ハイド/IVI/シティ
●布石
「ケルベロス猟兵その強さはユーベルコード特務機関DIVIDEに相関するものではないことは最早語るべくものではない」
響く声。
それは事実を告げる言葉でしかなかった。
十二剣神『聖賢者トリスメギストス』は告げる。
ただ告げる。
「人間に擬態せよそれによって多数の人間が集団生活を贈る場所に潜伏せよそうすることで人類社会のデータを収集するのだ人の団結力こそがケルベロスや猟兵を支えているこれなる力を知ることは我らにとっても有用であるところはいうまでもない集めよすべからく情報を集め事を終えた後は潜伏先の人間を殺しグラビティチェインを奪い帰還せよ」
息継ぎすら必要都市内科のような一息の指令。
それに巨大鯨型ダモクレス戦艦『レヴィアタン』は蠢き出す。
内部に備えた擬態能力を備えたダモクレスを濃霧に紛れて打ち出したのだ。
打ち出されたダモクレスはすぐさまに人型機体へとボディパーツを換装し、まるで人間そのものの姿を獲得する。
「……潜伏先の選定」
それらはすぐさまに人間社会へと忍び込むだろう。
如何に強固な決戦都市のセキュリティであろうとも、これをダモクレスの技術はかいくぐることができる。
なにせ、ダモクレスの生体パーツは生身そのもの。
戦闘能力を排除した、ただただ人体を模すことのみに特化したパーツで構成されている。
セキュリティチェックを行われても、ただの生身の人間都市化認識されないだろう。
「任務了解。データ収集を開始する」
彼らは主命に従うのみ。
疑いはない。
あるのは使命のみ。故に如何に己たちが、もしも敵に露見するのだとしても、人間社会のデータを送信することだけを目的とするだろう。
そこには一切の保身はないのだ――。
●ケルベロスディバイド
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。以前、皆さんのおかげで大損害を受けた湾岸の決戦都市は復旧を完了したようですよ」
それは猟兵たちが参加したチャリティーイベントによるデウスエクスの襲撃によって被害を受けた決戦都市が彼らの発想や構想を受けて新たに生まれ変わったことを示していた。。
だが、そんな湾岸の決戦都市に迫る危機があるのだとナイアルテは告げていた。
「十二剣神が一柱『聖賢者トリスメギストス』……その配下が如何なる目的からか、人類社会についての何らかのデータを収集してるようなのです」
湾岸の決戦都市に潜伏しているのは生体パーツに換装した無数のダモクレスたちであるらしい。
万全なセキュリティを施された湾岸の決戦都市に潜入できたことから鑑みても、これらのダモクレスには戦闘能力は殆ど無い。
だが、これは恐らく子機のようなものなのだろう。
人型ダモクレスを放った親機めいたデウスエクスが存在していることは疑いようがない。
「そして、データを収集し終えたと判断したのならば、彼らは人々を虐殺してグラビティ・チェインを奪って撤収するでしょう。無論、デウスエクスに寄る虐殺は阻止せねばなりません」
それに『聖賢者トリスメギストス』に人類社会にまつわるデータを大量に得させるわけにはいかない。
いずれ、それを利用しての大規模な侵略作戦が行われることは想像に難くない。
「皆さんには、この人型ダモクレスが潜り込んだ湾岸の決戦都市が再建されたことによる、有力者たちのパーティに参加して、早期発見をお願いしたいのです。ですが……」
そう、敵の潜入は巧妙である。
ぱっと見て猟兵には違和感を覚えることがあるかもしれない。
そのため、隠しきれない違和感を持つ者こそが人型ダモクレスなのだということは確信できるはずだ。
だが、多数の人間がいる状況で晒し上げれば、最悪の場合、その場で無差別殺戮を行おうとするかもしれない。
「敵に怪しまれぬようにセレブパーティに参加しつつ、敵をマークしましょう。ですが、敵も巧妙な者。皆さんが自分たちを認識したと悟れば、パーティ海上から親機の元に逃走を測るでしょう」
これを捜索し、親機である『聖賢者トリスメギストス』配下のデウスエクスを撃破しなければならない。
「『聖賢者トリスメギストス』……いったい何を目論見、人類社会のデータを収集しようとしているのか……未だその目的は判然としていませんが、無論手をこまねいているわけにも参りません。皆様の御力で、その目論見を打ち砕いて頂きたいです」
そう言ってナイアルテは猟兵たちを送り出す。
折しも、季節はクリスマス前。
きっとセレブなパーティはクリスマスの様相を見せることだろう――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回の事件は『ケルベロスディバイド』。
幾度となく襲撃してくるデウスエクスによって多大なる被害を被った湾岸の決戦都市ですが、以前のシナリオで皆さんの尽力もあり、復興しています。
ですが、この新たに生まれ変わった決戦都市にデウスエクスが潜入しているのです。
この潜入したデウスエクスを見つけ出し、打倒することで十二剣神『聖賢者トリスメギストス』の目論見を打ち砕くことができるでしょう。
※『決戦配備』とは。
(https://tw6.jp/html/world/441_world25.htm)
に記されたものです。プレイングの冒頭に各々の単語を書き込むことで上記のプレイングボーナスを得ることができます。
このシナリオに登場する湾岸の決戦都市の決戦配備は『セラフィム』と呼ばれる自律人型戦術兵器です。様々なポジション効果を提供してくれますが、そこまで強くありません。
●第一章
日常です。
クリスマス前ということと新生し復興した決戦都市のお祝いも兼ねた有力者の集まるパーティが行われています。
このパーティに人型ダモクレスが潜入しているようです。
皆さんが見れば、隠しようのない違和感があるのですが、しかし、周囲に多数の人間がいるため、迂闊に刺激できません。
敵をマークしつつ、パーティを楽しみましょう。
●第二章
冒険です。
前章の結果、人型ダモクレスは皆さんが自分たちに気がついたことを察知し、決戦都市から逃走し、親機の元へと戻ろうとしています。
この湾岸の決戦都市は、迅速にケルベロスや猟兵、もしくは決戦配備によって現場に急行できるための高速道路が設置されています。
これを使って逃走を測る人型ダモクレスを追いかけましょう。
●第三章
ボス戦です。
子機である人型ダモクレスが逃げ込んだ先には、親機であるデウスエクスが待ち構えています。
これを撃破し、『聖賢者トリスメギストス』へのデータを送信することを阻止しましょう。
それでは人類社会のデータを集め、侵略作戦を画策せんとするデウスエクスの企みを打破する皆さんの物語の一片となれますように、たくさんがんばります!
第1章 日常
『セレブパーティ』
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POW : 有力者と乾杯し、積極的に歓談する
SPD : 目立たないように振る舞いつつ、パーティの様子を観察する
WIZ : 優雅な音楽やダンスを楽しむ
イラスト:del
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
亜麻色の髪の女性『エイル』博士は、上機嫌だった。
彼女は湾岸の決戦都市の責任者である。
デウスエクスの来襲による都市への甚大な被害は、猟兵やケルベロスたちの尽力によって、漸くにして復興を果たすことができた。
これだけの時間がかかったのは、それだけデウスエクス襲来の爪痕の深さを物語るものであった。
だが、それでも多くのアイデアによって新たなる決戦都市に生まれ変わったのだ。
そして何より!
「決戦配備『セラフィム』のアップデートと、配備! いやぁ~予算でてよかったぁ……!」
彼女は自律人型戦術兵器である『セラフィム』の開発に余念がなかった。
しかし、人型戦術兵器はもともと、人的な被害を抑えるために自律稼働することを前提とした兵器である。
そのため、デウスエクスに対しては決定打がない。
多くが時間稼ぎないし、ケルベロスや猟兵のサポートに回ることが多かった。
どうあっても勝てない。
そのため、予算の凍結まで議題に上がりかけていたのだが、なんとか予算が今回降りたのだ。
それによって彼女は『セラフィム』を新たにアップデートさせて生産し終えていた。
このセレブパーティは、彼女にとっては人仕事終えた後の息抜きでもあった。
だが、このパーティには人型ダモクレスが潜入している。
無論、彼女はこのことに気がついていない。
猟兵達は、この多くの有力者たちが集う中にて、なんとかして人型ダモクレスをマークしなければならないのだ――。
ジークリット・ヴォルフガング
●POW
話には聞いていたが、以前と皆違える復興を遂げて何よりではあったが…|侵略者《デウスエクス》らにとっても浮かれている今が攻め時でもあるか
ならば、牙無き者の剣として阻止するまで
祝宴となれば踊ってこそでもあるが、ここはケルベロスとしての正装たるケルベロスコート姿で参じよう
久しいな、エイル博士
弟分であるライドキャリバーに乗せられてえらい目に遭ったそうだが、無事でなによりだ
…ああ、今回はケルチューバーとしての活動はなしのプライベートだよ
この場で無作法を働けば迷惑系以外の何者でもない
盗聴の恐れがあるのでエイル博士には事の次第を伏せるが…ま、大まかに挙動不審な者に目星を付けていくか
湾岸の決戦都市。
それは数多のデウスエクスの侵略に抗う人類の拠点である。
しかし、破壊の傷跡が以前訪れた時には残っていた。
それがどうであろうか。
ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)の眼の前に広がっているのは、以前よりも更に強固に、更に精強となった多くの施設であった。
「話には聞いていたが、以前と見間違える復興を遂げているな」
ジークリットは周囲を見回して頷く。
それに加えて季節はクリスマスシーズンである。
復興と共に浮かれる気持ちになるのもわからないでもない。
だが、こうした人々の喜びに満ちた感情こそが人類の結束を強めることもジークリットは理解しているところであっただろう。
「それは同時に|侵略者《デウスエクス》らにとっても浮かれている今が攻め時でもある、ということだ」
ならば、と彼女は己が身を包み込む正装……即ち、ケルベロスコートの襟を正す。
これより向かうのは、セレブバーティ。
多くの権力者たちが和やかに談笑を紡ぐ場である。
己は牙無き者の剣。
敵の狙いが、このパーティに潜入し人類社会の情報を持ち帰ることであるというのならば阻止するまでである。
「やあ、こんばんは。良い夜だねぇ!」
すでに出来上がったような声色を聞いてジークリットは振り返る。
確かに祝宴である。
が、振り返った先にいた亜麻色の髪の女性……『エイル』博士の赤ら顔は、明らかに浮かれ切っていた。
「久しいな、『エイル』博士」
「堅苦しいよぅ~まあ、駆けつけ一杯とも言うじゃあないか」
「とは言ってもだな……ああ、そうだ。弟分であるライドキャリバーに乗せられて、えらい目に遭ったそうだが……」
「うっ」
思い出して『エイル』博士は顔色を悪くする。
余程のことだったのだろう。
「やなこと思い出させないでくれ給えよ。あれはあれで楽しかったが、酔いが醒めてしまう」
「すまいな」
「ん? 今日は配信しないのかい?」
いつもなら、と『エイル』博士はジークリットの周囲に浮かぶであろう撮影ドローンの影がないことに訝しむ。
そう、今のジークリットはケルベロスの公人ではなくプラベートとしてやってきているのだ。
「婿探しかい? 君のような女性なら引く手は数多のような気がするが」
「私より強くなければならないからな。まあ、それに今回はケルチューバーとしての活動はなしだ。この場で無作法を働けば、迷惑系以外の何者でもないだろう?」
そう言ってジークリットは周囲を見回す。
それは自然な動作であったが、同時にこのパーティに紛れ込んだ人型ダモクレスの所在を感知するためでもあった。
いくつか気になる違和感はある。
だが、この事を『エイル』博士に伝えられない。
どこで盗聴されているかわからないからだ。が、しかし、今の一瞥でジークリットはいくつかの違和感を覚えさせる来賓に目星を着けていた。
「さて……どう動くかな、連中は」
「まあまあまあ、とりあえず飲みなって」
そう言ってグラスを進めてくる『エイル』博士を振り切るほうが余程大変だな、とジークリットはこっそりと思うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
龍之宮・翡翠
こういう場は苦手なんだが、これも任務だからな……
(流石に平素の恰好では場違いなので着慣れないフォーマルな服装で参加)
なるべく目立たないように周囲に気を配りつつ、潜入者を見つける切っ掛けを探す
自分の方が異質者にならない配慮も怠らずに立ち回る
ターゲットについてはそれとなくマークするに留めてほどほどに楽しむ事にする
何にせよ、こういう事が出来るのは、平和であるってことだからな
(頃合いになったところで、ふと)
――そういえば、今年は成人したんだったな
(と、思い出して、アルコールが飲めるのかと、少し興味が湧いてくる
しかし、アルコールを入れると判断が鈍りそうなので、初めてのアルコールはまたの機会に先送りする)
正直な所を言うのならば、龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)はパーティというものに慣れ親しんでいなかった。
むしろ、苦手だとパーティ会場に一歩踏み出しただけで理解してしまっていた。
何が苦手の要因なのかと探ってしまう程度には翡翠は生真面目さを有しているようだった。
着慣れぬフォーマルな服装。
馬子にも衣装だと彼自身は思ったことだろう。
こんなことならばいつもの服装でよかったのではないかと思うが、しかし、このような場において平素の格好は場違いである。
むしろ、このパーティ会場に潜入している人型ダモクレス以上に浮いてしまうことは明白だった。
「いいや、これも任務だからな……」
兎にも角にもパーティ会場に踏み出さなければ始まらない。
なるべく目立たないように行動しなければならないと彼は周囲に気を配りつつも潜入者たる人型ダモクレスの姿を探す。
とは言っても、敵も潜入に特化した存在だ。
だからこそ、簡単に尻尾を出すことはしないだろう。
むしろ、心配なのは自分の立ち振舞いが場にとって異質にならぬか、ということだった。
「やあ、楽しんでいるかね?」
振り返るとそこにいたのは猟兵に声を掛けて回っている、この湾岸の決戦都市の責任者でもある亜麻色の髪の女性、『エイル』博士であった。
「お、似合っているじゃあないか。なんとかにはなんとかって言うからねぇ!」
「上機嫌だな、あなたは」
翡翠は、何一つわからんな、と彼女の言葉に辟易する。
普段の彼女ならば、もっとこう理知的な話し方ができる者のように思えた。だが、今の彼女は知性の欠片すらない。
顔が赤い、ということは酒を飲んでいるのだろう。
普段ならばこうなはならないのだろうが、損壊した決戦都市の復興に加え、彼女がかい蜂している『セラフィム』と呼ばれる決戦配備……自律人型戦術兵器への予算が下りたことにより、どこか心の箍が外れているのだろう。
「そりゃあね! これもまた平和に一歩近づいたってことでもあるんだからね!」
「酒臭い」
翡翠は切って捨てるが、しかし視線は会場内にて感じる違和感へと向けられていた。
そう、翡翠はケルベロスであり猟兵である。
拭えぬ違和感を発する存在である人型ダモクレスへと既に目星は付いている。
だが、ここでむやみに動くことはできない。
マークするに留めて、己も程々に楽しまなければ、逆に敵に感づかれてしまう。
「君も飲み給えよ。成人してるんだろう?」
「――そういえば」
「おいおいおい、君ぃ。自分が成人したってことはおとなになったってことだろう? 大人はいいぞ~?」
絡んでくる『エイル』博士を押しのけて、翡翠は頭を振る。
確かにアルコールが飲める年になったことで、興味が少しはある。
だが、アルコールをいれるとどうなるのか。
その見本そのものが目の前にいるのだ。
「なんだいなんだい、そんな目でみてぇ~!」
「いや、別に。アルコールを呑むっていう機会は先送りしようと思っただけだよ」
自分も、こうなるのかと翡翠は少しためらう。
これから恐らく人型ダモクレスを追うことになるだろう。
であれば、アルコールで判断が鈍ることは避けたい。
「そういうわけだ。それはまたの機会に」
待ち給えよ~! という声を背に翡翠は人型ダモクレスが会場からでていこうとする背を追うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
予算の話は世知辛いとして。
無事に復興したようで、安心しましたよー。それは、陰海月も一緒ですが…。
ええまあ、これだけの祝宴ですから、食い気になるのも仕方ないですねー。
※孫に甘い祖父気分
ですが、それのおかげで警戒されにくいでしょうから。
私も適当につまみつつ、それとなく怪しい動きをする者の目星をつけておきましょうね。
忍びってのは、こういう仕事ですし。
※
陰海月「ぷきゅっ!」
復興してよかったぁ!
そして、パーティ!たくさん食べてもいいよね!?(ひたすらもぐもぐする。おいしい!)
「予算の話は世知辛いですね~」
「そうなんだよ、本当に~」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱、『疾き者』は、亜麻色の髪の女性、『エイル』博士の言葉にうんうんと頷いていた。
パーティ会場。
人型ダモクレスが人類社会の情報を集めるために潜入しているという予知を受けてやってきたのだが、湾岸の決戦都市の復興を祝うパーティ会場で『エイル』博士に捕まってしまっていた。
いや、一安心した、という感情は間違いないことだった。
彼らだって、デウスエクスの度重なる蹴撃によって破壊され、被害が酷かった決戦都市がここまで復興したことは喜ばしいと思っているのだ。
「無事に、というのは喜ばしいですし、安心しましたよ。それは、『陰海月』たちも一緒ですが……」
『疾き者』は、パーティ会場でテーブルに並べられた料理を前に喜ぶ『陰海月』の姿を認めて、僅かに焦っていた。
祝宴とは確かに喜ばしいことである。
時に無礼講であるだろうし、飲み食いというものは基本的に立食になる。
当然、『陰海月』は食い気に走るだろう。
孫に甘い祖父のようだと言われたら、否定はできない。
「いいじゃあないか。存分に食べさせて上げなよ~」
へべれけになっている『エイル』博士の言葉に『疾き者』は、それもそうだと思った。
戦いはいつまでも続く。
宇宙からの侵略者であるデウスエクスと常に戦い続けているこのケルベロスディバイド世界であればなおのことであろう。
いつ食べることができなくなるかもわからない。
なら、存分に、と思うのは自然なことであった。
「そうですね」
あっさりと『疾き者』は頷く。
また体重というか体格がよくなりすぎてしまう『陰海月』のことは理解できている。
けれど、『疾き者』たちの『陰海月』に対する甘さというものは、ケルベロスディバイド世界の様相を見れば、甘いわけではないのかという認識に至るのだ。
ハッキリ言って、甘やかし過ぎてはいないかと思わないでもない。
だが、『疾き者』は頭を振る。
あくまでこれは立食を楽しんでいる風を装っているだけ。
『陰海月』が夢中で料理を頬張っているのを目眩ましにして、『疾き者』たちはパーティ会場に忍び込んだ人型ダモクレスの姿を探す。
これであるのならば、警戒され難いだろう。
「それとなく怪しい動きをする者は、と……」
己の本分は忍びである。
ならばこそ、拭い難い違和感……即ち、異質さを感じ取るのは得意分野であった。
それ以上に、潜入とは諜報の一種。
であえれば、昔取った杵柄とも言えるだろう。
潜入者のこと、その心理、行動というものが手に取るようにわかる。
目立たぬように、しかし成果は最大限に。
時に大胆に。柔軟さを持って対処するのが潜入者の心得でもあった。
「ぷきゅっ!」
そんな存在に目星をつけることは容易かったが、視線は自然と『陰海月』の食事を堪能する姿に向けられてしまう。
きっと彼は彼なりにこの決戦都市が復興したことを喜んでいるのだろう。
ひたすらに食べ続ける彼の姿に『疾き者』はやれやれと肩を竦める。
食い気に全て持っていかれるな、と笑いながら、しかしその視界の端では蠢動する人型の動きを捉え続けていたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
ここが『アダム・カドモン』のいた世界ね
訪れるのは初めてだけど、潜入した敵を見つけるために頑張るわ
会場に潜入しパーティの様子を観察しましょう
『セラフィム』という言葉が聞こえたわ
この決戦都市の自律人型戦術兵器……
なるほど、つまりかっけーロボということ?
『セラフィム』の話を聞いてみたいけれど
会場にいる敵の耳にも入る可能性があるのよね
なにか当たり障りのない話題……
そうだわ、この都市では『セラフィム』の模型玩具は売られているのかしら?
もしあれば、子ども達へのプレゼントに……と思ったのだけれど
「ここが『アダム・カドモン』のいた世界ね」
訪れるのは初めてだ、と薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は湾岸の決戦都市を見つめる。
彼女がこの世界に訪れたのは物見遊山ではない。
この決戦都市にデウスエクスの魔の手が及んでいるからである。
人型ダモクレスと呼ばれる人間とまるで変わらない反応しか示さないデウスエクスが、如何なる理由からか人類社会の情報を収集するた目に潜入しているのだという。
これを発見し、駆逐することが彼女の目的であった。
「パーティ会場」
静漓にとっては見るものが全て初めてであった。
他の世界で似たようなものはあるのを見たことはあるが、建造物の多くが防衛兵器を内蔵している。
常に異星からの侵略者と相対している世界ならではであろう。
しかし、人の営みがそうたやすく変わるものではない。
戦いが常であっても、楽しむ心、その感情が力に変わることを静漓はよく知っていたからだ。
「パーティ事態はよその世界と変わらないのね……」
そうしてパーティに紛れ込んでいると女性の声が聞こえる。
「いや~よかったよかった。本当によかった~『セラフィム』の予算降りてよかった~!」
なんだか上機嫌な声である。
顔を向けた先にあったのは、亜麻色の髪の女性の姿だった。
ごきげんな様子でお酒を飲んでいるのが見える。
酔っているのか、顔が赤らんでいるように見えた。
「『セラフィム』、と言った?」
「ん? なんだい? 興味あるかい? あるよね、あるって言ったよね」
「言ってはいないけれど、興味はあるわ」
「ならあるって言ったのと同じさ! 良いでしょう! この私、『エイル』が直々にお教えしようじゃあないか!」
亜麻色の髪の女性『エイル』博士は、静漓を前にして、この湾岸の決戦都市の防衛の要でもある決戦配備たる自律人型戦術兵器『セラフィム』について、長々と……それこそ静漓がうんうんと頷くものだから、つらつらと語ってしまう。
「なるほど、つまりかっけーロボということ?」
「かいつまんで言うとそう!」
そうなのか?
だが、静漓はそういう感想しかでてこなかった。
しかし、なおも語ろうとする『エイル』博士の言葉に静漓は止める。
なぜなら、この場には人型ダモクレスがいるからだ。
敵の耳に決戦都市の要である決戦配備の情報を渡すわけにはいかない。
「この都市では『セラフィム』の模型玩具は売られているのかしら?」
「模型?」
「そう、あなたが語るだけかっけーロボなのだから、当然子供らには人気なのでしょう?」
「……いや、絶賛不人気。デウスエクスに歯も立たないって言われるよ」
スン……。と『エイル』博士は現実を思い出したようである。
「だがしかぁし! 今回のアップデートされた『セラフィム』は違うよ!? データを相互リンクし、学習し、機体の挙動や戦術の幅を広げていくシステムを搭載しているからね! 負けに負け続けているけれど、何、最後に勝てばいいのさ!」
「そう、なの」
じゃあ、模型玩具はないのだな、と静漓は納得する。
だが、『エイル』博士は静漓の肩をガシッと掴んだ。
え、なに、と思ったかもしれない。
「確かに不人気だけれどね。在庫がないわけじゃない。というか、いっぱいある!『第九号』君!」
『はい』
その言葉にサポートAI『第九号』がドローンでワンカートンの『セラフィム』の模型玩具の段ボールを運んでくる。
「このレディにお土産だ! 頼む、君の手で『セラフィム』の魅力を子供たちに伝えてくれたまえ!」
よろしく! と静漓は思いがけないお土産を受け取ってしまうのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
ス、ステラさん、静かに、静かにー!?
扉ばーん!じゃないんですよ!
それにここクリスマスパーティ会場ですから!
大声コンテストの優勝パーティじゃないですから!
あいかわらず聞いてくれないですー。
なんだか最近ステラさんの雄叫び&暴走レベルがうなぎ登ってないですか?
ハートマークとか飛んでますし。
しかもライバル(ステラさん認定)下げが激しいですし。
『エイル』博士の実力が認められたのは嬉しいですけど、
それに比例してステラさんのやべーも認められてますよね。
って、え?すてーじ?パーティの?
それはつまり……(にへら
えへ、えへへへへ。
セレブの前で演奏なんて、ここからわたしのシンデレラストーリーなんですね!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!!
香りがしまぁぁぁっぁぁすっ!!
はい、毎度おなじみ、貴方様のメイド、ステラ推参ですっ(はーと)
このようなパーティー会場
第九号様では性能を発揮しきれないでしょう!(ただの願望
ここはメイドにお任せを!
誰がやべーメイドですか!!
セラフィムのアップデートと再配備
おめでとうございますエイル博士
ところでルクス様
あそこにステージがあります
一段高い位置から演奏すると
『わかりやすい』のではないでしょうか
とルクス様には上からチェックしてもらう……あの、目的わかってますよね??
エイル博士に新しいセラフィムのアピールポイントなどを聞きつつ
周りを見渡してある程度アタリをつけましょうか
パーティ会場の空気は上々であった。
人々は復興した決戦都市の姿に、対デウスエクスにおける戦いの展望を見ただろう。
だからこそ、唐突のパーティ会場の扉がばーん! と開かれたときには目を丸くしたのだ。
「|『エイル』様《主人様》の!! 香りがしまぁぁぁぁっぁすっ!! 具体的には酒気を帯びた香りがしまぁぁぁぁぁすっ!!」
「ちょ、す、ステラさん、静かに、静かにー!? 扉ばーん! じゃないんですよ!?」
そう、毎度おなじみ貴方のメイド、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)である。
主に亜麻色の髪の女性『エイル』に向けていった言葉であろうことにパーティ会場の人々は、ああ、いつものね、という顔をしていた。
なんでいつものね、という顔をしたのかというと、ケルベロスや猟兵の戦いは避難したシェルターなどで見ることができる。
そのため、ステラが毎回叫んでいるのはおなじみになっていたのだろう。
だから、パーティ会場の面々は、あの人かーくらいの感じだったのだ。
それを認めルクスは、えぇ……という気持ちになっただろう。
クリスマスパーティ会場なのにステラは何を勘違いしたのか大声コンテストみたいな感じで飛び込んだのだ。
それに加えて、今回はこのパーティ会場に潜入しているという人型ダモクレスを発見しなければならないのだ。
なのに。
「『エイル』博士、メイドでございます。超絶有能メイドでございます。貴方のメイド、ステラ推参いたしました、はーと」
「お、おおう」
酔いが醒めたように『エイル』博士はたじろいでいる。
「このようなパーティ会場、『第九号』様では性能を発揮しきれないでしょう!」
『いえ、ドローンを用いてウェイターをしております』
「相変わらずステラさんが人の話を聞いてくれません……あ、どうもです」
ドローンがルクスたちに飲み物を持ってくる。
よく見れば、会場のそこかしこでドローンが飛んでいる。
全て『第九号』が操っているのだろう。すんごい便利。
「くっ……! この物量に物を言わせるやり方とは……! いえ、負けてはおられません! ここはメイドにおまかせを!」
「何を張り合ってるんですか! やること違うでしょうー……なんだか最近のステラさんの雄叫びと房総レベルがうなぎのぼりしてませんか? ハートマークが飛んでますし。しかもライバル下げに余念がないとか」
ルクスは思った。
相手を下げたからと言ってステラの株が上がるわけではなのだ、と。
「まあ、いいじゃあないか。今日はめでたいのだし!」
無礼講無礼講と醒めかけた酔いを取り戻すように『エイル』博士はお酒をかっくらう。
赤ら顔なのは、ご機嫌故である。
「『セラフィム』のアップデートと再配備、おめでとうございます『エイル』博士」
「確かに『エイル』博士の実力が認められたのは嬉しいですけど、それに比例してステラさんのやべーも認められてますからね。さっきの皆さんの反応みました!?」
「誰がやべーメイドですか」
いや、どう見てもステラしかいない。
「ところでルクス様。あそこにステージがございます。一段高い位置から演奏すると『わかりやすい』のではないでしょうか?」
「え、すてーじ? パーティの?」
確かに壇上が用意されている。
恐らく余興を行うためのステージなのだろう。
それをステラは指さしていた。つまり、このパーティ会場に潜む人型ダモクレスを認識する理由には事欠かないと暗に言っているのだ。
だが、ルクスの認識は違ったようである。
「それはつまり……」
にへら、と笑うステラにステラは背筋が寒くなる思いであった。
「あの、目的わかってますよね?」
「えへ、えへへへ」
わかってない。
これはわかってない顔である。
「セレブの前で演奏なんて、ここからわたしのシンデレラストーリなんですね!」
「やーっぱりわかっておりませんでした、この勇者!」
ステラとルクスはそんなやり取りをしつつ、本来の目的である人型ダモクレスの拭えぬ違和感を見つけるために……奔走した、のかなぁ――?
大成功
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ノエル・ラーズグリーズ
……これ、次の回の冒頭で新たな敵を前に新型セラフィム部隊全滅!とかしないよね……?
ところで、一応聞くんだけど、『白銀』を近くに停めてその中で監視、なんてのは……やっぱり無理ですよねー……
仕方ないので一応『戦闘服』(これ以外の服だと『ジャージ』になる)に着替えて、改造スマホの『ヘルヴォル』、いざという時用の『アンドヴァラナウト』を忘れずに携帯して……後はもう【SPD】!
「目立たないように振る舞いつつ、パーティの様子を観察する」一択!むしろそれ以外とか無理!壁際でヘルヴォルの画面をこまめにスワイプし(実際には別に何もしてない)忙しそうな雰囲気を出しつつ何とかこの時間をやり過ごして見せる……!
世にはフラグというものがある。
前触れとか伏線とかそういうもんである。
人生とは苦楽の繰り返しであるし、寄せて返す波のようなものであるのなら、このようなパーティ会場の温かな空気の後にやってくるのは、からっ風のような冷たい空気であろう。
故に、ノエル・ラーズグリーズ(楽園の追放者・f40853)は思ったのだ。
「……これ、次の回の冒頭で新たな敵を前に新型『セラフィム』部隊全滅! とかしないよね……?」
不吉である。
だが、ノエルは予感してしまっていた。
これまでの『セラフィム』の活躍を思い返す。
活躍……? というくらい、デウスエクスに歯が立たないのが『セラフィム』という自律戦術兵器であった。
いや、なんかこう、普通にありえそうで怖いな、とノエルは魔導戦闘車両から降りてパーティ会場に足を踏み入れる。
一応、なんとかこの車両の中から内部を監視するのはできないか、と問い合わせてみたのだが、やはり猟兵の目で直接見なければ潜入している人型ダモクレスの持つ拭えぬ違和感は感知出来ないように思えたのだ。
「……やっぱり無理ですよねー……ってわかっていたけれど……うう」
いつものジャージではない戦闘服に身を包んだノエルは物々しい。
けれど、一張羅のジャージでないものをと言われても、ノエルには持ち合わせがなかった。
このために服を買いに行く服がない! という状況であった。
しかしまあ、ノエルはケルベロスだし猟兵である。
なら、むしろこの方が自然と言えば自然であった。
「いつものジャージが不自然みたいな言い方……」
とは言え、ノエルもちゃんと仕事はするのである。
改造スマホといつでも自身の近くに召喚できるセントリーガンを用意しているのだ。
あとは?
もう、やることは兎にも角にも目立たぬこと!
ひっそりとパーティ会場に紛れ込みつつ、けれど不自然にならぬ程度に楽しんでる感を出す、ということ!
そうなのだ。
むしろ、それ以外とか無理である。
お家という楽園の外は危険が危ないのである。ちょっと何言ってるかわからないが、ノエルにとってはそうなのである。
壁際で花になるのは仕方ないにせよ、改造スマホの画面をタプタプしている。
いかにも忙しないです、という顔をしているが、その実ノエルは何もしてない。
全然してない。
やっているフリである。
体から話しかけんなオーラがギンギンである。
「なんとかこの時間をやり過ごして見せる……!」
やること忘れてない?
しかし、ノエルはこうして壁の花になっているからこそ見えてくるものがあることに気がつく。
人型ダモクレスは確かに人類社会に潜伏するのに長けているのだろう。
だからこそ、こうした多くの人々が行き交う場所においては、特に違和感を覚えさせる。
ぼんやりとだが、人々にまぎれて動く多少のぎこちなさ。
明らかにパーティ慣れしていない人物が幾人か存在している。
それがきっと人型ダモクレスなのだろうとノエルは当たりをつけ、改造スマホでマーキングするのだ。
「これで、後は連中が動き出せばわかるって寸法……」
後は。
「なんとか誰にも話しかけられないようにやりすごすしかない……――!」
大成功
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カシム・ディーン
「聖賢者とか名乗るのもそうだけど名前も生意気だぞ☆わからせなきゃ☆」
おめーは何言ってんだ?どちらにせよおめーの方がアホ確定だろうがっ
「ぇー☆」
それはそうとパーティだ!これはもう美女エイルとだべるチャンスだ
つー訳でこの間の決戦都市改造計画とかはどんな感じに進んでるのか聞きつつ食事を楽しむぞ
予算的に問題があるのであれば資金援助は買って出るぞ
勿論その活躍で得られた利益は此方にも返してもらうがな(ふんす
【情報収集・視力・念動力】
カシムがそんなふうに交渉しつつメルシーはダモクレスの調査
基本的には手は出さないが把握だけは行いつつ念話で連絡
…よし…取り合えず今はマークだけしておけ
追い込むには準備がいるからな
「聖賢者とか名乗るのもそうだけど、名前も生意気だぞ☆」
「おめーは何言ってんだ? どちらにせよおめーの方がアホ確定だろうがっ」
「えー☆」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は銀髪の少女『メルシー』を伴ってパーティ会場に入っていた。
周囲を見回しても、恐らく湾岸の決戦都市の中にあっても有力者たちばかりなのだろうと理解できる。
こんなパーティ会場に人型ダモクレスが潜入しているなど厄介以外の何者でもない。
十二剣神『聖賢者トリスメギストス』。
それがこのパーティ会場に人型ダモクレスを送り込んだ存在である。
何を思い、人類社会の情報を収集しようとしているのかわからないが、しかしカシムにはあんまり関係なかった。
そう、何をおいてもパーティである。
「これはもう美女『エイル』と駄弁るチャンスだ!」
そう言ってカシムは、この湾岸の決戦都市の責任者でもある『エイル』博士の元に向かう。
だが、カシムの願いというか望みとは裏腹にそこにいたのは赤ら顔の亜麻色の髪の女性であった。
そう、『エイル』はこのパーティの空気に当てられたのもあるが、漸く決戦配備の人型戦術兵器『セラフィム』の予算が降りたことに気を良くして、酔いしれていたのだ。
「うわ」
カシムは思わうず声を出していた。
思った以上に出来上がっている。
「いよう、ご機嫌だな」
「ああ、そりゃあね! 予算いっぱいっていうのは嬉しさいっぱいってことだよ、ちみぃ」
「めちゃくちゃ飲んどる……」
「酒も進むよ、そりゃ! 潤沢な資金! これもケルベロスと猟兵の諸君のおかげだよ、ちみぃ」
嫌な酔い方してんなぁ、とカシムは思ったかもしれない。
どうやら資金は潤沢に得られたようである。
なら問題はないかな、とカシムは思っただろう。
しかし、マジでぐでんぐでんだな、こいつと『エイル』博士の様子にカシムはちょっと引くかもしれない。
そんなふうにカシムが『エイル』博士の相手をしている間、『メルシー』はパーティ会場に潜む人型ダモクレスの姿を探す。
「どこかなー☆」
基本的に手を出すことはしない。
マークしているだけのことだ。
と言え、状況は念話でもってカシムに伝えている。
「あれかな☆」
拭えぬ違和感。
それは説明しがたいものであるが、人型ダモクレスは人類社会に擬態することに長けた存在だ。
そこ僅かな違和感がこびりつく。
例えば、この人の多い場所での立ち振舞いなどである。
人と人との往来に肩をぶつけるだとか、言ってしまえば、普段から人の多い場所で生きていない者の動き、ということだ。
「ご主人サマ☆」
「……よし、とりあえずマークだけな。追い込むには準備がいるからな」
こっちは、とかシムは辟易する。
そう、こっちはこっちでなんで酔っ払いの相手をせにゃならんのだと、カシムは逃げ出すので必死だった――。
大成功
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ティオレンシア・シーディア
…あたしもそりゃ多少手伝いはしたけれども。よくまあアレだけズタボロのこっぱみじんこになった裸城が復旧できたもんだわねぇ…
生体パーツ換装によるステルス情報収集機かぁ。センサー類にも引っかからないってことはホントに戦闘能力はオマケの潜入特化型なのねぇ。
とりあえず、手掛かりとかがあるわけでもないんだし。描くのは|カノ《叡智》と|虚空蔵菩薩印《技芸向上》、●要殺を起動。あとはマルガリータと流紋を接続して流紋のセンサー類も動員、テキトーにお酒飲みながら周辺警戒しときましょ。大丈夫大丈夫、どーせあたし酔わないし。
(この女、一日中ぶっ通しで飲み続けてもほろ酔いにすらならないウルトラバカ酒飲みである)
「よくもまあ、アレだけズタボロのこっぱみじんになった裸城が復旧できたもんだわねぇ……」
ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は改めてケルベロスディバイド世界が異星からの侵略者に対して人類が一致団結しているのだということを思い知ることになっただろう。
それほどまでにデウスエクスとの戦いは熾烈そのものであった。
建物は言うまでもないし、人的被害も相当なものであろう。
だが、人類は戦うことを辞めない。
抗うことを決めたのならば、そこには強固な繋がりが生み出される。
「……あたしも、そりゃ多少手伝いはしたけれども」
ここまで見事に短時間で再建されるとは思わなかったのだろう。
加えて言うのならば、破壊される前よりも強固担っているように思える。これらは猟兵たちはケルベロスたちがアイデアを出し合った結果である。
より敵からの攻撃に被害を出さずにおけるアイデアが盛り込まれたことで、恐らくデウスエクスの襲撃にも対処できるだろうとティオレンシアは思えたことだろう。
しかし、問題はまだ山積している。
「生体パーツ換装によるステルス情報収集機かぁ」
そう、この湾岸の決戦都市には多くの人型ダモクレスが潜入している。
センサーにもセキュリティにも引っかからないのは厄介であると言える。だが、それは同時に人型ダモクレスには戦闘力らしいものは皆無だということでもあるのだ。
とは言え、人に紛れることに特化しているのならば発見は難しいだろう。
「手がかりがあればよかったんだけれど……詰めが甘いわよねぇ」
ティオレンシアはBar『黒曜宮』のマスターにしてバーテンダーである。
細められた瞳の奥でつぶさに客のことは観察している。
であれば、人型ダモクレスに存在する拭えぬ違和感というものを直ぐ様に気がつくことができたのだ。
「……飲んでない」
彼女の視線が捉えた一人の男性。
パーティらしく、グラスを手にして傾けているが、その注がれた液体が少しも減っていないのだ。
何故?
言うまでもない、呑む必要性が人型ダモクレスにはないからだ。
呑む必要がないものを機体の中に入れるのは異物を取り込むことと同義。故にティオレンシアは、一瞬で人型ダモクレスを看破したのだ。
「ユーベルコードを起動するまでもなかったわね」
息を吐き出す。
とは言え、である。
念には念を入れる。
そう、ここはパーティ会場。であるのならば?
「テキトーにお酒飲みながら警戒しときましょ」
マークするだけしておいて、後は動きを見えたら此方も動けばいい。
そのためにはお酒が必要だ。いや、本来なら必要ない。が、しかし、どうせ飲んでも酔わない。
なら、味わうためだけに飲み干すのが正解である。
むしろ、場に馴染むためにも必要なこととも言えた。
そう、このティオレンシア・シーディア。
1日中ぶっ通しで呑み続けても、ほろ酔いの、ほの字すらでてこないウルトラバカ酒飲みなのである。
顔色にでないのではない。
酔わないだけなのだ。
「あら、結構美味しいわぁ」
なんて言いながら、ティオレンシアは己がマークした人型ダモクレスから視線を一瞬たりとて外さないのだった――。
大成功
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日下部・香
パーティか……高校の制服着ていけばいいか……? 今は受験前の時期ではあるけど、ケルベロスの仕事はちゃんとしたいんだ。
潜入してるデウスエクスに怪しまれないよう【普通を装う】のは任せてくれ。私は螺旋忍者だし、普段も高校行ってるしな。
パーティ会場を回って色んな人に挨拶しながら人型ダモクレスを探そう。相手はかなりうまく人に紛れてるみたいだけど、【心眼】で見れば違和感も見つけやすくなるかな。
ダモクレスを見つけても相手を刺激しないように気づかないふりをしつつ、付かず離れずでマークしておこう。
この街、前来た時とは全然違う。皆さんが頑張って再建したんだよな。この街で被害を出さないためにも、私も頑張らないと。
日下部・香(断裂の番犬・f40865)は大学受験を控えた受験生である。
ケルベロスでありながら猟兵であり、また学生でもある。
この地球、ケルベロスディバイドに生きる彼女にとって、戦いとは日々のことだ。だが、戦いばかりの日々であっても、皆を守りたいと思う心持ちだけは決して揺るがぬものであった。
しかし、今まさに香がたじろいでいたのは、人型ダモクレスが潜入しているというパーティ会場の空気故であった。
いかにもセレブな者たちが多く和やかに会話と立食を楽しんでいる。
まるで縁が無い。
というか、高校の制服を来てきたのは明らかに場違いなのではないかと彼女は思わないでもなかった。
本来なら、受験前のナイーヴな時期だ。
こういう仕事は免除されても然るべきであったが、しかし香は頑なだった。
受験生であろうとケルベロスとしての仕事はきちんとしたい。
そのうえで学生としての生活を望んでいるのだ。
「しかし、潜入しているデウスエクス、か……あ、あの人は」
彼女が目に止めたのは亜麻色の髪の女性『エイル』博士であった。
この湾岸の決戦都市の責任者でもある彼女と香は面識があったのだ。以前、この決戦都市が散々に破壊された時のチャリティーイベントで知り合った女性だ。
だが、彼女は赤ら顔で足元がおぼつかない様子だった。
よろめく彼女を香はさっと支える。
「おっと、すまないね……」
「大丈夫ですか、飲み過ぎでは?」
「いやぁ、面目ない。少し呑みすぎてしまったようだ……と、おっと、君は確か日下部くん、だったね」
「覚えてくれていた?」
「そりゃあ、将来有望な学生さんなんだ。覚えているさ」
『エイル』博士を支えながら、香は周囲に気を配る。
誰かがよろめいたり体調が悪ければ、一瞥でもくれるはずだ。だが、それでも視線を向けもしないものがいる。
それは無関心だからではない。
そうする必要性が理解できぬ者だからだ。そう、視線を向けぬ者たちに香は当たりをつけ、マークする。
特徴を覚え、彼らこそが拭えぬ違和感を持つ者だと理解したのだ。
「この街、前来た時とはぜんぜん違う。皆さんが頑張って再建したんだってわかりました」
「そうだよ。君等のアイデアのおかげであるとも言える。君たちが戦ってくれるから、私達がある。感謝しているよ」
「その言葉に報いられるように、私も頑張らないと」
大変だけれど、と香は頷く。
そう、皆で戦っているのだ。
異星からの侵略者たち。彼らを相手取るには、共に助け合って支え合っていかねばならない。
だからこそ、『エイル』博士がよろめいた時、一瞥一つ寄越さなかったものたち……人型ダモクレスたちに怒りが湧くかもしれない。
その無関心さ。
人類社会に形だけでも紛れ込むことができたとしても、違和感は消えない。
その拭えぬ違和感を便りに香は人型ダモクレスたちが動き出すのを待ち受けるように、静かに彼らの背を捉え続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
幸・鳳琴
「ブレイド」ではデウスエクスは大きく9つの勢力に分かれ
時に協力しあうことはあっても、統一されてはいませんでした
デウスエクスを統べる十二剣神、強大な相手ですね
目論見を阻止しなければなりませんね
私は先日此方に降り立ったばかり、
目立たないようパーティの一画に佇み
パーティに紛れ込んだ人型ダモクレスを探しましょう
視線を露骨に送ることはせず、
違和感を測り、覚えておきます
誰かに話しかけらたらコミュ力を生かし自然に対応しますね
料理を楽しむのは自然と行うと思います
料理は作るのも食べるのも、大好物ですので!
美味しいっ
それにしても12月のセレブパーティ
ここにいてくれたらと思う人はいるのですが
今は使命を果たしますとも
ケルベロスブレイド。
それはケルベロスディバイド世界とは似て非なる世界である。
ケルベロスの中には、そうした並行世界出身者も存在している。そのうちの一人が幸・鳳琴(精霊翼の龍拳士・f44998)である。
超神機へと挑み、未来を開いた少女である彼女はケルベロスディバイド世界においても、その未来を切り開くために戦いに馳せ参じる。
「『ブレイド』の世界では、デウスエクスは大きく九つの勢力に分かれ、時に強力しあうことはっても、統一はされていませんでした」
彼女の知る所のデウスエクスとは各々の目的のために活動していた。
そして、永遠不変の存在でもなかった。
この世界のデウスエクスは滅ぼしきれない。
だからこそ、打開策を見いだせぬまま、人類は当てなき戦いを強いられていたのだ。
「そんなデウスエクスを統べる十二剣神、強大な相手ですね」
その一柱『聖賢者トリスメギストス』が目論むのは人類社会の情報収集である。
人類社会を知って何をなそうというのかは判然としない。
だが、敵の目論見を知って座していることなどできようはずもない。
「人型ダモクレス、ですか」
彼女はこの世界に降り立ったばかりである。
自身の出身世界とは異なるとは言え、多くが共通しているところだった。故に目立たぬようにパーティ会場に踏み入れ、一角に佇む。
人型ダモクレスは見れば拭えぬ違和感を持つのだという。
オブリビオンと違って、猟兵であれば即座に認識できる、というわけではないところが厄介極まりない。
しかし、それでも探さねばならない。
「何かお飲みになられますか」
ウェイターが訪ねてくるのに鳳琴はにこやかに頷く。
自然に、それでいて自身の視線をさとられぬように、パーティ会場に潜む人型ダモクレスたちの姿を探る。
露骨であってはならない。
するべきことは違和感を測ること。
その点で言うのならば、己に話しかけてきたウェイターは違うと判断できる。
「ありがとうございます。あちらの料理は頂いても?」
「勿論です。取り分けて参りましょうか?」
「いえ、あなたもお仕事があるでしょう。お手を煩わせるほどではありませんから」
「それでは、此方の皿をお使いください」
ありがとう、と鳳琴は頷き、颯爽料理を楽しむ。
そう、これは自然な行為。
パーティに来て立食をしない、なんてことは逆に怪しまれる。
別に食べるのが好き、とか……まあ、大好物である。作るのも好きであるが、食するのもまた喜びだ。
「美味しいっ」
いや、本当に美味しい。
彼女は会場に視線を送る。いくつか怪しい違和感を感じているのだ。それらをマークしながら、テーブルの上の料理を取り分けて、その都度美味しさに身悶えするようであった。
だが、その美味しさも何処か滑っていくようであった。
季節は12月。
そしてパーティ。
ここにいてくれたら、と思う人はいる。
けれど、彼女は気を取り直して、今は使命を果たさねばとマークした人物がどのように動くのか。
それを注視し、その時に備えるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
おお!エイル博士だ
エイル博士がいるぞさっちゃんにころちゃん
「なんかこの間のメリサっぽいよな?こいつもあの古代プラントで生まれたんじゃね?」
「なんと言うことだ!幼女ではない…!美少年でもないだと!?」(ライオン着ぐるみ幼女)
それはそれとして私はとても無念な事があってな
私も都市改造計画は参加したかった!
とても残念だったのでぜっちゃんチョコシティ計画のデータを渡しておこう
ぜっちゃんチョコを搭載したセラフィム…チョコセラフィムがピンチにぜっちゃんチョコを与え圧倒的なパワーで回復し敵をも粉砕するのだ!
「「ぴ、ぴぃ」」
UC発動中
神機達には怪しいヒト型機械をさりげに探してもらう
神機達はご飯堪能しつつ巡回
亜麻色の髪の女性『エイル』博士は、この湾岸の決戦都市の責任者である。
しかし、今はただの酔っ払いである。
自律人型戦術兵器『セラフィム』の予算がおりたことに寄る心の緩みは、そのまま酒量に直結していた。
へべれけ。
そう表現するのに相応しいほどに彼女の頬は紅潮していた。
「うん、楽しいな、パーティ!」
いえいいえい!
そんなふうに飲みまくっている。
普段のストレスってものもあるのかもしれない。
「おお!『エイル』博士だ!『エイル』博士がいるぞ、さっちゃんにころちゃん」
「なんかこの間の『メリサ』ってやつっぽくね? こいつもあの古代プラントで生まれたんじゃね?」
皇・絶華(影月・f40792)は『サートゥルヌス』が変じた少女の言葉に首を傾げる。
「どうだろうか。そもそも性別が違うようだ。彼女は女性であるし、『メリサ』は男性ばかりだっただろう?」
「なんということだ! 幼女ではない……! 美少年でもないだと!?」
ライオン気ぐるみ幼女の言葉を絶華は受け流す。
その趣味に付き合ってもいいが、この場合あまり意味をなさないように思えたからだあ。
「それはそれとして私はとても無念なことがあってな」
「主様?」
え、何が、と『サートゥルヌス』は不穏な気配を感じ取って後退りする。
主の無念なこと?
絶対ろくなことではないと思ったからだ。
「そう、私も都市改造計画に参加したかった!」
あれ、思ったよりまともな理由だった、と『サートゥルヌス』は思った。
「そ、そうなんですね?」
「そうだとも! ぜっちゃんチョコシティ計画のデータを作ってしまうほどに!」
「えっ」
そう、やっぱり絶華は絶華であった。
どこまで行っても、と言うべきだろうか。
「ぜっちゃんチョコを搭載した『セラフィム』……チョコセラフィムがピンチに、ぜっちゃんチョコを与え、圧倒的なパワーで回復し敵を粉砕するのだ!」
「ぴ、ぴぃ」
二人の声が重なる。
なんつー恐ろしいものを考えてるんだと二人は思っただろう。
「絶対ろくなことにならないやつ……!」
「このデータを『エイル』博士に渡して、検討してもらおう!」
なんてことを!
本当にそう思ったことだろう。
「あ、主様よ。今は人型ダモクレスを探さないといけないんだろう? それなら、そっちを優先して……」
「何、そこは魔力リンクでもって……さあ、行け」
神機の主(キシンタチノアルジ)たる力の発露。
それを持って絶華は魔力で強化された人間形態となった二人を放つ。
「……え、えー……」
「さりげに探しておいてくれ。あ、ご飯を食べておいてもいいぞ! きっとこのあと大変だろうからな!」
そりゃそうかもしれないが、と二人は思ったかもしれない。
だが、いつまでもここにいては、絶華の思いつきで酷いことになるのは明白だった。
なら、すぐにでも人型ダモクレスを見つけ出して、マークしておいたほうが身のためだ。
二人は、背に迫る言いようのない危機感と共に人型ダモクレスの姿を求めて、パーティ会場を見回り続けるのだった――。
大成功
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ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
うんうんついに完成したんだね
光る!歩く!変形して空を飛ぶ!
人型機動要塞都市!
ちょっと違うって?そっかー
でもそろそろ歩くくらいしないと最新の要塞都市の|流行《モード》から取り残されちゃうよ!
●ぱーちぃ
祝い事は大好きさ!
みんな楽しそうにしているからね!
とはいえもうちょっとあの子たちには工夫してほしいものだね!
これじゃあ余興にならないもの!
いいかい当てっこゲームっていうのは相手に誘導尋問をかけて失言を引き出したとにかくりパッと見では分からないのを見抜く楽しみというものが無いとね
●ぱくぱくもぐもぐ
●もぐもぐぱくぱく
不審に思われるから黙って食べててなんて言われてないんだからね!
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は上機嫌だった。
それもそのはずである。
湾岸の決戦都市。
かつてデウスエクスの襲撃によって散々に破壊された都市が漸く復興を見せたのだ。
いや、それだけではない。
チャリティーイベントに参加した身としては、己の提案した計画がどの程度再現されたのか気になっているのだ。
「うんうんついに完成したんだね。光る! 歩く! 変形して飛ぶ! 人型機動要塞都市!」
騙してもいないが、一応言っておくとしよう。
光らないし、歩かないし、変形して飛ぶこともない。
「ちょっと違う?」
いや、だいぶ違う。
「そっかー」
でもなーとロニは、復興を果たした湾岸の決戦都市を見やり、思う。
「そろそろ歩くくらいしないと最新の要塞都市の|流行《モード》から取り残されちゃうよ!」
めちゃくちゃ理屈である。
しかし、ロニはあんまり気にしていなかった。
彼が気にしていたのは、パーティ会場である。
そう、祝い事というのは喜ばしいことだ。そういう和やかな雰囲気というのは大好物だし、みんな楽しそうにしているのを見るのも好きだ。
「でも、もうちょっとあの子達には工夫して欲しいものだね!」
彼の言う所のあの子達、というのは人型ダモクレスたちのことを示すのだろう。
十二剣神『聖賢者トリスメギストス』が送り込んだ潜入者たち。
猟兵たちは、彼らをマークし、動き出すのを待っている。
観衆のあるところで彼らの正体を晒せば、人型ダモクレスは人々を殺し、グラビティチェインを奪って逃走するだろう。
そうなっては元も子もない。
「まったく余興にならないったらないよ。当てっ子ゲームっていうのは、相手に誘導尋問をかけて失言を引き出したり、ぱっと見てわからないのを見抜く楽しみというものがないとね」
そういう意味ではロニにとって人型ダモクレスが放つ違和感というのは、言うまでもないことであったのかもしれない。
「むしろ、追いかけっこのほうが本命って感じ!」
なら、と彼はパーティ会場の食事という食事を片っ端から食べていた。
別に食べないと疑われるってわけでもないし、不審に思われるでもない。だが、ロニは食べていた。
それこそリスの頬袋のように一杯かきこんで、一杯飲み込む。
胃袋どうなっているんだろうと思わないでもないが、神様なのでどうとでもなるってもんである。
「ぱくぱくもぐもぐ。もぐもぐぱくぱく」
口を開けば不審者に思われるかもしれないなんて思っていない。
きっとそうなのだ。
ロニにとって、これはただのゲーム。
人型ダモクレスがどう動くのかはわからないが、どちらにせよ追いかけなければならない。
肝要なのは、この場で虐殺を起こさないこと。
そして、人類社会のデータを『聖賢者トリスメギストス』の元へと持ち帰らせないこと。
この二点以外は、ロニにとってはどうでもいいことだった。
むしろ、この立食パーティのごちそうを平らげることのほうが、きっと優先度は高かった――!
大成功
🔵🔵🔵
雨河・知香
またあの決戦都市が狙われてるのかい…
次にどんな作戦仕掛けてくるか分からないし、情報集められる前に叩き潰さないとね!
パーティーに合わせた服装で礼儀作法意識しつつ参加。
エイル博士がいるなら挨拶しとこうかねえ。
…なんだかギリギリな綱渡りやってないかい?
予算はまあ…成果が分かり辛い事もあるからねえ。ケルベロスや猟兵とか強さ分かり易いのが一緒に戦ってると。
でも凄く世話になってるし、セレブとかの説得するならアタシも力貸すよ。
当事者のケルベロスの意見なら無視はできないだろうしね。
と、そんな事を和やかに?話しながら会場の怪しい…殆ど誰とも会話せず聞き耳立ててそうな人に目星付けてくかねえ。
※アドリブ絡み等お任せ
湾岸の決戦都市。
それは多くのデウスエクスの襲撃を受けて破壊され尽くした都市であった。
しかし、多くの猟兵とケルベロス、そして人々の協力があって復興した都市でもあった。
他ならぬ、雨河・知香(白熊ウィッチドクター・f40900)も訪れたことがあった。
「またあの決戦都市が狙われてるのかい……」
それも此度は十二剣神『トリスメギストス』の配下が潜入してきているというのだ。
何を思って、そのような企みに至ったのかはわからない。
だが、得た情報で次にどんな作戦を仕掛けてくるかわからない。
特に『聖賢者トリスメギストス』は、人類側のウィークポイントというものをよく理解しているようだった。
インフラの破壊などもその一つだ。
そうした敵に情報を与えるなど愚の骨頂であるだろう。
「なら、情報集められる前に叩き潰さないとね!」
知香は、早速パーティ会場のドレスコードに合わせた服装で足を運ぶ。
彼女が猟兵であることはすでに知られているとおりである。故に彼女はセキュリティチェックを受けることはなかった。
顔パスというやつである。
会場を見やれば、多くの猟兵やケルベロスたちがいる。
このような状況下で人型ダモクレスが忍び込んでいるというのだから、大胆というか不敵というか。
「やあ、君も来ていたんだね」
なんだか酔っ払いめいた声が聞こえる。
へべれけであるというのが正しいような声色。見やれば、そこには亜麻色の髪の女性がいた。
『エイル』博士と呼ばれる、この決戦都市の責任者だ。
彼女はどうやら『セラフィム』という自律人型戦術兵器の開発に関わる予算をなんとか組んでもらえたらしい。
そのために彼女はホッとしたのか、箍が外れているように思えた。
「……なんだかギリギリな綱渡りやってないかい?」
「え~そうかね~些細なことだよ、ちみぃ。予算が降りればこっちのもんだよ!」
「……予算はまあ、成果が分かりづらいこともあるからねぇ」
いや、どっちかっていうと『セラフィム』がまったくデウスエクスに歯が立たないことが多いからである、というのが予算の承認が降りない最たる要因であるように思えてならない。
「ケルベロスや猟兵のように強さがわかりやすいのが一緒に戦っていると尚更よね」
「いや、それはいいんだよ。私の作る『セラフィム』は決戦配備のものだ。君たちの負担が少しでも減れば、例え敗北したって、壊れたっていい。一番大切なのは、前線で戦う君たちの生命なんだ」
『エイル』博士の考える所の決戦配備とは、どこまで言っても前線で戦うケルベロスや猟兵たちを護ること、勝利に導くことなのだろう。
そんな彼女だからこそ知香は彼女に世話になっていると思うのだろう。
「そうか。それなら……セレブとか出資者を説得するのなら、アタシも力を貸すよ」
「大丈夫だって~なんたって予算が降りたからね!」
ナハハハ、と笑う『エイル』博士。
本当に余程ホッとしたのだろうなと知香はため息を尽きながらも、笑みを浮かべる。
「ま、困ったことがあったのなら、いつでも言っておいで。ケルベロスの意見なら無視もできないだろうしね」
そんなふうに知香は『エイル』博士と談笑を続ける。
その間にも彼女はパーティ会場を忙しなく視線を送っていた。
そう、ここに来たのは人型ダモクレスの存在を確認するためだ。
こうやって和やかに会話をしているのに、誰とも話さずに聞き耳を立てるような人間がいれあ、すぐにわかる。
近くにいるのに会話の輪に入ることをしないもの。
それは人間社会においては、珍しくないものであったかもしれない。
だが、ぴたりと張り付くようにして近づくだけの者など不審な動きでしかないのだ。
故に知香は、そうした動きをしている者たちを目ざとく見つける。
彼らこそが人型ダモクレスだ。
なにかあればすぐさま動けるように知香は備え、酔った『エイル』博士をサポートAI『第九号』がコントロールするドローンンに任せ、彼らの後を追うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ソニア・コーンフィールド
何だか凄く地味な作戦だねー。
ダモクレスはそういう作戦よくやる印象だけどトリスメギストス?もそっち系のデウスエクスだったりするのかな。
まあ阻止しなきゃいけないには変わりないし、頑張って潜入工作員探しちゃおう!
お洋服はパーティー用に合わせるかな。ケルベロスコートで通るならそれでもいいけど!
迷って人を探してる感じでちょこまか会場回りつつ怪しい人探る。
違和感…瞬きしないとか何も食べたりしてないとかそんな感じの人いたら怪しいかも!
あとエイル博士見つけたらご挨拶!
セラフィムのアップデートの調子どんな感じなのかとか聞いてみたいかな。
…何だか凄く研究者的な悲哀が漏れ出てくる気がするけど!
※アドリブ絡み等お任せ
人類社会の情報を収集する。
それは言葉にすれば、あまりにも地味な作戦であるようにソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)には思えてならなかった。
ダモクレスというデウスエクスの種族の性質を考えた時、そのような作戦はよくやる印象があった。
しかし、ソニアは十二剣神『聖賢者トリスメギストス』のことを何も知らない。
いや、猟兵たちであっても未だ判然としない存在なのだ。
厄介な存在であることは間違いないであろう。
なにせ、『聖賢者トリスメギストス』は人類社会の基盤であるインフラを破壊せんとする作戦を命じたこともある存在なのだ。
そんな存在に人類社会の情報を与えればどうなるかなど言うまでもないだろう。
これまでよりもさらに困難な状況が地球を襲うのは避けられない。
「そういう情報を操作したり、どうにかするのが得意なデウスエクスなのかな? まあ、阻止しなきゃいけないには変わりないし、がんばろう!」
ソニアはパーティ会場に足を踏み入れる。
とは言え、ドレスコードというものがある。
セレブが集まるようなパーティならば、尚更だろう。
「うーん、結局ケルベロスコートにしたけど、よかったかなぁ……」
ソニアはおしゃれなお洋服にすればよかったかも、と思ったが、この後どのみち戦いになるのならば折角のお洋服が傷物になってしまうのは避けたかった。
その点、ケルベロスコートはいい。
一発で所属がわかるし、自分がケルベロスであるということを証明することができる。
とは言え、である。
このパーティ会場に潜入している人型ダモクレス。
これを見つけなければならない。
それが難しいのだ。
一見して違和感を覚える者、と言ってもソニアには思いつかなかった。
「えーと、えーと……」
それでも何かをせずにはいられない。
ソニアは周囲を見回しながら、ちょろちょろと人探しをするように警らする。
それはいうなれば、会場で困っている人がいないかを探すウェイターのような動き方だった。
「あ!『エイル』博士!」
「ん、ああ?」
ソニアが見つけたのは亜麻色の髪の女性であった。
『エイル』博士と呼ばれる、この湾岸の決戦都市の責任者だ。彼女とは面識がある。
「あれ、お顔赤いね? お酒飲みすぎちゃった?」
ドローンに介助されるようにして歩いていた彼女はケタケタと笑った。
あ、やっぱり酔ってるな、とソニアは思っただろう。
「なに、飲み過ぎるということはないよ。こんなのまだ腹八分目さ」
「だいぶ飲んじゃってるじゃん……」
機会があれば『セラフィム』のアップデートがどんな感じなのか聞いてみたいと思ったが、この感じじゃどうにも聞きたいことは聞けないような気がする。
それに聞いたとしても、なんていうか研究者的な悲哀が漏れ出てくるような気がする。
であるのならば、とソニアは介助される『エイル』博士と挨拶だけを終えて、人型ダモクレスの捜索に戻る。
ダモクレスである、というのならが当然何かしらの違和感を覚えさせるものだ。
ちょっとした仕草であるとか……。
「……あの人、瞬きしてない……?」
ソニアは己が見つけた人物が先程から瞬き一つしていないことを知る。
それに妙に目の輝きがマット……ツヤがないように思える。
まるで機械的な瞳。
それを認め、ソニアは確信を強める。
あの人だ、と。それは幾人か潜入している人型ダモクレスのうちの一人なのだろう。だが、それでも見つけたのだ。
マークを決して外さずにソニアは、己が見つけた人型ダモクレスの後を追うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『潜伏デウスエクスを探せ』
|
POW : 広範囲を歩き回り、虱潰しに探す
SPD : 潜伏に適した地形を探す
WIZ : 敵の痕跡を見つけ出し、追跡する
イラスト:del
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
人型ダモクレスたちは、己たちの存在をケルベロスや猟兵たちが察知したことを理解する。
己達に張り付くような視線。
不自然にならぬ程度に外されてはいるが、しかし、確実に自身たちを逃さぬようにと動き出している。
「……撤退条件、照会」
「……撤退行動、開始」
彼らは即座に動き出す。
グラビティチェインを簒奪するためにパーティ会場の人々を殺すつもりであったが、しかし、最重要なのは情報の伝達である。
己たちは子機であるが、しかし親機まである程度近づかねば情報の送信ができない。
であればこそ、このタイミングで動き出すしかなかったのだ。
グラビティチェインは諦める。
そうすることで、猟兵やケルベロスたちを出し抜こうというのだ。
それにすでに逃走経路は把握している。
如何にこの湾岸の決戦都市が、いち早く事件に急行できるように高速道路を設置しているのだとしても、それ自体もまた己達は利用できる。
整えられた路面を疾駆するのは人型ダモクレスたちにとっては容易い。
むしろ、等身大であることは小回りがきく、ということだ。
「行動開始」
その言葉と共に人型ダモクレスたちは高速道路へと降り立ち、その路面を走り、決戦都市の外へと脱出を図ろうとするのだった――。
ジークリット・ヴォルフガング
【ケルライダー】
…動いたか
では、こちらも追跡開始だ
意外にも絡み上戸であったエイル博士には『デートの約束』があるとでも告げ、会場から抜け出るさ
待たせたな、シルバーブリット
先ほど出て行ったあの者達の追跡を…ああ、アレか
生涯忘れる事はない思い出、だったそうだ
ま、次があればもう少し加減してやれ
ケルベロスコートを脱ぎ、普段の姿に戻れば追跡開始だ
敵の本体まで追いつかず見逃さずと言った塩梅であるが、ここは決戦配備『キャスター』による街の監視情報をシルバーブリットの端末に転送させて貰おう
時には迂回し、時にはやり過ごしだが…ま、気づかれて立ち向かって来るのであればそれはそれでだ
一刀の元で他機に伝達する隙は与えん
真・シルバーブリット
【ケルライダー】
お帰り、ジーク!
予想的中でデウスエクスらしい人達は出て行ったところさ
それでねジーク…エイル博士、何か言ってた?怒ってなかった?
…それなら大丈夫だね!
エイル博士を乗せて走り終わったら気絶してて大変だったんだもん
僕もちょっと悪い事したかなって心配だったから、これで心置きなくまた乗せて走れるね!
勿論、準備完了さ!
エンジンは充分に暖気済みで1秒でトップスピードを出せる…えー、追いついちゃダメなの!?
ちぇ、それなら最短コースを決める予想ルートを修正しなくちゃ
追いつきそうになったらそうだね
決戦配備『ディフェンダー』で高速道路沿いのビルが変形する防壁を走ったりして迂回しなくちゃだねー
「……動いたか」
ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)は敵が行動を開始したことを察知し、即座にパーティ会場を後にしようとする。
だが、その手を引いたのは『エイル』博士だった。
「なんだい、ちみぃ。ここからが宴も酣ってやつだよ~?」
意外に絡み上戸だな、とジークリットは思ったが今はその時ではない。
普段ならば付き合いよくあっただろうが、今日はそうも言ってられない。
「悪いがデートの約束があるんだ」
「で、でででーと!? 君が!?」
「おい、それは失礼じゃないか。まあ、いい。そういうわけだ」
そう言ってジークリットは会場を辞して、外に待たせていたライドキャリバー、真・シルバーブリット(ブレイブケルベロス・f41263)の元へと向かう。
「お帰り、ジーク!」
「待たせたな、シルバーブリット。それで、ここからでていった者たちはマークしてあるか?」
「予想的中でデウスエクスらしい人たちは出て言ったところさ。ハイウェイの方角に向かったようだけれど。それでね、ジーク」
「ん?」
「……『エイル』博士、なにか言ってた? 怒ってなかった?」
「……ああ、アレか。ふ、『生涯忘れることはない思い出』、だったそうだ。ま、次があればもう少し手加減してやれ」
「なら、大丈夫だね!」
シルバーブリットは、以前『エイル』博士を乗せてハイウェイを爆走した時に、彼女が気絶したりとなんだかんだで大変だったのを思い出していた。
いや、あれはあれでちょっと反省するところではあったのだ。
折角楽しい思い出をと思っていたのに、気絶するほどだったとは思わなかったのだ。
なにせ、彼の基準はジークリットなのだ。
そこら辺の女性と彼女を一緒くたにするっていうのは、ちょっと無理があった。
「僕もちょっと悪いことしたかなって心配だったから、これで心置きなくまた乗せて走れるね!」
だから加減を、という言葉をジークリットは言うより早くケルベロスコートを身にまとい、シルバーブリットと共に一気に高速道路へと走り出す。
これはかつてのチャリティーイベントでの都市計画のコンペティションで発案されたものだ。
デウスエクスはどこに出現するかわからない。
故に迅速に駆けつけるためにシルバーブリットのようなライドキャリバー部隊に寄る救援行動を行えるように道路を整備したのだ。
「走り心地最高だね! さ、追いついちゃうよ!」
「待て、シルバーブリット。敵の本体まで追いつかず見逃さずといった塩梅で頼む」
「え、追いついちゃダメなの!?」
なんで!?
シルバーブリットは驚愕する。
「あれは敵の子機だ。親機の元まで私達を案内してもらわねばならない。なら……」
「うーん、そっか。ちぇ……それなら最短コースを決める予測ルートを修正しなくちゃ」
ジークリットは即座に決戦配備を要請する。
「決戦配備、要請。キャスター!」
その言葉と共に決戦都市のビルの隔壁が開き、自律人型戦術兵器『セラフィム』が飛び出す。
赤と青の装甲を持つ『セラフィム』が即座にジークリットの求めに応じて、街の監視情報をシルバーブリットの端末へと転送される。
「ふむ……やはり決戦都市の外に出ようとしているか」
「そうみたい。なら、僕は、ディフェンダー要請! 隔壁展開よろしくね!」
そのことばと共に高右側道路沿いのビルが変形し、防壁を形成する。そこに一気にシルバーブリットの車体が飛び、その壁面を駆け抜けていく。
「迂回か。追いつきそうだったか?」
「もちろん! 距離を調整しなくちゃなんでしょ。なら、こっちが迂回してあげなきゃ!」
そういったシルバーブリットのライトが照らす先にあるのは、高速道路の路面を疾駆する人型ダモクレスたちであった。
なるほど、確かにな、とジークリットは思っただろう。
あれでも並の速度ではない。
だが、シルバーブリットならば容易く追いついてしまう。
「こちらに向かってはこない、か……あくまで逃走を優先するか」
自分たちに気がついてはいるだろうが、それでも攻撃を加えてこない、ということは此方が直接的な攻撃に出ない限りは逃走を優先するということなのだろう。
ならば、ジークリットは親機に情報を伝達する隙を与えぬと言わんばかりにシルバーブリットと共に親機が待つであろう決戦都市の外への経路を端末に映し出し、追走を続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
龍之宮・翡翠
パーティーの間に奴らの気配は覚えた
その気配を追跡する
決戦都市の高速移動網を利用してくるか
……ならば
「|決戦配備《ポジション》要請。|妨害配備《ジャマー》」
セラフィムに搭乗は無理でも、どこかしらに掴まって移動が出来そうならば、それで追跡を試みる
逃走方向の指示を出しつつ移動しつつ、逃走経路の電波妨害等足止めできそうな妨害を依頼
掴まる事が無理な場合は先行させて、移動できた場合と同じ内容の妨害を依頼
親機へ辿り着くのを妨害すれば、此方が追いつくのも容易くなるだろう
|お前たち《デウスエクス》が優位になる状況になど、させるものか
……車くらいは運転できるようになるべきか
(これまで必要性を感じていなかった様子)
人型ダモクレスたちはパーティ会場から姿を消していた。
だが、拭えぬ違和感。
それにマークしていた龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)は、その気配が遠くなる前にパーティ会場を後にする。
しつこい絡み上戸の『エイル』博士の追求とか、なんだか大人っていうのは大変なものなのだなという実感と共に翡翠は外の冷たい息を吸い込む。
肺に入り込んだ冷たい空気は戦いの気配を感じさせた。
「決戦都市の高速道路網を利用してくるのか……ならば。聞こえるか『第九号』」
翡翠は、決戦都市のサポートAI『第九号』に通信を繋ぐ。
「|『決戦配備』《ポジション》要請。|妨害配備《ジャマー》」
『受諾いたしました』
ビルの壁面が展開し、そこから飛び出すのは光の翼を持つ自律人型戦術兵器『セラフィム』。
赤と青の装甲を持つ鋼鉄の巨人が翡翠の前に膝をつき、その掌を伸ばす。
「借りるぞ」
自律兵器故にコクピットはない。
翡翠は伸ばされた手に掴まる。すると『セラフィム』が飛翔する。
空からの追跡。
敵が高速道路を利用して逃げるのならば、空からの追跡は容易だった。
なにせ、敵は高速道路という整備された路面の上を駆け抜けているが故にコースが限定される。
だが、空をゆく翡翠にはコースというものはない。
直線距離で最短を選んで追う事ができるのだ。
「逃走経路の電波妨害を。妨害ができるなら物理的妨害も」
翡翠の指示に高速道路から隔壁が持ち上がり、人型ダモクレスたちの進路を妨害する。
だが、小回りの聞く等身大のダモクレスたちは一気にこれを迂回して進む。
やはり止めることはできない。
だが、それでも翡翠はこれで充分だと思ったのだ。
「やつらが子機だというのならば、親機にたどり着くことでしか情報は上役に行くことはない。なら、これを阻めばいい」
少しでもたどり着くのを遅延することができれば、此方が追いつくのも容易い。
そう、情報を得てしまえば『聖賢者トリスメギストス』は次に如何なる作戦を思いつくかわからない。
インフラの破壊などといった人類社会にとって致命的な打撃を与えられる前に、作戦事態を阻止できることができればいい。
「|お前たち《デウスエクス》が優位になる状況になど、させるものか」
翡翠は『セラフィム』と共に飛翔し、人型ダモクレスたちの背を追う。
しかし、と翡翠は考える。
こうして移動に決戦配備が使えることはありがたい。
だが、常にこうした手段が使えるわけではない、というのは当然考えることだった。
「……車ぐらいは運転できるようになるべきか」
必要性を感じていなかったから、運転免許というものも考えたことはなかった。
大人になるっていうことは可能性が広がるということ。
責任も伴うことはわかっている。
「それは後で考えることだ」
悩むことは後回しにできる。
今は、と翡翠はその瞳で今目の前の現実を見つめるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
「ぷっきゅ!」
…陰海月語を翻訳します…
いっぱい食べたから、食後の運動も兼ねて!あとね、ぼくだけって思わせる意味もあるよ。ぼくは食いしん坊なだけじゃないやい!
パトカーみたいな光り方にしよっと!
さあ、追いかけるよ!『びゅーびゅーおじーちゃん(疾き者)』の力である風属性で加速しつつ、全力の空中浮遊追いかけ!
小回りがきくのは、こっちもだからね!
ええと、こういうときって…親機の位置も知りたいよね?
なら、たまーに横道に入ってちょっと距離離したりもわざとしようかな?
その方が、この都市にとってもいいよね!
たくさん食べたのなら、食後の運動をしなければならない。
運動というのは体力を使うものである。
しかし、肉体というのは厄介なもので、運動しなければ劣化していく。退化していく。失うことと同義である。
ならばこそ、人は面倒だな、と思っても運動をしなければならないのだ。
「ぷっきゅ!」
それは馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)と合体した『陰海月』にも言えることだった。
パーティ会場にて、それはもうたっぷりとお腹いっぱいになるまで食べた『陰海月』の体躯は心做しか一回り大きくなったように思えた。
それほどまでに食べたのだから食後の運動というのは必須だっただろう。
「それはわかるのですが」
『疾き者』は少し戸惑いつつもある。
そう、『陰海月』の体躯がパトランプのように明滅しているのだ。
別の意味で眩しい。
「きゅ!」
『陰海月』は食いしん坊なだけじゃないということを示すように、その体躯から光を放つ。
光はエネルギーだ。
なら、激しく明滅する赤いランプは多大なエネルギーを放出することであっただろう。
カロリー消費、というのならばこれ以上ないだろう。
「ぷっきゅ!」
さあ、追いかけるよと『陰海月』は意気揚々たる様で宙に浮かぶ。
『疾き者』の力を借りて、風の属性を付与した体躯が飛ぶ。
風に吹かれる凧のように空高く舞い上がり、一気に飛翔する。放出されるエネルギーが空に赤い光を明滅させる。
端からすれば何事か、と思うだろう。
それは人型ダモクレスたちも同様だったことだろう。
己たちを追跡するものがいることは理解していた。
だが、あんなに派手に明滅しては、自分たちに悟られるとは思っていないのだろうか。
いいや、違う。
『陰海月』は、敵が追跡者多いと思っているだろう。
その位置を探ることは体制を立て直すには必要な情報だ。
だが、『陰海月』が目立つことによって、追跡者の総数をわからなくさせてしまおうというのだ。
「まあ、小回りがきく、というより直線距離で最短を取れますからねー」
「きゅ!」
それ! と『陰海月』はなく。
そして高く飛ぶ。
高い位置から見れば子機である人型ダモクレスたちが向かう場所も推測できるだろう。
彼らが向かっているのは親機であるデウスエクス。
なら、やはり向かっているのは決戦都市の郊外である。
決戦都市の近くまでデウスエクスが接近していても、それを悟らせぬというのが敵の巧妙さと恐ろしさを示しているようだた。
「きゅ!」
「やはり郊外ですか。ここまで近づいても此方に探知させぬとは」
厄介だ。
戦いになれば決戦都市にも被害が及ぶかもしれない。
それはさけねばならぬと『疾き者』と『陰海月』は人型ダモクレスと付かず離れずい飛び、追跡するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
日下部・香
決戦配備:ジャマー
あいつら動いたか。急いで追いかけないとな。
戦闘服への着替えはまあ、ドロンで一発だよ。忍者だからな。具体的には下に着てる(【瞬間着替え】)
決戦配備要請! 敵の追跡補助を頼む。私には高速での移動手段がないから、『セラフィム』で運んでもらえると助かる。
あの人型ダモクレスたちはとりあえず逃走優先って感じか? 見失わないように【追跡】して、親機のとこまで連れて行ってもらいたいな。奴らの気配はさっき覚えたから、多少であれば視界から外れても見つけられると思う(【気配感知】)
もし攻撃されたときは、攻撃を弓で撃ち落とすか刀で受けるかして『セラフィム』を【かばう】。壊されたら困るからな。
「あいつら動いたか」
日下部・香(断裂の番犬・f40865)の動きは迅速だった。
パーティ会場でマークしていた人物――人型ダモクレスたちの気配が遠のいていったのだ。
つまり、それは此方のマークに気がついたということであり、虐殺よりも情報を持ち帰ることを優先した、ということにほかならない。
「急いで追いかけないとな」
一瞬で香は、戦闘服へと衣を整えた。
早業というほかない。
漆黒の装束。
学生服から転じて剣呑な雰囲気を放つ装束は戦いの気配を纏うようであった。
まあ、具体的にどうしているのかと言われたら制服の下に着込んでいるだけなのだが、それはそれとしてあまりの早業に一瞬で香の姿が変じたように思えたことだろう。
もしかしたら、パーティの余興に思われたかもしれない。
なんだか変に拍手が起こったことに香は戸惑いながらも、周囲にペコペコと頭を下げてからパーティ会場から脱する。
「なんだか妙な気持ちだけれど……決戦配備要請! 敵の追跡補助を頼む」
『受諾いたしました』
サポートAI『第九号』の声が聞こえたと思った瞬間、走る香の頭上に光の翼と共に飛翔する赤と青の装甲を持つ『セラフィム』が追従する。
自身には拘束での移動手段がない。
ならどうするか。
こんなときのための決戦配備である。
香は跳躍すると飛ぶ『セラフィム』の背に飛び乗る。
「あの人型ダモクレスたちは、逃走を優先している……なら」
下手に追いつくよりも親機の元へと連れて行ってもらおう。
付かず離れずの速度で香は『セラフィム』と共に飛翔する。敵は高速道路を利用して逃走をしているが、やはり向かう先は決戦都市の郊外である。
「こんな近くまでデウスエクスの戦力が近づいているのか」
警戒網に引っかからない手段を持ち得ているのかもしれない。
「……脅威」
人型ダモクレスは己たちを追う『セラフィム』と香を認め、僅かに速度を上げる。
だが、その程度で振り切られるものではない。
香はすでに敵の気配を覚えている。
どれだけ速度を上げるのだとしても、その存在を感知することができる。
多少視界から外れた程度で見失うと思っているのならば、見くびられたものである。
「こっちに気がついているのに攻撃してこない。やっぱり、敵は潜入だけに特化したダモクレスだったっていうわけか」
攻撃手段を持ちえれば、セキュリティチェックに引っかかってしまう。
そうなれば本末転倒なのだろう。
だからこそ、こちらに攻撃を加えてこない。
よかった、とも香は思った。
攻撃されたら移動手段でもある『セラフィム』が破壊されてしまう。
それにまた壊されたら『エイル』博士が困るかもしれない。
せっかく予算を勝ち得たのだ、こういうところでまた予算の決議が覆っては面白くない。
「だが見失いはしないさ」
香は『セラフィム』の背から人型ダモクレスたちの走る先を見据え、戦いの気配に備えるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
追跡に向かうわ
決戦都市の『セラフィム』も出動している
ならば私も『セラフィム・クレセント』を召喚
決戦配備に紛れて都市を移動しましょう
姿の違いも、ちょうど噂の新型だと勘違いされるかしら
その方が都合が良いかもしれないわね
高速道路を疾駆する人影は案外目立つもの
小回りを利かした動きで逃げても、見つけ出すわ
アスリートで鍛えた動体視力が私を助けてくれる
親機の位置がわかるまでは距離を置き
狙うのは相手がゴールを迎える瞬間
一気に加速して、追いつくわ
湾岸の決戦都市は、日常を送っている。
人型ダモクレスの逃走を知るのは、パーティ会場に集ったケルベロスと猟兵達だけだった。
他の者たちは知らないだろう。
後はサポートAI『第九号』ばかり。
そう、スクランブルは鳴り響かない。
穏やかな日常を生きる者たちであるが、彼らもまた戦う者たちである。
しかし、人型ダモクレスたちの跳梁跋扈を知らぬのなら、知らぬままでいい。猟兵たちもケルベロスたちもまた同様の思いだった。
戦うのは、いつだって心を疲弊させる。
その疲弊を他者に与えたくないからこそ、人は護るために戦えるのだ。
密やかに『セラフィム』たちが飛ぶ。
猟兵たちをサポートするためなのだろう。
ささやかな日常を護るためにこそ、己たちがあるのだと思わせるような光景だと薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は思った。
「向かうわ、『セラフィム・クレセント』」
その言葉と共に彼女の背後に虚空が生まれる。
光の渦が虚空を塗りつぶし、現れるのは白銀に青走る色の鋼鉄の巨人『セラフィム・クレセント』であった。
そのコクピットに静漓は収まり、起動した『セラフィム・クレセント』の背より光の翼を噴出させながら飛翔する。
「……同じ『セラフィム』だけれど……ちょうど噂の新型だと勘違いされるかしら」
どうだろうか、と静漓は考える。
いや、どのみち同じ『セラフィム』なのだ。
であれば、この戦いが後に知られた時、人々は『セラフィム』を敗北の象徴ではなく、日常を守った象徴として受けれいられるかもしれない。
そうであったのなら、どんなに良いだろうか。
なら、と静漓は高速道路を疾駆する人型ダモクレスの影を捉える。
「もっと、疾く――その程度の速さで振り切られると思わないで」
例え、どれだけ小回りがきくのだとしても、見つけ出す。
静漓は『セラフィム・クレセント』にライド・オンすることで機体のスピードを増強することができる。
こちらを煙に巻こうとしたところで無駄だ。
速度でまさるこちらが敵を泳がせている限り、人型ダモクレスは静漓の追跡を振り切ることはできない。
「親機がいる、とうことだったけれど。距離は」
やはり、と静漓は理解する。
郊外。
決戦都市の外、すぐそこが人型ダモクレスたちが目指す場所だ。
こんな近くまで接近を感知させぬのは、やはりデウスエクスの恐るべき点であったことだろう。
だが、到達点がわかっているのなら。
「先にゴールテープは切らせない」
静漓は『セラフィム・クレセント』のコクピットで力を込める。
瞬間、アイセンサーがユーベルコードの輝きに強く明滅し、機体の速度が更に上昇する。
「……脅威、接近」
「もう遅いわ」
人型ダモクレスの眼前に降り立つ『セラフィム・クレセント』。
一瞬で追いついた鋼鉄の巨人の腕が振るい上げられる。
敵に情報を一欠片とて与えない。
降ろされた鉄槌は、人型ダモクレスの体躯を大地に沈め、ひしゃげさせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
くそー…酔いどれすぎだろうが
もう少し楽しい時間を決めようと思ったが…あれはあれで面白いか
まぁいい先ずは鬼ごっこだな
「ご主人サマー☆ダモクレス達が逃げようとしてるよ☆此処はメルシーもキャバリアに」
まだはえーよ
向こうは小回り決めてるんだからこっちも追跡かますぞ
【情報収集・視力・戦闘知識】
都市の構造を分析
其処から敵の逃走経路を予測する
【属性攻撃・迷彩・念動力】
UC常時発動中
光水属性を己達に付与して光学迷彩と共に水の障壁で熱源も隠蔽
念動力で飛びながらも追跡開始
…このままとっ捕まえるとかぶっ壊したりするわけにはいかねーよな
ちょいとばかり面倒だが先を見据えるってのも重要な立ち回りって奴だ
「くそー……酔いどれすぎだろうが」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は『エイル』博士のあまりのよいっぷりに辟易していた。
もうちょっとこう有意義なっていうか、楽しい時間を決めようと思っていたのだ。
だが、現実はどうだ。
やったことは酔っ払いの介助っていうか、実りない時間であったのだ。
なんていうか酔っぱらいと対話しようっていう時点ですでに敗北が決定していたようなものである。
とは言え、あれはあれで面白いな、とカシムは思った。
共に酔うだけが飲み会ではないのである。
「まぁいい。まずは鬼ごっこだな」
『ご主人サマー☆ ダモクレス達が逃げようとしているよ☆』
「わーってるよ。だから鬼ごっこなんだろうが」
「此処はメルシーもキャバリアに」
眼の前にあらわれた『メルシー』の頭をカシムを掴んだ。
「まだはえーよ」
「あぁん☆」
なんで喜んでんの?
カシムは『メルシー』の頭を離して息を吐き出す。
「向こうは小回りがきくんだ。なら、こっちも追跡をかますんだよ」
カシムは周囲の状況を見定める。
湾岸の決戦都市は、多くの高速道路網でもって都市内部にデウスエクスの襲撃が起こった際にもすぐさま対処できるように設計されている。
今回は人型ダモクレスにそれを利用されている状況である。
だが、どれだけ高速移動ができると入っても人型。
路面をりようするというのならば、逃走ルートの算出など容易い。
「ハッ、利用するつもりで自分たちの経路を限定されてるってんなら、ダモクレスも大概だな?」
逃走経路を予測したカシムの瞳がユーベルコードに輝く。
「メルシー!魔力を回すからお前も手伝え!」
「了解だよ、ご主人サマ♪」
瞬間、カシムの体躯を『メルシー』が抱えて飛翔する。
少女の姿でありながら、魔力によって凄まじい速度で飛翔する。
風が肌を切り裂くようだった。
それくらい冬の寒さは応える。
だが、カシムは構わなかった。
「……このままとっ捕まえるとかぶっ壊したりするわけにはいかねーよな」
「でもでも、親機の元に行かれるよりはいいんじゃない?」
「先を見据えてんだよ。連中がどこに向かうかわかてからじゃねーとな」
面倒だ、とカシムは敵の行き先がどこであるのかを漸くにして知るだろう。そう、行先は決戦都市の郊外だ。
彼らは郊外の親機に向かっている。
「チッ、思いの外近いところまで接近されてるじゃねーか」
デウスエクスの技術力の方がまだ地球よりも上なのだろう。
厄介極まりない。
そう呟いてカシムは『メルシー』と共に決戦都市の郊外へと先回りするように速度を上げて飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
おお、エイル博士がぐでんぐでんになっているな
ちゃんとぜっちゃんチョコシティというこの都市に圧倒的なパワーを与える素晴らしきデータは渡しておかねばな
うん、ご機嫌で受け取ってくれて何よりだ
しかしお酒で意識を乱すとはやはり疲れが蓄積してパワーが足りていないな
UC発動
我がぜっちゃんチョコドリンクを渡しておくとしよう
飲んで圧倒的なパワーに酔いしれながら英気を養うがいい
「…ぴょわわぁ…!」
という訳で私も飲んで溢れるパワーと共に追跡開始だ
神機の主も発動
ドリンクも飲ませ
「いや俺は大…ぐげがぁ!?」
「こ、これで朕の権能が戻るなら…ぴょげぇ」
という訳で怒涛の勢いで追跡だ!
お前達にもチョコを与えよう!!(狂気的笑顔
『エイル』博士はぐでんぐでんだった。
まるで役に立たない状況であることは言うまでもない。
こういう時にサポートAI『第九号』がいることはありがたいことだった。おかげでつつがなく猟兵やケルベロスたちは決戦配備の恩恵を受けることができていた。
「おお、酔っ払ってしまうとは『エイル』博士。ぐでんぐでんだな」
皇・絶華(影月・f40792)は、情けない、と彼女のドローンに介助される姿を認めて息を吐き出す。
ちゃんとこの『ぜっちゃんチョコシティ』という都市に圧倒的なパワーを与える素晴らしきデータを渡しておかねばならないと、データの収められた媒体を『エイル』博士のポッケに押し込む。
「むにゃむにゃ」
寝てる!
だが、絶華はうんうんと頷く。
「うん、良い夢を見ているようだな! しかし、お酒で意識を乱すとはやはり疲れが蓄積しているのだな。やはりパワーが足りていないな」
そういう問題だろうか?
「我がぜっちゃんチョコドリンクを渡しておこう。意識が戻ったら呑ませるといい」
「……ぴょわわぁ……!」
後ろで二人の少女たちが震えている。
そんなに?
そんなに震えるほどのことなのだろうか?
「さて、私も飲んで溢れるパワーとともに追跡開始だ!」
心が籠るバレンタインチョコドリンク(キョウキトアクムノジゴクドリンク)を一気に煽るようにして絶華は飲み干す。
アレを飲み干すのかよ、と『サートゥルヌス」たちは思ったかもしれない。
いや、まずい。
この流れは自分たちにも塁が及ぶあれである。
「まあ、飲み給え。圧倒的なパワーに酔いしれるといい!」
「いや、俺はだい、ぐげがぁ!?」
そい! と『サートゥルヌス』はキャバリアの姿に戻る前に口にぶち込まれてしまう。
漢方と虫配合の狂気の超高濃度カカオ汁の効果は凄まじかった。
視界が極彩色に塗れる。
一体全体何がどうなっているのかわからないが、今なら宇宙の真理に到達できそうな気がしないでもないし、やっぱり気の所為であった。
「こ、これで朕の権能が戻るのなら……ぴょげぇ」
変な悲鳴も上がっている。
そんな二人を前に絶華はうんうんと満足げだった。
「うむ、二人共圧倒的パワーを充填できたようだな。さあ、この怒涛の勢いで追跡だ!」
「ひょげ……」
「ぴげ……」
変な声を上げる二人の少女を前に絶華は一気に駆け出す。
そう、絶華は人型ダモクレスにもチョコを与えてあげようと思っていたのだ。
「彼らにもチョコを与えてやらねばならんとな。圧倒的パワーというものがどういうものなのか、彼らも知りたいと思っているはずだ。親切とは良いものだな!」
キマってる笑顔を浮かべる絶華。
そんな主を見て、二人の少女は身を寄せ合って震える。
デウスエクス、南無三――。
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・ラーズグリーズ
…………敵が動いた?
じゃあこっそり会場を抜けてUC!『アンドヴァラナウト』を介してジャマー編隊で構成・待機させておいた『機械妖精:ブラックドッグ』隊を呼び出し!目標を見失う前に追跡を開始させて………こっちは急いで会場を出て外に停めてある『白銀』に乗り込み、距離を取って追跡を開始します!
追跡をしながら都市の管理機構と連絡を!
もし相手そのものの位置をジャミングされているとしても、私の位置と移動速度の方ならモニターはできる。それと都市の地図が分かれば相手の目的地もおおよその見当はつけられるはず
戦闘が起きた時に備えて「決戦配備:メディック」(避難誘導)の為に随時情報のやり取りをしつつ、後方で追跡を!
俄にパーティ会場にいた猟兵とケルベロスたちが動き出したのを、改造スマホの画面から視線を上げたノエル・ラーズグリーズ(楽園の追放者・f40853)は気がついた。
「……敵が動いた?」
そう、猟兵たちの目的は、パーティ会場に潜入している人型ダモクレスたちのマークだ。
マークしていた彼らが動き出した、ということは状況はパーティ会場から外に移ったということだ。
どうしても場馴れしていないノエルからすれば、渡りに船であった。
こっそりとノエルは会場から飛び出して、改造スマホから待機させていた隠密強化型の『ブラックドッグ』たちに指示を飛ばす。
「ブラックドッグ7機をジャマー編成で……、こっそりとね……!」
会場を飛び出したノエルは即座に魔導戦闘車両『白銀』へと飛び込む。
「見失う前に追跡!」
エンジンが指導し、戦闘車両がタイヤを空転させながら路面を切りつけて、高速道路の入口へと走り出す。
決戦都市のサポートAI『第九号』がナビゲートしてくれるおかげと、高速道路へと路面が繋がったショートカットで『白銀』が躍り出るようにして疾駆する。
「距離は取っておいて……と。ありがとう」
『御役に立てて何よりです』
さらにブラックドッグからの情報で敵の位置は判明している。
モニターに映し出された人型ダモクレスたちの位置。
それと『白銀』の位置。
算出された距離を見るに、追いつくことは容易い。
それに他の猟兵たちも追跡しているのだ。
「この間に、と」
ノエルは『白銀』の中で決戦配備を要請する。
戦闘がもし、起きたのならば即応できるように決戦配備によって『セラフィム』を待機させてもらっている。
恐らく、このまま行けば戦いの場は決戦都市の郊外になるだろう。
だが、郊外とは言え、決戦都市の近くだ。
戦いの余波が及ばない、という確証はない。なら、敵の思わぬ攻撃の被害が起こった際に人々の避難誘導など必要になる備えをしておかなければならない。
「よしよし……追い込んでくれているみたいですね」
モニタリングした状況にノエルは頷く。
このままうまく行けば、郊外での戦いになるだろう。
敵の親機がどんな存在かはわからないが、それでも此方の備えは万全だ。
ケルベロスが、人々が、これまでデウスエクスの襲来にたいして後手に回ってきたことは認めるところだ。
だが、だからといって何もかもが遅きに失して、手をこまねいていたなんてことは在りえないのだ。
自分たちが積み上げてきたもの。
その結実を今こそ見せる時なのだ。
「敵に情報は一片たりとて得させはしません」
そのためにノエルは『白銀』と共に人型ダモクレスたちが向かう決戦都市の郊外へと疾駆し、急行するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
えー。ここにきて逃げちゃうんですか?
しかも撤退っていいながら、完全に全力の逃げじゃないですか!
ステラさんに乗っていくのもありとは思ったんですけど、
むこうが全力で逃げなら攻撃される心配もないですし、
ここは久しぶりに【魔法の絨毯】で飛んで行くことにしましょう!
ステラさんと二手に分かれたら、追跡はステラさんにお任せして、
わたしは相手の逃走にデバフをかけて、逃げ切れなくしますよー!
上空から近づいたら、今まで溜まりに溜まったストレスを解放します!
うふふふふふふ。
勇者の闇はエグ濃いですよー♪
「ステラさんのいけずテラさんのいけずステラさんのいけず」
ぜーったいに逃げ切らせないですからね(黒笑
ステラ・タタリクス
【ステルク】
なるほど、逃げの一手ですか
とても合理的な作戦ですね
さすがダモクレス
ですが、それなら
こちらも打つ手があるというもの
では二手に分かれまして
ルクス様の言うように高速で移動する手段が空しか無いようで
私も『アンゲールス・アラース』を使って空からいきましょうか
少しくらい間引きしてもいいのでしょう?
追いかけながら『ニゲル・プラティヌム』で銃撃しつつ
【シーカ・サギッタ】でナイフ投げしつつ
なんか、聞こえてきた気がしますが?
闇の勇者ですかもしかして
こういう時は演奏した方がいいと思うんですけどねえ
あ、忘れてました
|決戦配備《ポジション》、スナイパーを|申請《コール》!
そちらからも狙撃してください!
人型ダモクレスたちの判断は迅速にして果断であった。
自身たちの存在がケルベロスや猟兵に悟られたと見るやパーティ会場より逃走を開始したのだ。
身一つ。
人間であれば逃げ切れるものではない。
だが、彼らはダモクレス。
人ならざる力を発揮することができるのだ。
高速道路の路面を疾駆する様は異様であったが、この際かまってなどいられないのだろう。
彼らの目的は情報を持ち帰ること。
些細な戦闘などする必要がない。
「えー。ここに来て逃げちゃうんですか? しかも撤退っていいながら、完全に全力の逃げじゃないですか!」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は魔法の絨毯に乗りながら逃走を図る人型ダモクレスの背にぶーぶーと文句を言う。
確かに、とステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は思ったが、逃げの一手というのは悪くない作戦のように思えたのだ。
合理的だとさえ。
そう、人型ダモクレスは情報を持ち帰る事を至上としている。
であれば、無駄な戦闘を繰り広げる可能性など最初から必要ないのだ。
だが、それ故に人々の虐殺によって得られるグラビティチェインを捨てた、というのは猟兵達からすれば、己達に利するところでもあった。
「なればこそ打つ手もあるというもの。ルクス様、二手にわかれましょう」
「わっかりました! 向こうが全力で逃げるなら攻撃される心配もないですもんね! いきまーす!」
そう言ってルクスが魔法の絨毯と共に飛翔し、ステラもまた己が天使核より得られるエネルギーを光の翼という推進力に変えて飛翔する。
「敵の追跡……どこに向かうかわからないということでしたが、少しくらいなら間引きしてもいいのでしょう?」
ステラは、むしろやる気であった。
逃走する人型ダモクレスの背に銃撃を叩き込みながら高速道路の路面を斬りつけるように疾駆する敵を追い立てる。
さらにユーベルコード輝くステラの瞳は敵を逃さなかった。
投げナイフの一投が人型ダモクレスの頭部を穿ち、その機能を停止させる。
「……なんか、聞こえてきてますが、これはなんですか……?」
ステラは己の耳に届く謎の読経めいた声に訝しむ。
「ステラさんのいけずステラさんのいけずステラさんのいけず」
勇者の憂鬱(ユウシャノウラノカオ)が濃縮されたかのような声。
響き渡る声は、ルクスの声だった。
溜まりに溜まったストレス。
それをルクスは絨毯の上から発露し、逃走を図る人型ダモクレスたちの運気やら元気やらやる気やらを吸い取っているのだ。
「な、なんという……」
闇の勇者である。
いや、勇者の心の闇とも言うべきか。
「うふふふふ。勇者の闇はエグ濃いですよー♪」
そこまでストレスが溜まっていたのか、とステラは思わないでもない。
というか、こういうときこそ演奏してストレス発散させればいいのにと彼女は思ったが、他ならぬ彼女がルクスのストレッサーであるという事実に気がついていないところがなんていうか、その、というアレである。
「ぜーったい逃げ切らせないですからね」
どっちが?
どっちも?
「あ忘れてました。『第九号』様、決戦配備、スナイパーを|申請《コール》! そちらからも狙撃してください!」
ステラは誤魔化すように声を張り、しかし、拭えぬ闇が己の背中に迫っていることを知るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雨河・知香
ソニア(f40904)と行くよ!
気付かれたならもう後は一気に追いかけて叩き潰すだけ、久しぶりにかっ飛ばしていくよ!
ソニアも降下の腕、なまっちゃいないだろう?
決戦配備はキャスター要請。
オルテュクスに乗って高速道路の上空から敵を索敵、セラフィム達とデータリンクして街の外を目指すダモクレス達や猟兵の位置を常時確認。
最優先で狙うのはアタシが見つけたダモクレス、他のは味方に任せ空から攻撃は加えず付かず離れずの距離で追いかけ続ける。
多少都市で入り組んでたとしても速度出すには高速道路使う必要があるだろう?
それにこういう入り組んだ場所は慣れてるんだ、振り切ろうたってそうはいかないよ!
※アドリブ絡み等お任せ
ソニア・コーンフィールド
知香ちゃん(f40900)と一緒に!
ダモクレスも無事見つけられたね!
バレたから逃げようとしてる…不完全な情報かもだけど少しでも渡しちゃうのよくないだろうし急いで追っかけて親機?ごと倒さないとね!
降下だって大丈夫、任せてね!
決戦配備はジャマー要請。
知香ちゃんのオルテュクスに同乗してダモクレス追跡するね。
わたしが見つけたのは…あそこにいるよ!
必要ならヘリから降下して翼広げて敵周囲旋回して牽制したり。
あとバイオガスを進行方向の先に散布して貰って敵の目晦ましして速度落とさせたりして追跡の助けにしたり。
…それにしてもダモクレス、数多くない?
これだけ連れてきたなら敵結構デカいのかな…
※アドリブ絡み等お任せ
雨河・知香(白熊ウィッチドクター・f40900)の駆る改造ヘリ『オルテュクス』が決戦都市の空を飛ぶ。
眼下にあるのは高速道路を疾駆する人型ダモクレス。
そう、すでに敵は己たちの潜入がケルベロスたちの知るところになったことを察知し、パーティ会場から逃げ出していた。
逃げの一手。
彼らの目的は情報を持ち帰ること。
そのために武装らしい武装も持ち込まず、ほぼ生身の状態で潜入していたのだ。
恐るべきことに、武器を保たずともパーティ会場の人間たちを鏖殺することができる性能を持つのがダモクレスだ。
だが、彼らは猟兵とケルベロスが己たちをマークしていたことにより、即時撤退を余儀なくされた。
そして、最もの重要な情報を持ち帰るために今、高速道路を疾駆しているのである。
それを追う知香のヘリ。
そのヘリにソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)は同乗していた。
「バレたから逃げようなんて、そうは問屋が卸さないよね! 不完全な情報かもだけど少しでも渡しちゃうのよくない!」
「そうだよ。だから久しぶりにかっ飛ばしていくよ!」
「うん! 親機ごと倒さないと!」
その言葉に頼もしさを感じ、知香は笑む。
昔取った杵柄。
そうとも言えるが、まだまだ昔と呼ぶには時間は経っていない。
なら、知香はソニアに語りかけるのだ。
「ソニアも降下の腕、なまっちゃいないだろう?」
「もちろん大丈夫! 任せてね!」
そう、このヘリからの降下。
「知香ちゃん、見失っちゃう! わたしが見つけたのはあそこだよ!」
ソニアの声が張り上げられる。
敵は等身大だ。小回りがきく。
それを利用して、決戦都市の高速道路を疾駆し、隔壁が上がっても容易く乗り越えていく。加えて、此方を振り切ろうというのだろう、下道もまた利用して此方を撒こうとしているのだ。
「こういう入り組んだ場所は慣れてるんだ、振り切ろうたってそうはいかないよ!」
だが、知香は舌を出して口周りを湿らせた。
操縦桿を握る手に力がこもる。
そう、これまでどれだけのケルベロスをヘリから出撃さえたかはわからない。
どれだけ敵が狡猾に逃げ回るのだとしても、見失わない自身があった。
「どれだけフェイントを入れようがね、速度を出す以上どうやったって高速道路に戻らなくちゃならないだろう!」
知香の言葉通りだった。
下道から高速道路に再び戻った人型ダモクレスを追い立てるようにヘリが飛び、ソにアが一気に機内から飛田dス。
「いくね!」
「ああ、いっといで!」
その言葉を背に受けてソニアは翼を広げて人型ダモクレスの眼前にバイオガスを噴出させる。
「――……!?」
視界を染め上げるガス。
それによって人型ダモクレスは思わず急停止してしまった。
予期せぬ状況。
それは決戦配備によるジャマーとしての効果であったし、さらに知香が要請した決戦配備の力でもあった。
データリンクによって他の猟兵たちの追い立てている人型ダモクレスの位置や予想進路、状況を彼女はつぶさにモニタリングしていたのだ。
彼らの目的地は決戦都市の郊外。
そこに親機がいるのだと確信できる。
だからこそ、ソニアは飛び出したのだ。
このまま親機の元に帰還させる謂れはない。
故に彼女はユーベルコードを輝かせ、己のガジェットを持って人型ダモクレスを打ち倒す。
煙幕に視界を奪われた彼らには、ソニアの一撃を躱す余裕すらなかった。
「よいっしょ!」
打ち据えた人型ダモクレスの残骸がアスファルトの上に散る。
「ソニア、首尾は」
「ばっちり! でも……ダモクレスの数、多くない?」
「そうだね。結構な数の潜入ダモクレスが居たってことなんだろうけれど……」
「これだけ連れてきたなら敵、結構デカいのかな……?」
ソニアの予感は的中することだろう。
その時、ソニアは、こんなときだけ予想が的中するなんて、と思うだろうか。
それとも脅威を前にして立ち向かう意思を見せるだろうか。
いずれにせよ、知香のヘリにソニアは再び飛び乗って、人型ダモクレスたちが逃走しようとしていた先、決戦都市の郊外へと飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
●すやすや
うーん、もう食べられないよ~
もうパンケーキ10枚くらいしか食べられないよ~
いややっぱり15枚はいけるかも!
ハッ!?
あれ?もう行っちゃった?
どうして…どうして黙って行っちゃうの…!ひどい!
ごめんよー
●追えー!
やれやれスピードは大事だけど…
高速道路なんて追いかけてって言ってるようなものだね!
大丈夫、どこに向かってるかは大体【第六感】で分かる!
ここは出遅れた分先回りしてこう!
そしてその読み通りに高速道路にUC併用スーパー[餓鬼球]くんたちを放って大追跡!
大本番が控えてるっぽいけど数は減らしていかないとね!
さあゲームの始まりだ~!!
「うーん、もう食べられないよ~」
お腹が膨れてパーティ会場に寝っ転がったロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は思わずうめいていた。
お腹ぱんぱんである。
会場中のごちそうを平らげてしまったロニは、そのお腹を擦りながら、息を吐き出す。
「もうパンケーキ10枚くらいしか食べられないよ~」
いや、結構余裕あるな。
むしろ、満腹ではないのではないか?
「いや、やっぱり15枚はいけるかも!」
さらにドンである。
しかし、ロニは気がつく。
「ハッ!? あれ? もう行っちゃった?」
周囲を見回せば、パーティ会場は多くの来賓たちが談笑をしているが、猟兵やケルベロスといった者たちの姿がない。
それに人型ダモクレスの姿も。
「も、もしかして……置いてけぼりにされちゃった感じ……?」
ロニは愕然としてしまった。
いつだって世界の中心は自分なのだ。
なのに、主役たる自分を放っておいて人型ダモクレスたちはどっかに行ってしまったのだ。
「どうして……どうして黙って行っちゃうの……! ひどい!」
「ぱ、パンケーキはどうなさいます?」
ウェイターはロニの寝言みたいな要求にもしっかり仕事をしていたようである。
ほかほかのホットケーキ。
15枚は重ねられたタワー。
メイプルシロップたっぷりである。
その光景を見やり、ロニは一つ頷く。
「ごめんよー! すぐに食べるから!」
急がなくちゃあならない事態であっても、眼の前に供物というかパンケーキがあるのならば食さねばならない。
神様ってのも大変なのである。
ぺろりとロニはパンケーキを平らげて、パーティ会場から飛び出す。
「追えー! ごーごー!」
スピードは大切だけど、高速道路を往くなんて追いかけてって言っているようなものだ。
だいぶ出遅れてしまった、こういう時に便利技能がある。
そう、第六感ってやつである。
あまりにも便利すぎるので、全部あいつでいいんじゃない? となること請け合いである。
勘とも言うよね。
だが、たまには失敗することだってあるのだ。
でもまあ、失敗したって最後に成功すれば、それは失敗ではなくて過程っていうやつになるのだから、大助かりである。
「先回り! さあ、球体くんたち! よろしくね!」
放出する球体が回転し、高速道路を爆走する。
その上にロニは玉乗りの要領で飛び乗り、人型ダモクレスたちを追うのだ。
「大本番が控えてるっぽいけど、数は減らしておかないとね! さあ、ゲームの始まりだ~!!」
主にパックンパックンとやるあれみたいなもんである。
人型ダモクレスの目的は情報を持ち帰ること。
であるのならば、簡単に持ち帰らせることはしない。
とは言え、彼らがどこに向かっているのか、ロニはもうなんとなくあたりを付けていた。
そう、向かう先は決戦都市の郊外。
「なんとなくあっちって思っちゃったんだよね!」
便利だなぁとロニは己の直感を信じて、人型ダモクレスをぷちぷちと潰しながら一気に郊外へと躍り出るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ティオレンシア・シーディア
予想通り損切りに走ったみたいねぇ。まあ、そうしてくれないとこっちとしても逆に困るのだけど。
ミッドナイトレースに○騎乗して|ラグ《幻影》と|摩利支天印《陽炎》で二重の光学迷彩を展開、●轢殺・絶影を起動してテイクオフ。上空から監視しつつ移動予測経路から親機の所在を逆算かけるわぁ。マルガリータ、演算よろしくねぇ?
あとは本当に合流されても困るし、粗方の予測が立ったら決戦配備『ジャマー』で経路の封鎖なり移動の妨害なりしてもらいましょうか。こっちの用意した高速道路を利用してくれてるんだし、その分予測も妨害もしやすいんじゃないかしらぁ?
ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は事態の推移が想像通りに運んだことを知る。
人型ダモクレスたちは、己の正体が露見したのならば、その場にいた人間たちを殺し、グラビティチェインを簒奪せんとしていた。
だが、彼らはこの期に及んで猟兵やケルベロスをうまく撒くことができると踏んでパーティ会場から逃走を図ったのだ。
それはいうなれば。
「予想通り損切りに走ったみたいねぇ」
ティオレンシアは傾けていたグラスをウェイターに預け、パーティ会場の外に出る。
夜風が頬を撫で、心地よい気持ちになる。
とは言え、まったく酔ってはいない。
彼女の眼前に降り立った『ミッドナイトレース』がエンジン音を響かせ、彼女を迎える。
「おまたせ……まあ、連中がそうしてくれないとこっちとしても逆に困るのだけど」
こうも予想通りである、というのは張り合いがないのかもしれない。
彼女は魔術文字を描く。
それは目の前の『ミッドナイトレース』に付与される結界と光学迷彩。
シートに腰掛けたティオレンシアごと消える車体。
だが、そこに車体があるということを示すように空転する車輪が土煙を巻き上げ、加速したことを示す一陣の風が荒ぶ。
「さあ、テイクオフと行きましょうか」
その言葉と共にティオレンシアは一気に空へと飛翔する。
敵が高速道路を利用して逃げるのならば、空から此方は監視するまで。その移動予測経路から親機の所在は既に割れている。
己のType-C:F-A・BSs『マルガリータ』から響く日向に咲く柔らかな綿毛のような声色から、親機が決戦都市の郊外にあることを彼女は知る。
「演算ありがとうねぇ?」
人型ダモクレスたちはまだ数を残している。
演算の結果とは言え、確定はしていない。
だが多くの猟兵やケルベロスたちが追っているのだ。もはや親機の場所は確定したと言ってもいいだろう。
ならば、彼女は決戦配備を要請する。
「ジャマーをよろしくねぇ? もう人型ダモクレスを泳がせる必要はないもの」
そう言って、この湾岸の決戦都市の決戦配備たる自律人型戦術兵器『セラフィム』が人型ダモクレスの経路を阻むようにして瞬時に彼らの前に立ちふさがり、隔壁を持ち上げる。
「ふっ……こっちの設備をうまく使おうっていう魂胆が丸わかりなのよねぇ。でもぉ、その分他所kも妨害もしやいすのよぉ」
だからこ、こうなると言わんばかりにティオレンシアは己の駆る『ミッドナイトレース』と共に妨害によって足止めを食らっていた人型ダモクレスを轢殺する。
跳ね飛ばされる駆体。
破片が飛び散り、その最中をティオレンシアは疾駆し、郊外へと飛び出す。
「さあ、次は親機ね」
彼女が見据える先で、光学迷彩が解除されていく気配がする。
それは巨大な物体だった。
見上げるほどの、と表現するのが正しいだろう。
雄々しく、しかし、同時に陸上の生物ではない何かを模したもの。
そう、それは巨大鯨型ダモクレス戦艦『レヴィアタン』。
海洋にありて威容を誇る海の覇者。
脚部が大地を激震させる。
その振動を感じながらティレンシアは、表情を驚愕に変えることなく、むしろいつもどおりの笑みを浮かべたままだった。
「真打ち登場ってわけねぇ? でも、敢えて此処を戦場に選んだってことは、むしろありがたいわぁ」
そう、決戦都市への被害を考えなくていい。
郊外であるが故に、戦いやすい。
敵がどれだけ巨体であろうとも、とティレンシアは薄く笑むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『レヴィアタン』
|
POW : 巨鯨上陸
単純で重い【脚部ユニット】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : インビジブル・ワン
見えない【ステルス型ダモクレス】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ : ロールアウト
レベル×5体の、小型の戦闘用【新型ダモクレス】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
子機。
それが人型ダモクレスであった。
彼らは全てが同一であったし、一つの意思を持って行動していた。
十二剣神『聖賢者トリスメギストス』に情報を持ち帰る。ただそれだけだった。故に猟兵やケルベロスに子機が尽く破壊されても、なお人類社会の情報を持ち帰るために愚直にも、その姿を顕す。
決戦都市の郊外。
そびえるような……いや、山が一つ動くようにして巨大鯨型ダモクレス戦艦『レヴィアタン』は、光学迷彩の偽装を解き、その姿を顕す。
「脅威判定。排除開始」
その機械的な言葉と共に『レヴィアタン』は、巨大な四つ足を震わせ決戦都市へと侵攻を開始する。
子機は尽く破壊されたが、親機である己を破壊せんと迫る猟兵、ケルベロスを排除すれば再び人類社会へと潜入することができる。
まだ作戦は途中なのだ。
脅威を排除してこそ再び機会が巡ることを『レヴィアタン』は知っている。
故に、その巨大な戦艦型ダモクレスは脅威の排除へと動き出すのだった――。
ソニア・コーンフィールド
引き続き知香ちゃん(f40900)と!
いや本当でかいね!?
トリスメギストスが適正見誤ってそうな…いや潜入できてるしいいの…?
ま、わたし達に見つかったのが運の尽き、情報持ち帰りも虐殺もさせないんだから!
頑張っていこう!
オルテュクスに同乗して一気に奇襲しかけるね!
決戦配備はジャマー要請、ペイント弾やペンキ等を進路上に発射してステルス炙り出して貰いたいかな。
セラフィムなら対応いける筈…!
見えたらUC起動…形的に広範囲に電気網を投射するガジェットかな?
敵に発射して捉え電撃喰らわせつつレヴィアタンへ接近、オルテュクスから飛び降り翼で姿勢制御しつつ敵の脚部とかに網発射して攻撃するよ!
※アドリブ絡み等お任せ
雨河・知香
引続きソニア(f40904)と。
郊外とはいえあんなでかいのよく隠せてたねえ。
直に乗り込んできたらまた大被害になってたろうが…ここで叩けば大丈夫だろう!
気合い入れていくよ、ソニア!
引き続きオルテュクスに搭乗してレヴィアタンへと空から突撃。
決戦配備はクラッシャー要請、アタシらがまずは周り掃除するからそこに一発強烈なの叩き込んで欲しい、と。
ステルスダモクレスはソニアに対処任せ操縦に集中、位置がわかるなら躱して戦艦に肉薄することもできるさ。
近づいたらオルテュクス自動操縦に切り替え降下、UC起動し偽の満月浮かべて頑丈そうな装甲の弱そうな継ぎ目とかにありったけの拳叩き込んでやるよ!
※アドリブ絡み等お任せ
光学迷彩が解除されて、山が一つ動くようにして巨鯨の如き戦艦型のデウスエクス『レヴィアタン』が動き出す。
「郊外とは言え、あんなでかいのよく隠せてたねえ」
しかし、同時に雨河・知香(白熊ウィッチドクター・f40900)は思い知る。
あれだけの戦力が決戦都市へと直に乗り込んできたのならば、大被害は免れなかったであろうと。
「いや本当にでかいね!?」
改造ヘリである『オルテュクス』に共に乗るソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)の言葉に知香は頷く。
確かに巨大であることは恐るべきことだ。
「適正見誤ってそうな……いや、でも人型ダモクレスが潜入していたってのは事実だから、いいの……?」
だが、こうやってソニアたちに発見されたのだから運の尽きというものだ。
情報は何一つ持ち帰らせない。
あの『レヴィアタン』がこれから行うのは決戦都市に住まう人々の虐殺だ。
情報が得られなければ、虐殺を持ってグラビティチェインを持ち帰ろうという算段になるのは理解できるところだった。
だからこそ、知香は告げる。
「気合い入れていくよ、ソニア!」
「うん! がんばってこう!」
決戦配備を知香は要請し、無数の『セラフィム』たちが『レヴィアタン』を取り囲む。
胸部に備わった砲口が赤熱し、熱線を解き放つ。
だが、瞬間『セラフィム』の駆体がねじれるようにして動き、熱線の一撃が『レヴィアタン』から逸れたのだ。
「……!? 今のは……!?」
何か見えないもので『セラフィム』たちの砲口、その駆体ごと動かされたようにも見えたのだ。
「まさか……!」
「ステルス型ダモクレス! なら、決戦配備、ジャマー要請!」
ソニアの言葉に『セラフィム』たちの駆体から次々とペイント弾が乱れ打たれる。
そのペイント弾の液体が『セラフィム』たちの駆体に取り付いていたステルス型ダモクレスたちをあぶり出す。
「やっぱり!」
「あれで熱線をそらしたのか、しゃらくさい真似を!」
「でも、対応できてる! なら、知香ちゃん!」
「ああ、任せておきなよ!」
その言葉と共に『オルテュクス』が空を駆け抜ける。
如何にステルス型ダモクレスと言えど『セラフィム』にかかりきりであるというのならば、知香は『レヴィアタン』へと肉薄する。
敵は巨大故に此方を接近させたくないのだろう。
だからこそ、そのいやがることをやる。
「とっておき、見せてあげるね!」
ソニアがヘリから飛び出すのと同時に知香もまた飛び出していた。
ユーベルコードによって呼び出したガジェット。
まるで電気網のように広がるガジェットは『レヴィアタン』の巨大な体躯を包み込み、電撃をほとばしらせる。
巨体が蠢き、足踏みした瞬間に知香が飛び込む。
空には偽りの銀の満月。
されど、空に輝く活力の銀光(ルナティックハイ)を受けて知香は咆哮する。
「さあ気合入れていくよ!」
握りしめた拳。
空に浮かぶ銀月は彼女の活力をみなぎらせ、その身体能力を活性化させる。
見やるは、『レヴィアタン』の装甲のつなぎ目。
つまり、四つ足の駆動部。
これ以上『レヴィアタン』を決戦都市へと近づけさせない。
「知香ちゃん、いっけー!」
ソニアの言葉を背に受けて、知香は己の活力のありったけを注ぎ込んだ拳を打ち付ける。
ただの一撃だけではない。
「一撃で砕けないのならば、砕けるまで殴り続ける! ただそれだけ!」
その連打は嵐のように、それこそ暴威そのものたる拳でもって『レヴィアタン』の四つ足の一脚をひしゃげさせ、大地に巨体を沈めさせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
龍之宮・翡翠
漸く親機が姿を表したか
これで気兼ねなく動ける
(巨大戦艦たるレヴィアタンを見上げつつ)
……とはいえ、流石に敵が大きすぎて此方の攻撃だけでは厳しそうだな
(短い時間考えた後に決戦都市のAIに向け)
「|決戦配備《ポジション》変更。|攻撃配備《クラッシャー》」
足を狙って攻撃を叩き込むことで動きを止める事を試みる
その為の牽制を|決戦配備《ポジション》を|攻撃配備《クラッシャー》へと切り替えたセラフィムに要請
流石に脚を折る事は厳しいかもしれないし、サイズ差の分攻撃を食らうかもしれない
だが、|漣波《レンハ》ならそれも此方の力にできる
動きを止める事が出来れば、猟兵側に有利になる筈だ
「排除されるべきはお前の方だ」
山を揺るがすかのような威容。
それが鯨型巨大戦艦『レヴィアタン』であった。
鯨型とは言え、その本質は陸上戦艦。四つ足の巨大な脚部が大地を揺らしている。しかし、猟兵たちの一撃が四つ足の一脚を打ち据え、深く沈み込んでいた。
「漸く親機が姿を現したか。これで気兼ねなく動ける」
だが、龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)は直面した『レヴィアタン』の巨大さを間近に感じて、息を呑む。
「……とは言え、流石に敵が大きすぎるな」
己のユーベルコードのみにて、これを撃破できるとは思わない。
そう、己にできることをする。
それが翡翠にとっての戦いであった。
できないことがあったのならば、できるものに頼りもするであろうし、また己ができることであるのならば助力を惜しまない。
そういう性分なのだ。
確かにデウスエクスに比べて人類は弱い。
か弱く、儚いものだろう。
だが、だからこそ単一ではなく群れとして動くことができる。
翡翠が思考を巡らせたのは、僅かな時間だった。
「|決戦配備《ポジション》変更。|攻撃配備《クラッシャー》」
その言葉を即座に彼は決戦都市のサポートAIへと告げる。
多くを望みはしない。
だが、先んじた猟兵がそうしたように、あの『レヴィアタン』は巨大差を誇る。
『配備変更を受諾しました』
「行くぞ……あれが陸上戦艦だっていうのなら、あの脚部こそが移動の要。なら!」
翡翠の瞳がユーベルコードに輝き、同時に彼を運んできた自律人型戦術兵器『セラフィム』のアイセンサーが煌めく。
胸部砲口が光を湛えていく。
『エネルギー充填完了。いつでも行けます』
「合わせてもらう」
翡翠は果敢にも巨大な『レヴィアタン』へと迫る。
目の前に迫るのは、ステルス型ダモクレスだ。
姿の見えぬ敵。
それを『セラフィム』は熱線の一撃でもって焼き払う。
自身には見えなくても、『セラフィム』のセンサーならば捉えることができるのだろう。
「助かった……だから、今度は俺の番だ」
翡翠の抜き払った斬霊刀の刀身が煌めく。
性状なる霊力をまとった刀身は、究極の刀であるところを知らしめるように翡翠のユーベルコードを受けて、益々輝きを放つ。
振り下ろされる巨大な脚部。
その一撃を刀で受け止めて、翡翠の五体が軋む。
圧倒的な体格差。
だが、彼にとってそれこそが狙いだったのだ。
己の体躯が軋む度に、自身のユーベルコードは威力を増していく。
どれだけ圧倒的な力の差があるのだとしても、己の生命を削ることでもって、力と成す。
それが。
「空を疾走れ――漣波(レンハ)」
放たれるは漣の如き衝撃波。
打ち寄せては返す。
それは単純なものだったかおとだろう。だが、翡翠の五体に走る痛みこそが、波のように押し返し、『レヴィアタン』の脚部を押し返していく。
それは最初は些細な一撃であった。
だが、寄せては返すように彼の力は増幅していく。
「排除、と言ったな。だが、排除されるべきはお前だ」
短く告げた言葉。
その言葉を込めた斬撃は、『レヴィアタン』の脚部を跳ね上げ、決して曲がらぬ方角へと関節部をひしゃげさせて折れ曲がる。
凄まじい音して『レヴィアタン』の巨躯が僅かに後退した。
それは僅かであっても、しかし人の身に有り余る一撃であったことは確かだ。
翡翠は軋む骨身をかばいながら、『セラフィム』に抱えられて己がへし折った脚部の残骸を見やるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・ラーズグリーズ
……ここで大型要塞タイプのダモクレス!?部下の使い道間違ってない!?
ていうかあんなのが近くに居る時点でパーティしてる場合じゃないでしょ博士―!!
と、とにかく!目標、レヴィアタン級の大型ダモクレス確認!
ノエル・ラーズグリーズ!これより交戦します!
あんな大型をこれ以上近づかせるわけにはいかない…!
……【機械妖精部隊展開準備】!機械妖精5種のうち『ヴェーラ』『イフリート』を緊急動員!
相手からは距離を取り、迅雷での砲撃、ドヴェルグでの迎撃弾幕に合わせて
『機械妖精部隊展開・制圧掃射』『機械妖精部隊展開・殲壊火砲』を発動!
「決戦配備・スナイパー」も要請してとにかく遠距離から大火力をぶつけ続ける……!
巨大な山が揺らいでいる。
そう思えるほどの巨体。
デウスエクス『レヴィアタン』は鯨型の巨大戦艦である。陸上戦艦であることを示すように四つ足の脚部が打ち鳴らされていたが、その一脚をケルベロス、猟兵たちのユーベルコードがへし折った。
しかし、未だ戦力としては申し分なし。
「……こんな大型要塞タイプのダモクレス!? 部下の使い道間違ってない!?」
ノエル・ラーズグリーズ(楽園の追放者・f40853)は、魔導戦闘車両『白銀』の車内で目を見開く。
決戦都市の近くにこんな大きなものが存在していたということだけで驚愕なのだ。
「ていうかあんなのが近くにいる時点でパーティしてる場合じゃないでしょ博士ー!!」
尤もなご意見である。
しかし、ノエルもケルベロスならばわかるだろう。
ただ戦うことだけに全てを費やしても人は長く戦うことができないことを。
ノエルだってできれば、お家に引きこもっていたかったはずだ。居心地の良い楽園を守るためには、時として多くのことをしなければならない。
それがどんなに無関係に思えることであっても、だ。
全ては繋がっていく。
「と、とにかく! 目標『レヴィアタン』級の大型ダモクレス! ノエル・ラーズグリーズ! これより交戦します!」
魔導戦闘車両にてノエルは機械妖精部隊展開準備(メタルフェアリー・スタンバイ)を整える。
動きは止まっているが、あの『レヴィアタン』をこれ以上決戦都市に近づけるわけにはいかないのだ。
しかし、『レヴィアタン』の口腔めいた部位から吐き出されるのは新型のダモクレスたちであった。
人型ダモクレスとは異なり、戦闘能力を有した存在。
その無数のダモクレスがノエルの駆る『白銀』へと迫る。
「『ヴェーラ』、『イフリート』、ッ、緊急動員!」
砲兵型と航空型の機械妖精たちが瞬時に飛び出す。
新型ダモクレスと砲火を交えながら、戦場の空に火球がいくつも生まれる。
「この隙に距離を取って……弾幕展開! 決戦配備、スナイパー要請!」
ノエルの求めに応じて自律人型戦術兵器『セラフィム』が飛翔する。
機械妖精たちが新型ダモクレスを抑えてくれている間に『セラフィム』は胸部砲口にエネルギーを充填し、熱線を放つ。
その威力は明らかに底上げされているように思えた。
放たれた熱線の一撃が『レヴィアタン』の装甲を穿ち、さらに機械妖精たちも続く。
「続けて砲撃……大火力をぶつけ続ける……!」
それがノエルの方策だった。
敵はダモクレスを次々と生み出し続けている。
恐らく敵の戦力の要は、その戦艦内部にて生み出され続けるダモクレスにあるのだ。
なるほど、とノエルは理解しただろう。
今回の作戦に、このダモクレスが選ばれた理由を。
際限なくダモクレスを生み出すこと。決戦都市を攻め落とすことが目的ではなかったのだ。
「情報収集のためだけにこんだけのデカブツを動かすなんて……でも、ここで墜とす!」」
ノエルは『白銀』の中で機械妖精たちに指示を飛ばし、さらなる火力で持って『レヴィアタン』を追い詰めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
幸・鳳琴
巨大鯨型ダモクレス戦艦!
強大な手合いは望むところ
ケルベロスは常に己より強き相手に相対しましたから
久しぶりの戦闘です、慎重に――
いえ、ここは決戦配備はクラッシャー要請、押していきましょう
仲間が足を狙いダメージを重ねています
そこをさらに突くッ!
決戦配備の援護に合わせ功夫を生かした拳と蹴りを叩き込み、
さらに巨体を揺らがせましょう
脚部ユニットの一撃には最大の警戒を
周辺地形ごと破壊されるなら、
飛び上がり相手の巨体にとりついてダメージを最小限に抑えましょう
そして攻撃を重ねた後で
――いざ!これがユーべルコードとなった幸家の奥義
《幸家・醒龍》を叩き込みましょう。
力を合わせ、勝利する。
猟兵となっても、同じです!
「あれが巨大鯨型ダモクレス戦艦!」
己の身を遥かに越える巨体。
圧倒的なスケール差。
自分がミニチュアなのではないかと錯覚するほどに『レヴィアタン』の巨躯は凄まじいものであった。
しかし、幸・鳳琴(精霊翼の龍拳士・f44998)は臆することはなかった。
彼女が嘗ての戦いで相対した者たちは、常に自分自身よりも強大であったからだ。
故に、彼女は心に翼を持つ。
恐怖を振り払って飛ぶことができると己の心が言っているのだ。
「久しぶりの戦闘です、慎重に――」
ブランクというものがある。
だが、彼女は頭を振った。己らしくないと思ったのかもしれない。
敵は決戦都市に迫る。
なら、迷っている暇なんてない。
「決戦配備、クラッシャー要請、推していきましょう」
先んじた仲間たちが『レヴィアタン』の脚部にダメージを重ねている。
動きが鈍っている。
なら、そこを突く。
戦いとは、常にそういうものだ。
共に走る自律人型戦術兵器『セラフィム』。
赤と青の装甲を持つ鋼鉄の巨人が鳳琴の要請に応じて、胸部の砲口から熱線を解き放つ。
膨大な熱量を持つ一撃が『レヴィアタン』の装甲を溶解させる。
「巨体が揺らいだ! ですが……!」
『レヴィアタン』の脚部が持ち上がる。
来る、と彼女は思っただろう。
振り下ろされた一脚。
それは鉄槌のように振り下ろされ、激震を生み出す。打ち込まれた脚部の周囲が破壊に巻き込まれるようにして衝撃波を生み出し、圧倒的な力を誇示するようにえぐられるのだ。
砂煙が舞い上がる中、しかしユーベルコードの輝きが煌めく。
鳳琴は『セラフィム』の駆体を蹴って飛ぶ。
「――いざ! これがユーベルコードとなった幸家の奥義、即ち!」
握りしめた拳に力が満ちる。
煌めくユーベルコードの輝きと共に彼女は己が拳を振りかぶった。
「幸家・醒龍(セイリュウ)! この一撃で、貴方の全てを貫きましょう――勝負です!」
収束されるは龍の如き闘気。
まさしく昇龍。
彼女はユーベルコードにまで昇華された闘気を拳に集約し、『レヴィアタン』の巨体を打ち据えるのだ。
巨山が揺らぐ。
彼女の拳はそれだけの威力を持っていたのだ。
装甲がえぐられ、弾け飛ぶ。
内部の構造が露出するほどの痛烈なる一撃に『レヴィアタン』は傾ぐ。
「力を合わせ、勝利する。猟兵となっても、同じです!」
そう、変わったことと変わらぬことがある。
鳳琴は、それを知っている。
いつだって共に戦うものがいるからこそ、強大な敵を打ち倒すことができるのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
決戦配備、ジャマーを要請
相手の動きを阻害し、援護して
私は知っているわ
応援や援護が、私達の力を引き出してくれること
それは、心をつなぎ、未来を照らす灯火のようなもの
どんな困難も、その光があれば越えられる
キャバリアに乗ったまま『天人結界』を展開
敵の動きを躱して接近し、分厚い装甲に穴を開けるわ
心(アスリート魂)のオーラを機体に注ぎ
ありったけのエネルギーを込めて、光の矢を放つ
撃ち抜いて『クレッセント』
揺らぐ巨体。
『レヴィアタン』は、猟兵たちのユーベルコードによって陸上戦艦たる所以、その四脚の内、一脚を失っていた。
しかし、それでも脅威であることに変わりはない。
動き出せば決戦都市に甚大な被害が及ぶことは言うまでもなかった。
動きを止めなければならない。
いや、止められないにせよ、阻害しなければならない。
「決戦配備、ジャマーを要請。相手の動きを阻害し、援護して」
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、決戦都市のサポートAI『第九号』へと『セラフィム・クレセント』から通信を入れる。
『要請を受諾しました』
その言葉と共に『セラフィム』が飛翔し、『レヴィアタン』の周囲を取り囲む。
放たれる電磁パルスによって『レヴィアタン』の移動を阻害しているのだ。
「私は知っているわ」
敵が強大な存在であることを。
人類とは比較にならぬほどの力を持っていることを。
デウスエクスという永遠不滅の存在を。
だが、それは諦めることと同義ではない。
いつだってそうだ。
自分たちは挑戦者だ。どの世界にあっても変わらない。
強大な敵と相対する度に思うのだ。自分ひとりの力だけではどうしようもない敵であっても、応援や援護が、自らの力を引き出してくれることを。
そう、共に戦う者たち。戦えずとも己達に心を託してくれる者たち。
それは、心をつなぎ、未来を照らす灯火のようなものだと静漓は思っていた。彼女の胸に燈された温かさが、まさにそれだと知っている。
目の前に困難がある。
けれど、胸に宿る光があるから越えられる。
「そうよね、『セラフィム・クレセント』」
静漓の瞳と同期するように『セラフィム・クレセント』のアイセンサーがユーベルコードに煌めく。
天人結界(テンジンケッカイ)。
駆体を覆う障壁結界。
迫るは『レヴィアタン』の放つ鉄槌の如き一脚の一撃。
凄まじい重量差であろう。
だが、それでも静漓はためらわなかった。
放たれた一脚を真正面から捉え、飛び込む。
あの分厚い装甲を穿つには一点を狙うしかない。そして、あの脚部は移動の要であり同時に攻城兵器そのものなのだ。
故に破壊しなければならない。
復興を見せた決戦都市を再び破壊に飲み込ませるわけにはいかないのだ。
「来なさい。その鉄槌、撃ち抜いて『クレッセント』」
静漓の言葉と共に『セラフィム・クレセント』のアイセンサーが明滅する。
腕部の装甲が展開し、弓状へと変化する。
集約された光が矢となってつがえられ、迫る『レヴィアタン』の脚部へと向けられる。
放たれた光の矢は極大の輝きを持って一瞬で宙を駆け抜けた。
強烈な光の明滅。
しかし、静漓は瞳を見開いたままだった。
瞬き一つしなかった。
己たちの背には守るべき者たちがいる。
それは足かせではないのだ。己たちの背を推す応援なのだ。
それを知ったから。
「私達は負けないの」
光の矢は『レヴィアタン』の装甲を抉りながら、その巨体の装甲すらも吹き飛ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
日下部・香
決戦配備:ジャマー
親機はそれなりの大きさだろうとは思ってたけど、想像以上だな。
こっちの情報を持ち帰らせないためにも、どうにか倒さないと。
引き続き決戦配備での移動補助を頼む。あの巨体が相手だ、機動力が欲しい。
【螺旋爆散掌】で敵の装甲をねじ切れば、仲間の攻撃が通りやすくなるはずだ。敵に弱点があるとすれば、厚めの装甲の内側だろうしな(【急所を見抜く】)
螺旋爆散掌を当てるためには相当近づく必要があるから、『セラフィム』で近くまで運んでもらえると助かる。
敵は見えないダモクレスを放ってくるらしいが、気配までないわけじゃないだろう。【心眼】でおおよその位置を把握して、弓で【矢弾の雨】を放つことで対処したい。
想像以上だな、と日下部・香(断裂の番犬・f40865)は思った。
子機である人型ダモクレスが向かった先にあるのが親機。
ならば、ある程度の大きさを持つダモクレスだろうと予想していたのだ。だが、今まさに目の前にある鯨型巨大戦艦『レヴィアタン』は、彼女の想像を越えるものであった。
「だけど、こっちの情報を持ち帰らせないためにも、どうにか倒さないと」
そう、あれを破壊しなければ人類社会の情報を十二剣神『聖賢者トリスメギストス』へと伝えるところになるだろう。
そうなっては、人類社会そのものにダメージを与えるような作戦を実行に移されるかもしれない。
「引き続き、移動の補助を頼めるか」
『受諾しました。ケルベロス、武運を』
「ありがとう、いくぞ!」
決戦都市のサポートAI『第九号』の言葉と共に香は『セラフィム』の背につかまって飛翔する。
空から見下ろす『レヴィアタン』は巨大そのものだった。
しかし、戦う為の方策がないわけではない。
そう、先んじた猟兵やケルベロスたちのユーベルコードが明滅している。
あれだけ巨大な敵を前にして誰も臆することはなかった。
誰も彼もが懸命に戦っている。
ユーベルコードの光が輝く度に『レヴィアタン』の巨山の如き威容が震え、装甲が弾け飛んでいく。
脚部も半数がへし折られ、またはえぐられている。
倒せない敵ではないのだ。
瞬間、香たちへと銃撃が迫る。
「見えない……!? どこから……!」
『敵機の接近を感知。ですが、ステルス型のようです。ご注意を』
「見えないダモクレスってことか……けど、気配がないわけじゃあない!」
香は瞳を閉じる。
戦いの音がよく聞こえる。
確かにステルス型ダモクレスは香の視界には存在しない。いや、存在はしているが認識させないのだ。
それが如何なる技術かはわからない。
だが、香は己の研ぎ澄ませた五感によって風を切る音や気配と言ったものを心眼でもって捉える。
弓を構え、放たれた矢弾が雨のように注ぎ、さらに『セラフィム』の放った電磁パルスが見えぬダモクレスたちの動きを止める。
『敵機、沈黙』
「なら、飛び込む! 頼んだ!」
『受諾。加速します』
通信の言葉と共に『セラフィム』が加速し、一気に『レヴィアタン』へと肉薄する。
「みんなが引き剥がしてくれた装甲……その内部を穿つ!」
香は『セラフィム』の背から飛び、己が掌に集められた螺旋エネルギーを輝かせる。
それこそが彼女のユーベルコード。
螺旋爆散掌である。
その一撃は装甲を引き剥がされた『レヴィアタン』の内部へと叩き込まれる。
瞬間、注ぎ込まれた螺旋エネルギーは『レヴィアタン』の巨躯にて暴れくるい、ねじ切るようにして爆破される。
その爆破の衝撃と共に香は再び空に舞い、『セラフィム』の背に着地する。
「これで仲間たちの攻撃が通りやすくなるはずだ。伝えてくれ」
常に仲間たちとともに戦う。
その意味を香は知っているからこそ、どれだけ巨大な敵であっても怯むことなく立ち向かうのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ジークリット・ヴォルフガング
●POW
あれが奴らの親機…いや、この巨大さであれば母艦が正しいか
十二剣神『聖賢者トリスメギストス』によりデータ収集の命を受けているのならば情報を持ち帰るのを優先すると考えていたが、送信済みであればもはや用無しの破壊対象となるか
だが、些か巨大すぎるな
取り付くにも踏みつけに加え、上部砲塔による苛烈な対空砲火が予想される
ならば…バランスを崩して倒すのみだ
決戦配備、クラッシャー
鞘ユニットが変じたアームドフォートで着弾地点である脚部関節部を照準
着弾による衝撃で転倒したのであれば、一気に駆け上がり目指すは…艦橋部
中枢部であるかはさておき『ゾディアックブレイク』による星辰の重力で破壊し、追い打ちの砲撃支援だ
「あれが奴らの親機……いや、この巨大さであれば母艦が正しいか」
ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)は、目の前の巨山の如き鯨型巨大戦艦『レヴィアタン』の威容を認め、そう表現した。
だが、今や『レヴィアタン』は陸上戦艦樽所以の四つ足、その脚部を二本損失している。
折れ曲がり、またはえぐり取られている。
本体の装甲も剥離し、また内部を膨大なユーベルコードのエネルギーによってねじ切られている。
それでもまだ戦力としては健在なのだ。
残された脚部、その鉄槌の如き一撃を大地に打ち込み激震させる。
衝撃波すさび、ジークリットは己が身が吹き飛ばされるのを知る。
圧倒的な巨躯から繰り出される質量攻撃。
単純であるが、効果は言うまでもない。
あれが決戦都市に向かえば、半壊した状態で甚大なる被害をもたらすことは明白だった。
「データ収集の命を受けているのなら、情報を持ち帰るのを優先すると考えていたが、送信済みであればもはや用無しか。いや、もしくは……グラビティチェインの簒奪か」
それは最後っ屁のようなものだ。
そうであってもなくてもジークリットは己がすべきをと既に定めている。
「既にバランスは崩れている……他の猟兵達がやってくれたか。ありがたい。ならば、私は!」
ジークリットは己のゾディアックソードの鞘が変形したアームドフォートを身にまとい、打ち下ろされた『レヴィアタン』の脚部を見据える。
今の一撃は確かに強烈であった。
だが、一撃を打ち出す度に振り上げなければならない。
そこに隙を見出し、ジークリットは決戦都市のサポートAI『第九号』へと通信をつなげる。
「決戦配備、クラッシャーを要請する」
『受諾しました。対象は如何なさいますか』
「決まっている。古今東西、戦艦というものは艦橋部を破壊すれば動きは止まる。『セラフィム』には火線による援護を頼む」
その言葉と共に『セラフィム』たちの胸部砲口より熱線が放たれる。
苛烈なる熱量を持つ熱線が『レヴィアタン』の弾幕の砲弾を薙ぎ払い、さらにジークリットの道を切り開く。
それだけではない。
猟兵たちのユーベルコードが彼女の道行きを切り開く。
彼女はアームドフォートと共に『レヴィアタン』の巨大なる体躯を駆け上がっていく。
「ただの飾りかもしれないが……破壊するに変わりはない。ならば、剣に宿りし星辰の重力よ……悪しき護りを断ち切れ! ゾディアックブレイク!!」
振りかぶったゾディアックソードに星座の重力を宿した刀身が煌めく。
その斬撃は一瞬で『レヴィアタン』の艦橋にあたる部位を両断し、爆発を巻き起こす。
動きは……止まらない。
恐らく中枢部が残っているからであろう。
しかし、それでも彼女の放ったゾディアックソードの斬撃は『レヴィアタン』の装甲を抉り、さらには状態異常に対する耐性、防御を削減して見せたのだ。
「いまだ、追い打ちの砲撃を叩き込め!」
その言葉と共に火線がほとばしる。
凄まじい爆煙が『レヴィアタン』より上がる。
どれだけ巨大な敵であろうと共に戦う仲間がいるのだ。勝利は目前だというようにジークリットは己の剣、その刀身の輝きを旗印にするように煌めかせ、さらなる猟兵たちのユーベルコードを誘引せしめるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
決戦配備:スナイパー
陰海月「ぷっきゅ!」
…陰海月語を翻訳します…
む、あれが親機だね?うーん、このまま、ぼくがいく!力を貸して、おじーちゃんたち!
小型の戦闘用ダモクレス…ぼくの光珠で処理してもいいけど、ここは新『セラフィム』の力を借りるね!だからこそのスナイパー!
一撃で消滅するなら、それは『セラフィム』の攻撃でもいいんだもん!
ぼく自身は、『あつあつおじーちゃん(侵す者)』の炎+機械壊し属性のせた光珠を飛ばすね!ぽいぽーい!
あ、ぼくだけじゃないよ?
※
霹靂「クエ(小声)」
実は陰海月からコッソリ食事分けてもらってた。美味しかった。
友が目立っている隙に、コッソリ消音飛行で近づいてからの、雷纏い体当たり!
四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)によって『陰海月』と合体した、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は揺らぐ巨体……『レヴィアタン』へと向かう。
猟兵たちのユーベルコードが明滅し、多くの装甲を抉り、陸上戦艦である所以である四脚の内半数を奪っていた。
移動能力は半減以上。
そして、その装甲も多くが脱落している。
どれだけ巨大な敵であっても仲間たちがいるのならば、恐れることはないのだ。
「ぷっきゅ!」
意気揚々と言ったところだろう。
『陰海月』が親機たる『レヴィアタン』へと飛び込んでいく。
己がこのまま行くつもりなのだ。
悪霊たちの力を束ね、迫る新型ダモクレスたちを相手取る。
自分たちが追っていた人型ダモクレスとは違い、戦闘力を有している。
加えて数が多いのだ。囲まれてしまえば、如何に猟兵と言えど危ういだろう。
故に『陰海月』は決戦都市のサポートAI『第九号』へと決戦配備を要請する。
「ぷっきゅ」
『受諾いたしました』
悪霊たちは、それで通じるものなのかと驚愕しきりであった。
だが、現に『セラフィム』は『陰海月』の要請に応えるようにして、胸部砲口から熱線を放ち、新型ダモクレスたちの体躯を薙ぎ払っていくのだ。
「ぷきゅ!」
1680万色に輝く光珠を、この隙に『レヴィアタン』へと投げ放つ。
悪霊の呪詛。
とりわけ、『侵す者』の力を以ては放たれた光珠は『レヴィアタン』のえぐれた装甲の内側へと入り込み、炸裂する。
噴出する炎。
それが呪詛の力を宿したものであることは言うまでもないだろう。
そして、巨体の端で目立たないが『霹靂』が雷をまといながら体当たりを敢行している。
巨体は揺らがない。
だが、その内部では破壊が次々と起こっているだろう。
一つ一つの力は『レヴィアタン』の巨体を一撃で覆すことはない。
だが、それでも紡ぐことによって『レヴィアタン』は確実に追い詰められている。
どんな敵にだって一念を以て相対すれば、穿つことができるのだ。
それを示すように『陰海月』は『レヴィアタン』の周囲を飛び回りながら、そのまばゆいばかりのゲーミングカラーに輝く体躯をさらす。
新型ダモクレスたちは、その輝きに誘引され集まってくるし、『セラフィム』の火線はこれを吹き飛ばす。
『霹靂』だって同様だ。
小さな積み重ねでもって敵を打ち倒す。
そうすることで雨垂れのように巨岩すら穿つ力となる。
「ぷっきゅ!」
そのために自分は飛ぶのだというように『陰海月』は、その輝きを空に輝かせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
機神搭乗
「ご主人サマー☆戦艦だぞ☆戦艦が出たぞ☆」
わかっとるわ!
ポジはディフェンダー
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で隠れ水の障壁で熱源隠蔽
光学迷彩には光学迷彩だ
【念動力・情報収集・戦闘知識・視力】
敵戦艦の構造と能力把握
念動力を薄く展開
更に視力を尽くし光の揺らぎ等不自然な部分を見つけ隠れてる敵を捕捉
【空中戦・弾幕】
UC発動
超絶速度で飛び回りながら念動光弾やレーザーで戦艦と迷彩敵をも蹂躙
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
戦艦に距離を詰めて鎌剣で切り刻み武装やその他諸々の敵やデータ端末等諸々を色々強奪だ!
お前お持ち帰りしようとしてるな!
それなら僕にも持ち帰らせろごらぁ!!
「ご主人サマー☆ 戦艦だぞ☆ 戦艦が出たぞ☆」
「わかっとるわ!」
耳元で騒がなくても聞こえていると、『メルシー』の言葉にカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はがなる。
耳がキンキンしている。
ともあれ、目の前の巨体……鯨型巨大戦艦『レヴィアタン』は猟兵たちの攻勢によってかしいでいる。
だが、それでもまだ撃破できていないところが恐るべき堅牢さであった。
装甲はめくれ、四脚の半数は失っている。
だというのにいまだ、その内部からはステルス型ダモクレスを射出し続けている。
厄介極まりないものであった。
「ポジションはディフェンダーだ! 敵の数に圧倒される前に叩く!」
ステルス型ダモクレスは光学迷彩を用いた駆体なのだろう。
センサー類に引っかからない。
だからこそ、カシムは己の乗騎『メルクリウス』もまた水の障壁に覆われ、熱源を隠蔽する。
姿と共に熱源で感知されぬようにと工夫を凝らしているのだ。
しかし、それでも敵の数は圧倒的だった。
「ちっ、やっぱり数が多い。面倒くせぇったらねぇ!」
カシムは『メルクリウス』の速度を上げ、飛翔する。
敵の数が多く、その所在が知れない。
であるのならば、此方はどうするか。
言うまでもない。
光学迷彩には光学迷彩を、というのならば、数には数を。
「『メルクリウス』……お前の力を見せてみろ……!」
周囲に浮かぶのは念動光弾であった。
飛翔しながら放たれる弾幕。
レーザーが駆体から放たれ、ステルス型ダモクレスがどこにいようとお構いなしに、凄まじい物量の弾幕でもって打ち据えるのだ。
それは蹂躙と呼ぶに相応しい攻勢であったことだろう。
「数だけあってもなぁ! 母艦守れなきゃ意味ねーだろうが!」
鎌剣を構えて『レヴィアタン』へと飛び込む。
戦場の空に火球が明滅する。
そのさなかを切り抜けるようにして『メルクリウス』が『レヴィアタン』へと肉薄する。
「お前、お持ち帰りしようとしてるな! それなら僕にも持ち帰らせろごらぁ!!」
鎌剣が翻り『レヴィアタン』の装甲を引き裂きながら引っ剥がす。
その斬撃と共に『メルクリウス』が舞う。
迫るステルス型ダモクレスも、近づかれれば、その存在を感知できるだろう。
「後ろにも目があるんだぞ☆」
放たれる光弾にステルス型ダモクレスが吹き飛ばされ、爆散する。
その光を背に『メルクリウス』は再び飛翔しながら、鎌剣を『レヴィアタン』の体躯に突き立て引き裂くようにして巨体を解体遷都するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
おお、山のような戦艦ダモクレスだぞさっちゃん
クラッシャー申請
機神搭乗
「生意気だな!でかきゃいいってもんじゃねー!」
そうだな!
だが…あれだけの戦艦なら我がぜっちゃんチョコを生み出すチョコ戦艦に再誕できるのでは?
「ぴえええ!?」
UC準備開始
【戦闘知識】
敵の動きと戦い方を解析
【空中機動・念動力・弾幕】
跳び回り念動光弾を打ち込み動きを妨害
【二回攻撃・切断】
鎌剣で脚部ユニットの接合部を切り刻み
UC準備完了
お前達はこうまでしてグラビティを求めてるのだろう!
だが安心しろ!更なる圧倒的なパワーを秘めた健康食品をお前に与えよう!
さぁ!このチョコを生み出すための製造戦艦に再臨するのだ!
この世の地獄が大発生
「おお、山のような戦艦ダモクレスだぞ、さっちゃん」
皇・絶華(影月・f40792)は己の乗騎『サートゥルヌス』に呼びかける。
『サートゥルヌス』としては、だからどうした程度のものでしかない。
むしろ、生意気だとすら思ったのだ。
いっちょ前に巨体だから選ぶってんじゃねーという反骨心めいたものさえ芽生えているようだった。
「でかけりゃいいってもんじゃねー!」
「そうだな! だが……あれだけの戦艦なら我がぜっちゃんチョコを生み出すチョコ戦艦に再誕できるのでは?」
この人何言ってるんだろうと思った。
むしろ。怖い。
ずっとチョコチョコ言ってない?
「ぴええええ!?」
『サートゥルヌス』からすれば、あんな酷い味の食べもの……食べ物? を作り出そうと常に考えている主の方が怖い。
むしろ、どうしてそんなにチョコにこだわるのだろうか。
もうちょっとレシピ通り作るとか、材料を見直してみるとか、そんな考えはないのだろうか?
「さあ、行くぞ、ぜちゃん!」
ぜっちゃんとチョコの神々(チョコニオセンサレタカナシキジャシンタチ)のお導きのままに。
いや、誰も導いていないし、そんな神が本当にいるのだろうか。
それは些細な問題である。
問題であるのは、カカオ濃度1万%の漢方チョコ邪神植物が『サートゥルヌス』の眼前に現れ、『レヴィアタン』の口腔めいたドッグの内部へと飛び込んだということである。
「お前たちはこうまでしてグラビティチェインを求めているのだろう! だが安心しろ! さらなる圧倒的パワーを秘めた健康食品をお前に与えよう!」
絶華はそう言って笑った。
笑いに笑った。
これで戦いが終われば、巨大戦艦である『レヴィアタン』の残骸は、チョコを生み出すための製造戦艦へと生まれ変わるだろう。
そうなれば、絶華は圧倒的なパワーというやつと凄まじい味覚を生み出すチョコを手に入れることができる。
そして、この世の地獄が大発生することだろう。
その事実、遠くない未来を幻視して『サートゥルヌス』は震え上がった。
これはまずい。
大いにまずい。
いや、味覚的に不味いって意味ではなくて、拙いっていう意味である。
「こ、こうなったら他の猟兵達に命運を託すしかねぇー!」
なんとか、なんとかあの『レヴィアタン』を完膚なきまでに破壊してもらわなければならない。
そう『サートゥルヌス』は祈るしかなかった――!
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
ほらーこういうのだよこういうの!
決戦都市も足の百本も生えてるべきだよねー
まずキャタピラから始めよ?
●UC『神知』使用
●【アンブッシュ】!
そう挨拶前のアンブッシュは一度までは失礼には当たらない!
これってどこルールだっけ?
追跡を餓鬼球くんたちに任せボクはこのために先回りしてたのさ!
はい疑問挟まない!
そうそのままーボクの【第六感】の読み通りのルート!
【トンネル掘り】して地下に潜った巨大な[ドリルボール]くんたちの作った落とし穴を踏み抜いてドーン!(【地形破壊】【破壊工作】)
そしてステルス機ごと穴に埋めて塞ぐように超サイズの[超重浮遊鉄球]くんをドーンと墜として【逃走阻止】!
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、巨大な鯨型戦艦『レヴィアタン』の姿に大はしゃぎであった。
「ほらーこういうのだよこういうの! 決戦都市も足の百本も生えてるべきだよねー」
むちゃくちゃであった。
むしろ、決戦都市ごと移動しなければならない事態とはどんなものだろうか。
そもそもデウスエクスの襲来は予知しきれるものではない。
例え、場所を移動したとて意味がないのかも知れない。
そういうことじゃない、とロニは言うだろう。
これはそもそもロマンというやつなのだ、と。
「まずはキャタピラから始めよ?」
そういう問題でもないような気がする。
ロニは、そんなことを言いながらユーベルコードの輝きを瞳に宿す。
「アンブッシュ! そう、挨拶前のアンブッシュは一度までは失礼にあたらない! これってどこルールだっけ?」
サイバーザナドゥかどこかのルールかもしれないが、もしかしたら違うかもしれない。いや、絶対違うだろう。
多くの猟兵たちのユーベルコードによって『レヴィアタン』は、その巨体を損傷している。
装甲は剥がれ、陸上戦艦たる四脚も半数が喪われている。
故に機動力はもうないに等しい。
「この時のために餓鬼球くんたちに追跡を任せてボクは、先回りしていたのさ!」
本当にそうなのだろうか?
疑問である。
「はい、そこ疑問挟まない!」
そして、ロニは巨大な球体たちにあらかじめトンネル堀の要領で地下に巨大な落とし穴を生み出していたのだ。
加えて、これまで何度も『レヴィアタン』は脚部による鉄槌のような一撃を叩き込み続けていた。
そうなればどうなるか。
言うまでもない。
地下の空洞は、その衝撃を支えきれない。となれば、空洞に与えられた衝撃は崩落を生む。なにせ、超巨大な戦艦なのだ。
何をしなくても、その自重でもって落とし穴の崩落を生み出していたことだろう。
「ほら、読み通り!」
ロニの言葉と共に『レヴィアタン』の巨体が崩落した地下に沈み込む。
こうなれば、ステルス型ダモクレスもすぐには発進することはできないだろう。
「さあ、穴をほったのなら次はどうするのかって? 簡単なことだよ、穴を埋めるのさ!」
ロニの頭上にあるのは巨大な球体。
それを『レヴィアタン』へと叩き落とす。
まるでもぐらたたきゲームのようでもあったが、対象が巨大な鋼鉄の鯨である、ということを除けば概ねその通りであった。
ひしゃげるように装甲が悲鳴を上げている。
敵を逃さず破壊する。
そのためにロニが取った手段は簡潔にして単純だった。
だが、単純だからこそ逃れようのないことだってあるのだ。
「ふっふーん、ボクはもぐらたたきゲームだって得意なのさ――!」
大成功
🔵🔵🔵
円谷・澄江
まったくこんなデカブツでやってくるとはねぇ。
徹底的にぶっ壊してやらないと寝覚めが悪くなる。
いくよクニークルス!
クニークルス搭乗。
決戦配備はスナイパー要請。
大量に新型ダモクレスばらまいてくるだろうがそうはさせないよ!
UC起動、セラフィムの周囲にサイキックの霞網を展開して向かってくるダモクレスを捕まえてやる!
同時に電探で情報収集、敵戦艦の破損部位等のデータをセラフィムに送って狙撃の精度向上を狙う。
情報解析は得意分野、分析して弱点見極めてぶち抜けばデカかろうがぶっ壊せる!
見極めたら兎翼広げ一気に加速し戦艦へ肉薄、ビームドス突き立ててやろう!
…鯨に捕まえられる兎じゃないからね。
※アドリブ絡み等お任せ
月光の輝きが地上を疾駆する。
それはサイキックキャバリア『クニークルス』。
円谷・澄江(血華咲かせて・f38642)の駆る乗騎は、ケルベロスディバイド、湾岸の決戦都市の郊外を疾駆していた。
彼女が目指すのは、大地に埋まるようにして擱座した鯨型巨大戦艦『レヴィアタン』であった。
すでに陸上戦艦である所の四脚のうち、半数を失った『レヴィアタン』だったが、しかし内部から生み出した新型ダモクレスを射出し、澄江の駆る『クニークルス』へとけしかける。
体勢を整えるにしても、時間がかかる。
何せ、それだけ巨大であるからだ。
「まったくこんなデカブツでやってくるとはねぇ。徹底的にぶっ壊してやらないと寝覚めが悪くなる」
彼女は迫る新型ダモクレスを前にして、頑丈なサイキックエナジーで織り上げた霞網を展開させる。
敷設された霞網は、『クニークルス』へと迫った新型ダモクレスたちを正しく一網打尽にし、捉えたのだ。
「決戦配備、スナイパー!」
『受諾いたしました。胸部熱線砲、照射』
決戦都市のサポートAI『第九号』の声と共にこの湾岸の決戦都市の決戦配備である自律人型戦術兵器『セラフィム』の胸部から熱線が放たれる。
霞網に捉えられた新型ダモクレスたちになす術などなかった。
熱線が彼らを討ち滅ぼしたのだ。
「やるじゃあないか。なら、このまま敵の直上を狙うよ!」
その言葉と共に澄江は『クニークルス』と共に疾駆し、『レヴィアタン』の巨体へとエマル。
すでに電探による情報収集を行っている。
「誰だか知らないが、落とし穴にはめるとはね。動きが鈍ってくれて、狙う分には簡単すぎて欠伸がでるってものだ! スナイパーじゃあなくったってうまく言ったかも知れないけれど……それはそれってやつね!」
澄江は機体のモニターに映る『レヴィアタン』を見つめる。
敵の装甲はあちこちが剥離している。
これも他の猟兵たちがユーベルコードに寄る攻撃を行ってくれたからだろう。
なら、言うまでもないが、この傷を利用させてもらう。
「兎らしく行くよ『クニークルス』!」
一気に『クニークルス』の機体が加速し、『レヴィアタン』へと肉薄する。
取り付き、逆手に持ち替えたビームドスの刀身がフレームのむき出しになった『レヴィアタン』へと突き立てられ、誘爆した爆発が、その巨体の内部で連鎖的に引き起こされていくのを知るだろう。
「ハッ……鯨に捕まえられる兎じゃあないからね」
鮫だったっけか、と黒き毛皮を持つ澄江は、どちらでも関係ないと言わんばかりに『レヴィアタン』の巨体を刻むようにビームドスによる破壊を次々と引き起こしていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
祓戸・多喜
でっかいわねー。
けど戦艦、よね?なら撃ち抜けない道理はなし。
この決戦都市を守るため全力で戦っちゃうわよ!
決戦配備はディフェンダー要請。
詠唱に時間かけたいからできるだけ防壁とかで時間稼ぎしてほしいかも。
UC起動して詠唱開始、その間も群がってくる新型ダモクレスには速射で矢の雨降らせて撃ち落としてやるわよ!
一撃当たれば消滅するから迎撃はとにかく数重視ね!
十分な時間詠唱できたら狙いをレヴィアタン本体に定めて全力の一矢をぶっ放す!
できれば他の猟兵とかの攻撃で装甲脆くなってる部分を狙いたいわね。
どんな巨大戦艦も底が破れれば沈むのみ!
…陸上戦艦なら足を潰した方がより確実かしら?
※アドリブ絡み等お任せ🐘
どれだけ巨山のような威容を誇るのだとしても、それが物体であるというのならば、撃ち抜けぬ道理などない。
そう言うように祓戸・多喜(白象の射手・f21878)は、巨大和弓である『剛弓ハラダヌ』の弦を引き絞った。
そう、どれだけ巨大なのだとしても戦艦。
なら、撃ち抜けないわけがない。
己にそれは言い聞かせるようでもあったし、また事実であることを祈るようでもあった。
己のユーベルコードは詠唱時間を必要とする。
いや、詠唱時間を必要としなくても矢を放つことはできるのだ。
だが、それでは威力が上がらない。
詠唱時間を得れば得るほどに威力が無限に増大していくユーベルコードなのだ。故に使い所が難しい。
そして、敵が強敵であればあるほどに詠唱時間を確保させてはくれまい。
だからこそ、このときのための決戦配備である。
『レヴィアタン』より放たれる新型ダモクレスたち。
多喜のそうした隙を見逃してくれるわけがない。敵も必死なのだ。感情は見えぬが、次々と溢れかえる新型ダモクレスを見ていればわかる。
それだけ敵も後がないのだ。
「決戦配備、ディフェンダーを要請するわ!」
『受諾しました。多重シールド展開。対象を防衛します』
決戦都市のサポートAI『第九号』の言葉と共に自律人型戦術兵器『セラフィム』の肩部から展開する多重シールドが新型ダモクレスの猛攻を抑え込む。
強靭な装甲は確かに新型ダモクレスの攻撃に耐えてはいる。
だが、それでも長くは保たないだろう。
『装甲限界までのお時間をお知らせしますか?』
「お願い! それまでは詠唱を続けるから! できるだけ耐えて!」
『畏まりました』
その言葉に『セラフィム』たちが応えるように新型ダモクレスたちの攻撃を受け止め続ける。
確かに数は多い。
だが、新型ダモクレスは緊急に生産されたのだろう。
作りが甘い、と言わざるを得ない。
『セラフィム』が多重シールドで打ち据えるだけで霧散していく。しかし、それを有り余って数が多いのだ。
激突する度に『セラフィム』のシールドが歪んでいく。
砕け、落ちた破片を多喜は見ただろう。
もう時間がない。
「情報の共有はできて!?」
『可能です。他の猟兵の方々から提供されたデータを回します』
多喜は『レヴィアタン』の状況を理解する。
これまで多くの猟兵たちの攻勢で損傷を得ている『レヴィアタン』。であるのならば、その最も損傷の多い箇所を狙うしかない。
「どんな巨大戦艦も底が破れれば沈むのみ! なら!」
彼女の瞳が煌めく。
ユーベルコード。
無限に威力が上昇していく、巨大な戦艦や巨大生物への特攻たる属性を得た矢を彼女は剛弓につがえる。
「この一矢で決めるわよ!」
放つは一条の矢。
空を切り裂きながら走る矢は、星のように駆け抜け『レヴィアタン』へと吸い込まれていく。
打ち込まれた矢が力を炸裂し、その凄まじい衝撃が大地を揺らす。
それは彼女の極限。
射法・弓張月(フネオトシ)による一射は、見事に『レヴィアタン』の巨体を穿つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
禹・黄風
これは…格闘するには少々体格差がありますね。
ですが壊せない、という訳ではない。
ここで確実に破壊しましょう。
決戦配備はクラッシャーを要請。
UC起動、全力の逆風を叩きつけレヴィアタンの動作を減速させます。
鈍くなれば大火力の一撃もぶつけやすくなるでしょう。
何ならセラフィムを追風で加速して敵の攻撃から回避させることも狙います。
私自身はレヴィアタンに追風利用して加速し接近、至近距離から功夫練り込んだ棍で足を狙いその機動力を削ぎます。
ただし踏み潰しには注意を。
狙われたら逆風で脚部ユニットを減速させその間に破壊範囲から逃れるか、逆に脚部に飛び乗りそのまま胴体に登り反撃叩き込みましょう。
※アドリブ絡み等お任せ
穿たれた傷跡に喘ぐように巨体が揺らぐ。
鯨型巨大戦艦『レヴィアタン』は、大地に沈んでいた巨躯を持ち上げる。
半数を失ったとて、いまだ『レヴィアタン』は駆体に極大の一撃を受けてもなお、立ち上がろうとしていた。
「大きいにしても、流石にダメージコントロールが行き過ぎてはいませんか」
凄まじいものだ、と巨大なる『レヴィアタン』を禹・黄風(武の頂を・f40009)を見上げていた。
格闘戦を旨とする彼にとって、相対する敵はあまりにも体格差が在りすぎた。
だが、彼にとって、そこは重要ではなかった。
重要なのは破壊できるかできないか。
それだけである。
そして、彼は見定めたのだ。これを破壊できないわけではない、と。
「すでに勝負は決したようなもの。ですが、ここで確実に破壊しなければなりません……決戦配備はクラッシャーを要請。どのような形の援護になりますか」
『主にセラフィムによる胸部砲口の熱線攻撃支援になります』
問いかけに決戦都市のサポートAI『第九号』が返答する。
「なるほど。では、熱線が効率よく照射できるように此方がサポートするといたしましょう――大気掌握」
その言葉と共に周囲を包み込むのは、黄金の龍の闘気を帯びた暴風領域であった。
この暴風領域の内部にある者は、彼の気によって吹かす風、突風を以て加速させるか、もしくは減速させることができるのだ。
これを持って黄風は『セラフィム』を加速させ、胸部砲口から放たれる熱線を、散々に破壊されてきた『レヴィアタン』の傷口にさらに照射させるのだ。
狙うのは完全なる破壊。
「些か敵が強大すぎますが、しかし機動力の要である、その四脚……半数を失ってなお、健在であるというのならば、徹底的にやらせていただきましょう」
追い風に背を圧されて黄風は『レヴィアタン』の巨躯へと駆ける。
巨大であるかそうでないかなんて関係ない。
己の胸にあるのは、これまでの功夫のみ。
どれだけ巨大であっても、それが駆動するというのならば生物の動きと大差はない。
巨大なダモクレスであっても例外ではないのだ。
動く以上関節というものがあり、機械であれば必ず其処に隙間ができる。
人間や生物などとは違い、皮で覆われている、ということもない。
故に、その関節部の脆い部分を見定めるのは用意そのものであった。
だが、『レヴィアタン』も近づくなと言わんばかりに残された脚部を振り上げる。瞬時に黄風は逆風でもって己の踏み込みを減速させる。
さらに軌道修正して、黄風は自在三節棍の連結を成し、その手に一本の強靭なる棍へと変える。
一撃の重たさをというのならば、棍は端を持つべきである。
遠心力とは即ち、円。
最も無駄のない力の伝達。
多くの武術の奥義が円を描くところにあるのは、この遠心力こそが最も力の出力を高めるものであるからだ。
故に彼の放つ混の一打は振り上げられた一脚の関節部へと叩き込まれる。
「痛みに喘ぐことがないのが、機械の体らしいところではありますが……ですが、巨体であるが故に狙いやすい」
粉砕される駆動部。
破片が飛び散り、黄風はそのまま駆け上がり、手にした混を『レヴィアタン』の装甲へと叩きつける。
軋むように巨体が傾いていくのを感じ、黄風は飛び退く。
「さあ、あとはお任せいたしましたよ――」
大成功
🔵🔵🔵
サーマ・マルヴァス
あまり芸術を理解してくれそうな…いや、鯨といえば歌う動物ですから案外理解もあったり?
いずれにせよ逃す訳にはいきません。
全力で阻止しましょう。
決戦配備はスナイパー要請。
巻き添え防ぐため演奏の響かぬ遠い位置からの支援をお願いします。
トランペットを構えUC起動、華やかなメロディを奏でレヴィアタンおよび新型ダモクレス軍団を攻撃しましょう。
…見る限り装甲などは無機物、なればこの共鳴は酷くボディを揺るがせることでしょう。
新型の方も当然この響きには耐えられない。
この演奏が響く戦艦の全身…その図体が大きければ大きいほどより強烈に響き損害は大きくなるでしょう。
葬送曲、たっぷり味わいなさい。
※アドリブ絡み等お任せ
ダモクレス。
それは機械の駆体を持つ存在であり、目の前の巨体を見上げるサーマ・マルヴァス(華やかな獅子王・f37974)は、『レヴィアタン』に意志らしいものを感じられずに嘆息するしかなかった。
「あまり芸術を理解してくれなさそうな……いや、全く理解してはもらえないでしょうな、これは」
鯨と言えば謳う生物である。
案外、理解もあったりするのではないか、という期待がなかったというのならば嘘になるだろう。
期待はしていた。
だが、対するダモクレスである『レヴィアタン』は物言わぬ戦艦。
共に芸術が理解できるのならば、きっとわかり合うこともあるのかもしれないとさえ思ったのだが、どうあっても、それは現実しようはずもなかった。
「まあ、理解しているのかもしれませんが。いずれにせよ、逃がすわけにはいきません。全力で阻止させていただきましょう」
さーまの瞳がユーベルコードに輝く。
「ええと、通信はこれでよかったんでしたっけ。申し訳ない。不慣れなものでして」
そう言ってつなげる決戦都市のサポートAI『第九号』への決戦配備の要請。
彼が選んだのはスナイパーである。
クラッシャーでも構わなかったのかもしれない。
だが、サーマは己のユーベルコードがもしかしたのならば、決戦配備である自律人型戦術兵器『セラフィム』を巻き込むのかも知れないと危惧したのだ。
「遠方よりの砲撃を願いますね。巻き込んでしまっては申し訳がありませんから」
そこまで気にかけるのは何故か。
言うまでもない。
彼のユーベルコード、レゾナンスワールドは、世界を揺るがす真理の演奏を奏でる力。
共鳴振動によって対象を破壊する力でもある。
故に『セラフィム』もまた無機物であるが故に、その影響を受けなくもないはずだと彼は理解していたのだ。
「おっと、もしや演奏を聞きに来られたのですか? いや、どう見ても違いますね」
『レヴィアタン』より溢れるようにして来襲してきたのは、新型ダモクレスたちであった。
圧倒的な数である。
擱座し、装甲を穿たれてなお『レヴィアタン』は、その内部から新型ダモクレスを次々と生産し排出してきているのだ。
それはあまりにも圧倒的な物量であると言わざるを得ないだろう。
だからこそ、サーマは頷く。
「レゾナンスワールド……この世界を揺るがす響きにあなたがたは耐えられない」
震える大気。
共鳴振動によって迫る新型ダモクレスたちは、次々と霧散し、消えていく。
新型ダモクレスは急増故に耐久性に難があるのだ。
それが僅かな共鳴振動であっても変わりはないだろう。
「「そして。この演奏が響く戦艦の全身……その図体が大きければ大きいほどより強烈に響き渡ることでしょう。これが私があなたに送る事のできる葬送曲」
響く旋律。
大地にめり込んだ『レヴィアタン』の巨体が震える。
だが、これを如何にかする手立てを最早『レヴィアタン』は持ち得ない。故にサーマは己が生み出した旋律と共に、その哀れなる様すら見せる巨躯へと演奏を届け続ける。
それが例え、破壊をもたらすのだとしても、それでも響くものがあるのならば、サーマは己が芸術を以て、示すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ウルザ・ルーナマリア
…でけえな!
巨獣といい勝負してそうな…これは燃えてきた!
こんな大物と戦う機会はそうそうねえし、皆で叩き壊してやろうぜ!
決戦配備?はジャマー要請。
バイオガスで視界塞いで向こうの踏み潰しの標的定め辛くして貰う。
セラフィムってのは結構動き早そうだし踏み潰されないように散布するのもできるんじゃないかな。
踏み潰しはまともに受けちゃられねえから脚部の動きに注意して動き回って狙われ難い位置に移動しつつ狙い定めてUC起動!
あんだけでかけりゃバイオガス越しでも狙いは定められるだろう。
銛向けて氷の投網打ち込んで動きを封じつつ、攻撃直後とかの隙狙って全力で斧槍叩きつけて装甲ぶっ壊してやるぜ!
※アドリブ絡み等お任せ
鯨型巨大戦艦『レヴィアタン』は、その巨体を傾がせ、最早死に体であった。
しかし、未だ完全に機能は停止していない。
わずかに残った一脚が鉄槌のように地面を打ち、落ち窪んだ大地から這い上がろうとしているのだ。
なんという抵抗であろうか。
この状況にあってなお、『レヴィアタン』はもがき続ける。
それが機械的な反応だとしても、いっそ懸命ささえ感じさせるものであったかもしれない。
故にウルザ・ルーナマリア(月に泳ぐ白き獣・f39111)は駆ける。
目の前には巨躯。
どうしようもない程の巨体は、巨獣と呼ばれる彼の出身世界の荒野に跋扈する恐るべき存在を想起させて止まなかった。
「……これは燃えてきたぜ! こんな大物と戦う機会なんてのはそうそうねえし、皆でここまで追い詰めたんだ。絶対に叩き壊してやるぜ!」
しかし、とウルザは首を傾げる。
このケルベロスディバイド世界には決戦都市というものがあって、決戦配備というものがあるのだという。
よくわからないが、要請すれば猟兵は支援が受けられる、ということだった。
「だったら、いっちょ撹乱してくんな。ええと、ジャマー要請って言えばいいんだっけか?」
『受諾いたしました。セラフィムによる敵性戦艦の照準システムを妨害します』
「おわぁ!? 耳元でなんか声が聞こえやがる! これがそうなのか! ならよぉ!」
ウルザは飛び出す。
すでに多くの猟兵たちが『レヴィアタン』の巨体を損壊させている。
後はもう一押し。
完全なる機能停止に追い込むためにウルザは振り下ろされた一脚の一撃の衝撃を切り裂くようにして駆け抜け、その巨体へと駆け上がっていく。
「はっ、あれだけデカけりゃ!」
電磁パルスと共にバイオガスが噴出し、周囲を覆い隠す。
『レヴィアタン』にとって、ウルザの体躯は狙い難いものである。それがバイオガスによって視界を追われているのならば、尚更に捉えがたきものであるだろう。
逆にウルザからすれば、敵の巨体はガスに覆われていても検討が突く。
「さあ、これが最後だ! まずは!」
振りかぶるのは、足止めの一投(シタゴシラエ)である。
手にした三叉の銛を投げ放つ。
その一撃はバイオガスの煙幕を切り裂きて一瞬で『レヴィアタン』のもろくなった装甲を穿ち、その内部へと突き刺さり、その先端から凍てつく冷気を浸透させていく。
そして、『レヴィアタン』を包み込む針付きの氷の網へと変形していくのだ。
それは正しく捕鯨の如き光景であったことだろう。
「ハッ! これで終わりだ!」
ウルザは手にした斧槍を振りかぶる。
ここまで多くの猟兵たちの戦いがあった。
共に戦ってきた彼らの活躍があってこその、この好機。
逃すわけにはいかない。
己が一撃で敵を完全に破壊する。そのための下ごしらえというものは既にできているのだ。
氷の網は『レヴィアタン』の巨躯を完全に凍結させた。
なら己が振るう斧槍の一撃は、それを粉砕するためのもの。
「トドメ!」
振り下ろした一撃が『レヴィアタン』の装甲を粉砕し、その亀裂を全身へと走らせていく。砕けた装甲はまるでキラキラと降り注ぐ雪のように『レヴィアタン』の駆体へと広がり、その個体を完膚なきまでに破壊しつくすのだった――。
大成功
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