ピルグリメイジの幸運
●ラック
辺境の地に砂塵が舞う。
それは戦いの気配であり、煙る土は体高5mはあろうかという鋼鉄の巨人が乱戦にて争うためであった。
堅牢な装甲を持つ『獣騎ガーゴイル』を前にして辺境騎士団の人造竜騎は押されつつあった。
「クッ……! なんということだ。ここまでの数が展開しているとは!」
辺境騎士団の団長は呻く。
バハムートキャバリアにおける辺境遅滞とはオブリビオン化して蘇った百獣族が支配する地帯と隣接する危険地域だ。
彼らの侵攻を阻むのが辺境騎士団の役目である。
しかし、辺境騎士は精鋭の騎士。
戦場を知り尽くし、高い実力を発揮して辺境の地を守護しているのだ。
だが、そんな彼らが圧倒されているのは迫る『獣騎ガーゴイル』の数ではなく、その質であった。
「人類の騎士よ。汝らの研鑽は確かに素晴らしきもの。だが、我が装甲を前にしては、些か剣の研ぎが足りぬと見える」
「左様。されど、汝らが敗れるは我らが装甲を前にしてではない」
『獣騎ガーゴイル』たちの言葉に辺境騎士たちは呻く。
そう、彼らを苦しめているのは一騎の獣騎であった。
「お前の死が見えるぞ」
その宣告と共に辺境騎士が駆る人造竜騎の片腕が宙に舞うようにして切断される。
それは『獣騎ガーゴイル』たちを率いる軍勢の主、『獣騎バジリスク』のユーベルコードであった。
しかも、口腔より放った魔力は高威力の魔法光線となって辺境騎士たちの駆る人造竜騎を打ちのめしていくのだ。
「凄まじい……だが! 我々が此処で退くわけにはいかぬ! 軍勢の主さえ討ち取ることができれば……!」
「団長! ダメです! その獣騎に真正面から当たるのは!」
声が響く。
女性の声だった。
辺境騎士が一人、『ソグン』と呼ばれる騎士だった。
そう、彼女の言う通りだった。
『獣騎バジリスク』は『死と石化の視線』を操る百獣族。
正面から正々堂々と戦う聖なる決闘においては、対策は必須。
されど、ここまで精鋭の辺境騎士たちが圧倒されているのは、『獣騎バジリスク』の存在があるからだ。
「くっ……盾で遮っても、石化、される、のか……」
「団長……!」
女性の辺境騎士『ソグン』の前で団長騎が石化していく。
だが、『ソグン』は『幸運』にも理解した。
『獣騎バジリスク』に相対しながら、団長は即座に石化されたのに対して自分の機体は何故即座に石化しないのかを。
それは彼女の周囲に飛ぶ無数のクリスタルビットのためであった。
「団長の機体は、盾だけだったから……対象が一つ。対して私は、クリスタルビットを展開していたから対象が無数……いや、石化事態は進行してる!」
なら、と彼女は展開したクリスタルビットの数を増やす。
コントロールには魔法の力が多く必要になる。
が、こうするしか『獣騎バジリスク』の『死と石化の視線』に対抗できないのだ。
「『幸運』だって何にだって縋ったって……!」
「運に見放されていないだけでである。貴様の能力は凡庸そのもの。この精鋭たり騎士の中において最も未熟。それ故に貴様に勝機などない」
『獣騎ガーゴイル』の言葉に『ソグン』は呻く。
そのとおりだ。
けれど。
「だったら、何だって言うのよ。だから諦めるっていうの? そんなの『幸運』に身を任せているだけじゃない!」
水色の人造竜騎を駆る『ソグン』は石化の進行を遅らせながら、来るはずもない援軍という『幸運』を掴み取るために『獣騎バジリスク』に立ち向かうのだった――。
●バハムートキャバリア
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。バハムートキャバリア、人類の領域と百獣族の領域……それが接する場所を辺境地帯と呼びます。無論、ここが危険地帯であることは言うまでもないことでしょう」
彼女の言葉に猟兵達は頷く。
グリモアベースにて聞くナイアルテの予知。
それは辺境地帯が百獣族の軍団による大侵攻にさらされているのだという。しかも、辺境を護る精鋭、辺境騎士団が窮地に陥っているのだという。
「危険な地帯とは言え、今を生きる人類の居住地域をオブリビオンである百獣族に明け渡す訳には参りません。辺境騎士団に合流し、助太刀していただきたいのです」
しかし、辺境騎士とは精鋭であるはず。
それが窮地に立たされるほどというのは、一体如何程の相手であるというのだろうか。
「強靭な装甲を持つ『獣騎ガーゴイル』の圧倒的数と質、そして、何よりもこれらを率いる『獣騎バジリスク』の特性があればこその辺境騎士団の窮地でありましょう」
どうやら、辺境騎士団は『獣騎バジリスク』の持つ、『死と石化の視線』という能力によって追い詰められてしまったのだという。
対策なくば、その石化に成す術もないのだ。
現に猟兵たちが救援に向かう辺境騎士団は、一騎の水色の人造竜騎を駆る『ソグン』と呼ばれる女性の辺境騎士を残して石化されてしまっているのだという。
『幸運』にも彼女だけが石化を逃れている。
「すでに『獣騎ガーゴイル』は彼女を取り囲んでいます。乱戦と言ってもいいでしょう。皆さんには、これに颯爽と助太刀していただきたいのです。細かいことを言っている暇はございません。どうか、お覚悟を」
猶予はない。
ナイアルテは急ぎ転移の準備を終え、猟兵達を危険な乱戦へと送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
新たなる世界バハムートキャバリア、その辺境地帯にて百獣族と辺境騎士団が激突しています。
ですが、百獣族の猛攻によって辺境騎士団は多くが石化されてしまっています。
残された水色の人造竜騎を駆る辺境騎士『ソグン』を助けつつ、この百獣族の大軍勢を退けるシナリオになります。
※全ての百獣族(獣騎)は、例えスライムのような異形種族でも、会話によるコミュニケーションが可能です。彼らはいにしえの聖なる決闘に則り、正々堂々と戦いを挑んできます。
●第一章
集団戦です。
すでに乱戦状態というよりは、辺境騎士団は圧倒されています。
みなさんが介入することで、この状況を逆転せましょう。
●第二章
ボス戦です。
百獣族の軍勢を率いる『獣騎バジリスク』との決戦です。
周囲にはまだ獣騎たちが多数いますが、『ソグン』と名乗る辺境騎士が、これを抑えてくれています。
その間に『死と石化の視線』を操る『獣騎バジリスク』の恐るべき能力に対処し、これを打ち取りましょう。
●第三章
日常です。
この大侵攻を退けた皆さんは勝利を得るでしょう。
石化された辺境騎士団は、『獣騎バジリスク』を倒したことで、石化が解かれています。
どうやら彼らが守っていた辺境の地とは、精霊の地であるらしいのです。
戦いの跡とは縁遠いかのような美しい自然に満ちた土地にて、辺境騎士団は助太刀し、また救命してくれた皆さんを歓待することでしょう。
また、この地に住まう精霊たちは皆さんを祝福することでしょう。
それでは迫る大侵攻。これを食い止めるために孤軍奮闘する辺境騎士を救うために聖なる決闘に挑む皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『獣騎ガーゴイル』
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POW : ゴールドロックアーマー
【全身を覆う装甲】を凝縮し、任意の身体部位ひとつの攻撃力・防御力を5倍にする。ただし他の部位の防御力は0になる。
SPD : ガーゴイルストーム
【地面】から、戦場全体に「敵味方を識別する【岩の嵐】」を放ち、ダメージと【出血】の状態異常を与える。
WIZ : ガーゴイルボム
自身の身体部位を切断し、(レベル×切断部位数)m半径内の全てを爆破する【ガーゴイル型爆弾】に変換する。
イラスト:純志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
迫るは『獣騎ガーゴイル』の群れ。
辺境騎士『ソグン』は、その猛威に怯むことすれ、退くことはしなかった。
「退かぬか、この状況において」
「放ってはおけないもの。それに騎士として誇りは捨てられない。私は、私の責務を全うするの!」
「意志も、言葉も、矜持も正しい。だが、力が圧倒的に不足している。それが人類の騎士よ、お前の敗北をケ体付けるのだ」
『獣騎ガーゴイル』が迫る。
圧倒的な装甲。
だが、『ソグン』は精鋭の中にあって凡庸なる技量しか持ち得ていないにも関わらず、この猛攻に耐えていた。
まるで状況が彼女に味方するようにして、好転していくのだ。
岩の嵐をかいくぐり、迫る爆弾の爆風すら無傷で切り抜けていた。
途中で展開していたクリスタルビットが脱落していったが、しかし、石化された他の人造竜騎の精霊力に呼びかけて、さらに命綱であるクリスタルビットを彼女の魔法力でもって制御権を奪っていたのだ。
「来ない援軍を頼みとするか」
「わからないじゃない。来るか、来ないかなんて……それに私には『幸運』しかないっていうのなら……!」
きっと来る。
そう信じていなければ、戦うことを諦めてしまいそうだった。
だから、彼女は信じる。
己の技量を、ではない。
己の『幸運』を。
『幸運』とは待っていては舞い込むことはない。かといって、手繰り寄せるだけでは足りない。
そうい、『幸運』とはねだるのでもなく、偶然に身を任せるでもなく、己が手で掴み取るもの。手を伸ばさないままに『幸運』に縋ったところで、何一つ得られない。
だから、『ソグン』は孤軍奮闘にて足掻き続けるのだった――。
ザビーネ・ハインケル
●POW
ひぃふぅみぃ…これはまた派手にやられたもんだな
手勢の復活に石化を解いてやりてぇところでもあるが、生憎ながらオレはそんな呪文を覚えていねぇし、この手の呪いはかけた相手を倒して解くもんでもあるからな
盗賊騎士とあれば此処いらで火事場泥棒を働くもんだが、生憎ながらそっちよりも助けた方が報酬をたんまり貰える約束なんでな
頼みの援軍が騎士道の風上にも置けない奴で残念だったかもしんねぇが、報酬以上の働きは約束するぜ
石像野郎には風の魔法で風化してやるのが手っ取り早ぇが、巻き添えを考えると無しだ
となれば、指向性が決まってる『多重爆炎弾』か
着弾点を強化しようたって弾数が多いから無駄さ
一気に突破口を拓くぜ!
一騎。
そう、ただの一騎だけが残っていた。
水色の人造竜騎。
精鋭たる辺境騎士団において、その動きは凡庸極まりないものであった。何故、その人造竜騎が真っ先に獣騎たちによって破壊されていなかったのかを誰も理解できていなかった。
類まれなる『幸運』。
そうとしか考えられない偶然の積み重ねによって辺境騎士『ソグン』は、百獣族の大侵攻においてただ一人生き残っていたのだ。
周囲には無数の石化された人造竜騎。
彼女の先輩騎士たちは皆、『獣騎バジリスク』の餌食となった。
「ひぃふぅみぃ……これはまた派手にやられたもんだ」
その惨憺たる状況をザビーネ・ハインケル(Knights of the Road・f44761)は見やり、頷く。
ここまで精鋭たる辺境騎士団が打倒される状況。
劣勢と呼ぶにふさわしいだろう。
盗賊騎士としては、火事場泥棒でもと思わないでもない。
だが、金勘定をするのならば、火事場泥棒よりも、たんまり儲けがでそうな状況である。
壊滅寸前の辺境騎士団の窮地を救い、また石化された騎士たちを救ったとなれば、辺境とは言え、心ある領主であるのならば報奨というものが出るだろうとザビーネはそこまで計算していたのだ。
「援軍……?」
『ソグン』の期待に満ちた声がザビーネに届く。
ご生憎と、と彼女は笑った。
「悪いが騎士道の風上にもおけないオレで悪かったな。が、報酬を約束してくれるなら、報酬以上の働きを約束させてもらうぜ? どうするよ、辺境騎士のお嬢ちゃん」
「……! 盗賊騎士! でも……!」
迫る『獣騎ガーゴイル』たち。
その猛攻に合わせて、宙に浮かぶクリスタルビットの制御もしなければならない。
選択肢など、そもそも多くはないのだ。
であるのならば。
「わかりました。我が名『ソグン』において、あなたに報奨をお約束しましょう。ですから……!」
「決まりだな! じゃあ、手っ取り早く行こうじゃあねぇの!」
ザビーネの瞳がユーベルコードに輝く。
掲げた杖。
その先端より迸るのは炎。
「何をするつもりだ……? 我らが黄金の如き装甲を炎程度で!」
「その通りである。我らが装甲は、魔法であろうと弾き返すものである!」
「来るのならば来るがよい!」
『獣騎ガーゴイル』たちの全身の装甲が前腕部に集まっていく。
集約された装甲の厚さは言うまでもない。
頑強なる黄金の装甲が前腕に篭手にように形成され、ザビーネが放とうとしているユーベルコードに対する防御態勢を整えるのだ。
まさしく城壁のように『獣騎ガーゴイル』たちが居並び、ザビーネを押しつぶさんと正面から突撃してくる。
「はっ、バカ正直に真正面ばかりに守りを固めていやがる。数も多い。手勢の復活に石化を解ければまた楽なんだが……まあ、覚えてねぇ魔法をねだってもしかたねぇ……なら、オレにできるのは!」
ザビーネが叫ぶ。
「跡形もなく灰燼に帰せやがれ! 多重爆炎弾(ブレイジング・バレットストーム)!」
放たれるは炎の弾丸。
しかし、それは城壁の如き装甲に阻まれるだろう。
だが、ザビーネの放った炎弾は凄まじい連射速度で持って『獣騎ガーゴイル』たちを襲う。
どれだけ前腕部に装甲を集約したところで、こちらの手数が勝る。
「オラオラどうした! どれだけ前面ばかり強化しようが、他が疎かになるってんならぁ!」
ザビーネの炎弾が『獣騎ガーゴイル』の側面から襲いかかり、集約された装甲の代償たるフレームがむき出しになった彼らの脇腹を打ち据える。
「ぐおっ!? 側面から……! なんという手数!」
「無駄に弾数が多いんでねぇ! まずはてめぇらを突破口にさせていただく!」
ザビーネの炎は嵐のように『獣騎ガーゴイル』の軍勢を蹴散らし、戦いの先端を切り拓くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ジェラルディン・ホワイトストーン
アドリブ歓迎
辺境騎士団への助太刀だな。わかった。
『メルセデス』を纏って出撃しよう。
……しっかし、相手の情報が事前にわかってるってのは、便利なもんだな。
石化した連中をどうこうするのは……敵の大将を倒したら解かれる訳か、よし。
まずはガーゴイルの排除だ、ソグンを助けに急行する。
援軍は来たぞ!
ジェラルディン・ホワイトストーンが相手をしてやるよ!
空中戦で応戦するぜ。こっちの切る手札は、クライシスゾーン!
砂塵や岩を巻き上げて、超次元の竜巻に変換して叩きつける。
ガーゴイルボムはスピリットアーマーのオーラ装甲で防ぎ……獣騎の腕で、爆弾にしてるってことぁ。こいつは無機物か?
できるんなら竜巻に変換してみるか!
辺境の地にて居並ぶのは石化された人造竜騎たちであった。
それは辺境騎士たちの駆るものであり、内部まで石化されているのは、『獣騎バジリスク』のちからに寄るところであった。
「……しっかし便利なもんだな」
ジェラルディン・ホワイトストーン(シャドウエルフのタイタニアキャバリア・f44830)は、もしも『獣騎バジリスク』の能力が『石化と死の視線』であると知ることができなければ、自らもまた辺境騎士たちの駆る人造竜騎と運命を同じくしたであろうことを理解した。
それほどまでに『獣騎バジリスク』の能力は初見殺し。
辺境騎士たちが一騎を残して全滅したのは、まだ幸運であったと言えるだろう。
おかげでこうして自分たちが援軍に駆けつけることができたのだ。
「さって、やるか」
ジェラルディンは己がタイタニアキャバリア『メルセデス』と共に戦場に降り立つ。
炎の弾丸が吹き荒れる中、いまだ『獣騎ガーゴイル』たちの数は圧倒的だった。
大侵攻と呼ぶにふさわしい軍容であったし、またそれだけ『獣騎バジリスク』の能力が圧倒的であったとも言える。
石化した人造竜騎たちは『獣騎バジリスク』を打倒すれば石化が解かれるということであったから、むしろ自分が心配するのは我が身だけであった。
「まずは『獣騎ガーゴイル』の排除からか。ジェラルディン・ホワイトストーンが援軍に来たぞ! 目にするものは我が竜騎を見よ! これなるは、『慈悲』の名を関する人造竜騎なり!」
その名乗りに『獣騎ガーゴイル』たちは向き直る。
「見事。その名乗りに応じようではないか!」
羽ばたく『獣騎ガーゴイル』の翼。
そして、放たれるのは彼らの腕部。
そう、彼らのユーベルコードは体躯の一部を切り離すことによって周囲を爆破させる一撃。
「いけません!『獣騎ガーゴイル』の一撃は……!」
辺境騎士『ソグン』の言葉にジェラルディンはむしろ、己が瞳をユーベルコードに輝かせた。
「問答は無用! これなるは聖なる決闘! であるのならば!」
飛翔する互いの駆体。
空に在りて炸裂するは爆発。
猛烈な爆風が『メルセデス』を襲う。
たぐる精霊力によってジェラルディンの駆る『メルセデス』は爆風を防ぐが、しかし、その強烈な勢いに押される。
そう、『獣騎ガーゴイル』の数は圧倒的なのだ。
炸裂する爆発に装甲であるスピリットアーマーの精霊力が凄まじい勢いで削られ知恵くのだ。
「やるじゃあないか! けど、こっちだって切るべき手札があるんだ! クライシスゾーン!」
煌めくはユーベルコード。
ジェラルディンの周囲にあった無機物が超次元の竜巻に変換され、一気に爆風を巻き込みながら『獣騎ガーゴイル』へと迫るのだ。
「竜巻……ただの竜巻ではないな、これは……!」
「そうとも! 超次元の竜巻はあらゆるものを巻き込む! お前たちの爆発がどれだけ凄まじかろうが! 竜巻の勢いは殺せない! そして!」
うねる竜巻はジェラルディンの飛翔に追従するようにして追ってきた『獣騎ガーゴイル』たちを巻き込みながら大地へと駆体を叩きつけるのだ。
「どれだけ数がいようが関係ない。超次元の竜巻は全てを巻き込む! さあ、やろうか! 聖なる決闘、正々堂々たる力と力のぶつけ合い」
「我が拳の爆発と」
「俺の手繰る竜巻」
「どちらが上か!」
「勝負!」
ジェラルディンの咆哮と共に『メルセデス』の精霊力が唸りを上げて超次元の竜巻へと変換され、さらなる猛威となって『獣騎ガーゴイル』の軍勢を飲み込んでいくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
村崎ゆかり、陰陽師。義によりて助太刀致す。
名乗り上げっていうのはこれでいいかしら?
心配は無用よ、『ソグン』卿。さあ、|聖なる決闘《トーナメント》を始めましょうか。
「範囲攻撃」衝撃の「属性攻撃」「吹き飛ばし」「制圧射撃」「なぎ払い」「仙術」で朱い禁鞭を振るう。
本来、超広域攻撃が専門のこの宝貝だけど、間近な相手にも有効なのよ。その一端を見せてあげる。
この距離なら、全方位からの攻撃が出来るわね。吹き上がる岩の嵐も、禁鞭で叩き落とす。
念のため「オーラ防御」「受け流し」で対応しておきましょうか。
単騎殲滅。それが出来るのが、この禁鞭なのよ。
さあ、『獣騎バジリスク』の元まで道を空けてちょうだい。
これが決闘であるというのならば、名乗りは必須であった。
外なる世界、他世界より現れる猟兵にとって、このバハムートキャバリアにおける戦い……聖なる決闘の作法は重要視されるものではない。
いかなる方法を持ってしてもオブリビオンである百獣族に世界を明け渡すわけことは阻止しなければならない。
故に猟兵が戦う理由はいつだって世界のためであった。
結果的に人も救うことになるだけだ。
けれど、それはグリモアの予知にかかる事柄であるからだ。
人が人を救う時、そこに大げさな理由はいらないのかもしれない。
それこそ、義という名分さえあれば人は生命を救おうとしてしまうのだ。
「村崎ゆかり、陰陽師。義によりて助太刀致す」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)はまさしく、義によって立つ猟兵である。
「名の利上げっていうのは、これでいいのかしら?」
このバハムートキャバリアという世界における名乗り。
これが正しい所作、作法であるのかはわからない。
もしかしたら違うのかも知れない。
けれど、彼女の前に立ち並ぶ『獣騎ガーゴイル』たちにとっては、それは充分であったようだった。
「応とも。我らがガーゴイル族の誇りにかけて、いざ!」
吹き荒れるのは岩の嵐。
『獣騎ガーゴイル』の放つユーベルコード。
それはゆかり目掛けて迫る嵐であった。
岩が礫のように舞い上がり、ゆかりへと迫る。
「岩の嵐……! ガーゴイル族の岩の翼によって巻き上げられる嵐は避けがたいものです!」
辺境騎士『ソグン』の言葉にゆかりは頷く。
『心配は無用よ、『ソグン』卿。これが|聖なる決闘《トーナメント》だっていうのならね!」
ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
激突するのはユーベルコードの光同士。
迫る岩の嵐は苛烈そのもの。
されど、彼女の操る赤い鞭は、宙に翻る。
「鞭! いかなる武器か!」
「禁鞭(キンベン)、我は汝の主なり。全てを打ちすえ砕く絶対の力よ、世界にその威を示せ! 疾!」
振るう赤い鞭が不可視の式神によってマーカーとされた空間をえぐるようにして駆け抜ける。
迫る岩の嵐すらも飲み込んだ赤い鞭の翻るさまは、まるでひとつの玉のようだった。
『獣騎ガーゴイル』ごと打ち据える赤い鞭。
その凄まじさたるや。
強烈な鞭のしなる音と岩が激突する音ばかりが響き渡る。
荒ぶるようにして彼女の赤い鞭が唸り、空間の中にあるものを許さぬとばかりに打ち据え続けるのだ。
「この鞭……どこまでも追ってくる!」
「そうよ。本来は超広域攻撃が専門の宝貝だけれど、この距離でも有用なことを見せてあげる。これもまた、この宝貝の性能の一端だってことをね!」
礫のように舞う岩を打ち据え、ゆかりは『獣騎ガーゴイル』たちに告げる。
「さあ、『獣騎バジリスク』の元まで道を空けてちょうだい」
「いいや、かの勇士に相対するためには我らという障害を越えていただく! この程度の軍勢を切り抜けられるのであれば、そもそも相対する資格などなし!」
「そう。じゃあ、押し通らせてもらうわ!」
ゆかりは並み居る『獣騎ガーゴイル』たちを見据え、己が赤い鞭を振るいて突っ切るようにして打ち砕いて進んでいくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロッテ・ヴェイロン
(ホワイトラビットを【操縦】してエントリー。そして戦場を見渡し)
まあね、そりゃあ猟兵でもない連中がオブリビオンを相手にすればそうなりますよね(【世界知識・戦闘知識】)。
というわけで――ドーモ、AliceCVです。そこの一体だけ生き残ってるキャバリアのパイロットさん、援軍に来ましたよ。
では早速、敵のニューロンを【ハッキング】攻撃しましょうか(【精神攻撃・データ攻撃・精神汚染】)。で、動きを封じたところで、強化されてない部分を切り落としちゃいましょう(【切断・部位破壊】)――ああ、そうそう、できれば戦闘不能にとどめますけど?
※アドリブ・連携歓迎
戦場の有り様は惨憺たるものであった。
シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)が駆けつけた時、すでに辺境地帯における人類の防衛戦力であり、精鋭である辺境騎士団は一騎を除いて全てが石化されていた。
人造竜騎が悉く石像のようになっているのだ。
恐るべきは『獣騎バジリスク』の『死と石化の視線』である。
まさしく初見殺し。
その力の一端を垣間見て、シャルロッテはキャバリア『ホワイトラビット』を駆り状況を理解した。
「まあね、そりゃあ猟兵でもない連中が初見殺しの能力に対処できるかって言われたら……そりゃこうなりますよね」
予知。
グリモアによって齎される情報がなければ、自分たちも石化されてしまっていたかもしれない。
そもそも聖なる決闘という文化がバハムートキャバリアには根付いている。
騎士道精神に則るが故に、『獣騎バジリスク』の能力は、それと知らなければどうしようもないものであった。
だからこそ、一騎だけが『幸運』にも石化を免れて抵抗できていた事自体が、凄まじい強運である。
そして、彼女が今も健在だからこそ猟兵達は救援に駆けつけることができたのだ。
「というわけで――ドーモ、|AliceCV《アリス・セ・ヴィ》です。そこの一騎だけ生き残っているキャバリアのパイロットさん、援軍に来ましたよ」
「援軍……その人造竜騎は……一体、どこの家名に連なる騎士なのでしょうか」
「そーいうのないので」
「名乗ったのだ、ならば受けて頂く!」
決闘を、と言うようにシャルロッテの駆る『ホワイトラビット』の前に現れるのは『獣騎ガーゴイル』たちであった。
「では、早速」
シャルロッテは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「全員まとめて、操ってやりましょうか!」
BRAIN HACKING:BOOSTED(ブレインハッキング・ブーステッド)。
それは実体化した電子データを纏い、戦場にある全ての敵……『獣騎ガーゴイル』たちの生体脳……つまりは、如何に獣騎に変形しても、その大元が百獣族という生命体であるというのならば、強制的にハッキングを仕掛けることができる。
『ホワイトラビット』は動かない。
『獣騎ガーゴイル』もまた動かない。
辺境騎士『ソグン』は、いかなることかと理解できない。
そう、何もしていないように見えたからだ。
動かず、さりとて睨み合っているわけでもない。
「動かぬ、体が……何故だ!」
「これが、わたしのユーベルコードですから」
シャルロッテは動けぬ『獣騎ガーゴイル』たちの腕部を切り落とし、戦闘行動を封じる。
「クッ……!」
「ま、戦闘不能程度でよいでしょう。動きを止めた相手をいたぶるほどの趣味は持ち合わせていないですし。それに」
彼女は並み居る『獣騎ガーゴイル』たちという軍勢の奥に控える『獣騎バジリスク』の威容を見つめる。
あの敵を打倒さねば、石化された人造竜騎の石化を解除することはできぬ。
なればこそ、シャルロッテは一気呵成に『獣騎ガーゴイル』たちの合間を『ホワイトラビットと共に駆け抜けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
桐嶋・水之江
拾ってきたハイドラ・クインリィの修理と改修が済んだ所に丁度よかったわね
ここで実戦テストしましょう
あーあー、マイクテスマイクテス
紳士淑女の皆様ごきげんよう
この私、桐嶋水之江が義によって騎士団の皆様の助太刀に…おっと
ステイ、ステイ
この機体、獣騎を目の前にした途端に暴れ始めたわね
まあ、やる気十分って事でしょう
敵は複数でも慌てない
こっちは首が五本あるんだから
けど見た目通りに頑丈みたいね
騎士団から追い払う意味も兼ねてクインテットバスターで砲水しましょう
水流で押し返すのよ
効いてない?OK
そこに水之江さんの水之江サンダーよ
どんなに頑丈でも濡れた状態で雷に打たれたら、どこかしら脆い部分に感電するってわけよ
「あーあー、マイクテスマイクテス」
その声は戦場にあって間延びしたように聞こえたことだろう。
そして、この戦場を支配する百獣族『獣騎ガーゴイル』たちは振り返って、そこにありし異形を認めて驚愕する。
そこに座していたのは、異形の一騎であった。
多頭で形成された体躯。
腕部あれど、残すは胴と五つの頭部のみ。
あまりにも異形であり、あまりにも怪物じみていた。
まさしく魂を穢す形状であるように思えたのだ。
「あれは、ハイドラキャバリア!? 何故……!」
この戦場唯一の生き残りである辺境騎士『ソグン』は目を見開く。
彼女をしても、その異形の人造竜騎、ハイドラキャバリアは異常な存在だったのだ。
「紳士淑女の皆様ごきげんよう」
そんな彼女と『獣騎ガーゴイル』たちの同様を他所に、ハイドラキャバリアから響くのは、桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)のどこかのんびりとした声だった。
「この私、桐島・水之江が義によって騎士団の皆様の助太刀にに……おっと」
多腕……いや、多頭が暴れ狂うようにしてのたうつのを水之江は制御して押さえつける。
「ステイ、ステイ。なんだか獣騎を前にして途端に元気になっちゃって。ま、やる気充分ってのは良いことだけれど」
そう、水之江は、この異形の人造竜騎――ハイドラキャバリア『ハイドラ・クインリィ』が遺棄されていたのを発見し、修理と改修を施して、この戦場に介入してきたのだ。
いや、介入というよりは実戦テストを行おうとしているのだ。
戦いに踏み込む理由はあまりにも身勝手であった。
が、味方であるということを『ソグン』は理解しながらも『ハイドラ・クインリィ』の姿に搭乗者である水之江の身の安全を確認する。
「あなた、その人造竜騎に乗っていて……何も異常はないのですか?」
「ないわよ、そんなの。と、それどころじゃあないわね」
「穢れた人造竜騎め。聖なる決闘を穢しにまいったか! ならば、成敗してくれる!」
『ハイドラ・クインリィ』が戦意に満ちていたように、『獣騎ガーゴイル』たちも一気に異形たる人造竜騎を排除せんと迫っていた。
「慌てない慌てない。こっちは首が五本もあるんだから」
五つの多頭から放たれる放水の一撃。
されど、その顎部の水流のビームは、『獣騎ガーゴイル』を止めるには足りなかった。
「水を放つ程度で!」
「あら、元気。水流で押し返してあげようかと思ったけれど……なるほど、ガーゴイル、石像の怪物というわけ。効いてないわね。OK」
水之江はまるで慌てていなかった。
効かないところまで想定内のようだった。
「見せてあげましょう、本命の私の雷を。そう、水之江の雷(ミズノエサンダー)をね!」
降り注ぐのは黒い雷。
それは『獣騎ガーゴイル』の濡れた装甲へと誘引されるようにしてほとばしり、本来ならば敵味方を区別しない雷であった。
しかし、水之江にとって都合の悪い対象を優先して攻撃する雷は、『獣騎ガーゴイル』へと吸い込まれていく。
辺境騎士『ソグン』の水色の人造竜騎は『幸運』にも雷を全て避ける……いや、雷が避けていくのだ。
「なんて、でたらめな!」
「いや、でもほら。獣騎の皆さんは、見事こんがりよ」
水之江は『ソグン』の言葉に笑う。
示すは、黒焦げになって座す『獣騎ガーゴイル』たち。
彼らは雷を避けることはできなかった。
強化された装甲も、その隙間を縫って集約する雷を前には意味がないのだ。
「どんなに頑丈でも水に濡れた状態なのよ? あちこちの装甲のつなぎ目はあるでしょう。どこかしら脆い部分に伝播すれば、これこの通りってわけ」
ね、簡単でしょう?
水之江はこともなげに言い放ち『ソグン』を唖然とさせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
戦場を眺め。
「敵は思った以上の数。苦境ではあるが
これは好機だ。」
敵の眼が此方に向かない内に真羅天掌を発動。
凍結属性の吹雪を発生させて【先制攻撃】。
吹雪で視界を遮りつつ
敵の体を凍結させて身体部位の切断を妨害。
敵を攪乱させつつソグンに近づき
「良く自分を信じて戦ったね。
この場は、君の勝ちだ。
反撃開始と行こうか。」
「あれが如何に頑強といえ、凍て付いて強度が落ちたところで
頭を潰せば絶えるだろう。」
余裕があればと援護を頼み
自身はその言葉の通り動けなくなった敵の頭部を
デモニックロッドから闇の魔弾を放って潰して行く。
敵の動向にも注意を配り
爆弾を生成されたら爆発前に
吹雪の風で離れながら爆弾を敵の中に吹き飛ばす。
戦場にありて百獣族の軍勢は、大地を埋め尽くすようだった。
『獣騎ガーゴイル』。
彼らは瞬く間に石化された辺境騎士団を圧倒していた。
聖なる決闘において真正面から立ち向かうことは必定。故に大軍勢を率いる『獣騎バジリスク』の『歯と石化の視線』は対策なくば、防ぐことのできない初見殺し。
一騎のみ残された人造竜騎はいかなる『幸運』からか、石化を免れていた。
「敵は思った以上の数。苦境であるが、これは好機だ」
フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は転移した戦場を見つめる。
敵はあまりに膨大。
それ故に人間大……生身単身のフォルクにまで目が届かない。
彼らにとっての敵とはすなわち人造竜騎……体高5m級の鋼鉄の巨人なのだ。
「大海の渦。天空の槌。琥珀の轟き。平原の騒響。宵闇の灯。人の世に在りし万象尽く、十指に集いて道行きを拓く一杖となれ」
フォルクの目深に被ったフードの奥で、真羅天掌(シンラテンショウ)たるユーベルコードの輝きが満ちる。
放たれるのは、凍結する吹雪。
属性と自然現象を合成した現象を発動するユーベルコードは制御が難しい。
だが、フォルクはこれを制御して戦場を吹雪に包み込む。
「吹雪!? 一体何事だ!」
「これは……」
困惑する『獣騎ガーゴイル』と単騎たる人造竜騎の乗り手『ソグン』。
フォルクは瞬く間に『獣騎ガーゴイル』の腕部を切断し、撹乱するようにして戦場を駆け抜けなけながら、人造竜騎を駆る辺境騎士『ソグン』へと近づく。
「不意打ちとは卑怯な! 姿を現せ!」
『獣騎ガーゴイル』たちの声が響く。
フォルクは猟兵である。
この世界の人間であるのならば、不意打ちという騎士道の風上にも置けぬ行いを恥じただろう。
だが、フォルクは他世界の人間。
不意打ちなど力の差を埋める常套手段にすぎないのだ。
水色の人造竜騎へとフォルクは近づき、声を掛ける。
「よく自分を信じて戦ったね」
「あなたは……」
「援軍だ。この場は君の勝ちだ。反撃開始と行こうか」
「ですが」
わかっている。
この状況を利用することは、騎士道に反するのではないか、と。
けれど、フォルクは頭を振る。
「正々堂々は君がすればいい。君は生き残ることだけを考えていればいい」
そう、この戦況を覆すには、まだ足りない。
だからこそ、裏方としてフォルクは生身単身で駆け抜ける。
「ええい、姿が見えぬ。吹雪で視界が遮られて……!」
「だろうな。君らが如何に頑強とは言え、凍てついて強度が落ちたとこで、頭を潰せば絶えるだろう」
フォルクは吹雪によって翻弄された『獣騎ガーゴイル』たちへと闇の魔弾を放ち、その爆炎でもって翻弄しながら戦場を駆け抜ける。
吹雪の猛風の中にありて闇の魔弾が燃え盛る様だけが『獣騎ガーゴイル』の知れるところであっただろう。
騎士道は確かに尊ぶべきものかもしれない。
けれど、猟兵であるフォルクにとっては関係ない。
己より強大なものを打ち倒す。その方策こそが、人の知恵なのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
※サイキックキャバリアのレゼール・ブルー・リーゼに搭乗。
獣騎って、いろんな人がいるんだね。
今回は飛べてさらにマッチョさん?
…さ、それじゃ援軍、行きましょうかっ!!
精霊術士、シル・ウィンディア、援軍に入りますっ!
いいつつ詠唱を開始。
使うのはエレメンタル・ファランクス。
カルテッドキャノンと右手のロングビームライフルと左腕のビームランチャーの計6門の砲門から、前方を扇状に薙ぎ払う感じでUCを撃つよ。
ま、範囲攻撃ってやつだね。
さぁ、纏めて撃ち抜かせてもらうからねっ!
ボムが来ても、オーラ防御で機体を覆いつつ、推力移動と空中機動の空中戦、そして、第六感を信じての回避行動だね。
ふぅ、ひと先ずこんな感じかな?
「獣騎って、いろんな人がいるんだね」
辺境の戦場を埋め尽くすのは、『獣騎ガーゴイル』たちであった。
まるで岩石を思わせるような体躯。
しかも翼が生えた魔物めいた姿である。
「飛べて、さらにマッチョさん?」
シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)の『獣騎ガーゴイル』への印象はまさしくそれであった。
だが、印象以上に『獣騎ガーゴイル』は頑強であった。
生半可な攻撃は、あの黄金のような岩めいた装甲に阻まれてしまうだろう。
しかし、ここで戦わねば、辺境を護る辺境騎士団の最後の一騎が倒れてしまう。
そうなっては、この辺境の一帯は百獣族の領域に変わるだろう。
世界を死者であるオブリビオン、百獣族に明け渡すわけにはいかないのだ。
「……さ、それじゃ援軍、いきましょうかっ!!」
シルは虚空より現れた青きサイキックキャバリア『レゼール・ブルー・リーゼ』に乗り込み、戦場に降り立つ。
「むっ……!」
「精霊術士、シル・ウィンディア、援軍に入りますっ!」
「名乗りを上げるか。ならば、我らも応えねばならぬっ!」
シルの名乗りに呼応するようにして『獣騎ガーゴイル』たちは、水色の人造竜騎から『レゼール・ブルー・リーゼ』に向き直る。
戦いの最中にあっても、名乗りを聞けば向きなる。
如何にオブリビオンとは言え、彼らは騎士道精神の宿る百獣族たちなのだ。
故にシルは詠唱を続ける。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ…。我が手に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!!」
4つの属性を持つ魔力が巡る。
『獣騎ガーゴイル』たちは理解しただろう。
それは極大の魔力砲撃。
そのための詠唱。
「砲撃か! ならば、我らが拳を前にしても、その輝き保てるのか、見せていただこう!」
「いくよ、エレメンタル・ファランクスっ!」
シルの駆る青いサイキックキャバリアの武装が展開する。
4つの属性による砲撃。
それは左右に携えた砲と腰部から伸びる砲門より解き放たれる。
火と水、風、土。
それらの魔力を宿した砲撃と切り離されて放たれた拳が激突する。
「まとめて撃ち抜かせてもらうからねっ!」
爆発する拳。
凄まじい爆風が『レゼール・ブルー・リーゼ』へと襲い来る。
しかし、その爆風すらもシルの魔力砲撃は薙ぎ払っていくようにして吹き飛ばすのだ。
「なんとう魔力量……! ここまで違うか!」
「まとめてって言わせてもらったからね! ふぅっ!」
シルは息を吐き出す。
互いの攻撃は軍勢と個にしても互角。
その凄まじき戦いを前にして辺境騎士『ソグン』は目を見開く。
頼もしき援軍。
それ以上に、シルの戦いは個で軍を圧倒する凄まじきものだったのだ。
「一先ずは、こんな感じかな? そこに人、無事だよね」
「は、はい!」
「なら行こう。まだ戦いは終わっていないよ!」
その言葉とともに二騎は戦場を駆けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
(ステラさんの雄叫びインターセプトして)
勇者の出番の!! 香りがしまぁぁぁぁすっ!!
自らの矜持をかけて戦う方のピンチに颯爽と登場する!
このシチュエーションはまさに勇者のためのお膳立てですよね!
異論は認めません!
さぁ、ステラさんいきますよ!
え?雄叫び?
そんなのいいじゃないですか!『ソグン』さんを見てなにも感じないんですか!?
美味しいとこ総取りの香りがぷんぷんするじゃないですか!
ここでいいところを見せれば、『エイル』さんにも届くかもしれないですよ?
そんなわけで、あらためましていきましょう!
ガーゴイルでもなんでもいです。
一気に吹き飛ばしながら、『ソグン』さんも回復しちゃいましょう!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の香りがしまぁぁぁすっ!!?
叫びかぶった!?
くっ残念ながらこの世界での勇者の親和性は異常
というか、美味しいとこどりって『幸運』を誤解しすぎでは!?
ともあれ、今回は『幸運』のターンですか
ズィーベン・ソグン様……騎士のソグン様がこちらにいるなら
あの獣騎がズィーベン様の名を?
いえ後にしましょう
運も実力のうち、といいます
ならば、その力は紛れもなく貴女様の実力です!
……問題なのは私がケルーベイム(レプリカ)の力を
引き出し切れてないということ!
ええい、武器も市販品とか!
まぁ戦闘はルクス様に任せておきましょう
今出来そうなのは支援くらいですね
【アウクシリウム・グロウバス】で!
「|『エイル』様《主人様》の――」
「勇者の出番の!! 香りがしまぁぁぁぁすっ!!」
それは普段とは違う始まり方であった。
メイドであるステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の雄叫びは今に始まったことではない。
だが、此度違ったのは、勇者であるルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の声量がステラのそれを上回った……いや、インターセプトしたと言っても良いタイミングで放たれたのだ。
「!? 叫びが被った!?」
「自らの矜持をかけて戦う方のピンチに颯爽と登場する! このシチュエーションはまさに勇者のためのお膳立てですよね!」
ルクスは、むふん、と胸を張っていた。
確かに状況はよくない。
辺境の大地を埋め尽くすのは百獣族『獣騎ガーゴイル』の大軍勢である。
猟兵たちの援軍という介入があっても、辺境騎士団は一騎しか残っていないのだ。劣勢であることはまだ覆せていない。
だからこそルクスの心は燃えていた。
そう、こういうシチュエーションこそが勇者の戦場としてふさわしいと思っていたのだ。
「異論は認めません!」
いつもにまして勢いが凄まじい。
そんなルクスの様子にステラは慄く。
いや、残念ながらルクスの言うとおりだと思ったのだ。
この世界、バハムートキャバリアと勇者の親和性は異常。いや、別に異常というわけでもないような気がしないでもない。
「雄叫びをインターセプトするとは……!」
「雄叫び? そんなのいいじゃないですか!『ソグン』さんを見てなにも感じないんですか!? 美味しいところ総取りの香りがぷんぷんするじゃないですか!」
くわ、とルクスは目を見開く。
視線の先にあるのは水色の人造竜騎。
駆るは辺境騎士『ソグン』である。
「いや、美味しいところどりって『幸運』を誤解しすぎでは!?」
「いーえ! 美味しいところをかっさらっていく匂いがしています!」
「そんな無茶な……ですが、今回は『幸運』……『ズィーベン・ソグン』様……騎士『ソグン』様がこちらにいるなら、あの獣騎が『ズィーベン』様の名を?」
ステラはこれまでの経緯から見て、そうなのではないかと思ったのだ。
しかし、この法則性が正しいかはわからない。
猟兵がこの世界に介入するようになって初めて遭遇した敵は、獣騎ではなく真に邪悪な辺境伯の駆る人造竜騎『エイル』であった。
であるのならば。
「……いえ、後にしましょう。運も実力の内、といいます」
「そうですよ! ここでいいところを見せれば、『エイル』さんにも届くかもしれないですよ?」
「わかっております。ですが……私の『ケルーベイム』は未だ力を引き出しきれておりません。今回は支援とさせて頂きたいと思います」
「かいませんよ! あらためていきましょう! ガーゴイルでもなんでもいいです! 一気に吹き飛ばしますよ!」
ルクスの瞳がユーベルコードに輝く。
「魂の演奏は、すべてを貫きます! これぞ、悪魔のトリル(アクマノトリル)!」
吹き荒れる音。
音の洪水が戦場に殺到し、『獣騎ガーゴイル』たちは、己たちが立っているのか倒れているのかわからぬままに混乱する。
「体が、いや、数多が揺れる……!? この音のせいか!」
「音って! 演奏ですよ! 音楽って言ってください!」
「……これままた援軍の方のちから……? 人造竜騎のパワーゲージが回復していく……!?」
「『ソグン』様、支援いたします。どうか、この場を切り抜けて頂きたく」
ステラは『ソグン』を護るようにして己が呼び寄せた遠隔兵器でもって『ソグン』の人造竜騎を守る。
「さあ、止まっている暇なんてありませんよ! 一気に敵の首魁のところまでゴーゴーです!」
いつになく張り切っているルクスに引っ張られるようにしてステラと『ソグン』は、音の洪水によって立ち上がれぬ『獣騎ガーゴイル』たちを他所に戦場を駆け抜けていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に搭乗)
うーん……これはこれは…だいぶ一方的だね…
石化は…いまは解析する暇が無いな…バジリスクとやらを退けてから治療
…いや打倒すれば解けるのか…それなら問題無いな…
…星導の魔女メンカル・プルモーサ…決闘を申し込むよ…
ガーゴイルか…堅牢さに自信がありそうだけど…それが仇になる事もある…と
…【天地に響く崩塵の歌】を発動…ガーゴイル達の傍に音響ガジェットを召喚…
更に操音作寂術式【メレテー】で演奏の届く範囲をガーゴイル達に限定…
振動によってガーゴイルやその切断部位を爆発する前に『崩す』としよう…
…
辺境における百獣族との戦いは一方的だった。
戦場に残された石化された人造竜騎の数を見ればわかる。
この辺境地帯の守護を任された辺境騎士たちの練度は低くない。むしろ、精鋭と呼ぶに相応しき技量を持つ騎士たちであった。
それがこうも一方的に石化されているのは、軍勢を率いる『獣騎バジリスク』の能力が初見殺しであったからだ。
「うーん……これはこれは……大分一方的にやられたね……」
メンカル・プルモーサ(星導の魔女・f08301)は惨状を認めて息を吐き出す。
そう『死と石化の視線』。
これが『獣騎バジリスク』の能力であった。
聖なる決闘が正々堂々と真正面から戦うものであるからこそ、対策なくば、このように一方的に石化されてしまうのだ。
しかも、この石化を解くには『獣騎バジリスク』を撃破しなければならない。
「……なら、問題ないな……」
もしも、石化が『獣騎バジリスク』を打倒した後でも残るものであったのならば厄介極まりない。だが倒せば解除されるのだ。
メンカルは己が試作型術式騎兵『ツィルニトラ』を駆り、戦場へと降り立つ。
この世界では騎士道が尊ばれている。
不意打ちなどは忌避されるものである。
そして、名乗れば応えるのが獣騎たちであった。
「……星導の魔女メンカル・プルモーサ……決闘を申し込むよ……」
「名乗るか、魔女よ。なれば、騎士道に則り、我らも汝の決闘を受けよう。我が名は『獣騎ガーゴイル』! この巨岩の如き装甲を抜くことができるというのならば、やってみせるがよい!」
打ち鳴らされる前腕部。
岩石のような装甲。
確かに強固であろうとメンカルは理解する。
「堅牢さに自信がありそうだかえれど……それが仇になることもある……」
「あろうはずもあるまい! 堅牢であるということは倒れぬということ。不撓不屈なる我が意志と合わさるのならば!」
打倒できるものなど無し。
そう云うかのように『獣騎ガーゴイル』が迫る。
メンカルは『ツィルニトラ』の中にて、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
機体より飛び出すのは、無数の音響用ガジェットであった。
「面妖な! いかなるか!」
「答えは直ぐにわかるよ……絡繰の鳥よ、歌え、奏でよ。汝は天響、汝は挽歌。魔女が望むは崩れ滅びる鎮魂歌」
メンカルの瞳に煌めくユーベルコードが『ツィルニトラ』によって増幅され、音響ガジェットから演奏が響く。
それは音の振動。
言うまでもないが、大気を伝わり、音は『獣騎ガーゴイル』の装甲を打ち据える。
見えぬ振動。
防ぐ事のできない振動。
それが装甲にぶつかり、固有振動によって、その強固な装甲を崩すのだ。
「なに……!? 我が装甲が、斯様なまでに容易く崩れる……!?」
「装甲であるかぎり、それは無機物……なら、私のユーベルコードは、10倍にまで効果が増幅される……」
メンカルは、強固であればあるほどに容易く崩れ去り、『獣騎ガーゴイル』の利点を崩すのだと告げる。
崩れ落ちた装甲の『獣騎ガーゴイル』との決着はついたと言わんばかりにメンカルは軍勢の奥に座す『獣騎バジリスク』を見つめた。
この軍勢を率いる主である、あの獣騎さえ打倒できれば状況は覆すことができるのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ファルシータ・フィラ
まったく……
薄幸と見せかけて豪運とは!
ギャップ萌え!美少女サイコー!
見てませんけども!
声の感じが美少女!
イイですわイイですわ!
ともあれまずはこれらを蹴散らして
駆けつけませんと
ティタニア!
【チェンジリング】!騎士形態!
主武装はティラトーレ・ツインブレード
牽制はファータ・バラージで推して参りますわ!
基本的には速度で掻き回すスタイル
ですが岩の嵐はこれもうどうしようもない気がしますわね
ですが岩という形があるのならば!
ファータ・バラージで迎撃しつつ
距離を詰めて
ツインブレードで仕留めていくだけ
前回といい推しが多いのは良いことですが
因縁がどうにも深すぎるようですわね?
わたくし達にどこまで添えるべきか……
ファルシータ・フィラ(アレキサンドライト・f44730)は、またもや推しというものを見つけていた。
彼女にとって推しとは最大の関心事である。
それなくば生きてはいけない、とはいいすぎかも知れないが、しかし推しとは存在するのならば、存在するだけよいのである。
そういうもんなのである。
「まったく……薄幸と見せかけて豪運とは!」
ファルシータは一人で情緒が大忙しであった。
そう、辺境騎士『ソグン』。
彼女は、この辺境の戦いにおいて一騎だけ残った最後の騎士。
大軍勢を前にして立ち向かうことを強いられる運命という幸薄き者。だが、転じて彼女だけが生き残ったのは類稀なる『幸運』があればこそであろう。
故にファルシータは口元を拭って叫ぶ。
「ギャップ萌え! 美少女サイコー! お顔見てませんけども! 声の感じが美少女! イイですわイイですわ!!」
「……何なの、あの人……」
『ソグン』は一人で大盛りあがりのファルシータを見やり、なんとも言えない顔をしていた。
「後でご尊顔拝謁させていただきたくございますわ! ともあれ、まずはこれらを蹴散らして!」
ファルシータは『ティタニア』を駆り、一気に騎士形態へと変形する。
「グリフォンキャバリア! なんという技量……! まさか、斯様な援軍が!」
「おお、推しからの認知! ありがとうございます! ありがとうございますわー!!」
ファルシータは認知されるというファンサに打ち震えながら、『ティタニア』に装備された大型ナイフを逆手に持ちて、『獣騎ガーゴイル』の群れへと切り込んでいく。
「今のわたくしを止められるのなら! やってごらんなさい!」
煌めくはユーベルコードの輝き。
ファルシータは、今や無敵であった。
凄まじいまでの踏み込みに『獣騎ガーゴイル』の対応が間に合わない。
「速い……!」
「こちらをかき回す気か、させぬ!」
放たれる岩の嵐。
それを前にファルシータは『ティタニア』と共に岩を翼より放たれる魔力砲撃でもって吹き飛ばすのだ。
「物理であれば、吹き飛ばせばよろしいのですわ! この距離、頂きましたわ!」
放たれる大型ナイフの斬撃。
その速度は凄まじく、疾風のように『獣騎ガーゴイル』たちの装甲の付け根を、バターを切り分けるかのように切りつけて寸断するのだ。
「なんていう技量……! グリフォンキャバリアを操るだけでなく!」
「ふっ……推しが多ければ多いほど、わたくし強くなるのですわ」
とは言え、とファルシータは思う。
前回といい、今回といい推しが多い。
それはよいことだ。
だが、因縁がどうにも深いように思えてならない。であるのならば、己達はどこまで添うべきなのか。
いや、まあ推しは推せる時に推せっていうありがたい言葉もあるぐらいである。
「後から考えればよいのですわ!」
今は、推しを護る。
それだけなのだと言うようにファルシータは『ティタニア』と共に戦場を疾風のように駆け抜けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ティオレンシア・シーディア
…卑怯上等卑劣万歳正攻法何それ美味しいの?で生きてきたから、あたし個人としては騎士道とかいちばん縁遠いものではあるけれど。ま、ここは世界の流儀に合わせましょうか。
――スノーフレーク、ティオレンシア・シーディア。エンゲージ!
防御力五倍となると、流石に正面から徹すのはちょっと大変ねぇ。…ま、強化箇所以外を狙えばいいだけの話ではあるけれど。●虐殺・滅尽を起動、空間的に射線○見切って跳弾させるわぁ。
跳弾の基点?やぁねぇ、あなたたちのボスがたくさん用意してくれたじゃない。――石化した人造竜騎なら、基点には十分よぉ?
○黙殺・砲列の魔術弾幕・グレネードの○爆撃と合わせて殺界形成して殲滅するわねぇ。
騎士道。
それは正々堂々たる振る舞いであり、心を律するものである。
かつて在りし、バハムートキャバリアの人類が犯した大罪。これを酷く悔いた人類は、己が心の奥底に宿る凶暴性を騎士道でもって縛り上げ、制御しようとした。
それが滅ぼした百獣族に対する懺悔でもあるからだ。
しかし、それはバハムートキャバリアという世界に生きる者であればこそである。
他世界の住人であるティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)にとっては、卑怯上等であったし、卑劣万歳であったし、正攻法なにそれ美味しいの? という有り様であった。
生きるのに必死だった。
生きるためには、なんだってやらねばならなかった。
「騎士道とか一番縁遠いものではあるけれど」
ティオレンシアは甘い声色を響かせ、けれど、笑む。
そこにあるのは他者への嫌悪でも、自己への嫌悪でもなかった。
騎士道たる正々堂々たる立ち振舞が、バハムートキャバリアの流儀だというのならば、それに合わせて見せる。
己が持ち得るものをすべて使うというのならば、それもまた正々堂々たる立ち振舞の一つであろう。
故に彼女は、己がキャバリアと共に戦場に降り立つ。
鋼鉄の巨人。
他の世界においては量産型キャバリアと呼ばれる機体であるが、しかし、だからといって引けを取る理由などない。
「――『スノーフレーク』、ティオレンシア・シーディア。エンゲージ」
「名乗るか、異邦の騎士よ」
『獣騎ガーゴイル』たちが現れた『スノーフレーク』を前に警戒を強める。
当然の反応だ。
「ええ。だから、決闘というのでしょう」
「然り。であるのならば!」
『獣騎ガーゴイル』たちのアイセンサーが煌めく。
ユーベルコードに寄る前腕部の装甲の強化。
ただし、それは他の部位の装甲を集約するからこそ生み出される絶大なる堅牢さ。
「確かに正面からに徹するのはちょっと大変そうよねぇ……なら、――逃げられるなんて思わないでねぇ?」
ティオレンシアのユーベルコードにまで昇華した手業、小技が光る。
そう放たれるのは弾丸。
この世界においては忌避されるものである。
しかし、魔術文字にて武装を補助したそれは、魔法の弾丸のようにも思えただろう。
「何処を狙っている!」
「あらぁ? そう見えるかしらぁ?」
ティオレンシアの言葉とともに『スノーフレーク』から放たれた弾丸は明後日の方向から跳弾して『獣騎ガーゴイル』の前腕部ではなく、その関節部へと激突する。
体躯が揺れ、軋む。
「なっ……!?」
「何故、魔力弾が跳ねる……!?」
「やぁねぇ、跳ねさせてくれるものなら、そこら中にあるじゃない。あなたたちのボスがたくさん用意してくれたじゃない」
そう、跳弾させているのは、石化した人造竜騎。
そのためらい無きティオレンシアの小技によって『獣騎ガーゴイル』たちは一気に追い詰められる。
なにせ、彼女の放った跳弾は一度でも当たれば、さらに跳ねて『獣騎ガーゴイル』たちの関節という関節を貫いていくのだ。
「ね? 逃げられるなんて思わないでって言ったのは、こういうことなのよぉ?」
ティオレンシアは『スノーフレーク』を一歩も動かすことなく、唯の跳弾のみにて『獣騎ガーゴイル』たちの群れを一掃し、軍勢の主である『獣騎バジリスク』への道を開くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
バハムートキャバリアだって!
うるうとテルビューチェにはクロムキャバリアよりこっちの世界が似合うかもね。
うるうは魔法使いだし、テルビューチェの見た目もこっちの方が違和感無いから。
まぁやることはあんまり変わんないけどね!
サメだって最近は陸で戦えるし空も飛ぶけど、ここはこっちの有利な所に敵を引き摺りこんじゃうよ!
うるうのとっとき、シェイプ・オブ・ウォーター!
どんなに硬くても、思うように動けなくしちゃえば後はこっちのもんだよねぇ?
見た目的には敵は深海向きな感じじゃない。
慣れない環境で上手く爆弾を作れるかな?
深海適応してるサメは、水中じゃめっぽう強いんだよ。
後は思い切り暴れちゃえ、テルビューチェ!
他世界を知る猟兵であったのならば、バハムートキャバリアという世界の雰囲気が己の知る世界とは異なることを知るだろう。
「うるうと『テルビューチェ』にはクロムキャバリアよりこっちの世界が似合うんじゃない?」
杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は、眼の前の辺境地帯を見やり思う。
自身のオブリビオンマシン『テルビューチェ』の姿はサメを思わせる威容。
百獣族と呼ばれる滅ぼされた者たちが変形する獣騎と何処か似通った雰囲気がするのは気の所為だろうか。
それに、と潤は笑む。
「うるうは魔法使いだし、こっちのほうがやっぱり違和感ない! まあ、やることあんまり変わんないけどね!」
そう、オブリビオンが事件を起こすのならば、これを止めるのが猟兵としての潤のやるべきこと。
なら、そう難しく考える必要はないのだ。
「獣騎……いえ、違う……?」
辺境騎士『ソグン』は新たに現れた『テルビューチェ』の姿に違和感を覚える。
獣騎、と呼ぶにふさわしい姿であるが、どうやら『獣騎ガーゴイル』と敵対する構えを取るようだった。
「なら、放おっておいても……」
「そういうこと! こっちはうるうに任せておいて!」
潤の瞳がユーベルコードに輝くのと同時に、戦場に降り頻るのはソーダ水の雨。
周囲に満ちる雨はすぐさまに大地を濡らし、周囲を深海と同じ環境へと変える。
水圧が身へと重くのしかかる。
「……なんという魔法か、これは……!」
「まるで大海に没してしまったかのような……!」
『獣騎ガーゴイル』たちは己たちの身にのしかかる水圧と言う名の重しにうめきながらも、しかし、迫る『テルビューチェ』の姿を認め、構える。
放たれるのは拳を切り離した一撃。
炸裂すれば爆風を吹き荒れさせ、敵を討ち滅ぼす一撃である。
「ふふん、サメってば最近は陸でも戦えるし、空も飛ぶけど! こっちの有利なところに敵を引きずり込んじゃうことだってできちゃうんだから!」
潤は『テルビューチェ』と共に深海に適応している。
そのため、『獣騎ガーゴイル』たちが深海の環境にてまごついている間に一気に踏み込んでいた。
「くっ……この状況で、この速度で踏み込むとは!」
「どんなに固くても、思うように動けなくしちゃえば、後はこっちのもんだよねぇ?」
潤はにっこり笑って、放たれた拳の一撃を切り払う。
跳ね上げられた拳が空中で爆散し、爆発の勢いに乗って『テルビューチェ』が『獣騎ガーゴイル』へと突進する。
突撃の一撃が駆体を揺らし、さらに潤は『テルビューチェ』に呼びかける。
「サメは海の中がめっぽう強いんだってことを証明しよ! 思いっきり暴れちゃえ、『テルビューチェ』!」
彼女の言葉に応えるように『テルビューチェ』は手にした武装、その魔獣の牙でもって『獣騎ガーゴイル』の装甲を切り裂き、ずたずたにしてしまうのだ。
そして、この深海の環境において『テルビューチェ』に比肩する性能を持つ『獣騎ガーゴイル』はいない。
大海にありて、サメは脅威と恐怖の象徴。
まさしく死を示す猛威でもって潤は『テルビューチェ』と共に『獣騎ガーゴイル』の大軍勢を引き裂きながら一気に『獣騎バジリスク』の元へとひた走るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『獣騎バジリスク』
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POW : 死の視線
【視線】が命中した対象を切断する。攻撃前に「【お前の死が見えるぞ】」と宣告すれば命中率上昇、しなければ低下。
SPD : バジリスクブラスター
【口から発生させた魔力】を構えて回転し、射撃を防ぐ【防御魔法円】を発生させる。レベル秒経過すると超威力の【魔法光線】を繰り出せる。
WIZ : バジリスクアイ
視界内の任意の対象全てに【視線】を放ち、物質組成を改竄して【石化】状態にする。対象が多いと時間がかかる。
イラスト:雲間陽子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
辺境を埋め尽くす『獣騎ガーゴイル』の大軍勢を引き裂くようにして、水色の人造竜騎を駆る辺境騎士『ソグン』と共に猟兵達は、この軍勢の主である『獣騎バジリスク』へと迫る。
聖なる決闘。
されど、真正面から立ち向かえば『獣騎バジリスク』の『死と石化の視線』によって石化を免れない。
ならば、何故『ソグン』は石化を免れたのか。
「答えは簡単です。クリスタルビット……この無数に周囲に浮かぶ防御武装のおかげで、私は難を逃れたのです」
どういうことなのか。
そう、『獣騎バジリスク』の『死と石化の視線』は対象が増えれば増えるほどに石化の速度が遅くなってしまう。
つまり、彼女が偶然にも展開していたクリスタルビット……無数に浮かぶそれをも石化の対象となったことで『死と石化の視線』のちからは分散され、彼女は石化を逃れていたのだ。
だが、それも時間の問題である。
どれだけ対象を増やしたところで、『死と石化の視線』の能力は止められない。
「『幸運』にも、か。だが、恐るべきは、その『幸運』を引き寄せる力ではなく、生存のために手を伸ばして足掻く意志。人類の騎士よ、我が前に現れたのならば名乗ろう。我が『死と石化の視線』をかいくぐりし、勇士よ。我が名は『ズィーベン』。バジリスク族の一柱。かつて起こりし虐殺にて倒れし者」
故に、と『獣騎バジリスク』は告げる。
「奪われたものを奪い返す。よもや、これを悪逆非道、無道とは言うまいな――」
桐嶋・水之江
結構
私もやられたらやり返すタイプなのよ
騎士じゃないけれど、その石化の目には正々堂々と対抗させて貰うわ
石化の視線の対策法は提示されてるけれど、科学者らしく理屈を考えてみましょうか
ずばり、目から不可視の光線が伸びてるんじゃないかしら?
そして石化させるには視線を固定し続けなければならない
んで、目で追える対象数には限りがある
あっちの騎士さんが石化を免れたのはビットで視線が分散したからじゃない?
つまり結局のところ視線を届け続けなければ…ステイ、ステイ
機体の方がもう辛抱堪らないみたいだから始めましょうか
無尽の怨讐で首を増やすわ
数は4倍の20本
内半分には視線を遮る壁の役割を果たして貰うわ
石化さえ凌げばOKだから耐久関連は不用よ
クインテットバスターから火炎と水流を地面に向けて一斉射
周囲に濃霧を発生させて視界を遮るわ
こっちも見えなくなるからマルチセンサーでロックオン
仕上げは冷凍ビームよ
蛇は変温動物
変温動物は寒さに弱いのよ
メカニズムを解析して適切に対処する
騎士じゃないにしても、科学者としては誠実なつもりよ?
桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)にとって、因果を紐解くのは当然のことであった。
ボタンがあるから押す。
それくらいの気軽さであったし、当然ことだった。
因るものなければ、結果は生まれない。
であるのならば、当然検証しなければならない。そこにためらいなどない。
故に、水之江は当たり前のように己が人造竜騎『ハイドラ・クインリィ』のコクピットに座して考える。
己もまた同じだ。
『獣騎バジリスク』と同じようにやられたらやり返す。
単純なことだ。
因果応報とも言うが、そこまで立派なものではない。
推してはならないボタンがあるとしても、何故推してはならないのかを、推してから考えるようなタイプであるとも言えたかもしれない。
「騎士じゃないけれど、その石化の目には正々堂々と対抗させてもらうわ」
「ほう。如何にするか。その穢れた人造竜騎を以て、我が『死と石化の視線』をどのように防ぐというのか!」
煌めくユーベルコード。
視線が迸るようにして『ハイドラ・クインリィ』へと注がれる。
やはり、と水之江は思っただろう。
「簡単なことよ。理屈で言えばね」
視線を受けて水之江は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
そう、石化の視線、その対処方法は辺境騎士『ソグン』が『幸運』にも引き当てた。
だが、何故、という因果が証明されていない。
科学者というのならば、理屈で詰めていなけばならない。
如何にして『獣騎バジリスク』は人造竜騎を石化したのか。
「ずばり、目から不可視の光線を放っているのよね。そして、それは一度はなっておしまいじゃあない。注ぎ続けねばならない。そう、視線を固定させる。石化するまで……んで、愛で追える対象数には限りがある」
水之江のユーベルコード共に『ハイドラ・クインリィ』は、制御を外そうとのたうつようであった。
それは、まるで無尽の怨讐(シースレス・ハイドラ)の炎のようであったし、その苛烈さを抑え込みながら水之江は、『ハイドラ・クインリィ』の首を燃え上がる炎の中に増殖させた。
「あっちの騎士さんが石化を免れたのはビットで視線が分散したからよね?つまり、結局のところ、視線を留め続けさえしなえkれば……ステイ、ステイってもう無理ね!」
水之江の言葉と共に弾けるようにして『ハイドラ・クインリィ』の首が増殖し、宙を駆け抜ける。
実に二十を超える首が一気に『獣騎バジリスク』へと襲いかかる。
「まさしく異形であるな。斯様な竜騎を如何にして生み出したか!」
「いや、私拾っただけだし。いや、修理したし、改修もしたけれど……あなたたちが人類への復讐に燃えるように、この子もなーんか、獣騎に反応しまくっているのよね」
それってなんで? と水之江は首を傾げる。
ただ壊された、というだけで人造竜騎がここまで呼応するとは思えなかった。
だが、今はいい。
その怒りの炎が、『死と石化の視線』を遮るようにして首を増殖させ、分散された視線は『ハイドラ・クインリィ』の石化を送らせているのだ。
「どっちみち、ケリを付けなきゃ駄目みたいだしあね、クインテットバスター!」
放たれるは火炎と水流。
地面に叩き込まれたそれらが一気に蒸発し、周囲を濃霧に包み込む。
「霧……!? まさか!」
「ええ、視界を塞ぐのは首だけじゃあないわけ。姿が見えなければ、そのご自慢の能力も意味をなさない。でも、こっちは丸見えなのよね」
水之江はコクピット内部のモニターに示されるセンサーの情報を得て、『獣騎バジリスク』を捉える。
「あっちは見えない、こっちは見える。うーん、科学って最高よね」
放たれるは冷凍ビーム。
バジリスクは獣騎に変形しているが故に、その駆体を水流と火炎によって生み出された濃霧に包まれている。
となれば、機体の表面に多くの水滴が不着しているだろう。
放たれた冷凍ビームは、その駆体を凍りつかせ、粉砕するにしても駆体のあちこちを軋ませるであろうし、劣化もさせるだろう。
この先の戦いを見据えれば、水之江のやったことは敵に癒えぬ、そして嫌せぬ傷を刻み込んだことも同然。
「馬鹿な、このような手法で我が駆体が動きを封じられるだと……!」
「メカニズムを解析して適切の対処する。騎士じゃないにしても、科学者としては誠実なつもりよ?」
これもまた一つの正々堂々の形であると示すように水之江は『ハイドラ・クインリィ』を制御しながら、その戦いの行く末を見守るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
|百獣族《バルバロイ》バジリスク種族の『獣騎ズィーベン』、このあたしが相手になりましょう。
死と石化の視線が必ずしも絶対でないことを教えてあげる。
獣騎の体軀に薙刀で一撃入れてから、「全力魔法」麻痺の「属性攻撃」「呪詛」「精神攻撃」「法力攻撃」で大黒天獄界堕落法。
あなたの視線を辿って、視神経を破壊する魔力が入り込むわ。その状態で、視線攻撃が使えるかしら?
無理すると、破壊の魔力が脳に達するわよ。
念のため、「オーラ防御」「霊的防護」を展開し、『ズィーベン』が暴れ狂う前に側から離れる。
『ソグン』卿、あなたも一撃お願い。あたしは見ての通り、非力な小娘だから。その人造竜騎で一太刀入れて。
あなたなら大丈夫よ。
凍結した体躯をよじりながらも、『獣騎バジリスク』は嘶くようにして氷結を砕く。
「見事! だが、我が名に懸けて……この大地は我らが奪い返す! それを!」
そう、百獣族にとって、これは正当なる行いである。
過去の人類が犯した大罪。
奪われたものを奪い返す。
ただそれだけのことなのだ。
故に彼らは人造竜騎以外を攻撃してはない。
あくまで聖なる決闘なのだ。彼らは復讐に身を駆られながらも、しかし未だ騎士道精神を宿している。
「|百獣族《バルバロイ》、バジリスク種族の『ズィーベン』。このあたしが相手になりましょう」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は生身単身で立ちふさがる。
その隣には水色の人造竜騎があった。
辺境騎士『ソグン』。
彼女とともにゆかりは『獣騎バジリスク』に立ち向かう。
「生身で我に挑む意気は良し。されど、その矮躯であるのならば、我が『死と石化の視線は!」
防げない。
そう、人造竜騎は鋼鉄の巨人。
であるからこそ、その巨体を石化するための時間は、それだけ長くかかるものであった。だが、充分すぎるほどに強力であったのだ。
「それも必ずしも絶対ではないことを教えてあげる」
ゆかりの瞳がユーベルコードに輝き、駆け抜けるようにして薙刀の一撃を『獣騎バジリスク』へと叩き込む。
しかし、その一撃で体格差が覆るわけではない。
「いいや、その矮躯であれば!」
「そう。でもね――オン マコキャラヤ ソワカ。不可知の闇に在りし大黒天よ。我らが怨敵の瞳を潰し、心の臓を引き裂いて、終わりなき地獄に堕とし給え」
瞬間、『獣騎バジリスク』の視線を覆うのは、闇の黒。
視覚から侵食する神経破壊。
それこそが、大黒天獄界堕落法(ダイコクテンゴクカイダラクホウ)。
視線を以て石化する『獣騎バジリスク』にとっては、天敵のようなユーベルコードであった。
「ぐ、おおおおっ!? 目が、焼ける……! これは……!」
「そう、それこそがあたしのユーベルコード。あなたの視線を辿って、視神経を破壊する魔力。あまり無理はしないほうがいいわよ?」
「此処まで来て退けるものか! 奪われたものを奪い返す。その時までは!」
ぎ、と『獣騎バジリスク』のアイセンサーが見開かれるようにして輝く。
だが、ゆかりの放ったユーベルコードの魔力が『獣騎バジリスク』の視神経をは愛していくのだ。
「ぐ、おおおおっ!!」
「無理すると、破魔の魔力が脳に達するわよ」
「だとしても!」
「……なら、言っても聞かないわよね!『ソグン』卿!」
「はい!」
その言葉に応えるようにして、水色の人造竜騎が駆け抜ける。
手にした剣。
その一撃が『獣騎バジリスク』の駆体へと叩き込まれ、切るt蹴られる。
「そう、あなたなら大丈夫よ。どれだけ凡庸だと言われても、それでも戦うことから逃げなかったあなたなら!」
振るわれた一閃は『獣騎バジリスク』の体躯を切り裂き、その装甲を砕く。
「くっ……我が視線がこうも破られるか!」
「ただ『幸運』なだけではないの。そこに意志があるから向かう先が決められる。より良い未来に進みたいという想いが、あたしたちを呼び込んだのよ」
ゆかりの言葉に『獣騎バジリスク』はよろめくようにして、後退するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ザビーネ・ハインケル
●SPD
こちとら不意打ち上等の盗賊騎士だが、こんだけの|石像《人質》が作られたンなら聖なる決闘に挑まねぇ訳には行かねぇよな!
行くぜ!
人造竜騎、召喚!
奪われたものを奪い返す…ああ、確かにそうさな
きっちり落とし前を付けて貰わねぇと浮かばれねぇから、こうして黄泉帰った訳だからな
分かるぜ…その恨み
オレも似たようなモンだが…達成した後はどうするかしねぇか考えているかの違いだって事だけを言わせて貰うぜ
お互いに牽制しあってたが、魔法光線を繰り出すために防御魔法円が解ける瞬間が勝負時だ
悪ぃな、こちとら人造竜騎に乗った時から『縮重荷電』を仕込んで居たのさ
勝負は喋っている間から始まってたんだよ…恨むんじゃねぇぜ?
『獣騎バジリスク』の周囲には、かの百獣族に挑んだ辺境騎士たちが駆る人造竜騎が石化していた。
正々堂々たる戦い。
それが聖なる決闘であるが故に、対策なくば『死と石化の視線』によって、あらゆるものが石化されてしまう。
不可避であるがゆえに時間との勝負。
悉くが返り討ちになった人造竜騎達を見れば、その力の強大さが知れることだろう。
だが、ザビーネ・ハインケル(Knights of the Road・f44761)は違う事を考えていた。
彼女は盗賊騎士である。
騎士道を宿せど、しかし無法の者である。
戦いにおいて正道とは、勝利への最短距離。
勝利を得られねば、何も得られない。
例え、己よりも強大な敵であろうともこれを打倒して得るべきものを得る。そのためにあらゆる手法に手を伸ばすのは、彼女にとっての王道である。
そう、だからこそこの状況はザビーネにとって好都合だった。
石化した人造竜騎。
その中には辺境騎士たちが存在しているだろう。
不意打ち上等。卑怯上等。
それらの全てを駆使することも、ねじ伏せることもまたザビーネにとっては変わらぬこと。
だからこそ、彼女は威風堂々たる佇まいでもって己が人造竜騎を召喚する。
「行くぜ、『ガラドリエル』!」
タイタニアキャバリアに騎乗したザビーネを前に『獣騎バジリスク』は魔法陣を回転させ、さらには口腔に魔力を溜め込む。
「来たか、人類の騎士よ。我が領土、バジリスク族の大地を還してもらおうか!」
「……ああ、確かにそうさな。奪われたものを奪い返す。そりゃあ、尤もだ。正道だ。きっちりと落とし前をつけてもらわねぇと浮かばれねぇものがある。だから、こうして黄泉帰ってきたってわけだからな」
わかるぜ、とザビーネは小さく同意した。
奪われたものは奪い返すしかない。
そうでなくば、いつまでも浮かぶ瀬もないままなのだ。
だからこそ、ザビーネは恨みのこもった『獣騎バジリスク』の視線を真っ向から受け止める。
「オレも似たようなモンだが……てめぇはどうだ。奪い返した後はどうする。ただ恨みを広げていくだけしかないっていうんなら、てめぇはオレの敵だ」
「ならば、お前はなんとする! 恩讐の先にあるものはなんだ!」
「ハッ、言うまでもねぇよ!」
忌み子である爪弾き者さえも受け入れる場所を作ること。
それだけだ。
そのために多くを奪う。奪い返す。
「居場所を作るんだよ!」
「ならば、我が道とお前の道はぶつかり合うのみ! 受けろ、バジリスクブラスター!」
放たれる魔法光線。
そう、ザビーネは『獣騎バジリスク』に手出しできなかった。
回転する魔法陣があるかぎり、此方の攻撃は届かない。
しかし、口腔に溜め込まれた魔力を見るに、あれは溜めの動作。
強烈な一撃が来るとわかっていた。
そして、その一撃を放つ瞬間こそ、『獣騎バジリスク』の最大の隙なのだ。
「待ってたぜ……その瞬間をよぉ!」
「!? 何を……」
瞬間、杖に送り込まれた魔力が迸る。
「悪ぃな。こちとらずっと縮重荷電(ライトニングフォーミュラ)を仕込んでいたのさ」
そう、勝負は相対した瞬間から始まっていたのだ。
「恨むんじゃねぇぜ?」
放たれる魔法光線と電撃魔法。
交錯する二つの光条が互いを打ち据え……なかった。
ザビーネの放った電撃魔法によって『獣騎バジリスク』の口腔が天に跳ね上げられ、光条は曇天を貫く。
そう、彼女の一撃は、それだけではない。
チャージ時間によって増加した力は、迸るようにして『獣騎バジリスク』を打ち据え、その装甲を焼き焦がすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
えー、見られてると石になっちゃうのー?
かわいいうるうの姿を見ちゃったらこのまま残したくなるのは分かるけどぉ、強引なのは良くないよねぇ?
とゆー事で、え・ぽー・れっと!
テルビューチェごと透明になっちゃえばやらしー視線も届かない、って訳!
この際音は聞こえたって構わない。
透明なまま空中戦をすれば、音の出る推力移動と静かな空中浮遊を組み合わせて敵を惑わせる事が出来るかも。
後はこっちが疲れちゃう前にやっつけちゃえばおっけー!
取ったり取り返したりはこう言う世界じゃ良くある事なのかも知れないけど……あんまりにも昔の事で今の人に仕返しするのはちょっとね。
そーゆー理不尽と戦うの、魔法使いは!
『死と石化の視線』――それは恐るべき能力である。
こと、バハムートキャバリアにおける聖なる決闘においては対策が必須であることは言うまでもない。
正々堂々たる戦いをもって聖なる決闘は、昇華するのだ。
そこに『獣騎バジリスク』の『死と石化の視線』は絶大な効果を及ぼす。
故に過去、百獣族同士における聖なる決闘では、強さより問われるのは知恵であった。
「えー、見られてると石になっちゃうのー?」
杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は、脅威なる能力を前にして大げさな声を『テルビューチェ』のコクピットで上げる。
あざとい、というような声であったかもしれない。
「かわいい、うるうの姿を見ちゃったら、このまま残したくなるのはわかるけどぉ、強引なのはよくないよねぇ?」
同意があれば石化していいのかと言われたら、それはそれで唸るところである。
だが、『死と石化の視線』を操る『獣騎バジリスク』の能力がすでにわれているのならば、対策は如何様にでも取ることができる。
「え・ぽー・れっと!」
潤の瞳がユーベルコードに輝くのと同時に、ヘミシリウム・クローク――潤の魔法が『テルビューチェ』の駆体を覆っていkう。
それは透明化するユーベルコードである。
『死と石化の視線』があくまで視線を向けることによって発動するというのならば、見えた、と認識させなければいいのだ。
だが、彼女の魔法も万能ではない。
解除するまで披露するし、物音や体温までは消せない。
すなわち、五感に優れたる者、特に聴覚や視覚ではなく熱源を探るなどの手段を持つ者がいる場合は、彼女の所在は知られてしまうのだ。
「でも、この際だもの。音は聞こえたって構わないもん。だって、うるうの姿が見えなければ、その能力はすでに抑え込んだってことだもんね!」
『テルビューチェ』は透明な姿のまま空へと飛ぶ。
空中浮遊によって物音はかき消される。
「見事に我が視線を躱すか……だが、姿を消すとは!」
「だって、うるうが可愛いからって言っても限度があるっておもうな!」
「不埒な理由で我が石化すると!?」
『獣騎バジリスク』が目を見開くようだった。
そんなつもりはない。
だが、潤からすればそうなのだ。だからこそ、『獣騎バジリスク』は動揺する。
謂れのない誹りを受けているようなものだからだ。
必死に否定する『獣騎バジリスク』に潤はにんまりと笑ってしまう。
透明化のユーベルコードは披露を潤に強いる。
できることは短期決戦。
「取ったり取り返したりは、こういう世界じゃよくあることなのかも知れないけれど……あんまりにも昔のことで今の人に仕返しするのはちょっとね」
「我らが怨みを晴らさねば、殺された者たちに顔向けできぬ! 復讐とはそういうものだ!」
「でも、今を生きてる人たちにとっては理不尽なの。だから、そーゆー理不尽と戦うの、魔法使いは!」
その言葉とともに『テルビューチェ』の一閃が死角からの一撃となって『獣騎バジリスク』の装甲を切り裂くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「歴史。正義、悪等は俺の知るところではない。
俺が最も尊いと思うのは今この目に映るものだ。
悪と呼ばれようともな。」
(騎士様にとっては災害の様なものだろうが)
order bookを発動。
lost、炎魔「ヴァイオレットノート」、シャイントリガー、
生命を喰らう漆黒の息吹、シャドウクロークの力を込め。
炎魔とシャドウクロークを同時発動。
炎剣で牽制しつつ身を隠し
目での認識を阻害し石化から逃れる。
認識阻害を攻略される事を織り込んで
敵の意識をヴァイオレットノートに向けさせ
敵が此方の位置を捕え始めたらクローク、炎魔を解除。
現れた機体を囮に離脱。
(騎士道を重んじるのなら愛機を囮にする事は無いだろう
その思考の隙を突く。)
ユーベルコードをlostとシャイントリガーにし
再び敵の意識外から熱線を撃ち光線で敵の視線を妨害。
敵がこれに対応する前に
生命を喰らう漆黒の息吹を発動。
ヴァイオレットノートを辺りを覆い尽くす程の黒い花びらに変え攻撃。
「有効と分っていた囮戦法を使わなかったのはこの時のため。
これが悪の戦い方だ。」
視覚外からの攻撃。
その一撃に『獣騎バジリスク』はたたらを踏むようにしてよろめいた。
「卑怯な! 正々堂々と正面から来るがいい! 我が『死と石化の視線』を恐れぬのならば!」
猟兵の一撃によってよろめいた駆体を立て直して叫ぶ声が響くのをフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は聞いただろう。
歴史。
正義、悪。
それらはフォルクにとっては知るところではない。
彼にとって最も重要視しなければならないのは、この世界の騎士道でもなかった。
己が最も尊いと思うものは、今眼の前に映るもの。
必死に生きようともがく姿こそが尊いのだ。
例え、唯最後の一騎になったとしても、戦うことから逃げなかったものがいる。
それこそが戦いという場にあって残された一欠片の希望なのだ。
「魔導の深遠、呪詛なる厄災、術法の理。我が求めに応じ、魔本に宿りて掛かる苦難を打ち払う力となれ」
手にした魔導書の頁が羽ばたくようにして開かれ、その内にユーベルコードが装填されていく。
order book(オーダーブック)はユーベルコードを五つ装填しなければならないが、しかし同時に二種を行使することのできる力である。
吹き荒れるようにして炎を操る人型の機神が現れる。
「どこだ! 我が敵は!! そこか!!」
咆哮する『獣騎バジリスク』のユーベルコードの力をたぐり、視線から逃れながらフォルクは踏み込む。
稿本放つ炎剣を振りかぶった『炎魔ヴァイオレットノート』が『獣騎バジリスク』とフォルクの間に割って入る。
立ち上る炎の剣に『獣騎バジリスク』の視線が疾走る。
認識阻害は敵に攻略されるかもしれない。
その可能性を考えてフォルクは身を隠していたシャドウクロークを解除すると、同時に『炎魔ヴァイオレットノート』もまた姿を消す。
「幻術の類か、猪口才な!」
「騎士道に準じるというのならば、お前の思考は読みやすい」
フォルクは『獣騎バジリスク』がオブリビオンとなってもなお、その思考が嘗てありし誇り高き聖なる決闘を戦い抜いた勇士のものであるのならばこそ、その一点を逆手に取る。
彼にとっては、これがまだ聖なる決闘の続きなのだ。
けれど、フォルクにとっては違う。
彼にとってこれは聖なる決闘でもなんでもない。
ただの戦いなのだ。
猟兵としての戦いはいつだって、世界を救うものだ。
だからこそ、手段は選べない。
己の感情を他所においてでも、オブリビオンは排除しなえkればならないのだ。
故にフォルクは己が『炎魔ヴァイオレットノート』を布石にして、魔導書『エンドオブソウル』に込められたユーベルコードを発動する。
「この掌に在りしは天の日輪放つ撃鉄。降り注ぐは浄戎の炎。我に仇為す汝らに、等しく光あれ。黒い呪詛。闇の瘴気。世界が目を背ける混沌を纏い、俺は消え去る事にしよう。そして奪おう」
ユーベルコードの輝きがフォルクの瞳に灯る。
二種の輝き。
それは認識の外からの熱線の一撃。
「ぐ、おっ!? 卑劣な!」
「お前に取ってはそうなのだろう。だが、俺にとっては違う」
放たれた瘴気と呪詛とが『獣騎バジリスク』の記憶を奪う。
それは直前までフォルクが手繰っていた囮戦法の記憶である。
空白が生まれる。
認識に齟齬が生まれる。
己が追い込まれていたのは、如何なることに起因しているのか。
それがわからなくなった『獣騎バジリスク』は戸惑いから、わずかに隙を生み出す。
「これが悪の戦い方だ」
卑怯だと謗られようとも構わない。
戦い、勝利を得ることで救われるものがあるのならば、己が身が如何に貶められようとも構わない。
フォルクの覚悟こそが最後のユーベルコードを輝かせる。
生命を喰らう漆黒の息吹(イノチヲクラウシッコクノイブキ)が冥界の鳳仙花となって吹き荒れ、『獣騎バジリスク』の装甲を散り散りに切り裂くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に搭乗)
…奪い返すと言ってもその手段が非道なら非道だよね…
魔女としてその視線を打ち破り止めさせて貰うとするよ…
視線はあくまで石化の魔力を送るための誘導線のようなもの…
だから遮ろうとしても「視線に晒されてる」のだから遮蔽ごと石化するす
対象が多ければ誘導線が増えて魔力は分散すると…じゃあこうするか
【起動:応用術式『星符』】から【災禍を映す水鏡】を発動…
…視線に晒されれば石化が始まる…なら視線では無く「石化」を転写すれば問題無いね…
…自身の石化なら解除もできるかも知れないけど…そこは『隙』になる…解除の隙に光の槍を多数展開…斉射して叩き付けるよ…
百獣族は言うまでもなく、過去の人類による虐殺の被害者である。
これは変わらない。
過去は変えられない。
だからこそ、人類は悔恨と共に懺悔する。
その懺悔の証が今日に至るまでの騎士道である。
「……奪い返すと言っても、その手段が非道なら非道だよね……」
メンカル・プルモーサ(星導の魔女・f08301)は、奪われた怒りに燃える『獣騎バジリスク』の姿を認める。
試作型術式騎兵『ツィルニトラ』の中で彼女は思う。
非道には非道を。
奪われたのならば、奪い返す。
それは連綿と紡がれる怨嗟でしかない。
だからこそ、メンカルは思うのだ。
「魔女として、その視線を打ち破り止めさせて貰うよ……」
「やれるものならば、やってみせるがいい! これこそが聖なる決闘。正面から破れるのならば!」
『獣騎バジリスク』の瞳がユーベルコードに輝く。
放たれるのは『死と石化の視線』である。
言うまでもないが、その石化は免れぬ視線。
視線が通らずとも、『見た』という事実さえあれば盾であろうが石化は止められない。
これによって辺境騎士団の人造竜騎の悉くが石化されてしまったのだ。
だが、メンカルはすでに気がついていた。
辺境騎士『ソグン』が無事であった理由からも察せられる。
そう、『獣騎バジリスク』の視線はあくまで石化の魔力を送るための誘導線のようなものなのだ。だから、遮ろうとしても『視線のさらされている』という事実故に、遮蔽物ごと石化させられてしまう。
盾が意味をなさなかったのは、そのためだ。
そして。
「対象物が多ければ誘導線が増えて魔力が分散する……なら、こうするか」
メンカルの手にあるのは、カード化されたユーベルコードである。
起動:応用術式『星符』(ラン・エンチャントカード)。
封されているのは、災禍を映す水鏡(ディザスター・リフレクション)。
状態異常を自動的に反射する『悪因転写術式』が発動する。
「無駄だ、鏡であろうが遮蔽物。すでに我はお前を見たのだ! 石化は逃れられぬ!」
「だよね……視線に晒された時点で石化が始まる……なら、視線ではなく『石化』を転写すれば問題ないね」
そう、メンカルが反射したのは視線ではない。
石化の魔力そのものなのだ。
故に『獣騎バジリスク』は今、自分自身を見ているのだ。
「我が視線が返される……!? こんなことが!」
「できるんだよね……自らの視線で石になるといいよ、『獣騎バジリスク』」
「舐めるな! 石化が我が魔力ならば、自在に操れずしてなんとする!」
反射された魔力を即座に解除して、『獣騎バジリスク』はメンカルに迫る。だが、それはメンカルにとっては、一手譲るようなものだった。
すでに、その一瞬で彼女は詠唱を終えている。
煌めくは圧縮された術式とユーベルコード。
彼女の手には星の札がある。
「……何?」
「だからこそ、遅れる。その一瞬を星の輝きは見逃さない」
宙に浮かぶは光の槍。
『獣騎バジリスク』を取り囲むようにして展開した光の槍は一瞬で『獣騎バジリスク』を串刺しにし、その装甲を穿つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
バジリスクっていうと、やっぱり石化とか、行動不能とかそういう系列のユーベルコードが強いんだよね…。
まぁ、ヒントはもらったしできるだけやってみるよっ!
精霊術士、シル・ウィンディア。鋼の相棒、レゼール・ブルー・リーゼと共に参りますっ!
ズィーベンさん、お相手よろしくねっ!
推力移動で加速して空中機動を行いつつUCの詠唱を開始。
多重詠唱を行いつつ、リフレクタービットを全数展開。
相手からの視線を遮るようにして、多重に展開させるね。
射撃兵器で牽制を行いつつ、限界突破まで魔力溜めを行い…。
撃ち放つは、ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト!
全力魔法の全力全開でぶっぱなすっ!
これがわたしの全力だよっ!!
光の槍が『獣騎バジリスク』の装甲を穿つ。
砕ける装甲。
散る破片の最中に、しかし『獣騎バジリスク』は咆哮する。
敗北は許されない。
奪われたこと。
無惨にも死に絶えた同胞たち。
そして、己の生命すらも奪われたこと。
過去は過去。されど、許されない大罪である。すでに猟兵たちが語る通りである。今を生きる者たちに復讐したとて、罪に贖えるものもなければ、贖罪を強いる当人たちがいない。
わかっている。
だが、それでも感情が激情となって迸るのだ。
許せるものではない。
己の復讐の炎は。
「決して消えることはない。奪われたものを奪い返すまでは!」
「なら、その復讐の炎の前に、わたしは立つよ。精霊術士、シル・ウィンディア。鋼の相棒『レゼール・ブルー・リーゼ』と共に参りますっ!」
シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)は告げる。
そう、眼の前にいるのは『獣騎バジリスク』ではない。
バジリスク族の一人、『ズィーベン』なのだ。
「『ズィーベン』さん、お相手よろしくねっ!」
あくまで正面からにシルはこだわっていた。
青い鋼鉄の巨人『レゼール・ブルー・リーゼ』が飛翔し、『獣騎バジリスク』の視線を受け止める。
視線によって装甲が石化していく。
「我が『死と石化の視線』から逃れられるものか、どれだけ飛翔しようとも!」
そう、『見た』という事実が『レゼール・ブルー・リーゼ』ごとシルを石化しようとするのだ。
しかし、その『死と石化の視線』に対する方策は示されている。
「リフレクタービット、展開! 全数言って!」
機体から放たれるビット。
それによって視線が分散される。けれど、それは遅滞戦術でしかない。
どの道、時間をかければ、展開したビットごと石化されてしまうのだ。
時間はかけられない。
けれど、シルは詠唱を続ける。
己が持てる全ての魔力を『獣騎バジリスク』にぶつける。そのために詠唱は続けなければならないのだ。
6つの属性。
この魔力を束ねていくには、詠唱が必要不可欠だった。
「時間稼ぎなど!」
「けれど、これがわたしの出来る最大の一撃。闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ、暁と宵を告げる光と闇よ……六芒星に集いて全てを撃ち抜きし力となれっ!」
幾重にも重なる魔法陣。
詠唱によって重なったそれらは、属性によって束ねられ、極大なる魔力へと代わっていく。
「なんという……量だけではなく属性の異なる魔力を束ねているのか……!?」
「そう、これがわたしの全力だよっ!!」
シルの瞳がユーベルコードに輝く。
限界まで溜め込んだ魔力。
迸るようにしてシルと『レゼール・ブルー・リーゼ』より解き放たれ、強大な魔力砲撃が『獣騎バジリスク』へと迸る。
「ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト!!」
その一撃は大地を穿つかのように。
そして、嘗て在りし百獣族の怨みを吹き飛ばすようにして放たれたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロッテ・ヴェイロン
(引き続き、ホワイトラビットを【操縦】中)
まあね、事情はともかく、あいつを倒せば石化した連中も元に戻るんですね。
とはいえ【決闘】をお望みのようですし、アイサツは必須ですね。
「ドーモ、ズィーベン=サン、AliceCVです。聞いたような名前ですが偶然でしょう」
で、顔を上げる直前で戦闘機械群を召喚。775体もあれば【時間稼ぎ】にもなるでしょう。そして隙をついて敵の目を狙い撃ちましょう(【スナイパー・レーザー射撃・部位破壊】)。あとは囲んで集中砲火でも食らわせましょうか(【2回攻撃・一斉発射・乱れ撃ち・制圧射撃・零距離射撃】)。
※アドリブ・連携歓迎
戦場に残された石化された人造竜騎たち。
それは辺境遅滞を守護する辺境騎士団の乗騎である。しかし、全てが石化されているのは『獣騎バジリスク』の『死と石化の視線』故である。
シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)にとって、バハムートキャバリアの根底にある恩讐は理解しているつもりである。
事情があるのもわかる。
百獣族たちの復讐の正当性も理解できる。
けれど、それでもシャルロッテは猟兵なのだ。
世界を救うために戦う戦士なのだ。
ならばこそ、事情が理解できれどオブリビオンである百獣族に世界を明け渡すことはできない。
「あいつを倒せば石化した連中も元に戻るんですね?」
「はい、過去の文献からもそれは」
最後の一騎、辺境騎士『ソグン』の言葉にシャルロッテは頷く。
「なら、やるしかないってことですよね」
それに、と百獣族は復讐の炎に身を焦がしながらも、正々堂々たる戦い……すなわち、聖なる決闘を望んでいる。
騎士道精神が骨の髄にまで染み込んでいるのだろう。
であれば、無作法は許されない。
「ドーモ、『ズィーベン』=サン、『AliceCV』です。聞いたような名前ですが、偶然でしょう」
「バジリスク族が一人、『ズィーベン』。如何なる因縁、因果があるのだとしても、我が視線から逃れることはできぬ!」
猟兵たちの攻撃を受けて『獣騎バジリスク』の装甲は焼けただれている。
それでも、かつての高潔さを示すような決闘の作法は見事の一言であった。
だからこそ、正面から戦わねばならない。
だが、そうなれば当然視線を正面から受ける。石化は免れない。
戦いが始まる前から、勝敗は決定しているようなものだった。
「となりますよね。ですが!」
シャルロッテの瞳が面を伏せたまま煌めく。
ユーベルコード、エレクトロレギオンによって小型の機械兵器が『ホワイトラビット』の周囲に出現する。
それは彼女の技量であるのならば、百を越え、千にも届きそうなほどの数となって周囲に浮かぶのだ。
「……なんという数……! まさか、これら全てを操っているというのか!? いったいどれだけの魔力量で……!」
「魔力とかそういうんじゃないですけど……でも、これで石化までの時間はだいぶ稼げたと言えるでしょう!」
シャルロッテは『獣騎バジリスク』の視線の魔力を機械兵器でもって分散させ、石化の症状を遅らせたのだ。
しかし、それも長くは続かない。
だからこそ、空を埋め尽くすかのような機械兵器たちによるレーザー攻撃によって『獣騎バジリスク』を囲い込んで乱れ打ち続けるのだ。
「ぐっ……なんという!」
「物量で押すって奴ですよ。これもわたしの力の一つ。全力を持って正面からぶつかる。それもまた騎士道でしょう」
シャルロッテからすれば、こじつけもいい所の理屈であったかもしれない。
けれど、『獣騎バジリスク』にとっては頷けるところであったのだろう。レーザー攻撃の猛攻を受けながらも、しかし、彼は笑うようであった。
「然り。なればこそ、これを正面から打ち破ってみせるのだ!」
「……これだけの数を前にして耐えますか」
シャルロッテはしかし、と笑む。
己の機械兵器の射撃は目眩ましでしかない。そう、最後は、と水色の人造竜騎が駆け抜けていく。
辺境騎士『ソグン』である。
「ご助力感謝いたします!」
「いえいえ、役割分担といきましょうよ」
そう言って見送る背中。
放たれる一撃は、光条の中、確かに『獣騎バジリスク』へと叩き込まれるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
ずぃー……そぐ……。
え、えっと難しいことは解りませんけど、
『エイル』さんが特別なんだなってことは解りました!
って、しりあす?
あ、難しすぎてついていけてませんでした。
ステラさんが難しいこと言い出すの、いつものことでしたので、
さらっと流し聞きしてましたのでぜんぜんだいじょぶです!
お?
ステラさんの新技ですね。
これはまた豪快といいますか、派手な感じですー。
このまま行くならサポートを……え? とどめわたしでいいんですか?
なら、わたしの勇者姿を『エイル』さんに見てもらいましょう!
いえ、冗談ですから!!?
そのスピードでこっち来ようとしないでください!?
しっかり決めますから、来ないでくださいー!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
やはり
この獣騎がズィーベン様……!
そして相対する騎士がソグン様……
二つを合わせれば……『幸運』のズィーベン・ソグン様に?
此処まで一致した状況、しかし人造竜騎『エイル』の存在……
いえ、エイル様が|イレギュラー《特別》と考えるならば?
ええい、もどかしい
取り急ぎ、今はこの場をどうにか
ルクス様生きてます?ちょっとシリアスぶっこみましたが?
大丈夫なら先に行って仕掛けます!
ケルーベイム!フローリスを使います!
まだコントロールしきれてませんが
それでもこの機体なら!
【アラミタマ】!
この速度……反応できますか!?
防御魔法円を破壊できれば良し
出来ずとも次に繋がる隙が出来れば
ルクス様!きめてください!
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は難しいことがわからない。
しかし、それでも理解しようとする姿勢であった。
そうでなければ、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)が雄叫びを上げるポイントを見極めインターセプトなどできようはずもないからである。
「ずぃー……そぐ……」
「やはり、この獣騎が『ズィーベン』様……! そして相対する騎士が『ソグン』様……」
ステラは呻く。
名前。
二つの名前がある。これが偶然なのか。それとも必然なのか、判然としない。
二つを合わせれば『幸運』と渾名された『憂国学徒兵』の一人、『ズィーベン・ソグン』という名が浮かび上がる。
先んじた百獣族との戦いにあってもそうだった。
百獣族『アハト』と騎士『スカルモルド』。
百獣族『ゼクス』と円卓の騎士『ヘルヴォル』。
いずれもが組み合わされば、かつての『憂国学徒兵』の名前になる。
「ですが、此処まで一致した状況いありながら、人造竜騎『エイル』の存在……いえ、『エイル』様が|イレギュラー《特別》と考えるならば?」
「え、えっと難しいことはわかりませんけど。『エイル』さんが特別なんだなってことは解りました!」
「シリアス大丈夫ですか」
「あ、難しすぎてついていけてませんでした!」
「……ええい、もどかしい!」
だが、ルクスに取っては幸いであった。
ステラが難しいことを言い出すのはいつものこと。さらっと聞き流す癖がついているので、重度のシリアスアレルギーのルクスは、蕁麻疹がでなくて済んでいたのだ。
「取り急ぎ、今はこの場をどうにかいたしましょう」
大丈夫そうだな、ヨシ。
それくらいの気軽さでステラは即座に『ケルーベイム』と共に『獣騎バジリスク』へと踏み込む。
未だに『獣騎バジリスク』は脅威である。
如何に猟兵たちの攻勢によって疲弊していようとも、だ。
あの『死と石化の視線』がある限り、此方の窮地は変わらない。
「『ケルーベイム』! フローリスを使います!」
彼女の駆るキャバリアのフレキシブルスカートスラスターが花開き、加速する。その速度はステラをしてコントロールしきれないものであった。
しかし、それでも加速した機体は『獣騎バジリスク』の視線によって捉えられぬ。
「速い……! どこから来ようが我が防御魔法陣は!」
回転する魔法陣。
強固な守りであることはステラにもわかっていた。
「全武装、ロック!『ケルーベイム』! やってみせます!」
放たれる全武装。
その嵐のような猛攻を『獣騎バジリスク』の防御魔法陣が受け止め続ける。
「くっ……!」
「嵐は花を散らしますが、芽吹く種をも運ぶもの! であれば、ルクス様!」
「はい!」
ステラの派手な、いや、豪快な攻勢の影からルクスは飛び出す。
「わたしの勇者姿を『エイル』さんに見てもらいましょう!」
「いまなんと?」
「いえ、冗談ですから! まじまじとこっちをみないでくださーい!」
ルクスは大慌てで、世界調律(セカイチョウリツ)たる力の所以、巨大音叉を掲げ、世界をあるべき姿に戻す調律波を解き放つ。
「し、しっかり決めますから、こっち来ないでくださいー!」
「余計なことをおっしゃるからでしょう! 私の目が黒いうちは!」
「わーん!」
ルクスの涙声とともに世界を律する巨大音叉の音は、周囲にあった石化された人造竜騎たちを護るように戦いの余波を退け、そして『獣騎バジリスク』の『死と石化の視線』すらも退けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジェラルディン・ホワイトストーン
アドリブ歓迎
ジェラルディン・ホワイトストーンだ。
行くぞ、ズィーベン!
UCにより、この地にいる妖精たちに助力を乞う。
砂、石、泥、そういった土属性の妖精たちに俺の周囲に集まってもらい、視線が放たれた時に立ちふさがってもらう。
元より石に類する妖精たちだ、石化しても影響はほとんどないだろう。
その上でこの土地に宿る草花木々の妖精たちにご当地パワーで支援してもらい、精霊力を強化する。
木剋土、っていうんだってな?
木属性の魔力を込めてライトニングショットを放つぜ!
バジリスクの視線は強力無比だ。
だけど、それが来るとわかってるんなら対策を練っておけるさ。
事前に打つ手を備えることも力のうちだ。卑怯とは言わねぇだろ?
苛烈なる猟兵たちのユーベルコードの煌き。
それを真っ向から『獣騎バジリスク』は受け止め続けていた。
熾烈なる戦い。
聖なる決闘とは常にこういうものであったということを彼に思い出させるようであった。
『死と石化の視線』。
それは相対する勇士たちの知恵を図るものであった。
力だけでは立ち行かぬ。
生きるためには知恵もまた必要である。
そうした力だけではなく、知恵もまた携えたものこそが、百獣族の王としてふさわしい。
そう思うからこそ、嘗てバジリスク族たちは聖なる決闘において『死と石化の視線』を振るい続けたのだ。
そして、また一騎。
「ジェラルディン・ホワイトストーンだ」
タイタニアキャバリア『メルセデス』を駆るジェラルディン・ホワイトストーン(シャドウエルフのタイタニアキャバリア・f44830)が彼の前に現れる。
「いくぞ、『ズィーベン』!」
「真正面から挑む、意気やよし! であるのならば!」
「ああ、真っ向勝負だ! そして、その『死と石化の視線』は! 妖精たちよ!」
ジェラルディンの瞳がユーベルコードに輝く。
瞬間、この大地に息づく小さな妖精たちが出現する。
小さきものたちである。
『獣騎バジリスク』をどうにか出来るような存在ではない。
だからこそ、ジェラルディン願ったのだ。
大地を攻勢するのは、砂、石、泥。
そうした土の属性を持つ妖精たちである。彼らをジェラルディンは呼び寄せ、協力を願ったのだ。
「頼めるか!」
その言葉に妖精たちは頷く。
『獣騎バジリスク』の視線が、対象物が増えれば増えるほどに石化する時間がかかるというのならば、ジェラルディンは妖精たちに協力を願ったのだ。
「妖精たちだろうが、我が石化は……なに?」
そう、彼らは土の属性を持つ妖精たち。
石化したところで影響はない。
そして、ジェラルディンはこの大地の妖精たち……草花や木々、そうしたほそぼそとしたものに宿る妖精たちに宿る力を加護として授かるのだ。
「力が……集まっていく?」
「そうさ。こいつらだって『ズィーベン』、かつてのあなたの高潔さを覚えている。復讐に走るあなたを哀れに思っている。だからこそ、俺に協力してくれてる」
「哀れ、だと? この我が、哀れ! そう云うか!」
「そうだ。復讐に囚われ、聖なる決闘と言いながらも、しかし実情は復讐のみ。かつてのあなたの高潔さを汚していると言っているぜ……だから」
そう、だからこそ、ジェラルディンは小さな妖精たちの力を借り受けて束ねる。
確かに『獣騎バジリスク』のちからは強力無比だ。
だが、それがあるとわかっているのならば、対策を練ればいい。妖精たちの協力だってそうだ。
事前に打つ手を備えることもまた力のうちだ。
卑怯とは言わせない。
嘗ての『獣騎バジリスク』に挑んだものたちだって同様だったはずだ。
彼らは知恵と力を振り絞って打倒したはずなのだ。
だからこそ、ジェラルディンは強化された精霊力によって放たれる木の属性を籠めた一撃を解き放つ。
「木剋土、っていうんだってな?」
その一撃は『獣騎バジリスク』の視線をも打ち払い、その知恵と力を示すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
……アハト…ゼクス…ズィーベン…憂国学徒兵だったか?
「今回は同じ名前が多いねー☆」
そしてソグンだったか
彼奴の乗ってるのは…
【情報収集・視力・戦闘知識・念動力・浄化】
ルーン魔術発動
ラゾ
エイワズ
エオロー
変化と守護のルーンを機体に付与
是迄の状況から石化の性質把握
念動障壁に浄化の属性付与
獣騎の動きと攻撃の性質
構造を把握し致命となる部分を把握
同時にソグンの機体の構造…セラフィムとの類似性分析
初めましてだな
魔術盗賊のカシムだ
「界導神機『メルクリウス』だぞ☆宜しく☆」
ソグン…おめーの機体の名前は?
【属性攻撃・切断・2回攻撃・スナイパー・空中戦】
まぁそうなるわな
だがおめーらを殺した奴らは皆墓の中だ…つっても納得はてきねーたろ
なら抵抗はさせてもらうぜ
UC発動
超絶速度で飛び回りながら連続斬撃を叩き込む
不殺徹底
攻撃の際は徹底して無力化に努める
お前等が聖なる決闘だってんなら殺しはあっちゃだめだろ
何より
復讐に来た奴をまた殺すってか?
そいつこそ不毛だってんだ馬鹿野郎
「ご主人サマ他の世界では容赦ないのにね☆」
「……『アハト』、『ゼクス』、『ズィーベン』……」
それはバハムートキャバリアにおける百獣族の語る所の名であった。
その名の由来はどちらにあるのかはわからないが、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、他の世界においてもその名を知る。
数字を冠した名。
そこに如何なる意味があるのかを見出すのは、カシム本人の思考に寄るところであったことだろう。
「今回は同じ名前が多いねー☆」
『メルシー』の言葉にカシムは洗浄をかける水色の人造竜騎を『メルクリウス』より見下ろそす。
あれに乗っているのは、この辺境遅滞を守護する辺境騎士団の一騎『ソグン』である。
その機体事態は見覚えがない。
人造竜騎であるのだから、当然と言えば当然であった。
「しかも、この状況。『死と石化の視線』か。厄介だな」
「ルーンでも防げないってことは、それ自体がユーベルコードってことだからねー」
「とは言え、石化までのタイムラグがあるってことは」
「石化するには相手の大きさ、数で速度が決まるってことだよね☆ ってことは、あの子がやってるみたいに数を増やして魔力を分散させて、石化の症状を遅らせるっていうのも一つの手だね☆」
「念堂障壁に浄化の属性を付与しても、どの道『見られてる』という時点で詰んでるってwけか」
カシムの視線の先にあるのは、盾を構えながら石化している人造竜騎の姿があった。
盾にて視線を遮れば石化が防げると思ったが、障壁が無意味というのはこういうところにあるのだろう。
だからこそ、打ち破らねばならない。
「はじめましてだな。魔術盗賊のカシムだ」
「盗賊? 盗賊騎士というやつか」
『獣騎バジリスク』の言葉にカシムは首をふる。
「魔術盗賊。騎士ですらないが」
「界導神機『メルクリウス』だぞ☆ よろしく☆」
超高速で飛び回る機体。
それは敵に見られることを厭うがゆえ。視線が石化の魔力を注ぐというのならば、見られぬほどの速度で飛び回ればいい。
それは単純であったが、効果的であった。
ただ速度が求められる。
「言うは易く行うは難しっていうがよ、やれねーわけねーよな、『メルクリウス』! お前の力を見せてみろ!」
神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)。
加速した機体は、石化の魔力が通る前にすでに駆け抜けている。
さらに『ソグン』の機体とすれ違う。
見たことがない。
やはり知らない機体だ。
だからこそ、カシムは告げる。
「『ソグン』つったか、おめーの機体の名は?」
「速い……っ、機体? 人造竜騎の? 我が、乗騎は『ケルビム』。ご助力、感謝いたしますが……」
「ああ、こっからは僕の独壇場だ。勝手にやらせてもらう!」
カシムは『メルクリウス』とともに鎌剣を携え、『獣騎バジリスク』へと襲いかかる。
「お前らが聖なる決闘だってんなら、殺しはあっちゃ駄目だろ。何より、復讐に来た奴をまた殺すってか? そいつこそ不毛だってんだ馬鹿野郎」
「ならば、貴様には復讐の念が一片もないと? 誰かを憎むことも、疎うことも、殺したいと思うこともなかったと?」
でなければ、と『獣騎バジリスク』の鉤爪と砲撃が迸る最中、怒りが戦場に満ちる。
その一撃を躱しながら『メルクリウス』は踏み込み、腕部を鎌剣が切り裂く。
「だからこそだろーが」
「ご主人サマ、他の世界では容赦ないのにね☆」
「しまらねーこというんじゃねーの」
切り飛ばされた腕部が大地に落ち、互いに相いれぬ想いは交錯していくばかりであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ティオレンシア・シーディア
向こうのボスの言うとおり、貴女の「幸運」は貴女が折れず屈せず足掻き続けたがゆえに故に拾うことができたもの。卑下する必要なんて欠片もないわぁ。
よく言うでしょ?「運も実力のうち」って。
予想はしていたけれど、やっぱり「数」が石化に特効だったのねぇ。じゃ、そこを突かない理由なんてないわよねぇ?
●黙殺及び黙殺・砲列を同時起動、大量の魔術○弾幕バラ撒くわぁ。黙殺だけでも矢と刃各1600の計3200、黙殺・砲列に実弾と爆撃合わせれば数はもっと多くなる。100や200石化させられたところでどうとでもなるわぁ。
圧倒的な物量で一気に圧し潰してやりましょ。
斬られ、宙に舞った『獣騎バジリスク』の腕部が大地に落ちる。
だが、それでも『獣騎バジリスク』の咆哮は止まらない。
「ここまで追い詰めて尚……なんという力、いえ、地力の差……!」
辺境騎士『ソグン』は水色の人造竜騎を駆り、未だにたち続ける『獣騎バジリスク』の姿に呻く。
圧倒的な力。
凡庸なる騎士としては、こうして生きて相対していることこそが『幸運』そのものであった。
「あらぁ、卑下することなんてないわぁ」
その甘い声に『ソグン』は振り返る。
そこにいたのは、量産型キャバリア『スノーフレーク』を駆るティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)であった。
彼女の言葉は慰めではなかった。
ただの事実でしかなかったのだ。
「あの人が言う通り、貴女の『幸運』は、貴女が折れず屈せず足掻き続けたが故に拾うことができたもの。卑下する必要なんてかけらもないわぁ」
「ですが」
もっと力があれば。
地力があったのならば、と思わずにはいられないのだろう。
けれど、ティオレンシアは笑む。
「よく言うでしょ?『運も実力の内』って」
その言葉は慰めでもない。
手を伸ばし続けたからこそ得られた『幸運』。他者はそれを偶然と、まぐれと呼ぶだろう。だが、その『幸運』を手にするまであらがうことができるものは多くない。
だからこそ、彼女の行動は猟兵たちに『獣騎バジリスク』の『死と石化の視線』を攻略するためのヒントを与えたのだ。
確かに彼女が生き残っていたのは『幸運』だ。
だが、この状況を引き寄せたのは、紛れもなく『ソグン』の実力。
だからこそ、ティオレンシアは笑む。
「予想はしていたけれど、やっぱり『数』が石化に特攻だったのねぇ。じゃ、そこをつかない理由なんてないわよねぇ?」
描くは魔術文字。
ユーベルコードによって宙に浮かぶのは魔力の矢と刃。
それ自体は何の変哲もないもの。
だが、その数が異常であった。
矢だけでも千を越える。
そして、同数の刃がまた空を埋め尽くしている。
都合、三千を超える矢と刃の戦列が、『死と石化の視線』を黙殺(デザイア)かのように居並ぶのだ。
更には『スノーフレーク』から放たれる攻撃と合わせれば、もはや『獣騎バジリスク』の『死と石化の視線』は意味をなさない。
「知恵を以て力を手繰る。力のみなるものに王は相応しくない。また力なきものもまた王に相応しくない」
それがバジリスク族の王戴くための思想でもあった。
故に、己たちの持つ『死と石化の視線』を乗り越えられぬものには、王に相応しくない。
「ま、力押しよねぇ……でもぉ。圧倒的な物量で一気に押しつぶせるだけの力があるのなら、それもまた戦いってものよねぇ?」
ティオレンシアは、また一つ笑む。
そう、どこまで言ってもこれは聖なる決闘。
正面から激突する力と力。
だというのならば、数もまた力。
彼女の力は、圧倒的な物量でもって、『獣騎バジリスク』のもたらす力をねじ伏せながら、押しのけていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ファルシータ・フィラ
ハッ!?|何か《公式?》に見つかった気が?!
いえ、ソグン様にはばっちりしっかり見つめて欲しいというか
に・が・さ・な・い・ゾ☆
見守っていて良いですか!?
そのためにこの戦いに勝ちたいと、わたくしは切に思うのです!!
そう、推しがいる世界は尊い……!ドン引きしてもいいので存在する事のみは許してくださいませ!!
そう、この戦い、負けるわけにはいかないのです!!
後でご褒美くださいませ!
まずはズィーベンさんからの石化対策を
これでどうです、【真夏の夜の夢】!
大量の光の剣
攻撃は最大の防御とはよくいったものです
一斉に放ちますわ!
石化で止められようとも特に問題はありません
本命は、シールドランスでの突撃
かわせまして?
推し事というのは、人によりけりである。
認知して欲しいと願う者もあれば、認知されたくないと思う者もいる。
時に壁。
時に床。
時に天井。
シミだったり、影だったり。まあ、何が言いたいかと云うと、ファルシータ・フィラ(アレキサンドライト・f44730)は自分が|何か《公式》に見つかった気がしてならなかったのである。
推しとは密やかに秘めたるが如く。
いやまあ、それって守れてる? と疑問に思わないでもないファルシータの奇行は今に始まったことではない。
「何かとは?」
「いえ、『ソグン』様にはバッチリしっかり見つめて欲しいといか、に・が・さ・な・い・ゾ☆」
「一体全体どういうことなのですか」
「見守っていて良いですか!? ということなのです!」
「ですから、全部わからないんですけど!」
そんなやりとりをしながら、ファルシータは感涙にむせぶ。
そう、推しがいる世界は尊い。
ドン引きされたって、存在していることを許してもらえるのならば、それはどんなに広い御心であろうかとファルシータは思うのだ。
ああ、願うのならば空にたゆたう雲のように、浮かぶ月のように、煌めく星のように推しを見守りたい。
詩的な言い方しているが、全部禄でもねぇ喩えである。
雲とか月とか星に失礼だって思わないんですか。
「いえ、この戦い負けるわけには行かないという決意の現れでございます! 後でご褒美くだしませ!」
しれっとねじ込みながらファルシータは『ティタニア』と共に『獣騎バジリスク』へと迫る。
「真正面から来るか!」
「ええ、これは聖なる決闘なれば。そして! すでに『ズィーベン』さん、あなたの放つ『死と石化の視線』への対策はできております! さぁ、踊ってくださいまし。妖精の夜は少々騒がしいのですわ」
それは、真夏の夜の夢(マナツノヨノユメ)のように浮かぶ千を越える光の剣。
空を埋め尽くす光の剣が放つのは、真夏の日差し。
「これでどうです!」
「数を頼みにしたところで、我が『死と石化の視線』を阻むのみ。ここからは、地力のみが!」
隻腕となった『獣騎バジリスク』が迫る。
如何に最大の能力である『死と石化の視線』が封じられるのだとしても、それでも『獣騎バジリスク』は強大な獣騎である。
これまで『死と石化の視線』に対処されながらも、猟兵たちの猛攻を耐え切ってきたのだ。
地力がないわけがない。
「ならば、一斉に放ちますわ! 攻撃は最大の防御とはよく言ったものです!」
放たれる光の剣。
一斉に襲いかかる剣をへし折り、弾きながら『獣騎バジリスク』が『ティタニア』へと迫る。
恐るべき敵である。
だからこそ、ファルシータは敬意を払うように真正面から突進する。
加速し、脇目もふらずに光の剣と共に迫るのだ。
「この一撃、躱せまして?」
放つはシールドランスの一撃。
石化しながらも放たれた槍の穂先は『獣騎バジリスク』の真核を貫くだろう。
明滅する『獣騎バジリスク』の瞳。
「……見事。我が恩讐の彼方は、此処が果て……怨憎会苦の先があるというのならば、示してみせるがいい……」
崩れ行く『獣騎バジリスク』。
ファルシータはついに、この大軍勢の主を討ち取ったのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『精霊の地』
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POW : 昼寝や軽食で体力を回復する
SPD : 自然の中で遊び、リフレッシュする
WIZ : 瞑想を行い、魔力を高める
イラスト:みささぎ かなめ
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
軍勢の主『獣騎バジリスク』を打倒し、猟兵達は石化した人造竜騎が本来の姿を取り戻すのを見ただろう。
そして、戦いの場となった辺境。
転移して即座に乱戦に移行したために、気がつくものも少なかっただろうが、眼の前に広がるのは美しい大地であった。
精霊の地と呼ばれる辺境。
元は百獣族の領域であったのだろう。
美しい湖が広がり、また大地は緑と花で彩られている。
満ちる力は、猟兵達を歓迎しているようだった。
「此度は、我らが不手際を、いえ、窮地をお救い頂き、感謝の言葉もございませぬ。ですが、我らに出来ることがございますれば、何なりと。お救いいただいただけではなく、こうして辺境の地を守っていただいたのですから」
辺境騎士団の団長らしき騎士が猟兵たちの前に恭しく膝をつき、頭をたれている。
大仰しすぎると思ったかも知れないが、彼にとってはそれほどのことだったのだ。
「私からも御礼を申し上げます」
辺境騎士『ソグン』も同様だった。
彼女の言葉に周囲の精霊たちも同じように喜ぶようだった。
ここで過ごすのも良いだろう。
彼らの歓待を無下に断ることも、また騎士道に反することであろうし、猟兵たちの権利でもあった。
元の世界に戻るまでのわずかであるが、しばらくこの地にとどまり、各々が思うままに過ごすのも悪くはないだろう――。
村崎・ゆかり
ふふ、お礼を言われるほどでも無いのに。
それでも悪い気はしないわね。人の入ってこない泉ってあるかしら?
そこを貸してちょうだい。
泉のほとりで眷属召喚+羅睺召喚。
無事に戦いは終わったわ。みんなで楽しんでいくくらいいいわよね。
全部「脱衣」して、ゆりゆりに甘えたり、他の二人にも服を脱ぐよう命じたり。
大自然の中で、誰はばかることなく愛し合いましょう。あ、アヤメ。食べるものもらってきてね。
身体が火照ってきたら泉で沐浴しましょうか。
ひんやりとして気持ちいいわ。あなたたちも、ほら早く。
帰ったら、もっと一杯愛してあげるからね、みんな。今はここでしか出来ないことをして楽しみましょう。
愛してるよ、みんな。
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は、かしこまった物言いをする辺境騎士団の団長の姿に笑む。
百獣族との戦いは猟兵にとっても、有事である。
オブリビオンと戦うのが猟兵の使命であるというのならば、そこに報酬といったものは必要ない。いや、報酬を求める猟兵もいるのだろうが、ゆかりはそういうタイプではなかった。
「ふふ、お礼を言われるほどでもないのに」
「いえ、皆様のご功績を考えれば、むしろ何の礼もなくお帰しするのは、我らが非礼でございます、レディ」
団長のうやうやしい態度にゆかりはなんともこそばゆい思いであった。
だが、何かをしたことに御礼を言われるのは悪い気はしない。
こうやって改まって礼を言われることも、そう多くはないからだ。
「何かお求めになるものがございますれば、私どもで用意できる範囲でどうにかいたします。なんなりと」
「……うーん、そうねぇ」
ゆかりはそう言われると困ってしまう。
何かを求めて戦いに加わったわけではないのだ。
と、周囲を見回せば美しい自然が目に入る。
戦いに集中していて気が付かなかったが、豊かな自然が広がっているのは、此処が精霊の地と呼ばれているが故であろう。
であるのならば、とゆかりは即座に妙案を思いついたようだった。
「ねぇ、人の入ってこない泉ってあるかしら?」
「泉、ですか?」
「ええ、そこを貸して欲しいの」
「それならば……しかし、それでよろしいのでしょうか?」
「もう、これ以上は言わせないでほしいわ」
ゆかりの言葉に、団長は己が説明を求めていることに気が付き、そしてゆかりの言わんとしていることに気がついて恥じ入るようだった。
「真面目な人だったわね」
ゆかりは泉へと案内してくれた団長が去っていく背中を見送って呟く。
此方が言わんとしていることを察してくれたのだろう。
人払いをしてくれるようだった。
「そう? でもまあ、戦いが終わったから約得だけど」
眷属召喚(ケンゾクショウカン)によってしょうかんされた式神たちにゆかりは泉のほとりで向き直る。
「いいのよ。楽しんでいく位、だれも咎めたりしないわ」
そういって、ゆかりは己が着衣をほどいていく。
身に感じるのは温かな日差しと風。
心地よい気候であるのは、この地にある精霊の加護とでも云うのだろうか。
「大自然の中ではばかることなく、ね?」
「その前にお食事もしませんと」
「それもそうね。でも、戦いの後って体が火照って仕方ないのよ、ね? だから」
その言葉の続く先は言うまでもない。
火照りを沈めるためには発散しなければならない。
自ら慰めることもできるが、せっかく共にする者たちがいるのだ。
それは眷属たちも言うまでもないことだった。肌と肌が触れ合う心地よさ、泉の水の冷たさは、また別の意味で彼女のたちの心を体とは裏腹に燃え上がらせるだろう。
「ほら、アヤメ、貴女も早く」
誘うようなゆかりの熱っぽい視線と上気した頬。
火照りを示すような朱さに誘われるようにして、眷属たちは彼女に群がっていく。
その交わりは泉に住まう精霊たちも顔を覆うほどに刺激的だったことだろう。
「帰ったら、もっといっぱい愛してあげるからね、みんな」
だから、とゆかりは戦いの報酬に得た一時を楽しむように、己の眷属たちと愛することを憚らず、愛の言葉をささやき続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ジェラルディン・ホワイトストーン
アドリブ歓迎
こんだけの猟兵、助っ人が駆け付けたもの騎士のあんたたちが懸命に戦ったからさ。
護るために一人も逃げることなく立ち向かった、立派な騎士だよ。
UCを使用して、辺境騎士団を治癒しよう。
戦闘で多少荒れた現場(土地)も、少しは自浄の糧になればいいかね。
あとは……んー。まあ。
タイタニアキャバリアと縁はあるが、俺ぁ騎士っていうにはイマイチ違和感があるし、歓待は無礼にならない程度に受けて、あとは湖のほとりで佇むかな。
地元の妖精たちには助けてもらったし、何かそっちに礼ができることがあるならするし、物がいいなら用意するとしよう。
|助け合い《こういうの》は、一方的じゃなく互いにウィンゥインじゃねぇとな。
頭を垂れる辺境騎士たちの姿を見やる。
彼らは忸怩たる思いを抱えているようにジェラルディン・ホワイトストーン(シャドウエルフのタイタニアキャバリア・f44830)には思えてならなかった。
そう、今回辺境騎士達は『獣騎バジリスク』に手も足もでなかったのだ。
当然と言えば当然かもしれない。
それだけ『獣騎バジリスク』の能力は初見殺しそのものであったのだ。
即応が求められていたとしても、誰でも出来たわけではないのだ。
「そんなにしょげることはねぇよ」
「しかし……」
ジェラルディンは石化の解除から幾ばくもないのに動き始める辺境騎士たちを押し留めて治癒の魔法をかける。
「あんたたちは懸命に戦った。あの辺境騎士『ソグン』が一人になっても逃げ出さずに懸命に戦っていたのは、あんたたちという先輩がいたからだろう。あんたたちは何もしなかったと思っているのかも知れないが」
けれど、彼らがいたから『ソグン』は引くことなく戦い続けたのだ。
立派な騎士だとジェラルディンは思った。
それは石化された彼らも同様だ。
「辺境遅滞を護るあんたたちがいるから、安心して暮らしていける人々がいる。それだけで充分じゃあないか」
「……ご厚意痛み入ります……」
「さ、立ちな。もう大丈夫だ」
「しかし、あなたは」
「俺はもう少し見て回るよ」
辺境騎士たちはジェラルディンを引き止めたいようだった。
けれど、ジェラルディンは失礼にならない程度に辞して湖の辺に向かう。
「まあ、俺ぁ騎士っていうのはイマイチ違う感じがするんだよな。それに」
ジェラルディンは『獣騎バジリスク』との聖なる決闘の際に、この大地の妖精たちに助けられたことへの礼を告げるように湖に一礼して見せる。
「あんがとな。あんたたちがいたから、俺は戦えた。紛れもなく、これはあんたたちの功績だ」
「――」
妖精たちの声が聞こえる。
そうか、とジェラルディンは聞こえた声に頷く。
礼には及ばないと言われたのかも知れないし、元よりこの地にあった百獣族の鎮魂の為に戦ってくれたことへの礼を告げられたのかもしれない。
「なあ、何か入り用があるのなら」
「――」
頭を振る妖精たち。
彼らにとって、ものは必要ないのかもしれない。
此処には豊かな自然がある。
多くある者から、少なき者へと分け与えることはあっても、受け取るもの必要ないのだと告げる声が聞こえる。
「そっか。ま、|助け合い《こういうの》は、一方的じゃなく互いにウィンウィンじゃねぇとな」
然り、響く。
ジェラルディンは笑む。
こうして互いに笑えあえているのならば、それに越したことはない。
いや、これ以上もないだろう。
あの蘇りし百獣族たちも、その失われた生命、その怒りを慰撫することができたのだろうか。
聖なる決闘だけが互いの魂の傷を癒やし合うというのならば、皮肉である。
けれど、それでも。
ジェラルディンは思う。
科無き身に咎を背負う必要はない。
だとしても、己が戦場に立つ理由は単純でいい。
助けを求めるものがいて、癒やされぬ魂を持つものがいる。
それだけでいいのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ザビーネ・ハインケル
戦いに集中して見る暇も無かったが、こうして腰を落として眺めれば良い土地じゃねぇか…ああ、そう身構えるなって
別に「恩賞に土地を頂く」って意味じゃねぇからよ
しかし、だ
聖域と言っても過言でねぇ精霊の地で凄惨な虐殺があったとはな
耳を傾ければ嫌でも聞こえてくる精霊の無邪気さが余計にそんな歴史があった事を忘れさせるな
さぁて、ご相伴にあずかりながら『商談』と行こうじゃねぇか
辺境の地って言うんだから、何か名産なり特産品なりあンだろ?
そいつを隊商を通した物資の補給がてらオレの支配地で儲けさせて貰おうってね
勿論そっちの分け前もきっちり払うさ
辺境の地の備えも|金《コレ》が必要だろ?
どうだ、悪い話じゃねぇと思うけどな
百獣族との戦いの場となった辺境遅滞は見事な自然な広がっている。
それに気がついたのは、戦いを終えた後だった。
それもそのはずだろう。
猟兵達は辺境遅滞に到着して、すぐに戦闘態勢に入った。
しかも乱戦である。
周囲に気を配る時間もなかっただろう。
ザビーネ・ハインケル(Knights of the Road・f44761)も、その一人だった。
「こうして腰を落として眺めれば良い土地じゃねぇか……」
己が人造竜騎『ガラドリエル』が膝つく横で彼女は視線を巡らせる。
緑が豊かだ。
精霊の地と呼ばれるだけのことはある。
この場にいるだけで心が洗われるようであったし、戦いに疲弊した体躯はどこか癒やされるようでもあった。
「貴公は」
声に振り返れば、そこには辺境騎士団の団長の姿があった。
ザビーネが盗賊騎士であることを承知しているのだろう。
「ああ、そう構えるなって。別に『恩賞に土地を頂く』って意味じゃねぇよ」
「しかし、貴公にはそれだけの功績がある」
「いいから」
「だが」
「しつけぇ。しかし、だ。聞きたいのは、この土地のことだよ。精霊の地、話には聞いちゃいたが、聖域と言っても過言じゃねぇだろ。なのに、この地でも凄惨な虐殺があったとはな」
その言葉に辺境騎士団長は渋面を作るしかなかった。
「それこそが我が祖先の大罪。故に鎮魂の意味もあって守らねばならない。例え、辺境であろうとも」
「だろうな。ここの精霊たちの無邪気さを見ればわかるよ。そんな歴史があったなんて忘れちまう」
「そうでありましょうな。が、貴公は盗賊騎士。嫌でも受け取っていただきたい。褒美とは元来そういうものであるから」
そう言って差し出されるのは杯。
つまりは、とザビーネは肩をすくめ、杯を受け取り注がれるぶどう色の酒を見つめる。
「まあ、悪くはねぇけどよ。『商談』とさせてもらおうじゃねぇの」
「『商談』?」
「そうよ。ここが辺境遅滞ってのはわかっている。なら、何か名産なり特産品なりあンだろ?」
「……小豆が特産ではあるが」
「あ? 小豆?」
「そうだ。郷土料理の一つとして、菓子にも似た、百獣族の鎮魂のために拵えられる餅が有名なのだ。『オハギ』という」
「まあ、いいや。そいつを隊商を通した物資の補給がてらオレの支配地で儲けさせて貰いたい。甘いもんってんなら、余計に良い値になるだろ」
ああ、勿論、とザビーネは断る。
互いに金でやり取りをしようじゃないか、と。
一方的に受け取るのはフェアじゃあない。
それに此処は辺境遅滞。どこでも金というのは必要だ。
「……それが貴公の望む恩賞であるというのならば。喜んでお受けしよう」
「話がわかるじゃあないか」
「しかし、今はしばしお待ちいただきたい。我が主……『ラーズグリーズ』卿の沙汰がまだでておらぬ。取引はそれからでも構わぬか」
「構わねぇよ。それなら、とりあえず空手形を掴むほどオレもお人好しじゃあないんでね。立会人でも呼んで、まずは、この酒坏でもって契約成立と行こうじゃあないか」
そう言ってザビーネは辺境騎士団長と杯をあわせ、『商談』の成立を祝うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
精霊の地かぁ…。
精霊術士としては、やっぱり気になる土地ではあるよね。
んー、せっかくだから、キャバリアから降りて散策しようかな。
自然を、精霊達を感じられるこの空気が好きだしね。
あ、ソグンさん、もしよかったら何か食べるものってあったりするかな?
せっかくだから、この空気の中で食べたいので。
食べ物を貰って、いざ散策にっ!
…せっかくだから、おいで、シルフィード。
あなたもここでのんびりしておいで。
精霊達の空気を感じながらご飯を頂きますっ!
んー、この世界、ほんとに精霊達の力が強いんだね。
なんか、すっごく力がみなぎりそうな気がする。
後は、時間が来るまでのんびり横になろうかな。
こういう時間もいいよねー
精霊の地。
それは此度の戦いの場であった。
シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)は周囲を見回す。改めて見れば、精霊術士としての己にも感じ入るところがあるように思えた。
力がみなぎってくるように思えたのは、戦いの気配に遠のいていた精霊たちが集まってきたからかも知れない。
「んー……せっかくだし、降りてみようかな」
シルは『レゼール・ブルー・リーゼ』から降り立つ。
息を吸う。
涼やかな空気が肺を満たす。
呼吸がしやすい。
それまで戦いの気配ばかりの息苦しさはあったのに、もうそんなことを感じることもない。
やはり、戦いは起きないほうがいいとシルは思ったかも知れない。
「自然を感じられるなぁ」
「あなたは精霊を感じることができるのですか?」
シルが散策をしていると辺境騎士『ソグン』であろう声に気がつく。
互いに戦場ではキャバリアと人造竜騎ごしでの邂逅であったから、生身でこうして面通しをするのは初めてだった。
「うん。あなたは『ソグン』さんだね。声でわかったよ」
「お見知りおきを。ご挨拶が遅れた非礼をお詫びいたします」
「わ、いいよいいよ。そんなのさ……あ、そうだ。『ソグン』さん、もしよかった何か食べるものってあったりするかな?」
「食べ物、ですか……こうしたものしかなく、申し訳ないのですが……」
『ソグン』が差し出すのは包に覆われた乾いた穀物を押し固めたシリアルバーのようなものであった。
乾燥させた果物が混じっているのが、せめてもの救いに思えた。
「支給品しか持ち合わせていなくて……」
「そうなの? でも、これだけだと」
「……ああ、そうです。ならば、湖の辺に足をお向けください。桃が成っている樹がございます」
「桃?」
「はい。破邪の実とも言われております。この地ではよく見受けられるのです」
「そっか。じゃあ、行ってみるね!」
シルは『ソグン』に見送られて湖の辺へとやってくる。
言われたとおりに、樹には桃がなっている。その一つを掴んでもぎれば、呼び寄せた風の精霊『シルフィード』に手渡す。
「わ、重たい! あなたも欲しいよね? せっかくだからのんびりしていいんだよ」
シルは呼び寄せた精霊と共に桃を頬張る。
みずみずしい甘さが口いっぱいにひろがっていく。
甘いし、喉が潤う。
戦いの後であればなおのことであろう。
「んー、この世界、ほんとに精霊たちの力が強いんだね。なんか、すっごい力がみなぎりそな気がする……ふぁ」
食べたら食べたで眠くなってしまう。
けれど、それもいいだろう。
戦いが終わったのだ、なら、誰に気兼ねすることがあるだろうか。
「帰る時間が来るまでお昼寝してよー」
シルはそういて草原に寝転び『シルフィード』に体を寄せて温かな日差しの中、穏やかな時間を過ごすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
……んー……落ち着いてみると良いところだね…
…この景色見ながら美味しい料理食べるのも良さそうだ…
具体的には郷土料理とかあれば楽しみたいところ…
(食事中の軽い雑談として)
…精霊の地と呼ばれるだけあって精霊が多いみたいだけど…
そのソグンの周囲の精霊とかはコミュニケーション取れるのだろうか…
…基本ソグンの感情とかその辺に同調していそうではあるんだけど…
…同じ精霊が相性良い人に付きまとうのか…その時その時で周囲の精霊が近づいたりするのか…その辺は興味があるね…
…後でゆっくり話を聞かせて欲しいな…
「……んー……落ち着いて見ると良いところだね……」
メンカル・プルモーサ(星導の魔女・f08301)は自身の乗騎、試作型術式騎兵『ツィルニトラ』から降り立つ。
周囲には石化から解かれた辺境騎士たちが戦いの後片付けに奔走している。
どうやら彼らは石化が解除されたことで、自分たちが此度の戦いにおいて何一つ役立つことができなかったことを酷く悔いているようだった。
落ち込んでいる、というのが正しいだろう。
けれど、そんな暇など彼らにはない。
「レディ、失礼ですが、貴方様も此度の戦いにご協力いただいたとお見受けいたします。心ばかりではございますが、食事の準備を整えるまでお待ちいただけますか」
辺境騎士の一人が、そうメンカルに伺いを立てる。
そんなに気にしないでいいのに、とメンカルは思ったが、無下にするわけにもいかない。
「……そうだね。この景色を見ながら美味しい料理を食べるのも良さそうだ……期待していいんだ?」
「粗末なものではございますが、精一杯を」
「そう、なら……」
「どうぞ、此方へ」
メンカルの言葉に共に戦ったであろう辺境騎士『ソグン』が席へと案内してくれる。
彼女と生身で相対するのは初めてであったが、年若い女性であることは声色から理解していたが、想像通りであった。
「……ありがとう」
「いえ。レディ、貴女様はどこかの貴族の……?」
「……なんで?」
「所作のそれが嫌味なく美しいものでございましたから」
「まあ、そういうこともあるだろうね……でも、少し聞きたい」
「私がお教えできることであれば」
『ソグン』の言葉にメンカルは疑問に思っていたことを告げる。
「……精霊の地と呼ばれるだけあって精霊が多いみたいだけれど……あなたは周囲の精霊とコミュニケーションが取れるのだろうか……」
メンカルの疑問は当然と言えば当然である。
今回の戦いにおいて『ソグン』だけが辺境騎士団の中で唯一石化を免れていた。
それは『幸運』なのだろうが、しかし、それだけでは説明できないような力の働きがあるよに思えてならなかったのだ。
この地が精霊の地と呼ばれているのならば、彼女には精霊に働きかける、もしくは精霊が彼女に働きかける物があったのではないかと思ったのだ。
「いえ、残念ながら。此度、私が生き残れたのはひとえに『幸運』のためでしょう」
「そうなんだ……あなたの感情とかそのへんに同調したよに思えたのだけれど」
「そうなのでしょうか」
メンカルからすれば、そう考えるのが妥当な線であった。
自覚のない『幸運』。
されど、それを引き寄せるだけの何かが『ソグン』にはある。
だからこそ、聞き取りを行っていたのだが彼女自身には自覚はないようだった。
「……精霊たちはきっと、あなたを守りたかったのだろうね……相性がよかったのかもしれないし」
「この辺境の地は私が生まれ育った大地でもございますから。土着の、という意味で何か通じるものがあったのかもしれませんね」
「ふむ……そういう意味では生まれた時より精霊たちに見守られている、とも考えられるね」
おもしろい、とメンカルは頷き、食事の席ではあるものの『ソグン』の持ち得る才能とも言える『幸運』の高さにまつわるエピソードを聞きかじりながら、美しい景色を見やりながらの食事を楽しむのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロッテ・ヴェイロン
まあね、石化してた皆さんも無事に復活できたようですね。
…ああいえ、別に礼には及ばないですよ。むしろオブリビオンを倒すほうが主目的でして。
――ああ、そうだ、実はこの世界のキャバリアにも興味ありましてね。ちょっと【操縦】とか試してみようかな、と(【世界知識・戦闘知識】)。
(で、適当な機体をレンタルし)そういえばここの武器って、近接戦闘用のがほとんどですね。この世界の流儀ってやつですか。
んで、操縦桿がこの剣で、他の操作系統は――面倒くさいから制御機能を直接【ハッキング】しちゃいましょうか(ぇ)。
※アドリブ・連携歓迎
「まあね、よかったよかった、ですね」
シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)は戦場にて石化されていた人造竜騎が元の姿に戻ったことを確認して胸を撫で下ろす。
辺境遅滞は危険地帯だ。
多くがオブリビオン……百獣族の領域と接している。
この大地も同じだったのだ。
そして、この地が精霊の地と呼ばれているからこそ、百獣族は奪いにきたのだろう。
「ご助力、感謝いたします、レディ」
恭しくシャルロッテの元にやってくる辺境騎士団の団長。
頭を垂れる姿にシャルロッテは手を振って頭を振る。
そんな畏まったことをされたいと以て助太刀にきたわけではないのだ。
「……ああいえ、別に礼には及ばないですよ。むしろ、オブリビオンを倒すほうが主目的でして」
「ですが、レディのご助力がなくば我らは未だ石像のままであったことでございましょう。その恩に報いずして何が騎士道でありましょうや」
そう告げる団長の言葉は真摯なものだった。
だからこそ、ここで固辞し続けるのも、却って彼らの心根を否定することになる。
シャルロッテは仕方ないな、とため息をつく。
真面目なのも困りものである。
こうなると彼らは自分が何かしらの褒美なれ、恩を受け取らぬまで、この調子になってしまうだろう。
それはシャルロッテも望むところではない。
「――ああ、そうだ」
「はい、なんなりと」
「実はこの世界のキャバリアにも興味がありましてね」
「人造竜騎に、でしょうか」
「そうです。奇しくもわたしのキャバリアと規格は共通している様子。異世界の技術に触れさせてもらえるのならば、それがわたしの喜びでもあります。どうでしょう、少し操縦させてはもらないでしょうか?」
その言葉に団長は、わずかに考える。
人造竜騎は騎士が駆るもの。
おいそれ他者に預けていいものではない。騎士が剣を手放さぬのと同じ理由だ。
だが、シャルロッテは生命の恩人である。
加えて、共に轡を並べて戦った者同士。であるのならば。
「よろしい。我が乗騎をお使いください」
「団長さんのを?」
「はい、我が乗騎『ケルビム』であれば」
それならば、とシャルロッテは辺境騎士団の人造竜騎『ケルビム』を見上げる。
団員たちの乗騎は僅かな差異はあれど、ほとんどが同じ『ケルビム』であった。
「では遠慮なく」
シャルロッテは『ケルビム』に乗り込む。
操作の感触は自分のキャバリアと大体が同じである。だが、武装などは殆どが近接戦闘用のものばかりであった。
「これがこの世界の流儀ってやつですか」
ハッキングするまでもなく、ほとんどの操作系統が同じなのだ。
これならば、自分が『ホワイトラビット』を操作するのと変わらないだろう。
「ハッキングしてみても、やっぱり感触はかわらないですね」
クロムキャバリアで生まれたであろう戦術兵器。
そして、バハムートキャバリアにて鍛造されし鋼鉄の巨人。
符丁のように互いの技術が噛み合う。
それが何故なのかはわからない。けれど、シャルロッテは異世界の技術に触れ、戦いの後の余暇に満足するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
桐嶋・水之江
(ハイドラ・クインリィが)獣騎を倒した途端に大人しくなったわね
湖を見てリフレッシュしたってわけではなさそうね
AIに獣機自動殲滅システムでも組み込まれていたのかしら?
人造竜騎が対獣騎用の兵器だからあっても不自然じゃないけれど
AIじゃなくて精霊力と言うべき?
機械部分は弄れてもそうじゃない部分は何ともね
現地人がいるんだから名刺交換をしておきましょう
折角歓待してもらえるみたいだし
私はこういう者です
武器や治安維持についてご相談があれば是非どうぞ
適切な料金で適切なご提案をさせていただきます
ついでにこの辺りの治安状況も聞いておきましょう
具体的には百獣族の襲撃頻度とか
もしも高ければ…シノギになるかも知れないわ
ハイドラキャバリアは、魂を穢す。
それが何故なのかは未だ判然としない。
桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)は考える。
己が回収し、修理した『ハイドラ・クインリィ』は戦いにあってはじゃじゃ馬のようであった。いや、暴れ馬と呼ぶのが正しいのかもしれない。
それを制御してみせた彼女こそが埒外なのである。
「獣騎を倒した途端に大人しくなったわね」
この戦場となった辺境の地、精霊の地の光景に我に帰った、というわけではないのは言うまでもないだろう。
水之江は、そのような考え方をすぐさまに切り捨てる。
問いただせば、冗句じゃないのと言い放つだろう。
原因を考えれば、いくつか浮かぶものもある。
例えば、機体に搭載された制御補助のAIに水之江が手を加えてない呂域に獣騎に対して反応するシステムなりが組み込まれている、であるとか。
人造竜騎鍛造における歴史を紐解けば、そのようなシステムが組み込まれていてもなんら不思議ではないだろう。
人間の凶暴性。
それが百獣族を尽く滅ぼし、最後の一人まで許さなかったのだとすれば、『ハイドラ・クインリィ』の凶暴性も理解できるところである。
「いえ、この場合はAIではなく精霊力と言うべき?」
水之江はまごうこと無き天才である。
だが、その天才性が発揮されるのは科学技術分野にとどまるのかもしれない。であるのならば、精霊力という力の関与するところまでは、まだ門外漢というのが正しいのだろう。
とは言え、である。
ここで縁が繋がる。
コネクションというものは大切だ。縦の繋がりだけではいかんともしがたいことでも、横のつながりでどうにかすることが出来てしまうのもまた世の常であることを水之江は理解していた。
「レディ、ご挨拶が遅れたこと、どうかお許し頂きたく」
眼の前には辺境騎士団の団長が頭を垂れている。
『獣騎バジリスク』を撃破したことによって、石化から開放されたのだろう。そして、戦いに参じた猟兵たちにこうして律儀に頭を下げて回っているのだ。
「いえいえ、こういう時はお互い様ってものでしょう? それにレディ、と扱われては気恥ずかしさもあるわ?」
「いえ、麗しきレディの前です。節度、というものもあります。であるのならば、レディ……貴女のお名前を伺っても?」
「私はこういうものです」
そう言って水之江は胸元から取り出したる名刺を辺境騎士団の団長へと手渡す。
「キリシマ、技研? 竜騎鍛造師、ということでしょうか?」
「似たようなものね。武器や治安維持についてご相談があれば是非どうぞ」
「それは渡りに船というものですな。我らが護る辺境の地……この地の領主が沙汰によって不在の今、事態は逼迫しておりますゆえ」
「へぇ。大変。適切な料金、適切なご提案をさせていただいても?」
「元領主『ラーズグリーズ』辺境伯の事件の処理が終わっておりませんので、落ち着いたらまたご連絡を」
「そうね。それまでは百獣族からの襲撃に備えるしかないと」
「ええ、未だ多くの百獣族は、この精霊の地を狙うでしょう。またご助力を頂くこともあるかと」
水之江は頷く。
内心は、よいシノギを見つけたとほくそ笑んでいたかもしれない。
戦いあるところに商機あり。
水之江の商魂は今、赤く燃え盛るようだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
え、えと、勇者として派当然のことをしたまででして、
褒められるようなことはないと言いますか、
歓迎されるようなことは何もないと言いますかー(言葉以外はどやぁ
あ、でもそうです!
せっかく精霊さんと仲良くなれるんですし、
精霊さんたちの間に伝わる音楽とかあったら教えていただきたいです!
楽器とか使わなくても全然おっけーですし、歌でも構いませんので!
なんでステラさん、不安な顔して距離取ってるんですか?
精霊さんたちの歌になにか気になることでも?
わたし的にはとってもいい感じの音楽だと思うんですが!
なるほど解りました。
それでは教えてもらったからには返礼を。
今聴いた曲、耳コピでお返ししちゃいますね♪
ステラ・タタリクス
【ステルク】
ふぅ、終わりましたか
袖振り合うも他生の縁といいますし
ルクス様の言葉通りだと思うのですが
ハリセンしたいそのドヤ顔
いえ、しませんが
そういえば精霊がいる世界でしたね
ルクス様の勇者要素に精霊は無いと伺いましたが
親和性は良さそ……何故音楽の事を聞きました??
いえ、精霊絡みで興味が湧くのはいいとして
地獄は現実だけで十分だと何故思わないのですか??
せっかくなのでソグン様と少しお話でも
そう、聞きたい事がありまして
ソグン様の人造竜騎はクリスタルビットをお使いなのですね
精霊の力を借りているとはいえ
なかなか珍しい装備だと思うのですが何か謂れがあったりします?
そう、例えば……セラフィムとかケルビムとか?
「ふぅ、終わりましたか」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は辺境の地における激戦が終わりを告げたことを知り、息を吐き出す。
『獣騎バジリスク』を倒したことで石化されていた人造竜騎たちは、開放されている。
消耗はあれど、しかし彼らはまた忙しなく動き始めるだろう。
辺境の地は百獣族の領域と接している。
いつまた戦いが始まるとも知れぬからだ。
しかし、そんな中にあって辺境騎士団の団長がルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)たちの元へとやってくる。
「此度はご助力感謝いたします、レディのお二方」
恭しく頭を垂れる団長にルクスは慌てた。
だって、こんな偉そうな人がいきなり頭を下げてくるのだ。あまりなれていないこともあってか、ルクスは首を横にぶぶんぶんと振る。
「え、えと、勇者として当然のことをしたまででして」
「淑女でありながら勇猛なる心根をも持ち合わせておられる……真に勇者と呼ぶにふさわしい」
「そ、そんなそんな褒められるようなことはないといいますか。歓迎されるようなことはなにもないといいますかー」
ルクスは謙遜した物言いをしているが、顔は完全にノっていた。
どやっていた。
その顔を見てステラは言葉だけならばルクスの言う通りだと思っていたが、どうにもドヤっている顔が気に食わない。
ハリセンが手元にあったのならば、恐らく叩いていたことだろう。
だが、空気を読むのもメイドの務めってやつである。
「ご謙遜を、レディ。どうか我らが歓待、ささやかではありますがお受けいただきたく」
「ありがとうございます。ですが……」
辞そうとしてステラはルクスに止められる。
何を、と思えばルクスは目をキラキラさせていた。
「あの! せっかく精霊さんたちがいるんです。仲良くなれたりするんでしょうか! それと精霊さんたちの間に伝わる音楽とかあったら教えて頂きたいんですけど!」
「音楽、ですか。精霊たちの言葉、それ自体が音色のようである、ということは精霊に感応する力を持つものが語るところではありますが……」
その言葉にステラは思う。
この世界は精霊がいる世界だった、と。
しかし、ルクスは興味津々であるが、親和性はないということだった。
いや、ちょっと待て。
今音楽って言った?
「なんです?」
「いえ、精霊に対して興味を抱くのはいいですが、地獄は現実だけで充分だと何故思わないのですか?」
「何の話です?」
距離を取るステラにルクスは首を傾げる。
「耳をすませば、貴方様にも聞こえるかも知れませんね」
団長に言われてルクスは耳を澄ます。
風の音、湖面が起こすさざなみ、木々が揺れる、それらが全て精霊の力によるものであるというのならば、自然の中で彼らの息吹というものを感じ取れるかも知れない。
それもまた音楽なのだろう。
「お話中、失礼いたします」
辺境騎士『ソグン』が二人に食事を近づいてくる。
彼女の姿を認め、ステラは訪ねたいと思っていたことを告げる。
「私に、ですか?」
「ええ、『ソグン』様の人造竜騎はクリスタルビットをお使いなのですね」
「はい、まだ未熟ゆえ、数は多く展開できませんが……」
彼女の能力は凡庸だということは、『獣騎バジリスク』の見立てからも正しいといえるだろう。
だが、ステラが気になっていたのはそこではなかった。
「なかなかに珍しい装備だと思うのですが」
「この辺境の地を護る人造竜騎においては至って標準的な装備です」
「そうなのですか?」
「はい、我らが乗騎『ケルビム』においては」
その言葉にステラは目を見開く。
『ケルビム』。
何故、とその単語が出たことに驚きを禁じ得ない。
如何なる謂れが、と更に問いただしたいと思った瞬間、ルクスの声が聞こえる。
「――なるほど。わかりました。それでは教えてもらったからには返礼を。今聞いた皆様の声を曲にしてお返ししちゃいますね♪」
ステラの首がグリンと曲がる。
そう、今なんかルクスが演奏する感じの事を言った!
「ま、ちょ、勇者、待ちなさ」
い、とは言えなかった。
響くは旋律というか、破壊音波。
ステラは間に合わなかった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ファルシータ・フィラ
ぐへへへ、ご褒美のお時間ですわ!
ソグン様!!ご尊顔!!早く見せて!!!
ああん、そんなに引かれますと滾りますわ!!!
大丈夫!ちょっと気持ち悪いだけで触ったりしませんので!!
この眼(サイバーアイ・レコーディング)で心にメモリーしておくだけの、
周りに迷惑をかけないタイプの変態淑女ですので!!
ああ、この高揚と感動と萌えを現すには
推しグッズを振るしか!全力で!叫ぶしか!!
武器など不要なのです、推し事には!!
あ、ちょ、出禁は勘弁してくださいませ?!
あ、そういえば
最後にズィーベンさんが何やら言っていましたわね?
此処が果ては良いとして……『怨憎会苦の先』?
そんなものがあるのでしょうか?
ソグン様はどう思います?
ファルシータ・フィラ(アレキサンドライト・f44730)は推しのために生きている。
推しを見つけ、推す。
ライフワークであったし、生きる意味であったし、存在意義であった。
推しの生活の片隅に、いや、壁とか床とか天井になりたいと常々思っていた。
ハッキリ言って、度し難いってやつである。
「ぐへへへ、ご褒美のお時間ですわ」
表情も言動もやばい。
ファルシータは辛抱たまらぬと言わんばかりに己が乗騎から飛び出した。
大地を踏み鳴らす音。
自分の鼓動の音なのかどっちかはわからなかった。
でもいいのである。
漸く見れる!
何が?
「『ソグン』様!! ご尊顔!! 早く見せて!!!」
「えっ」
水色の人造竜騎を目印にファルシータは走った。
それはもうこんなに駆け抜けたことはないと言わんばかりに走った。涎がこぼれていたし、なんか無駄にキラキラしていたが、走ったのだ。
「ああん、そんなに引かれますと滾りますわ!!!」
何処からどう見てもやばい奴である。
不審者として他の騎士から取り押さえられなかっただけ奇蹟であろう。
「大丈夫! ちょっと気持ち悪いだけで触ったしませんので!! この眼に心でメモリーしておくだけの、周りに迷惑をかけないタイプの変態淑女ですので!!」
「自分で言った……」
「自己申告すればいいてもんじゃないでしょ……」
「あれで許されるってどうして思ったんです?」
周囲がざわつくほどのアレな感じのファルシータをよそに『ソグン』は引いていた。
びっくりするほど引いていた。
そんな顔も素敵!
声からして美少女だと思っていたが、本当に美少女である。
薄幸の色素薄い感じかなって思ってたけれど、そんなことはない。普通に美少女。いや、千年に一度の美少女という感じがしてならない。
なんていうか、涎が止まりませんわ、という具合である。
「ああ、この高揚と感動と萌えを顕すには! 推しグッズを振るしか! 全力で! 叫ぶしか!!」
ファルシータはサイリウムみたいな何かを振りまくる。
ヲタ芸もびっくりなぐらいにふりふりしまくっていた。
「あ、あの……」
「ひっ! 出禁は勘弁してくださいませ?!」
「いえ、そうじゃなくてですね」
「もしかして、ファンサですか! 公式からの急な供給にわたくしのお腹いっぱいですわ! いえ、おかわりいただけるのならば、釜の底までお付き合いいただきたいのですが!!」
ファルシータの様子はちょっと常軌を逸していた。
が、『ソグン』は根気強かった。
「あの、せっかくですから、御礼をと」
「そのお言葉だけで充分過ぎますわ! 推しからの認知! ありがとうございます! ありがとうございます! こんなの昇天してしまいますわ~!!」
ファルシータはのけぞりブリッジでビクビクしていた。
ハッキリ言ってやばすぎる。
だが、ファルシータは急に素に戻る。怖い。
「あ、そういえば、最後に『ズィーベン』さんが何やらおっしゃっていましたわね?」
「急に冷静になるじゃん」
「情緒」
周囲の騎士たちのヒソヒソが痛い。
「此処が果てはよいとして……『怨憎会苦の先』? そんなものがあるのでしょうか?」
『ソグン』はどう思っているのだろうかとファルシータは問いかける。
「わかりません……でも」
「でも?」
「生きるのは多くの苦しみが待ち受けています。悲しみも痛みも、そうしたものなのでしょう。何かを憎むこと憎まれること。その多くが人の生きる道には数多ある……百獣族が私達祖先の大罪に怒りを持って過去より蘇るのなら」
それは悲しいことだ。
未だ何処にも至ることのできないことである、と『ソグン』は言う。
「きっと幸いがあるのだと、その先を彼も思ったのではないでしょうか。そうであったのなら、と私は思うのです――」
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
UC常時発動中
取り合えず歓待は楽しく受けるとするぞ
酒は飲めねーからジュースだがな
「メルシーは美味しく頂くぞ☆」
後は美味い飯!お宝!
そして美人騎士ことソグンとダベるぞ!
つーわけでケルビムについて教えてくれ!
どういう竜騎なんだ?
そうだなぁ…話せる範囲で善ければ参考にしたいんだ
「やっぱり気になるんだねー☆名前もセラフィムと似てるしね☆」
どういう歴史を辿ったかも聞いてみたりする
亡きズィーベンへ
んなもんあるに決まってるだろ
之でも弓道してた奴に罠をかけて片目失明させたクソ女に対して同じように塩酸を目玉に流して片目失明させた事もあるわ
だがなぁ…全然すっきりしなかったわ
寧ろ気分悪かった
意外とすっきりしねーな
「カシム殿、ささ、どうぞ」
「おーおー、けど僕は酒飲めねーからジュースでな」
「そうなのですか。共に飲み交わしたいと思っておりましたが、仕方ありませんな。ですが、お連れのレディは嗜まれるご様子」
「美味しいー☆」
そんな辺境騎士団の歓待を受けていたカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、息を吐き出す。
先程まで戦いがあったとは思えないほどに長閑な景色である。
精霊の地と呼ばれる辺境遅滞。
ここが本を正せば百獣族の土地であることは言うまでもない。
そして、此処を取り戻そうとまた百獣族は黄泉帰ってくるだろう。戦いの連鎖はまだ断ち切れていない。
どこまでも戦いは、憎しみは連なっていく。
「どうかなされましたか」
辺境騎士『ソグン』の言葉にカシムは頭を振る。
「いや、別に。それより、『ケルビム』について教えてくれよ! どういう人造竜騎なんだ?」
カシムからすれば、そちらのほうが気になると言う態度で『ソグン』に尋ねる。
彼女は少し考えるようであった。
「辺境の地、『ラーズグリーズ』辺境伯が治める、いえ、治めていた土地にて鍛造された我らが乗騎『ケルビム』は、汎用性の高い人造竜騎として知られております」
「ほう。カラーリング以外は他の騎士たちの機体も似たようなもんだしな」
カシムは石化から開放された人造竜騎を見回す。
個人の機体の色は互いを認識するために必要なことなのだろう。
装備もどちらかと言えば、バハムートキャバリアにおける人造竜騎の慣例に沿ったものであると言えるだろう。
火器のようなものはない。
が、『ソグン』が操っていたクリスタルビットは特殊な装備なのではないか。
「あれは本来は騎士道に悖る使い方をするものなのです。ですが、私達はあれを防御のために使っております」
「壁見たく敵の攻撃を防ぐために、と?」
「はい。かつて我らが祖先はクリスタルビットを礫のように放ったと伝え聞いております。それは騎士道に反する虐殺兵器……我らは戒めとして、あれを過去と同じように扱うことはございません」
攻撃に転用できない武装を積む、ということは完全なデッドウェイトだろう。
だが、それを過去の大罪の贖罪、咎といて背負うという意味合いもあるのだろう。
「ふーん、そうなんだな」
「やっぱり気になるんだねー☆ 名前も『セラフィム』ににてるしね☆」
「だがまあ、この世界では今も動いているっていうのが凄いところであるな」
カシムはひとしきり人造竜騎『ケルビム』について聞き終えると、猟兵を歓待する宴から離れて湖の辺にて佇む。
すっきりはしない。
戦いが終わっても『獣騎バジリスク』のことを考える。
復讐は復讐を呼び込む。
己もそうだったのだ。
復讐を果たせば、スッキリすると思っていたし、胸がすくような思いが訪れるのだと思っていた。
けれど、そうじゃなかった。
あんな思いを誰かにしてほしいとは思わない。
だからこそ、百獣族との戦いに対してはカシムは思うところがあったのだ。
「意外とすっきりしねーな」
憎しみの連鎖は、まだ断ち切れない。
今と過去とが繋がっているように。
けれど、とカシムは思うかも知れない。
いつの日にか、この連鎖を断ち切ることができると――。
大成功
🔵🔵🔵