地平の果てより、巨大な影が大地を踏み荒らしてゆく。通常のキャバリアから大きく逸脱した、異形のシルエットを持つ巨大な戦闘機械が、地響きを立てながらゆっくりと前進していった。
機体が近づくにつれ、周囲の木立ちが不自然にたわんでゆく。まっすぐ立っていた樹木が、まるで機体に対して頭を下げるかのように、めりめりと曲がってゆき、最後には折れ砕け、あるいは根こそぎ倒れ、機体の前に倒れ伏した。
「蹂躙」という言葉が、この世に形をもって顕現したならば、かような光景ともなろうか。まるで巨獣が吠えるように、機体各所の砲塔がひときわ大きな駆動音を上げた。
以前の侵攻の際は、猟兵たちは小国家が秘蔵していた超強大なスーパーロボットを借り受け、その力をもって地下帝国を撃退した。今回、地下帝国は、そのスーパーロボットを標的とし、その完全なる破壊、あるいは奪取を目的として迫ってきている。
ならば今回も、そのスーパーロボットの力をもって返り討ちに……と言いたいところだが、今現在、そのスーパーロボットは、パーツ単位まで分解しての大規模整備……いわゆるオーバーホールの真っ最中なのだ。
地下帝国の繰り出す機体は、どれも「有毒装甲」という機構を備えている。キャバリアに乗ってさえいれば無効化可能だが、生身で戦うとなれば、それなりの準備が必要になるだろう。あるいは、侵攻対象となっている小国家から、キャバリアを借り受けて戦っても良い。
通常の砲撃は、この高重力の壁に阻まれ、射線を大きくずらされてしまうだろう。ただ、敵自身もこの機能を使用している間は、砲撃を行えない。敵は自身が砲撃する瞬間だけ、この機能を停止しているようだ。この辺りに、つけ入るスキがあるかもしれない。
だがそれでも、ここで踏みとどまり、突貫で行われているスーパーロボットの組み立てが終わるまで、敵を食い止めることができれば、逆転の目も出てくるかもしれないのだ。
工藤修理光
クロムキャバリアよりお送りいたします。
このシナリオは3章立てです。
●第1章
ボス戦フラグメントです。
●第2章
集団戦フラグメントです。
●第3章
ボス戦フラグメントです。
第1章 ボス戦
『Fortress』
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POW : 要塞からの火力支援
【背部に背負った多連装ミサイル】が命中した対象に対し、高威力高命中の【同じく背部に背負った主砲】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 要塞への接近阻止
【足の間】から【重機関銃の乱射】を放ち、【弾幕】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 要塞による掃討
【両腕のグレネードランチャー】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
イラスト:右ねじ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠フォルティナ・シエロ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
梶浦・陽臣
●WIZ対応
●絡みあり
「あぁいうのを相手にするのは初めてだが……それでもワクワクしてくるな!」
「俺もロボットとか欲しくなってくるが……あぁいうのを持ってる猟兵はどこから手に入れてくるんだろうな。」
「まぁそれは今はいいか。それじゃあ……スクラップの時間だ。」
一人呟くのを終われば、周囲に幻影魔剣を複数本生み出し相手の攻撃を【自動射撃】で【自動防御】し始める。
その間に、属性の違う3本の魔剣を生み出す。
それら3本の魔剣を一つに纏めるように統合し、UC【多重魔剣・元素超過】を発動。
3つの属性によって引き起こされる現象……Fortressに向かって上空から小規模のメテオが引き起こされた。
●
「あぁいうのを相手にするのは初めてだが……それでもワクワクしてくるな!」
梶浦・陽臣(魔剣の鞘・f44426)が、敵の巨影を遠くに認め、そう呟いた。強大な敵を前にしながらも、体の芯から高揚感が沸き立ち、その口元に不敵な笑みが浮かぶ。
「俺もロボットとか欲しくなってくるが……あぁいうのを持ってる猟兵はどこから手に入れてくるんだろうな」
人間がまだ神話と伝説をよりどころにしていた時代から、人々は巨人を思い描いていた。文明が発展し、高度なテクノロジーを手に入れてなお、人々は鋼の巨人を生み出すことに、その心血を注いでいる。
道具であるなら、兵器であるなら、本来そこに人型を投影する必要は無い。だが、人が人に似せて作りだした、人を超えるもの……矮小な己では届かぬところに手が届く姿に成りたいという、飽くなき憧れが、そこにはある。
陽臣の言葉も、その思いから出たものであろう。人が捨てきれぬ原初の欲望を刺激するナニかをキャバリアという存在は持っており、同時にキャバリアを所持する猟兵もまた、その魅力に捕らわれてしまった者と言えるだろう。分かりやすく言い換えれば「カッコいい」のだ。
「まぁそれは今はいいか。それじゃあ……スクラップの時間だ」
そう口に出して、陽臣はさざめく思念を打ち切り、片手をかかげた。周囲の空気が揺らめき、そこから滲み出るように、幾本もの魔剣が生み出される。
その様子を認識したか、敵機体はその腕と一体化したグレネードランチャーを、陽臣のほうへと向ける。その銃口で発射炎がきらめき、砲弾が陽臣に向かって放たれた。
放物線を描いて飛来するグレネード弾に対し、陽臣の周囲で浮遊する幻影魔剣が、ひとりでに飛びたって向かってゆく。迎撃を幻影魔剣に任せ、陽臣がさらなる魔剣を召喚する。
陽臣の前に現れた三本の魔剣が、それぞれが宿す元素の力へと形を変え、そして再構成されてゆく。やがてそれは、ひと振りの大剣となって、陽臣の手に収まった。
「幾重にも重ねた魔剣の力、見せてやるよ!」
大上段に構えた大魔剣を、陽臣が勢いよく振り下ろした。剣の軌跡に沿って、大魔剣に秘められた力が解放され、敵機体の上空が切り裂かれた。
次元の裂け目から、光り輝く火球が敵機体に向けて墜ちてくる。空気との摩擦で赤熱化した隕石だ。空気を切り裂く音を上げて、隕石は敵機体へと落下してゆく。
だが、隕石が敵機体へと直撃するかと思われたその瞬間、強烈な熱線がその隕石を貫いた。熱線は隕石を貫いて爆発させ、そのまま下にいた敵機体をも巻き込んで、地表に巨大な爆炎を上げ、あたり一帯を火の海へと変える。
|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》……クロムキャバリアの空を高速飛翔する物体を無差別砲撃する暴走衛星からの砲撃だ。陽臣の大魔剣によってもたらされた隕石に反応し、それを撃ち落とすための砲撃が、期せずして敵機体にまで甚大な被害を与えることとなった形だ。
隕石を貫いた分、威力は減衰していただろうが、それでもその熱線は、小規模な隕石以上の被害を敵機体にもたらしていた。
大成功
🔵🔵🔵
アラタマ・ミコト(サポート)
|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》でございます。
此度は妖討伐の任を受け馳せ参じてございます。
極楽浄土より持ち帰りし法具の力を開放いたします。
活路は切り開きませたでございましょうか?
クローネ・マックローネ(サポート)
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪
基本は一般人の安全を優先で♪
多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪
シリアスな場面では状況の解決を優先するよ
コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪
えっち系・状態変化系もばっちこいだよ♪
絡みOK、NG無しだよ★
UCは少人数を召喚する系か単体攻撃系を優先して使うよ♪
状況に応じてMS様が好きなのを使ってね★
後はMS様におまかせするね♪
●
漆黒のキャバリアが、敵の重キャバリアに向けて、手にしたオートキャノンを連射する。だが、標的となった敵キャバリアは回避行動をとろうともしない。
と、敵キャバリアの足元に次々と弾痕が刻まれてゆく。放たれた弾丸は敵キャバリアに届かず、その前方で大きく射線をゆがめられ、むなしく地面を穿つだけに終わった。
「うーん、やっぱり正面からだと、落とされちゃうね♪ どうしよっかな、取れる手立てはいくつかあるけど……」
そう呟きながら、クローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)はキャバリアを操作し、その場から高速で離脱する。先ほどの銃撃に対し、敵キャバリアがお返しとばかりに砲撃を撃ち返してきたのだ。
「もー、向こうは撃ち放題なの、ホントずるいよね♪ でも、そこを突けば何とかできそうだから、後は……」
「敵の攻撃を誘発させれば良いのですね。なれば、このアラタマちゃんが|方便《ぐりっち》にて、その本願を成就せしめましょうず」
クローネの言葉を継ぐように、アラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)からの通信が届く。あら、とクローネがアラタマに応答する間もなく、キャバリアのすぐ近くで、ガシャンガシャンとけたたましく金属音が鳴り響いた。
三種の神器が、次から次へと虚空からその複製を生み出してゆく。指数関数的に増殖するそれらが、無秩序に積み重なり、やがてキャバリアよりも高い小山となっていった。
「これぞ、|極楽《GGO》にて習得した|御仏の方便《あいてむ無限増殖ぐりっち》なのです」
アラタマがどこか誇らしげにのたまう。これだけの音と異様である。敵機体もこの様子には注意を引かれたであろう。
狙い通り、敵機体は突然現れた小山へと向き直り、その背部兵器の照準を定めた。多連装ランチャーから、次々とミサイルが放たれ、小山へと命中した。
ミサイルの連撃に加え、ダメ押しとばかりに、敵機体が主砲の発射体制に移る。とその時、爆音を上げて、敵機体の背後に回ったクローネの機体が、オートキャノンを乱射した。
巨体を持つキャバリアは、普通は隠密行動には向かない。だが、クローネは、キャバリアがアラタマの作り出した小山に隠れた隙をつき、その死霊術をもって自らの機体を、視聴嗅覚ではとらえられない幽体のような存在へと変化させることで、敵の背後を取ったのだ。
オートキャノンの弾丸が敵機体の背部装甲に命中して爆ぜる。ただの砲弾ではない。死霊の群れをまとった砲弾だ。背部装甲に穿たれた弾痕から、死霊たちが潜り込み、敵機体への被害を広げた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エリー・マイヤー(サポート)
フラスコチャイルドのサイキッカー × 寵姫です。
常に丁寧語で、あまり感情を乗せずに淡々と話します。
ユーベルコードは習得した物をどれでも使用し、目的達成のために全力を尽くします。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
***
ごきげんよう。
戦力が必要と聞いて手伝いに来ました、エリーです。
念動力で、戦いをサポートしますね。
敵の攻撃を妨害したりとか目潰ししたりとか、そういうセコイ工作は任せてください。
攻撃は念動力で締めたり潰したり斬ったり突いたり。
敵の物性に合わせてそれっぽくやりましょう。
キャバリアは……まぁ、必要そうなら乗ります。
音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。
自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
プロデューサーより
●
「おや、思った以上に弾幕が厚いですね」
キャバリアのコックピットで、エリー・マイヤー(被造物・f29376)が紫煙をくゆらせながらひとりごちる。敵機体の装甲は厚く、なまなかな威力の攻撃では埒が開かない。大威力の攻撃で決着をつけたいところだが、敵からの火勢も強く、なかなかその機会を与えてくれそうにないようだ。
「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん、ただいま参上……」
エリーが敵機体とキャバリア戦を繰り広げていたちょうどその時、音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)は、今日もテンション低くタイトルコールを読み上げていた。
「本日は、戦乱打ち続く世界で巨大ロボットと戦って……って、えぇぇ~!?」
鬱詐偽が撮影用ドローンの|プロンプター《カンペ》に表示されていた文章を読み進め、驚愕の声を上げる。鬱詐偽の視線の先でどっかんどっかん砲撃を繰り返している巨大兵器に立ち向かえというのだ。無茶振りにもほどがある。
「ひぁぁぁ~、どうしろっていうのよ、これぇ~」
鬱詐偽が半泣きで武器を振り回す。撮影用ドローンによってバッチリ撮られた表情と声が、視聴者をさらにヒートアップさせた。
小杖から放たれたシャボン玉が、ふわふわと敵に向かってゆき、そのまま重力の壁に阻まれて、地面へと落ち、そして爆ぜる。すると、敵の周囲の重力壁に沿って地面が割れ砕け、要塞を囲む堀のように敵機体の周囲が陥没した。
視聴者の熱狂が、鬱詐偽のユーベルコードによって、|小杖《ワンド》を強化したのだ。敵機体は、その機動性の低さが仇となって、陥没したその地形を越えられないでいる。
「おや? 誰かしら敵を足止めしてくれたようですね」
戦場に立ち尽くす敵機体の様子を認めたエリーがそう呟く。敵は陥没した地面へその火器を向け、その破壊力で地形そのものを変えてこの状況から抜け出ようと試みており、そのためエリーを牽制する弾幕が途絶えた。
「今のうちですかね。仕方ない、やるしかありませんか……疲れるんですけどね、これ」
エリーのキャバリアが手にするBXフォースセイバーに、極大のサイキックエナジーが流れ込む。光を放つほどに凝縮されたサイキックエナジーが、剣というレベルを超え、天を突く青い光の柱となって顕現する。
キャバリアが振りかぶり、その光の柱を敵の頭上へと叩き込む。その一撃は敵を両断し、そのまま地面を切り裂いて、長大な裂け目を作り出した。
「うう、やっぱりこうなるのね……」
エリーの攻撃の余波を受け、吹き飛ばされた鬱詐偽が、そう泣き言を漏らす。ドローンが中継したその表情に、画面の向こう側にいる視聴者たちは、大盛り上がりだったという。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
先遣となるキャバリアが撃破された後も、地下帝国の侵攻は止まらない。隊列を成した重装甲キャバリアが、続々と戦場へと姿を現した。黒鉄の波が地表を一色に染め上げてゆく。
敵機体の一体が、友軍より離れて単独で衣吹に迫ってきた。もとよりキャバリアと戦いうるのはキャバリアだけだ。人間サイズの敵に複数体で当たることは無いと判断したのだろう。
衣吹がそう言って、迫りくる敵機体に向き直ると、敵機体はその動きを止めた。衣吹のユーベルコード、「シャドウペルソナ」によって、パイロットの精神を直接攻撃したのだ。