空を翔けるはインターセプター
●
自慢の愛機『ローグ・インターセプター』のエネルギータンクメーターを確認したウィリアム・ローグは、満タンに近い数値にひとつ頷いた。
帝都櫻大戦でブルーアルカディアへ救援に向かったのは去年のこと。故郷であるアスリートアース世界へ帰還するために必要な燃料は、おおむね溜まってきた。
この世界に留まり、猟兵達と共に駆け、多くの魔獣を狩ってきた。世界を渡る術を持たないウィリアム・ローグが、再びこの世界に足を踏み入れる機会があるかは分からない。そう思えば、らしくもない感傷が湧き上がっても来る。
「この空の世界……。最後にもう一走り、するとしよう……」
ヘルメットを締め直したウィリアム・ローグは、エンジンを吹かすと空の海へと駆けていくのだった。
●
「てなわけで! ウィリアム・ローグを元の世界に返すための戦いもあと少し! せっかくだから空の世界を楽しんでこう!」
陽気な笑みを浮かべたリオンは、グリモアに浮島を映し出した。
「今回目指すのはここ! シマヤドカリを中心にして、その周りをドーンテンタクルスの群れが泳ぎ回ってるエリアだよ」
ドーンテンタクルスは見た目通りイカである。シマヤドカリは水場と木の実(各種野菜)が手に入るヤドカリである。身はイセエビに似て大変美味。
そこに行くまでの空間は、激しく渦巻く乱気流が待ち受けている危険空域。ここを抜けなければ、イカとエビが待つキャンプ空域……もとい、危険な魔獣を駆除することはできないのだ!
ユーベルコードや空飛ぶ相棒で空を飛んでもいいし、地元の勇士が飛空艇を出してくれるから操船を手伝ったりしてもいいだろう。もちろんセイルフローターなども貸してくれる。
「自分が帰るためとはいえ、危険な魔獣をたくさん倒してくれたウィリアム・ローグを労うためにも、皆で狩りと走りを楽しもうじゃないか!」
楽しそうに腕を上げたリオンは、グリモアを開くと猟兵達を大空へと導いた。
三ノ木咲紀
オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
ウィリアム・ローグの帰還も佳境に差し掛かかりました。具体的にはあと10個ほど。せっかくならば送別BBQも兼ねて空を飛ぼう! という趣向でございます。
第一章は『乱流空域』
乱気流激しい空域を走破してください。ウィリアム・ローグと共闘してもいいですし、レースを挑まれれば断る人ではありません。
勇士の飛空艇も出ていますので、操船を手伝っても良いです。
第二章は集団戦。
乱気流の中、イカを捕獲してください。第三章で食べます。お土産でも可。
第三章はボス戦。
イセエビは実はヤドカリなんだよー! というボスを倒してください。そんなに強くありません。
ボスを倒した後に残った島でウィリアム・ローグの送別キャンプと洒落込んでもいいですし、空のレースを挑んでも構いません。
今回はのんびり執筆になります。受付期間などはタグにてご連絡いたします。
それでは、よろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『乱流空域』
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POW : 覚悟を決めて一直線に突っ込み、突破する
SPD : 気流の穏やかな場所を探して進む
WIZ : ロスを抑えつつ迂回する方法を模索する
イラスト:真夜中二時過ぎ
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
「帰還の刻限を向かれる様だな…そう言えば“空”でのスピード勝負は付いていなかったな」
そう呟いて完全武装化してチラっと見て『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』を起動して「空気抵抗の穏やかな場所を探しながらではどう?」と言って楽しそうで純粋な速度性能を試したい気持ちも混ざった眼差しを向けて囁きます。
「姉よ、私の我儘な行ないを許したまえ」と囁いて雲の流れを1分先の未来を見てファンネル・モニターで表示して「私も経験を通して色々と学んだ」と笑顔を向けます。
その後に可能な範囲での限界速度でのウィリアム・ローグとのスピード勝負をしながら今回の獲物を探します。
●
幽魔月精高機動巨大甲冑に搭乗したティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は、勇士の飛空艇の甲板を蹴ると空の世界へと躍り出た。完全武装で躍り出た空で感じる、落下による浮遊感。直後にスラスターを起動させれば、飛空艇はもう遥か後方に小さく見えるだけになる。
行く先に誰もいない乱気流の空域。荒れ狂う暴風に愛機の姿勢を制御したティティスは、隣に並び立つバイクと黒い人影に振り返った。
ティティスと同時に飛空艇を発進したウィリアム・ローグは、愛機ローグ・インターセプターと共に隣の空を翔けていた。
こうして共に走るのは何度目か。最速を競い合ったウィリアム・ローグの愛機のエネルギータンクが淡く輝いている。燃料がチャージされつつあるのだ。
ティティスに視線を向けただけで何も言わないウィリアム・ローグに、ティティスは名残惜しそうに言った。
「帰還の刻限を向かれる様だな」
「ああ。そう遠くない未来、私は故郷へ帰還する」
「そうか。……そう言えば“空”でのスピード勝負は付いていなかったな」
「そうだな」
「せっかくなら、君とは純粋に空の速さを競いたい。空気抵抗の穏やかな場所を探しながらではどう?」
「そうしよう」
そう言い置き速度を上げるウィリアム・ローグに、ティティスは詠唱を開始した。
「幽魔月精は機械身体、幽魔月精の機械魂魄」
詠唱を終えた直後、身体感覚がアストラル・エレメント・エネルギーに変異する。元々鋭かった感覚が更に拡張され、世界を掴む感覚はこの空域の風の流れを完璧に把握する。
荒れ狂う風の波。凪などどこにもないかに思われる乱流空域の中、一筋の銀のラインが見えてくる。複雑に絡み合う風の流れの継ぎ目、空気抵抗が穏やかなシャイニングロード。ここを通れば、機体の純粋な速度性能を試すことができる。
「姉よ、私の我儘な行ないを許したまえ」
そう囁いたティティスは、まるで1分先の未来を見ているかのようなシャイニングロードをファンネル・モニターに映し出すとウィリアム・ローグの背を追った。ほどなく並び立ち、乱流空域が作り出す風の回廊を駆け抜ける。
迫る風の塊を飛び越え、小石の波を機動力幽魔月精甲冑で受け流せばそのままインコースを抜けウィリアム・ローグの前に出る。
先行したのも束の間、すぐに並び立つウィリアム・ローグの姿に、ティティスは沸き立つ気持ちのままに再先行した。こうでなくては面白くない。追い抜かれたウィリアム・ローグは、感心した声を上げた。
「やるな」
「私も経験を通して色々と学んだ」
「そうか。生者の特権だ」
短く言葉を交わしたティティスは、銀風の回廊を駆け抜ける。
ドーンテンタクルスの待つ空域まで、思う存分スピード勝負を楽しむのだった。
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
ぃようウィリアムさん、ご機嫌なウィニングランじゃねぇか!
こういうエキシビジョンも悪かないね。
でもそろそろ次のシーズンが気になってるんじゃないかい?
ウィリアムさん、アンタのドラテクならいらなさそうだとは思うけど……
パーティ会場へのエスコート、任せときな!
本当ならあの時のレースよろしく宇宙カブで並走したいところだけど、乱気流の空域を乗り切るならもっとうってつけがあるんでね。
今回はそっちを披露させてもらうよ……来な、Overed!
リフター装備のキャバリアに『騎乗』して発進、ローグ・インターセプターとペースを合わせて空の旅としゃれ込むよ。
さあ、待ってなよ空の幸ども……!
美味しく頂いちまおうじゃないの!
●
空を翔けるウィリアム・ローグに並んだ数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は、乱気流の中走る彼の隣に宇宙カブで並んだ。
「ぃようウィリアムさん、ご機嫌なウィニングランじゃねぇか!」
「ふん」
満更でもなさそうに鼻を鳴らすウィリアムは、ふいに速度を上げると右へとハンドルを切った。同時に多喜も左にハンドルを切る。その直後吹き抜ける巨大な風の塊が、二人の間を突き抜け小さな浮島を破壊していく。更に続く乱気流空域の気まぐれな風を読んだ多喜は、ワクワクしながら周囲を見渡した。
「こういうエキシビジョンも悪かないね」
「良い訓練になる」
「でもそろそろ次のシーズンが気になってるんじゃないかい?」
「そうだな。今からならグランプリにも間に合うだろう」
「いいね! 今度はサーキットで勝負をつけようじゃないか」
にかっと笑った直後。背筋に走る電撃のような予感に、多喜は宇宙カブをホバリングモードに切り替えた。見ればウィリアム・ローグも愛車を止めている。目の前に広がるのはなんてことはない空域。だが、多喜の本能は告げていた。ここから先は生身で走破するのは危険だと。
選択肢は二つ。危険空域を突っ切るか、ロスを覚悟で大きく迂回するか。先に答えを出したのはウィリアム・ローグだった。
「俺は進む。お前は迂回しろ」
「冗談! パーティ会場へのエスコート役を降りるつもりはないよ!」
「死ぬぞ」
淡々と諫めるウィリアム・ローグの声に、多喜は空を見上げた。宇宙カブでの並走は十分楽しんだ。今はもう一つの相棒を披露するときだ。
「生身なら、アンタの言う通りさ。だけどアタシには、乱気流の空域を乗り切れるうってつけがあるのさ。今回はそっちを披露させてもらうよ……来な、Overed!」
多喜の召喚に応じて亜空間より現れたのは、赤と黒を基調としたカスタマイズドキャバリア "JD-Overed"だった。サイキックリフターを装備した機体に搭乗した多喜は、見上げるウィリアム・ローグの視線に親指を立てた。
「これならこの先の空間だって走破できるさ!」
「なるほど」
「ウィリアムさん、アンタのドラテクならいらなさそうだとは思うけど、ここから先について来れるかな?」
「抜かせ!」
楽しそうに吠えたウィリアム・ローグは、ローグ・インターセプターを吹かすと先の空域へと走り込んだ。続けて多喜も、JD-Overedで飛翔する。
さっきまで凪いでいるように見えた空間だが、そこは透明な迷宮だった。吹き抜ける風は壁のように行く手を塞ぎ、迂回した先にギロチンのような風が突き抜けていく。アルダワの迷宮を彷彿とさせる空域にウィリアム・ローグとはぐれれば、心機一体(ジャンクションドライブ・オーヴァード)で合流する。
「ははっ! 予想以上のじゃじゃ馬空域だ!」
「流しには丁度いい」
「違いない」
荒波にもまれた魚介類は旨いと相場は決まっている。こんな空域に生息するイカは、旨いに決まっている。
「さあ、待ってなよ空の幸ども……! 美味しく頂いちまおうじゃないの!」
来るイカ狩りに胸を躍らせた多喜は、JD-Overedを駆ると迷宮空域を駆け抜けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
高嶺・円
乱気流を抜けて、目的地に行くお手伝いと、空の世界の空(海)の幸とキャンプとウィリアムさんを送るお手伝い
……で趣旨はあってるかな?
《ユピテルーク(以降、ルーくんと略す)》操縦して空中戦技能で空を駆け
ウィリアムさんに一勝負かな?
「そーいや、本格的に空中戦なんさ初めてだもんな俺様達は、ガーハッハッハッ!!」
風の強弱や流れ、空気抵抗を第六感や体感で探り見切り、推理移動と空中ダッシュでウィリアムさんと競争だよ!
勿論UCでルーくんに餃子スサノオ大神のオーラ纏わせかっ飛ばすっ!
「ウィリアム、なんかその……パイロットの力でシュールなオーラ(餃子)纏ってるが許してくれ」
アドリブ掛け合い大歓迎
「」はルーくんの台詞
森宮・陽太
【POW】
他者絡みアドリブ大歓迎
ウィリアム・ローグとの共闘も可
これが最後になりそうなら、最後にひとつ、手を貸しとくか
っつーても乱気流を突破するなら下手に固まらない方がよさそうだな
だったら俺は、ハルファスの力を借りて先に向かうぜ
ウィリアム・ローグ、ついてこれるもんならついてきやがれ!
「高速詠唱、言いくるめ」+指定UC発動でハルファスに変身
乱気流が僅かに弱まっている一点を「視力、世界知識」で見極めたら
あとはその一点目指してひたすら真っ直ぐ、全速力で高速飛翔してやらぁ!
なぁに、後は気合で何とかなるだろ!
…しかし魔獣がイカとエビ、か
アスモデウスで焼けば美味しくなるんか?(それは焼きすぎフラグです
●
天雷雷機・ユピテルーク(餃雷式)に搭乗した高嶺・円(名とご当地を受け継ぎし、餃子スサノオ・f44870)は、ウィリアム・ローグの姿を追い空の世界を飛翔した。
今まで行ったどんな世界とも違う、全方位無限の空。そこから来る風や飛び交う礫、湧き上がり消えていく雲に突っ込めば、視界は突然ゼロに変わる。慣れない空は感覚にバグを起こさせ、ずっと昔から目的もなく飛翔しているような気にさえなってくる。
目を細めた円は、同じくウィリアム・ローグの背中を追う森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)に通信を入れた。
「陽太くん、確認だけどさ。今回の依頼って乱気流を抜けて、目的地に行くお手伝いと、空の世界の空(海)の幸でキャンプとウィリアムさんを送るお手伝い……で趣旨はあってるかな?」
「それで合ってるぜ」
悪魔ハルファスの姿で頷く陽太に、ユピテルークも楽しそうに応えた。
「狙う魔獣はドーンテンタクルスとシマヤドカリ……要はイカとエビだな。食える魔獣は旨いと相場は決まってるし、期待できるんじゃねえか?」
「新鮮な魚介は結局、塩振って炭で焼くのが一番旨いんだよな。……アスモデウスで焼けば美味しくなるんか?」
言いながら陽太が放った炎弾が、迫る大岩を砕く。炎に包まれ破壊された岩を見送った円は、嬉しそうに手を叩いた。
「いいね! でも焼きすぎフラグには気をつけないと」
「だな。円はどんな料理をするんだ?」
「餃子」
陽太の問いに即答した円は、思考を餃子に巡らせた。イカとエビ。魚以外の魚介類の中でもトップクラスに美味しい食ざ……もとい、空に棲まう危険な魔獣。どんな餃子にしたら美味しいだろうか。
「魚介餃子は水餃子が定番だけど、焼きや揚げもチャレンジしてみたいよね」
「イカスミもアレンジ次第で旨いんじゃねえか?」
「イカスミと言やあイカスミパスタだよな。イカスミリゾットとか……」
ユピテルークと陽太の指摘に、円はきらーん! と目を輝かせた。そうだ。イカはスミも美味しいのだ。これを逃す手は、ない!
「そうだよ! イカスミを練り込んだ生地にすれば色が変わっていいんじゃないかな? 具材に練り込んでもいいし、パスタのラビオリみたいな感じでイカスミスープ餃子なんてのもアリなんじゃない? 臭み消しにはニンニクと……」
「ま、それは食材を手に入れてからだな!」
そう言った陽太が、加速し前に出る。いつの間にか追いついたウィリアム・ローグの姿に、円は慌てて思考を切り替えた。
●
ウィリアム・ローグに追いついた陽太は、並び立つ黒の姿に軽く手を上げた。
「よう、無事だったみてえだな!」
「無論」
「良かった。それじゃウィリアムさんに一勝負、挑ませてもらおうかな!」
そう言って加速するユピテルークに、陽太はニヤリと笑うと更に加速した。ウィリアム・ローグがいて、危険な魔獣がいなくて、目的地ーーつまりはゴールがある。競い合わずして何をするというのか。
「ウィリアム・ローグ、ついてこれるもんならついてきやがれ!」
「その言葉、丸ごと返そう!」
先行した二人の姿に、ウィリアム・ローグが一気に加速し追いついてきた。追いつき、追い越す黒い姿に負けん気の強い笑みを浮かべた陽太は、ウィリアム・ローグの向こう側に追いついたユピテルークの姿に思わずぎょっとした。
金のキャバリアの機体を包み込むのは、餃子スサノオ大神のオーラ。背後から広がった荒ぶる海を思わせるオーラはやがて丸い生地となり、周囲のオーラを取り込んでふっくらとした三日月型に姿を変える。間違いない、餃子だ。
餃子の衣を纏い天空の野に降り立ったユピテルークは、思わず凝視するウィリアム・ローグの視線に片手を縦に立て謝意を示した。
「ウィリアム、なんかその……パイロットの力でシュールなオーラ(餃子)纏ってるが許してくれ」
「構わん。レースは先にゴールした者が勝者……!」
「その通りだぜ!」
餃子スサノオ大神のオーラに視線を奪われた陽太は、すぐに意識を戻すと一気に加速した。同時にウィリアム・ローグも加速する。置いていかれたユピテルークが、からっとした笑い声を上げた。
「そーいや、本格的に空中戦なんさ初めてだもんな俺様達は、ガーハッハッハッ!!」
「急いで追うよ、ルーくん! 負けないんだから!」
「あたぼうよ!」
餃子オーラを纏ったユピテルークが二人に追いつき、乱気流レースが本格的に始まる。
風の強弱や流れ、空気抵抗を第六感や体感で探り見切り、推理移動と空中ダッシュで空を翔けるという戦略を取る円に、陽太は冷静に別の解を示した。
例え今、二位以降に甘んじたとしても。最後に笑えればそれが勝者だ。
無秩序に、乱雑に思える乱気流。だが、そこに物理法則が絡んでいるのならば必ず見極めることができる。どんなに大勢で一斉に話していても、静まり返る一瞬は必ずある。天使が通るとも称される現象は、乱気流吹きすさぶこの空域にも必ずあるのだ。
つかず離れず、乱気流の空域を飛翔する。この空域の風にもだいぶ慣れてきた時、その瞬間は訪れた。
見据える先。風と風が立体交差する空域に、ほんの一筋光が見える。台風の目のように、乱気流を従えた凪の空域。その先を真っすぐ見据えた陽太は、温存した力を全開放した。
「ハルファス! 最大加速だ!」
叫んだ直後、世界が後ろへ消え去った。ほんのわずかな回廊にハルファスの巨体をねじ込み、強引に突破する。礫のように飛び交う小石が身体を叩くが、無視して空を翔けた。
確かな予測で裏打ちされた強引さで乱気流空域を突破した陽太は、若干凪いだ空域にも油断せずに先へと進むのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
葛城・時人
そっか…彼やっと帰れそうなんだな
本当言うとフォーミュラだからあれかもだけど
彼とは競ったし戦争も手伝って貰ったし
何より最高のレースを味わせて貰った
帰るのに必要なコトだから今度は俺が手伝いたい
それに何より
俺ももう一度、掛け値なしに競えたら
きっとすっごく楽しい
勿論、敵はちゃんと倒すけどね
あと何気に、今回は普通に喋れそうなのも嬉しいな
気流もすごいし直ぐ白燐武空翔唱えないと俺落っこちるね
出てきた|白燐蟲《ククルカン》に騎乗して空へ!
「この先の最高に早いクルマ追って!」
ククルカンも全速飛行が嬉しいのか逸り立ってる
「やあ、ウィリアム・ローグ、久しぶり!」
並走ってか並翔して声掛ける
覚えててくれてるかは分かんないけど
「もっかい全速でレース…どう?」
肯ってくれたら
その瞬間がスタートシグナル!
此処は空
乱気流を二人で全力でねじ伏せて激翔だ
ウィリアム・ローグのが自慢のマシンなら
俺だって十五年も前から一緒にいる白燐蟲
どっちも最高の相棒
「ククルカン!超速で!」
どっちが早くても構わない
最後までこの空を飛び抜けよう!
●
先行するウィリアム・ローグの背中を、飛空艇は追う。甲板から空の世界を見渡していた葛城・時人(光望護花・f35294)は、感慨深く前方に広がる虚空を見渡すと目を細めた。
「そっか……。彼、やっと帰れそうなんだな」
帝都櫻大戦でブルーアルカディアの救援に来たウィリアム・ローグ。故郷へ帰る道を絶たれてもなお、己の力と己のマシンで帰る道を模索していた彼が、近々帰れる目処が立ったのだ。喜ばしいことでもあり、胸に一抹の寂しさのようなものも過ぎ去っていく。
ブルーアルカディア世界を救ってくれたとはいえ、彼はフォーミュラであることに変わりはない。いずれは骸の海へ還すべきなのだろうが、今はそんな気が起きない。
ウィリアム・ローグとは幾度か競い合った。戦争も手伝って貰ったし、何より最高のレースを味わせて貰った。競い合うべき相手がいなければ高みへ上ることもできないし、己の速さに満足すれば途端に速度はその輝きを失う。
彼はどこにいても走るだろうが、帰りたいのであれば帰してやりたい。そのために必要なコトだから、今度は時人が手伝いたい。
それに何より。
「俺ももう一度、掛け値なしに競えたら、きっとすっごく楽しい!」
心からの言葉を空に乗せた時人は、湧き上がるワクワクとした興奮に詠唱を開始した。レースフォーミュラであるウィリアム・ローグは、アスリートアースに行ったからといってすぐに会える訳ではない。競い合える機会は限られている。だからこそ、このチャンスを逃すなんてもったいなさ過ぎだ!
「輝けるその白き翼もて征けククルカン!」
詠唱と同時に、時人の身体の内から荒ぶる巨大な|白燐蟲《ククルカン》が召喚される。純白の羽毛と翼持つ蛇を甲板に召喚した時人は、颯爽と騎乗すると空へと踊りだした。
「この先の最高に早いクルマ追って!」
時人の指示に、ククルカンは翼をはためかせると空へと躍り出た。感じる一瞬の無重力。その直後襲い来る重力。こちらは構うなと全速飛行させれば、逸り立ったように乱気流の中を泳いでいく。
飛空艇を飛び立った一人と一匹は、先を行くウィリアム・ローグの背中を追い駆け翔けた。
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乱気流空域を走破した時人は、先を行くウィリアム・ローグに追いつくと並翔した。
「やあ、ウィリアム・ローグ、久しぶり!」
「久しいな」
言葉少なく返すウィリアム・ローグの口調は相変わらずぶっきらぼうで、最低限のことしか言わない。だが、ちゃんと落ち着いて話ができるのは嬉しいし、覚えていてくれたのも光栄に思う。なら。
未だ続く乱気流空域に視線を向けた時人は、挑戦的な笑みを浮かべると先へ視線を向けた。
「もっかい全速でレース……どう?」
「貴殿に挑まれ断る私では……ない!」
ウィリアム・ローグが返した瞬間、スタートシグナルが消灯する。レーススタートの合図を幻視した時人は、乱気流空域へと踊りだした。
ここは空。走るべき道はない。上下左右無限に広がる空の道を満たすのは、縦横無尽の乱気流。これをねじ伏せ宥め躱し、進むべき空を駆け抜ける。ウィリアム・ローグの愛車はさすがの実力だ。整備は万全、行く先の困難などレースのスパイス。
さぞかし自慢のマシンだろうが、相棒自慢なら時人だって負けてはいない。
乱気流を読み、飛び来る石つぶてを器用に回避し最短ルートを翔ける|白燐蟲《ククルカン》は、十五年も前から一緒にいる最高の相棒だ。
「ククルカン! 超速で!」
「ローグ・インターセプター! お前の実力を見せてみろ!」
同時に叫んだ時人とウィリアム・ローグが、乱気流を見事にいなし先へと急ぐ。
指の先まで満たす興奮に身を任せた時人は、最高速度のその先へと挑み続ける。
もはやどっちが早くても構わない。
「最後までこの空を飛び抜けよう!」
「望む、ところだ!」
ともに叫んだ時人は、ウィリアム・ローグと共に乱流空域を抜けきるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ドーンテンタクルス』
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POW : この触手はどう見てもイカだ
命中した【触腕】の【吸盤】が【返しのついた爪】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD : 如何ともし難い墨
海の生物「【烏賊】」が持つ【旨味成分をたくさん含んだ墨を撒き散らす】の能力を、戦闘用に強化して使用する。
WIZ : イカしたゲーミングフラッシュ
【虹色に発光する表皮から放たれる催眠光】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
イラスト:白狼印けい
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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乱流空域を抜けた猟兵達は、目の前に広がる異様な光景に目を見開いた。
遥か彼方に小さく見えるのは、島を背負ったシマヤドカリ。その周囲の乱流空域を器用に泳ぐのは、無数の巨大なイカ……ドーンテンタクルスの群れ。
まるで渦潮の中を泳いでいるかのようなドーンテンタクルス達は、猟兵達の姿を見ると捕食しようと返しのついた爪を放ってくる。
奴らを排除しなければ、辿り着けはしないのだ。シマヤドカリの許へも、イカ祭り会場へも。
「さあ、ひと狩りいくとしようか!」
生真面目にエンジンを吹かしたウィリアム・ローグは、未だ続く乱流空域へと飛び込んでいくのだった。
※ ※ ※
第二章は集団戦です。
引き続き乱流空域を走破しながら、ドーンテンタクルスを排除願います。
ここでドーンテンタクルスを狩れば、美味しいイカをゲットして第三章で美味しくいただけます。大きさは大きいのも小さいのも色々です。
ウィリアム・ローグと共闘すればプレイングボーナスがあります。共闘しなくても問題ありません。
プレイング受付時期はタグにてご連絡いたします。
それでは、良きイカ狩りを。
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
「烏賊…、宇宙烏賊とも違うのだろうな…。警戒しつつ対処対応するか」
『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』を起動して1分先の未来を見ながらファンネルビット/シールドビット/リフレクタービットを創造して展開し敵の攻撃をテレポートで空間飛翔して回避しつつ透明化と視聴嗅覚を阻害を駆使しながら“”三女神を利用しつつ好機や隙を見付けたらフルバーストとヘラ・エウピションでの全力総攻撃を仕掛けます。
周辺の猟兵ともファンネルビットや光通信でコンタクトを取りながら情報を交換します。
データ情報上での烏賊の天敵を調べて対応策を模索し実行して攻撃連携陣営を遂行します。
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乱流空域を抜けたティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は、悠々泳ぐドーンテンタクルスの姿に目を細めた。
「烏賊……、宇宙烏賊とも違うのだろうな……」
テティスの記憶にある宇宙烏賊にも色々な見た目や特性があるが、今目の前にいるドーンテンタクルスとはどこか似ていて全く違う。世界が違えば、というやつだろう。
最終目標であるシマヤドカリは、遥か向こうの空域にいる。そこに至るまでには、無数のドーンテンタクルスが所狭しと蠢いてる。これはある程度数を減らさないと、イカ狩りどころの騒ぎではない。
「まずは数を減らすのが先決と判断。警戒しつつ対処対応するか」
方針を決定したテティスは、幽魔月精高機動巨大甲冑の周囲に三つのビットーーファンネルビット/シールドビット/リフレクタービットを展開すると詠唱を開始した。
「幽魔月精は機械身体、幽魔月精の機械魂魄」
詠唱が完成すると同時にアストラル・エレメント・エネルギーに変異した視界は、1分先の未来をテティスに見せる。蠢くドーンテンタクルスと複雑な気流を読み切ったテティスは、群れの中へ飛翔するとアームドフォートレスダブルキャノンを展開した。
「目標、ドーンテンタクルス。……|全力総攻撃《フルバースト》」
声と同時に放たれたレーザーが、ドーンテンタクルス達を穿つ。突然現れたテティスの姿に一斉に警戒を強めたドーンテンタクルス達は、身体を大きく震わせると一斉に墨を放った。旨味成分がたっぷり含まれた墨は、まるでウオーターガンのように高圧となり幽魔月精高機動巨大甲冑を切り裂き、黒く染める。
そんな未来もあっただろうが、テティスの目はその先を見据えていた。攻撃をギリギリまで引き付けたテティスは、一気に空へ飛翔した。
まるで透明化したかのようにその場からいなくなったテティスに、ドーンテンタクルス達は攻撃を止めることができない。お互いの目や嘴に大量の墨を吹きかけ合ったドーンテンタクルス達に、テティスはサイコミュ・ファンネルビットの砲口を向けた。
間を置かず一斉射撃。まるで空間を埋め尽くすように放たれたレーザー光線は、目を塞がれ回避能力の落ちたドーンテンタクルス達の弱点に正確に突き刺さっていく。周囲一帯のドーンテンタクルス達を倒したテティスは、今回の戦闘で得た情報の処理を開始した。
「第一陣掃討完了。これより情報収集フェイズに入ります」
静かに宣言し、戦闘データを精査する。後続の猟兵達に情報を共有したテティスは、予測されるドーンテンタクルスの天敵を模索した。この情報は、必ずドーンテンタクルス攻略の役に立つ。
一通り情報を処理し終えたテティスは、遠方から泳ぎ来るドーンテンタクルスの群れに視線を向けた。消えたドーンテンタクルス達の隙間を埋めるように、左右から迫りくる群れ。片方は他の猟兵に任せても大丈夫だろう。手に入れた対応策を実行に移す時は、意外と早く来た。
「攻撃連携陣営展開。これより掃討に入ります」
猟兵達に伝えたテティスは、第2陣の烏賊の群れへと飛び込んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
森宮・陽太
【POW】
アドリブ連携カオス大歓迎
よーし、てめぇらが魔獣のイカだな?
…ってでっけぇしピカピカ光ってるなオイ
とにかく、さっさと狩って食材ゲットしちまうか!!
ウィリアム・ローグとはもちろん共闘
1章同様指定UC発動、もいっちょハルファスに変身
UC効果の炎弾を片っ端から降らせて触腕の狙いを逸らしつつ
高速でイカの周囲をぐるぐる回るよう飛翔し
隙を見て二槍伸長「ランスチャージ、串刺し」で目を貫いてやるぜ
ウィリアム、この速さについてこれるか?
もうこの空を飛びまわれるのも最後になるだろうからよ
目一杯飛んで楽しもうぜ!!
ところでこのイカ、どうやって運べばいいんだ?
…勇士たちに運搬頼むか
高嶺・円
これが噂のイカさん、活きが良さそうだし料理のしがいがあるかも
「最近だと宇都宮海鮮餃子……と言うのがあるって聞くな、イカがメインだったか?」
【POW
《ユピテルーク(ルーくん)》を操縦し開幕早業UC発動、空中戦を推力移動ダッシュしつつウィリアムさんと共闘
イカ達の攻撃を第六感で見切り、残像回避し万が一に備え念動力と餃子のご当地パワーを合わせたオーラ防御で備え、被弾時は身代わりに
網の属性攻撃を乗せた電撃のエネルギー弾の弾幕を範囲攻撃でばら蒔き
《ウツノミヤギョウザキャノン》で餃子のご当地パワー込めた貫通攻撃のエネルギー弾でスナイパーし仕留める
この流れを早業2回攻撃で繋げていくよ!
【アドリブ掛け合い大歓迎
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
さーておいでなすった!
イカ、イカ、烏賊!
生をそのまま狩れるなら刺身もいいね、そのまま姿焼きってのも悪くない。
けれどもどう捌くにせよ、あの触腕はいただけないね。
コンビネーションと行こうじゃないか、拒絶の雲海はまだ出せるだろ。
追い込み漁の手伝いをしておくれ、ウィリアムさん!
空域をカバーするようにテレパスの網を広げながら、『空中機動』でドーンテンタクルスどもをかく乱して『空中戦』を仕掛けるよ。
そのままだと手数が足りなくなるだろうから、まずは”|英霊《einherjars》”を射出して触腕を撃ち散らす『弾幕』を張って戦闘能力を奪う。
そうすりゃ生け捕りも試みられるだろ!
●
乱流空域を抜けた先に広がる、ドーンテンタクルス空域。
ほどよく捌けたイカの群れを前にした森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)は、至極楽しそうな笑みを浮かべると腰に手を当て指をびしぃっ! と突きつけた。
「よーし、てめぇらが魔獣のイカだな?」
「これが噂のイカさん、活きが良さそうだし料理のしがいがあるかも」
陽太の隣でワクワク顔で空域を見渡した高嶺・円(名とご当地を受け継ぎし、餃子スサノオ・f44870)もまた、自身の愛機・ユピテルークの肩の上で腰に手を当てイカに指を突きつけている。その動きに呼応したのだろう、円が乗る金色の機体もまた腰に手を当て指をイカの群れに突きつけた。
「魚介類は鮮度が命! さくっと狩ろうぜ!」
「うん! 頑張ろうねルーくん!」
仲の良い一人と一機に、陽太も自身のキャバリアを召喚しようと思ったが、寸でのところで思いとどまった。ここでドーンテンタクルスを指さすためだけに召喚したら、後で何を言われることか。
そんな二人と一機に呼応したか知らずか、陽太の反対側にいる数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)もまた宇宙カブに跨ったままイカの群れにワクワク声で腰に手を当て指を突きつけた。
「さーておいでなすった! イカ、イカ、烏賊!」
テンポよく歌うようにビシッとポーズをキメる多喜に、ウィリアム・ローグは空気を読んだ。
「その天使核……ローグ・インターセプターの燃料に……してくれよう!」
ウィリアム・ローグもまた、腰に手を当て指を突きつける。どこか照れが滲み出ているのは気のせいではなさそうだ。
四人と一機でキメポーズを取りイカ狩りに対する意思を統一した時、多喜がワクワクした声を上げた。
「イカかぁ。生をそのまま狩れるなら刺身もいいし、そのまま姿焼きってのも悪くないね」
「姿焼きなら任せろよ。ハルファスの炎でこんがり焼いてやるぜ!」
「最近だと宇都宮海鮮餃子……と言うのがあるって聞くな、イカがメインだったか?」
「海なしの街なのに海鮮餃子に力を入れるなんて、さすが宇都宮! ウィリアムさん、海鮮はお好き……」
「ドーン!!」
「ド、ドーン!!」
そのままお料理談議に入りそうな空気を破壊するかのように、返しのついた爪が叩き込まれる。サッと散会し回避した陽太は、怒り心頭といったイカを前に意識を己の中へと向けた。
「ドーンテンタクルスのドーンって鳴き声かよ! さっさと狩って食材ゲットしちまうか!! ハルファス!」
乱流空域から引き続きハルファスに変身した陽太は、仲間たちと視線を交わすとドーンテンタクルスの群れへと飛び込んだ。
派手に炎弾を放ちながら飛翔し、ドーンテンタクルスの群れの注意をこちらに向けさせる。繰り出される返しのついた爪に衝撃を覚悟した時、黒い影が躍り出た。
ローグ・インターセプターの車輪で触手を断ち切るウィリアム・ローグの姿にニヤリと笑った陽太は、襲い来るドーンテンタクルスの体当たりをヒラリと回避した。
光り輝く巨大なイカが飛び回っているが、要はこいつらは障害物。オフロードを走ると思えば超えられないことなんてない。
「もうこの空を飛びまわれるのも最後になるだろうからよ。目一杯飛んで楽しもうぜ!!」
「そうだな」
頷くウィリアム・ローグに頷き返した陽太は、迫る巨大なイカの目に槍を繰り出した。のけぞり離れるイカを放置し、戦場を大きく迂回するように飛び回る。
「ウィリアム、この速さについてこれるか?」
「無論」
ウィリアム・ローグと共にドーンテンタクルスの注意を引いた陽太は、共有される情報を元に指定ポイントまでドーンテンタクルスを誘導していくのだった。
●
ドーンテンタクルスの初撃を回避した多喜は、次々放たれる触腕を巧みなカブ捌きで回避しながら口笛を吹いた。
炎弾を放たれ、怒り心頭なドーンテンタクルスが力任せに放ってくる触腕の攻撃は強力で、直撃すればいかに多喜といえど無傷ではいられないだろう。
「どう捌くにせよ、あの触腕はいただけないね。コンビネーションと行こうじゃないか」
「心得た」
深く頷いたウィリアム・ローグと並走した多喜は、全身を媒介にして味方をテレパスのネットワークで覆った。オーラで繋がった味方の位置関係や状況、対戦しているドーンテンタクルスの情報などが、多喜の中へと流れ込んでくる。
空域の情報は把握した。ドーンテンタクルスの怒りは頂点に達し、冷静さを失っている。陽太は前面に出てヘイトを稼ぎながら誘導し、円は捕獲に必要なとっておきを作り上げている。
ならば、多喜がすべきことは決まっている。
「拒絶の雲海はまだ出せるだろ。追い込み漁の手伝いをしておくれ、ウィリアムさん!」
「無論」
頷くウィリアム・ローグと別れた多喜は、はぐれたドーンテンタクルスに空中戦を仕掛けた。空域をカバーするように軽やかに飛び回りながら攪乱すれば、躍起になったドーンテンタクルスが触腕を多喜に向けて伸ばしてくる。次々に伸ばされる触腕に、多喜は楽しそうに挑発の笑みを浮かべた。
「イカさんこちら♪ カブ鳴る方へ♪」
「ドーン!」
「「ド、ドーン!!」」
多喜の挑発に怒り心頭なドーンテンタクルスが、引き寄せられるように多喜を追いかける。巧みに誘導する多喜の背後に完成しつつある拒絶の雲海の網に、巨大なドーンテンタクルスが動いた。
「ドーン!」
一声鳴いたドーンテンタクルスが、触腕をウィリアム・ローグへ向けて一斉に放つ。退路を断つように、八方から包囲するように伸ばされる触腕に、多喜は|英霊《einherjars》を射出した。
「させないよ! お前さんは生け捕りにしてやろうか!」
味方に向けられた害意全てを攻撃回数に変換した多喜は、|英霊《einherjars》の弾幕を放った。
弾幕が、ウィリアム・ローグに迫る触腕を破壊していく。戦闘能力を奪われたドーンテンタクルスの包囲から抜けたウィリアム・ローグが拒絶の雲海網を完成させれば、陽太が追い込んだドーンテンタクルスが大挙して押し寄せる。
本能的に拒絶の雲海から距離を取るドーンテンタクルスは、自然と一か所に密集することになる。
触腕を破壊し時間を稼いだ時、巨大な投網が放たれた。
●
ドーンテンタクルスの初撃と同時にユピテルークに搭乗した円は、即座に戦場を回り込んだ。多喜のサイキックで感知した、追い込み漁の最終ポイントへ先回りをする。中央では陽太がドーンテンタクルスを攪乱しながらこのポイントまで誘導し、ウィリアム・ローグが多喜の援護を受けながら拒絶の雲海で追い込み網を張っている。円が任されたのは最後の仕上げ。武者震いに身を震わせた円は、仲間たちに呼びかけた。
「美味しい宇都宮海鮮餃子を皆で一緒に食べるよ! 行こう、ルーくん、ウィリアムさん!」
「応よ!」
「心得た」
円の呼びかけに応えたユピテルークと追い込み網を張り終えたウィリアム・ローグが、一気に加速する。指定の空域に到着した円は、手を高らかに掲げると詠唱を開始した。
「逃がさないよドーンテンタクルス! わたしの心の中で燃え滾る、餃子スサノオ大神と宇都宮のご当地パワーをとくと見よっ!」
円の周囲に湧き上がるのは、白い炎。全身を白く燃える餃子スサノオ大神のオーラと白炎で覆った円は、空中に餃子のオーラを解き放った。
練り上げられた餡のオーラが、白くなめらかな餃子の皮オーラに包み込まれる。餃子スサノオ大神のオーラと宇都宮のご当地パワーは餃子の餡となり皮となり、ギョウザスサノオソウルとして昇華する。それはいわば、餃子ソウルとも呼べるもので。
ミントグリーンの輪郭を持った餃子ソウルが、空中に規則正しく撒かれる。それぞれの餃子ソウルは別の餃子ソウルへ向けてオーラの手を伸ばし、六角形の網目を作り上げていく。ひとつひとつの餃子ソウルを有結節とした餃子投網を作り出す円に、ドーンテンタクルスの触手が伸びた。
「ドーン!」
「「ド、ドーン!!」」
スサノオソウルに恐れをなしたドーンテンタクルスが、続けざまにユピテルークの金の機体に触手を放つ。詠唱と形成に集中した円が被弾を覚悟した時、二人が動いた。
「邪魔するんじゃねえ! これでも食らえ!」
ユピテルークが言い放った時、餃子のご当地パワーを練り込んだ餃子頭のオーラがぽぽぽぽん! と現れた。かぐわしい餃子の魅力を溢れんばかりに湛えた餃子頭のオーラに、ドーンテンタクルスは目を餃子にすると触手の向きを変えた。
返しのついた爪が、餃子頭のオーラを捉える。そのまま捕食するドーンテンタクルスを、ローグ・インターセプターの車輪が切り裂いた。
「隙を見せたな」
「ドーン……」
「できた! ギョウザスサノオソウル・投網っ! いっけぇー!」
餃子型の重しを周囲につけた投網を、ドーンテンタクルスの群れに解き放つ。一か所に集められたドーンテンタクルス達を文字通り一網打尽にした円は、動きを止めた獲物にウツノミヤギョウザキャノンで止めを刺していくのだった。
●
大人しくなったドーンテンタクルスの群れに、集まった猟兵達はハイタッチを交わした。
「やりました! ドーンテンタクルス追い込み漁、完成です!」
「いやぁ、これだけあれば食べ放題だ! さて、どう料理しようかなぁふふふ」
来るべき宴会タイムに思いを巡らせた多喜に、陽太がふと問いかけた。
「ところでこのイカ、どうやって運べばいいんだ?」
「「「あ」」」
陽太の指摘に、思わず黙り込んだ。今はユピテルークが投網を持っているが、この後シマヤドカリも待っている。いつまでもこのままという訳にはいかない。
「うーん。あたしの宇宙カブで曳航するか、JD-Overedに運ばせるか。いやそれだと、シマヤドカリ戦に支障がでるか」
考え込む多喜たちに、陽太が現実的な案を出した。
「……勇士たちに運搬頼むか」
「それがいい。ついでに下処理もしておいてもらおうか。餅は餅屋、魔獣は勇士ってね」
「そうですね。投網はこのまま固定しておきます」
頷き合った猟兵達は、投網を勇士の飛空艇に預けると次の空域へと飛翔するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
葛城・時人
激翔楽しかった!
また併翔しお礼言ってから前を見る
倒す感じで考えてたけど
丸コゲとかは食べられないから勿体ないね
「よーし、やりすぎない程度にハント!」
勿論今回も彼と共闘
って言っても奇策は思いつけないから
ウィリアムに何か策あるか聞くよ
策あったらノるし
正面突破正々堂々って感じならまた併翔で
「お互い補完出来たら良さそうだねー」
あとやっぱり競い合いもちょっぴり楽しみ
負けず嫌いだしね
「あ、数のカウントもしようか」
ってからウィリアムと再びGO!
異世界だし分かってるけど
「空飛ぶ七色の大イカは余りにもシュールだよね!」
まあ彼らには車と蟲が飛んで来る方がシュールかもだけど
「ククルカンにも後からあげるよ!」
言いながら錫杖を振り抜くと大きめのが一匹
綺麗に串刺しになった!
よし、まずはゲット!
攻撃は来るけど敵味方お互い気流に揉まれるし
こっちの速度にも煽られ右往左往
インターセプターに勝手に刺さるのや
ククルカンにあーんされるのもいて終始優勢で押し通れてる
「何匹目かなー?」
最後は普通に両断もしつつ
二人でまた飛びぬけてこう!
●
勇士の甲板の上から臨む、無限に広がる空域。深呼吸しながら思い切り伸びをした葛城・時人(光望護花・f35294)は、隣に立つウィリアム・ローグに笑いかけた。
「激翔楽しかった!」
「そうか。私もだ」
言葉少なく応えるウィリアム・ローグに、時人は嬉しそうに微笑む。ウィリアム・ローグは無口で言葉は少ないけれど、それだけに嘘はつかない。
先に出た猟兵達のおかげで、空域のドーンテンタクルスの群れはあらかた片付いた。遠くを見渡した時人は、遠方に残るドーンテンタクルスににんまりと笑みを浮かべた。イカがうじゃうじゃいる空域で競い合うのは難しいが、イカがたむろする空域までなら邪魔もなく飛べるはず。
「あそこにまだいるよね、イカ。あいつらのところまで、どっちが早いか競争だ!」
「望むところだ」
言葉短く答えたウィリアム・ローグが、甲板から空へと駆ける。その背中に詠唱を開始した時人は、荒ぶる巨大な|白燐蟲《ククルカン》を召喚した。
「さあ行くよククルカン!」
純白の羽毛と翼持つ蛇に騎乗した時人は、先を行くウィリアム・ローグの背中を追う。未だ安定しない空域は時として煽りつけ吹き抜けヒヤリとさせるが、それがまた良いスパイスで。
競い合いながらドーンテンタクルスの空域に辿り着いた時人は、触手をうねらせる巨大なイカの群れに記憶の錫杖を構えた。
「よーし、やりすぎない程度にハント! ウィリアム、何か策ある?」
「小細工など不要」
「ふふ、いいね! それじゃ、正面突破正々堂々、狩りを楽しもう!」
ククルカンに跨ったまま錫杖を構えた時人は、叩きつけられる触腕を回避するとドーンテンタクルスの胴体に鎌の刃を叩き込んだ。真っ二つに切り裂かれるドーンテンタクルスの姿に得意げに振り向けば、同じような大きさのイカを担いだウィリアム・ローグと目が合って。
「やるね」
「まあな」
「じゃ、どっちがたくさん狩れるか競争だ!」
「望むところだ」
答えるウィリアム・ローグと視線を見かわし、別々の空域へと飛翔する。右側の空域へと向かった時人は、目の前に迫るドーンテンタクルスの姿に思わず苦笑いを浮かべた。
「空飛ぶ七色の大イカは余りにもシュールだよね!」
「ドーン!」
不服そうに叫ぶドーンテンタクルスが、納得いかないと言いたげに触腕をしならせる。まあ彼らには車と蟲が飛んで来る方がシュールな光景だろう。
思わず納得した時人は、七色に光るドーンテンタクルスの身体に思わず手を止めた。虹色に発光する表皮から放たれる催眠光が、なんだかとても美しく見える。もっとよく見ようとククルカンを向かわせるが、相棒はその場を離れようとしない。苛立ち、もっと強く命じようとした時、白い雲が目の前を通り過ぎた。ウィリアム・ローグが放つ拒絶の雲海がドーンテンタクルスを消し去れば、催眠光の誘惑から即座に立ち直る。
「ありがとう、ウィリアム」
「貸し1だ」
「すぐに返すよ。ククルカンもありがとう。後でイカをあげるよ!」
言いながら錫杖を振りぬけば、大き目のイカが綺麗に串刺しにされる。ウィリアム・ローグの背中を貫こうとしていたイカを串刺せば、気配に振り返るウィリアム・ローグに得意げにイカを掲げて。
「これで貸し借りゼロだね」
「ふっ」
笑みを浮かべたウィリアム・ローグが、次のドーンテンタクルスへと向かっていく。
気流に揉まれ、味方につけては反撃し。どちらからともなく挑んだ短距離走に興じれば、ゴールの時には2、3匹捕獲していて。
最後の一匹を捕獲した時人は、イカを満載にしたウィリアム・ローグと共に荷物運搬レースに興じながら勇士の飛空艇へと帰還するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『シマヤドカリ』
|
POW : 島を脱いだら隠れなきゃ
自身と武装を【防音効果のある気流】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[防音効果のある気流]に触れた敵からは【空の飛び方に関する記憶】を奪う。
SPD : 味方になったら癒やしてあげるよ
戦場全体に【飛行困難なほどの大嵐】を発生させる。レベル分後まで、敵は【不規則に襲う稲妻や竜巻】の攻撃を、味方は【温かい家の幻影を見せる果樹からの光と香り】の回復を受け続ける。
WIZ : 食べたら寝ようね
【食べると飛び方を忘れる果実から甘い香り】を披露した指定の全対象に【この果実を食べて遊んで暮らしたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:tora
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠リュート・アコルト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
ドーンテンタクルスがすっかりいなくなった空域の奥で、シマヤドカリは巨大なハサミを高々と振り上げた。
ここはいい空域だ。気流に揉まれたドーンテンタクルスは身が締まって美味しい。ちょいとちょっかいを出して引っ掛ければ、美味しいイカが食べ放題。
そんな楽園も、侵入者のおかげで台無しだ。どれ、ここはひとつ連中を誘い込んで食べてしまおうか。
そんなことを考えたシマヤドカリは、木の実から甘い香りを漂わせると大きな爪を震わせた。
※ ※ ※
第三章はボス戦です。
ほとんど何の苦労もなくイカを食べていたシマヤドカリは、そんなに強くありません。
倒せば美味しいイセエビに似たぷりっぷりの魚介と新鮮な野菜と水が手に入ります。
勇士の飛空艇に一通りの調理器具等は積んでありますので、ご自由にお使いください。
もちろん、シマヤドカリに真剣に挑むことも可能です。
シマヤドカリを倒した後に残された島でBBQを楽しむことも、ウィリアム・ローグにレースを挑むこともできます。
ウィリアム・ローグと会話もできますが、公式に明かされた以上のこと(家族構成や生い立ちなど)ははぐらかす可能性がとても高いです。
プレイング受付期間はタグにてご連絡いたします。
それでは、良き時間をお過ごしくださいませ。
葛城・時人
サクッと倒してしっかり食べよう!
確保したイカもね!
と言う訳で
「ご褒美ちゃんとあげるし突撃!」
白燐同期翔で倒すよ
ちょいオーバーキルかもだけどまあいっか
飛空艇の皆、道具とか快く貸してくれてありがたいなあ
「代わりにこれどうぞだよー!」
新鮮な食材山ほど渡すね
支度整えてからウィリアムに声掛ける
「良かったら打ち上げ付き合って」
フォーミュラだし食べられるかどうか
わかんないけど
「レース後はパーティでしょ?」
可能ならシャンパンファイトもやるし
ダメなら乾杯だけでもだねー
食べられそうならイカもヤドカリも一緒に食べるよ
ジュウジュウ焼いて醤油マヨネーズ
絶対美味しいやつ
ククルカンにもちゃんとあげるねー
時間まで出来るだけお喋り
コーナリングとか好みのエンジンとかGの対処とか
聞くだけでホントすごい楽しいな
「もしまた敵として会うとしても」
これだけは最後に伝えたい
「また正々堂々レースしよう!」
で、お互い手伝える事ならそれはまた宜しくだよって
レーサー同士は次のレース場で再会できるもの
「ドライビングテク、俺も磨いておくからさ!」
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
次はヤドカリかぁ、デッカイねありゃ。
この空域の気流にかこつけて、だいぶいいモン食ってたな?
確かタラバガニもヤドカリの仲間だったよな、それじゃ似た味を期待しながら狩っちまいますかね、っと!
ウィリアムさん、他の皆、すぐに「着陸」できる体勢を整えといておくれよ。
まずはイチかバチか、大嵐を掻い潜りシマヤドカリに接近しようとする。
稲妻?『電撃』使いのアタシに取っちゃ何てことないね!
そして【縁手繰る掌】の距離に入ったら即座に転移、皆が島に着陸できるよう誘導するよ。
そうすりゃ後は嵐を気にせず島越しでボコれるだろ!
アタシも『衝撃波』と『電撃』で援護するよ、早くBBQを楽しもうぜー!
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
「超巨大ヤドカリか…討伐するとしよう」
『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』を起動して1分先の未来を見ながらファンネルビット/シールドビット/リフレクタービット創造して展開しリニアロングボウとアルテミス・レーザービームで攻撃を仕掛けながら敵の攻撃をテレポートで空間飛翔して回避し空間全体を攻撃で掌握しているのなら“リライズ”で反射させて、シールドとリフレクターで隙を作りながら好機を見付けたら即座にフルバーストとヘラ・エウピションでの全力総攻撃を仕掛けます。
他の猟兵とも通話や光通信を用いて交信して情報交換をしながら戦況を把握し対策を講じます。
「無駄にデカイ」
高嶺・円
大きいヤドカリさんだね、味は伊勢海老に近いんだったら、色々BBQに始まって多様性あるかも。
【WIZ
「じゃあ、引続き円は俺様《ユピテルーク》を操縦して集団戦術で皆やウィリアムと連携して、シマヤドカリを狩るか?」
うん、空中戦を推力移動ダッシュで駆けつつ……あの匂い(WIZ)と気流(POW)は厄介だね
第六感で見切り回避しながら位置を捉え
高速詠唱でUC発動、貫通攻撃で百目鬼ビームを範囲攻撃で撃ち、気流と匂いを打ち消し
《ダンプリングドール》で斬撃波をふるい料理するよ
その後、イカの方も大きさ的にルーくん操縦した方が料理用に解体できるならそうして
イカスミ混ぜた餃子の皮を作ったり、 BBQの下準備や宇都宮海鮮餃子の餡(イカやヤドカリも込み)の準備とか色々した後で
イカスミ皮の宇都宮海鮮餃子やイカスミスープの水餃子、イカスミパスタを含め色々作っちゃおう!
「BBQを始める段階になると、俺様の出る幕はないか?」
可能ならルーくんをUCの天雷神機・雷獣変でき鼬にすればBBQ参加出来るね(食べる的に)
【アドレス大歓迎
森宮・陽太
【SPD】
アドリブ連携カオス大歓迎
よっしゃよっしゃ、あとはヤドカリを狩りゃいいんだな
せっかくなんで巨神『ガヴェイン』を呼び寄せて、この状況を見せてやるぜ
…ブルーアルカディアっつー世界を誤解しそうな気もするが
飛行困難な程の大嵐を呼ぶっつー話だが
呼ぶ前に背中に降りれたらベストだな
ガヴェインに搭乗し飛翔しつつ一稲妻や竜巻を見切って避けながら
一気に背中に降り立つぜ
ガヴェイン、黄金の剣で背中の殻に斬りつけ罅を入れつつ
隙を見て指定UCでシマヤドカリを捕縛してくれや
さーて、BBQはじめっか!
背中の新鮮な野菜と木の実を全部採取したら
野菜と果実とイカの調理は他猟兵に任せてヤドカリを調理するぜ
(演出で)「高速詠唱、言いくるめ」+【悪魔召喚「アスモデウス」】でアスモデウス召喚
アスモデウス、そこに美味しいヤドカリがいるんだがな
ちぃと獄炎でこんがりと焼いてくれねぇか?
焼けたら食わせてやっからよ、な?
…って俺まで獄炎で焼こうとするんじゃねぇ!!(お約束
ウィリアム、もうやり残したことはねぇか?
帰還しても元気でいろよ?
●
ドーンテンタクルス達が一掃された空域に、突如大嵐が吹き荒れた。
餌場としていた乱流空域を踏破した猟兵達を警戒したのだろう。決して誰も通しはしない! という確固たる意志を感じる不自然な嵐を前に、ティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は目を細めた。
詠唱と同時に強化された未来予測力を視界とリンクさせる。1分先の未来まで高精度に予測可能となったテティスは、共に戦う猟兵達と情報を共有した。お互いの情報を突き合わせて作戦が立案され、実行に移される。全員が意志の共有を終えた時、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が楽しそうに掌に拳を突き当てた。
「次はヤドカリかぁ、デッカイねありゃ」
「うん。本当に大きいヤドカリさんだね」
多喜の隣にいる高嶺・円(名とご当地を受け継ぎし、餃子スサノオ・f44870)もまた、その巨大さに同意する。テティスが収集したデータによると、ヤドカリの背は猟兵はおろか飛空艇が着陸しても余りあるほど広い。
データを共有した葛城・時人(光望護花・f35294)が、暴風に煽られながらもにんまりと笑った。
「いいねいいね! 大きいってことは分け前も多いってことだよ。サクッと倒してしっかり食べよう! 確保したイカもね!」
「よっしゃよっしゃ、あとはヤドカリを狩りゃいいんだな」
森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)もまた、闊達とした笑みを浮かべながら遠くに見えるシマヤドカリを見渡した。
どうやら、猟兵達はヤドカリ討伐後の宴に興味が深いらしい。テティス自身も飲食はできるが、そこまでの執着があるかと問われると疑問がよぎる。
どの道討伐しなければ食すこともインターセプターに燃料を補給することもできないのだ。ならな、テティスがやることは一つ。
「超巨大ヤドカリ……。討伐するとしよう」
テティスの宣言を皮切りに、猟兵達は戦場に身を躍らせた。先陣を切り宙を翔けたテティスは、猛烈な逆風を受けながらもサイコミュ・ファンネルビットを展開した。飛行困難なほどの大嵐と、放たれる稲妻や竜巻は予測に誤差を生み出す乱数となる。乱数補正をしながら狙いを定めた時、円が動いた。
「あの匂いと気流は厄介だね。ルーくん!」
「おう! まずは邪魔者の排除だな!」
阿吽の呼吸で展開された畏れ呪装符「百目鬼」から放たれた無数の百目ビームが、吹き荒れる嵐や稲妻を呪いで縛る。乱数補正の負荷が低下し、狙いが完全に定まる。今だ。
「サイコミュ・ファンネルビット・フルバースト……撃て!」
定まった狙いに向け、膨大な数のレーザー光線が収束する。砲門から次々発射されるレーザー光線は吹き荒れる風や竜巻の影響を無視し、シマヤドカリに向けその破壊力を叩き込んだ時、空域に多喜が躍り出た。
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宇宙カブを駆り嵐の空域に躍り出た多喜は、隣を飛翔するウィリアム・ローグの姿にチラリと視線を投げた。
「ウィリアムさん、他の皆、すぐに「着陸」できる体勢を整えといておくれよ」
「承知した」
言葉少なく頷いたウィリアム・ローグが多喜の隣を離れた時、多喜は改めて空域の状況を確認した。テティスから送られてくる情報によると、空域の大嵐は一旦弱まった。片眼を吹き飛ばされたシマヤドカリは、生来の臆病さを発揮して猟兵達を近づけまいと嵐や稲妻を投げつけてくる。
「そんな稲妻、『電撃』使いのアタシに取っちゃ何てことないね!」
嵐の風を読みながら巧みに疾走した多喜は、迫る稲妻にサイキックの電撃を放った。電流は+から-へと走る。その電位を変えてやれば、稲妻を回避するなど訳もない。見事に当たらない稲妻に、シマヤドカリは攻撃を竜巻に切り替えた。
まるでダダっ子だ。乱流空域に疲れたドーンテンタクルスをおびき寄せればすぐに身の締まったイカが食べられたのだから、仕方ないところもあるか。
「この空域の気流にかこつけて、だいぶいいモン食ってたな?」
「いいねいいね! |白燐蟲《ククルカン》も思う存分楽しめるのは願ったりだよ」
ワクワクしながら多喜のカブの後部座席に座った時人は、迫る竜巻に向けて召喚した|白燐蟲《ククルカン》を放った。
「ご褒美ちゃんとあげるし突撃!」
時人の号令に、純白の羽毛を持つ蛇が飛び立つ。竜巻を回避しシマヤドカリの周囲を飛び回るククルカンに気を取られた瞬間、300km/hで一気に突撃する。
まるで雷撃のような攻撃に、シマヤドカリが大きくのけぞる。その隙に更に接近した時、テティスが叫んだ。
「今です」
「応! 行け、ガヴェイン!」
隙を突き一気に飛び出した陽太のキャバリア・ガヴェインが、宙を裂きシマヤドカリに向け不意打ちを仕掛ける。稲妻や嵐を無言で回避し、戦場を迂回し気配を消し潜伏していたガヴェインは、シマヤドカリの甲羅に黄金の剣を叩き込んだ。食い込んだ剣の切っ先から、翠のオーラを帯びた黄金色の鎖が放射状に放たれる。捕縛され動きを止めたシマヤドカリは、ガヴェインを振り払おうとその場で大きく暴れ出した。その隙があれば十分だった。
「捕まえた、そこっ!」
詠唱と同時に、多喜達の姿がぶれる。縁手繰る掌(アポート・アンド・テレポート)で味方猟兵全員で陽太の側にテレポートした多喜は、楽しそうに拳を鳴らした。接近させない大嵐も、近づいてしまえば凪いだ空域。
「確かタラバガニもヤドカリの仲間だったよな。それじゃ似た味を期待しながら狩っちまいますかね、っと!」
捕食者の目をキュピーン! と輝かせた猟兵達が、シマヤドカリを討伐するのにさほどの時間は要さないのだった。
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すっかり凪いだ空域を見渡した時人は、多喜の宇宙カブから降りるとひらりと側に戻ったククルカンの頭を撫でた。今回はククルカンの背中に乗る訳にいかなかったから多喜に乗せて貰ったが、なかなかどうして悪くない経験だ。
満足そうに微笑んだ時人は、上陸した飛空艇の勇士に声を掛けた。
「ねえ、良かったら調理の道具とか快く貸してくれてありがたいなあ」
「もちろん!」
快く頷いた勇士達が、キッチンセットを準備してくれる。水は水質検査で合格した近くの泉から引いて、コンロは天使核を動力にした最新版。冷蔵庫の中には、戦闘中に下処理してくれたドーンテンタクルスの切り身がどっさり入っている。
「助かる! ありがと!」
「これでこの空域を安全に通過できるんだ。お安い御用さ」
サムズアップする勇士にサムズアップを返した時人は、所在なげに佇むウィリアム・ローグに歩み寄った。シマヤドカリの天使核は、打ち上げが終わるまで回収することができない。だからといってウィリアム・ローグがエプロンつけて料理する姿というのも想像しにくい。大体、ウィリアム・ローグはオブリビオン・フォーミュラ。本来ならば敵同士な上に、食べられるかどうかも分からない。だけど。
「ねえ。良かったら打ち上げ付き合って」
「俺が?」
意外そうに面食らうウィリアム・ローグに、時人は生真面目に頷く。
「レース後はパーティでしょ? シャンパンファイトの準備もあるよ」
にっこり微笑む時人に、ウィリアム・ローグは頷いた。
「そうだな。喜びの時は喜ぶべきだ」
「そうこなくっちゃ! ねえ、レースの話を聞かせて」
「なんだいなんだい、それはアタシも聞きたいね」
嬉しそうに頷いた時人に、多喜も興味津々に話に加わってくる。
円と陽太が嬉々として料理してくれているし、テティスは周囲の警戒に当たってくれている。何もしない訳にもいかないから後片付けを請け負うことで手を打った時人と多喜は、レース議論に熱中した。
コーナリングのコツや不測の事態に対する対処法などは、聞いているだけで勉強になるし、代わりに自分のやり方を述べれば新しい知見と深く頷いてくれる。一番走り甲斐のあるコースは? なんて決められやしない。
好みのエンジンメーカーは面白いくらいに三人で意見が分かれて、推しメーカーのプレゼン合戦が白熱して楽しすぎる。Gの対処って、人それぞれなんだな。
レーサー三人で楽しい時間を過ごした時人は、漂ってくるいい香りに語りの時間の終わりを悟った。
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一人ぽつんと所在なげに佇んでいたウィリアム・ローグが楽しそうに話をしている姿に、円はホッと胸を撫でおろした。皆それぞれ役割があって忙しそうな中で、何の役目もなく佇んでいるのは切ないものだ。とはいえウィリアム・ローグは料理できなさそうだから、手伝って貰ったとてどれだけ役に立つか未知数……有り体に言えば足手まといだ。
「良かった。ウィリアムさん達楽しそう」
「だな。ところで円、俺は勇士達と一緒に島の食材を取ってくる。解体の方は任せてもいいか?」
「もちろん! でもイカも残ってるし、ちょっと解体の手が足りないかな?」
「そうか。……ガヴェイン、イカの解体を手伝ってやってくれないか?」
「承知した」
「承知するのか」
深々と頷くキャバリアが、無言で黄金の剣を構える。ライバル意識を燃やしたのか、負けじとユピテルークも金色の機体で斧を構える。なかなか壮観な二機のキャバリアに、円は親指を立てた。
「いってらっしゃい! 最高の宇都宮餃子をご馳走するね!」
「頼んだぜ!」
手を上げ挨拶する陽太に挨拶を返した円は、改めて食材たちと向き合った。ドーンテンタクルスはある程度下処理を済ませてくれたものもあるが、さすがにこの短時間で全部の解体が済んでいない。そちらは勇士達に任せればいいが、問題はシマヤドカリの身だ。目の前には、殻から出されたシマヤドカリの身が文字通り山のようになっている。
「それにしても大きいヤドカリさんだね」
「だな。これは俺が解体するぜ」
深く頷いたユピテルークは、餃子を模した大斧・DPTダンプリングトールを構えた。解体専門の勇士の指示するポイントに斬撃波を振るえば、巨大な塊だったシマヤドカリの身がみるみる内に小さく扱いやすく解体されていく。
一抱えほどの塊になったシマヤドカリに、ユピテルークは出ていない汗を手の甲で拭った。
「ふう、こんなところだな」
「ありがとうルーくん! 後は任せて!」
「任せた。しかしBBQを始める段階になると、俺様の出る幕はないか?」
「うん。ちっちゃい姿で待ってて」
ユピテルークをつついた円は、改めて食材たちに向き合った。丁度陽太達も帰ってきて、役者が揃った。後は円の腕の見せ所だ。袖をまくりエプロンをつけた円は、解体された一抱えほどもあるツヤツヤなシマヤドカリの身に腕を組んだ。
「味は伊勢海老に近いんだったら、いろんな料理に使えるかも」
まずは寝かせ時間がかかる餃子の皮作りだ。小麦粉にイカスミと塩を入れて練り上げた生地を寝かせて。その間に餡作りだ。
今日のメインはBBQと宇都宮海鮮餃子。タンパク質はミンチと相場は決まっている。大きな包丁を両手に持った円は、キュピーン! と目を輝かせるとエビに向き合った。
「さあて。楽しいミンチショータイムの始まりだよ!」
両手に持った包丁をリズミカルに動かせば、エビの塊がみるみるうちに細かくなっていく。軽やかにリズムを刻む包丁の音に合わせてお調子者の勇士が楽器を鳴らせば、嬉しくなって円も歌い出す。陽太が持ってきたキャベツやニラみたいな葉や薬味も刻めば、歌のボルテージも上がってくる。
最後にタターン! と包丁を鳴らした円に、盛大な拍手が沸き上がった。
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宇都宮海鮮餃子を円に任せた陽太は、BBQ串作りに取り掛かった。
エビとイカの塊を、串に合う大きさに刻んでいく。野菜と一緒に串に刺したりシマヤドカリだけの串を作ったり。もちろんドーンテンタクルスも同じように串に刺しては冷蔵庫で保管していく。
メイン調理は円と有志の勇士に任せた陽太は、炭火を用意しながらふとヤドカリの巨大な塊の前に立った。この巨大な塊、何かに似ている。
頭の上に電球を閃かせた陽太は、塊を貰い受けるといそいそと準備を始めた。宴会には宴会芸……もとい、エンタメ要素が不可欠。絶対美味しいBBQ串は確保した上で、見た目も美味しい伝統的漫画的な料理があるじゃないか。
準備を終えた陽太は、全員にグラスが渡ったのを確認するとウィリアム・ローグを振り返った。時人はシャンパンファイトをしたかったようだが、街中ではないし着替えも大変だからと多数決で却下されてしまった。シャンパンファイトはまたいずれ、リベンジすればいい。乾杯の音頭を頼まれたウィリアム・ローグは、戸惑ったようにグラスを掲げると口を開いた。
「猟兵、それに勇士達。世話になった。感謝する。……乾杯!」
「「「「「乾杯!」」」」」
一斉にグラスを掲げて打ち鳴らし、勝利の美酒に酔いしれる。焼きたての黒い餃子を頬張った陽太は、口の中に広がるエビの芳醇な風味に目を細めた。プリっとした歯ごたえを残したエビ餡を引き立てる野菜の甘みに薬味がいい味を出している。全部を包む餃子の皮は、イカスミのコクが効いていて初めて食べる味だが間違いなく旨い。
「イカスミ皮の宇都宮海鮮餃子って初めて食べたけどよ、旨いじゃねえか」
「イカスミスープの水餃子やイカスミパスタもあるよ! ルーくんも食べてる?」
「応よ! 給仕ばっかしてねえで、円も食えよ?」
「もちろん!」
得意げに勧めてくれる円からイカスミパスタを受け取った陽太は、串焼きを頬張る時人を振り返った。
「こっちの醤油マヨネーズ、絶対美味しいやつ! ククルカンにもちゃんとあげるねー」
頬に手を当て目を細める時人は、純白の羽毛と翼持つ蛇の姿に戻ったククルカンに同じ串を差し出した。串焼きの匂いを嗅いだククルカンがぱくりと頬張れば、あっという間に平らげてもっと寄越せと鼻面を時人に寄せる。
「大丈夫たくさんあるから」
「いやー、やっぱり餃子に麦酒は最高だねぇ。楽しんでるかいウィリアムさん」
「無論」
麦酒を片手に餃子に舌鼓を打った多喜は、黙々と食べるウィリアム・ローグに冷えた麦酒のグラスを差し出した。そういえばウィリアム・ローグはどうやって食べるんだろうか。
思わず全員の視線が集中する中、ウィリアム・ローグがヘルメット近くにグラスを持っていく。同時に消える中身に、全員思わず目をこらした。次の料理はどうやって食べているのか絶対に見てやる。そう思い瞬きもせず観察するも、やはり食べる瞬間は見えない。さすがはスピードフォーミュラ。
皆がそう思った時、テティスがくすりと微笑んだ。意味深な笑みに、ウィリアム・ローグが不審そうに視線を向けた。
「なんだ」
「いえ。エビは無駄にデカイ、そう思っただけです」
「そうか」
視線を交わしてしばし。含み笑いで視線を逸らし料理を口にするテティスに、陽太は観察を諦めた。どうやって食べるのか謎を究明するよりも、やることがある。
宴もたけなわな頃合に仕込んだ塊に歩み寄った陽太は、アスモデウスを召喚した。
「さーて、アスモデウス。ここに美味しいヤドカリがいるんだがな。ちぃと獄炎でこんがりと焼いてくれねぇか?」
「ほう。あれは漫画肉とやらではないのか?」
腕を組みツッコミを入れるアスモデウスに、陽太は指を振った。
「漫画肉ならぬ漫画エビだよ。焼けたら食わせてやっからよ、遠火の強火でじっくり火を通してくれ。硬くならないように気をつけてくれよな?」
「……心得た」
深く頷いたアスモデウスは、大きく息を吸い込むと獄炎を吐き出した。アスモデウスの|獄炎《遠赤外線》は漫画肉状に形作ったイカやエビの塊をこんがり焼き上げていく。回しながらタレをかけながら仕上げる陽太に拍手が巻き起こった時、アスモデウスが陽太の方を向いた。
「もういいか?」
「ああ……ってこっち向くんじゃねえ!」
「遠慮するな。遠赤外線は人間の体にいいんだろう?」
「遠赤外線言うな! あちち、やめろよ!」
「遠慮はいらぬ!」
ほかほかの獄炎を向けられた陽太が、慌てて焼き場から逃げ出す。そこを見た目だけは派手な炎が追いかける。
和やかな笑いが溢れる中、宴の夜は更けていくのだった。
●
翌朝。
片づけを済ませた猟兵達は、勇士達と共に飛空艇へと乗り込んだ。最後にシマヤドカリの天使核を捕獲すれば、残された殻は雲海へと落ちていく。
ローグ・インターセプターに天使核を補給したウィリアム・ローグは、満タンになったエネルギータンクを確認すると愛車を軽く叩いた。これでいつでも……例え今すぐでなくても、いつでも故郷へと帰れるだろう。
別れの朝を迎えたウィリアム・ローグに、テティスは手を差し出した。
「良い走りでした、ウィリアム・ローグ」
「貴殿もな」
乱流空域を真っ先に駆け抜け、純粋な機体性能を競い合った。またいつか、共に走る機会もあるだろう。
続いて向かい合った円は、ウィリアム・ローグに微笑みかえた。
「宇都宮海鮮餃子、美味しかった?」
「ああ。とても、悪くない」
「円の料理だからな。当然だ!」
我が事のように胸を張るユピテルークに、くすぐったそうに手を差し出し握手を交わす。
続いて向き合った多喜は、照れくさそうに頭を掻くと手を差し出した。
「また走ろうぜ!」
「無論」
硬く握手を交わした多喜の隣で、陽太が頬を掻いた。
「ウィリアム、もうやり残したことはねぇか? 帰還しても元気でいろよ?」
「貴殿もな」
握手を交わし合った陽太の隣で、時人は真っすぐウィリアム・ローグに向き合った。
「ウィリアム・ローグ。激走できて、とっても楽しかったよ」
「俺もだ」
「もしまた敵として会うとしても……」
言いよどむ時人に、猟兵達の視線が集まる。ウィリアム・ローグはオブリビオン・フォーミュラ。最終的には敵対するかも知れない相手。それはウィリアム・ローグも承知しているだろう。だが、これだけは最後に伝えたい。
「また正々堂々レースしよう!」
「……ああ!」
硬く握り合うウィリアム・ローグと時人の手に、その志に賛同する猟兵達が手を重ねる。照れくさそうに笑った時人は、表情のないウィリアム・ローグに力強く頷いた。
「お互い手伝える事ならそれはまた宜しくだよ。ドライビングテク、俺も磨いておくからさ!」
「俺もまた、最速の先を見てみたくなった」
レーサー同士は次のレース場で再会できるもの。猟兵達とも、いずれ道が交わる日が来るだろう。
再会を誓い合った猟兵達に見送られたウィリアム・ローグは、雲海の向こう側へと走り去っていく。遠くなる背中を見送った猟兵達は、グリモアベースへと帰還するのだった。
大成功
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