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さがそうつくろう☆思い出の味!

#アイドル☆フロンティア

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#アイドル☆フロンティア


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●日☆常
 ある晴れた日曜日のことです。
 公園にやってきた、ポップなキッチンカー。提供するのは、めちゃ映えるアイスです。
 この街でちょっとしたブーム中のおしゃれアイスを手に、食べ歩きをしている人達の前に、人影が立ちはだかります。
 その中学生くらいの女の子は、突然! 食べ歩きガールズのアイスを叩き落としたではありませんか。
「ちょっ、何するの!」
「そんな見た目だけのスイーツのせいでっ!」
 事情のありそうな呪いの言葉を吐くと、女の子はその場から駆け出します。
 地面には、落とされたアイスが、悲しく潰れていたのでした。

●依☆頼
 中学生制服姿の初雪崎・識(翠炎の探求者・f44092)は、グリモア猟兵としてのお仕事を始めました。
「今度解決して欲しいのは、新世界『アイドル☆フロンティア』の事件。とある街の女の子が、他のスイーツを、かたっぱしからダメにしちゃおうとしている」
 良くないことです。
 この凶行は、少女の心の中の『骸の海』が溢れ出したことが原因だと、識は言いました。
「オブリビオンを倒せば解決するけれど……アイドルステージでこの女の子が変化するオブリビオンはとても強力で、観客席から声援を受けても、勝つのは苦しい、かも」
 ですが、この少女の凶行は、『あるお菓子』への思い入れのせいでもあるようなのです。
「女の子にとって特別な『あるケーキ』。それをオブリビオンに食べさせる事が出来れば、女の子の『優しい思い出』を呼び起こして、力を弱めることができそう、だよ」
 つまり、識が猟兵達に頼んだのは、『料理対決』。
 夢と希望に満ちた心で『想い出の味』を再現し、女の子の心の闇を晴らしてあげるのです。

 まずは、『下ごしらえ』が大切です。女の子があらぶっている街に赴いて、女の子の『想い出のケーキ』の正体を突き止め、それを作るのに必要な材料を集めなければなりません。
「女の子の家は、老舗のケーキ屋さん。きっとそのケーキのどれかが『思い出のケーキ』だと思う。店員さんでもある家族の人に聞けば、ヒントが見つかる、かも」
 ちなみに、そのケーキ屋さんは、他のイマドキスイーツに押されてすたれてしまっているようです。
 味はとても美味しいのですが、それだけではなんともならないのが難しいところです。
「きっとそれが、女の子を凶行に走らせた理由。お店の人に『思い出のケーキ』の事を聞かせてもらうお礼に、お店を手伝ったり、宣伝したりしてあげよう」

 なんやかんやで準備が整ったら、いよいよ女の子に会いに行きます。予知にあった公園にいるはず、と識は言います。
 こちらもアイドルに変身したりして、アイドルステージへGO。そこで具現化したオブリビオンとの『料理対決』です。
「このケーキ対決に勝ってオブリビオンを浄化すれば、骸の海を溢れさせた女の子も元に戻るよ。美味しいケーキを一緒に食べて、平和をお祝いしよう」
 そして識は、びしっ、と横ピースを決めるのでした。ほんのり頬を染めて。


七尾マサムネ
 クッキング対決もアイドルのたしなみ!
 なお今回は、オープニングのような「~です、~ます」調の文体でリプレイをお届けする予定です。

●第1章
 事件の起きている街に向かい、女の子の『思い出の料理』の情報を集め、必要そうな材料を獲得します。
 女の子の家は、老舗のケーキ屋さんで、そのメニューのどれかが『思い出のケーキ』のようです。
 ご家族な店員さんから情報を聞き出しつつ、お店の宣伝を手助けしましょう。

●第2章
 アイドルステージを展開し、女の子の変化したオブリビオンと『料理対決』を繰り広げます。
 勝負に勝てば、女の子は無事、元に戻ります。

●第3章
 平和の戻った街で、ケーキ屋さんがケーキバイキングをごちそうしてくれるようです! せっかくなので、女の子と一緒にケーキを楽しみましょう。

 それでは、皆さんのご参加、お待ちしております!
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第1章 冒険 『蘇れ☆想い出のあのお店』

POW   :    大量のビラを配って回る

SPD   :    お店の魅力を活かした新商品や新サービスを提案する

WIZ   :    お店が寂れた原因を特定し、それに対処する

イラスト:高梨ゼクト

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ふう」
 ここは小さな洋菓子店。いわゆる街のケーキ屋さん、です。
 ちょいとお洒落な店内では、背の高いカッコいい感じのおばあさんが、ため息をこぼしています。結った長い銀髪も、心なしかくすんでみえています。
「うちの『|あの子《まごむすめ》』は、また手伝いほっぼり出して、どこほっつき歩いているのやら。まあ、こうも閑古鳥が鳴いてるんじゃ無理もないさね」
 そうです。お店の中に、お客さんの姿はありません。
 これからぽつぽつと訪れてくれる人はいそうですが、昔の活気にはかないません。
「いい加減店じまいするか、それとも一発逆転の賭けに出るか……どうしたもんかねぇ」
 綺麗に並べた愛しいケーキ達を眺めながら、パティシエおばあさんは、またもやため息をつくのでした。
スイート・シュガーボックス
(洋菓子店に入店するミミックと神機ギャル形態)
ディオちゃん、どのケーキも素晴らしい出来栄えだよ。これは良い店を見つけたねッ!
「ヒュー、スイート君が言うなら確実な奴じゃん☆
…の割にお客さん居なくね?」
こんな良い店が閑古鳥鳴いてるなんて世界の損失だよッ!是非俺達に宣伝させてッ!
と、いうわけでディオちゃんハイタ〜ッチ、からの【錬成するは、黄金の流星の如き輝き】。

アイドルになったディオちゃんに店先で食レポしてもらうよ。
「マジヤバ、うまし☆」
食レポとは見た相手に食べたいと思わせれば大成功さ。
きっとこれから忙しくなるよ、俺も店を手伝うね。
手伝いながら『思い出のケーキ』の事も聞いてみよう。


【アドリブ歓迎】



 からん♪ころん♪とベルが鳴ります。
 洋菓子屋さんに入店したのは、ミミックと神機ギャル形態。スイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)と『ディオニュソス』です。
 ガラスケースに並んだケーキ、ケーキ、ケーキ。スイートのミミック・アイが輝きます。
「ディオちゃん、どのケーキも素晴らしい出来栄えだよ。これは良い店を見つけたねッ!」
「ヒュー、スイート君が言うなら確実な奴じゃん☆ ……の割にお客さん居なくね?」
 きょろきょろ。ディオニュソスが、店内を見回した感想を、素直に口にしました。お店のかっこよさげなおばあさんが、ビターな笑顔になります。
 とりあえず、試食用に切り分けられたプチ・ケーキを2人で一口。
「~~美味しい!」
 味は確かです。スイートは、パティシエおばあさんに、提案をぶつけます。
「こんな良い店が閑古鳥鳴いてるなんて世界の損失だよッ! 是非俺達に宣伝させてッ!」
「えっ? いきなりなんだい?」
 おばあさん、困惑です。では、ここは論より証拠です。
「と、いうわけでディオちゃんハイタ〜ッチ」
 ぱちん。
『輝け〜流星の如く〜♪ 黄金の最強ア〜イド〜ル♪ ハイパー☆デリシャス☆アイド〜〜ル♪』
「えっえっなんだいこの歌は」
 どこからともなく流れ出したご機嫌メロディとともに、錬金パワーが溢れます。
 きらきら流れる背景と、はじける星々。アイドルなディオちゃん、爆☆誕です!
 場所を店先に移して、いざ作戦開始なのです。
 道を行き交う人達が、ちらりちらりとこちらを見ます。
 視線に含まれる成分はどうあれ、興味を抱かせれば偉大な第一歩です。あとは食べるだけ!
「いただきま~す……んっ、ナニコレ、マジヤバ、うまし☆」
 きらっ、と、アイドル☆ディオちゃんが、食レポを披露します。
 プロデューサーもしくはマネジャーのように控えるスイートが、うんうん、とうなずきます。
「食レポとは、見た相手に食べたいと思わせれば大成功さ」
 すると、マジカルなアイドルパワーとミラクルなケーキパワーに惹かれて、次々とお客さんが入店してきたではありませんか。
「こりゃ一体……まるで魔法じゃないか」
「きっとこれから忙しくなるよ」
 夢見心地のおばあさんに、スイートはウインクしました。お手伝いの始まりです。
 おばあさんをサポートしながら、『例の女の子』……お孫さんの事もさりげなく聞いてみました。
「あの子の思い出のケーキ、かい? ああ、それならきっと……」
 エッホエッホと働くスイートに、おばあさんは『あるケーキ』を指さしたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

アイス、可哀想…
罪のない美味しいアイスに八つ当たりしなければならないなんて、きっと余程の事
まつりん、女の子がグレた原因、突き止めよう

女の子の実家のケーキ屋さん
どれも素朴な見た目で良き
定番のショートケーキをお買い上げして1口ぱくり
……あ、懐かしい味
おかあさんが作るケーキに似てる
ふわり口の中で溶けるスポンジ
程良い甘さのクリーム
思った感想をお店の方に伝えたい

素朴なものはそのままの良さがある
なので、お店をほんの少しデコってみるのはいかが?
ミニ観葉植物やドライフラワー
宣伝版は黒板にチョーク、ちょっとした小物にも拘って

お手伝いしながら女の子のお名前や好きなケーキ、聞いてみる


木元・祭莉
アンちゃん(f16565)、ケーキ屋さんだ!

ばーちゃん、こんにちわ。
春のおすすめ、ください!
んっと、食べ歩けるようなのがいいな♪
何かある?

ふむふむ。ロールケーキ。
これ、輪切りにしたらワンハンドでもいけそう?
容器もお洒落に……紙袋を折り返して、マステで飾る!
せっかくだから、手作り感大事にね♪

カップに入ったパフェ風ケーキもいいね。
差したフォークにリボン飾ってっと。
端正なカタチは崩れちゃうケド、敢えて崩した冒険感だ♪

あとは宣伝してみよっか。
たまごフェアなんてどうかな?
売り子さんなら任せてー!
いでたまー♪(コケコケコケ)

ゲリラ一口サンプリングフェア☆
頭の上にスイーツ置いて。
さ、捕まえてごらんなさーい♪



 アイドル☆フロンティアな事件に、木元・杏(杏世界の真実・f16565)は、ちょっぴり心を痛めていました。
「アイス、可哀想……」
 ただ美味しく映えていただけなのに。
 けれど、女の子にもきっと事情があるのです。
「罪のない美味しいアイスに八つ当たりしなければならないなんて、きっと余程の事。まつりん、女の子がグレた原因、突き止めよう」
「もっちろん! アイス、美味しいもんね!」
 木元・祭莉(銃弾を次から次へと叩き落とすなにかの達人・f16554)は、小さく古めかしいけれど、しっかりオシャレな建物を元気に指さしました。
「アンちゃん、ケーキ屋さんだ!」
 そして杏達は、女の子の実家のケーキ屋さんをご訪問。
「おや」
 店の中に、既にお客さんの姿がありました。なんか賑わいの欠片が感じられます。きっと他の|猟兵《なかま》のお陰でしょう。
 なんだか嬉しくなりつつ、祭莉は、カッコいい感じの銀髪のおばあさんに挨拶します。この人が店主さんです。
「ばーちゃん、こんにちわ。春のおすすめ、ください!」
「おすすめ、かい?」
 ちょうど孫くらいの年の祭莉を、おばあさんは機嫌よさそうに見つめます。
「んっと、食べ歩けるようなのがいいな♪ 何かある?」
「食べ歩き、ねぇ。そういう小洒落たものはないかもしれないが……」
 おばあさんの向けた視線の先にあるケーキを見て、祭莉は閃きました。
「ふむふむ。ロールケーキ。これ、輪切りにしたらワンハンドでもいけそう?」
 祭莉は、お店を盛り上げにやってきたことを説明すると、アイディア発揮の時間に突入です。
「容器もお洒落に……紙袋を折り返して、マステで飾る!」
「ほう、うまいもんじゃないか」
 手作り感を大事にして、ばっちりアップデートです。
 お店アプデ作戦を披露する祭莉の横で、ケースに並べられたケーキを眺め、杏はこくこくとしきりに頷きます。
「どれも素朴な見た目で良き」
 店内にテーブルやイスが設けられているのを確かめた杏は、定番のショートケーキをお買い上げすると、喫茶スペースで1口ぱくりといただきます。
「……あ、懐かしい味」
 その味は、杏に、ある人の顔を思い起こさせてくれます。
「おかあさんが作るケーキに似てる」
 ふわり口の中で溶けるスポンジ。程良い甘さのクリーム。
 感想をお伝えすると、パティシエおばあさんは、ふっ、と肩をすくめました。
「ありがとうよ。けど、今は美味しいだけじゃどうにもならないみたいでね」
 苦笑を浮かべるおばあさんに、杏は一つ提案してみる事にします。
「素朴なものはそのままの良さがある。なので、お店の方をほんの少しデコってみるのはいかが?」
「デコ?」
 さすらいのアドバイザー杏は、さっそくお試ししてみます。
 ミニ観葉植物やドライフラワー。宣伝板は黒板にチョーク、ちょっとした小物にも杏の拘りがキラっと光ります。
 どんどんオシャレ度がアップしていくお店。おばあさんも、最初はあっけに取られていましたが、不意にきりりとしました。
「あたしときたら、ケーキの味や店を守ることばかり考えて、店そのものをよりよくしようって気持ち、忘れてたみたいだね。よし」
 おばあさんは、腕まくりすると、杏と一緒になって、お店のドレスアップにかかりました。
 杏がお店そのものを工夫するなら、祭莉はケーキ担当です。
「カップに入ったパフェ風ケーキもいいね」
 差したフォークにリボンを飾れば、イイ感じ。
「端正なカタチはちょっと崩れちゃうケド、敢えて崩した冒険感だ♪」
 出来栄えに満足げな祭莉に、おばあさんもしきりに感心しています。
 料理に一つまみのお塩が大事なように、ちょっとした味付けで、ずいぶんと変わるものなのです。
 せっせとお手伝いしながら、杏は、女の子の名前や好きなケーキを聞いてみることにしました。
「あの子は『しえり』っていってね。そうだね、あの子が好きなケーキはきっと……」
 おばあさんは、昔を懐かしむように目を細めると、ケースに並んだ『あるケーキ』を指し示したのでした。
 杏と共にケーキの正体を確かめた祭莉は、張り切りモードです。
「あとは宣伝してみよっか。たまごフェアなんてどうかな?」
「ふむふむ。たまご、か」
 おばあさん、たまごを使ったメニューを考え始めます。けれど、祭莉のいうフェアは、もっと変化球でした。
「売り子さんなら任せてー! いでたまー♪」
 コケコケコケ!
 一斉にニワトリ型ロボがあふれ出たので、おばあさんはびっくりしました。
「たまごって言わなかったかい!? で、どうするつもりだい」
「えっとねー、ゲリラ一口サンプリングフェア☆」
 イベント名を発表すると、祭莉は、たまこロボ達の頭の上にスイーツを置きました。
「さ、捕まえてごらんなさーい♪」
『コケコケコケコケ』
 ばたばたと元気に走り回る、メカなニワトリ達。
 街の人は、イベントの気配に惹かれて、わいわいと参加します。追いかけます。そして食べます(ケーキを)。今まさに街はたまごフェア!
 その光景を見たおばあさんは、これは愉快だね、と大いに喜ぶのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榛名・真秀
【🍰🌟】

スイーツは映えてこそ!
…とは思うけど、その女の子の気持ちもわかるよー
老舗のお店には派手さはなくても確かな美味しさがあるもんね
わたしはどっちも大好き!
ともかくスイーツで不幸になる人は見過ごせないよ
絶対助けてあげるんだ!

はっ、エリシャさん
それはその…違いませんけど!
料理対決に自信がないからエリシャさん誘ったけど
わたしも頑張りますから!!

こんにちはおばあさん
じゃあお孫さんが戻るまでわたしたちが
お手伝いしますね!
ケーキを箱に入れるのなら出来ますから!

好きなケーキを聞き出せたなら
必要な材料を調達するよ

お孫さんのためにもお店は続けて欲しいな
わたしたちに出来ることなら何でもするから遠慮なく!


エリシャ・パルティエル
【🍰🌟】

さすがスイーツ好きの真秀ちゃん
気合が入っているわね
ふふ、でも一番のお目当ては事件解決後のケーキだったりして?

真秀ちゃんにはいつもこども食堂を手伝ってもらってるから
もちろん力を貸すわ
それにご褒美って言うのは大事よ
あたしも猫ちゃん依頼には張り切って行くから!

じゃあまずは情報収集とお手伝いね
仲間のおかげでお客さんはたくさん来てるみたい

おばあさんこんにちは
忙しそうだけど他に手伝ってくれる人はいないの?
まあお孫さんが…

少し人の波が落ち着いたらお話ししてみましょう
お孫さんもここのケーキを食べて育ったのよね
どれも美味しそうだけどどれが好きだったのかしら

真秀ちゃんと頷き合いながら
材料を調達するわね



「スイーツは映えてこそ!」
 どーん! 榛名・真秀(スイーツ好き魔法使い・f43950)は力説しました。
 その言霊の強さに、行きかう街の人が、思わず振り返ります。
「……とは思うけど、その女の子の気持ちもわかるよー。老舗のお店には派手さはなくても確かな美味しさがあるもんね」
 新しスイーツ、お馴染みスイーツ。どちちも大好きな真秀です。
「ともかくスイーツで不幸になる人は見過ごせないよ。絶対助けてあげるんだ!」
 そんな真秀の意気込みを見て、エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は、くすりと笑いました。
「さすがスイーツ好きの真秀ちゃん、気合が入っているわね。ふふ、でも一番のお目当ては事件解決後のケーキだったりして?」
 エリシャは、やる気の奥にある本心を見透かします。ちょっぴり意地悪な笑顔で。
「はっ、エリシャさん。それはその……違いませんけど!」
 わたわた、と全面否定はできない真秀です。
「料理対決に自信がないからエリシャさん誘ったけど、わたしも頑張りますから!!」
 ぐぐっ、と拳を固めて、決意表明の真秀です。
 ケーキのためだけではないところをお見せしたい。そうすればきっと、ご褒美にケーキが……あれ?
「真秀ちゃんにはいつもこども食堂を手伝ってもらってるから、もちろん力を貸すわ」
 エリシャは、決意とケーキ欲を反復横跳びする真秀をなだめつつ、そういいます。
「それにご褒美って言うのは大事よ。あたしも猫ちゃん依頼には張り切って行くから!」
 本音が出ます。けれど、そんな目標があるからこそ、力が湧いてくるのです。
 さて、女の子を助けるには、思い出のケーキが必要です。それに、お店も助けてあげたいとエリシャは思います。
「まずは情報収集とお手伝いね」
 エリシャ達が訪れた頃には、お店は、思った以上ににぎわっていました。他の猟兵達の協力で、繁盛の兆しが見えているようです。
「こんにちはおばあさん」
 真秀が挨拶して、事情はわかっている事を、パティシエおばあさんにお伝えします。
「忙しそうだけど他に手伝ってくれる人はいないの?」
 エリシャは店の賑わいを見ながら、そうたずねます。
「普段なら、うちの孫娘が手伝ってくれてるんだけど、最近はどこかに行っちまってねえ」
「まあお孫さんが……」
 事情を直接聞いたエリシャが、こくこくと頷きます。
「今は忙しくしているけれど、普段はこんなに客も多くなくてね、そのせいで、パティシエを目指していたあの子も、すっかりやる気をなくしてしまったんだろうさ」
 はあ、と、おばあさんが重いため息をこぼします。まさか、他のスイーツをやっつけようとしているなんて知ったら、きっと悲しむことでしょう。
 エリシャは、真秀と見つめ合い、頷きます。
「じゃあお孫さんが戻るまでわたしたちがお手伝いしますね! ケーキを作るのは難しいけど、ケーキを箱に入れるくらいなら出来ますから!」
「そいつは助かるねえ。久しぶりに猫の手も借りたいところだったのさ」
 にっ、と、渋カッコいい笑顔で快諾すると、真秀の奮闘を見守るパティシエおばあさんです。
 エリシャも、お客さんの対応に頑張ります。
 そんな真秀達のお手伝いの甲斐あって、ようやくお客さんの波も落ち着いたようです。
 喫茶スペースをお借りして、エリシャは、おばあさんとお話することにしました。
「口に合うかわからないけど、ちょっとしたお礼だよ」
 おばあさんが、エリシャ達にケーキと紅茶を用意してくれました。
 一足早いケーキとのご対面に、真秀の目が輝いているのを見て、エリシャがくすりと笑います。
「そんな、こんなに早くご褒美タイムが……! それじゃあいただきます……」
 ぱくり。
「ん~! 美味しい!」
 真秀の瞳に、銀河が宿りました。お手伝いで頑張ったおかげでしょうか、このケーキは格別です。
 エリシャもケーキをいただきながら、たずねてみます。
「お孫さんもここのケーキを食べて育ったのよね。どれも美味しそうだけどどれが好きだったのかしら」
「それなら、あれさね」
 おばあさんが指さしたのは、イチゴを冠に、クリームのドレスをまとったケーキ界のプリンセス、ショートケーキ……。
 ではなく、控えめながら確かに存在感を放っている『ある』ケーキでした。特別なところはありませんが、つやっとした表面の光沢が、食欲をそそります。
 真秀は、こっそりとレシピや隠し味なんかをおばあさんから伝授してもらうのも忘れません。ケーキを形作っているのは、材料だけでなく、作る人の心意気なのです。
「お孫さんのためにもお店は続けて欲しいな。そのためにわたしたちに出来ることなら何でもするから遠慮なく!」
 自信たっぷりに告げる真秀に、おばあさんは、はっはと笑ってその厚意を受け取ります。
 それから、お礼をいうと、エリシャ達はケーキの材料を調達しに、商店街へと繰り出していくのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
自分を笑顔にしてくれたケーキ、なんだろな
そのケーキを作ってくれた大好きな家族の
寂しくて悲しそうな表情や言葉が辛くて
それで骸の海が溢れ出しちまったんだろう
可哀想に

骸の海を祓って女の子を救い出そう

行動
女の子に頼まれて店を手伝いに来た
って説明
実際それを望んでいるはずだし

老舗で美味くても
街の全員が存在を知ってるわけじゃない
人は忘れちまう生き物だ
店の存在を知らせることを
意識したほうがいいぜ

そして客ってのは
単に味だけで惹きつけられるわけじゃない
…もちろん不味かったら二度と買わないだろうけど
「どんな想いを持って」
「どんな人が作っているのか・店をやってるのか」
これも大きなポイントだぜ
その想いに共鳴して
その人が作るケーキを食べたくなるんだ

やることは単純だ
俺が路上でギターを弾いて気をひいてチラシを配る
チラシには店の場所とケーキの種類の他
店の歴史や店主のこだわりが書いてある
歴史は信用の証だからな
そしてお客さんの声とか
例えば…
お孫さんの思い出のケーキに纏わる
エピソードとか書いとくと心に響くぜ



 事件が起きようとしています。
 けれど、そんな気配を金平糖の一粒ほども感じさせない街に、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)の姿がありました。
「自分を笑顔にしてくれたケーキ、なんだろな」
 ウタは、独り、呟きます。
「そのケーキを作ってくれた大好きな家族の寂しくて悲しそうな表情や言葉が辛くて、それで骸の海が溢れ出しちまったんだろう」
 可哀想に。
 その言葉を、ウタは自分の心の中でだけこぼしました。
 そんな悲しみなんて吹き飛んでしまえばいい。骸の海を祓って、女の子を救い出そうとするウタです。
 からんころんと、店先のベルを鳴らして、ウタはケーキ屋さんに入ります。
 思っていたより、にぎやかです。お客さんの姿があります。
「どうやら、あの子を助けたいってやつは俺だけじゃないようだな」
「おや、いらっしゃい」
 店主のおばあさんが、ウタに声を掛けました。ロマンスグレーというやつでしょうか、老齢ながら渋いカッコよさをたたえた女性です。
「ただの客ってわけじゃない。女の子に頼まれて店を手伝いに来たんだ」
「|あの子《まごむすめ》に、かい?」
 ちょっぴり嘘です。けれど、女の子も実際それを望んでいるはずだと、ウタには確信がありました。
 アイスをダメにするといういけない行動も、全てはこのケーキ屋さんを思っての事に違いありませんから。
「いい店だ。ケーキの味も折り紙付きって聞いてる。けど、それは同時に欠点でもある」
 欠点? 聞き返すおばあさんに、そうだ、とウタは言います。
「老舗で美味くても、街の全員がこの店の存在を知ってるわけじゃない。それに、人は忘れちまう生き物だ。もっと積極的に店の存在を知らせることを意識したほうがいいぜ」
「確かに、そうさね」
 これまでの猟兵の協力を経て、おばあさんもそれを痛感しているようです。
「そして客ってのは単に味だけで惹きつけられるわけじゃない。……もちろん不味かったら二度と買わないだろうけど」
 一本、二本。ウタは、指を立てます。
「『どんな想いを持って』『どんな人が作っているのか・店をやってるのか』。これも大きなポイントだぜ。その想いに共鳴してその人が作るケーキを食べたくなるんだ」
「ふっ、この年になって説教喰らうなんてねえ」
 パティシエおばあさんが肩をすくめます。けれど、その顔はどこか嬉しそうでもありました。
「それで、実際どう行動すりゃあいいってんだい?」
「やることは単純だ」
 ウタはおもむろに、ギターを取り出しました。
「ギター」
「そう。それと、少し協力してもらう」
 おばあさんと一緒になって、ウタはあるものを準備しました。
 それからウタは、店を後にしました。路上ライブの始まりです。
 ウタの奏でるギターに惹かれて、街の人達が集まってきます。
 このチャンスを逃すまいと、ウタは、あるチラシを配りました。それには、ケーキ屋さんの場所やケーキの種類はもちろん、店の歴史や店主のこだわりまで書いてあります。
 歴史は信用の証。そして、実際のお客さんの声も効果抜群です。
 そしてとどめに、お孫さん……あの女の子の思い出のケーキに纏わるエピソード。
 そんなメッセージが、皆さんの心に響いたのでしょう。ケーキ屋さんにはいつしか行列ができるようになっていたのでした。
「思い出のケーキ……なるほどな」
 女の子の好きなケーキを知ることが出来たウタは、材料を調達に向かいます。
 ウタと、おばあさんの思いを、女の子に届けるために。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『タブー・ケージ』

POW   :    スクリーミング・ギロチン
【体内に囚われた『本来の人格』の悲鳴】を披露する事で【禁忌の悪魔】に変身し、戦場内の敵全てを攻撃する【ギロチン刃】を降らせる能力を得る。
SPD   :    黒薔薇迷宮
【心から溢れ出した「骸の海」】に自身の血液を1〜100%捧げ、戦場を怪物蠢く【黒薔薇】の迷宮に変える。迷宮難度は捧げた%に比例。
WIZ   :    コラプサー・フラッシュ
【鳥籠の目への魔力集中】で【激しい輝き】を発生させ、レベルm半径内の対象全てを攻撃する。連続で使うたび命中力と攻撃速度が上昇。

イラスト:湯べし

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 チーズケーキ。
 それが、あの女の子……『しえり』の思い出のケーキでした。
 幼いころ、パティシエなおばあさんのチーズケーキに感激して、「わたしもけーきやさんになる!」と決意したきっかけのお菓子なのだと、話を聞くことが出来たのです。

 そして、材料を集めた猟兵達は、いざ、しえりのいる公園へと向かいました。
 すると、またもや悲鳴。アイスがピンチです!
 凶行を止めにやってきた猟兵達を、しえりがにらみます。
「あなた達も映えスイーツの味方なのね! なら勝負よ!」
 ぶわっ。
 しえりから、闇が広がりました。負の感情とともに、骸の海が溢れ出したのです。

 けれど、その時でした!

 空に輝く一番星。落下してきた流れ星が、誰かの思いに応えるように、アイドル☆ステージへと変わりました。摩訶不思議!
 ステージは煌びやかなライトに照らされて、観客席には愉快に踊るサイリウム。ここが今回の対決場です。
『さあ……スイーツ対決よ……』
 しえりが、おどろおどろしい声で挑戦してきました。
 その姿は、鳥かごに囚われたような、恐ろしいオブリビオンへと変貌を遂げています。
 きっと、作り上げたケーキをユーベルコードに乗せて繰り出してくるはずです。喰らえ、と。
『思い出のチーズケーキ……私がパティシエを目指すきっかけになったおばあちゃんのケーキには、どんなスイーツもかなうはずがないのよ……!』
 オブリビオン・しえりは、自信たっぷりです。
 ですが、猟兵達だって負けてはいないはずです。しえりさんの闇を払い、本当の心を取り戻すのです!
スイート・シュガーボックス
俺達は全てのスイーツの味方さッ!いざいざ、尋常に勝負ッ!
「ウチらの力、魅せてやるし☆」

先手必勝、【懐かしき思い出時間】ッ!このチーズケーキが君の大切な思い出の味だろ?
俺の『ティーセットコレクション』のテーブルと人数分のお皿にカップを準備。カップに『不思議なティーポット』で紅茶を淹れて、さあ召し上がれ。
俺達も頂こう、ディオちゃん。
「いただきま〜す。…ん〜♪このチーズケーキ、ちょーヤバじゃん。マジさいこー☆」

更にここで攻勢に出るよ。
このチーズケーキにめちゃ映えるアイスを…乗っけるッ!
今ここに奇跡のコラボレーションッ!美味しいチーズケーキがさらなる進化を遂げるッ!
さあ…召し上がれッ!


【アドリブ歓迎】



 人々の無意識の化身、サイリウム達が待ち焦がれた救いのアイドル。
 スイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)とディオちゃんが、ポーズを決めてステージに現れました。2人は|相棒《ズッ友》!
「俺達は全てのスイーツの味方さッ! いざいざ、尋常に勝負ッ!」
「ウチらの力、魅せてやるし☆」
 ぐーん、と、スイート&ディオちゃんとオブリビオン・しえりの前に、キッチンがせりあがります。レディ・ファイト!
『必殺のチーズケーキを召し上がれ……!』
 器用なもので、鳥籠の中でせっせとクッキングに勤しむ、オブしえり。骸の海が隠し味。
 けれどスイートクッキングの方が時短でした。
「先手必勝、【懐かしき思い出時間】ッ!」
 ぱかっ、とスイートからスイーツが飛び出しました。神々しく現れたそれは、まさに!
「このチーズケーキが君の大切な思い出の味だろ?」
『ど、どうしてそれを……まさか個人情報が漏洩しているっ?』
 オブしえりが、おののきます。
 思い出のチーズケーキの再現度以外にも驚きポイントがあるようですが、それはそれとして、スイートはおもてなしの心をお見せします。
 『ティーセットコレクション』の出番です。テーブルの上に、人数分のお皿とカップを準備。カップに『不思議なティーポット』で紅茶を注ぎます。優雅に。
「さあ召し上がれ」
『そ、そんな……これは完全におばあちゃんの……!』
 実食したオブしえりが、頭を抱えます。闇に塗りつぶされたはずの思い出が、ぽわんと呼び起こされているのでしょう。
 思い出世界に浸り中のしえりを見守りながら、スイートも席に着きます。
「俺達も頂こう、ディオちゃん」
「いただきま〜す。……ん〜♪ このチーズケーキ、ちょーヤバじゃん。マジさいこー☆」
 口に広がる甘い世界。パティシエおばあさんからの直伝といっていいでしょう。
『ま、まだ対決は終わってないわ』
 オブしえりも、鳥籠の目の輝きと共に、闇のチーズケーキを送り付けます。ですが、スイート達を包む思い出オーラに阻まれて、近づく事すらできないようです。
 スイートは、更にここで攻勢に出ました。
「このチーズケーキにめちゃ映えるアイスを……乗っけるッ!」
『!?』
「今ここに奇跡のコラボレーションッ! 美味しいチーズケーキがさらなる進化を遂げるッ!」
『そ、そんな、禁断過ぎる……!』
「さあ……召し上がれッ!」
 夢のコラボ攻撃を喰らったオブしえりは、思わず『美味しいー!』と声を上げ、鳥籠の目も一斉に光を放ったのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

しえりの気持ちよくわかる
わたしもおかあさんのケーキを食べて、この世のあらゆる美味しいを召し上がろうと心に決めた

まつりんとアイコンタクトで駆け上がるはアイドルステージ
そして【どれすあっぷ・CBA】
白のシャツに橙色のチェック柄スカートひらり
差し色の黒が効くゴスロリ甘辛コーデ
そう、わたし達は歌って踊る「やぶさか☆2」
かもん、チーズケーキ

チーズケーキ、味は良き♪
でもダメ違う♪
わからない?だって、しえりが笑っていない♪
パティシエの笑顔もケーキの一部♪
思い出して?おばあさんの笑顔♪
パティシエ達の笑顔♪

わたしのお届けするのはこれ、「おかあさんのショートケーキ」
さ、召し上がれ?


木元・祭莉
アンちゃん(f16565)、チーズケーキ対決だ。
焼肉じゃなくて残念だね?

へえ、しえりちゃん、ぱてぃしぇアイドルなんだ。
ウチの母ちゃんも、ぱてぃしえなんだよ!
屋台引っ張って、出張販売やったりするみたい♪

あ、変身タイムか。
それでは、てやっ。(バンク)
旧やぶさか☆2から、更にオトナ風盛り盛りゴスロリへ!(マテ 猟コレ2025)

そうそう、母ちゃんの十八番は、人形焼と飴細工なんだって。
ぱてぃしぇらしくないって言われるみたいケド、子供たちは実演販売の方が喜ぶみたいだよ?
お菓子は、ヒトを喜ばせるモノだから。

ん、実演しよ♪(屋台セット)
カモン、さんふらわあ!(ゆべこ)

お菓子を粗末にする子は、許しませんえ?



 流れ星の生まれ変わり、空からの贈り物。
 煌びやかな不思議ステージを訪れた木元・祭莉(銃弾を次から次へと叩き落とすなにかの達人・f16554)は、オブリビオンになってしまったしえりを見ていました。
「アンちゃん、チーズケーキ対決だ。焼肉じゃなくて残念だね?」
「……む」
 これは不意打ち。祭莉に言われて、木元・杏(杏世界の真実・f16565)は、食欲を掻き立てられました。
 思い出の焼肉。それはそれでありだと思います。
 杏をお肉モードにさせながら、祭莉は、ステージ上で料理の腕を振るうしえりに、声をかけました。
「へえ、しえりちゃん、ぱてぃしぇアイドルなんだ。ウチの母ちゃんも、ぱてぃしえなんだよ! 屋台引っ張って、出張販売やったりするみたい♪」
『……なら、私のライバルね』
 ごごご。
 なんだか、しえりの背後に、黒い焔が見える気がします。燃えるパティシエ魂。
 杏は、とりあえずそのライバル心をなだめるように語り掛けます。
「しえりの気持ちよくわかる。わたしもおかあさんのケーキを食べて、この世のあらゆる美味しいを召し上がろうと心に決めた」
『あなたに何がわか……って』
 オブリビオン・しえりは、反射的に杏の説得を跳ねのけようとして、微妙な違和感に気づきました。
『……私、作りたい。あなた、召し上がりたい。……気持ち、同じ?』
「同じ」
 こくり。杏はうなずきました。反論は認めます。
 いいこと言った感を醸し出しつつ、杏は祭莉とアイコンタクトしました。駆け上がるはアイドルステージ。
 【どれすあっぷ・CBA】!!
「あ、変身タイムか。それでは、てやっ」
 きらきら流れる背景に気づいて、祭莉も駆け出します。
 杏達は、お着換えタイムに突入しました。
 フレッシュにはじける光の粒が、2人をドレスアップしていきます。
 白のシャツに、橙色のチェック柄スカートひらり。
 差し色の黒が効いた、ゴスロリ甘辛コーデ。
 祭莉達の装いは、これまでのものを旧やぶさか☆2と呼ぶのなら、更にオトナ風盛り盛りゴスロリの、バージョン2025というべきものでした。その全貌は、近日公開! 予定!
『ちゃんとアイドルね……!』
「そう、わたし達は歌って踊る『やぶさか☆2』」
 オブしえりにしっかりお答えして、杏達がステージに舞い降ります。光と音の演出が、2人の登場を派手に盛り上げます!
 そこに、観客さん達の歓声が加わって、祭莉のテンションを上げてくれます。
「そうそう、母ちゃんの十八番は、人形焼と飴細工なんだって」
『和……洋なるチーズケーキの敵……!』
「ぱてぃしぇらしくないって言われるみたいケド、子供たちは実演販売の方が喜ぶみたいだよ? だってお菓子は、ヒトを喜ばせるモノだから」
『私だって……喜ばせたかった!』
 祭莉の訴えを跳ねのけるように、しえりは悲鳴に合わせてギロチンを降り注がせます。けれどよく見れば、チーズケーキがくくり付けてあるではありませんか。
 そう、ただチーズケーキが好きなだけなら、他のスイーツを目の敵にする必要なんてありません。|チーズケーキ《だいすき》を皆さんにお届けしたいからこそ、なのです。ちょっと行きすぎちゃっただけで。
 そんなしえりの本心を見抜いたのか、祭莉は、にぱっ、と語り掛けるのです。しえりの闇チーズケーキを美味しくいただきながら。
「もぐもぐ……あ、さすがに美味しい。ん、それじゃこっちも実演しよ♪」
 祭莉が、ぱちん、と指を鳴らせば、屋台セットが現れます。
「カモン、さんふらわあ!」
『ヒマヒマ~♪』
 呼ばれて飛び出るヒマワリズ。バックダンサー的に揺れます。
「準備は出来たよアンちゃん!」
「では、かもん、チーズケーキ」
 杏に応えて、スポットライトが点滅します。
 前奏が流れ、星が弾けてマイクが現れます。杏達は、それを手に取り唄います。
「チーズケーキ、味は良き♪
 でもダメ違う♪
 わからない? だって、しえりが笑っていない♪
 パティシエの笑顔もケーキの一部♪
 思い出して? おばあさんの笑顔♪
 パティシエ達の笑顔♪」
『こっ、この歌は……!』
 パティシエアイドル・チーズケーキの型!
 唄って踊る杏達に、しえりは困惑します。観客達のきらめきも、その気持ちに拍車をかけます。この場の空気は、すっかりやぶさか☆2の味方です。
 そして、ちゃんとケーキは出来上がりました。
「わたしのお届けするのはこれ、『おかあさんのショートケーキ』」
 思い出のこめられたケーキに、しえりは困惑の色合いを深めました。心が揺れています。
「さ、召し上がれ?」
「お菓子を粗末にする子は、許しませんえ?」
 祭莉がおばちゃんみたいな口調でびしっ、と告げました。ヒマワリたちの笑顔で、しえりを取り囲みながら、です。
『なら、一口……』
 カッ! 鳥籠の目が、一斉に光を放ちました。
 杏達を照らすその光は、ユーベルコードでしたが、しえりの心を表すものでもありました。
『……美味しい』
 しえりが思わずこぼした本音の食レポに、杏は、はい美味しいいただきました、と優雅にお辞儀をするのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榛名・真秀
【🍰🌟】

しえりちゃんの思い出のケーキはチーズケーキ!
わたしももちろん大好きだよー
ベイクドもレアもスフレも
どれも良さがあるよね!
というわけでエリシャさん
美味しいチーズケーキをお願いします!

しえりちゃんのケーキもいただきまーす!
うん、美味しー!
おばあさんのケーキも美味しかったし
素敵なパティシエになれるよ!
でもね、今のままじゃ…

そうそう、エリシャさんの言うように何かを恨むんじゃなくて
チーズケーキのいいとこ推してこうよ!

もっとたくさんの人に好きになってもらうために
わたしが考えたのは
卵や小麦粉アレルギーの人のためのチーズケーキ!

スイーツはみんなを幸せにするためのもの
それを思い出してほしいんだ!


エリシャ・パルティエル
【🍰🌟】

そう、おばあさんの美味しいチーズケーキが
パティシエを目指すきっかけに…
だったらなおさら今のしえりちゃんを止めないとね

ええ、真秀ちゃん
お菓子作りは任せて
せっかくだから、猫耳メイドに変身してパフォーマンスするわね

真秀ちゃんのご要望にお応えして
いろいろなチーズケーキを作ってみたわ
今ならバスクチーズケーキが流行かしら

ねえ、しえりちゃん
さっきあなたがめちゃくちゃにしたアイス…
アイスが大好きな子が見たらどんな気持ちになるかしら?
あなたもチーズケーキがひどい扱いされたら嫌でしょ?

このレシピは栄養士の真秀ちゃんが考えてくれたの
真秀ちゃんはいつも誰かにとって幸せになれるスイーツを…
そう考えているのよ



 エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は、流れ星のステージにオブリビオンとして立つ、少女しえりと対面しました。
「そう、おばあさんの美味しいチーズケーキがパティシエを目指すきっかけに……だったらなおさら今のしえりちゃんを止めないとね」
「だよね、エリシャさん!」
 エリシャとやるべき事を確かめ合った榛名・真秀(スイーツ好き魔法使い・f43950)は、しえりに話し掛けてみます。
 今のしえりは、ちょっぴり……ちょっぴり?怖い姿をしていますが、オブリビオンなら真秀も慣れっこです。
「しえりちゃんの思い出のケーキはチーズケーキ! わたしももちろん大好きだよー。ベイクドもレアもスフレもどれも良さがあるよね!」
 ぽわぽわぽわん。
 今まで出会ってきた美味しいチーズケーキたちが頭の中でダンスして、真秀は思わず笑顔をこぼします。
 お腹も鳴ってしまいそうです。……おっといけません。
「というわけでエリシャさん! 美味しいチーズケーキをお願いします!」
「ええ、真秀ちゃん。お菓子作りは任せて」
 真秀から任されたエリシャは、くるんとその場で体を回します。
 するとあら不思議、ユーベルコードの力に、ステージから星の力までそそがれて、猫耳メイドさんに大・変・身!
 きっとエリシャの楽しい気持ちにステージが応えてくれたのでしょう。そうに違いありません。
 その証拠に、どこからともなく愉快なメロディまで流れ出してきます。
 乗らない手はありません。レッツ・クッキング!
 手順を1つ1つ説明しながら、観客さん達にも見えるよう、ステージ後ろの大きな画面に、手元を映し出します。
 エリシャの手際の良さに、しえりも思わず手が止まります。
 アシスタントな真秀の力も借りて……出来上がりです!
「真秀ちゃんのご要望にお応えして、いろいろなチーズケーキを作ってみたわ。今ならバスクチーズケーキが流行かしら」
 わー!
 ずらり並んだチーズケーキの仲間達。観客さん達から歓声が上がって、会場が七色に輝きました。
『やるわね。けれど私にはかなわない。さあ食べて。タベナサイ!!』
 しえりの悲鳴に呼ばれたギロチンが、真秀達の前にぐさぐさと突き立ちます。よく見れば、ケーキが添えられています。
 しえりから真秀達にお出しされたのは、闇の力のこもったチーズケーキでした。食べても害はないはずです。猟兵なので。
「それじゃあ、しえりちゃんのケーキ、いただきまーす!」
 ぱくり。
 観客が、真秀のリアクションを見守ります。
「……うん、美味しー!」
 花丸です!
「おばあさんのケーキも美味しかったし、素敵なパティシエになれるよ! でもね、今のままじゃ……」
 ことり、と真秀がフォークを置きました。ちょっぴり真面目な顔です。
「ねえ、しえりちゃん」
 エリシャは、ケーキを味わってから、優しいまなざしをしえりに向けました。
「さっきあなたがめちゃくちゃにしたアイス……アイスが大好きな子が見たらどんな気持ちになるかしら?」
『……!』
 しえりの脳裏に、先ほどの光景がフラッシュバックします。しているはずです。そうエリシャは信じます。
「あなたもチーズケーキがひどい扱いされたら嫌でしょ?」
 エリシャの言葉に胸を打たれたのでしょう。しえりは、反論の言葉を発する事も出来ずにうなだれました。
 けれどエリシャは、しえりにも笑顔になって欲しいのです。
「そうそう、エリシャさんの言うように何かを恨むんじゃなくて、チーズケーキのいいとこ推してこうよ!」
 にぱっ、と再び笑顔になって、真秀がしえりに訴えます。
 今食べたチーズケーキだって、ちゃんと美味しかったのです。少し闇の心が強すぎて、とがった味ではありますが、技術は確か。
 なら、あと一つの味付けが加われば、最高になるはず。その『あと一つ』の正体を、真秀は知っています。
『何が足りないっていうの……!』
 悶えるしえりに、そっ、とエリシャはケーキを差し出します。
「このレシピは栄養士の真秀ちゃんが考えてくれたの」
 そして真秀は紅茶を添えて。
「そう! もっとたくさんの人に好きになってもらうために考えた、卵や小麦粉アレルギーの人のためのチーズケーキ!」
 じゃじゃーん!
 真秀が言いました。これなら心配せずに、安心して食べられます。せっかくのケーキ、楽しく食べたいではありませんか。
「真秀ちゃんはいつも誰かにとって幸せになれるスイーツを……そう考えているのよ」
『誰かが……みんなが、幸せに……』
 ネコ耳エリシャからネコ耳フォークを受け取ったしえりは、そっと2人の作ったケーキを切り分け、口へ運びます。
『……美味しい』
 しえりの素直な感想が、エリシャを笑顔にしてくれます。
「そう、スイーツはみんなを幸せにするためのもの。それを思い出してほしいんだ!」
 真秀のまっすぐな言葉に、しえりを捕えた鳥籠が、かたかたと揺れたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
祖母ちゃんのことが大好きなんだな
骸の海を祓ってしえりを救うぜ

戦闘
その悲鳴…
ホントはしえりも
アイスを敵視することが解決にならないってこと
判ってんだよな
骸の海に飲まれちまって可哀想に

観客の声援に応えるように
ワイルウドウィンドで
店や祖母ちゃんの雰囲気とかに合わせて
温かくてほんわかしたカンジのメロディを
ステージに響かせて地獄の炎を呼ぶ

ギロチンを次々と迎撃し
次いでにその籠も溶かしてやる

待ってろよ、しえり
すぐに助け出してやる

けどこれじゃまだ届かないんだよな

ギターを風と共にかき消して
先のメロディを口ずさみながら
チーズケーキを作るぜ
祖母ちゃんの熟練の技芸には
まだまだ敵わないけど…
その情熱や想いはしっかりと受け取ってる
それを込めて作れば
味の微妙な違いはあるけど
食べた時の感動は同じ筈だ
さあおあがりよ!

更にもう一皿
獄炎が優しく炙ってベイクドチーズケーキに
俺なりの工夫だ

しえりも
祖母ちゃんの味に更に「自分」を加えて
継承していくといいぜ
いつかパティシエしえりが作るケーキを
楽しみにしてるぜ(ぐっ



 愛と希望で煌めくステージの上、独りたたずむ闇の化身。
 オブリビオンに変貌を遂げてしまった少女・しえりと、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は対面しました。
 しえりは|祖母《ばあ》ちゃんのことが大好きなんだな。
 そう感じたウタは、しえりを呑みこむ骸の海を祓って、救い出す決意をしました。
 クッキングバトルの始まりです!
『さあ、召し上がれ……全てのスイーツを消し飛ばすほどの甘さを!』
 オブリビオンパワーで手早く作り上げたしえりのチーズケーキが、ウタへと飛来します。ただし、オブリビオン・しえりの悲鳴に乗せて、です。
 しえりをこんな姿に変えてしまう程の強い感情が、声という形で世界に響きます。
 その悲痛な声に、観客席のサイリウム達も、震え上がります。
 けれどウタは、その魂の叫びを、正面から聞き届けようとします。
「その悲鳴……ホントはしえりもアイスを敵視することが解決にならないってこと判ってんだよな。骸の海に飲まれちまって可哀想に」
 あの子を助けてあげて!
 そう求めるように、一斉に観客達が煌めき、踊ります。
 みんなの声援に応えるため、ウタもまた『音』で対抗します。
 ワイルドウィンド……ギターとインカムで奏者の装いになると、メロディを紡ぎます。
 会場を包むのは、温かく、ほんわかしたメロディ。野生の風、という名前からは想像できないほどの柔らかさです。
 そうして呼び起こされた地獄の炎は、心なしか揺れ方も優し気ですらありました。
 闇のチーズケーキととともに、会場、そしてウタへと降り注ぐ、ギロチン刃。
 ですが、ウタの地獄の炎が、迎え撃っていきます。それどころか、しえりが閉じこもる頑丈な籠さえも溶かしていくではありませんか。
「待ってろよ、しえり。すぐに助け出してやる」
『助けなんて……求めてない……!』
 いっそうおどろおどろしい姿になったしえりが、ウタの言葉を振り払うように、頭を振りました。
「まだ届かないか……なら!」
 一陣の風と共に、ウタの手からギターが掻き消えました。
 けれど、メロディがおしまいになったわけではありません。なおも観客達が身も心もゆだねるそのリズムは、ウタ自身が口ずさむことによって、紡がれているのです。
 そうしてウタはクッキング。作るのは、もちろんチーズケーキです。
「祖母ちゃんの熟練の技芸にはまだまだ敵わないけど……その情熱や想いはしっかりと受け取ってる」
 それを込めて作れば、味の微妙な違いこそあっても、食べた時の感動は同じ筈。そう信じて、真心をこめて焼いたチーズケーキを……。
「さあおあがりよ!」
『それはやっぱり……おばあちゃんの……あのケーキ……』
 おっとこれだけではありません。更にもう一皿。
 チーズケーキを獄炎で優しく炙れば、あら素敵、ベイクドチーズケーキに早変わりです。
『そんなのは……見たことない……』
「そうだろうな。俺なりの工夫だ」
 アレンジを加えたチーズケーキを、ウタはしえりに差し出します。
「しえりも祖母ちゃんの味に更に『自分』を加えて継承していくといいぜ」
『…………』
 そっ、と伸ばしたしえりの手が、フォークをつかみ、切り分けたケーキを口に運びます。
『これは……やっぱり美味しい……しかも、また違った味わい……!』
「いつかパティシエしえりが作るケーキを楽しみにしてるぜ」
 こらえきれない感動に震えるしえりに、ウタが、ぐっ、と親指を立てた次の瞬間でした。
 闇の鳥籠が壊れ、中から、しえりが解き放たれたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『わいわい☆パーティタイム』

POW   :    料理を食べる

SPD   :    ゲームに参加する

WIZ   :    パフォーマンスを披露する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ステージいっぱいに、何かが割れる音が響きました。
 しえりを閉じ込めていた鳥籠は、もうありません。
 何か黒い煙のようなものが空へと逃げていきましたが、ステージから虹のライトが浴びせられた途端、ぷしゅん、と消えてしまいました。
「あれ、私……?」
 わあああっ、と会場が歓声に揺れます。
 それは、しえりが元の姿に戻ったことを、闇を追い出した事を、みんなで祝福するものでした。

「本当にごめんなさい」
 場所は変わって、先ほどのお菓子屋さん。しえりが猟兵達に謝ります。
 隣には、パティシエおばあさんの姿もあります。少し厳しい顔ですが、しえりをしかりつけたりはしませんでした。
 さて、と腕組みを解くと、おばあさんもまた、頭を下げました。
「うちの孫娘が迷惑をかけちまったね。お詫びと言ってはなんだが、うちのケーキを食べていってくんな。どんどん作るから気にせず召し上がれ」
「私も手伝う! 食べたいケーキがあったら言ってね!」
 どうやら、しえりはケーキ大好きな心、そして優しい心を取り戻してくれたようです。
 今なら、きっと最高のケーキが味わえるに違いありません。ケーキバイキングの始まりです!
スイート・シュガーボックス
「イヤッほーい☆ケーキバイキングだあああ♪」
それじゃ、遠慮なくご相伴になろうかなッ!この店の素晴らしいケーキをまだまだ味わい足りないしねッ!

俺の自慢の『ティーセットコレクション』を広げてケーキバイキングの準備を手伝うよ。さらに『不思議なティーポット』でブラックコーヒーを淹れてっと。

「ん〜、おいひい☆」
本当だねディオちゃん。苺のショートケーキ、チョコケーキ、モンブランにフルーツケーキ、そしてチーズケーキ。
甘いケーキとブラックコーヒーが互いを引き立て合い、いくらでも食べれる。サイコー☆


【アドリブ歓迎】



 ケーキな冒険とケーキなステージの果てに待っていたのは、たくさんの素敵ケーキでした。
 スイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)とディオちゃんの目の前に広がるのは、まさにケーキの海。太陽の代わりに、スイート達の期待を浴びて輝いています。
「イヤッほーい☆ ケーキバイキングだあああ♪」
 ディオちゃんが、期待を溢れさせます。
「うんうん、その気持ちよくわかるよディオちゃん。それじゃ、遠慮なくご相伴になろうかなッ! この店の素晴らしいケーキをまだまだ味わい足りないしねッ!」
 せっせと準備をすすめるパティシエおばあさんとしえりを、スイートもお手伝いします。
 自慢の『ティーセットコレクション』を広げると、おばあさんが、ほう、と目を細めました。
「いい茶器じゃないか」
「褒めてもらえると嬉しいな」
 スイートはいっそう上機嫌で、『不思議なティーポット』でブラックコーヒーを淹れていきます。
「さあ、召し上がれ」
「美味しいよ、ほんとうにっ」
 しえりが、むんっ、と力強くお勧めします。太鼓判、という奴です。
「それじゃあ、いただきま~す☆」
「いただきますッ」
 ぱくり。
 スイートのキュートなボディが、ぷるぷる震えます。ディオちゃんも目を閉じてぷるぷる。ダブルぷるぷるです。そのココロは!
「ん〜、おいひい☆」
「本当だねディオちゃん」
 試食した時から気づいてはいましたが、とても美味しいです。
 苺のショートケーキ、チョコケーキ、モンブランにフルーツケーキ、そして……チーズケーキ。
「このチーズケーキは私が作ってみたんだ」
 照れたように、しえりが言います。パティシエ服です。
「うん、これが本当の、本物のしえりケーキってわけだね」
 しっとりとした味わいが、スイートの心にまでしみ込んできます。確かにこれは、オブリビオンなしえりには作れません。
 そして、ブラックコーヒー……。
「うん、甘いケーキとブラックコーヒーが互いを引き立て合い、いくらでも食べれる。サイコー☆」
「大した食欲だねえ」
 これが若さか……老兵風味なまなざしで、スイート達のティータイムをおばあさんが見守ります。
「まだまだあるからいっぱい食べてね!」
 しえりが、スイート達にお代わりをお届けします。おばあさんも、最初会った時より元気に職人の顔です。
 美味しいケーキで、きらきらっ、なスイート達。それをもてなすしえりの笑顔も、きらきらっ、と輝いているのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

ケーキバイキング、食べ放題...!
そんな、いくつでも食して良しなんてわたし達大した事してない元に戻ったのはしえりがケーキを愛するパティシエだったからでも遠慮なくいただきます(至福の顔

どれから?そんなの決まってる、チーズケーキ
しえり作とおばあさん作のコラボで頂こう
んふ、おいしい
そして2人の笑顔を見れたらもっと美味しくなる

まつりんのは何?
そわっとしつつ、一口ずつ交換を申し出よう
今のわたしはレモンパイ
はい、どうぞ?
分け合う美味しさは更に倍


窓の外を歩く人と目が合えば
美味しいよ?とケーキを見せお店へとお誘い
沢山の人達と美味しいを分け合っていけば
このお店の良さも知れ渡る


木元・祭莉
わーい、アンちゃん(f16565)ケーキ食べホだって!

それじゃ、お給仕はおいらがやるね。
弟がカフェで働いてて、ボーイさんっていうのやってるみたい。
おいらもいっぺんやってみたかったんだ、やってもいい?(キラキラ)

では。
お嬢様、ご注文の合い盛りチーズケーキでございまーす!
こんがりバスクと薄茶ベイクのハーモニーを♪
せっかくだから、アイスを添えて。
ダークチェリーのソースを一匙♪

給仕が一段落したら、まかないの時間!
ロールケーキのはじっこをチョコでデコって、イチゴのミルフィーユをドッキング!
え、一口交換?
いいケド……全部食べちゃダメだよ?
レモンがいい香り、すっぱ甘いね♪

あ、宣伝に最後いっぱつ唄っとく?



 きらりん☆
 木元・杏(杏世界の真実・f16565)の瞳は煌めいていました。ケーキという太陽の光を浴びて。
 そして、ずばり太陽のような笑顔を咲かせた木元・祭莉(銃弾を次から次へと叩き落とすなにかの達人・f16554)も、宝石のようなケーキ達とご対面です。
「わーい、アンちゃん、ケーキ食べホだって!」
「ケーキバイキング、食べ放題……!」
 本当に? 本当に? と視線の連打で確かめる杏に、こくり、と、しえりとパティシエおばあさんがうなずきます。
「そんな、いくつでも食して良しなんてわたし達大した事してない元に戻ったのはしえりがケーキを愛するパティシエだったからでも遠慮なくいただきます」
 至福の顔。
 ケーキへの溢れる食欲……愛のためでしょう。思わず早口になってしまった杏のため、祭莉は一肌脱いでみる事にしました。
「それじゃ、お給仕はおいらがやるね」
「ええっ」
 祭莉の申し出に、しえりは慌てて手を振りました。
「お客さんにそんなことはさせられないよ」
「ダイジョーブ! 弟がカフェで働いてて、ボーイさんっていうのやってるみたい。おいらもいっぺんやってみたかったんだ、やってもいい?」
 キラキラ、祭莉のまなざしは季節先取り、夏の陽光。こうも頼まれては、しえりもおばあさんもお断りできそうにありません。
 許可取りに成功した祭莉は、ほんのり、きりっと表情を引き締めます。
「では杏お嬢様、どのケーキにいたしましょうー?」
「どれから? そんなの決まってる、チーズケーキ」
 ほんのり気取った口調の祭莉に、杏は、すぱっ、とお答えします。しえり作とおばあさん作のコラボで頂きます。
「ご了承ー♪」
 さささっ。祭莉が優雅にご用意。
「お嬢様、ご注文の合い盛りチーズケーキでございまーす! こんがりバスクと薄茶ベイクのハーモニーを♪」
 ボーイさんというか執事さんも混じった雰囲気、ケーキ|執事《バトラー》祭莉がお届けします。
「せっかくだから、アイスを添えて。ダークチェリーのソースを一匙♪」
 お洒落度が増しました。
 それでは。杏は、チーズケーキのお祭りに飛び込みました。
 いただきます。
 ぽっ、とその頬が赤みを帯びます。
「んふ、おいしい」
「よかった」
「自慢の逸品さね」
 しえりとおばあさんの笑顔のお陰で、ケーキはいっそう味わい深くなりました。
 そして杏は、幸せのお代わりをお願いしました。祭莉が忙しくなります。
 杏がもぐもぐ、祭莉がエッホエッホ。
「……アンちゃんばっかり食べてずるくなーい?」
 今更気づきました。いくらなんでもちょっと食べ過ぎだと祭莉は思いました。
 そこで祭莉は、しえり&おばあさんとバトンタッチ。給仕が一段落したら、当然待っているのは、まかないの時間! ……元々お客さんなので食べるのに専念しても問題はありません。
「まつりんのは?」
 ペースを崩さずケーキを食べ続ける杏がたずねると、祭莉は、ケーキを集めて一工夫。
「んとねー。ロールケーキのはじっこをチョコでデコって、イチゴのミルフィーユをドッキング!」
「ほう、面白いじゃないか」
 おばあさんが、さりげなくアイデアをメモしています。
 そわっ。杏は、映えて美味しいよくばりケーキに、一口ずつの交換を申し出ました。
「今のわたしはレモンパイ。はい、どうぞ?」
「え、一口交換? いいケド……全部食べちゃダメだよ?」
 祭莉は、一応杏に釘を刺すと、TC……すなわちトレーディングケーキします。
「んー! レモンがいい香り、すっぱ甘いね♪」
「ロールミルフィーユ、これはヤバな美味しさ。悪魔的……!」
 分け合うことで、美味しさは更に倍です。
 ぱああ、と杏の笑顔で周りも照らし出されます。TCは、見事成功だったようです。
「む」
 ふと、杏は目が合いました。窓の外、歩く人と、視線でコンニチハ。
 美味しいよ?とケーキを見せると、歩いていた人の足がぴたりストップ。ふらふらふらりとお店へとお誘いされました。魔力……!
「おや、いらっしゃい」
「いらっしゃいませ!」
「おいでませお嬢様ー♪」
 ケーキの魔女・杏の導きでドアをくぐったお客さんを、おばあさんとしえりと祭莉がお出迎え。
 そんな感じで、杏のケーキにつられて次々とお客さんがやってきます。
 沢山の人達と、美味しいを分け合っていけば、このお店の良さも知れ渡るはずです。
 そうなれば、しえりのケーキをみんなに食べてもらえてハッピーなのです。杏もハッピーです。
「あ、宣伝に最後いっぱつ唄っとく?」
 集まったお客さんに、祭莉が、立ち上がります。新やぶさか☆2の出番です。
「ん、即興でご披露する」
 今の杏は、ケーキのお陰でエネルギー充填120%。しかもカロリーを消費すれば、もっとケーキが食べられて一石二鳥ループなのです。
 一緒に唄うー? そんな祭莉のお誘いに、しえりも加わって、即席トリオ。みんなで美声を披露して、ケーキを素敵に宣伝するのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榛名・真秀
【🍰🌟】

しえりちゃん、元に戻って良かったよー!
これからはみんなを笑顔にする
素敵なパティシエ目指して頑張ってね!

わーい、ケーキは全種類食べるんだー
あ、識ちゃんは武蔵坂の後輩だね
この事件が解決したのは識ちゃんのおかげでもあるよね
一緒に食べよう!

んー美味しい!
幸せー!
そうだ、さっきエリシャさんが作ってくれた
アレルギーの人でも食べられるチーズケーキのレシピ
良かったらどうぞ!
チーズケーキだけじゃなく
他にもアレルギー用のレシピとか考える手伝いも出来るよ!

映えももちろん大切だけど
美味しさがあってこそ
うん、最近は口コミが一番だしね
誰かが笑顔になれるってことを考えて
ケーキを作ればきっとこれからも大丈夫だよ!


エリシャ・パルティエル
【🍰🌟】

良かった一件落着ね
さ、真秀ちゃんのお楽しみのご褒美タイム…
あ、そうそう
この事件を予知してくれた識もご一緒してもいいかしら?
大丈夫そうなら是非

あたしはおばあさんのおすすめをいただくわ
真秀ちゃんの紅茶と一緒に
そうあたしもお菓子作りは好きで
たくさん勉強してるのよ

食物アレルギーの子は意外と多いのよ
だからアレルギーを持っている人でも食べられる
ケーキがあるってわかればきっと喜ばれるわ
予約制にして注文してもらえばいいと思うし

しえりちゃんはSNSやってる?
このお店のいいところ発信していったらどうかしら
ここのケーキを食べた人が拡散してくれたら
もっとたくさんの人にここのケーキを好きになってもらえるわ!



「あらあら?」
 エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)が再び訪れたケーキ屋さんは、最初の時とは、なんだか雰囲気が変わっているように見えました。
 猟兵のみんなの力で、お客さんで賑わっているのです。
「良かった、一件落着ね」
「しえりちゃん、元に戻って良かったよー!」
 榛名・真秀(スイーツ好き魔法使い・f43950)は、思わず、ぎゅっとしえりを抱きしめます。
「助けてくれてありが……いたた」
 あ、いけない、と体を離すと、代わりに手を握って、ぶんぶん、と振りました。
「これからはみんなを笑顔にする、素敵なパティシエ目指して頑張ってね!」
「うん、頑張るね」
 しえりの表情は、ちょっぴり罪悪感を引きずっているようですが、きっと大丈夫。真秀は、朗らか笑顔です。
「さあ、どんどん食べていっとくれ。足りない分は作るからね。この子が」
「えー?」
 パティシエおばあさんの無茶ぶりに、しえりが困り顔で反論します。
 そんなやりとりから、エリシャは、2人の仲の良さを見てとりました。
「わーい、ケーキは全種類食べるんだー」
 真秀はわくわくしています。それはもうわくわくしています。
「さ、真秀ちゃんのお楽しみのご褒美タイム……あ、そうそう」
 エリシャは、ささっ、ともう1人の女の子を、しえり達にご紹介します。
「この事件を予知してくれた識もご一緒してもいいかしら?」
「ぼ、僕も……?」
 識、なんだか緊張しているようです。
 エリシャの連れてきたグリモア猟兵に、真秀が笑いかけます。
「あ、識ちゃんは武蔵坂の後輩だね。この事件が解決したのは識ちゃんのおかげでもあるよね。一緒に食べよう!」
 真秀は、僕は何も……と遠慮がちな識を、隣の席に招き寄せました。
 とはいえ、真秀ほどではないかもしれませんが、識もケーキは嫌いではありません。むしろ好きです。一度食べ始めれば本気(?)です。
 みんなそろって席に着いたところで、エリシャは、おばあさんのおすすめをいただくことにしました。
「いいのかい? 当然のようにチーズケーキになっちまうけど」
「それがおすすめなら、ぜひとも食べてみたいの」
 エリシャに言われ、おばあさんは、ようし、と準備しました。
 ほどなく、今回の主役、チーズケーキがご登場しました。
「それじゃああらためて、いただきます」
「んー美味しい! 幸せー!」
 ほわほわ。幸せオーラを溢れさせる真秀に、しえりは安堵の笑み。その隣でおばあさんは、これがパティシエの力さね、とカッコよく腕組みしています。
 ごちそうしてもらうだけではあれなので、真秀はあるものを示しました。
「そうだ、さっきエリシャさんが作ってくれた、アレルギーの人でも食べられるチーズケーキのレシピ……良かったらどうぞ!」
「ええっ、いいの?」
 真秀の申し出に、しえりはちょっと遠慮します。
「そう、あたしもお菓子作りは好きでたくさん勉強してるのよ」
 真秀の紅茶も味わいながら、エリシャが言いました。カロリーは考えられているので安心です。
「チーズケーキだけじゃなく、他にもアレルギー用のレシピとか考える手伝いも出来るよ!」
 真秀が言いました。ケーキ屋さんにダイレクトにクラウドファンディングです。
 エリシャもうなずきます。
「食物アレルギーの子は意外と多いのよ。だからアレルギーを持っている人でも食べられるケーキがあるってわかればきっと喜ばれるわ。予約制にして注文してもらえばいいと思うし」
「そっか、美味しさや見た目ばっかりじゃなく、食べる人の事を考えないといけないのよね……!」
 エリシャのアドバイスを受けて、しえりが成長しました。おばあさんがうんうん、とうなずいています。
「映えももちろん大切だけど、美味しさがあってこそ」
 真秀が力説すると、識もうんうんとうなずいています。もぐもぐ。
 そうだ、とエリシャは、携帯端末を取り出しました。
「しえりちゃんはSNSやってる? このお店のいいところ発信していったらどうかしら」
「あ、うん」
「ここのケーキを食べた人が拡散してくれたら、もっとたくさんの人にここのケーキを好きになってもらえるわ!」
「うん、最近は口コミが一番だしね」
 真秀とエリシャの提案に、しえりはおばあさんにいい?と視線でたずねると、力強いOKが返ってきました。
 これならお店は安泰ね、エリシャはそう確信しました。
「誰かが笑顔になれるってことを考えてケーキを作れば、きっとこれからも大丈夫だよ!」
 真秀が応援すると、おばあさんが微笑みました。
「そうさ、もっと自信を持つんだよ。この子らの笑顔はアンタが咲かせたんだ」
「そうそう!」
「(こくこく)」
 真秀や識からもお墨付きをもらって、しえりはやる気100%なのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
元に戻ってくれてホッとした

さっそく
パティシエしえりのケーキが喰えるとは
嬉しいぜ
遠慮なくいただくぜ

行動
同じケーキを祖母ちゃんとしえりと
両方に頼んでみる

もちろん祖母ちゃんの作るものの方が
きっと完成度は上だと思うけど
多分作る過程で
祖母ちゃんが教えたり
逆にしえりが祖母ちゃんの作り方とか
菓子作りに向き合う姿勢とかを
学んだり感じたりするんじゃないか

互いに笑い合っている二人の姿を見ていると
更にケーキを美味く感じるぜ
微笑ましいし
未来への希望が湧いてくるよな

あと、この二人の姿を撮ったりして
チラシに載せるとファンが増えそうだ(パシャリ

でバイキングで喰うのは
シュークリーム
エクレア
ショートケーキ
アップルパイ
と王道で行くぜ

最後の〆はもちろんチーズケーキだ

うん、どれも美味かった(ぐっ
ご馳走さん
将来の後継者の誕生だな
これからが楽しみだ
また来るぜ



 再びお店を訪れた木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は、しえりの日常姿に安堵していました。もう、闇の一かけらも感じられません。
「元に戻ってくれてホッとした」
「ご迷惑をおかけしました……」
 ぺこり、とあらたまって頭を下げるしえりに、構わない、とウタは言いました。
「にしても、さっそくパティシエしえりのケーキが喰えるとは嬉しいぜ。遠慮なくいただくぜ」
 ウタは、1つお願いしました。同じケーキを、パティシエおばあさんとしえり、両方に頼んだのです。
「承知したよ」
「う……やってみる」
 そして程なく、2つの同じケーキが、ウタの前にやってきました。
 しえりは緊張した面持ちで、ウタの感想を待ちます。
「うん、美味しい。もちろん、どっちも、だぜ」
「よかった……」
 ほっとしたように、しえりは微笑みました。
 正直なところ、おばあさんの作ったものの方が、完成度でいうなら上だと思います。
 けれど、なんというのでしょう、想い、というのでしょうか。ケーキと真摯に向き合ったことがわかる、誠実な味わいがしえりのケーキには感じられたのです。
 その秘訣は、作る過程にあるのを、ウタは見ていました。
 おばあさんがしえりにアドバイスしたり、反対に、しえりがおばあさんの作り方や菓子作りに向き合う姿勢とかを学んだり感じたりもしていたのです。
「腕を上げたんじゃないか、しえり。まあ、最近さぼっていたわりには、だがね」
「え~? これからはちゃんと作るから!」
 互いに軽口をこぼして笑い合っている2人の姿を見ていると、ウタは、不思議といっそうケーキを美味しく感じます。
「なんかこう、未来への希望が湧いてくるよな」
 ウタも思わず微笑むと、今の2人の姿を撮影しました。
「チラシに載せればファンが増えそうだ」
「そっ、そうかな……?」
 恥ずかしそうにしているしえりに、ウタは、いよいよ本番、バイキングをお願いしました。
「任せな」
「たくさん作るから!」
 おばあさんが職人の余裕をのぞかせ、しえりがフレッシュなやる気を見せました。
 シュークリーム。
 エクレア。
 ショートケーキ。
 アップルパイ。
 ウタは、王道を突き進みます。
 どれもウタを幸せな気分にしてくれました。
「焼きたてっていうのもいいよな」
 そして、最後の〆は、もちろんチーズケーキです。しえりにパティシエの道を決意させるのも納得の美味しさでした。
「うん、どれも美味かった」
 ウタが、ぐっ、と親指を立てると、しえりが顔を輝かせました。
「ご馳走さん。将来の後継者の誕生だな。これからが楽しみだ」
「そう言ってくれるとこの子も励みになるだろうさ。私も安心さね」
「が、頑張る……!」
 ウタとおばあさんの期待を受けて、しえりは、むんっ、と拳を固めました。

 また来るぜ。そう言い残して、ウタは店を後にします。
 次に訪れる時は、もしかしたら行列に並ばなければならないかもしれません。
 むしろ、そうなることを祈りながら、ウタはお土産にもらったケーキの箱を見つめたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年04月16日


挿絵イラスト