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熱闘! 謎のレスラーサンタ!!

#アスリートアース #ノベル #猟兵達のクリスマス2024 #その他スポーツ #ネオ四駆レース

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八洲・百重




●クリスマスレース
「えぇと……エントリーネームは、『謎のレスラーサンタ』さん、で……車体名は『ライトニングエッジ』、ですね?」
「んだべ」
 受付係の言葉に八洲・百重(唸れ、ぽんぽこ殺法!・f39688)は頷いた。
 時は12月24日。
 そう、クリスマスである。
 こんな日に百重はもこもこのサンタ衣装を纏い、口元には付け白髭をたくわえ、ティアドロップサングラスをかけていた。
 確かにエントリーネームの『謎の』という部分にかかっているように思えた。
 どこからどう見ても、謎のサンタである。

 百重はこのもこもこなサンタ衣装でよかったと思った。
 寒いのは嫌だ。
「いやぁ~、それにしてもいっぱい集まってるべ。こったら集まるもんなんだべなぁ~」
 受付と車体チェックを受けて百重は周囲を見回す。

 そう、今日はクリスマス前のチャリティマッチを終えた、年末年始の大晦日マッチを控えたプロレスラー『ヤッシマー魔魅』の年内最後の休日なのだ。。
 この日に彼女がやってきていたのは、アスリートアースの『ネオ四駆』、そのクリスマスレースイベントである。
 彼女がサンタコスプレに興じているのは、彼女の身バレをふせぐためでもあったが、このレースイベントの趣旨は、サンタの姿に扮してゴールを目指す、というものであったのだ。
「『ライトニングエッジ』……今日もがんばろな!」
 手にした『ネオ四駆』は、共に駆け抜けてきた相棒である。
『ネオ四駆』は、シャーシ、カバー、タイヤ、モーター、CPUといった様々なパーツで構成された新時代のモーターホビーである。
 彼女の走り込みの共を毎日欠かさず行うトレーニングパートナーでもある。
「エントリーネーム『謎のレスラーサンタ』さーん、コースのスタート地点にお越しくださーい」
「おっ、呼ばれたべ。行くべ、相棒!」
 手にした『ライトニングエッジ』のシャーシが百重の言葉を受けてキラリと輝くようだった――。

●シグナル
 スタートの瞬間はいつだって緊張する。
 手にした相棒である『ネオ四駆』のタイヤが空転し、内蔵されたバッテリーから電力を供給されたモーターがギアと噛み合い、駆動音を響き渡らせている。
 共に走る少年たの『ネオ四駆』も同様だった。
 これは大人も子供もない。
 真剣勝負。
 手加減なんて必要ないのだ。大人げないなんて言葉、此処では言い訳にもならない。
「レディーセット!」
 声と己の鼓動とマシンの駆動音だけが響く。

 レッドシグナルが消灯していく。
 最後のレッドシグナルが消灯し、グリーンシグナルが転倒した瞬間、各々の『ネオ四駆』とサンタに扮したレーサーたちが駆け出す。
 コースの路面を斬りつけるようにしてタイヤがグリップし、一気に加速する。
「速いッ!」
 百重は、周囲のレーサーたちの瞬発力に目を剥く。
 流石は若いだけある。
 しかし、百重は慌てない。 
 確かにスタートダッシュは大切だ。
 だが、これは『ネオ四駆』。
 レーサーとしての地力というものが、彼女にはあったのだ。
 謂わば、粘り強さとも言えるだろう。
 彼女は虎視眈々と先往く戦闘集団の後ろに付いて、距離を伺う。

「流石は先頭集団だべ。隙がない……けども!」
 そう、コースは直線だけではない。
 カーブもあれば、波打つようなウェーブだってあるし、スロープセクションだってある。
 浮いた車体が路面に叩きつけられれば、グリップ力のないタイヤは車体をスリップさせてしまうだろう。
 そうした一瞬の隙を付いて『ライトニングエッジ』は順位をジリジリと上げていくのだ。
「でもまだだべ!」
 コースアウトする車体、バッテリーの消耗激しく速度を落としてく車体。
 多くのドロップアウトしていく車体をよそに『ライトニングエッジ』は更に順にを上げていく。

「勝負勘なら負けねぇべ! 今だべ、『ライトニングエッジ』!」
 その言葉にCPUが反応する。
 手にしたGPウォッチが百重の声に呼応して煌めく。
 日々の鍛錬にて学習された一点突破の超加速。
 正しく『ライトニングエッジ』の名を示すように切り裂くように直線レーンを突っ走って、見事に一着でチェッカーフラッグの向こう側へと走り抜けたのだ。
「はぁ、はぁ……みんなすごかったべ……あっ」
 汗だくの百重の口元を覆っていた付け髭がポロリと落ち、サングラスも汗を拭うために外していたのが悪かった。
 ゴール直後の大注目の瞬間。
 周囲の視線集まる中で彼女は己の姿を晒してしまったのだ。

「あーっ!『ヤッシマー魔魅』だ!」
「あ」
「サインちょうだい、サイン!」
「え、『ヤッシマー魔魅』来てるの!?」
 もう気がついても遅い。
 その言葉と共に後からゴールしたネオ四駆レーサーたちが殺到する。
「いや、ちょ、ま、え、サイン? まってくれだべ、今おら、その汗だくで~~~っ!」
 そんな彼女の戸惑いとは裏腹に、熱気満ちるレーサーたちの視線が突き刺さるのだった――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年02月01日


挿絵イラスト