●宇宙の海、星の海
宇宙。その広さはほぼ無限。様々な計算により予想を立てることは出来ても、実測した者はいない。そしてその広大な宇宙の果てに何があるかを知る者もまたそういない。
しかし、ここにそれを知る者がいた。
「目指すは
超機械! この宇宙を征服し、そいつを手に入れるんだぜ!」
彼女の名はエル・ティグレ。アスリートアースのサッカー・フォーミュラであり、帝都櫻大戰にてヒーローズアースへと救援に来た頼もしき助っ人である。
そのままこの世界に取り残された彼女だが、元の世界に帰還するために必要な『
超機械』なるものの存在を突き止めそれを入手するべく宇宙を征服せんとしていた。
「よろしく頼むぜチャンピオン!」
「任せて!」
近くの宙域で偶然知り合った機械スーツ姿の少女に声をかけるエル・ティグレ。チャンピオンと呼ばれたその少女も、周囲に武装したドローンを浮かべて明るく答える。
「しかしお前随分細いな。ちゃんと食ってるのか?」
「うーん、別に普通じゃない? どっちかって言うとエルさんがごっついだけだと思うけど。あ、でもメリンダさんとかもあたしの頭が全部入るくらいは……」
雑談しながら宇宙を進む二人。女子らしく?体系の話題に花を咲かせている所でその前を遮るものが現れた。それは。
「なんだこりゃ……」
無限の宇宙を埋め尽くすほどの肉の山であった。
●そこに広がる肉の海
「ああもうこの感覚……久しぶりですね全く……」
グリモア猟兵ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)のボディ花園・桃姫が呟く。しかしその表情は何かを懐かしんでいるようなものではなく、怒りと苛立ちに満ちた夜叉の形相であった。
「はい、9月の戦争で色んな人が助けに来てくれましたね。で、その人たちはみんな取り残されました。なのでヒロアス担当だったサッカー・フォーミュラのエル・ティグレさんを助けに行ってあげてください」
帝都櫻対戰で異世界へ救援へ訪れた数多の強者。未だ元の世界に戻れぬ者も多く、サッカー・フォーミュラのエル・ティグレもその一人である。
「彼女はヒーローズアースの宇宙にたった一つある
超機械なるものを求め、サッカーで宇宙を征服しつつそれを探しているようです。彼女の前に立ちふさがるオブリビオン組織との戦いに手を貸し、彼女を助けてください」
相手は普通に格闘戦をしてくるが、エル・ティグレはあくまでサッカーで戦うようだ。
「まずは『洗脳されし女子相撲部員』との対戦です。彼女たちはボスが地球から拉致して洗脳した一般人ですが、なぜか数千から数万います。倒せば正気に返るので、遠慮なくぶっ倒してください」
その名の通り相撲技を主体に戦ってくる。肉体の強さも集団オブリビオンとしては並程度にはあるらしい。
「それで劣勢を悟ると、相手はボスを出して来るのですが、それがまあなんというかその……」
そこで桃姫が心底嫌そうな顔をして言い淀む。その様子に早く言えと誰かが急かすと、桃姫が小声でつぶやいた。
「……肉です」
は?
「肉ですよ! 『『贅肉を与える者』ミートギフター』っていうめちゃくちゃ肥ったオブリビオンです! 相手を太らせまくる技ばっかりの肉オブリビオンです!」
ブチ切れて桃姫がまくし立てる。それと同時に桃姫が異様に不機嫌な理由に納得のいった猟兵もいたかもしれない。
「こいつ自身結構強い上に、配下も周りをがっつり固めてます! だからエル・ティグレさんと一緒にディフェンスをすり抜けるなり蹴散らすなりして倒してください!」
ボスを倒せば残る相撲部員の洗脳も一斉に解けるという。あくまで狙うはボスの首のみということだ。
怒鳴り終わって荒く息をつく桃姫。
「……で、こいつは自分や配下を太らせるための超高カロリー食材をたくさん持ってるみたいで、倒したらそれを奪取できます。なんでエル・ティグレさんや他の人たちと一緒にご飯作って食べてはどうでしょう。よければ私も手伝いますんで」
肉でブチ切れた舌の根も乾かぬ内のこの発言。その結果が猟兵たちの前で揺れる衣装に収まらない様々な巨肉なのだろう。
「あ、それとエル・ティグレさんはラグランジュポイントから宇宙征服に出発したんですけど、その過程で知り合ったラグランジュポイント民の強化人間の方が一時同行しています。彼女も結構強い上に猟兵とも親しいので、気が向いたらサポート役として使ってはどうでしょうか」
宇宙征服を公言している相手に従っていいのかという感じもするが、何しろスポーツマンシップなど一切ないガチの侵略宇宙人に隷属させられていたのがラグランジュポイントである。それに比べれば何のこともないということなのだろう。
「でも彼女主にアカリの予知で出てきた人じゃないですか。ていうかヒロアスの予知って基本アカリでしょう。それを破るくらいに私が必要なんですか? 何で? 慣例を破るくらい肉がそんなに大事なんですか?」
また桃姫がブツブツ言い始めた。そんな彼女を横目に見つつミルケンが触手を伸ばして開けた転移をくぐり、猟兵たちは宇宙へと旅立つのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。今回はヒーローズアースでの三章構成です。
第一章では『洗脳されし女子相撲部員』との集団戦。相手は実力は集団型相応ですが、その名の通り相撲技で戦い、数千~数万の凄まじい数がいます。彼女たちは洗脳された一般人ですが、倒せば解放できるので遠慮なく倒してください。
第二章では『『贅肉を与える者』ミートギフター』とのボス戦。彼女は相手を太らせる技を多用するほか、周囲は常に相撲部員たちに守られています。そのディフェンスを何とか突破しボスを倒してください。
第三章ではボスからぶんどった高カロリー食を使って食事会。敵は食材と完成品両方を持っているため、作る所からでもひたすら食べるだけでもOK。エル・ティグレや後述のヒーロー、正気に返った相撲部員の他、この章に限りお呼びいただければミルケンも参加します。ボディのご指名も可。
今回は全編にわたりサッカー・フォーミュラのエル・ティグレが登場します。このシナリオで得た🔵の合計が「299個」を超えると、エル・ティグレは異世界へと渡る為の
超機械を手に入れ、アスリートアースに帰って行きます。
また、ラグランジュポイント出身のヒーローもお手伝いに登場します。以下詳細。
セレス・ダイアリー 強化人間のアームドヒーロー×電脳魔術士(16歳、女)
地上に興味を持つラグランジュポイント出身者。猟兵発案で開発された武装ドローンを操作する天才型強化人間。反射的な思考力が高いが、テンションに任せて行動する癖がある。体型は痩身貧乳だが別にコンプレックスとかはない。
猟兵を手伝っての猟書家やミストレス・バンダースナッチとの交戦経験もあり、猟兵に関しての信用や理解度はかなり高め。エル・ティグレとはUFOをヒッチハイクされて意気投合。
オープニングの通り、肉系のネタシナリオです。敵のUCはもちろん、三章の食事も瞬時に肉になったり特定部位だけが太ったりするほどの謎の即効性があったりするかもしれません。ちなみにエル・ティグレは通常は
見た通りの体型ですが、高カロリーを取って膨れても戦いに勝利すれば圧倒的代謝でそのうち戻るのであまり気にしません。
それでは、プレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『洗脳されし女子相撲部員』
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POW : 張り手
【張り手】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 鯖折り
【敵に抱きついて】から【きつく締め上げる鯖折り】を放ち、【痛み】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 相撲投げ
レベル×1tまでの対象の【腰部分】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
イラスト:すねいる
👑11
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宇宙征服による
超機械奪取を目指し宇宙を進むエル・ティグレ。その前に現れたのは、重量級の肉体を持った女子高生の大集団であった。
「ここは我々ミート軍の支配宙域である! 貴様らのような体形の連中を黙って通すわけには行かない!」
エル・ティグレの引き締まった肉体や、彼女をピックした強化人間セレス・ダイアリーの細い体を指し宣言する少女たち。
「ならばオマエらを倒しここもアタシのものにしてやるだけだ! 行くぞチャンピオン!」
「オッケー!」
しなやかな脚でボールを蹴り上げるエル・ティグレと、重武装したドローンを浮かべるセレス。
個々の実力で言えば、エル・ティグレはもちろんセレスも目の前の女子高生たちを軽く超える実力がある。だが、女子高生側にはそれすら覆す圧倒的有利があった。
「……でもさ、流石に多くない?」
女子高生の数は少なく見積もっても数千。その圧倒的な肉体が星雲の如く群れ集い、しかもどこからか湧いてきて補充されているような気さえする。
「問題ない。このアタシのギャラクシィサッカーに敗北はない! 不戦敗以外で!」
何か実感の籠った言葉と共に相手を睨むエル・ティグレ。
とは言うものの、さすがにこの数は如何に彼女とは言え多少の苦労もあるだろう。彼女の
宇宙侵略がまだ続くことを思えば、疲労は少ない方がいい。
さあ
猟兵たちよ。肉の銀河をかき分けんとするサッカー・フォーミュラの道行きを、行き会った少女共々手助けしてやるといい!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
お二方がご一緒とは、奇縁ですねぇ。
宜しくお願い致しますぅ。
『FAS』で機動性を確保、『FPS』で戦域情報を集めまして。
【張り手】は近距離前提、『FLS』の空間歪曲で接敵を抑え、『FIS』の転移で躱せば良いですぅ。
そして【饈庙】を発動、戦場全体に『饞域』を形成しますねぇ。
『拘束』で彼女達の接近を抑え、洗脳元となる力を中心に『吸収』してしまえば、超多数相手でも纏めて対応可能ですぅ。
個体差故に抵抗力の高い方は、セレスさんとエルさんに[追撃]願いますねぇ。
まあ、これ程多数の方々から『洗脳用のエネルギーや与えられたカロリー』を吸収する以上、この時点で凄まじい状態になりそうですが。
アスリートアースへ帰還するためのエル・ティグレの宇宙征服。それに同行したのは、ラグランジュポイント出身の現地ヒーローセレス・ダイアリー。
本来出会うことなどないはずの二人の道行きは、彼女らを知る者ほど奇妙に見えるだろう。
「お二方がご一緒とは、奇縁ですねぇ。宜しくお願い致しますぅ」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はサッカー・フォーミュラであるエル・ティグレはもちろん、セレスの事も知っていた。
「あ、久しぶり! なに、こいつもスナークとかいうやつなの?」
猟書家との戦いを知っているセレスはその経験をもとにそう言うが、エル・ティグレの方は少々困惑気味。
「何でここにきてやがるです? この程度アタシとこいつだけで十分だぜです!」
頑張って使うエル・ティグレ式敬語にセレスが怪訝な顔をするが、るこるはとりあえずそれはそのままにしておきセレスの方に主に答える。
「いえ、それとは違いますが、倒していかなければいけないのは同じですねぇ」
敵である『洗脳されし女子相撲部員』は主に自身のホームであるギャラクティック土俵に布陣している。その重力圏の中でるこるはうきあがりつつ結界を張り、相手を待ち構えた。
「その巨体は中々だが我々ミート軍に敵するなら容赦しない!」
それに向かって突っ張りながら一斉に殺到する相撲部員たち。突き出す張り手は宇宙も揺るがす超威力だが、そのリーチは30cm限りであり結界を突き抜けて相手に届くほどの長さはない。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その嗜食の理をここに」
その状態から【豊乳女神の加護・饈庙】を発動、それによって敵の肉を吸収しようとするるこる。
「うおぉ、あたしの腹がっ!?」
力士としても豊かな相撲部員たちの腹がみるみる凹んでいく。その肉片を喰らう力は肉を力とする相撲部員達にはまさに効果覿面であった。
目の前で体を軽量化させそのまま倒れていく相撲部員たち。しかし、彼女たちの力の源は肉であり上級の力を持つ者ほど肉を奪われても倒れるまでの時間は長い。
「幕下などと一緒にするな、ちゃんこで蓄えられた我々の肉は無尽蔵よ!」
実力の高いものが精鋭部隊となって殺到し、結界さえ乗り越えるこるに迫る。
「それでは、お二人ともお願いしますぅ」
「おっけー!」
「任せろでございます!」
そこはセレスのドローンから放たれる極大ビームと、エル・ティグレの強烈なシュートが炸裂。肉を吸収されている分実力が下がっていることもあり、簡単に相撲部員たちは蹴散らされた。
そのまま二人の活躍によって倒されていく相撲部員たち。結果として吸収しただけでるこるはそれ以上攻撃する必要はなくなったのだが、それはつまり吸収したエネルギーを発散する機会もないということ。
これだけの多人数から、それも変換なしの肉パワーを吸収したるこるの肉体は相応に膨れているわけであり。
「……これ、大丈夫なのかです?」
「あー……まだ多分大丈夫っぽい。メリンダさんが言ってた」
二人合わせてもおよそ足りないほどの体に膨れたるこる。それを次の戦いで使うことになるのか、あるいは。それはまだ先の話となるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【SPD判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪
うわぁ~お♪
これはとんでもない数だね♪
でもまあ、クローネちゃん達ならなんとかなるでしょ!
せっかくだし、エル・ティグレに合わせてサッカーで戦うね♪
クローネちゃんとエル・ティグレとセレスちゃんの三人による【連携攻撃】を見せてあげるよ★
UCは『ワタシのソロモンの悪魔変身』
ソロモンの悪魔形態に変身するよ♪
物理攻撃無効のこの姿なら鯖折りされる事は無いはず★
【見切り/身かわし】によるディフェンスすり抜けや【電撃】を纏わせたシュートで戦うね♪
戦場となるギャラクティック土俵に溢れる『洗脳されし女子相撲部員』の並ぶ数は数千、あるいは数万。見える範囲を埋め尽くすその肉量はなかなかお目にかかる機会などないほどのものだ。
「うわぁ~お♪ これはとんでもない数だね♪ でもまあ、クローネちゃん達ならなんとかなるでしょ!」
クローネ・マックローネ(
闇と
神を従える者・f05148)もそれに感嘆の声を上げる。
そしてその相撲部員たちは、当然ながら全員腰を落とし手を地に着け、相撲スタイルでの戦いを挑んでくる構えを見せていた。
しかし、クローネはそれに付き合うつもりはない。
「せっかくだし、エル・ティグレに合わせてサッカーで戦うね♪クローネちゃんとエル・ティグレとセレスちゃんの三人による【連携攻撃】を見せてあげるよ★」
何しろこちらにもその道の専門家が味方にいるのだ。ならばそちらの方に合わせた方が何かといいはず。その意思を伝えれば、エル・ティグレはボールを蹴り上げ答えた。
「任せろください!」
「任せて!」
セレスもドローンを浮かべ返事。そしてこちらのキックオフ、相手のはっけよい残ったとともに双方がぶつかり合う。
「どすこぉい!」
一気に押し寄せる相撲部員たちのぶちかまし。それはクローネやエル・ティグレは素早く避けてセレスはドローンに持たせた巨大ビームを撃って押し返すが、それで数十人をいなしてもそれでもなお後続は絶え間なくやってくる。
「捕まえたっ!」
やがて、一人の相撲部員がクローネを捉えた。その肉大量の体に蓄えられた力はすさまじく、クローネの体をぎりぎりと締め上げていく。
「ご主人様、大丈夫かです!」
エル・ティグレが声を上げるが、彼女自身相撲部の掴みかかりを躱しては蹴り返すので精一杯。さらにセレスは本人は直接戦うのが苦手で前には出られないこともなり、二人とも中々救援にはいけないでいた。
だが、その状態でもクローネの表情は曇らない。
「このお肉の感触は悪くないんだけど……」
自身に鯖折りをかける相撲部員の感触を味わいつつも、このまま占められていては埒が明かない。
「クルクルクログロクローネちゃん♪ビリビリパワーの悪魔ちゃんになぁ~れ★」
クローネは【ワタシのソロモンの悪魔変身】を使い、全身を電撃を放つ悪魔へと変えた。肉の中からいきなり放電を喰らった相撲部員は鯖折り体制のままで痙攣し、その間にクローネは自身の体の不定性を活かしするりと抜け出した。
その状態のクローネには物理主体である相撲部員は手が出せない。ならばとエル・ティグレやセレスの方に多くの相撲部員が殺到しようとした瞬間、その間をすり抜けクローネはエル・ティグレの方へと一気に這いよった。
「それじゃ、ゴール決めちゃおう♪ 二人とも、パスよろしく★」
クローネの声に、エル・ティグレがまずセレスの方に銀河パワーを込めたギャラクシィなパスを出す。そしてセレスはドローンの巨大ビームをそこに当て、そのエネルギーをボールに飲ませた状態でクローネの方へと撃ちだした。
そしてクローネが、タールの全身をばねのようにしならせて伸びた脚をそこに叩きつける。
「そーれ、イっちゃえ★」
稲妻の魔法を全力でこめた協力シュートが、相撲部員の群れを一気になぎ倒しながらエル・ティグレの元へと帰っていった。
「ナイスゴール! でござりやがります!」
それを自身の大きな
胸でトラップし受け取るエル・ティグレ。その姿を敵がいなくなり開けた視界でクローネはしかと見るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
全会原・タイガ
アドリブ・絡みOK
宇宙でも肉からは逃れられねぇのか……
敵の攻撃をUCで召喚した拳で受け止める!そのまま敵を纏めて掴んで他の敵に投げつけてやる!洗脳されてる子たちには悪いが遠慮なくいかせてもらうぜ!
洗脳されてこの宇宙の果てに連れてこられた相撲部員たちは圧巻の肉を持っている。
「宇宙でも肉からは逃れられねぇのか……」
全会原・タイガ(男は度胸!女でも度胸!・f23916)は己に付きまとう逃れ難き宿命に嘆きながら、宇宙のステージに降り立つ。
その姿を見つけた相撲部員たちはめいめいにタイガの体に遠慮ない視線を注ぎ、その体を検分。
「その体の重量感はかなりのもの……だが我々の重さには叶うまい!」
そう言って少女たちは低く構え、一気に立ち合いからぶちかましをかけてきた。
その大砲の如き突進を、タイガは避けることなく正面から待ち構える。
「この拳からは逃げられねぇぜ!」
その場で【毘津愚判怒】を突き出し、相撲部員たちを正面から受け止めた。真っ向から高速で向かってくる手に反応できず、相撲部員たちはそれに何人もまとめて捕まってしまう。
「くそ、離せ!」
手の中で少女たちが藻掻くが肉厚の手はその程度ではびくともしない。
「うおらぁ!」
その後ろでタイガが大きく手を振ると、それに連動するように半透明の手も大きく振り回され、そのまま後続の部員たちに捕まえた少女たちを叩きつけた。
「洗脳されてる子たちには悪いが遠慮なくいかせてもらうぜ!」
KOすれば洗脳は解けるという話だ。だから今のダメージは我慢してもらうとして、タイガは次々と相撲部員たちを投げ飛ばしていく。
しかし、圧倒的な相撲部員たちの数は巨大な手をもってしても覆いきれるものではなく、横側から回り込んでついにタイガを捉えた。
「どすこぉい!」
そのまままわしを取っての下手投げ。地面に転がされたタイガに次の部員がすぐ掴みかかり、同じように投げ飛ばしてダメージを与えていく。
「くそっ、強ぇ……」
圧巻の体格から繰り出される投げを何度もくらい、流石に被害甚大なタイガ。だがそこに別の者が割り込んだ。
「その丸っこい体をシュートだぜ!」
「それじゃあたしはヘディング!」
エル・ティグレがタイガに掴みかかろうとしていた相撲部員を蹴り飛ばし遠くへ吹っ飛ばす。さらに上からかかっていた部員はドロンが高速で下方から急上昇し、上空へ向かってかちあげた。
「あ、ああ、すまねぇ……」
間一髪のところで助けられ、例を言いながら立ち上がるタイガ。
「肉厚なお陰で衝撃はなかったみたいだなです!」
「あたしはそーゆーのないからわかんないけど!」
その時かけられた二人の全く悪意のないその言葉が助けになるかは、また別の話ではあるのだったが。
成功
🔵🔵🔴
迅雷・電子
【心情】とりあえず黒幕を倒すためにも洗脳されてるあの相撲部員達をどうにかしなきゃね!大学の相撲部ではいつも稽古でたくさんの先輩後輩とぶつかり稽古してんだ!怯まないよ!さあ行くよサッカー娘達!
【作戦】【怪力】で組んでくる相撲部員達のまわしをつかんでぶん投げたりして周囲の部員達に【恐怖を与え】、恐れた所を【2回攻撃】の連続つっぱりを繰り出してどんどん進んでいくよ!そらそら!あたし達のお通りだよ!さすがにこんな数相手にしてられないからね!どんどん進んでいくよ!(絡み・アドリブOK)
洗脳されし女子相撲部員たちは、その名の通りに相撲で戦う女子である。だが、相撲の使い手は敵だけにいるのではない。
迅雷・電子(女雷電・f23120)もまた相撲を行う女性であり、女子相撲部員たちと浅からぬ宿縁で繋がれた猟兵であった。
しかし、猟兵である以上ここで成すべきことは変わらない。
「とりあえず黒幕を倒すためにも洗脳されてるあの相撲部員達をどうにかしなきゃね!」
相撲部員たちは利用されているだけ。その元凶であるボスと戦うためには配下だけではらちが明かないと思わせる必要がある。
「こいつ……我々と同じ相撲取りか!」
相撲部員たちも電子のスタイルを見て何かを感じ取ったのだろう。蹲踞の姿勢を取り立ち合いに備える。
その堂に入った姿勢は洗脳されていても本物。だが電子もそれで怯みなどしない。
「大学の相撲部ではいつも稽古でたくさんの先輩後輩とぶつかり稽古してんだ! 怯まないよ! さあ行くよサッカー娘達!」
エル・ティグレとセレスを従え、時間いっぱい。はっけよいと飛び出し相撲部員とぶつかり合った。
まずは一人の相撲部員と組み合うが、しがみついてくる相手の力と重量はすぐ伝わってくる相当なもの。それに負けずまわしを取り、即座に相手を投げ飛ばした。
一発で派手に倒されるその姿に後続の部員たちは一瞬怯む。しかしどうせ逃げることは出来ないのだからを前を向くが、そこにはすでに電子の巨大な手が突き出されていた。
「どすこぉい!」
その手が突進してきた相撲部員を揺らすと、そこに連続での突き出しがお見舞いされる。
「どすこいどすこいどすこい!!」
電子の【連続つっぱり】が、その相撲部員を押し込みそれをぶつける形で他の部員たちさえかき分けていった。
「そらそら! あたし達のお通りだよ!」
その道を続き、エル・ティグレとセレスもそれぞれの技を使って押し通る。
「アタシのシュートを止められるもんかよ!」
「ツッパリってこーすればいいのかな?」
連続シュートが相撲部員たちの肉をかき分け、セレスは銃武装させたドローンを何度も相手に打ち付けて突っ張りの真似のようなことをしていく。
「さすがにこんな数相手にしてられないからね! どんどん進んでいくよ!」
この相撲部員たちも中々の使い手だが、所詮は高校レベル。大学で揉まれている自分の相手ではない。
真にぶつかるべき肉体を目指すべく、電子はその技で若き相撲ガールたちを押しのけ進んでいくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・スラクシナ
エルーゼ、華澄、ベアトリスと行動
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
UDCでの出来事でクロタの補佐を受けながら戦う。
獣の盟約を振るい見切りつつ刃を振るい対象する。
しばらくすると『邪神の紋章』が怪しく光り『肉体変異』を起こして肥満体へと変化していく。
無意識に起こした『欲望解放』と『肉体改造』が合わさり力士の如き体型へと変化。
筋肉なのか脂肪なのか不明ながら武器を捨て『怪力』『重量攻撃』『乱れ撃ち』『吹き飛ばし』を用いた肉弾攻撃に変化。
自覚無しに思考や常識すら変化してしまっていき体重も増加。
紋章の力は他の人たちにも影響を及ぼしてしまう。
ベアトリス・ミラー
エルーゼ、華澄、アリスと行動
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
アリスの紋章により他の仲間と同じく『肉体変異』を起こして体型変化を起こす。
『怪力』『重量攻撃』による攻撃に加えて『バーサーク』による怯まない状態に『瞬間強化』を用いて攻撃の瞬間に能力を上げる。
『ダッシュ』による移動にも使い素早く移動しては『連続コンボ』を繰り出す。
全員が肉と肉のぶつかり合いを繰り出す中、服に限界が来るが羞恥心などなく。
造り出すものも肥満体の戦乙女など影響も出ている。
藤宮・華澄
アリス、エルーゼ、ベアトリスと行動
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
ラヴェンツァを呼び出す。
アリスの紋章により他の仲間と同じく『肉体変異』を起こして体型変化を起こす。
武器を捨て『怪力』『重量攻撃』による肉弾戦になる。
ラヴェンツァにも影響は出て同じ体型になってしまう。
『瞬間強化』による攻撃が当たる瞬間に威力を上げたり『ダッシュ』に用いたりする。
『オーグメントクッキー』を食べ更なる強化を得ようとする(※)。
※効果はランダムなのでハズレもあり
エルーゼ・フーシェン
アリス、華澄、ベアトリスと行動
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
呼び出していたクロタ、リヴェン。
(うまく立ち回らせるのも苦労する)
四人はある出来事からクロタの『催眠術』をかけられて動いている。
アリスの紋章によりエルーゼとリヴェンたちが『肉体変異』を起こして肥満体へと変化するのを見て思考停止。
武器、魔術を用いず肉弾戦に移行。
(催眠術が解けた?)
ある仮説を立てる。
全員の『欲望解放』により紋章が吸収、それにより六人が力士もどきといえる状態へと変化したと考える。
『怪力』『重量攻撃』による肉弾戦になる。
全員が『肉体改造』と『肉体変異』で重量を増していくのを見ながら距離を取り、宇宙猫になってしまう。
倒せど倒せど減る様子もない女子相撲部員たち。それに対抗するように、次に現れたのは数をそろえた集団であった。
エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)、アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)、藤宮・華澄(戦医師・f17614)、ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)。そして、それらに召喚された者たち。
しかしその様子はどこかおかしい。周囲にいるそれぞれが呼び出した者たちの方が主導権があるかのようにふるまい、本人たちはまるで意識がないかのように朦朧としていた。
もちろん敵である女子相撲部員たちがそんな状況に頓着するはずもない。
「何人来ようと同じだ! 我々の肉体で押し出してやる!」
一斉に突進し、組み付き、突っ張り、投げにかかる相撲部員たち。
それに対し、アリスがまず前に出て『獣の盟約』を振るい相手をしていく。だがやはりその動きはどこか機械的で、自分の意思などないようにも見えた。
(うまく立ち回らせるのも苦労する)
それもそのはず、今四人は以前にあった一見により精神が半ば崩壊しており、エルーゼが召喚したクロタが催眠術によって操作している状態なのだ。
現状この場でまともな思考ができているのはクロタ一人。四人はもちろんエルーゼの呼んだリヴェン、華澄の呼んだラヴェンツァも明確な意識は持っていない。
とにかくそれらを動かして状況を何とかしようとするクロタだが、やはり数が多く一人ずつを精密に動かすのは難しい。
どうしてもある程度自動操縦状態にする必要があるが、そうした途端にアリスに描かれていた紋章が妖しく光り、そこから肉体変化が起こり始めた。
その肉体は相撲部員たちもかくやという程に膨れ上がった力士の如き体系。ただ本物の力士は外面に脂肪を乗せているだけでその下は筋肉の塊なのだが、今のアリスの体がどうなのかは定かではない。
その状態でアリスが武器を捨て、相撲部員たちと組み合いを始める。
「わざわざこっちの流儀に合わせてくれる気か? 後悔するなよ!」
舐めるなと言わんばかりに相撲部員たちも組み合いに意欲を見せる。そうするうちに、それに感化されたようにクロタ以外の者たちもめいめいに肉体が膨れ上がり、そして同じように武器を捨て取っ組み合いを始めていた。
胸や腹、時に走りさえ向けてぶつけるような品のない戦い方にも見えるが、その中には確かに自身の重さを武器にした攻めかかりや素早い連続攻撃、あるいは狂戦士の如き猛攻と的確な戦闘ができているのは体に染みついた経験からか。
またラヴェンツァも、攻撃が当たる瞬間に肉増しになって重量を上げたり、一方攻めかかられれば走って逃げるなどきちんと状況を把握し戦っている。一見無軌道に見える中、それぞれが個別に行動を選んで戦えているのはやはり見るべきものがあるという所だろう。
この時点でもうクロタは考えるのをやめていた。操作しないでも相撲部員たちを肉の増量だけで押し潰していけそうな勢いである故、自分が何か手を出すことを無意味と感じ始めたのだろう。
そしてそんな戦いの中、華澄が突然クッキーを取り出して食べ始めた。
それは『オーグメントクッキー』。筋力増強剤の入ったドーピングクッキーであり、それを食べてさらなる筋力の増強を図ろうということだろう。
(催眠術が解けた?)
特に指示していないのに戦闘用の行動をとっているのを横目にクロタが思う。そしてその目の前で、クッキーの効果は如実に表れ始めていた。
四肢がさらに膨れ、それ以上に体に肉がつく。胸に、腹に、腰に。もりもりと筋肉が盛り上がり岩の様な体になっていく。
これなら相当なパワーが期待できそう……と見ていると、その筋肉がさらに変化をし始めた。
上に大量の脂肪が乗り、見る間に球体を連結させた様な体になっていく。脂肪の量は筋肉を超え、結局のところついた筋肉は超重量の体を支えるために総動員されている状態だ。
とりわけ見るべきは乳、尻、腹の三箇所についたもので、それぞれが競い合うようにぶくぶくと、それはもう際限なく広がり続けていく。
そしてもちろんこんな状態で衣服など耐えられるはずもなく全裸だが、羞恥心など消え失せているのかベアトリスはその丸出しの肉を喜ぶかのように振りまわして相撲部員にかかっていた。
そしてベアトリスが肉を振り回し相撲部員にコンボを叩き込む。その一発一発が揺れるたびに、その接触面から何かが飛び出していた。
それはベアトリスが戦闘のたび召喚していた戦乙女たち。当然のようにその姿はベアトリス同様の肉姿である。
最早収集つかない肉状態。とりあえず戦局としては押しているはずなのだが、相撲部員が無尽蔵に湧き出てくる上にこちら側の肉たちは喜悦と共に膨れ続けているのでもう何が何だか理解するのも難しい。
全てを諦めたように、クロタはそっと距離を取る。
もう催眠術がどうとか邪神が何だとかどうでもいい。ただこの状況を考えたくない。邪神、肉に敗北するの巻である。
そしてクロタは肉の群れから目を反らし、宇宙をバックに何もかもを放棄したような表情をただ取るのであった。
大成功
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第2章 ボス戦
『『贅肉を与える者』ミートギフター』
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POW : みんなアタシと同じになれ!
【食欲が異常なまでに増すオーラ、】【贅肉及び体重を増やすオーラ、】【痩せた者に対する復讐心を植え付けるオーラ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD : ありがたく贅肉を受け取れぇ!
【対象の贅肉及び体重を増やすオーラ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 太れ太れ太れ太れぇ!
【両掌】から【対象の贅肉及び体重を増やすオーラ】を放ち、【急激な体重増加、重心の変動からなる転倒】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:V-7
👑11
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猟兵たちと相撲部員との戦いは、概ね猟兵たちの優位と言ってよかった。圧倒的な数を誇る相撲部員だが、このままいけばいずれはその全てが倒され洗脳から解放されるだろう。
しかし、それを許さぬ者がいた。
「何だい何だい、何の騒ぎだ全く!」
肉の海の奥から響くドスの効いた声。それが聞こえた瞬間、相撲部員たちの群れが肉の海を割るようにさっと二つに分かれた。
肉の奥から現れたのは、相撲部員たちがスリムに見えるほどの肥え太った女。巨大な胸にはビキニだけ……というとセクシー衣装だが、サスペンダーが用をなさなくなったホットパンツの上に、タトゥー入りの胸より巨大な腹がどんと乗っかっている。
「ちっ、あの程度の肉の連中に負けるなんざ、お前ら食いが足りないんじゃないのか?」
そう言って今まで食べていたらしい巨大ハンバーガーを一口で飲み込むその女。その言葉に相撲部員たちは恐縮するよう縮こまるが、戦列を離れる様子はなくそのまま女を囲んでいる。
「ぐふぅ~~~~。いいだろう。こいつらも徹底的に肥え太らせてミート軍の一員にしてやるか。お前ら、あたしの肉壁になれ!」
女の号令一下、残った相撲部員たちは女を守るような陣形を整えた。その中心で、女は拳にドロドロの脂のようなオーラを滾らせた。
「高カロリーは燃やすために取るもんだぜ!」
「あたしも別に肉とかいらないし。てゆーかなんか威張ってるけどステントルおじさんやアニマ君のペットの方がでかいからね!」
その脂肪アピールに、無駄な脂肪に縁のないエル・ティグレとセレスはそれぞれ否定の言葉をぶつける。
「この宙域は全てこのミートギフター様の肉の内! お前らも肉の海を永遠に漂うがいい!」
この肉達磨こそこの宙域を支配するオブリビオン『『贅肉を与える者』ミートギフター』。エル・ティグレの
宇宙征服のため、そして全ての相撲部員たちを正気に返らせるため。さあ猟兵よ、奴を囲む
肉ディフェンスを躱し、肉の親玉に必殺のシュートを決めろ!
全会原・タイガ
アドリブ・絡みOK
文字通りの肉壁ってヤツ、なのか……?
UCで相撲部員達の攻撃を軽減し体重増加、さらに親玉が太らせてくるってんならそれも利用して増加だ!太るのは本意じゃねぇがこの肉の山をブチ壊すにはこいつが一番てっとり早ぇ!太るほどパワーアップするこのカラダで全力の【重量攻撃】を喰らわせてやるよ!
戦闘が終わった後この体がどうなっちまうのか、想像したくねぇな……
迅雷・電子
【心情】良い体格だねぇ!あたしもあれだけ太れれば…食べても太らない体質ってのも相撲取りにはつらいんだよねぇ… もしかしてあいつの力さえあれば…夢叶う!?
【作戦】残った相撲部員から奴を出てこさせるために「あたしも太りたいんだ!仲間に入れてくれ!」とミートギフターに懇願してみるよ…そして奴が出てきて体重を増やしてくれたらそのまま奴に組みつくよ!「体重増やしてくれてありがとねぇ!」と感謝しつつ【怪力】で投げ飛ばして怒って向かってきた所を雷電張り手で決める!いつもより重くて良い張り手ができたよ!多分あんた倒したら体重も戻るんだろうけどねぇ…(絡み・アドリブOK。エルとセレスの行動はおまかせ)
部下の苦戦により現れたこの宙域を締めるボス、『『贅肉を与える者』ミートギフター』。その体は部下である相撲部員たちを遥かに凌駕する肉量を持っていた。
「良い体格だねぇ!」
相手のその体を、迅雷・電子(女雷電・f23120)は掛け値なしに称賛する。
そして彼女の周りには、まだ洗脳の解けていない相撲部員たちが大量に群れ集っていた。
「文字通りの肉壁ってヤツ、なのか……?」
その様子を見て全会原・タイガ(男は度胸!女でも度胸!・f23916)はそう呟く。その言い方はまさに的を射ており、ボスには劣るもののたっぷり肉のついた相撲部員たちが犇めく様はまさに難攻不落の肉の防壁と化していた。
その圧巻の肉量を見て、電子は思わず我が身を思ってしまう。
「あたしもあれだけ太れれば……食べても太らない体質ってのも相撲取りにはつらいんだよねぇ…… もしかしてあいつの力さえあれば……夢叶う!?」
相撲にとっては太ることも大事な体作りであり、プロの稽古にはその為の昼寝時間が設けられているほどだ。だが、電子自身は決して脂肪がつきやすいという程ではない。体重があることは格闘技にとってそれによって階級が分けられるほどに重要な要素。それは電子にとって常々悩んでいたことであった。
そして目の前にあるのは十分な体重を備えた相撲部員の群れ、そしてそれすら霞んで見えるほどのミートギフターの肉。
「あたしも太りたいんだ! 仲間に入れてくれ!」
それにつられるように、電子はそう叫んでしまった。
「ぐへへ、いい心がけだ。それじゃあ遠慮なく……」
その言葉に肉の群れをかき分け、ミートギフターが前に出てくる。ミートギフターは電子の前に立つと両手を彼女の方に向け。
「 アタシと同じになれぇ!」
そこから脂ぎったオーラを放った。それが電子を包むと同時にその肉体が一気にぶくぶくと膨れ上がり、ミートギフターの如き肉塊へと変化した。
一気に変わった重心に電子は思わずその場に倒れ込む。その前で、ミートギフターは勝ち誇ったように笑った。
「ぐははは! いい体になったじゃないか! それじゃ、次は……」
タイガの方を向こうとするミートギフター。そこに。
「体重増やしてくれてありがとねぇ!」
電子が一気に飛び掛かり掴みかかった。ミートギフターはそれを振りほどこうとするが、肉増しした電子の体は重くなかなか振りほどけない。
「どすこぉい!」
電子はそのままミートギフターを投げ飛ばした。肉をはねさせて転がりながら、ミートギフターは相撲部員の後ろへ転がっていく。
「おのれ、騙したな!」
「感謝してるのはほんとだよ!」
UCを受け手でも相手を誘いだすという電子の策に嵌ったミートギフター。だが、その前をすぐに相撲部員が再度塞いでしまう。
「ここはオレに任せろ!」
重量で即座に動けない電子に代わり、今度はタイガが出る。
「この一発は『重い』ぜ……!」
前を塞ぐ部員に強烈なタックル。元々豊満なタイガの体重が乗っておりそれは宣言通り重量ある一撃だが、一人押しのけたところで次の部員が出てきてタイガを阻む。
「行かせるか!」
強烈な張り手がタイガに炸裂した。強烈な音が響くが、タイガはそれに微塵も揺らぎはしない。
「甘いんだよ!」
そのまま反撃の体当たり。それは初撃よりはるかに重く、さらに後ろにいた部員諸共相手を吹き飛ばした。
それもそのはず、タイガの体はさっきより一回り膨れている。
「そうか、ならば太れ太れ太れ太れぇ!」
その膨れを良しとして、ミートギフターがオーラを放つ。それによってタイガの肉は胸と尻を中心にさらに肥え太っていくが、タイガはそれさえも武器として相撲部員たちを押しのけていった。
「太るのは本意じゃねぇがこの肉の山をブチ壊すにはこいつが一番てっとり早ぇ!太るほどパワーアップするこのカラダで全力の【重量攻撃】を喰らわせてやるよ!」
ダメージを己の肉に変えることで軽減する【蛇威母泥】による胸の一振り、尻の一打ちで相撲部員たちが次々跳ね飛ばされていく。
「よし……あたしも続くよ!」
その空いた空間に、電子が重い体を引きずって突撃する。だがその挙動はどうしても遅く、タイガを迂回してきた相撲部員たちに取り囲まれてしまう。
「そういうことなら無駄な肉のないアタシたちに任せときなです!」
「ウイングパック換装! 高機動でぶっとばしてくよ!」
その相撲部員たちはセレスがスピード型に調整したドローンで足元を刈ったところを、エル・ティグレが素早いフットワークでクリアーを決めていく。
「よし、行くぜ……うおりゃあ!」
それを後ろに見て、タイガはその場で肉を揺らして大回転、一気に相撲部員を跳ね飛ばした上でミートギフターに乳尻の重量を全て叩きつけた。
「ぐおぉぉっ!?」
その重量に思わずよろめくミートギフター。
「おのれぇ……肉でアタシに勝とうなんざ100万光年早いんだよ!」
体勢を立て直し、怒り狂って突撃するミートギフター。だが既にタイガは大玉のように転がってその場にはおらず、その代わりにいたのは。
「どすこぉぉぉい!!」
渾身の【雷電張り手】を放つ電子であった。30㎝に捉えたミートギフターの肉を、電撃を纏った張り手が撃ち抜き肉を震わせて吹き飛ばす。
「光年は時間じゃなくて距離だ、って言ってやりたいけど……」
「ほんとに光年飛んでっちゃいそーだね!」
吹っ飛ばされるミートギフターを見て笑うエル・ティグレとセレス。
そしてその一方で、どこか切なげな表情の猟兵二人。
「いつもより重くて良い張り手ができたよ! 多分あんた倒したら体重も戻るんだろうけどねぇ……」
「戻ればいいけどな……戦闘が終わった後この体がどうなっちまうのか、想像したくねぇな……」
その揃って超級な肉体に浮かべる表情の内は、真逆の感情なのであった。
大成功
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クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【WIZ判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪
クローネちゃんは
ブラックタールだからある程度誤魔化しが効くけど…エル・ティグレとセレスちゃんが受けるのは不味いよね…♪
…あっ、そうだ★
引き続き、エル・ティグレに合わせてサッカーで戦うね♪
クローネちゃんとエル・ティグレとセレスちゃんと、UCで召喚したデウスエクス『ビルシャナ』の四人による【連携攻撃】を見せてあげるよ★
UCは『クローネちゃんの美少女化光線★』
四人目の
選手としてビルシャナちゃんを召喚して協力してもらうよ♪
太った女性だらけの敵陣営を見てキレたビルシャナちゃんの浄化の光によって、敵の姿が(見た目上は)ボンキュッボンなナイスバディの美少女になるね★(つまり腹が痩せるよ♪)
(見た目上の)体型変化に動揺した隙を突いて一気に攻め込んで、(脂肪を【焼却】する)【浄化】の炎を纏った必殺シュートを決めるよ♪
敵のUCとディフェンスは【見切り/身かわし】でかわすね♪
ミートギフターの能力は全て相手の体型を変えるものである。それによる行動阻害や精神攻撃、あるいは撃破後の配下化など、全てはそれを起点に行われる。
「クローネちゃんは
ブラックタールだからある程度誤魔化しが効くけど……エル・ティグレとセレスちゃんが受けるのは不味いよね……♪」
その能力にクローネ・マックローネ(
闇と
神・f05148)は自分以外への警戒を持つ。共にいる仲間たちは脂肪盛りとは全く縁なさそうな体形。受けてしまえば色々と悪影響があるのは容易に見て取れた。ちなみに彼女自身はというと、種族と嗜好の二つの意味で問題ないと考えている。
ともあれそんな肉体変化能力のある相手と、その前に立ちはだかる肉壁。これをどうやって突破すべきかと思案するクローネ。
「……あっ、そうだ★」
そんな彼女が閃きと共に掲げたネクロオーブから黒羽の鳥人間が現れる。敵の数があまりにも膨大であるが故、召喚術を使って数の振りを少しでも埋めようということか。
「なんだ、また変わった奴が出て来たな。まあとにかくよろしく……」
エル・ティグレがその鳥人間に挨拶するが、相手はそれに返事はすることなく、それどころかなぜかぷるぷると体を震わせていた。
「え、何か怒ってる?」
「このビルシャナちゃん、「全ての生命はナイスバディな美少女になるのが至高!」って言ってるの♪クローネちゃん思わず頷いちゃった★」
指さし尋ねるセレスにクローネの詠唱兼説明。この鳥人間はナイスバディ美少女を思考とするビルシャナであり、目の前に広がる肉海を一目見た時から怒り心頭となっていたのだ。
そのまま【クローネちゃんの美少女化光線★】を振りまき問答無用に相手に襲い掛かるビルシャナ。光線が当たった相撲部員たちは、当然のように次々とナイスバディへとなっていく。
「うおぉ、何だこれは!?」
「あ、でも、悪くない……」
実はこれは本当に体系変化しているのではなく、見た目だけの幻影。だが肉を持って洗脳されている相撲部員たちは体形変化でその洗脳も緩むのか動きに迷いが生じる。そしてその隙を、エル・ティグレは鋭い眼光で抜け目なく捕らえた。
「ディフェンスに隙間があるぞ! 行け!」
一瞬の隙をついての切り込みはまさにストライカー。しかし、隙を見逃さないのは敵もまた同じ。
「ええい、情けない体になりやがって! 太れ太れ太れ太れぇ!」
奥に控えるミートギフターが、自らの技を配下に向けて放った。それが命中した配下たちは再び外見上も戻り始め、すぐにディフェンスの穴は塞がっていく。既に抜けたエル・ティグレはともかく、他メンバーは再び肉塊に阻まれてしまった。
「あ、でも肉って縦には伸びないよね? 多分」
だがその間に、今度はセレスがドローンに捕まって肉たちの上を飛んできた。敵UCが配下側に向かっている故にこの一瞬は狙い撃ちされる可能性はない。そしてそっちに一瞬意識を取られた瞬間にまたビルシャナの美少女下光線が部員たちに効き始め、今度はクローネがそこを縫って進み始めた。
「お、いい肉の感触♪ でもまあ、お楽しみは後でってことで」
体に擦れる相撲部員たちの柔らかい肉の感触を味わいつつ、セレスはミートギフターに肉薄した。
「ええい、お前も太るがいい!」
そこに肥満オーラを放とうとするミートギフター。だがそこにセレス同様飛んできたビルシャナが割って入り、カウンターで美少女化光線をあてた。
「ぐえぇっ!? なんだ、この無様な体は!? だが……アタシの肉は減っちゃいない!」
ボンキュッボンの体型を悍ましいものでもあるかのように吐き捨てるミートギフター。だが流石はボスであり、これが見た目だけのものだとすぐに見切り攻撃の構えに入る。
「ビルシャナちゃんありがと♪ さあ、今度は三人同時にイっちゃおう★」
身を挺して相手を一瞬でも止めてくれたビルシャナに礼を言いつつ、太らされたその体を台にしてクローネが上に伸びあがる。
「エルはオーバーヘッドキックってできる? セレスちゃんは一番パワーのあるやつでよろしく★」
「おう、当り前だです!」
「それじゃソードパックで、全エネルギー集中!」
それと同じ高さにボールを蹴り上げたエル・ティグレが仰向け状態で飛びあがり、その真上ではセレスが巨薙いだビームソードをドローンに構えさせている。
「それじゃ、イっけー★」
二人のシュートに合わせ、クローネもブラックタール式シュートを放った。摩擦熱かボールは燃え上がり、文字通りの火の玉シュートとなってミートギフターを襲う。
「このくらい、アタシの肉で跳ね返して……!」
それを腹で受けるミートギフター。だが圧倒的弾力を持つはずのそのボディが、ボールを受けた途端激しく燃え上がった。
「ぐぎゃあああああ!? こ、これは……燃える……アタシの肉が……!」
そこに込められたのは浄化の炎。脂を燃やすダイエットの火。脂肪を力とするミートギフターにとっては、脂肪燃焼効果は致命の毒にも等しかった。
「これでビルシャナちゃんも納得のボディに近づけばいいけど♪」
「アタシは胸くらいしか痩せるとこないぜ」
「あたしそれもない」
その辺りを弄る気はないのかビルシャナの光線は二人には向かない。そしてその前で、ミートギフターは本人的には最悪の体型であるナイスバディへと近づけられて行くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・スラクシナ
【肉快と召喚師】
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
肥満限度なし
コードを受けては腹や尻、胸が膨らんでいき腹で身体を支える形になり。
「ふう、もっと」
催眠術は解けているが肉体の変化に快楽を感じさらに求める。
増えれば腕や脚も丸太のようになっていき声も野太いものへと変わる。
「気持ちいい、もっとぉ」
さらに肉を求める。
「ふう……エルーゼも同じようになったか。素晴らしい」
似た姿に変貌したことを喜ぶ。
尻の肉と腹の肉で立っている状態になり腕と脚はさらに太く、顔も肉をつけていく。
「肉、もっと肉を」
狂ったように肥満体にされるのを求め、されるごとに恍惚な表情を浮かべる。
食料を出されれば意地汚く貪り、さらに求める。
「ふひい、もっともっと」
藤宮・華澄
【肉快と召喚師】
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
肥満限度なし
催眠術が解けたが過去の出来事で蓄積された改造などの影響で快楽を求める身体になってしまっており、肥満化による快楽を得られるように肉体改造を施しており、エルーゼやアリス、ベアトリスにも同様な処置を施している。
ラヴェンツァも影響を受けているため、同様に肥満化による快楽は同じ。
「いい……あはあ」
コードを受ければラヴェンツァ共々胸と尻が膨らみ、その快楽に興じる。
アリスたち同様に腹も膨れればそれを支えにし、顔についた肉により声は野太くなる。
「気持ちいい、もっと欲しい」
食料を出されれば食べ始めさらに肉をつけ、腕も脚も肉で膨らみ、さらに肥満化を求める。
ベアトリス・ミラー
【肉快と召喚師】
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
肥満限度なし
三人同様に催眠術は解けているが過去の出来事による蓄積された快楽を求めてしまう。
相手のコードを受けいれ肉をつけ始めれば膨らんでいく。
「いいわ、肉がつく度に気持ちよくなって」
腹の肉で支え、胸がさらに膨らみ続けて尻も大きくなる。
「おっ……おお……」
顔も膨らみ声は野太くなる。
腕と脚も風船のように膨らみ立つことも腕を下ろすこともできなくなる。
さらにコードを求め懇願したり食料を求めたりする。
両腕、両脚、胸、腹、尻の肉塊八つに顔は囲まれる。
アリス、華澄、エルーゼ、ラヴェンツァ、リヴェンも同じ姿になっており合計で48の肉塊がそこにある状態となった。
食料は運んでもらい胸を受け皿にして食べる。
エルーゼ・フーシェン
【肉快と召喚師】
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
肥満限度なし
エルーゼ、リヴェンもアリスたち同様に動き共に肥満化を望んで動く。
「来たか」
新しく来た二人の姿を見たクロタはそちらを見る。
「あれらは気にするな」
目標の討伐を優先するように言い対策を講じる。
「……カカセオか」
名を聞いて内心冷や汗を垂らす。
(天津甕星……極東最凶と謳われし星神)
平静を装いつつ指示を聞く。
「結果の強化だな」
それだけなのかと思いながら協力。
「分霊と結び得たお前だけかと思ったが」
アリサとやり取りしながら気になる事を問う。
「その邪神、魂に絡みついているのか」
契約ではなく憑依だと見抜き、悪さをしないように見張ると約束をする。
「恐ろしいものだ、極東の神は」
呼び出された神の力を見てそう溢した。
アリサ・エヴェリーナ
【肉快と召喚師】
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
「呼んだのは……」
目の前にいるクロタに話しかける。
呼び出したのは北欧の民族衣装風の衣装に赤いフードの少女、黄金の林檎を管理する女神、イズン。
膝近くの腿から下は黒い鱗に赤黒い腹の蛇のグラマーな巫女、姧蛇羅、古代日本の神官装束の女神、武葉槌を呼び出す。
「……男が居るとは聞いておらぬ」
姧蛇羅が黒に紅い瞳孔で睨み付ける。
「ふふ、奴なら片手でお前の首を取るぞ」
「天津甕星、よね?二神相手に圧倒して武葉槌と7日は戦ったとか有名だし」
言葉を聞いて従うことに。
「それで私たちはなにを?」
言われたのは結界術及び強化。
クロタから姧蛇羅の事を聞かれる。
「静めるのに失敗して」
自分の招いたことと言うとクロタは分霊を見張りにすると言う。
乾・真守
【肉快と召喚師】
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
カカセオを同伴してアリサと共に来る。
「へへっ、美人な邪神の頼みなら断れないってな」
乾に代わりカカセオが話す。
「とりあえずやることは一ヶ所に集まって結界、以上」
乾が呼び出したのは等身大のデッサン人形を持った好青年、天之狭霧。
「おや?召喚師のご友人でしたか。ご友人のご友人ということは、私にとってもご友人」
敵に対して友人呼し、話を聞いてるかも分からない受け答えをする。
実態は重度の虚言癖を備えた人格破綻者である。
「スロー、スロー、クイッククイックスロー、スロー、スロー、クイッククイックスロー」
人形と共に踊り霧を造り出す。
「友人ならば もてなしたい 喜んでもらえたなら」
領域形成から霧や氷を用いた幻術と五感催眠を用いた戦術による同士討ちをダンスを愉しむ様に話す。
敵味方無差別のため、結界術が必要なのはこれの影響を防ぐため。
「ご友人、踊り疲れたのですね。花はどこだ、手向けなければ」
外見は非常にアレだが、ミートギフターは強力なボス級オブリビオンである。相手を肥満化させる能力は強力なユーベルコードであり、その重量級の肉体による戦闘力もかなりのものだ。さらに周囲には配下である相撲部員も肉壁として並んでいる。
そんな強敵の前で戦う意思なしでいれば当然。
「いい……あはあ」
エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)、アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)、藤宮・華澄(戦医師・f17614)、ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)、そしてその召喚した者たちは一切の交戦すらすることなく、その肉の前に屈していた。
過去から蓄積された凌辱や肉体改造の結果により、いずれも太ることを快感とし、相手にさらなる肉増加を行うよう懇願していた。当然ながらそれは敵の前で体を投げだす自殺行為に同じ。そしてそれに対してミートギフターたちは余裕を持って自分のユーベルコードを当て、全員を悲惨極まる体へと変貌させていた。
彼女らの体が具体的にどうなっているのかは、ベアトリスを見れば一目瞭然だろう。
「いいわ、肉がつく度に気持ちよくなって」
膨れ上がった上半身は腹の肉で支え、胸がさらに膨らみ続けても同量に増える腹が支えになり続けている。
下半身も尻が巨大化するが、横にまでせり出した両足が肉塊となってそれを乗せ地につくことはない。その代わり、垂れ下がった足の肉が地について丸ごと太い柱のようになって全身の体重を支えていた。
「おっ……おお……」
さらに顔も膨らみ、声帯が押し潰され声は野太くなり、腕と脚も風船のように膨らみ立つことも腕を下ろすこともできなくなっている。最早生命維持がどうとかいうレベルを通り過ぎた肉体は、肉の快楽と引き換えに命を差し出していると言ってもいいような膨れ上がり方であった。
その状態からさらに相手のユーベルコードを求め、より巨大な肉塊へと変貌しようとしていた。
元々催眠状態で相撲部員の時からまともに戦えていなかった彼女たちだが、実はその催眠はほぼ解けている。だが、結局のところ精神が崩壊し快楽に狂ってしまったので、今更解けても関係ない話であった。
「ふう、もっと」
アリスも同じく肉を求めて膨れている。だが彼女の目は特にエルーゼに向けられていた。
「ふう……エルーゼも同じようになったか。素晴らしい」
エルーゼが似た姿に変貌したことを喜ぶアリス。まさにその通り、エルーゼもまた全身の肉が肥大し前後左右すべてに張り出した肉塊と化していた。元々恋人関係にあった二人、同じ体になれたというのは紛れもない喜びであり、それがどのような外見かなど最早考えられるような状態ではなかった。
そして華澄もまた同じように膨れており、さらに彼女が膨れれば召喚したラヴェンツァも全く同じ形で膨れていく。無軌道な膨れ方でありながら二人が全く同じ形であり続けるのは、一種異様な光景とも言えた。
「気持ちいい、もっと欲しい」
華澄が懇願すると、周囲の相撲部員たちが大量の食糧を持ってきた。その中身はチーズに揚げ物、スナック菓子と太りそうなもののオンパレード。さらに傍らにはマヨネーズのボトルを構えた部員が控えておりおかわり自由のかけ放題。元々華澄はかなり大食いな方であったが、今や味よりもカロリー自体を重視し摂取する勢い。この調子なら脂の塊でも喜んで食べるだろう。
そしてもちろん今の体型で皿など持てるはずもない。顔の前にせり出した巨大な胸にそのまま食料を乗せ、吸い込むように食べている。
「ふひい、もっともっと」
アリスが意地汚くそれに食らいつき、周囲の仲間も同様の姿。膨れ上がった全員は尻の肉と腹の肉で立っている状態になり腕と脚はさらに太く、顔も肉をつけていく。明らかに普通の過程を経ての吸収ではない。食べたものが直接肉に変換されているかのような肥り方。あるいはこの食事法こそ、ミートギフターが配下を洗脳、肥育するのに使っている力なのかもしれない。
実際、肉がつくほどに彼女たちは快楽と喜びに満ち、より肉を求めている。ミートギフターや相撲部員も、最早戦っているという意識すらないだろう。完全に作業のように餌をやり、肉を増やす。緊急性のない日々の業務と言わんばかりに効率的に彼女たちを肥やしていった。
そうして膨れ上がった体は両腕、両脚、胸、腹、尻の肉塊八つに顔が囲まれた異形とも呼べるもの。エルーゼの召喚したリヴェンも含め、合計で48の肉塊がそこにある状態となった。
元よりその意思すらなかったとはいえ、これで戦えるはずもない。こうして、彼女たちはミートギフター率いるミート軍に完全敗北。依頼遂行は失敗となったのであった。
「…………」
そして、それを遠くから呆れたように見る姿があった。エルーゼの召喚した邪神クロタ。先の相撲部員の時からの体たらくに召喚主をさっさと見捨てた彼女。唯一戦う意思と戦える体を持っていた彼女がこの状況を一人で何とかしなければならない……と思いきや。
「来たか」
新しく来た二人の姿を見たクロタはそちらを見る。そこにいたのはアリサ・エヴェリーナ(自称駆け出しサマナー・f41926)と乾・真守(漫画家・f40751)。
「呼んだのは……」
アリサが目の前にいるクロタに話しかける。するとそれに呼ばれるように、多数の者が二人の周囲に現れた。
まずアリサの周囲に現れたのは、北欧の民族衣装風の衣装に赤いフードの少女、黄金の林檎を管理する女神、イズン。そして膝近くの腿から下は黒い鱗に赤黒い腹の蛇のグラマーな巫女、姧蛇羅。古代日本の神官装束の女神、武葉槌。
「あれらは気にするな」
まず、肉塊軍団を見て戸惑わないように努めて気にしないよう全員に釘を刺してから、目標の討伐を優先するように言い対策を講じる。
「へへっ、美人な邪神の頼みなら断れないってな」
「……カカセオか」
真守の傍にいる男が軽薄に答える。それを聞いた姧蛇羅が露骨に嫌そうな顔をした。
「……男が居るとは聞いておらぬ」
黒に紅い瞳孔で睨み付けるが、カカセオは動じる様子もない。
「ふふ、奴なら片手でお前の首を取るぞ」
「天津甕星、よね? 二神相手に圧倒して武葉槌と7日は戦ったとか有名だし」
他の二人は指し手気にすることもないとばかりの対応。姧蛇羅もカカセオ個人というより男全体が嫌いと言うことか、個人に対しての文句は言わない。
(天津甕星……極東最凶と謳われし星神)
むしろクロタの方が内心冷や汗をかいていた。この男の立案する策には従った方がいい。そう思わせるほどに、彼女はカカセオを恐れていた。
「それで私たちはなにを?」
アリサの問いには、やはりカカセオが答える。
「とりあえずやることは一ヶ所に集まって結界、以上」
やはりいい加減な物言い。しかし、やるべきことは端的には分かった。
「結界の強化だな」
言われた通りに全員がおのおのの能力を使いその場に結界を張る。種類は違えど神の属性を持つような恰好をしたものばかり、結界術は全員得意分野なのだろう。
そして唯一それに加わらず、敵に近づいていくものが一人。真守の呼び出した、等身大のデッサン人形を持った一見すると好青年、天之狭霧だ。
「おや? 召喚師のご友人でしたか。ご友人のご友人ということは、私にとってもご友人」
ミートギフターに対しなれなれしくそう話しかける。もちろん友人などではないし、そう名乗った者も誰もいない。
「何言ってんだこいつ、イカレてんのか?」
これにはさすがのミートギフターも怪訝な表情だ。だが、何を言われてもそれに対して返事はしない。ただなれなれしい言葉を並べ、しかし決して会話は成り立たせず一方的に喋るばかりの男。彼の実態は重度の虚言癖を備えた人格破綻者であった。
「スロー、スロー、クイッククイックスロー、スロー、スロー、クイッククイックスロー」
そして、天之狭霧は手にした人形をパートナーにその場で踊り始めた。それと共に、彼の周囲から霧が湧き出す。
その霧に撒かれた途端、周囲の相撲部員たちが突如同士討ちを始めた。
「友人ならば もてなしたい 喜んでもらえたなら」
領域形成から霧や氷を用いた幻術と五感催眠を用いた戦術による同士討ちをダンスを愉しむ様に話す。果たしてこの男は本気でこれをもてなしと思っているのか、あるいは底なしの悪意を込めて嘲っているだけなのか。
その霧は広がっていくが、結界に阻まれクロタ達には届かない。この効果は敵味方無差別のため、結界術が必要なのはこれの影響を防ぐためであった。
なまじエルーゼたちが完全に無力化された状態で戦闘終了のつもりでいた故に、思い切り霧に撒かれてしまったというのもあるのだろう。相撲部員たちは完全に術中に嵌っているようであった。
「こんな腹に溜まらないものアタシに効くか! お前も太るがいい!」
だが、流石にミートギフターはそう簡単には倒れない。手に脂肪オーラを溜め、それを天之狭霧に向けて放った。
天之狭霧はそれを踊りながら躱す。召喚主がオーバーロードしていることもあり、一見緩やかなその動きでも脂肪攻撃を躱すことに支障はないようだ。
ただし、その避けた射線上には食料を貪るエルーゼたちがいた。肥え太った身体では避けることなど出来ないし、完全に肉と快楽に思考を破壊されている以上そもそもそんな発想すら出てこない。結果肉技は彼女たちに直撃し、その体をさらに肥え太らせるばかりであった。
「肉、もっと肉を」
そしてそれさえ今の彼女たちにとっては悦び。そんな悲惨な召喚主たちを見ないようにしつつ、結界の中クロタはアリサに話しかける。
「分霊と結び得たお前だけかと思ったが」
アリサとやり取りしながら気になる事を問うクロタ。アリサの助力は想定していたが、他の面々に予想外の人物がいたのだろう。
「静めるのに失敗して」
それが誰を指しているのかアリサには分かっているらしい。そう言いながらちらと見るのは姧蛇羅だ。
「その邪神、魂に絡みついているのか」
関係は契約ではなく憑依。意のままに出来る存在ではない。それが自分の招いたことと言うと、クロタは分霊を見張りにすると言う。
「これで悪さはしないだろう」
そう会話する前では、霧に撒かれたミートギフターが苦しげに蹲っていた。霧に毒でも含まれていたのか、あるいは長時間動き回ることが太りすぎたミートギフターにとっては身を削るほどの重労働なのか。ともあれ、経過はともかくミートギフターはなんやかんやあってダウンしているようであった。
「ご友人、踊り疲れたのですね。花はどこだ、手向けなければ」
これもまた悪意に満ちた嘲笑なのか、本当に気を使って言っているのか。分からないから恐ろしい。
「恐ろしいものだ、極東の神は」
呼び出された神の力を見てクロタはそう溢した。
彼女自身が邪神のはずでもあるのだが、本人は何も言わない真守や、結界を張った以外は能力の一端も分からない呼び出された者たち。そして何より肉塊と化して快楽を貪るだけの召喚主と、異常なものばかりのこの空間に置いて唯一普通に会話したアリサを除けば、彼女が一番『まとも』な存在であるとすら言える状態であった。
ちなみに、あくまで結界に入れて守ったのはクロタとアリサ、真守たちだけ。前にいたエルーゼたちは思い切り霧に撒かれているのだが、何しろ肉まみれになっているので何が見えていようが動けない。
猟兵だけで数えれば6人中4人が完全な戦力外のこの状況で曲がりなりにも勝利できたは、偏にオーバーロードの賜物か。
「……一応弾避け程度にはなった、か……?」
そんな中でとりあえず良かった探しをするクロタの優しさも最早召喚主たちには理解できない。
そしてアリサや真守が召喚した者たちが、『うちのはこうならないで欲しい……』と思っているかは定かではなかった。
大成功
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夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
先程から吸収した影響で、凄まじい体型になってはおりますが。
問題は然程?
『FPS』で戦場の情報を把握、『FMS』のバリアをセレスさんのガードに展開しまして。
『FLS』の空間歪曲と『FXS』の精神干渉遮断を併せ、敵方の能力の内『復讐心付与』のみ遮断すれば、火力の低下は有っても【UC】の使用自体は問題有りません。
【瀀𨼲】を発動、味方のお二方や「洗脳の解けた相撲部の方」に向かう攻撃も全て私に対象を変更し、『贅肉を増やすオーラ』を引き受けますぅ。
エルさんには【
ダークネビュラ~】を要請、対応して敵方の『受け取れ』が発動しても全て私に移るだけですし、『ダメージ4倍』で受けても私の増量分が増えるだけですぅ。
そして、形成する『超重力域』と『万象吸収の波動』は『私の豊満さと体重』に比例し範囲と威力を増しますので、周囲の相撲部員の方々を排除、お二方の攻撃と共に『FRS』『FSS』の[砲撃]でギフターさんを狙いますねぇ。
最終的な体重は二桁以上増えていそうですが、まあ?
ミートギフター率いるミート軍の原動力はその名の通り『肉』である。通常は肉盛りになれば精神の均衡を保つことなど出来ず、そうなった所を洗脳して配下に加えるのがミートギフターのやりかたであった。
「先程から吸収した影響で、凄まじい体型になってはおりますが。問題は然程?」
なので、既に肉の隕石かという程の体型になりながら平然としている夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の態度はミートギフターにとっては気に入らないものだ。
「ふん、強がりやがって。ならもっと肉を増やしてやる!」
両手に脂肪オーラを溜めるミートギフター。その前で、るこるは防御用兵装を並べた。
「アタシと同じ……いや、アタシ以上の肉になるがいいさ!」
ミートギフターの全身の肉が波打ち、両手に伝わってオーラの奔流となって迸った。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『供犠の加護』をお与え下さいませ」
そのオーラを、るこるは【豊乳女神の加護・瀀𨼲】を発動して待ち受ける。脂ぎった三つのオーラが一気にるこるに向けて襲い掛かる。
るこるはその球体の如き肉体を地面に押し付け横に広げ、セレスとエル・ティグレの前に大きくはみ出させた。二人が効果範囲に入っていたオーラがるこるの肉にぶつかり、その体に染み込んでいく。
そしてそれが蓄積されるように、るこるの体がまたも大きく膨れ上がった。
「これは……お腹がすきますねぇ……」
ユーベルコード効果でダメージは肉に変えられるものの、そもそもそれが本来の効果である贅肉増加や食欲増加は防ぐことができない。割増しで増えた肉の全てが飢餓を訴え、腹を抉られるほどの空腹感が肉体を支配していく。
「ふはは、ざまぁないな!」
勝ち誇ったように言うミートギフター。だが、るこるは慌てずにエル・ティグレへ指示を出す。
「エルさん、あちらへ切り込みをかけてくださいますでしょうかぁ」
「よし、任せやがれです!」
獣を模したエル・ティグレの髪が膨らみ、そのままオーラとなって彼女に纏われる。そしてそのしなやかな脚は音速をゆうに超える速さで体を吹き飛ばし、一瞬にしてエル・ティグレを肉の海へ切り込ませた。
「そんな固そうな脚必要ない! 有難く贅肉を受け取れぇ!」
そのスピードに、しかしミートギフターは反応する。外見に見合わぬ迅速さを持って広範囲に脂肪オーラを放った。
それが周囲全体を包むが、エル・ティグレやセレス、さらに相撲部員たちさえも太る様子はない。その代わりに、またしてもるこるの体が凄まじい勢いで膨れ始めた。
「何!?」
自身のオーラを受けたのだから例えダメージは消されてもユーベルコード封印はなっているはず。そうなっていないのは、るこるはオーラの一つだけは防御兵装を総動員して何とか防いでいたのだ。
痩せた者への復讐心を植え付けるオーラ。これはこの戦場に置いて一際致命的な効果を持つものだ。痩身のセレスはもちろん、無駄のない筋肉というエル・ティグレも解釈次第で対象になりかねない。他二つを甘んじて受けてでもこれだけは絶対に阻止せねばならないと考え、ここに防ぐ手立ての全てを割いたのだ。
そして、ユーベルコードが封印されなければ返す手はある。
敵の攻撃を全て自身に向けて肉にし、さらにその肉の重さを力とした重力域を放つことで、未洗脳の相撲部員たちを抑え込みエル・ティグレの道を作る。さらに相撲部員たちの肉パワーを吸収することでさらなる拘束と洗脳解除も重なり、肉の防壁は完全に解かれた。
「それでは、セレスさんもどうぞぉ」
「おっけー! じゃ、いっくよー!」
セレスがドローンを自身の機械スーツに接続し、そちらに装着させていた巨大砲を自分で構える。【ヘビーアームド・ウェポナイズ】で機械補助された『天才』が一瞬で弾きだした位置に正確に照準を合わせ、移動や近接攻撃に使うエネルギーまでまわした一射がエル・ティグレの方へ向けて放たれた。
「ナイスパスだ、チャンピオン!」
それはるこるの砲撃を追加の推進力として食らいながらエル・ティグレのやや上方、完璧な位置へと飛来する。エル・ティグレは瞬時に一切無駄ない動きで体を捻り、全身の筋肉全てを使ったエネルギーを足に送りそのビーム砲をシュートした。
銀河を駆ける光速ドライブシュートが、ミートギフターの腹に突き刺さる。
「ぐぅおぉぉぉ!? ア、アタシの肉、が
……!?」
その威力、その勢いは全ての弾力を貫き、一切の吸収や拡散を許さず一直線にミートギフターの肉を貫いた。
「馬鹿な……そんな……こんな、体の奴らに……!」
エル・ティグレとセレス、認めがたい体系の二人に負けたことに信じがたいという表情を見せるミートギフター。だが、その後ろに目を向けた時その表情は変わる。
「いや……あれは肉の星……所詮コロニーに肉を付け生きる以上……星そのものには叶わない……アタシの……負けだ……!」
己の負けに得心し、ミートギフターはその巨肉を爆散させ宇宙の塵となった。その目が最後に見ていたものを、エル・ティグレとセレスも見上げる。
そこにあるのは肉の星。既に二桁以上体重を増やしたるこるが、新たな母性と言わんばかりにそこにあるのであった。
大成功
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第3章 日常
『これぞ猟兵オリジナル飯』
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POW : とにかく盛って盛って盛りまくってメガ盛りにする
SPD : 数分でクッキングして素早く大量提供する
WIZ : 見た目を美しく、きっちり計算し尽くされた盛り付けにする
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かくして、宇宙に蔓延る肉の軍勢は解体された。ボスであったミートギフターが倒れるとともに、全ての相撲部員たちが一気に目が覚めたような表情になる。
「ここは……?」
「みんな目が覚めたか。あたしたちはな……」
事情を理解していないだろう者たちに先に倒され目が覚めていた者たちが説明を行い、それによって全員が状況を理解した、
「そうか……猟兵の皆さん、すいませんでした」
改めて謝罪する一同。これにて事件は解決となったのだが、最後にお楽しみも一つ。
「うちら洗脳されてた時のこともちょっと覚えてるんだけど……あいつは悪い奴だけど食事指導は本物でした。なんで、是非皆さんにはうちらの宇宙仕込みのちゃんこを召し上がって欲しいっす!」
ミートギフターが配下を太らせていた手段はユーベルコードだけではない。超高カロリー、高栄養の食事をとらせることで異能に頼らぬ順当な肥育も行っており、それによって付けられた本物の肉と知識も彼女たちの中には残っているのだ。
「それに、猟兵の人どんな飯で体作ってるかも興味あるんで、是非教えて欲しいっす。肉、米、チーズ、油……それに砂糖や醤油もなんでもあるっす!」
ちゃんこだけではない。ピザやバーガーの完成品や、調理前の肉や魚、それにスイーツ類に至るまで、高カロリーの食事に出来るものは何でも揃えられていた。
「うむ。腹が減っては征服は出来ぬ! 今日は特によく動いたからな。食うことということは体を作ること! 競技は違えどお前たちもやはり本物のアスリートのようだ!」
これにはエル・ティグレも深く同意するところがあるらしく、補給と飯トレする気も満々だ。セレスはあまり食べる方ではないようだが、あるいはそんな彼女だからこそパワーあふれる食事をとらせてやるのもいいだろう。また肉の処理に困るなら、グリモア猟兵を呼べば食べることに関しては言わなくても手伝ってくれることだろう。
作るもよし、食べるもよし。宇宙に溢れるカロリーを肉に変え、ミート軍の置き土産を完全に消滅させてやるのだ。
全会原・タイガ
アドリブ・絡みOK
美味そうだけど既に肉だらけの身体になっちまってるし、オレは遠慮させてもらうぜ…
そう言ってその場を離れようとするも呪いのUCが発動して食欲が大幅増加、手が止まらなくなり高カロリーの料理を片っ端から口に運んでいく。
食べるほど食欲と脂肪が増加し食料が無くなるころにはとんでもないことに…?
洗脳から解放された相撲部員たちは、ミート軍の備蓄食料でありエネルギー源でもあった大量の食糧を猟兵に振舞おうとしていた。
だが、全会原・タイガ(男は度胸!女でも度胸!・f23916)はそれに対して渋い顔。
「美味そうだけど既に肉だらけの身体になっちまってるし、オレは遠慮させてもらうぜ……」
何しろその体はミートギフターからの攻撃と自らのユーベルコード効果によって、丸々と肥え太っていたのだ。
腕や足はそれぞれ球体のように丸く太り、それが連結する様はまるでバルーンアートのよう。そしてそれ以上に胸と尻はとてつもない大きさに膨れており、僅かに動くだけでぼるんぼるんと跳ねまわる。
そんな体を動かして、タイガは相撲部員たちに背を向けた。
「そうっすか、残念です……」
相撲部員たちも無理に引き留めはしない。だが、他の猟兵に振舞う分を用意するため、料理の手は止めない。
煮立った鍋からはダシのいい匂いが漂い、タイガの鼻孔をくすぐる。
他にも多量の具材がそれぞれの存在を主張する香りを立たせるほか、サイドや別メニューとして用意されたカツや唐揚げなどの揚げ物の香りも漂う。
「よし、ここでチーズだ」
そしてカロリートッピングとしての追いチーズが投入された時、タイガの巨肉がぶるんと振り返った。
「す、すまねぇ……やっぱり、その……」
匂いの誘惑に逆らえず、肉玉の手をそちらに伸ばしてしまう。相撲部員たちは快く鍋を器に移し、その肉だらけの手に渡した。
「う、うめぇ……!」
一口すすればそれは濃い味を舌に伝えてくる。なんだかんだオブリビオンとの激戦の後なわけで、披露した体に濃い味が実に染みわたる。一口、また一口と食べるうちに、器の中は瞬く間に殻になってしまった。
「おかわりもあるんでどうぞ!」
そこにすかさず相撲部員がおかわりを入れる。さらに丼に山盛りの白米も合わせて出され、完全に食事の体制が出来上がった。
そしてそれもあっという間に空になる。その速度はさっきより早い。
「おお、さすがっすね、他にもどうぞ!」
それからも次々差し出される高カロリー食を、タイガは凄まじい勢いで食べていく。
そしてそれが瞬時に吸収されるかのように、タイガの肉がさらに膨れ上がり始めた。
「ま、まさか、これは……」
ぼこんと腹が盛り上がり、さらにその上で胸が丸々と大きくなる。肉が脈打ちながら膨れていくが、それは同時に強烈な快感をタイガに与えていた。
この味、この快感、何度経験しても、タイガはこれに抗うことは出来ない。
「やめられない!とまらない~~!!」
タイガの無尽蔵な食欲は【反愚理威毘異須斗】の呪いを発動、摂取した高カロリーを全て瞬時にその脂肪へ変えた。
食べれば食べるほどに食欲は増し、それに従順となって食らう程に脂肪は増えていく。
そしてしばしの後、相撲部員たちが用意したちゃんこ鍋は丸ごとからになっていた。
「うお……お、おぉ……」
その前にいるのは、
食事前の面影すらもなくなった
肉塊。二つの乳、二つの尻が脂肪の山となって聳え、その間でボテボテの巨腹がだぷんだぷんと波打っている。
とてつもないことになったその体の上で肉に埋もれた目を確かに細め、タイガは今回もまた
いつもの結末となったのであった。
大成功
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迅雷・電子
【心情】みんな元に戻ったかい…そりゃよかったよ…あたしの腹は…だんだんへこんできてる気がするねぇ…やっぱりあいつ倒した時点で体重も戻っちゃうか…えーい!他の相撲部の面々のちゃんこをやけぐいだ!ごっつぁんです!
【行動】あたしもよく先輩にちゃんこ作ってるからねぇ!手伝わせてもらうよ!あいつが持ってた高カロリーな肉やチーズを使ったちゃんこは格別だねぇ!今度はちゃんとした相撲の取組みをしようね!と洗脳からとけた相撲部員達に言いながらたくさん食べるよ!(絡み・アドリブOK)
ミートギフターの配下を務めていた相撲部員たちはオブリビオンではない。地上の一般人である相撲部員を拉致し、洗脳して配下としていたのだ。
そして彼女ら自身とミートギフターを倒したこともあり、全員の洗脳は無事解けていた。
「みんな元に戻ったかい……そりゃよかったよ……」
迅雷・電子(女雷電・f23120)も安心したように彼女たちを見る。だが、その表情はどこか寂し気だ。
電子は自分の腹に手を当て、そこを軽く押す。
「あたしの腹は……だんだんへこんできてる気がするねぇ……やっぱりあいつ倒した時点で体重も戻っちゃうか……」
戦闘中にミートギフターの技を受け、肉盛りになった電子の体。だが電子は自身の体重のなさを常々気にしており、また実戦でも体重増加を利用して戦ったこともあって太るのは必ずしも悪いばかりの事とは言い難かった。
だがやはり敵のユーベルコードで付けられた急ごしらえの肉。術者がいなくなれば効果がなくなるのは仕方のない事とも言える。
「えーい! 他の相撲部の面々のちゃんこをやけぐいだ! ごっつぁんです!」
「押忍! ごっつぁんです!」
やはり正当な方法で食って鍛えてつけるしかない。未練を振り切るように大声でそう言うと、相撲部員たちも力強く返事をした。
そうしてちゃんこづくりを続ける相撲部員。電子もその横から手を出す。
「あたしもよく先輩にちゃんこ作ってるからねぇ! 手伝わせてもらうよ!」
相撲部屋ではちゃんこ作りも下っ端の仕事。電子自身その経験は豊富ということもあり、相撲部員たちを手際よく手伝っていく。
相撲取りたちの食事はまず猟からして桁が違う。一般家庭とは比較にならないほどの食材を手際よく調理し、また使う水や調味料の類も重さからして尋常ではない。
さらにミートギフターが用意していた食材は、肥育の為ということもありかなりカロリーの高いものが多い。それを煮込んで立ち上がってくる匂いは否応なしに食欲をそそるものだ。
やがて具材にしっかり火が通り、ちゃんこが出来上がる。
「押忍、ミート軍特性肉増しチーズちゃんこっす!」
このチーズちゃんこは軍内でも特に名物となっていたのか、洗脳されていた身ながら自信ありげにいう部員。その言葉通り、そのカロリーと味わいはまさに絶品。
「あいつが持ってた高カロリーな肉やチーズを使ったちゃんこは格別だねぇ!」
電子も先の戦いでエネルギーを使っていることもあり、その体に濃い味が実に染みわたる。
まさに血となり肉となる食事。これを毎日のように食べていたの言うのだから、ミートギフターや相撲部員たちの肉体も納得というものだろう。
確かにミートギフターは紛れもない悪のオブリビオンであった。しかし肉を持って力とするその闘法の力の程はその身をもって味わったばかりだし、また彼女によって肉を付けさせられた部員たちの重量も相当なものなのは間違いなかった。
肉体に善悪はなく、洗脳の解けた彼女たちならばついた肉を今度は健全に競技に使っていけることを電子は確信する。
「今度はちゃんとした相撲の取組みをしようね!」
彼女らが地球に戻ったら、今度は正面からきちんとぶつかり合いたい。そしてその時に後れを取るわけには行かないと、電子は今回の依頼全てを己の『身』とすべく、特性ちゃんこを食べるのであった。
大成功
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クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【SPD判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪
エル・ティグレもセレスちゃんも太らされずに済んでよかったよ♪
それじゃあ、皆で食事タイムといこうか★
折角の機会だし、異文化交流してみようかな♪
第二章時点でミートギフターの攻撃を食らってはいないんで、体型は普通の状態だよ♪
料理を作る側に回るね♪
UCを使用して、召喚したご当地怪人達と一緒に色んなご当地グルメを作ってふるまうよ♪
作るのが一通り終わったら、クローネちゃんも宇宙仕込みのちゃんこをいただこうかな♪
何もいただかないというのも失礼だしね♪
UCは『クローネちゃんのご当地怪人変身★』
近江和蝋燭怪人形態に変身するね♪
宇都宮餃子怪人や佐世保バーガー怪人、岩国山賊焼怪人、宮崎肉巻きおにぎり怪人、根室エスカロップ怪人、松山とんかつパフェ怪人等々…肉料理系ご当地怪人達を召喚して、【料理/団体行動/グルメ知識/ご当地パワー】で様々なご当地グルメを作っていくよ★
ミートギフターの能力は肉を与え肥らせること。当然ながら戦闘中は誰もが常にその危険にさらされていた。
「エル・ティグレもセレスちゃんも太らされずに済んでよかったよ♪ それじゃあ、皆で食事タイムといこうか★」
結果としてそれから二人を守り切れたとして、クローネ・マックローネ(
闇と
神を従える者・f05148)も一安心。また彼女も相手の攻撃の直撃は受けておらず、豊満ではあるものの本来の体型の儘だ。
そして脅威がなくなったから、あとはお楽しみの時間。相撲部員たちがちゃんこを用意してくれる間に、クローネも自分の準備に入っておく。
「折角の機会だし、異文化交流してみようかな♪」
こんな機会もなかなかない。向こうの料理を振舞ってもらう代わりにこちらもということで、クローネはユーベルコードを発動した。
「ワロワロワロワロ! クローネちゃん、いや、ワタシの名は近江和蝋燭怪人! 今からアナタをなんやかんやで倒す者だ!」
【クローネちゃんのご当地怪人変身★】で変身したのは近江和蝋燭怪人。怪人特有の全身ご当地アピールにより何を推しているのかは分かりやすいのだが、だからこそエル・ティグレとセレスは怪訝な表情。
「蝋って人体に吸収されないんじゃなかったっけ?」
「例えうまくても体壊すようなもんは食いたくねぇぜです」
確かにその通り、いくらなんでも蝋燭が食べられるはずもない。それはクローネも分かっている。これはあくまで能力を使うときに変身する形態に過ぎないのだ。
そしてその能力とは、ご当地怪人の召喚。
呼び出されたのは宇都宮餃子怪人や佐世保バーガー怪人、岩国山賊焼怪人、宮崎肉巻きおにぎり怪人、根室エスカロップ怪人、松山とんかつパフェ怪人等々……肉料理怪人の大軍団だ。
こちらもやはり全身で自身の名物をアピールしているので何推しかは非常に分かりやすい。
「うわでっかいバーガー! メリンダさんとこに負けてない! あとこーゆーのはフランスだっけ? え、ほっかいどー? どこそこ?」
「オマエらなんか別の方見てないか? 負けられないライバルでもいるのか?」
そもそも地球出身でないセレスはご当地に詳しくない故、極めて有名な料理や地名しか分からない。そしてエル・ティグレは全国にライバルがいたり同名の別料理がある怪人の内に秘めた勝負魂を見抜き、彼らの不屈の闘志を察している。
「……で、こいつは何なんだ?」
「マイティバーガーでもさすがにこんなのは見なかったなー……」
そしてとんかつパフェ怪人に向けられる冷ややかな目。確かに見た目は完全なキワモノ故に仕方なし。
ともあれ怪人たちはそれぞれ自慢の料理を振舞うべく腕を振るい、瞬く間に自らのご当地メニューを完成させていく。
「押忍、できましたっす!」
そこに運ばれてくるのが相撲部員特性ちゃんこ。こうして多数の料理が揃ったところで、いざ全員で実食となる。
「これがオマエたちのアスリート飯か! 確かに栄養もカロリーも十分以上だな!」
高カロリー高栄養のちゃんこにエル・ティグレも舌鼓。圧巻のハイカロリー食だが、エル・ティグレの筋肉の詰まった肉体はエネルギー燃焼率も半端ではないため何も問題はない。胸に蓄積しているのは……まあラクダの瘤のようなものかもしれないし。
「うまいっす!」
相撲部員たちも、肉巻きおにぎりを始めとするご当地料理を次々とって食べる。オーバーロードしたご当地パワーがいかんなく注がれたそれは、宇宙レベルの肥育に慣れた相撲部員たちをして満足させるものだ。
「え、意外とおいしい!? 頑張る方向間違えてない!? あたしもたまに言われるけど!」
そしてとんかつパフェ怪人の猛アピールに仕方なくクリームつきのカツを食べたセレスの驚愕の反応。パフェに寄せてカツは冷ましてあるが、薄い衣がかえって味を落とさずクリームの邪魔もしないと予想外に味が成立していた。なおその後もエル・ティグレや相撲部員の方に行かずセレスにつきまとい続けているのは、彼女が最年少だからスイーツのターゲットにされているのか怪人が
そういう趣向だからなのか。
「クローネちゃんも宇宙仕込みのちゃんこをいただこうかな♪ 何もいただかないというのも失礼だしね♪」
皆が楽しくやっているのを見て、クローネもちゃんこをいただく。やはり自慢にするだけあってその味と栄養価は一級。クローネのタールの体でも身になっていく感覚があるほどだ。
「たしかに、これがあれば素敵な肉が作れるね♪」
「猟兵さんの紹介料理もすごいのばっかりっす!」
宇宙のミート軍に地球から拉致されて来た相撲部員。さらにラグランジュポイント出身のセレスにエル・ティグレが帰還を目指すアスリートアース、そしてご当地怪人のサイキックハーツと様々なものが混ざりに混ざった異文化交流。その楽しさおいしさとこの依頼で触れた肉たちの感触は、確かにクローネにとっても有難い身になるものであった。
大成功
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エルーゼ・フーシェン
乾、アリサと行動
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
三人を帰還させるがエルーゼから食事も送り続けるように言われる。
言うことを聞かなければ帰還すると言われて渋々なのだがクロタもまだ用件を済ませていないため従う。
「アリサといったか。お前だけかと思ったが」
予定外と言えたが話すことはできたことに安堵する。
(姧蛇羅、この邪神は)
邪神の魂に人間の魂が交ざり絡み合うのが見え疑問を抱く。
「分霊は力となるだろう」
姧蛇羅の呪力緩和と戦力になると話す。
カカセオに絡まれ内心気が気でない状態に。
「……すまないな」
極東最凶と呼ばれ圧倒的な技能や力を持つ故に勝手に恐れていたことを詫びる。
話してみれば良い意味で人間臭く戦闘に関しても好き好んでやるタイプではないとのこと。
「友想いの自由を愛する好漢といったところか」
ベッドの上でと言われるが断ってる。
「さて、あれをどう帰還させるか」
肉塊と化したエルーゼを見ながら考えていると二神にやらせると言われ頼む。
「喧嘩するほどとはこの事か」
二神の連携に感心するのであった。
アリサ・エヴェリーナ
エルーゼ、乾と行動
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
「アリサ、大丈夫?」
イズンから黄金の林檎から造ったジュースをもらう。
姧蛇羅の呪力を緩和させ、アリサを回復させる効果があるジュースを飲みながらクロタと話す。
「分霊がここに導いたのですね」
乾の事に関してはとっさに連れてきたただけと話す。
「でもどうしてここまで」
邪神と聞いて良くない印象はあったが、なんだかんだ言いつつも見捨てず付き合う姿を見て不安は解消される。
「ありがとうございます」
カカセオが来てそこで話しは終わる。
「やはり男というのは」
姧蛇羅の不機嫌そうに呟く。
「ふふ、奴はそういうものだ」
武葉槌が返す。
「気に食わぬ」
クロタの視線なのか助力かカカセオと話していることなのか分からない呟きをする姧蛇羅。
「なんですか?」
「あのようなものが最凶だと?馴れ馴れしくしおって」
腹いせと言わんばかりにアリサに絡む。
「帰ったら……のう?」
アリサを見ながら舌なめずりする。
武神にして織物の神、武葉槌は人数分のまわしを部員達に渡す。
容易いことだと返す。
乾・真守
エルーゼ、アリサと行動
やりすぎ・NG無し
アドリブ・絡みOK
両サイドで髪を纏めた大和時代の格好した戦神、建御雷之男神、後頭部に髷を結った武神、建御名方神を呼び出す。
相撲の始まりとされる神々で当てはまるのだが。
「なにかといや、しゃしゃりでやがって」
「なにぃ?」
「初日の出のチキンレース、お前がケチつけたせいで!」
「先に足をついたのは、お前だ!」
建御名方神の言葉を皮切りに痴話喧嘩と相撲が勃発。
そんなスケールの大きいのか小さいのか分からない争いを他所にカカセオはクロタの元にくる。
「ダメだよ君みたいな美人がそんな顔してちゃ、もったいないぜ」
葉巻を咥えて火をつける。
「なぁんか変なこと吹き込まれた?オレってまああっちこっちで火遊びしてさあ」
捕まれば刑罰は受けていると付け足す。
「ダチのために動いただけでこんな言われちまって」
武葉槌との死闘、それは単に友の為であり二神の件も襲われたから反撃しただけであると話す。
「お礼ならベッドの上でお願いしたいね」
軽口叩く女好き、友情や義理を重んじる性格というのは伝わった。
ミートギフターの脂肪付与は、言うまでもなく彼女の
必殺技である。それ故に彼女と戦うにはそれを何とかして躱すか、あるいは受けるにしてもそれを耐えたりあるいはいっそ逆利用するなど何かしら策を立てる必要があった。
そんな強敵の前にもし一切の作戦も、あるいは戦う意思すらなくただ身を投げ出せばどうなるか。それはエルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)はじめとする四人の猟兵の体が雄弁に物語っていた。
球体を繋げたように丸々と肥え太った体。相手の攻撃を防ぐどころか自ら受けに行き、ミートギフターが倒れても効果は消えることなく残り続けている。
そんな彼女らが何とか生きてここにいられるのは、アリサ・エヴェリーナ(自称駆け出しサマナー・f41926)や乾・真守(漫画家・f40751)、そしてエルーゼ自身が召喚した者たちが代わりに戦ってくれたからである。
エルーゼによって召喚された邪神クロタは自分で動けなくなった仲間たちをさっさと送還するが、召喚主であるエルーゼがだだをこねた。
「あれが欲しい」
相撲部員たちが作るちゃんこを始めとする大量の高カロリー食。それをくれなければユーベルコードを解いてクロタの方を帰還させると言い出したのだ。
面倒を全部自分に任せておいて何をと言いたいが、ある意味未だに正気ではないエルーゼは多分本当にやる。仕方なくクロタはエルーゼを相撲部員たちの前に置き、ちゃんこを給餌するよう依頼した。
「アリサ、大丈夫?」
一方その頃アリサは、自分が召喚した者から黄金の林檎でできたというジュースを貰っていた。呪いを軽減する作用もあるというそれを飲むアリサに、エルーゼを処理したクロタが話しかける。
「アリサといったか。お前だけかと思ったが」
予定外と言えたが話すことはできたことに安堵する。
「分霊がここに導いたのですね。彼はとっさにというか……」
真守については連れてきた理由に深いものはないというアリサ。そう言いながらクロタを見るが、アリサにとって彼女の印象は最初に思い浮かべていた者とはだいぶ変わっていた。
「でもどうしてここまで」
その問いに、クロタはまず答えずアリサをじっと見る。
(姧蛇羅、この邪神は)
邪神の魂に人間の魂が交ざり絡み合うのが見え疑問を抱く。
「分霊は力となるだろう」
姧蛇羅の呪力緩和と戦力になると話す。その言葉を聞き、アリサはやはりと自分の考えに確信を持った。
確かに態度は傲慢さはあるが、面倒がりながらも決して仲間を見捨てない姿勢。それにアリサの不安は完全に解消されていた。
「ありがとうございます」
その思いを込めた言葉。だがそれは、割り込んできた男によって遮られた。
「ダメだよ君みたいな美人がそんな顔してちゃ、もったいないぜ」
真守が召喚したカカセオ。葉巻を咥えて火をつけ無遠慮に煙を吐き出すその姿勢にこそ二人の顔は険しくなるが、彼はそんなこと全く気にしていないようだ。
「やはり男というのは」
「ふふ、奴はそういうものだ」
アリサの召喚した姧蛇羅が不機嫌そうに呟き、同じく武葉槌が返す。特に姧蛇羅はクロタにも警戒を促されるような存在であるはずなのだが、この会話だけならば男に理解を示さないただの女子トークにも見える。
「なぁんか変なこと吹き込まれた? オレってまああっちこっちで火遊びしてさあ」
弁解する気があるのかないのか、捕まれば刑罰は受けていると付け足すが、真摯に説明しているようにはとても見えない態度だ。
「ダチのために動いただけでこんな言われちまって」
武葉槌との死闘、それは単に友の為であり二神の件も襲われたから反撃しただけであると話す。その意味するところは分からないが、クロタは特に何かを得心した表情になっているあたり心当たりはあるのだろう。
「……すまないな」
極東最凶と呼ばれ圧倒的な技能や力を持つ故に勝手に恐れていたことを詫びる。話してみれば良い意味で人間臭く戦闘に関しても好き好んでやるタイプではないとのこと。
「友想いの自由を愛する好漢といったところか」
軽口叩く女好き、友情や義理を重んじる性格ということが分かったと伝えるクロタ。
「お礼ならベッドの上でお願いしたいね」
「それは断る」
軽口には取り付く島もない反応で。
「気に食わぬ」
そんな中でクロタの視線なのか助力かカカセオと話していることなのか分からない呟きをする姧蛇羅。
「なんですか?」
「あのようなものが最凶だと? 馴れ馴れしくしおって」
色々と気に入らないことが重なったのだろう。腹いせと言わんばかりにアリサに絡む。
「帰ったら……のう?」
アリサを見ながら舌なめずりする姧蛇羅。どこまでふざけているのか、あるいはすべて本気なのか、その真意は全く読めないが。
そんな会話をよそに、相撲部員たちは食事とはまた別の事で盛り上がっていた。
真守が呼んだまた別の者たち。真守は両サイドで髪を纏めた大和時代の格好した戦神、建御雷之男神、後頭部に髷を結った武神、建御名方神を呼び出していた。
相撲の始まりとされる神々の名を持つ彼らは、しかし神々しさとは無縁の争いを繰り広げていた。
「なにかといや、しゃしゃりでやがって」
「なにぃ?」
「初日の出のチキンレース、お前がケチつけたせいで!」
「先に足をついたのは、お前だ!」
建御名方神の言葉を皮切りに痴話喧嘩と相撲が勃発。しっかりと組み合いまわしを取り、吊る投げるはたく突っ張ると次々に技を繰り出し合う男二人。確かに喧嘩ではあるのだが、拳や蹴りといった禁じ手はお互い決して使わず相撲での勝負にこだわっている。
そんなスケールの大きいのか小さいのか分からない争いに付き合いたくないというのがカカセオがクロタの方に来た理由の一つでもあったりするのだが、一方で相撲部員たちはむしろその争いに釘付けだ。
「悔しいけど、やっぱ男の力士は強いか……!」
本来相撲は女人禁制。それに抗って稽古を重ね男顔負けの力士となった相撲部員だが、やはり猟兵関係者ともあれば性別関係なくその実力は高い。
しかしその取り組みは見るだけで十分学びがあるものなのも確かだ。相撲部員たちは両者の取り組みを少しでも自分の『身』にしようと、食い入るように見入っていた。
それを見た武神にして織物の神、武葉槌は人数分のまわしを部員達に渡す。
「こ、これは……いいんすか、こんな上物?」
「容易いことだ」
笑って言う武葉槌。着物は着られてこそだし、格闘技に使われるものならば激しいぶつかりの末汚れ、破れてこそ本望。彼女たちならきっとそこまで使い込んでくれると思い、それを後押しすることは全くやぶさかではなかった。
こうして相撲部員たちも含めた様々なケアも済んだ一同。だが、まだ最大の問題が残っている。
「さて、あれをどう帰還させるか」
肉塊と化したエルーゼを見ながらクロタが考えていると、カカセオに二神にやらせると言われ頼むことにする。
「まあ、勝手放題暴れているだけだからな。少しくらい仕事して貰おう」
相撲を取っている二人の男神。結果的に周囲に良い影響を与えてはいるものの、彼ら自身は自分勝手に盛り上がりぶつかり合っているだけ。二人にそのことを伝えれば、渋々と言う様子だが両者はエルーゼを担ぎ上げる。
そのまま器用に重さを分け合い運んでいく様はまさに相の棒。
「喧嘩するほどとはこの事か」
二神の連携に感心するクロタはこれでようやくすべての『面倒』が片付いたことを悟り、やはり柄にもなく大きく息をついたのであった。
大成功
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夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
そういう面では優秀な方だったのですねぇ。
或る意味、相撲部の皆さんには良い経験だったかとぉ。
先程の影響で非常にお腹が空いておりますし、桃姫さんをお誘いして一緒に頂きましょう。
このままでは食べ辛いですので、『豊饒輪廻』で体型への影響を先送り、一時的に元の姿に戻ると共に【夢娞奟】を発動、【夢媄姬】と【紉祾】を発動、各『技能』を増幅すると共に、桃姫さんと『強化』『装備』の作用を共有しますねぇ。
桃姫さんには先にちゃんこをお召し上がり頂き、私達の料理として『XXXライスバーガー』を沢山お作りしましょう。
材料は色々と有るでしょうから、纏めて頂くつもりで、その他にも色々とご用意しますねぇ。
エルさんにはアスリート用のささみ主体の品を、セレスさんには豊胸に良い大豆主体の料理で如何でしょう?
準備が出来たら、後は桃姫さんやエルさん、セレスさんとお話しつつ頂きますぅ。
桃姫さんと私は高カロリー系の品を大量に、『三千符印』や『脂欲の器』も共有される以上、『豊饒輪廻』が切れた後は大変そうですが。
れば完成だ。
「『XXXライスバーガー』、ですぅ」
かつてあるバーガーチェーンの依頼で開発した、るこる監修超巨大ライスバーガー。材料さえあればどこまでも大きくできるそれは、単純な量以上に見た目のインパクトも絶大で相撲部員たちも大喜び。
「凄いな、これもご主人様が考えやがったですか?」
「ええ、名前は違うのですがぁ」
「メリンダさんのとこにありそう」
感心するエル・ティグレと絶妙に正解を掠るセレス。この二人にも何かをと思い材料を探せば、やはり相応しいものが大量に出て来た。
「こちらはエルさんに」
ささみを中心にしたアスリート飯。少し前に意外な世界で彼女の身内とそれに接する機会があった故、そこからの経験も動員してのチョイスだ。
「やはり鳥肉はいいな! チキンステーキとターキーブレスト。それに揚げてもいい! ジャークチキンならアタシも作れるぜです!」
今でこそ様々なものが使われるとはいえ、ちゃんこ鍋のメインは古くは鶏である。
「セレスさんはこのようなもの如何でしょう? 折角ですので少し意識してみるのもよろしいかとぉ」
この宙域に限れば最早異質とも呼べる体系のセレスには、豊胸に良い大豆主体の料理。一口に大豆と言って調理法は様々。分かりやすい豆腐やモヤシのヘルシー料理だけでなく、ソイミートのステーキやカリカリに上げて強く味付けした
桃姫好みそうなもの。相撲部員に頼んで豆乳鍋にしたちゃんこも持ってきてもらう。
「へー、これ全部大豆なんだ! 胸が大きくなるの? 別に自分でなんなくていいけど……エルさんがこんくらいでメリンダさんがこうで……でも一番はやっぱこれかー」
「今度は許可取ってからにしてくれな」
手を揉むように動かしたり頭を抱えたり、最後に抱きかかえるような仕草を見せるセレス。その手つきとエル・ティグレの反応からして、彼女の性格からして純粋な興味本位で触っているんじゃないかと疑問も抱かれる。
そしてもちろんるこるも作るだけではない。エル・ティグレとセレスに桃姫も交え実食の時間である。
「ちゃんこだけじゃなくて洋食もあるんですね」
「ええ。ボスの出身故でしょうねぇ」
食材だけでなく既製品もミート軍はたっぷりと溜め込んでいた。バーガーピザホットドッグという大定番ももちろん各種トッピング爆盛り。
「チーズの色が違いますね」
「ゴーダ、チェダー、モッツアレラ……ブルーチーズに蜂蜜のピザまであるのは流石ですねぇ」
ただハイカロリーなチーズを詰め込むだけではない。より食が進むようにと種類を考えているあたり、やはりここに対するこだわりは本物だったと再確認。
もちろんそれは全て肥育あってのこと。カロリーは当然のように爆盛りだが、それもるこるは対策している。
「『三千符印』や『脂欲の器』も共有される以上、『豊饒輪廻』が切れた後は大変そうですが」
ただし、増える方向にではあるが。
まあ現時点はとりあえず何も起こっていないし、ヤバそうなものは桃姫意外には共有していないので公的には問題ないだろう。
それからも猟兵の体作りやヒーロー活動についてエル・ティグレやセレス、相撲部員と話をしつつ、食事会は続いていった。
やがて膨大な量があったはずのちゃんこや料理も全てなくなり、お開きの時が訪れた。
るこるが後ろで満足気に転がっている桃姫が膨れだしてまた騒ぎ出さないうちにと回収している後ろで、エル・ティグレとセレスも何かを話している。
「あたしはこの人たち送ってかなきゃならないから、ここでお別れかな」
「そうか、世話になったな」
セレスの案内に従い相撲部員たちが次々と彼女のUFOに乗り込んでいく。元々部員たちは地球から拉致されてきた一般人であり、地上と交流のあるヒーローのセレスとしては送り届けないわけには行かないのだろう。宇宙の果てを目指すエル・ティグレとは逆方向になってしまうので、彼女との同行も必然的にここで終わりである。
「さすがに一機じゃ乗り切れなさそうだし、ラグランジュポイントに連絡して増援待ちかな。エルさんはまだまだ行くんでしょ? 頑張ってね!」
「おう。宇宙を征服してホームに帰ったら、いずれまた会おうぜ!」
エル・ティグレがセレスと握手を交わし、次に猟兵たちの方を見る。
「今回はありがとなでございます。よければ武蔵や朱鷺子も手伝ってやって……え、あいつらもう帰ってやがるですか!? こりゃ遅れてらんねぇ! それじゃ、今度はホームで! またなです!」
こうしてエル・ティグレは再び宇宙征服へと旅立ち、セレスはどこかへと通信を始めた。
「うん、ラグランジュポイント経由で行くから地上で引き受けよろしく。ところでロブっちさー、やっぱ胸でっかい方がいい感じ? いや聞いただけ」
それぞれが向かうべきところがあり、帰る場所がある。宇宙の海に浮かんだ肉の星は、船の導のようにその帰路を指し示したのであった、
大成功
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