。棘鉄球が唸りを上げて振るわれる。
 ちなみにエクエクに鈍器というべきものはない。剣か、銃か、槍か拳が基本だ。

 そして銃声が近づいてくる。倒れるオブリビオンを蹴飛ばし灯理見参!
「頭に詰まってる綿菓子をよく揉み込んで聞くがいい」
 BLAMBLAMBLAM!!
「うわっ、相変わらず容赦ないなあ。ピカセンなわけじゃないんでしょ?」
 テンは思わず聞いていた。そしてしまった、と思う。
 もし逆鱗に触れたらどうしよう!? だが灯理はふと、彼を見やり嘆息した。
「私はこいつらのスタンスが気に入らんのだ」
「……そういえばさっき、嫌いなものがどうとか言ってたね?」
 男装の麗人は頷き、言った。
「口ばかりで何かを変えようとせずに、ひたすら文句をこね続ける。
 あまつさえ資源すら消費し続けるクソッタレが、本当に、嫌いだ」
「そ、そっかぁ……」
 暗紫色のオーラを纏う探偵に、深くは聞かないでおくことにしたテンであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カイル・ヴァンガード
待てぃ!
こう!(携帯ゲーム機を持ちながらポージング)
お前らには愛がない!

本当にエクエクを愛するなら(バッ)(召喚獣カーくんを模したカチューシャをつけて)

開発スタッフさんを楽しく弄る!
ギスギスは自分から解消するよう努める!
セクハラは通報だ!慈悲はない!

一体ずつ確実にドラゴニックエンドで攻撃だ
外れたら、「怪力」でちまちま倒そう……。

ん?
お前が持ってるのはエクエクがプレイできない携帯ゲーム機、だと?
愚か者め!
エクエクが始まった時、ヨピダが言っていた「VITAミンでも遊べるようにする」という言葉を!(真偽は定かではない)
ちなみに俺はPCでもやってるからな!

アドリブ、共闘歓迎


銀山・昭平
◆心情
こういうのってどんなゲームでも湧くんだべなぁ……みんなで遊ぶゲームを自分たちだけ楽しもうって方がよっぽどいやらしいべ。

◆戦闘
どうせなら相手の土俵で戦ってやるべな。
おらも服を脱いで筋肉と脂肪のついた体を誇示するように【挑発】しながら【降魔化身法】で全身を強化してやるべ!呪縛なら体に影響は無い……筈だべ。

そして体を強化したら怪人たちをぶん殴っていくべ。ポージングで回避されそうになったら【フェイント】もかけておらの拳でもふもふの顔面をぶん殴ってやるべな!!!


バルディート・ラーガ
おっかしいなア。牌をジャラジャラするゲームが遊べっちまうと聞いて、普段やらねエよな電子ゲーム機を買ってみたものの。
横に出すアバター作ンのに時間かけたり、折角だしおめかししてやろーかなアと金策に走ったり、ついでにお話を追っかけてみたり。なんでか全然ジャラジャラやる時間がとれねエんですよね。
……あ?ミニゲームが要らねえだア?ソイツは聞き捨てならねエ。あっしが遊ぶ最大(?)にして唯一(?)の目的、大事なコンテンツですよう。

【四つ影の蛇使い】で蛇に変えた腕、徒手格闘で攻撃。複数腕でもって文字通りの連撃をブチ込んでやりやしょう。ついでに「毒使い」でもって追加ダメージも狙えりゃア僥倖ですねエ。ヒヒヒ。



●麻雀が出来るしリモートコントロールプレイも可能
「おのれ猟兵どもめ……かくなる上は!」
「我々のエクエクもろともイベント会場を!」
「ハカイスル! ハカイスル!」
 ポージングしながら恐るべきことを口走るアルパカども!
 これ以上の非道を許すわけにはいくまい!
「待てぃ!!」
「「「ぬうっ!?」」」
 そこに現れたのは、どこか底知れぬ迫力を醸し出す美形の少年だ。
 携帯ゲーム機を持ったその男は、おもむろに……ポーズを取る!
「こう! お前らのポージングには愛がないッ!!」
「「「な、何ぃ……!?」」」
 よもやこの方向から攻めてくる猟兵がいるとは思わなかったのだろう。
 どよめくアルパカマッスルブラザーズに、少年……カイル・ヴァンガードはまくしたてる。
「本当にエクエクを愛するならば――」
 サッ。召喚獣のカームンクル(※エクエクのマスコットキャラの一つ。通称は"ムータン")を模したカチューシャをなぜか装着するカイル。
「開発スタッフさんは楽しくイジる!
 ギスギスは自分から解消するよう努める!
 そしてセクハラは即GMコール! 慈悲はない!!」
 と、ポージングしながらピカセンの心得を問いてみせた。

「おやァ、なんだかずいぶん吹き上がっておりやすねェ?」
 そんな彼らを見かねてふらりと現れた、蛇めいたドラゴニアンあり。
 彼の名はバルディート・ラーガ。エクエクにまつわる事件を解決した猟兵でもある。
「しかしおっかしいなア。あっしはただ牌をジャラジャラしたくて手ェ出したんでやすがね?
 気がついたらアバター作ンのにめちゃくちゃ時間かけてたんでやすよ」
 そう、エクエクは……麻雀も、遊べる……!!
 アバターというのはいわずもがなプレイヤーキャラクターのことである。
 噂によれば、彼のように麻雀目当てで飛び込んだはずが本筋に夢中になるピカセンも数多くいるのだとか。
「ンでアバターこしらえたら、せっかくだしおめかししてやろーかなアってなるでやしょ?
 金策ついでに話追っかけて、レベル上げて……なんでか全然牌をイジる時間がとれねエんですよなア」
 つまり大ハマリということだ。彼もまた、ピカセンである。
「おのれ猟兵め、我々のエクエクを私物化しおって!」
「金策をしていいのは我々だけなのだ、こいつめ!」
「BOTジャアリマセン! BOTジャアリマセン!」
 などと喚き立てるマッチョどもにしゅるるる、と舌を鳴らす。
「私物化してンのはアンタがたのほうでやしょう? 御託はいらなさそうですねエ」

「そうだべ! ゲームはみんなで遊ぶものだべ!」
 のっし、のっしと巨大なレンチを抱えたドワーフまで参戦だ!
 銀山・昭平。ものすごく和風な名前と田舎っぺな口調も相まって、ドワーフというよりおにぎりとか好きそうな大将オーラがものすごい。
「それにしてもこういうのって、どんなゲームでも湧くんだべなあ……。
 おらはネトゲ? とかよくわかんねえっぺさ、けどおめぇらが悪ぃ奴らだっつのはわかる!」
 100cm弱の体に満ち満ちるパワーは、はちきれんばかりの筋肉で一目瞭然。
 すると彼は突然……ぬ、脱いだ!?
「「「変態か猟兵ーっ!!!」」」
「違うっぺ! 見てみぃ、おらのこの体を!!」
 変態そのものの台詞を言いつつ、むきっとポージングする昭平。
 筋肉の上に脂肪がついた体は一見すると頼りなさげにも思える。
 だがウェイトは、パワーだ。溢れる自信も相まって威圧感はものすごい!
「「「ぬうううう……!!」」」
「ふんっぬぐぐぐ……!!」
 互いにポージングをして睨み合う。ノコッタ! ノコタノコータ!
 キマイラ達もごくりと息を呑む。ところでこれなんの会場だっけ?

●それはそれとして
「よし、こうなれば俺達も協力しよう!」
「勿論歓迎でさアよ、あっしてよければねエ」
「おら、ぶちかましてやるっぺ!!」
 かくして偶然集った三人の猟兵は、互いに頷きあった。
 バルディートは己の片腕を、四つの蛇の頭部へと変化させる。
 カイルは、なぜか後生大事に携帯ゲーム機を抱えたままドラゴンランスを構えた!
 睨み合う両軍……やがて会場のどこかから、シャキーン! という効果音!
「「「ウオオオオオーッ!!」」」
「「「行くぞぉーっ!!」」」
 マッスルと猟兵が、いま、ぶつかり合う……!!

「愛なきオブリビオンなどに、俺は負けんッ!」
「グワーッ!?」
 一体、また一体と立ちはだかるアルパカマッスルを打ち倒すカイル。
 まさに無双の働きぶりだ。槍の間合いから逃れられる敵はいない!
「ま、待て貴様! それだ、そのゲーム機はなんだ!」
「んん? なんだ、とはどういう意味だ」
 隙を生み出そうとしたアルパカマッスルは、カイルを指差し喚き立てる。
「貴様はピカセンがどうこう言うが、そのゲーム機ではエクエクを遊べなグワーッ!?」
「愚か者め……!」
 無慈悲な槍と、現れた龍の幻影がマッスルを滅ぼした。
「プロデューサー兼ディレクター兼プロジェクトリーダーの人が言っていただろう!
 いずれこのゲーム機でも遊べるようにする、とな……!!」
 彼は自信満々に言う。だがその発言、割と信憑性に乏しい。
 もしかするとどこぞの悪徳まとめサイトが流布した風評かもしれない。なんたることか!
「まあ俺、PCでもやってるんだけどな」
 身も蓋もなかった。

 一方こちらはバルディート。四つ首の蛇が縦横無尽に敵に襲いかかる!
「SSSSSSSHHHH!」
「グワーッ!?」
「SSSSSSSHHHH!」
「グワーッ!?」
「ヒヒヒ。毒のおかわりもありやすよォ?」
 無慈悲! 牙から分泌される毒液はそれ自体が致命的だ!
 ちなみに、毒のようなダメージを与えるタイプのステータス異常を、ネトゲ用語でDoTと言う。
 ダメージ・オーバー・タイムの略である。ふとした時に使うとかっこいい!
「さっさと帰ってジャラジャラしてエんですよねェ」
「貴様……ミニゲームなぞにうつつを抜かしおって!」
「……あ?」
 ぞわり。アルパカマッスルは総毛立った。
 バルディートの目つきが一変した。瞳孔が開き、人を殺しそうな目をしている。
「どうしてミニゲームを要らねエとかいう輩が生きてんでございやしょう……」
 なぜか包丁を片手にぽつりと呟くバルディート。コワイ!
「アイエエエ!」
「聞き捨てならねエなァ。あっしが遊ぶ最大にして唯一の目的でさアよ?
 ミニゲームだって大事なコンテンツなんだ、それを要らねエたあ……」
 SSSSHHH! 蛇が噛み付く!
「グワーッ!?」
「ちいとばかし、食わせて頂ますよう……ヒヒヒ!」
「グワーッ!? グワーッ! グワーッ!? アバババババーッ!?」
 おお、おお……! 触らぬ神に祟りなし……!!

 そしてこちら。イベント会場に特設された土俵である。
 ……土俵? さすがにエクエクは相撲までは遊べないゲームなのだが!
「にーしー、アルパカー山ー」
 行司役を任されたキマイラが軍配を掲げると、アルパカマッスルが四股を踏む。
 どこからか用意してきた塩をぶーんと振りまき、気合い充分だ。
「ひがーしー、昭平ノ海ー」
「ごっつぁんだっぺ!!」
 ぺしーん! とやわこい肌をはたきつつ土俵入りする昭平。
 山椒は小粒でもぴりりと辛いとはよく言ったもの。四股を踏むと会場が揺れる!
 ……誰も突っ込む輩はいないようだ。降魔化身法のパワーは凄まじい。
「見合って見合ってー」
「我々の土俵を、いやらしい……」
「地平線の果てまで投げ飛ばしてやるっぺ!」
「ノコッタ!」
「「ドスコーイ!!」」
 ズパァン! 筋肉と筋肉がぶつかり合う! 汗が迸る!!
 ここは大相撲キマイラ場所。ピカセンとは汗に光るまわしのことだったのか!?
「ヌウウウウウ……!!」
「グヌヌヌヌヌ……!!」
 見よ。背丈の差は倍近いにも関わらず、昭平は土俵際で踏ん張っている。
 レンチはどうした? フェイントっていうのは多分ねこだましのことだろう。
「今日は昨日よか……!」
「ヌウッ!?」
「良い日になるっぺぇー!!」
「グワーッ!?」
 お見事! 昭平は見惚れるほどの上手投げでマッスルを投げ飛ばした!
 座布団が飛び交う! 勝ったのは昭平ノ海! 昭平ノ海!
「…………これなんのイベントだったっけっぺか?」
 いまさらそれを言うのか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『怪人アルパカマッスル』

POW   :    ポージング
自身の【肉体美の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    鋼の筋肉
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    つぶらな瞳
【つぶらな瞳で見つめること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞳から放たれるビーム】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●おや? ブラザーズの様子が?
「おのれ猟兵めーッ!」
「我々のエクエクを奪うつもりかーッ!」
「イヤラシイ! 猟兵イヤラシイ!」
 ついに追い詰められたアルパカマッスルブラザーズは一斉にイベント会場の外へ飛び出す!
 まだこれほどの数がいたのか!? だがこのまま叩きのめせば!
「「「フッフッフ……」」」
 だがマッチョどもは不気味に笑う。そして奴らは……おお、おお!
 組体操めいて一段、また一段と積み上がっていくではないか! そして!
「「「ウオオオオオーッ!!」」」
 一斉にポージングした瞬間、全てのマッスル達が輝きに包まれる……!

「……お、おい」
 その時、会場内に避難していたキマイラは見た。
「え? 何?」
「あ、あれ見ろよあれ!」
「うわっ、何だあれ!?」
 三人のキマイラは外を見やり、そして恐怖した!
 イベント会場の外、そこには見上げるほどに巨大な……巨大な!!

 ――偶蹄目兼ラクダ科兼オブリビオン、アルパカマッスルです。

 なんたることか。アルパカマッスルブラザーズが、合体したのだ!
 そして奴らは超巨大なアルパカマッスルへと進化したのである!

 ――すべての猟兵、すべてのピカセン、すべての鯖を破壊し……。

 大音声が響き渡る。そして奴のつぶらな瞳が、ぎらりと輝いた。

 ――そして私も消えよう……永遠に!!

 キマイラ達はそれを呆然と見上げる。そのさまは、まさに……。
「おい……おい」
「オイオイオイ……」
「オイオイオイ!」
「「「大巨人(タイタン)!!!」」」
 そう、まさに巨人。これではイベントどころの話ではない!
 無垢なるゲームプレイヤー達の幸せを守るため、巨躯に挑め。猟兵達よ!
●業務連絡
 21日の夜ごろから執筆を開始します。
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

タイタン……まぁ、確かに巨大ですね。
実物は見たことないですけど、
これが同じと言われるとちょっと……。
BGM? また何か俺の分からない話を。
ピカセンも鯖も俺には一切無関係ですけど、
討伐だけは協力しましょう。暑苦しくて不愉快なので。

そんな理由でかばわれても全く嬉しくないんですけどね。
庇われてばかりでは面目が立ちませんから、
何かあれば俺も蠢闇黒を使って庇います。
借りは作りたくないので。……という事にしておきましょう。

タイミングは合わせます。
はいはい、もう全部好きにしてください。
影より出ずる者で動きを止めて、
あとはどうぞお好きなように。

俺は、早く、帰りたいです。


オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

あの大きさ……大巨人(タイタン)だ!
くうぅっ、あのBGMが頭の中で流れてくるよ!
ドラゴンナイトオルハスの出番だね
ヨハネス……って呼んだら怒られちゃうか
ヨハン、私達ライトなパーティーだけど息はぴったりだと思うの
あいつを討伐して全ピカセンと鯖を守り抜こうね!

巨体で影も大きいし、UCで攻撃力を拝借するのも容易い
ヨハンに襲い掛かったら【武器受け】でかばう
させないよ
彼は私の大切な、未来のピカセンなんだから!

攻撃する時はタイミングを合わせたいな
ヨハン、側面から挟み込もう!
向きを気にするのはピカセンの常識
効率よくダメージを与えていかなきゃ

ねぇ、君もそろそろエクエクに興味湧いたよね?



●アルパカマッスルの慟哭
「あの大きさ……まさしく、大巨人(タイタン)だ!」
 見上げるほどの巨体となったアルパカマッスルを睨め上げるオルハ・オランシュ。
 いや、よく見ると割とワクワクしている。握り拳などを作って身を震わせている。
「くうぅ~っ、あのBGMが頭の中に流れてくるよ!
 これこそまさに、ドラゴンナイト・オルハス(※エクエクでのPC名)の出番だね!」
「…………」
 そんなオルハを、ヨハン・グレインは絶対零度に近いジト目で見ていた。
 なんだこれは。この娘、こんな子だったっけか? これがいわゆるゲーム脳?
「……まあ、たしかに巨大ですね」
 しかしマッチョである。さらにいえば頭部はもふもふのアルパカだ。
 なによりギラリと輝く黒いビギニパンツ。悪夢のような光景である。
 様々な世界の神話や伝説に巨人は名を残して久しいが、さすがにこんなわけはない!
「ところでBGMってなんですか。また俺のわからない話を……」
「ねえヨハネ……ン!」
「いま明らかに言いかけたのを無理やりごまかした間ありましたよね」
 オルハは露骨に視線を逸らした。
「そ、そんなことより! ……私達、ライトなパーティだけど息はぴったりだと思うの」
「ライトなパーティってなんですか」
「あいつを討伐して、全ピカセンと鯖を守り抜こうね!」
「……まあ、ピカセンだの鯖? だの、俺には一切無関係ですけど」
 ヨハネス……もといヨハンは、聳え立つマッスルを暑苦しげに見上げた。
 ものすごい不愉快そうな顔である。まあ気持ちはよくわかる。
「討伐だけは協力しましょう。……来ますよ」
 オルハは弾かれたように巨体を見上げる。拳を振り上げるアルパカマッスル!!

 ――ぬうん……ッ!!

 大音声が響き渡り、ぐおんと大気を引き裂くすさまじい大きさの拳。
 いちいち動作するたびに全身の筋肉が脈動している! 気持ち悪い!
「させないよっ!」
 オルハは大地を蹴り、その拳がヨハンへ到達する前に自ら盾となった。
 ウェイカトリアイナの柄を両手で握りしめ、真っ向から巨拳を……受ける!
「なんて無茶を……あの程度避けられますよ」
「そうはいかないよ、だってヨハンは大事な――」
 ぎぎぎぎぎ、と力比べをこらえながら、オルハは後ろを振り向き莞爾と笑った。
「ヨハンは大事な――私の大切な、未来のピカセンなんだから!」
 ……身構えていた少年がシリアスな顔のまま軽くずっこけたのは無理もない。
「そんな理由でかばわれても全く嬉しくないんですけど……」
「大事なことなのっ!!」
 オルハは言いながら勢いをつけて拳を蹴り、敵の注意を自らへ惹きつける。
 アルパカマッスルは時折なぜかポージングをしつつも(なぜかというとそれはユーベルコードだからだ)、
 巨体に見合ったパワーとスピードでオルハを追い詰めていく!

 ――おのれ、横暴なる猟兵め……!

 拳を足を振るってまとわりつく猟兵を振り払うアルパカマッスル。
 会場を攻撃しようにも、熾烈な攻撃の雨がそれをさせてくれない。
 ならばと奴がつぶらな瞳をぱちくりさせれば、両目がぎらりと輝いた!
「! 来る……っ!?」
 まさにその瞬間、敵のタフネスを奪い取ろうと影を狙っていたオルハ。
 彼女をフォーカスしターゲットしたビームが、つぶらな瞳から放たれ……!
「こんな状況でも、俺は借りは作りたくないんですよ」
 ――しかしその光線は、ヨハンの指輪から放たれた蠢く闇に呑まれていた。
 さながら帳めいてオルハを覆っていたそれが、ぞわりと泡立つ。
「汗臭いし暑苦しいし訳がわからないし、とにかく不快だ。――鳴け」
 直後、闇から放たれる影の黒刃! それは巨体を覆うほどに無数だ!

 ――ぐおおおおお……っ!?

「やった、今ならっ!」
 オルハはすばやく影を三又矛で貫き、力を吸収。
 黒刃の攻撃によって足止めされたアルパカマッスルを見、確信的に頷く。
「ヨハンっ!」
「今度はなんですか」
「側面から挟み込もう。敵の向きに注意するのはピカセンの常識だよっ!」
 この期に及んでチュートリアル! なんと熱心な布教精神か!
 いい加減ツッコミにも疲れてきたヨハンは、はいはい、と曖昧に返事をしつつ、しかし彼女に合わせて対面へと滑るように移動する。
「行くよヨハネスっ、パワーをユーベルコードに!」
「やっぱり呼んでるじゃないですかもう好きにしてください……ああ、もう」
 こんなテンションでも体に精神に刻みつけた術式は半ば無意識に発動する。
 アルパカマッスル自身の影が錐めいて起き上がり、守りを固めようとした奴の両腕を貫いたのだ。
「見切れるなんて――」
 一方のオルハ、くるりと一回転しながら矛を敵の筋肉へと突き刺し押し込む。
 まさにヘヴィなスラストだ。そしてウェイカトリアイナを足場に跳躍!
 その勢いで矛を抜きつつ、空中で風を纏い再び槍を構えた!
「……思わないでくれるっ!?」
 続けざまの連撃は、まさに竜の牙爪のごとき鋭いアタックだ!

 ――わ、我が筋肉の鎧が、おのれ猟兵め……筋肉の怒りを教えてくれる……!!

 あがくアルパカマッスルから、二人はすばやく距離を取った。
 しかめっ面のヨハンを見やると、オルハはにっこりと微笑んだ。
「ねぇ、君もそろそろ」
「特に興味は湧いてません」
「えーっ!? なんで!? まさか、ヨハン……超えるパワーを!?」
 台詞を先取りされたこととセメントな反応に心底驚きのオルハ。
 ヨハンはもう何度目かもわからぬため息を突いて、低く低く言った。
「俺は、早く、帰りたいです」
 しかしまだ敵は健在なのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鎧坂・灯理
『大男 総身に知恵が 回りかね』という川柳を知っているか?
貴様の事だ。

【WIZ】
弁慶の泣き所にレールガンを撃ち込むのも悪くはないが、おそらくその辺りは他の猟兵もやっているだろう。
私が狙うのは上だ。バイク(チェーンタイヤ)で体表を走り、頭部まで上る。毛皮の辺りは空中を走って避ける。ビームを撃ってきてもいいぞ? 当たるのは貴様自身だがな!

そして耳の穴に近付き、手榴弾をピン抜いて投げ込む。
以下繰り返しだ。

ハッ、えげつないだの目付きどころか精神性までオブリビオンかだの好きなだけ言うがいい!
むしろ同じ土俵に立ってやっていると感謝してほしいものだな!
怯えろ! すくめ! そして*ね!


ビードット・ワイワイ
見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり
主張の結論単なる破壊
ゲームする意思どこにあり?
汝がするはゲームにあらず?
マナーも守れずゲームもやらず?
マナーを守りてゲームせよ
それができねば破滅なり

UCにて過去の大陥没を再来
容易に動けぬ大穴を招来せり
これにて動きを封じ仲間の動きを支援せり
封じれたならば【属性攻撃】にて酸属性を付与した【誘導弾】を【スナイパー】にて顔に狙いを定め【一斉発射】し【援護射撃】を行いけり

ポージングしようと動けぬならば問題なし
ビームなぞUCの恩恵に加え【ダッシュ】し逃れよう

なんとまあ憐れな存在かな
ゲームやらぬ我でも知りしことも知らぬとは
マナーを守りて楽しくプレイ


テン・オクトー
大巨人に!?ひゃ〜!踏まれないようにしないと。ただでさえ暑苦しい筋肉なのに大きくなるなんて耐えられない。イヤラシイのは君達だよ!もう!会場めちゃくちゃにしないでよね。
WIZ
【クライミング】で登ってみようかな?マッチョポーズとってるなら登りやすそうだ。【つぶらな瞳】を向けられない場まで登れたらUCでマッスルを攻撃するよ。UCの鉤爪で頭部の毛を刻んだり、竜巻効果で顔しっちゃかてっちゃかにして立ってられないようにつとめてみるよ。
マッスルの汗でぬるっと足場が滑って…あ、あ、落ちる〜?この大巨人との戦闘で落ちる感じやだ〜!ワレニ加護ォーゥ…

連携アドリブ歓迎です。



●アルパカマッスルの憤怒
 ファンイベントを守らんとする猟兵達の攻撃は苛烈の一語。
 だが敵も、ただ見た目を誇示するためにこんな巨大化をしたわけではない。

 ――ファファファ……これが筋肉の力だ……!

 やけに安定しないキャラで勝ち誇るのがなおさら苛立たしい。
 鋼の筋肉を誇示して攻撃を受け切るアルパカマッスルを、ぎらりと睨め上げる鎧坂・灯理。
「……"大男/総身に知恵が/回りかね"という川柳を知っているか?
 こんな言葉もあるぞ。"独活(ウド)の大木、蓮木刀(はすぼくとう)"とかな」
 アルパカマッスルのつぶらな瞳が訝しげに吊り上げられる。
 それを見上げながら、探偵は相手より厭味ったらしく片眉を吊り上げ、嗤った。
「貴様のことだ。見た目ばかりの役立たずめ」

 ――探偵エェェェェーッ!!

 アルパカマッスル、キレた! 全身の筋肉にも縄めいた血管が浮かび上がる!
「ひゃ~! これ以上怒らせてどうするのさぁ!?」
 テン・オクトーは灯理のクソ度胸に思わずツッコミを入れた。
 ただでさえ暑苦しい筋肉ダルマが、巨大化したうえにブチギレ状態なのだ。
「イヤラシイのはどっちなんだか……もう!」
 ふん、と探偵は悪びれずに鼻を鳴らす。むしろ褒め言葉だと言いたげである。
 会場をメチャクチャにされる前に、あれをなんとかせねばなるまい。
 とはいえ他の猟兵はもとより、テンはケットシーである。とにかく小柄だ。
 自慢のフレイルも、タンスの角に小指をぶつけた程度の痛みしかもたらすまい。
 ……意外と効くのではなかろうか? というのは秘密である。

「主張の結論単なる破壊。見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり」
 そんなところへガシャガシャと駆けつけたのがビードット・ワイワイ。
 カメラアイをギョロギョロと不気味に蠢かしながら、彼は敵を嘲笑う。
「ゲームする意志どこにあり? 汝がするはゲームにあらず?
 マナーも守れずゲームもやらず? マナーを守りてゲームせよ」
 見た目と言葉遣いに反して、主張は割と真っ当なのが彼の不思議なところ。
 それが出来ねば、早晩待っているのは破滅である。さもありなん。
 ただしゲームの迷惑プレイヤーの厄介なところはもうひとつあるのだ。
 そう……放っておくと、最悪そのゲームの環境そのものを破滅させること。
 まあこの場合、物理的な破滅でもあるのだが。分からず屋は切り離すほかにない。

「弁慶の泣き所にレールガンでも撃ち……いや、もっと手っ取り早い手があるか」
「なんでプランがいちいちえげつないの!?」
 思わず口を挟んだテンをギロリと睨み返す灯理だが、そこで閃いた。
「猫。ふむ、なるほど」
「えっ……何?」
 訝しむテンをよそに、灯理は持っていたトランクのキーを開いて地面に放る。
 するとどうだ、開かれたそこから出るわ出るわ物騒な武器の数々!
 物理法則など無視もいいところ、改造バイクまで現れる始末。これぞユーベルコードの力だ。
「猫ならば足場を昇るのは得意だろう? 頭を叩くぞ」
「た、確かに登りやすそうだけど……」
 ピクピク震える大胸筋伝う、ぬるっとした汗の筋。おえ~という顔になるテン。
 灯理はバイクで突撃するつもり満々だが、相手が防御を解いたらかなり骨だろう。

「案ずるなかれ猟兵よ、マナーを守らぬ輩に破滅は来たれり」
 かちかちとマニピュレータを鳴らしながら、ビードットが言う。
 彼の背面コンテナに光の線が走り、内部から名状しがたい補助具が現れた!
「実行仮想破滅(アクセス・イマジナリールーイン)、対象キマイラフューチャー。
 救われなかった記録(ロストレコード)、検出。招来開始(ロードルーイン)」
 因果律を捻じ曲げる音ならぬ音が空間に響き渡る。それはまるで割れ裂けるように。
 ……いや、比喩ではない! アルパカマッスルの足元に、亀裂が!
「星の記録を読み解きて、人の傲慢の再来を望む。割れが喚ばうは太古の破滅。
 すなわち――斯様な巨体とて逃れ得ぬ大陥没、いわば大地の怒りなり」
 びし、ビシビシビシ……バゴンッッ!!

 ――な ぜ だ ? !

 アルパカマッスルがそう叫んだのも仕方あるまい。なにせ突如足元が大陥没を起こしたのだ。
 だがこれもまたユーベルコード。運命すら捻じ曲げる超常の力である!
「これにて汝の動きは封じれり。マナーを守らぬ輩に守る道理なし。
 いざや進めり猟兵達よ、汝らの道筋に破滅はあらず。我は汝らを支援せり」
「ハッ――私に文才があれば、貴様のえげつなさを褒め称えていたところだ!」 灯理は凶暴に笑い、バイクのアクセルを一気に開いた。後部座席にテンが飛び乗る!
「今のうちだ、ごーごー!!」
 ウォオオオンッ! と怪物じみたバイクが吠え、二人を猛烈な加速へ誘う。
 すさまじいスピード! もがくアルパカマッスルが視線を向けようとするが、
「遅いなァッ!」
 然り。灯理は華麗なドライビングテクニックで光条を次々に回避する。
 スピードはさらに高まる。なんたる馬力、まさにクレイジーなモーターサイクルだ!
「わわわわわ、落ちる落ちるぅ~!?」
 テンはひっつくので精一杯だが。それでもフレイルは手放さない。

 ――貴様、本当に猟兵か!? 目つきも根性も最悪の女め!!

 ぎしぃ、と探偵の口元に鮫じみた笑みが浮かぶ。コワイ!
「むしろ正面から同じ土俵に立ってやっていると感謝してほしいものだな!
 さあ怯えろ、竦め! 泣いて叫んでそして死」
「それ以上はまずい気がするし体に乗るからハンドル握ってぇ~!!」
 グォオンッ!! バイクがごつごつとした筋肉の体を岩肌めいて駆け上る!
 アルパカマッスルは再びつぶらな瞳にエネルギーを収束させる、が!
「見たり見たり見たり。汝の迂闊を見たり」
 慧眼! ビードットの放った誘導弾が頭部に命中し、弾けた酸が奴の目を灼く!

 ――酸属性のミサイルとは一体……うごごご!!

「ご、ご先祖様ぁ~! 我に加護ぉーう!!」
 肩口まで乗り上げたところで、いよいよテンがユーベルコードを発動。
 彼にひっつく形で召喚された古代の魔導師ケットシーが、しゃきんと爪を出す!
「好きなだけ吠え面をかけ、木偶の坊がッ!」
 手榴弾! 灯理は歯でピンを引き抜き、迷わず耳の穴へ投擲する。
 それを後押しするかのように魔法の竜巻が吹きすさび、テンの体を押し出した!
「落ちるのやだぁ、ぺろりたくないよ~っ!?」
 半ば狂乱状態でテンは魔導師の霊に掴まり、そして霊体が鉤爪で頭の毛を掴む。
 ……爆発! おまけに横っ面に叩き込まれるフレイルの連打!

 ――グワーッ!? グワーッグワーッグワーッ!!

 おお、おお……なんという頭部重視の無慈悲かつ容赦なき集中攻撃!
 見守っていたキマイラ達も割とドン引きだ! 猟兵って割と怖い!
 ヒーローの概念が乱れる……! でも写真とかはパシャパシャ撮ってるあたりミーハーだ。
「目だ! 耳だ! 鼻だァ!!」
「早く倒れろっ、このこのこのこのーっ!!」

 ――わ、私がこうも追い詰められ……ウボァー!

「なんとまあ哀れな存在かな」
 爆発と竜巻と爪と鉄球に苛まれる巨体を見上げ、ビードットは嘯いた。
 ゲームを遊ばぬウォーマシンとて、常識は知っている。それすなわち……、
「マナーを守りて楽しくプレイ。これぞ当然の約束なり」
 でないとこうやって怖いお姉さんとケットシーとロボにボコボコにされるのだ。
 ハラスメントはよくない。皆も忘れないようにしよう!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●突然ですがここでカメラを会場内に
「猟兵頑張れー!」
「猟兵負けるなー!」
「火力出してけー!」
 安全な会場内から、スマホやらを掲げつつ応援するキマイラ達。
 だがファンイベントは遅々として進まぬ。進められるはずもない。
「でもどうしよう、このままじゃ楽しいファンイベントが」
「そうだよ。エクエクのファンイベントはステージが盛りだくさんなんだ!」
「プロデューサー兼ディレクター兼プロジェクトリーダー自らによる基調講演とか、
 開発スタッフを招いた裏話とか本当に楽しい内容が目白押しだもんね!」
「おまけにエクエクになぞらえたアクティビティまでだってー!?」
「スタンプラリーやプライズ景品もあるんだ! すごい!!」
 彼らは誰に向けて話しているのだろうか。
「楽しみだなあ、最新拡張パックの新情報!」
「トレーラーもまだまだ謎が山盛りだもんね!」
「ここにいないピカセンも、配信サービスでリアルタイムに楽しめるし!」
「「「早くファンイベントを楽しみたいなー!」」」

 そう、ファンイベントは楽しい……とても楽しいし、イベントが盛り沢山だ。
 キマイラ達はワクワクしている。猟兵達よ、頑張ってくれ!
●業務連絡
 極めて緻密な事情により、残りのプレイング採用は夜22時以降に行います。
 動画配信サイトとかで楽しいイベントなどを見ながら……お待ち下さい!
アルジャンテ・レラ
……
…………
私にはまだ、知らないことしかないのでしょうか……。
もはや何が何やら。
状況を一部しか把握できていませんが、
私物化したと思いきや、破壊の限りを尽くしてから消滅すると?
全く理解に苦しみますね。

筋肉を鋼と化すのは結構ですが、
いつまでもそのままではいられないでしょう。
むしろわざわざ10秒与えてくださったことに感謝したいぐらいですね……。
射る準備はできています。
硬度強化が解除され次第すぐに射抜きますよ。
覚悟はいいですね。

しかしプレイヤーの方々は妙に熱い。
生憎私にはそのような娯楽を楽しむ機能は備わっていませんが、
趣味へあのように熱意を高められるとは……
ゲームより皆さんに対し興味深いです。


銀山・昭平
同一化したって事はつまり大勢で集中放火をしてると見せかけて実は一方向からしか攻撃が来てないので簡単に叩き落として勝利可能って事だべさ!
そういえばエクエクは定期的に力士実装ネタで盛り上がるって聞いたことがあるべ。

ただこれだけでけぇと流石にさっきみたいに相撲の要領で投げ飛ばすのは無理だべ。
というわけで今度はちょっと道具を使わせてもらうべさ!【ガジェットショータイム】で取り出した塩?撒き機から清めの塩(ぬるぬるするだけで機械に影響はありません)を撒いてあいつを転倒させてやるべ。
転倒してる間に『属性武器』でエンチャントファイアした張り手を更に『マヒ攻撃』も乗せて食らわせてやるべ!!


黒川・闇慈
「ゲームだとこういうボスからはレアドロップがありそうですが……あまり欲しくなりませんねえ。クックック」

【行動】
wizで対抗です。属性攻撃、全力魔法、高速詠唱の技能を活用して失墜の一撃を使用します。
相手の頭上、視界の外から攻撃すればビームに迎撃されることもないでしょう。相手を挑発してこちらに注意を向けさせた所で不意打ちといきましょうか。
「合体したにしては筋肉のキレが物足りませんねえ。パンチングマシーンで100とか出せないんじゃないでしょうか。クックック」
こんな感じですかね。

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】


リヴェンティア・モーヴェマーレ
【WIZ】
あら…あらあらぁ…
顔だけ見たらとっても可愛いノニ、前身みるととっても豪快なアルパカさんな気持ち…

あの筋肉には勝てませんが、つぶらな瞳の勝負ならうちの子だって負けてませんヨ!
さぁ、いでませ我が子達!
お仕事のお時間…でス!

私は攻撃を受けて召喚が解除されないよう[目立たない]ように[迷彩]を駆使して[ハッキング]して[情報収集]し、弱点を探りつつ戦ってくれてる子達に指示
少しの攻撃なら[激痛耐性]で何とか我慢したい気持ち

召喚が解除されたらUCを使用し[全力魔法]で攻撃デス!

ファンイベントを成功させる為にも頑張らねばなりませんが…ハムちゃん達無理はしなくてダイジョブですからネー!



●アルパカマッスルの激震
 物理的に足止めされ、ひたすら頭部への集中攻撃を受けるアルパカマッスル。
 ダーティプレイを厭わぬ猟兵達。
 それを讃えながら録画とかするキマイラ達。
「………………この世界はこれがデフォルトの状態なんでしょうか」
 アルジャンテ・レラは、半ば呆然としつつ呟いた。
 どうやら彼は、この世界……すなわちキマイラフューチャーでの戦いが初めてのようだ。敵が珍妙なら住人もみな珍妙である。
「心なしか、猟兵の皆さんも妙に血気盛んだったりうわ言を口にしているような」
「それは間違っていませんねえ」
 クックックと陰気な笑みを浮かべながら、黒川・闇慈が肯定した。
 長い漆黒の髪を流す魔導師の、底知れぬ魔力と気配にアルジャンテは戦慄する。
 深い智慧を感じさせる術士に対し、書痴として敬意を示すべきだろう。
 などと彼が思っていると、
「ゲームだとああいうボスからはレアドロップがありますからねえ。
 皆さんが必死になるのも無理からぬもの……まあ、私はあまり欲しくありませんが」
「えっと、今なんと……?」
 敬意は雲散霧消した。でもこれがキマイラフューチャーなんだ。

「あら……あらあらぁ……」
 爆炎と竜巻とあと爪とかフレイルとか色んなものに責められる巨体を見上げ、リヴェンティア・モーヴェマーレは半ばのほほんとした声を漏らす。
 つぶらな瞳は潤んでいた。涙に? いや、レーザービームの初動気配に。
 彼女の隣を極太のビームがビャーッ!!とつんざくが、彼女は驚かない。
 何故に? 彼女は……可愛いものが、特に動物が大好きだからだ!!
 なので心なしか彼女の目も(ビームではなく期待に)キラキラしている……。
 のだが、視線が頭部から胴体、そして下半身から足元に降りていくと、目に見えて落胆する。
「顔だけはとっても可愛いアルパカさんなノニ、全身見るととっても豪快な気持ち……」
 怪人とはそういうものである。しかし人形少女は凹んだままではいない。
「あの筋肉には勝てませんが、瞳のつぶらさならうちの子だって負けてませんヨ!」
 さっそくユーベルコードを発動し、可愛い仲間達を喚ばう時だ!
 と、彼女がお気楽なポーズを取った……まさにその時!

 トン、トトン、トントン。トン、トトン、トントン……。
 なぜかあたりに響き渡る跳ね太鼓。どこかから座布団も飛んでくる。
「え? え? なんでス、コレ?」
「ひがーしー、昭平ノ海ー」
「えっ?」
 なぜか軍配を持ったキマイラが行司めいてそれを掲げた。
 というか実際行司だ。遅れてやってくる上半身裸のガチムチドワーフ!
 ……リヴェンティアどころかアルジャンテや闇慈も否応なく視線を奪われていた。
 当人である銀山・昭平はすり足でじりじりと土俵、もとい戦場に駆けつけると、
「ドスコーイ!」
 見事な四股を踏む! 100cm程度の矮躯に満ち満ちる大膂力! 大銀杏!
「さあ、おらの上手投げであいつを放り投げてやるっぺ!」
「なんで大相撲みたいなことになってるんですか……?」
 アルジャンテのツッコミはしごく真面目だった。そこでドワーフは我に返る。
 そうだ、こんなことをしている場合じゃない。そもそも自分は化身忍者だ!
「付け加えると、あんな巨体は放り投げられる気がしませんねえ」
 クックックと笑う闇慈。それもそうだっぺ!! みたいな愕然顔になる昭平。
「言われナイと気付かなかったんでス!? 天然な気持ち……」
 すすっと微妙に距離を取るリヴェンティアであった。年頃の女の子ですからね。

「……もう何がなんやらさっぱりですし、状況も一部しか把握できてませんが」
 自分には知らないことしかないような気がしてきたアルジャンテは頭を振る。
 落ち着け。ペースが大事だ。ペースを奪われたら多分自分もアレになる。
「ゲームのイベント会場を私物化したと思ったら、破壊の限りを尽くして自己消滅。
 わけがわかりません、まったく理解に苦しみますね」
「同意見だっぺ! そもそもあいつは合体したってことは……」
 したということは? まさかなにか秘策があるのか?
 一同の視線が昭平に集まる。いなかっぺドワーフは胸板をどんと叩いた。
「実は一方こうからしか攻撃が来ねえから、簡単に場外で勝利出来るってことだべさ!」
「まだ相撲脳から戻れていませんねえ……」
 場酔いは深刻だ。だが本人はやる気十分なのでそれに任せたほうが良い気がする。
「とにかく、早く追撃を仕掛けて撃破を――」
「! あれ! なにか様子がおかしいデス!」
 リヴェンティアの叫びに、猟兵達は弾かれたように敵を見やる。そこには!

 ――ぬううううん……とぅあっ!!

 おお、なんたることか! アルパカマッスルが……跳んだ!!
「あの巨体で……!?」
 アルジャンテはすばやく弓矢を構えながら驚嘆する。
「つまりそれだけの衝撃が来ますよ、否応無しのようですね!」
 闇慈の魔力に応じ、ブラックシェードの裾がばたばたと翻る。
 彼が白いカードを展開すると、さながらそれはカーテンめいて一同を包み込んだ!
「やってやるっぺ! まずはおらに任せるべさ!」
 昭平ががつんと拳を打ち合わせ、ガジェットを召喚! ……妙な機構だ。
 だがツッコミを入れている暇はない。巨体が地面に……落下する!!
「うわ……っ!?」
 すさまじい衝撃。闇慈のホワイトカーテンがなければどうなっていたことか。
 リヴェンティアはすばやく思考を切り替える。先達の猟兵達に負けぬ戦いをしなければ!
「さぁ、おいでませ我が子達! お仕事のお時間……でス!」
 指を天高く掲げて喚ばえば、彼女の周囲にポン! ポポン! とファンシーな煙。
 さらに彼女自身の体がステルス迷彩めいて周囲に溶け込んでいく。機構!
「ハムちゃんにチンチラちゃん、ゆけゆけGOGO~な気持ちっ!」
「ちゅちゅーっ!」
「ぐーぐー!」
 なるほど言葉通り、つぶらな瞳の小動物達が鳴き声勇ましく散っていく。
 かくして戦端は開かれた。粉塵を噴き上げながら巨体が猟兵達を睨め下ろす……!

●アルパカマッスルの……
 それからの攻撃は一転してアルパカマッスルがイニシアチブを握った。
 奴はポージングで蓄積したと思しきすさまじい筋力を用い、地面を揺らすほどの殴打を雨のように降らせたのだ。
 それだけではない。奴が片足をずしんと打ち下ろすたび、大地が激震する!
「くっ、これでは集中が……!」
 アルジャンテは一撃に全力を込めんとし、全神経を敵に集中させる。
 だがこの振動、そして巨体。射抜くべき箇所は……どこだ!
「私が敵の注意を惹きつけ、ユーベルコードで頭部を攻撃します。
 そこであなたの攻撃を同時に叩き込めば、あるいは……」
 牽制の魔力を闇や炎に凝り固めて放ちつつ、闇慈は冷静に作戦を提案した。
 的確な提案と言える。だがそれでは一手足りないとアルジャンテにはわかった。
「奴には全身を鋼のように硬化させるユーベルコードがあります。
 攻撃を凌がれては元も子もありません。どうにかしてそれを引き出したいです」
「なるほど……明瞭ですね。では言葉通り、彼に任せましょうか」
 にやりと闇慈が笑った。視線の先、勇猛果敢に敵へ突き進むドワーフの背中!
「! いくらなんでも無茶では? ひとりでは――」

 だがその時、不思議なことが起きた。
「清めの塩を喰らうべさー!」
 昭平のガジェットから放たれたのは……塩である! 相変わらず力士めいている!
 だがこれが功を奏した。キメの細かい塩はアルパカマッスルの流す気味の悪い汗と混じり合い……奴自身を、転倒させたのだ。
「「「なっ」」」
 三人が唖然としたのも無理はない。昭平だけがその動きに対応し、敵へ突き進む!
「こいつを喰らうっぺぇー!!」
 そして繰り出される張り手。しかしアルパカマッスルも見事なもの。
 すばやく巨体で立ち上がると、全身を鋼のように硬化させこれを防いだのだ。

 ――その程度の攻撃、私には通用せん……!

「いいや、これでいいんだっぺよ」
 昭平がニヤリと笑う。そう、敵は自ら防御形態に入った!
「本当に訳がわかりませんね、こんな形で好機が来るとは……!」
 アルジャンテがすばやく弓を引き、巨体へ神経を集中させる。
 同時に小動物達を指揮していたリヴェンティアは、迷彩を解除するなり叫んだ。
「情報収集完了でス! アルパカさんの胸部中央を狙ってくだサイ!」
 奴がポージングによって増幅した身体能力は、一種のエネルギーとして全身に満ちている。
 高度に極まった筋肉はもはや魔法と変わらないのだ。何を言っているかは多分猟兵達でもよくわからないだろう。
 だが鳩尾に痛烈な一撃を叩き込めば、奴は全身に満ち満ちさせた凄まじいパワーを失う。経緯はどうあれリヴェンティアの分析はそのような結論を下したのだ!
「では僭越ながら、私が布石を打ちましょう」
 言うなり闇慈は自ら前線へ繰り出し、アルパカマッスルに陰気な笑みを見せる。
「合体したにしては筋肉のキレが、いささか物足りませんねぇ。
 パンチングマシーンで100とか出せないんじゃないでしょうか、クックック」
 ちょ、挑発である! なんと向こう見ずな行動か! だが無策ではない!

 ――お前グーパンでボコるわ……!!

 ミシミシと筋肉を躍動させながら、アルパカマッスルが拳を握りしめる。
 破滅的威力を秘めた拳が、まさに振りかぶられた……奴の頭上!
「そうやって筋肉のことしか考えていないから、不意を打たれるのですよ?
 天から落ちるは落命の一撃。来たれ暗黒……フォールン・スマイト!!」
 然り、闇慈の目的は敵の注意――視線を自分に集中させること。
 その間に奴の頭上を死角として呪文を詠唱、闇の魔力球を招来したのだ!
 怒りによって攻撃に目がくらんでいた巨人は、これをまともに喰らう!

 ――グワーッ!?

「これで奴の硬化も解けましたよ、クックック」
「お見事です。10秒を与えてくださったこと、感謝します――!」
 カウントダウンは終わった。アルジャンテの紫瞳がぎらりと輝く。
 奴がダメージの衝撃によって硬化を解除した瞬間、胸部中央めがけ放たれる一矢……!!

 ――ウオオオオオオオッ!?

 まさに千里眼の一射である。弱点を穿たれたアルパカマッスルは体をのけぞらせ慟哭する!
 アルジャンテは短く息を吐き、ふと自分達を応援するキマイラ達の声援に気付いた。
 この世界では、猟兵達はヒーローである。だが彼らの熱意は、それに留まらないようだ。
「……あいにく私には、あのような娯楽に興ずる機能は備わっていませんが」
「ふむ?」
 闇慈が片眉を釣り上げる。アルジャンテは言葉を続けた。
「何かに……趣味へあのように熱意を高められるとは。
 ゲームそのものよりも、あの人々や猟兵の皆さんに対して興味が湧いてきました」
「それは当然でス! どうこうのし? で集まってイベントをするのは楽しうんデスから!」
 リヴェンティアは脳天気に、しかし本質をシンプルに言い表してみせる。
「だから頑張って、ファンイベントを成功させてあげたい気持ちっ!」
 その点においては、この場に集まった猟兵達はおそらく皆同じだろう。
 アルパカマッスルは追い詰められている。あと一歩だ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ネグル・ギュネス
【フルール・トゥインクル(f06876)と参戦】

(なんだこれ。というかフルールがまだ目を合わせてくんない…)

一先ず切り替えて行くか。
いかにデカブツ、いかにマッ↑ソォ↘︎であっても、速度は私が上だ

ヘイトを集めるように刀で斬り込み、【残像】でいなす!
【ダッシュ】で距離を詰めたり離れたりしながら、引きつけてやる

うだうだ煩い筋肉だ!
こちとら大事な(強調)友人が目を合わせてくれなくて難儀してんだ!

フルールが傷つけられた場合、支え抱いて

───ああ、てめェ俺の(友達)に何してくれてやがンだ
予報死にたいようだな

ユーベルコード起動: 剣刃一閃でその筋肉、グラム100円に細切れだ!

で、何で皆こっちみてんの?ねぇ?


フルール・トゥインクル
【ネグル・ギュネスさんと一緒に】

全く、ネグルさんは本当にそういうところなのです(ぷんぷん)(まだへそ曲げてる)
え?何なのです?大巨人(タイタン)?
エクエク内落下死の最高記録保持の敵の名前を出すとは……ここでストレス発散させていただくのです!

ネグルさん、地面に気をつけてくださいなのです!
エレメンタル・ファンタジアで樹属性の地震を敵の足元に放つのです
揺れか地面から生える樹に足を取られて転んでしまえばいいのですよ!
そして見つめられる前に生やした樹に身を隠すのです

もしネグルさんが攻撃を受けそうになったら連綿と続く尊き血を使い、人間サイズになって庇いに行くのですよ
大丈夫、これぐらい平気なのです!


カイル・ヴァンガード
合体!!超かっこいいな!変形するのか!?(ふんすふんす
あ…いやゴホン。

鯖を破壊し楽しみを奪うなど言語道断だ!!俺が!俺たちが成敗してやる!

ドラゴニックエンドで攻撃だ!
相手は一体、しかも素早さはわからないときている
外れないように注意してあたるぞ!
初撃はとくに狙いすまさねばな…。
もし攻撃が外れてしまったときは、仕方ない
「怪力」「串刺し」「二回攻撃」を使用し戦う!こちらは手数で勝負だ!

タイタンか……
苦い思い出だ(ふっ)
落ちたとかいうな!落ちてない!い、いや落ちたけど。
急げ、岩砕きをしなければ負けるぞ!

アドリブ、共闘歓迎


ジョン・ブラウン
「なんてこった4層あたりに出てきそうな事言いやがって……」

「参ったな、デカブツ相手は苦手なんだ……」
「だから、今回は任せてもいいかい?」
両手剣を持ったフルプレートアーマーの騎士と
鎖帷子を着た片手剣と盾を持った騎士を呼び出し敵の攻撃を受け持つタンクを任せる

「次!痛いの来るからバフ入れて!」
「忍者さーん!煙玉あったらおねがーい!」
「足元しゅうごーう!急いで!」
「はーいタンクそこでスイッチ!」
騎士が出てる間は戦えないので、必死こいて逃げ回りつつ
後ろからあーだこーだと口出しします

【お疲れ様でした!】

「さぁドロップアイテムは……黒い、サブリガ……?」
「………」
(シュゴー)(パリーン)

アドリブ等歓迎


須藤・莉亜
「おおー、デカいね。レイドボスか何かかな?」
鯖とピカセンを守る為に頑張りますかね。

眷属の腐蝕竜さんを召喚。彼に乗って戦う。ジョブチェン的な?

腐蝕竜さんに、敵さんの頭上まで飛んでもらい、そこから急降下しながら【蝕む吐息】で攻撃しつつ、腐蝕竜さんに【捨て身の一撃】の体当たりを敵さんの頭にぶち込んでもらう。

「これが僕流のジャンプ攻撃。どたまかち割ったるわー。」

あ、僕は当たる直前に空喰らいで地上に避難しときます。
そこから地獄招来【第九圏・悪魔大王】で敵さんの脛でも殴れたら良いかな。


バレーナ・クレールドリュンヌ
●アドリブ&絡みOKです

【WIZ対抗】

【心情】
合体したわね……。
仲間をあんなに集めていたのだから、想定の範囲内でしょうね。

巨人を正攻法で倒すのは難しいわね。
でも、昔から歌や楽器で巨人を眠らせるのが定石でしょう?
そう、古き時代の竜の物語のように。

(※多分ちょっと違う)

【戦闘】
わたしは歌いましょう、眠り誘う1張の銀のハープになって。
(WIZのUCで、相手のUCや動きを止めるように動きましょう、誰かと一緒であれば、援護するように歌を歌って足止めや立て直し、少しずつ歌の魔力でもダメージを与えていきましょう)

このまま、ずっと眠りに就いてくれれば良いのだけれど……。
レイドの時間は終わり、もう眠りなさい。


バルディート・ラーガ
出やがりやしたねマッスル。同型はクリア経験済、サクッと行っちま……ンン?な、なンか、妙にでけエよーな。
訂正。初見ですねエ、ありゃア…

さアて。試遊コーナーでゲームにログイン、ついでに会場の大スクリーンを借りられねエか交渉。画面をあちらサンに向けて、恥ずかしながらあっしのキャラをお披露目さして頂きやしょう。始めたてホヤホヤ、裏社会人のプレイ時間じゃアまだまだ序盤。若葉を生やしたひよっこ竜人を。
…ヤツならきっと優越心を抱くハズ。そこを絡めとっちまおうってな算段ですぜ。ヒヒヒ。

さて。あっしに出来ンのは足止めまで、攻撃は他に任して逃げねエと……あーッ!視認されたキャラin画面が!ビーム攻撃をモロに!


難駄芭院・ナナコ
アタイはしょうきにもどった!
もうこれで寝起きのナナコさんとは言わせねぇぜ、見てろよこの連日徹夜して昼寝して限界までステータスを振り込んだちょうつよ武器を…!
って、エクエクじゃねぇの!?なんか敵デカいしっ!あっ、これは押し出されたら負けなやつですね!うおーーー!負けねーーーー!

POW
このバナナのどでかい一撃、黄金果実の一撃をお見舞いしてやんよぉ!
このバナナの旨さはデカブツに負けねぇくらいビッグだぜぇ!
「今じゃ!パワーをバナナに!」
「いいですとも!」

●補足
今更ながらアドリブとか大胆にして貰ってオールオッケー!
ソロ、ライトパーティ、フルパーティ、飛び入り歓迎!
🔄ここに来るのは初めてです。🔄



●FULL PARTY
 ――おおおお……! 横暴なる猟兵ども……!!

 アルパカマッスルが吼える。奴は一種の暴走状態に突入しつつあった。
 どんな生き物でも、自分自身を害することがないように身体機能にはリミッターがかかっているものだ。
 だが弱点を貫かれた奴は、その有り余る筋肉が奴自身を圧潰しつつあるのだ!
 なるほど、自らも無に還るという自滅的な物言いはこういうことだったのか。
 放っておけば奴は自壊するだろうが、その前に会場が更地と化すほうが先だろう。
 いかにして奴の攻撃を避け、対処するか? 知識と機転、そしてチームワークが必要となる。
 ――それを満たす8人の猟兵が集った時、どこからかシャキーンという勇ましい音が響き渡った。

●準備完了!
「……ンン!?」
 バルディート・ラーガは己が目を疑った。さもありなん。
 アルパカマッスルとは、しかもエクエクを侵略せんとする個体は交戦済みである。
 いわばクリア経験済みのピカセンだ。サクッと消化(まっさつ)するつもりでいた。
「なンか、妙にでけエよーな……初見ですねエ、ありゃア」
 彼は言いながら、ちらりと難駄芭院・ナナコの様子を伺う。
 なぜか? 彼女もまた、バルディートとともに件のアルパカマッスルを斃した猟兵なのだ。
 ゆえにきっと役に立ってくれる、と期待の眼差しを向けたのだが……。
「はっ。アタイはしょうきにもどった!」
 ぱちーん! と鼻ちょうちんが割れるなり、思い出したように叫ぶナナコ。
 目のハイライトが消えたままなのだが本当だろうか? クリスタルとか盗みそうだ。
「見てろよこの限界までステ振りした超つよつよ武器を……って!
 エクエクじゃねえの!? なんか敵デカいしっ! 押し出されそうじゃん!」
 つまりは彼女も初見だった。期待は儚く打ち砕かれた形である。
「参ったな、デカブツ相手は苦手なんだ……」
 そして三人目の要人であるジョン・ブラウンは、わざとらしく頭をかく。
 無論、彼には必勝の策がある。あのときと同じように、己が持つ力こそがそうだ。
「だから今回は、タンク役は任せてもいいかい? 騎士達よ!」
 芝居がかった身振り口ぶりでユーベルコードを発動。
 彼の両隣に白と黒の魔法陣が現れ、それぞれ異なる二体の騎士が出現した。
 かたや両手剣を持つ、相貌定かならぬフルプレートの禍々しい騎士。
 闇赤色のオーラを纏いつつも、しかし不思議とその眼差しは優しげだ。
 一方の騎士は、鎖帷子を纏い雄々しい紋章を刻んだ盾と銀の片手剣を持つ。
「良き騎士は民と盟友のために戦い、死より冥き闇を纏う騎士は愛のために戦う。
 ま、今回はちょっと相手がコミカルだけど――たまにはいいよね?」
 騎士達はまず互いを見やり、そしてジョンを見、最後に猟兵達を見た。
 両者は頷き、各々の得物を鞘走らせる。頼もしげな気配!

 無論、戦うためにマッチングした猟兵は彼ら三人だけではない。
「合体したかと思ったら銀剣の騎士と暗黒の騎士だと!? 超かっこいいな!」
 ふんすふんすと鼻息荒く、カイル・ヴァンガードが食いついた。
 はっと我に返り、ゴホンと露骨な咳払いで誤魔化しにかかる。単純だ。
「鯖を破壊し、ピカセンの楽しみを奪うなど言語同断だ! 俺たちが成敗してやる!」
 ドラゴンランスを構え気合十分。今の彼ならば邪竜すら屠るだろう。
「おっと、エクエクならクラス被りだけど現実じゃ関係ないよね」
 いまいち気怠げでやる気の感じられない須藤・莉亜の声。
 だが彼がぱちんと指を鳴らすと、その足元にやはり禍々しい魔法陣が浮かび上がる。
「竜なら僕の手持ちにもいるからさ。――おいで、んで全部食べちゃって?」
 ずるりと魔法陣を乗り越え、全身が腐蝕した龍のゾンビが出現した。
 纏う瘴気は邪悪の一語。だが莉亜はそれをなんら恐れることなく、颯爽とその背に跨る。
 正統派の竜騎士と、ある意味でファンタジックなドラゴンライダー。
 なるほど、こちらもこちらで騎士二人というわけか。
「待って。あんな合体したような巨人を、正攻法で倒すのは難しいんじゃない?」
 新たに駆けつけたバレーナ・クレールドリュンヌが口を挟んだ。
 髪も鱗も白皙の人魚である。彼女自身はかつてその相貌に諦観していた。
 だがそんな彼女にも、武器と呼ぶに値する誇るべき力があるのだ。
「どんな世界でも、巨人は歌や楽器で眠らせ、不意をつくのが定石でしょう?
 古き時代の龍の物語……これも言わば、ゲームの源流みたいなものよね?」
 あっているような、間違っているような。ここで引用するのはズレているような。
 ともあれ彼女の歌には力があり、いわばそれは吟遊詩人めいて敵を脅かし、味方を支援することだろう。
「ふふ……まるで本当にレイド(※パーティを組んで強力なボスに挑むこと)を遊んでいるようだわ」
 例に漏れず、彼女も彼女でピカセンの気配が濃厚だ。

「なんだこれは……まるでエクエクそのものだな」
 ネグル・ギュネスは愛刀を携え、集いし猟兵達を見やってふっと微笑んだ。
 だがその視線が傍らにふわりと浮かぶフェアリーに向けられると一気に曇る。
 というかなぜこんなことになっているのか――つまりフルール・トゥインクルがどうしてふてくされた顔をしていたり、さっぱり目を合わせてくれないのか、彼は本気でわかっていない。
 そういうところである(カウント1回目)。
「フルール、私に非礼があったなら詫びよう。だから教えてくれると――」
「ネグルさんは、本当にそういうところなのです(2回目)」
「だ、だから何がだ!?」
 ぷんぷんとすっかりへそを曲げたフルール、困惑するばかりのネグル。
 だがいよいよ決戦である。男は咳払いをして、意識を切り替えた。
「いかにデカブツ……いかにマッ↑ソォ↓であろうと、速さは私のほうが上だ」
 なぜか妙な節をつけるネグル。友人の機嫌を損ねたショックが彼の電子回路とか鋼のパーツをなんかアレしてしまった可能性がある。
「ふう……恐るべきエクエク落下死最高記録保持エネミーみたいなのですね。
 ちょうどいいのです、ここでぶちのめしてストレス発散させていただくのです!!」
 メラメラと禍々しいオーラを纏うフルールに、ぞっと戦慄するネグルであった。

 彼ら8人の猟兵は誰ともなく互いを見やり、頷きあった。
 ともにエクエクを愛し、エクエクを守るために集った仲間達である。
 戦闘の役割(ロール)分担も十分。ならばやるべきことはひとつ!
「それじゃあ、決戦レディチェックだ」
 誰かが言った。残る猟兵達、あるいは召喚されたモノどもは同意を示した。
 アルパカマッスルが吠える。さあ、最後の戦いの開始だ!

●過重抹殺!
 まずはじめに、両手剣の騎士が魔力塊を投げつけ敵の正面に回る。
 アルパカマッスルの注意はそちらにそれ、結果として味方に背中を見せる形だ。
「よーしいいぞ、その調子でヘイト維持してね!」
 ジョンは騎士達に、安全圏から的確な指示を飛ばす。
「って、君は戦わないの?」
「いやあ、僕が攻撃食らうと彼ら消えちゃうからさ……っと!」
 その時! アルパカマッスルがぐりんとジョンのほうを睨みつけた。
 つぶらな瞳にエネルギーが収束し、すさまじい密度の光線を放つ!
 その強力さたるや、地面に接触すればまるでちゃぶ台をひっくり返すかのように隆起するほどだ!
「デカいだけあって規模がダンチだね、ほんとにレイドボスか何かみたいだ」
 言いながら莉亜はジョンの体をさらい、腐蝕竜の背中へ避難させた。
 間一髪。彼を蒸発させ、回避したとしても地面の隆起が逃さなかったであろうつぶらな瞳の光線は、彼らの眼下を通りすぎるのみ!
「悪いね、じゃあそのままデカめの攻撃よろしく!」
「って僕まで指示の対象? まあいいけどねー」
 莉亜は相変わらず気だるげに言い、腐蝕竜に急上昇を命じる。
 そして敵の頭上高くを取った瞬間、ほぼ垂直の急降下!
「これが僕流のジャンプ攻撃、どたまかち割ったるわー」
「ワオ! まるでスクールの遠足で乗ったジェットコースターみたいだ!」
 すさまじい速度に龍の放つ吐息が煙幕めいて彼らの姿をかき消す!
 そしてアルパカマッスルの頭部に、宣言通り捨て身の一撃が叩き込まれた!

 ――ぐおおおおお……っ!?

「よいしょっと」
「何から何から、至れり尽くせりだね!」
 ユーベルコードの応用により、莉亜とジョンはまんまと逃げ出している。
 槍を使わず龍そのものを突き落とす。あまりにも危険なドラゴンナイトぶりだ!

 ――ぬうううう……大地の底へ沈ませてくれる……!!

 力こぶを誇示するような独特のポージングを取るアルパカマッスル。
 自ら取った不利な行動により、すさまじいまでに身体能力が増大化!
 奴が全膂力を込めた拳を打ち付ければ、その余波は正面と言わず奴の周囲八方向を薙ぎ払う、地すべりめいた衝撃波を伴うだろう!
「うだうだ煩い筋肉だ!」
 これにインタラプトを仕掛けたのがネグルである。
 残像を伴う幻惑的軌道でヒットアンドアウェイを繰り返し、敵視を稼ぐ。
 アルパカマッスルは怒り心頭だ。結果として甚大な拳は彼を狙う!

 ――死ねぃっ!!

 ズドンッ!! と叩きつけられた拳が大地を割り、地すべりを起こす!
 しかしネグルは――おお、無傷! みごとに衝撃波を回避していた!
「こちとら、大事な! 友人が目を合わせてくれなくて難儀してるんだぞ!!」
「ひえっ?」
 無視するつもりだったフルールは、思わず素っ頓狂な声を漏らしていた。
 ネグルがこちらを見ると慌ててぶんぶんと頭を振る。友人って言われたし。
「そういうとこ……ではないのですネグルさんっ、地面に気をつけてくださいなのです!」
「応ッ!」
 さすがは歴戦の二人。戦闘となれば斯様なコンビネーションを見せるか。
 両足で大地を踏みしめたアルパカマッスルは再びポージングを取り、以て中国拳法めいた震脚で地面を超振動。
 さながら大地の重みと言うべきすさまじい範囲攻撃を繰り出そうとしていたのである。
 言うまでもないがこれらはユーベルコードではない。すべてポージングで増大化した身体能力のなせる技だ。
 高度に極まったマッスルは魔法と区別がつかない。至言である。
「こんな時は――うんっ、オランジェ! 力を貸してくださいなのですっ!」
 再び周囲にカードを生み出したフルールが一枚手繰ると、描かれていたのは大樹のマーク。
 朋友たる精霊が力を貸し与え、アルパカマッスルの両足を蔦が絡め取る!

 ――おのれ、ちょこまかと鬱陶しい羽虫ごときが……っ!!

 つぶらな瞳が激憤に輝く。だがフルールの姿はすでになし!
 ならばとビームの対象を変えんとするアルパカマッスル。そこで奴は瞠目した。
 会場に設営された大型スクリーンに映る、一体のビギナーキャラの映像に!

 ――なんだ、この恥ずかしいぐらいにノーブな装備の雑魚は?

「ご挨拶でございやすねエ」
 画面のたもと、試遊コーナーにあったゲーム機を操作するバルディート。
 なんとデカデカと表示されたひよっこの竜人キャラは、彼がプライベートで使っているエクエクのプレイヤーキャラクターそのものなのだ。
 アルパカマッスルはそれを見透かし、バルディートを嘲笑う。

 ――エクエクは私のものなのだ。貴様のような雑魚に用はないッ!

「ええ、ええ。あっしァ所詮はまだまだビギナー、いわば若葉でさア。
 ヒッヒヒ……あっしなんざのコトより、自分の足元に用心したほうがいいですぜエ」

 ――何っ!?

 然り。いきなりゲームを開始したところから、すでにバルディートの罠は敷かれていた。
 アルパカマッスルの意識がトリガとなり、フルールの生み出した樹と同じぐらいに強靭な影の触腕が、地割れから生み出されアルパカマッスルの体に絡みついたのだ!
 怒り狂ったアルパカマッスルのビームが、八つ当たりめいて大型液晶を狙う!
「アーッ!? あっしの大事なキャラが! マッチョ野郎の餌食に!!」
 バルディートも、なんだかんだで自キャラ愛の深いタイプだったらしい。
 光すなわち光速のビームが無残に液晶を破壊しようとした、その時!
「言ったはずだぞ、ピカセンの楽しみを奪うなど言語道断だとなっ!!」
 敵の狙いが一点に集中し、かつ動きを封じられた今を待っていた。
 カイルが飛びかかり、奴の目に狙い済ませたドラゴニックエンドを叩き込む!

 ――グワーッ!?

「まだまだ、こうなれば外すまいっ!」
 さらに魔力によって呼ばわれた龍の幻影が、すさまじき威力によって敵を穿つ。
 これぞドラゴニック・エンド。二段構えの強力な龍の牙と爪だ!
「ここが圧しどころね。わたしは歌いましょう。眠り誘う一張りの銀のハープになって――」
 バレーナはそうひとりごちた。呟きはしかし、言葉通り竪琴の音のよう。
 詩的な言葉は、こぼれ落ちれば不可思議な旋律を伴う甘やかな歌へと変わる。
 カイルだけでなく猟兵全員を、強烈な地響きを伴う足踏みで吹き飛ばさんとしていたアルパカマッスルは、齎される不気味な安らぎに慄いた。
 以て奴の攻撃動作は封じられ、致命的範囲攻撃(言うまでもないがこれもポージングによる身体強化の恩恵である)は未然に防がれたのだ。
「さあ、眠ってしまいなさい。あなたの役目は、とっくの終わりなのよ」
 歌の魔力がアルパカマッスルの意識を刈り取ろうとする。奴は抗う!

 ――その歌をヤメロッ!!

 などと宇宙人めいて叫びながら、両手で地形もろともバレーナを拘束せんとする。
 もしも岩の中に封じ込まれれば、最悪圧壊させられ無残な憂き目にあうことだろう!
「そこでアタイだぁ! このバナナのどでかい一撃をお見舞いしてやんよぉ!!」
 見よ! ナナコが取り出したのは……武器ですらない、バナナだ!
 とてもではないが人間が食するサイズではない。それこそアルパカマッスルのような巨人が貪るレベルの巨大バナナである。
 巨大ゆえに質量を伴う重量級バナナは、バレーナを押しつぶさんとした石塊もろとも巨人を打つ!

 ――バナナモゲラッ!?

「よくやった、岩塊は放置しておくと危険だからな!」
 カイルは思わず快哉を挙げた。一体どういう意味なのかはわからない。
「あたぼうよ! シノビメインのアタイをナメんじゃねえっ!」
 そして攻撃に使ったバナナは、さながら妖精が人間サイズのデザートを夢中でかじるかのような勢いでナナコが美味しく食べていく。
「よし、いまだ! パワーをバナナに!」
「いいですともっ!」
 ジョンの的確(?)な指示!
 食せば力を強化する栄養満点のバナナの身が一瞬でスライスされ、味方たちの口元へと運ばれた!
「(もぐもぐ)あ、美味しいねこれ」
 普通に舌鼓を打つ莉亜。
「ど、どうしていきなりバナナが配られたの……?」
 美味しくいただきつつも、ナナコのバナナ愛に割と困惑するバレーナ。
「腹が満たされて元気も出てきたから細かいことはいいなさんなア! まさにバフでさアな!」
 溢れる力に野卑な笑みを浮かべるバルディート。趨勢は決しつつあるか!

 ――おぉのれぇええ、ならば一人だけでも道連れにぃっ!!

 狂乱したアルパカマッスルが、再び地面をちゃぶ台めいてひっくり返す。
「くっ!」
 ネグルは踏み込みが過ぎ、頭上に翻った岩盤に押しつぶされかけたのだが……、
「この身に宿る王家の血。今は一介の妖精の身なれど――!」
「フルールッ!?」
 然様、フルールがユーベルコードの力を使い、彼をかばったのだ。
 無論、妖精のままではそれは成せぬ。命を代償とした人間サイズへの拡大……。
「大丈夫、これくらい平気なのです!」
 精霊の力で岩盤の直撃は避けたものの、フルールの体には残骸によって切り裂かれた傷がいくつも生まれていた。
 ネグルの驚愕がすっと冷徹に細まり、紫の瞳が金の色を帯びる。
「――てめェ、俺のに何してくれてやがンだ。よほど死にたいようだな」
 底冷えするような声音である。そして次の瞬間、剣刃は放たれていた。
 無数の斬撃! アルパカマッスルの巨体が細切れに切り裂かれていく!
「ひえっ!? い、いいいいいま、ど、どどどういうことなのです!?」
「? フルールは私の、いや俺の大事な友人だと――え、何? 何この空気?」
 敵がひるんだせいか、猟兵たちの視線はじいーっとネグルに集中していた。
 もちろん全ての者達が彼らの関係に詳しいわけでもない。が、先までのやりとりでだいたい構図はわかろう。
「おいおい、そういうのよくないんじゃねー?」
「あなたは頼もしいけれど、そういうところはちょっと」
「うーん、僕もそういうとこはどうかと思うなあ」
「何がだっ!?」
 ナナコ、バレーナ、莉亜からの突き上げに困惑するネグルであった。

 ……さておき! カメラはたたらを踏んだアルパカマッスルへ戻る!
「さて、それじゃあ最後は一斉攻撃でキメ、かな?」
 もはや司令塔となったジョンが言えば、アタッカーであるカイルやナナコ、はたまた足止めに専念していたバルディートですら頷く。
「これ以上続けて落とされるのは勘弁だからな、辛い思い出は忘れたいのだ!」
「あっしはそれよくわかりやせんが……うちのこをいじめた礼はしねエとなア?」
「バナナをもぐように命を奪ってやるぜ うおおおーっ!!」
 彼らはそれぞれの武器、はたまた術式を発動し敵をフォーカスする。
「んじゃ、地獄大王のげんこつも追加で」
 莉亜によって開かれた地獄門から来たる禍々しき拳!
「わたし、あなたのことを助けてあげるつもりはないの。ただ――」
 魔力を込めた詩を紡ぎながら、バレーナは心に作用する囁きを送る。
「あなたの心にも、最期には優しい眠りが訪れますように――」
 おやすみなさい坊や(ナイティ・ナイト)と甘やかすような声。
 児戯じみた屁理屈を並べるようなオブリビオンには、それが相応しい。

 ――わ、私を倒そうと、第二第三の怪人が、きっとエクエクを……っ!!

 アルパカマッスルの断末魔に、ジョンはにやりと笑いこう返した。
「その時はまた斃してあげるよ。そして僕らはいつもこう言うのさ――」
 どんな苦戦苦闘でも、終わったあとには仲間達に敬意とマナーを込めて労りを。
 "お疲れ様でした"と、ありふれた大事な言葉。それが、楽しいゲームである。
 己の信念主張を完全否定されたアルパカマッスルは、憤怒の雄叫びとともに消滅した……!!

「さぁーて、ドロップアイテムはなーにかな、と」
「オブリビオンでも何かアイテムを落とすことはあるのか……む、これは?」
「……サブリガ、なのですね」
「しかも黒いな。角度もえぐい」
「……先に言っておくけれど、わたしは要らないわ」
「アタイも趣味じゃねー!」
「うーん、僕もちょっとパスで」
「あっしがこんなもん履くと思いやす……?」
 ぱりーん。せっかくのアイテムも光の中に砕けて散ったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『愛を伝える選手権』

POW   :    己の肉体美、大声、気合いや力技で愛を伝える

SPD   :    己のテクニック、機敏な動きやパフォーマンスで愛を伝える

WIZ   :    己の話術、知性や理詰めで愛を伝える

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●エクセレント・エクスプローラーズ!
「ではこれより、第X回エクエクファンイベントの開催を……宣言しますっ!!」
 開発チームリーダーの開会宣言とともに、会場を揺らすほどの歓声が響き渡る。
 そう、猟兵達の活躍により、無事にゲームイベントは開催の運びとなったのだ。
 エクエクの様々なゲームモードを遊べる、豪華でハイスペックな試遊台の数々。
 世界観になぞらえた多種多様なミニゲーム(アクティビティ)。
 ゲーム内の食事を再現した、ちょっとお高いが絶品のフードコーナー……!

 もちろんグッズなどもたくさん配布されている。豪華だ!
 ここに集ったのは、みな同じものを愛する仲間達。ひとりひとりがピカセンなのだ。
 君達はその一人としてエクエクへの愛を叫んでもいい。
 愛を叫ぶ=何かを楽しむということなので、普通にイベントを楽しんでもいいだろう。
 いまだゲームの楽しみ方がわからないならば、それを誰かに問いかけてみてはどうか。
 はたまたこの際なので、まったく別のものへの愛を叫んでみても、それはそれでキマイラ達は盛り上がる。

 ゲームは楽しい。ならばゲームのファンイベントはもっと楽しい!
 ステージ上では様々な出し物も開催されているぞ! 盛りだくさんなのだ!
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

試遊もアクティビティもカフェも物販も盛りだくさんだよー!
あっ!私が一時期ハマりにハマった音ゲーまである!
ねぇどうしよう、時間足りるかな!?

とりあえずー……はい!
マスコットキャラのお面ふたつ、もちろんひとつは君の分
お揃いだよ
今日だけでいいから着けてくれるよね?
頭に装備したら早速君の手を引いて駆け出しちゃおう

アクティビティ全制覇後はカフェで一休み
私は……討伐記念に激辛タイタンから揚げ(高価)と
体力回復ドリンク(高価)にしよっと
ヨハネスはどうする?
わ、想像以上に辛っ……!食べるの手伝って!

君も少しは楽しんでくれたかな
こういう所に一緒に来てみたかったの
来てくれてありがとうね


ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

しゆ……? カフェと物販はまぁ分かりますが
どうしようも何も
お好きに遊んで行けば良いのでは?

他人事のように言って帰ろうとして、
手渡されたよく分からないお面に足が止まる
えっ、嫌ですけど
というか俺はもう帰……ちょっと、
あなた今日は終始人の話を聞いてないですね……??

体力の無さを痛感する
なんでこの娘はこんなに元気なんだ
結局付き合っている俺はいったい……
俺は飲み物だけでいいです。珈琲ありますかね
……いや待て、今ヨハネスって言ったでしょう
食べられる物を頼んでくださいよ、まったく

ありがとうと言われたら文句も言えない
はいはい、楽しかったようでなにより
俺も悪くはなかったですよ




『悲劇を止めなければならない……』
 謎めいたフードの人影が、この世ならざる異界の門を開く。
『たとえそれが、因果を書き換えることになろうとも』
 星空のような門の向こうでは、武器を砕かれた戦士が力尽きて斃れていた。
 エクエクの歴代OPムービーに登場した、プレイヤーキャラクターの代役だ。
 そんな戦士に剣を振り上げる、白い甲冑の天使。絶体絶命か!?
『そのために……ピカピカな戦士よ』
 しかし見よ。戦士を包み込む黒紫のオーラ!
 溢れ出る凄まじ魔力が、白い天使を吹き飛ばす。そして!
『お前が――暗闇(やみ)の戦士となるのだ!!』
 黄昏めいた空を切り裂き、大剣を構えたピカセンがにやりと笑う。
 そしてタイトルがドーン! 湧き上がる歓声!

「うわああああ~~……これが完全版のトレーラーなんだ……!」
 オルハ・オランシュは目をキラキラさせていた。無理もない。
 巨大液晶モニターに流れていた、いまの勇壮なムービーはなんなのか?
 言うまでもなく、エクエクの最新拡張パッケージの予告映像なのだ。
 ……拡張パッケージとはなんなのか? それも説明しておこう。
 MMORPGは、定期的なアップデートで新規要素を追加するのが通例だ。
 拡張パッケージとは、有料ではあるが膨大な追加データを内包している。
 その量、実に新作ゲームソフト1本分! 世界が大きく広がるのだ!
「ねえヨハン、いまの見た!? あれね、『漆黒のブリンガー』って言って……」
 とオルハは振り返り、きょとんと言葉を失った。
「…………」
 ヨハン・グレインは、言葉もなく液晶モニターを睨んでいたからだ。
 まさか、いまのかっこいいムービーに気に入らないところがあったのだろうか?
「よ、ヨハン? あの、もしかして……」
「…………いい」
「えっ?」
「あ」
 はっ、と我に返る17歳男子。咳払いをしながら眼鏡をかけ直す。
「いえ、なんでも。それで漆黒のブリンガーというのは?」
「あ、えっといまの拡張パックのタイトルなんだけど……」
「……なれるんですか? さっきのあの、映像の、ええと」
「ダークナイトね! うん、もちろんなれるよ!」
「………………そうですか」
 かちゃり。また眼鏡を掛け直した。興味はないですがっていう顔をしながら。
「そうですか」
「ヨハンもしかして割と心動いてる?」
「そんなわけないでしょう」
「動いてるよね?」
「帰りますよ」
 ふたりのイベントはそんな感じの幕開けになった。

●それはそれとして
 会場内を見渡し、オルハは再び目をキラキラさせる。
「試遊もアクティビティもカフェも物販も盛りだくさんだよー!」
 エクエクはもちろん、試遊台にはエクエク関連作も用意されている。
 特に今回注目を集めているのは、『ディセント・エクセレント・エクスプローラーズ』、通称『ディセエク』だろう。
 エクエクで活躍した多彩なキャラクター達を操り、バトルを繰り広げるアクションゲームだ。
「ディセエク、すごい人並んでるなあ。でも無理もないよね」
「試遊がなんなのかわからない俺に同意を求められても……」
 ヨハンは困った。彼には何もかもわからないことばかりである。
 ディセエクに女性人気の高い敵キャラクターが追加されるとか、
 エクエクで大人気ゲームとのコラボクエストが実装されるとか言われても、
 そもそも彼はそういうもんをやらないのである。それでいいのか17歳男子。
「カフェと物販は、まあわかりますが……」
「あっ! ねえねえ見てみて、シアエクもあるよ!」
 シアエク。正式名称はシアター・オブ・エクセレント・エクスプローラーズ。
 エクエクの名曲をあつらえた、いわゆる音ゲーの一種である。
「私、あれ一時期ハマったんだよね! どうしよう、時間足りるかな!?」
「……お好きに遊んでいけばいいと思いますが」
 そう言ってヨハンは踵を返し……ガッ! と思いきり引っ張られた。
「ちょっ」
「はいこれ!」
 咎めようとしたヨハンの前に差し出される、妙な鳥のお面。
 どうやら周囲を見るに、これもエクエクのマスコットキャラらしい。
「今日だけでいいから着けてくれるよね?」
「えっ、嫌ですけど」
「じゃあこっちがいい?」
 サッ。オルハが差し出したのは、おそらく登場キャラクターのお面だろう。
 黒い髪の若者が、かなりおかしみのある変顔をしているお面だ。
「なんですかこれ」
「"激情に任せて帰っちゃいますかァ? 仲間である私を置いてェ?"
 ……あ、これこのキャラの名台詞なんだけど。こっちのほうがいいかな?」
「もっと嫌です。そもそも俺は帰……」
「じゃあこっちだね、はい!」
 話も聞かず、オルハは妙な鳥のお面をヨハンの頭に装備させた。
 そして掴んだままの手を引いて、ずんずんとイベント会場を歩き出すのだ。
「あなた今日は終始人の話を聞いてないですね……???」
 逃げようとしたが諦めた。WIZ特化でキマイラに勝てるわけがないのだから……!

「よしヨハン、一緒にエクエクやってみようよ! すいませーん」
「いやあの俺なんにもわからないしこれ高難易度って書いてないですか」

「今度はあっちだね! ルーレットで相手を決めるんだって!」
「いや、ですから俺は初心者で……もう申し込んでるし」

「さー今度はミニゲーム遊んでみよう! まずはあそこから!」
「す、すみません、待ってくださ……待って、待(キマイラ混みに呑まれる)」

「ねえヨハン謎解きゲームなんであるよ! 君にピッタリじゃない!?」
「これ会場中歩かないといけないやつじゃないですか……」

「ヨハンヨハン! はいこれ持って!」
「…………なんですかこの目玉みたいなの」
「目玉だよ。で、これを、こう」
「? なんで目玉を投げるポーズをしなければ?」
「いいからいいから!」

「っは~……たっのしー!」
 出張カフェブース。ドリンクを飲んだオルハはうーんと背を伸ばす。
 午前中はあちこちを動き回ったせいで、ご飯もやや遅めになってしまった。
 だがおかげでアクティビティは完全制覇だ。やったぜ!
「……………………」
 その隣で、ヨハンはうなだれていた。指輪じゃなく本人の口から闇が、というかエクトプラズムが漏れ出しそうな疲れ具合である。
(なんでこの娘はこんなに元気なんだ……)
「? どうしたのヨハン、唐揚げ食べる?」
 真っ赤っ赤な激辛大巨人唐揚げ(お高め)をさくさく食べるオルハ。
 ちなみに価格は割高だが美味しい。敵モンスターを模した飾りがついてるのも高ポイントだ。
「……珈琲、ありますから」
 ヨハンが飲んでいるのは、ふわふわとしたマシュマロ入りの珈琲である。
「初めてのエクカフェでそれを選ぶとは、やるねヨハネス……!」
「いまヨハネスって言いましたよね」
「あっ、これ思ったより辛っ」
「ツッコミすら許されないとは……ああ、もう」
 仕方なくひとつつまんで食べた。……本当に辛い。
 だがヨハンも男の子だ。努めて無藍想を保った。舌はひりひりする。
「わあ、ヨハネスすごいね! 辛くないんだ!?」
「…………」
 また名前、とツッコミたいが、ヨハンは黙ってふたつ目を食べた。
 口を開けたら辛いのがバレるからである。彼は意外と意地っ張りだ。

 ともあれそんなこんなで、腹を満たした二人はのんびりと会場をみやる。
 ステージ上では、名物プロデューサーの対談コーナーの真っ最中だ。
「ほんと、楽しいなあ」
「はいはい……楽しかったようならなによりですよ」
 疲れたため息をつくヨハン。そこでオルハの視線に気付いた。
「……なんですか」
「ううん。こういうとこ、君と一緒に来てみたかったから」
 にこりと少女が微笑めば、ヨハンは一瞬だけ言葉を忘れてしまう。
 思ってみれば自分は、彼女の好きな食べ物も飲み物も聞いたことがない。
 今回も彼女に引きずられてきた形だ。少なくとも辛党ではないようだが。
「ヨハンは楽しくなかったかもしれないけど、でも」
 ふんわりと、少女は微笑んだ。
「一緒に来てくれて、ありがとね」
「……別に、楽しくないとは一言も」
 眼鏡をかけ直す。そして咳払いして言った。
「悪くはないですよ。だからまあ、午後の部も付き合います」
「ほんと!? じゃあエクエクも――」
「それは…………すぐには、ちょっと」
 NOと即答しなかったのはなぜだろうか。
 彼女のきらきらした瞳が眩しかったから?
 あの映像のダークなナイトが17歳男子の心を鷲掴みにしたから?
 あるいは――。
「……仮に始めるとしたら、その時は色々お願いしますよ。誘ったのはあなたなんですから」
「うん、もちろんだよっ!」
 にこにこと頷く少女に対する、心に秘めた思いがゆえだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フルール・トゥインクル
【ネグル・ギュネスさんと一緒に】

迷惑なアルパカさんもやっつけてすっきりしましたし、せっかくですのでイベント楽しむのですよ
とりあえずはネグルさんとあちこち見て回れるならそれでいいのです

へぇ、ゲームでも遊べるのですね。ネグルさんいかがです?
ヒーラークラスなら私にお任せくださいなのです
これでも全ヒーラークラスはカンスト済なのですよ
パーティー全体を支えるお仕事なんて責任感もありますけどちゃんとできた時すごく楽しのですよ!

……あ、カードのドロー運ですか?それは忘れてほしいのです……

とにかく全力でめいっぱい楽しんで、グッズだけはサイズ差で断念ですけど一緒にいろんなことするのです


ネグル・ギュネス
【フルール・トゥインクル(f06876)と参加】

やっと落ち着いたか
さて、皆からの視線が痛かったし、何かフルールが奇妙な声あげていたが………花粉症か?

【SPD】
ふむ、ではエクエク仕様の刀を持って、軽い演舞をして見よう
勿論、動きはエクエクを真似てだ
フルールに魔法を使って貰えれば、鮮やかにもなるかな

そしてゲーム中でこんな動きが出来る
ゲーム中でこんな事を一緒にやれる仲間にも会えるアピール

おっと、まだあんなところに敵型デコイが
切り開けば、中からリボンで巻いた小さな箱が

みなさん
なんと、3月24日は!
ここにいるフルールの誕生日だ、

大事な(友達の)君に贈ろう
誕生日、おめでとう!

中身は綺麗な黄緑のブレスレットだ



●色々あったが
 イベントが始まってしまえば、フルール・トゥインクルもすっかりご機嫌だ。
 そもそもなぜ彼女が怒ったりしていたのか、ネグル・ギュネスには未だにわかっていないのだが。
「ようやく落ち着いてくれたようでなによりだ」
 賑やかなイベント会場を歩きながら、ふっと微笑むネグル。
「はいっ、迷惑なアルパカさんもやっつけてすっきりしたのです!
 それに私は、ネグルさんと一緒にあちこち見て回れればそれで……」
 いじらしい台詞だ。遠回しながら彼を観覧に誘っているのだ。
「もちろんだとも。みんな夢中で、妙に痛々しい視線を向けてこないしな。
 しかしそうか、まさかフルールがそうだったとは……な」
 甘い笑顔を向けられ、思わず頬を軽く染めるフルール。
 こちらもこちらでそういうとこだぞと言われなくもない気がするのだが。
「そ、そうって、ど、どうなのです……?」
 いかに朴念仁のネグルと言えど、多少は鈍感すぎるところを自覚してくれたのか。
 ちょっとの期待と、あと9割9分ぐらいの『まあ無理だろうな』という諦観。
「――花粉症、なんだろう?」
「あ、はい」
 ツッコミすらなかったという。

●イベントを楽しむ
 エクエクファンイベントには数多くの試遊台が用意されている。
 それもただ遊ぶのではなく、イベント向けに特別公開されたバトルチャレンジもあるのだ。
「わあネグルさん、見てくださいなのです! あれっ!」
 フルールが指さしたのは、まさにそのバトルチャレンジブース。
 ここで遊べるのは、まだ正式には実装されていない新規コンテンツなのだ。
「これはもしや……おお、ヨージンボ討伐戦か!」
 ヨージンボとは、エクエクに登場する名物キャラクターのひとつだ。
 味方として登場する際は、ゲーム内のお金を支払うことで強力な攻撃を繰り出してくれるという、まさに"用心棒"らしいデータに仕上がっている。
「ネグルさん、一緒にいかがなのです? ヒーラーならお任せなのです!」
 ふんす、と鼻息荒く胸を張ってみせるフルール。自信満々だ。
 エクエクには大きく分けて、三つのロール(役割)がある。
 ダメージを出し、敵を倒すアタッカー。
 味方を回復し、戦線を支えるヒーラー。
 そして敵の攻撃を受け止めるタンク。
 ロールそれぞれで複数のクラスも存在しているのだ。
「これでも私は、全ヒーラークラスはカンスト済みなのです!」
 猟兵を導くことを信条とする彼女にとっては、まさに似合いのロールだろう。
 ネグルはそんな彼女に頼もしさと、はしゃぐ様子に目を細めつつ、
「では私は……タンクもいいが、ここはサムライをやるとしようか」
 サムライ。エクエクに存在する、アタッカークラスのひとつだ。
 非常に高い攻撃力を持つぶん、攻撃速度が高く臨機応変な行動を求められる。
 テンポを崩してしまえば火力が目に見えて下がる。テクニカルなクラスだ。
「じゃあ私はアストロジアンを使うのです!」
 アストロジアン。これはヒーラークラスのひとつである。
 アルパカマッスルブラザーズとの戦いにおいて、彼女がやってみせたカードドロー。
 あれはアストロジアンの固有システムであり、引いた札によって味方を強化する効果が変わる、というちょっと変わったクラスである。
「ネグルさんの火力を、どんどん強化しちゃうのですよ!」
「ああ、頼むぞフルール。君に私の命を預けよう」
「も、もちろんなのです! でもドロー運はお察しなのです……」
 よほど乱数に恵まれないのか、フルールの顔つきはシリアスだった。

 ちなみにこのバトルチャレンジ、実際に現地で見ず知らずの人とチーム(パーティとも)を組む。
 そしてお互いにロールやクラスを相談し、戦術を立てて協力プレイするのだ。
 彼らと組むことになったキマイラ達は大興奮である。なにせ猟兵だ!
「攻撃は私に任せてくれ。最速で敵を倒すと、この刃に誓おう」
「「「カッケー!」」」
「回復も任せてくださいなのです! 誰もペロらせたりしないのですよ!」
「「「ヤッター!」」」
 ちなみに、ペロらせる、とはエクエク独自の用語である。
 倒れ伏す姿が床を舐めているように見えることから呼称されたものだ。
「それにしても、設定時間が5分しかないのは大変なのです……!」
 当然ながらバトルチャレンジは、イベント側が設置したデバイスを使用する。
 中には使い慣れないデバイスに苦戦したり、ボタン配置などの設定が間に合わないピカセンも多い。
「ふっ……こんなこともあろうかと、私はマイキーボードとマウスを」
「あ、すみませんデバイスの持ち込みはご遠慮頂けますか」
「な、何ィ……!?」
 意外な(当たり前だが)伏兵にフルール同様苦戦を強いられるネグルであった。

●サプライズ!
 ともあれそうしたゲームの試遊を始め、多くのミニゲームを楽しんだふたり。
 するとイベント側から、ふたりにこんなことが提案されたのだ。
「せっかくイベントを守ってくれたんですし、何か出し物をしていただければと」
 この突然の申し出に、フルールは困惑したのだが、
「なるほどいいだろう。フルール、手を貸してくれるか?」
「ええっ!? い、いいですけれど……」
 と、ネグルは乗り気だった。結果として彼女も壇上にあがることに。
 まだまだ全力でイベントを楽しむつもりでいたフルールにとっては、
 少しばかり残念な流れでもある。……あった、のだが!

「はあっ!」
「ネグルさんっ、回復するのです!」
 さすが本職は猟兵である。ふたりの動きはまさにエクエクそのまま。
 むしろ幾度もの戦場を潜り抜けているぶん、リアルさに溢れている。
 流麗な舞めいた剣技は、イベント側が用意したエネミーデコイをあっという間に一蹴した!
 勝利のファンファーレが鳴り響けば、会場中が歓声に包まれる。
「お疲れ様なのです、ネグルさん! やっぱりネグルさんは、強いのですね!」
 フルールはにこりと彼をいたわる。だがネグルは何も応えない。
 きょとんと首を傾げる彼女に対し、ネグルは突然こう言った。
「おっと、まだあんなところに敵(型デコイ)が! 行くぞフルール!」
「ええっ? でももう配置された敵は……あっ、ま、待っ――」
 疾い! ネグルは一気に踏み込み、デコイを一刀のもとに切り伏せる。
 するとどうだ。中から、ぽろっとリボンで装丁された小箱がでてきたではないか。
「これは一体……?」
 予想だにしない展開に、ステージを観覧する人々も困惑気味だ。
 ネグルはその小箱を大切そうに受け止めると、フルールに差し出す。
「フルール。君の誕生日はいつだったかな?」
「…………あ!!!」
 驚いたフルールに対し、ネグルはウィンクなどをして箱を手渡す。
「会場にお越しの皆さん! どうか、私の大事な(友人である)フルールの、
 生誕日をお祝いください! ……誕生日おめでとう、フルール!」
 会場は再びの歓声に包まれる! フェアリーの少女は顔が真っ赤だ!
「……あ、開けてみても、いいのです……?」
「もちろんだとも」
 恐る恐る箱を開いてみれば、中には精緻な作りのブレスレットが一つ。
 もちろんフェアリーサイズだ。フルールは驚き、あわあわと困惑し――、
「……も、もうっ! ほんとに、ネグルさんはそういうとこなのですっ!」
 満面の笑顔でそう言って、心の底からの感謝の言葉を返したという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カイル・ヴァンガード
かぶりものをしてうろうろするぞー!

白鐘を探して話しかけてみるか!
おーい、ってうわ、めっちゃ試遊台で遊んでる。しかもめっちゃうまい

俺エクエクシリーズは今でも好きなんだが、MMORPGは引退してしまったんだ。だけど戻り時がつかめないっていうか
エクエクTとかとコラボしたっしょ?Tは外せないよな~
曲がすきなんだ!燃えるのからしんみりするのまで、全部かっこよかったりするだろー!暴神戦の曲は全部好きだ!
俺?元タンクだぜ。白鐘は?
全部、カンスト……!?こわ
ミラプリも全職分やってる!? こわ
人生エクエクじゃん。かっこいいな!

などなど話題を振りまくる


ジョン・ブラウン
ホクホク顔で物販を回った後
『白鐘・耀』と好きなNPCやクエスト次の大型アップデートについて早口で話し合う

「ジョブクエストはどれも好きだなぁ」
「新しいエリア環境いいね!あんなところに家建てたいよ」
「僕、生産と採取ジョブカンストしてるから追加クエスト楽しみなんだ」
「追加プレイヤー種族も……ふさふさ……もふもふ……いいよね」
「そういや世界を超えるグリモア猟兵みたいなワープも実装されるんだっけ
ならみんなで集まって遊ぶのも楽しそう」

最後は周りのキマイラも巻き込んで
「誰かが待ってる、キミを待ってる!」
「一人じゃないさ!さぁ冒険に出かけよう!」

セリフアドリブ追加、絡みなど歓迎
エクエク愛を語らせてください


アルジャンテ・レラ
人々を惹きつける
エクセレント・エクスプローラーズなるものが
気になったので立ち寄ってみましたが……。
やはり私にはよく理解できず。
ああ、耀さん。
ちょうどよいところに。
このゲームの魅力について教えてもらえませんか?
何故あなた方が、睡眠すら削ってしまうほど夢中になれるのか。
ゲームに触れていて、どのような気持ちが湧き上がってくるのか……。
どうかお聞かせください。
……。
非常に早口でしたが問題なく聞き取れましたよ。
ありがとうございます。

書物とは異なる世界を見せてくれそうですね。
私も操作してみましょうか。
(コントローラを上下逆に持つ)
……。難しいです。
耀さんに指南を頼むべきでした。
未知の世界ですね、これは。


バルディート・ラーガ
いやはや。使えるモンは使い倒すのが信条とはいえ、流石にキャラまでお披露目しちまう予定は無かったンですが……まあ流れで出しちまったモンはしゃーなし。
見ての通りなひよっこですが、卓を囲めるよなオトモダチは随時募集中でございやすよーう。是非にゼヒに。ヒヒヒ…

歴が浅いから当然なンですが、まだまだオトモダチが少ねえンですよね。このキャラも、いちプレイヤーとしてのあっし自身も。
周囲のキマイラの皆サンはどうもお誘い合わせで遊んでるよーですし。
このへん、案内してくれるよな奇特なお方はいらっしゃらねエですかね。例えば白鐘のお嬢サンなんて、詳しそな口ぶりでいらっしゃいやすが……

(勿論アドリブetc大歓迎です)



●Happy end...
「ふふっ、ふふふふふ!」
 ジョン・ブラウンはニコニコしていた。そりゃあもうニッコニコである。
 伊達にギークを名乗ってはいない。赤毛の少年は心の底から喜んでいた。
「いやあさすがはエクエク運営、まさか予備の物販を用意してくれてたなんてね!」
 アルパカ連中に買い占められた商品も、ネットオークション側の厚意で差し戻しに。
 結果として彼は、欲しかったグッズを見事に全種類ゲットできたのである。
「あらジョン君じゃない、うわまただいぶ買ったわね」
「やあ耀。君も君で大概買い占めてるじゃないか」
 どっさりグッズの詰まった会場限定バッグを手に出くわす二人。
 グリモア猟兵である白鐘・耀も、さっそくイベントを楽しんでいるわけだ。
「せっかくだし一緒に回らない? いつかの交流会はさんざんだったからね」
「いいわね! じゃあまずはシャツもらいにレオリウス狩猟戦に並ぶわよ!!」
「🔃よろしくお願いします!🔃」
「🔃ここに来るのは初めてです。🔃」
「🔃本当に?🔃」
「🔃えっ!?🔃」
 どうやって発音してんだそれという謎めいた符丁で会場を回り始める二人であった。

●未だ知らぬと書いて未知
 アルジャンテ・レラは、騒がしいイベント会場を俯瞰しながら考え込んでいた。
 エクエク。いや、ゲームというものはなぜここまで人を惹きつけるのだろう?
 別にその出来を疑っているわけではない。彼はただ純粋に不思議なのだ。
「この熱気の正体、気になったので立ち寄ってみましたが……」
 顎に手を当て、生真面目な表情で考え込む。
 そんな彼の前を、バルディート・ラーガとカイル・ヴァンガードが通り過ぎる。
「いやはや、流石にキャラまでお披露目しちまうとは。我ながら迂闊でさア」
「いいじゃないか、我が子を愛でるのは決して恥ずかしいことじゃないぞ!」
「堂々とかぶりものをしてる旦那に言われると、勇気が湧いてきやすねえ」
 エクエクのマスコットキャラのお面を被ったカイルに、バルディートは苦笑する。
 しかしこの二人、実はガチガチのピカセンかというとそうではない。
「失礼します。話を聞くところ、どうやらお二人は他の方々と違うようですね……?」
 などとアルジャンテのほうから声をかけてみれば、
「ああ、そうでさアね。あっしはいわゆる若葉……初心者でございやすし」
「実は俺も、エクエク自体はいまでも好きなのだが、MMOは引退してしまっているのだ」
 と、いうわけである。
 初心者と引退者。なるほど、アルジャンテにとっては興味深い二人だ。
「不思議ですね。お二人ともゲームの習熟度も何もかも違うというのに……。
 今さっきのように、まるで何も変わらない仲間同士として、語り合えるとは」
 バルディートとカイルは顔を見合わせ、肩をすくめた。
「ははあ。さては旦那、あっしよりもひよっこと見えやすねエ」
「これはちょうどいい。こういう時は、ガチ勢の意見を求めるべきだな!」
「え」
「「まあまあまあまあ」」
「えっ!?」
 なぜか二人にがっちり両腕を掴まれ、引きずられていくアルジャンテであった。

●あいつエクエクの話すると早口になるの
「あのギミックズルすぎない?」
「わかるわ。あれ笑いすぎてペロりかけたわよマジで」
「またエモート追加されるんだろうね、それともミニオンかな?」
「私はまさかの地面に突き刺さったエモートにこの眼鏡をかけるわ」
 ゲーム試遊特典のノベルティをしまいつつ、熱く語り合うジョンと耀。
 そんな二人のもとに、なぜかアルジャンテを抱えてバルディートとカイルがやってきた。
「おーい……ってうわ、もうめっちゃ遊んでる!? しかも全部クリアしたのか!
 ヨージンボはともかくレオリウスも五聖獣もってすごいな……!」
 カイルが驚いたのも無理はない。二人はボスバトル系のブースを全制覇してきたのだ。
 かたやガチガチのバトルゲーマー、かたやガチガチの廃人である。
 その場で見ず知らずの相手とマッチングさせられ、しかも設定の変更が5分しか猶予がないとしても、ふたりにとっては大した障害ではない。
「憧れやすねえ、あっしはまだカンストもしてねえですから、へへへ。
 やれることが多すぎて思わず目移りしちまうんでさアよ、いやはや」
 などと、バルディートは三下口調でぺしりと頭を叩いてみせる。
「あの、なぜ私はこんな異星人みたいな有様になっているんでしょうか……」
 そんな二人に拘束(?)されていたアルジャンテはひたすら困惑していた。
 が、この中でもっともピカセン歴が長いらしい二人の前にやってくると、
「ともあれせっかくですし。耀さん、そしてジョンさん。お願いがありまして。
 ……このエクセレント・エクスプローラーズの魅力を教えてほしいのです」
 ジョンと耀は顔を見合わせる。
「「どのぐらいで語っていいやつ?」」
「え」
「「ガチで? それともやんわり?」」
「えっ……?」
 わけのわからない質問に戸惑うアルジャンテ。
「まあそうなるな。人は誰しも好みのものを語る時早口になるものだ」
 うんうんと腕組みしたまま頷くカイル。
「あっしとしちゃあガチで聞いてみたいとこでございやすねエ」
「……そうですね。ガチとかやんわりという基準がよくわかりませんが……」
 バルディートの言葉に、アルジャンテは頷いた。
「そう。じゃあジョン君、先どうぞ」
「🔃ありがとう。🔃」
「ちょっと待ってくださいいまどう発音したんですか」
 こほん、と咳払いするワンダーギーク。

「まずやっぱりなにより世界観だよね。グラフィックもいいけど作り込みがすごくてさ。各種族……ああ、エクエクっていろんな種族がいてそれぞれに風土やどういう風にその地域に根付いたかみたいな設定があるんだけど、なんとPCを作る時は参考にしやすいように命名法則とかが公開されてるんだよね。これも"どうしてそんな法則になったのか"が解説されててすごく面白いんだ。もちろんそれだけじゃないよ、種族同士の対立だとか、女性が多い種族はなぜ男性が少ないのかとかもきちんと考えられてる。で、このへんがメインクエストの意外な伏線になってたりしてさ、設定資料集を読んでるだけでも飽きないっていうか。しかも今回の最新パックで種族がふたつも追加されるんだよ! どっちもケモくてふさふさもふもふ、いいよね……(ここで耀が『いい……』と玄人っぽく頷く)まあ僕が種族変更するかはまだちょっと考え中なんだけど。あとシステム面で言うと、やっぱり僕は生産と採集を推したいね。何を隠そう、僕は全生産採集クラスがカンスト済みでさ。バトルクラスはドラさん(※槍使いのドラゴンナイト)メインなんだけど、もともと生産採集が楽しくて始めたみたいなところがあるんだよね。これも設定がすごいんだ! 料理の一つ一つ、釣れる魚の一つ一つに設定がきちんとついてて、しかも時刻や天候、餌や釣り方によって釣れる魚とそうでない魚が変化するってわけ。あ、もちろん釣りクエはコンプリート済みだよ。ヌシ釣りは苦労したなあ、今は緩和されてるからそれを目的に始めてみてもいいかもね。ちょっと嫌なことがあった時なんかはぼーっと釣り糸を垂らしてるだけでも心が癒やされるよ。そうそう、そういえば新しい拡張パックで、この生産採集に新規要素が追加されてさ、崩壊した国を皆の手で再建するっていうクエストなんだけど、僕これがものすごく楽しみでね。まあ装備を整えるところからだけど、今となってはもう慣れたものだし、オシャレも楽しめるからね。こないだリリースされたアプリのおかげで、いつどこでもアイテムの相場が確認できるのもありがたいかな。やっぱり生産メインとしては金策も楽しみのひとつだからね。僕としては最先端の素材を集めて売るより、二次素材とか穴場の素材をうまく市場に放流して相場を操作するのが好きかな。うまくやるとものすごい勢いでお金が増えるんだ、まあ集めたお金も全部ハウジングに消えるんだけどね!」
 ここまで一息である。ふー、と深呼吸するジョン。
「わかるわ」
 耀は至極シンプルに頷いた。アルジャンテはぽかんとしている。
「あ、まだ続けたほうがいい?」
「いえ耀さんのほうを始めちまっていいと思いやすぜ。いやマジで」
 バルディートは至極真顔だったという。

「じゃあ次は私ね!」
「え、あ、ああ……はい」
 そしてこほん、と咳払いしてから髪をふぁっさーとかきあげる耀。
「やっぱりねえエクエクのいいところはバトルだと思うのよバトル! 普通にメインストーリーを追ってるだけで基本的操作やらなんやらを習熟できる導線の丁寧っぷりもさることながら、いろんなプレイヤーの需要に応えられるように用意された難易度の違うコンテンツが魅力的よね! 普通のMMOってたいてい上級者と初心者は格差が開きがちなんだけど、エクエクの場合初心者向けの低レベルダンジョンでも、上級者はステータスを最適なレベルまで引き下げられるから一緒に探索が出来るわけ!(ここでジョン・バルディート・カイルが『あれいいよね』『いいでさアね』『いい……』と頷き合う)もちろん最難関のバトル……あ、これエンドコンテンツっていうんだけど、これがまた歯ごたえあるのよ~。実装初期は、世界中で誰が一番最初にコンテンツを最速クリアできるかなんてレースも開催されたりするのよね! 私? 私はもちろん極式(※エンドコンテンツ難易度のひとつ。すこぶる難しい)も零絶(※最先端のさらに一部の超やりこみ派向けに近頃実装された最上級高難易度ボスバトルのこと)も終わらせてるわよ! いやー最初に絶ベヒ(※零絶・ベヒーモス討伐戦。エクエクサービス開始初期に最難関を誇ったボス『ベヒーモス』がさらに強化されて帰ってきた)やった時は開発チームに殺意沸いたわね! なによあれ、トリプルタニア(※ボスの名前)と真ネイル(※ボスの名前)が同時に攻撃仕掛けてくるとかバカじゃないの!? おまけに範囲拡大してるしDPSチェック(※DPS=ダメージ・パー・セコンド、秒間火力の略称。DPSチェックとは、『この時間内に一定以上の火力を出せないと強制的に全滅』というギミックを指す)キツすぎるし、コントローラぶん投げたわマジで。まあ初日から一週間ぶっ続けでやってとりあえず時間切れは見れたからそのまま頑張ったんだけど……(ここでジョン『あ、僕3日でクリアしたよ』と口を挟む)マジで!? 頭おかしいんじゃないの!?(カイルが『いや白鐘も大概だと思うが』と口を挟む)……まあいいわ。とにかくポイントとしては、この難易度の高いボス戦を少しずつ攻略してくのがものすごく楽しいのよ! 何度も何度もワイプ(※全滅のこと)しながら少しずつ仲間と息を合わせて、ようやくフェーズを超える! あの脳汁の出っぷりったらないわね……あれは癖になるわよ。新しいレイドバトルも楽しみすぎて夜もぐっすりだわ!」
 ここまで一息である。ふー、と深呼吸する耀。
「わかる」
 ジョンは至極シンプルに頷いた。アルジャンテはぽかんとしている。
「あ、まだ続けたほうがいいかしら?」
「いや、お二人ともエクエク愛はよく伝わってございやすよ。いやほんとに」
 バルディートはやはり真顔で、割と強めの語調でストップをかけたという。

●仲間がいるということ
「…………ま、まあとにかく」
 おほん、と咳払いをするアルジャンテ。
 彼は高性能なミレナリィドールなので、内容もだいたい理解していた。
「非常に早口でしたが問題なく聞き取れましたよ。ありがとうございます」
「「あ、じゃあもっと語る?」」
「それはいいです」
 ぴしゃりと一蹴した。
「……とはいえ、まだまだ実感は籠もっていないのですが……」
 などと思案するアルジャンテを見て、バルディートはからからと笑う。
「何か、おかしいところでも?」
「あアいやいや、気を悪くしねえでくだせエ。あっしと同じだなあ、と思いやして」
「……同じ、ですか?」
 バルディートはしゅるしゅると爬虫類めいた吐息を漏らしつつ頷く。
「そうでさアよ。いやね、あっしはもともと麻雀目当てで始めたんでございやすが。
 エクエクってのア不思議なもんで、みんな熱意があるんでさアよ」
 ゲームの面白さもさることながら、それこそが彼を惹きつけたという。
 二人は会場を見渡す。キマイラ達は思い思いに笑顔で楽しい時間を過ごしている。
 本来なら猟兵がいれば、彼らは即座に押しかけて無限握手会に飲み込まれるのだが。
 ある意味で彼らは、いまは猟兵よりもイベントに夢中、というわけだ。
「けどねエ、やっぱあっしも、その楽しさがわかったのは実際の始めてからなんですよ」
「……まあ、そうでしょうね」
 あれほど熱のこもった語りを聞いても、アルジャンテに実感はわかない。
「僕の回路は、罅割れていますから」
「いやいや、あっしはあんたの事情にゃ詳しくねエが、それは違いやすよ」
「……というと?」
 バルディートは顎でくい、と三人のほうをしゃくってみせる。

「クラスクエストはどれも好きだなぁ。二人はどれが好き?」
「俺はやはり、ウォーリアだな! あのコミカルな感じがいい! 元タンクだしな!」
「私はやっぱダークナイトねえ。実質パッチ3.6じゃないのあれ」
「わかる。そういえばダークナイトと言えば、新しいエリアもいいよね」
「俺もムービーは見たが、あれはかっこいいな……永遠の昼に閉ざされた世界、か」
「また飛行マウントのためにあちこち回るんでしょうねえ、まあ楽しいけど!」
「僕は嫌いじゃないけどね、あの空脈クエ。サブクエも遊べるし」
「騎乗中の音楽が好きなんだ。フィールドBGMも俺は楽しみだぞ」
「わかるわ! ていうかあんた引退してるんでしょ、サントラ貸してあげよっか?」
「あ、僕アレンジアルバムも持ってるよ。これがかっこよくてさあ」
「何っ!? じゃあ暴神戦の曲もあるのか!?」
「あるある。エクエクT(※エクエクの外伝作品。最近自社コラボした)のBGMも収録済みよ!」
「あれすごいよね、BGMの権利に対するこだわりを感じる……」
「さすが全カンスト済み、ちょっと怖いがありがたいな!」
 などと、カイル・ジョン・耀は意気投合して早口会話をしていた。

「……あれだけ語ってまだ熱意が尽きないとは」
「だからつまり、そういうことなんでさアよ」
 しゅるる、とバルディートが笑った。
「仲間がいりゃアいくらでも語れるし、遊べる。ゲームってなアそういうもんでさ。
 だからアルジャンテさンも、いっちょエクエクを遊んでみたらどうです?」
 などといいことを言ったふうだが、ドラゴニアンは照れくさそうに鱗をかいて、
「いやま、実際のとこあっしがフレンド欲しいだけなんでございやすがねエ!
 まだまだひよっこなもんでして、へへ。これ幸いてな具合にちっとばかし……」
「……なるほど。わかりました、では是非お願いします」
 アルジャンテの言葉に、今度はバルディートがきょとんとする番だ。
「書物とは異なる世界に興味があります。もっとも、何もかも至らぬ私ですが」
 至極生真面目な顔で頷きつつ、しかしどこか少しだけ暖かい声音で、
「未知の世界に飛び込む冒険心ぐらい、私にだってあるんですよ」
 知識を求める人形は、少しだけ穏やかな口調でそう言った。

「あらあら~、あっちはなかなか微笑ましい若葉っぷりねえ」
「うーむ、ああしているのを見ると、俺も少しだけ戻りたくなってくるな!」
 などと語り合う耀とカイル。ジョンは満面の笑みで頷く。
「なあに、いつだって僕らは仲間を受け入れるさ。誰であろうと、楽しく遊ぶ気持ちがあるなら。
 僕だけじゃない、エクエクでは誰かが待ってる。皆を、キミを待ってるんだ!」
 高らかな声は、猟兵達だけでなくキマイラ達にも響き渡る。
「同じエクエクを愛するなら、僕らは一人じゃないさ! さあ――」
 ジョンは笑顔で。耀もそれを見て肩をすくめつつ明るく。
 少しだけ照れくさそうにバルディートも。それを受けたアルジャンテも。
 そしてもちろん、カイルも。それぞれがそれぞれに手を差し出し、こう言った。

『一緒に冒険に、出かけよう!』

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「おお、盛り上がってるなー。」
僕こういうイベント初めてだし、ワクワクするね。さて、どっから行こうかな(買ったパーカーを装備)

とりあえず、試遊台を見て回ってみよう。自キャラ(猫耳生やした厳ついおじさん)は使えるのかな?
「…(無言でゲームに集中)」

一通り回ったら、フードコーナーでご飯食べてのんびりしよう。
「すげー再現度だなぁ。…でも高い。あと一品…いや、グッズを買う資金を減らす訳には…」

あとは、プロデューサーの部屋とか言うイベント見てから、グッズを買い漁るかねぇ。
艦の人たちに何かお土産買いたいけど、何か良いものはあるかなぁ。

アドリブ歓迎


ビードット・ワイワイ
して一体どのようなゲームであり?
あのアルパカの説明では分からぬがゆえ
何を求めしゲームなり?
何になれしゲームなり?
何処に至りしゲームなり?

聞いたのちに実際にプレイせり

あな素晴らしきかな
幾千の言葉より幾何のプレイなり
これがゲーム、これが人の遊戯への探求であるか
なるほどなるほど、この世界感を感じるため此度のイベント最大限に楽しもう


黒川・闇慈
「さあ、麻雀のお時間ですねえ……クックック」

【行動】
wizで行動です。
エクエクのゲーム内に実装されている麻雀をプレイします。
打ち方の方針としては、面前を維持したまま手堅くいきましょう。勝てそうならば突っ張り、危なそうなら素直に降りる。
つまらない打ち手かもしれませんが、こういうデジタル思考の方が性に合っているのですよねえ。

「クックック……私も不落の黒川と呼ばれた身(呼ばれたことはない)、簡単にトぶようなことはない、と思っていただきましょう」

【組み合わせ、アドリブ歓迎】



●楽しみ方はひとそれぞれ:須藤・莉亜の場合
 足の踏み場もない勢いで、会場をぐるぐると回るキマイラ達の、熱気!
「おお、盛り上がってるなー」
 莉亜の顔と口調は相変わらずだが、ウキウキ感は伝わってくる。
 なにせ彼は早速物販で特製パーカーを購入、装備しているからだ。
「こういうイベント初めてだからなあ、どこから行くか迷っちゃうね」
 この手のイベントは、けっこう並ぶ時間がかかるものである。
 猟兵ともなれば譲ってもらうことも出来なくはないのだが……。
「やっぱりまずは試遊台かな。すみませーん」
「はい! あ、猟兵さんが、すげえ!」
 運営スタッフも割と仕事を忘れてテンションが上がる。
「ここって、自キャラを持ち込むことは出来るのかな?」
 スタッフは何やらトランシーバーで会話している。
「本来は難しいんですが、会場を守ってもらったお礼がありますからね!
 皆さん猟兵さんのキャラ見てみたいし、是非お願いします!」
「おー、なんだか悪いなあ。ありがとうね」
 そしてシステム側でなんやかやして用意された特別試遊台。
 莉亜がパスワードを打ち込むと、慣れ親しんだ自キャラが現れた。
『うおっ、まさかのオスッティ(※種族の愛称)だ』
『しかもおじ様だ。ヌンだヌン』
『いいなあ、ミライリュ(※装備の見た目だけを変更するオシャレシステムのこと)もばっちり決まってる!』
 などと、猟兵のゲームプレイを目の当たりにしようとガヤガヤと人垣が集まってきた。
 莉亜の反応はどうだろうか。照れているのか、むしろ喜んでいるのか……。
「…………」
 し、集中している! 下手するとそこらの戦闘中よりマジな顔つきだ!
「猟兵さん、よろしくお願いします!」
 マッチングしたピカセン達が初々しい様子でドギマギと挨拶をする。
「ん、よろしく。まあ頑張っていこうかー」
 などと口調はいつも通り気怠げだが、目はマジだ。
「みんなでステッカーとTシャツ、ゲットしよう」
「「「おー!!」」」
 かくして、激戦が始まったのだ!

●楽しみ方はひとそれぞれ:黒川・闇慈の場合
 ここはイベント会場の片隅にある、なぜかひっそりとしたブース。
 この空間だけは、奇妙にも喧騒から外れて静けさが漂っていた。
 なぜ? ブースに人気がないわけではない。多くのピカセンが集まっている。
 にも関わらず、ざわ……ざわ……という奇怪な緊張感が漂っているのだ。
「クックック……」
 闇慈もまた、コントローラを手に不気味な笑みを浮かべていた。
 下手すると今回の戦いで、一番本来のイメージに近いんじゃないかって感じのクックックである。
 そうだ、彼は本来こういう妖しくて底知れない黒魔術的なキャラなのだ。
「さあ、どうします……もっとも選択肢はないでしょうがねえ」
 威圧感! はたして彼は一体何を? まさかオブリビオンがまだいたというのか?
 対峙する画面に表示されているのは……おお、見よ! あなや!
 パチン。捨てられる字牌。闇慈の目が……鈍く、しかしぎらりと輝く。
「ロンです。立直一発混一色ドラドラ、裏ドラも乗って16000ですねえ、クックック」
 …………麻雀であった。
 いやしかし落ち着いて欲しい。再三言われているがエクエクは麻雀も出来るのだ!
 そう、ここは雀荘ブース。雀鬼達が飽きるまで麻雀を打ち合う修羅の世界……!
「やはり打ち手はデジタルでこそ、ですねえ。クックック……」
 彼はオカルトに支配されない。いや待てウィザードなのにそれでいいんですか?
 まあ本人がそれで納得してるのならいいだろう。実際勝ってるし。
 メンゼンを第一に、けして大きく出ることなく手堅く役を作っていく。
 時にはベタオリも辞さない、実に堅実で、面白みがないと揶揄されがちな打ち筋だ。
「クックック……ですが麻雀は、負けなければすなわち勝ちなのですよ」
 然り。すでにオーラス、闇慈は2位ながらぴったりと1位を即死圏内に入れている!
『猟兵……貴様このゲーム、やりこんでいるなッ!』
 チャットが飛んできた。エクエクは参加者同士でチャットも出来ます。
「答える必要はないですねえ。この不落(おちず)の黒川、お嘗めでないですよ……?」
 くつくつと喉を鳴らすような、妖しい笑みを浮かべる闇慈。
 おかしい、合っているはずなのに何もかもが間違っている気がして仕方がない……!
『くっ……ここは逃げ切ってみせる!(チャット)』
「あ、それロンですねえ。クックック(チャット)」
 だ、ダマテンからのタンヤオドラ1のみ! あまりにも無慈悲!!
 かくして、闇のピカセン達の闘争は暗く静かに進んでいく……。

●楽しみ方はひとそれぞれ:ビードット・ワイワイの場合
 ガシャンガシャン。ウォーマシンが会場を練り歩く。
 幸い、猟兵はあらゆる世界で外見その他による違和感を与えることがない。
 まあこの世界に限って言えば、仮にそのままで見て取られたとしてもむしろ喜ばれそうだが。
「おお、猟兵さんだ!」
「かっけー! コスプレかな!?」
 こんな感じで和気藹々である。
「来たり来たり来たり、イベント会場は無事開催せり。破滅は退けられり」
 ぐるんぐるんとカメラアイを動かしつつ、無料配布のノベルティを受け取るビードット。
 ぺたり。器用にもお面を頭にかけ、特製バッグをコンテナに収納する。
「してエクエクとは一体どのようなゲームであり? あのアルパカの説明ではわからぬがゆえ」
『ただいまこちらで新型パソコンの性能デモンストレーション行っておりまーす』
「チラシを一部頂けり」
『はいどうぞ! 猟兵さん、ぜひよろしくお願いしますね!』
「感謝せり」
 がしゃんがしゃん。
「何を求めしゲームなり? 何になれしゲームなり? 何処に至りしゲームなり?」
『ただいまこちらのブースではぬいぐるみキャッチャーを開催中でーす!』
「1プレイ所望せり」
『いらっしゃいませ! 猟兵さん、さあどうぞ!』
 ウィンウィンウィン(横移動)
 ウィンウィンウィン(縦移動)
 ウィーン(アームが降りて、見事にぬいぐるみをキャッチする)
『おめでとうございまーす!!』
「感謝せり」
 がしゃんがしゃん。
「我には何もわからず。わからねばイベントも楽しめぬなり」
 普通に楽しんでないですか?

●でもやっぱり一人で居るよりは
「お」
「ほほう」
「見たり見たり見たり」
 そしてばったりと、イベント会場の通路で出くわす三人。
「やあ二人とも、どうだいイベント楽しんでる?」
「ええ、私の手(牌)がたっぷりと新鮮な血を吸いましたよ、クックック」
「えっ、なにそれ僕ダンピールだけど普通に怖い」
 闇慈の妖しい笑みが相まって主語が抜けていると本当にキルしていそうな感じがある。
 麻雀ブースで大勝したノベルティとして、エクエク特製雀牌セットを抱えているので何があったのかは一目瞭然なのだが。
「我はいまだエクエクがなんたるかを知らず。ゆえにイベントは楽しめておらぬなり」
「いやめちゃくちゃグッズ抱えてるよね? お面まで被ってるし」
「我はいまだ楽しめず」
「要求ハードルが割と高いですねえ」
 などと歓談(?)しつつ、莉亜は思案した。
 幸い、グッズは無事に取り戻され、物販ブースには十分な数が用意されている。
 このままグッズの買い漁りに向かってもいいが……やっぱり、イベントに来たからには。
「じゃあさ、一緒に回ってみない? やっぱり現役ピカセンがいたほうが、
 色々アドバイス出来ると思うし。あとそのグッズどこでもらったのか知りたいし」
「然り然り然り。我はエクエクがなんたるか、その知識を所望せん」
「私が説明するとだいぶ偏った知識になりそうですが、そうですねえ。
 麻雀だけやって帰るというのも何ですし、ご同伴に預からせていただきましょうか」
 というわけで、ダンピール・ウィザード・ウォーマシンの実に奇妙なトリオが結成された。

「我は心底不思議なり。人はなぜに遊戯に斯様な熱意を傾けたるか」
 ビードットの何気ない疑問に、莉亜と闇慈は顔を見合わせる。
「うーん……言われてみると難しいね。楽しさって人それぞれだからなあ」
「かくいう私も、最近は麻雀ばかりですからねえ。それでプレイ人口が割と増えたと聴きますが」
「面妖なり。なぜにファンタジーRPGで麻雀が遊べれり?」
「「それは僕ら(私達)もわかんない(りません)」」
 ポーカーとの二択でこちらが採用された、という話はピカセンの間では有名である。
「まあでもやっぱり、それを知るなら実際に遊んでみるのが一番じゃない?」
 莉亜の言葉は正しい。彼らが向かうのは、いくつもある試遊台の一つだ。
「百聞は一見に如かず、ってね。この場合は、うーんと」
「幾千の言葉より、幾回のプレイなり」
「言い得て妙ですねえ。私のゲーム内でも魔術士っぷりをご覧に入れてさしあげましょう……クックック」
 なんやかやで意気投合しているようだ。人の縁とは不思議である。

「で、このクラスはこういう攻撃が出来て」
「理解せり理解せり理解せり。つまりこのコンボがこうであるな」
「割と飲み込みが早いですね……クックック」

「あ、やばい攻撃来た! 避けて避けて!」
「このマーカーが範囲なり? 我は学習せり」
「ほんとに理解度高いですねえ。おっと、そろそろ大技を使いましょう」

「いえーい、無事クリアー」
「かくて敵は破滅せり。皆々、実にご苦労なり」
「こういう時は"お疲れ様でした"と言うんですよ……クックック」
「お疲れ様でしたなり」
「敬語なんだか偉そうなんだか……」
 見た目も戦い方も出自も何もかも異なる猟兵三人は、同じ参加者として、
 熱気あふれる会場をやんややんやと回り、楽しい時間を過ごしたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

銀山・昭平
実際にプレイした事は無いけどおらも参加してみたいべ!
というわけでフードコーナーでちょっとお高いけど美味しそうな料理を頼んでみたいべな。
少しお高くても財布は気にせずお腹いっぱいになるまでグルメを楽しむべ!

しかし話を聞いたりイベントを見てるとほんとにエクエク楽しそうだべ……いろんな職業があるけどおらは機工士が気になったべな。
そして戦闘だけじゃなくて鍛冶や裁縫、料理に採取……ゲームの中でもいろんな事ができるのって楽しそうだべ!


テン・オクトー
我々の桃色なグッズはあるかな?ミニチュアなペットグッズは?え?売り切れ?少しだけグッズ見て回ったらカフェスペースで過ごすね。

うわ〜よく出来てるね、こんなのいたよね〜とエクエクの敵キャラを再現したケーキセット等を食べるよ。
今回はなんだかとても疲れちゃった。久々のエクエク絡みで思わず興奮しちゃった。甘いものが疲れた体に染み渡る〜。何はともあれキマイラさん達のイベントを守れて良かった良かった。
ボクがピカセンだったのは少し昔の事で今はすっかり猟兵。そう猟兵なの。懐かしく思いつつまったりイベントを過ごすよ。
殆ど愛を叫ぶ事はなく、他の方々の愛の叫びをニコニコしながら見ています。
絡みアドリブ歓迎です


難駄芭院・ナナコ
バナナはいい!バナナはいいぞ!
甘みもあってエネルギーもたっぷり!
バナナを食べればこのイベントも乗り切れるぜ!

うおぉぉ!気付けばバナナの愛を叫んでいた!
いや、まてよ!エクエクにもあるぜ!バナナ要素が!

エクエクにはバトルだけじゃねぇ!生活を専門とする職もあるって事を!
アタイも最近ハマり始めたんだが、これがバトルとは違ったスキル回しを要求されて楽しい…!

そしてそのスキルを使いバナナを取ってきて!更にバナナを調理する!
すると極上のバナナスイーツを作り上げる事だって出来る!
エクエクの可能性は無限大だ!

そしてなんとあるじゃないか!再現フードが!
夢にまで見たグレートバナナパフェ!いただきます!
うめぇ!!!!


リヴェンティア・モーヴェマーレ
【SPD】
アドリブ、他の方との絡み大歓迎です

ゲームは楽しい気持ち!
楽しんでこそのゲーム!

ステージで愛を語ることになるならば…

いりゅーーじょぉぉん!(な気持ち)
私を助けてくれた愛すべき博士に届けこの想い!(ぽぽぽぽーんとハムスターやらチンチラやらハリネズミやらを魔法の様に出して一緒にダンス)
日頃から感謝の気持ちは忘れてはいませンが、やはり伝えられるときに声を大にして伝えられるとよいですヨネ♪
って…アレ?そうじゃないデス?

あとあと!ミニゲームも食事も楽しみたい気持ち!
ハムちゃん達と一緒に全力で催し物を楽しんで帰りマス!

あ、お土産は何がいいでショ?
周りに聞けそうな人が居たら聞いてみたりしたい気持ち!



●我々のエクエク
 ファンイベント会場にやってきたのが、すべてガチ勢ばかりというわけでもない。
 エクエクを始めたばかり、あるいは興味を持った初心者=若葉のキマイラもいる。
 どうやら今回の騒ぎがある意味で功を奏し、ネット中継で猟兵達の戦いぶりを目の当たりにしていても立ってもいられず駆けつけた、という層もいるようだ。
「かーっ、どれもこれも良く出来てるべなあ!」
 そしてそれは、猟兵も例外ではない。銀山・昭平などはいい例だ。
 なんだかんだエクエクのプレイ経験がない彼は、まずなによりもフードに目をつけた。
「価格はお高めだけど、イベントってのはそういうものだべ!
 それに味の質も高いべな、こういうときは値段を気にせず腹一杯になるまで食べるべ!」
 さすがは家庭という一国一城の主、考え方が実に大人だ。
 エクエクの様々なクラスをイメージしたドリンクだけでなく、
 ボスをモチーフにした見た目も味も多様な料理、
 はたまた『名物NPCが作った料理』という設定のボリューム満点肉料理など、
 エクエクカフェ(通称エクカフェ)のメニューは盛り沢山である。
「うわ~ほんとだ、よく出来てるね! この『レヴィアタン冷麺』とかすごいなあ」
 対面に座るテン・オクトーは、真っ青に染まった不思議な見た目の冷麺をちゅるっと啜る。
 レヴィアタンとは、エクエクに登場する水属性の強力なボスのことだ。
 海を支配し津波を起こすタイプのモンスターなので、青い冷麺で波をイメージしているのである。
「は~、今回はとっても疲れたからなあ、ようやく一心地だよ」
 などと、のほほんとしているテン。するとそこに、スッと差し出された……一本の、バナナ。
「疲れた時は糖分だ! そして糖分と大量の栄養を補給できる完全食品……それが、バナナだ!!」
 ご存知(?)、バナナ狂いの難駄芭院・ナナコその人である。
「甘みがあってエネルギーもたっぷり! バナナを食べればイベントも乗り切れるぜ!
 ちなみに持ち込みで色々メニューも再現してもらってるからな、じきに運ばれてくるぜ!!」
「「ええ……」」
 カフェのスタッフすら巻き込むその圧の高さにちょっとヒき気味の昭平とテン。
「はっ、こうしちゃいられねえ! キマイラ達も疲れ果てているはず!
 バナナがアタイを呼んでいる! いやステージが? うおおおおお!!」
 やや錯乱気味に叫びながら、中央ステージへと吶喊していった。
「……あれ、止めなくていいのかな?」
「おら達じゃ太刀打ち出来ない気がするべ、腹ごなししながら見てればいい気がするべさ」
 二人はもうすっかり、観覧モードに入っていたという。

●愛を叫べ!
 一方、ステージ上。
「いりゅーーじょぉおーーんっ!!」
 謎の掛け声とともにリヴェンティア・モーヴェマーレは元気よくステップを踏む。
 すると彼女の周囲にぽぽぽぽーんとファンシーな煙がいくつも生まれ、
 中からハムスター、チンチラ、ハリネズミなど、彼女が使役する小動物達が現れるのだ。
 ……しかしこれ、ルーンソードだのエレメンタルロッドだの、はてはガジェットだの、
 けっこういかつい装備に変身(?)出来る侮れないヤツらである。
「ゲームは楽しんでこそ、なら私もイベントをたっぷり楽しむ気持ちっ!
 そしてこんな時だからこそ、博士にこの想いを届けたい気持ち、なのでスっ!」
 やや論理は破綻している気がするが、キマイラ達は盛り上がっているしおおよそ問題ないだろう。
 猟兵はヒーローであるからして、そこにいるだけで彼らを明るく元気づけるのだから。
「皆サンもイベントを楽しむ気持ちも、何かを愛する気持ちもいっぱいいっぱい表現するといいのデスっ!」
 かわいらしい小動物達を従えて踊り出すさまは、なるほど言葉通り。
 奇しくもそれは、皆のゲームを私物化しようとした怪人どもと対極の行いでもある。
 好きという気持ち、いいねという気持ちは伝えねば届かないのだ……大事だ!!
「うおおおおっ、アタイもわかるぜその気持ちぃいいいい!!」
「ってものすごい量のバナナが降ってきたのデすがーっ!?」
 乱入だ! 暴走特急めいてナナコがステージに飛び込んできた!
 ……なぜかバナナを乱舞させながら。ダメージ判定はないのでごあんしんください。
「っていけねえいけねえ、ここはエクエクのファンイベントだったぜ……!
 実はエクエクにもあるんだぜ、バナナ要素……そう、料理と採集がなッ!!」
「わ、私が言うのも何デスけど、ものすごく強引にゲームに繋げてきたのでス……!!」
 基本的にノリで生きるリヴェンティアも、このテンションには圧され気味である。
 だが実際、エクエクは様々な要素が用意されたボリューミーなゲームだ。
 敵と戦いスリルを求めるだけでなく、材料を集めクラフトすることもできる!
「ちなみに、そこのかわいいヤツらみたいなちっこいミニオンを集めることもできるぜ!」
「!!! そ、それは興味深いのデス! フェレットもいるのでスか?」
「イタチならいるぜ! もちろんリスや、そう、いやらしい鳥もな……!」
「いやらしい鳥……?」
 最後のはよくわからないが、リヴェンティアの興味を大きく惹きつけたのは確かなようだ。

「いやらしい鳥ってなんだべさ……!?」
「あー、こいつだねこいつ。懐かしいなあ」
 疑問符を浮かべる昭平の前で、テンがふかふかしたぬいぐるみを取り出す。
 南国めいたピンク色の鳥だ。どうやらこれが"いやらしい鳥"らしい。
「よくわかんねえけんども、おめぇもピカセンなんだべ?」
 などと問われれば、テンは一瞬目をそらす。どうした8歳児。
「いまは猟兵だけどね。うん、少し昔の話だよ。いまは、猟兵なの」
「なんか思い出したくない黒歴史的なことあったんだべ?」
「いまは猟兵だから」
 ネトゲをやってるとその手のキズは誰しも負うものである。
 いや実際そうなのかはさておき。
「ま、まあ僕のことはおいといてさ! 昭平さんはエクエク、やってみないの?」
「そうだべなあ、この熱気に会場の作り込みよう、実に興味がでてきたべさ!」
 もしゃもしゃとバナナスイーツを堪能しつつ、昭平はかんらかんらと豪快に笑った。
「おらはやっぱり、このマシニストってクラスが気になるべな!」
 マシニスト――機甲士、とも呼ばれる、アタッカークラスだ。
 エクエクの世界ではやや普及率の低い"銃"を武器に戦う、遠隔攻撃タイプである。
 やはりガジェッティアならばこそ、ゲームでもそういった要素に惹かれるらしい。
「しかも戦う以外にいろんなことも出来るんだべ? 鍛冶とかやってみてえべな!」
「おっ、製作に興味アリか? ようし、アタイが面倒見てやるぜ!!」
 などと、昭平の呟きをステージ上から(!)目ざとく聞きつけたナナコ。
 エクエクの奥が深い製作クラスについてだとか、上級スキルについて早口で語り始める。
「いやあ、何かを愛する人の語り口って見てて楽しいよね~」
「どんなものでも、楽しむ姿は他の誰かも楽しくさせるものデスからねっ」
 テンとリヴェンティアはほくほく顔で会場の雰囲気に浸っていた。
 実際、あれやこれやとゴリ押しマーケティングするより、とにかく楽しんでいる姿を見せていれば、どんなものでも人を惹き付けがちである。
 その点では、ナナコのようなエクエクを愛するピカセンの姿は、初心者にとってとてもまぶしく映ることだろう。

「そのぬいぐるみも可愛らしいデス! お面とかもあるのでスね~」
 リヴェンティアはグッズにも興味を示したらしい。
「シャツやパーカー、あとはペンダントなんかもあるぜ?」
「定番だべな! まあおらにおしゃれは合わねえべからなあ、そういうのは縁が」
「なんかボクサーパンツとかもあるらしいよ?」
「ラインナップが謎すぎるべ……!?」
 しかも割と種類がある。エクエクのグッズは時々頭がおかしい。
「ミニゲームだって盛りだくさんだからな! エクエクの試遊も出来るし、
 あとは謎解きゲームだの、アイテムすくいだなんてのもあるぜ!」
「それは楽しみでスっ、ハムちゃん達と一緒に遊べるのもあると嬉しい気持ち!」
 猟兵が一言言えば、即席ドッグ(?)ランコースとかは拵えられそうなもんである。
 だがナナコがチッチッチッと意味深に指を振ると、そこに運ばれてくる巨大な器!
「うわっ、なにこれ!? ものすごい大きさの……パフェ?」
「す、すげえべさ、バナナ特盛だべ……!!」
 テンと昭平は、その巨大さに圧倒された。
「これがエクカフェ名物、グレートソーサーパフェ……の、バナナVerだ!
 アタイが無理言って作ってもらった。スタッフさんありがとうだぜ!」
「さりげなくけっこうゴリ押ししてるでスね!?」
 本来なら、1日の間に限られたお客様にのみ振る舞われるスペシャルなメニューである。
 ナナコが(半ば無理やり)持ち込んだバナナをふんだんに使った特別に特別をかけたメニューというわけだ。
 ちなみにこれ、本当に大きい。エクカフェで出た時は、もっぱら参加者同士でシェアし合うのが定番だ。
「これを食ってから会場を回るとしようぜ! いただきまーすっ!!」
「こりゃ挑みがいがあるべ、ってめちゃくちゃ食べるの早いべな!?」
「僕が10人ぐらいいないと食べ切れなさそうな気がするよ~……」
「そこでハムちゃん達の出番なのでスっ!」
 などと、四人は楽しく甘味に舌鼓を打ち、イベントをいかに楽しむかで盛り上がるのだった。
 初心者も上級者も、若葉も廃人も一緒に楽しめる……それが、エクセレント・エクスプローラーズ!
 ピカピカな戦士達の祭典は、まだまだ終わらない――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月29日


挿絵イラスト