●行くとし来るとし
年の瀬。『獣人戦線』のヨーロッパ、大戦を経ておおむね平和を取り戻したカラスの街にも、それは等しく訪れる。
カラス獣人の青年3人組が、仕事帰り、夕食の場所を求めてぶらついている。
「カア~今年は前よりいくらか平和になったし、割といい年だったかもしれねえなあ!」
「だよなア。来年もいい年になるといいんだが」
「それを願って一杯やるかア」
トリオ・ザ・カラスが、行きつけの店のドアをくぐる。すると。
「いらっしゃ~い! 今日のおすすめはポテトのダンプリングよ~」
大柄なカラス獣人が、青年たちを出迎えた。スマイルとともに。
「……誰?」
「知らん」
「知らねえカラスだ」
青年達が顔を見合わせていると、店主がやってきた。こちらは顔見知りのカラス獣人だ。
「この方はさすらいの料理人、クエルボーさんだよ。なんでも超一流のシェフだそうなんだが、修行のためにあちこちを旅しているんだと。それなら、この店でも腕を振るってもらおうと思ってね」
超一流。
そのフレーズは、青年達の食欲を掻き立てた。
が、店主は3人に耳打ちする。
「……もっとも、超一流ってのは本人の話でね。実はまだろくに料理を出してもらってないのさ。ちょうどそこにお前らが来てくれたってわけだ」
「それってもしかして、オレ達に毒見役を任せようってんじゃ……」
正解。店主はニッコリ微笑んだ。
●目指せ覚醒!
初雪崎・識(翠炎の探求者・f44092)は、『獣人戦線』はヨーロッパ地域で起きる事件についての案内を始めた。
「獣人世界大戦が終結してだいぶたつけれど、まだ敵は残っているみたい。世界のあちこちで、幻朧帝国のエージェントが暗躍し続けてる」
他の地域で起きている事件と同様、街の重要地点に、影朧兵器『逢魔弾道弾』を設置するのが目的だ。
もしもそれが起爆すれば、この街も『逢魔が辻』……オブリビオンが跋扈する魔都に変貌を遂げてしまうだろう。
識によれば、今回予知されたのは、ヨーロッパのとある街、カラス獣人達が人口の大半を占める街。
「この街で一番人気の酒場に、旅の料理人さんが来ているんだって。あ、酒場、っていっても、普通の料理もおいているし、未成年でも問題なさそう」
ただ、この料理人……名をクエルボーという、大柄なカラス獣人……は、『超一流』を自称しているのだが、腕前は未知数らしい。
何より、幻朧帝国のエージェントの変装である可能性が高い。
だが、ここはあえて泳がせておいて、起爆現場をおさえた上で阻止するのがいい、と識は言った。
「本当にすごい料理を出してくれるか、試してみないといけないね」
旅の料理人というだけあって、リクエストがあればヨーロッパ以外の地域の料理も用意してくれるようだ。
なお、料理に毒などは含まれていない。敵の目的はあくまで影朧兵器の発動、という事だ。
酒場には、もちろん地元のカラス獣人も来店している。彼らと交流しておけば、何か起こった際にも協力を得られやすいはずだ。
「もし不味い料理だったら、一緒にシェアしておけば安心かもしれないし……」
識がちょっと怖い事を言った。
ひとしきり料理を楽しんだら(?)、いよいよ本題だ。
閉店後のクエルボー氏の足取りを追い、影朧兵器を設置しようとする現場を抑え、それを阻止するのだ。
「酒場でカラス獣人さんと仲良くなっていれば、きっと協力してくれるはず」
カラスの強みは、やはりその飛行能力だろう。空からエージェントをかく乱してもらえれば、戦闘を有利に進める事ができるはずだ。
「カラス獣人さんだけなら任務を遂行できたかもしれないけど、僕達猟兵が来たからにはそうはいかない。頑張って悲劇を食い止めて。料理も頑張って完食して」
識が、そうして猟兵達を励ましたのだった。
七尾マサムネ
こちらは、『カラス獣人』の覚醒に向けたシナリオの1つです。
2章構成となっています。
●第1章
街の酒場に向かい、旅の料理人クエルボーさんの料理をいただきます。
本人は『超一流』を名乗っていますが、真偽不明なので、頑張って食べてみましょう。
クエルボーさんは幻朧帝国のエージェントの変装と思われますが、ここでそれを指摘するのは得策ではなさそうです。
超一流料理人(自称)の料理を求めて店に来ているカラス獣人と交流し、敵エージェントに関する情報を集めたり、協力を頼んだりしておいてもよいです。
●第2章
幻朧帝国のエージェントとの戦闘です。クエルボーさんを尾行し、正体を現す=逢魔弾道弾を設置するタイミングをおさえ、陰謀を阻止しましょう。
1章で交流したカラス獣人さん達に協力を頼めば、戦いに参加してくれます。
それでは、皆さんのご参加、お待ちしております!
第1章 日常
『有名無名シェフ現る』
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POW : 客が増えてるのだ、美味い料理を作ると信じていろいろ頼む
SPD : どうにも気になる。一品か二品頼んで様子を見よう
WIZ : 無難に料理人の腕は関係ない飲み物などだけ頼んでおく
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
儀水・芽亜
料理人に扮したエージェントですか。それなら料理の腕が無ければすぐに見破られる、危ない職業に思えますね。
そうして逢魔弾道弾とレストランでの活動に何か関わりがあるのかどうか。それも含めて調べてみましょう。
すみません。私は|鯉の揚げ物《カルペフリット》と付け合わせの|シュークルート《ザワークラウト》、それからすらっとした白ワインをお願いします。
……まあ、鯉も「|糧食《レーション》」なんでしょうが。
そちらの賑やかな三羽烏さんたち、もう料理は届きましたか? 超一流シェフの腕前はいかがでしょう?
あ、私の方も届きましたね。「審美眼」で見た目と味を評価。果たして合格と言えるラインに達しているでしょうか?
賑わいを見せるカラスの酒場。
そこに、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)も客として足を運んでいた。
「料理人に扮したエージェントですか。それなら料理の腕が無ければすぐに見破られる、危ない職業に思えますね」
まさかカラス獣人ならば騙せると、そう踏んでいるのだろうか。だとしたら甘い。
それとも、逢魔弾道弾とレストランでの活動に何か関わりがあるのかどうか。芽亜は、それも含めて調査を開始した。
『超一流』を名乗る料理人の来訪。好奇心を抱いたカラス獣人たちで、酒場の客入りは上々の様子。
空いていた席に案内されると、芽亜はさっそくオーダー。
「すみません」
「はあい!」
やってきたのは、クエルボー氏本人。フットワークの軽さ。
「私は|鯉の揚げ物《カルペフリット》と付け合わせの|シュークルート《ザワークラウト》、それからすらっとした白ワインをお願いします」
「カル……ごほん、承ったわ! お待ちあそばせ~」
飛ぶのに適したとはとても言えない後姿を見送りながら、「……まあ、鯉も『|糧食《レーション》』なんでしょうが」と芽亜は思った。
そして、すぐそばの席、賑やかな客に視線を移す。
「そちらの三羽烏さんたち、もう料理は届きましたか? 超一流シェフの腕前はいかがでしょう?」
「ああ、美味いぞ!」
「……と思うんだがよくわからん」
「俺達、いつも味より量だしな」
不味い、という感想が出てこないあたり、問題はないのだろうが。酒の勢いも手伝っているのかもしれない。
「お待たせしました~」
「あ、私の方も届きましたね」
ことり、と置かれた器。大量に盛られた二品の料理は、見た目に限っていえば、注文通りのそれ。
芽亜の審美眼、第一段階は一応クリア。しかし、大事なのは味だ。
「果たして合格と言えるラインに達しているでしょうか?」
まずは、鯉の揚げ物を一口……。
「……普通ですね」
続くシュークルートも、やや酸味が強い程度で、食べられなくはない。
よく言えば教科書通り、悪く言えば素っ気ない。いずれにせよ、超一流というほどの感動がないのは確かだった。
さて、周りの評判は……他の客をうかがうと、だいたいが酒を呑んで、味など不明な有様だった。
「もしかして客を酔わせるのが目的……? いや、そんな適当な作戦なのでしょうか……?」
芽亜はいぶかしみつつも、最も……唯一?……まともな白ワインを味わうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
さすらいの料理人の噂を聞きつけやってきたわたし達の名は
そう、やぶさか☆つー!(横ピース
ふ、くえるぼー
超一流と聞くけど果たしてわたしを(胃的に)満足させられるかな?
その腕見せ……腕?(カラスを見る)(腕?)
ん、その羽毛見せてもらおう(こく
頼むのは最近ちょっとハマってる中華的お料理
中華丼に麻婆丼、鶏の骨付き唐揚げに
エビチリそして回鍋肉はお肉の厚みもしっかり判定
…牛肉ステーキにチョコケーキも美味しそう
まつりんは何頼む?
シェア、しようね?しぇあ
トリオなカラスさん達も良ければ色々シェアしよう
様々なご意見が料理人の腕を上げ未知の美味しさを導き出す
さあ、もっと持ってきて
木元・祭莉
アンちゃん(f16565)と、クリスマス料理をいただきます!(手を合わせ)
クエルボーさん、ちょー一流って聞いた。
ん? ちょーーー流?(増えてる)
そっか、やぶさか☆つーーー♪ と同じだね!(横ピースだぶる)
アンちゃんの基準は簡単。
でかい厚い重い! あとトリには甘い!(けっ)
カラスさんたちもじゃんじゃん注文しちゃってー。
残しても残したくなくても、アンちゃんがちゃんとシェアしてくれるから安心していいよ♪
さて、いよいよ識ちゃんがそっと目配せしてくれた(かもしれない)カレー粉の出番だ!
カレー味は全てを覆い隠すんだって。
だから、何が来てもヘーキだよっ♪
さあみんなで、ごちそーさまでしたー♪
(もふもふ)
年末酒場で突如開催、自称『超一流料理人』の宴。
カラン、とドアベル鳴らして木元・杏(杏世界の真実・f16565)と木元・祭莉(ちょっと影のあるかっこよい感じ・f16554)が、そろってご来店。
「いらっしゃ……」
「いらっしゃ~い!」
カラスな店主を押しのけるようにして、クエルボー氏がそのひとが、杏達を歓迎した。
カラスの口コミ力、恐るべし。『さすらい』『超一流』というフレーズに惹かれてか、店内は件の三人組以外にも、多くの客で賑わっている。
無事着席した杏は、注文を今や遅しと待ち構えるクエルボーに、きらっ、と挑戦的なまなざし。
「ふ、くえるぼー。超一流と聞くけど果たしてわたしを満足させられるかな?」
胃的に。
「もちろんよ、期待してて」
「期待する。その腕見せ……腕?」
腕?
杏は、クエルボー氏の立派な翼をじっくり。
「ん、その羽毛見せてもらおう」
「アンちゃんの基準は簡単。でかい厚い重い! あとトリには甘い!」
指折り数えて最後に、けっ。
態度の悪さがちらりな祭莉。
しかしそれも束の間、わくわく、祭莉はころころふっくらカラス獣人に期待のまなざし。
「クエルボーさん、ちょー一流って聞いた。ん? ちょーーー流?」
なんか増えてる?
祭莉とクエルボー氏、そろって首傾げ。
「そっか、やぶさか☆つーーー♪ と同じだね!」
「さすらいの料理人の噂を聞きつけやってきたわたし達の名は……そう、やぶさか☆つー!」
2人そろって横ピース!
決まった。一仕事(?)終えたところで、メニュー表と睨めっこする杏。
「まつりんは何頼む? シェア、しようね? しぇあ」
「いいね、しぇあ!」
なんか変身して飛び出しそうな勢いで賛成する祭莉。
「そこのトリオなカラスさん達も良ければ色々シェアしよう」
杏が、そばで忘年会モードになっている三羽ガラスに誘いかけた。
「そーそー♪ カラスさんたちもじゃんじゃん注文しちゃってー」
「えっ」
「いいの」
「かい」
お酒も入っていい感じに食欲エンジン全開な三羽ガラスが、祭莉達の太っ腹ぶりに歓声を上げた。
「残しても残したくなくても、アンちゃんがちゃんとシェアしてくれるから安心していいよ♪」
「よーし、それなら遠慮なく今日は宴だ!」
「それじゃあコレとコレと……」
「ついでに酒もおかわりだ」
ますますご機嫌なカラス達。
既に彼らも『超一流』な料理を食しているようだが、不味いならこんなテンションにはならないだろう。でも酔っ払いさんだし大丈夫カナ? 祭莉は思った。
やがて、注文の品が次々と杏達のテーブルに届けられる。
杏が頼んだのは、最近ちょっとハマっている中華的お料理。
中華丼に麻婆丼、鶏の骨付き唐揚げに、エビチリ。そして回鍋肉。超一流の街中華祭りの始まりだ。
見た目は及第点。しかし肝心かなめはやはり味。いざゆかん、実食の時!
ぱくっ。
「んん!」
味は、意外とそれなりだった。ちょっぴり謎のスパイス感……クセこそあるものの、シェフの個性で済ませられる範囲。
回鍋肉のお肉の厚みは、杏判定ではぎりぎり及第点。何より、料理の量は、手放しで褒められる。
「山盛りは、正義」
「そういってもらえると嬉しいわ~」
たんとお食べ。料理を運びながら、杏の食欲を見守るクエルボー氏。
「はあい、こちらもお待たせよー」
どん!
祭莉の前にもお料理到着。割とモノスゴイ速さ。スピードクッキング。
「わあい、お肉にケーキ! クリスマス料理、いただきます!」
祭莉は手を合わせ、礼儀正しくご挨拶!
「もぐもぐ……うん。うん?」
味を探る祭莉。
ステーキの焼け具合はぎりぎりセーフ。ケーキも丸太の感じが出ていて割と芸術点高し。
大事な味は……杏の中華に引っ張られているのか、ちょっぴり方向性がずれている気もした。当たり外れが激しいのかもしれない……。
もくもく。一心不乱に食べ続ける杏。
「……牛肉ステーキにチョコケーキも美味しそう」
「見た目はね?」
祭莉の頼んだ料理をシェアする杏。
「うむ。ボリュームは花丸。ただし味はまだまだ伸びしろあり」
「辛口採点ね~」
杏の忌憚のない意見に、クエルボー氏もたじたじの様子。
「様々なご意見が料理人の腕を上げ未知の美味しさを導き出す。さあ、もっと持ってきて」
杏のオーダーに応えるべく、クエルボー氏は厨房にとんぼ返り。カラスだけど。
「さて」
こそっ。祭莉は、懐的なスペースに手を忍ばせた。
「いよいよ識ちゃんがそっと目配せしてくれたっぽいカレー粉の出番だ!」
クエルボー氏が厨房に引っ込んだ今がチャンス。
「カレー味は全てを覆い隠すんだって。だから、何が来てもヘーキだよっ♪ ヤーッ!」
どばっ。
祭莉のお日様スマイルとともに、料理がカレーになった。
「これはイイな」
「なんならこっちの方が……」
「美味いかも?」
カレー化は、カラス達にも好評のようす。
「どう? 楽しんでくれてるかしら」
新たな料理と共にやってきたクエルボー氏に、祭莉はニコニコ、綺麗にした器をご覧に入れた。
「さあみんなで、ごちそーさまでしたー♪」
もふもふっ。カラス達や杏と、そろってお食事完了な祭莉なのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雨河・知香
クエルボー…メキシコ辺りの出身なのかねえ?
何となく陽気っぽいし。
怪しい事には変わりないしまずは見定めさせて貰うとするかねえ。
酒場に入店。賑やかにしてるみたいだから普通に席に着いて注文。
とりあえずは炭酸水と…お任せ、得意な軽食で頼んでもいいかい?
超一流の料理人がどんな料理を得意としてるのか楽しみだし。
あとはちょいとここ最近冷えてるからスープとかの温まるものも追加でお願いしたいね。
頼まれたクエルボーの反応見つつ客のカラス達に接触。
飲み過ぎてるみたいならお冷頼んだ方がよさそうかねえ。
フラフラになったら後が大変だろうし。
料理が出てきたら頂いて、美味しいならカラスにも勧めるかね。
※アドリブ絡み等お任せ
街のカラス達に猟兵が加わったことで、酒場は盛況の度合いを増していた。
そんな雰囲気に包まれて、席へと案内されたのは、雨河・知香(白熊ウィッチドクター・f40900)だ。
忙しく料理を運んでいるのは、自称・超一流料理人、クエルボー氏。
「クエルボー……メキシコ辺りの出身なのかねえ? 何となく陽気っぽいし」
人当たりも良いようだし、事件だと知らなければ信用してしまいそうな人物だ。
とはいえ、怪しい事には変わりない。まずは見定めさせて貰うとしよう。
良い体格を揺らして、知香の元にやってくるクエルボー氏。
「とりあえずは炭酸水と……お任せ、得意な軽食で頼んでもいいかい?」
「……お任せね! 少々お待ちを~」
一瞬迷いが見えたような気がしたが、ともあれ、知香としても、超一流の料理人がどんな料理を得意としているのか、素直に楽しみなところもある。
出来上がりを待つ間、カラス達の様子をそれとなくうかがえば、皆ご機嫌。料理の味にクレームをつける者はいないようだ。
もっとも、だいたいが酒類を頼んでいるので、その勢いで味が誤魔化されている可能性が無きにしもあらず。
「はいお待たせ~」
サンドイッチ、現る。たっぷりとした肉が挟まれた、豪快料理だ。
「それじゃあ、いただくとするかね」
はむっ。
これはボリューミー。
謎の特製ソースが添えられているようで、複雑な味を感じたが、意外と悪くはない。
「よかった。実践をつんだから一気に腕が上がったわ」
「え?」
聞きようによっては怪しい言葉が来た。
とりあえず『超一流』サンドイッチを平らげた知香は、続いてスープ類を注文した。
「ちょいとここ最近冷えてるから、温まるものが欲しいね」
「ふんふん、それならスープ……? お待ちあれ~」
クエルボーが視線を泳がせたのを捉えつつ、客のカラス達に声を掛ける知香。
「どうだい、料理の味は……って、大丈夫かい?」
「大丈夫大丈夫」
明らかに飲み過ぎている。知香は、お冷を頼み、落ち着かせる。
「悪いな」
「いいんだよ、フラフラになったら後が大変だろうし」
そうこうするうち、スープが来た。
トマトやニンジンといった野菜がたっぷり入った、メインに相応しいボリュームだ。
「うん……これも悪くないね」
敵の料理だろうと、美味しいに越したことはない。
カラス達にもスープを勧めると、一緒に料理を楽しむ知香なのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『海軍中佐・碓氷勇魚』
|
POW : 還らじの海
戦場が【味方不在で周囲にいるのが敵対者だけ 】の場合のみ発動可能。【莫大な北極海の海水を召喚、従属させる海王】形態に変身し、推進力・探知力・隠密力・破壊力が5倍になる。
SPD : 攻性反響定位
【頭部のメロン体 】から大音量を放ち、聞こえる範囲の敵全員を【座標と形状を把握した上で恐慌】状態にする。敵や反響物が多い程、威力が上昇する。
WIZ : 降り止まぬ雨よ、戦地を満たせ
【極寒の空気と共に熱を奪う北極の海水の雨 】を降らせる事で、戦場全体が【凍てつくような水温の深海】と同じ環境に変化する。[凍てつくような水温の深海]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:うぶき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ヴィクトル・サリヴァン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夜も更け、すっかり静まり返った住宅街エリア。
そこに、人影1つ。漆黒の闇に紛れしは、シャチ獣人。幻朧帝国エージェント『海軍中将・碓氷勇魚』。
その屈強な腕には、物騒な形をしたもの……逢魔弾道弾が抱えられていた。
「連中、たっぷりと酒を呑んだはず。今頃すっかり寝入って居る事だろう……はッ」
気配を感じ、振り返る碓氷。そこには、カラス三人組が揃っていた。
「何故ここに? それに、あれだけ飲み食いして、どうしてそんなにしっかり立っていられる」
正気を保った三組が、碓氷を睨む。
「猟兵さんが教えてくれたんだよ」
「あんたがどうにも怪しい、ってな。『クエルボーさん』」
「気付けもしてもらったしな。さて、何が目的で俺達を酔わせたんだ?」
『クエルボー』……碓氷が、やれやれ、と肩をすくめた。
「逢魔弾道弾を炸裂させるのは、お前達が住むこのポイントが最良だとわかった。だが、気づかれては困る故」
料理人に扮して、三人組を店に集め、たっぷり酔わせて多少の物音にも気づかぬようにしてやった、というのが碓氷の弁であった。
「そんな……俺達が邪魔なら、さっさと殺すなりすればいいだけだろ」
「どうしてそんな回りくどいことをしたんだ」
「答えろ」
三羽ガラスの問いに、碓氷は口の端をゆがめた。
「ただ殺すなどつまらんだろう。せっかくこんな兵器まで使うのだ。1人でも多く、逢魔が辻に苦しむ者を見たい……それが『人情』というものではないか?」
ニヤリ。碓氷が邪悪な笑みを浮かべた。
悪だくみ許すまじ。怒れるカラス獣人達とともに成敗するのだ!
儀水・芽亜
よくもまあ、カラス獣人に化けていたものです。ですが、それもここまで。
遙々幻朧帝国からお越しのところすみませんが、早々に骸の海へお帰り願います。
三羽烏さんはちょっと離れていてくださいね。
私の前で、音を武器にしようとしたのが運の尽きです。
「全力魔法」「音響攻撃」破壊の「属性攻撃」「衝撃波」「マヒ攻撃」「歌唱」でブラストヴォイス。
どうです、痺れるでしょう? あなたの放つ音なんて、「狂気耐性」の前には意味をなしません。
相手を一時的に制圧できたら、カラスの人たちに声をかけましょう。
さあ、三羽烏の皆さん、今のうちに悪党を懲らしめてやってくださいな。今ならろくに反抗も出来ません。
悪は滅ぶのみです。
正体見たり、シャチ獣人!
変装を解いた『碓氷勇魚』と、三羽ガラスがにらみ合う路地裏。
カラス達に加勢したのは、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)である。
「よくもまあ、あのようなカラス獣人に化けていたものです。ですが、それもここまで。遙々幻朧帝国からお越しのところすみませんが、早々に骸の海へお帰り願います」
「海は好きだが、骸の海ならばそうもいかん。手間暇かけて『前菜』を用意したのだ。『メインディッシュ』を残していけるものか」
碓氷が、自慢の銛を構えた。
「三羽烏さんはちょっと離れていてくださいね」
「わかったよ」
「無理はしないでくれ」
「恩人に倒れられちゃあ寝覚めが悪い」
ばさっ、と羽ばたき、一気に距離を取る三羽ガラス達。彼らの力を借りるのは、もう少し後だ。
「無駄な殺しはしないが、任務を妨害するならば排除する!」
碓氷が、軍帽を取り、頭のメロン体を露わにする。
直後、芽亜と周囲が揺れた。
辺りに響き渡る大音量。もはや隠密に事を進める段階ではないという割り切りか。
住宅街に反響した音波は、芽亜をも恐慌状態に陥れんとする。しかし、芽亜は動じる素振りの片鱗さえ見せない。
「私の前で、音を武器にしようとしたのが運の尽きです」
芽亜が、口を開いた。
その可憐な容姿からは想像もできない音声が、碓氷の凄まじき音波を上書きした。
「!?!?」
とっさに音を遮断しようとした碓氷だが、その抵抗すらも突き抜けて、芽亜のブラストヴォイスは、そのシャチボディの隅々にまで浸透した。
「どうです、痺れるでしょう? あなたの放つ音なんて、『狂気耐性』の前には意味をなしません」
「……!」
反論しようとした碓氷だったが、全身が痺れ、ユーベルコードはおろか、単語1つも発する事の出来ない状態。
とはいえ、一時的な制圧。この時間を有効活用しなくては。
「さあ、三羽烏の皆さん、今のうちに悪党を懲らしめてやってくださいな。今ならろくに反抗も出来ません」
「わかったっ」
「料理でおれ達を釣ろうとは」
「許せん!」
怒涛の勢いで、爪でひっかき、羽ビンタを浴びせる三羽烏の面々。
碓氷が成敗される光景を見て、因果応報だと頷く芽亜だった。
「悪は滅ぶのみです」
大成功
🔵🔵🔵
雨河・知香
まさかシャチが入っていたとはねえ…最初からシャチのまま旅の料理人でよかったんじゃ?
特徴的で目立つし変装も美学?
…あの変装相当無理が…いやツッコまないでおくよ。
料理は悪くなかったけどこの街を滅茶苦茶にさせはしない。
逢魔弾道弾ごとお引き取り願うよ!
三羽烏が仕掛けてる所に更に追撃を仕掛ける!
UC起動、偽の満月を浮かべ一気に切り込んでラッシュでぶん殴るよ!
大音量に驚かされるかもしれないがそこは持ち前の気合と負けん気で足を前に、拳を突き出して音の発生源叩き潰して黙らせてやる!
反響でこっちの位置とか探って躱そうとしつこく喰らいついて殴れば凌ぎきれなくなる…カラスの皆もいることだしね!
※アドリブ絡み等お任せ
猟兵と三羽ガラスを一度に相手取るのは、さすがに一苦労か。
さっそく苦戦を強いられる『碓氷勇魚』へと、雨河・知香(白熊ウィッチドクター・f40900)が疑問を口にした。
「まさかシャチが入っていたとはねえ……最初からシャチのまま旅の料理人でよかったんじゃ?」
「木を隠すには森の中、あるいは郷に入っては郷に従えというではないか」
答える碓氷は、真顔だった。
「うーん、一理ある……? 特徴的で目立つし変装も美学?」
けどあの変装相当無理が……いや、知香は、あえてツッコまないでおく事にした。
「ともかく、料理は悪くなかったけど、この街を滅茶苦茶にさせはしない。逢魔弾道弾ごとお引き取り願うよ!」
「こちらもエージェントのプライドがある。退けぬのさ!」
ぶつかり合う2人の獣人。そこに加わる、黒影3つ!
「助太刀するぞ!」
「飯と酒で釣ろうなんて輩は」
「成敗してやる!」
碓氷へ集中攻撃する三羽烏。舐められたことへの怒りがひしひしと感じられた。
勇敢なる烏たちが仕掛けるのに乗じて、知香が追撃した。
「未覚醒な今のカラスどもに何が……むっ?」
連続攻撃をいなしていた碓氷は、不意に異変を察知した。
見上げた空には、見慣れぬ月。
「満月……だと?」
月は月でも、知香の浮かべた偽物。だがユーベルコードだ。
身体に力がみなぎるのを確かめた知香は、一気に敵へと切り込んだ。巻き込まれまいと、慌てて碓氷から離れる三羽烏。
突然三羽の攻撃が止んだことにより、碓氷のリズムが崩れる。そこに、知香のラッシュが炸裂。
怒涛の拳打が、碓氷の全身を揺るがしていく。
「ふんっ、いいパンチだ白熊……だが!」
碓氷は、浴びた衝撃を逆手に取った。かぶった軍帽を巧妙にずらすと、頭部に備わった器官……メロン体の機能を発揮した。
発せられた大音量が、知香に襲い掛かる。
「!?」
相手の能力を把握していても、この音にはやはり驚かざるを得ない。
だが、知香は、耐えた。
銀月の超再生能力に加えて、持ち前の気合と負けん気で押し返されるのを堪え、前に踏み出す。
拳を突き出し、ありったけの力で、メロン体を叩き潰す!
「がはッ!!」
このままではいけないと、距離をとる碓氷。
音による反響効果で、知香達の位置を把握。それをも利用して攻撃を躱そうとする碓氷だったが、知香はあきらめない。
三羽ガラスとともに、何度も喰らいつき、碓氷を劣勢に追い込んでゆくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
クエルボー、わたし達を騙してた
あの羽毛がニセモノだっただなんて、鳥族の風上にもおけない!
…
……
んむ?魚?
魚は…三枚におろす(こく)
まつりん、カラスさん達、協力していこ
UCで先読み
大音量、くる。皆、耳塞いで
とっさでも多少は効果あるかな
でも…、う、この心臓がばくばくしてパニック感に苛まれる心持ち
こういう時は、ちらとまつりんの顔を見る
いつも見慣れたお日様笑顔、どんな時も(たまにたまこ見てすごい顔してるけど)変わらなくて心が落ち着く
ん、よし
灯る陽光は巨大刺身包丁型に変えて
恐れも、不安も、お昼に食べた中華な美味しさで蓄えたチカラ(※怪力)に込め
さあ、いざ三枚おろし
木元・祭莉
えっ、クエルボーさん、敵えーじぇんとだったの?
アンちゃん(f16565)とお料理上手だねって感心してたのに!
まいっか、次の料理の注文はね。
逢魔だんだだん料理がいいな、こっちへ頂戴♪
花狼咆哮スイッチオン!
アンちゃんには母ちゃんの歌を聞かせて正気に。
元クエルボーさんは父ちゃんの歌を喰らえー♪(陽気な超調子外れの歌で対抗)
あ、元クエルボーさんもスピーカー(メロン)持ちなんだ。
じゃあソコ叩けば音量も下がるかな?
如意な棒をさっと取り出し。
カラスさん方と飛び回りながら、タマイタチ乱射!
メロンにぶつけて目眩まし、五感を撹乱!
うまく誘導できたかな?
そうそうまっすぐ。
目の前にはアンちゃんの三枚おろし包丁だよ!
「やはり陸の上では本領が発揮できないか……!」
思わずこぼれる負け惜しみ。
態勢を立て直そうとする『碓氷勇魚』を、気配が振り返えらせた。
そこには驚き顔をした木元・祭莉(ちょっと影のあるかっこよい感じ・f16554)が立っていた。
「えっ、クエルボーさん、敵えーじぇんとだったの? アンちゃんとお料理上手だねって感心してたのに!」
純真なる祭莉の心は裏切られた。
幼子(?)の絶望を見て取った碓氷は、ニヤリと邪悪に笑った……。
「まいっか、次の料理の注文はね。逢魔だんだだん料理がいいな、こっちへ頂戴♪」
「何という切り替えの早さ……! だんだ……逢魔弾道弾は渡さん。残念だが、『逢魔ヶ辻』を見る事なく地獄へ行くがいい」
祭莉に一瞬調子を乱されながらも、碓氷は臨戦態勢リターンズ。
しかし、そんなシャチ獣人は突然、怖気に襲われた。
恐怖の視線をたどれば、木元・杏(杏世界の真実・f16565)。たたえるは、静かな怒り風味。
「クエルボー、わたし達を騙してた」
「そうさ。超一流どころか、料理などろくにしたことはない。検索したレシピを忠実に再現しただけにすぎ……」
「あの羽毛がニセモノだっただなんて、鳥族の風上にもおけない!」
「そっち?」
エージェントの素・ツッコミ。
今やふっくらカラスはいなくなり、中から現れたのはシャチ獣人。杏を絶望させるには十分な、だまくらかしっぷりであった。
……。
…………。
「んむ? 魚?」
そう、魚人。
「魚は……三枚におろす」
「三枚、だと……?」
戦慄する碓氷に、こく、とうなずき、杏は戦いを始めた。
「まつりん、カラスさん達、協力していこ」
「任せてくれよ」
「奴の動きもわかってきた」
「足手まといにはならないぜ」
「よーし、みんなでゴー!」
祭莉の合図で、皆は一斉攻撃に移った。即席ユニット『やぶさカラス』の出番だ!
料理は守備範囲外でも、戦闘ならプロフェッショナル。対抗してくる碓氷の挙動を、杏は、きゅぴーん、と先読みした。
「大音量、くる。皆、耳塞いで」
次の瞬間、大音量が戦場に響き渡った。
帽子を脱ぎ、碓氷が杏達に披露したるはメロン体。
杏の警告が役に立ち、三羽ガラス達も聴覚を封じるのに間に合ったが、体を振動させられてしんどそう。
杏も、大気の振動には耐えられたものの、何やら心が落ち着かない。
「う、この心臓がばくばくしてパニック感に苛まれる心持ち」
目の前の碓氷は、もふもふなどとは一切無縁な邪悪スマイルで、杏の不安をいっそう掻き立ててくる。
こういう時は、処方箋。
杏は、ちら、と傍らの祭莉の顔を見た。
そこには、いつも見慣れたお日様笑顔。どんな時も……たまにたまこ見てすごい顔してるけど……変わらぬその表情は、杏の心に落ち着きを取り戻させてくれる。
「ここで花狼咆哮、スイッチオン!」
祭莉が、杏達に歌を届けた。
「母ちゃんの歌で正気に戻って!」
聞きなれた祭莉の歌が、杏に平穏をもたらす。
三羽ガラス達も、どこか懐かしさ漂うメロディに癒され、碓氷の音の効果から脱していく。
「ん、よし」
きりっ。杏は調子を取り戻した。いつも通りの祭莉がいてくれれば、元気百倍!
杏が落ち着いたのを確かめた祭莉は、元凶……碓氷を振りむき、えいっ、と転調!
「元クエルボーさんは父ちゃんの歌を喰らえー♪」
ぼえええ~♪
陽気な超・調子外れの祭莉ソングが、碓氷の大音量とぶつかった。
「こっ、これは~」
「これも音響攻撃なのか」
「歌合戦か……!」
繰り広げられるカラオケ・バトルに、三羽ガラスが妙に感心。
「元クエルボーさんも|スピーカー《メロン》持ちなんだ。じゃあソコ叩けば音量も下がるかな?」
祭莉は、如意な棒をさっと取り出した。
「三羽烏さん達、いくよー♪」
「「「おーっ!!!」」」
祭莉&三羽ガラスの合体攻撃!
飛び回るカラス達と連携し、祭莉は如意な棒を振り回す。
「どこを狙っている?」
「ふっふーん、ドコカナ?」
空振りをあざ笑う碓氷に、祭莉は得意げ。
それもそのはず、棒が薙いだ虚空から、タマイタチ……たまこ型カマイタチ乱射!
「ぐっ!?」
乱れ打ちが碓氷の身体を、次々刻む。やがてメロン体に直撃、反動で目眩まし、五感を撹乱された。
「こっちこっち、シャチさん手の鳴る方へ~♪」
「くっ、鬱陶しい技を!」
銛を雑に振るいながら、祭莉を追い込んでいく碓氷。だが、誘導されたのは、碓氷の方。
「そうそうまっすぐ。目の前にはアンちゃんの三枚おろし包丁だよ!」
「何ッ!?」
にぱっ。
祭莉の笑顔と入れ替わり、閃く刃。
ここからは、『灯る陽光』の出番。しゅらっ、と研ぎ澄ましたその形は、巨大刺身包丁。
恐れも、不安も、お昼に食べた中華な美味しさで蓄えた|チカラ《怪力》に込めて。
「さあ、いざ三枚おろし」
ずばっ。
杏の巨・斬撃が、碓氷に振る舞われた。
「ふっ、決まった」
きりりっ。
杏が、刺身包丁を地面に突き立てる後ろで、碓氷が見事に『料理』されたのであった。
そして夜が明ける。
カラスな料理人を偽ったエージェントは倒され、幻朧帝国の目論見はまた1つ潰えた。
「カァ、助かったよ」
「また何かあるといけないし」
「俺達も鍛えておくことにしよう」
三羽カラスに見送られ、街を後にする猟兵達。
カラスの真なる|夜明け《めざめ》も、すぐそこまで近づいている。
大成功
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