インスタラクシュアル・ハロウィンは君次第
黒影・兵庫
下記の内容で黒影・兵庫(f17150)と播州・クロリア(f23522)とのハロウィンノベルの作成をお願いします!アレンジ・改変、問題ありません!大歓迎です!
●シチュエーション
クロリアから「トリック・オア・トリート!」の言葉を急に投げかけられる黒影。
しかし、去年の経験から慌てることなくレッグポーチからお菓子を取り出し得意げにする黒影。
そんな黒影をジト目で見つめた後、呆れたような雰囲気でため息をつくクロリア。
自分の行動は間違っていないはずと黒影は抗議をするが「ち、ち、ち」と指を振ってそれを制するクロリア。
それからクロリアによる「正しい反応の仕方」の講座が始まる。
●プレイング
トリック・オア・トリートかぁ…もうそんな季節なんだなぁ(レッグポーチをごそごそとあさる)
じゃーん!今年はちゃーんとお菓子を用意したぞ!どーよ!去年と同じミスは犯さない!黒影・兵庫は日々進化し続けているのだ!
あ、グレープ味の飴は残しといて。俺が好きな味なの
ってなんだよその「はーやれやれ」みたいな顔をポーズは…間違ってないだろぉ?去年は期待してなかったとか言ってたけど
俺はちゃーんと準備してお菓子をちゃんと用意していた!これがハロウィンだ!
え?正しい反応?ふーん!じゃあ俺を納得させてみなさい!(納得がいっていないような顔でソファにドカッと座る)
播州・クロリア
下記の内容で黒影・兵庫(f17150)と播州・クロリア(f23522)とのハロウィンノベルの作成をお願いします!アレンジ・改変、問題ありません!大歓迎です!
●シチュエーション
黒影・兵庫(f17150)の内容と同じです!
●プレイング
あにさん!「トリック・オア・トリート!」です!
おや、随分と落ち着いていますね…なるほど準備をされていたわけですか
しかし…はぁー(手の平を上に向けてやれやれのポーズをしながら)
あにさん、トリック・オア・トリートに対する正しい反応の仕方というものを、まだ理解されていないようですね…嘆かわしいことです
いいでしょう、今後おなじようなシチュエーションがあった時に恥ずかしい思いをしないように僭越ながら この播州クロリアが
正しい反応をお教えしましょう(自然な動作でグレープ味の飴玉を掴み口に含む)
まずお菓子はあるなしは関係ないのです…しかしそうですね、せっかく準備をしていたのですから本当にやってほしかったことを
した後に「実は・・・」のサプライズ演出として用意したお菓子を見せるのはGood!ですね
そして肝心の本当にやりたかったこと、それは「トリックさせろ」です!
わかりませんか?私は今年で11歳ですよ?世間の11歳はもっときょうだいで遊びまくっているはずです!
だというのにあにさんは…ひとりで訓練、いっしょに訓練、ひとりで訓練、たまに遊び、そしてまたひとりで…!
もっと私とあそべぇー!!
●いつもどおりだけれどそうじゃなくて
「あにさん!『トリック・オア・トリート!』です!」
それは去年も聞いた決まり文句であった。
この時期、つまりはハロウィンの季節において、大人というものは供えていなければならない。
悪戯かお菓子か。
トリック・オア・トリート。
子供たちにとっては、楽しげな催事である。
まあ、近年は大人にとっても楽しい催しになっていきているのは、人が長きに渡って紡いできた歴史から見ても頷けるところであった。
人の歴史は四季と共に巡る。
春は待ち遠しいし、夏は生命燃える。
秋は実りを得て、冬は暗闇に凍りつく。
そんな季節の移り変わりにおいて、言うまでもなく冬とは暗黒期である。春を待つために必要な期間ではあるけれど、古来より人にとって冬とは文字通り暗黒の季節だった。
だからこそ、秋は実りによって最後の蓄えを行うのだ。
当然、時代が移り変われば嘗てあった催事の意味合いもまた変化していくものだろう。
一年を締めくくる催事が、ジャック・オー・ランタンが飛ぶ前夜祭になり、子供らが家々を練り歩いてお菓子をねだるお祭りになったように。
そんな変化を繰り返してきた歴史。
けれど、変わらない者もいるのだな、と黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は改めて思う。
去年は唐突だったから播州・クロリア(踊る蟲・f23522)の突然の襲来に驚いたものだ。
だが、今年は違う。
そう、兵庫は大人である。
大人っていうものは、同じ失敗を繰り返さない方策というものを知り得ている者である。
「『トリック・オア・トリート』かぁ……もうそんな季節なななぁ」
「おや、随分と落ち着いていますね、あにさん」
「そりゃあね。カレンダーを見れば、昨今はランタン南瓜がどこかしかにイラストで描かれているもんだし。それに、猟兵にとっても大事な季節だろう?」
兵庫の言葉にクロリアは確かに、と頷く。
南瓜行列というものがある。
猟兵たちの有志で仮装をして行列を成す行事でもある。
毎年欠かさず行われているし、それが賑やかで楽しい事はクロリアも知っているところであった。。
「それはそうですね。ですが、それとこれとは」
「別なんだろう。わかっているってば」
兵庫はレッグポーチのボタンを外してガサガサとあさり始める。
ん? とクロリアは首を傾げる。
まさか、それが兵庫の落ち着きようの正体だともでいうのだろうか?
「あにさん」
「じゃーん!」
兵庫がレッグポーチから取り出したのは、ハロウィンの紫とオレンジ色の包装であった。
しっかりとハロウィン仕様にて包装したお菓子。
こういうところはマメだな、とクロリアは思ったかも知れない。
しかし、だ。
「今年はちゃーんとお菓子を用意したぞ! どーよ! 去年と同じミスは犯さない! 黒影・兵庫は日々進化し続けているのだ!」
兵庫は得意満面の笑顔である。
そういう顔をする大人が大人っぽいかと言われたら、クロリアは首を縦に振ることはなかっただろう。
むしろ、どこか子供っぽいとも思える。
「なるほど。準備をされていたわけですか」
「そうとも!」
「はぁー……」
クロリアは掌を上に向けてやれやれとわざとらしいポーズを取ってみせた。
「えっ?! な、なんだよ、、その反応!」
「やれやれ」
「口でも言ったな!?」
「ええ、まったくもってあにさんは、『トリック・オア・トリート』に対する正しい反応の仕方というものを、まだ理解されていないようですね」
「間違ってないだぉ?!」
「いえ、とても嘆かわしいことです」
「嘘だろ」
「いえ、本当です」
黒影はたじろぐ。
去年も似たようなやり取りがあった。
あの時は期待していなかったとか言っていた。思い出す。
だからこそ、今年はちゃんと用意していたのだ。
むしろ、これがハロウィン。
これ以上のハロウィンなんてないはずだと黒影は自信満々だったのだ。
けれど、クロリアの反応を見るに、これはどうやら芳しくない結果になっているのではないかという不安がじわじわと喉元に込み上げてくるようだったのだ。
「いいですか、あにさん。ハロウィンっていうのは、一年でも特別な行事なのです」
「トリック・オア・トリートって言われるから、お菓子をあげるから悪戯は勘弁してくれってことだろ? 俺はちゃんと大人だからな。先回りしたのさ。間違っていないだろ」
「やれやれ」
「二度目だけど!?」
「あにさんが、とてもダメダメなので」
「そんなことある!?」
「そんなことあります。いいですか、あにさん。今後同じようなシチュエーションがあった時、正しいリアクションができないことはあにさんが恥をかくことになります。私はあにさんがそんな恥ずかしい思いをするのは忍びないです」
「そ、そこまで言われることかなぁ」
「言われることです!」
クロリアは、コホン、と咳払い一つしてみせた。
仰々しいなぁ、と兵庫は思ったが黙っていた。ここで下手に抵抗しようものなら、後々面倒なことになることはハッキリ言って解りきっていたからだ。
「僭越ながら、この私、播州・クロリアが正しい反応を教えましょう」
「正しい反応?」
「ええそのとおりです」
したり顔というか、自信たっぷりな顔をしているクロリアを見ていると兵庫も後に引けなくなってきていた。
むしろ、である。
ここで彼女に反発するより、乗っておいた方がいいだろう。。
クロリアは己を正すつもりなのかもしれないが、そう何度も上手を取られてたまらない。
揚げ足取りになるかもれないが、一応クロリアの言うことを聞く体でもって、指導を受けつつ反撃の機会を伺おうと思ったのだ。
「ふーん! じゃあ俺を納得してみせなさい!」
一応、納得が一定ない風を装うように、ツンケンした顔でソファに兵庫は座る。
ドカっと音がしたのは、その方がクロリアがビビるかもしれないと思ったからだ。
しかしだ。
クロリアは動じない。
いつもなら、ここらへんであたふたしそうなものである。
すっ、とクロリアは差し出された兵庫の差し出していたハロウィンラッピングの包装を手に取り、開く。
「中身は飴玉ですか」
「そうそう、あ、そうだグレープ味の飴は残しといて。俺が好きな味なの」
「そうですか」
当たり前みたいな自然な動作でクロリアはグレープ味の飴玉を手にとって口に放り込む。
「あー!?」
兵庫の叫び声を聞きながらクロリアは口の中で飴玉をカラコロと鳴らす。
歯に当たって小刻み良い音が聞こえる。
兵庫の表情を見ていれば、愉快な気持ちになった。
逆に兵庫はなんでそんなことするの? という気持ちになっていた。
残しておいてって言ったのに。
「まずはいいですか、あにさん。聞いてますか」
「はい……」
「お菓子のあるなしは関係ないのです」
「そんなことある? お菓子ないと悪戯されちゃうじゃないか。大人っていうのは、子供に悪戯されないためにお菓子を用意してもてなすんだろう? それがハロウィンってもんじゃあないか」
「そうですね。表向きは」
クロリアの言葉に兵庫は表向き? と首を傾げる。
「サプライズは大切です」
「そりゃあな。嬉しいことが突然起こったら、思いがけない出来事で心が弾むものだから」
「はい。驚きの旋律は心地よいものです。確かにGood! ですね」
「ならいいじゃないか」
兵庫は、ほらやっぱり自分のやったことは正しかったのだと思った。
腕組しながらクロリアを見上げる。
ソファに座って見上げているからか、余計にクロリアが大きく見えてならない。
「はぁ……」
でっかいため息が頭の上から降り注ぐ。
「なんで!? 間違ってないよな!?」
「これだから、あにさんは」
「さっきから、それやめて! なんか心が傷ついてしまう!」
年下からの本気のダメ出しというか、呆れ声というのは年上の男性からすれば凶器みたいなもんである。もはや鈍器である。
「じゃあ、どんな反応すればよかったんだよ! 教えてくれよ! 意地悪しないでさ!」
「わかりました。確かにお菓子を用意してくれるところまでは本当に良かったのです。ですが、私が本当にやりたかったことはなんなのでしょう?」
「本当にやりたかったこと?」
「そうです。確かにサプライズは良いものです。誰かの喜ぶ顔を思い浮かべて準備を進める。確かに尊いこと」
だが、とクロリアは頭を振る。
「いいですか、あにさん。サプライズには、リサーチがつきものです!」
ずびし、とクロリアの指が兵庫の額へと突きつけられる。
がーん!
兵庫は精神的衝撃をまともに受けていた。
そう、サプライズが失敗に終わる原因は、サプライズが事前にバレてしまうことではない。
相手を思ってのことならば、相手のことを徹底的に調査しなければならない。
何が好きで、何が嫌いなのか。
何を持っていて、何を欲しているのか。
季節柄も考えなければならないし、誕生日であったのならばなおさらだ。
そして、それはハロウィンでも言える。
サプライズする側は『トリック・オア・トリート』と叫ぶ子供たちではない。
そう、もてなす大人側なのだ。
悪戯されたら敵わない!
そういうふうにいつもは自分たちを叱りつける大人たちが子供に怯えて、どうかこれで勘弁してくれという、おもしろさ、おかしみ、そういうものがあるからこそ子供は喜ぶのだ。
なのに、兵庫と来たら。
「先回りして、予防線を張るばかりだったのです、あにさんは!」
此処が法廷出会ったのならば、兵庫はすでに判決を言い渡されているところであろう。
敗訴である。
そんなクロリアの理路整然としたサプライズのやり方口座に兵庫は頭をハンマーでぶん殴られたようにゆらゆらと揺れてしまっていた。
「た、確かに……!」
ソファに座っていてよかった。
立っていたら、いまので膝をついているところであった。
「わかりましたか?」
「わ、わかったような……」
「いーえ、わかっておりません! 私は今年で何歳ですか?!」
「え、ええと、11歳……」
「そうです! 11歳です! 世間の11歳はもっときょうだいで遊びまくっているはずです! ハロウィンだってそうでしょう! 一緒にシーツ被っておばけの仮装したり、本格的すぎて周囲がドン引きするような仮装をしたりするものでしょう!」
そう、クロリアは体躯のせいもあって大人びて見られるが、まだ11歳なのだ。
言葉遣いからも、言動からも端々から見受けられるところもあるだろう。
クロリアと兵庫の距離感が近すぎることもあって、彼は忘れてしまっていたのだ。
「だというのにあにさんは……」
クロリアは声を絞り出すようであった。
演技?
演技じゃないと思うのは、兵庫はクロリアの唱える言葉に衝撃を受けていたからである。
「あにさんは、ひとりで訓練、いっしょに訓練、ひとりで訓練、たまに遊び、そしてまたひとりで……!」
ん?
ここでもしも、兵庫が冷静であったのならば気がついただろう。
結構かまっているよな? と。
むしろ、結構遊んでると思っただろう。
けれど、今の彼は打ちのめされていた。
クロリアに完全に論破されていたので、精神的動揺で気が付かなかったのだ。
「いいですか、あにさん。肝心の本当に私がやりたかったこと、それは『トリックさせろ』です!」
ずがん! とさらに火の玉右ストレートの如きクロリアの言葉が兵庫のみぞおちあたりをぶち抜いた。
「あ、ああ……いや、でもちょっと待てよ?」
兵庫はなんとか立て直した。
「結構、遊んでるよね? 夏もそうだったし。楽しかったってクロリア言っていたじゃあないか」
「それとこれとは話は別でしょ!」
「別かな!?」
「それは夏休みの話!」
「ハロウィンは去年も……」
「今年の話をしています!」
いいですか、とクロリアは身構えた。
兵庫は、あ、やばい、と思った。
これはあれである。
クロリアが突進するような構えである。肩幅に開いた足。小刻みに肩が揺れているのはリズムを取っているからである。
よく訓練で見る動きである。
そんでもって、次に何が起こるのかも兵庫は理解していた。
だから、ソファから立ち上がった。
「もっと私とあそべぇー!!」
「またかよ!」
去年と同じ、もみくちゃに二人はなりながら、やっぱり笑い合うのだった――。
成功
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