甘やかハッピー・デイズ
●星に願う
お腹いっぱいは幸せいっぱい。
お腹が空いているのは不幸なこと。
「なら、私、聖愛がオブリビオンのみんなの不幸せ、みーんな美味しいもので満腹にして追い出しちゃう!」
それがデリシャス☆アイドル、『デリシャス☆マリア』こと池神・聖愛(デリシャス☆マリア・f45161)の信条であった。
星に願いを。心に愛を。
聖なる祈りに星は応えてくれる。
けれども、生きるために食べものが必要なように、デリシャス☆アイドルとして活動するためには幸せパワーが必要なのである。
つまり、美味しさ=カロリー!
聖愛のお小遣いは、いつだって買い食いに消えていく。
アルバイトをしても、全部消えてしまう。
「だってだって、美味しいものっていっつもすぐに無くなってしまうんだもの! ハッ! こうしてはいられないの。だって、学校帰りの道にできたオシャレなカフェにいかないと!」
スマートフォンの画面をタップ。
ほら見て、と示す先にあるのは若者の流行りの最先端であるSNSのアプリ。
画面に表示されているのは、苺色とチョコレート色。
そう、ホワイトデーまでの期間限定スイーツ。
苺の乗ったガトーショコラ!
「贅沢……! そうでしょ? それに見て。コーヒー! お砂糖は入れなくても入れてもいいけれど、できればブラックコーヒーで大人な雰囲気味わいたいじゃない?」
そうこうしてる内に、地図アプリにピン留めされていたカフェへとたどり着いている。
「見て! すっごいオシャレ! スイーツって見た目も味もお腹も満足させてくれるものなのよ! あ、店員さ~ん! 写真撮っても大丈夫ですか? え、確認するのかって?」
頭を振る。
「当然! だって礼儀ですから! え、ハッシュタグ? 店名? もちろん!」
むしろ、お墨付きに彼女はとびっきりのスマイルを浮かべる。
「ん~! チョコクリームのうこう~! コーヒーと合う合う~! 苺の酸味ッ、苦みと甘みと仲良し三人四脚! うふふ、美味しいです!」
パシャっと撮った画像といっしょにSNSに投稿完了。
直ぐ様に投稿に「❤」と拡散の乱舞。
通知が鳴り止まない音を聞いて、聖愛はにっこり笑った。
「とっても美味しかったです!」
また来たいな、と彼女はお腹をさする。
でも、次に来れるのはアルバイト代出た後かな。でも、あのお店も行きたい。あそこも。あれもこれも!
もう、食べたいものいっぱいで大変なんだから――!
成功
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