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ティタニウム・マキアの超越

#サイバーザナドゥ #サイコブレイカー #巨大企業群『ティタニウム・マキア』 #潔斎者たち

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●メリサ
「どうせならって言葉があるよな」
「せっかくなら、っていう言い回しもあるじゃあない」
 亜麻色の髪の青年『メリサ』の言葉に『ケートス』と呼ばれる少女は、なんだこの会話、と思った。
 暇つぶしにしてはあまりにも益体のない世間話にもならぬし、雑談というのならばあまりにも着地点が見えない。
「いや、せっかくならっていう言葉は、困難に対して立ち向かおうという選択の意志が見えるじゃあないか。けれど、どうせならっていうのは、なんていうか、諦めが半分以上含まれているように思えないか」
「捨て鉢になって選んでいるっていいたいわけ?」
「そうだ。人は常に選択を強いられる」
 人生においてもそうだ。
 どんな時でも選択が眼の前に現れ続ける。
 連続だ。
 そうやって時は流れ行くし、選ばれなかった選択は過去となって『今』を未来へと推し進めていく。
 取り戻そうとしても取り戻せることはない。
 過去とはそういうものだ。

 だから『メリサ』は言う。
「その選択を前にして、人は常にどうせなら、と思ってしまう。どうせなら良いほうがいい。どうせなら楽な方がいい。どうせなら簡単な方が良い」
 そんなふうに選んでしまう。
 誰が責められるだろう。
 困難を前に回れ右することも選択の一つであるし、脇道に逸れるのも選択の一つだ。
「それは間違いだよな」
「なんでよ。アンタが今まさにそっちの方が良いって言ったんじゃあないの」
「いいや、やっぱり間違いだ。いつだって正しいのは厳しく険しい道のりだ。どんなときだって、選択をするのならば辛く厳しく、遠回りの道の方が正しいんだ。結果的に」
「それで、どうせならしんどい方をアンタは選ぶって話? これ?」
『メリサ』は『ケートス』に対して、ウィンクしてみせる。
 決まってない。
 決まってないし、だから、この話はどこに着地するのだという疑問しかない。

「そういう選択を取れるやつってのは厄介だってことだよ」
「何が?」
「巨大企業群『ティタニウム・マキア』が、だよ。猟兵なんていう厄介な連中、避けて通ればいいのに避けて通らない。真っ向からぶつかろうとしてしまう。いや、まあ、連中が突っ込んでくるんだから避けようがないっていう意味では大変だなぁって思うよ。いや、まじで」
「それで? その『ティタニウム・マキア』の最近の動きが、そうだって言いたいわけ? 連中にとっての辛く厳しい、遠回りな道だって」
「そう。また『超能力者狩り』をしてるらしいじゃあないか。ということはだ。必然的に」
「……あの子なら、『オルニーテス』なら常に私が監視ドローンを付けているわ。何も心配されるようなことはない」
 そう、嘗て『ケートス』の妹『オルニーテス』はサイコブレイカーとして『ティタニウム・マキア』の秘匿していた生ける屍……鋼鉄の巨人『バイスタンダー』を維持するための犠牲になりかけた。
 だが、此度はその心配はないと『ケートス』は一蹴する。
 なんの心配もいらない、と。
 その姿に『メリサ』は笑う。
「だよな、お姉ちゃん」
「アンタにお義姉ちゃんと言われる筋合いはない――!!」

●バイスタンダー
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。巨大企業群……メガコーポは、嘗て事件として皆さんが解決してくださった『超能力者狩り』を行おうことはご存知のことでしょう」
 ナイアルテは、そう言葉を発した。
 そう、猟兵達は嘗て『超能力者狩り』を行う巨大企業群『ティタニウム・マキア』の目論見を阻んだことだがある。
 彼女の言葉を聞けば、猟兵達はこれからナイアルテが何を告げようとしているのかを察したことだろう。

「そうです。巨大企業群『ティタニウム・マキア』は皆さんのご活躍により、確かに弱体化していっています。ですが、これを盛り返そうと貧民街から集めてきた人々を培養槽に捉え、薬品漬けにすることでサイキックへの覚醒を強引にうながして『サイコブレイカー』を作り出そうとしているのです」
 確かにサイコブレイカーは後天的な能力者である。
 違法薬物などによって覚醒することは稀であるし、確率が高いとも言えない。
 覚醒できなければ、ただ薬物に脳と肉体を破壊された廃人となるしかないのだ。
「その巨大企業群『ティタニウム・マキア』の『サイコブレイカー培養槽』を保有する実験施設の一つを予知によって知ることができました」
 彼女の瞳に写ったのは、巨塔の如き超高層ビルである。
『サスナー第一ビル』と名付けられた施設の警備は厳重だ。
 無数の警備ドローンがビル内部にはひしめいており、これを突破するのは難しいだろう。

「ですが、これを突破しなければ培養槽にたどり着けません。今回は、皆さんの培養槽に囚われた人々をどうにか救出していただきたいのです」
 その言葉に猟兵達は頷く。
 確かに巨大企業群『ティタニウム・マキア』は弱体化の憂き目にあっている。
 だが何度も猟兵達は事件に関わることで理解しただろう。
 どれだけ弱体化させても、これを盛り返そうとしてきているのだ。
 その企業としての体力の底なし具合は恐るべきもの。
 であるのならば、なおのことである。
 これを叩き、何度でも『ティタニウム・マキア』の目論見を潰してやるだけのこと。
「それでは、どうかお願いいたします」
 そう言ってナイアルテは猟兵達に頭を下げ、サイバーザナドゥへと送り出すのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。
 サイバーザナドゥ、巨大企業群『ティタニウム・マキア』が擁する高層ビル『サスナー第一ビル』に存在する実験施設を襲撃し、培養槽に囚われている人物を救出するシナリオになっております。

●第一章
 冒険です。
 実験施設である超高層ビル『サスナー第一ビル』は多数の警備ドローンが内部、外部を問わずひしめいています。
 このビルに対して皆さんは強引に突破するか、それとも潜入するかなどして侵入しなければなりません。

●第二章
 前章から無事に超高層ビルの内部に乗り込むことができましたが、内部には警備するオブリビオンが待ち構えています。
 敵は次から次に現れ、皆さんを撃退しようとするでしょう。
 これを蹴散らし、培養槽のある区画を探さねばなりません。

●第三章
 冒険です。
 どうにかオブリビオンを打倒し、皆さんは培養槽のある区画を制圧しました。
 ですが、それを察知した『ティタニウム・マキア』はさらにビル内部に増援を送り込んできています。
 これを打倒、もしくは躱しながら培養槽から救出した『サイコブレイカー』を保護しつつ、培養槽を有する施設を破壊して撤退しなければなりません。

 それでは未だ蠢動し、さらに弱体化した企業力を取り戻さんとする巨大企業群『ティタニウム・マキア』の目論見を叩く皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『ぶち壊せ、悪の巨塔』

POW   :    力押しで粉砕する

SPD   :    ハッキングなど電脳分野を駆使して破壊する

WIZ   :    構造物の弱点を分析して解体する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 超高層ビル『サスナー第一ビル』。
 それはサイバーザナドゥにおいても摩天楼と呼ぶに相応しい施設であった。
 しかし、しその超高層たる巨塔の周囲には警戒ドローンが飛び交い、また内部にも同様な警備ドローンが配されている。
 ネズミ一匹たりとて、即座に熱線で焼き切られてしまうほどの厳重な警備。
 カンパニーマンやサイボーグといった出入りする者たちは、厳重なるセキュリティチェックが行われ、潜入する者を即座に感知して、これを排除している。
 外から突入するにしても、潜入して内側に踏み込むにしても、猟兵達は如何なる方策を持ち得るだろうか。
 だが、厳重なる警備。
 それは、この施設が巨大企業群『ティタニウム・マキア』にとって重要な場所であるということを裏付けているだろう。
 予知されたサイコブレイカー培養槽は、必ず此処にあると言っていい。
 であれば、猟兵達は己の持てる力で、この警戒を打ち破るか……もしくは密やかに侵入するか。
 いや、もしくは第三の手段もあるのかもしれない。

 いずれにせよ、猟兵達は各々の手段と状況を最大限に利用しなければならないのだ――。
フォーカス・フォード
業績が悪化しているなら真っ当な企業努力をして欲しい物ですがメガコーポというのはそう言う物なのでしょう。
潜入方法ですが物理的な「ハッキング」を目指します。警備ドローンに対してアイテム「フックショット」を撃ち込み手元まで引き寄せてみます。
そしてUC発動。指をハッキング用のコネクタに変形させドローンから直接警備情報を「ハッキング」します。
後は手に入れた警備情報をもとにフックショットを使いながら「軽業」で警備を避けながら潜入を続けましょう。



 そびえるは巨塔か摩天楼か。
 フォーカス・フォード(思考する運び屋・f44694)の頭部……いや、メインカメラとも言うべき単眼のアイセンサーに映るのは、超高層ビルの一つであった。
 絢爛と言えば、そうであろう輝きが明滅する。
 その一つ一つが警戒ドローンであり、超高層ビル『サスナー第一ビル』の壁面を這うようにして飛び交っているのがわかるだろう。
 巨大企業群が一つ『ティタニウム・マキア』。
 そのメガ・コーポが有するビルは今や厳戒態勢であった。

「なるほど。敵も此方が来る、と理解しているからこそなのでしょう。とは言え、業績悪化というのなら、真っ当な企業努力をしてほしいものです」
 フォーカスの単眼のアイセンサーが、レンズを絞る音を立てながら『サスナー第一ビル』の周辺情報を習得していく。
 確かに彼の言う通りである。
 安心安全を売る巨大企業群『ティタニウム・マキア』は、猟兵たちと対立する事件を重ねたことによって追い込まれ、弱体化し始めている。
 だがしかし、ここに来て『サイコブレイカー』を培養しようというのだ。
 もとより『サイコブレイカー』は後天的なサイキックを操る存在。
 であるのならば、投薬によって人為的に目覚めさせ、対猟兵の戦力にせんとする戦略は理解できるものであった。
 正しく、『そういうもの』なのだとフォーカスは理解し、警備ドローンにギミックリボルバーより射出されたフックショットが打ち込まれる。

 抵抗するように警戒ドローンがもがくが、フォーカスのフックショットは噂では象すら釣り上げたこともあるという性能を有している。 
 警戒ドローンがもがくだけ無意味というものであろう。
 引き寄せた警戒ドローンにフォーカスのユーベルコードが煌めく。
 指先が変容していく。
「再調整、再構築、再定義」
 R.R.R(リアジャスメント・リビルド・リディファイン)。
 ユーベルコードによって、彼の指先はコネクタへと変貌し、警戒ドローンに接続される。

「……警備情報習得完了。ドローンの動きは一定のアルゴリズムを経ている、と。効率化を望むあまり、こうしたハッキングを受ければ芋づる式に情報が抜かれることは想定していなかったのでしょうね」
 フォーカスは一つ頷き、ドローンを開放し、超高層ビルを見上げる。
 すでに習得した警備情報は彼の内部メモリにて警備の網目を見るようにルートを算出している。
 単眼のアイセンサーが瞳孔を開くようにして一度開閉すれば、瞬く間に彼の体が空に舞い上がる。
 フックショットによって超高層ビルの壁面へとフォーカスは張り付く。
 警備ドローンの動き、センサーの範囲は既に熟知している。
 後は、己が算出したルートを進むだけだ。
「無用な騒ぎは起こしません。むしろ、他の猟兵が騒ぎを起こせば、好都合。さらに潜入が殺りやすくなります」
 フォーカスは壁面の一つに配されたロックを解除し、ビルの内部へと踏み込む。
 内部にも敬慕ドローンが巡回している。
 スニーキングミッションなどお手の物である。
 敵がドローンしか用意していないのが、フォーカスにとっては容易いこと。
「さあ、行きましょう。ワタシたちの目的……培養槽がある区画までは……」
 まだ遠い。
 だが、それでも道筋が見えている。
 ならば迷う必要もないとビル内部を油断なくフォーカスは進んでいくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎

「私は実験の後に創造と精製にて生誕したが、生物実験は看過できぬな…」
『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』を起動して1分先の未来を透明化と視聴嗅覚を阻害を駆使しながらファンネルビット/シールドビット/リフレクタービットを創造して展開し配置と警戒をしつつハッキングやジャミングの対応を模索し対応と対策を実行します。
他の猟兵がいるならサポートをしたり協力をしたりします。
移動以外にもセンサー類やドローン類に対してもテレポートで空間飛翔して回避したりセキュリティガードなどに模造したり変型をしたりします。

状況とデータを記録し記憶して次の猟兵への協力になる情報を提示。



 どんなものにも一線というものがある。
 それは他者にとってはなんでもないことであっても、それ自体にとっては越えてはならぬものである。
 だからこそ、人と人との間には線引が必要なのだ。
 そういう意味では、培養槽にて後天的にサイコブレイカーへと変容させる培養槽というものは、ティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)にとっては赦されざる一線をまたぐ行いであったように思える。
『アダマンチウム超合金』の骨格と『ケミカルプラチナム溶液流動金属』の体液に宿った魂は、それを否定する。
「生物実験は看過できぬ」
 ユーベルコードに煌めくティティスの瞳が見上げるのは、巨大企業群『ティタニウム・マキア』が有する実験施設を内包した超高層ビル『サスナー第一ビル』である。

 これらを取り巻くようにして無数の警備ドローンが飛んでいる。
 彼女が見上げていたのは、そうしたドローンであった。
 此方の存在が露見すれば、それだけ敵に迎撃の準備という猶予を与えてしまう。だからこそ、ティティスは警戒ドローンをハッキングするためにユーベルコードを用いる。
「幽魔月精は機械身体、幽魔月精の機械魂魄――アストラル・エレメント・トランスフォーメーション」
 己の体躯の一つをアストラル・エレメント・エネルギーに変容させる。
 変容した体躯がエネルギーに変わり、そのエネルギーを持って各種のビットを生み出す。

 シールドビットは鏡面になり、リフレクタービットは、ファンネルビットから放たれた交戦を反射してティティスの姿を覆い隠す。
 いわゆる光学迷彩である。
 彼女の姿は警戒ドローンの視覚的センサーを欺き、さらに生み出したビットでもって、はキングを行う。
 他の猟兵たちが駆けつけるかもしれない。
 その可能性をティティスは排することなく受け入れる。
 自分がやるべきことは、確かに『サスナー第一ビル』への侵入である。
 しかし、他の猟兵がどのように動くかまでは把握できていない。
 となれば、彼らがもしも手間取るようならばサポートしなければならない。
 内部に侵入を果たしたとして、内部の警備はさらに厳しいものとなるだろうし、加えて救出した培養槽にて薬漬けにされているものを救い出すには人手というものが必要になる。

「空間飛翔」
 瞬間、ティティスはドローンを介して入手した『サスナー第一ビル』の内部構造を持って、跳躍する。
 内部は多くのブロック事に管理されているようである。
 下手に動けば敵の警戒を強めてしまうのなら、と彼女の体躯が変容したエネルギーによってセキュリティカードを生み出す。
「これならば敵に気が付かれるはずもあるまい……とは言え、ブロックを行き来したログは残るが……これも改ざんすればいい」
 自らの体躯を利用してティティスはビル内部を進んでいく。
 超高層ビルであるのならば、多くの階が存在しているだろう。
 これらを虱潰しにしていくのは時間がかかる。

「だが、なにもない、ということを確認できるだけでもよいだろう。例え、遠い道のりだとしても、次に繋げばよい」
 ティティスはそう言って他の猟兵達に情報を提供できるように己がアストラル・エレメント・エネルギーを用いて、次なる一手の為の布石を打ち込んでいくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

うわうわうわうわ……。
雄叫びの質が、いつもとテンションが違いますー!?

いやまぁなんとなく暴走モードになるかなーって思ってましたけど、
予想通りを通り越して、斜め上も通り越して、垂直に上っていきましたね。

この『正妻戦争』、どこかの杯求めての戦いより熾烈なんですけどー!

んー、まぁ、フラグ立てるのが上手なのは、
『メリサ』さんだけじゃなくて、『エイル』さん関係みんなじゃないです?
なんか現地妻とかいてもおかしくない感じでフラグ撒いてますよね。

三十六世界が『エイル』さんの港とかもありうるかもですね。

あ、『オルニーテス』さんも、当然のように巻き込まれてると思いますよ。
むしろ巻き込まれてない方がおかしくないです?

って、正妻まだ決まってないんじゃ……なんでもないです!(敬礼

って、いままでわたし放置だったんですか!?
こんなにいろいろボケたりツッコんだりしてたのに!?

なんか酷いこと言われすぎてないでしょうかー!

こうなったらもう、思いっきり演奏するしかないですね。
攻撃対象ロックオン!その耳栓を貫けー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
私が!私がメリサ様の正妻です!!(キリッ)
どういうことですか!!
お義姉ちゃんと呼ばれる筋合いは無い!
って『妹はあげないわよ!』なのか
『妹じゃなくて私を貰いなさいよ!』なのか
ハッキリしてくださいケートス様!!
思えばいつも『最低』って言っていたのはケートス様……
また正妻戦争勃発ですよ!

それはそれとして
最近のメリサ様ってフラグ立てるの上手なので
その、なんもいうか、オルニーテス様本当に大丈夫??
もう既に巻き込まれてたりしない?

それにしても『サスナー』ですか
クロキャのサスナー第一帝国……
因果がまだ廻るとでも?
メリサ様が背負っているもの
禊が必要というのなら
正妻が手助けしないという手はありません

はい、ルクス様お待たせしました
ここからが猟兵です
んー私だけならクールに潜入出来そうですが
ルクス様と一緒なら破壊の方が良さげですかね?
ルクス様演奏していいですよー
もう全部|魅了《破壊》しましょうねー
私は私で【メイドズ・ホワイト】
超スピードで乗り込むとしましょう
減った寿命は後ほどメリサ様で補充します



 正妻というものがあって、側室というものがある。
 一夫多妻。
 文字にすれば、たったの四文字である。
 一人の夫に妻が複数。
 ある意味で男の夢であっただろうし、男の器量、甲斐性というものを測る物差しでもあったことだろう。
 妻の一人ひとりを尊重し、大切に扱うからこそ許されたことでもある。
 多くを手にするならば、多くに責任がつきまとう。
 だがしかし、である。
 ここまで語っておいてなんであるが。

「私が! 私が『メリサ』様の正妻です!!」
 キリッ!
 そんな擬音効果音が宙に浮かぶ。
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はキメていた。決まってないし、決める必要もないが、ともかく彼女はキリッとしていた。
 誰に主張しているのかわからないが、そういうところなのである。
「どういうことですか!! お義姉ちゃんと呼ばれる筋合いはない! って!『妹はあげないわよ!』なのか、『妹じゃなくって私をもらいなさいよ!』なのか! ハッキリしてください!!」
 叫ぶステラ。
 果たして、その声は届いているのかいないのか。
 だが、ステラは止まらない。
「思えば、いつも『最低』って言っていたのは『ケートス』様……また正妻戦争勃発ですよ!」
 いやな戦争である。
 おおよそ男の身、立場からすれば、厄介なことこの上ない。
 性差、というものがある。
 そんな中に割って入るなど、ハッキリ言って面倒以外の何ものでもない。それが甲斐性の見せ所であるというのならば、なんたる皮肉だろうか。

「うわうわうわうわ」 
 そんなステラをルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はドン引きして見ていた。
 雄叫びの質、というものがあるのならば、テンションが違うのだと彼女は思った。
 いやまぁ、このままなんとなく暴走モードになるのかなーって思っていたので、ある程度のショックみたいなものは軽減されていると言ってもいい。
 予想通りではあるが、それを飛び越えて斜め上どころか、垂直にグレードアップしたような気がしないでもない。
 正妻戦争。
 いや、どこかの聖杯を求めての戦いよりも熾烈であるように思えた。
 痴情のもつれって、こいうことを言うんだなぁってルクスは思った。
 こういうときに主人公体質な男の人って……とルクスは呆れ半分であった。

「それはそれとして、最近の『メリサ』様ってフラグ立てるの上手なので、その、なんていうか、『オルニーテス』様本当に大丈夫? もう既に巻き込まれてたりしませんよね?」
 嫌なフラグである。
 だがしかし、ステラは眼の前の超高層ビルを見上げる。
 警戒ドローンが飛び交う摩天楼の如き威容。
 この中にサイコブレイカーを培養する施設があるのだという。彼女……『オルニーテス』もまたサイコブレイカーである。
 しかし、すでにサイキックが発現しているのならば、これから人間をサイコブレイカーにする施設とは関係がないように思える。
 が、ステラはまだまだ油断できないと思っていた。
「んー、まぁ、フラグ立てるのが上手なのは『メリサ』さんだけじゃなくて、『エイル』さん関係みんなじゃないです? なんか現地妻とかいてもおかしくない感じでフラグ撒いてますよね」
 三十六世界が『エイル』の港とか、とルクスは冗談のように言う。
「このビルの名前……『サスナー第一ビル』ですか。クロムキャバリアの『サスナー第一帝国』……因果がまた廻るとでも?『メリサ』様がせおっているもの、禊が必要というのなら正妻が手助けしないという手はありません」
「正妻……まだ決まってないんじゃ……なんでもないです!」
 ルクスはステラの言葉に思わず言ってしまったが、鋭い眼光にビクっと身を正す。
 いらんことを言ってまたスリッパで叩かれては敵わない。

「そういうことでルクス様、おまたせしました」
「今まで放置していたかのようなスルーっぷり!」
「ここからが猟兵としてのメイドです」
「こんなにいろいろボケたりツッコんだりしていたのに!?」
 ルクスの言葉にステラは頷く。
 頷くんだ。
「私だけならクールに潜入出来そうですが」
 ステラは『サスナー第一ビル』を見上げる。
 警戒ドローンが飛び交い、潜入するのも一苦労であろう。だがしかし、完璧なメイドならばやってやれないことはないのである。
 しかしながら、とステラはルクスを見やる。。

「ルクス様と一緒なら破壊の方が良さげですかね?」
「なんかさらっとディスられましたよ!?」
「ルクス様、演奏していいですよー。もう全部、|魅了《破壊》しましょうねー」
「え、いいですか!?」
「はい、ルクス様の演奏で悪しき巨塔を正面から」
 ぶっ壊しましょう、とステラは握りこぶしを作って見せる。
 演奏していい、という言葉とはなんていうか、まったく合っていないポーズであった。
 しかし、ルクスは演奏できるのならば、と頷く。
「わっかりましたー! 思いっきり演奏しますね! 魂の演奏は、すべてを貫きます! ドローンだろうがなんだろうが、私の演奏を聴けー!」
 ルクスの悪魔のトリル(アクマノトリル)が爆音で奏でられる。
 突如として炸裂した衝撃波に警戒ドローンがビルの壁面に叩きつけられ、体勢を崩す。
 さらに溢れる濁音の激流。

 それに乗るようにして、耳栓をしたメイド、ステラがカーテシーを決める。
 爆発的に跳ね上がった速度でステラはルクスを抱えてビルに飛び込む。
 フロアには、ルクスの演奏によって這い出してきたドローンがひしめいている。だが、関係ない。
「今の私はなんでもできる、超有能なスーパーメイドです。寿命が減りますが、後ほど『メリサ』様で補充します」
「その耳栓を貫きます!」
 ステラの耳栓を無意味にするような爆音でルクスはノリノリで演奏を続け、さらにメイドの超スピードでもって彼女たちは摩天楼の如きビルの内部に破壊をもたらしながら、駆け上がっていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シルキー・アマミヤ
やっほ★シルキーちゃんだよ★
それじゃあ、いつものお仕事始めちゃうぞ★

とりあえずまずは『ロボットビースト』たちと『ことりちゃん』を出すね★
『ことりちゃん』がホログラムを投影して警備ドローンに対して陽動をかけ、ロボットビーストがその隙をついて分散して各所より侵入、破壊工作をする感じかな★
そしてシルキーちゃんはそれに紛れて内部に侵入、ハンドユニットで手近な端末からハッキングをかけて警備や構造物の管理や情報を扱う中枢部分を探るよ★

警備部隊に追い詰められちゃったビーストは(ちょっともったいないけど)UCでそいつらを巻き込むように遠隔起爆★
おまけに通路や逃走経路なども同様に爆破して潰しちゃうね★



 摩天楼の如き超高層ビルの壁面をホログラムで偽装されたドローンが飛ぶ。
 カメラが煌めく光すらも覆い隠すホログラムは、完全に周囲に溶け込むようであった。カメラレンズが捉えているのは、摩天楼――『サスナー第一ビル』を取り巻く状況であった。
 猟兵たちの幾人かが既に先行している。
 正面から突入するものもいれば、密やかに潜入するものもいる。
 この状況であるのならば、とシルキー・アマミヤ(何でも屋のシルキーちゃんだゾ★・f36571)は利用することを思いつく。
「んじゃ、いつものお仕事始めちゃおう★」
 シルキーは、そう呟いてホログラムによって偽装されたドローンを操作する。
 警戒ドローンは確かに無数存在している。
 が、すでに猟兵が正面から突入している。

 ならば、この混乱に乗じてさらに混乱を押し広げていこうというのだ。
 無数のロボットビーストたちをシルキーは指揮下において、コントロールする。
「それじゃ、一つ行っとこう★」
 その言葉と共にホログラムが解除されたロボットビーストから、シルキーの姿が映し出される。
 その姿に警戒ドローンたちが即応する。
 警告なしの射撃。
 このような状況にあっては、当然であった。
 しかし、それは陽動なのだ。敢えて姿をさらす。それによって警戒ドローンは情報を処理しなければならない。
 それが単一であれば、簡単に処理することもできただろう。
 だが、今は違う。
 多くの状況が情報となって警戒ドローンの中に流れ込んでいく。

 そうなれば、処理できない情報も出てくる。
 タスクが重なる、というやつだ。一つのタスクが他のタスクをせき止めるようにして存在している限り、警戒ドローンはプログラムで動く以上、処理を優先する。
 だからこそ、シルキーはわかっていた。
「さ、お次はっと★」
 ロボットビーストたちが『サスナー第一ビル』へと突入する。
 仲間の猟兵達が内部を破壊しながら駆け上がっているのならば、なおさら好都合であった。
「破壊工作★ 楽しいね★」
 シルキーは内部に新融資、ハンドユニットから端末をハッキングする。中枢部分へと至るには、時間が足りない。

 更に警戒ドローンが集まってくる。
「あーっと、ちょーっともったいないけど……まあ必要経費ってことで★」
 撃滅機構・機獣爆破(クグツ・ボマー)。
 シルキーのユーベルコードによってロボットビーストたちが警戒ドローンを巻き込むようにして自爆し、破壊していくのだ。
 確かにもったいない。
 けれど、ここでシルキーが突破に手間取るほうが余程である。
 だからこそ、シルキーは次々とコントロール下のロボットビーストを自爆させ続ける。
「やりすぎちゃったかな? ま、いっか★」
 シルキーはどの道、サイコブレイカー培養槽に囚われている人々を救出したのならば、この施設を破壊しなければならないのだから、と笑う。
「速いか遅いかだけだもんね★」
 そう、それだけのことなのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
厳重な警備……
けれど中に入らなくてはならない
犠牲者が出る前に

『結界領域』で周囲を覆うわ
勝負に相応しいフィールドの中でなら、私の試合勘が働くはずよ
障害物ステージを超える要領でルートを決めるわ
ゴールは建物の中、培養槽のある場所
『ダッシュ/ジャンプ』を駆使し
早業で警戒網をくぐり抜ける

アスリート魂が燃える、心が想いを強くする
助けを求める誰かがそこにいるなら
機械に感知されるよりも疾く、熱線を躱せるほど疾く加速して
駆けつけてみせるわ



 超高層ビル『サスナー第一ビル』の周囲を飛ぶ警戒ドローンは猟兵たちの突入によって混乱しているようだった。
 この機を逃さぬと薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は青い瞳をユーベルコードに輝かせる。
「犠牲者が出る前に」
 この中では今もサイコブレイカーを生み出すための実験が行われている。
 薬物による後天的なサイキック能力の獲得。それがサイコブレイカー。であるのならば、このサイコブレイカーを増やそうとする巨大企業群『ティタニウム・マキア』の蠢動は見逃すことができない。
 薬物にてサイキックに目覚めれば巨大企業群の奴隷。
 目覚めることができなければ、薬物によって廃人となって死ぬだけである。

 静漓はそんなことをさせてはならぬと、結界領域(ケッカイリョウイキ)にて『サスナー第一ビル』を包み込む。
 真剣勝負。
 そう、これは競争なのだ。
 フロアを隔てる壁や警戒ドローンは障害物。
 そう彼女のが認識する以上、眼の前に広がる光景は真剣勝負に相応しいフィールドそのものであった。
「勝負しましょう」
 呟く。
 心にアスリート魂が燃える。
 心が想いを強くする。
 この施設の中に今も助けを求める者がいるのならば、彼女はためらわない。
 どんなに危険な場所であっても、駆けつける。

 それができるのだと自分自身を信じている。
「行くわ」
 正面から静漓は『サスナー第一ビル』へと飛び込む。
 きっと助ける。必ず助ける。
 ただそれだけの意志を宿した静漓を前にして、意志宿さぬ警戒ドローンは無力であった。
 彼女の速度は、想いの強さによって底上げされている。
 それに警戒ドローンは彼女の勝負勘とも言うべき直感によって減速し、捉えることはできない。
 一瞬で駆け上がり、フロアの階層を上げていく。
 銃撃など意味をなさない。
 彼女の身が羽のように軽く舞い上がり、壁面を蹴って稲妻のように駆け抜けていく。

「遅いわ」
 彼女の速度は機械の感知を上回る。
 放たれる銃撃を静漓は一瞥くれることなく振り切って加速し続ける。彼女の速さは周囲に衝撃波を生み出し、さらに上へ上へと進みゆく。
 止まらない。
 止まってなどいられないのだ。
「ここ、なのね。培養槽」
 彼女が駆け上がった先にあったのは、無数の試験管のような培養槽が居並ぶ光景だった。
 その殆どが空になっている。
 だが、いくつかがまだ稼働しているのがわかるだろう。

 その中に人影がある。
 だが、静漓はもう一つ気がついた。
 先程までの警戒ドローンではない、存在。
 その気配を感じ取って静漓は振り返る。そこには、培養槽を守るべく配置された無数のオブリビオンたちの姿があった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『レビアタン』

POW   :    生々流転
【放った骸の水】が命中した部位に【大量の骸の水】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD   :    流水行雲
戦場内に【大量の骸の水】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。
WIZ   :    抜山倒河
自身からレベルm半径内の無機物を【同質量の骸の水】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:雲間陽子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ラスク・パークスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「侵入者、確認」
 猟兵達は超高層ビル『サスナー第一ビル』の培養槽が配置されたフロアまで駆け上がっていた。
 無数にある培養槽の殆どが稼働していなかったが、いくつかはまだ稼働している。
 その稼働している培養槽に人影が見える。
 きっと、それこそがサイコブレイカーに覚醒させられようとしている者なのだろう。
 その人影をすぐさま救出しなければならないが、しかし、猟兵達は培養槽を守るオブリビオンが己達に迫ることを知る。
 まずは、このオブリボンたちをどうにかしなければならない。
「侵入者は、排除」
 機械的な音声が響き、オブリビオン『レビアタン』たちは、その身に宿したるスイトン・ジツ――骸の海たる汚染水を手繰り猟兵達に襲いかかるのだった――。
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎

「物理的流水か…精神世界からの干渉が可能か試行錯誤する」
『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』を起動して即座にアストラル化して精神エネルギー干渉と攻撃が可能か確認して可能なら続行、不可なら1機づつファンネルをテレポートして間段無く攻撃を続けます。。“三女神UCを封印/弱体化を計り空間飛翔にてとテレポート回避運動とリニアロングボウとレーザービームで攻撃を仕掛け、状況と状態を確認しながらモニターを猟兵にも表示して対策を示唆して貰います。

好機が謀れたらフルバーストとヘラ・エウピションでの全力総攻撃を仕掛けます。ファンネルでの全方位立体攻撃で還付無きまでに撃滅。



 培養槽が立ち並ぶフロアにて猟兵たちに襲いかかるのはオブリビオン『レビアタン』であった。
 出で立ちからしても、その実力が高い事はうかがえるだろう。
 手繰るのは骸の海たる水。
 渦巻くようにして『レビアタン』の周囲に浮かぶ骸の水は、触れれば猟兵と言えど汚染は免れないだろう。
 生身の体では堪えがたき汚染であるところは言うまでもない。
「物理的流水か……精神世界からの干渉が可能か試行錯誤する」
 ティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は、即座にユーベルコードでもって己の体躯をアストラル・エレメント・エネルギーへと変異させる。

 彼女の語るところから察するにアストラル・エレメント・エネルギーというものはティティスの体を構成している精神力のようなものなのだろう。
 これを持って変異下体躯は『レビアタン』の放つ骸の水を前に対峙する。
「エネルギー体、確認」
『レビアタン』の操る水がティティスへと襲いかかる。
 彼女は精神エネルギーとして骸の水へと対処ができるかと考えたが、物質である水へと鑑賞することはできない。
 エネルギー体であっても波長が異なれば、力の伝導は行われないのと同じであろう。

「……精神干渉は不可能か。敵の駆体は義体。であるのならば、間断なく攻撃して砕かせてもらう」
 ティティスの言葉と共にファンネルをテレポートさせ、その熱線を放つ。
 雨のように注ぐ熱線を『レビアタン』は骸の水で減衰させながらフロアを駆け抜ける。
 放たれた骸の水。
 これに当たれば、己が体躯は操られてしまう。
 ユーベルコードゆえの無法であるとも言えるが故に、ティティスはテレポートでもって躱し続ける。
 しかし、これを『レビアタン』は囲うようにして出現したティティスを取り囲む。
「なかなかやるようだが……」
 ティティスは眼前に迫る骸の水の包囲を打ち破るように大型の超電磁式弓であるロングリニアボウを構え、番えられた矢を放つ。
 その矢が骸の水を打ち抜き、穿たれた包囲の隙間を縫うようにしてティティスは飛翔し、『レビアタン』へと迫る。

「敵機、接近」
「好機」
 敵は此方を包囲して汚染するつもりだったのだ。
 だが、ティティスの一撃で包囲は崩れ、その無防備な姿を彼女の前にさらしている。
 故に彼女の武装の全て……アームドフォートレスダブルキャノンとファンネルビットの火線がほとばしるようにして『レビアタン』を取り囲むようにして放たれる。
 打ち込まれた火線が『レビアタン』の鋼鉄の体躯を焼き切り、爆発霧散させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォーカス・フォード
なんたるスイトン・ジツ。しかしアイサツも無しのアンブッシュとは…。
戦闘ですが汚染はともかく、水による質量攻撃は直撃したくないですね。さて、水場を駆け巡るのも職業柄珍しくないもので今までの運搬業務から「地形耐性」と「地形の利用」によって水そのものを避けきれなくても「ダッシュ」で直撃は避けていきたいです。
多少の負傷で済む事に成功すればUCを発動します。
輸送業務タスクに最優先事項を挿入。返送業務を開始します。配達対象は|抜山倒河《ユーベルコード》!
同じ技で相手の妨害をし、フックショットで接近戦を挑みます。
接近に成功できればフックショットの勢いを利用して「超重装甲」の体で体当たりをかまします。



「猟兵確認。ケース・ワン」
 その無機質な言葉と共にオブリビオン『レビアタン』は、フロアに存在していた空の培養槽を骸の海の水へと変換し、手繰り寄せる。
 大量の汚染水。
 それに触れれば、猟兵と言えど汚染されてしまうことはわかりきっていた。
 サイバーザナドゥに生きる者にとって、生身であることは緩やかなる死を意味する。
 特に呼吸器、内蔵に感っしては汚染の侵食具合が凄まじい。
 だからこそ、この世界に生まれ落ちた者たちの明暗を分けるのは、生まれ落ちた環境であった。
 生まれた時から、すでに運命が決定づけられてしまう。
 人間という存在はどこまで行っても自然界の弱者である。

 故に機械の体……義体に置き換えねば、この劣悪なる環境で生きてはいけない。
『レビアタン』は、その汚染の大元たる骸の海の水を無機質から変換して手繰るのだ。
「なんたるスイトン・ジツ……しかし、アイサツもなしのアンブッシュとは」
 フォーカス・フォード(思考する運び屋・f44694)は、周囲の無機質を骸の海の水へと変換した『レビアタン』のユーベルコードに驚愕する。
 だが、彼にとって汚染する水は大した脅威ではない。
 なにせ、彼はウォーマシン。
 もとより汚染を心配する理由はない。だが、大量の水による質量攻撃は鋼鉄の駆体を歪ませ、ひしゃげさせるには充分なものだった。

「脅威排除」
 短い言葉と共に放たれるは大量の水が集まった鉄槌の如き一撃であった。
 フォーカスは、その初撃を前にして一歩踏み出し、駆ける。
 確かにあの一撃は脅威だ。
 だが、一撃をもらうようりも躱す可能性に賭けたのだ。
 炸裂する圧壊の一撃がフロアの床をぶち抜き砕く。
 破片が飛び散る中、フォーカスの単眼のアイセンサーが煌めく。
 ひしゃげたフロアの床材を蹴ってフォーカスは『レビアタン』を見つめる。
「凄まじい一撃……ですが、汚染はワタシには無意味。であれば、初撃でワタシを仕留められなかったアナタは」
 ユーベルコード。
 彼は受けたユーベルコードを記録し、電脳に情報を書き込む。

 無機物を骸の海の水へと変換し、それを手繰る力。
 フォーカスは受け止めた一撃を解析し、記録する。そうすることで、一度だけ自分で使うことができる。
「輸送業務タスクに最優先事項を挿入。 返送依頼(シッピングマーク)、承りました。そのユーベルコード、未達につき返送業務を開始します」
 煌めくユーベルコード。
「脅威判定」
『レビアタン』は見上げるしかなかっただろう。
 フォーカスの掌に集まるは、破壊された床材を変換した骸の海の水。

 それは『レビアタン』が振るうユーベルコードそのもの。
 まるで鏡写しのような力に『レビアタン』は動揺したのかもしれないし、眼の前の事象を理解できなかったのかもしれない。
「抜山倒河!」
 まったく同一のユーベルコード。
 大量の水が鉄槌のように『レビアタン』へと叩き込まれんとする。
 だが、これをかわさんとする『レビアタン』の脚部に巻き付くのはフォーカスが放ったフックショット。
「脚部異常。回避行動、不可」
 その頭部へと叩き込まれる大量の水。
 ひしゃげるようにして『レビアタン』の体躯がくの字に折れ曲がり、さらにフックショットを巻き上げることでフォーカスは己の超重装甲の体躯による体当たりでもって、その駆体をへし折って破壊するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
培養槽に人影がある……もう少しだけ待っていて
退きなさい、オブリビオン
あなた達に彼らの自由を奪う権利はない

あの水を浴びてはいけない
『天人結界』で飛翔し、骸の水を避けましょう
避けきれない水も結界術で直接当たらないようにするわ
奪われた自由を取り戻そうとするこの想いが撃鉄を起こす
アスリート魂『心』を光の矢に変えて敵を撃ち抜くわ

この世界はいつでもどこでも
誰かに見られているような気分になるわね
……監視カメラがあればついでに撃ち抜くわ
どこかの誰かにとっては
ここまで猟兵が踏み込むのも想定内のこと……なのかしら



 到達したフロア。
 そこに広がる光景に薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は眉根を潜める。
 人影がある。
 培養槽に浮かぶ人影は、成人に満たぬ体躯であるように思えた。
 つまりは、子ども。
 未熟な体躯に薬品は毒でしかない。
 当然、その身が多く耐えられる訳が無い。子どもとは、彼女にとっては可能性そのものであった。また守らねばならぬと思うものであった。
 だからこそ、巨大企業群『ティタニウム・マキア』の所業に対して、彼女は怒りを覚えたかもしれない。

 駆け寄らんとして、彼女の前に立つのは骸の水をを操るオブリビオン『レビアタン』であった。
「脅威排除。開始」
 放たれる水の一撃を、静漓はユーベルコードに輝く瞳の残光を空間に刻み駆け抜ける。
 あの水を浴びてはいけない、と本能的に理解する。
 あらゆる生身を汚染する骸の海。
 如何に猟兵と言えど、生身の体では骸の海による汚染は耐え難い。
 故に彼女は天人結界(テンジンケッカイ)によって、障壁結界で己が身を覆い、飛翔する。
 室内という限定的な空間であったが壁面、天井を蹴って彼女は『レビアタン』へと肉薄する。

「退きなさい、オブリビオン。あなた達に彼らの自由を奪う権利はない」
 心に撃鉄が起こる。
 奪われた自由。
 培養槽に囚われている者たちは、自由を奪われたものたちだ。
 そして、薬物によって人の尊厳すら奪われようとしている。
 起こされた撃鉄が叩きつけられる。 
 火花が散った瞬間、静漓は肉薄する『レビアタン』へと光の矢を放つ。
 己の心、いや、魂というものが燃え盛るようにしてアスリート魂を燃焼させる。己が心は、そのままに強さに直結する。
 膨れ上がった光の矢の閃光が『レビアタン』が操る骸の海の水すらも蒸発させて、その体躯を貫く。

「抹消、こう、動……行……ど、ウ」
「それ以上はさせないわ」
 よろめく『レビアタン』の頭部を光の矢が撃ち抜く。
 呻くようにして鋼鉄の義体が倒れ込むのを見やり、静漓は培養槽に向き直る。
 いや、視線を上方へと向けた。
「この世界はいつでもどこでも、誰かに見られているような気分になるわね」
 そう呟いて、フロアに配されていた監視カメラを光矢で撃ち抜く。
 破壊されたカメラが地面に落ちた音を聞いて静漓は培養槽へと向き直る。
 そこには囚われた人間……成人に満たぬ子供らの姿が見える。
 これが巨大企業群『ティタニウム・マキア』の目論見。
 自分たち猟兵が、この目論見を打ち破る。
「どこかの誰かにとっては、ここまで猟兵が踏み込むのも想定内のこと……なのかしら」
 培養槽のコンソールを静漓は適当に叩く。
 解放する仕方がわからないのだ。

 だが、彼女の思いを反映したようにひとりでに培養槽が解放され、内部から囚われていたものが解放される。
「ともあれ、彼女たちは救い出せるのなら」
 思惑の上で踊るのもまたやぶさかではないと静漓は開放された子どもを抱えて、この場から去ろうとするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シルキー・アマミヤ
証拠隠滅を図らない…あちらさんも被検体を捨てる訳に行かないって事かな★なら遠慮なく行くよ★

シルキーちゃん、今はほぼ全部機械化されてるから(※当人の認識。実際は記憶を持つだけで最初から頭脳戦車なのだが)影響は少ない訳だけど★正面から撃ち合う気はないよ~★

【暗殺機構・隠匿駆動】起動。
……ホログラムと煙幕弾、おまけで周りの構造物を遮蔽物に利用、ことりちゃんと残ってるビーストたちも陽動兼偵察に投入して~★連携しながら不意打ち狙いの撹乱戦を仕掛けるよ★
どれが「本物の」「シルキーちゃん」か分かるかな~★ちなみにホログラムも『ホログラフィックブレイド』で攻撃して電脳体でも水分でも「焼く」から油断は禁物だぞ★



 なるほど、とシルキー・アマミヤ(何でも屋のシルキーちゃんだゾ★・f36571)は思考する。
 巨大企業群『ティタニウム・マキア』にとって猟兵とは不倶戴天の敵である。
 打倒しなければならない存在であり、己たちの目論見を常々打ち破らんとするものたちである。
 天敵と呼んでいい。
 猟兵がサイバーザナドゥ世界に現れるようになってから、安心安全を売る巨大企業群『ティタニウム・マキア』は弱体化の憂き目にあってきた。
 それだけ多くの事件が猟兵によって解決されてきたことを示す事実であろう。
 同時に他の巨大企業群との抗争にも影響が及ぼされているということでもあるのだ。
 故に『ティタニウム・マキア』の急務は戦力の補充である。
 サイコブレイカーが後天的に付与されるサイキック能力を持ち得るというのならば、このような施設も必要になるのだと理解できる。

「ここまで追い詰められているのに証拠隠滅を図らない……あちらさんも被験体を捨てるわけにも行かなければ、この施設を遺棄することもできないってことかな★」
 シルキーの推察は当たっているところだろう。
 巨大企業群にとって人間とは放っておいても生まれてくる資源である。
 しかも先天的な才能を有していなくても薬物漬けにすれば、それだけで強大な戦力になり得る可能性があるのだ。
 旨味しかない、ということだろう。
「なら遠慮なく行くよ★」
 シルキーは頭脳戦車の駆体と共にフロアへと駆け抜ける。
 迫るはオブリビオン『レビアタン』の放つ骸の水である。

 高濃度の汚染水。
 確かにシルキーは頭脳戦車であるから、生身の部分は存在しない。
 彼女の認識とは食い違うところであったかもしれないが、しかし、事実である。
 汚染水の影響は軽微。
 さりとて、敵のユーベルコードを受けるつもりはなかった。
「脅威、排除。開始」
 放たれる汚染水。これを前にしてシルキーは打ち合うつもりは毛頭なかった。
「暗殺機構・隠匿駆動(サプライズスイッチ)、起動」
 駆体より放たれるホログラムの数々。
 そしてばらまかれる煙幕弾がフロアに煙を充填するように広がっていく。さらに突入の際に残っていたロボットビーストたちも加えての陽動。

「反応、多数」
 放たれ続ける弾丸のような汚染水。
 これをシルキーはホログラムにまぎれて躱す。
「木を隠すなら森の中、じゃあ死体と刺客を隠すならどこかな~?」
 おどけるようにしてホログラムの美少女が煙幕の中を踊る。
 その姿に『レビアタン』は苛立つように汚染水の弾丸を叩き込んでいく。
 如何に高機能のセンサーを有するのだとしても、高機能であるからこそ、シルキーの陽動は型にはまるようにして『レビアタン』を混乱に叩き込むのだ。
 ホログラムは熱源をたどればすぐさまに偽物だと理解できるだろう。
 だが、ロボットビーストたちが駆け抜けるが故にこれもまた撹乱されてしまう。
 その混乱に乗じるようにシルキーは『レビアタン』の背後に回り込む。

「どれが本物のシルキーちゃんかわかるかな~★ わかんないよね~?」
 浮かび上がる美少女ホログラム。
 手にしているのはフォトンセイバー。
 その一撃が『レビアタン』の脳天を貫く。
「ガッ、ガガ……」
「はい、いっちょ上がり★ シルキーちゃんのホログラフィックブレイドは電脳体でも水分でも焼くんだぞ★」
 シルキーのホログラムが笑って、崩れ落ちる『レビアタン』の駆体を見下ろすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

あ、あー、あー、あー。
ステラさんのそのセリフこそがフラグの……あっいえナンデモナイデス・
って、正妻戦争終わってないって、始まってたんですか!?

あ。はい。戦闘……はいいんですけど、演奏しちゃダメなんですか!?

えーっと。
培養槽、壊れ……壊れますよね。

うーん。ステラさんからの支援のお願いは嬉しいんですけど、
演奏できないとなりますと、どうしたらいいものか……。

そういえば骸の水……水?

よし、これでいきましょう!
水なら凍らせてしまえば動かなくなりますし、危険度もぐっとさがりますよね!

ということで【Tanz des Hagel】いきまーす!
うふふふふふ。肉保存だけの魔法ではないんですよー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
見えました!
どうやらオルニーテス様は居ない様子
フラグが折れたようでほっとしております……折れましたよね?
なお、正妻戦争は終わっていない

ともあれルクス様、戦闘です!
あの培養槽はこのまま破壊してしまって問題ないのかどうか
迂闊な事はできませんね
ルクス様、演奏は禁止で
え?壊しちゃうでしょう?敵と一緒に

仕掛けますので支援お願いします!
【スクロペトゥム・フォルマ】で!
骸の水を回避しないと面倒なことになりそうですね
骸の水を銃撃で相殺しつつ
接近戦で仕留めていきます!

それにしてもティタニウム・マキアはまたバイスタンダーを再生させるというのですか?
何のためにバイスタンダーを得ようとしているのか



 サイコブレイカーを生み出すための培養槽が立ち並ぶフロアに到達したステラ・タタリクス(紫苑・f33899)とルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、そこに浮かぶいくつかの影を見た。
 どれもが成人に満たぬ体躯であることがわかるだろう。
 子供ら、と呼ぶに相応しい人影がいくつかの培養槽に浮かんでいるのだ。
「見えました! ……どうやら『オルニーテス』様は居ないご様子。フラグが折れたようでホッとしております……折れましたよね?」
「あ、あー、あー、あー」
 そんなステラの言葉にルクスは言葉を濁すことしかできなかった。
 そういうセリフを言うと大抵フラグが折れていないということが常であったからだ。
「ステラさん、そのセリフこそがフラグの……あっいえナンデモナイデス」
「なお、正妻戦争は終わっていないのです」
「正妻戦争おわってないって、始まってたんですか!?」
 ルクスからすれば、勃発もしてない戦争がまだ続いていると言われても、ピンと来ない。

「ともあれ、ルクス様。あの培養槽はこのまま破壊してしまって問題ないのかどうか……迂闊なことはできません。つまり、どういうことかおわかりですね?」
「え、えっと……演奏しちゃダメってことなんですか!?」
「当たり前でしょう! ルクス様の破壊音波……もとい、演奏はあらゆるものを破壊するのですから!」
「えーっと。今、破壊音波っていいました?」
「気の所為です。どのみち壊してしまうでしょう? 敵といっしょに」
「それは、そうかも、です」
 培養槽を見遣れば、確かに壊れそうである。
 
「仕掛けますので支援を」
「うーん。ステラさんから支援のお願いは嬉しんですけど、演奏できないとなりますと……」
 ルクスは考えた。
 そうしている間にもオブリビオン『レビアタン』が迫っている。
 放たれる骸の海の水。
 高濃度の汚染水である。言うまでもないが、生身である猟兵にとっても当然、害悪である。
「骸の水……水?」
 ぴっこーん!
 ルクスの頭の上に豆電球が光を灯す。
 賢い、かわいい、つよい。
 それが勇者であるというのならば、ルクスは己の閃きを即座に実行に移す。
「水なら凍らせてしまえば動かなくなります! さあ、Tanz des Hagel(タンツデスヘイル) いきまーす!」
 歌うような声と共に放たれる氷の礫。
 その一撃が骸の海の水へと激突し、凍結させるのだ。
 水流の如き骸の水が凍り付けば、その上をステラが統べるように駆け抜ける。
「いつもこれくらい的確に支援してもらえると、とても助かるのですが」
「いつも的確ですけど!?」
「撃つだけが銃の使い方では無い、そのことを教えてあげましょう」
「誤魔化してません!?」
 その言葉を背に受けてステラは『レビアタン』へと突っ込むようにして、そのユーベルコードを発露する。
 両手に構えた拳銃。

 引き金を躊躇いなく引き、『レビアタン』へと弾丸を放つ。
 凍りついた骸の海の水ごと鋼鉄の体躯を穿ち、ステラは踏み込み、体術による打突の一撃でもって『レビアタン』の鋼鉄の体躯を砕くのだ。
「脅威、キョウ、い、はい、排除、ハイ、じょ……」
「いいえ、もはや貴女にそれは出来ません。スクロペトゥム・フォルマ……砕きました」
 鋼鉄の駆体の残骸が凍結した骸の水の上へと乾いた音を立てて落ちる。
「やりましたね、ステラさん! うふふふふふ。肉保存だけの魔法ではないってわかりましたかー?」
「……それにしても『ティタニウム・マキア』はまた『バイスタンダー』を再生させるというのですか?」
「あのー! 肉保存だけの魔法じゃー……」
「なんのために『バイスタンダー』を得ようとしているのか……」
「あの!」
 聞いてくださいよー! とルクスは考察に入ったステラの肩をガンガン揺すって抗議するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『完全包囲網を突破し、要人と共に脱出せよ』

POW   :    真正面からぶん殴って、血路を切り拓いてやるよ!

SPD   :    相手に行動を悟られず、迅速に隠れながら進もう!

WIZ   :    奇策妙計お手の物、敵を惑わして必勝へ導こうか!

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「やっぱりアンタらはやってくれると思っていたよ」
 培養槽が並ぶフロアを制圧した猟兵たちの耳に届くは青年の声だった。
 亜麻色の髪が揺れていた。
 いつのまに現れたのかわからないが、しかし亜麻色の髪の青年『メリサ』は肩をすくめているようだった。
「まあ、とは言っても。『ティタニウム・マキア』の連中も必死だ。なにせ、その九つの培養槽はスペシャルだからな」
 そう、この場にあった培養槽の内、人影があったのは九つ。
 いずれもが少年少女と言っていい年頃である。
 この猟兵たちが救出した子供らが特別だと『メリサ』は言った。

「だから、当然取り返そうと増援を送り込んでくる。ハッキリ言って、あんたらが強くても数が数だ。トンズラしたほうがいいぜ。その子らの保護したいっていうのなら、このポイントまで運んでくれよ。後のことは任せてもらっていいしさ」
 その場にいた猟兵達に示されるポイント。ここに培養槽の少年少女たちを運べば、『メリサ』が保護するというのだ。
 それを信じてよいのかと考えるまもなく、『メリサ』は揺らめくように消えていく。
 光学迷彩、もしくはホログラムか。
 いずれにしても、猟兵達はこのフロアに殺到してくるオブリビオンの気配を感じ取るだろう。
 猶予はない。
 培養槽にとらわれていた少年少女たちに意識はない。そのため、彼らに自ら歩んでもらうことはできないだろう。
 彼らを保護しながら、この施設を破壊しつつ敵の追撃を躱さなければならない。
 これは敵の施設を破壊しつつの撤退行なのだ――。
フォーカス・フォード
運搬業務…これはお役に立てそうです。一応本業ですので。
アイテム「シェルパ」で大型コンテナを組み立てます。
子供達をコンテナに積んでそれを背負い運び出していきましょう。「運搬」と「詰め込み」能力で怪我はさせないように入れていきます。
脱出方法ですが入ってきた外壁からのルートを通りフックショットを使い降下をしていきます。
降下中に敵に見つかった場合はUC発動。脚を跳躍と着地に特化させたバッタのような逆関節状にして飛び降り脱出を目指します。
その後運搬しながら子供達に対して思案します。メガコーポが死守しようとしたスペシャル…まだ自由とはいかないでしょうが次は自分で行きたいところを決められるといいですね。



 オブリビオンを打倒した瞬間を見計らうようにして現れた亜麻色の髪の青年『メリサ』の姿をフォーカス・フォード(思考する運び屋・f44694)の単眼が捉える。
 訝しむこともあるが、しかしフォーカスにとって重要なのは保護した少年少女たちを如何にして、ここから運び出すか、であった。
「つまり、運搬業務、ということでしょうか」
 その言葉に既に消えたホログラムめいた青年の姿はない。
 だが、フォーカスは沈黙を肯定と捉えた。
 見計らったように現れた、ということは彼が此方を補足している、ということである。
 ならば、この沈黙こそが肯定。
 であればフォーカスにとって、これから行うことは馴染み深いことであり、日常の業務の一端でしかないのだ。

 例え、迫るオブリビオンの気配があるのだとしても、フォーカスは培養槽から救出された少年少女たちをコンテナに積み込む。
「意識レベルは……ないようですね。脈拍、血圧、共に薬物汚染の兆候が見られます。あの青年が保護するといったポイントには、処置する施設があるのかもしれませんが」
 しかし、運び屋である己にとって、それは重要な問題ではない。
 組み立てられたコンテナを背負い、フォーカスは他の猟兵達に声を掛ける。
「まずは、この少年少女たちの保護を。一陣として先駆けさせていただきます」
 フォーカスは単眼センサーから脱出経路を割り出す。
 すでに侵入してきた外壁からのルートは概算でもって、己の脱出確率の高さを知らしめている。

「それでは」
 本業である所を示すようにフォーカスはフックショットでもって自重を支えながら一気に外壁の外に飛び出す。
 だが、その瞬間フォーカスを狙うのは軽微ドローンと先ほどの『レビアタン』たちであった。
 まだ数がいる、ということは巨大企業群の拠点であることを考えれば当然、可能性としては考慮されるべきものであった。
「再調整、再構築、再定義」
 一瞬でフォーカスは迫る敵の火線と汚染水の一撃を変容させた脚部を折りたたむことで躱し、さらに外壁を蹴る。
 それはまるで飛蝗めいた動きであった。
 彼のユーベルコードによって変形した脚部は、一気に壁面を蹴って地面と並行方向に飛ぶ。
 重力を感じながらフォーカスは逆関節の跳躍でもって敵の攻撃を躱して降り立つ。
 着地の衝撃はコンテナには伝わらない。
 彼の変形させた脚部はそのためのアブソーバーなのだ。
「ふむ……ひとまずは危機を脱しましたか。残りの子らも猟兵達に任せておけば間違いはないでしょう」
 そう言ってフォーカスはコンテナを見やる。
 これが巨大企業群『ティタニウム・マキア』が生み出そうとし、そして死守せんとしたスペシャル。
 それが如何なる意味を持つのかはわからない。
 けれど、フォーカスは彼らの自由を望む。

「次は、自分で行きたいところを決められるといいですね」
 フォーカスは自分がそれをもたらそうと思わない。
 自分にできることは運び届けることだけ。
 彼らの道行きは、彼ら自身が決め、その足はきっと誰かの手助けを必要としないと知っていたからだ。
「その道行きもまたいずれ、交わることもございましょう。その時は」
 フォーカスは己が背負ったコンテナを指定されたポイントに送り届け、一礼する。
「ラブレターから兵器まで。配達はフォーカスにご一報を――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎

「フォーカス(f44694)が荷物(対象)を運搬してくれるのならサポートに徹するとしよう」と『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』を起動して1分先の未来を見ながらファンネルビット/シールドビット/リフレクタービットを創造して展開しファンネルビットを培養槽の子供たちに模倣させて捕まる毎に自爆させて攻撃します。
同時にティティスは率先して透明化と視聴嗅覚を阻害しながらリニアロングボウとアルテミス・レーザービームで攻撃を仕掛けて、好機を得たらフルバーストとヘラ・エウピションでの全力総攻撃に切り替えます。
ファンネルビット全160体をバラバラに子供に変型させます。



「培養槽にとらわれていたのは子供らであったか」
 ティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)はオブリビオンを撃退したフロアにて立ち並んでいた培養槽のいくつかにあった人影が、少年少女たちであったことを知る。
 彼らは巨大企業群『ティタニウム・マキア』にとって、得難きものであったのかもしれない。
 そうでなければ、こうも追手を差し向けることもないだろう。
 猟兵の一人が囚われていた一人をコンテナに載せて超高層ビルの外壁の外へと飛び出したのを見て、ティティスはこれを援護することを決める。
 フロアに殺到するオブリビオンに警戒ドローン。
 いずれもが彼らの道行くの妨げになるのならば、己がこれを排さねばならぬ。

「幽魔月精は機械身体、幽魔月精の機械魂魄――アストラル・エレメント・トランスフォーメーション」
 ティティスのユーベルコードによって己が肉体をアストラル・エレメント・エネルギーへと変異させる。
 精神エネルギーそのものとなった体躯によって己が武装であるファンネルビット、シールドビット、リフレクタービットを駆使して、先行した仲間を守るように展開する。
 とは言え、敵も必死である。
 そこまで必死になるほどのものであれば、なおのこと、これを阻まなければならない。
「させぬ」
 短く呟いて、フロアに殺到するオブリビオンをティティスはレーザービームを反射させ、囲うようにして、これを迎撃する。
 しかし、これを突破してくるオブリビオンもいる。

「流石に弾幕程度では防げぬか」
 迫るは『レビアタン』。
 まだいたのか、とティティスは思っただろう。
 ここが敵の拠点であるというのならば、当然と言えば当然であるし、それだけの数を差し向けるということが、敵の本気を測るには充分なものであった。
「だが、此処で足止めはさせてもらう」
 培養槽の子供たちを模様したビットが飛べば、オブリビオンたちを撹乱する。
 それだけではない。
 敵が近づけば自爆するようにも仕掛けているのだ。
 爆発にまぎれて飛び出してきても、ティティスの操るビットの弾幕に撃ち抜かれてしまうし、さらにフルバーストの火線がほとばしる。

「これ以上先へは進ませぬよ」
 ティティスはそう呟いて、火線が描く檻の中に立つ。
 爆発が吹き荒れる超高層ビルのフロア。
 その爆炎が立ち上る中、ティティスは己が力でもって、培養槽の少年少女たち保護する猟兵たちの補佐に務め、これを導くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シルキー・アマミヤ
それなりの戦力がある割に行動が遅い……なら足りてないのは戦力をうまく動かせる人材、かな★

それじゃあ、移送は他の人にお願いするとして、|シルキーちゃんの本領発揮《破壊行為開始》だぞ★
UC起動★5つ装填できるけど、実際使うのは【炎上煙玉投射】と【護衛機構・瞳術人形】の二つだよ★
生き残りのビーストたちを回収して、『SR-KN』と『Ku-9』で周辺を破壊しながら美少女ホログラムの撹乱で足止め、
そして「誰か護衛対象のひとり」を指定した囮を事あるごとに呼び出しながらその周囲の施設を「炎上」させて回るよ★もちろん囮には延焼させないからね★

解っていても本物だと思う以上、炎から「保護」しなきゃいけないよね★



 培養槽のあるフロアに殺到するオブリビオンと警戒ドローン。
 その数は敵の拠点であることを鑑みても、それなりの戦力であるとシルキー・アマミヤ(何でも屋のシルキーちゃんだゾ★・f36571)は感じるところであった。
 だが、初動があまりにも鈍い。
 であるのならば。
「足りてないのは戦力じゃあなくて、うまく動かせる人材、かな★」
 彼女の考察は恐らく正しいのだろう。
 これまで猟兵達は多くの事件で巨大企業群『ティタニウム・マキア』に痛手を追わせてきた。
 無論、オブリビオンも打倒してきている。

 その結果、強大すぎる巨大企業群の力も陰りを見せてきている。
 一端として、今回の事態であろう。
 しかし、猟兵達は培養槽にとらわれていた子供らを安全な場所まで運ばなければならない。
「ここは役割分担と行こう★ おまかせするね★」
 シルキーは他の猟兵達にそう告げて、フロアに殺到するオブリビオンを前にして不敵に笑む。笑むのはホログラムの美少女であったが、本領発揮というのならば彼女の領分であった。
 つまり、破壊行為である。
「排除」
 オブリビオンたちが迫る。
 シルキーは不敵に笑むままである。それがブラフではないことは言うまでもない。
「シルキーちゃんは事前準備もしっかりやってるんだぞ★」
 瞬間、サイバー美少女投影ホログラムから放たれるのは二つのユーベルコードであった。
 子どもの落書きじみたバーチャル煙玉が放たれ、周囲に広がっていく。
 それは炎上煙玉投射(ダーティ・スモーク・ボム)。
 ただの煙玉ではないことは言うまでもない。
 バーチャルであっても現実に作用しないとは限らない。彼女のユーベルコードは、現実世界にまで影響を及ぼし、物理的に炎上させるのだ。
 もうもうと立ち上がる炎と煙。 
 その中に紛れるのは、護衛機構・瞳術人形(ミガワリ・リフレクション・ドール)たる影であった。

「対象確認」
 オブリビオンの一撃が美少女ホログラムの影を認めて放たれる。
 だが、それ自体もブラフである。
「器用なシルキーちゃんだぞ★(コードソウテンシステム) 変わり身のジツ位できないわけがない★」
 放たれた一撃は見事に反射されオブリビオンを打ち倒す。
「こっちこっち★」
「違う違う、こっち★」
「だめだめ★ そっちは偽物★」
 美少女ホログラムがフロアに広がった煙幕の影にて、次々と出現しオブリビオン達を撹乱する。

 どれもが本物に見える。
 バーチャルな煙幕であっても、オブリビオンの認識を阻害し続けているのだ。
「こっちは逃げるだけでいいし、そっちは奪われた子供たちを回収しなくちゃならない★ なら、偽物か本物か見分けがつかないままに、闇雲に追わないといけないよね★」
 シルキーはそう笑って、次々と囮を生み出し続ける。
 敵の混乱はさらに広がっていくだろう。
 そのついでというようにロボットビースト達を回収しながら、彼女は施設を破壊し続ける。
 敵が子供らの回収を第一にするのならば、なおのことシルキーの行う破壊行為は止められない。
「シルキーちゃんはこっちだぞ★」
 美少女ホログラムが破壊の音と共に笑い、殺到するオブリビオンたちを翻弄し続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
意識はない、けれど彼女は確かに生きている
……もう大丈夫、よくがんばったわね
魂の契約を結んだ悪魔よ
どうかこの子に加護を与えて――

腕の中にいる子どもをしっかり抱きしめ
光の矢で治療しながら脱出するわ
少しでも薬で弱った体を回復させたいの
他の子も猟兵たちが助け出している
だから私は、この子を全身全霊で守るわ

幼き命を脅かすものを許さない
邪魔をするものは光の矢で撃ち抜き
あの青年が示したポイントへ急ぎましょう



 囚われていた培養槽から、その身を抱き上げた薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は少女の鼓動が弱々しくも今も続いていることに安堵した。
 意識はないようだ。
 だが、薬物に漬けこまれた体躯は処置をしなければ危険な状態であることも理解できた。
「……もう大丈夫、よくがんばったわね」
 そう告げ、静漓は己が契約を結んだ悪魔の加護を少女に施す。
 少女の姿は、どこか見た覚えのあるような、面影を感じるものであった。しかし、静漓はそれどころではなかった。
 衰弱している少女を癒やさなければならない。
 薬物にずっと漬け込まれていたのだから、当然と言えば当然である。故に、静漓の瞳がユーベルコードに輝く。
「魂の契約を結んだ悪魔よ。どうかこの子に加護を与えて――」
 ユーベルコードによる加護。
 悪魔の加護が彼女にどんな影響を及ぼすのかはわからない。けれど、このまま死せる運命など許容できるわけもない。
 己が抱く少女の道行きが、これからどんなものになるのかはわからない。
 けれど、しるべ(シルベ)とはなるはずだ。
 生きていればこそ。
 生きているからこそ、また歩むことができる。
 その時、彼女の眼前には導くものがなければならない。

 それが己でなくてもいいことだが、それでも救われた少女たちの道行きを照らす月明かりになれればいい。静漓はそう思いながら、少女をしっかりと抱きしめフロアから駆け出す。
 他の猟兵が奪われた子供らを追ってフロアに殺到してくるオブリビオンを食い止めてくれている。
「今のうちに行かせてもらうわ」
 彼らの行動に感謝しながら静漓は一気にフロアから飛び出し、超高層ビルの外へと飛び出す。
 壁面を光の矢で破壊し、吹き飛ばしながら彼女は摩天楼の外へと飛び出す。
 瓦礫が散り、そのさなかを警戒ドローンが迫る。
 機銃と熱線。
 その一撃を静漓は躱す。

「幼き生命を脅かすものを許さない」
 手の内から生まれた光の矢が警戒ドローンを打ち抜き、静漓はビルの壁面を地面に向かって駆けるようにして落下していく。
 いや、落下しているのではない。
 地面に向かって飛んでいるのだ。
 腕の中にいる少女。
 彼女をユーベルコードで治療してはいるが、一刻も早く亜麻色の髪の青年『メリサ』の指定したポイントへと向かわねばならない。
 だが、それをさせぬと警戒ドローンが集まって来るのだ。
「邪魔をしないで」
 短くつぶやき、静漓は光の矢を解き放つ。

 爆発が巻き起こる中を突っ切るようにして静漓は地面へと降り立つ。
 羽衣人の軽やかさでもって地面に着地するのもつかの間である。
 すぐさまにビルの正面玄関からオブリビオンたちが飛び出してくる。それを振り切るように加速し、静漓は駆け抜ける。
 速く、速く。
 己にできるのは全身全霊で、腕の中の少女を守ることだけ。
 生命は守る。
 静漓の中にあるのは、それだけだった。
 脇目もふらずに静漓は、唯ひたすらに指定されたポイントまで駆け抜けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

あっ。本人降臨。

ステラさんステイ!
今日はダメです!依頼ですから!

あと『メリサ』さんも条件反射で逃げないでください!
ステラさん、パブロフ的に追っかけちゃいますから!

いいですか。
しっかり正面を向いたまま、目を合わせずに少しずつ後ずさるんです!
え?それクマの対処法?

やべーのは同じじゃないですか!

いったー(涙目で『メリサ』さんに訴え
最近の中でいちばん強かったですよ!?

って、あ、はい。余裕と言えば余裕です。

ステラさんに乗って帰ればみんな運べますから。
わたしが結界張るので、みんな乗せて突撃でいいですよね?

えっ。式も上げてないのに披露宴?
それって披露するのステラさんのやべーだけじゃないですか!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
ばかな……あれだけセーフハウスに押しかけても
次の瞬間には移転していたメリサ様が
ポイント指定するなんて!?
正妻と姉妹だけでは女性が足りないってことですか!?
ええい、逃すものか
ルクス様邪魔しないで
誰がやべーメイドですか!!
正妻です!!

ともあれこの子たちを連れて脱出することには賛成です
メリサ様のことです、偽善に駆られて無駄骨は折らないでしょう
い・け・ず(はぁと)

さてルクス様
この子たちは気絶しております
つまり、音が聞こえません
なので、演奏GO
私はこの子たちを出来るだけ素早く移動させます
ええ、メイドたるもの、この程度は基本ですので
減った寿命はメリサ様ハグで補充します

今度は披露宴ですからね!?



「あっ」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、突如として現れたホログラムだかなんだかわからない亜麻色の髪の青年『メリサ』の姿を認めて、思わず声を上げてしまっていた。
 隣りにいるステラ・タタリクス(紫苑・f33899)を、恐る恐ると見た。
 本人降臨。
 それによってステラがどんなことになるのかなんて、ルクスには想像できるが想像したくなかった。
「ばかな……あれだけセーフハウスに押しかけても次の瞬間には移転していた『メリサ』様がポイントを指定するなんて!?」
 ステラの肩がわなわなと震えている。
 そう、このメイド、事あるごとに亜麻色の髪の青年『メリサ』の元へと押しかけていた。
 如何なる嗅覚か、もしくは方法なのかはわからないが、どんなに隠れ潜んでいてもピンポイントで迫るのだ。

 そんな彼は常に己の所在を隠していた。
 だが、そんな彼がポイントを指定した。つまり、それは己の所在が割れてもいい、という事態だということである。 
 それがステラには理解しがたいことであった。
「ステラさんステイ! 今日はダメです! 猟兵のお仕事しているんですよ!」
 ルクスは必死に抑えようとしていた。
 だが、ステラは止まらない。止められるわけがない。
「正妻と終いだけでは女性が足りないってことですか!?」
 ステラはぶっ飛んでいた。色んな意味で。
 ルクスは思った。
『メリサ』が条件反射みたいにしてステラから遠ざかっていくから、彼女はパブロフ的なあれそれで追いかけてしまうのだ。

「どこかで聞いているんでしょう、『メリサ』さん。いいですか、ステラさんと対峙した時は、しっかり正面を向いたまま、目を合わせずに少しずつ後ずさるんです!」
 それはクマか猛獣かの対処方法であろう。
 なお、基本的に後は運任せってところである。
「ええい、逃すものか! ルクス様邪魔しないで、『メリサ』様を主人様できない!」
「言葉おかしくないですか!?」
「誰がやべーメイドですか!!」
「言ってませんけど!? あと、やべーことには変わりないですよ!?」
「正妻です!!」
 ステラの目が血走っているように見えたのは木のせいだろうが。
 どけ! 私は正妻だぞ!! と存在しない記憶が……存在してるかもしれないが、流れ始めそうであった。
 ごすん、とルクスの頭に落ちるスリッパ。

「いったー! 最近ので一番強かったですよ!?」
「私が! 正妻です!!」
 二度言う。
 大事なことなのでね。
「……ともあれ、この子たちを連れて脱出することには賛成です」
 培養槽にとらわれていた九人の少年少女たち。幾人かはすでに猟兵に保護されている。残った彼らを『メリサ』が指定したポイントに運ぶのはステラとしても望むところであった。
「『メリサ』様のことです、偽善に駆られて無駄骨は折らないでしょう。い・け・ず」
 はーと。
「はーと、じゃないんですよ」
 ルクスはそんなステラの変わり身に、ジト目になってしまう。
 しかし、そんなジト目もなんのそのである。

「さて、ルクス様」
「え、あ、はい。なんです?」
「この子達は今気絶しております。つまり、音が聞こえません。なので、演奏GO。オブリビオンたちの相手は」
「はい、余裕といえば余裕です」
 勇者ですから、とルクスはガッツポーズを作る。
 こういう時は頼もしいな、とステラは思ったが、余計なことは言わないでおこうと彼女は思った。
 飛行船へと変身したステラは培養槽の少年少女たちを載せられるだけ載せて浮かび上がる。
 だが、それを阻むオブリビオンたちの猛攻を前にルクスが立ち塞がる。

「みなさまを守るのだって勇者の役目です!」
 皇帝讃歌(コウテイサンカ)による奏響結界が、オブリビオンの攻撃を阻み飛空艇に変身したステラと共にビルの壁面をぶち破って飛び出す。
「突撃ーってやつですね!」
「はい、このまま『メリサ』様の指定したポイントにランデブー……いえ、披露宴と参りましょう!」
 ステラはすでにガン決まっていた。
 ルクスは怖いなぁって思いながら、式もあげていないのに披露宴するとか、正気かなと思ったことだろう。
「それって披露するのはステラさんのやべーだけじゃないですか?」
「やべーではありません。れっきとした披露宴です。お披露目です」
 何を披露するつもりなのかな、とルクスは頬を冷たい汗が伝うのを感じたことだろう。
 しかし、どのみち指定されたポイントまでは行かねばならないのだ。
 そおれまでルクスはステラを結界で守り、その結果、さらなるやべーの惨禍に巻き込まれるのだろうなぁと諦観の境地に至るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
ふむ…まだ運んでいない子供が居るなら改造装甲車【エンバール】に積み込んで……自動運転でポイントに送るとしよう
…私は施設に残って追手に対して時間稼ぎだね…内部からのハッキングでビルを制御システムを掌握…
…まず侵入者達の一部が立て籠もっていると言う偽情報で追手をビルの一角に引きつけようか…
そして【戦術構築:奸計領域】でビルの防衛施設や術式罠、現影投射術式【ファンタスマゴリア】による「子供達を保護した猟兵の幻影」等を利用した罠を張り巡らせて追手を撃退…
…十分に時間を稼いだら…後ろ暗い施設には定番の証拠隠滅用の自爆システムを起動…施設の破壊と追手の殲滅を試みるとしよう…



「ふむ……」
 メンカル・プルモーサ(星導の魔女・f08301)は、超高層ビルのシステムをハッキングし、制御権を奪い取っていた。
 下手にデジタル化されているせいで、メンカルのような猟兵に取っては利するところしかないものであった。
 制御システムを掌握した後にオブリビオンの増援がフロアに到達しないように防火シャッターなどの隔壁を次々と落としていく。
 ビル内部ではオブリビオンたちの混乱が巻き起こっていることだろう。
 彼女の目的は時間稼ぎだった。
 他の猟兵達は、培養槽に囚われていた少年少女たちを運び出していた。
 メンカル自身も残されていた子供らを改造装甲車『エンバール』に積み込んで脱出させていたのだ。

 指定されたポイントまで自動運転で任せている。
 ならば、メンカルがこのビルに残って何をするのか。
 すでに施設の制御権はメンカルが握っている。
「未だ敵はフロアに残っている……そういう情報を流させてもらおう。なまじ、義体化しているオブリビオンだからこそ、こうした偽情報を疑うことをしない……」
 メンカルは、この施設に詰めているオブリビオン全てに、未だ猟兵たちが立てこもっているという偽の情報を流し込む。
 実際にはすでに猟兵達は施設を脱しているのだが、メンカルはさらなる時間稼ぎを行おうとしていた。

 それだけではない。
 彼女はオブリビオンを引き付けるだけ引き受けて、一気にオブリビオンごと施設を破壊しようとしているのだ。
「このビルの構造なら……」
 メンカルは把握したビル内部の防衛設備に術式罠を仕掛けていく。
 ご丁寧に現影投射術式『ファンタスマゴリア』による『子供たちを保護した猟兵の幻影』すら生み出して、追いすがるオブリビオンを罠にはめていくのだ。
「……理解不能。状況の認識が情報と異なっている」
 オブリビオンたちは混乱している。
 彼らの視界には猟兵たちの姿があるというのに、攻撃しても幻影が消え去るだけなのだ。
 確保しなければならないサイコブレイカーに覚醒せんとしていた少年少女たちの姿もない。
 まるで狐に化かされたような気持ちであったことだろう。

 だが、それだけではない。
 メンカルは施設の防衛システムをハッキングし、機銃やトラップでもってオブリビオンたちを撃退し続けているのだ。
「……充分かな。後は」
 メンカルはシステムの中枢にハッキングの手を伸ばす。
 この手の施設は巨大企業群……それも安心安全を売る巨大企業群である『ティタニウム・マキア』にとっては後ろ暗い証拠ばかりが存在している。
 他の巨大企業群と覇権を争うのならばこそ、そうしたイメージを損なうような物的証拠を残さぬような手段があるはずだと踏んでいたのだ。
 
 それは正しい認識だった。
 故にメンカルはシステムの中枢に存在している証拠隠滅用の自爆システムを作動させる。
「……定番と言えば定番。システム起動」
 メンカルは、ビルの自壊システムを起動させてビルから飛び出す。飛行式箒にまたがり、起動した自爆システムによって爆発し瓦解していくビルを視界に収めながら、指定されたポイントに飛ぶ。
 恐らく、薬物漬けになった少年少女たちをどうにかする手段があるのだろう。
 己の改造装甲車『エンバール』もポイントに到達したという位置情報が送られてくる。
 
「これで決着、かな……でも、どんどん『ティタニウム・マキア』も手段を選ばなくなってきている……」
 企業としての斜陽。
 それを感じさせる事件だったとメンカルは思うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年12月14日


挿絵イラスト