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寒空キャンプ

#アスリートアース #戦後 #キャンプ

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#アスリートアース
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#戦後
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#キャンプ


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●新たな気持ちで
「……キャンプ、行く?」

●ひたすらに寒いけれど
 グリモアベース──今はアスリートアースのちょっとしたカフェに形を変えたその場所で、リコ・ノーシェ(幸福至上・f39030)はほんのりと笑ってみせた。
「うん。……寒い、よ」
 なにせ冬のど真ん中。
 なにせ遠くの山には雪冠。
 キャンプ地に雪がないのはまだ幸いだが、キャンプという特性上、凍てるほど冷たい小川が傍を流れている。
 だが、ここはアスリートアースの中でも初心者向けキャンプ場だ。
 |飯盒炊爨《はんごうすいさん》の材料や機材は一式揃っているし、火はユーベルコードで点けたっていい。
 なによりキッチンカーが少し離れたところに何台も停まってくれていて、串焼きの肉やらクレープやら温かい飲み物なにやら、欲しいひとは買い求めることができる。
「自然の中で、ただまったりしたい、ってひとにも、いい、よ。……寒いのは、寒い、けど」
 つまり防寒具だけは必ず忘れずに用意をして来なくてはならないということだ。
 もちろんキャンプだ。イチから木を擦って火を起こしバーベキューだ! という心意気は歓迎される。

「夜は、まぁ。好きなら焚き火……きゃんぷふぁいあ? って、言うんだ、っけ? そう言うのしても、いい、し。星を見てもいい、し。寝袋の中で、お話するのも、楽しいかも、な」
 昼の間だけ、あるいは夜の間だけの参加は当然自由だ。
 リコは傍らの『|夜《デモン》』を軽く撫でて、集まってくれた猟兵たちへともう一度微笑んだ。
「敵は、居ない。ただの、息抜き。それでも……願わくば、どうか幸せなエンディングを」


朱凪
 目に留めてくださり、ありがとうございます。
 もはや文字通り。朱凪です。

 プレイング募集についてはタグにてお知らせします。
 👑と執筆速度・参加者人数によっては、返戻が発生する可能性があります。
 ご注意ください。

 朱凪のグリモア猟兵については『2章(夜部分)のみ』、名指しでお誘いがあれば参加します。

 それでは、冷たく澄んだ空気の中で気持ち新たに遊ぶプレイング、お待ちしてます♪
201




第1章 日常 『キャンプめしを食べよう!』

POW   :    出来立てを沢山美味しく食べる

SPD   :    現地で何らかの食材を調達してくる

WIZ   :    キャンプならではの調理法に挑戦する

イラスト:真夜中二時過ぎ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●まずは明るいうちに
 テントってどうやるの。ねぇ、薪割れないんだけど。肉が! 肉が火の中に落ちた!
 初心者らしい声があちこちから聞こえる中、優雅にターフの下で湯気立つマグカップを片手に、文庫本を読む姿もある。
「串焼き一本くださいな。え? 塩胡椒とタレと……カレー味もあるの?」
 敢えて冷えた川に缶ジュースを曝している者もあれば、爆ぜる炭火に買った川魚の串をあてる者もあり、巨大な金網にバーベキューを楽しむ者もあった。
 少々難易度は上がるが、ウグイと呼ばれる川魚は釣りで狙うこともできる。
 かじかむ指先さえ対策すれば、絵を描いたりして過ごすことだってできるだろうし、写真を撮りに少しくらいなら道を外れたっていい。
 なにか大きな目玉になるようなものがある場所ではない。純粋にキャンプを楽しむための場所だ。
「あっ、クレープくーださいっ! えっとねぇ、いちごカスタードにプリントッピングの、いちごと生クリームマシマシで! 映えるからカラフルスプレーも!」
 ……誰がなんと言おうと、純粋にキャンプを楽しむための場所だ。
 誰かに迷惑をかけなければ、なにをしたっていい。楽しむことが唯一のルールだ。
 
ガスパール・アーデルハイド
アスリートアース…という世界は
初めて聞いた名前だな
野営には少し慣れてるけど
キャンプ場という場所は初めて足を運ぶところ
ミミズクの友アデルと一緒に
あらたな気持ちを楽しもうと想って

普段暮らすA&W世界とはまた違う
自然の中をまったり眺めて歩いてもみたり
…は!キャンプというのをするのだったな
寝床つくるのは問題ないが…
狼の鼻をくすぐる香りにも興味がいって
キッチンカー…ふむ、
珍しい味付けの串焼き肉を食べるのもいいな
クレープ…甘いも塩っぱいもあるのが
なんだか楽しそうにも思えて
食べきれる分だけ買ったら
星空を眺める前の夕食や夜食代わりにでも

どこの世界であっても眺める星のうつくしさを
感じられるのは良い事だな、なんて



●一歩
 賑やかな喧騒に、灰色の狼の耳が揺れる。
 アスリートアース、キャンプ場。どちらもガスパール・アーデルハイド(護森狼・f44874)にとっては初めて足を踏み入れる場所だった。
 野営には少しの経験があるけれど、こうして自然の中で過ごし、楽しむことを目的として整えられた場所は彼にとって珍しくて。
「見てくれ、アデル。あれも初めて見る鳥だ」
 肩に寄り添うミミズクの友に声を掛けながら、ゆるりと歩を進めていく。世界が変わると異なる生態系、世界が違っても同じように見える理、そのどれもがガスパールにとって興味深かった。
「……は! そう言えば『キャンプ』というのをするのだったな」
 寝床作り自体はまるで問題ない。アデルと協力しながらてきぱきと借りたテントを張り、色とりどりの毛布を敷き詰めた。
 寝袋、というものも気にはなったが、有事の際に素早く動くことが難しそうに思えてやめておいた。
「……こういうものに詳しいひとと共にまた来られたらいいな」
 ガスパールの呟きに、アデルも大きく翼を広げて同意を返す。
 それはふたりにとって悔恨ではなく、次への期待だ。
 テントを抜け出した狼の鼻をくすぐったのは、肉の香りだった。あまり慣れないそれもある。
「キッチンカー……」
 聞き齧った言葉を反芻し、ガスパールはその車に近付いた。照りの美しいタレやら妙に鼻を刺激する香りの串に好奇心が躍る。
「もし変わり種が欲しければスイートチリソースとかケバブ風ミックススパイスもあるよ!」
「ふむ、」
 キッチンカーの店員が並べ立てる言葉は彼にとってまるで呪文のようだったけれど。
「ではそれと、これと、塩味の分と……素焼きをひとつ、お願いできるだろうか」
「素焼き? ああ、なるほど! ちょっと待ってね」
 言葉通りに少し待つ間、隣のキッチンカーを覗けばクレープのメニューがずらりと並んでいた。
 こちらもあまりガスパールに馴染みはないけれど、小麦の焼ける香りが芳ばしい。
「果物だけではないのか……」
 ソーセージにカットされたハンバーグ、スモークサーモンまである。甘いものだけでなく|塩《しょ》っぱいものもあるのは、見ているだけでも楽しくなる。
「串焼き待ち? クレープもいかが?」
「あ、ああ。でも食べ切れるか……」
「おかず系とかバターシュガーなら、アルミホイルに包んであげますよ! 時間が経っても焚き火の傍に置いておいたらまた美味しく食べられます!」
「な、なるほど」
 ぐいぐいと推してくる店員の圧を感じつつも、彼もあらたな気持ちを楽しむつもりで来ているのだ。星空を眺める前の夕食や夜食の代わりにでもなればいい。
 ひとつ肯くとガスパールはクレープをいくつか、そして焼き上がった串焼きを受け取って設営したテントに戻った。
 折れた丸太に腰を下ろし、どこまでも澄んだ冬の空を見上げて、素焼きの肉をアデルと分け合う。
「この分なら、夜の星も綺麗に見えそうだ」
──どこの世界であっても眺める星のうつくしさを感じられるのは良い事だな。
 なんて。
 ぴりりと舌を刺激する肉を噛み締めながら、ガスパールは期待に口角を緩めた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルシエラ・アクアリンド
【風雪】

純粋なキャンプは10年位前かなあ?
似たような事は割と頻繁にやっていたけど当時は栄養第一だったし
マスカレイド絡みだったりで…どちらかと言えばサバイバル?

シエラやセラは初めてだし
リヴィもライも今回は純粋に楽しもうね

本格的な寒さ対策用品やら夜用ランタンやら用意済
私は寒さには耐性ある方だけど彼はそうでは無いみたいだから
マフラーで首から風が入らない様に整える
何と言われようと「だぁめ」で却下
毛布も手渡しておく



殆どの荷物を運んでくれたのには感謝
こういう時男手があると楽なのもキャンプならではだよね
勿論普段も感謝しているけれども

彼が釣りが出来る事に感嘆し
相変わらず水浴び好きなセラに気を付けてねと言い
頼りになるライに後はお願い
うちのお転婆さんも多分途中から遊びに参加するだろうし

定番のカレーを作り
後は夜用の飲み物の準備を考え
視線を感じ嬉しそうに笑う顔にどうしたのと問えば
答えにそういえばと。
何時でもリクエストに応えるよ?

遠い遠い昔ケーキを分けてあげた時の弟の
懐かしくもあどけない笑顔が重なる笑顔が返された


リヴィ・ローランザルツ
【風雪】

フィールドワークにはよく出かけるが
確り用意してのキャンプといえば俺も久しぶり
折角だから後から星空を堪能するべく星関連の本を用意

…何時にもまして楽しそうな姉さん事ルシエラさんの
下手したら俺より年下の少女の様な振る舞いに
そういえばこういう人だったと思いなおす


何事にも全力なのが伝わる荷物は流石に俺が持つし
巻き割り等危なさげな作業も此方で受け持つ
水辺へ一直線なセラを見送っているとマフラーがふわり
何か思えば寒さ対策らしい
そういえば以前云ったことがあったけど覚えてくれていたのか
自分でやると伝えるがあっさり却下されされるがまま
人にやって貰うのは養母以来で懐かしい

彼女にとって俺は身長差があっても年下認識が強いらしく懐かしくもくすぐったい

川辺で釣りを行い焼き魚に
真直ぐ誉めて貰えると流石に少し照れる

食事を作って貰うのは初めてで
美味しさと嬉しさが顔が出ているのが自分でも分かったけど
優しい笑顔と共に嬉しい言葉が更に聞けて
自然と「是非お願いしたいです」という言葉が出る

多分顔にも出てしまっているのだろうなあ



●歩み直す
 冷たい風を胸に吸い込んで、ルシエラ・アクアリンド(蒼穹・f38959)は空を泳ぐ蒼い鷹を見上げ、それから背後についてきてくれた姿へ振り返る。
「純粋なキャンプは十年振りくらいかなぁ? リヴィはどう?」
「そうですね、俺も……フィールドワークにはよく出かけてますが、確り用意してのキャンプは久しぶりです」
 リヴィ・ローランザルツ(煌颯・f39603)は荷物を詰めた大きな鞄を肩に抱え直す。
 持ってもらっちゃってごめんね、と気遣わし気なルシエラの視線に、当然のこととリヴィはこともなげに首を振る。
「こういうとき男手があると楽なのもキャンプならではだよね。私もキャンプと似たようなことは割と頻繁にやっていたけど……当時は楽しむよりも栄養第一だったし、マスカレイド絡みだったりで……どちらかと言えばサバイバル?」
 荷物からランタンを取り出してくすくすと笑みをこぼすルシエラに、リヴィもつられるように口許を綻ばせる。
 いつにも増して楽しそうな彼女の、下手したら己よりも幼く見える振る舞いが胸を温めると同時に、そう言えばこういうひとだった──そんな思いが脳裏を過る。
 リヴィにとってそれは、懐かしいような、あるいは新しい一面を知るかのような感覚で。
「シエラやセラは初めてだし、リヴィもライも今回は純粋に楽しもうね」
 そんな彼の胸中などきっと知らないのだろう──あるいは、なにかしら察するところがあるだろうか──ルシエラが屈託のない笑顔で告げたなら、ばさりと白い翼を広げて桃華獣のシエラが彼女の腕から飛び立ち、ぱたぱたとリヴィの襟元に潜っていたセラも追いかけるように飛び降りていく。
 二匹の姿を高い上空からファルコンスピリットのライが旋回しながら見守っているのを確認して、「さて」ルシエラは背筋を伸ばした。
「折角だから定番のカレーでも作ろうかなと思うんだけど、リヴィはどうする?」
「そうですね……薪割りを手伝った後は、釣りでもしようかと」
「リヴィ、釣りできるの? すごい!」
 少女のように碧の瞳をきらきら輝かせ、まっすぐに見つめられるとさすがに照れが先に立つ。軽く頬を指先で掻いて「その科白は釣れた後にしてください」なんて照れ隠し。
 予定通りにルシエラは米を研ぎ、リヴィは手斧を使って薪を割り終えて、手近な岩の上に釣り竿とバケツを手に軽い足取りで飛び乗る。
 毛玉雛のセラが彼を追うみたいに喜び勇んで水際に駆け寄る。「気を付けてね」ルシエラが薪に火を点けながら声を掛けた──が。
 毛玉雛が一歩水に踏み込んだ途端、ピャッと空でも舞えるのではないかと思うくらいに飛び上がった。
 望む山には雪冠。キャンプ場を流れる小川は凍てる程に冷たいのだ。無邪気に水遊びに興じられる環境ではない。
 パニックになって水辺でばたばたと短い羽を打つものだから冷たい水が飛び散って、共に水辺で遊ぼうと追って来たシエラにもその混乱が伝播して、大騒ぎ。
「ああ、ほら。大丈夫だ」
 急降下してきたライがシエラを岸へ引き戻し、ぴぃぴぃと鳴かんばかりに寄る辺を求めるセラをリヴィが掬い上げた。確かにたったそれだけでも、指先がかじかむほどの水の冷たさに震えが走った。
 火の傍に行っておいでとセラを焚き火の方向に放し濡れた手を拭って、はぁと息を掛けたとき、ふわとリヴィの首に柔らかいものが触れた。
 見ればそれはマフラー。彼の首に巻いたのはもちろんルシエラだ。
「寒さに耐性、ないんでしょ?」
 私とは違って。
「……覚えてくれていたんですね」
 以前に伝えたことがある話。もちろんだよと笑う彼女の言葉がくすぐったくて「自分でやります」と伝えるも、
「だぁめ」
 楽しそうな声音があっさりと却下する。
 そう言われると。あるいは、その表情を見ていると。受け容れる以外の選択肢が温かさに溶けていく気がして。
──懐かしいな。
 こんなふうにされるのは、養母以来だろうか。緩む口許を、よしと手を離されたマフラーに埋めて隠す。
「……ありがとう、ございます」
「どういたしまして。あと、これもね」
 リヴィの膝に毛布を広げたなら、ルシエラは震える桃華獣たちの集う火の傍へと戻って行った。

 ちりちりと火の周りで串焼きの魚が焼ける香ばしい匂いがする。シエラとセラがその様に夢中になる傍で、リヴィは湯気立つカレーライスを頬張った。ほんの少し硬めに炊いた米に絡むぴりりと舌に響くルーの辛味とスパイスの香りが食欲を刺激する。
 相好を崩すリヴィの表情が気を惹いたのだろうか。ルシエラがちいさく首を傾げて唇を綻ばせた。
「どうしたの? そんなに美味しい? なんて、」
「はい。それに、……ルシエラさんに食事を作ってもらうのは初めてで」
 「ああ、」リヴィのまっすぐな答えに、ちょっぴり照れつつルシエラはそう言えばと視線を空に遣る。
「いつでもリクエストに応えるよ?」
 ルシエラの悪戯っぽさも含んだ答えに、彼は抑え切れない嬉しさを素直に表情に浮かべて「是非お願いしたいです」としっかと肯いた。
──ああ、
 ルシエラの胸に去来するのは、遠い遠い昔、ケーキを分けてあげたときの弟のあどけない笑顔。それが目の前の彼の笑顔と重なって見えてしまうのは、都合の良い幻だろうか。
 彼が夜に向けて星についての本を持ち込んでいるのも知っている。なにせ、都市国家で星を望むことは困難だから、楽しみにする気持ちもルシエラにもよく判る。彼がそれを堪能できるよう、夜用の飲み物も準備している。
「……夜も、楽しいといいね」
 だからルシエラはその笑顔に、自らも素直な気持ちでそう返した。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

炬燵家・珠緒
寒いのか~~
キャンプは好きなんだけど~~
寒いのは、ちょっと嫌だな~~
うーん、でもたまには苹果とのんびりしたいしね~~
頑張って行ってみようか~~

まずはテントでも張ろうかな~~
大丈夫、やり方は何となくわかるから
てきぱき(珠緒基準)テント張ったら火を起こして
焚火のおかげて身体が温まる~~嬉しい~~
あ、苹果は火に近付き過ぎたらダメだよ~~
焦げちゃう~~!

そろそろご飯の時間かな
なんだかいい匂い…
あ、美味しそうなもの売ってる~~!
いいなぁ、串焼き食べちゃおうかな
ん~~どれも美味しそうだから…おすすめはどれですか~~?
後は温かいスープも欲しいな~~
苹果をお膝に乗せて
ふたりでのんびりご飯タイムにしよ~~



●寒いときこそきみの傍で
「寒いのか~~」
 グリモア猟兵より繰り返し伝えられた情報を繰り返して、炬燵家・珠緒(まいごのまいごのねこむすめ・f38241)はぴるぴると茶色の猫の耳を震わせた。
──キャンプは好きなんだけど~~、寒いのは、ちょっと嫌だな~~。
 キャンプ地に辿り着くまではそう思っていた。あたたかいお部屋で毛布にくるまって過ごす幸せは捨てがたかった。
 けれどなにせ『キャンプ好き』の血も騒ぐ。うーんと彼女が首を捻る横で、ふわふわの白い毛並み、長い耳、ちいさな角の傍に桃の花を咲かせた霊獣──苹果もくてりと首を傾げたから、結局彼女は決めたのだ。
「でもたまには苹果とのんびりしたいしね~~。頑張って行ってみようか~~」

 そうして辿り着いた、広い広い自然の中。キャンプの初心者向けというだけあって、色々な道具の貸出もあるらしい。
 黒い瞳をきらきらさせた苹果が耳をくりくりと動かすのに、良かったな~~と思いながら珠緒は手慣れた様子で早速テントの一式を借りてきた。
「見てて、苹果。大丈夫、やり方はなんとなく判るから~~」
 ここはいつも以上に格好良いところを見せてあげたい。ふふーと長い尻尾をゆらり、珠緒はてきぱき(当|者《ヽ》比)でテントを張る珠緒の本日のコスチュームは、昨年手に入れた苹果とお揃いの純白のケープだ。
「どう~~?」
 傍でちょこちょこと跳ね回っていたのは心配だろうか、応援だろうか。出来上がったテントを苹果に見せれば、相棒は後ろ足で立ち上がってふんふんと鼻を鳴らす。『まぁまぁだね』とでも言いたいのだろうか。まったくもう、素直じゃないんだから。
 身体を動かしたらお腹が空くのは当然のなりゆきで。
「なんだかいい匂い……、あ、美味しそうなもの売ってる~~!」
 腹時計に導かれるまま苹果をだっこして歩いていた珠緒は、居並ぶキッチンカーにぴんと耳を立てて駆け寄った。
「いいなぁ、串焼き食べちゃおうかな」
 キャンプと言えばその場で調理をするのも楽しみのひとつではあるけれど、その場所に準備されているのだからこれもひとつの『現地調達』だと思う。きっとそう。それでいい。
「ん~~どれも美味しそうだから……おすすめはどれですか~~?」
「やっぱり塩胡椒が無難だけど、甘辛いタレもいいよ! スイートチリもおすすめ」
「いいにおい~~」
 そうしたら、あとは温かいスープも欲しいな。周囲を見渡せば望むキッチンカーも簡単に見つかったから、テントに戻って慣れた手つきで火を起こしたなら、お膝に苹果を乗せてまずは野菜たっぷりのスープをひと口。
「あ~~身体が温まる~~嬉しい~~」
 薪の爆ぜる音も耳に心地良く、醤油ベースのタレが肉に絡み、噛めば肉汁が溢れて来る。またスープをひと口、次は違う味の串をひと口。
 ほぅと息を吐けば青い空に白い息が上がっていく。
 のんびりご飯タイムを寒空の下、ふたりで過ごすこの時間を作って良かったなと、珠緒は自然と眦を下げた。が。
「あ、火に近付き過ぎたらダメだよ~~、焦げちゃう~~!」
 初心者さん相手に目を離せないのも、キャンプの大切な心得だ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロム・ハクト
釣りに挑戦

釣れた魚は塩焼きに
火や用具はレンタル
竿は現地に適したものがあれば借り、そうでなければ枝と与奪の糸(アイテム)で自作

餌(+釣果ゼロ時用)にソーセージ
他にも甘いもの(マシュマロ等)は用意したが、そちらは夜に取っておきたい
(こういう物はつい買い込みがちになるな。後で声をかけて誘ってみるか)

防寒具は動きやすさも重視
魚の集まるスポットを探し、合間や釣り後は焚き火やコーヒーで暖を取りつつ

寒くはあるが、必要に迫られての野営とはまた感覚が違うな
表には出ていないか、割とわくわくしている自覚もあり

(描写は釣り中でも釣り後でもOK)
アドリブ・絡みOK



●たまにはこんな息抜きも
──釣り、か。
 経験がないとは言わない。自らの糸と枝さえあれば食料を調達することが可能になるという点で、生き抜くためには重要なスキルだと思う。けれど。
 凍てる寒さだという小川に飛び出した岩の上を危なげなく移動しながら、クロム・ハクト(黒と白・f16294)は今回は借り受けた釣り竿を見上げ、それから速い流れの中に魚影を探して視線を落とした。
──寒くはあるが、必要に迫られての野営とはまた感覚が違うな。
 普段とは違う行動をしている特別感に、そわと胸が躍るのを確かに感じる。
 釣り竿を借りたときに聞いた話では、今回の狙いであるウグイという魚は大体なんにでも喰いつくのだという。川縁の一か所に火を起こし、防寒具の襟をしっかり立てて濡れない場所に腰を下ろし、クロムは糸を垂らした。
 ぱち、ぱち──。
 薪の爆ぜる音を風下に聞きながら、魚影の中心へと針を放り込むことに集中していたのもしばしの間。今度は魚影の少し前に落として誘い、待つ釣りへと変わっていく。
 賑やかなところも決して嫌いではないが、静かに過ごすこともクロム自身としては好ましい部類だ。水の流れる音と焚火の音、そして釣果が無かった場合も想定して買い込んだ昼食の準備が焦りをなくし、彼の肩から力を抜いた。
 他にも、焚火で焼くと美味しいのだと聞き及んだ甘いもの、例えばマシュマロなんかも普段ならば買わないけれど。こんなときだからと思えばついつい手が伸びてしまった。
──それは夜に取っておきたいな。折角だから、後で声を掛けて誘ってみるか。
 期待に少し浮つく己の気持ちも自覚しつつ、焚火で沸かした湯で珈琲を淹れたなら、冷えた指先も身体もぬくもりを取り戻す。
 きっと、気負わぬ心構えが良かったのだろう。
「──お、……!」
 せせらぎの中、川底へと引き込まれる針。しなる竿。そこそこに強い引きがクロムの寛いだ空気を一変させる。引きながらたまに糸を流して、がむしゃらな力比べではなく駆け引きも楽しんで。
「っと……!」
 水面から飛び出した飛沫、そして肘から手首くらいまである銀白色の鱗が、冬の陽光を弾いて煌めいた。力強く尾を振る姿は生命力に溢れ、しっかりと脂の乗っているであろう旬の良さが伝わってくる。
「……」
 どうしようか。少し迷って。クロムは素早くそれを捌くと串を刺して塩を振り、焚火の傍へと立てた。用意しておいたソーセージも串に刺して同じように火の傍に並べ、再び川へと糸を垂らした。
──こういうのも、いいだろう。
 なにせ今日は、野営ではない。他にも食料はあり食うに困ることもないなら、成果を追わない釣りに興じるのも良い享楽なのではないだろうか。
 しばらくすると、ちりちりと焼ける音が耳に届く。魚と肉のそれぞれ異なる食欲を刺激する匂いが漂い始める。
 珈琲のマグを傍らに置いて魚の串を引き抜く。熱々のそれへ火傷しないよう気をつけて齧りついたなら、ほくほくの身と特有の脂に塩っ気が丁度良くて耳が震えた。はふ、と息を吐くと白く立ち昇る。
 ソーセージの串が焦げてしまわぬよう少し火から離して、串焼きのウグイを齧りながら再び流れに針を垂らす。
「……悪くないな」
 緩む口許もそのままに。ぽつり、クロムはこぼすのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『キャンプの夜を楽しもう』

POW   :    ゲームやお喋りに興じる

SPD   :    歌やダンスで盛り上がる

WIZ   :    満天の星空を眺める

イラスト:真夜中二時過ぎ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●夜には夜の
 冬の空。
 青から群青へと移り変わるそれは、本日雲ひとつなく、数え切れない星が瞬いている。
 傍の木々からは抜ける風に葉擦れが乗って、その陰はほんの少しこわいかもしれない。自然の肝試しは猟兵であろうとも程々に。
 凍てる小川のせせらぎは更に冷たさを増して、方々に上がる焚き火の明かりが見目の暖かさを演出する。
 ……だが、寒いものは寒いのだ。
 温かい飲み物を片手に星空の下、語らおうか。
 あるいは張ったテントの中で毛布にくるまり、秘密の話を交わそうか。
 夜ごはんも終えたはずの時間だけれど、まだまだ食べ足りないならキッチンカーは待機してくれている。
 明日の予定を話そうか。
 昔話を語ろうか。
 なんだっていい。夜を共に過ごすなら、時間はたっぷりあるのだから。
 
ガスパール・アーデルハイド
グリモア猟兵のリコ・ノーシェに
キャンプ場のこと教えてくれたの
お礼を言いたいのと…星みるのは好き?
冬の夜は寒いから
焚火の近くのが良いかもしれないけれど
鳥いるのが大丈夫そうだったら
アデルも肩に乗せたままに

空気が冷たく澄んでいるから
遠くのひかり……小さな星まで見渡せるんだってな
喋るのあんまり得意でもないけど
聞いたことのある話をぽつりぽつりと

世界がとても広いことは知っていても
教えてもらえなければ
探しに行けないようなものもあったりして
自分の目に映っているものも、
こうして誰かと眺めることで
別の景色も映るのかもしれない
…お喋りがすぎてしまったら
少し静かにしておこうか

此の夜が寒いだけの時間ではなかったらいいな



●星を追って
 ばさりと大きな翼を広げ、夜の空を堪能してきたらしいアデルを肩に受け容れ、ガスパール・アーデルハイドは頬を寄せてちいさく微笑む。
 「あ」視界の先に見つけた姿に声をこぼし、そのまま近付けば左右色違いの瞳が彼を見上げた。リコ・ノーシェ(幸福至上・f39030)。このキャンプ場について教えてくれたグリモア猟兵。礼を伝えて「それから、」ガスパールはそのまま視線を上げた。
「……星みるのは好き?」

──冬の夜は寒いから、焚火の近くのが良いかもしれないけれど。
 もちろんそれについても確認したら「だいじょうぶ」と答えた隣を歩く少年は白い息をほぅと吐きつつ、言葉の通りつらそうではなかったから。
 ガスパール自身も肩に添うアデルの羽毛に時折頬を寄せながら、少し普段の世界と似た土の感触を踏み締めて進む。
「鳥いるのは、大丈夫?」
「ん……好きだ、よ。撫でさせてもらっても、いい?」
 そんな他愛も無い話をしつつ、ふたりと一羽は少しキャンプ場から離れた場所まで歩いた。
 人々が焚く灯りから離れたら、より一層空の群青に深みが増していく。
 昼の散策の間に見つけた、木々の僅かに途切れる隙間。葉擦れの音が夜風に流れて、ガスパールがついと指を差した先を見上げたリコは「わ、ぁ……!」その双眸を輝かせた。
 黒い影を落とす木の葉の向こう、鮮やかに届く星々の光。銀、赤、青、白。色とりどりの。
「綺麗だ、ね」
 純粋に嬉しそうな同行者の様子に、ふわとガスパールの口許も和らいだ。
「空気が冷たく澄んでいるから、遠くのひかり……小さな星まで見渡せるんだってな」
「そう、なんだ。……おれの、よく居る世界では。星が、珍しいって場所も、多くて、さ」
「そんなところもあるのか」
 喋ることはあまり得意ではないと自負しているけれど。相手のペースもよく似ていたものだから、互いにぽつりぽつりと言葉を交わす。
「……世界がとても広いことは知っていても、教えてもらえなければ、探しに行けないようなものもあったりして……自分の目に映っているものも、こうして誰かと眺めることで、別の景色も映るのかもしれない」
 普段は頼れる姉貴分だけと共に見る景色も、別の誰かと一緒であることで。
 ゆるり、ふわふわの狼の尾を揺らして告げるガスパールは、ふとお喋りが過ぎただろうかと隣を見るけれど。リコに特に気にする様子はなかった。
「そうだ、な。おれも、知らないこと、たくさんある、から」
 判る気がする、よ。とても。そうこぼされた言葉に、ガスパールも胸を撫で下ろす。願いは、星が聞き届けてくれていたようだ。
──彼にとっても。此の夜が寒いだけの時間ではないと、思ってもらえたみたいだ。
 今度は初めて知った食べ物の話でもしてみようか。
 星空の輝きを充分に楽しんだあと。──あたたかい、焚火の傍に戻ってからでも。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

炬燵家・珠緒
ごはん食べてお腹いっぱい〜〜
でも、寝るにはちょっとまだ早いよね〜〜
もうちょっと、焚き火見ながらのんびりしてよっか

せっかく焚き火もあることだし
マシュマロを串に刺して
火でちょこっとだけ炙れば、完成〜〜
熱いから、冷ましながら食べないといけないんだけどね
あつっあつつっ〜〜

外はすっかり暗くなってきて冷えてきた気がするけど
苹果は寒くない?
私はちょっと寒いな〜〜
毛布もってこよっと〜〜
苹果もおいで〜〜え、苹果で暖をとる作戦じゃないってば〜〜

空を見上げれば星がいっぱい
え?流れ星?
どこどこ〜〜?
流れ星を見つけたら何をお願いするのかって?
う〜〜ん、早くご主人様に苹果を紹介できますように、かな
願い事が叶うといいな〜〜



●星に願いを
 膝の上の苹果を撫でて、炬燵家・珠緒はうぅんと伸びをした。
「お腹いっぱい~~。でも、寝るにはちょっとまだ早いよね~~」
 頭上には群青色に移り変わった空に星が瞬き始めた頃合いだ。なにもない時間をテントで微睡むのも楽しみのひとつではあるけれど、せっかく苹果とのお出掛けだ。
「もうちょっと、焚火見ながらのんびりしてよっか」
 ぴくりと長い耳を動かし顔を見上げる苹果に、珠緒もにっこり微笑む。
「ご主人様ともね~~、よくこうして火を囲んだんだ~~」
 美味しいものも用意してくれて。美味しいって言ったらそうかって主人様も嬉しそうな顔をしてくれて。
 会いたいなぁ。こぼれそうになった言葉を珠緒は呑み込む。彼女にとっては特に珍しい感傷ではないのに、不思議と『違うなぁ』と思えた。
 黒い瞳で見上げてくる苹果の角の傍を指先でくしくしと撫でて、そうだと珠緒は耳を跳ねさせた。
「美味しいもの作っちゃおうかな~~」
 『まだ食べるの?』と言いたげな苹果を一旦膝から下ろして、テントに上半身を突っ込む。「じゃ~~ん」と取り出したのは、大きなマシュマロの大袋だ。首を傾げる霊獣に得意げに見せて、さくさくとマシュマロを串に刺していく。それを焚火に掲げるのはちょこっとだけ、炙る程度。
「完成~~」
 程良くマシュマロがこんがり焼けて甘い香りが鼻をくすぐる。知っている、どうした方が良いのかは。でも。
「いっただきま~~す、……はふっ、あつっあつつっ~~! あははっ、」
 齧りつけば、とろぉと伸びたマシュマロは想像以上の熱さで思わず笑ってしまう。そんな珠緒を苹果が不思議そうに見る。食べてみる? と串を差し出すけれどいつも通り断られた。
「苹果は寒くない?」
 口の中はあつあつで、些細な出来事を共有できる相手がいてくれることに胸もぽかぽかするけれど、夜風は徐々に冷めたくなってきている。片耳を払う苹果に「そう? 私はちょっと寒いな~~。毛布もってこよっと~~」軽く応じ、テントの中から引っ張り出したそれで身体を巻き込んだ。
「苹果もおいで~~」
 曲げた膝をぽんぽんと叩いてみれば、苹果はちょっぴり目を眇める。
「え、苹果で暖をとる作戦じゃないってば~~」
 言ってみたものの、『本当かなぁ』という風情で飛び込んできた苹果を毛布で包むとやはり温かくて、ほっとする。ぱちぱち爆ぜる火の粉を追って視線を空にやれば、満天の星空。ふっ、と苹果が鼻先を上げる。
「え? 流れ星? どこどこ~~?」
 それなりに長い時を共に過ごした霊獣の仕種に、言葉はなくとも以心伝心。急ぎ振り仰ぐが、尾を引く光は見付けられなかった。三角の耳をぺたりと倒した珠緒の指先へ、ふんふんと苹果が鼻を寄せる。
「見つけたらなにをお願いするのかって? う~~ん、」
 亜麻色の髪を揺らして思案する彼女を、苹果が見守る。

「ん! 早くご主人様に苹果を紹介できますように、かな」

 そうだ。言葉を呑み込んだのは、こっちの想いの方が今は正しいと思えたから。思いがけず自分の中で答え合わせができて、自然と珠緒の眦が緩んだ。苹果を抱き上げ、頬を寄せた。
「願い事、叶うといいな~~」
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

風魔・昴
北十字銀河(f40864)と参加
アドリブ歓迎

「ん~、やっぱり冬の星は綺麗だわ」
そう言いながら、暖かなコーンスープを飲みフフッと笑顔
ふたご座・牡牛座・おおいぬ座……
「後はこいぬ座、ぎょしゃ座。そしてオリオン座」
銀さんからの質問……ふふ、そんなの簡単よ
大三角はペテルギウス・シリウス・プロキオン
ダイヤモンドはシリウスとプロキオンにリゲル・アルデバラン・カペラ・ポルックス
「星座と一緒に父さんに初めに教えてもらったの。銀さんは?」
星空や宇宙の事は子供の頃に父が教えてくれた。その事をふと思い出す
「そうなんだ。何だかステキね」

彼との星の話は楽しくて
もっと話せそうだから……
今夜はとことん話をしてみようかな?


北十字・銀河
風魔昴(f06477)と参加
アドリブ歓迎

「そうだな。個性の強い星が多いからな、冬の星空は」
昴の言葉に頷きながらホットコーヒーを一口
星座を確認する彼女に微笑んで
「冬の大三角にダイヤモンドで楽しむこともできるな」
どの星の事だかわかるよな?と、少し質問風に聞く
すると流石だ……自信満々で答えてくる
「あぁ、昴の父上は天文学者だったな」
でもそれだけではないだろう
彼女の星への敬愛と探求心は自他共に認めるほどだから
「ん、俺は母からかな」
星読みの仕事をしていたからね。と笑顔で答える

彼女の幼馴染に、彼女は星と話すことがあると聞いたことがあるが少しだけ納得する
とても楽しそうに愉快に今夜の星達の話する姿を見てると、ね



●星を語らう
「ん~、やっぱり冬の星は綺麗だわ」
 手には湯気立つコーンスープのマグカップを包んで、風魔・昴(星辰の力を受け継いで・f06477)はフフッと笑みをこぼした。澄んだ冬空には馴染みがある。ふたご座、牡牛座、おおいぬ座……昴の目は自然と星座を追っていく。
「後はこいぬ座、ぎょしゃ座。そしてオリオン座」
 つい、つい、と指先を動かすその横顔を眺め、北十字・銀河(星空の守り人・f40864)も軽く肯いてホットコーヒーをひと口。それから指先を追うように自らも空を見上げ、白い息を吐いた。
「そうだな。個性の強い星が多いからな、冬の星空は」
 特に彼女が最後に挙げたオリオン座は、三連星が素人にも探しやすいことで有名だ。
「冬の大三角に、ダイヤモンドで楽しむこともできるな」
 どの星のことだかわかるよな? 口許に悪戯っぽい笑みを刷いて、銀河が試すみたいに問うてみれば、彼を見返す昴の瞳が同じ|表情《いろ》に輝いた。彼女は自信に満ちた綺麗な姿勢で再び空を見上げる。
「ふふ、そんなの簡単よ。大三角はペテルギウス、シリウス、プロキオン。ダイヤモンドはシリウスとプロキオンに、リゲル、アルデバラン、カペラ、ポルックス」
「流石だ」
 迷いなくその星をひとつひとつ指さし、歌うように告げる昴に、銀河も純粋な賛辞を贈る。
 昴も衒いなくその賛辞を受け止めつつ「星座と一緒に父さんに初めに教えてもらったの」と自らの首に下がる三日月のネックレストップに触れた。星々は仲間。星空や宇宙のことを話してくれた子供の頃の父の顔を不意に思い出した。
「あぁ、昴の父上は天文学者だったな」
「そう」
 こくりと嬉しそうに微笑んで肯く彼女の様子に、『それだけ』ではないのだろうと銀河は思う。教えられた、それだけではない。彼女の星への敬愛と探求心は自他共に認めるほどだ。自ら手を伸ばさない限り、その親しみは生まれないだろう。
「……銀さんは?」
 風に黒髪を揺らして、焚火の前で並んで座る銀河の目をひたと見据えて昴は問う。
 彼女の知識を『正しい』と認識できている時点で、銀河にも同じ知識が備わっていることは明白だ。彼が昴と同じく星空を愛していることは昴もよく知っている。けれど、その源泉について訊いたことはなかったなと思いついたから。
「ん、俺は母からかな」
 星読みの仕事をしていたからね。大したことではないとでも言うふうに、さらりと返す銀河。
「そうなんだ。なんだかステキね」
 星読み。異なる世界からの渡り人である彼の母が、具体的にどんな仕事をしていたのかは昴には想像がつかない。けれど陰陽師も星を読むことを生業としているから、きっと同じようなことなのだろうと思えた。
 導き、警告、あるいは背を押してくれる星々の輝き。
 それを読み解くことは、星座を知ることとはまた違う難しさと興味深さがある。
 語りかけてくる、楽しさがある──。
「ねぇ銀さん。他にもなにか聞いてる?」
 彼との星の話は楽しくて、もっと話せそうだから。
──今夜はとことん話をしてみようかな?
 なにせ、夜はまだまだ長いのだから。
 煌めく昴の瞳に、銀河は彼女の幼馴染の言葉を思い出す。彼女は星と話すことがある、と。これまではそれを意識したことはあまりなかったけれど、少しだけ納得できた。
「あぁ、そうだな……」
──こんなにも楽しそうに愉快に、今夜の星たちの話をする姿を見てると、ね。
 彼女と話をしていると、自らにも星の声が聴こえるような気がする。
 マグカップを空けたらまた新しい分を淹れて、満たされるまで話をしよう。そうすればその答えが判る気がするから。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルシエラ・アクアリンド
【風雪】

火は常に絶やさず

シエラには持参のポシェットの中へ
セラにもソーイングセットで即席でポシェットを作り
それぞれの中に火で暖めた小石を布で包んだものを入れる。
これでこの仔達も少しは落ち着けるかな?

ホットミルクに蜂蜜とジンジャーをいれた物を手渡し乍ら
彼が丁寧に説明してくれるのを心地よく聞き乍ら星をみる
光の旅とは神秘的だなあ
彼の言わんとする事は分かる気がする

本当に識る事が好きなのだと改めて思う。
セラといい好奇心旺盛さでは。

思いがけない少年の頃の話。表情や話し方から十分に素敵なご両親であり、
彼らの愛情を受け、尊敬した故のこの真直ぐな性格が出来たのだろうなと思えた。
―実の両親ではなかった事には少々驚いたけれど

今も様々な思いをしつつ歩いているのだろう彼は何だか誇らしく見えた

ふと気が付けば纏まった流れ星の様なものが目に入り
あれはなあにと問えばまた夢中になりつつも説明が丁寧で。
彼らしいなと思いつつ再び空を見上げる

彼によれば非常に珍しい現象らしい
自然の贈り物に感謝しつつ

うん、知らない事を知るって楽しいね


リヴィ・ローランザルツ
【風雪】

張ったテントの中から天体観測


ルシエラさんの手により防寒対策ばっちりになってご機嫌なセラに
有難うございますと礼を
先に注意してやれなくて申し訳なくと思うと共に身体いっぱい全力で生きているこの仔にはとても好ましい。


本を片手に空を見上げて
今、実際に目に入る星の光は実際には途方もない年月の前のものという事実は
とても神秘的に思うと同時に、どんな旅をしてきたのか?なんて色々な想像が掻き立てられる。

子供のから勉学もそうだけど、身の回りに起こるたわいもない不思議の正体を知るのが好きだった。
養父が読む本を一緒に見たいと強請ったりしたなあ。
質問攻めにあっても嫌な顔せずに根気よく付き合ってくれたっけ。
そんな風にしていると養母が手作りの差し入れをしてくれて。
若干年は離れていたけれど、血の繋がりなんて関係ないと思わせてくれる、そんな両親だった。

そういえば自分から昔話をしたのは初めてだ。
でも話したいと思ったんだ。心から慈しんでくれた二人の事。
暖かいホットミルクに背を押されたかな

運よく流星群が見られると良いな。



●星と共に
「ん。これでよし、かな?」
 毛布の端を惜しげもなく切って作ったポシェットを満足気に掲げ、ルシエラ・アクアリンドはセラを呼んだ。
 白いもこもこが跳ねるように傍に寄って来る間に、彼女は更にハンカチに火の傍らの小石を包み、ポシェットの内側に配置する。そして幼い霊獣を掬い上げてポシェットの内側に収めると、その肩紐をリヴィ・ローランザルツの首から肩へと掛けた。
「これでこの仔たちも少しは落ち着けるかな?」
 既に仔竜のシエラもルシエラが持参したポシェットに同じように収まっていて、セラと同じくほこほこと眦を細めている。肩から下げて歩き回るには少々重いけれど、今は焚火の傍で座しているだけだから、支障はない。
「有難うございます」
 短い嘴の上を指先で撫でてやってから、リヴィは丁寧に頭を垂れた。防寒の準備が足りずに申し訳なかったなと思う気持ちは当然あったけれど、身体いっぱい全力で生きているセラにはとても好ましい経験であったとも思う。ルシエラも同じ気持ちなのだろうか。気にしないでとマグを手渡して微笑む表情に偽りはなさそうだ。
 改めて礼を述べながらマグを受け取って、ひと口。蜂蜜の香りが漂うあまく温かいミルクに、ぴりりとジンジャーの刺激が身体を内側から温めていく。
 夜が更け、ふたりと二匹は天窓が空を切り取るテントの内側から星を見上げることにしていた。
「……興味、ありますか?」
「うん!」
 リヴィが持参した星についての書物を用いながら説明していくのを、ルシエラは心地良く耳にする。さすがにふたりが普段過ごす世界とは星の並びも神話も違うようで、ストリートアースの書籍の説明文自体を時折説明することも忘れて食い入るように読み込むリヴィの横顔を、ルシエラは微笑ましくホットミルクを飲みながら眺めたりして。
 けれど、『星』というもの自体に違いはないらしい。
「今この目に入る星の光は、実際には途方もない年月を経てきたもの、だそうです。……俺は、それをとても神秘的に思いますし、……どんな旅をしてきたのか? なんて、色々と想像を掻き立てられてしまいますね」
「光の旅とは神秘的だなあ」
 ちょっぴり照れ臭そうに告げるリヴィの言葉を、ルシエラはごく真摯に受け止める。彼の言わんとすることは、判るような気がした。
 この目に見えるもの。それはすべて、光が目に入ることで認識できるらしい。目を開けば当然のように『在る』光が、何年も何年も掛けて届く。その間にどれだけのものを照らし、『在る』ことを知らしめてきたのだろう。
 胸に湧く好奇心は、しかし隣にいる彼の存在に、ルシエラの中で形を柔らかく形を変えていく。
──本当に識ることが好きなんだなあ。
 彼の傍に寄り添うセラの姿を見ていれば、好奇心の旺盛さをリヴィが肯定しているからなのだと想像がつく。彼自身にその認識があるかどうかは不明だけれど。
「……? 俺の顔になにかついてますか?」
「ううん。リヴィは本当に識ることが好きなんだなあと思って」
 視線に気付いたらしい彼が問うから、ルシエラは素直に答えた。自然と口を衝いていた。普段ならもう少し配慮した言葉を選ぶかもしれない。……それだけ、この時間が心地良く、気が緩んでいたのかもしれない。
 ルシエラはそんな自分に気付かず、リヴィもそんな彼女の言葉をごく当たり前のように受け止めた。ああ、と軽く頬を掻きながら、天窓の向こうに視線を戻す。否、遠い昔に。
「子供の頃から、……勉学もそうなんですが、身の周りに起こる他愛もない不思議の正体を知るのが好きでした。……養父が読む本を、一緒に見たいと|強請《ねだ》ったりしたなあ……。質問攻めにあっても嫌な顔ひとつせずに根気よく付き合ってくれたっけ」
 思いがけずこぼされた幼少期の話に、ルシエラは驚きを碧の瞳の奥だけに留めた。彼がそうした話をしてくれるほどに距離が近付いた事実が純粋に嬉しかったから。
──『ようふ』、養父って言ったよね……。
 実の両親の元で彼が育っていないということ、その事実も少しだけ彼女に驚きを与えた。でも。
「そんな風にしていると養母が手作りの差し入れをしてくれて。……若干年は離れていたけれど、血の繋がりなんて関係ないと思わせてくれる、そんな両親でした」
「うん。とっても素敵なご両親だったんだなって、伝わってくるよ」
 どこか誇らしげに見える彼の告げる通り血の繋がりなどなくても。ふたりの愛情を受け、尊敬した故のリヴィのこの真っ直ぐな性格が育ったのだと感じることができた。
 ルシエラのやわらかな回答に、ふとリヴィも気付く。そう言えば自分から昔話をしたのは初めてであったことに。
 どうしてだろう。答えは胸の中に簡単に見つかった。
──話したいと思ったんだ。……姉さんに。心から慈しんでくれたふたりのこと。
「……温かいホットミルクに背を押されたかな」
 ポシェットの中でちょっぴりうとうとしているセラの様子を覗き込むふりをしたとき、「あ」隣で声がこぼれた。
 釣られて視線を上げたリヴィの目に映ったのは、尾を引き流れる星。それも、ひとつではなくて。
「リヴィ、あれはなあに?」
「流星群……! ああ、えっと、流れ星です。俺たちのいるこの世界も星なんですけど、この星の大気にぶつかって光を放つんですけど、……とにかく観られる時期や時間が限られていて、とても珍しいんです」
 興奮気味の彼の口調は慌ただしくも丁寧で、それがまた彼らしくて、ふふり、つい笑みを浮かべながら「そうなんだ」ルシエラも改めて見上げた。
「うん、知らないことを識るって、楽しいね」
 同じ感覚を共有できる今を、その時間をくれた自然の贈り物たちへ、心からの感謝を込めて。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロム・ハクト
リコと

一人で過ごすのも良いが、誰かと一緒に過ごすのも良いと思ってな
(と同時に、例によって買い込んだのも大いに理由の一つ)
キャンプの定番らしいと聞いてな
試したくなった

マシュマロ、それにチョコレートとクラッカー
スモアの準備は整って
お供にはコーヒーを用意して

初めてなので注視して、
思ったより火加減が難しいな
(真剣に集中していた様子への反応に)ん、どうした、そんなにだったか?

リコはやった事あるのか?(あれば話聞きつつ
促すようにマシュマロ差し出し、その様子に慣れてるな/上手いな/(焦げて)お揃いだな、などと返し

思った以上に甘くてとろとろな事に、コーヒーとちょうど良いなと感じ空見上げて
いい夜だ

アドリブ・絡みOK



●星の下で
「キャンプの定番らしいと聞いてな」
 試したくなった。そう告げるクロム・ハクトの手にはいっぱいのマシュマロ、それにチョコレートとクラッカー。
 その大荷物に、お誘いを受けたリコ・ノーシェはぱちりと色違いの双眸を瞬いて、それから笑った。
「いっぱい、買っちゃった、の?」
「いや、その。一人で過ごすのも良いが、誰かと一緒に過ごすのも良いと思ってな」
 誰かを誘おうと思ったら足りなくなってはいけないと思ったのも事実だ。あっという間に楽しみの時間が終ってしまうのが惜しいと、始まる前から心の奥で感じてしまったのもある。リコの眼差しに言い訳じみて返しながらも、
「……付き合ってくれるか?」
「ん。やってみたい」
 素直に問うてみれば、少年も素直に肯いた。

 ターフになるテントの入口の傍に簡易のベンチを置いて、焚火の前に腰掛ける。今回挑戦するのは『スモア』というお菓子だ。
「リコはやったことあるのか?」
「ううん、ない。どうやる、の?」
 もちろんクロムも初めての試みであるが、興味津々と覗き込まれては手本を見せなくてはと思う。
 マシュマロを串に刺して、焚火に近付けて──「「……」」どれくらいが適切な焼き加減なのか知らないがゆえに、ふたり揃って注視する。
 最初は火から遠いところに。「遠いか? もうちょっと寄せて──、」「! 燃えた、落ちた」次の一本はもっと慎重に。「なかなか色がつかな、……! どうだ?」「とろとろ! これ、チョコはどうする、の?」「ああ、クラッカーの上に乗せて……」「クロム、落ちる、白いの、落ちる」初心者ふたりでわたわたもたもた。
 なんとか出来たひとつを差し出したい思いと、味見をしてから食べさせたい思いが交錯して、でも熱々のマシュマロが割って分けることも難しくしていたから、とりあえずリコへと手渡し、次のマシュマロを火にくべる。
「思ったより火加減が難しいな……。ん、どうしたリコ。そんなにだったか?」
 じっと完成品を手にしたままクロムの動向を見守る少年に、苦手だっただろうかとクロムは視線を戻す。ふるり首を振ったリコは、ぽつりと問うた。
「……おれが先に、もらっても、いい、の?」
「ああ。良ければ先に食べてみてくれ」
 しっかりと肯けば、ぱりぱりと噛み割る。にゅう、と伸びたマシュマロは餅みたいだったけれど。はふはふと白い息を吐きながら呑み込んだリコは、目を輝かせた。
「おいしい、甘い」
「そうか、良かった。……リコもやってみるか?」
 ふたつめのマシュマロ焼きには少し手慣れただろうか。食べ終わる頃を見計らって肯く彼に次の串を用意し、様子を見ながらクラッカーと板チョコを挟んで、──ぱりっ。
「ん。思った以上に甘くて、……とろとろだな」
 リコの言葉を繰り返してお供のコーヒーを口に含めば、香ばしい苦味が口の中の甘さを中和して、ちょうど良い。
 クロムの様子に『でしょう』となぜか自慢気に見ていた少年だったけれど、
「おいリコ、落ち──」
「あ」
 蕩け過ぎたマシュマロはまた火の中であっという間に真っ黒焦げ。彼はごくごく真面目な顔をしてクロムを見た。
「……難しい、ね」
「お揃いだな」
 クロムも生真面目な顔で返せば、そのあとふたりでちいさく笑い合って。
「次は、がんばる」
「俺も」
 如何に焦がし切らず、けれど柔らかく溶けるか。試行錯誤も楽しみの内のひとつだろう。夢中になる顔が焚火に照らされる。熱いなと、自然とクロムは空へと視線を上げた。
──ああ、……いい夜だ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年01月25日


挿絵イラスト