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新しき年へ

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●行く年に鬼が笑い
 暗くなり始めた空から、白いものがちらりちらりと降り落ちては溶けて消えていく。
 この辺りはあまり雪が積もらぬ方で良かった、新年早々雪掻きなど勘弁してほしい。そう思いながら寒さで鼻の頭を赤くした男は、冷えた手を擦り合わせ足早に家路を急ぐ。
 夕餉の支度をする包丁の音や煮炊きの香りが並ぶ家々を縫ってたどり着いた一軒家。決して広くはないが、それでも我が家に勝る安堵感は無い。特にこんな寒い日ならば。
「おぉーい、帰ったぞぉー」
「お帰りアンタ。外は寒かったろう」
 玄関を開けて中に入れば、旦那の帰りに気づいた女房が出迎える。
 男は渡された手拭いで草履を脱いだ足を拭き、いそいそと囲炉裏へ近づく。やんわりとした熱がありがたい。かじかんだ手足をほぐすようにして、そこでようやく彼は大きく一息ついた。
「今年も、もうおしめぇかぁ」
「早いもんだねぇ。まぁ今年は畑も豊作で良かったんだけど」
「はは、おかげで今年の正月は旨いもんが食えるしな」
 来年もこうであったらいいと呟く旦那へ、鬼が笑っちまうよなんて女房が熱い茶を入れながら言う。
 今日は大晦日。
 一年が終わるその残りを、夫婦が例年通りゆっくり過ごそうとしていた、まさにその時であった。

 ――リィン……リィン……。

「……なんだ? この音」
「除夜の鐘じゃないのかい」
「いや、それにしちゃ随分軽いような……」
 というか、夏場になんか聞いた記憶が、と答えた言葉を遮るように。

 突然の爆音が空気を揺らす。

 何事かと慌てて家を飛び出せば、どうやら他の村人達も同じように外へと出てきたところ。
 皆で不思議そうに顔を付き合わせ、なんだなんだと音が聞こえた方へと足を運ぶ。確か、氏神様のいらっしゃる方角から聞こえたか。
 そうして皆で恐る恐ると辿り着いた先。はたして、そこに居た者達を一体誰が予測できたと言うのだろう。

 広くはない境内には兜のような何かが、風鈴に似た音をたて鬼火とともに宙に浮き。青白く透けた亡者達は皆武器を片手に、時折悲鳴にも似た声を上げ蠢いて。
 そして、その中心。全壊した社だったものの上で、黄金色に輝く甲冑を着込んだ男が――これまたその男にそっくりな金色の像を振り上げ――叫ぶ。
「この地の神を討ち取ったなりぃ!」
 訳の分からぬその宣言に、村人達はただただ呆然とその男を見つめる他無かった。
 上がる神主の悲鳴、全壊した社の姿。そこに突き刺さる金ピカの像と、高笑いをあげるなんとも眩しい男に亡霊達。

「俺が、神だ!」

 年末年始を静かに過ごそうとしていた筈の村は、突然の混沌へと包まれたのだった。

●大掃除
「己自身を神だと思う事は構わぬが、他者にまでその信仰を押し付けるのは如何なものか」
 呆れたと言わんばかりの口調でそう告げて、一文字・八太郎(ハチ・f09059)は溜息をつく。
 合戦の世に包まれし島国の世界にて、小さな村へ襲撃せんとするその戦国武将。自らを魔王と謳う存在にでも感化されたか、それとも骸の海から蘇った際に何か大切なものでも落としてきたか、黄金の甲冑纏いて自分を神だと宣う始末。
 名乗る名前も、なんと『元日大名』。
 その姿と文字並びから漂う目出度さとは裏腹に、やることは年末年始とは思えぬ碌でもなさ。村の小さな神社を破壊し、そこに己の顔を模した御神体らしきものを置き。しまいには正月には自分を崇めよと言ってくる。
「このままでは、かの村はいつも通りの正月を迎えられぬ。それに放っておけばここを拠点にその勢力を伸ばさぬとも限らん。そうなる前に、皆様にどうか元日大名の首を討ち取って頂きたいでござる」
 今から向かえば丁度大晦日の襲撃前に村に着くという。最初にやってくる配下は兜の形をした風鈴型のオブリビオン。涼やかな音で力を増強していき、またその音は黄泉の国から亡霊を呼び出し軍勢とするらしい。

 ――それ、むしろお盆なんじゃね?

 気付いてはいけない事実気付いた誰かの呟きは黙殺された。
 どう足掻いても真逆の季節向き。多分絶望的に正月に向いていないそのセンス、至急に倒すべきである。
 そう、そして。攻め入ってくるこの戦国将軍達を無事に倒せたのなら。
「皆様方、よければそのまま新年の祝いをやらんでござらんか?」
 元々年始に向けて村では新年の支度をしている。どうやらおせち料理やお雑煮にお餅等、正月に欠かせない美味しいものを村人皆で持ち寄って食べる風習があるらしい。猟兵達が望まなくとも、村を救ったお礼に村人達はそれを振舞ってくれるだろう。また、村の子供達と一緒に凧揚げや羽根つきなどを一緒にするのも楽しいかもしれない。勿論、無事に守りきった神社へ新年の願いを込め初詣へ行くのもいい。
「この世界の文化に慣れていない人も、新年を機に触れる良い機会ではないかと思うでござるよ」
 それにほら、新年だとうまい酒なんかも出されたりするかもしれない。
 期待を隠しきれない八太郎の尻尾がゆらゆら揺れて。

「それでは良き新年に向けての大掃除、皆様どうぞよろしくお頼み申す」


砂上
 はじめまして、こんにちは。
 砂上(さじょう)です。

 今回の舞台はサムライエンパイア。
 お正月を無事に迎えるために将軍を倒し、新年のお祝いを楽しみましょう。

●一章、二章
 オープニングの通りに配下と戦国武将を倒します。
 さくっと終わらせたいですね。

●三章
 今回のメインです。お正月を楽しみましょう。
 下記の概要を良く読みご参加頂けると嬉しいです。

 元日以降にお届けをしたいと思いますのでプレイングは【12/30〜31のお昼頃】に送ってくださると嬉しいです。もちろん前二つがまだそれまでに終わってなければこの項目は無視して下さい。

 この章に関しましては一、二章の参加者様+上記の期間にプレイングをお届けしてもらった方を優先、余力がありましたらそれ以外の方も、となります。なるべく全員描写をしたいと思いますが、キャパオーバーしたら返してしまうかもしれませんのでご了承下さい。もちろん成功達成に到達していなければこの項目は以下省略。

 八太郎はその辺でお酒を呑みつつ、おせち料理を食べていると思います。呼ばれない限りは出てきません。

 それでは素敵なプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『彼岸の兜風鈴』

POW   :    風鈴の音が響き渡る
予め【風鈴の音を響かせ続ける 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    風鈴の音が共鳴する
【共鳴振動となる甲高い風鈴の音 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    風鈴の音が死者を呼ぶ
【黄泉の国 】の霊を召喚する。これは【悲鳴】や【武器】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鐘の音代わり
 リィン、リィンと響く音は夏に聞けばさぞ涼しげだった事だろう。今の季節に聞くにはちょっとばかり、いや普通に寒い。
 襲いかかってくるその風鈴、『彼岸の兜風鈴』の数はおおよそ十。

 ――もしかしてこれ、除夜の鐘のつもりなんじゃ。

 その絶望的なセンス、見習いたくない。
 村の入り口付近へ集まったそんな猟犬達の心を知ってか知らずか。鬼火を纏った兜風鈴達はその命を果たさんと我が身を鳴らし続ける。
芦屋・晴久
やれやれ、年の終わり位は平穏に過ごしたい物でしたがそうも行かない様で。
早々に終わらせておせちでもつつきたいものですね。
今回に関しては端から全力で参ります、ゴッド護符ライドを使い上空から【全体攻撃】としてジャッジメントクルセイドを放ちます。
他の皆さんの邪魔にならないよう敵後衛から爆撃させて頂きます。
終わったら熱燗でも飲みに行きますか……


後藤・吉丁
こういう季節の行事は忙しくも楽しく風流に、ってのがいいモンなのに。
風流なことにゃ疎いが、これがそうじゃないってことくらいはわかるさ。
皆の楽しみ邪魔した罪は重いよ。

数が多いからね、挟み撃ちやら囲まれるのには注意したい。
なるべく遠距離からユーベルコード「戊の刀身」で一体ずつ各個撃破を狙う。
優先順位としちゃ、自分狙いや囲ってくる敵>味方狙いの敵>距離の近い敵、ってとこかねぇ。
近づかれたら、長巻のなぎ払いで吹き飛ばして距離とるよ。
ある程度距離あった方が、敵からの攻撃避けやすそうだからさ。

さっさとこの追儺終わらせて、皆が楽しむ姿を見たいねぇ。


キトリ・フローエ
嵐吾(f05366)と一緒!
それからみんなで力を合わせて戦うわ
無事にみんなで新しい年を迎えられるように、頑張りましょう

きれいな音だけど、でも、なんだか心が落ち着いてしまうというか、
しんみりしちゃうから今はあんまりよくないわ
新しい年を迎えるなら、何というか、もっと派手に行ったほうがいいと思うの
あんたたちはそうは思わないでしょうけど(風鈴見つつ)
とにかく、ここを通してもらうわね!

応援聞こえたら任せてとばかりに張り切って
【高速詠唱】で【範囲魔法】のエレメンタル・ファンタジアで【全力魔法】攻撃
嵐吾が攻撃した敵を中心に、光の雷で撃ち落としてあげる!
素早く次の戦いにつなげていきたいわね


終夜・嵐吾
キトリ(f02354)と
他にも協力できそな者おれば

リィンリィンと、その音はよい響きじゃとは思う。思うがしかしの。
しかし、この時期にその音は、なんぞ寒ぅなる……
夏に再度現れてくれたら大歓迎……でもないな。倒す事にはかわらんし。
新年を迎えられるよう一仕事しよか。

攻撃は狐火で。
複数おるが一体ずつ確実に倒していこう。
仲間に攻撃むくならかばうことも視野に入れつつ。しかしわしが庇うより先にキトリが倒してしまいそうじゃなぁ。
ふれーふれー、キ ト リ !
怪我したらわしが癒すけんのー。
他にも治療必要なものあれば『生まれながらの光』を


夏目・晴夜
もしも除夜の鐘のつもりであるなら
108回リンリン鳴らしたら、さっさとお家に帰るべきです
こんな時期にダラダラと長居するのは褒められませんよ

【憑く夜身】で召喚された霊の影を片っ端から操り、
口元や武器に絡み付かせて動きを一時的に封じます
そんなに遊びたいのでしたら、どうぞ自分の影と仲良く楽しく遊んでいて下さい

余力があれば妖刀でサクッと倒していきたいところ
敵の攻撃を避けきれなさそうな際は、
見えない操り糸を影ではなく本体へと伸ばして「敵を盾に」

その風鈴の音、普通にちょっと嫌なんですよね
耳にキンキン響く上に寒いです
夏なら絶賛されたかも知れませんのに勿体ない

まあ、夏だろうと冬だろうと変わらず斬り落としますがね


甚五郎・クヌギ
元旦のお天道さまは安易に騙って良いものでもなかろうに
村の者が無事に正月を迎える為にも
我輩も頑張って手助けするとしよう

ちりん、ちりんと鳴る音に耳がぴくぴくと動くのは反射のようなもの
あの揺れる札に手を出そうとしてうっかりと割ってしまったこともある
……今回はいくら割っても叱られないのは少し良いと思ってしまった

さあ、ひとつ残らず討伐するぞ!
もちろん、仲間がいれば連携する

空を飛ぶ相手なら、猫の身軽さ生かした空中戦の見せどころ
死者の国より仲間を呼びつけている奴を優先して叩き落とすぞ
あの風鈴の高さまで跳びあがって、「妖剣解放」といくのである
もし黄泉の国の霊が武器で攻撃してきたら武器受けで受け流してやろう


シエル・マリアージュ
お正月っていうのは初めて、楽しみだけどまずはやることやってから。
敵が多いので油断せず囲まれないように意識して立ち回る。
まずは(フェイント)を交えた(先制攻撃)で敵の先手を取る。その敵を倒したら贖罪の御使いを発動して倒したばかりの敵の霊を従え次の敵に向かう。
贖罪の御使いの霊に敵を拘束させ、その敵をワタシが倒して、また贖罪の御使いで霊を増やしていく作戦。
ワタシや他の猟兵が苦戦している場合は、厄介な敵を巻きこむように贖罪の御使いの霊を自爆させる。
次の大物との一戦もあるので、(生命力吸収)で体力を補いながら戦い体力温存、(第六感)で嫌なものを感じたら回避優勢で周囲の状況を確認してから立て直す。


エトワール・フィラントゥ
おぼん…トレーです?
よく、わかりませんがお困りごとですね!
お掃除は得意なのです、お任せくださいませ

聞くもの見るものすべてが新鮮な世界
フウリンと仰る方々は特徴的な音色をお持ちなのですね
では聞き耳を立てながら、しっかりと村の警備をいたしましょう
(…耳と言えば。
あの大きくて立派なお耳に、金色の凛々しい瞳のお方…
またお会いできるでしょうか。
…なんて、なんて。エトワールったら何を考えているの!
今は皆様をお助けしませんとっ)

*戦闘
風鈴の音にはユーベルコードで対抗を
音を出す金物を固める事が出来れば、音を出せないのでは?
試みてみますの
効果なくとも、足止めにはなるでしょう
後は気絶攻撃や鎧砕きではたき落としますわ


紅呉・月都
おぅ…風鈴な、風鈴……いや、冬に風鈴いらねえだろ。
とりあえずまぁ、配下はさっさと潰しちまおうぜ。
壊れ物注意ーってな!!

おー、おー随分勢いのいい風鈴だな?
りんりん鳴るのは夏の風鈴祭りだけにしろ!!

ほら、何処に目付いてんだよ。俺は此処だ
敵からの攻撃は残像を活かして回避する

うざってえな、まとめて失せろよ
錬成カミヤドリを使用して“柄に三日月の飾り、赤みを帯びた刀身には細かい彫の入ったナイフ”を複製して攻撃


ルヴィリア・ダナード
季節外れの音は止めろっての!
寒い、なんかとっても寒いぞ!
音が聞こえないように耳を塞ぎつつ文句のひとつやふたつは言ってもいいよね。
咎力封じを使ってまずはその音が出ないように封じちゃうんだから。
狙いはもちろん、そのぶらぶらしてる。燃える紙部分!あとぶつかって音がでる顔?の部分!
顔なのそれ、見えてるのそれ?
もう、いい加減、静かにしなさい!
出来れば夏ごろにもう一度出てきてくださいな!
除夜の鐘はもっと煩悩を吹き飛ばしてくれるようなひくーい、素敵な音です!
そんな涼しげな音じゃないってのを叩き教えてやるわっ。



「おぅ…風鈴な、風鈴……いや、冬に風鈴いらねえだろ」
 一番最初に律義なツッコミを入れたのは紅呉・月都(銀藍の紅牙・f02995)だった。
 確かに夏に聞く分には綺麗で良い響きの感じられる音色ではある、あるのだが。
「この時期にその音は、なんぞ寒ぅなる……」
 両腕をこする仕草をする終夜・嵐吾(灰青・f05366)、灰青の尻尾も己にくるっと巻きつけ暖をとる。
 嵐吾の横で浮かぶ妖精、キトリ・フローエ(星導・f02354)がちょっとそれいいな……という顔でふさふさの毛をチラチラ見た。何せこの場にいる全員の吐く息は当然のごとく真っ白だ。全員もれなく、暖が欲しい。
 そんな気持ちを小さく咳払いを挟んで誤魔化し、困ったようにんんー、と彼女は小首を傾げ。
「なんだか心が落ち着いてしまうというか……しんみりしちゃうから今はあんまりよくないわ」
 むしろ新しい年を迎えるならば、もっとド派手な方が。その小さく可憐な姿と対照的な考えを口に乗せる。
 そもそも、だ。これが除夜の鐘のつもりであるというのであれば。
「108回リンリン鳴らしたら、さっさとお家に帰るべきです」
 こんな時期にダラダラ長居するなど褒められる事ではない。褒められる事に関しては一家言ありそうなこの男、夏目・晴夜(不夜狼・f00145)が淡々と手厳しい判定を下す。
「元旦のお天道さまは安易に騙って良いものでもなかろうに」
「こういう季節の行事は忙しくも楽しく風流に、ってのがいいモンなのに」
 薙刀片手に立つ甚五郎・クヌギ(左ノ功刀・f03975)も呆れ混じりに溜め息一つ。風流な事には疎いと嘯く後藤・吉丁(玉虫色の老刀装具・f09119)も、これがそれからは程遠い事ぐらい良く分かる。

 よって、今回ばかりは早々に片をつけよう。

 だって年の瀬ぐらいは平穏に過ごしたい。やれやれと肩をすくめる芦屋・晴久(謎に包まれた医師・f00321)のその思いは、この場にいる皆の総括となった。
「今回に関しては端から全力で参ります」
 言うや否や、彼の周りに浮かんでいた護符がぱたぱたとその姿を変える。晴久がそれに飛び乗れば、そのまま颯爽と宵の空へ浮かび上がった。
 上空できつく吹く寒風に、中折れ帽を飛ばされぬように確り押さえて見下ろした先。鬼火をちらつかせる風鈴の姿達が、ぽつ、ぽつ、ぽつり。地に不規則に並ぶそれは――なんともまぁ、狙いやすいこと。
 向ける指先、放たれる光線。その狙いは仲間達の邪魔をせぬようにと、敵軍勢の後方から寸分違わず射抜いていく。
 けれど、けれども。
 日もすっかり暮れた年末の空。そこは地に足付けて戦うよりもずぅっと冷え込む。神速の名を持つその技で動き回っているのなら、尚の事体温は奪われていく始末。
 これはいけない。とてもいけない。何がって、冷えは腰によろしくない。保ってくれよ……と常以上に腰への心配を抱いてしまうのは、きっと仕方が無い事。
「終わったら熱燗でも飲みに行きますか……」
 もちろん肴にはおせちをつつきながら。その呟きと同時に、光線はまた一匹を貫いていった。

 上空からの光の雨に風鈴達は大慌て。リィン、リィン、と鳴らす音はまるで悲鳴じみて、しかしてそれは亡者達を起こす声ともなった。相対するものへの怒りか、それとも年末に叩き起こされたせいか。引き攣れた声を上げ、携えた刀や槍を振り上げて、果敢に猟犬達へと襲いかかってくる。
 これだけの数となれば、囲まれてしまえばこちらが不利。
「さっさとこの追儺終わらせて、皆が楽しむ姿を見たいねぇ」
 だが動じずに長巻を振りかぶり、飄々と告げるは不思議な玉虫色の髪持つ吉丁その人。見た目だけならば、齢を重ねた女の姿。だがその見た目を裏切るその快活さ。そぉれ、と彼女は数多の霊を薙ぎ払う。
 そうして距離を取ったのならば、敵へと向けるは長巻ではなく、玉虫図の小柄。その刃が上空からの光でキラリと煌めくその刹那。
「鋼は、刃は、土より生まれ出づる」
 ドッ、と今度は真下から噴き出した光の刃。割れて吹き飛ぶ風鈴達。
 だが戦力は圧倒的に敵側優勢。オオオ、と亡霊達が不快な雄たけびあげ、猟犬達へと先程よりも乱れた隊列で押し寄せる。
 その間を赤褐色の疾風駆ける。
 豊かな毛並みをゆらすその猫人、クヌギが狙うは死者を起こす風鈴のうちの、その一体。リィンリィンと止まぬその涼やかな呼び声聞くたびに、耳がぴくりと揺れてしまうのはご愛敬。
 鬼火を灯す風鈴の、舌と呼ばれる小片が彼を炙らんと舞い踊る。かつてはこの紙切れに触れようと、風鈴を割ってしまった事のあるクヌギ。だが此度ばかりはいくら割っても叱られることは無い、その事がほんの少しだけ良いなと彼は思う。
 そう、寧ろこれはお仕事だ。ならば割らねばならぬ。
 小柄な体躯と身軽さ生かし宙へと飛び跳ね、身を捻って回避する。そうして翻した刃が妖しい光を宿し、その輝きを増した。
 クヌギは金の瞳を確りと見開き、振り下ろす先は兜のてっぺん。遠心力に任せて振りぬく薙刀が、バキリと兜を割り砕く。
 お天道様を騙る不届き者達へ、見事なまでの正義の一撃。
「さぁ、ひとつ残らず討伐するぞ!」
 着地と同時に皆へと振り返り、ごう、と吠える声は小さくとも獅子のごとき勇ましさ!
 そしてその声に応じるようにモップを振るうは猫人のエトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)。お任せあれ!と亡者達を叩きのめしてく。
 なにせ掃除は彼女の得意分野。このような年末大掃除の場において、彼女が負けるはずもない。その埃一つ残さぬ勢いは、幼くとも彼女が一人前の働き手であると見て知れたか。
 初めて聞く風鈴達の独特な音色を、ピンと立てた夜色の耳で拾ってその位置を正確に把握し動き回る。そう、ここは彼女にとってその全てが目新しく映る場所。
 が、突然何かを思い出したかのように彼女の動きがぴたりと止まる。
 ――あの大きくて立派なお耳に、金色の凛々しい瞳のお方……また、お会いできるでしょうか。
 モップちゃんの柄をきゅっと握りしめ、ほんのちょっぴり溜息をつく幼い乙女心。横道それた思想に、ほんの少し欠いた集中力。
 けれどそれを好機と見た兜風鈴達が近寄るよりも早く、小さな少女はふるふると小さな頭を振って我に帰った。
(エトワールったら何を考えているの!)
 そう、今は戦闘の真っ最中。この村の新しき年を守るためにも、皆様の手助けを!
 彼女が大きく振るったモップの先、吹き出すは不思議な塗料。放たれたそれは敵をぺたりと彩って。そうして瞬く間に硬度を増してその動きを見事に封じて地に落とす。
 それを確実に仕留めんと飛来するのは嵐吾の放った狐火だ。
 風鈴が纏う鬼火と違い、意思持つように彼に操られたそれは着弾するなり一度大きく火柱を上げ。リィン……と断末魔の悲鳴を最後にひびかせて、風鈴は跡形もなく燃やし尽くされた。
 涼しげな音色は、暑い夏にやってくるのならば大歓迎――いや、どのみち相手がオブリビオンであるならば倒す事に変わりはない。ならば今日、ここで綺麗さっぱり倒してしまおうか。
 湧き出る亡者を炎に巻いて、今年最後の大掃除。
 それに今日は小さく愛らしい、けれども頼もしい友人も一緒なのだから百人力。
 負けず嫌いのその小さな友人は、美しい歌声紡いで魔法を放つ。自然へと干渉するその神秘の技持ちて、亡霊達を相手取っている。
「ふれーふれー、キ・ト・リ!」
 だからこそ、頑張るその背に応援一つ。
 なんだか気の抜けそうな、けれどもなんとも彼らしいその声を聞き届けた彼女は、任せて!と言わんばかりにその華奢な羽を振るわせた。
 手には彼女にもぴったりサイズの小さな拡声器。花の意匠が彫り込まれたそれを口に当て、淀みなく歌う。歌声は大きく響き、膨らんで、まるで風に流れる花々のような魔力を帯びて空気に溶け込み、ゆらり空へ立ち昇った。
 そんな彼女に触れようとする不埒な敵へは嵐吾が一つ二つと狐火をぶつけて地へ還し、続けて放った三つ目はその奥にいた風鈴へ。たとえ彼女が怪我をしても癒す心意気ではあるけれど。怪我せず済むのなら、その方がずっといい。
 その間おおよそ一呼吸分、だがそれだけあれば十分だ。
 キトリの瞳の中で星が瞬き、その視線は飛ぶ炎を確りと目で追って。その着弾点を
見た。狙うはあそこだ。乳白色の髪が、風も無いのに魔力の働きでふわりと動く。
 そうして風鈴目掛けて全力籠った魔法が放たれた。

 迸る閃光、雷光が降り注ぐ。
 一拍遅れて轟音響かせ、上がる土煙。それが晴れた先には、もはや何一つ残ってはいない。
 新しい年を迎えるなら、これぐらいド派手にやらなくっちゃ。そう彼女は満足げに笑う。
 おそらく、風鈴達には分ってもらえはしないけれど。

「季節外れの音は止めろっての!」
 なるべく音が聞こえぬようにと両手で耳を塞いだルヴィリア・ダナード(嘘つきドール・f01782)が緩やかに波打つ銀の髪を揺らしてそう叫ぶ。ただでさえ寒いのに、聞いてるだけでもなんだか余計に寒くなる!
 なんなら、叫んだ時に見える、自分の吐く息が白いのも余計に寒く感じてきた。 
 年末にやって来たこの理不尽に、一つや二つの文句は許されるはず。キッと風鈴達を睨みつけ、投げ放たれるは相手の力を封じる拘束具。狙うは鬼火燃ゆる舌と顔(?)の部分。ここを狙えば黙ってくれると信じたい。というか、これは顔なのだろうか、ちゃんと見えてる?
 そんな疑問を抱かれているとも知らず、きゅっと拘束ロープで縛り上げられたその一体。音が出せずにふよふよ浮かんでくるくる回る。
 だけど、風鈴は他にもまだ居るわけで。
 ――リィン……リィン……リィン……リィン……リィン……リィン……!
 非難するように鳴り喚く、無事な風鈴達の大合唱。
 その声に応じでぼこぼこ呼び出されていく亡霊再び。だけども、彼女の目にはそれはうつらない。
「もう、いい加減、静かにしなさい!」
 音に対して、遂にルヴィリアの堪忍袋の尾が切れた。
 除夜の鐘はもっと煩悩を吹き飛ばしてくれるような、低く素敵な音。そんな軽くて涼しげな音じゃないって事を、叩き込んで教えてくれるー!と、目一杯の力を込めて拘束具をどんどん投げつける。

 ガン、ゴン、ガン

 いずれもなんとも痛々しい音を立てて綺麗にヒット。兜の一部がベッコリ歪む。奏でる音も音もなんかちょっと響きがなくなって安っぽくなってしまっている。
 あまりに痛々しい、ショックで呆然とする風鈴達に、呼び出された亡霊達がその仇を討つべく彼女へ向かおうとして――その動きを止めた。いや、止めさせられたが正しいか。
 彼らに絡みつくは己の影。それは腕に、武器に、はたまた口に。
 そしてその影操る主は晴夜だ。彼の指先から伸びた不可視の繰り糸が、彼らの影をまるで人形遊びでもするように拘束していく。
 そんなにも遊びたいのならば、どうぞ仲良くご自分の影と。
 その側で、初めての『お正月』を楽しみにしているシエル・マリアージュ(天に見初められし乙女・f01707)が呼ぶは己の竜の名。さくらんぼ色したその小さなドラゴンは鋭い槍へと変身し、彼女の手助け足らんとす。
 相手の意表をついては、確実に先手を取る。正確で堅実な騎士の動き。
 だが彼女が得手とするのはそれだけでは無い。
「我に敗れし咎人よ、我が御使いとなりて敵を討て!」
 吐き出す息は、白い。敵を倒す為に体温がぐっと上がった証拠だ。
 その刃は切り裂いた相手の生命力を奪いて倒し、そしてその度に、倒された相手は彼女の僕と化す。

 溢れる亡霊に、新たな指揮者は二人。形勢は一気に傾きを見せる。

 それを厄介だと判断するのは正常な判断だろう。これ以上戦力を取られてなるものかと、チリリリ、チリリリと歪んだ体から音をたて数体の風鈴が輪を作り音を立てた。それは共鳴となり、周囲に無差別な攻撃を繰り出していく。
 それに眉を寄せたのは晴夜。そもそもこの風鈴の音は狼の耳にキンキンとよく響く。これがこちらに害意があるものだとすれば尚の事。そして何より、この音で感覚的に寒くなる気がする。故郷がいくら極寒の地だったといえども、寒いものは寒い。
 夏ならば、と皆と同じような事を考えながら、彼は音鳴らす一体へ不可視の糸を伸ばして引っ張り倒した。
 それと入れ替わるように風鈴達の輪に加わるは、シエルが操る亡霊一匹。その亡霊は体をびくりと跳ねさせると、次の瞬間。見事に爆発四散した。
 突然の出来事に身構える間も無く吹き飛ばされ転がる風鈴達。けれど晴夜は糸にて操る一匹を、シエルは数匹の亡霊を盾にその爆風を難なくやり過ごし、双方無傷。
 ならば互いにする事は決まっている。素早くそれぞれは風鈴へと距離を詰め、その手にした獲物を振りかぶる。たとえ今が夏であろうと冬であろうと、やる事に変わりはない。
 
 刃の軌跡は正しく二回。風を切る音と共に、兜は真っ二つに斬り落とされた。

 そうして再び彼らは指揮者へと。
 操り操られ、亡霊同士で殴り合っては消えていく。
「まじでお盆じゃねえか」
 本格的な百鬼夜行の如しなその光景へ、紅呉・月都(銀藍の紅牙・f02995)が再度ツッコミを入れる。それを聞いたエトワールがおぼん……トレーの事です?と不思議そうに小首を傾げたが、そうじゃないとこちらは律儀に訂正。外見だけならば怖くも見えるこの男、意外と面倒見がいいらしい。
 確かにこれが夏であれば肝試しの一つや二つになり得たが、こう見えても新年をかけた真剣勝負。
 なればこそ、さっさと雑魚にはご退場願いたい。
 爆破の余波で音が出なくなった風鈴のが、真っ直ぐに突っ込んでくる。もはや体当たりぐらいしか成す術がないのだろう、それでもと向かってくるそれに、彼はニッと笑ってみせた。
「おー、おー随分勢いのいい風鈴だな?」
 そうして逃げる様子も見られぬ彼へと、確かにその風鈴は体当たりをした――筈だった。
 だけども手応えはまるでない。
 ほら、何処に目付いてんだよと右から声がする。振り向けば無傷なままの月都の姿。
 兜風鈴が身を揺らす。音鳴らぬそれは怒りか、目の前の敵を殺すという執念か。
 けれどもそれが従える、まだ無事な亡霊達が月都をぐるりと取り囲んだ。あちらで百鬼夜行もどきをやっている分、数はもう両の手に満たぬほど。
「うざってぇな」
 ――まとめて失せろよ。
 舌打ちと同時に浮かぶは、十振りのナイフ。
 その柄についた三日月飾りが一斉に揺れる。複製された月都の本体、その細やかな彫りがあしらわれた赤い刀身が閃いて。
 もはや碌な力が残っていなかった彼らは、見事一刺しで砕かれ消えていく。

 皆が見渡す戦場。
 よろめきながら残る影は一つ。

 仲間も壊され、呼び出した亡霊達も全て消え、己を打ち鳴らすすべも無く。
 かくなる上は一時撤退か、それとも立ち向かうか。

 そしてその時――刃を見た。

 玉虫刻まれた小柄の刃。握る女の髪色もその名の付いた色。
 だけどもそんな事を気にする程の余裕も、時間も、何一つもう残ってはいなかった。
 だから刃を見た。ただ、それが最期。
 その切っ先が真っ直ぐに向けられて。
「皆の楽しみ邪魔した罪は重いよ」
 直後、地から吹き出すは光の刃。

 最後に残った一体を、それは見事に打ち滅ぼした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『戦国武将』

POW   :    合戦具足
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【自分の城の一部もしくは武者鎧】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD   :    乱世斬
【日本刀による衝撃波を伴う斬撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    戦国兵団
【自分に従う兵士達】の霊を召喚する。これは【火縄銃】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ご来光のつもりなのかもしれない

 ずずん、とどこからか、地響きが聞こえる。

「除夜の鐘を突き(倒し)終わったとは、貴様らもこの大晦日を多少は心得ているようだな」

 輝く何かが、こちらへ地響きと共に近付いて来た。
 それを最初、誰かは初の日の出ではないかと訝しんだ。
 だが夜明けはまだの筈。初日の出まで、まだ数刻残されている。

 それに日は登っても、こんな風に腹へ響くような音はしないだろう。
 あとこんな意味不明のことも喋らない。

「だがしかし。元旦は俺のものだ、俺だけが神だ!」

 さらに近付いてくれば、それは黄金色の何か――いや、悪趣味なぐらいギラつく黄金色の甲冑着た大男だと分かる。大人二人分程ありそうなその大男が、ほぼ同じ大きさと色の像を片手に悠々と担いで堂々と告げる。
 事前に聞いていた通りの、妙な姿に言動。
 こいつが、つまり。

「この『元日大名』の俺は正月には崇められねばならん。他の神を崇めるなど言語道断――故に此処にある初詣の神社を我が野望の第一歩として壊す。もし、その邪魔立てするというのなら」

 ゴッ、と像を足元へと勢いよく置けば、それは見事に地に刺ささる。
 謎の重圧と威圧感、そして理解できない言葉の数々。
 『元日大名』は猟兵達を見下ろして、叫ぶ。

「貴様らを先に、この元日の礎としてやろう!」
後藤・吉丁
大将のお出ましか。
あの首は必要だけど、年寄りが偉そうに出張って刈り取るモンでもない。
アタシは今回、補助に回るよ。

さっきと同様に、近づかれたら長巻の「なぎ払い」で吹き飛ばして距離とることになるかな。
飛び道具相手は「地形の利用」というか、周辺の木とか盾にできたらしたいね。

で、厄介で困っているふりをする……まぁ実際に苦労するかもしれないが、別にそれはそれでいい。
敵が油断したところに「だまし討ち」で、ユーベルコード《丁の笄》で敵の技を封じるのが一番の狙いだからね。

ただコレがうまくいったとして、長時間やるのはキツイ。
あとは若いものに任せて、ってしたいとこだね。


夏目・晴夜
神とかいうよくわからんものを一人で自称して粋がって、
頭の中が天晴れなんですか?

その甲冑、無駄に派手で悪趣味な上に頑丈そうなのが嫌ですね
まだ裸のほうがマシでしょうから、妖刀の柄で「鎧砕き」を試みます
少しでも砕けてくれたら「串刺し」も可能になりますし、
皆さんの今後の攻撃も通りやすくなってくれそうで良いこと尽くしです

自身への攻撃は「カウンター」で回避しながら妖刀を突き立てていき、
回避しきれないものへは【オペラツィオン・マカブル】を使用
私の人形は愛玩用なので、戦場にはあまり出したくはないのですがね

敵に邪魔立てする為ならば持つ術を惜しみなく使うこのハレルヤを、
どうぞ神を崇めるが如く存分に褒め称えて下さい


紅呉・月都
あー……まぁ、お前よりは大晦日知ってるだろうな
地響きの主の言葉に呆れちまう
待て待て、昔から八百万神って言うだろーが、神がお前だけってことはありえねえ
つか…悪趣味だなその像

さってと…村のやつらがちゃんとした正月迎えられるように自称元日大名には早急に消し炭になってもらおうぜ
曲がりなりにも神を名乗るやつが野望とかアウトだろ

敵からの攻撃は残像の技能活用しながら回避。
あとは串刺しとか鎧砕き使ってその鎧ぶっ壊す。
その方が他の奴らの攻撃も通りやすくなんだろ。
お前の敵は俺だけじゃねえ。
おらおら、どっか一人に集中してっと足下掬われんぞ!


ルヴィリア・ダナード
元旦は俺のものって!
元旦は平等にみんな来るでしょうが!
私の知ってる神様はそんな自分勝手ではありません。悔い改めろー!
さっきの鐘といい、なんなのさー。
年の瀬に変なの沸かないでくださいな。

相手の乱戦斬とやらを最初はあえて受けるわ。
もしくは第六感がびびっと働いてくれたら避けれるかもね。
技をじっくり見たあとにミレナリオ・リフレクションで
そっくりそのままかえしてあげる!
ただ私は日本刀なんてかっこいい装備持ってないので
メリーさんをぶんぶん振り回して衝撃波をおみまいしてあげる。
どっちが威力が上か試してみようじゃないの。
いざ尋常に勝負、だよ!


シエル・マリアージュ
「俺が俺だけがと、まったく我が儘な子供ですか。しまいには俺を崇めよなどと」
冷めた口調でそう呆れつつ、肩に乗る小竜キルシュを槍の姿に変えて戦闘態勢。
「崇める事を強要するなど、己の魅力のなさを認めているも同然」
言動はどうあれ、油断出来ない敵には違いない。
【先制攻撃】【ダッシュ】【鎧無視攻撃】で勢いを乗せた槍の一撃で先手を取りに行く、その後は【2回攻撃】の【鎧無視攻撃】で【生命力吸収】しながら戦い、【見切り】で敵の攻撃を読み切ったところに【カウンター】に【フェイント】を絡めて攻撃を当てにいって【ドラゴニック・エンド】の一撃を仕掛けます。
「真に魅力があるのなら、自然と人は心引かれるものです」


芦屋・晴久
言葉は話せどももはや意思の疎通は無理なんでしょうねぇ。
宜しい、新年の礎にして差し上げましょう。
とは言え油断は禁物、攻めは皆さんにお任せして私は支援に回りますね。
七星の護符を用いて相手を縛り、隙を作ります。
皆さんが効率的にダメージを負わせられるよう後方で声かけもさせて頂きます


終夜・嵐吾
正月にめかしこむのはええと思うんじゃが。なれはちと派手すぎやせんかの。
あのぎらぎら甲冑のが初日の出背負ったらそれはそれで……迷惑じゃな。
それに、皆ですごす正月を楽しみにしとるんじゃ。
むしろなれが、こちらの邪魔よの。

周りにおる猟兵の皆と協力していこう。
さて、応援ばかりでは鈍りもする。
わしは狐火で皆の援護を。現れた兵を相手取り抑えていく。
現れた傍から、狐火重ねて放り投げ、焼き尽くしていく心づもり。
年が明けるその前に、すべてあるべき場所に送り返してやろう。

癒しの必要なものがいれば『生まれながらの光』を。


甚五郎・クヌギ
あやつが元旦を騙る不届き者であるな

ううむ、なんと目に痛いきんきらきん……拝むのは我輩の趣味にちと合わぬな
あの黄金の兜、本当の日の出の前に沈めてやろう



強敵相手に油断はせぬ
仲間との連携を心がけ
苦戦する者いれば支援を行って反撃の機会へと繋げる
猫の手ひとつ、役に立つなら如何様にでも使うといい!


敵の殺気を読み、こちらを狙ってきたならば薙刀にて受け流す

死霊の兵どもの弓矢や火縄銃に当たらぬように身軽さを意識した立ち回りで戦場を駆けていこう

※乱世斬りで攻撃された際にはUC『猫の行く道』を使って回避
大地を隆起させた即席の高所を足がかりにそのまま跳躍
敵大将の頭上を取り、大上段にて叩っ斬ってやる!



アドリブ歓迎です


エトワール・フィラントゥ
…申し訳ございませんキラキラさま
お話がむずかしくってエトワールにはよくわからなかったの

ですがわたくしにも分かる事がございます!
皆様のお心をお求めなのでしたらば、このように困らせてはなりません
暮らしを良くする為の支援などですね、もっと良い方法があると…
…そういえばそちらのキラキラは本物なのでしょうか?
価値あるものでしたら砕けば……名案ですわ!

*戦闘
ユーベルコードで足元や鎧の関節部分を狙って、行動阻害を試みます
鎧様からの攻撃、援護射撃には武器受けとなぎ払いで対抗を
猟兵様方と声を掛合い、援護できるようにします

なんて立派な黄金色!あ、動かないでくださいませっ
後ははたきちゃんで力いっぱい(鎧)砕きますわ


白幡・修理亮
POW

「元日大名」じゃとう?
我が身ひとつを崇めよ、じゃとう?

笑止!!!!!

他の世界ならばいざ知らず、この日ノ本でその理屈は通らぬ!
八百万の神々がみそなわす地においては、
どんなに強大な存在であろうとも、多くのなかのひとつに過ぎぬ!

否、貴様がどれほど力を誇ろうとも!
元旦を独り占めしようとした時点で、語るに落ちた!
年神様もこのような不心得者にはさぞかしお怒りであろうから、
不肖それがしが天に代わって誅してくれるわー!!

…と、大見得は切ったものの…ひいい、膝の震えが止まらぬー!?
む、武者震いがするのう…ええい、真っ向唐竹割りじゃあ!!

アドリブ大歓迎



元日大名の声に応え、現れる亡霊達。その数ざっと二十と少し。それぞれ手にした獲物は今にも朽ちそうな弓と火縄銃。ぎぎ、ぎぎぎと音を鳴らし動くそれが、猟犬達へと武器の構えを取った。軋んだ音で弓は引かれ、銃には前触れなく点火されていく。
 戦国大名は腰に刺した黄金の刀をずらりと引き抜くと、猟犬達へと切っ先を向ける。

「放て!」

 号令。発砲音。そして、降り注ぐは錆びた矢尻の雨。
 近くの立木に隠れられたのは何人だったか。
 武器をふるいて回避したものもいるだろう、けれども攻撃の雨は、確かに猟犬達に傷を残した。
 ふざけた主張をしていたとしても、確かに兵を率いる武人としては確かなのだろう。そしてまた、その配下の数を増やさんと亡霊達を呼び出しはじめんと号令をかけだした。

 ――正しく、大将のお出ましだ。

 さぁ、あの首は取らねばなるまい。
 だがその前にあの亡霊の兵をなんとかしなくては。
 ならば露払いからはじめよう、と言わんばかりに木陰から飛び出たのは、後藤・吉丁(玉虫色の老刀装具・f09119)。その手には黒い拵の長巻。彼女は飛び出した勢いのまま、近くにいた亡霊達を盛大に薙ぎ払った。
「こういう役目は年寄りがするものさ」
 無銘の刃、されど刻まれた神の文字。それが振るわれるたびに亡者も、それらが手に持った武器すらも纏めて吹き飛んでいく。
「たかが女一人に手こずってるではない!」
 その元日将軍の声に、態勢を立て直そうした亡霊達がごうと炎に包まれた。
 闇夜に踊る炎がひとつ。ふたつ。
 怪我をした皆の回復を終えた終夜・嵐吾(灰青・f05366)の狐火が、吹き飛ばされた亡者を正しき処へと返してく。
「正月にめかしこむのはええと思うんじゃが。なれはちと派手すぎやせんかの」
 もしあのド派手なぎらぎらした甲冑が、初日の出を背負ったらのなら、まぁ、それはそれで。
「……迷惑じゃな」
 想像してみたが、ただただ眩しいだけである。げんなりとした様子で嵐吾は尻尾を揺らして炎を繰り続ける。
「笑止! 正月は目出度く美しく! そしてこれ以上に目出度くそれを表現したものなどは、有り得ない!」
 大名としてはこれこそが正月なのだと胸を張る。
 二人を援護するように、芦屋・晴久(謎に包まれた医師・f00321)も護符を飛ばしてはいるが、いかんせん数が多い。
「これは、ちょっと困った状況さね」
 渋面を作って零された吉丁の呟き。その手から、長巻ががしゃんと落ちた。あ、と女の緑の目が開かれる。体力が切れたか、それとも汗で滑ったのか。
 だがその好機、彼らが見逃すはずがない。亡霊達はその命なき身体を醜悪な笑いで揺らし、吉丁へと向かいくる。
「吉丁!」
 仲間の声が響いたか。それともそれを聞く余裕すらないか。
 小さく舌打ちをして彼女が取り出したのは笄。武器を落としたという焦りがあるのか、それすらも上手く投げ放つ事はできない。
 ――そんな髪飾り一つで何ができる!
 だから亡霊達はその行動を見逃した。
 見逃してしまった。
 笄は、いや、笄に似た形状の護符は闇夜を切るように真っ直ぐと、亡霊達から逸れて飛び、元日大名の腕に確り、と突き刺さる。

 吉丁は笑う。何一つ、疲れなど見えないない笑みで。
‪「首札代わりだ、受け取っとくれ‬」
「貴様ァァァァァァアアア!」
 そう、長巻を落とした事も全てはこの為に。元日大名の技を封じる為にと彼女が打った一芝居。

「大したもんじゃなぁ」
 彼女へと攻撃を加えようとした亡霊を燃やし尽くて嵐吾が感嘆の息を漏らす。
 ならばこちらとて、応援するばかりとはいくまい。
 大元が封じられ、動きの鈍った亡霊達へと狐火をぶつけて終わらせていく。
 皆ですごす正月、それを楽しみにしているのだから。
「むしろなれらが、こちらの邪魔よの」
 年が明けるその前に、どうぞあるべき場所へ。
 最後の一体が燃え尽きるその時に吉丁が振り向いて仲間へと声を投げる。
「長時間やるのはキツイんだ、さぁ若いの達。後は頼んだよ」

 道は開かれた。
 ならばその道筋には敬意を持って応えよう。
 その手にハタキちゃんを構えたエトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)がまずは一撃。けれど彼女はどことなく、申し訳なさそうにその顔を曇らせている。
「……申し訳ございませんキラキラさま。お話がむずかしくってエトワールにはよくわからなかったの」
 多分お話が難しい訳では無い。
「ですがわたくしにも分かる事がございます! 皆様のお心をお求めなのでしたらば、このように困らせてはなりません」
 例えば暮らしを良くするための支援だとか、もっと良い方法があるはず。
 その幼き真面目な言葉を、元日大名は一生に付す。
「俺は高尚故に貴様のような小娘ではその程度! 多少大晦日に心得があるといえど神のあり方など分かりはしまい!」
 そうじゃない、と思ったのは多分その場にいた全員か。
 だが有無を言わさぬ勢いで、元日大名はごうっと像を振り回して猟犬達を迎え撃った。
「あー……まぁ、お前よりは大晦日知ってるだろうな」
「神とかいうよくわからんものを一人で自称して粋がって、頭の中が天晴れなんですか?」
 それを飛び退って回避する紅呉・月都(銀藍の紅牙・f02995)も呆れ呆れといった声。
 その隣で機を伺う夏目・晴夜(不夜狼・f00145)も、氷点下のツッコミをいれる始末。
 だが神という言葉に月都が何かを思い出したのか、ハッとした表情になってびしっと大名を指差した。
「待て待て、昔から八百万神って言うだろーが、神がお前だけってことはありえねえ、つか……悪趣味だなその像」
「ふ、この像のオメデタイを固めた良さがわからんか! 輝かしき黄金色、このそして何より俺の顔!!!」
「いや、やっぱ悪趣味だぞその像」
 黄金の御神体へのげんなりとした彼の呟きは二度繰り返され、受け取られないまま寒い夜に溶けていく。勿論元日大名はこれっぽっちも聞いちゃいない。ぶんぶんと振り回される像は、そんな暗い夜にやたらめたらと輝きを振り撒いている。
 あまりにひどくはないか。眉間をぐりぐりと押さえるようにして甚五郎・クヌギ(左ノ功刀・f03975)は呻いて首を左右に振った。
「なんと目に痛いきんきらきん……拝むのは我輩の趣味にちと合わぬな」
 ならばあの黄金の兜、本当の日の出の前に沈めてやるしかない。
 小柄さとすばやさ活かして飛び込む懐。振り回される像は薙刀の刃で受け流し、その勢い乗せぐるり回した柄にて強かに打ち付ける。
 だが、浅い。
 当たる前に身を引いた元日大名の、黄金輝く甲冑に鈍い音を立てて阻まれた。多少の凹みは与えたものの貫通するほどの衝撃は通らない。
「ふはははは! 所詮貴様らその程度よ、元日大名たる我の前には平伏すしかその道は残されておらぬ!」
「笑止!」
 下がるクヌギと入れ替わりに突撃せんと、体格も対照的な白幡・修理亮(薪割り侍・f10806)が声を張る。
 他の世ならばまだしも、ここは日ノ本。八百万の神々が棲まう地。
 たとえどれ程までに力を示し、名乗りを上げようともそれはただの傲慢に過ぎはしない。
「貴様がどれほど力を誇ろうとも、元旦を独り占めしようとした時点で語るに落ちた!」
 啖呵を切ってどしりと一歩踏み出し……たいところであったが。見目にそぐわず心の小さいこの男。膝をがくがく震わせたまま、なんとか気弱に繰り出したのは正面からの一刀。
「甘ぁい!」
 それに屈するほど生温い相手では無かった。真っ直ぐすぎるその一撃は、正面から黄金像にて全力で跳ね返される。震えた足では踏ん張りがきかなかったか為か、修理亮はそのまま吹き飛ばされてしまう。
 だが負けじと彼はすぐさま起き上がる。
 年神様もこのような不心得者にはさぞかしお怒りであろう。
「不肖それがしが天に代わって誅してくれるわー!!」
 止まることのない武者震い、だが特技とまで鍛え抜かれた薪割りの技術。その腕は、彼を裏切ることはない。
 今度こそどしりと構えて相手を見据えた。踏み込み、真っ向からの唐竹割り。もとい薪割りの一撃。
 それは奇跡的にも元日大名の像を潜り抜け、その脳天へと確かな一撃を見舞う。
 思わず頭を押さえて数歩よろめく大名。
「俺こそが! 俺だけが! 元日に相応しい!」
 だが己へと喝を入れるかの如く叫ぶや否や、カッと輝きを放つと身につけていた甲冑、そして手に持つ像と合体する。おおよそその大きさが二倍に膨れ上がる元日大名・改。ついでに輝きすらも増しているような気もする。
「元旦は俺のものって! 元旦は平等にみんな来るでしょうが!」
 さっきの鐘といい、年の瀬に変なの沸かないで!とルヴィリア・ダナード(嘘つきドール・f01782)が腹の底から異を叫んだ。その眩しさに手にしたアイアンメイデンで光をきっち避けながらもそれは圧倒的ド正論。
 誰が変なのか!と思わず返す元日大名だが全くもって説得力は、無い。
「俺が俺だけがと、まったく我が儘な子供ですか。しまいには俺を崇めよなどと」
 肩に乗る小竜キルシュを槍に変え、シエル・マリアージュ(天に見初められし乙女・f01707)が冷めた視線で相手を見据えた。
 眩しい。
 だが口調は外気に負けぬほど冷え冷えとして一歩たりとも負けてはいない。槍を構え、相手の動きを確りと見る。
「崇める事を強要するなど、己の魅力のなさを認めているも同然」
 地を蹴り、目にも留まらぬ速さで距離を詰めながら放つ一撃。その重さはまるで甲冑を貫通したかのような衝撃を元日大名へと与えた。
 そのまま押さえ込むように連撃を繰り出しその動きを制さんとするシエル。その反対の方向、大名の真後ろへ回る灰色の影。
「その甲冑、無駄に派手で悪趣味な上に頑丈そうなのが嫌ですね」
 刀では甲冑に貫通するほどのダメージは与えられない。ならばそれを砕くのみと、逆手に持ち替え柄の部分でその背を強打する。
 今度ばかりは逃げられぬその一撃、ビシリと金に亀裂が走った。
「貴様、この俺の輝きに、我が野望に傷をつけるというか!」
「曲がりなりにも神を名乗るやつが野望とかアウトだろ」
 その上から更に月都の一撃が打ち付ける。村の皆がちゃんと正月を迎えられるためにも、早急に倒さねば。彼らはその手を休めず甲冑を壊しにかかる。
 それを見ていたエトワールも、まぁ!とそのキラキラのお目目を一層輝かせ。
「価値あるものでしたら砕けば良い……名案ですわ!」
「名案ではないわ! やめろ小娘ぇ!」
「よく見なくとも、なんて立派な黄金色! あ、動かないでくださいませっ」
 かなり無茶な要求をしながら、小さなその手に握ったハタキちゃんが振り上げられる。もはや元から無くせば綺麗になるのではと言わんばかりの勢いで、力一杯盛大にひび割れた甲冑を叩きつければ砕けた甲冑がキラキラ夜に舞っていった。
「この、貴様ら許さんぞ!!!」
 猟犬達にしてみれば邪魔でしかない甲冑も、敵にしてみればこの日の為の一張羅。当然脱がされるとあっては相手もその怒りを隠しはしない。大ぶりの一撃で相対したままであったシエルを何とか遠ざけると、鎧を砕きまくっていた三人へと振り返る。
 けれども。
「おらおら、どっか一人に集中してっと足下掬われんぞ!」
 月都の笑う声。目隠しのように翻されるその刃は元日大名の視界を確りと奪う。
 その刹那、クヌギが小柄な身を活かし低い位置から突き上げるかのように貫いた。死角から放たれたその一撃。確かにそれは甲冑を、金の像を、砕いて壊す。
「猫の手ひとつ、役に立つなら如何様にでも」
「おのれええええ!」
 最早体につけた甲冑はその意味をなさず。手にした像も砕かれた。
 元日大名の目は猟犬達への怒りで染まり、しかしてまだ諦めの様子は見られない。
「元旦は、俺のものだ!」
 携えた刀を縦横無尽に振り回せば、そこから発せられるは目に見えぬ刃。
 しかしクヌギは地へとその肉球を押し当て、隆起する大地の柱で回避する。衝撃に、それは長くは持ちはしないが構わない。
 崩れつつあるそれを足場に、素早く彼は跳躍する。和装の裾が風を受けてバタバタとはためく音を立てながら、彼は握りしめた薙刀を振り下ろした。
 頭上から大上段。最後に残っていた輝く兜が、叩き切られて真っ二つ。それは左右へ別れて地に落ちる。
「元旦を騙る不届き者よ、貴殿が日の出を見る資格はない!」
「貴っ様ァァァァアアア!!」
 纏う黄金は全て砕け散った。残るは中に着込んでいた着物のみ。もはや目出度さなど一つも残ってはいやしない。
 着地したクヌギへと怒号を発しながら再び放たれる衝撃波。だがその前へと躍り出た晴夜はそれに身構えるでもなく、ふっと全身から力を抜く。その身を切り刻むかと見えたその刃――だが、無傷。
 代わりにちょこんと飛び出したのは可愛らしい犬のお人形。それが受けた衝撃波をそのままそっくりお返しする。その衝撃を不意打ちで回避もできずに元日大名はまともにくらう。
 敵に邪魔立てする為ならば、持つ術一つ惜しまない。
「だから神を崇めるように褒め称えて下さい。貴方ではなく、このハレルヤを」
「いいや! 崇められる神は、俺だ!」
 青年の言葉に、今度ばかりはと再び放たれる衝撃波。だが次のそれを打ち返し相殺したのはルヴィリアが抱えた拷問具。
「私の知ってる神様はそんな自分勝手ではありません。悔い改めろー!」
 ぶんぶんと振り回されるメリーさんと名付けられたそれから、同様の衝撃波が何度も放たれていく。
 日本刀なんてカッコいい武器は持ってはいないけれど、彼女自身の血を動力とするその武器も全くもって負けてはいない。
 さぁ、どっちの威力が上かの純粋な力比べ。
「いざ尋常に勝負!」
「良かろう、受けて立つ!」
 正面から挑まれるのならば受けて立ってこその武士。たとえ骸の海から蘇った際に色々間違ったのだとしても、そこだけは正しく持っていたらしい。
 元日大名の振るう刀の斬撃に、ガン、とアイアンメイデンが音を立てる。だが相手の技を見るたびに、ルヴィリアの技はキレを増していく。
「――見切った!」
 叫んで放つその一撃、修道服のフリルが揺れる。
 それは神から背く、いや、神を騙る者の一撃を確かに打ち消した。斬撃が、元日大名を切り裂いていく。

 ついには膝をつくまでに至るが、元日大名の目に灯る正月への執念は消えはしない。
「見事……! だが、まだ此処で諦めてなるものか!」
 最後の力を振り絞り、刀を支えに立ち上がる。
「言葉は話せども、もはや意思の疎通は無理なんでしょうねぇ」
 ならば宜しい。この武将こそを新年の礎にしてしまおう。
 皆に攻め手を任せていた晴久。決して先程までの戦闘で蓄積された腰へのダメージが深刻だからと後衛にいたわけではない。猟犬達への手助けとなるよう、彼はずっと支援の手を緩めてはいなかった。
 そうして長い夜の間操っていた七星の護符が、今度こそ全ての力を封じ込めんと元日大名の持つ刀へと張り付いていく。
 ぺたり、ぺたり。重なる紙。もはや集中力も切れてきたか。元日大名は一瞬、ほんの一瞬だけそれに気を取られた。
 それが最後の引き金となる。
「今です!」
 晴久の声と同時に前線へと戻ってきたシエルが槍を構える。込めるは竜、その巨大な力を槍の穂先へと集中させて、そのがら空きの胴を貫いた。
 竜の咆哮が、夜を裂く。
 呼び出された竜が黄金色を飲み込み、元日大名を噛み砕き、そして確かな夜明けを持ってくる。纏っただけの黄金とは違う、美しき新年の幕開け。
「馬鹿、な……」
「真に魅力があるのなら、自然と人は心引かれるものです」
 薄れ、消えていく元日大名の姿に彼女はそう告げる。
 最初から自らを神だと押し付けるのではなく、人々のために動き働いていれば違った結末もあっただろうか。
 だがそれは、もしもの話。
 納得したのかしていないのかは分からない。けれど最期に元日大名はその大きな口を、音にならずとも開閉させる。
 もはやそれを問いただすまでもない。元日大名が残りの力を振り絞った、最初で最後の新年のご挨拶。名乗っていたものへの矜持。負けたとしても、その一言だけはどうしても譲れなかったのかもしれない。
 すべてを見届けたシエルが掲げた槍に、ご来光の光が反射する。

 ――元日大名、見事討ち取ったなり!

 猟兵達の喝采が上がる。
 こうして偽りの新年を倒す長い長い大晦日は終わりを告げ、穏やかなお正月を皆は取り戻したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『お正月!』

POW   :    ご馳走を食べる

SPD   :    凧揚げや羽根つき、カルタなどで遊ぶ

WIZ   :    初詣に行く

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●あけましておめでとうございます

 派手な戦闘、となれば当然村人達もとっくに気がついて。
 一体どうしたどうしたと遠目に様子を伺っていた彼らが、戦いが終わったのを見計らって遠慮がちに近寄ってくる。

 猟犬達の掻い摘んだ説明に、理解したような、していないような。なんとも言えない表情をして村人達はそうですか、と頷いた。
「まぁ、年の瀬にはおかしい人も出ますからなぁ」
 身も蓋もなし。
 まぁ元日大名などと言われても、これが正しい反応だろう。

 けれど助けられたことに、彼らは素直に感謝の意を表す。
「そんなよう分からんものから、この村を守って下さって有難うございます」
「ここは小さな村ですから、ああいう武将さん方に来られてしまうとワシら、どうしようも出来ませんで」
「ああ、良ければ村でゆっくり休んで行ってくださいな。丁度新年の祝いをするところでして、食い物も酒もたんとありますよ」
 やれ、どの家にならお客人が入るだろうだとか。やれ、汚れた着物の代わりに着てもらえそうな上等があっただろうとか。村人達はめいめいに思いついたことをその口に乗せていく。その顔は、どれも楽しげに輝きを増して。
「客人も滅多に寄らん村です。これも何かの縁、皆様に楽しんでもらえるのならワシらも嬉しゅうございます」

 ――どうぞ、正月をゆっくりお過ごしください。
白幡・修理亮
POW

おおお、餅に雑煮におせち料理!!
これはなんとまあ御馳走じゃのう!!
故郷を思い出しますなあ…

おお、案内役の一文字殿もおられるな。
どれ、一献いかがでござるか。
ともに雑煮をつつきましょうぞ!


芦屋・晴久
ここまでの歓待の意を見せられたのならこちらも受けないと失礼に当たるもの。
ですが私は特になにもしていませんからねぇ。
端の方でちびちび呑ませて頂きますよ。
酔っている方がでたら私が診てあげる必要もありますしね


ルヴィリア・ダナード
美味しいものくださーい!
とりあえず、片っ端から少しずつ食べ物を頂戴しちゃう。
あ、だし巻き玉子は大好きだから多めに貰おう。
いやー、どれも美味しそう…!全種類食べちゃうんだから!
あと忘れちゃいけない。
甘酒も頂かないと!やっぱり、年明け最初に頂くお酒はこれだよな。

感謝されるのはやっぱり嬉しいね。
いろんな人の笑顔を見れて嬉しいな。
なにより無事に新年も迎えられて良かった。
ご馳走も最高に美味しいし幸せ!
一緒に戦ってくれた人達と美味しい恵みに感謝を込めて改めてかんぱーい!



艶々とふっくら炊かれた黒豆に
 金色に輝くあまーい栗きんとん
 お頭のついた海老は目出度い赤色

 重箱にお行儀よく、彩り豊かに詰められたおせちはまるで芸術品のよう。

 村で一番大きな家。そこに並ぶ料理の数々に、ルヴィリア・ダナード(嘘つきドール・f01782)がその緑色の瞳をキラキラと輝かせた。どれもこれもが美味しそう、となれば――目指すは全種類制覇。
「美味しいものくださーい!」
 言うや否や、お皿に少しずつ料理を取っていく。ふっくらと柔らかそうなだし巻き玉子は、大好きなのでちょっぴり多めになるのはご愛嬌。そうして出来上がったのは、こんもりと色んなものがバランスよく盛られたお皿。
「あらぁ、いっぱいだねぇ」
 それに気がついた村の女性がニコニコ笑いながら、こちらもどうぞと差し出す湯呑み。手に馴染むそれはほんのり暖かく。中を覗けば、注がれていたのは白くてとろりとした液体――甘酒だ。
「!!! いただきます!」
 美味しいものに目移りしてあやうく忘れるところ。やはり、年明けのお酒はこれでなくては。元気な返事に村人達も楽しそうにあれやこれやと色んなものを勧めていく。勧められるままに箸を取り、舌鼓を打つ。
 ――ご馳走も美味しいし、村のみんなも楽しそう。
 この穏やかな新年を迎えられて良かった。心の奥がじんわりと暖かくなって、頬も自然と緩んでしまう。
 ――ああ、幸せだなぁ。
「かんぱーい!」
 抑えきれない思いを乗せて立ち上がり、音頭を取る。頼もしい仲間達と美味しい恵に感謝を乗せ、明るい笑顔で告げられたそれは新年に相応しい。
 かんぱーいと周囲からも明るい声が返ってくる。
 それもまた、守った幸福の証明だ。

 こんがりと焼かれたばかりのお餅へと、これまた熱々のすまし汁が注がれる。じゅわっと香ばしい音を立てて完成したお雑煮を手渡された白幡・修理亮(薪割り侍・f10806)は、おおお!と感嘆の声を上げた。
「これはなんとまあ御馳走じゃのう!」
 広げられた正月祝いの様子に、思い出すのは今は戻れぬ故郷の風景。懐かしさを感じるこの光景に、鼻の奥がつんと痛くなる。
 いやいや、けれどもこのようなお目出度い席に涙は合わないだろう。精一杯楽しまなくてはと見回した先。縁側に腰掛ける形でグリモア傭兵の小さな猫人が、先に出来ていた雑煮をむぐむぐと頬張っていた。
「どれ、一文字殿。一献いかがでござるか」
「おお。これはこれは修理亮殿。是非頂こう」
 置いてあった徳利を手に取り、その背に声をかければ八太郎の金の目が嬉しげに細められる。尻尾もゆらゆらと揺れてご機嫌だ。
 並んで朱塗りの杯に、とっとっと、と澄んだ酒を互いに酌をして。
「それでは此度の勝利に」
「助力、誠に感謝でござった」
 掲げてぐいっと飲み干せば、良い酒だと二人分の笑い声がパッと弾ける。

「へえ、あんた様お医者さんですかい」
「これうちの女房が作った煮しめでなぁ、先生もお一つ」
「このお酒は美味しいんですよ、さあさ是非一杯」
 端の方で静かに呑もうとしていた芦屋・晴久(謎に包まれた医師・f00321)の周りへ、あれもどうぞ、これもどうぞと村人達がお酒を片手にやってくる。
 私は特に何もしていませんのでと主張すれども、ここまで歓迎されたならば、受けねば失礼というもの。遠慮するでもなく、勧められた手料理を肴に注がれるお酒をちびちびと呑む。戦闘ですっかり冷えた体も、胃に食べ物とお酒が入ればどんどんと暖まってくる。
 ほう、と一息ついた隙も見逃さず、さぁさぁと酒を継いぐ村人達。医者のいないこの村では余程が余程、晴久が珍しいのだろう。話を聞かせてくれとわらわらと人が集まりだした。
 が、少し離れた所で酒を呑んでいた若者がバタンとひっくり返る。どうやら酒に弱いのか、それもと呑めるようになって日が浅いのか。いずれにせよ酒気に飲まれてしまったらしい。
 ちょっと失礼、と素早く立ち上がって若者の方を診に行く晴久の手際のいい処置を、尊敬の眼差しで見つめる村の衆。
「やっぱお医者様はちげぇなぁ」
 感嘆の声と拍手がわっと沸き起こった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
キトリ(f02354)と

藍色の着物に羽織。帯締めるときゅっと気もひきしまるのぅ。
こういう格好は正月とか、なんかある時しかせんからいつもと違う気分じゃの。
キトリも似合っておるの、かわいいかわいい。

初詣、のその前にまずはちょっと腹に入れたい気分。
振舞いは遠慮せずに頂くべきか。
どんな雑煮なのか、楽しみじゃ。キトリはわしと分け合おうな。
キトリ、これも美味いぞ、栗きんとんじゃ。

や、八太郎殿も。あけましておめでとぉ。
美味そうな酒をたしなんでおられる……わしも飲みたい。
が、それは初詣に行ってからの楽しみにしようかの。
あとでよければ付き合っておくれ。
キトリが見張っていてくれれば羽目も外し過ぎんよ。…多分。


キトリ・フローエ
嵐吾(f05366)と一緒!
水色とピンクの地に薔薇と蝶の柄の、多分お人形さん用のお着物を着せてもらって
可愛いと褒められればそうでしょうと得意げに

あたしもお腹が空いちゃったから、いろいろ食べてみたいわ!
お雑煮もとても美味しそう!お餅は知ってるわ、すごく伸びるの!
おせち料理は初めて見るけれど、すごく華やか
黒いお豆がとってもつやつやしてる
栗きんとん…?栗の実ってこんなにきれいな黄色になるのね!すごく甘くて美味しい!
嵐吾のお裾分けを頂いてお腹いっぱい

神様にご挨拶の前に、八太郎にご挨拶
あけましておめでとう!八太郎もお疲れ様、いっぱい楽しんでいるみたいね
八太郎も嵐吾も、飲みすぎて羽目を外さないようにね?


柊・雄鷹
相棒のハレちゃん(f00145)と初詣や!

……ったく、元旦早々めんどうな奴やったなぁ
って、え!?ハレちゃん、ワイの活躍見てなかったんか!勿体な!!
はいはい、ハレちゃんにも花丸上げよなぁ
まぁなんやかんや仕事も終わたし!
ハレちゃん、このまま初詣でも行こかー!
お肉は帰ってからにせぃ!!

あっ、小銭がない…….
しゃーない!ここは奮発して500円やっ!
ほらほらハレちゃん、お前もケチケチせんと500円入れぇ!

えっーと、家内安全無病息災……
あとはそやな、明日もえぇ天気になりますように!やなっ!!
うわっ、被った!嬉しい幕開けやな!!


夏目・晴夜
なーにがめんどうな奴やったなぁ、ですか
ユタカさん(f00985)今回全く働いてないでしょうが
このハレルヤに労いの褒め言葉のひとつくらい無いんですか?

……ああ、はいはい
見てないところで何かしてたと、
そういう事にしておいて差し上げますよ
初詣?私、肉が食べたいんですけど

ご縁があるように5円玉をいれるんでしたっけ
普通に駄洒落ですよね、コレ。もし本当に神がいるとしたら多分オッサンですね
まあ、私はふつうに5円をいれるとします
いや5円でいいと言ってるでしょう

神頼みとか意味わからなくて苦手なんですよねえ……
あー、えーと
そこそこ長生きできますように
あとは、明日もいい天気になりますように
うわ被った、嫌な幕開けです


紅呉・月都
とりあえず、村のやつらが無事で良かった。
あ?新年の祝いって家族でするもんじゃ……まぁ、たまにはいいか。

そーだなぁ、村の子どもと一緒に凧揚げやら羽根つきやらで遊ぶかな。
せっかくの祝いだ、大人も酒飲んでゆっくりしたいだろ?
なんだったら肩車してやってもいいぞ。
正月ならではの遊びやろーぜ

初詣、そうだなぁ…行っとくか。
特に叶えたいもんとかはねーけど…強いて言えばそうだな……
これからの色んな縁を大事にしてーってとこか。


後藤・吉丁
やっぱ新年はこうでないと。
大変な時だからこそ、こうやって明るく楽しい気持ちも忘れないようにしなきゃね。

村に子供達いるんだね。
良いね、子供は好きだし元気でいてもらいたいから、一緒にちょっと遊んでみようか。
他の猟兵と一緒するのも楽しそうだ。

カルタは対戦形式だから、参加できなくても見てるだけで楽しいんじゃないかな?
まぁアタシは参戦するけど、久々だから腕鈍ってそうだ。
(そこまで強くない、負けてもやられちゃったね~とさっぱり笑う)
他に見てるだけで楽しいのといえば、福笑いかな。
あれ上手くできないんだよねえ~。

おっと、肝心なことを言い忘れていたよ。
あけましておめでとう。
皆で一緒に、良い年にしていこう。


甚五郎・クヌギ
祝いだ祝いだ、正月が来たぞ!
このざわついた空気がまた楽しいのだ
わーい、遊ぶぞぅ!
飛び跳ねるようにぴょんと外へ出て村の子どもたちと遊ぶ

正月と言えば羽根突きに凧揚げであるな
ふっふっふ、ここはひとつ奥義の見せどころ!
子どもたちよ、我輩の必殺羽子板空中殺法をよーく拝むといいぞ!

「猫の行く道」を高く飛んだ羽根を打つ為に使用
曲芸のような宙返り打ちを見せる

にゃあにゃあとあっちこっちで遊んだり子どもたちに遊ばれたり
最中に一文字氏を見かけたら年始の挨拶をしよう
謹賀新年、今年もどうぞよろしくお願いするのである
時間があれば、羽根突きでいざ一戦、如何か?

アドリブ歓迎
年上は名字+氏、年が近い場合は名前+君、嬢で使い分け


エトワール・フィラントゥ
ああ。あの立派な黄金塊、
キレイに砕けば皆様にお配りできると思いましたのに
…残念ですわ

(くんくん。漂う美味しそうな匂いに誘われ)
まあ!新年を祝う宴でございますか
それはおめでだくっ
エトワールもお手伝いさせて頂きますね

*行動
お給仕もお任せあれ!
【POW】で宴会のお手伝い

料理を並べたり、開いた器をさげたり
グラスが空の方にはお飲み物をお勧めいたしましょう
初めて見る色鮮やかなお御馳走に酒瓶、
此方の文化に少しでも触れられたなら良いと

宴の席に八太郎様がいらっしゃればお酌を
わ、わたくしエトワールと申しますっ
貴方様のお名前をお聞きしてもよろしいですか

早打つ鼓動、いまは気付かずとも
このめでたき日にご縁を頂けましたら



帯をキュッと締めればどこか気分も引き締まる。
 正月などの席でない限り、そうそうしない格好だ。衣服が変われば気分もいつもと少し違ってくる。藍色の着物に羽織姿の終夜・嵐吾(灰青・f05366)はそんな事を思いながら、着替えの済んだキトリ・フローエ(星導・f02354)を見て相好を崩す。
「似合っておるの」
「そうでしょうそうでしょう」
 ふふん、と得意げにする彼女の着物は、水色と淡紅色に咲く薔薇が華やかな振袖。花の間を蝶が飛ぶ図柄のそれは、どうやら元はお人形が来ていたものでまるで誂えたのかの様にぴったりのサイズ。くるり、一回転すれば袖がふわりと踊る。髪も結い上げて貰った様子で、南天の実が乳白色の髪に赤く映えて揺れていた。
 初詣の前に何か軽く食べていこうか、と二人が料理の広げられた広間に顔を出せば、村人達も口々に似合っていると褒めてはその前に料理を持ってくる。あれよあれよと広げられたお重に二人で顔を見合わせ、これは遠慮せずに頂こうと行儀よく手を合わす食前のご挨拶。
「雑煮はすましか……キトリはわしと分け合おうな」
「それ、すごく伸びるやつよね。美味しそう!」
 ふわりと出汁の良い香りが漂う椀を覗くも、和の知識の差にて二人の反応は対照的。分け合いっこの提案にこくこくと頷くキトリだが、あれは何これは何と初めて見るおせち料理に菫青石の瞳を輝かせている。そんな様子を見守りながらも、嵐吾は彼女が興味を示したものをひょいひょいと取っては箸で小さく器用に切り分けてのお裾分け。
「ほれ、これも美味いぞ」
 つやつやの黒豆に、その小さな顔を写し込んではすごいすごいと見ていたキトリへ、嵐吾が彼女の一口サイズに栗きんとんを差し出した。聞きなれない名に首を傾げつつもパクリと食めば、その甘さに彼女の頬がぱっと薔薇色に染まる。
「すごく甘くて美味しい! それに栗の実ってこんなにきれいな黄色になるのね!」
 そうして少しずつでもたくさん食べれば二人のお腹はお腹はいっぱいに。
 これはちょっと休憩してから、と話あった所に通り過ぎる尻尾が一つ。
「や、八太郎殿も。あけましておめでとぉ」
「あけましておめでとう!八太郎もお疲れ様、いっぱい楽しんでいるみたいね」
「やあ、これは御二方。あけましておめでとうでござる」
 声をかけられた尻尾の主はきょと、と二人の方へ向くと今年もよしなにと挨拶を口にした。が、その手にしっかり握られているのはお酒の入った徳利。どうやら酒の肴を探しに来た様子。
「美味そうな酒をたしなんでおられる……わしも飲みたい」
  あとでよければ付き合っておくれ、と言われたのならもちろん返すのは是でしかない。
「八太郎も嵐吾も、飲みすぎて羽目を外さないようにね?」
 初詣が終わってからの楽しみに、と笑う大人にしっかり者の少女が釘を刺せば二人揃って泳ぐ視線。
「キトリが見張っていてくれれば羽目も外し過ぎんよ」
 多分。と嵐吾の言葉にも自信なさげな単語がぶら下がる。その横で八太郎もこくこくと首を上下に振るが。こちらは既に酒の匂いがしている始末。
 けれど、そんなダメな大人にため息をつくそぶりのキトリの顔も、本日ばかりは笑み含み。
 さて大目に見てもらえたか否かは――ほんの少し先の話。

 ――ああ。あの立派な黄金塊、キレイに砕けば皆様にお配りできると思いましたのに。
 残念ですわ、と溜息をつくエトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)。力の溢れる善意の心だが、黄金像が無くなってしまったものは仕方がない。
 ならばと少女が足を向けるは、美味しそうな匂い漂うめでたき新年の宴のお手伝いへ!
 開いた器があれば流しへ運び、代わりに新しい料理を受け取っては並べ。飲み物が無くなった人を見つければ素早く新しい飲み物を勧めて注いで回る。
 手際よく、そして一生懸命宴の席を動き回る少女の姿。その微笑ましさにあちらこちらで咲くは笑顔の花。
「あらまぁ、働き者さんだねぇ」
「うちの娘に欲しいぐらいだよ」
「ほら、これ先に味見しちゃいな。出来立てはここの特権だから」
 厨で一足先に勧められる素朴な味わいに彩り鮮やかな料理も、広間に並ぶ酒瓶達も見知らぬものばかりで。
 そうして初めて触れる文化の中、二度目の再開は。
 ――大きくて立派なお耳に、金色の凛々しい瞳のお方……!
「わ、わたくしエトワールと申しますっ! 貴方様のお名前をお聞きしてもよろしいですか?」
 此度グリモアベースで見かけたその姿、八太郎の元へと急ぎ足で近づいて。空になっていた彼の杯へと、酌をしながら少女が尋ねる。その胸の早鐘も知らず、彼はは若干酔いの回ったゆるい笑顔で深々と頭を下げた。
「拙者は姓は一文字、名は八太郎と申す。この度はエトワール殿も御助力、誠に感謝でござった」
 新しき縁も生まれて繋がる、新たな年のめでたき日。

「祝いだ祝いだ、正月が来たぞ!」
 わーい、遊ぶぞぅ! と、ざわつく正月の空気に、跳び跳ねん勢いで楽しげに表に飛び出す甚五郎・クヌギ(左ノ功刀・f03975)に、子供達がわっと後に続く。
「新年の祝いって家族でするもんじゃねぇの?」
 元気がいいな、とそれを見送る紅呉・月都(銀藍の紅牙・f02995)の疑問に、この村全体が家族みたいなものですから、と親の一人が笑って答えた。どうやら毎年こんな調子で皆で集っているらしい。
 ふぅん、と返事を返して立ちあがって、月都が向かうは子供達と同じく表の方へ。てっきり彼も飲むもんだと思っていた村人達がおや、とその目をしばたたかせれば、返事がわりに手を挙げて軽く振った。
「せっかくの祝いだ、大人も酒飲んでゆっくりしたいだろ?」
 そうしてはしゃぐ子供達の元気な声を聞けば後藤・吉丁(玉虫色の老刀装具・f09119)も、屋内に残った子らへと声をかける。
「それじゃあ、アタシも一緒に遊ばせてくれるかい」
 その言葉にぱっと顔を輝かせた子供達。村の者達意外と遊ぶなどそうそう得られぬ機会、あちこちから遊びたいものを手に皆々が集まってくる。
 あまりの勢いに面食らいつつも、それなら順番にしていこうかと彼女が最初に手に取ったのは束ねられた厚紙の束。カルタだ。
「久々だから腕鈍っちゃってそうだけど。さあ、誰がお相手してくれるんだい?」
 その言葉に、腕に自慢のある子供達はわっと集まり。そうではない、まだ文字も読めぬ子達も周りに集って息を飲んでの観戦となった。
 その場にいた一番の年長の子が澄んだ声で読み札を読めば、勢いよく取り札を叩く音が響く。誰もが一歩も引かぬ白熱の試合に、元気な歓声も同じく響き。
 そうして接戦を制したのは、カルタの持ち主。ここの二軒隣のお嬢さん。
 大人に勝つなんて、子供にとってみれば一大事。聡明そうな瞳に歓喜を滲ませ、興奮した様子でやったぁやったぁと、喜び跳ねる。
「やられちゃったねぇ」
 それを見て吉丁も嬉しそうにからりと笑った。
 やはり子供はこうして明るく元気にしているのが一番だ。目を細めて微笑ましげに見守っていれば、くい、と着物の袖を引っ張られる。
 おやどうした、とそちらを向けば福笑いの真っ最中。鼻はおデコに目は顎に、口は顔から飛び出している始末。あまりの出来にどの子もお腹を抱えて笑っている。
「ああ、これ上手くできなんだよねぇ……」
 分かる分かると一緒に笑っていれば、ずいと差し出される目隠し用の手ぬぐい。どうやら次はこちらを一緒に、との事らしい。
 子らの誘いを断るほど野暮な女ではない。よし任せな、と吉丁が受け取り挑み。そうしてしばらく後――どっと子供達に笑いが巻き起こった。

 外で楽しむ正月遊びと言えば。
「ふっふっふ、子どもたちよ、我輩の必殺羽子板空中殺法をよーく拝むといいぞ!」
 外で遊んでいたクヌギが、空高く飛んだ羽を指差して宣言。
 そう、羽根突きである。
 彼が肉球で地面を叩けば、地面が勢い良く隆起する。それに驚きの声を上げる子供達にふふんと自慢げにヒゲ揺らし。彼はそれを吹き上げる風のように駆け登る。
 だがこれもまだまだ序の口。てっぺんまでいけばそこから更に跳躍し、羽子板片手にくるりと見事な宙返り。そのまま羽をスコーンと打つ。
 曲芸さながらのその動き、子供達から更なる歓声がどっと湧く。
 だが迎え撃つ側もただただやられる訳ではない。
「よし、今だ!」
 子供を肩に乗せた月都が、飛んでくる羽根の位置をきちんと見定めて合図を出した。
 えいやっ、と振り回された羽子板は、見事に打ち返す事に成功。羽根は再び空へと高く飛びあがる。
「む、なかなかやりますな!」
「勝負とあっちゃ負ける訳にはいかねえからな」
 遊びだからこそ、全力で。
 その勢いにて持てる力を出し惜しみなく使う二人が混じれば、例年とは違った白熱バトルが繰り広げられる。
「わたしもぴょーんって登ってみたい!」
「あの地面からばーんって出てくるやつどうするの?」
「お兄ちゃん、次ぼく肩車して!!」
「あ、ずるい! わたしも!」
 よって、二人と遊んで欲しい子供達の、順番待つ列が長々と伸びてしまうのも当然の結果だと言えようか。よし任せろと返す二人の返事も頼もしい。
 寒い空気もなんのその。縦横無尽、汗だくになるまで皆で駆け回る。
 そうして一通り順が巡った所で、吉丁と室内にいた子達がお茶を片手にやってくる。その手伝いに混じる、ご機嫌酔っ払いのグリモア傭兵。
「おお、一文字氏。謹賀新年、今年もどうぞよろしくお願いするのである」
「こちらこそ、よろしくお願いするでござる」
「おっと、アタシも肝心なことを言い忘れていたね。あけましておめでとう。皆で一緒に、良い年にしていこう」
「おー、俺もよろしくな」
 休憩がてらに皆でかわす新年の挨拶。されど若さ故か、どうやらまだまだ元気のある様子のクヌギ。置かれていた羽子板を持ち上げてそれを八太郎へと差し出した。
「羽根突きでいざ一戦、如何か?」
「拙者でよければお相手しよう」
 ――そうして始まるは、猫人同士の飛んで跳ねての軽快な勝負。
「がんばれー!」
「負けるな二人ともー!」
 ぴょこぴょこ動き回るその試合。子供達が墨壺片手に声援を送る。
 勝敗の結果は――やはり酔っ払いではダメだった様子。ハチワレの口元、白い毛並みにぐるりと墨でまあるく一筆。それを見た者達が堪え切れずといった様子で次々笑う。
 大変な時だからこそ、明るく楽しむ気持ちを忘れずに。やはり新年はこうでないとね、と子供達の笑い声に囲まれながら、吉丁も一緒に笑みこぼし。皆で笑い合う新年は、きっと良い年になるだろう。
 こうして全力で遊び遊ばれ。そろそろ初詣に行くよと親に呼ばれた何人かの子供達が遊びの輪から抜け駆けていく。
「お兄ちゃんは初詣行かないのー?」
「神様にお願いするんだよー」
 すっかり月都に懐いた子らが、一緒に行こうよと誘いその手を引っぱった。
「そうだなぁ……行っとくか」
 行かない理由も特にはない。だからのんびりと歩調を合わせて共に向かう。
 しかして、特に叶えたい願いは無いけれど。
 強いて言うならば。

 ――これからの色んな縁を、大事にしていけますように。

「……ったく、元旦早々めんどうな奴やったなぁ」
「なーにがめんどうな奴やったなぁ、ですか。ユタカさん今回全く働いてないでしょうが」
 しみじみと零された柊・雄鷹(sky jumper・f00985)の呟きに、相棒の夏目・晴夜(不夜狼・f00145)がじとりと鋭いツッコミを飛ばした。仕事終わりの勢いそのままに二人は神社へ先に初詣へ。先に肉を食べたいという主張が却下されたせいか尚の事晴夜の声は冷たい。
 けれども雄鷹にとってそんなものもどこ吹く風。ワイの活躍見て無いなんて勿体ない!なんて芝居がかった仕草で嘆いて見せる始末。
 はぁ、とため息ひとつ。そう言うことにしておいてあげます、と妥協のラインが甘めに設定されるのはその仲故か。
 ――だがしかし。
「このハレルヤに労いの褒め言葉のひとつくらい無いんですか?」
 ちゃんと働いた自分が褒められないのはおかしい。言外にそう含ませ、ささやかながらも彼にとっては大事な要求が一つ。
「はいはい、ハレちゃんにも花丸上げよなぁ」
 ふは、と吹き出して雄鷹の指先がくるくる動く。描かれるのは大きな花丸マーク。それに晴夜の尻尾が、ふさり、と満足げに揺れた。
 ほんの少しの石段上がり、鳥居を抜けたその先。広くもない境内の奥にぽつりと建つ控えめな社。そんな小さな神社も、このめでたき日には村人たちの姿で賑わっている様子。
 参拝の、さほど長くもない列に並びながら、二人は財布を出して賽銭の準備。ここは勿論五円玉。良縁願う語呂合わせの定番だ。
 だが、己の財布を開いた雄鷹が「あっ」と声をあげる。
 小銭が無い。パタパタとポケットを叩いても何処にも無い。
 とはいえお賽銭無しというのも良くは無い。少し迷った指先がつまみ上げるのは、価格もサイズも一番大きな硬貨。
「しゃーない!ここは奮発して500円やっ!」
「まあ、私はふつうに5円をいれるとします」
 そんな彼を尻目に、自分はしれっと五円玉を用意する晴夜。そもそも神頼みは苦手な部類。語呂合わせの駄洒落から、神様はきっとオッサンでは?なんて怒られかねない事を考えながら我関せずの姿勢を貫く。
 だがそんなものを許してなるものかと、手にした硬貨で雄鷹は彼の二の腕をぐりぐりと突きはじめた。
「ほらほらハレちゃん、お前もケチケチせんと500円入れぇ!」
「いや5円でいいと言ってるでしょう、やめなさい」
 わいわいと騒ぐ彼らの声に、他の村人達も微笑ましげに見守って。
 そうこうしている間に二人の番へ。賽銭箱に鈴緒をガランゴロンと揺らして、パンパンと手を合わせる。
「あー……えーと、そこそこ長生きできますように」
「えっーと、家内安全無病息災……」
 それぞれが願いを口にして、最後。付け足された言葉は――明日もいい天気でありますように。
「うわ被った、嫌な幕開けです」
「うわっ、被った!嬉しい幕開けやな!!」
 息もぴったりに被った願い事。二人で思わず顔を見合わせ、されども、まるきり正反対の反応にどちらからともなく吹き出す声。
 きっと、この凸凹加減こそが、きっと彼らの仲の証左。

 めでたき日の晴れた空に、楽しげな声が村のあちらこちらで響いている。
 どうぞ今年も、全ての人にとって良い年でありますように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月04日


挿絵イラスト