7
O・YA・KI!

#サムライエンパイア #戦後

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
🔒
#戦後


0




●冬のお祭りに過ぎる影
 春の足音が聞こえてくる頃になりましたが、北国ではまだまだ沢山の雪が積もっています。寒いです。
 だけど、家の中に閉じこもって、ぷるぷる震えているだけでは寂しいですよね。
 あたたかいものを食べたい、ついでに楽しみたい――そんな地元の皆様の声を受けて、サムライエンパイアのとある藩では冬のお祭りが開催されることになりました(どうやら越後あたりの豪雪地帯のようです)
 おや、ほかほか湯気を立てながら、どこからかあまーい香りが漂ってきます。
 ぐつぐつと煮込んだ小豆に、ぱらぱら降りかけられる白砂糖。バニラやバターを加えて作ったカスタード。渋みのなかにほんのり甘さを含んだ抹茶もあれば、まろやかなチョコレートの香りもします。
「さぁさぁ、色んな味を試してくれよ!」
 からっと晴れた寒空に威勢のいい声が響くと、ずらりと並んだ屋台のあちこちで人々の歓声があがりました。
 鉄板で焼かれる生地の上に、次々に投下されていくバリエーション豊かな具材。冬の定番とも言えるほかほかの和菓子ですが、その名称は多種多様、地域ごとに色んな呼び方をされている奥の深いお菓子です。
 今川焼き、大判焼き、回転焼き――名前に「焼き」がついているものが多いので、今回は「お焼き」に統一することになりました。最近は異世界の文化に触れる機会も多いので、ワールドワイドに「OYAKI」です。
 ――そう、今回のお祭りは『OYAKIフェスティバル』!
 食べ物の屋台は全て「OYAKI」で、各地の職人さん達が自慢の腕を振るい、様々な味の「OYAKI」に挑戦する、OYAKIのOYAKIによるOYAKIのためのお祭りなのです!!
(ふよーん)
 おや、OYAKIOYAKI言い過ぎて、目の前に残像がちらついてしまったのでしょうか。
 お祭りの会場を、『あのお菓子』たちが集団で通り過ぎていったような……。

●あなたは何と呼びますか?
 サムライエンパイアのとある地方で、オブリビオンの群れによる大災害が予知されたのだと、篝・燈華(幻燈・f10370)は両手をしゅぱっと挙げて説明をします。
「その名も、『OYAKIフェスティバル』なんだよ!」
 何でも、その地方では和菓子がブームなのだそうで、各地から職人さんが集まって色んなお焼きを披露することになったそう。ほかほかの生地に多種多様な具材を入れて焼き上げる和菓子は、地方によって呼び名が違うそうですが、今回は「OYAKI」に統一するそうです(ちなみに燈華の推しはハムマヨ味らしいです)
「そのお祭り会場に、オブリビオンが集まっているみたいなんだけど……詳しい予知はできなかったんだ」
 まだ本格的に暴れてはいないので、その隙に現地に向かって情報を集めてほしいのだと燈華は言います。
 まぁ、皆でお祭りに参加して楽しんでいるうちに、自然と情報は集まってきそうですね。
「お祭りはOYAKIづくしで、色んな味のお焼きを楽しめるのはもちろん、お焼きグッズも売ってるみたいだよー!」
 OYAKIの形をしたクッションに、OYAKI柄の手ぬぐいもあるそうです。誰が買うんだ、と思われた方もいるかもしれませんが、なんと会場にはOYAKIの雪像も並んでいるそうです。
「まだまだ寒くて雪も残っているから、ぜひあったかい和菓子を楽しんできてねっ。……でも、オブリビオンがOYAKIの姿だったりしたら、大変なことになりそうだなあ」
 ――と、最後にちょっぴりフラグっぽい発言をして、燈華は猟兵の皆をサムライエンパイアへと誘ったのでした。


柚烏
 ご無沙汰しておりました、柚烏と申します。こちらは戦後シナリオで、全2章のゆるーい依頼になります。リプレイはオープニングのような、ほのぼのした文体になりそうです。プレイングの募集期間は特に設けませんので、プレイングを送れそうだな、と思った時に参加をご検討ください。

●シナリオの流れ
 サムライエンパイアのとある地方で、オブリビオンの群れによる大災害が予知されました。敵の居場所など詳しいことは分かっていないので、現地のお祭りに参加して情報を集めましょう(楽しんでいるうちに自然と判明します)

●第1章について
 越後のまだ雪の多い地方、からっと晴れた空の下で開催される『OYAKIフェスティバル』に参加します。屋台はすべて「お焼き」の店で、定番の餡子やカスタード、抹茶にチョコレートなど色々な味を楽しめます。ブルーベリーやチーズなどのスイーツ系はもちろん、肉やカレーなどがっつり系もあります(挑戦してみたい具材がありましたら、プレイングで指定してください)需要があるのかは謎ですが、お焼きグッズも売られています。
 周囲の雪景色を楽しみながら、ほかほかの和菓子を食べて温まってください。

●合同プレイングについて
 もし、ご一緒に行動するPCさんがいらっしゃいましたら、【グループ名】もしくは、お相手の【名前】【ID】の記入をお願いします。

●プレイング受付につきまして
 たぶん断章は設けませんので、プレイングを送れる時に送って大丈夫です。何かありましたらシナリオのタグやマスターページでお知らせします。
 サポートさんも活用しつつ、期限内に書けるぶんだけリプレイをお返ししていく予定です(多くても大体10名様前後になりそうです)オーバーロードになされるかはお任せします。

 レベルなどは気にせずに、ご新規の猟兵さんでもお気軽にどうぞ。楽しむことが成功につながりますし、ネタに走っても大丈夫です。それではよろしくお願いします。
235




第1章 日常 『今日は祭り日和』

POW   :    何事もノリと気合いで体験だ、と祭りに参加する

SPD   :    見て、聞いて、味わって。見物客として見て回る

WIZ   :    祭りの起源や歴史を紐解きながらじっくり祭りの風情を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エヴァンジェリン・アルベール
SPD判定に調整

あっ…えへへ、どうも……お祭りの雰囲気に私みたいな暗い奴は不釣り合いかもですけど…で、出来ればお祭りを見たいなあ…なんて…

OYAKIを一つ購入…チーズにしようかな
それでお祭り会場を見渡せるような高い所で頂きながら、楽しんでいる皆さんの様子を見ていたいです

あっ…ひひ…目立たずご迷惑おかけしないようにしますので…
皆が楽しくしている所を見ているのが、私好きでして
コミュ障なので輪の中に入っていくはちょっと難しいですけど
でも、笑顔の人達を見るのが好き

なのでちょっと、誰かに話しかけられると挙動不審になりかねません
「ひいぃ!ごめんなさい申し訳ありません何か粗相がございましたでしょうかぁ!?」



 本日は晴天なれども、人多し――白い雪景色のなか開催される『OYAKIフェスティバル』は盛況のようで、晩冬の寒さを吹き飛ばすような、賑やかな声がそこかしこから響いてきます。
「あっ……えへへ、どうも……」
 行き交う人々にぎこちない笑みを向けながら、手にしたOYAKIを落とさないようにしつつ、懸命にお祭りの雰囲気に溶け込もうとしているのはエヴァンジェリン・アルベール(従属する魔王代理・f45099)のようです。
 神秘的な黒髪と黒瞳、豪奢なマントを身に着けた彼女の姿は気品と愛らしさに溢れていましたが、どうにも「魔王」としての自信が持てないようで、困り気味の表情がデフォルトになっているようでした。
 ――それでもエヴァンジェリンは、今回お祭りを見たいと一念発起したのです。
 消え入りそうな声で店主さんに声をかけ、注文したOYAKIはチーズ味。最初、タコの入ったOYAKIが来た時はどうしようかと半泣きになりましたが、幸いすぐ間違いに気づいてくれたので「あああ私みたいな暗い奴がお祭りを楽しもうとしてすみません」と土下座をして情けない姿を晒すことは避けられました。
「あっ……ひひ、目立たずご迷惑おかけしないようにしますので……」
 訳もなく近くの人に謝りつつ、エヴァンジェリンは会場から少し離れた丘の上に向かい、そこからそっとお祭りの様子を伺います。コミュ症なので輪の中に入るのは苦手ですが、皆が笑顔でいるのを眺めるのは好きなのです。
 もっちりした生地から溢れるクリーミーなチーズを味わいながら、彼女がふふっと笑みを零しそうになったその時――背後から突如、鋭い声が飛んだ気配がして咄嗟に地面に這いつくばります。
「ひいぃ! ごめんなさい申し訳ありません何か粗相がございましたでしょうかぁ!?」
「……くぅん?」
 と――顔を上げたそこでは、ちっちゃい柴犬が尻尾を振って、可愛らしく首を傾げていたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガスパール・アーデルハイド
梟のアデルも同行できたら
「OYAKI」という食べものがあると聞いて
たくさん名前があるの……大変なんだな
愛称があるのも良いことだと思う
おれはちなみに大判やきって耳にしtうわ羽が当たっていたいぞ

…気を取り直して
色々な味を探してみようか
何から食べようかと迷い
定番らしいカスタードに、チョコレート
ブルーベリーやチーズというのも気になるな
カレー味やハムマヨ味の匂いも美味しそうな
…は!さすがにこんなには食べられないな、と
アデルと分けられそうな数には絞って

まだ雪が積もってる景色でも
ほかほかの和菓子を食べるのはあったまるな
おいしかったお裾分け
故郷の皆にも思い出話として語ろうか



 おや、お祭りの屋台を、ひとりの青年がもの珍しそうな顔つきで見て回っているようです。
「OYAKIという食べ物があると聞いたが……色んな味があるんだな」
 見聞を広めるため、世界を旅しているガスパール・アーデルハイド(護森狼・f44874)が、今回やってきたのはサムライエンパイア。猟兵たちの活躍によりひとまずの平和を取り戻したこの国は、人々の交流も盛んであちこちに笑顔が溢れています。カスタードやブルーベリーソースなど舶来の品も浸透してきているようで、チョコレート味のOYAKIを手にした女の子は、遅ればせのバレンタインを祝っているのかもしれませんね。
「しかも、たくさん名前がある……とか、大変なんだな」
 そこで、ガスパールの肩の上にとまった梟が「ちゃんと勉強しているのね」と言うようにこくこく頷きました。
 幼少の頃からずっと一緒の、この相棒の名はアデルと言い、ガスパールを見守る姿はしっかり者のお姉さんといったところでしょうか。
「あ、おれはちなみに大判やきって耳にし……うわ羽が当たっていたいぞ」
 と、特定の名称を口にしたガスパールに、アデルの容赦ないツッコミが入ります。OYAKIだらけのお祭り会場で、名前を巡って論争が起きかねないと危ぶんだのでしょうが、ふたりのやり取りを見ていた屋台のおっちゃんは「がっはっは」と大らかに笑いました。
「おう、兄ちゃんとこも大判焼きか、俺の地元もそうだぜ! ……よっしゃ、その鳥っ子にもサービスだ!」
 おっちゃんがヘラを片手に、好きなの持っていけと言うようにほかほかのOYAKIを指さします。ラインナップはまろやかなチーズに、組み合わせの妙を味わえるハムマヨ――そして、王者の貫禄を漂わせるスパイシーなカレー!
「どれも美味しそう……でも、さすがにぜんぶは食べられないな」
 美味しそうな匂いに誘われるまま、つい手を伸ばそうとしてしまうガスパールですが、アデルと分けられそうな数に絞って慎重に選びます。彼女の好物ならお肉でしょうか。ハンバーグの入ったOYAKIを注文します。
「うん、愛称があるって良いな。……ほかほかしてあったまる」
 おいしかったお裾分けに、故郷の皆にも思い出話として語ろうか――からっと晴れた青い空と真っ白な雪原を前に、アデルと一緒に熱々のOYAKIを頬張りながら、ガスパールはそんなことを考えたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ココ・ロロ
サムライの世界はじめてきましたが
なにやらおいしそうなお祭り…?
まんまるなこれが~…おやき?
はじめてみるおやつのような
これは食べてみないとです!

あまいのに…しょっぱいの…
種類もたくさんあるのですね
むむ…
ブルーベリーとチーズと…
はっ、おすすめと聞いたハムマヨというのも!
ふふー、あまいもしょっぱいもおいしいですね

…んん?
鞄の中で眠っていた森の友達も
おいしい香りにおきちゃいました
ですがみんなは食べてはいけない…
なにかなにか~…
おやきくっしょん…?
これはどうですか?
と小さな友を見れば
ちゅうちゅう、だいさんせー!の声
みんなでまあるくなってお昼寝できるよう
大きいのにしましょうか
ふふ、おいしい夢をみれそうです



 サムライの世界にはじめてやって来たココ・ロロ(ひだまり・f40324)は、森の緑を思わせる瞳をぱちぱち瞬きさせて、興味ぶかくお祭りの会場を見て回っていました。
「なにやらおいしそうなお祭りですね。まんまるなこれが~……おやき?」
 はじめて見るおやつに興味津々のココは、どんな食べ物なのかじっくりチェックしてみることにしました。まんまるもっちりの生地をふたつ重ねて、中に様々な具材を入れたお菓子は、甘いのからしょっぱいものまでバリエーション豊富です。見た感じはベーグルやワッフルに似ているでしょうか。
「ブルーベリーとチーズ……は、お菓子っぽいですが、ソーセージが入っているものもあるのですね!」
 そうなると、スイーツというよりご飯になりそうですね。OYAKIの生地が焼きあがるのにあわせて、色んな場所からほわほわと美味しそうな匂いが漂ってきます。
(……そう言えば、ハムマヨ味がおすすめだと聞きましたね。これは食べてみないとです!)
 売っているかなぁと屋台を見渡してみれば、ありました。まろやかなマヨネーズと塩味の効いたハムが、熱々の生地からとろーりと顔を覗かせてココを手招きしています。さっそく注文してひと口戴いてみると、甘さとしょっぱさが絶妙に絡み合った、他にはない味わいのようでした。
「ふふー、あまいもしょっぱいもおいしいですね……って、んん?」
 ついでにキャラメル味のOYAKIも堪能して、ココが幸せそうな笑みを浮かべていると――鞄の中がもぞもぞと動きます。そこからぴょこんと顔を出したのは、彼の友達である動物たちでした。
「あっ、おいしい香りにおきちゃったんですね」
 すやすや寝ていたところにOYAKIの匂いが漂ってきたようですが、今回彼らが食べるのはお休みです。代わりに何かないかと辺りをきょろきょろ見回せば、妙に存在感のあるOYAKIクッションがココの目に飛び込んできました。
「……これはどうですか? みんなでまあるくなってお昼寝できそうです」
 ジャンボサイズのOYAKIクッションを両手で抱えてみると「だいさんせー!」とばかりにネズミ達が鳴いて、ぴょーんとクッションにリスが着地しました。
「ふふ、おいしい夢をみれそうです」

大成功 🔵​🔵​🔵​

初雪崎・識
ほんのり漂う芳ばしい香り。そう、これは間違いなくOYAKI。
白く寒々しい景色。そう、これは間違いなくYUKIGUNI(雪国)。

まずは、ド直球の餡子。うん、美味しい。これなら他のフレーバーも美味しいに違いない、ね。

というわけで、次は変化球を探して屋台巡り。
激辛カレーはもちろんとして……キムチ? ハバネロ? っぽいもの? ようし望むところだよ(※辛いモノ好き)
うん、辛さとほかほかの合わせ技で、体が芯から温まる。これで寒さも怖くない。

お土産にOYAKIグッズを買っていこう。色々あるね、OYAKIお守りとか。

むむっ、こっちは……OYAKIくじ?
OYAKI座布団にOYAKIの置物(?)とか、何かしらのOYAKIグッズが当たるの? 面白そう。
さあ、何が引けるかな……?(どんなものが出るかはおまかせです)



「ほんのり漂う芳ばしい香り。そう、これは間違いなくOYAKI」
 どこか旅情を感じさせる口ぶりで、初雪崎・識(翠炎の探求者・f44092)が眠たげな瞳を細めてちいさく息を吐きました。さらさらと風に吹き遊ばれる黒髪に、白い吐息がほわりと過ぎってそっと溶けていきます。
「白く寒々しい景色。……そう、これは間違いなく|YUKIGUNI《雪国》」
 ルビを華麗に使いこなし、びしっとグローバルに決めた彼女もまた、『OYAKIフェスティバル』にやって来た猟兵のひとりでした。サムライエンパイアでも寒波が居座ったのか、まだまだ雪が残っているようです。
 そんな江戸戦国の世にもインバウンドの波が押し寄せてきているようで、OYAKIの雪像の近くにキャバリアが停まっていたり、その隣でロボットヘッドさんが雪像に紛れていたりと、だいぶ国際色豊かです。どこかの世界の雪まつり会場みたいですね。スマホで動画を撮影しているお客さんもいます。
 OYAKIの被り物をしている人はたぶんお祭りのスタッフだと思うのですが、サイキックハーツ出身の識としては、ご当地怪人を思い出してつい刀を構えそうになるのでした。
「……いやいや、今回はOYAKIを食べにきたんだった」
 ご当地マスコットに手を振って、識は屋台に向かいます。まず挑戦するのはド直球の餡子。硬さはこしあんとつぶあんの中間くらいで、もっちもちの生地とあまーい餡子の組み合わせはまさに王道です。
「うん、美味しい」
 これなら他のフレーバーにも期待できるという訳で、続いて変化球を探して屋台巡りをすることに。識好みの激辛系もばっちりありました。足を向けた屋台の一角にはスパイスの香りが充満していて、目の前がうっすら黄色や赤みがかって見えます(何だか、アジアの屋台に紛れ込んだみたいです)
「激辛カレーはもちろんとして……キムチにハバネロ、それに世界一辛いあの唐辛子まで」
 悪魔の唐辛子入りのチリソース味とくれば、辛いモノ好きとして挑戦しない訳にはいきません。むしゃむしゃ。
 ――うん、辛さとほかほかの合わせ技で、体が芯から温まってきました(普通の人だと辛いを通り越して痛い、火傷しそうなレベルの熱さらしいので、絶対に真似をしないでくださいね)
 顔色を変えずにさらっとOYAKIを平らげた識は、今度はお土産にグッズを買っていこうと別の屋台を覗きます。
「色々あるね、OYAKIお守りとか」
 お守りに刺繍された柄は、よく見ればOYAKIです。家内安全に商売繁盛、それに合格祈願のお守りもあります。そう言えば受験のシーズンですね。サムライエンパイアでも寺子屋の入試なんかがあるのでしょうか。
「むむっ、こっちは……OYAKIくじ?」
 猫耳のように揺らめく識の翠炎が、そこでぴくりと反応します。何と彼女の世界でもよく目にする、ハズレなしのくじ引きまでありました。「OYAKI本番くじ」と銘打っているようで、何だかラストワン賞を狙いたくなります。
「何かしらのOYAKIグッズが当たるみたいだね。ざぶとんに置物……へぇ、面白そう」
 ――がさごそごそ。さっそく識が箱のなかから一つくじを選んでみると、「梅」賞でした。
「おお……!」
 景品はOYAKIの根付です。チャームやストラップみたいなものですね。指で根付をくるくる回しつつ、もう少しお祭りを楽しもうかな、なんて思う識でした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像で目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ


中村・裕美(サポート)
副人格・シルヴァーナ
「あら、なかなか楽しそうですわね」
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
特徴 長髪 のんびり 社交的 惨殺ナイフを愛用 実は胸が大きい
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格。楽しそうなことには積極的なおっとりお嬢様。食べ物とかはイタリアン系が好き。基本的にお嬢様然とした態度は崩さない自称フランス系イタリア人
楽しそうな催し物があれば、参加者側でのんびりと参加します
裕美に出てきて欲しい時は【オルタナティブ・ダブル】も使用可能です。裕美は頼れていじりがいのある妹みたいな存在で、楽き巻き込めそうなら巻き込みます

あと、虫が苦手



「……あら、なかなか楽しそうですわね」
 不思議な形をした祭り提灯を見上げて、優雅に髪をかき上げたのは中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)――その別人格であるシルヴァーナです。
 完璧なお嬢様として振る舞う今の彼女は、コミュ障である元人格とは打って変わって、どこか余裕すら感じさせる笑みを浮かべていました。雑多な雰囲気のお祭り会場に、ふわぁっと薔薇の花びらが舞っていくようです。
「なんと、提灯まで“おやき”の形をしているのか」
 そんなシルヴァーナの視線に釣られて、会場を見回す水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)のほうは、ちょっぴり言葉の歯切れが悪い様子。太刀に魂が宿ったヤドリガミである彼女は、サムライエンパイア文化に馴染みがあるものの、今回のお祭りは「OYAKI」と外来語ちっくで、アクセントが難しいのです。
「何と言うのか、その……“ほーむ”なのに“あうぇー”感がある、と言えばいいのだろうか」
 それでも「なうでやんぐ」な最近の文化を勉強している真峰は、外来語もばっちりです。しかし聞けばこの近辺に、物の怪がぞくぞくと集結しているというではありませんか。腰の脇差にそっと手をかけて、密かに彼女が会場を巡回しようと決意していると、辺りからほわほわと美味しそうな匂いが漂ってきました。
「真剣勝負……の前に、うむ。腹ごしらえと行こうか」
「あら、良いですわね、わたくしもご一緒いたしますわ」
 屋台のカラフルなのぼりをシルヴァーナが見れば、色んな味の「OYAKI」があるようです。ピザ風味のものやミートソース入りのOYAKIもありますが、これもイタリアンと言えるのでしょうか。
「これは……抹茶か。他の世界でも人気らしいな」
 注文したOYAKIを手に真峰が頷くと、シルヴァーナもほくほく顔でティラミス味のOYAKIを口にします。こうして見るとお祭りの屋台は変わった味のOYAKIが多く、正統派の餡子は意外と少数派のようでした。
(あら、それにしては少し……)
 赤い瞳をいぶかしげに細めて、シルヴァーナが辺りの様子に注意を向けます。
(屋台で売られているOYAKIの数のわりに、餡子の香りが強いような……)
 ずっと匂いを嗅いでいれば気にならなくなってしまうので、周囲の人は気づいていないようですが、確かに違和感があります。真峰も異変に気づいたようで、真剣なまなざしで会場の四方を見渡せば――祭り提灯の間を、ふわぁっと何かが横切っていきました。
(ふよーん)
 ほかほか湯気を立てた未確認飛行物体は、あまーい餡子の香りを漂わせていて、それは彼女たちが手にしている和菓子と、何だかよく似ていたような……。

「『あのお菓子』だ……!」
「ですわね……!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『『あのお菓子』』

POW   :    職人たちのたしかな腕
【自分を作ってくれた過去の職人たちの思い】によって【とても美味しそうな匂い】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
SPD   :    あんこりおんヴォイド
自身の【体】から【あんこ】を放出し、戦場内全ての【食欲】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
WIZ   :    あんこパフューム
体内から常に【美味しそうなあんこの香り】が放出され、自身の体調に応じて、周囲の全員に【好印象】もしくは【空腹】の感情を与える。

イラスト:イツクシ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ふよふよと飛んでいく『あのお菓子』たちの後を追いかける内に、お祭り会場の外れまでやって来ました。
 そこにぽつんと佇む一軒の屋台に、人の気配はありません。しかし――そこからはほかほかと湯気が立ちのぼり、美味しそうなあんこの香りが漂ってくるではありませんか。
 この場所こそが物の怪、オブリビオンの棲み処に違いありません!
 猟兵たちが踏み込もうとしたその時、ふよーんと『あのお菓子』が目の前を過ぎって、怪しい屋台から次々に『あのお菓子』たちが飛び出してきました。
 幾多の名を持つ神出鬼没のオブリビオン。地域によって名前が異なる、今回は「OYAKI」と呼ぶことにした『あのお菓子』。戦闘能力は皆無ながら、彼らを放置しておけば「飯テロ」という名の大災害を引き起こしてしまいます。
 あああ、こうしている今も美味しそうな匂いが。幸い、彼らは「自分を食べてくれる」存在がいると普通のOYAKIになるので、おいしく戴くことで成仏させることが出来そうです。もちろん普通に戦っても大丈夫です。

 そろそろ胸やけがしてくる頃かもしれませんが、『OYAKIフェスティバル』後半戦のスタートですよ。
ココ・ロロ
戦うのはとくいではないココですが
食べることならおまかせくださ~い!

…はっ、あぶない(?)やもですから
お友達のみんなはOYAKIクッションの上で遊んでてくださいね
もしも飛んできたときは
ココがおいしく食べちゃいますから教えてくださいな~

さてさて
ふふー、ココに食べてほしいおやきはどの子ですか~?
見た目はさっき食べたおやきとかわりませんがー…
ふふ、あんこなお味もおいし~!
ハムマヨとキャラメルもおいしかったですが
もちもち生地とやさしいあまさでいくらでも食べられちゃいそうな~
ふふー、お腹いっぱいになるまでがんばって食べちゃいますよ!
もちもち、あまあま
えへへ、おやきもココの好きなおやつリストに仲間入りです!



「焼きたて」と書かれたカラフルなのぼりの傍にある、無人の屋台がオブリビオンの棲家でした。
『あのお菓子』たちは続々と集結しつつあるようで、今もどこからか「ふよーん」と新たなOYAKIが飛んできて、屋台のラインナップに加わっていきます。
「むむ、どうやら、だいぶ数がおおいようですね……!」
 きりりと真剣な表情をして、物の怪の群れと向き合うのはココ・ロロ(ひだまり・f40324)です。辺りに漂うあんこの香りはどんどん強くなっているようで、森の動物さん達も心なしかそわそわしているようでした。
「……戦うのはあまりとくいではないですが、でも」
 両手で抱えたOYAKIクッションにぎゅっと顔を埋めて、静かに呟くココですが――ややあって顔を上げた彼は、ぱああっと陽だまりのような笑みを浮かべると、頼もしい声で宣言します。
「食べることならおまかせくださ~い!」
 そこで「ぽふーん」とクッションの上で、楽しそうに動物たちがジャンプしました。ちゅうちゅうと元気な鳴き声をあげる仲良しネズミ達は、ココを応援してくれているみたいですね。森の友達が一緒ならとっても心強いですが、今回は一応集団戦のため、ちょっぴりあぶないかもしれません。
「なので、みんなはOYAKIクッションの上で遊んでてくださいね~」
 流れ弾、もとい流れOYAKIが飛んできたらココがおいしく戴くことに決めて、少し離れた場所にクッションを置いておきます。もちもちでだいぶ厚みがあるので、冷たい雪も何のそのです。
「ふふー、ココに食べてほしいおやきはどの子ですか~?」
 キマイラの尻尾をぱたぱた揺らして待ち受ければ、ふよーんとOYAKIが飛んできてココの手のなかに収まりました。出来立てほかほかで、見た目は先ほど食べたOYAKIと変わりません。
「ふふ、あんこなお味もおいし~!」
 ――ぱくり。もちもち生地から溢れるあんこの優しい甘さは、まさに原点回帰。ハムマヨとキャラメルを食べたからこそ分かる、オリジナルの妙と言えるでしょう。
「これは、いくらでも食べられちゃいそうな~……ふふー、お腹いっぱいになるまでがんばって食べちゃいますよ!」
 もちもちで、あまあま。あんこ本来の美味しさを引き出す、職人たちのたしかな腕を感じてココが幸せ気分に浸っていると、その気持ちが伝わったらしく周囲の『あのお菓子』たちも、きらきらとした光に包まれて昇天していきます。何だかパズルゲームの連鎖が起きたみたいですね。
「これで、おやきもココの好きなおやつリストに仲間入りです!」
 動物さん達の声援に応えながら、ばっちり勝利のポーズを決めるココなのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エヴァンジェリン・アルベール
WIZ判定

ええええぇぇぇ!?えっ?お…おま、お祭りってこうなるんですかぁ?
え、馬鹿な私が浅学にして無知蒙昧だから知らないだけ?
そうですよね、ごめんなさいごめんなさい……いやそうかなぁ…?

戦う?戦うんですよね?わ、わわわわっわわかりましたぁ
「やや…や…やぁ~ってやりますよ!あと先ほどはチーズOYAKI大変美味しゅうございましたぁ!」
魔王代理の召喚を使用して、土下座で魔王城の仲間に来ていただきます!
今日の担当は…あ、ゴブリン様達の予定ですね。

戦う戦力は用意しましたが、これ戦う必要あるかなあ…?
なんかすごい【空腹】ですし…みんなで食べますか……。
「もぐ…美味しい。魔王城のラインナップに加えます?」



 晴れ渡る空に、ほかほかとした湯気が狼煙のように立ち昇っています。眩しい雪景色のなか、ぽつんと佇むのはひと気のない屋台――一見、のどかな光景のようですが、この場所こそ『OYAKIフェスティバル』後半戦の舞台です。
「ええええぇぇぇ!? えっ? お……おま、お祭りってこうなるんですかぁ?」
 ふよふよーん。どこか呑気に宙を舞いながら、屋台に集結していく『あのお菓子』たちを目にして、エヴァンジェリン・アルベール(従属する魔王代理・f45099)が可愛らしい悲鳴をあげています。
 空を飛ぶOYAKIとは随分シュールな光景で、もしかしたらこれもお祭りの演出なのか→そう言えばトマトを投げるお祭りもどこかにあったような→ああ馬鹿な私が浅学にして無知蒙昧だから知らなかっただけ? ……そうですよね、なんて思考がどんどんマイナス方面に寄っていって、ついOYAKIの群れに土下座してしまうエヴァンジェリンなのでした。
「ああ、ごめんなさいごめんなさい……いや、そうかなぁ……?」
 平身低頭で謝りながらもだんだん自信がなくなってきて、横目でちらりと辺りの様子を伺います。気のせいか「集団戦なので戦ってください」というカンペが見えたような気がしました。
「わ、わわわわっわわかりましたぁ! やや……や、やぁ~ってやりますよ!」
 主のマントをばさりとひるがえし、魔王代理としてさっそく配下の召喚を行います。どこからか格好いい風が吹いてきて、エヴァンジェリンの長い黒髪を揺らしました。
「魔王代理の名において命じます――、……惨めで愚かな我をどうか助けてくださいお願いします、あと先ほどはチーズOYAKI大変美味しゅうございましたぁ!」
 台詞の後半がどうにも締まらず、決めのポーズもやっぱり土下座でしたが、本日の担当はゴブリンの皆様です。
 魔王城から団体でやってきた彼らは、一般的に雑魚モンスターと見なされがちですが、性格は邪悪で貪欲とされています。こわいですね。しかし――、
「これ、戦う必要あるかなあ……?」
 ずらりと揃ったゴブリンズを前に、首を傾げるエヴァンジェリン。辺りには美味しそうなあんこパフュームが漂いまくって、皆の空腹をどんどん掻き立てていきます。
「みんなで、OYAKI食べますか……」
 いそいそと『あのお菓子』を手に取って頬張れば、甘いあんこが口いっぱいに広がって幸せな気持ちになります。
 ちなみに今回やって来たゴブリンさん達はマナーの良い紳士で、全員ちゃんと正座してOYAKIを戴いていました。主が蒸せないよう、そっとお茶を淹れてくれるゴブリンもいます。
「もぐ……美味しい。魔王城のラインナップに加えます?」
 車座になってもぐもぐ食べながら、そんなことを提案するエヴァンジェリンなのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガスパール・アーデルハイド
さて。
おなかも満たされたことではあるし
猟兵としての本来の仕事…
オブリビオン退治に向かうとしようか
たぶん初めて討伐するような気もするが
……??あのお菓子が浮いてるような…
OYAKIリオン…?呼び名ってむずかしいな

では、と体温を代償に剣の創造を
寒いので出来ればあまり頑張りたくないが(正直
ちっさいナイフのような剣を手に
大丈夫おれには多分やれる。……たぶん

OYAKIの中身は何だろうな、と
手近にいたひとつを真っ二つに
こし餡か粒餡か……食べても普通においしいな
周りに漂っているのは
美味しそうなあんこの香りが多数
変わり種はいないだろうか探してみたり
アデルは其処で見守っていてくれ
おれは今、真剣に狩りをしている



 ――さて、と軽く頷くと、ガスパール・アーデルハイド(護森狼・f44874)は手入れの行き届いた装備に手をかけました。ここからは猟兵としての本来の仕事、オブリビオン退治になります。
(おなかも満たされたことではあるし、向かうとしようか)
 たぶん、本格的な討伐を行うのは初めてになりますが、狩猟者として経験を積んできたガスパールです。狼の耳が冷たい風に過ぎる獲物の気配を感じとったところで、雪を蹴立てて素早く距離を詰めます。
「……?? あのお菓子が浮いてるような……」
 ふよーん。雲ひとつない真っ青な空を、一列になって飛んでくるのは先ほど食べたOYAKIでしょうか。集団戦だというのに何とも気の抜けるような光景でしたが、果たして彼らのことはどう呼ぶべきなのでしょう。
「OYAKIリオン……?」
 数拍おいて、ぽつりとガスパールが呟けば、傍らにいるアデルの羽ばたきがやけに大きく聞こえました。
 ――呼び名ってむずかしいな、と改めて思いつつ、こちらに迫る『あのお菓子』たちを迎え撃ちます。
(寒いので、出来ればあまり頑張りたくないが)
 自身の体温を代償に、生み出したのは絶対零度の剣。代償に支払う「ほかほか」が大きいほど剣の威力も増すのですが、辺りが雪で真っ白なこともあり、今回はちっさいナイフのような剣を創造してみました。それでもさっき食べたOYAKIのカロリーが持っていかれた気がして、少ししょんぼりしてしまうガスパールです。
「大丈夫。おれには多分やれる。……たぶん」
 ケーキナイフみたいな剣を逆手に構えて、まずは手近にいた『あのお菓子』を真っ二つに。
 すぱっ――と鮮やかな切り口を見せて、半月状になったOYAKIを両手でキャッチすると、辺りにふんわり美味しそうな匂いが漂います。中身は何だろうな、とガスパールが見てみれば「こしあん」のようでした。
「うん、……食べても普通においしいな」
 職人たちのたしかな腕を感じさせる、老舗和菓子店の高級そうなOYAKIです。辺りに漂うオブリビオンたちは、失われた過去の化身――失われたOYAKIの集合体なのでしょう。だとすれば、このあんこの香りには、もっと皆に食べて欲しいと願う、職人さんやOYAKIたちの想いが詰まっているように思えました。
「アデルは其処で見守っていてくれ」
 灰色の瞳を眇めて|狩人《ハンター》のように獲物を狙うガスパールを、少し離れた場所からアデルが応援しています。
 その時、変わり種のOYAKIリオンを見つけた彼の手元で、絶対零度のケーキナイフが冷たい光を放ちました。
「――おれは今、真剣に狩りをしている」

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・ドレッドノート(サポート)
実年齢はアラフィフですが、外見は20代前後。
行動パターンは落ち着いた大人の振舞い。
口調は丁寧。時折、奇術師らしい芝居がかった言い回しをします。
「さぁ、ショウの始まりです!」等。

技能、ユーベルコードは状況に応じたものを使用。
身軽で素早い動き、器用さを活かした行動をとります。
主にビットを展開、ビームシールドで防御しつつ、銃器による攻撃を行います。
効果があるなら破魔の力を込めて。

依頼成功のために積極的に行動しますが、他の猟兵や住民の迷惑になるような行動は避けるようにします。

女性には年齢関係なく優しく。
但し、奥さんがいるので女性からの誘惑には動じません。
失礼のない程度に丁寧に辞退します。


風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ヴァンパイアを狩るため、あるいは次に狩るべきヴァンパイアの手掛かりを得るためにここにいる。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。



「……随分と眩しいな」
 サングラスでしっかりと目を守りながら、風雷堂・顕吉(|吸血鬼《ヴァンパイア》|狩人《ハンター》・f03119)が外套をかざして彼方を睨みつけます。爽やかな冬空に雲はなく、真っ白な雪に太陽の光が反射するのは、ダンピールである彼にはちょっと堪えました。いわゆる雪目というやつです。
 逆光のなか、ふよーんとオブリビオンの集団が彼に向かって飛んできますが、ずいぶん面妖な姿をしているようでした。ダークセイヴァーではまず見かけないような――あれは食べ物でしょうか。
(しかし、倒すべき敵には変わりない)
 普段はヴァンパイアを狩っている顕吉なのです。眷属のコウモリが飛んでいるようなものだろう、とすぐに割り切ると、彼は|小竜公《ドラクリヤ》を手にこちらへ押し寄せる『あのお菓子』たちを斬り伏せていきます。
「はっ――」
 群れの塊を貫くように――神速の突きを繰り出してから、返す刀で追撃を行う天地無双剣。
 鮮やかな太刀筋で切り刻まれていった『あのお菓子』は、後に続く猟兵たちが食べやすいような丁度いいサイズになりました。そこへぱちぱちと芝居がかった拍手をしたのは、シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)です。
「……素晴らしい、これは私も負けていられませんね」
 モノクル越しの瞳を興味深そうに細めて、彼が深紅のマントから取り出したのは妖刀のごとき包丁でした。こちらの性別不詳のイケメンさんも、流麗なクッキングを披露して下さるのでしょうか。
 と――そこで、空を飛ぶOYAKIたちがシンに狙いを定めました。
 遠距離からあんこを放出して、食欲を無力化させようとする捨て身の攻撃。しかし、彼は動じることなく優雅に一礼して、手にした包丁を魔法のように消し去ります。
「ターゲット・ロック……さぁ、ショウの始まりです!」
 直後、怪盗のモノクルが標的をロックオンすると、シンの制御下にある全射撃武器が瞬時に現れて、あんこごと『あのお菓子』たちを迎撃していきました。粒子のビームに精霊の弾丸、数々の銃器が火を吹く光景は、お祭りの花火みたいでとっても華やかです。
 じゅわあああ、と美味しそうな音を立てて、たちまち蒸発していくオブリビオンのあんこ。その空腹を誘う匂いも、だいぶ薄まってきたようでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

初雪崎・識
名前を呼んではいけないと噂の『あのお菓子』。ちなみに僕のところはこのお菓子の事を(以下自粛)

わあ、あんこが溢れ出してきた。ほかほか熱い。僕の溢れる食欲を無力にするなんて、強い(確信)
なら、あんこを強硬突破して『あのお菓子』さんに接近。【接触テレパス】で直接対話してみよう。

君は一体、自分の事を何だと思っているのかな? 今……焼きか、大……焼きか。それとも。
大丈夫。キミがどんな名前だろうと、美味しさそのものに変わりはない。みんなに与える満足感は言葉では表しきれないんだ……そんな感じで説得(?)するよ。

うまく伝わって大人しくなってくれたら、美味しく戴くことにする、よ。
ごちそうさまでした。



「あれが……名前を呼んではいけないと噂の『あのお菓子』か」
 ふよふよと空に浮かぶ『あのお菓子』の集団を見上げ、厳かな声で呟くのは初雪崎・識(翠炎の探求者・f44092)でした。何だか意味ありげなラストバトルが始まる予感がしますが、辺りは至ってのどかで、遠くからは「ピーヒョロロロ」ととんびの鳴く声が聞こえてきます。
「ちなみに僕のところはこのお菓子の事を――わぁ?」
 と、識が何かを続けようとしたところで、近くを飛んでいたOYAKIが爆発しそうな勢いで膨らみ、中から熱々のあんこが溢れ出てきました。それ以上は言うな、という無言の圧を感じますね。争いが勃発しそうですし。
 ――それはさておき。試しに識が指ですくってひと口食べてみると、たちまちあんこの甘さが口いっぱいに広がって食欲が満たされていきます。
「……なんと。僕の溢れる食欲を無力にするなんて、強い」
 くっ、と何故か片膝をついて崩れ落ちた識が、黒刀を支えに真剣なまなざしで『あのお菓子』を睨みつけました。
 実力は拮抗している、といったところでしょうか。隅のほうでは、あんこを吐き出し終えたOYAKIがひっそり力尽きていたりしますが、なにぶん数が多いのです。
(なら――)
 刀を握りしめる識の瞳に、確かな光が宿ります。自身に流れる血液を炎に変え、あんこの雨が降りそそぐ中を強行突破――翠炎の尾で周囲を薙ぎ払い、行く手を阻むあんこを蒸発させると『あのお菓子』の元へ一気に接近します。
(……届いた)
 ほかほか生地に手を伸ばし、そこから接触テレパスで『あのお菓子』と直接対話をしようというのが、識の狙いでした。声はしないけれど、彼らの想いがあんこのように流れ込んできます(胸やけがしそうでしたが、我慢します)
(ね、君は一体、自分の事を何だと思っているのかな?)
 静かに語りかける少女の心に、幾多の名が流れては消えていきます。
 今|……《あんこ》焼きか、大|……《あんこ》焼きか。それとも――伏せ字のようにあんこの塊が過ぎるのは、彼らもまた自身の名前を決めかねているからでしょう。
(……大丈夫。キミがどんな名前だろうと、美味しさそのものに変わりはない)
 だけど、識はそんな彼らを優しく受け入れ、両手を広げるようにして説得します。気のせいでしょうか、接触テレパスを通して、在りし日の彼らの姿が見えたような気がしました。
 自分たちを作ってくれた、過去の職人たちの姿。お店にならぶ自分たちを買いにきたお客さん。おいしいねと笑顔になってくれた、沢山の人たち――。
(ああ、そうだよ。みんなに与える満足感は、言葉では表しきれないんだ……)
 遠くから聞こえてくるお祭りの音に耳を澄ませながら、少女が感謝の想いを伝えると、いつしか『あのお菓子』たちはあんこを吐き出すのを止めて大人しくなっていました。
 そう、無為に寿命を削ることはしなくていい。美味しく戴くことにするよ、と頷いて識はOYAKIを手に取ると、じっくり味わって食べていきます。もちろん、最後に両手を合わせてこう言うのも忘れずに。

「……ごちそうさまでした」

 気がつけば『あのお菓子』の群れも無人の屋台も、辺りから姿を消していて――ただ、頭上には春の訪れを感じさせるような青い空が、どこまでも広がっていたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年03月05日


挿絵イラスト