幸福の鷹は混沌竜と踊る
「つまり、悪魔インクで悪魔契約書を作れば、アンタは元の世界に戻れるのか」
「ギャハハ、理解が早くていいナぁ。その通りだゼぇ」
誰も住んでいない無人のはずの浮遊大陸に、そんな会話が紡がれる。
1人は、スカイソードを携えた、襟足だけが長い銀髪の青年。
相対するのは、デビルキングワールドからやってきた、三つ首を持つドラゴン。
「で、悪魔インクも自分で作れる、と。それじゃ何で戻れないんだ?」
「ギャーッハッハッ、戻れないんじゃなくて戻らないが正しいんだゼぇ。
なにしろ、オレサマの悪魔インクは『極大のカオスを引き起こす』ことでしか作れないからナぁ!」
首を傾げる青年に、ドラゴンは全ての首で笑い。
「確かに、オレサマなら混沌魔法で浮遊大陸のひとつふたつ、丸ごとカオスにするくらいは容易いもんダぁ。悪魔インクもすぐに作れるナぁ。だが、|カオスな島《そんなもの》を残して帰ったら、どうしたってこの世界の皆様にご迷惑だろうガぁ!」
「ああ、それでここに来たんだな。ここなら誰にも迷惑をかけないと思って」
ようやく青年は緑瞳に納得の色を見せた。
暴走前の段取りと挨拶回りに定評がある東のラスボスは、青年を見下ろして。
「だからオレサマはまた別の島を探すゼぇ。邪魔したナ。ギャーッハッハッ!」
飛び立とうとしたその巨体を。
「待てよ。それならこの島を使ってくれ」
青年は面白がるような笑みを見せて引き止める。
「俺はこの島に町を作ろうと思って来たが、まだ何もしちゃいない。
だから、俺が使う前に……先にアンタが島を使えばいい」
「ギャハハ、混沌魔法に覆われた島に人が普通に住めると思っているのカぁ?」
提案をスーパーカオスドラゴンは笑い飛ばすけれども。
「住めるさ」
青年は臆せず、むしろ笑みを深めて断言し。しれっと続けた。
「猟兵が、来てくれるんだろ?」
「スーパーカオスドラゴンをデビルキングワールドに戻す手伝いを頼みたい」
集まった猟兵達に、九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は、まず端的に目的を告げる。
デビルキングワールドの東のラスボスであるスーパーカオスドラゴン。彼がブルーアルカディアに居ついて久しい。それは帰る方法がないからだと思われていたのだが……実は本人は手段を知っていて、帰らないだけだったということが先日、判明していた。
帰還に必要な悪魔インクを作るために、発生してしまう『カオスの混沌領域』。その影響を案じていたスーパーカオスドラゴンだったのだが。
「現れるオブリビオンを『一切合切全て』倒し尽くすことができれば、大地を覆う混沌領域が消滅すると分かったんでね」
そこで、スーパーカオスドラゴンは無人の浮島で猟兵達を待っているのだという。
本気の自分と戦ってくれるのを。そして、オブリビオンを倒して混沌領域を消してくれるのを。猟兵ならできると、待っている。
「ただ、現れるオブリビオンは、踏み込んだ者の『内心の脅威』を……つまり、かつての強敵の姿を|憑装して《オーラとしてまとい》襲いかかってくるよ」
どんな敵が現れるのかはその人次第だが、楽な戦いではないだろう。
「気を引き締めて行っておくれ」
夏梅は真剣な眼差しで猟兵達を見つめ。
でもすぐに、にっと表情を崩ず。
「終わる頃には日が暮れる。天気がいいから星も綺麗だろう。
折角だから、星空を楽しんできな」
どこまでも続く空。ブルーアルカディア。
その魅力の1つを提示して。
「ああ、近くにラウレア号もいるようだよ」
そしてさらりと、縁のある飛空艇の名も添えた。
佐和
こんにちは。サワです。
前評判通り、事前の段取りは完璧なようです。
戦場は誰も住んでいない無人の浮島です。被害等は気にせずどうぞ。
実は以前にも猟兵が戦闘をしたことのある島です。
( https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=43121 )
本当に何もない島なので、戦闘に前作は全く影響しません。
第1章は、スーパーカオスドラゴンとのボス戦です。
相手は7thKING候補にもなった東のラスボスなので、全力で戦って大丈夫です。
本気の戦いをすることで『カオスの混沌領域』が発生します。
ついでに悪魔インクができます。
第2章は、湧き出たオブリビオンとの戦闘となります。
オブリビオンは猟兵の思う『かつての強敵』の姿を憑装し、憑装した敵の攻撃をそっくりそのまま模倣して戦ってきます。
これを全て撃破することで、混沌領域が消滅します。
どんな敵が相手になるのかはプレイングで指定してください。
困ったらエンケロニエルでも出しておけばいいと思います(雑)
第3章では日が暮れて、綺麗な星空が出ています。
折角なので踊ってみてはどうでしょう?
星空の中、空を飛びながら踊るのもいいかもしれません。
踊るための音楽を奏でるのもよし。踊っているのを眺めてもよし。
星が綺麗な夜をお好きなように過ごしていただければと。
また、前作で交流のあった飛空艇『ラウレア号』が近くにいて、戦いが終わって安全になったところで(具体的には第3章から)島にやってきます。
船長であるエンジェルの翔剣士イオと、ガレオノイドのラウレア、他乗組員もわらわらいます。あれから乗組員増えてます。
こちらにお声がけいただいても大丈夫です。
尚、当シナリオで作成できる悪魔インクは、スーパーカオスドラゴンが安全に帰還するための量には足りません。でも、積み重ねていけば必要量が確保できます。
全部でシナリオ10本分は必要らしいです。まずは1本、頑張っていきましょう。
それでは、混沌と星空を、どうぞ。
第1章 ボス戦
『東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』禍』
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POW : ハイパーカオスチャージ
【カオスで予測不能な軌道を描く】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他のスーパーカオスドラゴン】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : アンリミテッドカオスファング
【三つの頭の牙による連続噛みつき】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : マッドカオスフレイム
自身が【混沌魔法「カオスヘッダー」を発動して】いる間、レベルm半径内の対象全てに【属性を変え続ける混沌の炎】によるダメージか【肉体を癒やす混沌物質】による治癒を与え続ける。
イラスト:カツハシ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ギャハハ、来るぜ来るぜ。7thKING様がヨぉ」
無人の浮遊大陸で晴れ渡る青空を見上げ、楽しそうに笑うスーパーカオスドラゴン。
その隣に居た青年は、これ以上は邪魔かと判断して手を振った。
「それじゃ俺は離れて待ってるな」
「おう、先に使わせてもらうゼぇ。またナぁ」
またな。つまり、また後で会おう、と望む言葉。
青年は驚きに緑瞳を瞬かせ。
でもすぐに嬉しそうに表情を綻ばせる。
「そうだな。また後で」
そして、少し離れた場所で停泊していた大型の飛空艇へと歩き出した後ろ姿に、スーパーカオスドラゴンは思い出して、今更だが、と尋ねた。
「そういえば、名前も聞いてなかったナぁ」
「ああ、そうだったか」
苦笑交じりに振り向いた青年の胸元で、小さな金のコインのペンダントが揺れ、彫られた鷹の模様が煌めき――
「俺はイオ。コルディリネのイオだ」
そして2人は別れ。
そこに猟兵達がやって来た。
セシル・バーナード
うわー、久しぶりだなぁ、ここ。『コルディリネ』がまだ健在だった頃以来だ。
やっほー、スーパーカオスドラゴン。7th KINGが遊びに来たよ。楽しく一暴れといこうじゃない。
突進してくる以上、助走は必須だね。ただそれが読めない。
それなら「見切り」で動きを追いながら、「オーラ防御」を張ってじっと待つだけだ。
最後には突進がインパクトする瞬間がある。そこで「鎧無視攻撃」「衝撃波」「早業」で「カウンター」の冥王砕禍。
この一撃を入れるそのためだけに待ち構えてたんだよ。吹っ飛ばされるのも望むところ。
失った体力は、「魔力吸収」でその混沌魔法の魔力をいただいて治癒に回す。
さあ、まだやるかい? ぼくはまだ立ってるよ。
大地の起伏や草木の種に変化はあれど、建物や道といった人工物はおろか人の生活の気配が欠片もない、無人の浮遊大陸。
目につく特徴らしき特徴のないその浮島に降り立ったセシル・バーナード(サイレーン・f01207)は、だが懐かし気に緑色の瞳を細めた。
「うわー、久しぶりだなぁ、ここ。
『コルディリネ』がまだ健在だった頃以来だ」
以前、この無人島の天使核が狙われた時、それを阻止するために集まった猟兵達の1人がセシルだった。
事件の元凶は、屍人帝国として蘇ってしまったコルディリネのエンジェル。ゆえに、かの屍人帝国を再び滅ぼしたアルカディア争奪戦も思い出し、セシルは肩の辺りで切り揃えられた金髪を風にさらりと揺らしながら微笑む。
そして、コルディリネを支配していた『大天使エンケロニエル』との戦いの折に協力してくれた相手こそ、デビルキングワールドの東のラスボスにして7htKING候補、暴走前の段取りと挨拶回りに定評のある悪魔の中の悪魔だったから。
3つ首を巡らせてこちらを見付けた姿に、セシルはにっこりと挨拶した。
「やっほー、スーパーカオスドラゴン。7thKINGが遊びに来たよ。
楽しく一暴れといこうじゃない」
「ギャハハ、お待ちしていましたゼぇ! それじゃあ早速始めるとしようカぁ!」
こちらもしっかりと挨拶を返してから、突進してくるスーパーカオスドラゴン。
巨大なドラゴンの身体は、普通ならその軌道を読む事は容易いものだが、スーパーカオスドラゴンが操るのは混沌魔法。カオスで予測不可能となったその動きは到底見切れるものではない。
(「それなら」)
セシルはできる限り動きを追いつつ、オーラを纏い防御を固める。
(「最後には突進がインパクトする瞬間がある」)
読めないなら、確実に訪れる一瞬を狙えばいい。
そう割り切って、その時を待ち構え。
激突した刹那、ユーベルコード『|冥王砕禍《メイオウサイカ》』を――破壊属性の指向性空間爆砕衝撃波による一撃を、放った。
大威力の一撃は、スーパーカオスドラゴンを吹っ飛ばしたけれど、華奢なセシルもまた突進によって、相手以上に吹っ飛ばされる。
それでも、固めた防御と、周囲から吸収した魔力による治癒により、傷だらけになりながらもセシルはすぐに立ち上がり、不敵な笑みを見せた。
「さあ、まだやるかい? ぼくはまだ立ってるよ」
「ギャーッハッハッ! 1人で無理すんじゃねぇゾ。
7thKING様の本領はこっからだろうがヨぉ!」
しかしスーパーカオスドラゴンは笑いながらセシルから首を反らし、黒髪の2人へと向き直った。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
見た目や笑いと性格や行い正反対の凄い気遣い
「元の世界返してあげたいじゃん」
頑張ろうと相棒と頷き合って
「猟兵だよこんにちは!」
挨拶はちゃんと
彼も丁寧だしね
それはそれとしていざ勝負!
「超全力でいくよ!」
錫杖で指し宣言
本物の強敵だから気は抜かない
技能は全力励起
風で出る蟲の乱舞でも攪乱し
幾度も全力でギリギリ躱しつつ肉薄してから
終焉光詠唱!
「これは避けようないよ!喰らえ!」
三つ首だし陸井の動きも当然追ってるだろうけど
発動さえしたら幾らスーパーカオスドラゴンでも
余裕はないはず
着弾が続く162秒間で
陸井は四龍を書き切れる!
さあ、竜を倒す龍のお出ましだ!
「これでフィニッシュだよ!」
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
スーパーカオスドラゴンも帰還準備か
後の事も考えて段取りも完璧だし
これは勿論手助けに行かないとな
「その手伝いならいくらでも、だしな」
相棒に頷きを返して向かうよ
「この間は本当にありがとう」
挨拶と共に礼をして
それにも丁寧に返してくる事も
なんだか嬉しいし安心する
「帰す為に、全力で行かせてもらうよ」
しかし実際本物の強敵なんだよな
本人もだしこの後の戦いもある
だからこそ相棒と合わせ短期決戦で
俺達の最大火力をぶつけよう
混沌の炎は範囲から回避し
噛み付きは最初の一回を避ければ
後は自分の力に集中できる
相棒の光に抵抗している間に文字を書き上げ
俺の一撃でダメ押しだ
「さぁ、喰らって貰おうか!」
スーパーカオスドラゴンは7thKINGとなった猟兵をこう評した。
曰く、世界最強の群体、と。
猟兵の強さは個に在らず、集団としてのものであると分かっているからこそ。
「猟兵だよこんにちは!」
「ギャハハ、本日はお日柄も良く、ってナぁ!」
金髪の妖狐と対峙していたスーパーカオスドラゴンは、やってきた葛城・時人(光望護花・f35294)へとあっさり振り返り、挨拶を返した。
「この間は本当にありがとう」
続く凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)も、時人の隣で丁寧に頭を下げれば。
「あん? ……ああ、冥府の女神様のカ?
結局倒したのはオレサマじゃねぇ、7thKING様だろうがヨぉ! ギャーッハッハッ!」
増えた相手を気にすることなく、むしろ歓迎するかのように、笑う。
口調は折角のお礼を一蹴するかのような乱暴なものだが、よく聞くと内容は謙遜して猟兵を褒めるもの。そんな気遣いにも、時人は嬉しそうに微笑むと。
「こんなにいい人だもん、元の世界返してあげたいじゃん」
「その手伝いならいくらでも、だしな」
陸井と顔を見合わせ頷き合った。
聞いたところによれば、この浮島は無人島で戦いに巻き込まれるものは何もない。猟兵がすべきこともしっかり示されていて、段取りは完璧だから。
流石と感心する陸井の横で。
憂いも何もなく、時人は、小環と銀鎖がついた玉枝の杖を、涼やかな音を響かせてスーパーカオスドラゴンに向ける。
「いざ勝負! 超全力でいくよ!」
相手はデビルキングワールドの東のラスボス。友好的とはいえ本物の強敵だから。
気を抜くことなく、白燐蟲の乱舞を目くらましにしながら詠唱。
「こっちもいくゼぇ! マッドカオスフレイム!」
それを見たスーパーカオスドラゴンは三つ首全ての顎を開き、属性を変え続ける混沌の炎を周囲に振り撒いた。
広がる炎が時人を飲み込もうと襲い掛かってくるけれども。
「光の果ては永遠の闇……終わりを導こう! |終焉光《シュウエンノヒカリ》」
詠唱を終えた時人から激烈な光が放たれた。
創世光そのものは着弾したその周囲全てを消滅させる。それはもちろん混沌の炎も例外でなく、時人の前の炎が終わりへと導かれ、消える。
しかし消滅させる範囲よりも炎が覆う範囲の方が格段に広く。すぐにまた炎が時人に迫ろうとするけれども。
「まだまだ!」
時人は立て続けに創世光を放つ。いや、元々連続攻撃のユーベルコードなのだ。
広範囲の炎を手数で消していき、遮る炎がなくなれば、光が向かうはスーパーカオスドラゴン本体。
さらに地を蹴り距離を詰め、また発射地点を変えながら、時人は光を放ち続けた。
「これは避けきれないだろう!」
「ギャハハ、だがいつまで撃てるかナぁ!」
手の内を読んだようなスーパーカオスドラゴンの笑い声。
確かにこのユーベルコードは連続で放てる光の数が決まっている。普通のオブリビオン相手なら気にならない程に多く撃ち続けられるが、さすがに東のラスボスを倒すには少ないだろう。
でもそれは時人にもよく分かっている。
だからこそ、スーパーカオスドラゴンを惹き付ける役をかって出たのだ。
「陸井!」
最後の光を放つと同時に、時人は相棒の名を呼ぶ。
時人が稼いだ時間を使って、空中に複雑な戦文字を書き上げていた陸井を。
「さぁ、喰らって貰おうか!」
総画数が多い程書き上げるのに時間がかかるが威力が上がる戦文字『|死龍葬弾《シリュウソウダン》』。
四つの『龍』を繋げた漢字から放たれる、威力を凝縮した一撃必殺の弾丸。
「竜を倒す龍のお出ましだ!」
「ギャーッハッハッ!」
その完成を見て笑う時人に、スーパーカオスドラゴンも楽し気な笑い声を響かせて。
「帰す為に、全力で行かせてもらうよ」
陸井の――いや、陸井と時人の最大火力の攻撃が、三つ首のドラゴンを飲み込んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ、スーパーカオスドラゴンさんと本気で戦わないといけないですか、ということはこの戦いが始まる前にいろいろな根回しが終わっているという事ですね。
気を引き締めていきましょう。
ふえ?そもそも私にスーパーカオスドラゴンと戦えるだけの実力があるのかって、そんなものあるわけないじゃないですか。
スーパーカオスドラゴンさんが増える前に先手必勝で恋?物語を使って、あとは全力で逃げるに決まってるじゃないですか。
それじゃあ、行きますよ。
スーパーカオスドラゴンさん!
はじめましてフリルです。
よろしくお願いします!!
ふえ?何を言ってるって、実は初めてお会いするので挨拶です。
「ふええ、スーパーカオスドラゴンさんと本気で戦わないといけないですか」
響くワルっぽい笑い声にびくびくしながら、大きな帽子のつばを両手でぎゅっと引き寄せたフリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は、縮こまりながらもちらりと三つ首の竜を見る。
「ということはこの戦いが始まる前にいろいろな根回しが終わっているという事ですね」
幾度も見た姿から、思い出される前評判。暴走前の段取りと挨拶回りについては、伝聞だけでなく実感しているから、もう疑いようもない。
であれば、もう後は戦うだけなのだと、フリルは納得して。
「気を引き締めていきましょう」
ガア。
言葉にすれば、両手で持ったアヒルちゃん型ガジェットが応えるように鳴いた。
「それじゃあ、行きますよ。スーパーカオスドラゴンさん!」
そしてフリルは走り出す。
スーパーカオスドラゴンへ向けて一直線に。
と同時に、ガジェットがまた鳴いて。
「ふえ? そもそも私にスーパーカオスドラゴンと戦えるだけの実力があるのか?」
その言葉を唯一正確に理解できるフリルは復唱して確かめると。
きっぱりはっきりと即答した。
「そんなものあるわけないじゃないですか」
ガジェットの円らな瞳が、だろうな、って呆れた感じに見えます。
それでもフリルは、迷わずにスーパーカオスドラゴンへと全力疾走。黒髪の男性2人とシリアスな戦いを繰り広げているところに突っ込んでいく。
その走りによって、ユーベルコード『|衝撃?的な出会いから始まる恋?物語《ガール・ミーツ・オブリビオン》』が発動していた。
それは少女漫画のお約束。トーストを銜えて走る少女が曲がり角とかで転校生だったりする少年とぶつかって、それからお互いに意識して恋が始まっていく……そんなよく聞くけど現実にはあり得ない状況を、衝突の衝撃を強化して攻撃的に再現したものだから。
「ふええええ、止まれませーん。そこの人、どいてくださーい」
もはやフリルは自分の意思では止まれずに。
スーパーカオスドラゴンに激突した。
「なんダぁ?」
さすがによろめき、数歩後退したスーパーカオスドラゴンがその首を向ければ、ころんと転がったフリルが、あいたた、なんて言いながら起き上がったところで。
ばちっと目が合う東のラスボスとトーストを銜えていないヒロイン。
「はじめましてフリルです。よろしくお願いします!」
そして少女はとびきりの笑顔で挨拶し、それに少年が見惚れたりするわけなのですが。
ガア。
お約束的展開を続けるフリルにガジェットからツッコミが入ったようです。
「ふえ? 何を言ってる、って……実は初めてお会いするので挨拶です」
おや。あえてのお約束の踏襲ではなかったんですね。
大成功
🔵🔵🔵
木霊・ウタ
心情
懐かしいな
皆の顔を久々に見てみたいぜ
戦争の時には世話になったし
いやー本当いい奴だよな
胸を借りるつもりで
全力で行くぜっ
戦闘
地獄の炎を纏って駆ける
もしドラゴンが飛んでるなら
脚から噴出させた炎で宙を駆ける
駆けながら
小さくメロディを口ずさんでいるのを
ドラゴンなら気づくかも
ラウレア号で教えてもらった曲だ
音より速いから
メロディは俺の後から聴こえるカンジかも
広がる混沌領域を焼き尽くしながら
物ともせずに駆け抜け
カオスな突進を超速で躱し捌く
混沌魔法で複数のドラゴンが来ても
同上だ
避けられない時には
炎を大剣として具現化して受けて
返す刀で両断して燃やす
ラウレアの皆が見てるからな
カッコ悪いところは見せらないぜ
本体の懐に飛び込めたら
疾走の勢いのまま跳躍し
長大な紅の光刃で車輪の如く薙ぎ払って
3本の首をまとめて落とす
その傷口を地獄の炎で炙って
更に体内へ延焼し
ドラゴンの混沌を焼却浄化していく
…こんだけやっても大丈夫はなずだ
多分
事後
ギターを演奏し健闘を讃える
お疲れさん
あんたと戦えて光栄だぜ
さて
次はオブリビオンだな
任せろ
木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は、大きな帽子を被った少女と挨拶合戦をしているスーパーカオスドラゴンへと駆け出した。
3つある首のうち1つだけが、その動きに反応してこちらを向く。だが残り2つの首はウタに気付かず必死に挨拶を続ける少女の相手をきちんと続けていたから。
(「いやー本当いい奴だよな」)
ウタは口の端に嬉しそうな笑みを浮かべた。
アルカディア争奪戦でも帝都櫻大戰でも世話になった、デビルキングワールドの東のラスボス。その前評判も、そして7thKING候補であったその実力も、疑いようのないものだったから。
「胸を借りるつもりで、全力で行くぜっ!」
「ギャハハ、次が来たナぁ!」
迷わず飛び込んできたウタを見て、スーパーカオスドラゴンは地を蹴り宙へと舞った。
今までは浮遊大陸に立つ猟兵に合わせてか、突進するのも低空飛行。基本、地上戦で相手をしてくれていたけれど。さすがに幾重もの攻撃を受け、その制限の中で戦うのが難しくなったのだろう。
浮島とは比べ物にならない広さを持つ青い青い空へ、スーパーカオスドラゴンの巨体がカオスな軌道を描いていく。
翼を持たない人間であるウタは、その姿を見上げるように目で追って。
「翔け抜けるぜ!」
にっと笑うと走るその足に地獄の炎を纏った。
ブレイズキャリバーである所以の紅蓮は、その勢いを以てウタを宙に押し上げる。
まるで空にできた炎の道を駆けていくかのように、ウタは走ってスーパーカオスドラゴンを追いかけた。
カオスな軌跡が青空に紅蓮の筋を刻み、迫り来るウタに、スーパーカオスドラゴンの笑い声が弾ける。
「ギャーッハッハッ! ……ンん?」
だがその耳に聞こえた音に、スーパーカオスドラゴンは首の1つを傾げた。
高く低く。リズムを刻んで。響いていたのは1つのメロディ。
ウタが口ずさむ陽気で楽し気な歌だと気付いて。
「ラウレア号で教えてもらった曲だ」
スーパーカオスドラゴンに聞こえたと分かったウタが、そう伝える。
「曲に乗って行こうぜ!」
「ギャーッハッハッ!」
笑い声はさらに弾け、カオスと紅蓮の軌跡が青に舞った。
時に距離が離れ、時に突進して激突を直前で躱しつつも道は交差し、でも仲良く並走していく2つの動き。そのスピードは上がり、軌跡が描かれた後からメロディが聞こえるような、そんな速さで戦いは展開していく。
全力での本気の戦い。
ゆえに広がる混沌領域。
ウタは地獄の炎でそれを焼き尽くさんとするけれど、さすがに完全に押し留められるものでもなく。混沌魔法によりスーパーカオスドラゴンがその個体を増やす。
襲い来る複数のスーパーカオスドラゴン。だがウタは臆せず、むしろ不敵な笑みを深くして、大剣に具現化した炎で轢殺していった。
カオスな突進を躱し、返す刃で両断し、紅蓮を拡げて燃やしていく。
「ラウレア号の皆が見てるからな。カッコ悪いところは見せらないぜ」
思い浮かぶのは、近くにいると聞いた顔馴染みの飛空艇。懐かしい彼らの顔をまた見たいと願いながら、ウタは炎剣を握る手に力を込めて。最後の1体となったスーパーカオスドラゴンへと跳躍した。
車輪の如く回転をかけて振り抜いた長大な紅の光刃は、笑う3つ首を斬り裂いた。さらにその傷口を地獄の炎が炙り、混沌と共に焼却していく。
「……こんだけやっても大丈夫はなずだ。多分」
「ギャハハ、当たり前ダぁ!
オレサマは東のラスボス、スーパーカオスドラゴンだからナぁ!」
ちょっと不安になったウタをあっさりと笑い飛ばして、スーパーカオスドラゴンが満身創痍の身体で満足そうに首を掲げる。
「大分戦ったナぁ。そろそろいい頃だろうゼぇ」
そして告げられた終戦。
スーパーカオスドラゴンと共に浮島の地へ降りたウタは、炎をギターに持ち替え、先ほどまで口ずさんでいたメロディを少し静かな曲調にして爪弾きながら、にっと笑った。
「お疲れさん。あんたと戦えて光栄だぜ」
「こちらこそ楽しかったゼぇ」
挨拶を交わし、他の猟兵達もそれぞれに1つの戦いの終わりを感じているのを見回し。
しかしウタも猟兵達も、そしてスーパーカオスドラゴンも、気を緩めずに立つ。
「だが、ここからが7thKING様の出番ダ」
「ああ、分かってる」
辺りに広がる混沌領域。
さすがに焼き尽くせなかったそれがしっかり残っているのを感じて。
「任せろ」
ウタは次の役目へと気持ちを切り替えた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『カオスより来る敵』
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POW : 気合とパワーで正面からぶっ飛ばす。
SPD : 過去より成長した自分の技を振るい、強敵に打ち勝つ。
WIZ : 強敵の憑装を何らかの手段で弱め、その隙を突く。
イラスト:fossil
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
スーパーカオスドラゴンと猟兵との全力の戦いにより、無人の浮遊大陸に広がったカオスな混沌領域。戦いが終わっても残ってしまったそこから、オブリビオンがじわりと染み出てきた。
それは小さな過去。さほどの力もないささやかな過去の群れ。
だがそこに、混沌が作用する。
猟兵達の中にある、それぞれの『かつての強敵』の姿を写し。その存在を憑装して。
猟兵達の前に立ち塞がる。
「ギャハハ、こいつらを全部倒せば混沌領域は消えるゼぇ。
さあ、やってもらおうか7thKING様ヨぉ!」
スーパーカオスドラゴンが信頼の笑い声を響かせる中。
倒したはずの過去との戦いが、始まる。
セシル・バーナード
『かつての強敵』か。
それは、“白騎士”ディアブロをおいて、他にあり得ない。
現れるのは、彼であって彼ではないけれど、もう一度挑ませてもらう。
「全力魔法」「範囲攻撃」「鎧無視攻撃」で砂塵蹂躙。装甲五倍、移動力半分。
この領域は砂鉄の暴嵐で包み込んだ。そう簡単に光線が通るとは思わないことだね。
砂鉄の嵐は、ウォーマシンたる君の装甲の僅かな箇所から入り込んで、動作不良を引き起こす。ぼくは「オーラ防御」を張って、ただそれを待つだけだ。
この先の未来は、もう決まってるはずだよ。君が壊れるまでこの砂嵐は止まらない。
攻防一体。そもそも『回避』出来るものじゃないからね。
二重の過去の亡霊よ、今度こそ骸の海で眠れ。
「……『かつての強敵』か」
スーパーカオスドラゴンの笑い声を聞きながら、セシル・バーナード(f01207)はゆっくりと振り返った。
誰も居なかったはずのそこに現れた、過去の影。
その姿が上書きされるかのように変わっていく。
2本の腕で支えるレーザー砲に1本の腕を添え、ビームソードを1本の腕で持ち、2本の腕を組んだ、白い装甲のウォーマシン。銀河帝国『二大巨頭』のひとりにして、銀河帝国攻略戦で倒したはずの鎧装騎兵――未来を操作する『白騎士ディアブロ』。
「うん、他にあり得ないよね」
かつてそのレーザーに貫かれた身体をそっと撫でて苦笑しながら、セシルはその緑瞳に白い姿を映した。
本物ではないと分かっている。混沌領域の影響で、他のオブリビオンが憑装しているだけなのだと。そして、憑装だからこそ、姿形を真似ただけではないのだと。
白騎士であって白騎士ではない。けれども。
「もう一度挑ませてもらう」
セシルは不敵に笑って見せた。
本物であれば、相対したその瞬間に先制攻撃が来ていただろう。だが、本物ではないからか、憑装した元のオブリビオンの実力故か、セシルの方が先に動くことができて。
「世界を閉ざす」
ぽつり呟くと同時に、セシルの周囲に砂嵐が巻き起こった。
それは微細な粒子を含んで吹き荒れる砂鉄の暴嵐。砂塵が舞う領域は、強固な盾となりセシルを守るから。白騎士がセシルへ向けて放ったレーザーは、拡散され、その威力を格段に落とされる。
如何に未来を見て相手の位置を確実に捉えてることができても、装甲を撃ち抜けなければ攻撃は届かない。
先に動けたからこそのユーベルコードの優位を確かめて。
そのまま、セシルは笑って待つ。
「この先の未来は、もう決まってるはずだよ」
確かにレーザーは防がれた。でも白騎士には他にも武器があり、ドローンによる戦闘補助も行える。そして何より、正確無比な未来予測シミュレーションがある。
砂嵐の向こうのセシルへと、白騎士は、次の攻撃を繰り出そうとして。
その動きが、鈍っていた。
頭部のセンサーアイが自身の機体を見下ろす。
機械ゆえに表情はないが、その雰囲気には困惑が感じられるから。
セシルは微笑んだまま、教えてあげた。
「これは砂鉄の嵐だからね」
白騎士の機体は白い装甲に覆われているが、関節があり、各部を動かすために、どうしても継ぎ目や隙間がある。通常の武器や攻撃では通れない僅かな空間は、だが細かな細かな砂塵にとっては充分な出入口だから。
少しずつ、でも確実に機体内部へ入り込んだ砂鉄が、動作不良を引き起こしたのだ。
「君が壊れるまでこの砂嵐は止まらない」
|砂塵蹂躙《サジンジュウリン》。
セシルがこの領域を作り出した時点で、未来は決まってしまった。
白騎士の未来予測でも変えられない結末へ。
だからセシルは、その未来を笑って待つ。
「二重の過去の亡霊よ、今度こそ骸の海で眠れ」
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふえ?Take2ってなんですか?
せっかく持っているのに使わないのは勿体ないって、アヒルさんまさかトーストのことですか?
今度はちゃんとトーストを咥えて走るようにって、絶対に嫌な予感しかしませんよ。
あの混沌の曲がり角を曲がったら、絶対にあの人がいますよ。
金髪長身のイケメン……ですが、服を着てないブラキエルさんがいるのは間違いありません。
ですから、見てしまう前に恋?物語で勝つしかありません!
ふええ!!なんでエンケロニエルさんまでセットでいるんですか!!
これでラブコメでお馴染みの三角関係の完成って、そんなのいりません!!
私は普通の人と普通の恋がしたいんです!!
ですから、立ち止まる訳にはいかないんです!
「ふえぇ……」
スーパーカオスドラゴンに激突したその後も、フリル・インレアン(f19557)は走り続けていた。もうスーパーカオスドラゴンとの戦いは終わっているのだから、足を止めてもよかったはずなのだが。
ガア。
「ふええ、Take2、ってなんですかアヒルさん」
手に持ったアヒルちゃん型ガジェットが何故かそれを許していなくて。
訳が分からないまま、でもガジェットの言うままに、フリルは走り続ける。
ガア。
「せっかく持っているのに使わないのは勿体ない、って、なんのことですか?」
指摘に再び首を傾げ、また問いかけるけれども。ガジェットからは答えはなく。
困り果ててちらりと手元を見下ろしたフリルは。
ガジェットの他にもう1つ、持っていたものを思い出した。
「まさか、トーストのことですか?」
先ほど使ったユーベルコード『|衝撃?的な出会いから始まる恋?物語《ガール・ミーツ・オブリビオン》』。曲がり角でぶつかって恋が始まる、少女漫画のお約束を再現するかのようなその能力のために、現れていた小道具を、フリルは見つめて。
トーストを銜えて、遅刻遅刻~、とか言えと要求されているのだと理解したところで。
ガア。
「今度はちゃんとトーストを咥えて走るように、って……
それ、絶対に嫌な予感しかしませんよ」
予想通りの指示に、しかしフリルはぶんぶんと首を左右に振った。
顔を上げれば、走り行く先に、混沌領域が何故か曲がり角を用意してくれていて。
フリルはきっとあそこでイケメンにぶつかることになる。
でも、そのイケメンは。
混沌領域がオブリビオンに憑装させる、フリルの『かつての強敵』は。
「絶対にあの人がいますよ。
金髪長身のイケメン……ブラキエルさんがいるのは間違いありません」
猟書家の多世界侵攻の首魁であり、アックス&ウィザーズを狙った、最強と謳われしオウガ・フォーミュラ『大天使ブラキエル』。
その実力も脅威だけれども、それよりもフリルを青ざめさせるのは。
「絶対にまた服を着てないですよ!」
お年頃な女の子には酷なその服装でした。
全裸天使とか言われてましたからね。
「……こうなったら、見てしまう前に勝つしかありません!」
邂逅は避けられないとフリルは覚悟を決め、それなら出会い頭に一撃を与えられるこのユーベルコードに賭けるしかないと、フリルはトーストを銜えて、走る脚に力を込め。
曲がり角でイケメンに激突、跳ね飛ばした。
反動で、ころん、と転がるフリル。
ふええ、と起き上がりながら、恐る恐る攻撃の結果を見れば。
そこに全裸天使が立っていました。
「ふええ!? なんでエンケロニエルさんまでいるんですか!?」
それは突進で何とか姿を見ずに倒したブラキエルではなく、ブルーアルカディアで『アルカディアの玉座』を目指した別の大天使で。同性ゆえにブラキエル程ではないけれど、見事な裸身を晒す、目のやり場に困る相手その2だったから。
フリルは大きな帽子のつばを引き寄せ、顔を隠して視線を逸らす。
ガア。
「これでラブコメでお馴染みの三角関係の完成、って、そんなのいりません!」
衝突の衝撃で手の中から零れ落ち、落としたトーストの上にちょこんと座っているガジェットが、呑気なことを言うけれど。
フリルは帽子を引き寄せ、身体を縮こませて、必死に叫んだ。
「私は普通の人と普通の恋がしたいんです!」
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
一筋縄じゃいかないね
見据えた先に出現したのは…見覚え有る
「此処で戦ったエンケロニエルだ」
俺の敵なら撃ち漏らしのイツマデか
怨敵、黒薔薇かと思ったけど
場所もドンピシャだからか彼女だった
「俺の想起に巻き込んでごめんな」
相棒に謝るけど逆に笑顔
なるほど陸井らしい
戦う機会得てそれはそれでOKって事か
「なら全力で!」
「確かPOWは滅茶苦茶厳しい!」
咄嗟に彼女の技を思い浮かべて叫び
白燐剣光大神楽詠唱!
これなら技も出しにくいはず
動けない間に蟲の攻撃も武器攻撃もして
必要なら重ねがけ
陸井のUCと呼応して身動きさせない!
「勝手に再来させられて迷惑だったかもだけど…」
相棒と全力で倒し切るよ!
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
成程、次はこうくるかって感じだ
スーパーカオスドラゴンも強かったけど
相棒が戦った記録で見ていたこの敵も
どれだけの強敵だったかも知っているしな
「成程な。この場所だからこそ、だな」
これは場所もだけど
相棒がいるからこその敵だな
時人は申し訳なさそうに謝るけど
俺はあの時エンケロニエルとは戦えなかったし
むしろそれはそれで問題なしだ
「気にするな。強敵と戦えるのもいい経験だよ」
「了解!ならそれ以外で、俺らしくいくよ」
両手に巨大な水の手裏剣を持ち
敵には水で編み上げた鎖を絡み付かせ
全力で攻撃だ
一度で倒れなくとも何度でも
相棒と共に攻撃を放ち続けて倒し切る
「気にするな。お疲れ様だぞ、時人」
浮遊大陸に広がる混沌領域。その影響を目の当たりにして、凶月・陸井(f35296)はぽつりと呟いた。
「成程、次はこうくるかって感じだ」
「一筋縄じゃいかないね」
葛城・時人(f35294)も隣に並び立ち、混沌の中に現れた見覚えのある敵を苦笑して見据える。
背に広がる1対の白い翼。ゆるりとウェーブを描き広がる長い長い金髪。慈悲深い美貌を輝かせ、美しき裸体に数多の天使核を侍らせる神々しい姿。
「此処で戦ったエンケロニエルだ」
屍人帝国『コルディリネ』を支配していた、かつてのデビルキングワールド3rdKING。
大天使エンケロニエル。
(「俺の敵なら、撃ち漏らしのイツマデか、怨敵、黒薔薇かと思ったけど」)
ブルーアルカディアという世界。アルカディア争奪戦でも手助けしてくれたスーパーカオスドラゴン。そして、コルディリネと所縁のある浮遊大陸、とくれば。
「この場所だからこそ、だな」
陸井も納得したように頷いた。
(「これは場所もだけど……時人がいるからこその敵だな」)
だが、陸井はエンケロニエルと戦ったことはない。相棒が戦った記録を見て、どれだけの強敵だったかは知っているけれど、直接相対してはいないから。
目の前の大天使は『時人のかつての強敵』だと理解して。
大きな帽子のつばを引き寄せ縮こまる少女を無関心に見下ろす大天使を見やる。
「俺の想起に巻き込んでごめんな」
時人もそれを自覚してか、謝罪の言葉を紡ぐけれど。
「気にするな。強敵と戦えるのもいい経験だよ」
陸井は相棒にふっと笑って見せた。
アルカディア争奪戦で戦えなかった相手と戦える、稀有な機会。それが得られたのだから、時人に怒るどころか感謝したいくらいで。問題はないのだと伝えれば。
(「なるほど、陸井らしい」)
時人は笑みを零して頷くと。
「なら全力で!」
憂いなく、純粋に、大天使へと向かった。
「確か『超高濃度酸素ボール』は滅茶苦茶厳しい!」
かつての戦いを思い出し、一番厄介だと思った攻撃方法――呼吸を禁じられてしまうユーベルコードを叫び告げれば。
「了解! なら|それ《POW》以外で、俺らしくいくよ」
即座に理解した陸井は、両手に巨大な水の手裏剣を生み出す。
陸井にとって一番手に馴染む、得手とする水遁の術。水ゆえに透明で見切り難い手裏剣を投げ放てば。
大天使は振り向かずに視線だけを流し。それに呼応するように、肢体に纏っていた天使核が巨大化しながら、手裏剣を迎えた。
虚ろな表情の天使となった天使核は、その身を挺して手裏剣を受け防ぎ。また、両腕を拡げて抱き留めるようにして、自らと共に相殺していく。
「それなら!」
そこに時人が飛び込んで、光剣を振るった。
「穿ち、奪い、縫い留めろ! ククルカン!」
剣舞の如き太刀筋から放たれた光が、衝撃波となって天使核を襲い。そしてまた、眩い輝きが大天使の視覚を奪う。
だが、煩わしそうに顔を背けた大天使の足元から、ものすごい勢いで植物が生え、瞬く間に辺りを覆い尽くした。
元々視覚のない植物に眩しさは影響しえない。光刃に切り裂かれ、散らされながらも、植物はそれ以上の速度で増えて。蕾が膨らみ、開くと、植物毒を噴出する。
(「あの時と同じ……!」)
大天使の周囲を満たす毒の空間。それはアルカディア争奪戦でも時人達を苦しめたもので。植物毒に加えて酸素毒も充満していたあの時は、桜の精と共に一撃を与えてすぐ大天使の元を離れるしかなかった。
今回もまた、一度退かなければならないのかと、時人が奥歯を噛んだ、刹那。
炎の鳥が、舞った。
広がる紅蓮の炎が、毒を、そして発生源である植物を、燃やし尽くして浄化していく。
それが|猟兵《なかま》の援護だと理解した時人は、これなら、と光剣を握り直し。
「陸井!」
振り向けば、力強い頷きと共に鎖が放たれた。
それは手裏剣を形作っていた水。片手のそれを解き、新たに編み上げた鎖は、逃がさないと言うかのようにエンケロニエルへと向かい、肢体に絡みつく。
相棒が大天使を捕らえた時には、既に時人はその間近に飛び込んでいた。
1人だけであれば無謀な突撃。でも、炎が道を開いてくれて、陸井が隙を作ってくれると確信していたから。
時人は迷わず光剣を振り抜く。
「勝手に再来させられて迷惑だったかもだけど……」
白燐蟲にも攻撃させながら、描いた弧を衝撃波として放ち。
それを追いかけるように、陸井の巨大な水手裏剣が重なって。
「何度でも、倒し切るよ!」
大天使を討ち倒した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木霊・ウタ
心情
SCドラゴンには憂なく故郷に帰ってもらいたいし
青空一杯のこの世界を穢されてたまるか
混沌領域を綺麗さっぱり消し去るぜ
行動
オブリビオンが纏うオーラは
やっぱりエンケロだ
この世界の因縁の相手だもんな
内で燃える炎が風を呼び
ワイルドウィンドとして具現化
迦楼羅を炎翼として羽ばたいて
空中コンサートだ
奏でるのは
さっき口ずさんでいたメロディだ
太陽の如き炎が高速で旋回しながら
森や毒を焼却浄化していく
曲が進むにつれて
炎は徐々にその力を増して
大きく熱くなり
オブリビオンやオーラそのものを
次いでに混沌領域をも
燃やし尽くして
火の粉の如き光の粒子へと浄化していく
所詮は紛い物
SCドラゴンと比べるべくもないぜ
紅蓮に抱かれて眠れ
事後
オブリビオン達の鎮魂として演奏を続ける
安らかに
スーパーカオスドラゴンのワルい笑い声が遠ざかっていくのを聞きながら、木霊・ウタ(f03893)は苦笑を零した。
辺りに満ちる混沌領域。その只中に、覚えのある気配を感じて。
「……やっぱりエンケロだ」
かつてアルカディア争奪戦で戦った相手。その美しき裸身を視覚でも確認し、だろうなと納得する。ブルーアルカディア、そして、コルディリネにとって因縁の相手。そして、デビルキングワールドの3rdKINGでもあった強敵。今、この場で現れるウタの『かつての強敵』として、これ以上の存在は、ない。
思わず空を見上げ、そこに飛空艇の姿を探す。安全な場所に、しかし近くにはいるはずの、縁ある飛空艇『ラウレア号』。その船長である彼に、ガレオノイドの彼女に、この現状は見えているのだろうか。
だが、ウタの視界には、青い空と白い雲――青が濃く暗くなってきた気がするのは日没が近づいているからだろうか――そして、小さくなった三つ首のドラゴンしか映らない。
戦場から離れたスーパーカオスドラゴンは、アルカディア争奪戦では、その混沌魔法でエンケロニエルの植物怪獣軍団を喰らい尽くして猟兵を助けてくれていた。でも今は、混沌領域もそのままに、笑いながらこちらを見ている。自分が手助けをしなくても、猟兵なら大丈夫と信頼するかのように。
だからウタは、笑う。
「スーパーカオスドラゴンには憂なく故郷に帰ってもらいたいし」
内で燃える炎で、サウンドウェポンであるギター『ワイルドウィンド』を具現化し、その手に構えると。
「青空一杯のこの世界を穢されてたまるか」
かき鳴らした音と共に、ウタの背に炎の翼『迦楼羅』が広がった。
大きく広がった紅蓮の翼を確かめるように羽ばたくと、ウタの足が浮島を離れ。
「空中コンサートだ!」
ウタは再び空を舞う。
奏でる曲は、先ほど口ずさんでいたメロディ。ラウレア号で教えてもらった陽気で楽しい歌を、力強く紡いでいった。
その旋律に呼応するかのように、太陽のように眩く激しい炎が生みだされ。高速で旋回しながら、エンケロニエルが辺りに広げ始めていた植物や、それが生み出す毒を、焼き尽くし浄化していく。
既に植物を拡げ毒を満たしていたところに挑んだアルカディア争奪戦と違い、生存拒絶楽園は創造され始めたばかり。また、他の猟兵の相手にも手を取られながらだからか、そもそも本物のエンケロニエルではなく憑装しただけの相手だからか、植物毒噴出植物の森への変換速度は、ウタの紅蓮で対抗できる程度だったから。
「燃やし尽くすぜ」
ウタはメロディを紡ぎ、地獄の炎を召喚し続け、植物を抑えていった。
曲が進み、盛り上がっていくにつれて、炎は徐々に力を増し、大きく熱くなる。
植物とその毒だけでなく、オブリビオンが纏ったオーラを引きはがし燃やし尽くしていくかのように。さらにはその憑装を生み出した混沌領域そのものも、火の粉のような光の粒子へと浄化していくかのように。ウタの紅蓮は燃え上がり。
炎の鳥となって周囲を飛び回っていたその軌跡を、他の猟兵達の攻撃に合わせて、水の鎖に捕らわれたエンケロニエルへ向けた。
「所詮は紛い物。スーパーカオスドラゴンと比べるべくもないぜ」
不敵な笑みと共に、ウタは地獄の炎をまた高速で旋回させ。
「燃え上がれっ、俺の魂!」
光剣と水手裏剣を喰らったその裸身を紅蓮に包み込んだ。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『星空でダンス』
|
POW : 荒々しく、或いは力強く踊る
SPD : テクニカルに、或いは速さを意識して踊る
WIZ : 優雅に、美しく踊る
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
オブリビオンを倒して戦いが終わった浮遊大陸は、混沌領域も消え、元の何もないただの浮島へと戻っていた。
ギターの調べが静かな鎮魂曲を響かせる中、猟兵達はそれを確認し。
そこに大型の飛空艇が降りて来た。
「ギャーッハッハッ、本当に戻ってきやがったナ」
スーパーカオスドラゴンも戻ってきて、面白がるように笑いながら、猟兵達と共に飛空艇『ラウレア号』を出迎える。
「また後で、って約束したからな」
飛空艇から最初に姿を見せたのは、船長のイオ。胸元に金のコインのペンダントを揺らし、襟足だけが長い銀髪を風に靡かせて、緑色の瞳に笑みを浮かべながら、挨拶するように片手を上げた。
その後ろからはぞろぞろと、他の乗組員達も姿を現す。
「それにもう日が暮れる。夜の飛行は避けられるなら避けるさ」
イオが見上げるその動作につられるように、猟兵達もふと空を見た。
戦いを始めた時には青かったその空は、深い青から茜色に変わり、夜の帳を下ろし始めている。星の瞬きも1つ、また1つと増え始めていた。
今夜はこの浮遊大陸で過ごそう。
ラウレア号は、そしてスーパーカオスドラゴンはそう決めたようで。
飛空艇も、必要な物資を下ろし終えてから、ガレオノイドの女性へと姿を変える。
野営の準備を始めた乗組員を眺めたイオは、スーパーカオスドラゴンを見上げ。
「といっても、寝るには早いよな」
そして猟兵達を見回して、面白がるように笑い。
「どうせなら、星空で踊らないか?」
そう誘うイオの背にはエンジェルの翼が生えていた。
セシル・バーナード
いい夜だね、プラチナちゃん。
ぼくらは少し離れた場所で野営しよう。資材貸してもらえる? 理由? 野暮なこと聞かないでよ。
設営したテントの脇にプラチナちゃんと並んで座って。
暗くなるにつれて星がどんどん増えていくね。さすがブルーアルカディアだ。
聞き覚えた童謡でも歌おうか。一緒に、さんはい。
そろそろ我慢できなくなってきたかな。
向こうとは十分に離れた物陰だし。たまには外でしようか?
プラチナちゃんといっぱい愛し合おう。まだ寒さが残るから服は着たままで。
愛してるよ、プラチナちゃん。君はどうかな?
本格的に冷えてきたら、テントに入って続きをしよう。
プラチナちゃんのこと、朝まで眠らせないからね。じゃ灯りを消すよ。
「うわぁ……綺麗ですね」
白銀の長い髪を風に広げながら、夜空を見上げた少女が銀色の瞳を輝かせた。
数多の星が瞬き始めた空に、スーパーカオスドラゴンが飛び回っている。その周囲に幾つかの人影も見えたし、飛べない者は地上で踊っているようだったが、そのどれもがとても楽しそうで。賑やかな雰囲気もまた美しい。
「うん。いい夜だね、プラチナちゃん」
そんな光景に見惚れる少女を見つめて、セシル・バーナード(f01207)は微笑んだ。
戦いは終わったからと呼び寄せた愛する伴侶は、くるりと振り向き、セシルに愛らしく楽し気な笑顔を向けて。
「私たちも踊りましょう」
「いや、ぼくらは野営の準備をしよう」
誘いの言葉に、セシルは笑顔のまま首を横に振った。
そして少女の反応を待たずに踵を返し、飛空艇の乗組員へと近づいていく。
「資材貸してもらえる?」
「ああ、構わないが……俺達が準備したのを一緒に使ってもらっていいんだぜ?」
申し出に、乗組員は、こっちで用意しているからと誘ってくれるが。
セシルは、追いかけてくる銀髪の少女を視線で示して。
「野暮なこと言わないでよ」
魅せるのは妖艶な笑み。
言葉に詰まった乗組員の横を通りすぎ、これ使っていい? と聞けば、こくこくと頷きが返ってきたから。セシルはカンテラとテントを手に、ありがと、と笑った。
そして皆から少し離れた場所に、手早くテントを設営する。
「おいで、プラチナちゃん」
完成すると、手伝ってくれていた少女の手を引き、一緒に地面に腰を下ろした。
隣り合って座り、揃って夜空を見上げる。
「暗くなるにつれて星がどんどん増えていくね。さすがブルーアルカディアだ」
先ほどよりさらに濃くなった黒。夜に染まった空。
そこに瞬く星々を見ながら、セシルは少女にぴったり肩を寄せた。
互いの体温が伝わり。少女の緊張が感じられる。
でもセシルは、それに気付かぬフリをして。
「聞き覚えた童謡でも歌おうか」
さんはい、なんて誘って、無邪気に歌い出した。
おずおずと重なる少女の歌声。可愛らしい旋律がセシルの耳をくすぐる。
でもその声は、戸惑いに揺れ。期待と不安が重なっていて。
並べた肩が、もぞもぞと落ち着かずに小さく動いていたから。
歌い終えたセシルは、少女の繊手に自身の手を重ねて、囁いた。
「そろそろ我慢できなくなってきたかな」
びくっ、と少女の肩が跳ねる。
振り向いた銀色の瞳は、怯えているかのようだったけれども。その奥に、求め期待するような光が瞬いているのが、セシルにはちゃんと見えていた。
「たまには外でしようか?」
妖艶に微笑んだセシルは少女の前に回り込み、押し倒しながら唇を重ねる。重ねていた掌は少女の柔肌を撫で、もう片方の手と共にその滑らかさを堪能していった。でも寒さに考慮して着衣はそのままだから、服の下に潜り込んだ手以外は、直接触れ合えない。そのもどかしさも、セシルは楽しみ。もっとと求めるような少女の反応を愉しんでいく。
「愛してるよ、プラチナちゃん」
「……私、もっ……愛して、います。セシルさ……っ」
そして、熱く囁きながら触れ合い重なる箇所を増やせば、どんどんと高まる熱。
でも、本格的に冷えてきたらテントに入らないとね、とセシルはちゃんと考えながら。
愛で包み込んだ少女の思考を甘く優しく奪っていって。
「朝まで眠らせないからね」
深まる夜の中、カンテラの灯りが、消えた。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふえ?星空の下で踊る?
ふぉ、フォークダンスですか?
あの、アヒルさんその視線は何ですか?
夜空の下で踊る踊りと聞いて思いつくのは、これしかなかったんだからしょうがないじゃないですか。
そういうアヒルさんは何かあるんですか?
もっと幻想的で美しい踊りがあるって、アヒルさんの優雅さを示す伝統的な『アヒルの湖』って、それは『白鳥の湖』じゃないですか。
ふえ、どっちがこの場に相応しいか勝負って、勝手に始めないでください。
……あれ?フォークダンスって1人じゃできませんよね。
私はどうしたらいいんですか?
「ふえ? 星空の下で踊る? ふぉ、フォークダンスですか?」
ワルい笑いを響かせながら夜空を舞い踊るスーパーカオスドラゴンを見上げたフリル・インレアン(f19557)は、赤い瞳を瞬かせて。どうしたものかとおろおろする。
助けを求めるように、手元を見下ろせば。そこにいつもいるアヒルちゃん型ガジェットがフリルをじっと見つめていて。
「……あの、アヒルさん。その視線は何ですか?
夜空の下で踊る踊りと聞いて思いつくのがフォークダンスしかなかったんだからしょうがないじゃないですか」
逸らされることのない黒い円らな瞳が、他にないのか、と非難しているように感じられたフリルは、びくびくしながらも言い訳がましく理由を説明した。
その回答は、黄色いくちばしで突かれるものではなかったようだけれども、ガジェットが納得してくれた風でもなかったから。
「そういうアヒルさんは何かあるんですか?」
半ば困って、フリルは逆に問いかけてみる。
するとガジェットは、白い胸をむんっと張って、自信満々にガアと鳴き。
「もっと幻想的で美しい踊りがある、って……?」
その鳴き声を正確に理解したフリルは、しかし踊りに心当たりがなくて首を傾げた。
ガア。
「アヒルさんの優雅さを示す伝統的な『アヒルの湖』……?
って、それは『白鳥の湖』じゃないですか」
ビョートル・チャイコフスキーをパクる気満々のガジェットに、慌てるフリル。
でも、フリルが止めたところでガジェットが止まるわけもなく。
「ふえ、どっちがこの場に相応しいか勝負、って勝手に始めないでください」
フリルの手の中から飛び出して、くるくる回り始める。
それを追いかけたフリルは、でもすぐに、ガジェットとの勝負に乗るしかないのかと悟り。諦めて。それじゃあと踊り出そうとしたところで、気付く。
「……あれ? フォークダンスって1人じゃできませんよね」
フォークダンスと呼ばれる踊りは様々あるが、基本的に1人で踊ることはなく、ペアを組んで踊るものも多い。むしろみんなで踊るからフォークダンス、と言えるような側面もある踊りだから。
「私はどうしたらいいんですか?」
くるくる回るガジェットを、恐らく『アヒルの湖』を舞っていると思われる白いアヒルちゃんを眺めながら、フリルは困り果てる。
「なら、俺と一緒に踊ろうか?」
そこに差し出された、手。
驚きながら顔を跳ね上げ、誘ってくれた相手を、緑色の瞳で笑う銀髪の青年の笑顔を、赤い瞳を見開いたフリルは、見て。
…………。
「ふええぇぇぇ!?」
極度の人見知りゆえにくるりと踵を返し。ガジェットを拾い上げ、抱えながら、全力で逃げ出してしまっていた。
「ギャーハッハッ!」
ガア。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
上手くいって良かった
「良い夜だね」
船の人たちも超混沌竜も楽し気で嬉しいな
「折角だし上がって挨拶しよっか」
思いついて相棒に声かけて
「おいでククルカン!」
今回は飛ぶ為だけに白燐武空翔を詠唱した
あ、なんかはしゃいでる感じする
「こういうのもいいね」
此処は分かる人しかいないしそれも安心
「黒龍も宜しくだよー!」
この子、角の辺り掻くと喜ぶんだよねー
各々騎乗して彼の前へ
「良い戦いをありがとうだよ!」
これで帰れたら良いんだけど…って
あと良いなら一緒に飛ぶ?って聞く
彼も楽しいかなって
船の人達やイオが乗りたいって言ったら
どんどん乗せよう
二匹で曲芸なんかもして
和やかに賑やかに夜を楽しもう!
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
ラウレア号の人達も安心してるみたいだし
後はこの空を楽しみながら過ごせるな
「あぁ、本当に良い夜だよ」
「そうするか。俺達も飛べるしな」
相棒に応えながら宙に昇龍の文字を描き
召喚した黒龍の背に飛び乗るよ
「ククルカンも、宜しくな」
軽く背を撫でてククルカンにも挨拶して
黒龍に頼んだって声をかけたら
白と黒の二筋で空に昇ろう
「さっきはありがとうな」
これで帰れるなら良いんだが
まだ必要ならいくらでも力になりたいからね
感謝の声をかけつつ、いつでも呼んでくれと
皆でのんびりと空を楽しみながら伝えるよ
黒龍とククルカンが曲芸飛行をして
皆を楽しませていて
「こうして楽しむ為に力を使うのも良いもんだな」
「良い夜だね」
「あぁ、本当に良い夜だよ」
葛城・時人(f35294)と凶月・陸井(f35296)は並んで夜空を見上げる。
果て無く無限に広がるような空に瞬く無数の星。その煌めきは美しいけれども。それよりも、そこを楽し気に飛び回るスーパーカオスドラゴンと、星空の下で賑やかに踊る飛空艇『ラウレア号』の乗組員たちの姿に、2人は嬉しそうに笑った。
計画通り、無事に悪魔インクは作られて、混沌領域は消し去れて。後はこの空を楽しみながら過ごすだけ。
上手くいって良かった、とちゃんと役目を果たせたことを実感した時人は。
「折角だし上がって挨拶しよっか」
思いついて、相棒に誘いの声を弾ませる。
「そうするか。俺達も飛べるしな」
陸井はふっと笑って応えると、空中に戦文字を描き出した。それは、戦いの最中に書いたものより格段に画数が少なく、そして緩やかで伸びやかな『昇龍』の2文字。
「さぁ、その黒き身で空を駆けろ。|昇龍《ショウリュウ》」
その黒い墨を身体とするかのように召喚された黒龍の背に、陸井は飛び乗る。
「輝けるその白き翼もて……おいでククルカン!」
時人も、詠唱を楽し気に変え、身の内から巨大な|白燐蟲《ククルカン》を召喚すると、それに騎乗した。
本来は飛翔して戦うための力。でも今は、飛ぶためだけに呼び出したから。
白燐蟲もどこかはしゃいでいる感じがして、時人は思わず笑みを零す。
「こういうのもいいね」
「ああ」
声を弾ませれば、短くも穏やかな頷きが返ってきた。
無駄な言葉はいらない。そんな分かり合えた相棒が傍にいて。
黒龍や白燐蟲を急に召喚しても、驚きはしているようだが警戒や怯えは見せない、むしろ歓声を上げて喜んでくれている、猟兵を分かってくれた人たちばかりで。
「ギャーハッハッ!」
ワルい笑い声が楽し気に夜空に響き渡っている。
時人は安心して笑みを深めると。
「黒龍も宜しくだよー!」
傍の黒龍に手を伸ばし、そういえばここだったね、と角の辺りを掻いてやった。
「ククルカンも、宜しくな」
陸井も白燐蟲に挨拶すると、その背を軽く撫でる。
そして黒と白は。
「頼んだ」
「いこう、ククルカン」
主の声かけに、二筋の線を描くように空へ昇った。
「ギャハハ、呑気に楽しんでるようだナぁ」
こちらの動きに気付いてか、スーパーカオスドラゴンが身体をくねらせ、出迎えるように目の前を横切ったから。
「さっきはありがとうな」
「良い戦いをありがとうだよ!」
陸井が、そして時人も、まずはお礼の言葉を紡ぐ。
「アぁ? それはオレサマの台詞だろうがヨぉ」
乱暴に、でも嬉しそうに、律儀な返しをしてくれるスーパーカオスドラゴン。
「これで帰れたら良いんだけど……」
「ギャハハ、帰れなくはないだろうが心許無いナぁ」
「やはり安全に帰還するためにはもっと悪魔インクが必要か」
時人の心配を笑い飛ばす東のラスボスに、陸井も少し表情を陰らせて。
でもすぐに笑みを向けると、力強く頷いて見せた。
「いくらでも力になりたいからね。いつでも呼んでくれ」
「ギャーハッハッ!」
大きくなる笑い声に、陸井は時人へ視線を流し、ふっと微笑む。
時人も、笑顔を浮かべると。
「あと、良いなら一緒に飛ぶ?」
「わざわざ聞くまでもないゼぇ!」
一蹴するような乱暴な回答と共に、誘うようにスーパーカオスドラゴンが星空の中へと飛んで行くから。
思わず噴き出した時人は白く後を追い。陸井も黒く続いた。
夜空を行く三筋。
のんびりと楽しみながら浮島を見下ろせば、ラウレア号の乗組員が手を振っていて。陽気でテンポのいい曲が聞こえてくる。
それに手を振り返し、また、曲に合わせるように白燐蟲と黒龍とで曲芸飛行をして見せたなら。拍手や歓声が返ってきた。
「こうして楽しむ為に力を使うのも良いもんだな」
並走する時人へぽつりと感想を零せば、そうだね、と頷きがあって。
「誰か乗りたい人はいるかな?」
「そうだな。黒龍も大丈夫だ」
「空はいつも飛んでるだろうけど。飛空艇とは違うって、楽しんでくれるかも!」
続いての提案に、今度は陸井が頷けば。時人の声がさらに弾むから。
言ってみようか、と2人は浮島へと戻り。また夜空へ舞い上がる。
星空の下での和やかな良い夜は、賑やかに過ぎていった。
大成功
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木霊・ウタ
心情
星空で下でのダンスか、気持ちよさそうだ(ぐっ
折角のアルカディアの夜だし
それにカオスの送別会も兼ねるってことで
楽しくやろうぜ
いつ帰還できるのかはわかんないけど
行動
文字通り満点の星空だよな
本当に見晴らしが良くて
さすがブルーアルカディアってカンジだぜ
踊る皆に合わせて
即興でジプシージャズっぽく
陽気でテンポの良い曲をワイルドウィンドで奏でる
カオスも折角だから踊ってくれ
あんたの踊りを見せてくれよ
で、下から見上げていて
ちょいと首が疲れてきたら
俺も迦楼羅の炎翼で静かに星空の中へ
夜空に浮かび
星の瞬きと静寂さを感じながら演奏を続ける
反響が更に少ないから
よりクリアになったメロディが
四方八方へ
文字通り星の海へ響いて消えて行くってのは
やっぱ最高だぜ
やがてメロディをスローテンポに
もう少しで寝る時間だもんな
この美しく豊な世界を
その未来を
これからも守り抜くぜ
カオス>
早い帰還を願ってるぜ
イオ&ラウレリア>
もうちょい長居させてもらっていいか?
明日の日の出も眺めてみたいからな
「文字通り満点の星空だよな」
鎮魂歌を奏でながら木霊・ウタ(f03893)は夜空を見上げる。
戦いが終わり、混沌領域も消え、元の静かな無人島に戻った浮島を確認して。
そして改めて美しい景色を、きちんと取り戻せた平穏な世界を、眺める。
「本当に見晴らしが良くて、さすがブルーアルカディアってカンジだぜ」
その光景に心弾ませているのはウタだけではなく。イオの誘いに、スーパーカオスドラゴンや飛空艇『ラウレア号』の乗組員達が、楽し気に踊り出したから。
「星空で下でのダンスか、気持ちよさそうだ」
ウタはワイルドウィンドで奏でる曲を、陽気でテンポの良いものに変えた。
踊りに合わせて、即興で。ジプシージャズを思わせる旋律が辺りを満たす。
「ギャーッハッハッ!」
ワルい笑みも楽しそうに大きく響き渡っていた。
「カオス、あんたの踊りを見せてくれよ」
「言われるまでもないゼぇ」
三つ首のドラゴンの巨体を見上げながらニッと笑えば、笑みを含んだ乱暴な声が律儀に返ってきて。自由気ままに踊っていたそれを、ウタに見せるように変えたから。
ウタはさらに華やかにワイルドウィンドをかき鳴らした。
今回の件で悪魔インクはできたようだけれど、十分と言える量ではなく。スーパーカオスドラゴンがまだいつ帰還できるのかは分からないけれども。
(「送別会も兼ねて、かな」)
笑顔で楽しく送り出してやろうと、そして早く帰れるようにと願いも込めて。
ウタは曲を奏で続けながら、踊るドラゴンを目で追いかける。
でも、見上げてばかりだとちょっと首が疲れてきて。それにスーパーカオスドラゴンが空高く飛び上がると、曲が届いていないようだったから。
「……迦楼羅」
ウタはその背に炎翼を生み出すと、静かに星空の中へと飛び上がった。
威力も速度も要らないから、その分爆音を抑えて、夜空に浮かび上がる。
星の瞬きが近くなった気がする中で、夜の静寂を存分に感じながら、演奏を続けた。
360度何も遮るもののないステージ。
地上よりも更に反響が少なくなったからか、メロディはよりクリアになり、四方八方へと広がっていく。文字通り、星の海へ響いて消えていく旋律を全身で感じれば。
「やっぱ最高だぜ」
「ああ。最高だな」
零れた感想に頷きが返ってきて。振り向くとそこにイオがいた。
襟足だけだが長い銀髪をふわりと風に揺らし、緑色の瞳に穏やかな笑みを浮かべて、背に広げた白い翼でウタの隣へと飛んできたようだ。
「元気そうだな。安心したぜ」
「おかげさまで、な」
幾つかの事件とアルカディア争奪戦の一端とで猟兵達と関わった翔剣士は、ウタに苦笑を見せ。改めて姿勢を正す。
「いろいろと世話になった。ありがとう。
……あの後、ちゃんとお礼も言えなかったからな」
頭を下げたその動きに、イオの胸元で小さな金のコインのペンダントが揺れた。
鷹の絵を刻んだそれが、隠されずに煌めいているのをウタは微笑と共に見つめ。
そういえば、と問いを口にする。
「何でこの島に?」
「ああ……実は、この島に町を作ろうかと思っててな」
答えながらイオは浮島を見下ろす。ウタも倣うように地上へ視線を落し、そこで楽し気に踊るラウレア号の乗組員たちを見る。
その人数は、一瞥では数えきれない程だった。
「行き場のない奴らを拾ってたら、結構な大所帯になったからなぁ。
そろそろ落ち着ける場所を、って探してたんだ。
ここは何もない島……逆に何のしがらみもない場所だって確認できてね」
そしてイオはふっと遠くを見つめるような目を見せて。
「少しだけ、縁もあったことだし」
呟きに、ウタは思う。この地でかつて倒したオブリビオンのことを。
過去に死んだ彼はこの島にはいない。けれども、どんな形であれ再会できて、その最期を見送ることができたのは、間違いなくこの島だったから。
「リオナが導いてくれたのかもしれないぜ」
「そうかもな」
ぽんっと肩を叩いたウタに、イオは苦笑の混じった笑みを返した。
その笑顔にウタも、にっと笑い返して。
振り向いた夜空で、スーパーカオスドラゴンが白と黒の軌跡と共に踊るのを見る。
よくよく見ると、白燐蟲と黒龍の背には猟兵以外にも人影があって。ワルい笑みと共に楽し気な歓声が幾重にも重なり合って聞こえてきたから。
星が瞬く美しい光景にウタは目を細めた。
(「この美しく豊な世界を、その未来を、これからも守り抜くぜ」)
抱くのは改めての決意。
そしてウタは、奏でるメロディをスローテンポなものに変える。
夜も深くなってきたから。
「もう少しで寝る時間だもんな」
夜空の舞踏会の終わりを届け、今日という日を締めくくるように。
響かせるのは子守唄。
お、と表情を変えたイオに、ウタは尋ねた。
「もうちょい長居させてもらっていいか?
明日の日の出も眺めてみたいからな」
「ああ、皆で一緒に見ようか」
この島の、新しい夜明けを。
大成功
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