火竜そばって100回言って
●嘘も100回つけば本当になる
カクリヨファンタズムにある中華そば屋。竜神の親子が経営するそこで、客の妖怪がラーメンを食べながら談笑していた。
「ベリーデリシャス! これウソじゃないネー!」
「これならいつでも後を継げるね!」
「先代の葬儀は拙僧にお任せくだされ」
「まだ生きとるわ」
派手なサングラスと締まった筋肉の西洋妖怪ダンサーのジョー、なぜか言い表せる特徴のない新しい妖怪職業不詳阿行さん、僧形の東方妖怪文是、そしてカウンターの向こうにいる竜神火竜・豪。
彼らはある共通の特徴を持った妖怪グループで、竜神の経営するこの店をたまり場にしていた。
竜神はグループでも最年長ということもあり、そろそろ娘に代を譲り隠居することを考えていた。妖怪なんだから年齢なんて……と思われるかもしれないが、妖怪だからこそ『子持ち』『年長』という言葉のイメージに影響を受け本質もそうなっていくものなのかもしれない。
そんなわけで、今まで手伝い役だった娘が作った中華そばを今回仲間たちで試食したのであった。
「まあ、まだまだ俺には及ばないが……おい、朱炎!」
竜神が店の奥に引っ込んだ娘を呼ぶ。だが、娘からの返事はない。
「ったく、客の相手も仕事の内だろうが……」
竜神が店の奥を覗くと、そこにはこちらに背を向ける娘の姿が。
「おい朱炎、何やって……」
竜神が声をかけると、娘の体から赤い炎に包まれた何かが立ち上る。
「な、何だ!?」
それはあっという間に広がって店を、そしてその周囲一体全てを飲み込んでしまうのであった。
●本物は100杯食べても本物のまま
「あなたのメルでございます。本日はカクリヨファンタズムで依頼でございます」
メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)が集まった猟兵に中華そばを配る。
「この度、カクリヨファンタズムがいつもの通りあるものに満たされてしまいました。それを取り除きに行ってください」
カクリヨ名物お手軽カタストロフ。戦争が終わりオウガ・フォーミュラも倒され早数年、その軽率さは今も全く変わらないようだ。
「で、何に満たされていますかというと、皆様のお手元にもあります『麺』でございます」
にこやかにメルは続ける。
「この度中華そば屋さんの二代目となる竜神の女の子が骸魂に取り付かれまして、彼女の店を中心に大量のラーメンが発生。それを急いで食べて彼女の元にたどり着いてください。ちなみに燃えるようにアツアツなので、火傷には注意を」
なぜか目の前の一杯を食べないと前には進めない。勢いよく、あるいは効率よく食べて前に突き進んでいく、一人早食い大会の様相すら呈することになるという。
「で、無事にラーメンを食べ尽くしてお店にたどり着きましたらボスと化した竜神との戦いです。彼女は不死鳥の骸魂に取り付かれ、『フェニックスドラゴン』という妖怪に変化しています。彼女は戦闘能力もボス級相応な他、戦闘と同時にラーメンを大量作成、それによる相手の押し返しを図ってきますのでこのラーメンをどうにかしながら戦ってください」
直前の町の突破同様食べて失くしてしまうのが最も手っ取り早いが、ラーメン自体を褒めて相手の油断を誘ったり、自らラーメンを振舞ってライバル心に火をつけ骸魂との結合を弱めるなど色々な利用法もあるだろう。
「また、本来の舞台が町や店ということもあり、その辺りにモブ妖怪の皆様もいます。基本的に戦力になるような人たちではありませんが、彼らを利用すれば総合的な食べるスピードも上がるのではないでしょうか」
もちろん放っておいても自分の身を守れる程度にはラーメンを食べている。気を回している余裕がないなら無視しても一向に構わない。
「どうやらボスになる竜神の子は代替わりにいささかプレッシャーを感じていたらしく、そこを死を否定する不死鳥が変な風に同調してしまったようですね。とはいえ彼女はお父さんやその仲間も認める程度には実力もついているはず。骸魂と不安から解き放って、しっかり二代目襲名させてあげてください」
そう言ってメルはグリモアを起動し、麺に包まれた妖怪の町へと猟兵を送り出すのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。今回はカクリヨファンタズムで中華そば大食い大会です。
第一章では町にあふれた中華そばを食べて進んでください。味はいいですがとにかくたくさんあるので、早く、多く、効率的に食べる方法を考えてください。味変等の食べる工夫はOKですが、破壊や回避は不可能で食べないとなぜか前には進めません。
第二章では『フェニックスドラゴン』とのボス戦。彼女は中華そばを作りながら炎を操り攻撃してきます。彼女の作る中華そばを利用、あるいは|突破《完食》するような行動をとるとプレイングボーナスとなります。
骸魂は不死鳥の方で、本体は火竜・朱炎という竜神の女の子です。その名の通り本体・骸魂とも炎の扱いに長けており、戦闘と料理両方で巧みに使ってきます。
町には住人のモブ妖怪がいるほか、店内にはボスの父親とその仲間の妖怪たちがいます。いずれもそんなに強いわけではありませんが、食べる手伝いくらいは出来るかと。仲間たちの元ネタは同一ですが、それに関する能力は今回は使えません。
基本的にはラーメンを食べて少女を助けるライトな依頼です。お気軽にご参加くださいませ。
それでは、プレイングをお待ちしています。
第1章 冒険
『骸魂ラーメンを完食せよ!』
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POW : とにかく口にかき込む!
SPD : トッピングから攻める!
WIZ : 麺とトッピング、順番を考えて食べ進める。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カクリヨファンタズムのとある町。そこは今スープの匂いに満たされていた。
そこにあるのは無数の丼。そしてそれに囲まれ動けなくなっている妖怪たちであった。
この中華そばの出所はこの町にある店。だがそこに向かう道は丼の山に満たされている。それどころか、囲まれてしまった妖怪たちはこの中華そばを食べなければ逃げることもままならない。
「あ、結構うまい……」
「いっそここに住むのもありかな……飯だけは困らないし」
一部の妖怪は逃げる気もなくし始めている。これがこのまま広がっていけばすべての妖怪が面に埋もれてその場から動かなくなり、そしてそれはカタストロフとなる。
しかし一方で、麺を食べて何とか先に進もうとする妖怪もいた。目的はここから逃げることか、原因に立ち向かうことか。いずれにせよ、まだすべては終わっていない。
そして猟兵がこの麺の海の中に飛び込むのならば、向かう先は一つ。即ち、この大量のラーメンを作成している中華そば屋だ。
さあ、この世界を滅ぼしかねないほどに美味しいラーメンを食べ、発生源へとたどり着くのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
中華そば、美味しいですよねぇ。
参りましょうかぁ。
【閎胘】を発動し『無極万食姫』をオン、別次元の速度と可食量を解放しますねぇ。
熱過ぎる麺は『FES』の冷気の結界で適度に冷ましつつ、超速度で順に食べ進んで参りましょう。
更に『FPS』で周囲の麺の情報を得、『FMS』で大量に集めて全て頂けば、妖怪さん達を解放しつつ進めますぅ。
『FAS』で軽く飛行し移動速度を確保、絶大な食事速度と併せたローラー作戦で全て頂いて進みますねぇ。
問題は『町』の一方面全てを埋める量の中華そばという、恐らくは最低百万杯以上となる大量の麺を納めて膨れた巨大なお腹で、元凶のお店の入口を物理的に通れるかですが。
カクリヨファンタズムのとある町。そこを埋め尽くし世界に浸食せんとしている恐るべき存在を見回して、猟兵夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は呟いた。
「中華そば、美味しいですよねぇ。参りましょうかぁ」
その口調はのんびりと楽し気、まさにこれからランチでも行こうかといった風。
それもそのはず、この町に溢れているのはその中華そばであり、るこるは事件解決兼食事の為にここに来たのだから。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、無限なる暴食の化身よ、私の元へ」
というわけで、るこるは早速【豊乳女神の加護・閎胘】を発動、オリジナル技能『|無極万食姫《インフィニット・イーター》』を顕在させた。
ちなみにその内約はというと【大食い】と【肉体改造】と【魔喰】と【捕食】と【早食い】と【限界突破】と【化術】と【料理】……つまりその名の通り無限に食べるための技能である。捕食と料理が入っているあたり完成品ではなく材料しかなくても安心だ。
そしてそんな技能を発動させて、目の前に中華そばがあるのだからやることは一つ。
「それでは、いただきますぅ」
ひたすらに食べる。それだけだ。
だが技能と同様、この食べるという行為もばらせば様々な行動に分解できる。
もちろん基本となるのは麺や具を取って食べる。だが、この中華そばは製作者と骸魂の炎の力が込められた出来立て熱々、迂闊に一気食いしていいものではない。あまりに熱すぎるものは冷気の結界に入れて適温になるまで冷ましてからいただく必要がある。
もちろん冷やし過ぎたら折角の中華そばが台無しだ。この中華そばは食べる以外の行為で破壊は出来ない。たとえ味が落ちてしまっても食べなければならないし、そんな事態は避けたいのが当然。それ故に結界から出すタイミングもまた測らねばならないが、その辺りは内包する料理技能が何とかしてくれる。
そして自分一人が食べる分はこれでいいが、周囲に溢れる麺の中にはこの町に住む一般妖怪が捕らわれていた。懸命に食べ進める者や既に諦めてしまった者など様々だが、どうせなら彼らも救助したい所だ。
周囲の情報を探査して人がいる辺りの麺を兵装を使ってかき集めて食べてしまえば、それで人命救助にもなる。解放された妖怪は各々逃げだしたり本来の目的地へ向かったり、ともあれ自由に行動しはじめた。
なお別に妖怪が捕らわれていない所に積もっている麺もかき集めて食べているが、これが探査漏れに備えての事なのか単にまだ食べ足りないからなのかは分からない所だ。
ちなみに人のいない所にじっくり探査をかければ、この中華そばの情報の方が上がって来た。醤油ベースに鶏ガラ、麺は中太ちぢれ麺。具はチャーシューにネギ、メンマにのりと極めてオーソドックス。まさに昭和の個人店や屋台で出るようなレトロ感満載のラーメンだ。ちなみにキャッチコピーは『嘘みたいにうまい』である。これが依頼解決に必要な情報かはともかく、知っておいて損はない話だ。
ともあれ、るこるは自分の体を浮かせつつ眼前、さらには周囲の中華そばまでかき集めて食べ進んでいく。移動速度を確保した上で、絶大な食事速度と併せたローラー作戦で全てを食べ尽くすその行軍は、無限に湧き出るカタストロフ中華そばへの反逆と言わんばかりの勇ましき道行きであった。
そうして進むるこるだが、不安が一つ。
「『町』の一方面全てを埋める量の中華そばという、恐らくは最低百万杯以上となる大量の麺を納めて膨れた巨大なお腹で、元凶のお店の入口を物理的に通れるかですが……」
食べたものは順当にるこるの腹に収まっているし、消化吸収されても結局は肉になる。妖怪パワーで無から出てきているような状態であっても、食べたから無に還るというわけではないのだ。
そんな質量保存の法則ガン無視の妖怪パワーが入り口部分にも作用していることを願いつつ、るこるは中華そばを腹に入れて進んでいくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
死絡・送
POWアドリブ絡み歓迎
依頼に参加、食い物は粗末にしてはいけない。
「いただきます!」
と合掌してから、捕食で残さずしっかり食べてから気功で脂肪を燃やし
「ごちそうさまでした」
と合掌して食い終えて次へ。
食材と神仏と作ってくれた人への礼儀と感謝は忘れない。
同じように参加している仲間達がいればついて行き食って行く。
「自分のペースで食う、それが大事」
体調管理をしつつ仲間達と食い歩いて行く。
この世界に溢れているのは麺。それは言うまでもなく、食物である。
「食い物は粗末にしてはいけない」
死絡・送(ノーブルバット・f00528)が依頼に参加した理由はまずはそれであった。
そんな彼をあざ笑うかのように、中華そばの壁が聳え立つ。
その|敵《麺》に挑むとき、唱えるべき言葉はただ一つ。
「いただきます!」
合掌の上、送は目の前の一杯へと襲い掛かった。
がっしりと丼を捉え、その内部に|武器《箸》を突き立てる。その中身である麺を持ち上げ、まずは一啜り。
「うん、うまい」
さらには逆手に|サブウエポン《蓮華》を持ち、一撃を入れたところに追撃を抉りこむ。そのまま中身を救い出してこちらも吸い上げた。
「熱い……だが、うまい」
基本的な醤油スープだが、雑味がない。21世紀の独創性あふれるラーメンとは違う、シンプルながら満足感を得られる味。どのような味かと聞かれれば『普通の醤油ラーメン』と言えばほぼ説明できてしまう味だ。ただしその前に『とてつもなくうまい』がつくというだけで。
そんなうまい中華そばをがっつり捕食し終えて、送は丼を置いた。
「ごちそうさまでした」
再びの合掌。食材と神仏と作ってくれた人への礼儀と感謝は忘れずに、消え行く丼に背を向け次へ進む。
しかし、その歩みはたった一歩で止まった。
「さすがにそうなるか」
世界を滅ぼすほどに満ち溢れる麺だ。たった一杯平らげたところで自由に進めるほど甘くはない。次なる一杯が送の行く手を阻み、これを平らげねば進むことも戻ることもできない状態へと再び彼を追い込む。
無論これは送も分かっていたこと。そしてこれからも目的地に至るまで繰り返されることもまた。
健康な成人男子たる彼の事、ラーメンの一、二杯平らげることは容易い。しかしそれが五も十も続けばどうなるか。
それに備え、送は中華式気功術で己の体を活性化。地を巡らせ|脂肪《カロリー》を燃やすことで、食べたラーメンをリセットし次へと備えた。中華には中華を、昭和レトロの世界に4000年の秘術がぶつかり合う。
「いただきます!」
再び空腹の獣と化した送は目の前の一杯に食らいついた。そして一杯目と同様に食らい尽くす送。
「ごちそうさまでした」
たとえ二つ目だとしても軽んじない。丁寧に食べ終わりの挨拶をして辺りを見回す。
他に駄目進めている仲間がいればと思い探すが、その結果。
「自分のペースで食う、それが大事」
至るのはその結論。真似できないものは真似しない。その代わり、同方向に行く一般妖怪がいれば体調管理を教え合いつつともに進んでいくことにする。送の管理法も気功という割と無茶なものだが、そこは妖怪。妖気だの魔力だのに置き換えれば十分真似は可能だ。
以降も送はじっくり、どっしりと、目の前の|戦い《中華そば》を一つずつ片付けながら前へ進んでいくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
木霊・ウタ
心情
プレッシャーが骸魂を呼んじまったのか
可哀想に
カタストロフなんて望んでないよな
俺たちで止めてやろう
中華そばも楽しみだ
老舗の後継の作る中華そばだもんな
全力でいただかせてもらうぜ
行動
早食いだからと言って手は抜かない
しっかりと味わう
それが
技と情熱の結晶である中華そばを喰う者の
せめてもの礼儀ってやつだ
うん、美味いぜ
親父さんの背中を
しっかりと見ていたんんだろうな
店や中華への愛情が伝わってくるぜ
そんなそばを
これだけ自由に食べられるなんて
滅多にあることじゃない
折角の機会だ
楽しんで食べようぜ
とモブ妖怪達を鼓舞
どうせ食べるんなら楽しんで、だよな
俺は胃を地獄の炎に変え
食べる側から焼却
満腹にならないからどんどん食べられるし
焼却のエネルギーで火力も増していくから
食べるスピードも速くなっていくぜ
今回の事件の発端、それは中華そば屋の二代目となる少女がそのプレッシャーを骸魂に付け込まれての事であった。
「プレッシャーが骸魂を呼んじまったのか、可哀想に。カタストロフなんて望んでないよな。俺たちで止めてやろう」
木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)はその事件を解決し、彼女を救うためにカクリヨファンタズムへと降り立った。
そしてカタストロフの発生源となっている店を目指すのだが、その前には今回の原因とも言える大量の中華そばが道を阻む。
「中華そばも楽しみだ。老舗の後継の作る中華そばだもんな。全力でいただかせてもらうぜ」
それに対してもただの障害としてだけではなく、楽しむ心を持ってウタは挑む。
そしてまず最初の一杯を手に取って一口。
「うん、美味いぜ」
特別な何かがあるわけではない。だが基本的な部分が全てしっかりと美味い、中華そばという言葉を完璧に作り上げた純粋なおいしさの一品だ。
それをそのまま特に急いだ様子もなく、ウタは普通の食事のようにその一杯を味わって片付けた。
「技と情熱の結晶である中華そばを喰う者の、せめてもの礼儀ってやつだ」
骸魂パワーで無限に作り出されているとはいえ料理は料理。それに対する敬意は決して忘れてはいけない。
一杯食べた後一歩進み、そこにある中華そばをまたもウタは手に取る。同じ一杯ではあるのだが、それを嫌がる様子もなく最初の一杯と同じように味わってウタはいただく。
「うん、美味いぜ。親父さんの背中をしっかりと見ていたんんだろうな。店や中華への愛情が伝わってくるぜ」
同じようにラーメンを味わって食べるが、今度の感想の声は心持ち大きめ。
「そんなそばをこれだけ自由に食べられるなんて滅多にあることじゃない。折角の機会だ、楽しんで食べようぜ」
それを向けるのは、周囲で同じように中華そばを食べ進んでいた他の妖怪たちだ。麺に捲かれてなお食べ進もうとしている彼らの心を鼓舞するため、ウタは周囲の妖怪たちに声をかける。
今目の前にあるのは中華そばだ。こちらを殴ってくるわけでも何でもない。過剰な警戒はせず、美味しく食べていけばいいだけの話なのだ。
それを一般妖怪たちに伝えることで、彼らの精神的な負担も軽くする。多人数で食事するのは単純に楽しいし、他の妖怪たちにもそれを味わっても貰いたい。
そうして彼らの道行きを少しでも軽くしつつ、ウタは自分も前に進むことも忘れない。
「ガチでいくぜっ! 焔摩天、転生!」
【焔摩天P】による地獄の炎の装甲を身体に纏うが、今回は表面だけでなく腹の中にも装甲を張る。その炎で体を燃焼、麺自体を燃やすと同時に自身のカロリーやエネルギーも燃焼、食べても食べても吸収できるような体を自ら作り上げた。
何もしなくても疲れていく、本来なら無駄なエネルギー消費だが、いくらでも目の前の中華そばを美味しく食べられると考えれば好都合。
「満腹にならないからどんどん食べられるし、焼却のエネルギーで火力も増していくから食べるスピードも速くなっていくぜ」
食えば食うほど腹が減る。活力あふれる若い男の特権とばかりに中華そばを食べ進んでいくウタ。そしてそれに触発されたか、周囲の妖怪たちも特に男性を中心に食べるスピードが速くなっている。さらにはそれを見たウタも影響され自分のスピードもまた上がると、互いに良い相乗効果を得ながらの道行き。
やがて丼の向こうに一軒の店が見えてくるまで、その行軍は続くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『フェニックスドラゴン』
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POW : 不死鳥再臨
自身が戦闘で瀕死になると【羽が燃え上がり、炎の中から無傷の自分】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : フェニックス・レイ
レベル分の1秒で【灼熱の光線】を発射できる。
WIZ : 不死鳥の尾
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【炎の羽】で包囲攻撃する。
イラスト:TFJ,
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カクリヨファンタズムに溢れた中華そばを食べ進み、たどり着いたのは一軒の店。
少し色あせた暖簾に中華そばの文字。横開きの扉を開ければ、店主からの声がかかる。
「いらっしゃいませ」
それは年若い少女の声。カウンターの向こうにいるのは巫女服にエプロンを付けた虚ろな表情の少女であった。
「お待たせしました」
そして入ってきた者が何も言わないうちに、大量の中華そばがカウンターから溢れ出す。それはまさに今カクリヨファンタズムに溢れる中華そばカタストロフの光景そのものであった。
そしてその中華そばに埋もれ、カウンターに突っ伏す妖怪たちが数人。
「ミーは職業的にオーバーカロリーはNGネー……」
「ごめんなさいごめんなさい働くから許して……」
「拙僧セルフ葬儀はちょっと……」
「おい、やめろ朱炎!」
その中でも初老の竜神が声を上げているが、少女はそれを無視して中華そばを生産し続けていく。
「あたしがしっかり、やってくから……お父さんは寝てて……」
「流石にまだそんな歳じゃねぇ!」
父親の必死の説得も聞かぬげに、少女はカウンターから表に出てくる。その目はじっとりと入ってきた者……猟兵を見つめていた。
「冷やかしはお断り……迷惑客の始末も仕事の内だよね、お父さん……」
「それはそうだが加減ってものを……」
「いやー結構容赦なかったよね豪さん」
「拙僧の仕事が増えなかったのが奇跡ですな」
「お前らどっちの味方だ!」
先代と仲間がやりあっているのを尻目に、少女の全身から炎が巻き上がる。
「うちの店は滅びない……あたしが、うちの味を不滅にするの……」
背中で不死鳥の形をとるこの炎こそが、二代目の少女『火竜・朱炎』をカタストロフを起こす大妖に変えた骸魂だ。双方が炎遣いということもあり、相乗効果でその火力は相当な域まで高まっていることだろう。
最早常識とも言えることだが、依代諸共倒さないことには骸魂を剥がすことは出来ない。猟兵よ、業火の妖怪『フェニックスドラゴン』を倒し、カタストロフを止めるのだ!
ミーガン・クイン(サポート)
はぁい♪
サキュバスの魔女、ミーガン・クインよ。
私のユーベルコードの拡大魔法や縮小魔法、
アイテムの巨大化薬や縮小薬で色んなものを大きくしたり小さくしたり。
きっと楽しいことが出来るわね♪
ミュールフォンは無口で無表情だけど従順で私を守ってくれる、
剣と盾で戦う天使ちゃん。
戦闘面はこの子にお任せ♪
巨大化で蹂躙しちゃいましょう♡
サポートに不思議な魔法の力はいかがかしらぁ?
私のことを好きに使ってみてね♡
アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。
ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。
口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。
食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆
※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。
中華そば店二代目火竜・朱炎は骸魂に取り付かれ、カクリヨファンタズムにカタストロフを齎そうとしていた。そのための手段は、あろうことか彼女が父親から受け継いだ中華そばだ。
それは戦場となる店に到達するまでの間を埋め尽くしていたが、その発生源である店内もまた無限の中華そばで溢れていた。
そんな薫り高い店に|来店《襲撃》者がやってきた。
「ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!」
「はぁい♪サキュバスの魔女、ミーガン・クインよ」
ミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)とミーガン・クイン(規格外の魔女・f36759)。二人はまさに中華そばを食べに来た客のように店の暖簾をくぐった。
「……いらっしゃいませ」
それを妖怪フェニックスドラゴンと化した朱炎がじと目で見つめる。そして注文すらいらぬとばかりに、大量の中華そばが二人に向けて放たれた。
「食べるの大好きにゃ!」
それをミーヤは躊躇なく受け止める。依頼でのテンションは食べ物の有無で変わると言っても過言ではない彼女。ここでは上質な中華そばが無限に提供されるということで、今回の依頼への意欲は最大級と言っても良かった。
「問題ないにゃ、これは依頼達成への行動だにゃ!」
確かに中華そばを突破しなければ接敵すらできないのでそれ自体は間違ってはいない。自分は食べて中華そば弾幕を片付けるのに専念するから、直接戦闘は仲間に任せるという分業……という建前の元に中華を場に食らいつく。
さて、それを任されたミーガンはと言うと。
「きっと楽しいことが出来るわね♪」
自ら巨大化薬を服用、その体を中華そばに負けじと店を中から押し破らんばかりのサイズに変貌させていた。
そしてこの体で戦闘に臨む……と思いきや。
「たまにはこういうのもいいわね」
その巨大な体に中華そばを収め始めた。体が大きくなれば食べる量も当然増える。元々ミーガンは巨大化することに強烈な性的興奮を感じる性質てあったが、たまにはそれを食欲の方に向けてみるのもいいだろう。
麺の向こうに見える朱炎もなかなか可愛らしい顔をしているが、流石にその気のない仲間や父親の前でこちら側に引き込むのは抵抗がある。
「サポートに不思議な魔法の力はいかがかしらぁ?」
「にゃ? 味変かにゃ?」
魔法のスパイスも足してたくさんの麺も食べ飽きない。食べるの大好きミーヤと無限に膨れる巨大なミーガン。この二人の前では無限の麺も問題にならないと言えるだろう。
そう、麺に関しては。
朱炎も無表情のまま延々と麺を提供し続けているし、二人もお楽しみから離れる様子はない。確かにこれなら麺の世界への浸食を抑えることは出来るが、これは一応戦闘依頼なのだ。最終的には麺を通り越してボスの方を叩かねばならない。
そこに救世主が現れた。
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
アス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)。彼は特にミーヤとはある意味切っても切れない縁があり、とにかく食べる彼女を何とも言えない表情で一瞥してから朱炎へと向き合った。
麺を食べずに向かってくる相手の登場に、朱炎も無表情の奥に険しい光を宿す。
「……冷やかしなら、帰って」
その背から業火が巻き起こり、一気にアスを焼き尽くそうとする。アスは自身を取り巻く炎をとっさに飛びあがって躱すが、その後にあった麺が一瞬にして燃え落ちている所から彼女の使う炎の威力は推して知るべきである。
その炎の勢いに負けず、アスは牽制射撃で朱炎の勢いを削ぐ。朱炎も炎を放ってその弾丸を焼き落としていくが、その対処に集中しアスへと炎を向けることが中々できないでいた。
しかし、その防御用の猛火を突っ切ることはアスにも難しい。麺を乗り越えてもそれを生み出す朱炎もまた相当な実力者なのだ。
アスと朱炎の炎を挟んでのにらみ合い。その拮抗を崩したのは、天井から落ちて来た天使の翼だった。
「……誰だ?」
アスには見覚えのないその女性。その正体はミーガンが知っていた。
「ミュールフォンは無口で無表情だけど従順で私を守ってくれる、剣と盾で戦う天使ちゃん。戦闘面はこの子にお任せ♪」
ミーガンの|配下《装備》である極北の天使、ミュールフォン。ミーガンが戦|え《わ》ない時でも戦闘をこなしてくれる頼もしき守護天使だ。
その奇襲に朱炎の意識が上に逸れる。
「隙を見せるとは……そこだ!」
その瞬間を逃さぬアスの神速の抜き打ち。だが、朱炎は背後の不死鳥に促されたか、瞬時に反応しそちらを向いた。
「燃えて……!」
指先から放たれる不死鳥の光。ほとんど一瞬で放たれたそれはアスの銃弾と交差するが、しかしアスへと直撃することはなかった。
「……!?」
訝し気に指先を見る朱炎。その動きは明らかに鈍っていた。
「いっぱいいっぱいあるのにゃ! どれ食べるのにゃ?」
その指先に向けて、ミーヤから多数の菓子が差し出された。彼女自身は善意でやっているつもりなのだろうが、飲食店への持ち込みはマナー違反。店主側としてはいい気はしない。つまりそれは、【おいしいおやつの時間にゃー♪】という誘いを楽しまずに坑道速度を落とすということになるのだ。
「じゃ、潰しちゃって♪」
ミーガンの指示にミュールフォンが朱炎に組み付いて押し倒す。床に釘づけにされたその姿を、アスの目が確かに捉えた。
「貴様……逃さん!!」
脚部から放たれた【ヴァリアブル・ウェポン】のミサイルと銃弾が朱炎に直撃する。それは彼女の属性と同じ爆炎を上げるが、そのダメージは決して無視できるようなものでないのは見て明らかだ。
「ごちそうさまなのにゃ!」
「また遊びましょ♪今度は出来ればこっちの分野で……ね」
朱炎に悪気なく告げるミーヤとミーガン。そのまま二人が笑顔で退転していく一方で、アスは冷たい目で相手を見るばかり。
「……これが正しい。分かっている」
経験上女性に対して守りたいという意識が強いアス。だが、この世界においてこの少女を救う唯一の手段は打ち倒し骸魂を引き剥がすことのみだというのはこれ以上なく理解している。
守るために倒すという矛盾を飲み込んで、アスもまた店を後にするのであった。
成功
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死絡・送
SPDアドリブ絡みOK
ノーブルバットに変身して参戦。
「守りたい気持ちは共感できる、一人で背負い込むな!」
ワ-ルドライトブレードを振るいだ、闇の属性攻撃で戦う。
相手の攻撃はオーラ防御で防ぐ。
ノーブルストームを使い、彼女のエネルギーを奪いダウンさせて助ける。
「ゆっくり休んでくれ、また来させてもらう」
戦いが終わればそう言って立ち去る。
続いて店に入ってきたのは死絡・送(ノーブルバット・f00528)。今回はヒーロー姿のノーブルバットに変身しての登場だ。
来客に敵であり救出対象でもある『フェニックスドラゴン』火竜・朱炎はそちらをぎろりと睨む。
「……冷やかしなら、帰って……」
既に一度敵襲を受けているからか、入ってきた者を客ではなく敵とみなす朱炎。それに対して送はマスクの奥から相手を見据える。
その視線を敵対行為とみなし、朱炎は背後から不死鳥の炎を巻き上がらせた。
それに対し送は光剣ワールドライトブレードを抜き、そこに闇の属性を乗せる。黒く輝く刃で朱炎の炎を吸い尽くそうとするが、朱炎はそれに対して炎をは別のものを差し向けた。
「私が出すのはこれ……」
それはこの世界を埋め尽くそうとする中華そば。エネルギーではない実態を持つそれにぶち当たり、送は思い切り押し返された。
「しまった……!」
ここまで食べて進んできた中華そばだが、その出所はまさにこの場所。ここでもこの中華そばをどうにかしなければ戦うこともままならないのだが、それを失念していた送は産地直送どころか直結で送り込まれる中華そばをもろに押し付けられてしまう。世界にカタストロフを齎すほどの中華そばの勢いはオーラだけで押し返せるようなものではとてもなく、そのまま押し返され店の外へ追い出されそうになってしまう送。
「私の店に……食べに来ない人はいらないの……」
朱炎が送を睨みつけて言う言葉。彼女の行動理念はあくまで店を守り、迷惑客は追い出したいというだけのもの。カタストロフはあくまで取り付いた骸魂がさせていることであり、彼女は純粋に店を愛し、そしてそれを継ぐことに不安を感じているだけなのだ。
その言葉に、彼女の心は決して死んでいないことを送は見た。
「守りたい気持ちは共感できる、一人で背負い込むな!」
中華そばに飲まれながらも、必死に声を張り上げる。その声に、朱炎はぴくりと反応した。
「そうだ……継がせるとは言ったがな、店まで出てくとは言ってねぇぞ!」
それを受け、先代であり父である火竜・豪が中華そばの中で声を上げた。二代目になったとはいえ、それはつまり店主としては新人もいい所ということだ。何でも一人でできるはずもなく、時に先代に泣きついたり常連に話を聞く必要もあることだろう。
「そうだよ、朱炎ちゃんは妹みたいなもんだし!」
「ミーがいつでも応援のダンスを踊ってあげマース!」
「我ら、この言葉だけは嘘にありませんぞ!」
同じく埋もれていた父の仲間たちも次々に声をかける。その言葉に朱炎の動きが明らかに鈍り中華そばの勢いも緩むが、次の瞬間に朱炎の目から光が消えた。
そのまま無言で送の方を指さすと、そこから超高速の熱線が飛ぶ。
「断罪の嵐が貴様らを裁く、ノーブルストーム!」
それに対し、送は【ノーブルストーム】を放ちその熱線を喰らった。
これは中華そばではなくまさにエネルギーの塊。エネルギーを喰らう蝙蝠たちを放てばそれは容易に奪い尽くせる。
「正体を現したな……貴様に対しては容赦はしない!」
恐らく骸魂の不死鳥が強引に朱炎の意識を乗っ取り、交戦に持ち込ませたのだろう。しかし炎の塊である不死鳥への対策こそ十分にとって来た。
中華そばを乗り越え、巻き起こる炎に闇の剣を携え送は跳び込んでいく。
「本当に退店すべきはお前だ!」
朱炎の後ろに燃える炎に剣を突き立て、そこに蝙蝠たちをなだれ込ませる。炎は闇に食われるように見る間に小さくなり、やがて朱炎の背中に引っ込むよう消えた。
それと同時に朱炎はがくりと膝をつく。意識を奪われ強引に体を使われていた影響か、一時的に戦う力を失ったのだろう。
「ゆっくり休んでくれ、また来させてもらう」
彼女が十全となった時、滅びを齎さぬ真の味を是非に振舞ってもらいたい。あるいは彼女が本来最も欲しいだろうその言葉をかけ、送はその場を去るのであった。
成功
🔵🔵🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
お腹の方は大変なサイズになっておりますが、何とか入れましたかねぇ?
始めましょう。
追加の中華そばは、そのまま頂いてしまえば良いですねぇ。
[大食い]は元々得手ですし、この程度の量は全く問題になりません。
『FLS』の空間歪曲で『炎』を逸らし『FES』で『冷気結界』を形成、炎への防御と中華そばの適温化を行いまして。
『FTS』で周囲の中華そばを回収、周囲の方々を狙う分共々、全て頂いて参りますねぇ。
【餮囹】を発動し『乳白色の波動』を放射、『炎』を吸収して防ぐと共に、『屋内』という戦場故に逃げ場がないことを利用し、不死鳥さんを対象に吸収しつつ『FBS』の斬撃を仕掛けましょう。
【不死鳥再臨】には『燃え上がる羽&炎』が必要、復活が成立する前に『炎』を吸収し尽くせばよく、一回で終わらずとも中華そばが食べきれなくなる心配はない以上、成立するまで繰返せば問題有りませんので、中華そばを頂きつつ吸収しますねぇ。
折角ですし、無事解決しましたら、このお店の『普通の中華そば』も食べてみたいですが。
木霊・ウタ
心情
親父さんの味を
この店を
きちんと受け取って
将来へ繋げていこうとしているんだよな
その想いと覚悟、イイぜ(ぐっ
朱炎が大好きなこの店を守るためにも
カタストロフなんて起こさせやしないぜ
ラーメン
喰う
この店に来るまでにも喰ったけど…
やっぱ美味いぜ
親父さんのことが
親父さんの作る中華そばが
この店が
大好きってことがよくわかる
親父さんの味には敵わない所も
あるかも知んないけど
それはこれからだろ?
じっくり時間をかけて腕を磨いいていけばいい
慌てる必要はないぜ
な、親父さん?
うん美味かった
ご馳走さん
じゃやろうぜ
あんたと世界を救わなくっちゃっな
戦闘
獄炎纏う焔摩天で炎を薙ぎ払う
竜と不死鳥の炎を吸収して
地獄の炎の火力を増していく
朱炎や不死鳥の炎が強まる程
獄炎も勢いを増していくから
朱炎が膝をつく時が来るだろう
そのタイミングで熾で羽を操作
無傷の自分を召喚できないようにしたら
紅の光刃の大焔摩天で一閃
事後
不死鳥の霊魂の静かな眠りを願う
幽世へ着けず残念だったな
安らかに
さて中華そば
もう一杯頼むぜ(ぐっ
竜神少女火竜・朱炎が骸魂に取り付かれてしまった理由、それは二代目襲名のプレッシャーを感じていた所を骸魂に付け込まれてしまったからだ。
しかしそれは父の味と店を自慢にしているが故。誇るが故にそれが重責となり、まだ若い彼女の心に骸魂に付け入られる隙を作ってしまったのだ。
「親父さんの味を。この店を。きちんと受け取って将来へ繋げていこうとしているんだよな。その想いと覚悟、イイぜ」
木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)はそれを汲み、力強く彼女を肯定する。
「朱炎が大好きなこの店を守るためにも、カタストロフなんて起こさせやしないぜ」
それを利用したカタストロフなど断じてさせない。ウタの言葉に、しかし朱炎は表情を変えない。
「お客なら、食べて……食べないなら、帰って……」
そうして放たれる大量の中華そば。世界をカタストロフに導くそれの、根源がここというだけあってその勢いは尋常ではない。
その中華そばを、ウタはこの手で受け止めた。
「中華そば? 当然、食う」
食物に対する対応などこれしかないと、当然のようにそれを食べた。
「この店に来るまでにも喰ったけど……やっぱ美味いぜ」
世界に溢れたデリバリー品でなく、作り立ての直接提供。やはり店で食べるのは一味違うと、ウタはその味に感服する。
「親父さんのことが、親父さんの作る中華そばが、この店が大好きってことがよくわかる」
そう言って朱炎が確かに父親の味と遺志を継いでいることを彼女に向けて告げるウタ。
だが、味は確かにいいが外に続いてここでも中華そば。いかに健康な成人男子とはいえこれは流石に満腹になる。
そこに、その概念と無縁とも言える存在が現れた。
「お腹の方は大変なサイズになっておりますが、何とか入れましたかねぇ?」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が、最早球体の様な肉塊となった体を店に押し込んで登場した。
そして当然のように、店にある中華そばを食べ始める。
「追加の中華そばは、そのまま頂いてしまえば良いですねぇ。[大食い]は元々得手ですし、この程度の量は全く問題になりません」
何しろるこるの食べる量は文字通りの桁違い。こうしたオブリビオンが関わる依頼時でもそうだが、それのない完全自由な状態ともなれば仲間の力と合わせて誇張なしの天文学的単位を日常的に食べているのだ。
そしてその理由は単純に食欲が凄いというのもあるが、食べるための工夫を怠らないこともある。
朱炎の背中の炎からの熱気は空間歪曲結界で反らし、中華そばには冷気結界で食べやすい温度に調整する。ただ口に詰め込むだけではない、きちんとベストコンディションで食べてこそ食を味わうということなのだ。
「親父さんの味には敵わない所もあるかも知んないけど、それはこれからだろ? じっくり時間をかけて腕を磨いいていけばいい。慌てる必要はないぜ。な、親父さん?」
その姿に、ウタも彼女に告げる。彼女は確かにこれから店を背負って立つことになるが、それを支えてくれる乳や仲間がいるのだ。何も最初から完璧である必要などないと、少女の重荷を取り除こうとする。
そうして二人で勢いよく食べていけば、注ぎ足される麺の向こうに朱炎の姿がしっかりと見えてくる。
「うん美味かった。ご馳走さん」
「……お代払って、帰って」
ウタの言葉に、食べ終わったなら帰れという朱炎。しかし、猟兵にとっては彼女の姿が見えたここからが本番。帰る様子を見せない二人に朱炎も背中から不死鳥の炎を出す。
「じゃやろうぜ。あんたと世界を救わなくっちゃっな」
それこそが目的とばかりに、ウタは大剣を薙ぎ相手の向こうを張るように炎を放つ。同属性同士がぶつかり合い、より強い方だけが生き残ると言わんばかりに互いを喰らい合う。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、咎人を留め置く扉の鍵を此処に」
さらに援護としてるこるは【豊乳女神の加護・餮囹】を発動。敵の行動を阻害する波動を広げることで相手の炎の勢いを弱め、ウタの炎が相手に届くようにする。
「あんたも相当な炎遣いみたいだな」
ウタは自分の炎に火竜と不死鳥の炎を乗せ、その全てを纏めて朱炎へと届けた。それは火属性のスペシャリストであるはずの彼女や骸魂さえも焼いていく。
しかし、火力で逆転されてしまえばそれはそのままウタの側へ同じ結果となって襲い掛かる。そうならぬよう、るこるの波動による阻害で相手の火力を抑え込み、何とか逆転されない程度までの火力しか出ないよう相手の力を削いでいた。
やがて、炎に炙られ朱炎が膝をつく。
だがその時、力尽きること許さぬとでも言わんばかりに、朱炎の背中から巨大な炎が巻き起こった。
それはそのまま羽の形となり、朱炎を吊り上げるように強引に立ち上がらせる。それと同時に、朱炎が負ったダメージが全て回復していった。
不死鳥の骸魂が引き剥がされまいと、朱炎を己の炎で蘇らせたのだろう。
「出ましたねぇ」
「あぁ」
その背の羽こそ、二人が待っていたもの。るこるは妨害と吸収のための波動を、可能な限りその羽の方に飲み集中させる。不死鳥の力が幾度朱炎を再生させまたその為の炎も不尽であろうと、るこるも決してあきらめず波動を差し向け続ける。
「こちらも、エネルギー源は無限にありますのでぇ」
周囲には朱炎の出した中華そば。これによるエネルギー補充があればそう簡単に競り負けることはない。これは敵の攻撃を利用する反撃であると同時に、朱炎もまた本当は骸魂に抗う『仲間』であるということの表れか。
そして、朱炎の再生を繰り返す羽にウタが剣先を向ける。
「エンマヤ・ソワカ!」
そして剣を突き出し、不死鳥の中へ【熾】を流し込んだ。この炎で不死鳥の操作を狙い、朱炎や自分の再生を押しとどめる。
「そろそろ完食、でしょうかぁ」
「後片付けは任せな」
るこるがウタの炎に支配されていない不死鳥の炎を全て吸いきり、残った部分をウタの剣が狙う。
「幽世へ着けず残念だったな。安らかに」
店内で歌うのはマナー違反と、不死鳥が安らかなることを祈りながら、紅の光刃の大焔摩天が背の不死鳥を一閃した。
背中の羽が消えると同時に朱炎はその場に崩れ落ち、それと同時に世界を埋め尽くしていた中華そばも消える。
「おい、朱炎!」
「朱炎ちゃん、大丈夫!?」
父親や仲間たちがすぐさま駆け寄り彼女を抱き起すと、朱炎はゆっくりと目を開いた。
「あ、私……ごめんなさい……」
自分が何をしていたか、完全ではないにせよ覚えているのだろう。父の中華そばをとんでもないことに使ってしまったとうなだれる彼女の前で、猟兵はただ告げた。
「さて中華そば、もう一杯頼むぜ」
「折角ですし、このお店の『普通の中華そば』も食べてみたいですが」
それに対し呆然とする朱炎。それに喝を入れるように、父が叫んだ。
「注文入ったぞ! ボサっとするな!」
「あ……はい、かしこまりました!」
彼女が正しく店を継いでからの初注文。それに応えるべく、少女は厨房に立つのであった。
大成功
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