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Cat's Curse

#アルダワ魔法学園 #戦後 #猫の国

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#戦後
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#猫の国


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●メーオ
 なだらかな平原を、そっと風が撫で去っていく。空は透き通る様に澄み渡って、空高く昇る太陽は、ぽかぽかとした陽気を放って。
 そろそろ春の訪れだろうか。少し前までは、冷たい空気は肌を刺すようであったけれど、今は瞼が帳を下ろしそうな程に暖かい。
 此処は、アルダワ世界にある猫の国。
 其の名の通り、ケットシーの猫王が統べる妖精の国。
 猫の気質故か、ころころ法律は変わるし、好奇心に負けて愉快な流行が流行ったりする以外は、普通の国。
 の筈だった。
『猫は愛玩されてこそ!法律なんぞ関係ニャい!!』
 そんな宣言と共に現れたオブリビオンによって、猫の国は混乱に陥った。

『ふにゃぁん……!』
『みゃう、みゃううう????』
『にゃーん、にゃ、にゃにゃ!なぅ、みゃーーーーう!!!!』

 此処は平和な猫の国、だった。

『ニャははは!理性ニャど捨ててしまえ、野生に還るのだ!!それこそが、ネコの在るべき姿ニャ!」

 なんかよく分からないオブリビオンに、国民全員が、只の猫の姿に変えられてしまう前までは、平和な猫の国だった。

●ケディ
「……ねこさん……!」
 普段の無機質な様子は何処へやら。双眸異なる瞳が、普段と違ってきらきらと輝いている。
「……!……こほん、……えぇ、と、……事件、です……」
 は、と集った猟兵の姿に気が付き、神宮時・蒼(追懐の花雨・f03681)はさっと視線を逸らす。先程の醜態を思い出してか、頬がほんのり朱に染まっている。
「……アルダワ世界、にて、事件、です」
 世には、猫の日、と呼ばれる日があるらしい。其れを知ったオブリビオンが声高らかに主張をしたらしい。
 曰く。
 ―猫は愛玩されてこそ、猫なのだと!!

 なんて?

「……ええと、何に、触発、された、のかは、わかりません、が。……猫の国の、皆様を、ただの、猫に、変えて、しまった、らしくて」
 曰く、此れは呪いなのと。猫の日に触発されたんだか何だか知らないが、ケットシーにとってはいい迷惑である。
「……其れで、呪いの、解き方、なの、ですが」
 兎に角、ねこさんを、愛でて、愛でて、愛でて。愛玩の欲求を満たしてやればいい、との事。

 なんて??????

「……春が、近く、なって、来ました、し」
 ええ、きっとそういう事なんでしょう、そういう事にしておいてください。
「……皆様には、まず、猫の国に、赴いて、いただいて、ねこさんを、たくさん、愛でて、ください」
 ねこさんへの愛が強ければ、愛玩の呪いは相殺されてケットシーも元の姿に戻るよう。
 自分の|呪い《魔術》が破られれば、我慢出来なくなったオブリビオンも自ずと姿を現すだろう。
「……皆様、なら、何とか、出来ると、信じて、います」
 ねこさんを、助けて、あげてください、と蒼は頭を下げ、転送の準備を始めるのだった。


幽灯
 |幽灯《ゆうひ》と申します。
 今回は、アルダワ世界のお話をお届けします。
 コンビニで猫の日だと知りました。
 つまり、頭悪いシナリオです。

 マスターページの雑記部分とOPのタグにプレイング受付日と締め切り日を記載させていただきます。
 お手数ですが、一度ご確認をお願いいたします。
 場合によっては再送をお願いする事もあるかと思います。
 なにとぞご了承くださいませ。

●1章
 呪いで猫になってしまったケットシーの皆さんを愛でましょう。
 思考まで猫レベルに低下していますが、ほんの少しの理性は残っているようです。
 変な愛で方をしたら全力で怒られます。

 此方の章でのみ、蒼に何かあればお声がけいただければと思います。
 たぶん、全力でねこさんを愛でてます。

●2章
 件の呪いを振り撒いたオブリビオンとの戦闘になります。

 複数名様でのご参加は3名まで。
 ご一緒する方は「お名前」か「グループ名」を記載してください。
 其れでは、善きお祭りを。
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第1章 日常 『もふもふなお手伝い』

POW   :    動物をたくさん運ぶ等、力仕事でできるお世話

SPD   :    ブラッシング等、自分の器用さ・技量を活かしたお世話

WIZ   :    動物に関する知識等を活かしたお世話やアドバイス

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●あどまいりんぐ
 普段であれば、理知的なケットシーが住まう猫の国であるけれど、其の姿は今は無く。
 道端で日向ぼっこをする猫。優雅に屋根の上を散歩する猫。じぃっと此方を観察する猫―。
 何処を見ても、野生の猫の姿そのものに。
 ……ほんの僅かな理性は残っているが故、姿が戻った時の羞恥を考えると。否、野暮な事を考えるのは辞めておこう。
 やっぱり、少しのフォローは必要だろうか。
 けれど、今は此の現状を何とかするのが最優先。
 逸る気持ちを押さえながら、猟兵達は|猫の楽園《にゃんぱら》に足を踏み入れるのだった。
 ―其の手に、たくさんの猫グッズを携えながら。
夜鳥・藍
SPD

野生の猫さんは愛玩も何もない気がいたします。その呪いは矛盾しておりませんか?

呪いの元凶への疑問矛盾はあとでぶつける事にして。
……どうしましょうどうしましょう……!
普段のきりりとしたケットシーさん達もとっても素敵ですが、そのですね、とっても猫さんな姿も可愛らしくて!

一緒に遊ぶというよりはブラッシングやおやすみのお手伝いをしましょう。
ふかふかのブランケットに毛並みに合わせたブラシ各種を揃えて。
もし汚れてしまってもブラッシングで整えれば気にならなくなるでしょうし。
お洋服を着てない事に落ち着かなくともブランケットにくるまればきっと落ち着きますし、さらにあったかい。



●にゃん
 長い冬の終わり。頭上で輝く太陽は、柔らかな日差しを伴って、空気を温める。
 葉を落とした枯れ木は、小さな新緑の芽を宿して、季節の移り変わりの準備を始めたよう。
 そんな柔らかな空気に感化されたのか。夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)の視界の隅で、くぁ、と猫が大きな欠伸を一つ、零す。
 何とも微笑ましい光景であるけれど、此れが野生の猫ではなくケットシーだと言うのだから呪いとは何とも恐ろしい。
 のだけれど。
「……野生の猫さんは愛玩も何もない気がいたします」
 総じて猫はプライドが高い生き物。野生の猫なんて其の最たる例である。
「その呪いは矛盾しておりませんか?」
 愛玩し、溶ける猫の姿も可愛いけれど、孤高の姿こそ猫であろう。なんて、浮かんでは消える疑問に、藍はモヤモヤしつつも、今は此の目の前に繰り広げられる光景に注視する事にする。
 ―だって。
(……どうしましょうどうしましょう……!)
 ケットシーと言えば、猫の姿をした妖精である。気まぐれな部分は猫と変わりないが、|此の国《猫の国》を納める程の知性を持った、人よりの生き物である。
 それが、今!
「普段のきりりとしたケットシーさん達もとっても素敵ですが、そのですね……!」
 揺れる草葉を見て、姿勢を引くくしてゆらゆら尻尾を揺らす猫の姿を見ながら、藍の白い頬がゆっくりと朱に染まっていく。
「とっても猫さんな姿も可愛らしくて……!」
 我慢出来ずに草葉へと飛び掛かる猫の、何とも可愛らしき姿に藍はもうメロメロである。
「何時間でも此の光景を眺めていられる自信はありますが……」
 此れはオブリビオンが引き起こした事件なのだ。―そう、事件なのだ。
 気を取り直して、藍はそっと眼前の|猫の楽園《にゃんぱら》へと足を向ける。
 一緒に遊ぶのも勿論魅力的ではあるけれど。
 ふかふかのブランケットを手に、藍はゆっくりと猫へと近付いて、視線を合わせる。
「ブラッシングさせていただけませんか?」
 声を掛けられたグレーの毛を持つ猫は、ぱちり、と飴色の瞳を瞬かせながら、小さくにゃあ、と鳴き声を上げた。
 特に抵抗する様子も無かった為、そっと猫を膝の上に敷いたブランケットに乗せ、まずは藍の手でそっと背を撫でる。
 ほんの少し、ごわついた感触が藍の掌に伝わる。膝の上の猫は短毛種であるようなので、まずはラバーブラシでそっと背中から毛並みに合わせてブラシを滑らせる。
 ブラッシングしながら、猫に怪我が無いか、皮膚に炎症が起こっていないかチェックしていく。
 気持ちが良いのか、藍の膝の上で猫が小さくゴロゴロと喉を鳴らした。
「……あったかい」
 猫の高い体温が、ブランケットを通じて藍の膝に伝わってくる。
『にゃあーん』
 ころり、と藍の膝の上を猫が転がって、お腹を見せる。
「次はお腹をブラッシングしてもよろしいですか?」
 腹部は猫の急所の一つである。其れを見せてくれるという事は信頼されている事と同意。
 そんな猫の仕草に笑みを零しながら、藍は優しい手つきでブラッシングを再開するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リリィ・ローゼ
SPD 連携・アドリブ歓迎

わたしはフェアリーだから、猫さんは対等なお友だちサイズなのよね
確かにみんな可愛がりたい姿をしてるけど、
呪いでねじ曲げてまで可愛がるなんて
それって何だか違う気がするのだわ
すぐに戻してあげるから、待っててね、ケットシーのみんな!

小さな体を活かして、自分にじゃれつきたくなるような動きで飛び回る
「ほらほら、こっちよ! いっぱい遊びましょ?」

疲れた猫さんは撫でたり、一緒にお昼寝に付き合う
普段は大人なケットシーさんもいるかもしれないけど、
今だけは小さなお友だちなのだわ

せっかくだから、いたずらや冒険にも、つきあっちゃうのだわ!



●にゃん
 柔らかな風が、顔を出した草の葉をそぅっと撫でる。
 澄んだ空は、何処までも青く。ぽつり、ぽつりと点在する雲は、ゆったりと空を泳ぐ。
 日向ぼっこをする猫の背中を、風が一撫でして去っていく。
 ぱたぱたと、透き通った羽根を羽搏かせて、リリィ・ローゼ(フェアリーのシンフォニア・f04235)が周囲の様子を見て回る。
「確かにみんな可愛がりたい姿をしてるけど……」
 何も知らない人が見れば、猫の楽園のような場所だけれど。
「呪いで捻じ曲げてまで可愛がるなんて、それって何だか違う気がするのだわ」
 彼らの本来在るべき姿はケットシーである。猫は可愛がるべき生き物であるかもしれないが、其れは、誰かの欲によって捻じ曲げて良い物ではない。
「すぐに戻してあげるから、待っててね、ケットシーのみんな!」
 ぐ、と拳を握って、リリィは決意を固めて思い思いに過ごす猫たちの姿を見やる。
 フェアリーであるリリィにとって、猫は等倍のサイズに等しい。
 故に、其の小さな身体を生かすように、猫の周囲をふわり、ふわりと飛び回る。
「ほらほら、こっちよ!いっぱい遊びましょ?」
 猫とは総じて、動くものに夢中になる性質を持ち合わせる。―其れは、獲物を捕らえる狩猟本能。
 ふぅわりと飛び回るリリィの姿を視界に収めた猫が、其の動きをじっと注視する。
「怖くないよ、追いかけっこしましょ」
 のそりと起き上がった、三毛猫が体勢を低くして、リリィに飛びつこうと尻尾を揺らす。
『にゃあー!』
 地面を蹴り上げ、迫る三毛猫をリリィは宙を旋回する事で回避する。
「ふふ、上手なのだわ。次はこっちなのだわ!」
 三毛猫の隣すれすれを通り過ぎて、小さな手で拍子を打って気を向ける。
 そんなやり取りを何度か繰り返せば、気を許したのか、三毛猫がリリィに顔を擦りつける。
「わ、わ。くすぐったいのだわ!」
 ふわふわの毛並みは太陽の香りがして。三毛猫のじゃれ合いを、リリィは全身で受け止める。
 そっと頭に手を伸ばして、毛並みに沿って撫でれば、柔らかな感触が手に伝わる。
 猫にされてしまったケットシーの中には、大人の個体も居ただろう。けれど、全てが猫の姿にされてしまった今。
「今だけは小さなお友だちなのだわ」
 ゴロゴロとじゃれついてくる三毛猫の頭を撫で続けながら、リリィは優しく笑みを浮かべる。
「せっかくだから、いたずらや冒険にも、つきあっちゃうのだわ!」
 おー、と手を掲げると、三毛猫が小さく首を傾げる。
「猫さんの好きな場所を案内してほしいのだわ」
 そんなリリィの言葉に、にゃん、と返事が返って来て。一人と一匹は、小さな冒険へと繰り出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティタ・ノシュタリア
【💫💫】
猫の国のみなさんが…!
解呪、おまかせくださいねっ!がんばりましょうマシュマローネっ!
口ではきりっと言ってみますが、集まってきた猫さんたちにめろめろで
えへへー、大得意ですよぅ!いーっぱい愛でちゃいますからねっ!

ぴょこぴょこの猫じゃらしでいっしょに遊んで
仲良くなれたら抱っこしてなでなで!
ふふふー、かわいいっ…!

ひとしきり愛でたら、最後はごはんタイム!
ふたりでお料理してると、猫さんたちも興味津々で
あっ…まだ食べちゃだめですよー?
レシピを教えてもらいながら、できたのは猫さん愛をいーっぱい込めたごはん!
どうぞっ!召し上がれっ!
猫さんと、私たちと
かわいいとおいしいに包まれながら、笑顔を咲かせて


マシュマローネ・アラモード
【💫💫】
えぇ!猫の国の一大事!
ティタ、頑張りましょうね!

モワ、解呪方法は、愛でること、ティタはお得意ですわね?私もおやつに夏梅石またたびせきの櫛に、準備は万端ですわ!
ふわふわの猫さんにはふわふわブラシで撫でてあげて、おやつのカリカリクッキーをあげて、短毛の猫さんには櫛で毛繕い、くすぐってあげるように撫でてあげて……。

モワ!ごはんタイム!
チキンとエッグソースのサラダはいかがでしょう!
ササミと温野菜を蒸して、細かくして、卵黄を合わせて完成です!
卵白は淡雪卵にしてデザートに!
モワ!ちょっと味付けすれば、私達もご一緒に頂けるレシピになりますわ!

それでは!かわいい猫さんと、美味しいごはんタイムを!



●みゃーう
 見上げた空は、太陽高く、透き通った青色が何処までも広く拡がるばかり。
 元々はたくさんのケットシーが暮らしていたであろう猫の国は、今は其の名の通り、何処を見渡しても猫の姿で溢れかえっていた。
「猫の国のみなさんが……!」
 目の前の光景に、ティタ・ノシュタリア(夢を見る|宇宙《そら》・f38779)は、思わず両手で口元を覆う。
 其の口許は、ゆるっゆるに緩んでいるけれど。
「ええ!猫の国の一大事!」
 そんなティタの姿を、マシュマローネ・アラモード(第一皇女『兎の皇女』・f38748)が優しい笑みを浮かべて見つめていた。
 何とも愛らしい光景だけれど、自然由来ではなく、悪意ある呪いによって齎されたのなら、話は別である。
「解呪、おまかせくださいねっ!がんばりましょうマシュマローネっ!」
 ぐっと両手を握り締め、傍らに立つマシュマローネに声高らかに宣言する。―其の橄欖石の瞳は、きらきらと溢れる好奇心を隠せてはいなかったけれど。
「ティタ、頑張りましょうね!」
 そんな好奇心溢れる笑みを、マシュマローネも柔らかな笑みで応える。
「モワ、解呪方法は、愛でること、ティタはお得意ですわね?」
 持参した夏梅石―別称・またたび石、の櫛を手に持ちながら、ティタへと問いかける。
「えへへー、大得意ですよぅ!いーっぱい愛でちゃいますからねっ!」
 初めて見る来客の姿に、興味を持った猫たちが二人へと、若干の警戒をしながら近づいてくる。
 恐る恐る近付いてくる猫の姿に、先程までのきりっとした口調は何処へやら、今はもう口許がゆるゆる緩んで破顔状態。
「わたくしも準備は万端ですわ!」
 ゆらゆらと、マシュマローネが手にした櫛を揺らすと、集まって来た猫の視線も其の動きに合わせてゆっくり動く。
「……か、可愛っ……!」
 そんなに姿に、ティタが両手で口元を覆い隠し、大きな声が漏れるのを防ぐ。マシュマローネが持つ夏梅石は、猫だけが感じ取れる香りを放つ水晶。
 うずうずしているのか、集った猫の尻尾がゆらり、ゆらりと好奇心に揺れる。
 猫たちを驚かせないように、ゆっくりと地面に腰を下ろして、両手を広げる。敵意が無い事を示せば、しばらくの後、一匹の猫が二人へゆっくりと近付いてくる。
「ふふふ、いっしょに遊びましょうねっ!」
 ティタが取り出したのは、先端に羽根飾りが付いた猫じゃらし。
 右に、左にゆっくりと振れば、本能を刺激されたのか、しゅばっと機敏な動きで白と茶色の|二色の毛を持つ《バイカラー》猫が飛び掛かる。
 時に素早く、時にゆっくりと。ティタは猫じゃらしを操って、茶トラ猫を翻弄していく。
 一生懸命に猫じゃらしを追う猫の姿を見て、ティタの顔には満面の笑みが浮かんでいる。
 そんな様子を微笑ましく見守りながら、マシュマローネは膝の上に乗った|脇腹に輪の縞模様がある《クラシック・ダビー》猫の背中を、夏梅石の櫛を使って毛繕い。
 頭から背中へと、毛並みに沿ってゆっくり優しく櫛で梳いていく。気持ち良いのか、ゴロゴロと喉を鳴らした猫の顎下を優しく擽るように撫でる。人よりも高い体温が、マシュマローネの手に伝わって。
 其の温かさに、思わずふんわりと笑みが零れる。そっとおやつのカリカリクッキーを差し出せば、すんすんと匂いを嗅いだ後、ぱくり、と口に含んで、もぐもぐタイム。
「ふふふー、かわいいっ……!」
 一頻遊んで、仲良くなったのか、ティタが茶トラ猫を抱っこして、其の喉元をうりうりと撫で擽る。
 ふわふわとした体躯からは、お日様をたくさん浴びた匂いがして、思わず顔を埋めたくなる。
 ―が、幾ら相手が猫の姿をしているとは元の姿はケットシー。全理性を総動員して、沸き上がる欲望を押さえつける。
 何故なら、猫さんに嫌われるのは本望では無いので!
 たくさん遊んで、たくさん癒されて。程好くお腹も空いた事でしょう。
「モワ!ごはんタイムですわ!」
「おいしいごはん、作りますからねーっ!」
 作るのは、チキンとエッグソースのサラダ。鶏ササミを解して、蒸していると其の匂いに釣られたのか、わらわらと二人の元に猫が集まってくる。
 蒸し上がったチキンを冷ましていると、興味津々の猫がふわりと近付いてくる。
「あっ…まだ食べちゃだめですよー?」
 慌ててティタが、チキンを持ち上げる。
 一緒に蒸した人参とブロッコリー。キャベツを細かくして、卵黄を合わせれば―。
「チキンとエッグソースのサラダ、完成ですわ!」
「どうぞっ!召し上がれっ!」
 ことり、とお皿を置けば、一斉に猫たちが集まって、すんすん、と匂いを嗅いだ後、猛烈な勢いで食べ始める。
 そんな様子をティタがニコニコと笑みを浮かべながら見つめている。
 一方のマシュマローネは、余った卵白を解して、砂糖と少々の塩を加えてメレンゲを作り、沸騰前のお湯に入れて、火を通す。
 そうして出来上がったのは。
「モワ!淡雪卵の完成ですわ。ちょっと味付けすれば、私達もご一緒に頂けるレシピになりますわ!」
 ふわふわの白いお菓子をマシュマローネがティタへと差し出せば。
「わ、わ。すごいです、マシュマローネ!」
 美味しそうにご飯を食べる猫たちを眺めながら、二人は出来上がった淡雪卵を口へと運ぶ。
 かわいいと、おいしいに包まれれば、自然と笑顔が咲く。
 ゆったりと、優しい時間が流れていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逆戟・イサナ
同行:ココ少年(f40324)

猫妖精にネコの呪い掛けるって不思議な状況だが…
まァ助けになるなら共に向かうとするかぁ

現地に着いたらさっそく白ネコが増えるの巻
厳密には違うケモノらしいが
行ってらっさいとココ少年には手振り送り
近くにいる猫達の毛繕い手伝いでもしておくか
ブラッシングを手に
近寄ってきそうな人懐っこい猫から順番に
グルーミング屋とかやっても儲かりそうだよなァ

白い少年が戻ってくれば
ネコジャラシを手に
……違うんだ間違えたんだ
けして巫山戯ようとした訳じャあ…
半分くらいはそうかもしれンな
妖怪のサガと言うことで
…割とネコの国の住人になっても
やっていけそうな雰囲気だが
少年の毛繕いもしておくかぁ?


ココ・ロロ
オルカさん(f28964)と
ケットシーさんがお困りと聞いて
えへへ、みんなが元に戻れるようにお助けしますよ!

野生のねこさんということは
隠れてる子がいるやも…?
ココ、探してきますね
猫さん程の大きさの白い獣に姿を変えて
狭いところや猫さんがいそうなところをそうさくです!
怖がらせないようにゆっくり近づいたり
一緒に遊ぼ~ところころしたり

出てきてくれたらオルカさんの元へ
見つけてきましたよ~!
ねこ…じゃらし…?
ココはねこさんじゃ…(ぺしっ
ないのですが…(ぺしぺし
えっ、ココもしてもらえるのですか?
わ~い…はっ
まずはねこさんたちが先です!
もふもふじゃれて遊んでみんなが元に戻ったら
お疲れブラッシングしてくださいね?



●なぁーぅ
 柔らかく照り付ける太陽は、程よい暖かさを伴って、程好い微睡を連れてくる。
 頬を撫でる風は柔らかく、小春日和、と呼ぶに相応しい気候である。
「妖精にネコの呪い掛けるって不思議な状況だが……」
 オブリビオンの考える事はよく分からんなぁ、と逆戟・イサナ(渡し守・f28964)が独り言ちる。
「えへへ、みんなが元に戻れるようにお助けしますよ!」
 其の傍らでは、ココ・ロロ(ひだまり・f40324)が、小さく拳を握りながら、柔らかな笑みを浮かべて、決意を表明する。
 困っている人がいれば、助けてあげなさい―。そう教えてくれたのは、ココと共に暮らすお爺さんだったか。
 そんな決意満ちた発言を聞いたイサナは、頬を指で掻きながら、視線を逸らして。
「まァ助けになるなら共に向かうとするかぁ」
 なんて思っていたのが十分前の出来事。
「野生のねこさんということは、隠れてる子がいるやも……?」
 思い思いに寛ぐ猫の姿を見て、ココが何か考えていたと思ったら。
「ココ、探してきますね」
 ぽん、と軽やかな音を立てて、ココが猫と同程度の白い獣に姿を変える。ふわふわと白い羽根を揺らしながら、街の中へと走り去ってしまった。
「あ、おい……」
 イサナが声を掛けるも、其の姿は既に遠く。
「行ってらっさい」
 伸ばしかけていた手は、そのまま駆けだして行ったココへと振る形で落ち着いた。最も、其の声が届いているかも怪しいけれど。
 一人残されたイサナは、小さく息を零してから、ぐるりと周囲を見回す。
 日向ぼっこをする猫、此方の様子を窺う猫、毛繕いをする猫―。
「とりあえず、近くにいる猫達の毛繕い手伝いでもしておくか……」
 警戒されぬように、ゆっくりと地面に座って。敵意が無い事をアピールするように手を広げる。
 ぱちり、と瞳を瞬かせた猫が、好奇心に負けて近付いていく。近付いてきた猫の頭をうりうりと撫でながら、イサナは膝の上に猫を乗せて、ブラシを滑らせる。
 毛の流れに沿うように、ゆっくりと優しく。猫の頭から背中へとブラシを掛けていく。
「グルーミング屋とかやっても儲かりそうだよなァ……」
 ゴロゴロと喉を鳴らす猫を見て、イサナは空を見上げた。
 一方のココは、建物の隙間や軒の下、屋根の上や木の上を捜索していた。
 狭い場所や高いところ、日当たりの良い所は、猫の好む場所である。
 くぁ、と大きな欠伸をしている猫に警戒されぬようにゆっくり近付いて、じぃ、と見つめる。
「こんにちわー?」
 此方に気付いた猫が、ココの姿をじっと見つめて。害のない、友好的な相手だと判断したのか、ぺたり、とココの鼻先に自身の鼻先をくっつけて挨拶を交わす。
「あっちで、みんなと一緒に遊ぼー?」
 なんて首を傾げてみれば、やや考えた後、にゃあ、と色よい返事が返って来て。
 そんな出会いとお誘いを繰り広げて、ココは仲良くなった猫を連れてイサナの元へと戻る。
「見つけてきましたよ~!」
 ココのふわふわの尻尾が、たくさんの猫と知り合った喜びで揺れている。意気揚々と戻れば、其処には猫じゃらしを手にしたイサナの姿。
 猫と遊んでいたのだろうか。猫じゃらしを前に、背を低くして飛び掛からんとしている猫の姿がイサナの影からそっと見えた。
「わぁ、ねこさん、たくさんですね」
「おゥ、おかえりィ」
 なんて言いながら、イサナがココの目の前で猫じゃらしを振る。
「ねこ……じゃらし……?」
 ゆらゆら揺れる猫じゃらしを、ココの瞳がゆーらりと追いかける。
「ココはねこさんじゃ……」
 ぺしっ。
「ないのですが……」
 ぺし、ぺし、ぺいっ!
 獣の姿に引っ張られたのか。揺れる猫じゃらしを、白いふわふわの手が追いかけては払い落とし、追いかけては払い落とし。
 しばし、無言の時間が続くも、我に返ったのかイサナが片手で顔を覆う。
「……違うんだ間違えたんだ。……けして巫山戯ようとした訳じャあ……」
 同じ大きさ、ふわふわの毛並み―。
(いや、半分くらいは猫なのかもしれンな……)
 他の猫たちとも仲良くなったようだし、ココは猫の国の住人になってもやっていけそうな雰囲気である。
 猫じゃらしに釣られてしまったココは、ほんの少しぷぅ、と頬を膨らませる。
「まァまァ、機嫌直せよココ少年。少年の毛繕いもしておくかぁ?」
 苦笑を浮かべながら、イサナが自身の膝をぽんぽんと叩く。
「えっ、ココもしてもらえるのですか?」
 ぱっと、表情が喜色で溢れる。―気にはなっていたのだ。
(オルカさんのまわりにいるねこさん、みんな気持ちよさそうです)
 きっとあの大きな手で撫でられたら気持ちいいのだろう。
「わ~い……!」
 なんて、元気よく返事をして、ご機嫌にもふもふの尻尾を揺らしながら一歩足を前に出して。
「……はっ!」
 思わず我に返る。
「ち、ちがいます。ココじゃないです、まずはねこさんたちが先です!」
 己の欲求に負けてしまいそうになったことをほんの少し恥ずかしくなりながら、ココはイサナに抗議の声をあげた。
「悪ィ、……少年は後で、なァ」
「みんなが元に戻ったら、お疲れブラッシングしてくださいね?」
 今は、目の前で期待に瞳を輝かせる猫と遊ぶのが先である。ころころと、丸い毛糸玉をイサナが抛る。
 我先に、と猫と一緒にココが毛糸玉に飛びついて、ふわふわの塊が出来上がる。
 楽しそうに遊ぶココの姿を横目に、イサナもまた猫じゃらしを手に取って。
 穏やかな時間が、ゆっくりと流れていく。楽しそうな獣たちの聲は、澄んだ空によく響き渡るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フール・アルアリア
猫!猫猫猫猫!見渡す限りの猫!
つまり此処こそが楽園(エデン)だね!
任せて、とても愛でる。めっちゃ愛でる。
例え帰宅後、僕の飼い猫(ごましおちゃん)に猫パンチされようとも、猫を愛でずにいられないのが猫奴隷の性ってもんだよね!
ごましおが一番可愛いけれどそれはそれ、これはこれ。

まずはおやつ!キングサーモンのニャールがいい?それとも名古屋なんちゃらの鶏肉ニャール?クロマグロのニャールだってあるよ!
おやつ食べたらいっぱい遊ぼう!僕は高いところまで跳べるんだから全力で追いかけっこでもいいし、猫じゃらしだって任せて!
疲れたら一緒にお昼寝しよ!パーカーのフードの中、どうぞ!おなかのる?猫様の望むままに!!



●にゃぉーん
 空は、何処までも澄み渡る快晴で。頭上で輝く太陽は、程好い熱を地上へと降らせる。
 猫が好む場所の一つに、日当たりの良い場所が挙げられる。
 其の言葉通り、日当たりの良い屋根の上や、広場など、たくさんの猫の姿が見受けられた。
「猫!猫猫猫猫!見渡す限りの猫!」
 きらきらと、フール・アルアリア(No.0・f35766)は躑躅色の瞳を輝かせて周囲を見回す。
「……つまり、此処こそが|楽園《エデン》だね!」
 もふみ愛好家であるけれど、生もふなれば、フールの気分も一層高揚する。
 此度の呪いは、猫を愛でて、愛でて、愛玩の欲求を満たせば溶けるのだという。
「任せて、とても愛でる。めっちゃ愛でる!」
 ―例え、帰宅後に飼い猫である|白い体躯に黒い斑模様がキュート《しろくろとびねこ》な、ごましおちゃんに猫パンチされようとも。
「猫を愛でずにいられないのが猫奴隷の性ってもんだよね!」
 猫奴隷にとっては、猫の一撃でさえご褒美に為り得るのです。分かります。
「ごましおが一番かわいいけれど、それはそれ。これはこれ」
 ちょっぴり嫉妬してくれないだろうかと言う打算が有ったり無かったりするが、目の前で困っている猫がいるのだ。
 助けるのが猟兵の役割ならば、他の猫を愛でるのも仕方ない事だろう。
 驚かせぬように、大きな音を立てずに、フールは日向ぼっこをする黒猫へとゆっくり近付いていく。
 ぱちり、と開いた瞳は、空を移したスカイブルー。訝しげに顔を上げた黒猫に、フールは柔らかな笑みを浮かべて視線を合わせる。
 しばし、見つめ合う時間が続いた後、黒猫がのっそり起き上がって、すん、すんとフールの手の匂いを嗅ぐ。
 敵意が無いと判断したのか、其の指をぺろり、とざらついた舌が舐める。
「ん……っ!」
 其の愛くるしさに、フールが思わず空いた片手で胸元を握り締める。
「おやつ食べるかい?いろいろ持ってきたんだ」
 取り出したのは、猫界隈で有名なおやつ、ニャール。
「キングサーモンのニャールが良い?それとも名古屋なんちゃらの鶏肉ニャール?クロマグロのニャールだってあるよ!」
 種類様々なニャールを少量出して、黒猫の反応を見る。すん、すん、と匂いを嗅いで、選んだのはクロマグロのニャール。
「お、クロマグロのニャールですか。グルメだね!」
 ちろ、ちろと少しずつニャールを食べる黒猫の姿を、フールが微笑ましい表情で見守る。
 やがて、手にしたクロマグロのニャールが空になる。おやつタイムが終了したら、遊びの時間である。
「僕は高いところまで跳べるんだから全力で追いかけっこでもいいし、猫じゃらしだって任せて!」
 空を翔けるのは得意なんだ、と笑いながらフールが黒猫へ語りかける。地面は勿論、屋根の上だってお手の物。
「さぁ、行こう!」
 そんな言葉と共にフールが走り出せば、負けじと猫も全力で追いかけてくる。
 追い付いて、追い抜かれて。壁を蹴って、屋根に上って。
 いっぱい遊んで疲れたのか、くぁ、と黒猫が欠伸を一つ零した。
「疲れた?なら一緒にお昼寝しよ!」
 しゃがんで、黒猫へと視線を合わせて、フールは自身のパーカーのフードを摘まんで、ゆるゆる揺らす。
「パーカーのフードの中、どうぞ!あ、それともおなかのる?」
 ころん、とそのまま地面に横になれば、のそり、と黒猫がフールのお腹の上で寝そべる。
 程好い体温が、フールのお腹に伝わってくる。
「すべては猫様の望むままに!!」
 ぽかぽかと温かな陽気と、お腹の上の温かさに、フールの瞼も自然と降りてくる。
 其処には、柔らかな表情でお昼寝をする、一人と一匹の姿が在った―。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギュスターヴ・ベルトラン
ぼくは今、猫がめろめろになるブラシを手にしている!
とにかくブラッシングして猫さんの毛艶をピッカピカにするつもりで――あっ、ごめん間違った

呪いで猫にされたケットシーの皆を助けるため、解呪を頑張るよ!
――主よ、どうか彼らに救いの御業を届けてください

祈りを捧げてる間に、ストラへ全力で飛び掛かってきた白猫さんを全力でブラッシング!
よーし、いい子だねぇ
この国で一番の…そう、空の雲か綿飴かってレベルでふわっふわになろうね

声をかけつつ【祝福】をしながら夢中でブラッシングしていたら…あれ?
白猫さんの毛並み、さっきより柔らかさ増したような…?

うんうん、美猫さんに近づいたね!



●みゃん
 天高く、澄み渡る青空。流れる雲はとてもゆっくりで、穏やかに雲が流れていく。
 吹き抜ける風は、柔らかく、春の訪れを感じさせる。
 そんな中。
「ぼくは今、猫がめろめろになるブラシを手にしている!」
 手にしたブラシを、ギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)が、高く、高く掲げる。
 其の櫨染の瞳は使命感に満ち溢れていた。
「とにかくブラッシングして猫さんの毛艶をピッカピカにするつもりで――あっ、ごめん間違った」
 本来の目的を逸脱している事に気が付いたのか、こほん、と小さく咳払いを零してギュスターヴは改めて猫の国を眺める。
 目の前で寛ぐ猫たちは、ケットシーが呪いによって姿を変えられた者たち。
 解呪の条件は、愛でて、愛でて、愛でる事。ブラシを手にしたまま、ギュスターヴは十字を切った。
「――主よ、どうか彼らに救いの御業を届けてください」
 そうして、両手を組んで、主へと祈りを捧げる。―と。
 風に吹かれて、ゆらり、ゆらりと揺れるストラが気になったのか、一匹の白猫がしゅばっと素晴らしい勢いで飛び掛かって来た。
 其の白猫をそっと抱き上げて、ギュスターヴはそっと頭を撫でる。
「よーし、いい子だねぇ」
 うりうり、と擽る様に頭を撫でて。
「ブラッシングしてもいいかな?」
 白猫に問いかければ、みゃう、と了承の鳴き声が上がる。
「この国で一番の…そう、空の雲か綿飴かってレベルでふわっふわになろうね?」
 発せられた言葉に、白猫が、え?と言う様な顔でギュスターヴを見上げた。
 けれど、頭上のギュスターヴはただただ穏やかな笑みを浮かべるばかり。ほんの少しの不安を抱きながらも、白猫は其の身をギュスターヴへと預ける。
 腕に伝わる暖かな体温に笑みを零しながら、頭から背中へ―毛の流れに沿って、ギュスターヴは優しくブラシを滑らせる。
 ゆっくりと、丁寧に。ごわついた毛は、無理に梳かずに、柔く解して。
「君たちが無事に元の姿に戻れますように」
 そんな祝福を込めて、ブラッシングを続けていく。背中がふわふわになったら、お腹にブラシを滑らせる。
 ブラッシングを嫌がる個体もいるそうだけれど、此の白猫は穏やかな気質なのか。ギュスターヴにされるがままである。
 お腹の毛は、背中よりも長く、先程よりも時間を掛けて、より丁寧に、優しくブラシを掛けていく。
「……あれ?」
 そうしてブラッシングを続けていれば、ギュスターヴがある事に気が付く。
「白猫さんの毛並み、さっきより柔らかさ増したような…?」
 そっと白猫の背中を撫でれば、ふわふわとした感触と、さらさらと滑らかに滑る己の手。
「うんうん、美猫さんに近付いたね!」
 さらさらでふわふわになった白猫を抱いて、ギュスターヴの目線が目線を合わせる。
 ぱちり、と瞬いた猫の瞳は、ギュスターヴと似通った辛子色。
『みゃー』
 其の鳴き声は、感謝を告げているようにも聞こえて。此れならば、程なく呪いも溶けるだろう。
「よーし、次にブラッシングしてほしい猫さんは誰かな?」
 抱き上げた白猫をそっと地面へ下ろし、ギュスターヴは他の猫をめろめろにする為に、歩を進めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリシャ・パルティエル
【桜星】

やってきたわよ猫の国!
あたしにとって夢の国だわ…
ね、姫桜?
うふふ、すっかりめろめろね…
わかるわ、人は猫ちゃんの前では無力なのよ…
だからともかく猫ちゃんを愛でればいいのよ!!
さ、肩の力を抜いて…
ね、姫桜にゃ?

あたしは選りすぐりのおもちゃを持ってきたわ!
猫じゃらしに、電動ねずみロボ、魚ぬいぐるみもあるわ
これでめいっぱい遊んであげる…というかあたしが遊ぶの!
こっちにおいで~
ケットシーも猫ちゃんもどっちも可愛いから
恥ずかしがらなくていいのよ
ブラシで毛並みも整えましょ

なるほど段ボール…
姫桜が言うなら間違いないわね
あたしもシャッターチャンス逃さないわ!
あーん、可愛い~
もふぱら…最高ね…(満面の笑み


彩瑠・姫桜
【桜星】

わぁ…ねこ、いっぱい…っ!(めろめろ

…エリにゃ…エリシャさん、(こほん
いくらもふぱらだからって、魅了されてばかりじゃだめよね…(真面目に言い聞かせ
あいがんののろいをとくべくがんばらないといけないわよね(まじめにいいきかせ
(きさの ごいりょくは すでに そうしつしかけている!

(姫桜にゃに照れつつ、再度こほんと
さすがエリシャさん、品揃え豊富だわ
私も猫じゃらしにブラシにおやつ…と、これを

(真面目な顔で出したのは段ボール

私の日々の研究によれば、にゃんこ、みんなこれが大好きなの
なぜか 集まってくるのよ!

そんなわけで
設置したみかん箱に
ほいほいされる子達を撫でたり
写真撮ったりじゃれたりで愛でましょう



●にゃぉーん
 ぽかぽかと射しこむ陽の光は柔らかく、新緑芽吹く大地を優しく照らす。
 さわさわと吹き込む風は、優しく頬を撫でるように通り過ぎていく。穏やかな気候に猫たちも思い思い寛いで過ごしているようだった。
「やってきたわよ猫の国!」
 降り注ぐ陽の光が眩しいのか、エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)はほんの少し目を細めて、眼前で寛ぐ猫たちを視界に収めた。
「あたしにとって夢の国だわ……」
 ね、姫桜?と同意を求めるように、声を掛けるが、答えが返ってくる事は無く。不思議に思ったエリシャが、そっと隣を見れば。
「わぁ…ねこ、いっぱい…っ!」
 きらきらと瞳を輝かせながら、彩瑠・姫桜(冬桜・f04489)の視線は猫の姿を捉えて離さない。
「うふふ、すっかりめろめろね……」
 わかるわ、人は猫ちゃんの前では無力なのよ……、とうんうん頷きながらエリシャが姫桜の言葉を全力で肯定する。
「あ、あのねこ、あくびしてる……。あ、あ、まえあしでかおあらってる……っ!」
 可愛らしい猫の姿から目を離せない姫桜の肩に、エリシャがぽん、と両手を置いて。
「さ、方の力を抜いて……、ね、姫桜にゃ?」
 其の衝撃で、ふと我に返ったのか。姫桜の瞳に理性が戻る。
「……エリにゃ……。……エリシャさん」
 其方に倣って、にゃ、の相性で姫桜も呼んでみようと思ったけれど、羞恥が勝ってしまい、結局は何時もの呼び方に。
 もにょもにょと口を動かす姫桜の姿を見て、エリシャが堪えきれず小さな笑い声をあげた。
「……いくらもふぱらだからって魅了されてばかりじゃだめよね。でもちょっとぐらい、いや、だめだってば」
 己に言い聞かせるように、姫桜が言葉を繰り返す。若干、恐らく、たぶん、誘惑に負けているような気がするが、其れは置いておいて。
「あいがんののろいをとくべくがんばらないといけないわよね!にゃんこはかわいいけれどこのままじゃかわいそうだものねそうこれはのろいをとくためにひつようなこういなのよ」
 普段のクールな姿は何処へやら。
 ―きさの ごいりょくは すでに そうしつ している !!
 尚、全力の言い聞かせを隣で聞いていたエリシャは笑いが堪えられず声を上げて笑いっぱなしである。
「ともかく猫ちゃんを愛でればいいのよ!」
 そう言って、エリシャが選びに選び抜いた選りすぐりのおもちゃを広げる。
 猫じゃらしに、電動ねずみロボ、お魚ぬいぐるみ、ウールのボール。
「んん。さすがエリシャさん、品揃え豊富だわ」
 語彙力喪失から復帰した姫桜が、気を取り直す様にこほん、と小さく咳払いを零して。
 其の白い肌は、まだ朱に染まったままであったけれど、姫桜も持参した猫じゃらしとブラシ、おやつを取り出す。
「これでめいっぱい遊んであげる!……というか、あたしが遊ぶの!」
 猫じゃらしをふりふり、エリシャが日向ぼっこしている猫が集う場、猫だまりへ突撃していく。
「こっちにおいで~」
 エリシャの声に、ぴくり、と猫の耳が動き、ゆっくりと顔を上げる。突然の来訪者に、猫たちは戸惑った様子。
「ふふふ、ケットシーも猫ちゃんもどっちも可愛いから恥ずかしがらないでいいのよ」
 ぽちり、と電動ねずみロボの電源を入れて地面へと離す。じじ、と僅かな機械音が響いた後、ねずみロボは前後左右不確定に動き出す。
 其れに狩猟本能が刺激されたのか、戸惑っていた猫たちの目がきらり、と鋭く光る。
 ―したんっ!
 素早い猫パンチが、ねずみロボ目掛けて繰り出されるも、寸での処で躱される。
 そんな微笑ましい光景を眺めながら、ねずみロボに気を取られなかった猫へ、エリシャが猫じゃらしをふりふり。
 ゆらり揺れる羽根飾りが好奇心を擽ったのか、此方も機敏な動きで前足を繰り出している。
「か、かわいい、ねこぱんち、かわいい……!」
 自身も持参した猫じゃらしを振りながら、目の前でじゃれる猫の姿を一挙一動見逃すまいと、姫桜はじぃっと戯れる猫の姿を目に焼き付ける。
 猫じゃらしでじゃれ合い、ねずみロボで狩猟本能を刺激し、お魚ぬいぐるみを蹴り蹴りする姿をたっぷりと堪能した二人。
 一頻遊んで満足した猫を膝の上に乗せて、エリシャはそっと柔らかな毛並みにブラシを滑らせた。
「私の日々の研究によれば、にゃんこ、みんなこれが大好きなの!」
 そういって姫桜が取り出したのは、段ボール。猫が数匹はいれる程度のみかん箱を、姫桜はそっと設置していく。
「なるほど、段ボール……」
「なぜか集まってくるのよ」
 何故、段ボールに猫が集まってくるのか。此方も野生の血が、本能的に隠れる場所を探している、とも、ジャストフィット感が落ち着くから、とも諸説有る。
「姫桜が言うなら間違いないわね」
 日々の研究に勝るものはないでしょ、とエリシャが一人頷き納得している。
 みかん箱を設置してしばらく―。
 数匹の猫がみっちり固まって眠る姿をエリシャがぱしゃり、と激写する。
 其の横で、姫桜が寝ている猫の頭を、起こさぬようにそっと撫でる。ふわふわの毛並みの温かさが、手に伝わって、思わず笑みが零れる。
 後ろでは、逆さまになった段ボールを被った猫が、起き上がったり、伏せたりと可愛らしい光景が拡がっていた。
 そんな姿を見た姫桜が、はわわ、と言いながら幸せそうな笑みを浮かべ、連射モードで写真を撮り続けていた。
「あーん、可愛いー!……もふぱら、最高ね……」
 何という癒し空間。こんな素敵な楽園があっていいのだろうか。そんなエリシャの呟きを、姫桜が全力で頷いて肯定する。
 ―ねこはかわいい。これすなわちせいぎなり。
 そんな真理に到達したような気がする二人であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ティーパーティーキャット』

POW   :    ニャんでもニャい日をいわおうじゃニャいか
【宙に浮かぶ瞳から死の視線 】を向けた対象に、【闇の輝き】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    赤のクイーンの使い
レベル×5体の、小型の戦闘用【 トランプ兵 】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    死んでもダンスを踊りましょう
【 お茶会に招待された者達 】の霊を召喚する。これは【魔法】や【剣技】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:鳥季

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠カナタ・アマガです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●りんぐりーだー
 ぽん、と可愛らしい音を立てて、呪いが解けていく。
『お、おぉ!戻った!』
 彼方此方から、猫の姿から元に戻ったケットシーたちの喜びの声が挙がる。
 若干の羞恥は残っているようだけれど、今は元の姿に戻った嬉しさの方が勝っているよう。
 けれど、呪いが解けてHappyエンド、とは成らなかった。
 何故なら―。
『な、何にゃこりぁー!!』
 絶叫が空に溶けていく。
『愛玩の呪いを解くにゃんて、にゃんて不届きものたちにゃ!』
 ばんばんと、不機嫌そうに白い尻尾が、白いふさふさの尻尾がティーカップの持ち手を叩く。
『こうにゃったら、お前らも愛玩の呪いを受けるがいい!』
 ふしゃー!と毛を逆立て威嚇する姿が何とも愛らしい。
 じゃなかった。
 此度の事件の元凶、ティーパーティーキャットが猟兵達の前に姿を現す。
 ―猫は愛玩すべきだ!と言う呪いを掛けたのも、同じ猫だという事実に、猟兵達は驚きを隠せない。
(……煽てたらもふもふさせてくれないかな)
 そんな邪な想いが猟兵の胸中を占める。
 だって、見るからに煽てに弱そうである!

 さあ、呪いの根源を絶ち切る為に。隙を見てももふもふふかふかしつつ!
 猟兵たちの(欲望との)戦いが今、幕を開ける―。
夜鳥・藍
意外でした。
でっきり猫のもふもふが好きな人型のオブリビオンだとばかり。
…ティーカッププードルがいるのだからあれはティーキャット?

もし。見事なカップですがもしかしてオーダーメイドですか?
とても綺麗な水色で、金で描かれた模様もとても細やかです。
そんな器から零れる毛並みは絹糸のようで、その瞳はシトリンとルビーのよう。
普段からどのようなお手入れをなさってますか?

見て思ったまま褒めます。
煽てるつもりはなく純粋に良いものは良いと思いますので。
そのふっさりとした尾はとても心惹かれるのはありますが、でもティーカップの細工にも惹かれます。
ちょっとうちにも欲しいかもしれません。




 眼前に現れたのは、白い。ふかふかの毛並みを持つティーパーティーキャット。
 今は、怒りからか、其のふかふかの毛並みは逆立っていたけれど―。
 予期せぬ相手の姿に、藍の瞳がぱちりと瞬く。
「意外でした。……てっきり、猫のもふもふが好きな人型のオブリビオンだとばかり」
 猫を愛玩するのだ、と謳う敵の姿が、同じ猫だった事に藍は驚きを隠せない。しかし、其の瞳は、ゆらりと怒りに任せて地面を叩く尻尾に向けられていた。
 そう、ふわふわなのである。
「……ティーカッププードルがいるのだから、あれはティーキャット?」
 プードルと比べると、些かティーカップが大きい気がしなくないが、相手は一応オブリビオンである。
『あのような、ただ尻尾振っていればいいみたいな畜生と一緒にするんじゃにゃい!』
 比較対象にすら怒りを示すティーパーティーキャット。此れは、俗に言うヤキモチ、なのだろうか。
(猫は愛玩すべき、と謳うのであれば、彼にも愛でられたい、と言う願望がある筈)
 冷静に、目の前の敵を分析し、藍はは思考を巡らせる。物は試し、と藍は柔らかな笑みを称えて、オブリビオンへと語りかける。
「もし。見事なカップですがもしかしてオーダーメイドですか?」
 こてん、と首を傾げながら、相手の出方を見る。
『む、このカップの良さがわかるのかにゃ?』
 逆立っていた毛並みが、ゆるり、と萎む。此れ幸い、と藍は言葉を重ねていく。
「とても綺麗な水色で、金で描かれた模様もとても細やかです」
 満更でもないように、オブリビオンは前足で顔を擦りはじめた。
「そんな器から零れる毛並みは絹糸のようで、その瞳はシトリンとルビーのよう。普段からどのようなお手入れをなさってますか?」
『そ、そんなに褒めるでにゃい。照れるではにゃいか!』
 あれほど不機嫌にカップを叩いていた尻尾は、今やゆらりご機嫌に揺れている。
 藍自身に、煽てるつもりは全く無く、己の審美眼に従って、良い物を褒めているだけである。占い師たる藍にとって、相手の本質を見極めるのは得意である。
 もふもふした物が好きな藍にとって、もふもふした尻尾はとても心惹かれるものだけれど、青磁に金模様のティーカップの装飾の素晴らしさは、誰が見ても一級品と分かるもの。
「……ちょっとうちにも欲しいかもしれません」
 何処かに、同じ意匠のカップを扱っている場所はないだろうか、なんて考えながら、一歩、また一歩と藍はオブリビオンへと近付いていく。
 そう、どれだけ愛らしい見た目をしていようと。どれだけ素晴らしいティーカップを使っていようと。
 どれだけもふもふしていようと。目の前にいるのは、人に害悪為すオブリビオンなのだ。
 現に、猫の国のケットシーが、ティーパーティーキャットの呪いにて、被害を被っている。
 呪い自体は、細やかなものであったけれど。相手は、あれだけのケットシーを呪う力を持っている。―それが、誰かを傷付けんと振るわれないとも限らない。
「けれど、すみません」
 思いのままに、相手を褒めていたけれど。其の牙が、他を害さんと凶行に走る前に。
「私も猟兵ですので……」
 名残惜しい気持ち沸き上がれど、明確な敵意を抱いて、藍が白虎を召喚する。
『ニャニャ!』
 己の体躯の倍はあろう白虎に驚き、ティーパーティーキャットも過去にお茶会に招待された者達を呼びだし、応戦せんとする。
 しかし、其れ等が放った魔術が藍に届く前に、白虎の咆哮が場を満たす方が早かった。
 轟、とした力強い咆哮が、相手の放った魔術を掻き消して、ティーパーティーキャットの体躯を衝撃波が襲い掛かる。
 白い体躯が、ぽつ、ぽつと赤に染まっていくのを、藍は静かに見つめていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

彩瑠・姫桜
【桜星】

ケットシーの元の姿も十分に愛らしいけど
確かに、ちょっと残念よね(こくこく同意

ふわぁぁ、もっふもふ…!
しっぽもふもふ…威嚇もかわい…(きゅん
もう呪われても…じゃなかった
ええ、戦う(もふもふする)わ!

エリシャさん(褒め)上手ね…(羨望の眼差し

わ、私も…
(ふわっふわの尻尾が素敵、とか
上品な仕草が高貴な感じがするわ、とか

…、
(頭では思いつくがうまくしゃべれない口下手

(エリシャさんの招きに応じ
…ねこさん、わたしももふもふしていい?
(懇願の眼差しで訴える

(目は口ほどにものを言えてないかもしれないけど
にゃんこの了承得たら撫でもふで幸せになりたい

*UCは召喚された霊対策で使用
にゃんこは絶対傷つけないわ


エリシャ・パルティエル
【桜星】

ケットシーのみんなも元に戻れて良かったわ
…個人的にはもう少し愛でていたかった気もするけれど

でも姫桜見て
あっちにも可愛らしいにゃんこがいるわ!
ケットシーに呪いをかけたいたずらなにゃんこちゃん…
ええ、あの子も可愛がってあげましょう!!

なんだかプライドが高そうよね
まずは褒めて気分を良くしてあげましょう
なんて綺麗な毛並みなの!
真っ白でふさふさで…
そのオッドアイも神秘的で素敵ね
ね、いいブラシ持ってるからその毛並みを更に綺麗にしていいかしら?
ほら、姫桜ももじもじしてないでこっちに来たら?

なーんて言ってもふもふ楽しみつつ
オブリビオンといっても猫ちゃんに酷いことできないから
最後は眠らせてあげるわね




 掛けられていた呪いが解け、彼方此方からケットシーたちの歓喜の声が響く。
 喜びからか、ケットシーの尻尾がぷるぷる震えるのを見ながら、エリシャが安堵したように笑みを浮かべた。
「ケットシーのみんなも元に戻れて良かったわ」
 中には、呪いにて晒された理性が飛んだあられもない姿を思い出して悶えるケットシーの姿も在ったが。けれど、解呪された今、ゆっくりと猫の国の日常が戻っていくのだろう。
「…個人的にはもう少し愛でていたかった気もするけれど」
 残念そうな声を傍らで聞きながら、姫桜がこくこくと大きく頷く。其の視線は、目の前で喜ぶケットシーたちへと向けられていた。
「ケットシーの元の姿も十分に愛らしいけど、確かに、ちょっと残念よね……」
 ケットシーにはケットシーの、猫には猫の良さがあるのは分かるのだ。分かるのだけれど、先程までの至福の時間を思うと、何とも遣る瀬無い気持ちが沸き上がる。
『無視するにゃー!!!』
 平和が戻って良かったね、な空気を晒す二人の姿に、此度の元凶・ティーパーティーキャットが大きく鳴いた。
 ふっさふさの尻尾が怒りからか、びったんびったん青磁のティーカップの持ち手に叩きつけられている。
「見て、姫桜。あっちにも可愛らしいにゃんこがいるわ!」
 ふんわりと微笑み称えながら、うにゃうにゃ鳴くオブリビオンをエリシャが指で示す。ゆるりと姫桜が其方へと視線を動かせば、蒼天の瞳がきらきらと輝きを増す。
「ふわぁぁ、もっふもふ……!」
 白い肌は朱に染まり、姫桜は両手で口元を覆い隠した。
「しっぽ、もふもふ……、威嚇も、かわい……、びったんびったんしてる尻尾、……かわいいっ」
 ティーパーティーキャットの一挙一動に、胸の高鳴りが抑えきれないようで、はわわ、と無意識に口から言葉が零れ落ちる。
 そんな姫桜の様子を微笑ましく見守りながら、エリシャが良い笑顔を浮かべて親指を立てる。
 相手は、ケットシーに呪いを掛けた諸悪の根源。呪いを掛けた理由が、猫は愛玩すべき、という物であるのならば。
 其れは、勿論―。
「あの子も可愛がってあげましょう!!」
 彼のオブリビオンも愛でなくてはならないだろう!そんな勢いある言葉に同意するように、姫桜もまた拳を握って。
「もう呪われても……!……じゃなかった。ええ、|戦う《もふる》わ!」
 そんな二人の気迫に、ティーパーティーキャットは僅かに狼狽える。
『な、何か怖いにゃ……!』
 怒りに満ちていた瞳は、未知なる遭遇に若干の怯えを含ませていたが、彼は魔術を極めしオブリビオン。
 これくらいの事で怯んではならない。そう己を鼓舞しつつ、二人の猟兵をきつく睨みつける。
 そんなティーパーティーキャットの表情を見て、姫桜もまた、はわわ、と胸を高鳴らせた。
 此れまでの言動から、目の前のオブリビオンのプライドが高いのは明白である。ならば、此方がやる事は―。
「まずは褒めて気分を良くしてあげましょう!」
 戦闘において、相手を観察するのは真っ先に行う事である。相手の挙動を見て、どう動くのか。其処からどう攻撃してくるのか。相手の性格は、等を一瞬で判断しなければならない。
 愛玩を提唱すると言う事は、ティーパーティーキャットもまた自分に絶対の自信がある、と言う事。ならば。
「なんて綺麗な毛並みなの!真っ白で、ふさふさで……!」
 血飛沫舞う戦いが繰り広げられると思っていたティーパーティーキャットは、エリシャの言葉にぽかん、とした表情を浮かべた。
 大きく見開かれた瞳を見ながら、エリシャの言葉は止まらない。
「そのオッドアイも神秘的で素敵ね」
『……そ、そうかにゃ???』
 ふにゃん、と先程の怒りは何処へ霧散したのか。ティーパーティーキャットが照れたように身体をくねらせた。
「……エリシャさん、上手ね……」
 ぽんぽんとエリシャの口から出てくる賛辞の言葉に、姫桜が羨望の眼差しを向ける。其の眼差しを受け取ったエリシャは、姫桜の方へ向き、一度大きく頷いた。
 こくり、と姫桜の喉が鳴って。じ、とティーパーティーキャットを観察する。
「わ、私も……」
(頑張って、姫桜!)
 決意固めた姫桜の姿を、エリシャが静かに見守る。
 ―ふわふわ揺れる尻尾は、毛並みが美しく輝いて素敵!
 ―言葉の端々から、上品な仕草が垣間見えて、高貴な感じがするわ!
「……ぁ、……ぅ……」
 頭の中ではたくさんの賛辞の言葉が出てくるのに、はくり、と口は開けど言葉は出ず。
 静かに見守っていたエリシャであったけれど、姫桜の縋る様な視線を受けて、柔らかな笑みを浮かべた。
「ね、いいブラシ持ってるからその毛並みを更に綺麗にしていいかしら?」
 こてん、と首を傾げながら、眼前のオブリビオンに告げれば、気分を良くしていた故か、二つ返事で了承の言葉を得る。
 普通の猫とは違う、大きなサイズであれど、猫は猫。ゆっくりとティーパーティーキャットの毛並みに触れれば、愛玩を謡うだけあって、さらさらで艶々の感触が伝わって来た。
 手にしたブラシでエリシャがティーパーティーキャットの梳きながら、ちょいちょい、と姫桜を手招きして呼び寄せる。
「ほら、姫桜ももじもじしてないでこっちに来たら?」
 おずおずと近付いて、姫桜はちらちらとエリシャの手元を見て。意を決したように、喉へと力を込めた。
「……ねこさん、わたしももふもふしていい?」
 小さく首を傾けながら、懇願の眼差しで姫桜は訴える。何処か涙目になりながら訴える姫桜の姿に、ティーパーティーキャットも気を良くしたのか。
『存分に愛でるが良いにゃ!』
 魅惑のお誘いに、こくり、と姫桜の喉が鳴って。恐る恐る、其の背中に手を添える。
「……ふ、ふわっふわ」
 柔らかな毛並みを堪能して、表情が蕩けている姫桜へ、エリシャが小さく笑いを零した。
「良かったわね、姫桜!」
 しばし、至福の時間が訪れた。
 けれど、幾らもふもふで、ふかふかしていて、ふわふわだったとしても。相手は害成すオブリビオン。
「ふふ、どうかしら。更に毛並みが良くなったわよ」
 太陽の光を浴びて、ティーパーティーキャットの毛並みがきらきらと輝きを放つ。
『お、おぉお』
 ご機嫌な様子のオブリビオンを見ながら、二人は優し気な表情を浮かべた。
「……残念だけど、オブリビオンなのよね」
 はぁ、と小さく溜息を零しながら、エリシャの右手が淡く輝きを放つ。
『……にゃ!』
 突如の異変に、ティーパーティーキャットが、慌てて嘗てお茶会に招待された者たちの霊を召喚する。
『お前ら、騙したのかにゃ!』
 召喚された霊が、一斉に二人に襲い掛かろうとするけれど、其れは、姫桜が呼び出した白燐蟲によって阻止される。
「まあ、オブリビオンといっても猫ちゃんに酷いことできないから」
 エリシャの右手の輝きが周囲一帯に広がる。
「……眠らせてあげるわね」
『ぐ、……こ、このような、光に、は、屈し、にゃ、……い』
 ゆるりとティーパーティーキャットの瞼が降りていく。瞼が落ちそうになって、頭を振って眠気を逃がす。
 そんな一連の動作を、二人は微笑ましくただじっと見守るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ギュスターヴ・ベルトラン
今回の首謀者のお出ましか
モフる隙を作るのも一苦労…じゃなくて、倒すのに時間がかかりそうだ

まずは召喚された霊の対処から
UCを発動し、茨と薊で牽制する
その上で称賛の【声を届かせる】

なんという王者の風格…!その尻尾、完璧なまでに優雅なカーブ…!
この美しさ、世界中の人がモフりたがるに違いない!
でも、モフれないなんて…あまりにも罪深い…!

…よし、乗ってきた!今ならイケる!
【祈り】と【浄化】を込めて全力でモフる

――主よ
この者を、歪んだ愛玩に捕らわれることなきようお導き下さい




 ふわりと優しい風が周囲一帯を撫でて。ティーパーティーキャットのふわふわの毛並みが風の流れに沿ってふわりと靡いた。
 そんな様子を微笑ましく見守りながら、ギュスターヴは眼前の猫がオブリビオンである、と己に言い聞かせる。
「今回の首謀者のお出ましか……」
『……くっ、これまでに、たくさん不覚を取って来たけど、これ以上好きにはさせにゃい!』
 ぶんぶん首を振りながら、眠気を振り払う動作は、何とも愛らしい。
「んんっ。……モフる隙を作るのも一苦労……、じゃなくて!倒すのに時間がかかりそうだ」
 ほんの少し、心の声が駄々洩れてしまったけれど。何なら、表情も僅かに緩んでしまったけれど。
『さあ、行け、お前たち!』
 ずらり、とこれまでに|お茶会に招待された霊《帰る事が出来なかった犠牲者》たちがティーパーティーキャットの周囲に立ち並ぶ。
 生前得手としていたであろう武器を持ちながら、一斉にギュスターヴへと向かっていく。
「――愛が全ての咎を覆う」
 手にしたリングスラッシャーが僅かに輝きを放つ。直後、慈愛の光讃える茨と光り輝く薊が周囲に現れ、霊の動きを牽制する。
 光り輝く2種の棘持つ植物の姿に、霊たちの動きに躊躇が生まれる。
 相手の動きが止まったのと見て、ギュスターヴの口許に笑みが零れる。
「この時を、待っていた!」
 すぅ、と大きく息を吸って。ふわり、と笑みを浮かべてティーパーティーキャットを見据える。
 思いも拠らぬ足止めに、ティーパーティーキャットが焦ったようにギュスターヴを睨みつけたが、其れも一瞬の事。
「なんという王者の風格……!その尻尾、完璧なまでに優雅なカーブ……!」
 突然始まった賛辞の言葉に、ティーパーティーキャットも、召喚された霊たちも、ぽかんとした表情でギュスターヴの方を見つめる。
 けれど、ギュスターヴの賛辞は止まらない。
「この美しさ、世界中の人がモフりたがるに違いない!」
 くっ、と悔しそうな表情を浮かべて、ギュスターヴが己の顔を手で覆って、嘆くように声を発す。
『あ、えっと、そ、そうかにゃあ?』
 照れたようにティーパーティーキャットが躰をくねらせる。其の様子に、手ごたえは十分だと、更に言葉を重ねる。
「でも、モフれないなんて…あまりにも罪深い…!」
 がくり、と両膝を地面について、この世の終わりのように悲痛めいた雰囲気を零す。
『我の毛並みは最高だからにゃあ!』
 ちょっとくらいなら、とティーパーティーキャットがギュスターヴの方をちらちらと見つめる。
(…よし、乗ってきた!今ならイケる!)
「よろしいのですか……?」
 内心でガッツポーズを決めながら、ギュスターヴが恐る恐るティーパーティーキャットの背中へと手を伸ばす。
 ふわっ。
 ふわふわの感触がギュスターヴの掌いっぱいに伝わる。心往くまで撫でれば、おひさまの香りがふわりと香る。
 さらさらの毛並みは、しっかりと手入れがされているようで、永遠に触れていられるよう。
 何とも至福のもふもふタイムであったけれど、幾らもふらせてくれようと、相手はオブリビオン。
 撫でている手はそのままに、浄化の力を掌に込める。
「――主よ、この者を、歪んだ愛玩に捕らわれることなきようお導き下さい」
 刹那、茨と薊の棘が、ティーパーティーキャットを襲った。
『みぎゃっ!』
 思わぬ攻撃を喰らったティーパーティーキャットの悲痛な叫びが、周囲に響くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フール・アルアリア
Σいいの!?猫にしてもらえるの!?本当に!?
なりたい、なりたい!僕も猫ちゃんになりたい!よろしくお願いします!

(猫になれるかはお任せ)

猫になったらどうするかって?
ふっふっふ、猫になってもならなくても君をモフることには変わらない
そのふわふわの毛並み!絶対、極上でしょう!?
オッドアイも素敵だし、白い毛艶は磨かれた陶器のよう!
入ってるカップも趣味いいじゃん?
モフらせてモフらせて!!くまのおもちゃもあげるから!
すごい跳ねるよ、ふわふわだよ!これで僕と遊ぼうー!(UC)




 ふわふわだった毛並みは何処か萎びて、ボロボロになりつつも、ティーパーティーキャットの気迫は衰えず。
『こうにゃれば、全てを愛玩の呪いで……!』
 そんなティーパーティーキャットの言葉に、フールの肩が大きく跳ねた。
「いいの!!猫にしてもらえるの!!本当に!!!」
 はい、はい、はい!と高く手を上げながら、物凄い勢いでフールがティーパーティーキャットへと近付いていく。
 余りの勢いに、ティーパーティーキャットも思わず一歩、後退りする。
「なりたい、なりたい!僕も猫ちゃんになりたい!!よろしくお願いします!!!」
 綺麗な90度のお辞儀をし、握手を求めるかのようにフールは手を伸ばした。
『……あ、はい』
 ほぼ反射で返事を返すオブリビオンと、言質取った!やった!!とガッツポーズをする猟兵。
 何ともカオスな空間が出来上がっていた。
 ティーパーティーキャットが何かを唱えると、ぽふん、と軽快な音が響いて、一匹の黒猫がちんまりと姿を現す。
「ふにゃーん!!!」
 片手を持ち上げ、肉球の有無を確認し。顔を洗いながら、耳の在処を探り。問題無く猫になっている事を確認し、フールの気分は最高に高揚した。
「にゃにゃ、にゃにゃん、にゃーんにゃぁう、にゃん!」(ふっふっふ、猫になろうと君をモフることには変わらない!)
 要約するとこう、だろうか。絶望せず、悲観もせず。ただただ喜ぶフールに、ティーパーティーキャットも驚きを禁じ得ない。
 まさか、猫にされて此処まで喜ぶ人間が居ようとは。ぱちり、と瞳を瞬かせるティーパーティーキャットへと、フールが飛び掛かる。
 攻撃か、と身構えるオブリビオンだったけれど、其の小さな体躯では何も出来まい、と思い直す。
 ふかっ。
「うにゃーう、みゃん、にゃあー」(このふわふわの毛並み!絶対!極上だと!思ったんだ!!)
 ティーパーティーキャットのふわふわの毛並みに埋もれて、フールがうっとりとした表情で|猫語《言葉》を紡ぐ。
「にゃう、にゃにゃん、にゃう。ふみゃあー!」(オッドアイも素敵だし、白い毛艶は磨かれた陶器のよう!)
 全身をふかふかの体毛に埋めながら、フールはティーパーティーキャットをモフってモフってモフりまくる。
 生きてて良かった、と思える瞬間だった。尚、この後、フールは帰宅してからごましおちゃんに他の猫の匂いなんぞ付けて!と全力で威嚇される未来が待っているのだけれど、其れは割愛。
「うみゃーん!みゃう、にゃあにゃにゃんにゃー!」(くまのおもちゃ、あげるから!僕と一緒に遊ぼう!)
 ぽふん、と軽快な音を立てて振ってきたのは、此方もふわふわのクマのヌイグルミ、モッフィーのレプリカ。とん、とモッフィーを踏めば、ぽいーんと大きく空へと跳ねた。
『え、ええい、怖い、怖いにゃお前!圧が、強いんにゃ!!』
 同じようにぽふん、と軽快な音が響いてフールが人間の姿へと戻る。
「ありゃ、戻っちゃった」
 そのまま、ティーパーティーキャットは過去にお茶会に招待された霊たちを召喚し、フールへと嗾ける。
 其々の獲物を構えて、フールに突撃するけれど、モッフィーを足場にして空中へと跳び上がる。
「……ざーんねん」
 くるり、と空中で身体を捻って、ティーパーティーキャットへと勢いを付けて落下する。
『みぎゃっ』
 華麗な踵落としが決まると同時に、踵のレッグギロチンがティーパーティーキャットの首を落とした。
 ごとん、と音が響くと同時に、オブリビオンの身体がゆっくりと掻き消えていく。
「あーあ、もっと猫になってたかったな」
 残念そうに呟くフールの目に、もうティーパーティーキャットの姿は映っていなかった。

 紆余曲折ありつつも、無事に愛玩の呪い振り撒くオブリビオンの脅威は去った。
 其れを見たケットシーたちが、お礼に猟兵たちをもてなさんと、声を掛ける。
 ―もふもふの時間は、まだまだ終わらないようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年03月20日


挿絵イラスト