4
あなたの心を甘く染めあげる

#シルバーレイン #ヨーロッパ人狼戦線3 #決戦

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#シルバーレイン
🔒
#ヨーロッパ人狼戦線3
🔒
#決戦


0





 年の瀬が近づいてきた12月、日本某所に存在する能力者集団の拠点にて。
「このご時世に忘年会とか無いと思いまーす」
「のみニケーションはんたーい」
 多くの料理や飲み物が並ぶパーティ会場内で中で成人なるかならないかの歳の男女数名がこの施設の長であろう30代の青年に文句を言っていた。
「いやいや、此処で親睦を温めるのも大事な仕事だぞ? ほら、寿司とかから揚げとか取ったから思う存分食えくえ!」
「回らない寿司屋行きたかったー」
「焼肉でもオッケー!」
「おう、今度ゴースト一人100体倒したら考えるわ」
「おにー!」
「おーぼうだー! パワハラー!」
 そんな冗談めいた文句を施設長が簡単にいなすいつもパターン。
「……」
 だが一人はそこで止まらなかった。
「にしても忘年会のチョイスがダサすぎ~センス無い~」
「お前、それは良いすぎだろ」
「やっぱ|忘年会と言ったらスイーツでしょ《・・・・・・・・・・・・・・・ 》」
「何言って……」
 暴言に対し数名が諫めの言葉を発しようとした口を開いた、そのタイミングで彼らの体は一瞬ピタリと止まり――。
「――そうだよな、忘年会は菓子が無いと!」
「そうそうプリンやクッキー、今の時期ならブッシュドノエルとか!」
「ああ……すまん! 俺としたことが、こんなもん買ってきちまって! 今から買い直してくるわ!」
 一瞬にして全員が忘年会でスイーツを推す異様な空間へと変わり果てしまった。
『……』
 異様な空間の片隅、黄色と茶のドレスを纏った少女たちが甘味に狂う能力者たちの方をじっと見つめていた。


「ニーベルングの指輪を巡る戦いが再び起きようとしています」
 ディル・ウェッジウイッターは集まった猟兵達に何時もの様に紅茶を供する。
 今日は寒いからと出されたミルクティーとスパイスティーの香りが猟兵の鼻腔をくすぐった。
「ニーベルングの指輪とは極めて強力な洗脳効果を持つメガリスです。かつてシルバーレインで勃発した人狼戦線もこれが原因だったといっても過言ではないかもしれません」
 前の持ち主である清廉騎士カリストはこのメガリスを使って人狼たちを洗脳し、聖女アリスをはじめとして多くの人狼たちを操ると、彼らを銀誓館学園の能力者達と度々刃を交えさせたのだ。
「その二ーベルングの指輪は今は銀誓館学園が保管していますが、ハビタント・フォーミュラが複製品をゴーストーーいえオブリビオンに与え、能力者集団を丸ごと洗脳しようとしています」
 本物よりも能力は格段に劣るというが、それでも強力な洗脳能力を保持するというニーベルングの指輪の複製品。それを使って各地に点在する能力者集団を丸ごと洗脳、支配下に置かれることは危険であることは火を見るより明らかである。
「地元を守る事を誇る能力者が地元を傷つける事になる、そんな悲劇を再び起こしてはなりません。皆様には早急にこの指輪を持つオブリビオンの撃破を求めます」

 今回向かってもらうのは青森県の太平洋側のとある能力者集団の拠点。忘年会を開催するためにメンバー全員が集まっていたところであるという。
「彼らは残念ながら既に指輪の能力に狂わされています。『リベリエ・プディング』の影響か今のところ忘年会のメニューはスイーツのみしか認めないし買い直そうとしている位で終わっていますが、これがいつ民間人に凶刃を向ける行動に出るかは分かりません。洗脳を解くためにも皆様にはまず『リベリエ・プディング』の撃破をお願いします」
 プリンをはじめお菓子を食べたい欲が湧いてくるこの敵はそれほど強くは無いが、如何せん今回は洗脳された能力者たちも一緒に攻撃してくる。彼らを無力化しながらオブリビオンを倒す技術が求められる。
「『リベリエ・プディング』を撃破すると複製品を持つ『ベンジャミン・バーニングバード』が出現します。別世界で撃破された猟書家とそっくりなの事が非常に気になりますが、強敵であることは変わらないようです」
 甘かわ系あひるさんのようななボディーだが、自動小銃をぶっ放してくるという純粋な暴力で場を制圧使用してこようとする。全く甘くない。
「ベンジャミンを倒し、複製品も破壊すればこのメガリスは復活する事は有りません。これでこの事件は終了……と言いたいのですが、メガリスを壊した瞬間に抗体兵器を持つオブリビオンが大量に出現します」
『抗体兵器を持つオブリビオン?』
「ざっくり説明すると物凄く強くなったオブリビオンです。正体は予知ではつかめなかったというが……気を緩めないで戦ってください」
 一個体が強力なオブリビオンが複数体とあればいかに歴戦の猟兵でも苦戦は必至。しかし、メガリスを破壊した時点で能力者たちも元に戻っている。彼らの助力を得ながら戦えば決して倒せないわけではない。
「ハビタント・フォーミュラが何をしたいのか未だつかめない所ですが……彼女の企みを成就させる訳には参りません。
 皆様、御武運を」
 ティーカップをソーサーに戻したのを確認すると、ディルはグリモアを起動させスパイシーな紅茶の香りと共に猟兵を戦場へと誘うのだった。


遭去
●遭去です。
 車社会に住むと仕事帰りに飲みとか気軽にできません、悲しみ。

 こちらの依頼は1章:集団戦 2章:ボス戦 3章:集団戦(抗体兵器持ち)
 と全章通して戦闘フラグメントとなっておりましたのでご注意ください。


 
47




第1章 集団戦 『リベリエ・プディング』

POW   :    ペティ・プディング
【頭部を人化(※美少女)させた魔法少女姿】に変身し、武器「【プリンバトン(※物理攻撃しか出来ない)】」の威力増強と、【カラメルソースの翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    クレム・カラメル
速度マッハ5.0以上の【カラメルソース(束縛効果あり)噴出】で攻撃する。軌跡にはしばらく【凝固したカラメルソースの塊】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
WIZ   :    アラモード夢想曲
【理想のプリンアラモードの空想】から【敵の頭上に空想した通りのプリンアラモード】を召喚する。[敵の頭上に空想した通りのプリンアラモード]に触れた対象は、過去の【何を置いてもスイーツ食べたい衝動】をレベル倍に増幅される。

イラスト:樹下じゅげ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 寒々しい空気に刺されながら能力者の拠点に足を踏み入れた。
「スイーツスイーツ!」
「やっぱホイップが最強なんだよね!」
「やはりお菓子。お菓子は全てを解決する……!」
 会場に入ると鼻腔をくすぐるのは甘ったるい匂い。そして本来の主役であろう寿司や揚げ物が部屋の隅に追いやられ、代わりに机の上にはマカロンやプリンといった甘いお菓子が所狭しと並べられている光景が目に入った。
 会場内は既に(色んな意味で)でき上がった雰囲気になっていた。
「――……あなたもプリンをいかが?」
 猟兵に近づいてきた黄色と茶色のドレスを着た少女がプリンを差し出す。それを断ろうとした瞬間――猟兵に眩暈が生じた。
 カスタードの様に、チョコレートのように甘く、とろりと思考が蕩ける感覚……。
 ……はっと我に返った猟兵が頭を振り、彼女から距離を取った。
「……猟兵だからかしら、効きが悪いのね。それじゃあ、」
 ドレスを着た少女と、能力者たちがあっという間に猟兵を取り囲む。
「適度に痛めつけて再度メガリスのお力を借りましょう」
 
山吹・慧
あの指輪を複製するとは、ハビタントもやってくれますね。
彼ら(この場の能力者達)の名誉の為にも、
この一件はこの場で終わらせましょう。
イグニッション!

僕もプリンは好きですから、あなた方を片付けたら
ゆっくり頂きますよ。

能力者達に対してはこちらからは仕掛けず、
彼らの攻撃を【護身術】で凌ぎ、
【グラップル】で関節を外す事で無力化しましょう。
すみません、ちょっと痛いですが、
能力者なら大丈夫ですよね?

リベリエ・プディングに対しては【功夫】の打撃による
接近戦を仕掛けていきます。
敵がUCを使用したならば、【玄武の真眼】による
【カウンター】を放って始末していきましょう。

アドリブ等、歓迎です。


暗都・魎夜
【心情】
あっぶねぇ
一瞬マジで空気に飲まれる所だったぜ
色んな『再現』で世界の危機を見てきたが、下手すりゃ第二次聖杯戦争の時並にやばいことになりかねねえぞ

【戦闘】
こいつ自体、カラメルを使った自己強化やスイーツに関する能力は侮りがたい相手だ
複製品がこの先にあることを考えると、油断してはいられねえな

「天候操作」で易しい雨を降らして、カラメルソースを溶かしつつ、万色の雷を用い攻撃、

攻撃を「見切り」で回避して、「斬撃波」で攻撃

「甘いものは嫌いじゃねえが、好きなもの位、好きに食わせろ!」

今回のガワは大人しいが、仮にも『カタストロフ』の起きた戦いか
気を引き締めていかねえと


龍巳・咲花
くっ、ハビタントが漸く再び尻尾を見せ始めたと思えば、一瞬平和ではと思ってしまったでござる!(甘党)
流石はオブリビオン汚いでござるう!

其方がプリンとカラメルソースで来るならば、此方は焼きプリンに焦がしキャラメル……じゃなかった、炎竜ムシュマフの首を召喚するでござる!
狙いを定められぬよう、拙者自身は龍脈鎖を利用したワイヤーアクションの如く急制動を取り入れながら戦場を駆け巡り手裏剣とクナイで牽制しつつ、呼び出した二体のムシュマフ首には火炎放射で薙ぎ払ってもらい、クリームブリュレに……じゃなかった、焼きブリオンにしてもらうでござるよ!
スイーツは依頼完了後にゆっくり楽しむでござる故!


スイート・シュガーボックス
プリンをいかが、だって?
じゃあ、遠慮なく貰おうかなッ!
ひゃー、美味しいッ!素晴らしい出来栄えだねッ!感服だよッ!俺も負けてられないなッ!

【君に届け、幸福のお菓子】。俺お手製のプリンをオブリビオンや能力者の皆に連続シュートッ!
プリンを食べさせて無力化するよ。
今回のオブリビオンは、俺と同じタイプのユーベルコード使いらしいね。親近感が湧くよ。
だからこの美味しいプリンを食べたら骸の海に帰ってくれないかな?

お菓子は全てを解決すると言う言葉には全面的に同意するけど、お寿司や揚げ物を蔑ろにするのはどうかな?
間食を否定する気は無いけど、ちゃんと食事を取ってから食べる締めのデザートも絶品だよ。


【アドリブ歓迎】




 ――イグニッション!
 山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)の『|イグニッション《起動》』の声が響くと同時に武装した猟兵たちが散開する。
『うふふ……さぁ、甘く蕩けるプリンはいかが?』
 向かってくる猟兵にリベリエ・プディングは微笑みとプリンをひとつ。黄色いボディに上部分に茶色いソースがかかるお菓子に、暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)と龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)が一瞬動きを止めた。
「……お二人とも?」
「あっぶねぇ……一瞬マジで空気に飲まれる所だったぜ」
「くっ、ハビタントが漸く再び尻尾を見せ始めたと思えば、一瞬平和ではと思ってしまったでござる!」
 ニーベルングの指輪による洗脳事件を防ぐためにやってきたわけだが、魎夜は思惑と実際にやっている事へのギャップに、甘党な咲花は美味しそうなプリンに心が動いてしまっていた。
「色んな『再現』で世界の危機を見てきたが、下手すりゃ第二次聖杯戦争の時並にやばいことになりかねねえぞ」
「流石はオブリビオン、汚いでござるう!」
「ええ、あの指輪を複製するとは、ハビタントもやってくれますね。彼ら(この場の能力者達)の名誉の為にも、この一件はこの場で終わらせましょう」
『まぁ、そんなに殺気立てないでしょうちょうだい? それはあまりにも苦すぎる、折角のお菓子が台無しよ。それにこのプリンは汚くないわ? こんなに綺麗じゃない』
「プリン、だって?」
 プリンに釘付けになったのは二人だけでない。ミミックのスイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)もだった。むしろ二人よりもぐいぐいと食いついていく。
「ぜひ! いただこう!」
 リベリエがスイートの口の中、ちょうどぽっかりと空いていた口の片隅に入れたのを確認すると、スイートは口を一回ぱたんと閉じる。
 突如震えだすスイート。その反応に身構える猟兵達だったが――。
「ひゃー、美味しいッ! 素晴らしい出来栄えだねッ! 感服だよッ!」
『そんなに喜んでもらえて嬉しいわ』
 美味しさのあまり震えていただけであったようだ。
 スイートの反応に洗脳された能力者たちもそうだろう、そうだろうと頷けば場の空気はもうお菓子評論空間。
「慧君も食べるかい?」
『美味しいぞ?』
「僕もプリンは好きですから、彼女たちを片付けたらゆっくりいただきますよ」
 スイーツと能力者達からの誘惑を振り切り、慧はリベリエ・プディングへと一気に距離を詰めれば甘い空気は一瞬にして張り詰めた殺伐した物へを一変する。
 戦い慣れていない彼女たちを守る様に立ち塞がるは歴戦の能力者たちが攻撃を放つ。その猛攻に慧は怯むことなく距離を詰め、今まさに技を放ったばかりにの能力者の腕をからめとると肘関節を極めた。
 ゴキン。嫌な音が響く。
『がぐあっ!!!』
「すみません。ちょっと痛いでしょうが、能力者なら大丈夫ですよね?」
「大丈夫じゃない音が聞こえたんだが?」
 能力者達を淡々と、的確に動きを止めていく慧の様に魎夜は心の言葉が漏れた。
 能力者を盾にしながらリベリエは美少女な頭がどろりと溶かす。彼女の頭を構成していたカラメルソースが音速を超える速さで猟兵に襲い掛かっていく!
「その手は一切通用しません」
 能力者を締め終えると慧は攻撃に向き直り障壁を作り出し攻撃を防ぎリフレクターの様に攻撃を相手に返しながら反撃で敵を倒していく。
「くぅぅぅ美味しそうでござる~~~!! でも今は我慢、我慢でござる!」
 咲花は部屋に張り巡らせた龍脈鎖を伝いマッハ5を超えるカラメルソースの攻撃を回避しながら、バビロニア忍者の力を使い炎竜ムシュマフを呼び出した。
「さぁいけムシュマフよ! あやつらをクリームブリュレに……じゃなかった、焼きブリオンにするでござる!」
 呼び主の言葉に応えて二頭の竜の首から火炎放射を放つ!
 直線状に発せられたそれはカラメルソースを飲み込むとカラメルの香ばしい香りを放ちながらリベリエたちをあっさりと巻き込んでいく。
(「気を引き締めねぇと。仮にも『カタストロフ』が起きた戦いだ」)
 敵のなりに引きずられてしまうが、此度の戦いは過去3回の戦いをも引き起こした原因ともいえるメガリスとの因縁の戦い。
 パァン、と魎夜は自身の頬を張ると、天に向かって高らかに告げる。
「……吹き荒れろ、銀の雨よ!」
 魎夜の言葉と共に部屋の天井よりはるかかなたより飛来するは|銀の雨《シルバーレイン》。優しい銀の雨が固まったカラメルソースを溶かし、万色の稲妻がリベリエたちの体を打ち据えていく。
「甘いものは嫌いじゃねえが、好きなもの位、好きに食わせろ!」
『くっ、まだよ……!』
「よぉーし、俺も負けてられないなッ! さっきのお礼にお菓子をどーぞ!」
 未だ抵抗の意志をみせる洗脳された能力者とリベリエたちに向けてスイートが口の中のお菓子箱よりクッキーを投擲する!
『美味しい……』
「でしょう? お菓子は全てを解決すると言う言葉には全面的に同意するけど、お寿司や揚げ物を蔑ろにするのはどうかな?」
 スイートがちらと体を傾けた先には隅に追いやられた忘年会の主役たちの寂しそうな姿。彼ら?の姿を見て能力者たちははっと我に返る。
「間食を否定する気は無いけど、ちゃんと食事を取ってから食べる締めのデザートも絶品だよ」
『はい……』
 しょんぼりしながら攻撃の手を止める能力者達。その横で、
「スイーツは依頼完了後にゆっくり楽しむでござる故! 御免!」
 咲花のムシュマフがリベリエたちを喰らっていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
あの忌まわしい『ニーベルングの指輪』まで持ち出してくるとは、ハビタント・フォーミュラとはなんて厄介な!
とにかく、虚妄の宴を終わらせましょう。

「全力魔法」毒の「属性攻撃」「範囲攻撃」「オーラ防御」「霊的防護」「魔力防御」「結界術」で胡蝶の盾。
私の周囲を、黒揚羽の群れで覆い尽くします。
ただ、蝶々は蝶々。巨大プリンを支えるのは苦手な部類。
「対空戦闘」「対空防御」で頭上から落ちてくるプリンをかわしていきましょう。

遊びはここまでですよ。「呪詛」を帯びた黒揚羽の群れに取り巻かれて、骸の海へ還りなさい。

洗脳された能力者の皆さんは、黒揚羽を顔に集らせて動きを封じておきましょう。虫嫌いさんがいたらご愁傷様です。




「あの忌まわしい『ニーベルングの指輪』まで持ち出してくるとは、ハビタント・フォーミュラとはなんて厄介な!」
 儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)はその表情に怒りを滲ませた。
 ニーベルングの指輪の影響で狂わされた人の数は星よりも多い。ハビタント・フォーミュラが何を企んでいるかは不明だが、その複製品を使って人狼はじめ能力者たちを狂わせる事は芽亜にとって許せない所業である。
「とにかく、虚妄の宴を終わらせましょう」
『貴方にできるかしら?』
 リベリエ・プディングはくすりと笑うと空想から生み出したプリンを芽亜の頭上に出現させる。
 被弾すればお菓子を食べたい欲が増幅され、今抱く怒りの感情すらも鎮めらてしまうであろう甘いあまい魅力的なプリン。
「さあ、可愛い私の分身たち。私を否むその感情を喰らってしまいなさい」
 芽亜が槍で地面を軽く叩くと同時に魔法陣が出現。同時に黒い蝶を自身の周囲に展開すると、攻撃を回避を図る。
『可愛らしい蝶ね。でもこの大きさには耐えられないんじゃない?』
「もちろん、分かっていますよ」
 無論、いかに数が多くても蝶は蝶。数は多くても巨大なプリンを支えられないのは芽亜も十二分に把握している。
 それでもわずかに落下スピードやタイミングをずらし確実に攻撃を避ける余裕が生まれれば良い。
「この時間こそが攻撃の一手なのですから」
『何を言って――』
 リベリエが気付いた時にはもう遅かった。
 彼女がぐるりと周囲を見渡せば辺り一面、自身をも黒い蝶が一面を覆っている事を。
 蝶が触れた箇所から力が抜けていくのに。
 全てがもう遅かった。
「黒揚羽の群れに取り巻かれて、骸の海へ還りなさい」
 言葉を返す時間もなく――リベリエ・プディングたちは黒い蝶が魅せる海の中に飲まれていった。

 芽亜は辺りが静かになったのを確認すると、自身を覆っていた蝶を散開させる。
「さて、能力者の皆さんを助けましょうかね」
 洗脳されていた能力者を無力化するために放っていた蝶を散らすべく辺りを確認しようとした、その時。
『蝶あwr!!!??虫fwsrちゅいおぇrちゅじytれwrtyふj!!!』
 蝶の群れの一角から突如悲鳴が響き渡る。どうやら虫嫌いの能力者がいた様だ。
「……ご愁傷様です」
 小さく笑うと芽亜は能力者を解放するために彼らに元へ駆け寄っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レモン・セノサキ
うんにゃ、プリンは結構
さっき頂いたスパイスティーの後味が飛んじゃうだろ

能力者との戦いは正直気乗りはしない、が
今回ばかりは仕方ない
C'mon、後輩共
おねーさんが稽古を付けてやろう

▲グラップル×▲戦闘知識で敵を相手取る
能力者には多少手心を加えるけれど
オブリビオンには「AS-EAGLE」の風噴射で▲瞬間強化した蹴りと
「sfz.275」の射撃&▲切断を絡めた猛攻を繰り出そう

敵UCで頭上に現れたプリンアラモードは【指定UC】の弾丸で破壊
飛び散ったスイーツ塗れに……なるとでも思ったか?
スイーツの破片全てをUCの効果で味方に付け
敵目掛けて一斉に突撃させる
スイーツに夢中になってるオブリビオンの頭をBANG★だ




 甘い香りが漂う能力者拠点に銃声が鳴り響く。
「能力者との戦いは正直気乗りはしない、が今回ばかりは仕方ないか」
 レモン・セノサキ(|Gun's Magus《魔砲使い》・f29870)が洗脳された能力者に鳩尾や掌底を加え無力化を図っていく。
 くるくる踊りながら迎え撃つのはプリンが大好きなリベリエ・プディングが甘いささやき。
『ほら、甘い甘いプリンはいかが?』
「うんにゃ、プリンは結構。さっき頂いたスパイスティーの後味が飛んじゃうだろ」
『そう言わないで? スパイスの香りすらも飛ばしてあげるわ』
 リベリエが言葉を紡ぐと同時に巨大なプリンをレモンの上に出現する!
 飛来する巨大なプリンはリベリエの描く理想のプリン。触るだけでもお菓子を食べたい欲が何倍にも肥大する。
 それに対しレモンは臆することなくにっと笑うと銃口を向け――。
「――BANG!」
 猛禽じみた銃声が轟くと同時に放たれた銃弾がプリンをいともたやすく砕いていく。
 四方八方、飛び散ったプリンの欠片は物理の法則に従って地面に落ちる――ことなく急に角度を変えてリベリエとまだ立っている能力者達に襲い掛かっていく!
『どうして!?』
 本来とは違う動きをするプリンに戸惑うリベリエ。対してレモンは手の中で銃を回しながらにっと笑うのみ。
「さぁねぇ、プリンもたまには違う事をしてみたかったんじゃない? 敵に味方するとかさ」
 自身のプリンの力を把握するリベリエはすぐさまに別の行動を取ろうとするが――プリンの破片が付着する事でその動揺はなりを潜める。
『まぁ、いいわ!プリン美味しいもの』
「そうかい、そんじゃあもっと食べてきな」
 攻撃の手が緩んだところでレモンが放つ銃弾がリベリエのプリンでできた頭を砕いていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ベンジャミン・バーニングバード』

POW   :    バーニングファイアーアタック
【自動小銃】を構えて【捨て身の覚悟】を纏い、発動前後が無防備となる代わりに、超威力・超高速・防護破壊の一撃を放つ。
SPD   :    バーベキュー式マーシャルアーツ
【自動小銃】【サバイバルナイフ】【召喚した軍用兵器】【バーベキュー用の串】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる(何度でも可/対象変更も可)。
WIZ   :    よみがえれ、ゆるキャラ分隊
【キリング・フィールド】の龍脈から1〜12体の【ベンジャミンに従うゆるキャラ】を召喚し、【自動小銃やサバイバルナイフ】で戦わせる。[自動小銃やサバイバルナイフ]の威力は召喚数分の1に減衰する。

イラスト:ゆりちかお

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠バルタン・ノーヴェです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 戦闘が終わり、楽し気だったパーティ会場を支配していたリベリエ・プディングは姿を消し、大半の能力者達は無力化し会場のそこらかしこに転がっていた。
 あとは洗脳効果を解くだけである――
「そうか、|このメガリス《ニーベルングの指輪》の力はこんな風作用していたんだ。複製品ですらこんな力を持つんだ、本物ならばもっと面白い事ができたんだろうね」
 甘いにおい立ち込める会場内に突如愛くるしい声が響き渡る。
 はっと声が聞こえた場所に目を向ければ、愛くるしいあひるがそこにいた。
「こんなものを使ってハビタント・フォーミュラが何やりたいかは分からないけど、ぼくはぼくの目的のために動かせてもらおうとしよう」
 そういうとあひるはぎょろりと大きな目と無骨な自動小銃を猟兵達に向けた。
「一応|きみたちの主人となるものとして《・・・・・・・・・・・・・・・》挨拶しておこうか。ぼくはベンジャミン。きみ達を傘下に収めたら君たちには閻魔王確保のために動いてもらおうよ」
山吹・慧
閻魔王確保というワードが気なる所ですが、
聞いた所で教えてくれるわけないですよね。
猟兵相手に取らぬ狸の皮算用はよろしくありませんよ。
忌まわしいその指輪は、この場で破壊させてもらいます。

無力化した能力者達を巻き込まないように
敵の注意を引きつけながら戦いましょうか。
【セカンド・イグニッション】を発動。
【衝撃波】で牽制して間合いを詰めてから、
接近戦を仕掛けていきます。
敵の攻撃はエンジェリックウイングの
光の【羽を飛ばす】【目潰し】を放って
攪乱してから【集中力】で回避。
敵の攻撃を凌いだならば【気功法】で高めた
【功夫】の打撃の【乱れ撃ち】を放って
一気に攻めましょう。




「閻魔王確保というワードが気なる所ですが、教えてくれるはずがありませんよね」
『教えるよ、僕に従ってくれるならね』
 山吹・慧の問いに燃える鳥、ベンジャミンが応える。
 だが、ベンジャミンがいう従うというのは自発的な物ではない事は慧は理解していた。
 ニーベルングの指輪。人狼騎士たちを始めとした能力者を洗脳したメガリス。
 清廉騎士カリストの手から離れ洗脳から解放されても、その間に取り返しのつかない罪を背負わされ、苦しむことになった人も数多い。
 そして今まさに苦しむ人が増えようとしている。
 ちらり、うめき声をあげながら地面に倒れる|能力者《後輩》たちに一瞬だけ目をむけ――直ぐに目の前のベンジャミンへ移す。
 そうしてすっ、と目を細めると慧は武器を構えた。
「お断りです」
 ベンジャミンとの距離を詰めるのと同時に慧の背中より展開した翼が羽ばたくと、魔早い光を輝く羽が地上へと降り注いだ。
『――目潰しかい?』
 白く眩く羽はあまりの眩しさに目を焼かれるベンジャミンだが銃口は冷静に慧がいた場所と動きを予測した場所に向け、
『生憎君の動きは読めてるんだよね』
 引き金を引けば銃弾銃弾が波状となって慧に襲い掛かるが、それに臆することなく慧は己の武器を握り直した。
「起動せよ、詠唱兵器! 更なる力を見せよッ!」
 セカンド・イグニッション。詠唱兵器が慧の思いに応え駆動数を跳ね上げ――剣を振り抜くと同時に発せられた衝撃波が鉄の驟雨を悉く振り払う!
 散開する銃弾を潜り抜け、慧はベンジャミンとの距離を詰めると力をためていた両手を握りしめる。
「忌まわしいその指輪は、この場で破壊させてもらいます」
 これ以上彼らと――あの人と同じ苦しみを生む人が出ない様に。
 願い込められた打撃が、ベンジャミンの体にしかりと叩き込まれた!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍巳・咲花
拙者等の主人となるでござるか?
ならばそれ相応の力を示してもらわないとダメでござるなあ!
それにお主も龍脈の力を利用できるのであれば、龍陣忍者として術比べを受けて立つ他ないでござる!

まずは地面から生やした龍脈鎖やマフラーで銃弾を逸らしつつ戦場を駆け、本体と呼び出されたゆるキャラ分隊に匂い付け用の特殊な棒手裏剣を投擲するでござる
これ自体に対した攻撃力はないでござるが侮ることなかれ、匂い付けが終わった所で煙玉で戦場を包み込むでござろう!
後は下手に発砲すればフレンドリーファイアになる煙幕中、此方は匂いを辿りムシュマフの首が確実に仕留めていくでござるぞ!
これが龍脈を利用する忍びの戦い方でござる!


暗都・魎夜
【心情】
猟書家云々の事情に明るくはねえが、こいつが強敵って言うのには同意だ
こんな奴の手に複製品の力が渡ったんだ
自由にさせておくわけにはいかねえぜ

「俺は通りすがりの能力者さ。覚えておきな! イグニッション!」

【戦闘】
見た目こそふざけているが、実力は本物だな
実際手を合わせてみて、はっきりとわかるぜ
当人の戦闘力はもとより、指揮官としての能力も高い

自動小銃による突撃を「見切り」「心眼」で回避
「フェイント」「足払い」で隙を作り、「リミッター解除」「グラップル」でUCの蹴りを叩き込む

生憎と俺の上に立たせてはやれねえな
横に立つ仲間としてだったら、案外楽しかったかもしれねえけどよ




『猟兵の力は強大だ。だからこそ従える事ができれば僕の、|彼女《ハビタント・フォーミュラ》の願望成就に大きく近づく』
 幾度目かの銃声が鳴り響けばそれに応えて暗都・魎夜は能力者達を庇いながら攻撃を凌いでいく。
「随分大きく買ってくれるじゃねぇか」
「拙者等の主人となるでござるか? ならばそれ相応の力を示してもらわないとダメでござるなあ!」
 龍巳・咲花も鎖鎌で銃弾を弾きながらベンジャミンの言葉を拒否する。
「生憎と俺の上に立たせてはやれねえな。横に立つ仲間としてだったら、案外楽しかったかもしれねえけどよ」
『そうかい、やっぱり君たちには体に直接聞かせないと駄目だね』
 咲花の言葉に頷き、魎夜が拳を構えるか否かのタイミングでベンジャミンが魎夜の懐へ潜り込み、銃口を向ける!
「うおっ!」
 魎夜はすぐさま身を横にずらしながら銃身を掴み銃口を外へずらすと、そのままベンジャミンの体を殴りつけた!
 ベンジャミンが顔に似合わぬ舌打ち一つかますと腕をあげる。
『ゆるキャラ分隊、前へ!』
『あいさー』『ほいさー』『やってやんよー!』
 どこからか武器を持ったベンジャミンを小型化してデフォルメ化したような出で立ちのアヒルが現れ――猟兵に向けて一斉掃射!
「ちっ……見た目こそふざけているが、実力は本物だな」
 魎夜は冷静に相手を見ながら距離を開ける。
 そして、ゆるきゃらの猛攻をいなしながら咲花が確信めいた呟きを零す。
「あれは……!」
「分かるのか?」
「うむ。キリング・フィールドの龍脈から生み出した――ゆるきゃらでござる!」
『『いえーーいベンジャミングでーーーす!!!!』』
 同じく龍脈使いの咲花はその正体が分かったようである。
「キリング・フィールドってもっとおどろおどろしい物だった気がしたんだが……」
「ゆるいでござるよなぁ……」
 分かりはしたけど何故あそこからゆるキャラの形で姿を現しているのかは、不明である。
「なんにせよこんな奴の手に複製品の力が渡ったんだ、自由にさせておくわけにはいかねえぜ!!」
「うむ! 拙者も同じ龍脈使いとしても負け入られないでござるな! ――とうっ!」
 気合の声と共に連続して投げられた棒手裏剣はゆるきゃらたちの頭にぶつかる。
『きかなーい!』『ざーこざーこ』
 当たっても全く痛くないその一撃にゆるキャラたちは咲花を馬鹿にするも、少女煽られる事無く的確に某手裏剣をぶつけていく。
「そろそろでござるな――では狩り時よ!」
 煙玉を地面に叩きつければ濛々と煙が立ち込めた。
 ほんの数十センチ先も見えなず下手をすれば同士討ちの可能性もある中、咲く花が召喚した竜は的確に食らっていく!
『あー!』『いたーい!』『きゃー!』
「刮目せよ! これが龍脈を利用する忍びの戦い方でござる!」
 ゆるキャラたちのゆるい悲鳴が戦場に響き渡る。その効果もあって戦場の注意が咲花と操る竜に意識が向いた。
『慌てるな、隊列を組みなおせ――』
 ぞくり。ベンジャミンの背後に寒気を感じる。
 その正体を目で確認することなく、銃口を向けるが
「見せてやるぜ」
 その前に重い足さばきがベンジャミンの足へと決まる!
 体勢を崩したその瞬間を狙い脚甲に力が籠められる。
『――! その力、まさか……』
「これが死を超越した力!」
 「生と死の境界線」で手に入れた力――重力が込められた一撃がベンジャミンの胴体と叩きこまれれば、ベンジャミンの体が壁にへと叩きつけられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スイート・シュガーボックス
むむむ、なんだか悪そうなゆるキャラが登場したね。
その指輪を悪い事には使わせないぞッ!

龍脈からゆるキャラが沢山湧いてきたッ!?
なら、ゆるキャラ達にお菓子が持つ力を見せてあげるよッ!
【君に届け、幸福のお菓子】ッ!
プリンやケーキ、ドーナツ等をゆるキャラ達の口にシュート。幸せの味で戦意喪失させるよ。
そうだ、会場には能力者の人達が残したお菓子がまだ沢山あるから戦いなんてやめてこのままお菓子パーティーと洒落込もう。
戦意喪失したゆるキャラ達に『不思議なティーポット』で美味しいお茶をいれていくよ。
そう、君達が持つべきは自動小銃やサバイバルナイフではなくティーカップさッ!


【アドリブ歓迎】




『お前たち、倒れている能力者達を確保しろ! あとで再洗脳をおこなう』
『あいあいさー!』
 キリング・フィールドの龍脈より召喚されたゆるきゃら――ベンジャミンをデフォルメを効かせた見た目をした――に命令を下すと、ベンジャミンは戦線の最前線へと戻っていく。
『にしてもだるーい』『働きたくない』『まぁ仕事だしがんばるべ』
 背中を見送ったゆるキャラ分隊だが――どうにもテンションが上がらない。
「龍脈からゆるキャラが沢山湧いてきたッ!?」
 突如現れ能力者達を見繕い始めたゆるキャラ分隊にスイート・シュガーボックスは驚きを隠さない。
『なんだいきみー』『新しい|後輩ゆるキャラ《ライバル》?』『やってやんよ~』
 ミミックのスイートに対して何か誤解をしているゆるキャラたち。
 それに対してスイートは体をぶんぶんと横に振る事で否定する。
「ちがうよ、僕は猟兵さ。良かったらおひとつどうぞ!」
 そういってゆるキャラたちの口に向けてプリンやケーキ、ドーナツ、クッキーといったお菓子をシュート。
 ゆるキャラたちは最初こそ眼を白黒させて吐き出そうとするも、一口、さくりと食べてしまえばあとはずっと口を動かしていく。
『うまっー!』『やっぱゆるキャラにはお菓子だよね~』
 あっという間に戦意が失われた(元から無かったかもしれないが……)ゆるキャラたちにスイートは内心ほっと胸をなでおろした。
「戦いなんてやめてこのままお菓子パーティーしない?」
 そうして提案するスイート。この提案は彼らの動きを妨害したい意志もあるが……なにより会場には能力者達と先のリベリエ・プディングが残したお菓子がまだ沢山あるのだ。このまま置いておけば戦闘に巻き込まれてぐちゃぐちゃになってしまうかもしれない。
 お菓子で世界を笑顔にする願いを託されたスイートにとってそれはそれは悲しい事。折角なら皆で笑顔になりたいのだ。
 口をもぐもぐさせながらゆるキャラたちが互いの顔を見合う事数秒――。
『さんせーい!』『何食べる?』『あっちから持ってくるね~』
 ゆるキャラたちの動きは早かった。召喚主に気付かれない様に戦闘に参加してる風を醸しながら会場内に散らばっておかれていたお菓子が会場の一角――ベンジャミンからは死角になる場所へと集めていく。
 ゆるキャラがせっせとお菓子を集めている間にもスイートもお菓子パーティ会場(仮)を整えていく。
 クリスマスらしいサンタさんが描かれた敷物に可愛いお皿、そしてお菓子には欠かせない飲み物がたっぷり入ったティーポット!
「よーしそれじゃあ皆飲み物はもったかな? いくよー!」
 ――メリークリスマス!
 銃声響く戦場の一角、ティーカップの間からチンッと可愛らしい音が鳴り響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
何やらやる気を削がれるものが出てきました。
これが『ニーベルングの指輪』の複製品を持つオブリビオンですか。ならば、容赦は無用です。

「全力魔法」「呪詛」の「属性攻撃」「範囲攻撃」「オーラ防御」「霊的防護」「受け流し」「魔力防御」で胡蝶の盾。
攻防一体の私の領域で、自由に動けるとは思わないでください。揚羽蝶の渦が、銃弾もナイフも跳ね返します。
そして、揚羽蝶を集らせて「呪詛」を流し込み、生命力吸収と「魔力吸収」。ゆるキャラ全部、黒揚羽の群れの中に沈めます。

邪悪なゆるキャラはギャップ萌えとでも言いたいんですか? それは断じて違いますよ。ギャップ萌えは、普段情けない人が格好良く振る舞ってみせるからこそです。


レモン・セノサキ
私の主人になるだぁ?
止めとけ止めとけ、私なんぞ飼っても「獅子身中の虫」になるのがオチだぞ☆
(嘘は言ってない)
(なんせ|嘗ての主《生と死を分かつもの》を裏切る形で此処にいるんだから)

おおっと、多勢に無勢って奴か
「AS-EAGLE」の風の力で加速、銃弾を掻い潜って拠点内を逃げ回ろう
手ごろな場所に身を隠し、「霊体外套」で見つからないようカムフラージュ
【指定UC】を発動する

偽身符の残骸を撒きながらの逃走だったからね
ざっと140体以上、あちこちにナンバードの私が出現したって訳だ
最初に言った筈だぞ、多勢に無勢ってな
拠点内のゲリラ戦、精々|Sitting Duck《カモ》にならないよう頑張って見せてくれよ




『流石は猟兵だ。一筋縄では君たちを従えないね』
 ベンジャミン・バーニングバードが負傷した部位を庇いながら立ちまわる。
 彼とてただのオブリビオンではない。別世界で猟書家を名乗り活動していた自負がある。
 ゆえに、この場を自身の力だけで勝つことは難しいのだと、悟っていた。
「降参しますか? 降参しても逃しはしませんが」
「私の主人になるだぁ? 止めとけ止めとけ、私なんぞ飼っても「獅子身中の虫」になるのがオチだぞ☆」
 儀水・芽亜とレモン・セノサキは攻撃の手を緩めることなく告げるも、ベンジャミンの目からはまだ闘志は消えていない。
『いいや、君たちが多数で攻撃をしてきたのと同じような事をすれば、勝ち道はある!』
 ベンジャミンの声と共に後方――生と死を別つキリング・フィールドが出現する。その領域内からは複数体の個体が姿を現す!
『やほー!』『ベンジャミンズをよんだかーい?』『キリング・フィールドで僕と握手ー!』
 ベンジャミンの・バーニングバードを小型化し、デフォルメを強くしたようなあひるのゆるキャラたちがポーズをとる。おのおの可愛いポーズを取りながらも手の中に凶器を握っている。
「……みための可愛さと持っている物のギャップが激しすぎませんか」
 芽亜は呆れと驚きが混じった言葉を零した。

『おまえたち、あいつらを拘束しろ! 場合によっては殺しても構わない!』
『あいあいさー!』
「おおっと、多勢に無勢って奴か」
 ベンジャミンズはまずはレモンの元へと集まり動きを封じようとするが、その意図を察したレモンは風の魔石片の力を直ぐに起動し、会場内を駆け回る!
「ここは逃げるしかないよね!」
『おえーおえー!』『に が さ ん』『ごようだごようだー!』
 紙をまき散らしながら逃げるレモンの後ろを追いかけるベンジャミンズ。
 その横で別のベンジャミンズが芽亜をぐるりと包囲する。
「何やらやる気を削がれるものが出てきました」
『おとなしくこうさんしろー』
『今なら楽にはいかになれるよー』『なったあともたいへんだけど~』
 何やらゆるキャラにしてはブラックな事を口々に囀るベンジャミンズに芽亜は小さくため息をつきながらスタンドマイクの形をした声楽杖の先で地面に軽く叩く。瞬間、彼女を中心に地面からゆるりと黒揚羽蝶の群れが姿を現した!
『なんだこれ!?』『はなれろー!』『でるとこでるぞー!』
 蝶々に触れると力が抜けると瞬時に悟ったベンジャミンズはすぐにおのれの武器を使って引き剥がそうとするが無数に近い蝶を振り払う事は叶わなかった。
「先ほどから聞いていましたが、あなた達は随分見た目と中身の差がありますね」
『かわいいでしょ?』
「……邪悪なゆるキャラはギャップ萌えとでも言いたいんですか? それは断じて違いますよ。ギャップ萌えは、普段情けない人が格好良く振る舞ってみせるからこそです」
『そ、……』
 その声に答える間もなく、ベンジャミンズは蝶々の群れに飲み込まれ沈黙していった。

『馬鹿な。奴らが全滅……?!』
 黒揚羽に飲み込まれたベンジャミンズを見てベンジャミンは驚くと同時に撤退を即決する。
(『複製のニーベルングの指輪はまだぼくの手の中だ。ここで逃げれば同じ作戦を、改良した作戦を実行できる……!』)
「「なーんて考えているだろうが、そいつは無理な話だぜ」」
 戦場にレモンの声が複数に重なって響き渡る。ベンジャミンが辺りを見渡せば前に、後ろに、横に――総勢140体のレモンがその場にいたのだ。
『なんでこんなに……!? まさかナイトメアビースト?』
「偽身符の残骸だよ。最初に言った筈だぞ、多勢に無勢ってな」
 ベンジャミンの前のレモンが笑うと、みんな笑いながら2丁のガンナイフを構えた。
「拠点内のゲリラ戦、精々|Sitting Duck《カモ》にならないよう頑張って見せてくれよ」
 レモンが引き金を引くと咆哮じみた銃声がパーティ会場に響き渡った。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『寂しがり屋の苺雪兎』

POW   :    ヘヴンリィ・ストロベリー・ストーム
戦場全体に【苺果汁の雪(ストロベリースノウ)】を発生させる。レベル分後まで、敵は【苺色のベタつく雨】の攻撃を、味方は【優しい雪】の回復を受け続ける。
SPD   :    小苺奏甲
【小さな苺】を纏わせた対象1体に「攻撃力強化」「装甲強化」「敵対者に【苺の香りによる腹ペコ状態】を誘発する効果」を付与する。
WIZ   :    苺影杖
自身と武装を【苺のオーラ】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[苺のオーラ]に触れた敵からは【生命力と満腹感】を奪う。

イラスト:nico2

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ベンジャミン・バーニングバードが致命的な一撃によって倒れるのと何かが砕ける甲高い音が響くのはほぼ同時だった。
「あれ、私いったい……」
「オレ達忘年会していたはずじゃ……?」
「てかなんでこんなに甘いにおいが?」
 目の前に広がる惨状に混乱する能力者達に猟兵達が状況を説明すると、彼らはほっと胸をなでおろした。
「そんな事になってた何て……」
「操られたのは恥ずかしい事だけど、近隣に迷惑がかかる前に止めて貰えて本当に良かった」
「まじありがとうございます!」
 能力者の感謝の言葉と共に猟兵達は帰還しようとしたが、それは天井を突き破って轟く万色に輝く雷によって阻まれた!
『――まだ終わらないのです』
 落雷の着地点、煙と共に現れたのは苺をあしらった衣装と装飾に身を包んだ少女達。
 少女たちは猟兵達の姿を認めると恭しくカーテシーを一つ入れると言葉を紡ぐ。
『リベリエ・プディング、ベンジャミン・バーニングバード。彼女たちに足りない物がありました』
「足りない物――?」
『彼女たちに足りなかったのは――酸味、すっぱさです』
「「「はぁ?」」」
 一気に雲行きが怪しくなってきた。
『どんなに美味しいお菓子でも甘みだけではいずれ飽きてしまいます。だからと言って苦みや辛みが伴っては美味しいお菓子とは言えないです』
 戸惑う猟兵達をよそに、色んなお菓子に喧嘩を売りながら少女達は持論を述べ続ける。
『ゆえに私たちはこの苺の甘酸っぱさをもって、みんなの心を甘く染め上げるです』
 言っている事は滅茶苦茶だが、彼女たちは至って真面目。自身の体に手を差し入れ、苺を模したであろう杖を取り出す。
「えっと……とりあえず猟兵の皆さん、あれは抗体ゴーストです。あんな感じですがかなりの強敵のはずですので気を付けてください!」
「私たちも一緒に戦います! 彼女たちを退治しましょう!」
 何はともあれ能力者達の支援も受けながら猟兵達は本日3度目の戦いに挑むのだった。
 
スイート・シュガーボックス
足りなかったのは――酸味…確かに一理ありだね。どんなに素晴らしいお菓子達でも同じ様な甘みじゃ飽きが来る。アクセントは大事だしねッ!
なるほど、相手にとって不足なしみたいだッ!

さあ戦闘…抗体ゴーストが小さな苺を纏いだしたぞ!?しかも能力者の皆が苺の香りによる腹ペコ状態になっちゃった!?
大変だ。こんな時にはなにが必要か。…そうだね、お菓子だねッ!
いくぞッ!【お菓子満ちる回転嵐】ッ!

うおりゃああああッ!俺も負けてられない、苺を使ったお菓子で対抗だッ!
苺エクレア、苺シュークリーム、苺大福等の苺パラダイスッ!能力者の皆のお腹も満たすし、ゴースト達にも俺のお菓子を味わってもらうよッ!


【アドリブ歓迎】




「足りなかったのは――酸味…確かに一理ありだね」
 スイート・シュガーボックスが頷くように体を上下に揺らした。
 美味しいお菓子とはいえやはり甘いだけでは一辺倒だけでは飽きてしまう。
「なるほど、相手にとって不足は無しみたいだッ!」
『スイートさん、ここは私が!』
 構えるスイート。しかし、スイートの姿を見て戦闘は不向きと判断した能力者の一人が躍り出ると、苺白兎たちに獲物を振るおうとする。
『あなたも苺の虜にしてあげるです』
 苺雪兎が杖を振るえばポンと現れたのは鈴なりの苺。能力者が攻撃を仕掛ければそれに呼応するように苺が前に飛び出した。
 攻撃を受けた苺はそのまま潰れ、甘酸っぱい苺の香りが能力者に纏わりつけば、その能力者はうっと腹を抱えて苦しみだす。
「わわっ、大丈夫かい!?」
『ううっ……お腹すいた……』
 慌てて近寄るとお腹を抱えながら空腹を訴える能力者。
 どうやら先の苺に被弾すると空腹を訴えるようになるようだ。スイートは大丈夫だと頷くと、意を決する。
「大変だ。こんな時にはなにが必要か。……そうだね、お菓子だねッ!」
 そう、お菓子。こんな時だからこそお菓子である!
 スイートはぐっと体を傾けて助走をつけると――ぐるんぐるんと体を回しはじめた!
「おりゃああああッ! 俺も負けてられない、苺を使ったお菓子で対抗だッ!」
 そうして彼の体からぽろぽろと零れてきたのは苺エクレア、苺シュークリーム、苺大福、苺タルト等――苺を使ったお菓子たち。
 そう、苺パラダイスッ!
「さぁ、食べるんだ!」
『わぁっ、美味しそう……!』
 能力者がパクリと苺エクレアを口に含む。サクッとした皮を食めば中から溢れるクリーム、そして苺。
『し、しあわせの味がする~!』
 美味しさにばたばた悶える能力者を遠目から眺める苺白兎たち。そんな彼女らをスイートは見逃しはしなかった。
「そこの苺の君たちも!」
『いいんですます?』『それじゃあ遠慮なく』
 そうして能力者と苺を求めた少女達のひと時のお菓子タイムが始まったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
まあ、言ってることは同感だ
甘味だけの世界はつまらねえからな
「単にお前の願いが甘いものの素晴らしさを伝えたいだけなら、戦うつもりはねえが、その辺どうなんだ?」

【戦闘】
抗体ゴーストの恐ろしさだったら、よく知ってる人間の一人だ
あの時に比べりゃ、こんだけ人数残っているだけ上等だぜ

「(能力者たちに)ここで生き残ったら、寿司と焼肉と最高のスイーツで忘年会、全員分、俺の奢りでやってやる。絶対死ぬなよ!」

「コミュ力」「鼓舞」で指揮を執る
「リミッター解除」「天候操作」で能力者を支援しつつ、「限界突破」「電撃」「斬撃波」で攻撃

「師匠が言ってたぜ、"生きて帰って、みんなで食べる飯に勝るものは無い"ってな!」


儀水・芽亜
あの銀の雨降る時代を駆け抜けた私たちが、今更抗体兵器程度で怯むとでも?
抗体兵器を使うものは生命の敵。かつてのように討滅して差し上げましょう。

「結界術」「全力魔法」「範囲攻撃」夢の「属性攻撃」「霊的防護」「魔力防御」「浄化」でサイコフィールド。
とりあえず空腹感はこの結界の力で取り除きましょう。
さあ、抗体オブリビオンの皆さん、まぶたが重くなってきませんか? 安らかにここで眠ってもいいんですよ。きっといい夢が見られます。

能力者の皆さん、彼女たちを下手に起こさないよう、一撃でとどめを刺して回ってください。
|眠り《ヒュプノス》は|死《タナトス》の兄弟。タルタロスならぬ骸の海へお還りなさいな。




『ううっ、腹減った……』『スイーツ……』『肉……』
 苺白兎の杖が舞えばその軌跡と重なる様に鈴なりに実る、苺。その甘い香りに鼻腔をくすぐられれば能力者達はたちまちのうちに空腹となり膝を折った。
「単にお前の願いが甘いものの素晴らしさを伝えたいだけなら、戦うつもりはねえが、その辺どうなんだ?」
 暗都・魎夜は彼らが倒れているの横で武器を構えながら苺白兎たちに問いかける。
『そうですね、素晴らしさを伝えるだけなら戦う必要はありません』
『ならここは見逃してくれますです?』
「……無理だな」
 一瞬の逡巡の後に、魎夜は首を横に振った。
 いかに無害に見えても抗体兵器を持つ|ゴースト《オブリビオン》を世に放てば洗脳効果が無いとはいえ、リベリエ・プディングのように苺を押し付け一般人たちに被害が出る可能性もあるのだ。
「ましてやお前達は抗体兵器持ち。能力者達への影響が大きいな」
「ええ。ですが、あの銀の雨降る時代を駆け抜けた私たちが、今更抗体兵器程度で怯むとでも?」
 儀水・芽亜もゴーストを知る世代。いかに抗体兵器を持ったゴーストが強力だとはいえ、かつて戦ってきた相手に遅れを取る理由など無い。
「抗体兵器を使うものは生命の敵。かつてのように討滅して差し上げましょう」
『むぅ、それではみなさんが苺の魅力に取りつかれている間に』『この場を切り抜けるです』
 苺白兎たちが再び鈴なりの苺を生み出し甘酸っぱい香りを展開し、こちらの戦意を削ごうと試みる。
「抗体兵器を見てきた世代として、負けるわけには行きません」
「だな! ……おまえたち、ここで生き残ったら、寿司と焼肉と最高のスイーツで忘年会、全員分、俺の奢りでやってやる。絶対死ぬなよ!」
『えっ、マジですか!?』『さっすが先輩!!!』
「あら? それは良い事を聞きました」
 がばっと復帰した能力者達を見て芽亜がふふっっと微笑んだ。

「では私も尽力させていただきましょうか」
 芽亜がドーム状の結界を展開する。鴇色の陽炎に包まれた結界内に閉じ込められた苺白兎たちはすぐさまに苺を結界にぶつけ脱出を図ろうとする。
 柔らかい物がぶつかる音が立て続けになると同時に甘酸っぱい香りが広がっていくが、やがてその音も段々と数が減っていき――今度は苺兎たちがたちまちのうちに膝をついていく。
「さあ、抗体オブリビオンの皆さん、まぶたが重くなってきませんか? 安らかにここで眠ってもいいんですよ」
『本当に……?』
「ええ、きっといい夢が見られます」
 その言葉に抗えなかった苺白兎たちは瞼を閉じる。
 ぽんぽんと音が聞こえたので目を覚ませば彼女たちの前に現れたは大好きな苺をいっぱい使ったお菓子たちがぽんぽんと音を立てながら現れるではないか。
『ああ、本当!』『とっても美味しい!』
 口に含んだお菓子に舌鼓を打つと彼女たちはもっと美味しいお菓子を求め夢の奥へと潜っていくのだった。

「|眠り《ヒュプノス》は|死《タナトス》の兄弟。タルタロスならぬ骸の海へお還りなさいな」
 苺白兎たちのほとんどの動きが止まったところで能力者達と、魎夜が芽亜の脇を駆け抜けていく。
「魎夜さん、能力者の皆さん、彼女たちを下手に起こさないよう、一撃でとどめを刺して回ってください」
「任せろ! いくぞお前達!」
 魎夜の掛け声と共に戦場全体に|銀色の雨《シルバーレイン》が発生する。シルバーレインは空腹に耐える能力者達の飢えを癒し、先ほど似たような万色の稲妻が今度は抗体兵器を持つ苺白兎たちを打ち据えていく!
「師匠が言ってたぜ、"生きて帰って、みんなで食べる飯に勝るものは無い"ってな!」
『良い言葉っすね!』『俺、その言葉を守れるように頑張ります!』
 飢えながらも戦意を維持し、先程の雷に打たれた個体から確実に仕留めていく能力者達を現金だなと苦笑を交えると魎夜も負けじと前線に躍り出る。
 そうしてリミッターを外した剣から振るわれた衝撃波が然りと彼女たちの体躯を捉えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レモン・セノサキ
抗体ゴーストねぇ……
悪いが、それを聞いちゃ甘酸っぱいままじゃ居られないな
不倶戴天
抗体は須く滅ぶべし
これが私のポリシーだ

「トラップダイス」を爆ざし、消臭煙幕を充満させる
敵UCの腹ペコ状態誘発を妨害させて貰おうか
悪いね、苺の香りって苦手なんだ
――嘘だけど

【指定UC】発動
どうも周囲には銀誓館も居ルようだしね
あまり真の姿は見られたくないんで、ギリギリ理性を保持出来る20秒でケリを付けたい
遠距離からの大鎌の奇襲、強化された装甲さえも「抗体兵器」での▲切断を試みル

同族嫌悪?
ああ、その通り
『私を含め』抗体は須く滅ぶべし、だ
『その時』が来ルまで私は逝けないが
手前ェはとっとと先に逝け




 苺の甘い香りが周囲に充満する。
 その匂いが鼻をくすぐればあっというまに空腹を訴えるその香りの中にいても、レモン・セノサキは全く意に介していなかった。
「抗体ゴーストねぇ……」
『あなたも甘さに溺れるです』『とても美味しいですよ』
 白兎は甘く囁きながら鈴なりの苺をレモンに向けて射出する。
 苺を避けながらレモンが周りを目をやれば、周囲には能力者、そして銀誓館学園出身であろう猟兵達が抗体ゴーストたちと戦いを繰り広げている。
(ああ、まずいな。あの姿を見られルのは良くない)
 しかし、目の前の苺を振りまく女たちは絶対に倒さねばならない。
 使命? 責任感? 違う。
「――悪いね、苺の香りって苦手なんだ」
 懐から多角形にカットされた宝石のような物――サイコロを取り出すと、
「――嘘だけど」
 そのまま地面に叩きつけた!

 ぼんっ!小さな音に似合わない煙の量が巻き起こり辺り一帯に充満した。
 煙が巻き起こると同時、甘くも繊細な苺の香りは硝煙の香りによってあっという間に塗り替えた次の瞬間、煙の中から少女たちの悲鳴が沸き起こる!
『隠れながら攻撃してるです……?』
 ひとりの苺白兎の杖を握る力が強まる。
 視界を悪くなったところを|友達《同胞》たちを各個撃破していると踏んだ彼女は実った苺を自身を守る様に周りに展開した。
 煙が晴れるまで凌げばこちらの勝ち――そんな甘い考えは煙を引き裂いて現れた『ソレ』の姿に打ち砕かれる。
「20秒しかもたないかラ、さっさとケリを付けようか」
 白兎の前にいたのは、手に大鎌、下半身が骨のレモンの真の姿。
『どうして? なんで"トゥルダク"が私たちに……!』
 レモンの姿を見て、苺白兎が震えながら声を絞り出す。
「どうして? 抗体は須ラく滅ぶべし。それが私のポリシーだからさ」
 問いに答える前に白兎は苺ごと頭から綺麗に真っ二つ。白い髪も苺の様に赤く染まりそのまま倒れこんでいく。
『貴方も私も、同じ抗体ゴーストだというのに……?』
「ああ、その通り。『私を含め』抗体は須く滅ぶべし、だ」
 怒りと悲しみを訴える目にレモンは自嘲めいた笑みを向けた。
 レモンは抗体ゴーストを倒すのは使命感でも責任感でもない、同族嫌悪だ。
 その思いだけが彼女をこの戦場に立たせる。
「『その時』が来ルまで私は逝けないが……手前ェはとっとと先に逝け」
 白兎は何事か呟こうとしていたが――言葉を紡ぐ前に雪の様に溶けて消えていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍巳・咲花
苺の良い香りに、言ってる事もまあ一理あるでござるが……それは置いておいて、敵は抗体兵器を持った多数相手でござるからな、油断はできぬでござる!

其方が抗体兵器を持ちだすならば、此方もメガリスを使わせていただくでござろう!
味方の猟兵と能力者の方々を龍脈の力で強化を掛けつつ、その上で印を結び龍陣忍法「禍福糾纆」で特殊空間を展開するでござろう!
敵の攻撃を緩和しつつ傷付いても即治療し、敵にはかつてこの地で起きた戦いによる致命傷を再現して屠っていくでござるよ!
日本はどこでも先人の方々の戦経験豊富でござるからなあ、皆々様方が積み上げてきた戦いの上に成り立つ平和の重み、受けてみるでござろう!




 苺白兎の脳天に刺さる鎖鎌の分銅はたわわに実った苺が身を呈する事で防がれた。
『無駄なのですよ』『さぁ、あなたも苺とお菓子を食べましょうです』
「苺の良い香りに、言ってる事もまあ一理あるでござるが……」
 甘酸っぱい苺の香りに少しばかし飢えを訴えかけるお腹を認識しないふりをして龍巳・咲花はきっと苺白兎たちを睨みつける。
 今の咲花は甘いものを目の前にしても一部の油断も隙も無かった。
「敵は抗体兵器を持った多数相手でござるからな、油断はできぬでござる!」
 抗体兵器。ゴーストが持つ詠唱兵器と言えば分かりやすいだろうか。そのような武器を持つゴーストは非常に強大な力を有している。
 その事を知っているからこそ赤茶の目には研ぎ澄まされた戦意が宿っていた。

「其方が抗体兵器を持ちだすならば、此方もメガリスを使わせていただくでござろう!」
 懐から取り出したるは楔――メガリス『龍陣ノ楔』。
「我が呼び声に応えよ 龍陣ノ楔 発動! でござる!」
 |楔《メガリス》を龍脈へと穿つ。瞬間、龍脈にみなぎる力が溶岩の様に地表へと溢れ出た!
 溢れ出た力が振りかかると空腹で倒れていた能力者達が起き上がり、真っ直ぐに苺白兎たちへと刃を交えはじめる。
『――!』
『うおっ、さっきよりパワーアップしてる?』
『っ。能力強化の力? さっきより強くなっているです』『……でも彼女自身は無防備、ってことかしら?』
 自身の力に驚く能力者と押され始める苺白兎たち。苺白兎たちに焦りが滲みだすもこれが咲花の力だと悟ると、たわわに実った苺を動かずにいた咲花へと射出する!
「無防備――さて、それはどうでござろうか」
 苺白兎の言葉に咲花は不敵に笑う。
 無防備? 否、龍陣忍者の真骨頂はここからである。
 咲花はその場で手印を結んだ。
「龍陣忍者の神髄受けてみよ、でござる! 龍陣忍法 |禍福糾纆《カフクキュウボク》」
 言霊が咲花を中心に力が展開された。瞬間彼女へと射出された苺が着弾する直前でぱぁんと音共に潰れ、苺白兎たちの体に致命傷が刻まれ、倒れこんでいく!
『っ、な、に……!?』
 何が起こったか分からない彼女たちに咲花は空間を維持しながら言葉を紡ぐ。
「日本はどこでも先人の方々の戦経験豊富でござるからなあ、皆々様方が積み上げてきた戦いの上に成り立つ平和の重み、受けてみるでござろう!」
 小さな島国と言われる日本。しかし今日に至るまで秘境を除けば狭い土地に多くの人々が争い、営みを繰り返し、地層の様に重なってきた。
 それは、東京都であろうと京都であろうと――青森県であろうと同じである。
「平和の重み、受けてみるがござろう!」
 その言葉を皮切りに苺白兎たちの体に見えない過去の致命傷が次々に刻まれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
味覚も人それぞれですから押しつけは良くありませんよ。
苺が合わないスイーツもありますしね。
ご自慢の苺は骸の海のお友達にでも
ふるまってあげて下さい。

【功夫】と【グラップル】の技術による接近戦を
仕掛けていきましょう。
劣勢になっている能力者は【衝撃波】で援護します。
相手はあれでもオブリビオンですから無理はしないで下さいね。
敵の攻撃は【ジャストガード】から【受け流し】て
【カウンター】で反撃。
敵がUCを使用したならば【玄冥掌波】で装甲強化を破り、
腹ペコ状態は、戦闘に対する【集中力】で
【吹き飛ばし】ましょう。

片付いたら予定通りプリンを食べましょうか。




 龍脈の力を得た能力者の少女が果敢に敵へ突っ込んでいくも、苺雪兎の放たれた一撃にその体は吹き飛ばされていく。
 痛みに供え少女は受け身を取ろうと試みるも、その備えは山吹・慧が優しく受け止める事で杞憂に終わった。
「相手はあれでもオブリビオンですから無理はしないで下さいね」
『は、はいっ!』
 気を引き締め直した能力者の少女が再び敵の元へと斬り込んでいく少女とそれを追いかける少年の様子に小さく笑みを作ると慧は苺雪兎の方を見やる。
「さて……味覚も人それぞれですから押しつけは良くありませんよ。苺が合わないスイーツもありますしね」
 好みによっても変わるため一概には言えないが、苺と合わない甘味というのはもちろんある。カラメル付きのカスタードプリンなどが良い例だろうか。
『そんなものありませんですよ!』『なんにでも合う無敵のアイテム、それは苺なのです』『苺は味が濃いチョコレートにも合う』
 だがそんな事は無いと少女達は口々に異議を唱え始めた。
 だが慧はそんな彼女たちと意見を交わし合うためにこの場にいるわけではない。
「ご自慢の苺は骸の海のお友達にでもふるまってあげて下さい」
 言葉を置き去りに慧が一瞬で苺雪兎の懐まで距離をつめ、鳩尾に一撃加えると苺雪兎を壁まで吹き飛ばした!
『このっ……!』
「おっと」
 近くで杖を振りかざし苺を差し向けようとした個体の杖の先を掴むとそのまま180度反対側へと振り下ろせば、杖を強く握りしめていた少女はあっという間に体を宙に浮かせ、背中から体を床に打ち付けられる!
「いくら強い武器とはいえ、敵に掴まれたら一度手を離すことをお勧めします」
 骸の海へと還っていく個体にアドバイスを行いながらも慧の攻撃の手は休まる事はなく、一体、また一体確実に葬っていく。
『近距離攻撃だけでしょうです……!』
 距離を取った雪兎がたわわに実った苺を背中を向けた慧に向けて放っていく!
「残念ですが、お見通しです!」
 苺が慧に被弾する――その瞬間、振り向き際に力をのせて苺を殴りつければ苺はそのまま雪兎の元へ戻っていく。
 慌てた少女が残った苺を使って防御を厚くする。本来は何個かを犠牲にすれば止まる苺弾。だがそれは叶わない事が苺の壁を突破してなお猛スピードで襲い掛かる苺の弾によって証明される!
 苺の弾勢いそのままに壁に叩きつけられ、動きを止める雪兎。姿は消すも苺の香りが部屋に充満し、慧の鼻腔をくすぐれば彼の胃は空腹を訴えはじめる。
 無論空腹を訴えても慧の動きは止まる事は無い。が、思考はちょっと先の未来へと飛んでいく。
「片付いたらば予定通りプリンを食べてましょうか」
 カスタード、ミルク、チョコレートに抹茶――
 この後待っているであろう色とりどりのプリンたちを想像しながら、慧は一人、また一人抗体兵器を持つ苺雪兎を薙ぎ払っていく。
『……抗体兵器もちって強敵だよな?』『ああ……』
 その様を見て驚いている能力者達の事がいた。


 スイーツパーティから始まり、万色の稲妻が轟き、黒揚羽が宙を舞い、煙の向こうで大鎌が閃き、龍脈が煌々と輝き、拳による一撃が振るわれた。
 どの位の間戦ったのだろう、どの位の数を交戦したのか……詳しい事は不明。
 しかし、部屋中に満たされた空腹を訴える甘酸っぱい苺の香りが、戦闘の激しさを克明に物語る。

 かくしてニーベルングの指輪の複製を巡る甘い戦いは幕を閉じたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年01月06日


挿絵イラスト