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はじまりの遺跡の氷皇竜

#アックス&ウィザーズ #戦後 #遺跡都市ヴェルニス #酒場フレイル

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 アックス&ウィザーズの遺跡都市『ヴェルニス』。
 ヴェルニス王国の王都であり、街の地下に巨大な古代遺跡群が幾つも存在するため国を挙げて遺跡探索が奨励されている、冒険者が集う都市。
 そんなヴェルニスで一番最初に見つかった古代遺跡群『はじまりの遺跡』は、今もまだ未探索地域が多く。ゆえに、都市の南東部、遺跡入り口周辺となる『迷宮街』も、雑多な街並みと共に発達し、遺されている。

「その迷宮街が雪に覆われているようでね」
 九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は猟兵達に苦笑しながら肩を竦めて見せた。動きに合わせて、胸元の金のコインのペンダントが揺れる。
 雪が降ったことが珍しいのではない。冬にはそれなりに寒くなり、ヴェルニスが雪景色になることもしばしばだ。
 だが、春が訪れているはずのこの時期に、そして迷宮街だけに雪が残っているとなれば流石におかしいわけで。
「どうやら、はじまりの遺跡に現れたドラゴンが原因のようだ」
 氷皇竜メルゼギオス。
 積雪地帯や氷河地帯を好むはずの氷竜が、はじまりの遺跡のかなり浅い場所に居座っているようで。その影響が迷宮街にまで及んでいるらしいという。
「もちろんはじまりの遺跡も氷雪に覆われている。
 ドラゴンが自身に有利な環境を創っている、ってことになるのかねぇ」
 さすがに迷宮街にまで出てきて暴れたりはしないようだが、このまま雪が残り続けてしまうだけでも困りものだから。対応をお願いしたいと夏梅は説明し。
「そろそろ迷宮街でもドラゴンに気付いただろうから、賞金もあるよ」
 あの酒場ならね、と面白がるように笑った。


佐和
 こんにちは。サワです。
 やけに寒暖差が激しい今日この頃。

 第1章は雪景色の迷宮街での一時。
 せっかくなので雪の街をお楽しみください。

 尚、特に何もしなくても、ドラゴン退治の依頼を受けたことになります。
 ドラゴンの居場所までの情報も入手できます。
 あえて交流したい等ありましたら、酒場『フレイル』へお越しください。

 尚、酒場『フレイル』は、2階が宿屋になっている典型的な冒険者酒場です。
 陽気で剛毅なおかみが出迎えてくれます。
 ジャガイモのガレットと牛肉の赤ワイン煮込みが看板料理。
 厨房にはおかみの息子が立ち、昼間はアルバイトの少女が給仕をしています。
 カウンター席には、ドラゴン退治の依頼人となる世話役がいます。

 第2章は『氷皇竜メルゼギオス』とのボス戦です。
 氷雪に覆われた遺跡内での戦闘となります。

 それでは、残雪を、どうぞ。
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第1章 日常 『雪残る街で』

POW   :    寒いからこそ、温かい食べ物や飲み物を楽しむ

SPD   :    そりに乗って街を回ってみる

WIZ   :    美しい銀世界を眺め目で楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「雪、止みませんねー」
「そりが使えて荷運びは楽だけど、そろそろ……ねぇ?」
 迷宮街にある冒険者向けの宿屋兼酒場『フレイル』の入り口で、給仕の少女と年配のおかみが揃って空を見上げ、ぼやいていた。
 灰色の雲が一面を覆う空からは、ちらちらと白い雪が舞い降り続けている。視線を下ろせば、家も道も木々も街燈も、全てが白く染まっていた。
 普通に冬であれば、銀世界の美しさを楽しみ、春をのんびり待つのだが。
「迷宮街だけ、なんですよね?」
「そうらしいね。仕入れで会ったヴェルニス港や遺跡市場の奴らに驚かれたよ」
「もう春でもいい頃なのに。雪の花も綺麗ですけど」
「ああ、華やかな花の季節が待ち遠しいね。客足も鈍いし、困ったもんだ」
 そこに、ざくざくと雪を踏む足音が近づいて来て。
 振り向いた2人は、馴染みの顔に挨拶する。
「こんにちは、セルバンテスさん」
「この天気じゃ武器屋も閑古鳥だろ、セルバンテス」
 おかみと同年代と思しき男は、無言のまま頷きだけを返し。そのまま酒場の扉を潜る。
「一応客も来たし、戻ろうか、ルミア」
「はい。おかみさん」
 おかみと少女も後を追うように、他に客の居ない酒場の中へと入っていった。
 赤毛の少女はそのままカウンターの方へ駆け寄って。
「オルバさん、セルバンテスさんです。
 ええと……温かいスープとか、どうですか?」
「……いただこう」
 厨房内に立つ姿に声を投げてから振り返り、問いかけてくる少女へ、セルバンテスは短く返し。慣れた様子でカウンター席に座る。端を1つ空けた、いつもの席に。
「はいよ」
 そしておかみは、注文も何も聞かぬまま、セルバンテスの前にジョッキを置いた。
 こちらも何も言わず、ジョッキを傾けるセルバンテス。
 ぐいっと一口飲んだところで。
「……ティファナ」
「ん? 何だい?」
 ジョッキを置いたセルバンテスはおかみを見上げ、短く告げた。
「ドラゴン退治の依頼を出した」
 
ティティス・ティファーナ
*アドリブ歓迎
「一部だけ氷雪の迷宮街…情報を集めよう」

宿屋兼酒場『フレイル』に入り「ドラゴン退治の依頼の詳細を聞きたい。可能な範囲で構わない解りうる範囲での情報が欲しい」装備の確認をされたらファンネルビット/シールドビット/リフレクタービットとリニアロングボウを起動して見せて全武装状態も見せます。
聞けた情報とアーカイブ内の“氷皇竜メルゼギオス”でのデータを照合して確認しながら対応策や戦績などの情報は具に記録します。
他にも今現在に把握されている迷宮内の情報と地図データを頂きます。
伝承や物語での“氷皇竜メルゼギオス”も合わせて対策などに構築して置きます。

他にも街の散策をして情報を集積します。



 宿屋兼酒場『フレイル』の扉を開け、ティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は見覚えのある店内をさっと見回した。
 8つのテーブル席は全て空いていて、カウンター席もあるのは1人の男の姿だけ。それも服装から冒険者ではなく、街の住人だろう。一番奥側の席を1つ空けて座り、ジョッキを手にしている。
 その傍に立つのは店のおかみ。振り向くその表情は少し驚いているようだった。
 それもそうだろう、とティティスは酒場に来るまでの道を思う。真っ白な雪に覆われた街の様子を。出歩く人は以前来た時よりも格段に少なく、となれば酒場などの店に赴く者も減っているであろうことは、がらんとした店内を確認するまでもなく想像できることだったから。
 ティティスは気にせず、驚きに動きが遅れたおかみよりも先に、話しかけた。
「ドラゴン退治の依頼の詳細を聞きたい」
 そのために来たのだと伝える意味も込めて。
 ティティスは求めた。
「可能な範囲で構わない解りうる範囲での情報が欲しい」
「耳が早いねぇ……」
 おかみが目を瞬き、傍らの男とティティスとを交互に見ると。
「猟兵、だったね。また夏梅の声かけかい?」
 以前に酒場を訪れた時のことを覚えていてくれたのか、嬉しそうに破顔しながら、おかみはティティスに席を勧めてくれる。
 ティティスは冷静な表情を変えぬまま、促されるまま、男の近くの席へと座った。
 小柄で非力な女性の姿であるティティスは、ゆえにその実力を疑われ、情報を得られないのではと危惧していたのだけれども。求められればファンネルビットもシールドビットもリフレクタービットも、リニアロングボウだって起動して、全武装状態を見せることまで考えていたのだけれども。おかみの記憶力のおかげでか、その必要はないようで。
 ドラゴン退治に足る相手と扱ってもらえていることに、静かに安堵する。
「はーい、スープお待たせしましたー。
 ……って、あれ? お客さん? いらっしゃいませ!」
 そこに厨房から赤毛の少女が元気にやってきて、男の前に皿を1つ置いていった。
 そしてティティスに視線を向け。
「ええと、ご注文は? 伺ってます?」
 おかみをちらりと見ながらおずおずと聞いてくるのに、ティティスは片手をそっと挙げるだけで応えて。おかみも頷くと、少女はぺこりと頭を下げて厨房に戻っていく。
 ぱたぱたと足音が遠ざかったところで。
「情報を」
 ティティスは短く、繰り返した。
 ああ、と頷いたおかみは、改めて話を始める。
 はじまりの遺跡が雪に覆われている、と酒場に来た冒険者が言うようになったこと。
 その頃から、迷宮街も雪が止まなくなっていたこと。
 そして雪の迷宮にドラゴンがいたと逃げ帰ってくる冒険者が現れたこと。
 ドラゴン周辺に特に雪が多く、迷宮街の雪もそのせいだと思われていること。
 冒険者が集う酒場だからこその情報を、順序だてて分かりやすく語ってくれた。
 話をサイコミュ・ファンネルビットで記録しながら、ティティスはアーカイブ内の情報との照合も並行して行っていく。
 どんなドラゴンだったか、という証言と、データとして持つ『氷皇竜メルゼギオス』の情報とを突合し。またその戦績などから、対応策を探っていく。
「ドラゴンの居場所は……セルバンテス?」
 その中で、おかみはそこだけ客の男に話を振り。
 静かにスープを飲んでいた男は、おかみが広げた『はじまりの遺跡』の地図に視線だけを向けると、片手でその一部をくるりと示した。
「戻ってきた冒険者の話からすると、この辺りにいるようだよ」
 その動作をおかみが言葉にする。
 ティティスは、地図を確認し、以前見せてもらった時のデータと相違ないことをチェックすると、示されたエリアの情報を重ねて。
 話の終わりを察して立ち上がる。
「気を付けてね」
 おかみに礼を言って酒場を後にすると、背中に暖かな言葉が投げかけられた。
 心配よりも期待と信頼が大きな、でも無事と成功を祈ってくれる声。
 ティティスはふっと口元に小さな笑みを浮かべると。
 街でもなにか情報が得られないかと、雪道を歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日野・尚人
ポーラ(f06947)と一緒に行動

迷宮街へ来るのも久し振りだな。
にしてもこれはまた見事なまでの雪景色・・・
ポーラ?大人しく自首すれば多少は罪も軽くなるぞ?


なーんてな♪冗談だって♪
ほら、あそこでチビどもが雪だるまを作ってるから手伝ってやろうぜ♪
そういえばポーラと出会ったのもこんな雪の中、俺が雪だるまを作ってる時だったよなぁ。
俺はあれから随分大きくなったけど、ポーラはあの頃のまま・・・
(「早く俺も|3人《長命種な恋人たち》と同じ時を生きられるようにならないとな。」)

よーし、そろそろフレイルに顔出すか!
おかみさーん、久し振り♪
九瀬の婆さんからまた遺跡にトカゲが巣食ったって聞いたんで駆除しに来たぜ♪


ポーラリア・ベル
なおなお(f01298)と一緒に。

冬だよ 冬だよ
雪につられてやってきたよ。名残の冬が遊びに来たのよ。
みんなのお手伝いしたり、雪を上からどさりと降らせる悪戯もするわ!

なおなお、違うよ。違うよ。この雪は別のが降らせてるわ。
今から会いに行くんだよ、ね?なおなお?

ふぇあ、協力雪だるまさんだね!
どしたのなおなお?懐かしくなったの?えへへ、大人おなおも早く見てみたいな。

完ー!成ー!
ふぇあ、次はどこに行くのなおなお?

ごきげんようおかみさん。そこの|おにいちゃん《セルバンテス》の相談に乗るね?
美味しいご飯をおごってもらえたらー、ドラゴンだって倒しちゃうかも。
えへへ、ポーラこう見えても強いんだ。良ければお話を。



「迷宮街へ来るのも久し振りだな」
 何度か訪れたことのあるその街を、日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)はさくさくと歩いていた。
 家も道も、見覚えのある場所……のはずなのだが。久々の懐かしさよりも、戸惑いの方が先に来る。それもそのはず。
「……にしても、これはまた見事なまでの雪景色」
 街は白にすっかり覆われていた。
 大通りなのに、まるで獣道のように誰かが歩いたその跡をさくさく踏みしめて。屋根も窓も雪の下に埋もれた景色から、記憶を何とか重ね合わせていく。
 UDCアースではそろそろ桜が咲こうかという頃。アックス&ウィザーズも、春が訪れてくる季節のはずなのだが。
 はぁ、と感心するやら呆れるやらな息を吐くと、それすら白くなっていた。
「冬だよ。冬だよ」
 そんな尚人の周囲を飛び回るのは、ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)。
 うきうきわくわく楽しそうに、冬愛ずる姫君にして冬の花嫁であるフェアリーは、歌いながらふわりくるりと雪空を舞う。
「雪につられてやってきたよ。名残の冬が遊びに来たのよ」
 はしゃぐ冬の妖精に、尚人はジト目を向けて。
「ポーラ? 大人しく自首すれば多少は罪も軽くなるぞ?」
 この雪はお前のせいだろうと、冗談で決めつけてやれば。
「なおなお、違うよ。違うよ。この雪は別のが降らせてるわ」
 ポーラリアは笑いながら、ふわふわくるくる状況を告げる。
 もちろん尚人にもそれは分かっていることで。
 だからこそ迷宮街にやってきたわけだから。
「今から会いに行くんだよ、ね? なおなお?」
「そうだな♪」
 尚人を覗き込むように飛ぶポーラリアに、にかっと笑って見せた。
「ほら、あそこでチビどもが雪だるまを作ってるから手伝ってやろうぜ♪」
「ふぇあ、協力雪だるまさんだね!」
 そして2人は、雪遊びをする子供達に混ざって遊び出す。
 雪玉を転がして大きくしたら2つ重ねて。削ったり足したりしながら形を整えたなら、枝葉や小石で不格好な顔を描いていく。
「そういえば、ポーラと出会ったのもこんな雪の中……
 俺が雪だるまを作ってる時だったよなぁ」
 その最中、尚人が思い出したのはポーラリアとの最初の思い出。
 大切なその記憶も、真っ白な中にあったから。
 尚人はふと、ポーラリアを見つめた。
「どしたのなおなお? 懐かしくなったの?」
 視線を感じ、ポーラリアはきょとんと首を傾げる。
 尚人は茶色の瞳を細めて。
「いや……俺はあれから随分大きくなったけど、ポーラはあの頃のままだな、って」
「うんうん。なおなお、おっきくなった」
 零した感想を、ポーラリアは素直に受け止めた。
「えへへ、大人おなおも早く見てみたいな」
 尚人の成長を喜び、すぐ訪れるであろう未来に期待するポーラリア。
 でも尚人が思うのは。
 出会った時から姿が変わらないフェアリー。そして、隣の家に住むエルフの義姉妹。
 自分より長い時を生きる種族である大切な人達のこと。
(「早く俺も|3人《長命種な恋人たち》と同じ時を生きられるようにならないとな」)
 その術を探し求めて。尚人はポーラリアをじっと見つめ。
「完ー! 成ー!」
 出来上がった雪だるまの周囲を楽し気に飛び回るフェアリーに、ふっと笑みを零した。
「ふぇあ、次はどこに行くのなおなお?
 みんなのお手伝いする? それとも、雪を上からどさりと降らせる悪戯にする?」
「もう充分白いだろ。これ以上降らせるなよポーラ」
「それじゃ凍らせよう!」
「勘弁してくれ」
 冗談交じりの会話を楽しんでから、尚人は改めて足を踏み出す。
「よーし、そろそろフレイルに顔出すか!」
「はーい」
 そこは尚人にとって、迷宮街で一番の馴染みの場所。そして、グリモア猟兵に聞いた、ドラゴン退治の依頼人の現在地。
 真っ白な道を歩いて。金髪の幽魔月精とすれ違って。
 尚人とポーラリアは、酒場『フレイル』の扉をくぐる。
「おかみさーん、久し振り♪
 九瀬の婆さんからまた遺跡にトカゲが巣食ったって聞いたんで駆除しに来たぜ♪」
「ごきげんようおかみさん。
 美味しいご飯をおごってもらえたらー、ドラゴンだって倒しちゃうかも」
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふええ、外は寒そうですね。
ここは宿屋さんでぬくぬく過ごすのが一番ですね。
ふえ?ドラゴン退治に行くって、アヒルさんもう少しぬくぬくしてましょうよ。
ドラゴンさんの討伐はもう少し暖かくなってからにしましょう。
たしか、氷のドラゴンさんなんですから、暖かくなってからにすれば弱くなりますよ。
ふえ?私なら喜びいさんで駆けずり回ると思ったのに情けないって、なんで私ならそうするって思ったんですか?
絶対にありえないですよ。
ふえ?準備をしないなら、そのままドラゴンさんの前に突き出すって、それはやめてください。
寒くて凍えてしまいますよ。



「そうか。アンタも戦えるんだね」
「えへへ、ポーラこう見えても強いんだ」
「はーい。ジャガイモのガレットと牛肉の赤ワイン煮込み、お待たせしましたー」
「そうそうこれこれ。前来た時美味かったからな♪」
 わいわいと盛り上がっている向こうのテーブルを眺めながら、フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は1人で壁際の別テーブルに座って温かなスープをゆったりと口に運んでいた。
 野菜と肉の旨味がたっぷりのスープはとてもとても美味しかったけれど。今はその温かさだけでも価値がある。何しろ――と、フリルはふと、窓の外に赤い瞳を向けた。
 見える街並みは全て雪に覆われていて。今もまだちらちらと白が舞い降りている。
「ふええ、外は寒そうですね」
 呟いてからスープを1口。じんわり広がる温かさ。
「ここは宿屋さんでぬくぬく過ごすのが一番ですね」
 言ってフリルは酒場の隅にある階段を見る。2階へ続くその先には冒険者向けの宿泊部屋が幾つかあるはずで。この天気なら空いているはずとフリルは頷いた。
 だがしかし。テーブルの上に置いていたアヒルちゃんの型ガジェットが鳴いて。
「ふえ? ドラゴン退治に行く、ってアヒルさん、もう少しぬくぬくしてましょうよ」
 その言葉を唯一正確に理解できるフリルは、驚きながら訴える。
「ドラゴンさんの討伐はもう少し暖かくなってからにしましょう。
 たしか、氷のドラゴンさんなんですから、暖かくなってからにすれば弱くなりますよ」
 相手の情報からフリルが考えられる最善手を示してみるけれども、どうやらガジェットは納得しないようで。
 ガア。
「ふえ? 私なら喜び勇んで駆けずり回ると思ったのに情けない、って……
 なんで私ならそうするって思ったんですか? 絶対にありえないですよ」
 示された想像に、フリルは驚き、慌てて否定。
 確かに、おどおどビクビクしているフリルが雪の中を元気いっぱい走り回る絵はなかなか想像しづらいと思われるのですが。ガジェットの中では違う印象なのか、はたまた単に無茶振りしているだけなのか。
 ガア。
「準備をしないなら、そのままドラゴンさんの前に突き出す?
 って、それはやめてください。寒くて凍えてしまいますよ」
 どちらにしろ聞く耳を持たないガジェットは、強制手段までも提示して、フリルを急かしつついていく。というか、反対理由はドラゴンの強さではなく寒さなのですね。
「ふええ、分かりました。分かりましたからやめてくださいね。本当にダメですからね」
 観念したフリルは、俯き気味に頷いて。
 準備の為に、まずはスープを美味しく飲み干すことにした。

 ガア。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『氷皇竜メルゼギオス』

POW   :    アブソリュート・ゼロ
【物体を一瞬で分子レベルまで氷結させる冷気】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    アイシクル・ミサイル
レベル×5本の【標的を高速追尾する氷結】属性の【鋭く尖った氷の棘】を放つ。
WIZ   :    アイス・リバイブ
全身を【無限に再生する氷の鎧】で覆い、自身が敵から受けた【負傷を瞬時に回復し更に負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:ハギワラ キョウヘイ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はノエル・スカーレットです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達がはじまりの遺跡に足を踏み入れるのは何度目か。
 酒場『フレイル』で託された地図の正確さも、描かれた範囲のさらに先がまだまだ未踏破で残されていることも、猟兵達はもう実際に知っている。
 だが、見覚えがあるはずの遺跡は、その景色を一変させていた。
 一面の白銀。
 道そのものは地図と同じで、遺跡の構造自体は変わっていないようだけれども、床も壁も天井も全てが白く氷雪に覆われている。そして当然ながら、寒い。
 冷凍庫の中に入ったかのような、アヤカシエンパイアあたりだと氷室とか呼ばれそうな状態になった遺跡。その原因は――
 猟兵達は酒場で教わった場所へと向かう。
 そこには、情報通り、腕に身体に氷を纏った『氷皇竜メルゼギオス』が、自身が好み、また、有利に戦える氷雪の部屋で、待ち構えていた。
 
フリル・インレアン
ところで、誰が喜び勇んで駆けずり回るですって?
犬じゃないのよ、犬じゃ。
狼を何だと思ってるのかしらね、このアヒルは。
それにしてもこの娘、気が抜けすぎてるんじゃないの?
狂気耐性が2レベルって、私が動ける時間が2秒しかないじゃないの!
時間が無いから一撃で決めるしかないわね。
敵の攻撃はすれ違いざまさえ気を付ければいいわね。
追尾といっても追いつかれなければいいのよ。
互いに向かい合うすれ違いざまを紙一重にすり抜け、そのままのスピードで一撃を叩き込めばいいわね。
私が眠ったら、後はこの娘の運次第ね。



「ふええ。いました、ドラゴンさんです」
 教えてもらった通りにはじまりの遺跡を進んだフリル・インレアン(f19557)は、教えてもらった通りの場所で『氷皇竜メルゼギオス』と対峙していた。
 ここまでの道程は予定通り。ちゃんと雪や寒さに耐えられるように防寒着を着込み、足元も滑らないようしっかり準備済み。毛糸の帽子を被ったアヒルちゃん型ガジェットに脅されたような『そのままドラゴンの前に突き出す』ことにはならなかったのだが。
「それで、どうしたらいいのでしょう?」
 辿り着いた後のことがノープランでした。
 ガア。
「後は喜び勇んで駆けずり回ればいい、ってどういうことですかアヒルさん?」
 手元のガジェットの鳴き声に、首を傾げるフリルだけれども。
 見上げてくる円らな黒瞳の前で、すうっとその表情が変わっていき――
「……誰が喜び勇んで駆けずり回るですって?」
 おどおどびくびくしていた気弱な雰囲気から一転、堂々とした自信と力とに溢れた強気な様子で、フリルは肩にかかる銀髪をさっと払う。
「犬じゃないのよ、犬じゃ。狼を何だと思ってるのかしらね、このアヒルは」
 ガジェットを見下ろす赤い瞳も、色こそ同じだが冷たさすら感じる厳しいものになっていた。
 |失われていた過去の断片『銀狼の魂』《ロストピース・インレアン》――骸魂と合体し、一時的にオブリビオン化するユーベルコード。強力な力を得ることができる能力だが、その行動には『狂気耐性』の技能レベルを消費する必要があり、それが無くなると眠ってしまうから。
「それにこの娘、気が抜けすぎてるんじゃないの?
 狂気耐性が2レベルって、私が動ける時間が2秒しかないじゃないの!」
 ゆえにフリルは、自身に向けて苛立ちを露わにし。諦めたようにため息を1つつくと、冷たく赤い瞳で氷皇竜を見据えた。
「時間が無いから一撃で決めるしかないわね」
 言うや否や、フリルは雪に覆われた地を蹴り。氷皇竜の脇を駆け抜ける。
 気付いた氷皇竜の不気味な赤い瞳に、不敵に笑って見せると、紙一重にすり抜けるその瞬間に、フリルはスピードを乗せた一撃を叩き込んだ。
 氷皇竜の腕を覆う氷が砕け散り、悲鳴のような咆哮が響く。
 だが、それだけでフリルは時間を使い切り。銀狼は眠りにつく。
 瞼を閉じる直前、振り返りながら見たのは、氷皇竜が無数の氷の棘を周囲に作り出し、鋭く尖った先をフリルに向けて放とうとしている光景で。
「後はこの娘の運次第ね……」
 薄く微笑みながら呟いて、フリルは雪の上に倒れ込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎

「『氷皇竜メルゼギオス』…迷宮災厄にして自然暴害、鎮静に駆逐する」
『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』を起動して1分先の未来を見ながらファンネルビット/シールドビット/リフレクタービットを創造して展開しリニアロングボウとレーザービームで攻撃を仕掛けながら敵の攻撃をテレポートで空間飛翔して回避しつつ“ アイシクル・ミサイル”に“三女神”を用いて封印/弱体化させて対応し、好機を得たらフルバーストとヘラ・エウピションでの全力総攻撃を仕掛け猟兵の状況などを把握しながら支援や協力を対応します。

他の要望などにも可能な範囲で思案し行動を計算して行ないます。



 氷雪に覆われたはじまりの遺跡の一角に、悲鳴のような咆哮が響く。
 片腕の氷を砕かれた『氷皇竜メルゼギオス』は、だがすぐにその冷たく赤い瞳を自身を傷つけた相手へと向け。今度は怒りに満ちた咆哮を上げると共に、無数の氷の棘を周囲に作りだすと、力尽きたかのように倒れ込む銀髪の少女へと撃ち放った。
 鋭い棘が少女に降り注ぎ、その身体に突き立つ――寸前で。
 月光のように美しい金色の軌跡が割り込む。
 間一髪で少女を抱きかかえ、氷棘を回避したティティス・ティファーナ(f35555)は、展開したサイコミュ・ファンネルビットからレーザービームを放ち氷皇竜を牽制しながら一旦距離を取った。
 戦いに巻き込まないであろう場所に銀髪の少女をそっと横たえ。アヒルちゃん型ガジェットがお礼を言うかのように一鳴きするのに微笑を返して。
 ティティスは再び、氷皇竜と対峙する。
「『氷皇竜メルゼギオス』……迷宮災厄にして自然暴害」
 見事な曲線美を描く身体に、武骨ながらも違和感のない武装と鎧装を纏い。
 事前に得た敵の情報を呼び出し、確認しながら、銀の瞳に力を込めた。
「鎮静に駆逐する」
 そしてティティスは空中を駆け。サイコミュ・ファンネルビットのレーザーと共に、ロングリニアボウからの電磁弓を撃ち出していく。
 攻撃は氷皇竜が鎧のように纏う氷を次々と砕き、ダメージを重ねていくけれども、致命傷には程遠く、決定打には至らない。
 しかし、翔び回り攻撃を続けるティティスを氷皇竜は無視などできるはずもなく。作り出されたアイシクル・ミサイルはティティスにだけに放たれ。氷皇竜の注意が引きつけられているから。
 ティティスは、攻防の最中、新たにその場に現れた少年と冬妖精の姿に微笑んだ。
 彼らが氷皇竜と戦い易いように、囮となって氷棘を引きつけ、絶えず状況を見て、牽制の攻撃を重ねていく。
 支援こそが自らの本領と言わんばかりにティティスは戦場を見据え。
 猟兵の勝利のために、その能力を発揮し続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日野・尚人
ポーラ(f06947)と一緒に行動

居た居た、氷属性のドラゴン!こいつがメルゼギオスだな!
それじゃ派手に雪合戦と行くか♪

<足場習熟>で氷雪に覆われた床も何のその♪
<挑発>しつつ<ダッシュ>で<おびき寄せ>。
<軽業>で壁や天井を蹴って跳び、背面や側面からの<死角攻撃>で<体勢を崩す>ぞ!

しっかし再生するのは厄介だなぁ?
だけど・・・へへ♪|俺の攻撃《永続する凍結》を甘く見たのは失敗だぜ♪
回復力と戦闘力増強は相殺した!
ポーラ、一発デカいのを決めてやれ・・・Σって!?俺もか!?

ったく?
にしても街も遺跡も雪景色とか相当頑張って巣作りしたんだろうなぁ、こいつ。
なのに|ポーラ《冬》が来るとか・・・ご愁傷さん。


ポーラリア・ベル
なおなお(f01298)と一緒に行動

氷のドラゴンさんだ!すっごい!
もう春になっちゃったからね。人間さんも困ってるし、ご退場を促しに来たの。

とりあえず遺跡内は空飛んでくわ!【寒冷適応】で寒さはへっちゃら
氷柱とか降るなら【天候操作】の暴風で逸らすわ!

なおなおがおびき寄せ攻撃して傷を負わせたわ!
槍の様に鋭くした【氷雪地獄】の吹雪で、傷口をミキサーみたいにえらい事にしつつ
ポーラとなおなおを雪だるまに!
そのまま雪だるま状態で【怪力】使って頭突き突進でぶち抜くのよー!

もし倒せましたら、帰りにフレイルに寄って、どう?凄いでしょって自慢するの。



「居た居た、氷属性のドラゴン! こいつがメルゼギオスだな!」
 凍った遺跡を進み、積もった雪を踏みしめた日野・尚人(f01298)は、これまた氷雪に覆われたフロアにその姿を認め、目的地到着と頷いた。
「氷のドラゴンさんだ! すっごい!」
 その周囲をくるくる飛び回るポーラリア・ベル(f06947)は、自身と同じ属性にか、小さなフェアリーゆえに余計に感じる相手の巨大さにか、感嘆の込められた歓声を上げる。
 はじまりの遺跡の一角を氷雪で覆い、さらに迷宮街にまで影響を及ぼしている『氷皇竜メルゼギオス』と対峙して、だが2人は慣れた様子でいつものように笑い合う。
 冬告精であるポーラリアも、そのポーラリアと一緒に過ごしている尚人も、雪や氷といった冬が違う季節に現れることは日常茶飯事で。雪道で転ぶこともなければ動きが制限されることすらなく、また寒さにも適応することができているから。
「それじゃ派手に雪合戦と行くか♪」
 ただのドラゴン退治だと、雪や氷への対応に特別気負うこともなく、挑んでいった。
 普通の床と同じように走り、飛び込んでいく尚人に、氷皇竜の赤い眼差しが向く。
「ほら、こっちだぜ」
 尚人はその視線を引きつけながら、床を蹴り、壁を駆けるようにしてさらに跳び上がると天井まで到達。そこからさらに一蹴りして、氷皇竜を飛び越えた。
 その動きを赤い視線がぐるりと追いかける。
 しかし別の方向からレーザーが放たれ、武骨な武装を纏った金髪の幽魔月精が迫り来るから。氷皇竜はその対処に氷の棘を生み出し、放ち。
 ゆえに尚人から反れた注意。一瞬のその隙を逃さずに。
 尚人は死角となった側面から飛びかかると、コンバットナイフを振るった。
 だが氷皇竜はその尚人の動きにも反応し。完全に避けることはできないまでも、防御を固め、急所ではない腕で尚人の一撃を受け流す。結果、死角攻撃であったにも関わらず、掠り傷とは言わないが致命傷には程遠い傷に終わった。
 さらにその傷も氷皇竜の雄叫びで瞬時に塞がり、回復し。生み出した氷の鎧によって、元の腕の倍ほどの巨腕を創り上げる。
「再生するのは厄介だなぁ?」
 自身のつけた傷があっという間に治され、既に壊されていた氷の鎧も元通りに戻っていくのを見て、尚人が苦笑する。
 けれどもその笑みにはまだ自信が含まれていて。
 見つめる先で、氷皇竜の腕が氷の鎧とは違う氷でさらに凍結していった。
「へへ♪ |俺の攻撃《永続する凍結》を甘く見たのは失敗だぜ♪」
 ユーベルコード『|永続する凍結《ゲラーティオーニス・ペルペトゥウス》』。それは攻撃と共に状態異常を付与する能力だったから。例え僅かな掠り傷であったとしても、凍結と治癒阻害の状態異常がそこから始まっていき。攻撃が命中した腕を、その先の肩を、そしていずれは氷皇竜の全てが氷漬けになっていく。
 だが氷皇竜が大人しく凍結を待ってくれるわけもなく。さらなる咆哮により、氷の鎧の無限再生を促し、また回復と戦闘力増強をかけてきた。
 けれどもそれは、氷皇竜の攻撃の手が止まるということに他ならない。
「ポーラ、一発デカいのを決めてやれ!」
「任せて、なおなお!」
 尚人の合図に、ポーラリアが準備していたユーベルコード『氷雪地獄』を解き放つ。
 巻き起こる猛烈な吹雪。遺跡のフロア全てを巻き込む暴風雪。さらにポーラリアは雪を槍のように鋭くして、氷皇竜をミキサーにかけたかのような状況に追い込む。
 そして広がった氷雪は、ポーラリアと尚人にも向かい。
「いっくよー。雪だるまアーマー装着ーっ!」
「……って!? 俺もか!?」
 出来上がったのは大小2つの雪だるま。
「もう春になっちゃったからね。人間さんも困ってるし、ご退場をお願いするのよ!」
 小さな方の雪だるまが、雪の顔に描かれた眉を怒らせると。
「突進ー!」
「ったく……いくぜっ!」
 掛け声とともに、2つの雪だるまは、丸くて白い頭から連続して氷皇竜に飛び込んで。そのファンシーな見た目とは裏腹な威力の頭突きの連撃に、氷皇竜の悲鳴が響いた。
 重い地響きを立てて倒れる巨体。
 そこに、鋭い吹雪と電磁弓、そしてレーザービームの砲火が集中する。
 程なくして。断末魔の叫びと共に、氷皇竜は姿を消した。
「倒せましたー」
 戦いの終わりを見届けて、雪だるま状態から元に戻ったポーラリアが、ばんざーいと両手を上げながらくるくる空中を回る。
 尚人も、アーマーを解除してもらい、身体の雪を払い落すと氷皇竜の姿があった辺りに視線を流し。
「にしても街も遺跡も雪景色とか、相当頑張って巣作りしたんだろうなぁ、こいつ」
 氷皇竜と一緒には消えず残った雪を見回して。迷宮街の真っ白さを思い出して。
 それがこれからあっさり溶けて消えていくことを思うと。
「なのに|ポーラ《冬》が来るとか……ご愁傷さん」
 ついつい零れる憐憫の呟き。
 だがその|冬当人《ポーラリア》は、嬉しそうに遺跡内を飛び回り。
「帰りましょ戻りましょ。
 それでフレイルに寄って、おかみさんに、どう? 凄いでしょ!って自慢するのー」
 わくわく声の提案に、尚人は苦笑しながら頷く。
「そうだな。さっさと戻っておかみさんたちを安心させてやらないとな」
 そして尚人は、ポーラリアと他の猟兵と共に、来た雪道を戻り始めた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年04月03日


挿絵イラスト