余所見なんてできないフェリシダー
大業物・断
エミリオ(f07684)と一緒のノベルを希望です。
●概要
飛空艇で星空をクルージング。
エンベロープ気嚢の前方下に据え付けられたゴンドラ操舵室で断と二人きりの時間を過ごします。
上空には満天の星々、地上には煌びやかな街の夜景。
眼下の甲板からはクリスマスパーティーに賑わう(旅団の)仲間たちの楽しそうな声も聞こえ……
そして何より世界で一番愛しい人が目の前に居る。
普段会えない時間を埋めるかのように語り合い、抱き締め合い、見つめ合い、重なり合う唇。
そして……
そんな素敵で幸せに満ちた聖夜の甘くラブラブな二人をお願いします。
●断について
断を一言で言い表すと「純粋無垢で甘え上手なお姫様」です。
幼少期の壮絶な経験から表情が変わらず行動で示す「不思議ちゃん+素直+ボソボソ喋る陰キャ」な奴だったが、
リオやクラスメイト、様々な人から愛情を示され徐々に表情を明るくなり笑えるように成長。
幼馴染のリオとは6歳に出会ってからずっと一緒で、3年前に婚姻を済ませた相思相愛。
現在まで断の都合で遠距離恋愛だったので、彼に甘えたくてたまらない!
私に構って!と甘えるわんこ気質の女の子。
口調はぼそぼそと言葉と言葉の間に…が入りながら喋るボソボソ喋り
一人称はそれがし、夫の名前は愛称のリオ
[うー!]と喋るのは断なりの感嘆詞で応答や感激などに用いる
●服装
ふわふわの上着を羽織可愛らしい白のワンピース
頭には白ニット帽で黒猫が入っており、
首元にはトレードマークの白くふわふわなロングマフラー
足元はタイツに子犬がワンポイントに意匠されたショートブーツ
左手の薬指には結婚指輪が嵌り、左手の手首に白銀のブレスレットを付けている
●行動
前日から入念に準備して当日を。
聖夜の夜に二人きりになった瞬間からずっと視線はリオに釘付け!
愛しさからマフラーの下の口元は吊り上って笑みを浮かべっぱなし
¡Feliz Navidad!(メリークリスマス!)と告げられたら、全身から嬉しいオーラを全開にして微笑みながら愛しい彼の正面に
うー♪リオー!…それがしも会えて嬉しい…ずっと会いたかったの…
ふふふ…本当の気持ちだよ…かっこいい…リオは王子様…素敵なの…(視線は一切外さずに)
それがしもだよ?…隣の席になった時…あの時からだもん…
リオはね…それから…すっごく更に素敵になったの…それがし…いつもドキドキなの…(可笑しそうに笑いながら)
ん(頷く)…でも嫌じゃないの…その分リオ…すっと見ていられる…
(リオに抱きしめられたら嬉しげに目を細めて微笑みつつ、彼の手に身を預ける)
リオ…あったかい…それに…すっごい素敵…暫く見ないうちに…すっごくすっごく格好良くなってる…リオ好き…大好き!…それがしも…ずっと愛してる!
(そしてリオが顔を近づけてきた時に精いっぱい背伸びして(背格好が17㎝差)両手を首に回して接吻する)
リオ…愛してるよ…貴方じゃなきゃ…ダメだから…
ずっと…一緒だよ…王子様…。
※アドリブ大歓迎。
ラブラブな描写を盛って頂けましたら嬉しく思います♪
キャラ崩壊さえ避けて頂ければNGは一切ありませんので、ご遠慮なくお願いします♪
●天翔ける空の工房
眼下に見えるのは、『蒸気飛行船 -空中工房ドヴェルグ-』の甲板。
行われているのはクリスマスパーティ。にぎわうのは、喜ばしいことだ、とエミリオ・カリベ(星空と本の魔法使い・f07684)は己が旅団の団員たちがパーティを楽しんでいることを、その声で知った。
幸せだ、と思った。
誰かの楽しげな声を聞くだけでもそう思う。いつだってそうだが、自分の幸せは誰かの幸せである。
だから、猟兵の力に覚醒して自己のためではなく誰かのために力を振るうことができるのだ。
そして、何より世界で一番愛おしい人が目の前にいることが喜ばしいことだった。
見上げる空には星々が煌めいている。
今、エミリオは大業物・断(一刀両断・f10703)と共に飛空艇のゴンドラ操舵室の中にいた。
関係性は今更言うまでもないことである。
自分が今、彼女を愛おしいと思っているのと同じように彼女もまた自分のことを愛おしく思っていてくれることが理解できて、通じ合っているということを実感できる。
満天の星を映し出すかのような眼下の街の夜景。
エミリオと断は、二つの星空に挟まれた全天を覆う宝石箱の中にいるようにさえ思えたことだろう。
「……」
言葉を紡ごうとして、断はもごもごと口の中で言葉が転がるばかりであった。
前日からの入念な準備を行っていたことは言うまでもない。
ふわふわの上着を羽織って、白のワンピースを身にまとう。白いニット生地に黒猫がかぎしっぽを立てる姿が刺繍された帽子を被る姿はエミリオからすれば全てが満点であった。
非の打ち所がない。
それほどまでに彼は断に惚れ込んでいた。
でも、何を言っても言葉では表現できないとも思えた。
語彙力が圧倒的に足りない。
けれど、何かを言わなければならない。できれば、スマートに。
そんなエミリオを見る断もまたずっと広角が上がりっぱなしであった。
有り体に言えば満面の笑みであった。
だが、口元を覆うふわふわなマフラーに阻まれてエミリオの視界には届いていなかった。
だって、漸く逢えたのだ。
こんなに嬉しいという気持ちを言葉にしてはもったいないとさえ思えたし、なんと言葉を切り出せばいいか断にはわからなかった。
けれどエミリオは、そんな断の頬を撫でて微笑む。
王子様のようにスマートに、なんて思っていたが、そんなことはもう頭の端から追い出されていた。
あったのは、自分が断を愛おしいと思う気持ちだけだった。
「改めて……|¡Feliz Navidad!《メリークリスマス!》 今日は会えて嬉しいよ、断」
その言葉に断は言葉にできぬ思いを全身から発露させるようにしてエミリオに一歩近づいた。
もうこの距離では口元のマフラーは彼女の口元を隠せない。
浮かぶ微笑みにエミリオは顔を綻ばせた。
愛おしい。
互いに思う心が同じであるということが、足し算ではなく掛け算であることを自覚させてくれる。
「うー♪ リオー!」
こぼれだすように断の声が操舵室に響く。
冬の張り詰めた空気の中を彼女の喜びを示すような声が満ちてやまなかった。
「こうして君の顔を直に見れて……断のぬくもりを感じてお話ができるなんて、僕にとっては最高のクリスマスプレゼント、そして誕生日プレゼントかな?」
「……それがしも会えて嬉しい……ずっと会いたかったの……」
「益々最高のプレゼントだよ」
「ふふふ……本当の気持ちだよ……かっこいい……リオは王子様……素敵なの……」
視線がブレることはなかった。
互いに見つめ合う視線はかち合うばかり。
ばち、ばち、と星が散るような視線のぶつかり合いは、操舵室の暗がりの中であっても、二人の顔を照らすようだった。
ずっといっしょだった。
二人は幼馴染だった。
いつだって一緒だったが、今は事情が許さないが、離れていなければならない。
それは心苦しいものだったが、その胸の痛みが二人を成長させたというのならば、それはきっと心の成長痛だったのだろうと思う。
片時だって互いを思わなかったとはない。
逢えた時間が愛を育んだというのなら、逢えなかった時間が心を育てたのだ。
募る思いは、二人の心を豊かにしたであろうし、また誰かが言っていたが、ミルキーウェイを隔てた織姫と彦星のようであるとも例えられるものであった。
万感の思いを持っての逢瀬。
それは誰にも止められないことであったし、邪魔が入ることだって許されたことではない。
人目があったってなんだというのだ。
愛の前には周囲の耳目などさしたる問題ではない。瑣末事であるし、目と目が合えばもう二人だけの世界に突入してしまうもの。
それが愛だというのならば、確かに誰かが例えたように二人は織姫と彦星であった。
「今も昔も変わらずにとても綺麗だよ」
刹那、エミリオは過去を幻視していたのだろう。
初めて出会ったあの瞬間。
己の世界は感情の起伏などない色褪せたものだった。
何も心が揺れない。
揺れることを知らなかった。
けれど、彼女と出会った時から、己は始まったのだとさえ思っていた。
「それがしもだよ? ……隣の席になった時……あの時からだもん……」
断にとっても同様だったのだ。
そういう意味では運命だった。
それ以外の言葉なんて彼らには考えられなかった。
見つめ合う瞳がそれを証明しているようでもあった。
「僕もずっと、断の輝きに惹かれていたんだから」
「……今も?」
「勿論、今も」
「うー♪」
エミリオの言葉に断は身を攀じるようにしながら、彼の胸元に顔を寄せる。
ぬくもりが腕の中にある、ということが、さらにエミリオの胸を高鳴らせる。その鼓動を断は耳を当てて聞いた。
別に疑っているわけじゃあない。
ただ、気持ちが溢れてやまなかったから、そうしただけなのだ。
離れていた時間を埋めるように距離を詰める。
抱きとめたエミリオの腕が断の肩を抱いて、胸いっぱいの想いを吐息に乗せた。その熱っぽい息は断の耳元をくすぐるだろう。
「うー♪ ……リオはね、本当に、すっごく、更に素敵になったの……それがし、いつもドキドキなの……わかる?」
互いの鼓動の音なんだ、とエミリオは漸くにして理解しただろう。
自分がドキドキしているのと同じように断もまた鼓動を跳ねさせているのだと分かって、余計に高鳴る。
離れていたから、本当はもっと、もっとたくさんの話すべきことがあると思っていた。
積もる話は、一晩でも語り尽くせぬほどに。
けれど、胸が支えるようだった。
いざ、話そうとしても何から話せばいいのかわからない。
後から後から、急かすように溢れてくる。
「本当に……」
「ん……」
抱きしめるように腕を回して、エミリオは断の頭に、その髪に頬を擦り寄せる。
言葉じゃ足りなから、行動で示そうと思ったのだ。
うまく言葉がでてこないから、触れ合うことで伝わればいいとさえ思った。
力を込めた腕に応えるように断はエミリオの胸に頬を擦り寄せる。
「……でも、本当に、嫌じゃないの……離れていたけれど、その分、リオ……ずっと見ていられる……」
その喜びを示すように断は目を細めて笑む。
真の喜びであった。
心底嬉しいという感情を具にエミリオは感じることになっただろう。彼女の全部が己の身に委ねられている、預けられていると感じられて、また心が溢れるようだった。
「本当に……本当に嬉しいよ」
だから、溢れた想いは身の熱として彼女の肌に伝わればいい。
溢れきれなくて、けれど想いに磨かれた言葉だけは心と喉とを震わせる。
「|愛してる……そして、これからもずっと愛し続けるよ《Te quiero...y te querré siempre.》」
それはどちらかだけではなかった。
異なる言語の二つ。
けれど意味するところは同じだ。
足し算ではなくて掛け算。
何故なら、これはきっと一人では意味のない言葉だったからだ。
受け取ってくれる人がいて初めて成り立つ方程式。数式に当てはめることも、意味がないのかもしれないけれど。
「リオ……あったかい……それに……すっごい素敵……しばらく見ないうちに……すっごくすっごく格好良くなってる……」
断の言葉はとめどなかった。
素直な言葉だった。
飾らない言葉だった。
言葉を選んでいる暇すら惜しい。
自分の心の内側を正しく彼に伝えるためにはどうすればいいのか、それを本能的にわかっているようでもあった。
だから、言葉を紡ぐ。
嘘偽りなく、途切れることなく、伝えること。
それが今彼女にできることだった。
「……リオ好き……大好き! それがしも……ずっと愛してる!」
異国の言葉と重なる言葉であっても、断は言葉ではなくて吐き出された息の熱量で理解している。
感じること。
感じ取れること。
それが一番正しいことだって、彼女は理解しているから。
だから、熱に押されるままに彼女は冬の空気すら切り裂くような熱烈なる、それこそ直情的とも言える言葉を紡ぐ。
身長差なんて関係ない。
近づく顔を待ってられない。
精一杯の勇気は彼女の踵を持ち上げる。
待ち切れない手はエミリオの首に巻き付くようだったし、引き寄せるようでもあった。
誰も見ていない。
星々だって、きっと瞬きをしていたことだろう。
触れた熱は、影に溶けて消えることなんてない。ずっと体の内側にこもっていくようだった。
ぐるぐると巡る。
指先も、足先も、体の至るところが互いの熱で循環していく。
触れた唇が、離れる問まで蕩けるような熱が互いの頭の中を占めていく。
どれだけ理性が、もうそろそろ……なんていっても、もう少しだけとどちらからともなく、身を合わせる。
エミリオの触れた首が熱い。
断の触れた頬が熱い。
肌と肌とが触れるところは、全部熱い。
ぷは。
その音なのか声なのかわからぬ音が聞こえて、断は瞳を伏せることなく、エミリオの顔を見つめていた。
「リオ……愛してる……貴方じゃなきゃ……ダメだから……」
「僕も断でなけれ……断以外の人なんて考えられないよ」
互いに互いでないとダメだという。
それは相紡ぐ言葉であったし、愛紡ぐ一つの表現でしかなかった。
もっと確かなことがあったからだ。
触れた唇の熱が、まだこもっているようだった。
「だって断は僕にとって何よりも大切で特別な人だから」
そう、掛け値なしに。
エミリオにとって、それは初恋だっただろう。
これ以外の恋など知らないし、知らなくていいと思う。
口さがない者はいうだろう。
もっと他にも、と。
いずれ、とも。
だが、関係ない。何故、運命を信じられないのか。何故、疑ってしまうのか。
こんなにも離れている自分たちは、信じられぬことも、疑うことも必要なかった。
なぜなら、本当に出会っているからだ。
真に出会った者に別れは来ない。
こんなにも胸が痛むのだとしても、また離れなくてはならなくても、もうこんなに。
「ふふ……|Quiero sentir más de ti.《もっと君を感じたい》」
引き寄せられてしまう。
止められない。
止められることもない。
咎められる理由なんて、どこにもない。
それはきっと断も同じだった。
おんなじであることが嬉しい。
「ずっと……一緒だよ……王子様……」
引き寄せたはじめの一度目とは違って、今度は迎える。
また触れた唇が熱を帯びたし、頭がクラクラするように揺れる。心地よい熱。激しいわけでもなければ、穏やかなだけでもない。
何もかもが極光じみた揺らめき。
けれど、ゴンドラは揺れない。
今日も、蒸気飛行船の船体は安定している。
航路も万全。
逸れる心配もなければ、墜落の憂き目なんてない。
仮にもしも、失墜するかもしれなくても、この操舵室に満ちる熱気は上昇気流となって船体を持ち上げるだろう。
大げさだけれど。
でも、それくらい信じられる。
だって――。
成功
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