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蹂躙と享楽、洗脳の行く末は

#ダークセイヴァー #戦後 #完結

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#ダークセイヴァー
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#戦後
#完結


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 「闇の救済者戦争」が終わって、ダークセイヴァーには一時の安穩が齎された。だが、それはあくまで一時。
 ダークセイヴァーの大部分の民は、未だヴァンパイアに支配され、恐怖のどん底にいる。

「私が予知したのも、そういった民に起こる……いえ、起こってしまった悲劇です」
 銀の髪を揺らすグリモア猟兵、リリアナ・グレイ(遺された令嬢・f42333)の眉間には僅かに皺が刻まれている。かつて彼女はオブリビオンの襲撃を受け家族を惨殺された。それを思い出してしまったのだろう。
「民を無差別に殺傷するなど言語道断。皆さんには、この地を支配するヴァンパイアを斃してきて頂きたいのです」
 ヴァンパイア。100年前に蘇った|世界の敵《オブリビオン》。彼等は無辜の民を蹂躙してきた。だがこの前の戦争で、オブリビオン・フォーミュラであった「祈りの双子」が猟兵の手で斃された為、暫くは新たなヴァンパイアが蘇ることはない。だが、今までに蘇ったヴァンパイアは皆存在を赦されている。

「私が予知した敵の名は『黒銀伯クリストフェル』。剣技と氷の術を操るヴァンパイアです」
 聞けば、彼女は強者の血を飲むことで自らを強化できるらしい。その為に強者と戦い、屈服させる。それを今の今まで延々と繰り返してきたのだ。
「彼女は他のヴァンパイアとは違い、娯楽の為に人殺しをしているわけではありません」
 すう、とリリアナは息を吸って、しっかりと前を見据えた。
「恐らく目的は……|猟兵《私達》」
 猟兵の名は、今のダークセイヴァーに広く知れ渡っている。「祈りの双子」を斃し、世界の崩壊を食い止めた英雄として。強者の血を何よりも望むクリストフェルの耳に入ったならば、彼女が猟兵を狙うのは当然だ。
「そこで、民を殺すことで私達猟兵を誘き寄せるという作戦を思いついたのでしょう。私達としても民が虐げられているのを見過ごす事は出来ませんから」
 彼女の声は少し怒気を孕んでいた。直接吹っ掛けて来れば良いものを、無関係な民を巻き込んで、挙げ句の果てに命を散らせた。それが、表には出ていないけれど――心底腹立たしかった。
「相手の策に乗るのは非常に遺憾なのですが……民の皆さんの命が最優先です」

 一度深呼吸をすると、少し間を置いてから再び冷静に話し始めた。
「もうすぐある村で敵の一団による虐殺が起きることを予知しました。まずはそれを阻止してください」
 ただ――と彼女は言葉を詰まらせた。
「その……虐殺を行う集団というのが……人間の少女だという予知もあって……」
 あまり殺して欲しくはない。そう目で訴えている。
「どうしても反抗するのなら、仕方はありませんが……」
 暫く沈黙が続く。また深呼吸してから話を続けた。
「それで、餌に釣られて来た猟兵と戦う為、クリストフェルも近くに来ているはずです。虐殺を大体阻止出来たら、彼女を捜して、斃してください」
 彼女の本拠地を探すところから始めなくて良いのは、不幸中の幸いといったところか。
「皆さん……クリストフェルによる虐殺を止めてください。どうか……」
 宜しくお願いします。か細い声で告げた。


雨野つくし
 本シナリオをご覧くださりありがとうございます。初シナリオ運営の雨野つくしです。

 村を虐げるヴァンパイアとの戦いです。まー酷い奴ですよね。ちょっとぶん殴りたいです。雨野はたぶん負けるけど。皆さんなら出来るのでボッコボコにしちゃってください!

 第1章は虐殺阻止!村にやってくる少女兵集団と対峙してください。ただ……やっぱり相手は命じられてやらされてるだけ、なんですよ。というわけで、虐殺を命じられ心が壊れそうな彼女達を救うような行動をした場合、プレイングボーナスとなります!

 第2章。あの領主との対決です。血を吸われない様に頑張ってください。血を吸われると相手が強化されるのでね。特にLVが高い方はご注意を。

 マスターページに書いてある通り、アドリブ・共闘は禁止だとプレイングにない限りやります(共闘は確率低いかも)。もちろんアドリブ・共闘が禁止だからといって採用されないなんてことはありませんのでご安心を。
 エロは止めてくださいね!?テレビで放映できる程度のエロなら大丈夫ですが。卑猥な意味の放送禁止用語があったら採用されないと思って頂ければ。

 プレイングは各章の断章が公開されてからとなります。

 というわけで、頑張ってくださいね!
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第1章 集団戦 『圧政者の娘たち』

POW   :    強制されし死の行軍
【逆らえぬ吶喊指示】で敵の間合いに踏み込み、【セミオートライフルの弾丸】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
SPD   :    恐怖は全てを塗り潰す
【吸血鬼の無慈悲な命令】によって【激しい恐怖】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
WIZ   :    所有物に救い無し
自身が【安堵や安心】を感じると、レベル×1体の【監視用の吸血蝙蝠や魔狼】が召喚される。監視用の吸血蝙蝠や魔狼は安堵や安心を与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:にこなす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ダークセイヴァーのある村で。無表情な少女達の行軍が止まった。

 少女達は皆隻眼だ。強引に連れ去られた上、反抗しないように、劣等感を植え付けるが為に右目を潰された。

 少女達の手にはライフル。人間を殺す事を定められ、繰り返してきた少女達。だが猟兵ならば、その苦しみの連鎖を断ち切れるかもしれない。

 生かすも殺すも猟兵次第だ。
御形・菘
はっはっは、相変わらずヴァンパイアは清々しいまでにやることがえげつないのう
そのワルっぷり、実によし!
ならば…仕掛けられた罠など真正面から食い破ってやるのが、妾という更なる巨悪の役目であろう?

はーはっはっは! 村を狙うというのなら、まずは妾をどーにかすることだ…できるものならな!
妾の左腕が届く範囲に踏み込めるものなら、やってみるがよい!
…もちろん、戦意喪失を狙った単なる脅しの演技だぞ? そこらの岩とか握り潰しながらだがな

散々圧を与えた上での吶喊など恐るるに足りん
弾丸は左腕で防ぎ…手を優しく掴んだら、怪我させんようにぺいっとな
はっはっは、踏み込みが足りんぞ! 戦意喪失するまで付き合ってやろう!



●邪神様がやって来た!

 震える少女達が、虐殺を始めようと村の入り口に差し掛かった時。

「はっはっは、相変わらずヴァンパイアは清々しいまでにやることがえげつないのう」
 彼女達の目の前にキマイラの国民的配信者系猟兵、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)が仁王立ち。少女達の主、クリストフェルのワルっぷりに感心している様子だ。だが、菘は更なる巨悪。仕掛けられた罠でさえも食い破って行く。それが彼女だ。

 彼女は高笑いを響かせると、少女の中の一人に訊いた。
「お主ら、村を襲いに来たのであるか?」
 少女が頷く。菘はその顔に勝ち気な笑みを浮かべた。
「まずは妾をどーにかすることだ……できるものならな!」
 彼女は左手でその辺にあった手頃な岩を軽々と持ち上げると、それを粉砕した。少女達の顔色が変わる。
「妾の左手が届く範囲に、来れるものなら来い!やってみろ!」

 少女達は互いに顔を合わせている。
「勿論、妾とて鬼ではない。反抗せずに大人しく付いてきてくれるというなら、お主等の事は見逃してやる」
 迷う少女達。何人かは武器を置こうとしている。その瞬間だった。
『戦え。私の命が聞けないのか?』
 彼女達の脳に主の声が響く。目が見開かれた。頭を押さえたり、蹲ったり……震えながら皆銃を取り、菘に向けた。
「い、嫌……殺される……!」
「ごめん……なさい……!」
 銃声が鳴り響く。少女達は叫びながら撃つ。罪悪感に苛まれ、主の恐怖に震え、平穏な日々など自分達には赦されていないのだ、そこにいる娘達はそう思っていた。
「ふぅん。そちらはそのつもりなのだな」
 菘には、一撃も入っていなかった。全て左手で受け止めている。
「お主達には散々圧を与えたからな。そんな中での攻撃など、恐るるに足りん」
 少女達は何発も何発も銃弾を浴びせる。だが全て防がれ、菘への有効打とはなっていない。彼女はそのまま少女達に近づき、一番近くにいた少女から銃を奪い、手を掴んだ。
「嫌……!」
 拒絶を示す少女だが、握られた手があまり痛くないことに気づく。優しく握られていた。
「……!」
 こんなに優しく手を握られたのはいつぶりだろうか。彼女の目に涙が浮かぶ。
「主のことは気にするな。妾達猟兵が、必ず斃してやるから」
 そっと少女に囁く。少女の涙が溢れ出した。
「やっと……救われる……」
「ぺいっとな」
 菘は少女の手を握ったまま、少し遠くに放り投げた。勿論怪我しない程度の勢いで、軟らかい地面に着地する様にしている。ちゃんと着地したのを見届けると、菘は他の少女達に向き直った。
「お主達!踏み込みが足りんぞ!お主達がこの戦いを止めたくなるまで付き合ってやろう!」
 未だに銃撃は続く。だが、少しづつ、彼女に手を握られ、救われていく少女達が増えていった。中には自分から彼女の手を握りに行く少女も出てきた。
『お前達!何をしている!早く戦え!』
 主の声も、もう聞こえなかった。聞こえたとしても、それに怯えることはない。

 菘の前にいた少女達はもう武器を捨て、皆が歓喜の涙を流していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブラミエ・トゥカーズ
吸血鬼らしく、茶会の席で迎える
準備は全て従者の仕事
優雅に血液入り紅茶を嗜んでいる

使い走り如きに余が直接動くのは優雅ではなかろう?
故に彼らに相手をさせよう。
余の愛しき怨敵共である。

騎士団は吸血鬼に汚染されていない村を護るために戦う
UCによる再現体であるため、罪悪感を軽減できるかもしれない
騎士団は蝙蝠や狼を優先的に駆除する
あれらが吸血鬼《病》の使い魔《感染源》ということを知っているから

騎士団は気付く、蝙蝠達を上手く誘導すればブラミエ《吸血鬼》に偶然を装って攻撃できることに
そのため、娘達に安心や安堵を与える様な行動をとり蝙蝠を沸かせる
吸血鬼を滅ぼす事こそ使命であるのだから

貴公等?
楽しそうであるな?


摩津崎・灰闢
この世界の酷い有様は知識としてありましたが
中々に外道ですねえ
いっそ殺して差し上げたい所ですが
生かせと懇願されましたし尽力しましょう

少女相手では殺気を出さず
真剣な【演技】で接します

少女の攻撃はWOKシールドで防御する一方
刀は出さず、戦う理由がないと主張
攻撃が止んだなら片膝をつき目線を合わせ、
これまでよく頑張りましたね
もう殺しをしなくても良いのです
君達が恐れる存在は私達が倒します
そう語り掛ける

監視が現れたら武器召喚&UC発動
以降の敵は監視のみ
刀と影業で少女達に近い敵を優先して攻撃
固まった敵には爆破の護符を投じる

少女達には、
ここを乗り越えれば自由が待っていますよ
と勇気付け、自身の身を守るよう促します



ふわりと揺れる黒髪、エメラルドの様な緑の瞳。御伽噺に出てきそうな麗人、ブラミエ・トゥカーズ(《妖怪》ヴァンパイア・f27968)は、従僕が引き出した椅子に腰掛ける。
「吸血鬼らしく、茶会の席で迎えるとしよう」
 従僕が紅茶をカップに淹れる。そして紅い血液を、ミルクを入れる様に注ぐ。紅茶がほんのり赤く染まった。

 彼女はそれを優雅に喫する。戦いに来たのではなく、お茶会に来ただけの様にも見える。実際、彼女に戦うつもりはないのだが。
「使い走り如きに余が直接動くのは優雅ではなかろう?」
 従僕が肯定する。さも当然かの様に受け取り、彼女は続ける。
「故に、彼らに相手をさせようと思う。余の愛しき|怨敵《騎士団》に」
 彼女の召喚する騎士団は吸血鬼に汚染されていない村を守る為に戦う。また、騎士団はユーベルコードによる再現体。少女達の罪悪感を軽減できるのではないかという彼女なりの優しさでもあった。
「騎士団は蝙蝠や狼を優先的に攻撃する。あれらが|吸血鬼《病》の|使い魔《感染源》であることを知っているからな」
 更に、騎士団はある事に――蝙蝠達を上手く誘導すれば、|ブラミエ《吸血鬼》に偶然を装って攻撃できる事に気付くだろうと彼女は予想する。
「彼らの使命は|妾《吸血鬼》を滅ぼすこと。そのついでに娘達を救えるというのなら上々だ」
 彼女は『|歪曲伝承・魔女狩りの灯《ユーベルコード》』を発動した。
「正義と恐怖の名の下に、魔女狩りを始めるが良い。汚れた敵は此処にいるぞ」

 丁度その頃、一人の男が村の入り口で、少女達の前に立ち塞がっていた。
(この世界の酷い有様は知識としてありましたが、中々に外道ですねぇ)
 魔津崎・灰闢(済度無相・f43898)は少女達を|救済《殺害》するために武器を召喚しようとする。が、その手は何も掴まなかった。
(いっそ殺してしまいたいのですが、生かせと懇願されましたし、尽力しましょう)
 少女達の様な幸薄そうな女性を殺す事に愉悦を覚える殺人鬼だが、今生は長くありたいと善い行いに勤しむ一面もある。
 彼は殺気を出さないようにしながら、少女達に近づく。彼女達のライフルから弾が撃ち出されるが、灰闢の左手に張り付いている盾、WOKシールドが展開され弾は当たらない。
「私とあなた方が戦う理由はありません。攻撃を止めていただけませんか」
 弾が当たらないことを恐れたのか、彼の言葉を素直に受け取ったのか、少女達の攻撃は止んだ。
 彼は少女達に更に近寄ると、片膝をついて視線を合わせた。彼は真剣に、【演技】をする。
「これまでよく頑張りましたね。もう殺しをしなくても良いのです。君達が恐れる存在は私達が倒します」
 そう、優しく語りかけた。少女達の驚く顔。彼の言葉に縋るように、その目から涙がぽろぽろと零れる。彼女等の心にあるのは【安心】。

 ブラミエの騎士団が到着した瞬間、少女達の周囲に大量の蝙蝠と魔狼が出現した。
「これが監視ですか……」
 以降の敵は監視のみ。灰闢は刀を召喚し、足元の影を武器化する。
『あなたは私の敵か味方か、どちらでしょうね』
 護符が散らばり、巨大な結界が張られる。結界内にいる全ての監視が苦しみだす。これが彼の『|五星結界符《ユーベルコード》』だ。

 少女達に近い敵は、灰闢の刀と影業で切り裂かれ、固まっている敵は爆破の護符で吹き飛ばされる。彼の攻撃が
届かない範囲の敵は、ブラミエの騎士団が放つ火矢に貫かれる。監視を殲滅しつつ、灰闢は監視の出現に恐怖を抱く少女達に呼びかける。
「ここを乗り越えれば自由が待っています。ご自分の身を守ることだけに集中して下さい」
 少女達は周囲の木陰にまとまって隠れたり、自分たちすらも襲おうとしてくる監視に反撃したりと、彼の指示通り動いている。
「さて、大詰めです」
 彼の刃が狼を切り裂き、蝙蝠の塊に触れた護符が爆発し、あっという間に監視の数が減っていく。

 一方、ブラミエの騎士団は監視達を追い込み、監視共々ブラミエの元に向かっていた。
 ブラミエがいる方を狙い、騎士団は火矢を放つ。監視も狙っているが、彼らの目的は只一つ、|吸血鬼《ブラミエ》である。
 彼女は火矢を華麗に避けると、騎士団の方を向いて、絵画の貴婦人のような微笑を浮かべた。
「貴公等?楽しそうであるな?」
 様々な思惑が入り混じった戦いではあったが、無事に終結した。少女達は長い苦しみから解放されたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「敵の目的がどうであっても
俺にとってはやっている事は変わりなく。
俺がする事もやはり変わらないか。」

村人を庇う様に立ちつつ
圧政者の娘たちに対して
「俺の敵は君達じゃない。
君達に望まない殺しを強いている者だ。
だから、君達の事を止めさせて貰う。」
と娘たちが引き金を引く前に
拘束する闇の黒鎖を発動して動きを封じ。
蝙蝠、魔狼が現れたらフレイムテイルから炎を放って焼き払いつつ。
「それでも、最後は自分で決めるしかない。
君達が絡みつく魔の手を振り払う事が出来たなら、
俺が必ずその呪いを断ち切ると約束しよう。」
村人の安全を第一に考えつつも
娘たちも救うために
自らの意思で領主からの決別、恐怖の克服を促す。



 少女達は黙々と進軍する。餌として、蹂躙する者として、裏切り者として、奴隷として。今まで蹂躙してきた者たちの怨嗟の声が頭の中に響き続けている。使い捨ての駒。その程度の価値でしかない。虚ろな目は、一つの村を見つめていた。

「敵の目的がどうであっても、俺にとってはやっている事は変わりない。俺がする事もやはり変わらないか」
 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)の視界には、少女軍団。人間ながらオブリビオンの手下として動く者たち。だが、彼は敵としてではなく、救済の対象として彼女達を見ている。
(彼女達を救い、領主を叩く。それだけだ)

 村の民は、少女達に怯えきっていた。不気味な程虚ろな目。最新鋭のライフル。その異質さは伝え聞いていた以上だった。
「行動、開始します……」
 少女の誰かがそう呟く。その声は余りにもか細い。
 銃口が民に向けられる。誰もが死を覚悟した。

「待て」
 男の声が響く。白いローブを纏った男、フォルクの声だ。彼は民を護る様に立ちはだかった。銃口が彼に向く。
「話を聞いてくれないか」
 銃口は尚も下がらない。が、攻撃も始まらない。彼は言葉を続ける。
「俺の敵は君達じゃない。君達に望まない殺しを強いている者だ」
 だから――と一呼吸置いて、はっきりと、彼女達に言い聞かせる様に述べる。
「君達の事を止めさせて貰う」
 少女達の指に力が入る。だが、それ以上指を動かすことができなかった。
 フォルクの指先から伸びる影の鎖が、少女達の魂を縛り付けていたのだから。
 彼は少女達に近づくと、その手からライフルを優しくもぎ取った。
「こんな|武器《モノ》、もう必要ないんだ」
 君も、君も――と少女達の武器をそっと優しく奪っていく。
 武器を失った少女達は、抵抗するでも歓喜するでもなく、ただフォルクを見つめていた。
「あ、あ……」
 もう怖がらなくていい。怯えなくていい。|彼《フォルク》が助けてくれる。渇望していた自由が、やっと手に入る……彼女達は【安堵】した。

「……え?」
 大量の蝙蝠、大量の魔狼。それは彼女を囲み、唸り、叫ぶ。
「い、嫌……やめて……」
 フォルクも直ぐに異常に気付いた。
(吸血鬼の眷属なら、火が効くはずだ)
 黒手袋から炎が放たれる。その炎は眷属達を燃やし尽くす。それでも眷属は次々と現れ、パニックを起こした少女が当初の任務を遂行すべく、銃に手を伸ばしていた。
(村人の安全が第一だ。まず彼らを避難させなければ)
 眷属を殲滅しつつ、民を誘導する。周囲に民がいないことを確認して、彼は攻勢を強めた。同時に、少女達に語りかける。
「俺は君達を解放したい。その為に今戦っている。それでも、最後は君達自身が決めるしかないんだ。君達が絡みつく魔の手を振り払う事が出来たなら、俺が必ずその呪いを断ち切ると約束しよう」
 大量の眷属に対して一歩も退かないその強さ。彼女達が自らの運命を託すのに十分だった。
「わたしは……自由になりたい!!」
 そう叫び、銃を手に取る少女。その銃口は蝙蝠に向けられた。発射された弾は見事蝙蝠に命中した。ふらふらと墜ちる蝙蝠を、フォルクの炎が焼き尽くす。
 少女達は次々と立ち上がり、フォルクを援護する。目に光が灯る。恐怖に打ち克ち、自らの意思で主人に反抗する姿に、もう昔の空虚はなかった。

 戦いが終わりを迎えたとき、少女達は一人の人間として、自分の足で立っていた。フォルクに少女達からの感謝の言葉が絶えなかったのは、言うまでもない。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『黒銀伯クリストフェル』

POW   :    凍てつく斬撃
自身が装備する【黒銀のレイピア】から【冷気を纏う斬撃】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【氷結】の状態異常を与える。
SPD   :    鮮血の宴
全身を【自身の魔力】で覆い、自身の【吸った血の量】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    求めるは強者の血
【吸血の牙】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【血の味】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。

イラスト:よる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠マナセ・ブランチフラワーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ひんやりとした空気が肌に刺さる。それは黒銀伯の力のせいか、それとも緊迫感からくるものか。自分勝手な願いで数多の領民を苦しめた黒銀伯。今こそ正義の名の下に、鉄槌を下す時。

されど、黒銀伯とて強き者。警戒を怠らず、相手に強化の隙を与えないことが肝要だ。
「強き猟兵よ。私の贄となり、その力を全て私に捧げよ」
流れる血は民のものか、それとも悪の領主か。

―――――――――――――――
《マスターより》
オープニングにて世界設定と異なる箇所を発見しました。訂正を行いますので、その部分は無視でお願いします。
 また、それでもプレイングを送って頂いた皆様、ありがとうございます。また送って下さると嬉しいです。(勿論途中参加も大歓迎です!)
御形・菘
いや~、実に外道で結構! ヴァンパイアとはかくあるべし!
もちろん気は抜かんよ、策を巡らすタイプが実は本人がちゃんと強いことはよくあるからのう
最強の手で応えるとしよう!

右手を上げ、指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーはっはっは! 今日も元気かのう皆の衆よ!
此度バトる相手はヴァンパイア! イロモノではなくマジのやつだ!
さあ、盛大なる応援を妾に浴びせてくれ!

てなわけで、まあバトる中で妾の血を吸うのは好きにせい
そらもう激レア素材だし、強くなるのは確定だぞ
だが! 今この瞬間、星の数より多い歓喜、歓声、喝采を背負い、アゲきった妾の方が強いのは必然の理!
邪神の左腕の一撃で、エモく盛大にブッ飛ぶがよい!



クリストフェルが放つ凍てつく空気の中、あの方が現れる!
「いや~、実に外道で結構! ヴァンパイアとは、かくあるべし!」
国民的配信者系猟兵、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)!
 少女達をあの脅威的な握手力で救い、その足で諸悪の根源、クリストフェルの元へ向かっていたのだ。
 彼女は豪快な笑顔で、足取りで歩く。一歩一歩強く強く、地面を踏みしめる。その姿は、少女達に鬼畜の所業を行ったクリストフェルへの怒りを抑えているようにも見える。
 スーパー配信者たる彼女が、それを表すことはないが。

「お主がクリストフェルとかいう奴か。中々なワルだ。それは賞賛に値する、だが妾は更なる巨悪ぞ?お主に妾が倒せるかな?」
 クリストフェルは嘲笑っている。
「悪?何を言っているのか分からんな」
「お主、至る所で虐殺を繰り返していたそうではないか。十分悪だと言えると思うが?」
「何故弱く愚鈍な人間共に情けをかけてやらねばならないのだ」
 菘は顎に手をかけ、相手をじっくりと観察する。相手は、苦しんでいる者がいるところに猟兵が現れることを利用し、少女達を餌にして誘い出すなど策を巡らすのに長けている。だが、それだけではないことは菘も勘づいていた。だからこそ。彼女は最強の手でそれに応える。
「ふっふっふ。さあ、妾の配信を始めるぞ!」
 右手を挙げ、指を鳴らす。
「スクリーン、カモン!」
 彼女の背後に幾つもののスクリーンが現れた。突拍子もないこの行動に、流石のクリストフェルも狼狽えている。
「何をしているんだ……?」
 菘は、何と敵に背を向け、スクリーンに映る人々にファンサしている。
「はーはっはっは!今日も元気かのう?皆の衆よ!電撃生配信、『妾がいろんな世界で怪人どもをボコってみた』始めるぞー!」
 スクリーンから歓声が上がる。一つ一つに視線を合わせ、時々ウィンク。その度に歓声がまた上がる。クリストフェルは、怪人呼ばわりされたことが気に食わないのか、口を開き牙を、その闘志を滾らせている。
「どーどー、あまり怒るでないぞ。まだ配信は始まったばかりであるからな?それはさておき、妾が此度バトる相手はこのヴァンパイア!イロモノではなくマジのヤツだ!」
 大丈夫?頑張って!など次々とコメントが書き込まれていく。
「ありがたい、皆の衆。ちゅーわけで、この調子で妾に盛大なる応援を浴びせてくれ!」
 割れるような大歓声。菘の体に力がみなぎってくる。
「待たせたな、クリストフェル。バトルを始めようぞ!」
 唸るクリストフェル。吸血すべく、肉薄する。菘の首筋に噛み付いた。だが彼女はそれを払おうともしない。
「妾の血を吸うのは好きにせい。妾の血はそらもう激レア素材だし、ずっと強くなれるのは確定だぞ」
 クリストフェルの口角が上がる。猟兵と云えど愚かなのは民と同じか……本音が目に見えるようだ。
 完全に油断しきっているクリストフェル。更に多くの血を吸おうと牙を更に深く刺した時だった。菘の左手が、クリストフェルの後頭部をがしりと掴んだ。
「だが、忘れてはならんぞ。今この瞬間、空に輝く星達よりも多い歓声が、歓喜が、喝采が、妾の背中を押してくれているのだ!」
 そのまま顔の前まで持ち上げると、勝ちを宣言するかのように強く発した。
「今の妾は最強無敵!アゲきった妾の方が強いのは当然の理!」
 クリストフェルを放し、思いっきり左手を叩きつける!
「ブッ飛べ!!」
 クリストフェルはエモく、盛大に、演出とも思えるほど滑稽に、吹き飛んだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブラミエ・トゥカーズ
壊れた茶席に座りひび割れたティーカップで紅茶を飲んでいる
ちょっと焦げ臭い
余だけ娘達から感謝されぬのだが?
当然だろ、と日雇い従者が呆れる

はじめまして異界の同類。
貴公の使い走りはいなくなったぞ?

正面から立ち会う
見た目だけ優雅な力任せな剣技
傷つけられたら盛大に血をまき散らす

吸血された場合は、敵の牙を基点に病に感染させる
自身に対して吸血を続けさせ、飢えと渇きで狂い死にさせる

余の血は不味かろう?
なにせ余は最も弱き生き物の一つであるからな。
だが、貴公は余を殺し尽くすことが出来るかな?

人に似た形に封じ込まれただけのウイルスの群体
所詮は正義も邪悪も知ったふりをしているだけの最下等の生き物である



 貴き吸血鬼、ブラミエ・トゥカーズ(《妖怪》ヴァンパイア・f27968)は、騎士たちに襲撃されたせいで壊れた椅子に座り、天板が半分くらい割れたテーブルに置いてある、今にも砕けそうなティーカップでティータイムの続きを楽しんでいた。これには従僕も呆れ顔だ。
「ん……この紅茶少し焦げ臭いな」
 あれだけ騎士に火矢を放たれたのだ。むしろ茶葉が残っているだけ奇跡だろう。なんとか茶葉だけは守り抜いた従僕が、先程の大乱闘を思い出し苦笑を浮かべた。もうあんなの御免だ、と表情で訴えている。
 騎士と死闘を繰り広げていたブラミエは、従僕の悲嘆など気にもとめていない。それよりも、彼女には大きな不満があった。
「聞け。余だけ娘達から感謝されぬのだが?余もあ奴らを助けるのに一役買ったというのに」
 従僕は何も言わない。その代わり、当然だろ、とでも言いたげな目をしている。
「ああ、なんだか腹が立つ。腹いせに、黒銀伯とやらを斃しに行くとしよう。少しは気も晴れるだろう」

 吸血鬼の前で、恭しく礼をする吸血鬼。
「はじめまして異界の同類。貴公の使い走りはいなくなったぞ?……全て自由の身となってな」
 相手に向き合い、相手の不審な挙動を見逃すまいと集中する。
 クリストフェルの手に僅かに力が入る。攻撃が来る。剣の連撃と鋭い氷が浴びせられる。それをふわふわと華麗に躱す。
「貴公の攻撃は見た目こそ優雅であるが、品性の欠片もないな。力任せで野蛮な剣だ」
「ではその野蛮な剣で、引導を渡してあげようではないか」
 クリストフェルの剣が、ブラミエを切り裂く。紅い血が舞い散り、辺りを染め上げていく。
「思ったより楽しめなかったな。猟兵であるからその血は私をより強くしてくれるだろうが」
 とどめとして、クリストフェルは吸血の牙をブラミエの腕に刺す。ブラミエの血が吸われていく。このまま全ての血が吸い尽くされてしまうようにも思えた。

 突然、クリストフェルの動きが止まる。何かに気付いたような表情で、牙を抜いた。
「なぜ、血を吸ったというのに……こうも飢えを感じるのか!?」
「余の血は不味かろう?」
 ブラミエが微笑を浮かべる。
「何せ余は最も弱き生き物の一つであるからな」
 そう。彼女は吸血鬼である以前に、病原体であるのだ。血を吸えばその病原体が伝染するのは当たり前。
「だが、最も弱き生き物である余を、貴公は殺し尽くすことができるかな?」
 彼女は人に似た形に封じ込まれたウイルスの群体でしかない。所詮は正義も邪悪も知ったふりをしているだけの、最下等の生き物である。
「自ら攻撃を喰らったのか……?正気とは思えない」
「正気でないことは重々承知だ。それでも、貴公に勝てる。知能を持つ存在にとっては余の姿は吸血鬼そのものであるからな。誰も病の具現だと思うまい」

 それでも、その毒は時に自身より巨大な生物を死に至らしめることもある。
 ブラミエとクリストフェル。勝利はどちらのものか、語るまでもないだろう。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

摩津崎・灰闢
少女達が解放されたようで良かったです
…ええ、本心から良かったと思っていますよ?

敵は強者、動きが不明な状況での先手は避けたい所
それに吸血もされたくありませんしね
私の血は美味しくありませんよ?

まずは相手の動きを知るため防御と回避に徹する
UC発動
刀を構え、感覚を研ぎ澄ませて敵殺気を感じ取り
殺気の濃淡で攻撃タイミングを測る
贄を求め貪ろうとする欲、その殺気はさぞ察し易いでしょう

レイピアならば点の攻撃の筈…
ならばWOKシールドで受け、
敵挙動を予測し回避方向を封じる形で影業にて捕縛
隙が出来た瞬間に刀で撫で斬りして深傷を与えます
さあ、血を流して貰いましょうか

誘い出されたのは貴方と私、果たしてどちらでしょうね?



 魔津崎・灰闢(済度無相・f43898)はその形の良い目を細めた。
「とにかく、少女達が解放されて良かったです」
 これもちゃんと本心である。死を救済と見做してはいるものの、まあ救われたのなら生きていようが構わないのだろう。
「それでは、目の前の吸血鬼さんを全霊をもって葬るとしましょう」

 まだクリストフェルとは刃を交わしていない。強者であることはその佇まいや視線の動きなどでおおよそ推測できるが、どのように攻撃してくるかは未知数だ。それに、あまり血を吸われたくない。単純に痛いし、相手がより強くなるのも厄介だ。とにかく、先手は避けておくべきだろう。
「吸血鬼さん、私の血は美味しくありませんよ?」
「味の良し悪しは関係ない。たとえ不味かろうがそれが私を強くさせるのならば啜るだけだ」
 これは吸いに来るつもりだと直感的に理解する。動作の観察も含め、まずは防御に徹するべきだと判断した。

 刀を構える。ひたすらに感覚を研ぎ澄ませる。敵の殺気の変化、濃淡から、攻撃タイミングを測るという、人間離れした業を自在に扱い、剣戟を全て、軽やかに躱す。
「!逃げられた!……くっ!」
 歯噛みするクリストフェル。自身の自慢の剣技を見事避けられたのが堪えたようだ。
「貴方の場合、欲が強すぎるのです。贄を求め貪ろうとする欲……その殺気は非常に察しやすい」
 彼女は血走った目で灰闢を睨む。彼は軽く受け流すと、眼前に迫ったレイピアをWOKシールドで受けた。
「レイピアの様な点の攻撃は、WOKシールドの格好の相手なのですよ」
 再び感覚を研ぎ澄ませる。敵の挙動を完全に予測した。
「なんだ、この黒い物は……!」
 クリストフェルが回避しようとした先には、灰闢の影業が待ち構えていた。もう逃げられるところはない。
「その隙は、見逃しませんよ」
 煌めく刃がクリストフェルの胴に深く食い込む。
「貴方が溜め込んだ強者の血、全て流して貰いましょうか」
「こ、こんなはずでは……」
 灰闢はにっこりと笑った。その瞳にはどこか冷徹さも見える。
「貴方は少女達を餌にして私達を誘い出した……いや、誘い出そうとした。私達だってそれが罠であることくらい分かります」
 瞳の冷徹さは消え、代わりに愉悦が現れた。
「何故私達が貴方の罠に自らかかったか、お分かりですか?貴方を討ち取るためですよ。私達が目的ならば、そう遠くないところで待ち伏せているのは簡単に予測できますのでね」

「誘い出されたのは、貴方と私、果たしてどちらでしょうね?」
 剣を抜く。血が舞い散る。クリストフェルは地面に倒れ伏した。
「策を巡らす頭脳はあった様ですが、相手の実力を見誤った。敗因はまさしくそれでしょうね」
 相手の実力を測るために防御に徹するという概念は、クリストフェルには持ち得なかった物だろう。防御に徹することで得られる勝利もあると、灰闢は強く感じたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「吸血で力を高めているようだが。
俺の血はやめておいた方がいいいな。
強くはないし、俺はダンピールという半端者。
腹を壊すのが落ちだ。」
と牽制しつつ動きを注視して距離を確保。
ファントムレギオンの死霊を纏って身を守りつつ
敵の動きを【見切り】、接近を防ぐ様に
呪装銃「カオスエンペラー」で銃撃。
敵が其方に気を取られている内に【高速詠唱】で
永劫獄牢血を発動。
吸血を警戒する事で血自体が罠である事を隠し
戦いの中で自然に吸血攻撃を受け
吸血されたら。
「望み通り強くなれたか?
それとも化かし合いは不得手だったか。黒銀伯。
もう聞こえてはいないだろうが。」
最後まで油断せず敵の喉を掴み
フレイムテイルの炎を【全力魔法】で放つ。



 クリストフェルが発する氷の霧の中、紛れるような白いローブがふわりと揺れた。

 貪欲さを表すように、クリストフェルは血の垂れる牙を剥き出している。
 その姿を捉えたフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は、小さく息を吐いた。
「吸血で力を高めているようだが。俺の血はやめておいた方がいいと思うぞ。俺は大して強くないし、ダンピールという半端者。腹を壊すのが落ちだ。」
 腹を壊す、の部分に特に力を入れる。誰だって、人間でなくたって自分の健康が損なわれるのは不快だ。クリストフェルも一瞬思考したようだった。彼の牽制は成功したと言える。
 その間にもクリストフェルとの距離をとり、|死霊の鎧(ファントムレギオン)を纏った。
 互いに、戦闘態勢に入る。

 先に動いたのはクリストフェルだった。地面を蹴る僅かな音。クリストフェルの剣が突き出される。
 だがそれがフォルクに届くことはなかった。動きを注視し、僅かな動きから次の大きな動きを予測。完全に見切っていた。
 大きく後ろに跳び、その手に呪装銃『カオスエンペラー』を構えた。引き金が引かれると、クリストフェル目掛けて死霊達が次々と向かっていく。
「死霊如きが……!」
「腐ってもヴァンパイアか。そう簡単に決定打は叩き込めないな」
 死霊を振り払ったクリストフェルが再び接近してくる。牙を避け、剣を避け、死霊を召喚し、打ち込む。
 特に牙の攻撃に対して、彼は過剰と言えるほど敏感に反応した。牙の攻撃が来ると予測した途端、回避に集中するため死霊の顕現を止める程だった。
 更にクリストフェルの目が赤く染まり、口角がにいっと上がる。吸血をこれ程まで恐れているのだ、その血はさぞ素晴らしいに違いない、と興奮しているようだ。もう彼女は初めのフォルクの牽制など意にも介していないだろう。
「くっ!」
 フォルクの脚にクリストフェルの牙が刺さった。血は一滴も垂れることなく吸い込まれていく。

「あああっ!」
 呻く声。白い指が地面に食い込む。ぱさりと落ちる黒い髪。クリストフェルが倒れ込んだのだ。
「望み通り強くなれたか?黒銀伯」
 フォルクが上から覗き込む。その表情はローブの影になっており、窺うことは出来ない。
「それとも化かし合いは不得手だったか?」
 今、クリストフェルの知覚は過去に受けた苦痛に支配されている。フォルクのユーベルコード、『永劫獄牢血』によって。
 彼がクリストフェルと激しい戦いを繰り広げていたあの時、休みなく顕現され続ける死霊にクリストフェルが気を取られた一瞬。尋常ではない早さで自らの血を変質させたのだ。更に吸血攻撃を警戒する素振りを見せることでその罠を隠し通した。
「ぐうう、ああっ!あああ!」
「もう聞こえてはいないだろうが」

 ほぼ戦闘不能に陥っているとはいえまだ油断は禁物。フォルクは黒銀伯の喉を掴んだ。手から炎が現れる。
「人間への非道な行い、地獄で懺悔しろ」
 彼は自身の全てを注いだ炎の一撃を、クリストフェルに放った。

 戦争においては事前の計画こそ要となるが、いざ戦場においては状況に応じて頭を回転させ策を弄すのが肝要だ。フォルクはこの点において大いに勝り、見事クリストフェルとの戦いを制したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年01月25日


挿絵イラスト