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デディケイテッド・ライト・スタッフ

#クロムキャバリア #ノベル #レンブラント・ラダー

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#レンブラント・ラダー


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ファルコ・アロー




●小国家『レンブラント・ラダー』
 どこまでも広がる水平線。
 いや、正確には平原の先にある山の輪郭は見えている。けれど、それも随分と遠い。
 この小国家『レンブラント・ラダー』は平原ばかりを有する小国家である。
 守り難く、また攻め込まれやすい立地は小国家としては非常に困難な道程を示すものであったが、多くのキャバリア部隊が網目のように展開することによって、他国からの侵略を阻んでいた。
 そのキャバリア部隊……その中でも愚連隊のような素行が問題視される兵士たちばかりが集まる部隊に航空能力を有するレプリカントの少女がいた。
 彼女の瞳は物憂げだった。
 彼女――ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は、このクロムキャバリアにおいては、その性能の全てが無用の長物であった。

 航空能力など、戦時においては引く手数多であろう。
 だが、こと、このクロムキャバリアにおいてはそうではない。
 天に座す暴走衛生『殲禍炎剣』によって、空は蓋をされ、空飛ぶものは尽くが砲撃によって撃ち落とされるのだ。
 ファルコも例外ではない。
 彼女の性能を発揮すれば、すぐさまに砲撃によって撃ち落とされ、生命をも失うだろう。
 そんな彼女の視線は滲む山際を見つめたままであった。
「おらっ」
 粗野な声と共に破裂音が響く。
「ぎゃんっ!? ってぇ! 何しやがりますですか!!」
 その破裂音はファルコの臀部から響いていた。
 ヒリヒリするような痛みに思わずファルコは飛び上がりながら、痛みを抑えるように掌でお尻を包み隠す。

「何って、黄昏れてやがるからよ。元気だせよ、何があったか知らねーが! ガハハハッ!」
 粗野な笑い声を上げているのは、ファルコが見上げるほどの巨漢。
 ファルコが属してる部隊の隊長である『ジャコヴ』である。
 彼は悪気がないかのような顔で笑っている。
「だからって、人のお尻をバシバシ簡単に叩くなってんですよ! 潰れたらどうすんですか!」
「いやいや、潰れるようなヤワなケツしてねーだろ。うん、今日もハリ良し!」
「一つもよくねーですけどぉ!?」
 いつものやり取りである。
 珍しいことではないのだ。こういうセクハラまがいのちょっかいは、『ジャコヴ』に限ったことではない。

 ファルコは、この部隊のマスコットみたいな扱いを常に受けている。
 いや、航空能力というこの世界では役に立たない自分を部隊に置いてくれているのだから、文句を言える立場ではないのだが、どうにかならんのだろうかと思わないでもない。
「痛くする必要ありやがりますかねぇ!?」
「ないな。ああ、じゃあ、むしろ、育ってるそっちのがいいのか?」
 そっち、と示すのはファルコの胸元である。
 鎧装との接続から素肌を守るためのインナースーツに包まれた膨らみを『ジャコヴ』は指さして示す。
 それもセクハラである。
 とんでもねぇ隊長である。
 ハッキリ言って、孫娘ほども年の離れたファルコにしていい物言いではない。

「すーぐそうやって胸のこと弄りやがるですね、男ってのはぁ!!」
「しゃーねーだろ。男は皆大好きなんだよ、そういうの」
「だからってやることですか、大人の!」
「ばかやろう! 大人だからだろうが!」
 ぎゃんぎゃんと互いに言い合っている二人は、仲の良い親子のようにも思えただろう。
 ひとしきり言い合った後、ファルコは大きなため息をつく。
 疲れたのもあるし、『ジャコヴ』とのやり取りで少しは胸につかえたものが取れたような気がしたからだ。
 癪ではあるが、『ジャコヴ』が愚連隊を率いていられる理由の一端である。
 それはファルコも認めるところであるから、彼のこのような言い方や振る舞いにもほんとうの意味での嫌悪は抱いてはないのだ。

「さて」
「おわー!?」
 一息ついたのもつかの間、ファルコの体が『ジャコヴ』に抱えられてしまう。
「なにするんですか!」
 肩に担がれたファルコのお尻をまた鼓でも叩くように『ジャコヴ』は叩く。
「いーから、ちっと気分転換に付き合えよ。ほれ」
 そう言ってファルコを指揮戦闘車両に放り込んで『ジャコヴ』はエンジンを始動させる。
「何処行くんですか?」
「いーところだよ」
 車両が走り出すと、入り込む風がファルコの髪をさらう。
 ハッキリ言って、いーところ、というのは別に特別なところではなかった。
 目的なんてなかったし、ただのドライブだった。
 なにせ、この小国家『レンブラント・ラダー』はどこまでも平原ばかりなのだ。
 起伏に富んだ地形ではない。
 だからこそ、何も変わらない。
 ただただ走るだけのドライブにしかならないのだが、ファルコは、そういう『ジャコヴ』の不器用さも、わずかに好ましいと思えたかも知れない。

 窓からファルコは顔を出してもたれかかる。
 風が心地よい。
 他世界で空を飛んだ時とは違うけれど、これもまた心地の良い風だ。
 自分の悩みなんてちっぽけなものだと思えてしまう。
「んで、どうしたよ」
「いーえ、もう解決しましたです。変に気を遣ってきやがる……ってぇ! なんでお尻撫でてやがりますか!? 普通此処は頭でしょう!?」
「いや、さっきケツたたきしたところが腫れてるなーって思って」
「隊長が叩いてくれやがったからでしょうが!!」
「いや、腫れてサイズが代わったら、慰安用に用意した衣装が入らなくなってしまうかと思って……」
「もっと別の心配してくれやがりませんかねぇ!?」
 どったんばったんと指揮戦闘車両が弾むようにして平原を走っていく。

 中からは笑い声が聞こえるし、ファルコのピィピィと囀るような声が聞こえる。
 どちらにしたって楽しげだ。
 ファルコの悩みを吹き飛ばすよに彼女の周囲の人間たちはお構いなしにかまってくる。
 それが嫌ではないことは言うまでもないだろう。
 だからこそ、だ。
 彼らを守る力が欲しい。
 いつかオブリビオンマシンの蠢動によって彼らが危険に晒されるのならば、その時は。

 己が立ち向かわねばならない。
 無用の長物、お荷物、そんなふうに称された自分に居場所をくれた彼らのためにも。彼らが自分にしてくれたよに。自らもまた彼らのためにできることをしたい。
 それは、彼女の人間性が善きものであることを示していただろう。
 逆境に捻じ曲がらず、直向きに生きること。
 それこそが、ファルコの真のユーベルコード。
 だからこそファルコの瞳にはユーベルコードの光が輝くのだ――。

――――
■ユーベルコード案
①ユーベルコード名:Gゴッドレイ・パレード
(原型ユーベルコード名:スクワッド・パレヱド)
内容:【護るという意思満ちる】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【共に戦場に立つ仲間】の協力があれば威力が倍増する。
POW No.251

②ユーベルコード名:ゴッドレイ・マスコット
(原型ユーベルコード名:ノンプレイヤーズ・ムーブ
内容:1日8時間以上【部隊内での慰安活動】を行うと、次の日の[部隊内での慰安活動]の成功率・効率・芸術性が3倍になる。
POW No.2602

③ユーベルコード名:Gゴッドレイ・スパーダ
(原型ユーベルコード名:リアライズ・エクスカリバー)
内容:自身の【背部パルスプラズマ・スラスター】でレベル×100km/hで飛翔し、射程無限・直線上の全てを切断貫通する【遷音速突撃】を放つ。
POW No.2910
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成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年11月24日


挿絵イラスト