2
見つけて!スイーツショップに潜む影

#アイドル☆フロンティア

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アイドル☆フロンティア


0




「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「アイドル☆フロンティアで、誰かが心の中に抱えた『骸の海』を溢れ出させてしまう事件を予知しました」
 誰もが心の中に骸の海を抱え、オブリビオンとなる可能性を秘めた世界。不幸にも変貌してしまった人々を救うために「アイドルになりたい!」と願った者に、流れ星はステージを用意する。それがアイドル☆フロンティア――猟兵はこの世界でアイドルとなり、人々をオブリビオン化から救うのだ。

「事件が起きるのは、都内某所にある小さなスイーツショップです」
 最近、若者向けのグルメ雑誌でも取り上げられたこの店は、近所の学生から遠方のスイーツマニアまで、沢山のお客がひっきりなしに訪れる人気店。店主は海外でパティシエ修行を積んだという男性で、妻と娘と一緒に三人で店を切り盛りしている。
「ですが、店内にいる誰が骸の海を溢れさせるのかは、グリモアの予知では突き止められませんでした」
 ひとたび骸の海が溢れ出せば、その人は衝動的に常軌を逸した奇行や凶行に走ってしまう。人の多い店内でそんな事が起きれば大きなトラブルになるのは確実だ。取り返しのつかない事態になる前に、オブリビオン化する人間を見つけなければ。

「事件が起きる日時までは予知できているので、皆様は当日現地に入店し、そこにいる店員とお客の中から、骸の海が溢れそうになっている人を探してください」
 アイドル☆フロンティアのオブリビオンの特徴として、アイドルステージが出現しなければ普通の人間と見分けがつかない。しかし骸の海が溢れ出す寸前なら、その人の心理状態はかなり不安定になっているはず。慎重に調査すれば怪しい人物は見つかるだろう。
「見当がつくまでは皆様もお客として、お店のスイーツを味わってみるのもお勧めです」
 開店1時間以内に完売する1日50個限定のシュークリーム。映えスイーツとしても人気の大盛りパフェ。日替わりで様々な味が楽しめるフルーツケーキなど、リミティアの見せたスマホには美味しそうなスイーツの写真が沢山写っていた。中には知る人ぞ知る秘密のメニューなるものもあるとか。

「こうしたお店のメニューをきっかけにした会話が、骸の海が溢れそうな人を見つけだす手がかりになるかもしれません」
 無事にその人物を見つけられたら、流れ星に願ってアイドルに変身だ(必須ではない)。アイドルステージが出現すると、骸の海が溢れ出した人間はオブリビオンに変身する。この状態でオブリビオンを倒せば、元となった人間を殺さずに骸の海だけを祓うことができるのだ。
「ただし、この世界のオブリビオンは他の世界のオブリビオンと比べても強大です。勝利するためにはアイドルステージとともに召喚される『観客の応援』が必要になるでしょう」
 ステージ周辺の観客席に、サイリウムの形で召喚される「人々の無意識」は、ステージ上で戦う|アイドル《猟兵》のパフォーマンスによって応援のパワーをくれる。より多くの観客に応援してもらうほどアイドルの力は増すので、この点は意識しておいたほうが良いだろう。

「骸の海のせいで心を狂わされ、本人も周囲の人生もめちゃくちゃにしてしまう……そんな悲劇を止めるために、皆様の力をお貸しください」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべると、アイドル☆フロンティアへ猟兵達を送り出す。
 誰もが心の中に骸の海を抱えた世界で、アイドルは星のスポットライトを浴びてステージに立つ。オブリビオンになってしまう人を救うために――。



 こんにちは、戌です。
 やってきました新世界アイドル☆フロンティア。今回のシナリオはとあるスイーツショップで骸の海を溢れ出させそうになっている人を救う依頼です。

 1章はお店のスイーツを楽しみつつ、店員やお客の中から誰が骸の海を溢れそうになっているのか調査します。
 見た目は普通の人間と変わらず、ユーベルコードなどの特殊能力を発揮する事もないので、基本的には観察や会話を通じて不審な人物を探すことになります。

 問題の人物を発見することができれば、2章以降はアイドルステージ上で具現化したオブリビオンとのバトルになります。
 この世界のルールとして、観客を刺激する魅力的なパフォーマンスを披露しながら戦えば、最大で「自身のレベル×1万人」の応援を受けることができ、応援の量に応じて威力が増加します。
 この世界のオブリビオンはやたらと強いので、応援を意識して戦ったほうが有利になるでしょう。
 最終的にアイドルステージでオブリビオンを撃破すれば、骸の海が溢れてしまった人を無傷で救うことができます。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
288




第1章 日常 『イチオシ☆注目グルメ』

POW   :    噂のデカ盛りメニューに挑戦する

SPD   :    話題の最新メニューをいただく

WIZ   :    知る人ぞ知る秘密のメニューを頼む

イラスト:高梨ゼクト

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

紫・藍
藍ちゃんくんですよー。
お忍びこっそり藍ちゃんくんなのでっす。
本日は50個限定シュークリームを頼みに来たのでっす!
大人気とのことでっすので完売済みかもでっすがー、それならそれで構わないのでっす!
あやー、売り切れでっすかー、残念なのでっす!
ですがですが他も美味しそうなのでっす!
おすすめはありまっすかー?
残念がることそのものが店員さんや他のお客さんとの会話のきっかけにもなりまっすからねー。
売り切れて無ければ注文して楽しみに待ちながらおしゃべりなのです!
美味しいのでっす!

後々黒衣の皆様にはこっそり厨房内を見てきていただくのでっす!
客席からでっすとシェフである店主さんの様子は分からないでっすからねー!



(藍ちゃんくんですよー)
 と、いつもなら元気に名乗りを上げる紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)だが、今回は「お忍びこっそり藍ちゃんくんなのでっす」とのことで、服装もいつもより心なしか地味な格好で、アイドル☆フロンティア某所のスイーツショップにやって来た。
(本日は50個限定シュークリームを頼みに来たのでっす!)
 ここに来たのはもちろん骸の海が溢れそうになっている人を救うためだが、それはそれとして話題のスイーツも気になる。誰がオブリビオン化しそうなのか見つける為にも、まずは普通の客としてスイーツを堪能するつもりのようだ。

「すみません、今日のぶんのシュークリームの販売はもう終わっていて……」
「あやー、売り切れでっすかー、残念なのでっす!」
 数量限定の大人気商品とのことで、お目当てだったシュークリームはすでに完売済みだった。が、それならそれで構わないと、藍は気落ちした様子もなく他のショーケースに目を向ける。ひとつメニューが売り切れたからといって、食べるものがなくなったわけではない。
「ですがですが他も美味しそうなのでっす! おすすめはありまっすかー?」
「うーん、そうですねぇ……わたしが好きなのはこれです!」
 そう言って店員の女の子が勧めてくれたのは、季節の果実をふんだんに使ったフルーツタルト。こうやって他の人からおすすめを聞けたり、会話のきっかけにもなるのだから、売り切れも悪いことばかりではないわけだ。もちろん藍は全部織り込み済みである。

「このマカロンも美味しいわよ」「あたしはこっちのクレープが好き!」
 スイーツ好きの集まる人気店ということもあり、店員だけでなく他の客もそれぞれオススメ商品を紹介してくれる。
 藍はそうした提案にも耳を傾けて「じゃあこれにするのでっす!」と幾つかを注文。店内のイートインコーナーに座って届くのを待つ。
「ねえ、あなたはどんなスイーツが好きなの?」
「藍くんちゃんはでっすねー」
 待っている間にも自然におしゃべりは弾み、スイーツから趣味の話題などに花を咲かせる。こうして話している限りだと、お客さんの中に不安や悩みを抱えていそうな人は見当たらない。であれば、骸の海が溢れかけているのは店員のほうだろうか。

『お父さん、また注文きたよ!』
『ああ! すぐにできる!』
 藍が店内で客とおしゃべりする裏で、【藍ちゃんくんの舞台を支えるすっごい方々!】である|黒衣《くろご》達は、こっそり厨房内に潜入していた。客席からだとシェフである店主の様子はわからないため、代わりに彼らに見てきてもらう作戦だ。
『悪いな|咲季《さき》。今日は友達と予定があるって言ってたのに』
『へーきへーき! お店のほうが大事だもの!』
 厨房では店主の男性が、娘らしき女の子の店員と話をしている。ここは家族三人が中心になって切り盛りしている店との話だったか。父からの謝罪に娘は「気にしないで」と笑って接客に戻っていく――だが、その表情にかすかな影がさす瞬間を、黒衣は見逃さなかった。

(ふむふむ。これはちょっと気になりまっすねー)
 その様子を黒衣と五感共有して見ていた藍は、店内に戻ってきた女の子のことを、それとなく気にかけておくことにする。ひょっとすれば表に出すまいと隠しているだけで、悩みを溜め込んでいる可能性もあるし――と考えながら、ご注文のフルーツタルトをぱくり。
「美味しいのでっす!」
 流石に人気店には人気になるだけの理由があり、どのスイーツも見た目だけでなく味も絶品だ。こんな素敵なお店が骸の海のせいで閉店に、なんてことになればどれだけの人が悲しむか分からない。心躍る甘味によって、藍の事件解決へのモチベーションもより高まったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルジニア・ルクスリア
アイドルになって戦う?個性的な世界ね。
まあ、細かいことはどうでもいいわね。
素敵なスイーツショップがトラブルに巻き込まれるなんて許されないわ。ええ、絶対に護ってみせるわ!

流行っているお店だから並ばないといけないかしら?予約できるといいわね。
入店したら予知されている時間までお客として過ごすわね。
「日替わりのフルーツケーキと紅茶のセットをお願いします」
本当はもっと頼みたいし、スイーツを堪能したいけど問題の人物を発見するために我慢するわ。

骸の海が溢れ出しそうな人物は心理状態に不安定らしいから、悪目立ちすると思うよね。
『影の蛇の召喚』を発動して、バックヤードの店員さんや店内のお客さんの様子を観察するわ。



「アイドルになって戦う? 個性的な世界ね」
 これまで猟兵として様々な世界を訪れてきたヴィルジニア・ルクスリア(|甘やかな毒《ダークメルヘン》・f36395)だが、ここアイドル☆フロンティアには他のどれにもない特徴があるようだ。この世界における「アイドル」とは、心に巣食う骸の海から人々を救うために戦う、華麗なるヒロインなのだ。
「まあ、細かいことはどうでもいいわね」
 ヴィルジニアにとって一番重要なのは、今回事件が起きると予知された場所が、スイーツショップだということだ。
 彼女はとにかく甘い物が大好きな規格外の甘党で、自分で作ることもあるが、もちろんお店で食べるのも好きだ。普段はダウナーで達観した雰囲気のある彼女の、年頃の少女らしい唯一の愉しみである。

「素敵なスイーツショップがトラブルに巻き込まれるなんて許されないわ。ええ、絶対に護ってみせるわ!」
 というわけで、いつもより数割増しで気合いの入った様子で、件のスイーツショップまでやって来たヴィルジニア。
 町外れにあるファンシーな小店舗には、すでに大勢の人だかりができていた。外にいてもほんのりと、甘くて美味しそうな香りが漂ってくる。
(流行っているお店だから並ばないといけないかしら?)
 と思っていたが幸いにも事前予約ができたおかげで、さほど待たされずに店内に入ることができた。予知されている事件発生時刻までは、まだしばらく時間がある。それまではお客として過ごしつつ、問題の人物を探すことにしよう。

「日替わりのフルーツケーキと紅茶のセットをお願いします」
 心なしかうきうきした様子で、店員に注文を伝えるヴィルジニア。本当はもっと頼みたいし、スイーツを堪能したいが、依頼を疎かにはできないのでここは我慢だ。無事に事件を解決さえできれば、いずれまた来る機会はあるだろう。
「お待たせしました。ご注文のフルーツケーキと紅茶セットです」
「ありがとう。いただきます」
 ほどなくして運ばれてきたのは、旬の柑橘類をふんだんに使ったオレンジのフルーツケーキ。甘酸っぱさとクリームの甘さのシンフォニーが、紅茶にもよく合っている。高まった期待に十分応えてくれる絶品に、陰鬱げな少女の口元もほんのり綻んだ。

「とっても美味しいです」
「よかった! ごゆっくりどうぞ」
 楽しそうにケーキを味わいつつも、もちろんヴィルジニアは依頼の件を忘れていない。すでに【影の蛇の召喚】で喚び出された彼女の眷属達が、バックヤードにいる店員や店内のお客さんの様子を観察して、怪しい人物を探している。
(骸の海が溢れ出しそうな人物は心理状態に不安定らしいから、悪目立ちすると思うよね)
 予知時刻までもう間もなくということは、かなり限界近いメンタルのはずだ。影の蛇と五感を共有したヴィルジニアは、店にいる人々のちょっとした奇行や表情等を特に注視する。ほとんどの人は美味しそうにスイーツを堪能したり、楽しげに働いているが――。

『咲季ちゃん、大丈夫? ちょっと顔色が悪いような……』
『えっ。へ、平気ですよ、ぜんぜんっ』
 バックヤードのほうで、まだ高校生くらいの女の子の店員が他の店員に体調を気遣われ、慌てて笑い飛ばしている。
 傍目には元気そうに見えるが、確かにちょっと表情に陰りがあるような。無理に元気を振り絞っているような感じがある。
(……あの子、気を付けておいたほうがよさそうね)
 蛇の目を通じてそれを目撃したヴィルジニアはもしもの時に備え、彼女のことを追跡するよう蛇に命じるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神賛・ヴァキア
新たな世界にやってきたが、オブリビオンは他の世界と違って個性的だが、
やたらキラキラした世界とかそういう風じゃない世界の風景はいたって普通の世界だな

甘いものは騎手で体重管理があるゆえにあまり食べることはできないが、嫌いじゃない。
多く食べられない分、良いものを少量食べたいな。
店員にお勧めがないか聞いてみるか。

そして、イートインスペースで休憩しながらオブリビオンの発生やそれらしい人物の登場をまつか



「オブリビオンは他の世界と違って個性的だが、やたらキラキラした世界とかそういう風じゃない、世界の風景はいたって普通の世界だな」
 それが新たな世界にやって来た神賛・ヴァキア(勝ち星を狙う獣・f27071)の第一印象だった。アイドル☆フロンティアの一般人はオブリビオンの存在も、自分達の心に骸の海があることも知らない。逆に言えばこれまでの世界同様、オブリビオンに立ち向かえるのも|猟兵《アイドル》だけだ。
「いつも通りだな」
 新世界だからといってやる事は大して変わらなさそうだと、いつも通りの気構えで予知のあったスイーツショップに来たヴァキア。人気店らしく大勢の客で賑わっているが、この中の誰かがオブリビオンになると思えば気は抜けない。

「甘いものは騎手で体重管理があるゆえにあまり食べることはできないが、嫌いじゃない」
 ヴァキアの本職はジョッキー。デビュー後優秀新人騎手賞を受賞し、猟兵に覚醒して以後も様々な世界で騎乗してきた。実力に見合った自信とストイックさを持つ彼女は、受け取ったメニュー表やショーケースを眺めて、カロリー控えめなものを探す。
「多く食べられない分、良いものを少量食べたいな。なにかお勧めはあるか?」
「そうですね。でしたらこれなんかは……」
 店員にも聞いてみたところ、旬の果実を使ったフルーツタルトをおすすめされたため、それを注文してみる。あとはイートインスペースで休憩しながら、オブリビオンの発生やそれらしい人物の登場を待つ。大勢の客と店員の中から闇雲に探し回るより、そちらのほうが効率的だと判断したようだ。

「おまたせしました~」
「ありがとう」
 間もなく注文の品が運ばれてくると、ヴァキアは噂の人気スイーツを味わう。サイズ感はやや小さめだが、たっぷり使われたフルーツで食べ応えがあり、砂糖やクリームの甘さはひかえめで、果実の甘酸っぱさとうまく調和している。
「いいな。これは当たりだ」
 どうやら口に合ったようで、ヴァキアの口元も自然にほころぶ。こうしていると普通に休日を過ごしているようにも見えるだろう。店内の様子もおおむねそんな感じ――だが目に映らないだけで、骸の海が溢れだす瞬間は迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

堂島・アキラ
クックック……この世界のヤツらは幸運だな。超絶美少女アキラ様がぶっちぎり最かわアイドルとして降臨したんだからな!
アタシのkawaiiでみんなを魅了しちゃうZO☆

さっそくkawaiiな映え映えスイーツを買って味わっちゃお♪
映えスイーツがアタシの可愛さをさらに引き立てて最強ってカンジ?
ポーズをキメて自撮りしたりして店内にkawaiiを振りまいちゃうよ☆

ま、そこはオレもプロだ。仕事の事は忘れちゃいねえ。
普通の人間ならオレの可愛さを拝めて天にも昇る気持ちのはずだ。
だが骸の海が溢れ出すほどのヤベーヤツならいくらオレが超絶美少女でも気に掛ける余裕はねえかもな。
つまりそいつが標的って訳だぜ!……たぶんな!



「クックック……この世界のヤツらは幸運だな。超絶美少女アキラ様がぶっちぎり最かわアイドルとして降臨したんだからな!」
 エグいほどの自信に満ち溢れてアイドル☆フロンティアに降り立ったのは、kawaiiを愛する金髪碧眼の可憐な少女にして闇を纏う死神、堂島・アキラ(|Cyber《サイ》×|Kawaii《かわ》・f36538)。自分の理想と願望を詰め込みまくった美少女全身義体に肉体を換装した、超ナルシストな中身はおじさんである。
「アタシのkawaiiでみんなを魅了しちゃうZO☆」
 外面の良さだけでいえば文句なしに圧倒的な【サイかわ美少女オーラ】を放出しながら、噂の人気スイーツショップに入店したアキラは、望み通りに周囲の注目を集めることになる。あざとい仕草といいテンションの高さといい、どこかのモデルかアイドル(一般的な意味の)と思われてもおかしくない。

「さっそくkawaiiな映え映えスイーツを買って味わっちゃお♪」
 注目の視線を気持ちよく感じながら、アキラはお店の人気メニューを注文。イートインスペースの一席に陣取って、うきうき☆るんるん☆な仕草でいただきます。もちろん食べる前に撮っておくのも忘れない。より映えさせる角度や光の当て方も心得たものだ。
「映えスイーツがアタシの可愛さをさらに引き立てて最強ってカンジ?」
 ポーズをキメて自撮りもして、店内にkawaiiを振りまくサイかわ美少女。いっそあざといくらいが丁度いいのか、周囲の興奮が高まっているのが分かる。若い女の子の客の中には、憧れの視線を向ける者もいるだろう――まさか中身が30代の男性だとは知らないわけで。

「ねえねえ、あの子かわいくない?」「わかるー! めっちゃキレイ!」
 あまりに美少女オーラが強すぎて近寄りがたいのか、直接声をかけてくる人はいないものの、店内のあちこちから囁き交わす声が聞こえてくる。それを聞いたアキラはますます気分が良くなり、メンタルの好調に応じてオーラの効果もアップする好循環だ。
(ま、そこはオレもプロだ。仕事の事は忘れちゃいねえ)
 この世界の人間を己のかわいさでひれ伏させるだけでなく、骸の海が溢れそうになっている人間を助けるのが今回の依頼だ。スイーツを堪能してばかりのようでいて、しっかり周囲の様子にも目を配っている。これだけ大勢の人間から標的を見つけ出すのは大変そうだが、それもちゃんと考えはある。

(普通の人間ならオレの可愛さを拝めて天にも昇る気持ちのはずだ。だが骸の海が溢れ出すほどのヤベーヤツならいくらオレが超絶美少女でも気に掛ける余裕はねえかもな)
 だいぶ自己評価高めの作戦だが、事実これだけ注目を集めているのだ。逆に見向きもしないヤツを探すのは容易いはず――そしてアキラは見つけた。自分に目もくれずに働いている、笑っているのにどこか苦しそうな表情の女の子を。
(つまりそいつが標的って訳だぜ! ……たぶんな!)
 確証はないが他に候補と呼べそうな相手も見当たらない。引き続きスイーツショップでのkawaiiタイムを繰り広げながら、アキラはその子の動向を注視しておく。いざ骸の海が溢れだしたら、その時こそサイかわ美少女アイドル降臨の時だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『グリード・コレクター』

POW   :    欲望の大口
【長い舌と大きな口】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【味】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    欲望の魔顎
【肩から生えた牙つき触手】で敵の肉片を捕食する。自身の身体部位ひとつが変異し、敵のユーベルコードひとつを使用可能になる。
WIZ   :    欲望の巨兵
戦闘中に食べた【欲望の対象】の量と質に応じて【肉体が巨大化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。

イラスト:ワジマ ユウスケ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 人気のお店でおいしいスイーツを楽しみながら、思い思いの時間を過ごす猟兵達。
 だが、そんな平和な日常は唐突に、パリンと音を立てて砕け散った。

「もう……やだ……」

 割れたグラスの破片が散らばり、ひとりの店員が床にへたりこむ。
 それは猟兵達が事前に気にかけていた相手。「|咲季《さき》」と呼ばれていた、この店の店長の娘だ。

 店員として元気に働きながらも、時折つらそうな様子を見せていた少女。
 内に溜めていた暗い感情が、ついに破裂してしまったのか。今まさに彼女の心の骸の海は溢れようとしていた。

 このまま彼女を凶行に走らせるわけにはいかない。
 猟兵は願う――あの子の心を救うアイドルになりたい、と。
 すると空から流れ星が降ってきて、スイーツショップはキラキラ輝くふしぎなステージに変わる。
 ここが「アイドルステージ」。アイドルとオブリビオンの決戦の舞台だ。

「あ、あぁぁぁーーーッ!!!!!」

 溢れ出した骸の海が、咲季をオブリビオンに変えていく。
 彼女だけではない、店内にいた他の店員や客までも、骸の海を浴びてオブリビオン化していくではないか。

「「ウゥぅぅぅ……モっと、食べたイ……」」

 大量に表れた黒い獣型のオブリビオンは『グリード・コレクター』。
 人間の内なる強欲が暴走した姿で、本来の願望すら見失ったまま、あらゆるものを集めて喰らう怪物だ。
 数が多い分1体1体は弱いかと思えばそんなことはない。この世界のオブリビオンはなぜか強大なのだ。

 猟兵に与えられた対抗手段は、アイドルらしくパフォーマンスで「観客の応援」を集めること。
 観客席に召喚された「人々の無意識」から、より多くの応援を得られるほど、アイドルのパワーも増していくのだ。

 咲季はなぜ、骸の海を溢れさせてしまったのか。問いかけるにしても彼女はステージの彼方にいる。
 彼女の心を救うために、スイーツショップの平和を守るために、まずは目の前のグリード・コレクター軍団を倒さなければならない。|猟兵《アイドル》達よ、今こそ開演の時だ!
堂島・アキラ
ありゃかなり参ってたみてえだな。周りのヤツらをオブリビオン化させるなんざ相当だぜ。
本番前にコイツらでアイドルパワーの肩慣らしと行こうじゃねえか。

お願い流れ星さん。あの子を救える力をアタシに頂戴✨きゅるるん♥
ってか?だが歌って踊ってのパフォーマンスはオレ向きじゃねえ。
なんたってオレはぶっちぎり最かわアイドル。可愛さだけでトップアイドルってなもんよ。

まずは観客に向かってキュートなポーズでアピール!からの「お願いみんな。もっと応援……して?(チラッ)」
これで落ちねえヤツはいねえだろ。当然オブリビオンもな!
フラフラと近づいてきたヤツを片っ端から鉄拳制裁だ。バイオレンスさもアキラちゃんのウリなんでな!



「ありゃかなり参ってたみてえだな。周りのヤツらをオブリビオン化させるなんざ相当だぜ」
 アイドルステージ出現と同時に大量発生した『グリード・コレクター』を見て、やれやれと肩を竦めるのはアキラ。
 たった1人の少女の心からあふれた骸の海が、現状を引き起こしたのだから驚きだ。これほどのストレスが現実世界での凶行に走る前に、間に合ったのは不幸中の幸いというべきか。
「本番前にコイツらでアイドルパワーの肩慣らしと行こうじゃねえか」
 話は聞いているが実際にこの世界で戦闘するのはアキラも初めて。ステージに立っても変身などはしないらしいが、観客席の方から視線を向けられているのを感じる。アイドルらしい立ち回りで観客の応援を集めるのが勝利の秘訣だ。

「お願い流れ星さん。あの子を救える力をアタシに頂戴✨きゅるるん♥ ってか?」
 立ちはだかる怪物どもと対峙しながら、あざとく変身ポーズを決めるアキラ。観客のサイリウムが振られ、パワーが高まるのを感じる。この調子でもそれなりの力になりそうだが、歌って踊ってのパフォーマンスはオレ向きじゃねえ、と彼は考えていた。
「なんたってオレはぶっちぎり最かわアイドル。可愛さだけでトップアイドルってなもんよ」
 安定してぶっちぎりの自己評価の高さ。しかしスイーツショップであれだけ注目を浴びていた後なら説得力がある。
 まずは観客に向かってキュートなポーズでアピールだ。観客席の角度から一番かわいく見えるように、あざとくも計算された仕草。自分の魅力と顔の良さを完璧に理解したスマイル。

「お願いみんな。もっと応援……して?」
 とどめにチラッと目配せして【宇宙一のkawaiiポーズ】を披露すれば、観客はたちまちアキラの虜になった。凄まじい速度でサイリウムが振られ、ぐんぐんパワーが集まってくる。今ので100万人くらいはファンを獲得できただろうか。
「これで落ちねえヤツはいねえだろ。当然オブリビオンもな!」
『オ、ォォォ……カワイイ……』『ベリー、キュートォ……』
 観客席にいてこれなのに、同じステージで直視してしまったらもう大変。あっけなくアキラに魅了されたグリード・コレクター達は、目にハートマークを浮かべてフラフラと近付いてくる。中には【欲望の大口】を開けてる連中もいるが、攻撃の意思など微塵も感じられない。

「超絶美少女アキラ様に恋しちまいな!」
『グゲェッ?!』
 パンチの届く距離までやって来たら、片っ端から鉄拳制裁だ。見た目は美少女でも戦闘用にチューニングされた全身義体の怪力に、応援のパワーも加われば超強力。殴られたグリード・コレクターはステージの外までぶっ飛んでいく。
「バイオレンスさもアキラちゃんのウリなんでな!」
 シンプルな暴力でステージを血に染めるアイドルなんて、一般的には外道だろうがここでは問題ない。ノリノリで暴れまわる最カワ美少女に観客はさらなる応援を送り、アキラはますますパワーを増していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルジニア・ルクスリア
『骸の海』が溢れてしまいそうな方は店長の娘さんだったのね。
素敵なお店の為に頑張っていた店長の娘さん。
彼女の悩みを解決して救いたいわね。

この世界で戦うのは初めてだからセオリー通りにアイドルになって戦うわ。
観客から応援を得るためにステージでアップテンポな楽曲を歌い踊る。
正直、柄じゃないけど本気でやらないと観客の魂に響かないからね、全力のパフォーマンスを披露するわ。

グリード・コレクター軍団は戦闘中に食べることで強化されるなら、食べさせなければいいわね。
『神火旋渦』発動
攻撃するだけでなく、食べるために集めてきた物も焼却するわ。

炎を演出に使いながら戦闘中もパフォーマンスを継続。

※アドリブ歓迎



「『骸の海』が溢れてしまいそうな方は店長の娘さんだったのね」
 オブリビオン化する直前に見えた少女は、ヴィルジニアが調査中に気にかけていた子と同じだった。表情に少し陰りはあっても、一生懸命に働いていたのを覚えている。話せない事情を内心抱えていたとしても、あの笑顔がウソだったとは思えない。
「素敵なお店の為に頑張っていた店長の娘さん。彼女の悩みを解決して救いたいわね」
 アイドルステージ上でオブリビオンを倒せば、元になった人間を殺さずに骸の海から解放できる。だったら挑まない理由はないと、彼女もアイドルとしてステージに立つ。前座として相手を務めるのは、骸の海の余波を浴びて変貌した『グリード・コレクター』軍団だ。

「みんな、聞いて頂戴」
 この世界で戦うのは初めてとなるヴィルジニアは、セオリー通り「アイドル」になって戦うことにした。どこからともなく聞こえるアップテンポな楽曲に合わせて、ステージ上で歌い踊る。ゴシックな衣装とミステリアスな雰囲気に、かわいらしい歌声とキレのあるダンスのギャップが魅力的だ。
(正直、柄じゃないけど本気でやらないと観客の魂に響かないからね)
 観客から応援を得るために全力のパフォーマンスを披露すれば、サイリウムの海が彼女のイメージカラーに染まる。
 同時に、体の奥からパワーが湧き上がってくるのを感じる。何十万を超える「人類の無意識」が、アイドルに力を与えているのだ。

『ウゥゥ……』『ハラ、ヘッタ……』
 対するグリード・コレクター軍団は、頭部と触手の3つの舌からベロを垂らして、飢えを満たすものを探している。
 彼らはもともとスイーツショップの店員や客だったもの。【欲望の巨兵】となるために欲する対象は、言うまでもなく甘いスイーツだろう。
「戦闘中に食べることで強化されるなら、食べさせなければいいわね」
 甘党仲間として気持ちは分からないでもないが、ここで手心を加えるヴィルジニアではない。【神火旋渦】を発動した彼女は、創世記の炎を高速旋回させて放つ。日輪のごとく煌めく紅蓮の渦と化した炎は、たちまち敵を巻き込んだ。

「燃え盛れ」
『『ウギャァァァーーーッ?!!!』』
 観客の応援でパワーアップしたユーベルコードの炎は、グリード・コレクター軍団のみならず、彼らが食べるために舞台袖から集めてきたスイーツも焼却する。ちょっと勿体ないが、たぶん現実世界に影響はないので良しとしよう――敵のパワーアップ手段がなくなれば、実力で優位に立つのはこちらだ。
「アンコール、いくわよ」
 さらにヴィルジニアは戦闘中もパフォーマンスを継続。渦巻く炎を演出に使ってステージをより派手に盛り上げる。
 炎を自由自在に操りオブリビオンを倒しながら、華麗に歌い踊る魔女っ子アイドル。その魅力の虜となった観客は、惜しみない応援を彼女に送るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
ではでは皆様、改めましてのはじめましてを!

藍ちゃんくんでっすよー!

早着替えでお忍び解除!
ステージに降り立つ藍ちゃんくんなのでっす!
アイドルフロンティアの皆様方に初藍ちゃんくんをお届けするのでっす!
やや、オブリビオンさんでっすかー?
確かになんだかとってもとっても強そうでっすがー。
オブリビオンさんの長い長いお舌よりも。
更に更に藍ちゃんくんの歌は遥か彼方まで届くのでっす!
藍ちゃんくんの歌で片っ端から舌と口の射程外まで吹き飛ばしつつ音響攻撃なのでっすよー!
勿論、歌だけでなくダンスとギターもつけちゃうのでっす!
食べれないけど味のある藍ちゃんくんのライブパフォーマンス、是非是非お楽しみくださいなのでっす!



「ではでは皆様、改めましてのはじめましてを!」
 スイーツショップがアイドルステージに変われば、藍は一瞬の早着替えでお忍び用の服からアイドル衣装に着替え、軽やかにステージに降り立つ。アイドル活動は彼の本領、今こそ名乗りを上げる時と、マイクを握りしめて高らかに。
「藍ちゃんくんでっすよー! アイドルフロンティアの皆様方に初藍ちゃんくんをお届けするのでっす!」
 ここはファンの応援が力に変わる世界、そして観客は人類の無意識。つまりは世界中の人々が見ているのだ、下手なパフォーマンスはできない。大事なファーストライブを最高のものにするために、藍は最初からテンションMAXだった。

『ウゥゥゥ……食ワセロ!』
「やや、オブリビオンさんでっすかー?」
 そんな藍の相手をまず務めるのは、数十体の『グリード・コレクター』。【欲望の大口】を開けて長い舌を垂らし、今にも噛みついてきそうな形相。見た目だけなら意外とコミカルだが、この世界のオブリビオンは他の世界よりも全体的に強大らしい。
「確かになんだかとってもとっても強そうでっすがー」
 敵が押し寄せてきてもステージ上の藍は堂々と、愛用のアコースティックギター「“I”mpact」をかき鳴らして歌いだす。アツい気持ちをありったけ解き放ってエキサイトする、【藍ちゃんくんパッショネイトステージ!】の開演だ。

「オブリビオンさんの長い長いお舌よりも。更に更に藍ちゃんくんの歌は遥か彼方まで届くのでっす!」
 歌いだしから一気に会場のボルテージを上げる熱唱。それに呼応して観客のサイリウムがブンブンと振り回される。
 藍のパッションとライブの熱狂はひとつになって凄まじいパワーを生みだし、オブリビオンの大群を吹き飛ばした。
『『ウオワァァァァァッ!!!?』』
 ゴロゴロとステージから転がり落ちるグリード・コレクター。なんとか這い上がって食らいつこうにも、音響の圧が強すぎて近寄れない。舌と口の射程外に追いやられてしまっては、どんなに腹を空かせていても食いっぱぐれるだけ。

「食べれないけど味のある藍ちゃんくんのライブパフォーマンス、是非是非お楽しみくださいなのでっす!」
 もちろん藍のパフォーマンスは歌だけではなく、ギターの演奏とダンスもつけて、ステージを自分の独壇場にする。
 藍色のサイリウムの光で埋め尽くされた観客席は、まるで大海原のよう。数え切れないほどの応援を受けて、藍ドルは一等星よりも輝く。
「それでは皆様、ご一緒に!」
『「藍ちゃんくんでっすよー!!!」』
 100万を超える観客とのコール&レスポンスが、グリード・コレクターをお空の彼方まで吹っ飛ばす。圧巻の、そして最高のライブを魅せつけた藍は「ありがとうございまっしたー!」と満面の笑顔で演奏を〆。しかしステージはまだ終わりではない――この後にはさらなる大物とのコラボが控えているのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神賛・ヴァキア
ステージでパフォーマンスか
仕事と同じようなものだな
しかし、競馬場では最高のパフォーマンスをしても、がっかりする奴はいるからな、この前なんて2桁人気で大穴開けてやったら、激しく野次ってきたおっさんがいたぞ。その隣で大興奮してる奴もいた。私は最高だったがな
全員が大興奮できるならば最高だ。
ステージでは甘いスィーツショップの世界をぶっ壊して悪いが、ギターでも持ち込んでロックミュージシャンと行こうか キラキラのアイドルってガラじゃないんでな

みんな!準備はいいか!?今日は競馬場より熱い、このステージでレースを始めるぞ
今日は手に持ってるのは馬券じゃない、死ぬことはないから安心して死ぬほど応援してくれ!
思い切り観客をあおって

レース中の馬の蹄の音のような重低音のドラムビートの中、まるでレース場のトラックを走るように舞台を駆け巡るアクションと心を揺さぶるほどの迫力と情熱に満ちた歌をとどけてやる

ステージの歌とアクションをしながら、荒々しく戦っていく
ここまででネタと文字が尽きたので戦い方はマスターにお任せで



「ステージでパフォーマンスか。仕事と同じようなものだな」
 大勢の観客に注目されるシチュエーションに、普段の競馬場を思い出したか。アイドルステージに上がったヴァキアに緊張の色はなかった。中央の有力なレースともなれば会場の熱気も動く金額も凄まじいものになる。この程度で怖気づいていては勝てるものも勝てないのだ。
「しかし、競馬場では最高のパフォーマンスをしても、がっかりする奴はいるからな、この前なんて2桁人気で大穴開けてやったら、激しく野次ってきたおっさんがいたぞ。その隣で大興奮してる奴もいた」
 私は最高だったがな、と得意げに笑いながら、彼女はギターを持ち込んでアイドルステージに上がる。視界に入るのは無数のサイリウムと、競争相手に『グリード・コレクター』の群れ。いつも競ってる奴らに比べれば可愛い連中だ。

(甘いスィーツショップの世界をぶっ壊して悪いが、キラキラのアイドルってガラじゃないんでな)
 ロックミュージシャンのようなノリでギターをかき鳴らすと、観客の注目がヴァキアに集まる。ステージから個人の識別は難しいが、おそらくその中には競馬ファンだっているだろう。彼らも含めて全員が大興奮できるならば最高だ。
「みんな! 準備はいいか!? 今日は競馬場より熱い、このステージでレースを始めるぞ」
 どこからともなく聞こえてきたのは、発送前のファンファーレ。高らかなラッパの音色が観客の期待をかき立てる。
 同じステージにいるグリード・コレクター達も、こっちを向いた。今にも噛みついてきそうな闘争心に満ちた表情、それでこそだとヴァキアも笑う。

「今日は手に持ってるのは馬券じゃない、死ぬことはないから安心して死ぬほど応援してくれ!」
 思い切り観客を煽って、ヴァキアのライブが幕を開ける。レース中の馬蹄の音のような重低音のドラムビートの中、ステージ上を所狭しと駆け巡りながら、心揺さぶる迫力と情熱に満ちた歌を、白熱のギターサウンドとともに届ける。
『ウゥゥ……マテェーッ!!』
 触発されたようにグリード・コレクターも走りだす。彼らの肩から生えた牙つき触手は、ユーベルコードまで捕食する【欲望の魔顎】。デフォルメチックな見た目に反して、齧り付かれたらただでは済まない。この世界のオブリビオンは、それほど強大なのだ――。

「いいじゃないか。弱い相手と競っても張り合いがないからな」
 本命も鉄板もまとめて差し殺す。跳ね馬の如き闘争心を秘めたヴァキアは、敵が強ければ強いほど燃えるタイプだ。
 迫りくる触手と牙を躱し、飛び越え、時には踏み台にしてアクションをキメながら、相手と至近距離まで肉薄する。
「追い比べならば得意分野だ。行くぞ」
『グルルルルゥゥゥ!!』
 ひとたび【叩き合い】のシチュエーションになれば、絶対に|先頭《センター》は譲らない。よりアツく、激しく、荒々しく、観客席の端の端まで響けとばかりに声を張り上げ、熱狂を加速させていく。観客はもちろん、敵さえもすでに彼女のペースに呑まれている状況だ。

「テンション上がってきたか? だが、まだこんなものじゃないよな!」
 挑発的なヴァキアの煽りに応じて、赤のサイリウムが炎のように揺れる。高まりに高まった観客の応援は、アイドルのパワーを飛躍的に向上させる。彼女はそれを活かして、競り合うグリード・コレクターを思いっきり蹴り飛ばした。
『ウゴアァァァァ!!?』
 悲鳴とともにアイドルステージから落ちていく敵をよそに、蹴りの勢いを利用した華麗なターンからの決めポーズ。
 凛々しい勇姿に観客のテンションがさらに上がる。ここまで勢いにノッてしまえば、もう誰も彼女に追いつけない。

「まだまだいくぞ、振り落とされるなよ!」
 それからもヴァキアは荒々しいパフォーマンスと戦いぶりで敵を蹴散らし、観客を魅了する。アイドルらしくないと言えばそうかもしれないが、自分らしさが存分に出ているステージだ。最高の盛り上がりを毎秒更新しながら、ライブはいよいよ終盤に迫っていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『オブリビオン・アイドル』

POW   :    コール・オブ・ダークネス
【精神をかき乱す歌声】を放ちダメージを与える。命中すると【オブリビオン化エネルギー】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できる。
SPD   :    ブラッククロス・リベレイター
視界内に【黒き十字の閃光】を召喚する。[黒き十字の閃光]はレベル秒間存在し、レベルm半径内の全員に【「骸の海」流出】の精神異常を与える。
WIZ   :    暗黒の歌声
視界内の任意の全対象を完全治療する。ただし対象は【心の内に秘めた「骸の海」】に汚染され、レベル分間、理性無き【オブリビオン】と化す。

イラスト:稲咲

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……このお店が好きだった。お父さんも、お母さんも、お客さんも、そしてスイーツも大好きだった」

 全ての『グリード・コレクター』が撃破され、アイドルステージにひとときの静寂が訪れる。
 そこで語り始めたのは、黒いアイドル衣装に身を包んだ赤毛の少女――オブリビオンと化した、スイーツショップの娘『咲季』だった。

「お父さんの作ったスイーツで、みんなが笑顔になる。そのお手伝いができることが嬉しくて、誇らしかった」

 少女は語る。かつて輝いていたあの日の思い出を。

「でも……お店が人気になって、お客さんが増えて、忙しくなって。良いことのはずなのに、最初は喜んでいたのに」

 少女は語る。陰り始めた現実を。

「趣味とか、部活とか、友達とか……今まであった時間が、お店の手伝いで埋め尽くされていって。なんだかすごく、一日が窮屈に感じて。でもお父さんもお母さんも忙しいのに、私だけワガママなんて言えなくて」

 少女は語る。軋みだした心の悲鳴を。

「だんだん好きだったものが好きじゃなくなっていく。お店のことを重荷に感じてる、そんな自分がすごくイヤで」

 少女は語る。己の内に秘めた闇を。

「……いっそ、お店も自分も全部メチャクチャになってしまえば、楽になれるのかなって。そう思ったら、私の中から何かがあふれ出した」

 少女は語る。骸の海を解き放った故を。

「そうだ……最初からこうすれば良かったんだ。みんなみんな、ブッ壊れちゃえ!」

 そして少女はステージに立つ。
 彼女こそは『オブリビオン・アイドル』。人間をオブリビオンに導く闇のアイドル。
 その歌声は幾つもの危険な現象を巻き起こし、聞く者の些細な負の感情すらも爆発的に増幅させて操る。
 流れ星の導きで骸の海を浄化するアイドルとは、まさに対極の存在だ。

 加えて闇に染まっているとはいえ、アイドルとしての彼女のパフォーマンスは超一流。
 ここで観客の応援を一気にかっ攫われでもしたら、これまでの流れが逆転しかねない。
 対抗するためには、こちらも渾身のパフォーマンスを魅せつける必要があるだろう。

 ここが本日のステージのクライマックスだ。
 スイーツショップに潜む影を晴らし、少女の心を救うため。|猟兵《アイドル》達は大舞台に立つ。
堂島・アキラ
ハッ、どんな苦悩を抱えてるかと思えば、ケツの青いガキの典型的な悩みじゃあねえか。
まあその程度でもこの事態を引き起こしちまうってのは厄介だがよ。

アイツのパフォーマンスがどんなに良かろうと、オレの|パフォーマンス《ユーベルコード》を見りゃあどんなヤツもイチコロだ。
ここにいる全員、オレの|虜《ガチ恋》にしてやるぜ。

ガキの時分にはワガママの一つや二つ言うもんだろ。周りの迷惑だとかそんなもん大人になってから考えろ。
あン?無責任すぎるって?──アキラちゃんは永遠の美少女だから、一生ワガママに生きるって決めてるんだモン♪

つーわけで、観客パワーを上乗せしたユーベルコードでテメェの悩みなんざ吹き飛ばしてやんよ!



「ハッ、どんな苦悩を抱えてるかと思えば、ケツの青いガキの典型的な悩みじゃあねえか」
 オブリビオン・アイドルと化した少女の胸の内を聞いて、拍子抜けだとアキラは笑う。あれくらいの歳の子供なら、似たような悩みはみな大なり小なり抱えているだろう。誰かに相談ができず、たまたま抱え込みやすいタイプだったという、ドライに言ってしまえばそれだけの話だ。
「まあその程度でもこの事態を引き起こしちまうってのは厄介だがよ」
 誰にでも起こりうる悩みでオブリビオン化が引き起こされるということは、全ての人間が心に骸の海を抱えるこの世界は、思ったよりも危ういのかもしれない。実際、ここでオブリビオン・アイドルにファンを増やされでもしたら、連鎖式にオブリビオンの大量発生が続きかねない。

(アイツのパフォーマンスがどんなに良かろうと、オレの|パフォーマンス《ユーベルコード》を見りゃあどんなヤツもイチコロだ)
 オブリビオン・アイドルの暴走を止めるためには、それが一番シンプルで効率的なやり方だ。アイドルステージの中央に立って熱唱する咲季のもとに、アキラは颯爽と割り込んだ。ネイルをばっちりキメた指先を唇に当てて、誘うような眼差しを観客席に送り。
「ここにいる全員、オレの|虜《ガチ恋》にしてやるぜ」
 魅力的な唇から放たれる【脳殺小悪魔キッス】。超絶美少女アイドルによる会心のアピールが観客の冷静さを奪う。
 一度は黒く染まったサイリウムが、再びアキラのイメージカラーに塗り替えられていく。複数のサイリウムでハートマークを描くものさえいた。

「くっ……負けない。ここはもう私のステージ!」
 オブリビオン・アイドルも負けじとパフォーマンスを披露し【ブラッククロス・リベレイター】を発動。黒き十字の閃光を浴びせて、観客の心から骸の海を流出させようとするが――恋愛耐性の下がったアキラのガチ恋勢を、引き戻すのは容易ではない。
「ガキの時分にはワガママの一つや二つ言うもんだろ。周りの迷惑だとかそんなもん大人になってから考えろ」
 熱烈な固定ファンからの応援を受けながら、アキラは咲季にビシッと言いたいことを言う。今が一番好き放題できる年頃なのに、周りの顔色ばかり気にするなんてバカらしい。欲望に忠実で後先を考えない、彼らしい言葉ともいえる。

「そ……そんなの、無責任すぎるでしょ!」
「あン? ──アキラちゃんは永遠の美少女だから、一生ワガママに生きるって決めてるんだモン♪」
 オブリビオンになってもまだ根っこの真面目さが抜けきらないのか、反論する咲季に対してアキラは渾身のあざといアピールで返答。ツッコみたい者もいるだろうが、ファンにとっては「キミのそういうとこが好き」らしく、観客席のテンションが一段と上がった。
「つーわけで、テメェの悩みなんざ吹き飛ばしてやんよ!」
 得意満面のウィンクからの【悩殺小悪魔キッス】が、今度は咲季に向けて放たれる。総勢147万人の観客パワーを上乗せしたユーベルコードの投げキッス。それは骸の海に染まったオブリビオン・アイドルの心さえ揺るがすほどだった。

「胸が熱い……これが本当の、アイドルの力……?」
 考え方はぜんぜん真逆なのに、彼女から目が離せない。胸を焦がすような熱が消えてくれない。頭の中のモヤモヤも忘れてしまうような、初めての感情に戸惑いながら、それでもオブリビオン・アイドルはマイクを手放さない。キッスひとつでは浄化しきれないほどの骸の海が、その心にはまだ残っていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルジニア・ルクスリア
咲季さん、予想通り真面目な人ね。
お店のお手伝いを頑張って、色々とため込んでしまったのね。
誰だって疲れて、頑張れない時があるわ。
そんな時に衝動で大事なものを自ら壊すなんて見過ごせないわ、絶対に救ってみせるわ。

アイドルとしてパフォーマンスしながら戦闘続行。

咲季さん……オブリビオン・アイドルの歌声を受け、ダメージを負うけど怯まずに踊り続ける。
『心奪う舞姫』発動
踊りを見たオブリビオン・アイドルはユーベルコードの効果で魅了され、私に近づいてくる。
魅了されているから攻撃される心配もないわね。

「きついときには休んでいいの。オーバーワークはいい結果にならないわ」
諭しながら浄化の全力魔法を放つ。

※アドリブ歓迎



「咲季さん、予想通り真面目な人ね。お店のお手伝いを頑張って、色々とため込んでしまったのね」
 よい子だからこそ無理をして、限界を迎えてしまった女の子。今や『オブリビオン・アイドル』と化して人々を破滅に導こうとする咲季に、ヴィルジニアは怒りではなく哀しみを抱く。あの子が悪かったわけではない、きっとこれは誰にも起こり得た悲劇だ。
「誰だって疲れて、頑張れない時があるわ。そんな時に衝動で大事なものを自ら壊すなんて見過ごせないわ、絶対に救ってみせるわ」
 そう言って、ヴィルジニアはアイドルとしてパフォーマンスを続ける。少女を救うという想いのもと、静かな闘志を瞳に宿して。ステップはよりキレを増し、歌声は力強く胸を打つ。観客のサイリウムが再び彼女の色に染まっていく。

「救いなんて……いらない! みんな、みんな、闇に染まれ!」
 対するオブリビオン・アイドルのパフォーマンスは、荒々しくも暗い魅力で人々を惹き付ける。【コール・オブ・ダークネス】を発動した彼女の歌声が観客や共演者の心をかき乱すたびに、紫色のオーラのようなエネルギーが溜まっていく。それで一気に全員をオブリビオン化させる気だ。
「咲季さん……ご覧になって」
 闇色の歌声でヴィルジニアの精神もダメージを負うが、それでも怯まずに踊り続ける。優雅に、そしてどこか妖しげな魅力を伴った【心奪う舞姫】のダンスには、オブリビオン・アイドルの洗脳力にも劣らぬ魅了の力があった。100万を超える観客達が見守るなか、その力は一層強くなる。

「っ……なんて……きれい……」
 バレエ「白鳥の湖」に登場する黒鳥オディールのように、妖艶なるヴィルジニアの舞はオブリビオンさえ魅了した。
 思わず攻撃も忘れてふらふらと近付いてくる少女に、魔女っ子アイドルはパフォーマンスを続けながら声をかけた。
「きついときには休んでいいの。オーバーワークはいい結果にならないわ」
 頑張りすぎて娘が倒れてしまったら、きっと両親だって悲しむだろう。適度に力を抜くのは必要な事であって責められる事ではない。もっと周りを頼って、時には人より自分を優先することだって大切だと、その身を慮りながら諭す。

「で、でも……いいのかな……」
「いいのよ。誰も怒ったりしないわ」
 少なくともここにいる人は、誰も。優しく微笑みかけられ、オブリビオン・アイドルの表情から毒気が抜けていく。
 骸の海の力が弱まったのを感じれば、ヴィルジニアは「スピリットタクト」を取り出して、全力の浄化魔法を放つ。
「これが終わったら、ゆっくりおやすみなさい」
 まったき白の光がサイリウムの輝きとともに咲季を呑み込み、オブリビオン化の元凶を消し去っていく。これぞ魔女の力とアイドルパワーのコラボレーション――戦いの決着に向けて、ステージの盛り上がりも最高潮に高まっていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

風薙・澪(サポート)
戦闘は剣、ポンプアクション散弾銃、魔法を主に使って戦う。
近距離は剣、中距離は銃、遠距離は魔法が主な攻撃手段だが、
状況に応じて距離に拘らず扱う時もある。
敵が少ないときは、逆に剣、銃で隙を作り魔法で止めを刺す。

剣も銃も基本は両手で扱う為、右手に剣、左手銃のような二刀流的なことはほぼしない。
剣は両手持ちではあるものの軽快に扱い、フットワークを軽くして戦う。

銃はほぼ9粒装弾の散弾を使っているが、対象を打ち抜けないときなどはスラッグ(一粒弾)も使う。
いずれにせよ射程はあまり長くない。
弾倉はチューブマガジンで後入先出。(最後に込めた弾薬が最初に撃ち出される)



「うーん、めんどくさいわ」
 そう言いつつもオブリビオン化した少女を救うため、サポートに駆けつけたのは風薙・澪(ウィザードウォーリア・f17869)。両手で氷魔剣【凍華】を構え、アイドル衣装と比較しても遜色ない、可憐で派手な装いでステージに立つ。
「ッ……邪魔を、しないでよっ!」
 癇癪を起こした子供のように、『オブリビオン・アイドル』は【コール・オブ・ダークネス】を熱唱中。聴衆の精神をかき乱し、オブリビオン化エネルギーによる洗脳をもたらす彼女の歌声は、光り輝くアイドルの歌声とは正反対だ。

「やることはやらないとね」
 しかし普段はだらけがちでも根は真面目な澪は、ちょっと心を揺らされた程度で使命を投げ出したりはしなかった。
 魔法の呪文を口ずさみ、氷の礫を敵に飛ばす。銃器、剣術、魔術、さらには弓術や体術まで修めた彼女は、どんな距離にも対応できるオールレンジファイターだ。
「きゃっ!?」
 魔法の牽制でオブリビオン・アイドルの歌が乱れたら、その隙に距離を詰める。急いでバタバタ走るのではなく、なるべく優美にステップを踏んで。サブカル方面に比較的明るい彼女なら、アイドルコンテンツの知識も多少はあるだろう。ステージの上から観客を惹き付ける振る舞いは分かっている。

「みんな、応援よろしく」
 そっけない感じの態度が逆にいいという客層もいるのか、観客席のサイリウムが黒髪の少女の言葉に応じて揺れる。
 身体に力が漲ってくるのを感じながら、澪はカモシカのような脚をすらりと伸ばし、一気に近距離の間合いに入る。
「こんな感じでいいみたいね」
「くっ! このぉ……!」
 軽やかなフットワークで翻弄しつつ、冷気を帯びた魔剣を振るう。相応の重さがある両手持ちの剣でも、軽快に扱う技巧は見事。いかにこの世界のオブリビオンが強大でも、純粋な白兵戦に持ち込まれれば、やや分が悪いようで――。

「これでも食らいなさい」
「きゃぁぁっ!!!?」
 剣技で隙を作ったところで、漆玖式散弾銃【雷光】に武器を持ち替え、銃口を押し付けるようにしてトリガーを引く。9粒装弾の【散弾連射】を至近距離かつ、観客の応援パワーも乗せた上で食らわせれば、オブリビオン・アイドルも無事では済まない。悲鳴を上げて吹き飛んだ少女の手から、マイクがこぼれ落ちた――。

成功 🔵​🔵​🔴​

紫・藍
洗脳されてしまう訳にはいかないので、タッチは華麗なダンスで身かわしつつではあるのでっすがー。
ダメージを受けてでも歌には聞き入る藍ちゃんくんなのでっす。
素敵な歌なのでっす。
ええ。藍ちゃんくんはその歌を、素敵だと思うのでっすよー?
言えなかった言葉でも歌にならできるのでっす。
お嬢さんもそれを理解したはず。
でしたらその歌は藍ちゃんくんたちだけでなく、お父さんとお母さんにお聞かせするべきなのでっす!
きっかけは骸の海なれど、それだけのパワーが自分にあると分かった今なら自力で歌えるはずなのでっす!
歌うのでっす。心を込めて歌うのでっす。心をかき乱す歌声を包み込むように。
この藍を。
きっと全部メチャクチャにしてしまっても。
楽にはなれないのでっす。
お嬢さんがイヤだったのは好きなものが好きでなくなっていく自分自身!
全部壊したところでまた好きになることも、嫌いになりきることもできず、苦しいままなのでっす!
藍ちゃんくんを通してご自身に夢を見ていただく、それこそが藍ドル!
藍ちゃんくんの歌にてお嬢さんに今一度の変革を!



「これ以上……私の心を、惑わせないで……!」
 アイドルステージで繰り広げられるバトルを通じて、猟兵の呼びかけに『オブリビオン・アイドル』は揺れていた。
 骸の海に呑まれた心に差し込む一筋の光。それを否定せんとするように、彼女は【コール・オブ・ダークネス】を熱唱。闇の歌声で皆の精神をかき乱す――。
「素敵な歌なのでっす」
「……えっ?」
 しかし。その歌を聞いた藍の感想は、いたってポジティブなものだった。それが攻撃だとわかっていても、ダメージを受けてでも聞き入ってしまうくらい。ひとりの少女の思いの丈を、ありのままに綴った音楽を、アーティストとして正当に評価する。

「ええ。藍ちゃんくんはその歌を、素敵だと思うのでっすよー?」
「お……お世辞なんて、いらないから!」
 まっすぐな称賛にオブリビオン・アイドルは明らかに狼狽えながら、ダンスの振り付けに合わせて藍に掴みかかる。
 その手に溜まっているのは、歌を通じて集めたオブリビオン化エネルギー。ここで洗脳されてしまう訳にはいかないので、藍もまた華麗なダンスでタッチを躱す。
「言えなかった言葉でも歌にならできるのでっす。お嬢さんもそれを理解したはず」
 ひらりひらりと舞う二匹の蝶のように、触れそうで触れない距離でステップを踏み、刃ではなく歌と言葉を交わす。
 ふたりのパフォーマンスに観客のテンションはMAXとなり、二色のサイリウムが揺れる。これだけの人々を熱狂させたのは猟兵の力だけではない。咲季の歌にウソがなかったからだ。

「でしたらその歌は藍ちゃんくんたちだけでなく、お父さんとお母さんにお聞かせするべきなのでっす!」
 彼女の両親なら、きっと分かってくれる。藍には確信があった。あんなに素敵なスイーツとお店を作れる人達なら、大切な娘の言葉に耳を傾けないはずがないと。あとは彼女が勇気を出すだけ――見せられなかった不満もモヤモヤも、全部歌に乗せて伝えよう。
「きっかけは骸の海なれど、それだけのパワーが自分にあると分かった今なら自力で歌えるはずなのでっす!」
「む、無理よ……だって、もし伝えてもダメだったら……」
 自分の本音を明かすことへの恐怖と、理解してもらえないのではという不安は、まだ咲季の心に影を落としている。
 それなら、今度は藍が証明する番だ。自分の想いを伝え、人の心を動かし、未来だって変えられる、歌の持つ力を。

(歌うのでっす。心を込めて歌うのでっす。心をかき乱す歌声を包み込むように――この藍を)
 題して【藍音Cryね】。あるがままの心を込めた、穏やかで優しい歌声が、理屈も条理も超越してアイドルステージに響く。観客のサイリウムは再び藍色に染まり、彼の願いに応じてエールを送る。全ては悩める少女の心を救うために。
「きっと全部メチャクチャにしてしまっても。楽にはなれないのでっす」
「そっ、そんなこと……!」
 オブリビオン・アイドルも応戦しようとするが、覇気を失った歌は藍の歌にかき消され――いや違う、包み込まれてひとつのメロディとして唱和し、昇華されていく。これは決して誰かを傷つけるための歌ではない。悲しみや恐怖や憎しみを癒やし、その原因を消し去るための歌だ。

「お嬢さんがイヤだったのは好きなものが好きでなくなっていく自分自身! 全部壊したところでまた好きになることも、嫌いになりきることもできず、苦しいままなのでっす!」
 その気持ちは痛いほどよく分かる。だから藍は、咲季が自分を否定せずに、好きなものを好きだと胸を張って言えるよう、自分がもっとも誇れる姿を魅せて、歌う。サイリウムとスポットライトを浴びて、ギザギザ歯を輝かせながら、とびっきりのスマイルで。
「藍ちゃんくんを通してご自身に夢を見ていただく、それこそが藍ドル! 藍ちゃんくんの歌にてお嬢さんに今一度の変革を!」
 フィナーレを飾るロングトーンと決めポーズ。燦然たる藍色の歌が、矢のようにオブリビオン・アイドルを貫いた。
 その瞬間、咲季はふらりと糸が切れたように崩れ落ち――ダークなアイドル衣装が元通りの、スイーツショップの制服に戻っていく。

「そっか……私、ガマンしなくても良かったんだ……ちゃんと気持ちを、伝えることさえできれば……」

 ありがとう、アイドル。少女のささやきがライブの終幕を告げ、アイドルステージが消えていく。
 まるで全ては夢だったように、戦いが始まる前と変わらぬ店内では、オブリビオン化した人間達も元に戻っている。
 死者・怪我人はゼロ。アイドルとなった猟兵のパフォーマンスは見事骸の海のみを浄化し、少女の心を救ったのだ。



 その後、咲季は両親ときちんと話し合って、お店の手伝いを減らしてもらったらしい。
 自分の時間を持てるようになったことで、接客にもまたいつもの元気さと笑顔が戻って来るようになったそうだ。
 なにが彼女の心境を変えるきっかけになったのか、その真実を知る者は少ない。だが彼女は忘れないだろう――辛い時に自分の心を照らしてくれた"アイドル"のことを。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年04月05日


挿絵イラスト