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幸福の鷹は混沌竜と踊る

#ブルーアルカディア #デビルキングワールド #東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』 #金のコインの


「つまり、悪魔インクで悪魔契約書を作れば、アンタは元の世界に戻れるのか」
「ギャハハ、理解が早くていいナぁ。その通りだゼぇ」
 誰も住んでいない無人のはずの浮遊大陸に、そんな会話が紡がれる。
 1人は、スカイソードを携えた、襟足だけが長い銀髪の青年。
 相対するのは、デビルキングワールドからやってきた、三つ首を持つドラゴン。
「で、悪魔インクも自分で作れる、と。それじゃ何で戻れないんだ?」
「ギャーッハッハッ、戻れないんじゃなくて戻らないが正しいんだゼぇ。
 なにしろ、オレサマの悪魔インクは『極大のカオスを引き起こす』ことでしか作れないからナぁ!」
 首を傾げる青年に、ドラゴンは全ての首で笑い。
「確かに、オレサマなら混沌魔法で浮遊大陸のひとつふたつ、丸ごとカオスにするくらいは容易いもんダぁ。悪魔インクもすぐに作れるナぁ。だが、カオスな島そんなものを残して帰ったら、どうしたってこの世界の皆様にご迷惑だろうガぁ!」
「ああ、それでここに来たんだな。ここなら誰にも迷惑をかけないと思って」
 ようやく青年は緑瞳に納得の色を見せた。
 暴走前の段取りと挨拶回りに定評がある東のラスボスは、青年を見下ろして。
「だからオレサマはまた別の島を探すゼぇ。邪魔したナ。ギャーッハッハッ!」
 飛び立とうとしたその巨体を。
「待てよ。それならこの島を使ってくれ」
 青年は面白がるような笑みを見せて引き止める。
「俺はこの島に町を作ろうと思って来たが、まだ何もしちゃいない。
 だから、俺が使う前に……先にアンタが島を使えばいい」
「ギャハハ、混沌魔法に覆われた島に人が普通に住めると思っているのカぁ?」
 提案をスーパーカオスドラゴンは笑い飛ばすけれども。
「住めるさ」
 青年は臆せず、むしろ笑みを深めて断言し。しれっと続けた。
「猟兵が、来てくれるんだろ?」

「スーパーカオスドラゴンをデビルキングワールドに戻す手伝いを頼みたい」
 集まった猟兵達に、九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は、まず端的に目的を告げる。
 デビルキングワールドの東のラスボスであるスーパーカオスドラゴン。彼がブルーアルカディアに居ついて久しい。それは帰る方法がないからだと思われていたのだが……実は本人は手段を知っていて、帰らないだけだったということが先日、判明していた。
 帰還に必要な悪魔インクを作るために、発生してしまう『カオスの混沌領域』。その影響を案じていたスーパーカオスドラゴンだったのだが。
「現れるオブリビオンを『一切合切全て』倒し尽くすことができれば、大地を覆う混沌領域が消滅すると分かったんでね」
 そこで、スーパーカオスドラゴンは無人の浮島で猟兵達を待っているのだという。
 本気の自分と戦ってくれるのを。そして、オブリビオンを倒して混沌領域を消してくれるのを。猟兵ならできると、待っている。
「ただ、現れるオブリビオンは、踏み込んだ者の『内心の脅威』を……つまり、かつての強敵の姿を憑装してオーラとしてまとい襲いかかってくるよ」
 どんな敵が現れるのかはその人次第だが、楽な戦いではないだろう。
「気を引き締めて行っておくれ」
 夏梅は真剣な眼差しで猟兵達を見つめ。
 でもすぐに、にっと表情を崩ず。
「終わる頃には日が暮れる。天気がいいから星も綺麗だろう。
 折角だから、星空を楽しんできな」
 どこまでも続く空。ブルーアルカディア。
 その魅力の1つを提示して。
「ああ、近くにラウレア号もいるようだよ」
 そしてさらりと、縁のある飛空艇の名も添えた。




第3章 日常 『星空でダンス』

POW   :    荒々しく、或いは力強く踊る

SPD   :    テクニカルに、或いは速さを意識して踊る

WIZ   :    優雅に、美しく踊る

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 オブリビオンを倒して戦いが終わった浮遊大陸は、混沌領域も消え、元の何もないただの浮島へと戻っていた。
 ギターの調べが静かな鎮魂曲を響かせる中、猟兵達はそれを確認し。
 そこに大型の飛空艇が降りて来た。
「ギャーッハッハッ、本当に戻ってきやがったナ」
 スーパーカオスドラゴンも戻ってきて、面白がるように笑いながら、猟兵達と共に飛空艇『ラウレア号』を出迎える。
「また後で、って約束したからな」
 飛空艇から最初に姿を見せたのは、船長のイオ。胸元に金のコインのペンダントを揺らし、襟足だけが長い銀髪を風に靡かせて、緑色の瞳に笑みを浮かべながら、挨拶するように片手を上げた。
 その後ろからはぞろぞろと、他の乗組員達も姿を現す。
「それにもう日が暮れる。夜の飛行は避けられるなら避けるさ」
 イオが見上げるその動作につられるように、猟兵達もふと空を見た。
 戦いを始めた時には青かったその空は、深い青から茜色に変わり、夜の帳を下ろし始めている。星の瞬きも1つ、また1つと増え始めていた。
 今夜はこの浮遊大陸で過ごそう。
 ラウレア号は、そしてスーパーカオスドラゴンはそう決めたようで。
 飛空艇も、必要な物資を下ろし終えてから、ガレオノイドの女性へと姿を変える。
 野営の準備を始めた乗組員を眺めたイオは、スーパーカオスドラゴンを見上げ。
「といっても、寝るには早いよな」
 そして猟兵達を見回して、面白がるように笑い。
「どうせなら、星空で踊らないか?」
 そう誘うイオの背にはエンジェルの翼が生えていた。
 
セシル・バーナード
いい夜だね、プラチナちゃん。
ぼくらは少し離れた場所で野営しよう。資材貸してもらえる? 理由? 野暮なこと聞かないでよ。

設営したテントの脇にプラチナちゃんと並んで座って。
暗くなるにつれて星がどんどん増えていくね。さすがブルーアルカディアだ。
聞き覚えた童謡でも歌おうか。一緒に、さんはい。

そろそろ我慢できなくなってきたかな。
向こうとは十分に離れた物陰だし。たまには外でしようか?
プラチナちゃんといっぱい愛し合おう。まだ寒さが残るから服は着たままで。
愛してるよ、プラチナちゃん。君はどうかな?
本格的に冷えてきたら、テントに入って続きをしよう。
プラチナちゃんのこと、朝まで眠らせないからね。じゃ灯りを消すよ。



「うわぁ……綺麗ですね」
 白銀の長い髪を風に広げながら、夜空を見上げた少女が銀色の瞳を輝かせた。
 数多の星が瞬き始めた空に、スーパーカオスドラゴンが飛び回っている。その周囲に幾つかの人影も見えたし、飛べない者は地上で踊っているようだったが、そのどれもがとても楽しそうで。賑やかな雰囲気もまた美しい。
「うん。いい夜だね、プラチナちゃん」
 そんな光景に見惚れる少女を見つめて、セシル・バーナード(f01207)は微笑んだ。
 戦いは終わったからと呼び寄せた愛する伴侶は、くるりと振り向き、セシルに愛らしく楽し気な笑顔を向けて。
「私たちも踊りましょう」
「いや、ぼくらは野営の準備をしよう」
 誘いの言葉に、セシルは笑顔のまま首を横に振った。
 そして少女の反応を待たずに踵を返し、飛空艇の乗組員へと近づいていく。
「資材貸してもらえる?」
「ああ、構わないが……俺達が準備したのを一緒に使ってもらっていいんだぜ?」
 申し出に、乗組員は、こっちで用意しているからと誘ってくれるが。
 セシルは、追いかけてくる銀髪の少女を視線で示して。
「野暮なこと言わないでよ」
 魅せるのは妖艶な笑み。
 言葉に詰まった乗組員の横を通りすぎ、これ使っていい? と聞けば、こくこくと頷きが返ってきたから。セシルはカンテラとテントを手に、ありがと、と笑った。
 そして皆から少し離れた場所に、手早くテントを設営する。
「おいで、プラチナちゃん」
 完成すると、手伝ってくれていた少女の手を引き、一緒に地面に腰を下ろした。
 隣り合って座り、揃って夜空を見上げる。
「暗くなるにつれて星がどんどん増えていくね。さすがブルーアルカディアだ」
 先ほどよりさらに濃くなった黒。夜に染まった空。
 そこに瞬く星々を見ながら、セシルは少女にぴったり肩を寄せた。
 互いの体温が伝わり。少女の緊張が感じられる。
 でもセシルは、それに気付かぬフリをして。
「聞き覚えた童謡でも歌おうか」
 さんはい、なんて誘って、無邪気に歌い出した。
 おずおずと重なる少女の歌声。可愛らしい旋律がセシルの耳をくすぐる。
 でもその声は、戸惑いに揺れ。期待と不安が重なっていて。
 並べた肩が、もぞもぞと落ち着かずに小さく動いていたから。
 歌い終えたセシルは、少女の繊手に自身の手を重ねて、囁いた。
「そろそろ我慢できなくなってきたかな」
 びくっ、と少女の肩が跳ねる。
 振り向いた銀色の瞳は、怯えているかのようだったけれども。その奥に、求め期待するような光が瞬いているのが、セシルにはちゃんと見えていた。
「たまには外でしようか?」
 妖艶に微笑んだセシルは少女の前に回り込み、押し倒しながら唇を重ねる。重ねていた掌は少女の柔肌を撫で、もう片方の手と共にその滑らかさを堪能していった。でも寒さに考慮して着衣はそのままだから、服の下に潜り込んだ手以外は、直接触れ合えない。そのもどかしさも、セシルは楽しみ。もっとと求めるような少女の反応を愉しんでいく。
「愛してるよ、プラチナちゃん」
「……私、もっ……愛して、います。セシルさ……っ」
 そして、熱く囁きながら触れ合い重なる箇所を増やせば、どんどんと高まる熱。
 でも、本格的に冷えてきたらテントに入らないとね、とセシルはちゃんと考えながら。
 愛で包み込んだ少女の思考を甘く優しく奪っていって。
「朝まで眠らせないからね」
 深まる夜の中、カンテラの灯りが、消えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふえ?星空の下で踊る?
ふぉ、フォークダンスですか?
あの、アヒルさんその視線は何ですか?
夜空の下で踊る踊りと聞いて思いつくのは、これしかなかったんだからしょうがないじゃないですか。
そういうアヒルさんは何かあるんですか?
もっと幻想的で美しい踊りがあるって、アヒルさんの優雅さを示す伝統的な『アヒルの湖』って、それは『白鳥の湖』じゃないですか。
ふえ、どっちがこの場に相応しいか勝負って、勝手に始めないでください。
……あれ?フォークダンスって1人じゃできませんよね。
私はどうしたらいいんですか?



「ふえ? 星空の下で踊る? ふぉ、フォークダンスですか?」
 ワルい笑いを響かせながら夜空を舞い踊るスーパーカオスドラゴンを見上げたフリル・インレアン(f19557)は、赤い瞳を瞬かせて。どうしたものかとおろおろする。
 助けを求めるように、手元を見下ろせば。そこにいつもいるアヒルちゃん型ガジェットがフリルをじっと見つめていて。
「……あの、アヒルさん。その視線は何ですか?
 夜空の下で踊る踊りと聞いて思いつくのがフォークダンスしかなかったんだからしょうがないじゃないですか」
 逸らされることのない黒い円らな瞳が、他にないのか、と非難しているように感じられたフリルは、びくびくしながらも言い訳がましく理由を説明した。
 その回答は、黄色いくちばしで突かれるものではなかったようだけれども、ガジェットが納得してくれた風でもなかったから。
「そういうアヒルさんは何かあるんですか?」
 半ば困って、フリルは逆に問いかけてみる。
 するとガジェットは、白い胸をむんっと張って、自信満々にガアと鳴き。
「もっと幻想的で美しい踊りがある、って……?」
 その鳴き声を正確に理解したフリルは、しかし踊りに心当たりがなくて首を傾げた。
 ガア。
「アヒルさんの優雅さを示す伝統的な『アヒルの湖』……?
 って、それは『白鳥の湖』じゃないですか」
 ビョートル・チャイコフスキーをパクる気満々のガジェットに、慌てるフリル。
 でも、フリルが止めたところでガジェットが止まるわけもなく。
「ふえ、どっちがこの場に相応しいか勝負、って勝手に始めないでください」
 フリルの手の中から飛び出して、くるくる回り始める。
 それを追いかけたフリルは、でもすぐに、ガジェットとの勝負に乗るしかないのかと悟り。諦めて。それじゃあと踊り出そうとしたところで、気付く。
「……あれ? フォークダンスって1人じゃできませんよね」
 フォークダンスと呼ばれる踊りは様々あるが、基本的に1人で踊ることはなく、ペアを組んで踊るものも多い。むしろみんなで踊るからフォークダンス、と言えるような側面もある踊りだから。
「私はどうしたらいいんですか?」
 くるくる回るガジェットを、恐らく『アヒルの湖』を舞っていると思われる白いアヒルちゃんを眺めながら、フリルは困り果てる。
「なら、俺と一緒に踊ろうか?」
 そこに差し出された、手。
 驚きながら顔を跳ね上げ、誘ってくれた相手を、緑色の瞳で笑う銀髪の青年の笑顔を、赤い瞳を見開いたフリルは、見て。
 …………。
「ふええぇぇぇ!?」
 極度の人見知りゆえにくるりと踵を返し。ガジェットを拾い上げ、抱えながら、全力で逃げ出してしまっていた。
「ギャーハッハッ!」
 ガア。

大成功 🔵​🔵​🔵​



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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。