ブルーアルカディアの自然豊かな島の一つに、『星空庭園』と呼ばれる場所がある。この世界でも有数な、夜空が美しいといわれる地だ。バレンタイン当日、その『星空庭園』では、風魔・昴(星辰の力を受け継いで・f06477)をはじめ、彼女を手伝いに来ている島民たちがパーティの準備に追われていた。
「昴さん、スポンジ焼けました!」
「デコレーションはスケッチ通りでOKですか?」
担当者からの質問に頷きながら、昴もチョコプティングを作っていく。
――本当は簡単に……と、思っていたんだけれど。
この庭園を貸し切りにしたいと申し出た際、貸し切りなんて久しぶりなんですよ、と嬉し気に告げた庭園の管理人が、人を集めて会場作りや料理を手伝ってくれることになったのだ。あたたかく向けられた厚意を昴は無下にできる性格ではないし、何より有難い提案でもあって。そうして――今に至るのだ。
バレンタインと言えばやはりチョコレート。ケーキ、プティング、クッキーなどのスイーツ達と、サンドイッチなどの軽食をバランスよく用意して、昴に出来る最大限のもてなしの準備を整えてゆく。
「あ、ケーキはテーブルの中央にお願いします」
「此処でいいですか?」
「ええ、ありがとうございます。あ、1テーブルには5人までで料理を用意してくださいね?」
出来上がった品を自らも運びながら、手伝ってくれる人達へと指示を出していく。庭園は有志による装飾で彩られてゆき、ガーデンと呼んでいいような素敵さだ。
「ここまで素晴らしい会場になったのだから、」
――島の皆さんにも参加していただこうかな?
そうして視線を巡らせたなら、この庭園を貸してくれた管理人、会場や料理を手伝ってくれている島民の皆の姿も見える。
「うん、そうしよう。この素敵な場所に関わって下さった皆さんにも、感謝を込めて」
そう決めた昴は、準備が終わり帰路に着こうとしていた人々を呼び止めて、ひとりひとり丁寧に会場へと招いてゆく。そうして、皆の前に立ちグラス片手に微笑んだ。
「皆さんありがとうございます。おかげで素敵なパーティができます」
――招待客の皆さんと一緒に、楽しんでいってくださいね?
同じ時を過ごす人々の幸せそうな顔を見て、昴の心も温かに。この会場を選んで、こうして準備をして良かったと心から想う。だって、そう。
甘い物は笑顔を運んで
優しさを運んで
そして幸せにしてくれるって、私は思うから……
成功
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