気が合い過ぎるプレゼントたち
●プレゼント
贈り物というのは、いつだって相手のことを思いやるからこそ尊い。
ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)は、クリスマス前の決戦都市の雰囲気に心がスキップするのを感じただろう。
冬の寒さは厳しいものがあるけれど、イベントが目白押しだ。
楽しいことがいっぱいなのは、嬉しいことだ。
だからこそ、誰かを思う。
誰かとは親しい人だ。ソニアにとっては、普段からお世話になっている雨河・知香(白熊ウィッチドクター・f40900)を思い浮かべるものだった。
白熊の獣人型ウェアライダー。
白くてもこもこしていて、ふんわりしている知香。
彼女のことを思えば、どんなプレゼントが喜ばれるかなと考えてしまう。
「真面目なんだよなぁ……なんだろ。何がいいのかな」
ソニアは悩みながら街中を歩く。
湾岸の決戦都市では、時折だが空を決戦配備の自律人型戦術兵器『セラフィム』が飛んでいる。
それを見てソニアは閃いた。
「それで、私の所に来た、と」
「そう! 相談したいって思って!」
ソニアは直ぐ様に湾岸の決戦都市の責任者である亜麻色の髪の女性『エイル』博士の元にやってきていた。
空を飛ぶ『セラフィム』を見て、知香なら『セラフィム』の歴史だったり開発秘話を纏めたものなんかが喜ばれると思ったのだ。
「いや、君ぃ。一応、あれ決戦配備の兵器なんだよ? おいそれ資料を渡せるわけ無いだろう?」
「でも」
「う……」
ソニアの言葉と態度に無下に断ることができなくなってしまった『エイル』博士は息を吐き出す。
「わかった。わかったから。『セラフィム』の模型なんかはどうだい。それなら、私の所にもあるし。持って行く問」
「……えっ、プラモデルなんてあるの?」
「あるよ。言っちゃなんだが人気はない」
「こんなにかっこいいのにねー」
「わかるかい」
「うん、こういうの好きーロマンだよね!」
ソニアはそう言って『エイル』博士から貰ったプラモデルを抱えてホクホクした顔でラッピングを施す。
「そう言えば、『プラクト』っていうのがアスリートアースでもあったよね……あ、そうだ――!」
●交換会
「あの、これでいいのですか?」
グリモア猟兵のナイアルテの言葉に知香は勿論と頷いた。
彼女が不安そうな顔をしているのは、彼女自身も誰かにプレゼントを贈るという経験に乏しかったからだろう。
プレゼントをしてもらうことも、贈ることも、どれもが経験則だ。
贈り慣れていなければ、贈ることもまた慣れない。
そうしたコミュニケーションを経験していないのならば、やはり不得手のままなのだろう。
それは知香にとっても当てはまることだったのかもしれない。
「ああ。あの子が喜びそうなものっていうのが、いまいちわからなくて。助かったよ」
「『セラフィム』のプラモデルでよかったのでしょうか? ケルベロスディバイド世界ではあまり人気がない、と……」
「大丈夫。あの子はそういうのを気にしないよ」
ソニアも興味を持っていたようだし、と知香は笑む。
「それにしても、妙に頑丈な作りに見えるのはなんでなんだろうね?」
「子供が扱うにはプラモデルは華奢が過ぎます。すぐに壊れてしまうかもしれませんし。きっと耐久性というものに重きをおいているのでしょう」
そういうものかね? と知香は首を傾げる。
ともあれ、とプレゼントが決まったことは喜ばしいことだ。
ソニアが喜ぶ顔が自然と思い浮かぶようだった。
ここまでくればわかるだろう。
ソニアと知香は、互いに同じ品物をプレゼントに選んでいた。
故にプレゼント交換する際に、同じプラモデルが二個重なることになってしまったのだ。
きっと二人はしょんぼり……はしなかっただろう。
「なんだい、アンタもかい?」
「えー! びっくり!」
二人は互いのプレゼントを指差し笑うだろう。
互いを思うが故に、考えることは同じ。経緯が異なっても、至る結論もまた同じだったのだ。
「いやしかし、本当に気が合うようだね、アタシたちは」
「本当だよー!」
二人はそう笑い合ってクリスマスの夜を過ごすだろう。
そして、期せずして手に入れた『セラフィム』のプラモデル。
ソニアはこれをどうしようかと悩んだが、あ! と思いついたのだ。
折角だから、アスリートアースの未公式競技『プラクト』に使用できるようにしてみよう、と。
そして、時は流れ年始。
彼女は怪獣王のプラモデルの内部に、今回手に入れた『セラフィム』を骨組みとして組み込み、パージすることで怪獣王モードから人型モードである『セラフィム』へと移行する手段を思いついたのだった――。
――――
アイテム名:熾天怪獣王(サイキックキャバリア)
アイテム説明:外皮の内側にケルベロスディバイドの『セラフィム』模型を骨格として仕込んでいる。
――――
(アイテム分類は他のものでもいいと思いました。取り急ぎ、アイテム名とアイテム説明です)
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴