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春告げの兎祭りにて

#ケルベロスディバイド

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#ケルベロスディバイド


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「春だよっ!!」
 四月一日・てまり(地に綻ぶ花兎・f40912)のテンションがいやに高い。
 確かに彼女の言葉通り、暦の上では三月となり既に春だし、本格的な春の訪れも近いだろう。だが、それだけが理由ではないような気がする。
「イースターにはまだ早いけどね、臨港パークで『うさぎ祭り』をやるんだよ!」
 あ、そうかこの人兎狂いでしたね。
「目玉はなんと言ってもたくさんの兎と触れ合えるコーナーなんだけどね、他にも兎モチーフの食べ物や飲み物が売られてる出店のコーナーとか、兎グッズが売られてる売店のコーナーもあるんだよ。前夜祭では兎をモチーフにしたアイドルさん達がライブ配信でパフォーマンスをするステージもあるんだって。なんだかタイムリーだね!」
 それこそ、ステージには飛び入り参加も可能らしい。新しく仲間入りしたアイドル達や、以前にもアイドル活動をしていたりしていなかったりした猟兵達が参加することも可能だろう。勿論、観客側に回ってもいい。
 ちなみに、当日は猟兵達が店を出すこともできる。その宣伝も前夜祭では行えるようだ。もっとも、内容は兎に関係するものという縛りはあるが。
 これらも勿論、生配信で全国に向けて発信される。
「イベントが盛況で無事に終わったら、後夜祭という名の打ち上げもあるからね。ここではなんと! 食べ物の売店にあったメニューを兎ちゃん達と一緒に食べられます! ……勿論、兎ちゃんにあげてもいいのは味付けされてない一部の野菜と果物だけだけどね」
 その辺りは後夜祭の場で人間用のメニューとは別に用意してくれるらしい。
 ……と、ここまで聞いて猟兵達はてまりから、盛り上げよりも楽しんで参加してほしいという気持ちを感じ取ることができた。
「ふふー、長官さんからの依頼はイベントに協力して盛り上げてほしい、ってことだったけどね。イベントの収益はデウスエクス対策になるし、デウスエクスの被害に怯える人達の癒しにもなるから。でも、折角のお祭りなんだし! 参加するからには楽しんで欲しいなって思うよ。皆が楽しんでるところを見れば、楽しそうって思った人も来てくれると思うしさ、ウィンウィンだと思うんだよね! 私も、自分が好きなものを皆も楽しんでくれたら嬉しいから!」
 成程、その気持ちは理解できる。
 というわけなので、兎尽くしの祭りを楽しみに行こうか。


絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあです。
 春のうちに兎と絡めたネタは何かやっておきたかった。

 流れと詳細は以下の通りになります。

 第1章:日常『前夜祭全世界生放送』
 第2章:日常『特務機関のチャリティーイベント』
 第3章:日常『後夜祭に行こう』

 第1章にてパフォーマンスと宣伝。
 第2章で兎祭り当日。
 第3章で打ち上げを楽しむ流れになります。
 各章の詳細(どんな兎がいるかや飲食メニューなども含む)はそれぞれ断章にて説明させていただきます。

 お声掛けありましたら、拙宅グリモア猟兵(慧、シトロン以外)もご一緒させていただきます。
 参加したいけどひとりではちょっと、でも気軽に誘えそうな人もいない……という時などにお声がけください。
 逆に呼んでもいないところに乱入しに行くといったようなことはございませんのでご安心ください。

 第1章開始前に、断章を執筆予定です。
 戦闘パートの地形などの追加情報も、断章での描写という形で公開させていただきます。
 断章公開後、プレイング受付開始日をタグにて告知させていただきます。
 なお、締切までに必要成功数に達しなかった場合はサポート・全員リクエストを採用して章を完結させますので、追加募集はないこと予めご了承いただければ幸いです。
 (特に1章と3章は集まりによっては募集期間中でもサポート・全リクから採用して執筆する可能性もございます)

 それでは、ご縁がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『前夜祭全世界生放送』

POW   :    他の参加者と一緒に夜通し浮かれ騒ぐ

SPD   :    ステージに上がり、当日への期待を盛り上げる出し物をする

WIZ   :    イベントの見どころを簡潔にまとめ、紹介する

イラスト:del

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 さて、うさぎ祭り前夜。
 会場である園内の、海を臨む芝生広場に特設野外ステージができていた。
 兎や人参、春の花などをモチーフにしたネオンが煌めくその場所で、四人組のアイドルが、可愛らしい楽曲に合わせて歌って踊ってパフォーマンスしている。
 事前の説明にあった通り、兎をモチーフにした女性アイドルグループらしく、グループ名は『|Coniglio《コニーリオ》』と言うらしい。イタリア語だろうか。
 皆、一様に兎の耳と尻尾をつけた――或いは本物の可能性もなくはないが――甘ロリ風のステージ衣装に身を包み、キラキラと輝くような笑顔を振りまいている。センター二人のイメージカラーはそれぞれ白と黒、だろうか。サイドを固める二人はピンクと黄色で、どちらも淡く柔らかいパステルカラーだ。観客席もこれらの色のサイリウムで彩られている。
 現時点では彼女達のワンマンライブ会場と化しているこのステージだが、これも事前の説明通り、猟兵達の飛び入り参加が可能だ。パフォーマンス中に割り込むのはご法度だが、合間合間であればむしろ猟兵の頼みとあらば喜んで譲ってくれるだろう。
 ステージではアイドルパフォーマンスをしてもいいし、アイドルでなくともライブをしてもいい。なんなら歌や踊りでなく、その他の芸事でもいい。とはいえ、祭りが祭りなので何かしらの兎要素を絡めることは推奨されるが。
 他にも、祭り当日に店を出す予定があれば、その宣伝もしていいとのことだ。こちらも、兎が絡む要素があるのが望ましい。ちなみにくどいようだが、以上のステージ映像は全て動画配信サイトでライブ配信されることになる。
 また、ライブの観客側に回ってもいいし、アイドル含めた休憩中のパフォーマー達と交流してもいい。後者は良識の範囲で差し入れなどを用意しておくと喜ばれるだろう。
 ライブのお供には飲み物や屋台グルメの出店もある。こちらは前夜祭のオマケということもあってか、兎モチーフにはこだわらず、一般的な祭りの出店にありそうなものは一通り売っているようだ。ただし未成年と、成人済でも未成年に見える外見をしている者に対する酒類の販売はされないようだ。後者はよくない? と思う者もいるかも知れないが、それを見た周囲への影響とかあるからね。ショウガナイネ。
 何はともあれ、前夜祭も盛り上がっていこうじゃあありませんか!
龍之宮・翡翠
俺と相性のいい兎が居ると良いんだが
(犬猫にはよく噛まれかけたり引っかかれたり等しているので気になり)
確か兎も結構気性が荒かったような気もするが

ん? 前夜祭には兎はいない?
そうか、じゃあそれは当日の楽しみにとっておこう

流石に俺はイベントに乱入する側という柄でもないし、ライブイベントを楽しむことにする
屋台で確保した片手で食料にありつきつつ、曲に身を任せながら、周囲の人々が楽しんでいるのを見守り
やっぱり、こういう風に人々が過ごせて、俺みたいな戦闘メインのケルベロスの出番が無いのが一番良いな

※終始淡々としている印象に見えますが、本人は満喫しているし、翌日に控える本命=兎とのふれあいを楽しみにしています




 華やかなステージに彩られた、芝生広場の片隅に龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)の姿はあった。
 今日はうさぎ祭り、その前夜祭。翡翠はこの世界を守護するケルベロスであるが、今日はオフだ。彼自身もまた、グリモアの力を得ているからわかる。この平和な催しに、不穏分子が紛れることはない。
(「兎か……俺と相性のいい兎が居ると良いんだが」)
 と、思いつつもふと、そう言えば確か兎も結構気性が荒かったような気もするが、と思い出す翡翠は、実は動物、特にもふもふした生き物が好きだ。しかし、そのストイックな雰囲気のせいか、犬や猫にはよく警戒、威嚇……で済めばいいが、噛まれかけたり引っかかれたりなどもしているので、兎相手にもそういったことにならなければいいが、と思わずにはいられない。
 いやまあ、そもそも。
(「ん? 前夜祭には兎はいない?」)
 確かに前夜祭に兎がいる話は聞いていないし、実際周囲にも見当たらない。
 そうか……と少しシュンとする翡翠。いや、傍目には特に表情が変わっているようには見えないが、そうなのだ。
 しかし、祭りの当日なら確実にいる。そう思って切り替えた。
(「それは当日の楽しみにとっておこう」)
 というわけで、この前夜祭で楽しめることをしよう、と。
 目玉はステージでのライブだが、流石に自分はイベントに乱入するような柄でもないと、翡翠が屋台でたこ焼きとイカ焼き、それから飲み物を買って向かうのは、ライブの観客席。
 離れているので遠目にはなるが、ステージも見られるし、何より熱狂している観客達の姿も見える。
 その全てが、この世界で生きる人々だ。
 可愛らしくアップテンポなポップソングが、彼らの気分を上げていく。たまにはこんな音楽も悪くない、と翡翠は純粋に思った。人々が盛り上がるのも理解できる気がした。
 それでいい、それがいいと思った。祭りとはかくあるべきだ。そして、何よりも。
(「やっぱり、こういう風に人々が過ごせて、俺みたいなケルベロスの出番が無いのが一番良いな」)
 日々、戦いに明け暮れている自覚のある翡翠だけれど。
 自分のようなケルベロスの仕事もなくなるような、こんな平和な日常をこそ、自分は守りたいのだと、改めて思うのだ。
(「明日には兎にも会える事だしな」)
 勿論、翡翠自身も、今日も明日もしっかり楽しむ気満々です!

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・久遠
うさぎ祭りか、嫁さんがここに居ったら喜びそうやなぁ
もふもふな可愛い生き物はボクも好きやし
お祭り当日はうさぎに興味津々なお嬢さんとお店やる予定なんよな
前夜祭も楽しんでこっか♪

現地見てお店のガワ(装飾等)をUCで作っても問題なさそうか最終確認
事前に出店許可や備品レンタルやらは済ませといたし
あとは……生放送で宣伝? ステージで?
いや無理やろ(真顔
水着コンでも表彰台降りてすぐ段ボール被った男やぞボクは
恥ずか死するわ
お店はのんびりやるつもりやし……とサイリウム片手にステージ鑑賞
あぁいうキラキラした世界は遠くから眺めるんが一番ですよ
歌も踊りもかいらしいなぁ
……嫁さん着てくれへんかな、|あれ《うさ耳甘ロリ》




(「うさぎ祭りか、嫁さんがここに居ったら喜びそうやなぁ」)
 会場入り口の看板を前に想いを馳せる劉・久遠(迷宮組曲・f44175)。
 家族も連れてこれればよかったのだが、異世界間の転移は猟兵でもなく、ディアボロスランサーも使えないともなれば難しいので。
 せめてお土産とお土産話はしっかり確保して帰りたい所存。だが、久遠自身だって祭りを堪能するつもりで来ているのだ。
(「もふもふな可愛い生き物はボクも好きやし……」)
 それに、と思い出したのは、とある約束。
 祭りの当日は猟兵が出店をしてもいいと言うので、うさぎに興味津々なとあるお嬢さんとお店をやる予定なのだ。
「さて、前夜祭も楽しんでこっか♪」
 そう、祭りと名のつくものなら楽しまなければ。そして、その為の準備も万端だ。
 会場を回りがてら、現地の様子を確認し、お店の|装飾等《ガワ》をユーベルコードで使っても問題なさそうか、実地調査。
「事前に出店許可や備品レンタルやらは済ませといたし、あとは……生放送で宣伝? ステージで?」
 近くにいたスタッフに許可を取りに行った時、そんなことを言っていたなと。ついでにグリモア猟兵も言ってたなと、ふと思い出し。
「いや無理やろ」
 真顔。目がマジだ。糸目も気持ち半目に近い。
(「水着コンでも表彰台降りてすぐ段ボール被った男やぞボクは。恥ずか死するわ」)
 ――2012年、夏、学園祭。
 銀誓館学園水着コンテスト、中学生男子部門入賞。
 当時は結社の皆からも盛大に祝われたが、久遠自身はむしろいたたまれない気持ちでいっぱいだった。いや、入賞は素直に嬉しかったし、皆のお祝いの言葉だってありがたかった。ただ悶死はするかと思った。
(「お店はのんびりやるつもりやし……」)
 と、まあそういうわけなので、ステージは辞退しつつ。それでもサイリウム片手にステージ鑑賞に回ることに。ちなみにカラーはピンク。ある意味では推し色である。
(「あぁいうキラキラした世界は遠くから眺めるんが一番ですよ」)
 ステージでは『Coniglio』と言ったか、ウサ耳アイドル達のパフォーマンスが続いている。
 愛らしい少女達が歌って踊るその姿は、純粋に見ていて楽しい。
(「歌も踊りもかいらしいなぁ」)
 少女達やそのパフォーマンスもさることながら、華やかなステージ衣装もその魅力に彩りを添えているのだろう。……と、考えて久遠はふと。
(「……嫁さん着てくれへんかな、|あれ《うさ耳甘ロリ》」)
 ……物販で売ってるそうですよ?

大成功 🔵​🔵​🔵​

リカルド・マスケラス(サポート)
『炊き出し系ヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある

割と【料理】技能が必要なイベントなど得意。ジャンル的には大衆料理をとにかく量作る感じの得意。宇宙バイクで簡易キッチンセットなども引っ張っているので、そういうのを使って料理することもある。素材を余すことなく毒抜きなど行ったりすのも得意。
その世界での料理や行事などについても【世界知識】でカバーしたりできます。
また、食料に困窮した世界では【森羅穣霊陣】で作物を急成長させて食料を生産することも可能

自分の学んだ技術を現地民に伝えられる機会があればやりたい



「焼きそば如何っすか〜定番のソース焼きそばに、さっぱり食べられる塩焼きそばもあるっすよ〜」
 こう見えても料理できる系マスクのリカルド・マスケラス(希望の|仮面《マスカレイド》・f12160)である。彼はや耐グルメの出店を出す側に回っていた。他にもフランクフルトやホットドッグ、チュロスなど販売している。
「大衆料理、それも量をこなすのは得意っすからね。じゃんじゃん盛り上げに貢献していくっすよ!」
 安い、速い、美味いの三拍子でリカルドの出店は大盛況だ。列も出来ているし、それに伴って他の出店も覗いていく客も増えた。
 間違いなく、前夜祭の盛り上がりに一役買っていると言っていいだろう。
(「……おっと、そろそろステージの皆さんへの差し入れも準備しないと、っすね」)
 労いの意を込めて、リカルドはまた腕を振るう。
 ……アイドルの少女達を間近で見られるかも知れない、なんてことは……正直ちょっとだけ考えました。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジゼル・サンドル
(アイドルってやっぱりキラキラして可愛いなぁ…それでいてパワフルだ)
ステージに圧倒され、わたしもあんなステージができたら…と思ったから。

休憩中の彼女達に桜あんぱんを差し入れに行き、思いきって「よかったら…わたしも一緒に次のステージ、立たせてもらえないだろうか?」とお願いしてみる。
わたしこれでも歌姫を名乗って活動してるんだ。アイドルって柄ではないかもしれないが…歌は得意だしダンスもそこそこできるつもりだ。

了承してもらえたなら振り付けや歌詞を教えてもらった上でうさ耳くらいはつけて一緒にパフォーマンス。UC『きみとわたしの斉唱』で彼女達を変身させ歌唱やダンスのレベルをさらに引き上げるサプライズだ。




 華やかなステージの煌めきが、朝焼け色の瞳に映る。
 キラキラと、瞳の中に輝きの星を宿して、ほうとひとつ、ジゼル・サンドル(歌うサンドリヨン・f34967)は熱い溜息を吐いた。
(「アイドルってやっぱりキラキラして可愛いなぁ…それでいてパワフルだ」)
 その視線はステージに釘付け。
 圧倒されるよう迫力を肌身で感じながらも、あの光に焦れずにはいられなかった。
(「わたしも、あんなステージができたら」)
 そう思ったら、ジゼルはパフォーマンスの区切りに観客の輪を外れ、アイドルグループ『Coniglio』がひととき羽を休めるステージ裏へと向かっていた。
 軽く挨拶をし、ステージへの感想を熱を込めて伝え、差し入れにと桜あんぱんを渡すと、彼女達はきゃあと声を上げて喜んだ。
 ……ジゼルは、アイドルではない。それでも、あの光の中で歌いたい。その想いが鮮烈に、胸の内に焼きついた。
「それで……その、よかったら……わたしも一緒に次のステージ、立たせてもらえないだろうか?」
「|猟兵《ケルベロス》さんが??」
 黄色がイメージカラーらしいメンバーが首を傾げた。意外にもリーダーは彼女らしい。
 ジゼルは彼女に向き直ると、こくりと頷き。
「わたしこれでも歌姫を名乗って活動してるんだ。アイドルって柄ではないかもしれないが……歌は得意だしダンスもそこそこできるつもりだ」
 やはり難しいだろうか、それでも……と、ジゼルが考えを巡らせたのも束の間。
「きゃああああ! それってすっごく素敵! 早速準備しましょ!」
「あッでも衣装どうするの? 私達の貸してもカラー被っちゃうわ!」
「マネージャーさん、何とかならない?」
「あっ、いや、ありがとう……なん、だが。そこまでして貰わなくても」
「ダメよ! 折角の猟兵さんのステージなのよ!? 可愛さも個性も出していかなきゃ!!」
「ええ……??」
 思った以上の快諾かつ押しの強さでジゼルは目を瞬かせた。いや、うさ耳くらいはつけようかと思っていたけれど。
 ケルベロス(猟兵)とは、アイドルにとっても熱狂的に応援する存在であるらしいということを、ジゼルは身を以て思い知った。
 ともあれ、衣装を待つ間に振り付けや歌詞を覚えて、いざステージに立つと。
(「まさかセンターまで貰ってしまうとは……」)
 うさ耳に、水色基調のステージ衣装に身を包んだジゼルが、白と黒の兎アイドル達に挟まれてしまった。衣装は少しサイズが合わなくて萌え袖気味だが、リーダー曰く可愛いからヨシ! とそのまま出ることに。
(「少し恥ずかしいが……折角貰った機会だ」)
 明るく、可愛らしく跳んで、跳ねて。
 そして朗々と歌声に乗せて、『きみとわたしの斉唱』を響かせて。
 衣装はもっとキラキラに、可愛らしく。キュートでポップなエフェクトも大盛りで、大変身&より高みへ昇るパフォーマンスを!
(「キラキラをありがとう。これはわたしからのサプライズだ」)
 この胸の高鳴りをくれたアイドル達へと贈る。
 もちろん、客席へのパフォーマンスも。

「さあみんな、お祭りを楽しんでいこう!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『特務機関のチャリティーイベント』

POW   :    周りの人々を巻き込み、全力で楽しむ

SPD   :    事前に計画を立て、スムーズに会場を見て回る

WIZ   :    派手な宣伝を行い、人々の注目を集める

イラスト:del

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 うさぎ祭り当日。
 天気は快晴、絶好の行楽日和。
 芝生広場に設置された、ふれあいコーナーで思い思いに過ごしている兎たちも、調子は万全のようだ。
 さて、ここには何種類もの兎がいる。然るべきブリーダーの協会で認定された、日本でペットとしても飼育可能な品種たちだ。
 世界最小級のネザーランドドワーフ。
 小さな垂れ耳のホーランドロップ。
 艷やかで手触りのよい毛並みのミニレッキス。
 八割れ模様とツートンカラーのダッチ。
 まん丸ふっくらもふもふのジャージーウーリー。
 綿毛のぬいぐふみのようなアメリカンファジーロップ。
 世界最大級のフレミッシュジャイアント。
 大きな垂れ耳ともふもふのフレンチロップ。
 顔周りまでもっふもふのイングリッシュアンゴラ。
 大きくて長い垂れ耳のイングリッシュロップ。
 真っ白でつやつやのドワーフホト。
 更に、現在日本ではかなり入手が難しい兎たちの姿も、ごく少数ながら見受けられる。
 パンダのような斑模様のチェッカードジャイアント。
 ミニレッキスよりも大きな原種のレッキス。
 トライカラーの斑模様が個性的なラインランダ―。
 その名の通り、たてがみを持つライオンヘッド。
 そして、その他に目を引く兎たちの姿がある。
 もふもふとした種類と、垂れ耳の二種類がおり、大きさはホーランドロップ並みに小さいものから、チェッカードジャイアント並みの大きさのものまでまちまち。
 だが、とりわけ猟兵やケルベロスたちの目を引いたのは、その色だ。パステルカラーとでも言うのだろうか、淡いが自然では滅多に見ないような色合いだ。ざっと見た感じ、ピンク、ブルー、イエロー、ミントグリーン、ラベンダーパープルの五色が確認できた。もしかすると他にもいるかも知れない。
 もしやカラーひよこのように、人為的に、無理矢理染色した個体ではあるまいなと思った者もいたかもしれないが、ブリーダーによるとそういう品種であると言う。劣悪な扱いに苦しむ兎はいないので、安心してほしいと。
 改めて、その二種類はそれぞれ、もふもふがパステルフラッフィー、垂れ耳がパステルロップという品種であるらしい。マイペースだが穏やかで程々に人懐こい、扱いやすい性格をしているものがほとんどだとのこと。稀に、少々いたずらっ子な一面を持つ子もいるようだが、甘えたい構ってほしいが根底にあるようで、気難しいというわけではないらしい。
 これらの兎たちと、良識の範囲で自由に触れ合うこともできる。また、気に入った子がいればブリーダーに申告してもらえれば、相性を見て譲渡も可能だそうだ。
 また、飲食の出店も立ち並んでいる。ふれあいスペースには持っていけない(兎と一緒にごはんは、|後夜祭《うちあげ》のお楽しみだ)が、うさぎにまつわる、またはモチーフのメニューがたくさん用意されている。
 うさぎ型で焼いたパンケーキとフレンチトーストは、どちらも焼き立てのふわふわを提供している。プレーンでも自然な甘さで楽しめるが、パンケーキにはストロベリー&生クリームとチョコバナナ&カスタード、フレンチトーストにはバニラアイス添え、ラムレーズンアイス添えのバリエーションがあるようだ。
 うさぎパフェは果肉を贅沢に乗せたストロベリーと、小さなチョコブラウニーをふんだんに使ったチョコがあり、前者はストロベリーアイスにストロベリーチョコの、後者はチョコアイスにミルクチョコのうさ耳が添えられている。
 更にはうさぎプリンアラモードなんてものもあって、こちらはプリンに乗ったふたつのチェリーの茎を、アーチ上に曲げて先端を根本にくっつけることでうさ耳を表現しているらしい。
 キャロットケーキはイギリス伝統スタイルに合わせてクルミとレーズン入りだ。とは言え、ちゃんと苦手な人のために、クルミ抜き、レーズン抜き、両方抜きにも対応している。
 また、甘味だけでなく軽食メニューも存在している。
 こちらもうさぎ型に入れてホットサンドにしたうさきサンドウィッチは、人参を細切りにしたキャロットラペをメインに、レタスとマスタードチキンをぎっしり詰めてある。
 人参にミートソース、そしてたっぷりチーズのうさぎピザは、耳に謎の細長い出っ張りがついている。これはどうやら、切り分けることでうさ耳になるようだ。
 他にも、人参とチーズを使ったうさぎガレットもある。好みでトマトソースをつけることもできるようだ。
 飲み物はキャロットジュースの他、フルーツミックスジュース、フルーツスムージー、フルーツフラッペが出店では売られている。
 ミックスジュース、スムージー、フラッペにはアップルピーチ(林檎と桃)、チェリーペアー(さくらんぼと梨)、3種のベリー(苺、ブルーベリー、ラズベリー)がそれぞれあるそうだ。
 フラッペに関しては、飲めるかき氷のようなものをイメージしてもらえればよいだろう。アルコールが入ることもあるが、この祭りにおいてはノンアルコールだ。
 因みに、水やコーヒーに紅茶、そして各種日本茶、コーラやジンジャーエールなど、ジュース以外の定番な飲み物を揃えた自販機もある。ジュース類が苦手ならば利用してもいいだろう。
 もっと言うと、ノンアルコール含めたビールとワインを扱っている出店もあるにはある。が、こちらは未成年や、未成年に見える外見の者(子供に見られたりとかすると色々問題がね)は利用できないことも忘れずに。
 他にもふれあいコーナーにいる品種のうさぬいや、うさぎの形のもふもふがついたヘアゴムなどのアクセサリー、鈴付きキーホルダーにキーチェーン、夏に向けてのうさ耳付風鈴などの雑貨も揃っている。お土産を買うのもいいだろう。
 もっと言うと、前夜祭でライブを行ったConiglioらのグッズ物販もある。ペンライトやカチューシャ、タオルにリストバンド、うちわにアクスタ、Tシャツにステージ衣装まで。
 また、申請した猟兵やケルベロスが出店を出すスペースも確保されており、事前の説明通り、兎に関連した食品やアイテムであれば取り扱い可能だ。
 兎と触れ合うもよし、買い物を楽しむもよし、むしろ売る側に回るもよし……是非、心ゆくまでうさぎ祭りを楽しんでほしい。
龍之宮・翡翠
……兎だ。
(呆然という風に零した呟きが、なぜか愛玩用のウサギが居るというより、食用の兎が居るという響きに聞こえてしまうのは、
常在戦場系男子の悲しい性かなのかもしれない)

こんなに種類がいるんだな。
しかも色までこんなにとりどりに。
もふもふしてたりそうでないのが居るとか、耳が立ってたり垂れてたりする種類のウサギがいるというのは知ってたんだが……。
(興味深々かつ、これだけ居れば相性の良い子もいるのではという期待もあるが、戦場に連れていけないぞという葛藤も抱え)

※やっぱりもふもふした生き物に嫌われたまま終わるのか、気を許してくれる子が現れるのか、連れて帰れるのかは、マスターさまに一任します!



「……兎だ」
 ふれあいコーナー内にて、龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)、兎の群れを前にして、感嘆する。
 そう。溜息混じりのこれはある種の感動にすら近いものなのだ。間違っても非常食予備軍がこんなに、的な、そういった物騒な響きではない。断じて。幾ら常在戦場系男子と言えど。こんな哀しき性があるかよ。
 ともあれ、周囲から抱かれそうな誤解によるイメージとは裏腹に、翡翠はこの癒しのひとときを満喫する心積もり満々である。
「こんなに種類がいるんだな。しかも色までこんなにとりどりに」
 翡翠自身、この世界の出身であるが、パステルなんちゃら系の品種については初耳だ。比較的最近確立した品種ということだろうか。
(「もふもふしてたりそうでないのが居るとか、耳が立ってたり垂れてたりする種類のウサギがいるというのは知ってたんだが……」)
 この世界でもデウスエクスに苦しむ声あればと、様々な国を回ってきたと自負する翡翠であるが、まだまだこの世界にも自分の知らないことはたくさんあるのだな、なんて思いつつ。
 しかしやはり、今は目の前の兎たちである。相変わらずやや遠巻きにされているが、これだけの数がいるのだ。相性のいい子が一羽二羽いたって、と期待しても許されたいところだ。
 ――が、その時、翡翠に電流が走る――!
(「もし、連れて帰れそうな兎がいたとしても、戦場には連れていけないぞ……」)
 愕然とする。それは余りに危険すぎる行為だ。
 もしも、もしもだ。懐いてくれて連れて帰れそうな子がいても、兎は兎。かよわきいのちである。ならば任務で不在の間は誰かに預けるか? ……その誰かがパッと頭に思い浮かばない。
 考え込んでしまう翡翠。その空気が険を生むのか、やはり兎たちは翡翠の様子を遠巻きに窺っていて、近寄ってくる様子はないのだが。
「……ん?」
 裾より下に垂れた、飾り紐を軽く引かれる感覚がある。
 足元を見やれば、一羽のミントグリーンなパステルフラッフィーが、翡翠をじっと見上げていた。見た目はともかく、ふてぶてしい態度は兎としては少々無愛想に映るが、逆に言えば物怖じしないマイペースさと言うか度胸と言うか、そんなものを感じる。
 少し背中を触ってみたが、逃げる様子はない。(推定)彼なら連れて帰れるのではと翡翠は希望を持ったが、やはり任務の時はどうするか、という悩みは避けて通れないわけで。
 翡翠はその兎を抱えつつも、暫くうんうんと唸ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蔵務・夏蓮
【空飛ぶうさぎ】
久遠さんから気になるお祭りの話を聞いて参加
犬や猫と違って、うさぎって今まで近づく機会もなかったものだから

事前準備は久遠さんにしていただいたので、お店での働きで返しましょう
普段より喫茶で働く身だもの。こういったことは得意
揃いのギャルソンエプロンに、お祭りにあわせてうさぎの耳を身に着けて
あら、忘れ物があるのではなくて? と久遠さんにもお耳を|プレゼントする《かぶせる》わ

メニューは、うさぎの形にしたクッキーや花をかたどったスコーン
ドリンクには紅茶やコーヒーを。オプションでうさぎラテアートをつけて
3Dラテアートの作り方も学んできました。任せて
|いらっしゃいませ《看板娘スマイル》!


劉・久遠
【空飛ぶうさぎ】

まずはキッチン&レジをUCで木製うさぎ小屋風に改造してしまお
大きな窓からやり取りできるようカウンターと
テイクアウトやなくここで飲みたい方用にうさぎモチーフの椅子を二脚、レジ横に
レンタル備品も設置したら、お揃いのギャルソンエプロン着て
あぁ、旅団の皆へうさ耳夏蓮さん見せんとな
はーい夏蓮さんポーズとってー♪(動画撮る

ん、忘れ物?
嘘やんうさ耳もお揃なん……お、おおきに(困り眉
まぁ雰囲気から察するに、多分心弾ませてくれとるんやろな
こっそり笑いつつcafe【空飛ぶうさぎ】開店!

夏蓮さんの手際の良さに見惚れながら楽し気にレジ応対
うちの看板|娘《うさぎ》の淹れる一杯で憩いのひと時、如何ですか?



「細工は流々仕上げを御覧じろ、……っと!」
 劉・久遠(迷宮組曲・f44175)が出店スペースの一角に建てたのは、人間も入れる大きなうさぎ小屋。
 正確には、彼のユーベルコードによって改造されたキッチンとレジつきの、うさぎ小屋風木造建築だ。大きな窓からやり取り出来るようカウンターと、レジ横に店内利用のお客さんの為のうさぎモチーフの椅子を二脚。
 レンタル備品も設置して、お店は完成!
 宮大工の孫による、規矩術のなせる技である。
 そして、それを邪魔にならないよう、少し離れたところで眺めていたのは蔵務・夏蓮(眩む鳥・f43565)。
 時々、ふれあいコーナーの兎たちに視線を向けていたのは、彼女にとって犬や猫とは違う、珍しい存在だからか。少なくとも、今までの夏蓮にとってはそうだった。
(「うさぎって今まで近づく機会もなかったものだから」)
 だからこそ、夏蓮は気になったのだ。兎もそうだし、その兎をメインに据えたこの催しにも。それが久遠からこの祭りの話を聞いて、参加してみようと思ったきっかけだった。
(「とは言え、事前準備は久遠さんに任せきりになってしまったし」)
 夏蓮にとっては、店舗の設営や、ましてや建築などは専門外だ。出来る人間がいるのなら、任せた方がいい。その代わり、自分は自分に出来ることをする。それがベストなのだ。
(「その分、お店での働きで返しましょう。普段より喫茶で働く身だもの」)
 給仕に接客、あと有事の対応。接客技術に状況判断力、普段のお勤めによって、夏蓮にはしっかりとそれらが身についている。そう、それこそが夏蓮の『得意分野』だ。
「そしたら早速着替えましょー」
「ええ、このエプロンね」
 作業を終えた久遠に頷いて、夏蓮が取り出したのは揃いのギャルソンエプロンだ。今日はこれがここの『制服』と言える。
 更に夏蓮が取り出したのは、お祭りに合わせたうさ耳。そのまますちゃりと装着すれば、可愛らしいうさぎ給仕さんの出来上がり!
 その姿を見た久遠はポンと、思い出したように手を打った。
「あぁ、旅団の皆へうさ耳夏蓮さん見せんとな」
 動画撮影の準備は抜かりなく万端です。
「はーい夏蓮さんポーズとってー♪」
 と、呼ばれるままに久遠へと視線を向けた夏蓮、そこでふと気づく。
「あら、忘れ物があるのではなくて?」
「ん、忘れ物?」
 久遠が首を傾げる間もなく夏蓮が取り出したのは、うさ耳。勿論、夏蓮はそれとは別にうさ耳をしっかりと装着したままである。つまりはそういうことです!
 カメラは回ったままだが、そんなことは些事である。夏蓮はそのまま久遠へとうさ耳を|Present for you《かぶせます》!
「嘘やんうさ耳もお揃なん……お、おおきに」
 困り眉久遠。対して、夏蓮は表情に変化こそほぼないものの、漂うのはどこかやり遂げたような空気感。
(「まぁ雰囲気から察するに、多分心弾ませてくれとるんやろな」)
 想定外の出来事ではあったが、夏蓮が楽しめているなら何よりだ。久遠はそっとひとつ、笑みを零しつつも。
「いよいよやね」
「それじゃあ――」
 cafe【空飛ぶうさぎ】開店です!
 うさぎ小屋のような、可愛らしい外観と温かみのある内装。
 店先の看板のブラックボードにメニューと、ちょっとしたイラストをワンポイントで添えて。
 メインはうさぎの形にしたクッキーや、花をかたどったスコーン。ドリンクには紅茶やコーヒーを。オプションでうさぎラテアートだってつけられちゃいます。
「いらっしゃいませ!」
 夏蓮の看板娘スマイルも完璧です!
「うちの看板|娘《うさぎ》の淹れる一杯で憩いのひと時、如何ですか?」
 久遠も一緒に呼びこめば、開店から徐々にお客さんが入り始める。
「ご注文はお決まりですか?」
 取り敢えず並んでみたものの、なお客さんの為にメニュー表もしっかり準備しつつ、テキパキとオーダーを取っていく夏蓮。
「お姉さんのオススメは?」
「そうですね、カフェラテやカプチーノ、ミルクティーをご注文いただけたら、3Dラテアートをお作りすることもできますので」
「じゃあ、それで! カプチーノにしようかな」
 早速、オーダー通り提供されるカプチーノ。
 3Dラテアートの作り方も学んできました、と久遠に話していた夏蓮の作業には無駄がない。気づけばカップからはひょこんと可愛らしい白兎が顔を覗かせていた。
「可愛い! 飲むのが勿体ないくらい!」
 これにはお客さんも大喜び。
 その手際の良さは、思わず久遠も見惚れて感心するほどだ。
 任せて、と夏蓮からの目配せ受ければ、彼女自身もこの時間を楽しんでいることが伝わってきて。
(「これは文句なしの大成功やね♪」)
 正面に直ればレジカウンターから見える、いつの間にか出来ていた行列もそうだが。
 何より今、久遠も夏蓮もとても楽しいので!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジゼル・サンドル
いやはや前夜祭は驚いたなあ…まさかセンターもらってしまうとは。あれ配信されてたのだよな、わたし浮いてなかったかな…?

せっかくの縁だ、わたしも推し活というのをしてみようか。
と物販を覗くも色々ありすぎて何買うか迷う…え、どうしよう…推しのカラーの物買ったりするらしいが推しメンとか正直分からない…皆可愛かったからなぁ。
悩んだ挙げ句とりあえずペンライトにカチューシャ全色とステージ衣装買っちゃう。今後パフォーマンスに役立つかもしれないし。

ふぅ、グッズ買ったらお腹空いてきた…
うさぎサンドウィッチとうさぎピザ、それにパンケーキのチョコバナナカスタードにキャロットケーキと気になるものを片っ端から食べていこう。



「いやはや前夜祭は驚いたなあ……まさかセンターもらってしまうとは」
 前夜祭、ライブ会場だったそこにあった筈のステージは、影も形もなくなっていたものの。
 ここで歌って踊って煌めいて、のパフォーマンスを披露した記憶は、間違いなくジゼル・サンドル(歌うサンドリヨン・f34967)の心に残っている。
(「あれ配信されてたのだよな、わたし浮いてなかったかな……?」)
 アイドルの少女達も観客も、楽しかった記憶を持ち帰ってくれていればいいと思いつつ、やはりその辺りは気になってしまうジゼル。
 ともあれ、そんなジゼルの足が向いたのは、出店スペースの一角にある物販コーナー。
(「せっかくの縁だ、わたしも推し活というのをしてみようか」)
 飛び入り参加かつ、一緒にライブでパフォーマンスを、という申し出を、快く受け入れてくれたConiglioの少女たち。
 彼女たちへの感謝の念も込めて、何かお返しのようなことが出来たら、と考えていたのだ。
(「……とは、思ったものの」)
 多い。種類が。
 推し活初心者には何を買うのが適切なのかが分からない。そもそも、適切なんて概念が存在するのだろうか? さっきお会計に向かったお客さんなんか、手提げ鞄の両面にびっしりセンターふたりの缶バッジつけてたし。
「色々ありすぎて何買うか迷う……え、どうしよう……」
 推しのカラーのアイテムを買うのが推し活らしい、という認識はジゼルにもあるのだが。
「何かお探しですかー? それか推しのメンバーとか」
「うーん……推しメンとか正直分からない……皆可愛かったからなぁ」
 声をかけてくれた店員さんにこんなことを言ってもいいものかとジゼルは一瞬思ったものの、誤魔化す方が失礼な気がして正直に伝えた。
「推し活初心者さんなら応援アイテムとかオススメですよー。ペンライトとかうちわとか……」
「それなら、とりあえずそれぞれのカラーのペンライトに……」
 悩んだ挙句、カチューシャ全色とステージ衣装もお買い上げした。衣装は今後、パフォーマンスに役立つかもしれないということでひとつ。
(「ふぅ、グッズ買ったらお腹空いてきた……」)
 無事に買い物を終えて安心したら、やはり休憩も必要だ。
 というわけで飲食スペース、ジゼルの前に並んだのは、うさぎサンドウィッチとうさぎピザ、それにパンケーキのチョコバナナカスタードにキャロットケーキ。いつの間にか出店スペースに出来ていたカフェ風のお店から、テイクアウトでうさぎクッキーも買ってきた。
「気になるものはだいたい確保したし、他のが食べたくなったら後で買いに行こう……いただきます!」
 後夜祭も控えてはいるが、まだまだ時間はある。
 しっかり食べて備えよう!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『後夜祭に行こう』

POW   :    地元の特産品を使った料理をいただく

SPD   :    SNSでイベントの感想を探す

WIZ   :    他の参加者と楽しく歓談する

イラスト:del

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 こうして、うさぎ祭りは盛況の内に幕引きを迎えた。
 出店の撤収作業はあらかた終わり、いよいよ後夜祭の時間。ふれあいコーナーに飲食スペースのテーブルと椅子を移動して、飲食や兎たちとの交流に師匠が出ない程度の光源も用意して。
 即席青空うさぎカフェならぬ、即席夕暮れうさぎカフェの完成!
 完全な夜には早い為か、うさぎ達もまだ起きているようだ。むしろ薄明薄暮性の為、昼間より活動的になっているまである。
 というわけで、事前に説明もあった通り、兎たちとご飯タイムだ。と言っても、猟兵たちと兎たちが食べられるものは別だが。
 猟兵たちは、これも説明通り、祭りの出店で売られていたものなら何でもオーダーできる。
 兎たちに何か食べさせたいなら、専用の野菜スティックやドライフルーツがある。前者は人参、きゅうり、アスパラガス。後者は苺、バナナ、さくらんぼがあるようだ。これらを貰って、兎にあげるといいだろう。
 食事をせずに兎とふれあってもいい。ただし夜も近い為、一部は既にお疲れだったり眠り始めている子もいる。そういう子たちに配慮して、あまり羽目を外さない交流に留めるのがいいだろう(活動的に動いている子たちになら羽目を外してもいい、という話でもないけれど)。
 後夜祭も終われば、真の意味でうさぎ祭りは終わりを迎える。猟兵たちには是非、最後まで楽しんでほしい。
龍之宮・翡翠
祭りは、盛況に済んだな。
(活動的になった結果うにうにと動くウサギを抱えて適当な席に落ち着いて)

お前も、楽しめたか?(ウサギに野菜スティックをあたえつつ)

実はウサギの処遇には未だ悩んでいる。
DIVIDEで預かり所でもあれば話はかわるのだが……。
こどもの預かりならともかく、ペットの預かりなどうけてもらえるのだろうか……。

俺は戦場を渡り歩いてばかりだから、もし預かり所とかあればそこに居る時間がかなり多くなる。
……それでも、来るか?
俺はお前の選択を、尊重する。
(本人は至って真面目で真剣。そのせいで余計にウサギに同居人になるか否かを聞くというより、別の方向性の話をしているように聞こえてくる不思議)




(「祭りは、盛況に済んだな」)
 祭りの後の穏やかな光景に、龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)は無事に終えられたことへの安堵をその表情に、微かに滲ませた。
 常に戦場を渡り歩いているが、いや、渡り歩いているからこそ、この平和な時間がどれほどかけがえのないものか、身に沁みて感じる。
 さて、適当な席に落ち着いた翡翠の膝の上では、先程のもふもふミント兎がうにうに動いている。とは言え、逃げ出そうとしているわけではないようで、その事実にも内心ホッとしつつ。
「お前も、楽しめたか?」
 野菜スティックを貰って、兎に与えればカリカリといい音を立てて食べ始めた。
 しかし、この兎の処遇をどうするか、ということは、実は未だに翡翠は決めかねていた。
 連れて帰りたい気持ちはある。大いにある。
 だが、彼は常在戦場系男子だ。戦場に非力な動物を連れていくことなどできないし。
(「DIVIDEで預かり所でもあれば話はかわるのだが……こどもの預かりならともかく、ペットの預かりなどうけてもらえるのだろうか……」)
 それに、もし預かり所があったとして、預けるとなると彼自身が世話できる時間も減るだろう。それが彼(なお確認したところ雄だった)にとって、いいことなのかどうか。
 だが、無愛想ながらも気を許してくれているらしいというのは感じるのだ。これを逃せば動物に好かれる機会はもうないかも知れない……!
 悩みに悩んだ末、翡翠はやがて決心したように、兎へと向き直った。
「俺は戦場を渡り歩いてばかりだから、もし預かり所とかあればそこに居る時間がかなり多くなる。……それでも、来るか?」
 兎も見上げてくる。感情は読み取りにくい。
 だが、誠意は伝わる筈だと翡翠は信じた。
「俺はお前の選択を、尊重する」
 その結果がどうなろうと、受け入れよう。
 嫌がられるなら縁がなかったということ……ってなんだか重たい話になってません? プロポーズか何かかな?
 いや、本人は至って真面目で真剣なのだ。だって命を預かるのだから。中途半端な覚悟で向き合うわけにはいかないし、嫌がる命に無理強いだってしたくない。
 すると、兎はおもむろに翡翠の手に鼻を近づけ、そして。
「う」
 べろんと、その手の甲を舐めた。
 何だと思っていると、ブリーダーさんがやってきて。
「その子、ケルベロスさんにすっかり懐いたみたいですね」
 聞けば手を舐めるのは、グルーミングの対象、つまり仲間や家族と認識しているから、だそう。
 受け入れて貰えた、と思ってもいいのだろうか。
「そうか。……これからよろしく頼む、ジェイ」
 深々と兎――|翡翠《ジェイド》の『ジェイ』だ――に頭を下げる翡翠。いややっぱりそこはかとなく重たい。
 だが、その考えすぎるほどに実直な性格が、伝わる者には伝わったということなのかも知れない。兎だけれど。

 ともあれこの日、翡翠に新たな家族ができた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジゼル・サンドル
旗野先生(f41805)を後夜祭にお誘い、また恐れ多いことを…でもこういう時でもないとなかなか会えないしなぁ…

ふれあいコーナーでうさぎと触れ合いつつ。
つかぬことを聞くが…推しってなんだと思う?
前夜祭でアイドルと共演させてもらって、感謝と応援のために推し活というのをしようと思ったのだが…メンバー皆可愛かったし、誰を推せばいいのか分からなくてな。
例えばここのうさぎ皆可愛いから一番が決められないみたいな感じだろうか。

わたしの推しってどういう存在だろうと考えてしまって。(旗野先生のファンだから旗野先生が推し…?)

先生はなんというか、推し愛強いものな!
(あのひとの話は実は未だに胸がチクチクするのだけど)




「おお、沢山の兎が居るなあ! 遠くに見える、街並みもハイカラだ」
 大正時代からタイムスリップしてきた文豪のような――実際その認識でだいたいあってるのだが――男、旗野・スミがこの世界で、万年筆と手帳を手にうろついているのには理由がある。
(「また恐れ多いことを……でもこういう時でもないとなかなか会えないしなぁ……」)
 ジゼル・サンドル(歌うサンドリヨン・f34967)は彼の本を読んでいる。主人公たちのモデルに少々思うところはなくもないが、彼の紡ぐ物語は純粋に読んでいて楽しかった。
「先生、こっちに」
「おお、入っても良いのか」
 ジゼルがふれあいコーナーへと先導してやれば、ありがとうとスミは静かに微笑んだ。
 桜色にも似たパステルピンクのもふもふ兎が、遊んで遊んでと言わんばかりにジゼルにまとわりついてくる。背中を撫でてやれば、嬉しそうにぴすぴすと鼻を鳴らした。
 そんな兎を抱き上げながらも、ジゼルはスミに向き直って。
「先生、つかぬことを聞くが……」
「うん? 何だ?」
「推しってなんだと思う?」
 それは前夜祭、アイドルの少女たちと共演してから、ずっと考えていたことだ。
 首を傾げるスミに、ジゼルはぽつぽつと言葉を続ける。
「感謝と応援のために推し活というのをしようと思ったのだが……メンバー皆可愛かったし、誰を推せばいいのか分からなくてな」
 例えるならば、ここの兎たちは皆、可愛いと思う。
 だからこそ、一番が決められない……そんな感じだろうかと、ジゼルは言う。
「わたしの推しってどういう存在だろう……と考えてしまって」
「ふむ……難しい質問だな。君が聞きたいのは、一般論的な話では無いのだろうし、答えは人其々、と云うのもな。事実ではあるが、此の場に於いては些か、薄情だ」
 スミは少し、考え込むような素振りを見せる。
 言葉を探している様子の彼は、やはり作家なのだなと改めて感じる。
(「もしかして、旗野先生のファンだから旗野先生が推し……?」)
 と、いうことにもなるのだろうか。
 などとジゼルが考えていると、スミが再び口を開いた。
「飽くまで、私の解釈だが。構わないかな?」
 頷けば、スミが言葉を紡ぐ。
 ゆっくりと、彼自身も再確認するように。
「糧で在り、救いで在る。と、云った処かな」
「……糧であり、救い」
「何と云うかな、遠い愛なんだ。彼等彼女等から何か得るのは、私の勝手なんだ。満たされた心地になるのも、救われた様な感慨を得るのも、私の心でしか無いからな。謂わば、そう。居るだけで、心は幸いへと導かれる。私にとっては、そんな存在、かな」
「いるだけで、幸い……」
 やはりスミは入れ込むと重いらしい。
 だが、分からないでもない気もした。
「先生はなんというか、推し愛強いものな!」
 ジゼルは笑ってみせた。
 どうにも『あのひと』を思い出してしまっていけなかった。
 チクチクするような胸の痛みは、未だ消えない。出逢いと別れから、二年が経った今でも。
 苦しくて、切なくて、それでも、この痛みは確かな想いの証だ。
 フミの作品の中には『あのひと』を確かに感じるのだ。
 逢えない『あのひと』に、物語の中なら逢える。
 それは、ジゼルの救いだったのかも知れない。
「……なァ。君は、あの子の事を――」
「え?」
 ふと顔を上げれば、真剣な面持ちのフミと目が合った。
 だが、彼はすぐにハッとして、馴染みのある笑みへと変じる。
「|否《いや》! 此れ以上は野暮と云う物だな、忘れてくれ。お、見ろ、ジゼル君。兎達が来ているぞ!」
「わ、本当だ! いつの間に……」
 主に小さな兎たちが、ジゼルの周囲に集まっている。
 驚くジゼルに、フミは綺麗に笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蔵務・夏蓮
【空飛ぶうさぎ】
お客様にも楽しんでいただけていたようでよかった
後夜祭、楽しみにしていたの
うさぎ用の食事は、とりあえず全種類を一通り用意
これだけあれば、きっとどれかは好きなものがあるでしょう
はじめてのうさぎに内心胸を踊らせ

私は、あのブルーの毛並みの子が気になっていて
あなた、良い色ね
まずは人参スティックから順番に、そっと差し出して
食べてもらえたなら、わずかに嬉しげな顔に

うさぎは頭や背中を撫でられるのが好きと聞いたけれど、この子もそうかしら
久遠さんの真似をして、様子を伺いながらやさしく撫でてみる
……ふわふわ。当たり前だけれど、生きているのね。こんなに小さいのに
撫でながらその愛らしさに、表情を少し緩め


劉・久遠
【空飛ぶうさぎ】

お疲れさーん、あぁ楽しかった!
そしたらお待ちかねのふれあいに行きましょか
ご飯は……お野菜あげよかな

ふふ、のびのび遊んでてかいらしいなぁ
夏蓮さんは気になった子いてます?
あの子かぁ、綺麗な青やねぇ
話しながらどの子も可愛いと眺めとったら
ジャージーウーリーに目を奪われます
え、ちっちゃ……かわ……(唐突に訪れる語彙力の死
膝をついて目線をなるべく低くし、寄ってくるのを待ち
きゅうり見せて欲しがったらあげます
慣れてくれたらそっと頭を撫で
ふわっふわ……あったかい、いのち……
しばし柔らかさを堪能して急に我に返る
あー恥ずかし……夏蓮さんは楽しんではるかな?
そっと見遣り、その優しい笑みに目を細めます




「お疲れさーん、あぁ楽しかった!」
「ええ、お客様にも楽しんでいただけていたようでよかった」
 うーんと達成感に、劉・久遠(迷宮組曲・f44175)は伸びひとつ。
 蔵務・夏蓮(眩む鳥・f43565)は小さく溜息を吐いていたが、それはあくまで無事に終えられたことへの安堵ゆえと分かる。
「そしたらお待ちかねのふれあいに行きましょか」
「後夜祭、楽しみにしていたの」
 久遠に頷く夏蓮。ふたり連れ立って、後夜祭会場のふれあいスペースへ。
 兎にあげるための食事を一通り用意して、いざ、ふれあいタイム!
「これだけあれば、きっとどれかは好きなものがあるでしょう」
「せやね。それじゃあボクは……お野菜あげよかな」
 思い思いに遊び回る兎たちや、夏蓮と久遠に興味津々なのか、はたまたご飯に釣られたか、いずれにしても様子を窺ってくる兎たちもいて。
 明確にはしゃいだような振る舞いでこそないものの、どこか微かにそわそわした様子の夏蓮の内心は、初めての兎との交流に胸を躍らせてのもの。
 そんな夏蓮の様子を、久遠は微笑ましげに見守りながらも、自らも兎たちを眺めつつ。
「ふふ、のびのび遊んでてかいらしいなぁ。夏蓮さんは気になった子いてます?」
「そうね、私は……」
 様々な品種の兎がいるが、ふと夏蓮の視線が一点に注がれた。
「あのブルーの毛並みの子が気になっていて」
 小さな垂れ耳のパステルブルーは、夏蓮の瞳のセレストブルーにも似て。
 比較的気性も大人しそうで、かと言って愛想がないというわけでもない様子。
「あの子かぁ、綺麗な青やねぇ」
「ええ。あなた、良い色ね」
 夏蓮はそっと、青色兎に声をかけ。
 まずは人参スティックから順番に、そっと差し出す。
 青色兎は鼻を近づけヒクヒクと鳴らしてから、ぱくと一口。それから、カリカリといい音を立てて食べ始めた。
 それを認めた夏蓮の表情が、僅かながら嬉しそうに綻んだ。
「うさぎは頭や背中を撫でられるのが好きと聞いたけれど、この子もそうかしら」
「うんうん、毛並みに沿って撫でたげると喜ぶみたいやね。とは言え個体差あるし、おやつ一段落したら撫でてみて、それからまたおやつあげてー……」
 と、夏蓮にアドバイスしていた久遠の視界に、ある兎が飛び込んできた。
 どの子も可愛いと眺めていたけれど、それはまさに青天の霹靂が如き衝撃だった。夕暮れだけど。
 チャコールグレーの毛並みにブルーグレーのまんまるおめめ。
 小さいけれど、とってももふもふ。ころんと愛らしいフォルム。
 その子の名前は……ジャージーウーリー!
「え、ちっちゃ……かわ……」
「久遠さん?」
 突然の死(語彙力が)。
 明らかに様子の変わった久遠に夏蓮は首を傾げたが、久遠は気付かぬ様子で膝をついて目線をなるべく低くし、目的の子が寄ってくるのを待つ。
 近づいてきたら、怖がらせないようにそっときゅうりスティックを目の前に、低い位置から差し出す。それをシャクシャクと食べ終え、ご満悦なところを失礼して、そっと一撫で。
 アンゴラ系特有の極上の手触り。ふわふわもふもふ。
「ふわっふわ……あったかい、いのち……」
 心が洗われるという感覚を、久遠は身を以て体験した。ちいちゃいもの特有の尊み。
 が、ふと、夏蓮の視線に気付いてハッと我に返る。
「あー恥ずかし……夏蓮さんは楽しんではるかな?」
「ええ、撫で方の参考にもなったし」
 今のを参考にされるのも少々複雑な気持ちではあるが、まあ夏蓮の助けになるならヨシとしよう、と呑み込むことにした久遠。
 一方で、夏蓮は久遠を真似て、青色兎の様子を窺いながら、その背中を優しく撫でてみた。
 柔らかい毛並みの手触りと共に、確かな温かさを掌から感じる。
「……ふわふわ。当たり前だけれど、生きているのね。こんなに小さいのに」
 夏蓮もそれは、頭で理解はしていたけれど。やはりこうして、実感を持って経験すると、よりその尊さと重みが身に沁みる。
 とは言え、今はそれ以上に、気持ちよさそうな青色兎の様子がとても愛らしくて、夏蓮の表情も少し、優しく緩む。
 そして久遠も、その様子をそっと見遣って、その優しい笑みに温かな心地を覚えて目を細めたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・あかり
奥さま(プリシラ・f35663)と参加
※もきゅ、とかのモラ語(?)しか話せません

奥さまに誘われ夜祭に来れば
あちこちがウサづくし
きゅ!(ここはウサが覇権を取った世界!)(違う

奥さまの肩に乗り周囲を眺め
楽しげな雰囲気に満足しながら取り出すはウサミミ付カチューシャ
とりゃ(己に装着
きゅー♪(ふ、やはり俺かわいいな
(ドヤ顔

そのままウサに紛れ野菜をご相伴にあずかろう
いうても主役はウサ達だしね
頂くものも控え目に

む?
何やら楽しげな奥さまの声
もきゅ、きゅー(あー、引っ張り合い)


………

(無言で引っ張り合いの列に並ぶ

別にウサ相手にじぇらしーとか違いますけどね?(図星
奥さまにもウサミミ付けて
もきゅ!(一緒にポーズ


プリシラ・アプリコット
あかりん(f35690)と参加♪

あらあら、ウサさんいっぱい。
ウチ(ウサ屋敷の管理経験アリ)とは違って、いろんな種がいるみたいネ。
フワフワからゴワゴワまで、選り取り見取り。あ、変わった色のコもいるわヨ♪

ウサ餌をカップに。お腰にセット。
長めの野菜を引っ張り合ってみたり。
ほらほら力強いワ、取られちゃった~☆(少女のようにきゃいきゃいしてみる)

あら、あかりんドコいったのかしらん。
ウサに紛れちゃったかナ?
……あ。あの独特のウサ耳は。
なるほどなのだワ。

よ~しよし♪(もらりん抱き上げ)
おでこのスターがキュートだわネ?
なぁに、じぇらったの?
い~わヨ、お揃Wケモ耳で記念写真。

ウサさんいっぱい、ウサ耳パレードネ♪




 後夜祭、出店は撤退したが、ふれあいコーナーの兎たちはまだそこにいて、思い思いに動き回っている。
「あらあら、ウサさんいっぱい」
 ウサ屋敷の管理経験があるプリシラ・アプリコット(奥様は聖者・f35663)も、これにはぱちりと目を瞬かせた。
「ウチとは違って、いろんな種がいるみたいネ。フワフワからゴワゴワまで、選り取り見取り。あ、変わった色のコもいるわヨ♪」
「もっきゅ」
 そんな奥様に誘われて肩の上、旦那様も後夜祭に参戦!
 ……グレートモーラット? いえいえ、中身は人間(灼滅者)、正真正銘の旦那様、木元・あかり(トメ子さん・f35690)です。
「きゅ!」
 あちこちウサづくしの空間に、なるほどここはウサが覇権を取った世界! と言いたげな納得顔。違います。
 ともあれ、楽しげな雰囲気にご満悦のあかり、ゴソゴソと何やら取り出して。
 とりゃ、と掛け声聞こえそうな勢いですちゃりと装着されたのは。
「きゅー♪」
 ウサミミ付きカチューシャ!
「もっきゅ……」
 手鏡で確認した己の姿に、満足げと言うかやり遂げた顔と言うか、何やらドヤ顔のあかりさん。
 ふ、やはり俺かわいいな……なんて声が聞こえてきそう。因みに、本来の姿でも己のウサミミメイド姿には一定の自信があるとかないとかあるとか。
 そのまま、兎たちに紛れて野菜スティックをご相伴に預かっていた――と言ってもあくまで兎ファースト、主役はウサ達だしね、と控えめにではあったが――あかりであったが。
「もきゅ?」
 何やら楽しげな奥さまの声に、む? と顔を上げてみれば。
「ほらほら力強いワ、取られちゃった~☆」
 少女のようにきゃいきゃいしてみているプリシラは、どうやら兎と七長めの野菜スティックで引っ張り合いっこして遊んでいたようだ。
 野菜スティックやドライフルーツなどのウサ餌は、カップに入れてお腰にセット。奪われないような高さはキープしつつも、兎に威圧感を与えないよう、できるだけ姿勢を低くしている。
 流石は経験者、手慣れていると言うべきか。
「もきゅ、きゅー」
 あーなるほど、とその光景に理解を示したあかり。
 理解を示した、……はず、だったのだが。
「……」
「こーら、順番ヨ! ちゃんとみんなの分あるから〜」
「…………」
 じーっ。
「あら、あかりんドコいったのかしらん。ウサに紛れちゃったかナ?」
 暫し無言で見つめていたあかりだが、プリシラが気付いた時にはその姿を消していた。
 きょろりと辺りを見渡せば、プリシラの前にできた兎の列の中に見覚えのあるものが。
(「……あ。あの独特のウサ耳は」)
 少し遠いが、見ればすぐにそれと分かる。
 どうやら無言で引っ張り合いの列に並んでいたらしい。
「なるほどなのだワ」
 プリシラは得心がいったように頷くと、もらりんことあかりをひょいと抱き上げた。
「よ~しよし♪ おでこのスターがキュートだわネ?」
「………………」
「なぁに、じぇらったの?」
「もっきゅ? もきゅもきゅもっきゅ??」
 何やら顔を逸らしつつもきゅもきゅ言ってるあかり。図星か。
 別にウサ相手にじぇらしーとか違いますけどね? とでも言いたげである。
「きゅっぴ!!」
「ン?」
 あかりは何とか誤魔化すように、プリシラにもお揃いのウサミミ装着!
 それから、何やらポーズを取ってみせる旦那様の姿に、プリシラはその意図するところを察したようだ。にぃっと笑って、頷いた。
「い~わヨ、お揃Wケモ耳で記念写真」
「もきゅ!」
 撮影準備ができたらふたりで、はいポーズ!
 そんなことをしていたら、なになに? と興味津々な兎たちがふたりの周囲に集まってきていて。
「ウサさんいっぱい、ウサ耳パレードネ♪」
「もっきゅ!」
 たくさんの兎に囲まれた、楽しいひととき。
 祭はもうすぐ終わるけれど、その心に温かな思い出が残ったのなら、うさぎ祭りは大成功だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年05月28日


挿絵イラスト