ピルグリメイジの遺物
●レリック
人の欲望は際限のないものだ。
それを証明されたのは遥か昔のことである。
欲しいという想いが際限のない力を呼び込む。そして、人は力を御しきれない。
否。
そう告げるものもいるだろう。
けれど、過去に倣うのならば、大罪の引き金に過ぎないのだ。
「なにがなんでも、と人は思ってしまう。動物であれば畏れ抱くはずの『火』に手を伸ばしたあの日より、人は己の中にある凶暴性を御し得ぬという楔をも得たのです」
円卓の騎士『アルヴィトル』は、辺境……精霊の地にて一人守護者として立つ。
なんの守護者なのか。
精霊の地の守護者は、元『ラーズグリーズ』辺境伯が結成した辺境騎士団である。
しかし、彼らの本当の役目は百獣族との境界線を守護することではない。いや、それも一つの役目であると言えるが、真の目的は一つ。
「『聖遺物』。強大な魔法の力を持つ滅びし神々のかけら……持つ者に栄華と破滅をもたらすもの」
円卓の騎士たちがバハムートキャバリアの辺境の地に旅立つのは、いつだって『聖遺物』を探索するためである。
『アルヴィトル』――彼女もまた『聖遺物』探索のために旅立った騎士の一人であった。
本来であれば、彼女は『聖遺物』を手に入れキャメロット城へと帰路につかねばならない。
けれど、彼女は『聖遺物』探索の果てにたどり着いた『妖精の隠れ里』から離れることはできなかった。
『聖遺物』が手に入れられなかったからではない。
妖精族に許されなかったらかでもない。
もしくは呪いのようなものをかけられてしまったのか。それでもない。
なら、なんだというのか。
「『これ』は誰にも渡してはならないもの。例え、手にするものに悪心なくとも、その善性すらも糧にしてしまう。そういうものです、これは」
「それでも」
亜麻色の髪の乙女……妖精族の一人が『アルヴィトル』に告げる。
「それでも、資格持つ者がいるのならば、『これ』は羽撃くべきなのです」
「まるで呪いです、それは」
「ですが、呪いにも打ち克てる者がいるはず、きっと。私はそれを信じたい」
「人間にはできません。人は人の身の内から溢れる衝動を抑えられない。如何に騎士道で律するのだとしても、黄金に目が眩むように……必ず過ちを冒す」
『アルヴィトル』は『これ』と示す『聖遺物』――『ファフニール』を亜麻色の髪の乙女が望むものを呼び込まないと告げる。
しかし、それでも亜麻色の髪の乙女は悲しげな黒い瞳で星を映す。
「それでも」
過ちを冒すのだとしても、人は乗り越えられるはずだと信じている。
それこそが彼女の大罪。
信じたが故に起きた悲劇を彼女は知って尚、それに縋ってしまう。
凶暴性に突き動かされながらも、己の行いを悔いる優しさが救いであるはずであると信じてしまうのだ――。
●バハムートキャバリア
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのは、ノイン・シルレル(第九の悪魔・f44454)であった。
彼女の挙動は不審であった。
ソワソワしているようであるし、忙しなく瞳が動いている。
しどろもどろ。
そういう言葉がしっくり来るような挙動不審者であった。
「べ、別に『聖遺物』の所在が予知で突き止められたとか、そんなんじゃないんだからね!」
お、急にどうした。
猟兵達は思っただろう。
ノインのおかしな挙動は今に始まったことではない。
急にツンデレ所作をしても、まあ、ノインだし、で済まされることだろう。スルー安定というやつである。
「バハムートキャバリアの世界各地には、滅びし神々の欠片……『聖遺物』が眠っております」
あ、なかったことにしたんだな、と猟兵達は思ったかもしれない。
「強大な魔法の力を持つ、持つものに栄華と破滅をもたらすと伝承されるものです。危険なアイテムですね。その一つ『ファフニール』が、辺境……精霊の地の奥にある『妖精の隠れ里』に秘匿されていることが予知されたのです」
あれはツンデレ所作ではなく、単純に事実を告げていただけなのか。
そうですけど? みたいな顔をノインはしている。紛らわしい。
「しかし、この『妖精の隠れ里』に百獣族が侵攻しようとしています」
それは一大事である。
所在が判明したとかなんとかツンデレムーヴで伝えている場合ではない。
むしろ、そっちのほうがメインであるはずだ。
「いえ、彼らは聖遺物『ファフニール』こそが彼らが信仰する神の骸であり、己達こそが正当な所持者であると主張しているのです」
なるほど、と猟兵達は頷く。
ノインは大変ですね、と他人事みたいな顔をしている。本当に他人事か?
「妖精族は今や獣騎への変形能力を失って久しく、多数の獣騎たちに太刀打ちできるものではありません。そのために辺境騎士団は、この地で守護にあたっていたのでしょう。ですが、先立つ事件によって、辺境騎士団は疲弊しております」
つまり、頼れるのは猟兵のみ。
そして、生憎と『妖精の隠れ里』に向かうのは簡単ではない。
「まあ、行ってみたらわかります。多くを望む者にとっては、耐え難い試練となりましょう。ですが、なんとかして隠れ里にたどり着かねばなりません。たどり着いても、試練やらなんやらありますので、大変だなー、と思います」
ノインはうんうん、と頷いている。
彼女は転移に集中しなければならないので、やはり猟兵達を頼るほかない。
「『ファフニール』。守護するは黄金と相場がきまっていますが、その黄金とは誰にとっての黄金なのでしょうね。あれって基本容れ物でしかないはずなんですが」
大変ですね、とノインはやはりそう呟いて猟兵達を送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
新たなる世界バハムートキャバリア、『聖遺物』を秘匿する『妖精の隠れ里』に迫る百獣族との対決となります。
正当なる所持者であることを主張する百獣族。
ですが、聖遺物は強大な魔力を持つ危険なアイテムです。これを百獣族の手に渡らせるわけにはいきません。
※全ての百獣族(獣騎)は、例えスライムのような異形種族でも、会話によるコミュニケーションが可能です。彼らはいにしえの聖なる決闘に則り、正々堂々と戦いを挑んできます。
●第一章
冒険です。
まずは『妖精の隠れ里』へと向かわねばなりません。
ですが、この道程には『外敵除けの魔法』である幻影が続いています。
酒池肉林の花園とも言われる幻影は、踏み入る者に豪奢で堕落した暮らしであったり、その人が望む光景が広がっています。
堕落を誘い、一歩も前に進めなくならぬように対処しなければなりません。
●第二章
冒険です。
『妖精の隠れ里』に到達した皆さんを一人の妖精が出迎えます。
彼女にとって『聖遺物』を託せる者が現れるのは歓迎するべきことのようです。
そして、百獣族が迫るのならば、猟兵の中で資格ある者が受け取り、戦いに役立ててほしいとも思っています。
ですが、聖遺物の力を手繰るためには、その資格を示さねばなりません。
試練の儀式として、聖遺物に収められた膨大な戦いの記憶より際限された鋼鉄の巨人に打ち勝たねばなりません。
●第三章
集団戦です。
聖遺物の正当なる所持者であることを主張する百獣族の軍勢が迫ります。
所有権をかけて、正々堂々と正面から戦いましょう。
第二章で試練の儀式に打ち勝った猟兵の皆さんは、その力を引き出すことができ、迫る獣騎達に有利に戦いを挑むことができます。
それでは聖遺物を巡る戦い、多くの試練を乗り越える皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『酒池肉林の花園』
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POW : 気合を入れて自らを鼓舞する
SPD : 幻影が見せる幸福な景色の違和感に気付く
WIZ : 何らかの手段で幻影を破る
イラスト:みささぎ かなめ
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
辺境遅滞を護る辺境騎士団の騎士が一人『ソグン』は、精霊の地より続く先にある『妖精の隠れ里』への道程、その入口の前に水色の人造竜騎と共に猟兵達を待っていた。
「お待ちしておりました。これより先こそが『妖精の隠れ里』に至る道です。ですが、ご注意ください」
彼女は猟兵たちに告げる。
この先は確かに『妖精の隠れ里』と続いている。
けれど、『外敵除けの魔法』によって幻影が猟兵達を襲うだろう。
それは豪奢なる幻影。
誰もが望むであろう光景。
足を踏み入れた者の歩みを止めさせる幸せな光景が広がっているのだ。
「どうか心を強く。そして、歩むことをやめないでください」
彼女に出来るアドバイスは、これ以上なかった。
以前、この先へと進んだ円卓の騎士も戻っていないのだ。
高潔な魂を持つのだとしても、それでも堕落に誘う幻影。それがどれほどまでに恐ろしいものか。
しかしながら、この幻影を攻略するには、猟兵たちの心の持ちようが鍵なのだ――。
ザビーネ・ハインケル
ご忠告ありがとよ
頭の堅ぇ円卓の騎士すらも惑わされる『外敵除けの魔法』は、魔法を扱う身でありゃ興味があったんでね
どんな小細工を弄してきたかな土産話を楽しみにしていくれよ
さぁて、鬼が出るか蛇出るか
半妖精でも惑わされる幻影を笑い飛ばしてやるぜ
手始めは…金に酒か
育ちが悪いがそんな見え透いた手には乗らねぇよ
次は声か…ありゃあ、捨てられた直後のオレだな
するとあの記憶に残ってる声は捨てやがった親のどっちかだな
悪いね、とうに縁は切れてんだよ
記憶を読む幻影ならちったぁマシな…オヤジさんに皆…?
ちっ、欲望にトラウマの次は「一番幸せだった頃の記憶」で来やがったか…悪ぃな皆
オレは別の道を歩んでるんだ
もう戻れねぇんだよ
辺境を護る騎士『ソグン』の言葉にザビーネ・ハインケル(Knights of the Road・f44761)は頷く。
これより先は辺境遅滞においても、さらに危険な場所であることは言うまでもない。
『妖精の隠れ里』を護る『敵避けの魔法』。
一歩踏み出せば迫るは幻影。
「ご忠告ありがとよ」
「ご武運を」
無事ではなく武運を、というところが騎士らしいとザビーネは笑ったかも知れない。
それもそのはずである。
彼女からすれば頭の硬い、と評することの出来る円卓の騎士ですら、戻ってきていないというのだ。
どんな魔法なのか。
興味は尽きないところである。
「ま、どんな小細工を弄してきたかなんていう土産話を楽しみにしといてくれよ」
ザビーネはあくまで軽く手を上げて一歩を踏み出す。
何の変哲もない自然が広がっている。
だが、一歩、また一歩と踏み出すたびに景色が歪んでいく。
なるほど、とザビーネは理解する。
これは己の視界をどうにかする魔法であると同時に、こちらの思考を読み取る魔法なのだ。
恐らく、自身が欲するところのものを幻影として投射する類のもの。
「さぁて、鬼が出るか蛇が出るかってところだったが、金に酒か」
ハッ、とザビーネは笑い飛ばす。
確かに自分は育ちは悪い。
教養というものがあるのならば、その全てが盗賊騎士としての慣例であった。
だからこそ、ザビーネは頭を振る。
金も酒もどちらも今手に入れられるものだ
それも誰かから与えられるものではなく、自分自身の力と手でもって、だ。
だから、そんなものに心は惑わされない。
なら、何なら惑わされるのか。
「物でも金でも名声でも釣れねぇ相手だぞ、オレぁ。であれば」
次は、とザビーネは耳をピクリと動かす。
声が聞こえる。
そう、金でも名声でも動かぬのならば、情で心を揺さぶる。
魔法事態は悪辣であるが、これは効く者には痛烈に突き刺さるものであるだろう。
「この声は……捨てやがった親のどっちかだな」
半妖精は忌み子として多くが捨てられる。
ザビーネもそうだった。
己が自身の血縁を求めたこともあったかもしれないが、すでに切れた縁だ。
切れたものに、失ったものに執着するほどザビーネは執着心というものがなかったのかも知れない。
「ハッ、どっちにしたって、この程度……あ――?」
だが、ザビーネの足が止まる。
情。
それは人の心に宿るもの。
であるのならば、それは悲しみばかりではないだろう。
最も己が幸福に満ち足りていた、戻らぬ日々であるのならばどうだろう。
「……オヤジさんに皆……?」
心の傷を埋めるものがあったのならば、それこそがザビーネの今という輪郭を作り上げている。
足を止めるのはトラウマだけではない。
最も幸福なぬるま湯こそが、その身を吹きすさぶ寒風の如き現実から遠のかせるもの。
だが、ザビーネは頭を振る。
「悪ぃな、皆。オレはもう別の道を歩んでるんだ。戻る戻らないんじゃあない。もう戻れねぇんだよ。オレの手にはもう多くがあるからな」
出来ることが多くなった。
あの頃よりもずっと。
だから、とザビーネは後ろ髪引くような過去にすら足を止めずに、前に進んで行くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
酒池肉林ねぇ。いつもしてるけど?
眷属召喚と羅睺召喚で、護法式たちを召喚。
みんなに「霊的防護」と「狂気耐性」をかけて、あたしとみんなでいちゃいちゃしながら通り過ぎましょう。
あたしも「脱衣」して、みんなにされるがままになりながら進んでいくわ。「恥ずかしさ耐性」があれば、なんてことない。
本物の手や指や舌の方が、幻より何百倍も素敵よ。幻術で作った虚像なんて、簡単に色褪せる。
時間はかかるけど、自分の大切なものが腕の中にあると思えば、引っかかったりはしないわ。
さて、もうすぐ『妖精の隠れ里』か。こういう幻像を作るのが趣味の人がいたら、お会いしたいものだわ。気が合うかもしれない。
どんな場所か、楽しみね。
酒に溺れ、色欲に耽る。
それが酒池肉林の宴というものであるのならば、それがどんなに豪奢であれ人の欲を煮詰めたものであったことだろう。
故に人であるのならば、この『妖精の隠れ里』に至る道程にかけられた『敵避けの魔法』を躱すことはできない。
厳しく己を律する騎士道。
これに邁進する真の騎士しか到達できぬのだ。
であるのならば、百獣族が怒りに塗れていようとも真の騎士であるのならば『妖精の隠れ里』に至ることができた、という予知もまた正しいのだろう。
「まあ、いつものことだしね」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は、眷属召喚(ケンゾクショウカン)によって召喚した眷属たちと常なる……それこそ普段と変わらぬ体を寄せ合いながら、そのぬくもりを感じつつも『敵避けの魔法』によって見せられる幻影の中を往く。
ハッキリって肌色が世界を埋め尽くしているように思えた。
されるがまま。
ゆかりにとっては、それは常なることであるというのならば、別段取り立てて足止めることではなかったのだろう。
「どうですか? お加減は」
「悪いなんてことはないわよね」
むしろ、視覚的、触覚的に伝わるものが、ハッキリ言って暴威である。
如何に幻影が、ゆかりの望むところのものを映し出すのだとしても、それ以上に聴覚、嗅覚、触覚、味覚と強烈に本物を伝えてくるのだ。
「そりゃそうよね。だって、幻影は視覚に訴えてくるだけだもの」
「こんなことやそんなことも、幻影には手出しできない」
もしも、この幻影が共有されるものであったのならば、不埒なと怒る者もいるだろう。
この『敵避けの魔法』を躱すためだとは言っても、このようなやり方でかいくぐる者がいるなどとは思えなかったはずだ。
「ええ、幻よりも何百倍も素敵よ」
ゆかりからすれば、それこそどうでもいいことだったのかもしれない。
他者の視線は介在すれど、介入することはできない。
彼女の世界は彼女の眷属との間ですでに完結しているのだ。
であるのならば、彼女に恥じ入るところは何一つない。
むしろ、と彼女は笑む。
「これだけの幻影を生み出すのだから、もしかしたら趣味の合う人がいるのかもしれないわ」
そう、だとしたら仲良くなれるかもしれないとゆかりは思ったのだ。
だが、この幻影は踏み込んだ者の心中や記憶と言ったものを読み込むもの。
魔法をかけた者の思惑は関係ない。
ゆかりの思惑はきっと外れるだろうが、しかしゆかりは楽しみだった。
『妖精の隠れ里』。
そこに秘匿された聖遺物というものもまた気になるところである。
「それでも私達のことを見ていてくださいね。まだ道程は長いのですから」
「遠回りの道を進んでもいいんじゃない?」
「もう、仕方ないわね」
ゆかりは笑って、伴する眷属たちと共に変わらぬ……それこそ、そこだけが真の酒池肉林の宴であるかのように振る舞うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
隠れ里って、大体外敵除けの結界とかそういうのが多いというけど、今回もそんな感じかな?
う、うーん…。
豪華な生活って言われても、いまいちピンとは来ないんだよなぁ…。
だって、美味しいご飯とかお酒?飲めないけど。そういうものでしょ。
ん-、魅力的ではあるけど、でもそこまでは…。
ほんとに欲しいものっていうなら、家族のぬくもりになっちゃうかなぁ。
…お母さんと会えたらうれしいけど。
…でも、会えたとしてもそれは幻。
A&Wで見た夢の中で、さよならと約束をしたんだから。
…そう、笑顔は忘れない。そして、悲しみを生み出さないって。
だから、ここで足を止めるわけにはいかないよ。
…いい夢をありがとうね。
おかげでまた歩けるよ。
『敵避けの魔法』と聞いてシル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)が真っ先にイメージしたのは結界だった。
隠れ里を隠す、もしくは外敵を阻む。
そうした目的のために魔法をかけるのならば、と考えた時結界が最も有効的だと思ったからだ。
今回の『妖精の隠れ里』もまた同様であろうとシルは思った。
しかし、一歩道程に足を踏みこめば、それが誤りであることを知るだろう。
眼の前の光景が歪む。
「これって……『敵避けの魔法』が発動したってことかな?」
事実そうなのだろう。
とは言え、聞いていたのは人を堕落させる幻影が広がるということだけだった。
豪華な生活と言われても、いまいちピンとこない。
シルの思い浮かべる豪奢さというものは美味しいご飯であるとかお酒、そういうものである。
お酒はまだ飲める年齢ではないが、イメージするものはそういうものだった。
兎にも角にも人の堕落にはお酒が関わっている。
そんなイメージだったのだ。
確かに豪華な暮らしぶりには惹かれるところもある。
けれど、全てではないように思えたのだ。
「魅力的ではあるけど、そこまでじゃないんだ、よ、ね……」
目を見開く。
シルの眼の前にあったのは母親の姿だった。
幻であっても出会うことができたのならばと、チラと思っただけなのだ。
それなのに、幻影は彼女の母親を形作る。
己の中にある母親。
自分が最も欲しているのは、家族のぬくもりである。
「お母さん」
「……――」
きっと自分の聞きたい言葉を幻影は放ってくれるだろう。
嬉しい。
言うまでもない。
こんなにも嬉しいことなんて、そうそうない。
けれど。
「……でも、これは幻なんだよね」
シルにとって母親との別離はもう乗り越えたことだった。
アックス&ウィザーズで見た夢の中で、さよならと約束したのだ。
なら、これは自分の心が見せる光景だ。
弱さではない。
己がすがるべきものでもないことをシルは知っていただろう。
「……そう、笑顔は忘れない。そして、悲しみを生み出さない」
それが約束。
どんなに悲しいことが眼の前に広がっているのだとしても、自らの笑顔は忘れない。
そして、悲しみがこれ以上広がらないように力を尽くすこと。
百獣族の襲来は、きっと誰かの悲しみに繋がるだろう。
彼ら自身の悲嘆にだって向きなわねばならない。
「なら、立ち止まっているわけにはいかないんだよ」
シルは幻影の横を通り抜けるようにして歩んでいく。
後ろ髪引かれぬのかと言われたら、どうしたって嘘は言えない。
だから、代わりにこう言うのだ。
「……いい夢をありがとうね。おかげでまた歩けるよ」
自分を再確認したのだ。
やはり、己は立ち止まることを許されていない。なら、進むばかりだ。それがきっと約束を果たすことに繋がるのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
空桐・清導
POW
アドリブ・連携歓迎
「贅沢な生活に望む光景か。
長く居すぎると良くない。ならば!
カモン!ソルブレイザー!そして、ブレイズ・ビートル!!」
UCを発動させて専用バイクに追加アーマーを装備した
ハイパーマシーンの登場だ!
「さあ!振り切るぜ!!」
エンジン全開で森の中に突っ込む
[悪路走破]で突き進む
酒池肉林や美女の誘惑が見えるが無視
おいおい。という表情の人々の間を抜けていく
完全に平和になった世界も見せるが、清導は吼える
「幻覚じゃなくて!現実にするんだよ!」
これはマズいと森も頑張るが清導の望む光景を再現しようとすることは
幻影程度では不可能であると確信するだろう
「さあ!ゴールだ!」
妖精の隠れ里に乗り込むぜ!
己を知るということはどういうことか。
それは鏡に映る己から目を背けぬということである。
ならば、空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は己の心にある鏡に赤い鎧の存在を見るだる。
『妖精の隠れ里』に至る道程。
かけられた『敵除けの魔法』。
これによって彼の眼の前に現れるのは、豪奢なる生活だった。
何もかもが手に入る。
充足に満ちた日々。
戦いとは無縁の世界。
そんな幻影が彼の眼の前に広がっている。
「長く居すぎると良くない。カモン! ソルブレイザー! そしてブレイズ・ビートル!!」
清導の瞳がユーベルコードに輝く。
合体『剛炎勇車』(ハイパーソルブレイザー)。
彼の駆る『ソルブレイザー』に追加武装が空より舞い降りて合体し、炎を噴出させるかのような勢いで排気音を轟かせる。
「さあ! 振り切るぜ!!」
エンジンが唸りを上げる。
空転するタイヤが大地を切りつけ、砂埃を巻き起こす。
だが、その砂埃すら吹き飛ばす勢いで『ソルブレイザー』の車体が駆け抜ける。
「これが、ハイパーソルブレイザーだ!!」
視界の端には、酒池肉林の宴めいた光景や、美女たちの姿が見えるが、全てが流れていく。
幻影がどんなに迫るのだとしても、己の駆る『ハイパーソルブレイザー』の速度で振り切れば、見えていないのと同じ。
どんな誘惑があろうとも、邁進することをやめない。
それを人は愚かと言うだろうか。
脇目もふらずに進むことは視野狭窄だと言うだろうか。
いずれも正しいだろう。
けれど、正しくもない。
人の本性は何処まで言っても堕落するようにできている。
どうしようもない性なのだ。
だからこそ、このような魔法が『妖精の隠れ里』に他者を寄せ付けない。
侵入を許さないのだ。
幻影が姿を帰る。
平和になった世界。
それは清導にとっては、得難いものであったし、それを求めて戦っている。
「平和な世界か。確かにオレはそれを望んでいるんだろうな。けど!」
振り切る。
フルスロットルだった。
足を止める事は許されない。
「幻覚じゃなくて! 現実にするんだよ!」
彼にとって平和とは齎されるものではない。
己の手で掴み取るものであろうし、己がなさねばならないことだった。
平和とは、己が齎さなくてもいい。
己が戦うことで平和に向かうだけでいい。
だからこそ、清導の望む幻影は実体を結ばない。
「さあ! ゴール目指して突き進むぜ!」
清導は、ひたむきに幻影を振り払い、全て吹き飛ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
え?
酒池肉林、その人が望む欲望の光景ですか?
ステラさんは、まぁ、雄叫びからの『エイル』さん漬けだと思うんですが、
わたしはそんなものには釣られな……あぁぁぁぁぁー!!!
こ、これは、コンサート会場!?
な、なんですかこれ。
わたしの演奏を聴きに集まったみなさまなんですか!?
こんなにもたくさんの人たちに望まれて演奏できるなんて、
音楽家の夢です!誉れです!
わっかりました、ここで演奏しなくては音楽家の名が廃ります!
わたしの全てを賭けた全力全開の演奏でお・も・て・な・し、しちゃいますよ!!
集まってくれたみなさまに魂の一曲捧げます!
って、あれ?
なんで一面廃墟なんです!?みなさまどこいったんですか!?
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!!
香りがしまぁぁぁぁぁすっ!!!
超濃厚!!
ですが、ノイン様の最後の言葉が意味深すぎて
やはりファフニールはSOWの神器に相当するもの??
そして『悪心なくともその善性すら糧に』ということは
セラフィムに関することですか?
しかしこの世界にはセラフィムは見当たらず
ケルビムしか……え?まさか混ぜる?
まずそれにはこの地を抜けねば
いきますよルクス……様?
ばかな……この勇者、我欲に飲まれた??
くっ、私のメリサ様と皐月店長様を侍らしたい願望が!
ダメですそんなお子様に見せられない!!
い、いまは亜麻色の髪の乙女――妖精族の方に
エイル様センサーがめちゃくちゃ反応しているんですぅぅ!!
香りがする。
言うまでもない。
自らの主人の、である。
超濃厚! エキサイティン!!
そうステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は雄叫びを上げる。
「|『エイル』様《主人様》の!! 香りがしまぁぁぁぁぁすっ!!!」
超濃厚!
もう一度言うが、超濃厚であった。
クラクラするくらいにステラは、その香りにめまいを覚えるようにして体を揺らす。
「なんということでしょう! こんなに濃厚なの、私はじめてです! ですが」
ステラには引っ掛かりがある。
グリモア猟兵の言葉。
最後の言葉。
なんか含みのある言い方をしていた。
「『悪心なくともその善性すら糧に』ということは、『セラフィム』に関することだったのでしょうか……? しかし、この世界には『セラフィム』は見当たらず、『ケルビム』しか……え? まさか混ぜる?」
ステラの眼がぐるぐるしている。
そう、彼女は今まさに『妖精の隠れ里』の道程を覆い隠す『敵除けの魔法』による幻影の真っ只中にいた。
そう、彼女の見ているもの、感じているもの、それ全てが幻影なのだ。
超濃厚! エキサイティン!! なのは、全て幻影なのである。
だが、ステラは自らが正気と疑っていなかった。
「いえ、考察はあとです。まずこの地を抜けねば。生きますよ、ルクス……様?」
あれ?
ルクス様どこに?
しかし、幻影は眼の前に実を結ぶ。
亜麻色の髪の青年と男性。
「はっ1? 『メリサ』様に『皐月』店長様!!」
ステラの眼の前にある彼ら。
そう、これが彼女の願望。節操なしがすぎる。そう、逆ハーレム!
なんていうか、お子様には見せられない願望のあれそれ!
「い、いまは亜麻色の髪の乙女――妖精族の方に……『エイル』様センサーがめちゃくちゃ反応しているんですぅぅ!!」
ステラは懊悩した。
こんな素敵な空間を振り切っていかねばならないのかと、これが試練。いや、まだ試練は始まっても居ないが。
そんなステラをよそにルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)もまた叫んでいた。
「あぁぁぁぁぁぁー!!!」
そう、ルクスは勇者として酒池肉林などに惑わされていなかった。
ステラはもう絶対『エイル』漬けになっているだろうからと期待していなかった。
ここは自分がしっかりせねばと思っていたのだが、しかし、彼女の眼の前に現れた光景に彼女は叫んでしまっていた。
ルクスの眼の前に広がっているのは、コンサート会場である。
俗に言う武道館。
音楽を志すものであれば、そうしたハコを自らのファンで埋め尽くしたいと思うのは自然なことであっただろう。
「な、なんですかこれ。わたしの演奏を聞きに集まったみなさまんですか!?」
ルクスは驚愕した。
今の一度とて、こんなことはなかった。
「きゃー! ルクスちゃーん!」
「こっち向いて!」
「破壊音波でハートを砕いて!」
黄色い声が響き渡る。大声援と言って良い声にルクスは感極まってしまった。
これが幻影であるとしても、それでもルクスの心にはぶっ刺さったのだ。
とんでもないことである。
到底、現実とは思えない。罠である。しかし、ルクスは構わなかった。
罠でもいい! というやつである。
「こんなにもたくさんの人達に望まれて演奏できるなんて、音楽家の夢です! 誉です!」
これまで多くの世界でやらかしてきたルクスである。
演奏するたびにメイドの鼓膜をぶち抜いてきた実績がある。
しかし、それでもこんなに望まれるなんて思いもしなかったのだ。感激に胸が震え、唇がわななく。
「わっかりました、ここで演奏しなくては音楽家の名が廃ります! わたしの全てを賭けた全力全開の演奏で、お・も・て・な・し、しちゃいますよ!!」
聞いて下さい、とルクスは盛大な声援の前にて立つ。
もう一度いう。
幻影である。
そこに観衆はいない。
そして、ルクスは思いっきり演奏する。するとどうなるか。
わかっていたことである。
メイドの鼓膜がぶち抜かれる。
ひとしきり、渾身の演奏を終えたルクスは額に汗しながら、眼の前の光景に目を瞬かせる。
そこにあったのは。
「あ、あれ!? なんで一面廃墟なんです!? みなさまどこにいったんですか!? 倒れているステラさんしかいないんですけど!?」
血文字で『エイル』と描くステラが、地面に倒れ伏していた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シャルロッテ・ヴェイロン
まあね、百獣族も狙ってるほどの危険なアイテムですか。
ここがUDCアースだったら、UDC組織が「確保・保護・収容」とかやっちゃってるほどですかねぇ?(【世界知識】)
(で、【(各種)耐性・オーラ防御】で身を守り)
あー…、確かこれは、近日発売予定のゲームの最新情報――いやいや、さすがにネタバレなのでやめましょう。
次にこれは…なぜか誘ってるニートのおっさん(ぇ)――いやいや、そこまで自堕落になるつもりはないですね。
――って、面倒くさいから【覚悟】決めて空間全体を【ハッキング】!欲望の「飛び道具禁止」状態にして突っ切っていきましょう!
※アドリブ・連携歓迎
聖遺物。
それは百獣族にとっては、信仰する神の遺骸であり、所有権は己たちにあると主張するものであっただろう。
しかし、それは滅ぼされる前のことである。
強大な力を……それこそ、栄華と破滅の両方を所有者にもたらす聖遺物は危険極まりないものであった。
それをオブリビオンである百獣族の手に渡すわけにはいかない。
「まあね、それが危険なアイテムだっていうんなら、それこそ世界の危機だっていうことには同意できますよ」
シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)はため息を吐く。
ここがUDCアースであったのならば、UDC組織が確保や保護、収容などをやっているところだろう。
それほどまでに聖遺物は危険な代物なのだ。
妖精族が秘匿している、というのも頷ける。しかし、円卓の騎士たちも、その危険ながらも強大なアイテムを求めている。
聖遺物探索は、ただ強大な力を求めるための行脚ではない。
その強大な力でもって、百獣族の呪いに冒された大地を救うこともまた円卓の騎士たちに課せられた使命なのだ。
否定をするつもりはない。
シャルロッテは『妖精の隠れ里』に至る道程にて、周囲を見回す。
「これが……『敵除けの魔法』ですか。踏み込んだものの、望むものを見せる幻影……確かにこれは、足を止めてしまいますね」
シャルロッテの眼の前に広がっているのは、発売予定のゲームの最新情報の数々であった。
まだ解禁前の情報である。
誰よりも早くこうした情報に触れたいと思うのも、人の性であろう。
「いやいやいや、流石にネタバレでしょう」
頭を振ってシャルロッテは、甘美なる誘いを振り払って前に進む。
周囲に浮かんでいた情報データは姿を変える。
これは彼女の心の中を読み込んだ幻影なのだ。
自ずと、それぞれの望むものが目の前に現れる。そして、シャルロッテは次に現れた幻影に目を見開く。
「なんですか、これ」
眼の前にはなんていうか、こう不衛生な感じのおじさんが誘っている……と表現していいのか。
そのような光景が眼の前に広がっているのだ。
「――いやいやいや」
シャルロッテは、先程よりずっと強く首をふる。
「そこまで自堕落になるつもりはないですね」
決然たる意思でもってシャルロッテは幻影を振り払う。
そこから何度も何度も眼の前にチラつく幻影。ハッキリ言って鬱陶しいし、面倒くさい。
「こうなったら、ハッキングさせてもらいます! そんな欲望の飛び道具は禁止、禁止! 禁止です!」
ユーベルコードに輝くシャルロッテの瞳。
どんな欲望の写し身が迫るのだとしてもシャルロッテはハッキングを駆使して、魔法を退けて突っ切っていくのだった。
ちょっと惜しいとか思ってなんかないのである。本当である――。
大成功
🔵🔵🔵
トラスト・レッドライダー
聖遺物か……危険な物であるなら、例え正当だったとしても百獣族の、
オブリビオンの手に渡す訳にはいかないな……。
外敵除けの魔法。贅か、俺には堕落している暇はない。
が、そうだな……俺が殺めた筈の者達が、理想の為に、生きる為に、死んでいった者達が生きている、誰もが笑顔で、秩序と平和で、満ち足りた世は、確かにそうであったならと願ったものだ。
だが、俺は俺の罪過を忘れない。過去の理想の為に止めていい足など、俺にはない。
かつての己が|【情熱】《理想》を振り払い、進もう。
……この魔法を張った誰かに、或いはものには感謝しよう。
己の罪過を見つめなおす良い機会となったし、
幻だろうと、あの光景そのものは、良い夢だった。
オブリビオンとして蘇った百獣族たちが聖遺物の所有権を求めるところは、わからないでもない。
理解できなくはない。
かつて、聖遺物とは彼らが信仰する神の欠片であった。
それを簒奪したのが人類である。
尽くを滅ぼし尽くした過去がある。
それは大罪と呼ぶにふさわしいものであったし、贖罪すべき者がいない今においては悔恨と共に滅ぼした者たちの安寧を祈ることしかできない。
であるのならば、聖遺物を蘇った百獣族の元に戻すのは……ある意味正道であっただろう。
だが、手にした者に栄華と破滅をもたらす聖遺物を百獣族の手に渡すわけにはいかない。
何処まで行っても猟兵とオブリビオンなのだ。
世界の危機に類する事柄を前にして、正当性を押しのけねばならぬのが己達なのだとトラスト・レッドライダー(レプリカントのデスブリンガー・f43307)は理解する。
「そうだ。それが危険なものであるのなら、例え正当だったとしても百獣族の、オブリビオンの手に渡すわけにはいかない」
トラストは『妖精の隠れ里』を目指す。
道程に踏み込めば、広がるのは『敵除けの魔法』によって生み出された幻影だった。
酒池肉林の宴。
何処を見ても怠惰に耽る者たちの姿があった。
怯懦することもない。ただ安寧を貪ることだけが、この幻影の中にて許されたことだった。
トラストも例外ではない。
彼の瞳に映るのは、嘗て己が殺めた者たちがいた。
それだけではない。
理想のために、生きるために、死んでいった者たちの姿もまたあったのだ。
誰もが生きている。
誰もが笑顔だった。
ここには秩序と平和があった。
満ち足りている。
欠けるところのものは何一つなかった。生命一つ失われない世界。
それはトラストが望んだものだった。
「そうであったのなら、と思わないでもない。だが、俺は俺の罪過を忘れない」
トラストは幻影を眼の前にして、目をそらすことなく正面から見据える。
これは己の身に余る贅沢な光景なのだろう。
幻影とて見てはならないものだった。
堕落を誘う幻影。だが、そんな暇は己にはない。
「過去の理想のために止めていい足など、俺にはない」
トラストは幻影を突っ切るようにして足を踏み出す。
それは嘗ての己の情熱、理想めいたものだった。
けれど、進む。
己の心の内にあるもの。
捨てて進むのではない。己の中にまだ確かにあるということを、この魔法は教えてくれた。
「感謝しよう。己の罪過を見つめ直す良い機会になった」
それに、とトラストは仮面の奥で如何なる表情を浮かべただろうか。
「幻だろうと、あの光景そのものは」
それは誰にもわからない。
「良い夢だった――」
大成功
🔵🔵🔵
ファルシータ・フィラ
はぁぁぁぁぁあ……新たな推しの気配!!
ですがその前にソグン様!!
少し前ぶりですねわたくし滾ってしまいます推しグッズ振っていいですか振っても良いですよね振りますね!!!
後さけびまぁぁぁぁぁぁぁすっ!!!
残念ながらわたくしも猟兵
此処でソグン様を見守る地面にはなれませんので
行ってまいります
それにしても……滅びし神々の欠片、神の骸である聖遺物
この世界における神とはどのような存在だったのでしょう?
仮に、全く関係ない『世界』からの流入であれば
完全なオーパーツですわね、ファフニールは
……ん?待ってくださいませ?
この世界にファフニールと黄金にまつわる神話はある?
そうでなければノインさんから黄金の話は出てこないはずでは?
謎は深まるばかり
……そして周囲にはこの世界で会った推しの方々のハーレムが
ダメです見つめないでわたくし見守りたいタイプの変態なので認識されると溶けてしまいますアッ顔が良い!!
いけませんわ、このままですと推しに迷惑をかけてしまいそう!!
新たな推しに向けて、わたくしは!振り返らず!進みます!!
愛とは叫ぶもの(ヘンタイシュクジョノココロエ)である。
心の内側から発せられるものであるし、とめどないものである。
これを留め置くことなど誰にもできやしないのである。
そういうもんなのである。
だからこそ、辺境騎士『ソグン』は圧倒されど、しかしファルシータ・フィラ(アレキサンドライト・f44730)の叫びに引くことはすれど、咎めることはなかったのである。
「はぁぁぁぁぁぁぁあ……新たな推しの気配!!」
ファルシータは身を打ち震えさせていた。
推し。
彼女にとって、それが全てであった。
それ以上でも以下でもない。
「『ソグン』様!」
「は、はい」
「少しブリでございますねわたくし滾ってしまいます推しグッズ振っていいですか振ってもいいですよね振りますね!!!」
ファルシータは有無を言わさず、なんかこうデコレートされた団扇をブンブン振る。
『ソグン』からすれば、何が何だかよくわからない光景であった。
この人、何がしたいのだろうか、と。
しかし、ファルシータは構わなかった。
推しが息してる! それだけで推せるのである!
なんていうか、難儀な生物である。
「ふぅ、ふぅ……『ソグン』様、残念ながらわたくしも猟兵。ここで『ソグン』様を見守る地面にはなれませんので、行ってまいります」
「い、いってらっしゃい、ませ……」
ファルシータの鬼気迫る表情に『ソグン』はそう頷くことしかえきなかった。
なんていうか、やりきった背中なのが余計にわけわからんかった。
そうして、ファルシータは『妖精の隠れ里』へと至る道程へと足を踏み出していた。
彼女にとって幻影とはどんなものだっただろうか。
いや、そもそも聖遺物である。
滅びし神の欠片。
神の骸である聖遺物。
それを求めるのが百獣族である。
「ですが、それが全く関係な『世界』からの流入であったのならば……完全なオーパーツですわね、『ファフニール』は」
『妖精の隠れ里』に秘匿されている聖遺物。
「……ん? 待ってくださいませ? この世界に『ファフニール』と黄金にまつわる神話はある? そうでなければ、あのグリモア猟兵から黄金の話はでてこないはずでは?」
あのグリモア猟兵の言葉を思い出す。
他世界のなにかになぞらえたのか。
それとも、なにか真を知っているのか。関与しているのか。
「うーん、謎は深まるばかりですわ……いえ、それよりも」
ファルシータは幻影に包まれていた。
そう、それは彼女が推しと呼ぶ者たちの姿であった。
この世界で出会った者たち。
彼、彼女たちがファルシータを取り囲んで見つめているのだ。
「……はうっ!」
ファルシータの体がビクンと震えた。
なんで震えた?
「ダメです見つめないでわたくし見守りたいタイプの変態なので認識されると溶けてしまいますアッ顔が良い!!」
一人で身をくねらせるファルシータ。
特に幻影が何かをしたわけではない。
ただファルシータを見つめているだけなのだ。
なのに、それだけでファルシータはどうにもならなくなってしまっていた。ちょろすぎる。
「いけませんわ、このままですと推しに迷惑をかけてしまいそう!!」
具体的に申し上げることはできないが、あれやそれやこれである。
とんでもない迷惑が掛かりそうだとファルシータは己を戒める。
そう、推しとは見つけるものであって、見つめてもらうためのものではない。
少なくともファルシータの中ではそうなのだ。
故に彼女は頭を振って足を踏み出す。その一歩もとんでもなく重たかった。けれど、なんとか! 前に進もうとしているのだ。
「新たな推しに向けて、わたくしは! 振り返らず! 進みます!!」
ちら、と振り返る。
あいも変わらず自分を見つめる推しの視線にファルシータは溶けそうになりながらも、なんとか! なんとか前に進み出すのだった――!
大成功
🔵🔵🔵
ジェラルディン・ホワイトストーン
アドリブ歓迎
正当な所持者、ねぇ。
聖遺物だろうが領土だろうが、今持ってる奴の権利を無視するってんなら都合が良すぎだろうよ。
アルヴィトルも単騎で、現地の妖精は戦えない。なら加勢するに遠慮はないな。
行ってくるぜ。
おお、酒池肉林。(喜色)
マジで池の水が美味そうな酒だし、肉が木々に成ってらぁ。
堕落を誘う幻影って聞いてても、こりゃ生唾が出るな。
百獣族や円卓の騎士みたいに確固たる意志がないと突破は難しい訳か。
……(池に手を伸ばし、酒を掬ってみて、葛藤する)
……ああ! クソ、やっぱダメだ!
|猟兵としての性質《未成年の飲酒喫煙禁止の法則》があるからダメだ!
もういい、進む!
(まだ若いため、幸せは即物的な様子です)
「正当な所持者、ねぇ」
百獣族は聖遺物の所有権を主張するだろう。
それはある種、当然のことだろう。
奪われたものであるのならば、嘗て所持していたものがいるのだから。
しかし、百獣族はオブリビオンである。
猟兵として覚醒したジェラルディン・ホワイトストーン(シャドウエルフのタイタニアキャバリア・f44830)にとっては、如何なる正当性があろうとも、それを認めるわけにはいかなかった。
それに、聖遺物であろうと領土であろうと、今を生きる者たちの手にあるものに対して、無理矢理にでも奪い返そうというのならば、それは今を生きる者たちの権利を無視するものであろうだろう。
「そういうのは都合が良すぎるって話だ。それに」
秘匿されている『妖精の隠れ里』。
そこには戦えぬ妖精族と、恐らく聖遺物探索にでていた円卓の騎士『アルヴィトル』しかいない。
百獣族の軍勢が迫れば、強奪という形にもなるだろう。
「加勢するには充分すぎる理由ってもんだ。行ってくるぜ」
「頼みます。ご武運を」
辺境騎士『ソグン』の言葉にジェラルディンは頷いて、『敵除けの魔法』が見せる幻影の中に踏み込んでいく。
しかし、とジェラルディンは思う。
この魔法は己の望むものを映し出し、足を止めさせるのだという。
人の本性は、何処まで行っても欲求に素直なものである。
それはジェラルディン出会っても変わらないものであった。
「おお、酒池肉林。言葉通りだな」
喜色浮かぶジェラルディンの顔。
眼の前には美しい花園が広がっている。
池から香るのは酒気。木々には肉が吊るされている。
文字通りである。
それがジェラルディンの思う酒池肉林の宴なのだろう。それを反映した幻影を眼の前にしてジェラルディンは早速己の欲求が唸り声を上げているのを知っただろう。
「堕落を誘う幻影って聞いてても、こりゃ生唾が出るな」
わかっていたことだ。
理解もしていたし、それに屈しないように心を強く持とうとも思っていた。
だが、現実に眼の前にするのと、言葉で理解するのとでは雲泥の差であった。
「百獣族の怒りのような強烈な感情か、円卓の騎士のような確固たる意思がないと突破は難しいわけか……そりゃ、他者を遠ざけるにはうってつけだよな」
ジェラルディンは池の酒を救って見せる。
確かに酒である。
それも恐らく美酒。名酒。
ごくり、と喉が鳴る。
理性ではダメだとわかっている。葛藤が心のなかに生まれている。
わかっている。ダメなのだ。どう遭ってもダメなのだ。
「……」
いやしかし、とても美味しそうである。
甘露であろう。
一気に飲み干せば、酩酊状態が長く続くだろう。
「……ああ! クソ、やっぱダメだ! |猟兵としての性質《未成年の飲酒喫煙禁止の法則》があるからダメだ!!」
悪ぶっていても、ダメなものはダメだと理性が警鐘を鳴らし続けている。
惜しい。
とっても惜しい。
が! それでも前に進まねばならないのだ。
「もういい、飲めない酒は酒じゃあなくて池の水! 食べられない肉は、ただの贋作だ!!」
ジェラルディンは歯を食いしばって、幻影が見せる即物的であれどしかし幸せに満ちているであろう多くを振り切って、前に進んでいくのだった。
あまりにも口惜しいが――!
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
UC常時
妖精の守る聖遺物か
中々楽しそうなお宝じゃねーか!
カシムさんがゲットしてやるぜ!
「大儲けだね☆」
幻影
己と同じく廃棄物とされた賢者の子供達との平和な生活
父も母も知らず家族と言える存在は自分の知る兄弟達しか知らなかった
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=50182
悪りーな
僕は絵に描いた餅に興味はねーんだ
それに…本当の彼奴等がやらかしとかしてないか様子見ねーとな
んでおめーは何してやがる(メルシーげし)
「うへへへへ♥ご主人サマってば激しいぞ☆」(主に殴られまくってる幻影見てる。度し難い)
「ぐえ☆やっぱり本物のご主人サマの暴力が一番だぞ♥」
『妖精の隠れ里』にて秘匿される聖遺物。
名を『ファフニール』という。
例外なく、聖遺物は手にした者に栄華と破滅を呼び込む。
そういうものなのだ。
故に強大な力を有している。
逃れ得ぬ運命であるとも言えるだろう。
そんな危険な代物であるからこそ、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は心惹かれる。
「なかなか楽しそうなお宝じゃねーか!」
「ご主人サマ、ノリノリだね☆」
「たりめーだろうが! そんなのカシムさんがゲットしてやるぜ!」
「大儲けだね☆」
『メルシー』と二人でカシムは笑い合う。
お宝と聞いては黙っていられないのである。
しかしながら、『妖精の隠れ里』に至るための道程には『敵除けの魔法』が施さている。
踏み込む者の心を写し取り、最も望む幻影を生み出す魔法。
それによって堕落へと誘う魔法なのだ。
「おっと……ははぁん?」
カシムは眉根を寄せる。
幻影は、己と同じく廃棄物とされた賢者の子供らとの平和な生活だった。
どこまでも平和。
何事も起こらない。
炎に包まれることもなければ、追い立てられることもない。
生命の危険すら感じない。
ただただ穏やかなる日々。
それだけの幻影だった。
父も母も知らない。
家族といえる存在は自分が知る兄弟しか知らない。
だからこそ、カシムの幻影は何処か現実味がなかった。
「悪りーな、僕は絵に描いた餅に興味はねーんだ」
カシムは幻影を真正面から突っ切っていく。
意味がない。絵に描いた餅以下の幻影など、興味もわかない。
「それに……本当の彼奴らがやらかしとかしてないか様子峰ーとな……んで、おめーは何してがる」
カシムは己の足元に転がっている『メルシー』を見やる。
彼女はごろごろとしながらのたうつようであった。
悶絶しているとも言える。
「うへへへへ❤ ご主人サマってば激しいぞ☆」
何やら幸せな幻影を見ているようである。
なんていうか、非常にムカっとする。なんか自分の幻影を見ているようである、ということはわかってしまう。
だからこそ、度し難いものを見るような眼でカシムは『メルシー』を見下ろし、蹴りつける。
「ぐえ☆」
「何やってやがる、おめーは」
「はっ……! ご主人に殴られまくっていたのに、いつのまにか蹴り飛ばされていたんだぞ☆」
「度し難ぇ……」
「うふふ、やっぱり本物のご主人サマの暴力が一番だぞ❤」
「語弊がある言い方すんじゃねーよ!」
本当に語弊か?
もしも、周囲に誰かいたのなら、きっとそう呟いたかも知れない。
だが、幸いにも此処にはカシムと『メルシー』だけである。
二人は、幻影に囚われたりとらわれなかったりしながら、現実の痛みを抱いて前に進むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『剣よ、誇り高くあれ』
|
POW : 正面からぶつかる
SPD : 剣技にて応じる
WIZ : 騎士道を見せる
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『敵除けの魔法』の幻影を振り払い、到達した猟兵達。
その妖精の隠れ里の前に一人の妖精族と円卓の騎士の女性が待っていた。
亜麻色の髪の乙女は、妖精族なのだろう。抱えるようにして宝珠らしきものがあり、その黒い瞳は星写していた。
「お待ちしておりました」
「どうやら危機が迫っているということは、理解しています」
円卓の騎士『アルヴィトル』は、自分だけではなく多くの猟兵たちが『妖精の隠れ里』に到達したことに、全てを察しているようだった。
「ですが、あの『聖遺物』は危険極まりないものです。あれは、おいそれ使っていいものではない」
「迫る危機は真なのでしょう。であるのならば、百獣族との戦いに役立てて頂きたいのです」
「あの聖遺物『ファフニール』の課す試練は……」
「頼みます、円卓の騎士『アルヴィトル』」
「……承知しました。皆様方には、これより聖遺物の力を手繰る資格を示していただきます。そうこと難しい知恵比べではございません。我が人造竜騎『ケルビム・ツヴァイ』にてお相手仕ります」
円卓の騎士『アルヴィトル』の背後に立ち上がるのは、灰色の人造竜騎。
そして、亜麻色の髪の乙女が持つ宝珠が輝く。
それが聖遺物『ファフニール』なのだろう。
「『ファフニール』が護るは、数多の戦いの記憶。蓄積された経験。これを手繰るということは、幾千、幾万、幾億もの戦いの記録を己が身に宿すということ。今、この時において私の人造竜騎は一騎当千。これに打ち勝てぬのであれば、聖遺物の力を手繰る資格などないと思っていただきたい」
灰色の人造竜騎『ケルビム・ツヴァイ』が剣を地面に突き立てた。
「これより、我が名『セラフィム』の名において、試練の儀式を執り行います」
亜麻色の髪の乙女が告げ、猟兵たちに試練の儀式が課せられるのだった――。
エリアル・デハヴィランド
●SPD
アルヴィトル卿の伝聞は風の便りで聞き及んでいたが…本当に妖精の隠れ里の守護者になられていたとは
しかし、それは卿が自ら選ばれた道
私もこの女の口車に乗せられたとは言え、己の迷いを振り払い成すべき事を見出せたのも事実
その試練、慎んでお受け致そう
人造竜騎召喚…レナード!
互いに剣を捧げ、騎士道に恥じぬ戦いの宣誓が終われば…戦いは始まる
流石は歴戦のアルヴィトル卿、そしてケルビム・ツヴァイ…
一撃一撃が重く、かつ隙もない疾さだ
このままでは押し負けてしまうのであれば…【城壁戦法】で押し返すのみ!
剣ではなく盾を主軸に切り替え、相手の剣戟を受け流す事で隙を作り出そう
徐々に卿の動きが読めるようになれば…決着だ
円卓の騎士『アルヴィトル』。
年若い女性でありながら、人造竜騎を駆る力は並ならぬ騎士であるということは、同じく円卓の騎士であるところのエリアル・デハヴィランド(半妖精の円卓の騎士・f44842)もまた知るところであった。
「『アルヴィトル』卿の有名は、伝聞とは言え風の便りで聞き及んでいたが……妖精の隠れ里の守護者となられていたか」
エリアルの言葉に『アルヴィトル』は頭を振る。
「成り行きです。ですが、我が使命を忘れるところでもありません」
「自らが選ばれた道と」
「然り、と言っておきましょう。デハヴィランド卿」
灰色の人造竜騎『ケルビム・ツヴァイ』。
その威容を前にしてエリアルは己が剣を掲げる。
「それが最新たるキャバリア……ライオンキャバリアたる『レナード』ですか。黄金のたてがみの如き姿。まさしく勇名に恥じぬ姿ですね」
「我が迷いはすでに振り払われている。成すべきことを見定めることができたのは、あの女の口車に乗ってとは言え、見いだせたのもまた事実」
「この試練を受けられると」
「謹んでお受け致そう」
互いに構えるは剣。
騎士道に恥じぬ宣誓。
互いに退けぬ。
その背に護るもの、己が矜持とがあるというのならばこそ、戦いは始まりを告げるのだ。
人造竜騎が二騎。
その戦いは苛烈に極まる。
黄金と灰色が交錯する。
「『迅雷』と伝え聞く踏み込み……これが!」
エリアルは歴戦たる騎士、そして聖遺物『ファフニール』の加護を受けた人造竜騎の動きに目を見開く。
疾いだけではない。
鋭く、重たい。
剣の一撃一撃が受けた己が人造竜騎の真芯を捉えていることを知るだろう。
「重たく、疾い……そして、隙もないと!」
「流石はライオンキャバリア『レナード』、動きがよい。ですが、守ってばかりでは!」
踏み込まれ剣が跳ね上げられる。
エリアルは見ただろう。
その動きは、これまでエリアルが経験してきた獣騎や盗賊騎士たちの動きの全てを踏襲するものであった。
「……いいえ、『アルヴィトル』卿。我が道にすでに迷いなく!」
剣で打ち合うのではなく、盾を構える。
ユーベルコードに煌めく『レナード』のアイセンサー。
己が眼前には敵。
されど、背後には護るべきものがあるというのならば、己は城壁そのもの。
剣戟の嵐を受け止め、しかし、城壁は嵐を前に崩れない。
「これが私の成すべきこと。護ること。それが」
「迷いのない良い瞳をしていらっしゃる。であれば、なおのこと!」
「我が道に後退はない。我が道の前には敵はおらず。響く剣戟は、全てが嵐の雷鳴。恐れる心を押し込めてこそ、我道!」
「……押し返される?! 盾で剣が!」
「忌み嫌われた逸れ者たちにも安息の地が必要だというのならば、私がその道を開かせていただく!」
盾によって押し返す剣。
その盾の殴打たる一撃が灰色の人造竜騎『ケルビム・ツヴァイ』を押し返し、エリアルは己が矜持、その誇りを示すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
ミイラ取りがミイラってわけでもなさそうね。
手荒い歓迎、受けて立つわ、『アルヴィトル』卿。
「全力魔法」雷の「属性攻撃」「電撃」「仙術」で十字天経。手加減は出来ないから覚悟してね。
地形が変わったらごめん。
雷を落としながら、「式神使い」で『鎧装豪腕』を操作し、人造竜騎の剣を「盾受け」し、「怪力」で抑え込んで。
動きが止まったところに、強烈な落雷の一撃を降らせる。
乗る機体がなくてもね、これくらいは出来るのよ。
あくまで力試しだし、あたしの力量に納得したら剣を引いてくれるかしら? 機体が壊れるまで、なんて言わないでしょ?
それで、あたしは合格したのかな? 聖遺物はあたしを認めてくれた?
『妖精の隠れ里』に辿り着いた村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)を待っていたのは、妖精族の亜麻色の髪の乙女と円卓の騎士『アルヴィトル』であった。
彼女たちは言う。
聖遺物を狙って百獣族が現れるというのならば、この聖遺物の力を猟兵が使って戦って欲しいと。
しかし、聖遺物の力を引き出すためには試練の儀式に打ち勝たねばならない。
それは『アルヴィトル』が駆る灰色の人造竜騎『ケルビム・ツヴァイ』との決闘であった。
「ミイラ取りがミイラってわけでもなさそうね」
「誓って、そのようなことはないとお伝えしておきましょう」
「手厚い歓迎、受けて立つわ、『アルヴィトル』卿」
「であれば」
灰色の人造竜騎が剣を構える。
すでに猟兵と戦っているが、その人造竜騎には戦いの消耗は見られない。
むしろ、一度リセットされたというのが正しいだろう。
「手加減はできないから覚悟してね」
「無論。そうでなくては」
「九天応元雷声普化天尊! 疾っ!」
ゆかりは初手から己がユーベルコードを解き放つ。
視界を阻害するほどの居列な落雷。
その一撃は『ケルビム・ツヴァイ』の周囲の地形を変えるほどの激烈なる一撃であった。
だが、その一撃を受けて尚『ケルビム・ツヴァイ』はゆかりに踏み込んでくる。
体高5mの戦術兵器と生身単身。
振るわれた剣の一撃を鎧装剛腕が受け止める。
「……まるで知っていたかのような動きね」
「聖遺物『ファフニール』は戦いの記憶の蓄積。であるのならば、雷を手繰る者との戦いもまた記憶されているというもの。そして、それを手繰る生身単身の存在との戦いもまた同様でしょう」
であればこそ、驚くに値はしないのだというように『ケルビム・ツヴァイ』が飛び込み、ゆかりを押し込むようにして剣が大地に傷を刻む。
その土煙からゆかりは飛び出し、雷を再び放つ。
「乗る機体がなくてもね、これくらは出来るのよ」
「でありましょうな。だからこそ、その力量、試させていただく!」
「それにしたって雷を落とされても動き続けるなんて、なんて頑丈なのかしらねっ!」
放たれる雷に周囲の地形が破壊されていく。
ゆかりは無論、人造竜騎が破壊されるまで戦い続けるつもりはなかった。
それに試練の儀式というからには此方の技量を理解してくれたのならば、剣を引いてくれると思っていたのだ。
けれど、『ケルビム・ツヴァイ』は止まらない。
鎧装剛腕で剣を受け止め、ゆかりは軋む体躯のままに瞳をユーベルコードにかがやかせる。
「あたしの力を推し量っているつもり?」
「そのつもりですが」
「あたしは合格していないと? 認めてくれていないということ?」
「いえ、これより先は純粋な興味というもの。鋼鉄の巨人と生身単身で戦える御婦人……まさしく超常の存在と呼ぶにふさわしいものでありましょう」
故に、と振るわれた剣をゆかりは鎧装剛腕でもって受け流し頷く。
「なら」
「ええ、聖遺物の力を受け止めるに相応しい器であるということでしょう」
払われた剣を収め『アルヴィトル』は頷く。
力を示すことは容易ではない。
だからこそ、その扱う者の器を見定めねばならないのだ。
そう告げるように灰色の人造竜騎はゆかりの前に立っているのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ジェラルディン・ホワイトストーン
アドリブ歓迎
よし、突破ぁ!
危ないところだった……もっと気持ちを鍛えねぇとな。
さて、と。試練の儀式ってのは、本気のぶつかり合いか。
いいぜ。魔術使いなりのやり方で納得してくれるんなら、応じてやるさ。
『メルセデス』に搭乗して、挑む!
アルヴィトルの技量に『ケルビム・ツヴァイ』の膂力、そこに『ファフニール』の戦闘記録が宿るんなら、まさに一騎当千だ。
まともに打ち合うと速攻でやられるのは明白だろう。
なら距離を取ってライトニングショットの電撃を放ち、遠距離戦を望むと思わせる。相手が凌ぐことを前提でな。
攻撃しようと迫って来たところへ、近距離からUCの光槍を撃ち込む!
肉を斬らせる前に、骨を貫く! これでどうだ!
『敵除けの魔法』によって見せられた幻影は、ジェラルディン・ホワイトストーン(シャドウエルフのタイタニアキャバリア・f44830)にとっては、なんとも魅力的なものであった。
「よし、突破ぁ!」
息継ぎをするように彼女は息を大きく吸い込んだ。
それほどまでに幻影の誘惑はジェラルディンの心を揺らすものだった。
「危ないところだった……もっと気持ちを鍛えねぇとな」
「よく、『敵除けの魔法』の生み出す幻影を踏破されました」
ジェラルディンの前に立つのは、灰色の人造竜騎を駆る円卓の騎士『アルヴィトル』。
彼女はすでに聖遺物の力の恩恵を猟兵が受けるための試練を行っている。
「貴女も試練を受けられますか。今ならば、まだ退くこともできますが」
「上等! 試練だ儀式だって言ったって、結局のところは本気のぶつかり合いなんだろ? いいぜ。魔術使いなりのやり方で納得してくれるんならな」
「構いません。私にとって、魔術であれ、魔法であれ、剣であれ……そこに騎士道精神が宿るのであれば」
「じゃあ、構わなねぇな! それじゃあ、挑ませてもらうぜ!『メルセデス』!!」
ジェラルディンの言葉と共に現れるのは、タイタニアキャバリア『メルセデス』であった。
その姿に『アルヴィトル』は驚愕する。
「タイタニアキャバリア……!」
それは失われし精霊族の神を顕す人造竜騎。
その力を引き出すためには魔法の素養が大きく関わっていると言われている。
「おうよ! さあ、やろうか!」
「……相手にとって不足なし。参ります」
灰色の人造竜騎『ケルビム・ツヴァイ』が剣を掲げ、ジェラルディンの駆る『メルセデス』と相対する。
決闘。
その宣誓が行われた瞬間、『ケルビム・ツヴァイ』は『迅雷』のような踏み込みで持って『メルセデス』へと迫っていた。
恐るべき速度である。
加えて、その剣を振るう一撃の見事なこと。
さらに言えば、聖遺物『ファフニール』によって、数多の戦闘記録がバックアップについているのならば……考えたくはないが、まさしく一騎当千と言うのは大げさな表現ではないだろう。
「こいつは……まともに打ち合って勝てる相手じゃあねぇ……! なら!」
距離を取るように電撃が奔る。
しかし、その電撃すらも『ケルビム・ツヴァイ』は躱して距離を詰めて来る。
「当然距離を取るのは理解できますが! しかし、それは下策でしょう!」
翻る剣閃。
ジェラルディンを見る『アルヴィトル』にとって、彼女のとった戦法は距離を取りたいがための牽制にしか見えなかった。
故に、距離を離すことに徹しきれていない以上、『メルセデス』が『ケルビム・ツヴァイ』に捕まるのは当然の帰結だった。
「これで、終わらせていただきます」
「だろうな……電撃程度、アンタなら当然凌ぐことができるってわかっていたぜ。だから! この時を待っていた! 踏み込んだんなら、ゼロ距離! この距離で躱せるかよ! 瞬閃出力―――光槍」
ユーベルコードに煌めくジェラルディンの瞳。
そう、ジェラルディンの放った雷撃は牽制。
牽制の雷撃によって敢えて『ケルビム・ツヴァイ』に距離を詰めさせた。
翻る剣。
その鋭さは言うまでもない。
「肉を切らせる前に、骨を貫く!」
純魔力射出(マジック・ショット)の一撃。
それは一点を貫くエネルギー・ジャベリンの一撃。
ゼロ距離故に躱せない一撃。だが、それを『ケルビム・ツヴァイ』は身を捩るようにして躱す……いや、かすめたのだ。
「……! 見事、です。あの一撃は、確かに私を貫いていた」
「躱されてるじゃん!」
「いえ、今のは私の実力では在りません。これが聖遺物の力なしであれば、私は確実に貴女に敗北していたことでしょう」
それ故に見事であると彼女は告げ、己以上の器をジェラルディンが持ち得ることを認めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
沢山の戦いの記憶…。
なるほど、それじゃわたしの戦法とかも誰かがやっている可能性があるってことだね。なんだか不思議。
異界の精霊術士、シル・ウィンディア。鋼の相棒、レゼール・ブルー・リーゼと共に挑ませてもらいます!
機動力には自信があるよ。
スラスターとロングビームライフルの推力器も使っての推力移動。
使うのは左手にビームセイバーをメイン。
でも、コクピット内で詠唱を開始するよ。
どんな威力を持っていても、使い手の心次第で滅びを与える刃となるか、守るための刃になるか…。
その聖遺物もそれ自体に善悪はないんだよね。
力に惑わされず、そして、全力を出すためにあえてこの魔法。
UC発動
これがわたしの全力だよっ!
聖遺物『ファフニール』――それは妖精族の亜麻色の髪の乙女『セラフィム』と円卓の騎士『アルヴィトル』の語るところによれば、幾千、幾万、幾億もの戦いの記憶が内包されているものであるという。
その恩恵は、戦いにおいては絶大なる効果を発揮するだろう。
『ファフニール』を得ることができれば、どんなに戦いに慣れぬものであっても、百戦錬磨の達人へと変えてしまうだろう。
またすでに卓越した力を持つものであれば、さらなる力の向上にもつながるだろう。
「たくさんの戦いの記憶……なるほど、それじゃわたしの戦法とかも誰かがやっている可能性があるってことだね」
「そのとおりです。慧眼、感服いたします」
シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)の言葉に円卓の騎士『アルヴィトル』は灰色の人造竜騎から告げる。
「そうでもないよ。でも、なんだか不思議」
「ですが、乗り越えねばなりません。貴女がこの聖遺物の力を得ようというのならば」
「だね。異界の精霊術士、シル・ウィンディア。そして、鋼の相棒『レゼール・ブルー・リーゼ』と共に挑ませてもらいます!」
シルの言葉と共に彼女のキャバリアが立ち上がる。
浮かぶようにして鋼鉄の巨人が灰色の人造竜騎『ケルビム・ツヴァイ』と相対する。
「……空を主戦場とする機体ですか」
「そう、機動力には自信があるよ!」
スラスターの推進力とロングビームライフルの後部に配された推進機を重ねて『レゼール・ブルー・リーゼ』は空を飛翔する。
まるで青い流星のようだった。
手にしたビームセイバーが煌めく。
「機動力で此方を撹乱してからの一撃……であるのならば!」
迫るビームセイバーを『ケルビム・ツヴァイ』は剣で受け流す……だけではない。返す刃の一閃。
その一撃が『レゼール・ブルー・リーゼ』の装甲を傷つける。
「今の一撃をやり過ごしますか」
「すごい。こっちの動きがまるで読まれているみたいに……」
それは驚くべきことであった。
シルは『ケルビム・ツヴァイ』の攻撃を完全に躱すつもりだった。
そして、それは同時に『アルヴィトル』にとっても予想外の展開だった。今の返す刃で勝負は決するはずだったのだ。
だが、シルの駆る『レゼール・ブルー・リーゼ』は有り余る機動力でもって掠めるに留めていたのだ。
「どんな力を持っていても、使い手の心次第で滅びを与える刃となるか、守るための刃となるか……その聖遺物もそれ自体に善悪はないんだよね」
「いいえ。善悪が内在しているのです。ただの力であったのならば、御することもできましょう。ですが、『ファフニール』は違うのです。あれは……善性と悪性とを内包している……揺らぎ続けるからこそ、呪いなのです」
「それでも力でしょう。力に惑わされず、そして、全力を出す。それだけだよ!」
シルの瞳がユーベルコードに輝く。
高速機動戦闘。
そのさなかにシルは詠唱を続けていた。
回るは6つの魔法陣。
「属性の複合化……! であるのならば、次に来るのは砲撃!」
「それもただの砲撃じゃあないよ! これがわたしの全力だよっ!」
シルの瞳の輝きと共に迸るのは、魔力の塊。
そう、それこそがヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト。
どんな力であっても、それを前にして人の心があれば正しく使うこともできれば、誤った使い方もできるであろう。
そうした正しさと過ちを乗り越えた先にこそ、より良い未来があるとシルは信じるからこそ、その魔力砲撃を持って、己の力、その器を示してみせたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロッテ・ヴェイロン
「ファフニール」ですか。確か「財宝を守護するドラゴン」の元ネタでしたか(【世界知識】)。
で、「試練」とはその守護を受けたキャバリアとの【決闘】ですね。いいでしょう、受けてたちましょう(ホワイトラビットを呼び出し【操縦】)。
ドーモ、アルヴィトル=サン、AliceCVです(で、UCで強化(攻撃力重点(【戦闘演算・高性能を駆使する】))。
あとは【残像】が付くくらいの【ダッシュ】で駆け回りつつ【レーザー射撃】や【誘導弾】で応戦。そして隙をついて【ランスチャージ】で懐に【切り込み】、接近戦にもつれ込みましょうか(可能なら【切断・部位破壊】も狙ってみる)。
※アドリブ・連携歓迎
その名は『財宝を守護するドラゴン』の名であった。
しかし、バハムートキャバリア世界、その妖精の隠れ里に秘匿された聖遺物である『ファフニール』は、それらとは異なる意味合いを持っているようだった。
いや、それでも戦いの記憶という財宝、黄金を内包しているという意味では、あながち間違いではないのかもしれない。
少なくとも、シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)はそう思う。
「元ネタ……この場合、どっちが元ネタになるんでしょうかね?『ファフニール』の名の由来っていうのは」
憶測でしかないことをシャルロッテは理解している。
この場において優先されなければならないのは、聖遺物の守護者たる円卓の騎士『アルヴィトル』の駆る灰色の人造竜騎『ケルビム・ツヴァイ』に力を示さねばならない。
それが試練の儀式なのだ。
「それはともかくとして、良いでしょう。受けて立ちましょう」
「準備はよろしいようですね」
「はい。ドーモ、『アルヴィトル』=サン、『AliceCV』です」
シャルロッテは戦いの始まる瞬間にユーベルコードを発露する。
多次元世界に跨る電子及び霊的ネットワークにアクセスし、『ケルビム・ツヴァイ』のデータを解析する。
機体自体は人造竜騎の範疇を出ないだろう。
しかし、問題は乗騎とする騎士の技量であるだろう。円卓の騎士、それも聖遺物探索に出る騎士である。
それ相応の技量があることは言うまでもない。
自分の攻撃……それこそ、挙動を即座に読み切るようにして『ケルビム・ツヴァイ』が飛び込んでくるのだ。
残像を残すほどの速度で駆け抜けつつ、レーザーや誘導弾による牽制。
これらを苦も無く躱しているのだ。
「機動力に特化しているわけでもないのに、これを躱すんですか」
爆発が巻き起こる。
誘導弾が切り払われたのだ。
しかし、それで『ケルビム・ツヴァイ』の視界が塗りつぶされる。
好機と見たシャルロッテは『ホワイトラビット』と共に踏み込む。懐に切り込むつもりだった。
しかし、その動きを読んでいたように『ケルビム・ツヴァイ』が後方に飛び、タイミングを外された『ホワイトラビット』の懐に逆に飛び込んでくるのだ。
まるで『迅雷』のような挙動だった。
「外されました……でもっ、どんなに騎士の技量が高くても、機体が追いついてないですよ!」
そう、試練の敵として迫る『ケルビム・ツヴァイ』は、『アルヴィトル』の技量に性能が追いついていない。
いや、もっと言えば、シャルロッテは理解していた。
聖遺物『ファフニール』の力を得ている『アルヴィトル』は全知のごとく、数多の戦いの記憶によって此方の動きを読み切っているのだ。
なら、どうするか。
多くの戦いの記憶の中にさえない戦いをするしかない。
「接近戦にもつれこめば、と思っているのならば、甘いと言えるでしょう」
「……この動きにも対応する、んですか」
「ええ、それこそが『ファフニール』のバックアップとも言うべき力です」
「なるほど。でも、それができるのは、その聖遺物だけではないのです」
「……何を」
そう、シャルロッテのユーベルコードが輝く。
彼女のユーベルコードは『アルヴィトル』たちの能力を把握するだけではない。
解析した結果に基づく自動生成された強化プログラムでもって『ホワイトラビット』の動きが活きてくるのだ。
『ケルビム・ツヴァイ』の踏み込みすら、シャルロッテは逆手に取って一撃を叩き込む。
迫る剣の一撃をいなして、叩きつけた『ホワイトラビット』の一撃は『ケルビム・ツヴァイ』の駆体を揺らすだろう。
多くの戦いを経験しようとも、それを手繰るのが人であるのならば、シャルロッテの生み出したプログラムは人知を超えたもの。
編み上げられたプログラムに底上げされた力は、充分に器たる資質を示してみせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
トラスト・レッドライダー
円卓の騎士『アルヴィトル』、俺の名はトラストだ。
俺が聖遺物を、神の力を持つに足りるか否か、よろしく頼む。
【肉体改造】『戦神の武芸』亡国の主と融合、戦神化。
増強した技能と戦技を駆使し『ケルビム・ツヴァイ』と剣を打ち合う。
戦神が【怪力】と武芸を以てしても攻め切れない。
『ファフニール』は無論、その力に呑まれぬ騎士と人造竜騎ともに優秀だ。
参考になる。力と業の双方を以て剣をぶつけ、相手の動きを観察し学習し続ける。
力はどこまでいっても力でしかない。
聖遺物を、神の力を幾ら振るえた所で、俺は俺だ。
だから俺は、俺自身の意思で、未来を望む【情熱】を以て!進もう!!
あるだけ戦技を尽くした後は、心を尽くすのみ。
「円卓の騎士『アルヴィトル』、俺の名は」
トラスト・レッドライダー(レプリカントのデスブリンガー・f43307)は、灰色の人造竜騎『ケルビム・ツヴァイ』の前に立つ。
生身単身である。
鋼鉄の巨人である人造竜騎と相対するには、あまりも頼りない出で立ちであったかもしれない。
だが、円卓の騎士『アルヴィトル』は彼の姿から発せられる重圧を前にして生身単身であることで侮る気に離れなかったようだった。
「トラストだ」
「さぞ高名な騎士とお見受けしますが」
「そんな大層なものではない。俺はただのトラストだ。俺が聖遺物を、神の力を持つに足りるか否か、よろしく頼む」
あくまでトラストは己が試される側である立場であることを崩さない。
決して驕らぬ態度に『アルヴィトル』は非礼があってはならぬと剣を掲げて見せた。
「これをもって返礼とさせて頂きましょう。あなたの騎士道に」
「それに報いることができるかどうかは……これからだ」
その言葉と共にトラストは『亡国の主』と融合を果たし、戦神の武芸(リスキル・ウォー)たる力の発露でもって、己自身を戦神へと変貌させる。
機体との一心同体。
それは彼の能力が直に反映されるということでもあっただろう。
「征くぞ」
その言葉と共にトラストは踏み込む。
増強されている力。
しかし、その力を持ってしても、トラストは『アルヴィトル』の駆る『ケルビム・ツヴァイ』を攻めきれないと理解した。
打ち合う拳と剣。
剣戟の音が響いている。
こちらの技量も底上げされているというのに、決め手に欠けるのだ。
これが聖遺物『ファフニール』の力。
そして、その力に踊らされず、飲み込まれず、守護者としての戦いをする『アルヴィトル』の意思の強さ、矜持、騎士道と言ったものをトラストは理解しただろう。
「参考になる」
「ですが、それは此方も同様ですよ。あなたの動きは、すでに……見えている」
その瞬間、『ケルビム・ツヴァイ』が動く。
力と業。
その双方を持ってトラストは『ケルビム・ツヴァイ』と打ち合っていた。
だが、徐々に己が押されている。いや、先回りされていると理解するだろう。
「力はどこまでいっても力でしかない」
「そう言えるあなたの強さがあればこそ、あの『ファフニール』は、糧にしてしまう。それは呪いなのですよ」
「いいや、それでもだ。『アルヴィトル』、あなたがそうであるように。俺は俺だ。そう認識できる。だからこそ!」
トラストは叫ぶ。
先回りされるようにして剣の閃きがトラストへと奔る。
その一撃を両拳でもって挟み込むようにして止める。
ぎりぎりと音が響く中、トラストは己の意思こそが、歩みを止めぬための方策であるとシル。
「俺は、俺自身の意思で、未来を望む情熱を以て! 進もう!!」
尽くすは戦技。
であるのならば、残されたの心。
力も業も凌駕するのは結局のところ、心なのだと示すようにトラストの拳は『ケルビム・ツヴァイ』の剣を砕き、その器を示すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
空桐・清導
POW
アドリブ・連携大歓迎
「なるほど!分かりやすいな!
なら、見せてやるぜ!ヒーローの戦い方を!
そして!聖遺物を操る資格があるってことをな!」
UCを発動して炎剣を握りしめ、
ブライト・ガーディアンを装備
「いざ!勝負しようか!!」
全力で駆け出してケルビム・ツヴァイに突っ込む
振るわれる剣を[鉄壁]のガーディアンで防ぎ、
反動を利用して炎剣で切裂く
「やるな!だが、まだまだ!」
連撃を体術で躱し、演舞のように斬り結んでいく
倒すためではなく、己を示すための戦い
魅せる戦いは大得意だ!
「さて、コイツで仕舞いとしよう。
とっておきを見せてやる。」
炎剣を天高く掲げて刃を伸ばし振り下ろす!
「必殺!バーニング・ソード!!!」
聖遺物を百獣族との戦いに役立てて欲しいという妖精族の言葉に難色を示したのが円卓の騎士『アルヴィトル』であった。
彼女にとって、聖遺物『ファフニール』の力は大きすぎるものであったのだろう。
強大な力。
それを有する聖遺物は所有者に栄華と破滅を同時にもたらすもの。
危険な代物なのだ。
だからこそ、彼女は猟兵達が栄華と破滅とを受け止められるだけの器なのかを知るために戦いを挑む。
「なるほど! わかりやすいな!」
空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は得心がいったというように頷く。
「なら、見せてやるぜ! ヒーローの戦い方を! そして! 聖遺物を操る資格があるってことをな!」
赤い鎧より噴出する炎。
腕の周囲に集約されていく炎は剣を形なし、清導は握りしめる。
「炎の剣……そして、もう一振りですか」
「そうだ!これが『ブライト・ガーディアン』だ! いざ! 勝負しようか!」
生身単身で清導は灰色の人造竜騎『ケルビム・ツヴァイ』へと駆け出す。
最初から全力だった。
ためらいはない。むしろ、ここでためらうようであったのならば、きっと聖遺物の力を手繰る資格なしとも言われるかもしれない。
だからこそ、放たれる剣閃の鋭くも重たい一撃をフォースセイバーで受け止める。
体高5m級の鋼鉄の巨人から放たれる一撃は受け止めれば、清導の体ごと大地を踏み割る。
砕けた大地の破片が体躯にぶつかる。
「すさまじいな! だが、まだまだ!!」
振るわれる炎剣。
身を翻すようにして振るわれた一撃を『ケルビム・ツヴァイ』は躱す。
まるで、己の動きが先読みされているようだった。
「……!?」
清導は違和感を覚えただろう。
己の動きは初見のはずだ。なのに『ケルビム・ツヴァイ』は見てからではなく、見る前から動いていた。
未来予知?
いや、違う。
そうであったのならば、先に攻撃されているはずだ。なのに、『ケルビム・ツヴァイ』はそうでなかった。
経験則から来る機動。
それによって『アルヴィトル』は清導の一撃を躱していたのだ。
「倒すためではなく、己を示すための戦いだ、これは! 魅せる戦いは大得意なんだよ!」
清導は、だからなんだというように演舞のように二振りの剣を振るう。
その攻撃の尽くを受け止められ、いなされる。
それでも笑う。
「がむしゃらとひたむきは違いますよ」
「だろうな。けど、まだオレにはとっておきがある!」
炎剣を天高く掲げ、炎の刀身を伸ばす。
長大になった刀身は天を焦がさんばかりに炎を噴出させ、一気に振り下ろす。
「必殺! バーニング・ソード!!!」
叩きつけられた一撃。
その一撃を『ケルビム・ツヴァイ』は剣で受け止める。
躱せなかった。
なら、その一撃は清導の渾身であり、また経験を越える可能性であった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
おお、これが『エイルさん妖精バージョン』……。
これはかわいいですね。
愛でたいを通り越して、ぜひ旅に着いてきてほしいまでありますね!
どうです?いっしょしませんか?
鳥かご用意しますよ!
へぶっ!?
じょ、冗談です!ほんのお茶目ですから!
お願いですからその殺気やめてくださいー!?
って、あっはい。
今回さすがに生身は厳しそうですので……かもん!【ソナーレ】!
聖遺物の力を手繰るというよりは、『エイル』さんの魅力に引き寄せられてる気もしますが、
試練を乗り越えるのも勇者の務めです。
【ラデツキー行進曲】いっきますよー!
ステラさん、トドメはお願いします!
ステラさんの欲望の力、期待してますからねー!!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
亜麻色の髪キタァァァァァ!!
あれ?エイル様……ではなさげ??
亜麻色の髪はエイル様要素では?
んー?
それに……セラフィム、様?
えー……もーわかんないよぉぉぉぉぉ(キャラ崩壊の図
はっ!?ルクス様エイル様(妖精)を誘拐しようとしない!(足払い)
ふぅ、落ち着きました
そういえば昔少しだけ考えたことがあります
機動兵器『セラフィム』の意思はどこから来るのか……
その答えの一端、ここで得られそうです
ルクス様いきますよ!
こちらもケルビムで……ケルーベイム!!
フローリス展開!
零距離射撃と斬撃を高機動から攻めます!
ルクス様少し時間を稼いでください
一撃かましますので!
【ホノカグヅチ】……!これでどうですか!?
亜麻色の髪の乙女。
それは妖精族『セラフィム』。
彼女の眼差しは星写す黒。
妖精の隠れ里にて聖遺物『ファフニール』を秘匿し続けていたものである。
「亜麻色の髪キタァァァァァ!!」
ともすれば、荘厳なる空気すらありそうな場にあってステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は雄叫びを上げていた。
空気読むとか読まないではない。
叫ばねば己の内側から何かが溢れ出しそうだった。
叫んでいる時点で溢れているのとそう変わりないような気がしたが、気の所為である。
「おお、これが『エイルさん妖精バージョン』……これは可愛いですね。愛でたいを通り越して、ぜひ旅についてきてほしいまでありますね」
一方でルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、彼女で、ウンウンと頷いていた。
もしも、妖精族がフェアリーのような体躯をしていたのならば、そのような扱いもやぶさかではなかったのかもしれない。
「いえ、私は獣騎に変形する能力も失って久しいのです。旅の同行には足手まといとなるでしょう」
妖精族『セラフィム』は頭を振る。
そんな彼女の様子を見て、ステラは首を傾げていた。
亜麻色の髪。
星写す黒い瞳。
いずれも、彼女が主人様と言って憚らぬ者の特徴である。
性別が違う事はこの際、脇においておくとする。
なのに、名前が違う。
「あれ?『エイル』様……ではなさげ?? 亜麻色の髪は『エイル』様要素では?」
「『エイル』……懐かしき名ですね。嘗て『ラーズグリーズ』の血脈をたどるところの者に請われ、鍛造した人造竜騎の名です」
「ん? んー?」
ステラは首を傾げた。
『セラフィム』『エイル』。
その名が繋がりを見せたが、しかし、彼女の頭の中はごっちゃになっていた。
「えー……もーわかんないよぉぉぉぉぉ」
キャラ崩壊である。
そんなステラをよそにルクスは『セラフィム』を勧誘している。
「どうです? 里に引きこもっているより、旅にでてリフレッシュしませんか? 鳥かご用意しますよ!」
「誘拐しようとしない!」
出来るメイドはこんなときでも足払いである。足払いからの拘束。
なれたもんである。
「へぶっ!? じょ、冗談です! ほんのお茶目ですから! お願いですからその殺気やめてくださいー!?」
「わかればよろしいのです。しかし……」
ステラは考える。
機動兵器『セラフィム』。
その発端は、恐らくスペースシップワールドないしスペースオペラワールドであろう。
だが、時折見せる意思のようなもの。
あれはどこから来るのか、と。
その一端が聖遺物『ファフニール』にあるというのならば。
「準備はよろしいか」
円卓の騎士『アルヴィトル』が告げる。
灰色の人造竜騎『ケルビム・ツヴァイ』。
奇しくも、ステラの乗騎もまた、その名に類するものである。
「ええ、ルクス様行きますよ!」
「あっ、はい……かもん!『ソナーレ』!」
「『ケルーベイム』!!」
その言葉にルクスも答え、二騎の鋼鉄の巨人が現れる。
「……私の知らない『ケルビム』? あなた、いったいそれをどこで……」
「フローリス展開! 行きますよ! ルクス様、少し時間を稼いでください!」
「はーい! ステラさんの欲望の力、期待していますからねー!!」
「欲望ではございませんけど!?」
そんな二人のやり取りをよそに『アルヴィトル』は、ステラの『ケルーベイム』に訝しむ。
同型であることはわかる。
が、装備が見たことのないものなのだ。それにステラが言う所の『ケルーベイム』とは、彼女の知らない名であった。
「戦えばわかること……うっ、この音は!」
「ラデツキー行進曲(ラデツキーコウシンキョク)です! 試練を乗り越えるのも勇者の務めですから! さあ、ステラさん!」
「わかっております!」
ルクスの放つユーベルコード、その音波によって『ケルビム・ツヴァイ』は動きを止められる。
しかし、その足を止めた瞬間ステラの『ケルーベイム』がフレアソードを構え、刀身の燃え盛る炎を宿しながら踏み込んでくる。
超高速。
防御すら破壊する焔の剣。
「ホノカグヅチ……! これでどうですか!?」
放たれた一撃は焔を渦巻き、『ケルビム・ツヴァイ』の装甲を融解させる。
「……見事です」
二人は、己たちの力を示し、器たる資格を証明して見せたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ファルシータ・フィラ
ふへへへ、新たな!!推し!!
ふたりも!!
妖精様にアルヴィトル様はじめまして!
さっそく推してもいいでしょうか!!
ダメって言われても推すんですが!!
間近くでご尊顔を拝見するんですが!!
ですが戦う事が力を示す事ならば
惜しみなく戦いましょう
推しが見ている前で無様なことはできませんし
ケルビム……天使の名前?
いえ、この地に舞い降りた外なる神でしょうか?
ティタニア!
騎士形態で参りますわ!
ティラトーレ・シールドランスを主武装に
『閃光』にも負けない速度で!
攻防一体のこの武装ならば
アルヴィトル様の攻撃を捌きつつ
チャンスを窺える……そこです!
【フェアリー・スピア】!
妖精の一刺しとて油断すればただではすみませんわよ!
「ふへへへへ、新たな!! 推し!! ふたりも!!」
妖精の隠れ里に到達したファルシータ・フィラ(アレキサンドライト・f44730)は、口元を拭う。
涎が出たわけではない。出たわけではないよね?
「妖精様に『アルヴィトル』様はじめまして! 早速推していいでしょうか!!」
「え、あ、推し……?」
妖精族『セラフィム』と名乗る亜麻色の髪の乙女は戸惑っているようだった。
いや、誰だって戸惑うだろう。
ファルシータのテンションはそれだけおかしいものだた。
「ダメって言われても推すんですが!! 間近でご尊顔を拝見するんですが!!」
ぐいぐい来る。
円卓の騎士『アルヴィトル』も戸惑っているようであった。
そりゃそうである。
初対面でこれなのだ。戸惑わない方がよほどであるし、豪胆がすぎる。
「そ、それで、貴女も聖遺物の力を手繰るに相応しいと資格を示すのですか?」
「ええ、戦うことがチカラを示すことならば、惜しみなく戦いましょう。それに」
ちら、とファルシータは、『セラフィム』と『アルヴィトル』を見やる。
「推しが見ている前で無様なことはできませんし!」
「はぁ……」
そういうもんなのかな、と二人は思ったかも知れないがファルシータは大真面目であった。
「『ティタニア』! 参りますわ!」
現れるグリフォンキャバリアが騎士形態へと変形し、大地に降り立つ。
その姿を見やり『アルヴィトル』は頷く。
「扱いの難しいグリフォンキャバリアをこうまで容易く操るとは……我が乗騎『ケルビム・ツヴァイ』をして相手に不足はなし、といったところでしょう」
「『ケルビム』……天使の名前? いえ、この地に舞い降りた外なる神でしょうか?」
人造竜騎の区分は殆どが実在しない存在の名である。
バハムートキャバリアしかり、ライオンキャバリアしかり。
そう、存在しない者を信仰することで人は人造竜騎を手に入れた。ならば、『ケルビム』はこの世界に存在しない神の名なのかもしれない。
その考察を深める前にファルシータはシールドランスを構え、踏み込む。
「『閃光』にも負けない速度で参ります!」
「その動きはすでに知っています。だからこそ!」
攻防一体のシールドランス。
だが、『ティタニア』は『ケルビム・ツヴァイ』の動きに圧倒される。こちらが踏み出す度に、その動きを潰すように踏み込んで来られているのだ。
まるで此方の動きがわかっていたかのようだった。
「これが『ファフニール』の力……これを越える可能性持つ器でなくば!」
「確かに疾い……『迅雷』のような……いえ、だからこそ!」
ファルシータの瞳と『ティタニア』のアイセンサーがユーベルコードの輝きを放つ。
放たれる魔法の妖精光。
羽より射出されたそれは、フェアリー・スピア。
シールドランスで『ケルビム・ツヴァイ』の剣の一撃を受け止めながら、しかし放たれた魔法の妖精光は隙をつくように飛ぶ。
「そこです!」
「対応できぬとでも!」
剣で妖精光を切り払おうとする『ケルビム・ツヴァイ』。
その切り払う剣の一撃は妖精光を切り払った。だが、『ティタニア』が在りえぬ角度で方向転換する。
「……!?」
「妖精の一刺しとて油断すれば、ただではすみませんわよ!」
そう、彼女のユーベルコードは己が乗騎を速度を感が図に方向転換させる。
そのあまりにも理不尽な動きでもってファルシータは『ケルビム・ツヴァイ』の背後を取ったのだ。
突きつけられる穂先に『アルヴィトル』は頷く。
「……見事な力です」
油断していたわけではないが、と彼女は告げ、ファルシータを認めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
……数多の戦いの記憶…蓄積された経験…即ち…智……プロメテウス…か
…セラフィム・シックスを思いだしちまうな
機神搭乗
最強無敵の(自称)天才魔術盗賊のカシムさんだ!ファフニール…そいつが数多の記憶を…受け継ぐ物だっていうならば…この僕が貰い受ける!
「界導神機『メルクリウス』だよ☆メルシーって呼んでね☆きっと君が乗る人造竜騎と同質の存在だよ☆(そう、神を名乗るメルシー達もこの子達と同一なのかもね☆)君もまた…エイルの一人かな?」
【情報収集・視力・戦闘知識】
どれ程の経験があろうともそれでもアルヴィトルの動きの癖や性質を冷徹に把握
そして彼の戦い方の中で…之まで戦ったり共闘した者達の記録との類似性が無いかも分析
【武器受け・二回攻撃・切断・空中戦・念動力・属性攻撃】
遠距離が使えないのはちときついが
だが僕は接近戦もいけるって事を見せてやる!
念動力による障壁展開
同時に鎌剣に炎を纏わせてからの連続斬撃を叩き込む
己の経験…知識…それら全てを尽してその技と猛攻を示してやる
クリスタルビットも使うなら薙ぎ払う!
数多の戦いの記憶を内包する聖遺物『ファフニール』。
それは確かに戦うものにとっては値千金なる得難きものであるだろう。経験があれば、才無き者でも戦巧者の如き力を宿すことができるだろう。
言うまでもなく強大な力である。
聖遺物の例に漏れることはない。
同時に、それは所有するものに栄華と破滅とをもたらすものである。
危険だと言うこともわかる。
「……数多の戦いの記憶……蓄積された経験……即ち……智……プロメテウス……か」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が想起したのは、巨神と呼ばれたキャバリア『セラフィム・シックス』だった。
海底に没し、戦いに消えたもの。
考えることはいくらでもある。
だが、今すべきことはそれではない。
「最強無敵の天才魔術盗賊のカシムさんだ!『ファフニール』……そいつが頭の記憶を……受け継ぐものだっていうならば……この僕が貰い受ける!」
「であるのならば、資格を示していただきたい」
円卓の騎士『アルヴィトル』が駆る灰色の人造竜騎『ケルビム・ツヴァイ』が『メルクリウス』と相対する。
「界導神機『メルクリウス』だよ☆『メルシー』って呼んでね☆」
「存じております」
「お☆ 君もまた……『エイル』の一人かな?」
「『エイル』とは、『ラーズグリーズ』辺境伯が駆る青き人造竜騎の名。一人、と表するのは些か異なることかと」
互いに睨み合ったまま。
しかし、互いに同時に動く。
速度は『メルクリウス』が圧倒している。
だが、その尽くを『ケルビム・ツヴァイ』は事の起こりたる動きの先を潰すように動く。
まるで此方の動きを知っているかのようだった。
カシムは、戦いの中で知る。
この動きは類似点が在りすぎる。いや、在りすぎるが故に、わからない。
どれもがこれまでカシムが戦ってきたものたちの面影を見るのだ。
それらが重なりあって、どれとも言えるし、どれとも言えないという不可思議な感覚を教えてくるのだ。
「ご主人サマ☆」
「わーってるわ!」
鎌剣で受け止める剣の重さ。
翻る剣の鋭さ。
踏み込みの速さ。
此方の攻撃を躱す最短であり、無駄のない動き。
いずれもが此方を技量で圧倒してくるのだ。此方の速度の歩があるからこそ、叩かていると理解できる。
しかし、それでも翻った剣閃がついに念動力の障壁を捉える。
刃が障壁に食い込み、砕かんとするだろう。
「遠距離が使えないのは、きついが……接近戦も行けるってことを見せてやる!」
速度で勝ることが唯一であるというのならば、その利点を活かす。
神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)によって加速した速度は、さらに『ケルビム・ツヴァイ』を圧倒する。
焔纏う剣の連続攻撃。
それは超高速機動の攻撃であり、『ケルビム・ツヴァイ』が此方の動きの起こりを潰してくるのならば、それをさせぬ刃の檻。
斬撃による猛攻。
「己の経験……知識……それら全てを尽くしてやらあ!」
「……器は空にしなければならない。出し尽くした先にこそ、残るものがあるのですから」
迫る刃の檻を『ケルビム・ツヴァイ』は剣で払ってのける。
「……んなっ! だがよ! こんなもんじゃあねぇだろう、『メルクリウス』! お前の力を見せてみろ!」
咆哮と共に『メルクリウス』が更に加速する。
限界を超えた超高速機動。
その軋むフレームと共に斬撃が嵐のように吹きすさび、焔を噴出しながら『ケルビム・ツヴァイ』の装甲を切り裂いたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『獣騎ゴブリン』
|
POW : 戦士の誓い
【戦士の誇り】に基づく誓いを立てると、誓いの実現難易度に応じ自身の戦闘力が1〜10倍。誓いを破ると終了。
SPD : 合体! 獣騎スーパーレッドキャップ!!
全長45mの合体ロボ「【獣騎スーパーレッドキャップ】」を呼ぶ。【獣騎ゴブリン】五体が合体し、【巨大ナイフ】と【意外と素早い動き】と【岩の投擲】で戦い、誰でもいいから5人いないと操縦できない。
WIZ : ゴブと五分だぜッ!
行動成功率が0%でなければ、最低成功率が60%になる。
イラスト:V-7
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達は示した。
己たちが聖遺物の力を手繰るに相応しい器であると。
故に妖精族『セラフィム』は頷く。
すでに『敵除けの魔法』をくぐり抜けて百獣族の軍勢が迫っているのだ。
「皆様の力、それは真。であるのならば、お受け取りください。『ファフニール』が持つ力の一端を」
その言葉とともに猟兵達は己たちの頭に数多の戦いの記憶が流れ込んでくるのを知るだろう。
それは奇妙な感覚だった。
膨大な記憶。
川の流れのようであり、水の一滴を自覚させない。
つぶさに水の粒子一つまで人が認識できないように、猟兵たちもまた同様に、『それ』を認識できない。だが、流れ込む記憶は確かに猟兵たちに迫る百獣族の軍勢『獣騎ゴブリン』たちの動きを理解するだろう。
どのように動くのか。どのように戦うのか。
それらの全てを認識し、猟兵達は『獣騎ゴブリン』たちにたいして絶対たる先制攻撃を行おうことができるのだ。
「我らが奉じる神の遺骸たる聖遺物『ファフニール』を秘匿していることはわかっている! 我らが正当なる所有者である。返還を求めるものである」
「だが、あくまで返還を拒むというのならば」
「所有権をかけての、聖なる決闘を望む。妖精族の里を守る者よ。我らに立ち向かう勇気があるというのならば、名乗りあげよ!」
『獣騎ゴブリン』たちは、己が戦士としての誇りを示すように次々と己が武器を掲げ、決闘者たる猟兵達を待ち構えるのだった――。
村崎・ゆかり
この世界ではゴブリンも正々堂々戦うのね。
いいでしょ。村崎ゆかり、陰陽師! 正しく戦いに臨むもの也!
獣騎ゴブリンは、数の力で押してくる。それなら――
「全力魔法」炎の「属性攻撃」「範囲攻撃」「竜脈使い」「呪詛」「結界術」「仙術」で烈焔陣!
敵陣の足下を割って、呪いの炎が吹き上がる。あなたたちにも呪いがどんなものか味わってもらうわ。
これで敵陣の一角でも崩せれば、混乱を引き起こせるはず。
初手としてはこんなものでしょ。あとに、三回烈焔陣を使えば、ひとまず結果は出せるかしらね。
悪いけど、ここの聖遺物はあなたたちには渡さないわ。お帰りはあちら。さっさと引き上げてちょうだい。往生際が悪いのは見苦しいわよ。
ゴブリンと聞いて、真っ先に思うかべるのは粗野な習性であろう。
他の世界でも見る名である。
また同時に悪辣な存在でもあるだろう。
だからこそ、バハムートキャバリアにおける『獣騎ゴブリン』たちの威風堂々たる佇まいに村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は違和感を覚えただろう。
「この世界ではゴブリンも正々堂々と戦うのね」
「我が種族の名を謗るか。我らが誇りを穢すというのならば、女人と言えど容赦はせぬぞ!」
その言葉に『獣騎ゴブリン』たちが激昂する。
ゆかりは息を吐き出す。
確かにこの世界の百獣族たちには、いずれもが正々堂々たる清廉なる意志が宿っているのだろう。
他世界をしらぬのならば、そのような行き違いもないだろうが、ゆかりはどうしたって他世界のゴブリンを思い浮かべてしまう。
それほどにゴブリンの名は悪辣なものだったのだ。
「怒らせてしまったわね。けれど、いいでしょ。怒りに塗れて尚、正々堂々を望むのなら……村崎ゆかり、陰陽師! 正しく戦いに挑むもの也!」
ゆかりの身には聖遺物『ファフニール』のちからが宿っている。
敵の動きがわかる。
知覚せずとも『獣騎ゴブリン』たちがどのように動くのか理解できるのだ。
初手。
軍勢であることを頼みにするのではなく、名乗り上げた者に『獣騎ゴブリン』は向かってくる。
「単調……いえ、それだけ真っ向勝負にこだわっている、ということね。そして」
「我らが名を謗る者を誅するまで、我が進撃は止まらず! 我が神よ、ご照覧あれ! 勇猛なるを持って、この決闘を制して見せましょうぞ!」
その声と共にユーベルコードが煌めく。
しかし、ゆかりのユーベルコードの方が疾い。
敵がどう動くのか。
いかなる力を使うのか。
それを知っているのならば、対処など容易いものだった。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。汚濁に染まりし三昧真火よ。天帝の赦しを持って封印より解き放たれ、地上を劫火の海と為せ。疾!」
形成されるのは、烈焔陣(レツエンジン)。
戦場の地表を割り、噴き上がる無数の火柱。
それは『獣騎ゴブリン』の体躯を真下から吹き上がり、その体躯を燃やす。
装甲を融解させるのは、怨念に満ちた呪詛の炎。
それを身に受けながら『獣騎ゴブリン』は真っ直ぐにゆかり目指して進んでくるのだ。
「凄まじい炎であるが! 我が進撃は止まらぬ! 我が神に誓っているのだ! それを!!」
「流石に突っ込んでくるわね。でも、初手でこれだけ崩せるのなら……!」
ゆかりのユーベルコードが更に『獣騎ゴブリン』の軍勢を突き崩すようにして地表から無数の火柱を噴出させる。
「悪いけれど、此処の聖遺物はあなたたちには渡さないわ」
「あれなるは我らが神の遺骸の一部! それを簒奪者の手元においたままなど!」
「お帰りはあちら。さっさと引き上げてちょうだい」
「ならぬ!」
「往生際が悪いのは見苦しいわよ」
ゆかりの言葉と共に三度、火柱が地表より吹き上がり、迫りくる『獣騎ゴブリン』の軍勢を押し返す。
彼らの勇猛果敢なるはよくわかった。
やはり、他世界のゴブリンとはひと味も違うようだった。
故に、ゆかりは容易くない相手だと認識し直し、迫る軍勢を押し留め続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
空桐・清導
POW
アドリブ・連携歓迎
「良い名乗りだ!こちらも応えよう!
我が名はブレイザイン!異界より来たりしヒーロー!
聖なる決闘!受けて立つ!全身全霊にてかかってこい!!」
UCを発動して両手に炎剣を握りしめる
ゴブリン達の誓いによる強化はかつて無いほどに滾る
なぜならば、目の前のブレイザインが
彼らの人生、今世においても空前の存在だからだ
だが、清導はソレを超えていく
溢れる[勇気]と[気合い]によって出力は天井知らず
ファフニールの経験によりまさに完全無欠だ
攻撃を全て避け、ゴブリン達を次々切り倒す
正々堂々と、ただただ真っ直ぐに挑む清導
「これで終わりだ!超必殺!スピニングブレイザー!」
超遠大に伸ばした炎剣で一掃する!
「この戦いを我らが奉じる神に! そして、遺骸たる聖遺物を正当なる我らが手に!『獣騎ゴブリン』として、汝らに聖なる決闘を申し込む!」
『獣騎ゴブリン』の堂々たる佇まいに空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は深く頷いた。
彼らの気概というものが名乗りから伝わってくるからだ。
例え、彼らに正当性があるのだとしても、今を生きる者たちの世界に死せる者たち……オブリビオンの居場所はない。
彼らが聖遺物を手にすれば、その強大すぎる力によって彼らもまた栄華と破滅とを同時に得ることになるだろう。
そうなった時、世界の危機が訪れるのは言うまでもないのだ。
「良い名乗りだ! 此方も応えよう!」
だが、そうした理屈以上に清導は彼らに報いたいと思ったのだ。
これが聖なる決闘であるというのならば、己は名乗らねばならない。
「我が名は『ブレイザイン』! 異界より来たりしヒーロー! 聖なる決闘、受けて立つ! 全身全霊でかかってこい!」
「応……! 良き名乗りである。我が名において、その意志に報いよう! 我らが進撃は止まらぬ! この誓を以て、汝の意志に相対するのだ!」
誓いによって『獣騎ゴブリン』たちの力が増していく。
その圧力というものを清導はひしひしと感じるだろう。
だが、清導もまた負けては居ない。
己もまた滾っているのだ。
彼らの騎士道、正々堂々と正面からぶつかることを是とする意志。
それに真っ向から立ち向かうこと。
この上のない高揚によって清導は、炎剣を手にして『獣騎ゴブリン』たちと真っ向から向かい合う。
彼にとって彼らの動きは手に取るようにわかる。
何千、何万、何億という戦いの記憶から得られたシュミレーションめいた結果。
清導は意識せずとも『獣騎ゴブリン』の動きが次にどうなるのかを理解していた。反射的に動く。手足は、まるで見えぬ何かに圧されるようにして閃き、その炎剣の一撃で持って『獣騎ゴブリン』を一刀両断するのだ。
「見事……! その太刀筋の冴えること、正しく……!」
「おおっ! なんという一撃か! されど、我らとて負けてはいられぬ!」
迫る『獣騎ゴブリン』たちの攻撃を清導は容易く躱す。
軍勢で迫るのだとしても、負ける気がしない。
これが聖遺物『ファフニール』の力なのだ。
「アンタたちの信仰する神の力……これが『ファフニール』に溜め込まれた経験の力だ!」
「我らが聖遺物の力を手繰る、だと……なんとうことだ。信仰なき人間が、ここまで神の御力を引き出せるとは……!」
彼らの驚愕に満ちる表情を清導は見ただろう。
だが、『獣騎ゴブリン』は頭を振る。
「いいや、我らが神も汝らをお認めになったということ。この凄まじき力を前にすれば、それが理解できる。ならば、我らは聖なる決闘において雌雄を決すまで!」
「ああ、これで終わりだ! 超必殺! スピニングブレイザー!!」
清導は超遠大に伸ばした己がユーベルコードによって生み出された炎を、己が燃え盛る心のに比例するように掲げる。
天を焦がす炎が叩きつけられ、そして清導は唸るようにして咆える。
「おおおおっ! これで!」
一掃するかのような横薙ぎの一撃。
その凄まじき炎の噴出と共に清導は『獣騎ゴブリン』たちの軍勢を切り払い、その苛烈なる力を示すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
所有権がどっちにあるかどうかはわからないけど、でも、襲ってくるなら迎え撃つだけだね。
わたしは、シル・ウィンディア。異界の精霊術士で鋼の騎兵の騎士でもあるよ。
さぁ、獣騎ゴブリンさん達、ここから先は通行止めだからねっ!
言ってから、推力移動で空中機動を行うよ。
基本飛べるのはうらやましいけど、でも、空中戦ならわたしも負けないっ!
カルテッドキャノン、左腕ビームランチャー、右手のロングビームライフルで牽制しつつ、前方に敵を集めるようにして立ち回り。
攻撃しつつも詠唱は行って、敵が集まったら、エレメンタル・ファランクスを撃つよっ!
前方を広域に範囲攻撃を行う感じで扇状に撃つね。
さ、わたしの全力を遠慮せずどうぞ!
『獣騎ゴブリン』たちは、聖遺物の所有権が己たちにあると言って憚らぬ。
それは正しいのだろう。
元は彼らの信仰する神の遺骸。一欠片である。
故に彼らは取り戻したいと願うだろう。当然である。誰もが奪われたものを奪い返したいと思うのだろう。
シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)には、それが正しいことなのかわからない。
どちらが真なのかも。
百獣族には所有権があるのだろう。
だが、彼らは死せる者たち。オブリビオンである。
世界の危機を救う猟兵にとっては、倒さねばならぬ敵であることに変わりない。
「わたしには、どちらが正しいのかなんてわからないけど……でも、迎え撃たなきゃいけないっていうんなら!」
シルはキャバリア『レゼール・ブルー・リーゼ』と共に飛翔する。
蒼き機体を『獣騎ゴブリン』たちは見上げる。
「わたしは、シル・ウィンディア。異界の精霊術士で鋼の騎兵の騎士でもあるよ」
「我らが道行きを阻むか!」
「襲ってくるのなら、戦禍が広がるっていうのなら。『獣騎ゴブリン』さんたち、此処から先は通行止めだからねっ!」
「立ちふさがるのならば、押しのけさせて頂く!」
「させないよ!」
互いの視線が交錯する。
戦うことは避けられない。どちらにも正当性があるだろう。
だが、戦わねばならないというのならば、シルはためらわない。
己の乗騎の推力が機体を飛翔させる。
『獣騎ゴブリン』もまた同様であった。
飛翔することにためらいがない。
故に空中で交錯し、火花が散る。『レゼール・ブルー・リーゼ』が空で身を翻すようにして制動をかけ、一気に『獣騎ゴブリン』へと肉薄する。
わかる。
聖遺物『ファフニール』の力なのだろう。
理解せずとも、己の脳裏に『獣騎ゴブリン』の動きが見えるのだ。次にどう動くのか、どのように攻撃をつなげようとしているのか。
いずれもが理解出来る。
だからこそ、シルはビームの牽制射撃を行う。
「牽制など!」
無意味であるというように光条の最中を『獣騎ゴブリン』たちは迫る。
真っ向勝負。
それは『獣騎ゴブリン』たちにとって常道であったし、また百獣族同士の戦いとは常にそういうものだったのだ。
一対多であっても変わらない。
真正面からの突撃。
それはシルの思惑から外れないことだった。そのように立ち回ったつもりでもあったし、彼らの戦い方が組み合った証明でもあった。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ…。我が手に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!!」
「これは……!?」
「これがわたしの全力だよ!」
みなぎる魔力。
エレメンタル・ファランクス。
4つの属性に寄る魔力砲撃。
シルの技量からすれば、その光条の数は扇を描くようにして迫る『獣騎ゴブリン』たちの軍勢を飲み込むほどの魔力量であったことだろう。
凄まじい魔力砲撃は、一気に『獣騎ゴブリン』たちを打ちのめし、その体躯を空より大地へと叩きつけた。
「くっ……まさか、これほどの魔力砲撃を行える人間がいるとは……!」
「見事な戦いぶり……! なんとも素晴らしき戦働きか!」
「ふふ、褒めたって遠慮はしないんだからねっ!」
シルは更に迫る『獣騎ゴブリン』たちを相手取って、煌めく4つの属性に寄る魔力砲撃を解き放つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
トラスト・レッドライダー
決闘か……俺はトラストだ!『獣騎ゴブリン』達よ!
奪い盗る為ではなく、勝ち取る為に、全力を尽そう!変身!!
【肉体改造】『赤き闘神』に変身。
獣騎ゴブリンが誓いを立て、構えた後、【残像】距離を詰め【怪力】による先制攻撃。『ファフニール』より引き出した【戦闘知識】戦闘経験、【功夫】で、引き絞った拳を解き放ち【装甲破壊貫通攻撃】を打ち込む!!
まだ、|戦《や》れるか?そうか……。
俺自身の納得の為に、貴方達の納得の為に、とことん付き合おう。
拳打による【追撃】や、相手の攻撃を功夫で【受け流し】
【カウンター】を放ち、全力を以て打ち倒ち、次なる相手との決闘に臨もう。
拳打、頭突き、蹴り、体当たり、超強化された躯体を『ファフニール』と合わせ全力で活用し、彼らの闘志が燃え尽きるまで戦う。
…聖遺物を担うに足りないと、俺は俺自身をそう思っている。それは、彼らからも認められてなくてはならないからだ。
試練を越え『獣騎ゴブリン』たちの聖遺物への想いを引き継いでこそ、俺は、俺を認められる。
故に、戦いの中で、その想いを知ろう。
赤き闘神(カーマイン・グラップラー)は戦場に立つ。
光り輝く体躯。
身にまとうは赤きオーラ。
ユミルの子たるジャイアントキャバリアと融合することによって、トラスト・レッドライダー(レプリカントのデスブリンガー・f43307)は、闘神に至る。
「おお、赤き闘神の五体が吼えたけっている!」
「聖なる決闘に相応しき武者振りよ!」
『獣騎ゴブリン』たちは、トラストが変じた闘神の如き姿に感嘆せしめた。
雄々しき力。
示された力と相対するのは、畏れではなく誉れであった。
これほどの戦士と戦うことができる。
これ以上の喜びなどないというように『獣騎ゴブリン』たちは己が心から湧き上がる闘争心に己が武器を打ち鳴らして応えた。
「……俺はトラストだ!『獣騎ゴブリン』たちよ! 奪い盗るためではなく、勝ち取るために、全力を尽くそう!」
「応っ、その心意気、正しく戦士。であるのならば!」
「我らも応えねばならぬ。その雄々しき意志に、戦意に! 我らに後退なく! 進撃のままに汝に相対することを誓おう!」
『獣騎ゴブリン』たちは一列に並ぶようにしてトラストに相対する。
数で勝るというのに、彼らは一対一で戦うことを望んでいた。
トラストのような戦士を前にして囲んで倒すなど、不名誉にも程がある。己たちが望むのは聖なる決闘。
久方ぶりの戦い。
高揚がないと言えば嘘になろう。
故に、トラストもまた応える。
「武器を抜かぬのか」
「すでに俺の五体が剥き身の武器。参る」
踏み込む。
互いに一歩を踏み出した瞬間、トラストは理解する。
敵の動きがわかうる。その猛進の如き踏み込みは繰り出される武器の勢いそのままであろう。故にトラストは引き絞った拳を打ち出す。
放たれるのは徹甲弾の如き拳。
加速した拳は『獣騎ゴブリン』の武器を砕き、腕部すらも粉砕する。
「おお、なんという一撃か!」
「まだ、|戦《や》れるか?」
「無論! この五体砕けるまで!」
トラストは、腕部砕けようとも立ち向かってくる『獣騎ゴブリン』を拳で打ちのめし、さらに次なる相対者と決闘を続ける。
拳と武器が交錯し、火花が散る。
周囲には『獣騎ゴブリン』の破戒された跡がある。
積み重なる鋼鉄の残骸。
しかし、そこに悲壮はない。あるのは喜びであった。
一方的な虐殺ではない。
トラストもまた五体満足ではないだろう。ただでさえ、その武器は五体のみ。
打ちのめす度に己が拳に亀裂が走っていく。
聖遺物の力を得て尚、『獣騎ゴブリン』たちの勢いは衰えない。
「見事な体躯……練り上げられて、いる……」
がくりと、打倒されて地面に沈む『獣騎ゴブリン』の骸をトラストは横たえ、さらに新たなる決闘者を迎える。
「敗者に鞭打たぬこと、感謝する。汝が我らが神の遺骸の力を引き出していること、この戦いぶりを見ればわかる。強大な力は、大いなる惨禍を呼び込む。人にそれが抑え込めるとは思っていなかった。だが」
「いいや、正しく俺は聖遺物を担うに足りない。他ならぬ俺自身がそう思っている」
そう、例え試練の儀式で聖遺物の力を引き出すことを認められても、だ。
他ならぬ『獣騎ゴブリン』たちが認めなければ、意味がないとトラストは感じていたのだ。
だからこそ、彼は踏み出す。
滅ぼされた彼らの思いもまた引き継いでこそ。
そうでなければ、認められない。
己自身がそう思う。
それは克己たる道に似ている。
「ならば、この戦いの勝利を持って、汝を認めよう。我らが神もきっとそうおっしゃるだろう!」
「俺自身の納得の為に、貴方たちの納得のために、とことん|戦《や》ろう」
相対する『獣騎ゴブリン』と交錯し、トラストは己が拳が砕けるのを知る。
けれど、それでもまだ残された五体がある。
この全てが砕けるまで、己は戦い彼らの思いを知るのだとトラストは己を認めるために、赤き闘神の力を振るうのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロッテ・ヴェイロン
(前章に続き、ホワイトラビットを【操縦】中)
まあね、あの「敵除けの魔法」を突破したということは、酒池肉林には興味なしってことですね。いいでしょう、その【覚悟】に応えてやりましょう。
ドーモ、AliceCVです。その【決闘】、受けて立ちましょう(で、UC+聖遺物で強化(攻撃力重点(【戦闘演算・高性能を駆使する】))。
んで、絶対【先制攻撃】が可能ですか。あとは高速【ダッシュ】で敵陣に【切り込み】、敵の攻撃を【見切り】つつ場を【蹂躙】していきましょうか(近距離の敵はビームの刃で【切断】、遠距離の敵は【レーザー射撃】で攻撃)。
※アドリブ・連携歓迎
「まあね」
シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)は、お決まりのように呟く。
『獣騎ゴブリン』の軍勢。
彼らは妖精の隠れ里を守る『敵除けの魔法』を突破した者たちである。
以下にその名が他世界において悪辣極まる悪鬼の名であったとしても、彼らにもそれが当てはまるとは限らない。
酒池肉林には目もくれず、邁進すること。
彼らにとって、聖遺物の奪還は悲願とも言えるものであったのだろう。
だからこそ、脇目も振らずに進み値付けた。
「我らが神の遺骸を取り戻すまで、後退の二文字はなし。ここに誓う。我らは戦い続けよう。例え、この五体が砕けるのだとしても!」
彼らの近いを聞いたシャルロッテは頷く。
彼らが『敵除けの魔法』を突破したのは名実共に、であるということを理解数r。
むしろ、その覚悟は彼らの誓いとなって、その駆体に力を漲らせていた。
「いいでしょう、その覚悟に応えてやりましょう」
シャルロッテの駆るクロムキャバリア『ホワイトラビット』が、その名を示すように戦場を跳ねるようにして加速していく。
「ドーモ、『AliceCV』デス。その決闘、誓い、受けて立ちましょう」
「来るか、我らに後退はない!」
加速するシャルロッテの『ホワイトラビット』に構わず『獣騎ゴブリン』は迷いなく踏み込んでくる。
わかっていたことだった。
聖遺物の力を得たことによってシャルロッテは『獣騎ゴブリン』が如何に動くかを理解していた。
加えて、彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
電子、霊子を手繰る。
ネットワークにアクセスし、聖遺物の力によって得られた戦いの経験をフィードバックしつつ、『ホワイトラビット』にインストールする。
煌めくアイセンサー。
その輝きは鮮烈であり、戦場に残光となって残るだろう。
まるで稲妻のような輝きの軌跡を残す『ホワイトラビット』は『獣騎ゴブリン』の振り上げた武器ごとフォースセイバーの一閃が切り裂く。
「何ッ!?」
「見切っているんですよ、その動きは」
ぐるり、とフォースセイバーを持つ『ホワイトラビット』の腕が回転し鋭角な軌跡を描くようにして斬撃が『獣騎ゴブリン』の駆体を両断する。
「見事……、なんという力だ」
「さあ、次は誰ですか。どんどん来てください」
シャルロッテは『獣騎ゴブリン』の一騎を切り裂き、軍勢に向き直る。
彼らが一対一の真正面からの戦いに拘っていることは理解している。
だからこそ、シャルロッテは彼らを迎え撃たねばならないのだ。
「次は、我だ! 白き人造竜騎よ!」
「いいですよ。すでにプログラムは適応されています。気が済むまで決闘してやります」
そう、それが彼らの覚悟に対するシャルロッテのできること。
彼らが滅び、オブリビオンとして蘇ったこと。
それはどうしようもないことだ。
彼らの望む聖遺物の返還もできない。であるのならば。
「せめて、聖なる決闘……でしたか、その敗着を持って、納得してもらいます」
それだけ彼らに報いることなのだとシャルロッテは、迫る『獣騎ゴブリン』たちと戦うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
なんかいろいろ流れ込んできましたけど、
これが『ファフニール』の力の一端なんでしょうか?
なんといいますか、これで一端だとしましたらチートですね。
先制確定、クリティカル100%みたいな感じです。
それにしてもこの世界のゴブリンさんはかなり強いんですね。
集団で攻めてきたりもしないですし、だいぶ印象が違う感じです。
とはいえー……。
なんかこう、えっちなイメージが拭いきれないのは、
もう天性のものってことでしかたないってことでいいでしょうか。
って、ステラさん?
なんかまた変なシリーズもののこと考えてませんか!?
そのシリーズ、ぜったいにはじまらないですからね?
始まる前に、先制クリティカルで潰しますー!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
くっ……なんて力……これがエイル様と|V《ヴィー》様の……?
『救世主』とも『悪魔』ともいわれた一端……?
熾盛とはどれだけの力を持っていたというのでしょう?
ですが、ケルーベイムとの親和性は良かったようですね
おかげさまでようやく『翼』の使い方が
馴染みました、いきましょうルクス様
って何を唐突にシリアス破棄してるんですか
そんなこと言うから『はいぼくゆうしゃしりーず』作りたくなるじゃないですか
振るだけ振って話題破棄!! ハキハキしすぎでしょう勇者
さてルクス様が張り切っているところで
私も行きましょう、ケルーベイム!!
フローリス展開!!
解き放て、【カナフ】!
ケルビムの翼があなた方を逃がしません!
聖遺物『ファフニール』に満たされているのは数多の戦いの記憶である。
幾千、幾万、幾億。
どれほどの戦いの記録が秘されているのかは、判然としない。
けれど、確かに濁流の如き記憶が聖遺物より放たれ猟兵たちの頭に流れ込んでいくだろう。
「くっ……なんて量……これが『エイル』サマと|V《ヴィー》様の……?」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は思わず呻いていた。
資格を示したとは言え、それでもこの膨大な量の記憶は一塊でしか認識できない。つぶさに理解することなど本当に可能なのかと思うほどであった。
「なんかいろいろ流れ込んできましたけど」
呻くステラとは対称的にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は小首を傾げていた。
ステラは受け止めた。
だが、ルクスは受け流しているようだった。
力に意味を保たせようとすれば、まともに受け止めるしかない。
力を力としか認識しないのであれば、それは押し流されることなく己を確立することができる。
「これが『ファフニール』の力の一端なんでしょうか?」
ルクスは、これが一端だというのならばチートだなって思ったのだ。
なにせ、迫る『獣騎ゴブリン』たちの戦い方がすでにわかっているのだ。
どのように動き、どのように武器を振るうのか。
あらゆる動きのパターンが明瞭に頭に浮かび、それをなぞるだけで絶対的に有利な一撃を先に放つことができるのだ。
「言ってしまえば、先制確定、クリティカル100%みたいな感じです」
「ええ、恐らくこれが『救世主』とも『悪魔』とも世あれた一端……『熾盛』はどれだけだけの力を持っていたというのでしょう?」
過ぎ去りしものを知るには、記録をたどるしかない。
「ですが、『ケルーベイム』との親和性は良かったようですね。おかげ様で……」
「それにしても、この世界のゴブリンさんはかなり強いんですね。集団で攻めてきたりもしないですし、だいぶ印象が違う感じです」
「ルクス様?」
「とはいえー……」
「あの、ルクス様? なんだかシリアスをぶっ壊そうとしている気配がするのですが」
「なんかこう、えっちなイメージが拭いきれないのは、もう天性のものってことでしかたないってことでいいでしょうか」
どう考えても風評被害である。
ゴブリン=、と考えてしまうのは、観測者の目がちょっと色眼鏡なのではないかと思わんでもない。
しかしながら、ルクスはうんうんと頷く。
その姿にステラは息を吐き出す。
「シリアス破棄しないでください。そんなこと言うから『はいぼくゆうしゃしりーず』作りたくなるじゃないですか」
「そんなシリーズ、ぜったいはじまらないですからね?」
「振るだけ振って……」
「始まる前に、先制クリティカルで潰しますー!」
「我らの名がそこまでのものかは、さて置くとして! 一撃、受けて頂く!」
『ソナーレ』に迫る『獣騎ゴブリン』。
されど、ルクスの瞳がキラリと輝く。
放たれるバグパイプの音波衝撃波。それは一撃のもとに『獣騎ゴブリン』の五体を砕きながら吹き飛ばす。
「な……!?」
「ふっ、これが勇者の力ってやつです。はいぼくして、えっちなめになんか遭いませんよ!」
「ハキハキしすぎでしょう勇者」
しかし、ステラはルクスの一撃で『獣騎ゴブリン』たちが迫るのを見ただろう。
あくまで一騎打ち。
されど、数が多いのだ。
此方が消耗していくことは言うまでもない。ならば。
「私も行きましょう、『ケルーベイム』!!」
機体が軋む。
それはフレームの鳴動であり、内部のジェネレーターが唸りを上げている証明であった。
「解き放て、カナフ!」
背より噴射されるは風の翼。
得られるは超加速。
極超音速の突進。それは目にも止まらぬ速度であり、『獣騎ゴブリン』は何が起こったのかさえ理解できなかっただろう。
「何が……起こっている!?」
「あの人造竜騎の動きが見えぬ、だと……!?」
「『ケルビう』の翼があなた方を逃しません!」
ステラの駆る『ケルーベイム』が空中を自在に飛び回る。
それは恐るべき速度であった。旋回するのに減速すらせずに、ひたすらに加速のままに『獣騎ゴブリン』達を打ち据えていくのだ。
敵の動きは見える。
だからこそ、止まらない。
「わー、なんかすごいことになってますね」
ルクスは、『ケルーベイム』の戦う姿を見やり感嘆の声を響かせる。
それほどまでに『ケルーベイム』は圧倒的だった。
加速と敵の動きの先読み。
これによって『獣騎ゴブリン』は『ケルーベイム』を捉えることができない。攻撃することも、躱すこともできぬ『ケルーベイム』の風の翼だけが、戦場を席巻するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ファルシータ・フィラ
まったく……わたくしの推し時間を邪魔するとは
ゲヘノムですら生ぬるい
あ、ゲヘノム通じてますか、セラフィム様?
それにしてもこの膨大な|知《データ》
どうやって処理しているのでしょう?
それにフィードバックに耐えられる者がいますの、これ?
ともあれ、ファフニールの力の一部、お預かりしましたわ
先制が打てるなら一撃必殺を重ねていけば問題なし
ティタニア! 飛翔形態へ!
ファータ・バラージで空から動きに牽制を
まさか精霊の力を卑怯とは言わないでしょう?
後はファフニールの力を利用しつつ、うまく誘導して
ゴブリンたちの動きに着弾点を合わせれば……捉えましたわ!
後は撃つのみ!【真夏の夜の夢】!
妖精の光に焼かれてしまいなさい!
妖精の隠れ里に迫る『獣騎ゴブリン』たちの軍勢。
猟兵達は聖遺物『ファフニール』の力をたぐり、これを迎え撃つ。
その戦いぶりは一騎当千と呼ぶに相応しいものであった。
だが、ファルシータ・フィラ(アレキサンドライト・f44730)は不満であった。
彼女にとっては、推しとのファンミ。もとい、ファンミーティングという名の推し時間を邪魔した無粋者たちでしかないのだ。
「ゲヘノムです生ぬるい」
「ですが、煉獄は罪を濯ぐもの。であるのならば」
お優しいのですね、と妖精族『セラフィム』は物憂げな黒い瞳に星を写す。
「あ、通じておりますね。ですが、この膨大な|知識《データ》……」
ファルシータは己の中に流れ込んできた聖遺物『ファフニール』から得られた戦いの記憶に軽いめまいを覚えていた。
どうやって加減しているのかもわからない。
処理をどのように行えば、このようなことが可能なのかもわからない。
そもそも、である。
これだけの膨大なデータの奔流、そのフィードバックに耐えられるものなどいるのだろうか?
「此度は、その力の一端のみ。ですが」
「ええ、わかっておりますわ。『ファフニール』の力、お預かりいたしましたわ」
ファルシータは、己の乗騎『ティタニア』と共に飛翔形態へと移行し、一気に飛び立つ。
空より見下ろすは『獣騎ゴブリン』の軍勢。
彼らはあくまで一騎打ちを望んでいる。
「人造竜騎……! 我らが頭上を取るか。だが、そうはさせぬ! 我らもまた飛翔し、その駆体、討ち滅ぼしてくれる!」
「やはり飛翔しますか。ですが、先制が打てるのなら!」
ファルシータの瞳がユーベルコードに輝く。
そう、こちらはに『ファフニール』の力の一端がある。
それによって『獣騎ゴブリン』の動きは丸わかりであった。
飛翔する速度、軌道、いずれもがファルシータの頭の中に浮かんでいる。
であるのならば、後は己が引き金を引くのみ。
「捉えましたわ!」
真夏の夜の夢(マナツノヨノユメ)のように。
幾何学模様を描く複雑な軌跡を描いて、精霊力が光の剣を形作る。
『ティタニア』の周囲に浮かぶそれは、飛翔の速度に合わせて飛び、一気に迫る『獣騎ゴブリン』』たちに放たれる。
「さぁ、踊ってくださいまし。妖精の夜は少々騒がしいのですわ」
「くっ! なんの!」
『獣騎ゴブリン』達は、各々の武器でもって迫る光の剣を打ち払う。
だが、一本切り払うことができたとしても、さらにファルシータの手繰る精霊力によって形作られた光の剣は『獣騎ゴブリン』を取り囲み、一斉に貫くのだ。
「ぐっ……だが! まだまだぁ!!」
光の剣に貫かれながらも『獣騎ゴブリン』が『ティタニア』に迫る。
「推しとの時間を邪魔してくれたことは、憤怒の念にたえませんが! しかし、舐めてもらっては困りますわ!」
瞬間、ファルシータは『ティタニア』を騎士形態へと変形させる。
空中機動からの人型への変形。
周囲に浮かぶ光の剣を握りしめ、『獣騎ゴブリン』と交錯する。
「妖精の光に焼かれてしまいなさい!」
「……み、みごと……」
切り結んだ『ティタニア』の背後で『獣騎ゴブリン』が爆発四散する。
「さあ、次はどなたですの?」
ファルシータは、光の剣を周囲に浮かべ、更に迫る『獣騎ゴブリン』たちとの一騎打ちを制し続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
機神搭乗
UC起動
…成程な…まともに認識しようとしたら脳味噌パーになるか
だが…手が無いわけじゃねー
よぉ
僕は最強無敵の天才魔術盗賊のカシムさんだ!よろしく!
「界導神機『メルクリウス』だぞ☆メルシーって呼んでね☆」
【情報収集・視力・戦闘知識】
叡智の神発動
ゴブリン達の能力を把握
特に構造は把握
成程…それなら行動させなければいいか
擢の能力と行動の癖を分析
メルクリウス
叡智の神の力で流れ込んでる戦いの記憶を解析
「これはこの世界だけの物かな☆それとも…☆」セラフィムシックスの記録と類似点が無いかも含め分析
【空中戦・二回攻撃・切断】
速足で駆ける者発動
超絶速度で飛び連続斬撃で無力化
不殺徹底
聖なる決闘なら殺しはしない
頭に流れ込んでくる数多の戦いの記憶。
それは一つ一つを認識しようとすれば、脳が負荷に耐えられないものであった。
「……成る程な」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は乗騎である『メルクリウス』のコクピットの中で聖遺物『ファフニール』のちからの一端を目の当たりにしてめまいを覚えた。
記憶の濁流。
そう表現するのが正しい。
それほどまでに『ファフニール』が蓄積していた戦いの記憶は膨大なものであった。
今は『獣騎ゴブリン』に関する戦いの記憶だけが脳裏に現れているだけだ。
流れ込んできた全ての記憶を認識しようとすれば、それはあまりにも膨大な時間がかかるであろうし、負荷も尋常ならざるものであった。
「おい、『メルシー』、まともに認識しようとしたら脳みそパーになるぞ」
「うーん、うーん」
呼びかける『メルシー』は唸るばかりであった。
流れ込んでくる戦いの記憶を解析しようとしているらしいが、しかし、膨大すぎる。
幾億とも言うべき膨大な記録をつぶさに認識しようとすれば、それだけ演算機構がフル回転し、熱暴走を起こしかねないのだ。
この世界のものだけではない。
それだけは確かだ。
この世界、バハムートキャバリアの世界が聖なる決闘が幾度も行われてきたのだとしても、それだけでは足りないほどの膨大な記録が『ファフニール』には蓄積されているのだ。
「ま、しかたねーな」
「異界の人造竜騎よ。名乗らぬか」
カシムは言葉に振り返れば、そこには『獣騎ゴブリン』の姿があった。
武器を構えているが襲いかかってこない所を見るに、こちらの名乗りを待っていることは明白だった。
「おっと。なら、名乗らせてもらおうか。僕は最強無敵の天才魔術盗賊のカシムさんだ! よろしく! こいつは界導神機『メルクリウス』だ! いくぜ!」
「来るがいい。我が進撃は止まらぬ。聖遺物を取り戻すまでは、決して!」
「その気概はいいが、やらせねーよ!」
カシムは『獣騎ゴブリン』の行動パターンを読み取る。。
敵の動きは言うまでもない。
すでに頭に流れ込んでくる。
脳裏に浮かぶ敵の動きと、実際の動きが重なっていく。
理解できる。
敵の動きが、次にどう動くのか。
どう対処すればいいのか。
だからこそ、カシムは踏み込むようにして、一瞬で『獣騎ゴブリン』の懐に潜り込む。
「疾い……!」
「これで終わりじゃねーぞ!」
振るうは鎌剣。
剣閃が煌き、『獣騎ゴブリン』の四肢を寸断する。
「なんと……! だが、何故、とどめを刺さぬ!」
「これが聖なる決闘だってんなら、殺しはやらねーよ。戦う力を奪うだけでいい」
「それでは決着とはならぬ! 聖なる決闘とは!」
「これが僕の聖なる決闘だ。傷が癒えても尚、再戦を望むってんなら、受けてやるよ」
だから、とカシムは戦闘能力を奪った『獣騎ゴブリン』に背を向けて、更に迫る『獣騎ゴブリン』を相手取る。
どんな敵が来ても同じだ。
戦う力を奪い続ける。
生命まで盗るつもりなどカシムには毛頭ないのだ。
故に彼は、大波のような『獣騎ゴブリン』たちと一騎打ちを果たし続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ザビーネ・ハインケル
●POW
【半妖精】
前にやりあった百獣族と名前は同じでも姿は違ぇな
はは、違ぇねぇ
あっちは罠を仕掛けて来やがったが、こっちは数で力押しあるのみだ
いちいち堅っ苦しいんだよ、おめーは
お互いに得意分野で協力して授かったモンだ
ありがたく頂戴しようじゃねぇかよ
んじゃ、聖なる決闘前の口上と行くか…人造竜騎召喚、ガラドリエル!
罪咎の懺悔のみで決まらず…
ただ、結果のみが事実!
数が数だが、ファーフニルのお陰でアイツらの動きは手に取るように見え見えだな
あいよ、任されたぜ
【トリニティ・エンハンス】で纏めた三属性の魔法を着弾地点で互いの属性を反発させて大爆発さ
巻き添えを食らかもしんねぇが、おめーなら問題なく耐えれるだろ?
エリアル・デハヴィランド
●POW
【半妖精】
|百獣族《バルバロイ》は同じ種族であっても様々な氏族が存在する
貴殿が対峙したのもそれなのだろう
セラフィム族よ
我らは数々の試練に打ち勝ち、こうして|聖遺物《ファフニール》が持つ力の一端を与った
最後にこの力を正しく使うと聖なる決闘を持ってして示そう
そう言うな、そこは真っ向勝負と言え
では、口上を述べよう…
決闘は正当性のみで決まらず…
ただ、結果のみが事実!
こちらも複数だが数はゴブリン達が上回る
剣士型のレナードが抑え込み、術師型のガラドリエルで数を減らすが定石であるが…ならば【獅子雄哮】で津波のように迫りくる獣騎を押し留めよう
加減の効かない魔法の余波も防いだならば、一騎打ちと行くぞ
『獣騎ゴブリン』。
それは嘗て、ザビーネ・ハインケル(Knights of the Road・f44761)が対峙したことのある百獣族のそれとは異なるように思えた。
「前にやりあった百獣族と名前は同じでも姿が違ぇのな」
「|百獣族《バルバロイ》は同じ種族であっても、様々な氏族が存在する。であれば、貴殿が対峙したのもそれなのだろう」
ザビーネの言葉にエリアル・デハヴィランド(半妖精の円卓の騎士・f44842)は告げる。。
同じ名を持つとしても、同一とは限らない。
姿形も、その性質もだ。
「ははっ、違ぇねぇ。あっちは罠を駆使してやがったが、こっちはどうやら数での力推しっつーより、あれだな。一騎打ちを愚直に続ける猛進さがあるってわけだ」
ザビーネは猟兵たちと戦う『獣騎ゴブリン』たちが数を持って囲むのではなく、一騎打ちでもって猟兵たちに立ち向かっている姿を見て、愚直がすぎるという感想を抱いただろう。
そして、それは己と轡を並べる黄金のキャバリア『レナード』を駆るエリアルも同様だとも思ったはずだ。
「『セラフィム』殿よ。我らは数々の試練に打ち勝ち、こうして聖遺物が持つ力の一端を与った。最後にこの力を正しく使うと聖なる血統を持って示そう」
「はい。お役立てください。それが私の望みですから」」
亜麻色の髪の乙女『セラフィム』は頷く。
星写す黒い瞳が人造竜騎を見上げ、エリアルは頷く。
「いちいち硬ッ苦しいんだよ、おめーは」
「そう云うな」
「お互い得意分野で協力して授かったモンだ。ありがたく頂戴する、くらいねねーのかよ」
エリアルは頭を振る。
これが己の性分だなのだ。
変えることのできるものもあれば、変えることのできないものもある。それだけのことなのだと言うようにエリアルは『レナード』と共に並び立つ『ガラドリエル』と一歩を踏み出す。
「口上を述べさせて頂く」
「名乗るか、人の騎士よ。我らが『獣騎ゴブリン』、その首級を持って正当なる我らが手に聖遺物の奪還を果たさん!」
「見事。であれば、決闘は正当性のみで決まらず……」
「罪咎の懺悔のみで決まらず……」
互いに相手取る『獣騎ゴブリン』と相対する。
緊迫した空気が両者の間に流れ、そして告げる。
これは聖なる決闘。であるのならば。
「ただ、結果のみが事実!」
重なる言葉と共に『レナード』が咆哮する。
駆体より迸るのは吼えたけるライオンの紋章。
オーラが荒ぶようにして放たれ、『獣騎ゴブリン』の動きを止める。
「くっ……! 偽神の紋章など!」
振るわれる剣。
だが、その一撃が全てライオンの紋章の前に無効化されるのだ。
「弾かれる……ではない……! なんだ、これは……!」
「受け止めているのだ。我が乗騎『レナード』の咆哮は、雷音の如く!」
エリアルの放ったユーベルコードは『獣騎ゴブリン』の攻撃を尽く無効化し、押し留める。
獅子雄哮(ライオン・ブレイブ)たる雄々しき力は、それだけで『獣騎ゴブリン』の足を止める。
踏み込むことを許さぬ力は、ザビーネにとっては好都合な状況を生み出す。
「手に取るように見えるっていうのも、奇妙な感覚だよなぁ!」
ザビーネは己の脳裏に浮かぶ『獣騎ゴブリン』の動きと現実の動きが重なるのを感じただろう。
これが『ファフニール』の力の一端。
未来予知ではない。
これは先読み。
経験則から得られるシュミレーションであると言えるだろう。これによってザビーネは『獣騎ゴブリン』と初めて相対するにも関わらず、すでに百戦を繰り広げてきたかのように彼らの動きを読み切っていた。
「おらぁ!!」
『ガラドリエル』より放たれる3つの属性を込めた魔法が炸裂する。
炎、水、風。
それらがあわさり、旋風のように『獣騎ゴブリン』たちに迫る。
吹き荒れる炎が水と反応し爆発を巻き起こし、風が衝撃波の刃となって『獣騎ゴブリン』たちの駆体を吹き飛ばすのだ。
「……やりすぎだ」
エリアルは己の乗騎に影響がないとは言え、ザビーネに苦言を呈する。
「おめーらな問題なく耐えられるだろ? 聖遺物の力もそう言ってる。なら、なんの問題もねーさ」
「だからといって」
「あーもー、小言は聞き飽きたぜ。それより、決闘だ。まだまだいるぜ?」
「……ならば、打ち勝ってからとしよう」
「余計なお世話だってんだよ!」
二人は、背中を合わせ、迫る『獣騎ゴブリン』たちとの一騎打ちに踏み出す。
剣戟の音、魔法が炸裂する音。
いずれもが戦いの音であり、敵を知る彼らに危ういところは何一つなかった。
どれだけの敵と相対しても、聖遺物の力を手繰る騎士たちを捉えることのできる『獣騎ゴブリン』たちはいなかったのだ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジェラルディン・ホワイトストーン
アドリブ歓迎
ジェラルディン・ホワイトストーンだ。
聖遺物の返還には応じられねぇな。今はセラフィムとアルヴィトルが扱ってるもんだ。
過去の経緯は知らねぇが、正当な権利はこいつらにあると思うね。
だが、欲しいから寄こせっていうなら話はわかるぜ。
こそこそせず堂々と手に入れようってアンタらの気概は、気風がいいってもんだ。
ああ、聖遺物が欲しけりゃ、俺達を倒していきな!
殺界形成。
母さん譲りの殺気の飛ばし方で、ゴブリンたちの強弱を区別する。
スーパーレッドキャップを操縦する五人組は作らせねぇ。
聖遺物の記憶を合わせて、狙い撃つように魔法攻撃する。
氷矢を電撃で加速して撃ち出すって技で、手強い奴から狙撃していくぜ!
「なんという力量か……我らが神もまた人の騎士らをお認めになった、ということなのか?」
『獣騎ゴブリン』は聖遺物『ファフニール』の力をたぐり戦う猟兵たちの姿に困惑よりも、感嘆しているようだった。
聖遺物の力は確かに凄まじい。
だが、同時に資格なきものには確実なる破滅をもたらす。
栄華と破滅。
その両方を同時にもたらすのが聖遺物であるというのならば、正しく使うことのできるものこそが正しいとも言えた。
「ジェラルディン・ホワイトストーンだ」
感嘆する『獣騎ゴブリン』の前に『メルセデス』を駆るジェラルディン・ホワイトストーン(シャドウエルフのタイタニアキャバリア・f44830)が立つ。
彼女は『獣騎ゴブリン』たちが聖遺物の返還を求めていることを知っている。
確かに所有権の正当性は彼らにあるのだろう。
だが、応じられない。
「あれは今は『セラフィム』と『アルヴィトル』が扱ってるもんだ。わかってんだろ?」
「汝らを見遣れば理解できるところである」
「俺は過去の経緯は知らねぇが……『今』の正当なる権利はあいつらにあると思うがね。だが、欲しいから寄越せっていうなら、話はわかるぜ」
「奪還を旨とした進撃であるが故である」
「はっ、そうだよな。こそこそしてるよりずっといい。堂々と真正面から名乗りあげてくるだけのことはある。アンタらの気概は気風がいいってやつだ」
「ならば」
「ああ、正当性なんて関係ねぇ! あれが欲しいってんなら、俺達を倒せばいい!」
ジェラルディンの瞳がユーベルコードに輝く。
殺界形成。
それは己が母親譲りの殺気を飛ばす力。
だが、漆黒の殺気は『獣騎ゴブリン』の一騎たりとて逃走させなかった。
「見事な覇気である! だが、臆するものなど、我らの中にはおらぬ! 強き騎士よ、正々堂々と参られよ! 否、我らが向かわせて頂く!!」
「応よ! どんどん来い!」
ジェラルディンは『メルセデス』と打ち合う『獣騎ゴブリン』を押しのけ、さらに踏み出す。
そう、『獣騎ゴブリン』は合体することができる。
彼女が見たのは、その光り輝くオーラであった。
確かに彼らが合体を果たした『スーパーレッドキャップ』は強大な存在だ。『ファフニール』から得られた記憶ですでに理解している。
だからこそ、その起点を潰す。
「この中では、お前たちだ! だからこそ、させねぇ!」
氷矢を形成し、迸る電撃が加速し一気に五人組を形成しようとしていた『獣騎ゴブリン』を撃ち抜く。
「くっ……我らの動きを読み切るか!」
「『ファフニール』の力を得ているんだ、当然そうするわな! 弱いやつから相手をするなんて、思わねぇ! まずは強いやつからだろう!」
ジェラルディンの戦いぶりは勇猛果敢であった。
その勢いに触発されるようにして『獣騎ゴブリン』たちは、ジェラルディンとの一騎打ちを望む。
「おお、これが聖なる決闘の真髄よ! これこそが!」
「アンタらは、そうやって戦うほうが『らしい』ぜ、やっぱりな!」
ジェラルディンは己が魔法を打ち出しながら、一騎ずつ迫る『獣騎ゴブリン』達を打倒し続け、隠れ里に迫る軍勢を退ける。
彼らは猟兵たちが聖遺物を使いこなす姿を認め、己たちの奉じる神が彼らを認めたことを知るだろう。
そして、決闘の敗着に納得し、霧散していくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵