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優しき決闘者は骸骨獣騎

#バハムートキャバリア

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#バハムートキャバリア


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●|百獣族《バルバロイ》、襲来!
 キャメロット城に、新たな挑戦者がやってきた。
「ボクと勝負だ人類! |聖なる決闘《トーナメント》を申し込む!」
 待ち構えていた円卓の騎士に挑戦状をたたきつけたのは、道化の衣装に身を包んだ骸骨百獣族。その姿は、人々を警戒させるに十分なものだった。
「……あっ、そんな怖い顔しないで! ボクも血生臭いのは苦手だから! じゃあそういうことで1つヨロシク~」
 骨ばった手を振って、殺意を否定。
 丁寧な文字でしたためられた挑戦状を騎士に手渡すと、骸骨百獣族は、いったん城から去っていったのだった……。

●バルバの挑戦状
 タビタビ・マタタビ(猫勇者一歩手前・f10770)は、新たな事件のお知らせを始めた。
「『バハムートキャバリア』世界のキャメロット城に、百獣族が攻めてきたんだよ! っていっても、正々堂々の決闘を申し込みに来たんだけどね」
 今回、人類に挑戦状をたたきつけたのは、絶骨獣騎『ピース』。
 骸骨の姿をしているが、あまり戦や殺戮が好きではないらしい。
「ひとくくりに百獣族っていっても色んな奴がいるんだね。『百』っていうくらいだし」
 しかし、聖なる決闘である以上、これを受けないわけにはいかない。
「受けるとなったら……まずは宴会だね!」
 城下の人々が開いてくれる宴会に参加し、決闘の士気を高揚させるのだ。
 街の人々と大食い対決や飲み比べをしたり、屈強な騎士達と力や技を競ったりもできる。
 なお、挑戦状をたたきつけてきた張本人……張本獣?……ピースも参加するらしい。元々荒事より楽しい事の方が好きだというから、安心して大丈夫だとは思われる。
「せっかくだし、相手に本当に殺意がないかとか、どういう性格かとかを見極めておくのもいいかもね」

 ひとしきり宴を堪能した後は、いよいよ決闘の時間だ。
 だが、その前哨戦として、猟兵にはある試練が課せられる。
「魔の洞窟探検だよ……!」
 タビタビによれば、決闘を行うためには、決闘場へとつながる洞窟を踏破しなければならないという。
 内部は複雑で迷路のようになっており、謎の生物も生息しているとか。
 道のりは暗く幅が狭いうえ、天井が低く、人造竜騎やクロムキャバリアに騎乗しての移動は不可能だ。生身の実力が試される。
「この程度の試練を乗り越えられなきゃ、聖なる決闘なんてできないよ、っていうことなんだろうね。頑張ろう!」

 そして辿り着いた決闘場、いよいよ|獣騎《バルバ》に変形したピースとの決闘だ。
 が、相手が提示したのは、歌勝負や弾幕回避対決、そして、ピースが用意した簡単なゲームでの対決と、一風変わったものばかり。
「普通の百獣族と違って、ちょっと調子が狂うかもしれないけど、手を抜かないのが礼儀だよ! それが騎士道だから!」
 きりっ。
 タビタビは、騎士っぽい凛々しい表情で猟兵達を鼓舞すると、キャメロット城への道を開くのだった。


七尾マサムネ
 バハムートキャバリア名物(?)、百獣族との聖なる決闘……なのですが、今回は少し毛色が違うようです。

●第1章
 キャメロット城下で開かれる、壮行会的な宴会に参加します。
 今回の決闘相手である百獣族『ピース』も、百獣族の姿で参加しています。敵味方であることはいったん忘れて、楽しく交流しましょう。

●第2章
 決闘場へつながる洞窟を潜り抜けます。
 狭く複雑な洞窟のため、キャバリアなどで一気に駆け抜けることは不可能です。

●第3章
 いよいよ、骸骨獣騎『ピース』との決闘です。
 歌唱対決、ピースの弾幕を回避する勝負、そして、いくつかのゲームを用いた対決が行われます。
 いずれも卑怯な手は使いません。聖なる決闘なので!

 それでは、皆さまのご参加、お待ちしております!
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第1章 日常 『騎士道に則って決闘前の壮行会を開こう!』

POW   :    力比べや飲み比べなどで競ったり、食事をして英気を養ったりする

SPD   :    徒競走や射的の腕を競ったり、ダンスなどで士気を上げたりする

WIZ   :    問答や詩のやり取りをしたり、音楽を奏でて気持ちを安らげたりする

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 キャメロット城下。
 大きな酒場の1つを借り切って、聖なる決闘の壮行会が開かれていた。
 街の人々や円卓の騎士に混じって、骸骨の姿が見え隠れ。
 ひきつった笑顔で応じる人々に、骸骨獣騎『ピース』は、友好アピールに余念がなかった。
「何しようか? 歌う? 踊る? あっそうだ、安心して! こんな骨だけど、ちゃんと料理は食べられるから!」
 コミュニケーション能力の高いピースに、騎士や街の人々はたじたじだ。
「私達をだまそうとしている、わけではないのか……?」
「こういう百獣族もいるのね……」
 せっかくの機会だ。百獣族の変わり者と交流してみるのも悪くない。
儀水・芽亜
これまた毛色の違う|百獣族《バルバロイ》ですね。人が好さそうというか。
そういう方は嫌いではありませんよ。

宴席には音楽が欠かせないでしょう。
竪琴を「楽器演奏」して主に向かいて新しき歌をうたえを「歌唱」します。
宴会が平和に進めば何よりで。

『ピース』さんでしたね。どうでしょう、ここで一つ芸など披露されては?
ジャグリングとか出来ますか? こう、刃物の代わりに自分の頭をお手玉するとか。
それにしても、食べたものはどこへ行くんでしょう? 頭蓋骨の中?

夜も更けてきましたね。少し熱気が落ち着いてきました。
『ピース』さん、あなたは何を思ってこのキャメロット城くんだりまで来られたのです? 争いは好まないのでしょう?



 賑やかに催された、決闘者を鼓舞する宴。
 歓迎を受ける猟兵の中には、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)の姿もあった。
 街の人や円卓の騎士による歓待を一通り受けた後、芽亜は、竪琴を手に取った。
 こうした宴席には音楽が欠かせぬもの。竪琴を奏で、|主に向かいて新しき歌をうたえ《カンターテ・ドミノ・カンティクム・ノウム》を歌い上げる。
「おお、これは素晴らしき歌」
「決闘に挑む猟兵殿を鼓舞するはずが、我々がもてなされては世話がないというものだ……」
 芽亜の清らかなる歌声は、人々の心を癒した。
 決闘を控えた時間とは思えぬ穏やかさが、宴席を包む。
 そして芽亜が魅了したのは、人間のみではなく。
「うん、いい歌だね! ボクも思わず歌いたくなっちゃうな~」
 うっとりとした口調で告げたのは、人のサイズに変じた骸骨獣騎『ピース』。
 皆の拍手を受けて一礼した芽亜は、かちゃかちゃと手を打ち鳴らすピースの元へと歩み寄った。
「これまた毛色の違う|百獣族《バルバロイ》ですね。人が好さそうというか。そういう方は嫌いではありませんよ」
「そう言ってもらえると嬉しいな! とりあえず乾杯しよ乾杯!」
 何飲む? 何か食べる?
 妙にかいがいしく芽亜の世話を焼くピース。根っから、そういう性分なのかもしれない。
 そして、杯を交わす2人。
「ぷはー! 人間の飲み物や料理は美味しいね!」
「……飲んだり食べたりしたものはどこへ行くんでしょう? 頭蓋骨の中?」
 謎。芽亜は、百獣族というか骸骨族の神秘を垣間見た気がした。
「『ピース』さんでしたね。どうでしょう、ここで一つ芸など披露されては?」
「芸?」
「ジャグリングとか出来ますか? こう、刃物の代わりに自分の頭をお手玉するとか」
「それいいね!」
 ピースは、指を鳴らすと、頭に手をかけた。
 ぽきっ。
 小気味よい音を立てて頭が外れたので、周りの人々は思わず、ぎょっ、とした。
「大丈夫大丈夫、骸骨だから日常茶飯事! それじゃあ皆さん、ご笑覧あれ~」
 ケタケタ笑うピースの頭部が、くるくる場所を宙を舞うさまを見て、やがて笑いと喝さいが広がった。
 そんなこんなで夜も更けて。
「熱気も少し落ち着いてきましたね。ところでピースさん、あなたは何を思ってこのキャメロット城くんだりまで来られたのです? 争いは好まないのでしょう?」
「他の百獣族からせっつかれてさ。『甦ったのにお前は戦う気がないのか』って。まあ、ボクとしては、決闘にかこつけて人類のみんなと交流できるいい機会だと思ったんだ~」
 芽亜の問いに、ピースは、マイペースに笑って答えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーク・パンドーラ
七尾マサムネマスターにおまかせします。かっこいいアーク・パンドーラをお願いします!

 半妖精の聖杯の乙女×タイタニアキャバリア、99歳の男です。
口調は:古風(我、貴殿、だ、だな、だろう、なのか?)
大切な人には:私的(私、~殿、だ、だね、だろう、だよね?)です

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 飲めや歌えや、なんなら競えや。
 活気に満ちた宴に、アーク・パンドーラ(希望の担い手・f44764)もまた加わった。
「また挑戦者クンが来てくれたんだね、嬉しいな!」
 街の人や円卓の騎士以上に、アークを歓迎したのは、今回の決闘相手『ピース』そのひと……その百獣族である。
「これから刃を交えようという相手と、歓談する機会があろうとは」
「堅いこと言わないで! 決闘の時はもちろん本気だけどさ、楽しむ時も本気じゃないとダメだと思わない?」
 敵対心など、どこへやら。あくまで陽気に語るピースに、アークは重々しく首肯した。
「確かに。民ばかりか円卓の騎士までもが用意してくれたこの宴席。歓待を受けねばむしろ無礼というもの」
「そうそう! それじゃ一番ピース、歌いまーす!」
「一番……?」
 ピースは、会場の楽士から楽器を借り受けると、歌い始めた。
 詩の内容は、英雄譚でも、恨み節でもなく、ただただ平和の尊さを語るものであったので、アークと人々は、驚きを露わにした。
「さあ、次はキミの番! どうやって盛り上げてくれるのかな?」
「我にも何か披露せよ、というのか」
 ピースの空洞たる目の奥に、アークは、確かに期待の光を見てとった。
(「この者は、百獣族も人類も分け隔てないようだ。半妖精である我にも」)
 出自故、人前にこうして出るのは、正直、気が引ける部分もあった。
 だが、この百獣族は、災いとみなされた側面など関係なしに、アークという存在そのものと向き合っているように見える。
(「……でなければ、恨みある人類に友好的な態度などとれようはずもないか」)
 ピースの期待の眼差しに押されて、アークは、用意されていた舞台に上がった。
「では二番、アーク・パンドーラ……我の呼びかけに応じよ、九人の姉妹たちよ!」
 アークの手にした|聖櫃《パンドーラ・ボックス》から、光があふれた。
 現れたのは、九人の姉妹の分霊。
 虚空を舞い踊る姉妹達。そしてアーク自身は、妖精のハープを手に取ると、歌を紡いだ。
 それは、愛を語る詩。
 幻想が顕現する。姉妹の舞と共に披露されたそれは、場を神秘的な雰囲気で包み、観客達に感銘を与えた。
 やがて終演とともに、場内からは、拍手の音が響き渡った。
「ご静聴感謝する。拙き演奏で耳を汚してしまったかもしれないが」
「何言ってるのさ~感動したよ! ね!」
 がちゃがちゃ。
 謙遜するアークに、ピースが周りに同意を求めつつ、若干騒がしい拍手の音を響かせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スイート・シュガーボックス
(宴会場に舞い降りるミミックと幻惑神機男の娘形態)
ここで百獣族『ピース』との聖なる決闘の為の英気を養う宴会を開くって訳だね、ピースさんッ!
「どんちゃん騒ぎは、ウチらにお任せだし☆
うぇ~い、ピースっちも飲んでる〜?」
ディオちゃんは神器『豊穣葡萄』で色んなお酒を自由自在にだせるんだ。ピースさんも円卓騎士さん達も街の皆さんも別の世界のお酒なんてどうだいッ!

「お酒も入って気分上々☆カラオケいっとく?ピースっちの十八番は何系よ?」
皆盛り上がって来た所でそろそろ甘い物が欲しいんじゃないかい?
俺が作った『美味しいお菓子』のケーキを皆に配ってくよ。
ピースさんもどうぞ。腕によりをかけた一品さッ!


【アドリブ歓迎】



 猟兵を次々と迎え、賑やかさを増す宴会場に舞い降りるミミック、そして陽気なギャル。
 スイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)と、幻惑神機『ディオニュソス』男の娘形態である。
「ここで百獣族との聖なる決闘の為の英気を養う宴会を開くって訳だね、ピースさんッ!」
「どんちゃん騒ぎは、ウチらにお任せだし☆ うぇ~い、ピースっちも飲んでる〜?」
「飲んでる飲んでる~!」
 2人の呼びかけに、杯を掲げてピースが応えた。
 今はこうしてヒト型をとるもの同士、ディオニュソスとは何か通じ合うところがあったりするらしい。
「ディオちゃんは神器『豊穣葡萄』で色んなお酒を自由自在にだせるんだ。ピースさんも円卓騎士さん達も街の皆さんも、別の世界のお酒なんてどうだいッ!」
「「「お酒!!!」」」
 スイートの魅惑的な提案に、ピースと騎士と街の人の声が重なった。人類と百獣族の心が1つになった瞬間である。
「いただきます! うん、美味しいねコレ!」
「ふむ、これが異界の酒か。また違った味わいが……イイ」
「あ~美味い、もう一杯!」
 ディオニュソスの振る舞う酒は、実に好評であった。元々賑やかだった宴席が、一層盛り上がる。
 皆の笑顔を酒の肴に、スイートも上機嫌。
「お酒も入って気分上々☆ じゃあ次カラオケいっとく? ピースっちの十八番は何系よ?」
「ん~ボクはバラードかな! 人の言葉でいうところの!」
 スイートとディオニュソスに乗せられ、ピースは一曲披露した。
 予想外にしっとり歌い上げるピースを、スイート達はマラカスで盛り上げた。
「縁もたけなわってところで、そろそろ甘い物が欲しいんじゃないかい?」
「そうだね~! ボクも歌ってカロリー消費したし!」
「ふっふっふ、そんなこともあろうかと!」
 じゃじゃーん!
 スイートが皆に振る舞ったのは、自作のケーキ。もちろん美味しい。
「私達までもてなされていいのでしょうか」
 困惑する街の人達にも、スイートは容赦なくケーキを配っていく。
「ピースさんもどうぞ。腕によりをかけた一品さッ!」
「わお! こんなにもてなされちゃっていいのかな~? これは決闘でたっぷり本気ださないとだね!」
 もぐもぐ、ごくり。
 普通に食欲旺盛なピースを、周囲の人々は、不思議そうに見守っていた。
 まあ自分もミミックで不思議存在だし、隣のディオちゃんは神機でギャルだし。
 ということでスイートも、骸骨が飲み食いするくらいは普通に受け入れているのだった。せっかくの宴の席、楽しければ全てヨシ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

玄羽・レン
◆SPD
外見はさておき、振る舞いはほぼ愛らしい少年ですね…
いいでしょう、私も魔法使いとして決闘の介添に携わります

宴の賑やかしに併せて勇士ピースの観察も欠かしません

UC【反復の従者】で15体の球体関節式錬金人形(踊り子型)を運用
自前の〈錬金術Lv100〉を用いて人形の〈パフォーマンスLv100〉披露
黒き短杖〔アルフィーネ〕を指揮棒代わりに振るえば
内蔵した自動演奏や可憐な舞踏を以て盛大に華を添えます

…この裏では諜報技術たるUC【影繰り乙女】を駆使して
32の瞳で勇士ピースを〈偵察/情報収集〉します
潔白かつ喜んだなら、お姉さんは笑顔も魅せましょう

出し物が終わった時点で人形達は撤収
私も宴席を楽しみますよ



 朗らかな合唱が、宴会場に響き渡る。
 街の人々の歌声、それをリードするのは、百獣族である『ピース』だ。
「外見はさておき、振る舞いはほぼ愛らしい少年ですね……」
 玄羽・レン(『元』対歯車のコッペリア・f44108)は、百獣族な挑戦者をそう見立てた。
「いいでしょう、私も魔法使いとして決闘の介添に携わります」
 そうして、自身も宴席に加わるレン。
 もてなされるだけでは物足りぬ。自身も賑やかしとして、宴に彩りを添えることにした。
 ステージ上、ユーベルコードを用いて呼び出したのは、15体の球体関節式錬金人形。今回は、いずれも踊り子型。ずらり並んだ麗しきその姿に、人々が注目した。
「わわっ、何か面白そうな事しようとしてるね! ほいじゃボクも拝見~!」
 ピースは、改まって座り直すと、レン達に期待の眼差し。
 場が静まったところで、レンは、|黒き短杖《アルフィーネ》を構え、指揮棒代わりに振るった。
 導きに従い、錬金人形達が、動き出す。
 ある者は内蔵された自動演奏を始め、またある者は可憐な舞踏を以て、宴に盛大なる華を添えていく。
 レンの指揮の元、整然、かつ、豊かな演奏と舞踏が披露された。
 しかし、華麗なる芸術の裏では、レンの策がひそんでいた。
 錬金人形の15、そしてレンの2を加えた32の瞳が、ピースを見据えていた。大人しくも演奏に聞き入る勇士の姿を。
 それは、試し。この百獣族の笑顔が、本心からのものであるか否か。また、その真意はどこにあるのか。
 果たして、分析の結果は。
「……ふふっ」
 微かな笑みがレンから零れ落ちたことに、誰か気づいた者はいただろうか。
 微笑の理由は一つ。ピースがまことの勇士であり、潔白であると判断したからだ。
 誰にも悟られぬようこぼした笑みは、やがて明確な笑顔となって人々を魅了するものとなった。
 ひそやかに繰り広げられていた静かな戦いは、人々には知られることなく。
 錬金楽団による演奏が終わり、レン達が一礼すると、会場から拍手喝采が上がった。
「猟兵さんも、そんなふうに力を使う事が出来るんだね! うんうん平和が一番!」
 舞台袖に撤収していく人形達を見送るピースが、何やら満足げに頷いている。
「ボクも争いとかに力を使うのはあんまり好きじゃないんだよね……」
 ぽつり、と発した小声こそが、ピースの本音であったか。
「それじゃあ、私も宴を楽しむ側に回るとしますか」
 幸い、食べ物も飲み物も、まだまだたくさんある。
 ピースとともに、人々が披露する歌や踊りを堪能するレンだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
踊りの心得ぐらいはあるが……ここは酒場なのだ、酒盛りといこう
骨が飲むのだ、鎧が飲んでも文句はあるまい
……おっとっと、呷った酒で冑の中の青炎が吹き上がる

飲み比べでもしながら雑談の体で相手の思想を知りたい
百獣族は人類に皆殺しにされた者たち。
目の前の変わり者とて親しい者を理不尽に奪われたのだろう、恨み骨髄であるのが当然。
己の誉の為に作法を守るというなら解るが何故こうも親睦を深めたがる?

我が騎士道は『民に勝利を捧げること』だがこの世界の騎士道は矜持を誇示してこそ。
なれば目前の敵の矜持も理解したい。同じ土俵に立ってこそ、だ。



 街の人々や、円卓の騎士も交えての、にぎやかなる宴席。
 程よき喧噪の中に、静かなる鎧姿があった。ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)である。
「さあさ、みんなも一緒に踊ろうよ!」
 人々に馴染んだ『ピース』が、軽妙なダンスを披露している。
 人類も騎士道に則り、種族の分け隔てなく接する時代だが、それにしても、この百獣族の友好具合は変わっているといえよう。
「あらよっ、と。あっ、そこの鎧さんも踊ってみない?」
 ピースに誘われたルパートは、手を振り辞退した。
「踊りの心得ぐらいはあるが……ここは酒場なのだ、酒盛りといこう」
「おっ、それはそれでいいね! それでいこう!」
 踊りをよきところで切り上げたピースは、ルパートの隣の席に腰を下ろした。
 さっそく、ルパートのリクエストにこたえて、酒が運ばれてくる。
「骨が飲むのだ、鎧が飲んでも文句はあるまい……おっとっと」
 ルパートが、妙な声を上げた。呷った酒で、ぶわりと、冑の中の青炎が吹き上がったのだ。
「さて百獣族というのは酒に強いものだろうか。一つ飲み比べに付き合ってもらいたいのだが」
「問題なしなし! じゃあかんぱーい! どんどんお酒持ってきて~」
 骸骨と甲冑、奇妙な取り合わせの酒宴が始まった。
 ぐびぐび。
 次々と注がれる酒を楽しんでいく2人……2体? まあ種族など、この際、関係ない。酒精は皆平等に心地よい時間を与えてくれるのだ……!
「百獣族は人類に皆殺しにされた者たち」
 ルパートが、酒の肴を食みながら、呟いた。
 目の前の変わり者とて親しい者を……あるいは自分自身の命すらも……理不尽に奪われたのだろう、恨み骨髄であるのが当然。しかし、
「己の誉の為に作法を守るというなら解るが何故こうも親睦を深めたがる? これから決闘に臨もうという相手とすら」
 ルパートの騎士道とは、『民に勝利を捧げること』。だが、この世界の騎士道は矜持を誇示してこそ。
 なれば目前の敵の矜持も理解したい……それが、ルパートの望みであった。
「キミこそ、ボクの事知りたいのはどうして?」
「それは、同じ土俵に立ってこそ、と思う故」
 ルパートの意志を汲み取ったのか、ピースはハハハッ、と笑ってこう言った。
「親睦のワケなら、『相手の事を知って仲良くなりたい』からかな? 知り合いとは殺し合いなんてしたくないのが人情ってもんでしょ? まあボクは骨だし百獣族だけど!」
 ボクは、殺されるのも殺すのも嫌だから。
 一瞬、ピースが真剣さを帯びたのを、ルパートは感じ取ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
疾駆する者常時発動中
「ご主人サマー☆」宴会だよ☆聖なる決闘に向けての宴会やってるぞ☆」
判ってるわ!

兎に角だ!此処でたっぷり飯食って英気を養って英気を養うんだろ
上等だ!美味い物巡りすんぞ!

「ひゃっはー☆」
うん?あれがピースとかいう奴か…?
本来百獣族は人類のやらかしに対して怒りマックスな筈なんだが…

【情報収集・視力・戦闘知識】
ピースの立ち回りと動きから人類に対しての意図と狙いを解せ…

…って…嘘だろ…本当に普通に遊んで食べて飲んでるだけだぞ…!?

……此奴に関しての伝承とか過去の情報とかって無いか…?
「解析してみるぞ☆」
UC発動
【伝承知識】
ピースの伝承について調査

その間に僕は挨拶だ
よぉ…僕は最強無敵の(自称)天才魔術盗賊のカシムさんだ!しくよろ!

士気揚げには踊りとかもあるのか
このカシムさんの華麗なステップ見せてやらぁ!
という訳でピースとダンスバトルしつつ遊んでるぞ

観察しながらも人類に対する殺意や憎悪の類も無いか観察

……全くない…のか…!?いや…悲しみみたいなのはあるようだが

後で伝承確認



「ご主人サマー☆ 宴会だよ☆ 聖なる決闘に向けての宴会やってるぞ☆」
「判ってるわ! もう目の前でみんな盛り上がってるし!」
 喧噪にもかき消されぬ絶妙なやりとりに、人々が振り返る。
 やりとりの主、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、傍らの銀髪少女……メルクリウス人型形態に引っ張られるようにして、宴会場を訪れていた。
 既に猟兵を迎えているという事もあり、会場は随分と活気づいている。
 さっそく、料理の香りが、カシム達に誘いかけてくる。
「兎に角だ! 此処でたっぷり飯食って英気を養って英気を養うんだろ。よっしゃ上等だ! 美味い物巡りすんぞ!」
「ひゃっはー☆」
 カシムが言った時には、とっくにメルシーは、人々から食べ物や飲み物を振る舞われていた。早い。
 決闘者であるカシム達は、今回の主賓という事だけあって、実にもてなされた。
 メルシーの食欲旺盛モードを呆れ顔で監視……眺めていたカシムは、何やら人だかりができている場所を発見。
「うん? あれがピースとかいう奴か……?」
「ひゃー! 人類の料理は美味しいね! 飲み物もサイコー!」
 やけに陽気な声が響いてくる。それを耳にしたカシムは、怪訝というか困惑の表情を浮かべた。
「本来百獣族は人類のやらかしに対して怒りマックスな筈なんだが……」
 このもてなされ具合は何事?
 骸骨獣騎の真意を推し量るため、カシムはピースの様子を観察した。その立ち回りと動きから、人類に対しての意図と狙いを解せ……。
「……って……嘘だろ……本当に普通に遊んで食べて飲んでるだけだぞ……!?」
 ほんのりと戦慄。
 そんなはずはない。いや、そんなことならそんなことで別にいいのだが、何せ相手は百獣族。
 円卓の騎士と肩を組んで酒を酌み交わしているなどという光景が、現実とは思えない。
 カシムは、絶賛もてなされ中のメルシーに耳打ちした。
「……此奴に関しての伝承とか過去の情報とかって無いか……?」
「もぐもぐ……ごくん。解析してみるぞ☆」
 お食事からのユーベルコード発動。
 メルシーが、ピースにまつわる伝承について調査している間に、カシムは件の百獣族に挨拶した。
「よぉ……僕は最強無敵の天才魔術盗賊のカシムさんだ! しくよろ!」
 自称だけど。
「やあ! 僕はピース! 平和と楽しいことが大好きな骸骨族さ!」
 ピースにつられてハイタッチ!
「せっかくだし、一緒に踊らない?」
 ピースが示したのは、会場の一角で、ダンスに興じる人々の姿。
「士気揚げには踊りとかもあるのか。なら、このカシムさんの華麗なステップ見せてやらぁ!」
 そんなこんなで、カシムは、ピースとダンスバトル開始!
「わお! 上手だね~。ボクも負けてられないし!」
 カシムの体さばきに、対抗心を燃やすピース。
 しかし、カシムも、ただただ楽しんでいるはかりではない。激しさを増すバトルの中にあっても、人類に対する殺意や憎悪の類が無いか、観察を怠らない。
 ……のだが、導き出された事実に、カシムは驚愕リターンズ。
「……全くない……のか……!? 憎悪……!?」
 ない。
「いや……悲しみみたいなのはあるようだが」
 困惑を隠せぬカシムに、骨ばった……というか骨そのものの手が差し出された。
「ふう、いい汗流したね! ボク骸骨だけど! キミのダンスもすごかったな~」
 ピースから求められた握手に応じながら、後で伝承確認しようと心に決めるカシムだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『洞窟探検』

POW   :    灯りを掲げ、ひたすら前進する

SPD   :    周囲の音や気配に気を配る

WIZ   :    魔法を使い、危険から身を守る

イラスト:みささぎ かなめ

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 キャメロット城を朝日が照らす。
 一晩中続いた宴も無事終わり、士気も十分。
 いよいよ、聖なる決闘がおこなわれる地へと、猟兵達は出発する事となった。
 街の人や円卓の騎士に見送られ、まず向かうは、試練の洞窟。
「じゃあボクは、一足先に決闘場のお城で待ってるね~!」
 ぎゅんっ! 『ピース』がすごい勢いで去っていく。
 昨晩、さんざん飲み食いして歌い踊ったはず。それでも疲れを一切感じさせないあたり、百獣族恐るべし、といったところか……。

 そして、猟兵が足を踏み入れた洞窟は、恐ろしく暗かった。
 人造竜騎で一気に駆け抜けようにも、通路の幅が狭く、とても進入できそうにない。
 肝心の道のりは、複雑な迷路状で、猟兵達の進行を妨げる。闇の中からは、妙な気配も感じる……。
 しかしよく見れば、壁には、何やら絵が刻まれている。
 そこに描かれたのは、ピースに似た獣騎らしきものと、人造竜騎のようにも見える。過去の伝承を壁画にしたものだろうか? 劣化が激しく、全貌をつかむことはできないが。
 ともあれ、こんなところで足踏みはしていられない。この難所を突破し、ピースとの決闘を果たすのだ……!
儀水・芽亜
やれやれ、お足の早いことで。
それでは私たちも後を追いましょうか。

そもそも、マグライトのひとつも持ち込めば、それでいいのです。
「落ち着き」払って、電灯が照らす範囲を歩いていきます。
「足場習熟」で、穴に転落しないように。
必要なのは、一歩一歩を確実に踏みしめる「集中力」。
あとは、一応羊皮紙にマッピングしながら先へ進みますか。

入口にあった古い壁画は、この洞窟の壁にも記されているのでしょうか?
たまにライトをそっちへ振ってみましょう。
中世のカトリック教会では、文字が読めない信者に『聖書』の内容を説くためにステンドグラスが使われましたが、これもその類ですかね?
彼らなりの歴史書なのかもしれません。



 先行するピースを見送った儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)もまた、人々の応援を受けて出立した。
「やれやれ、お足の早いことで。それでは私たちも後を追いましょうか」
 宴を楽しみ、活力は十分に得た。
 それに、芽亜には人類の英知がある。闇を照らす発明品……!
「どれだけの暗さだろうと、そもそも、マグライトのひとつも持ち込めば、それでいいのです」
 あくまで落ち着き払って、洞窟に足を踏み入れる芽亜。電灯に照らし出された地面を、しっかりと踏みしめ、進んでいく。
 生み出された光が、洞窟に陰影を作り出し、その在り様をつまびらかにしていく。
 何処に穴やくぼみ、或いは脆くなった足場があるとも知れない。習熟技能を生かして、着実に、確実に。
 自然の地形というのは、ある意味で魔法的な罠よりも危険だ。魔法がルールの押し付けだとすれば、自然の強みは人知を超えてくる意外性。
 ゆえに必要なのは、一歩一歩を確実に踏みしめる集中力。
 念には念を。羊皮紙へと構造をマッピングしつつ、先へと進む芽亜。
 道を進むうち、いくぶんの余裕を得た芽亜は、ライトを、壁や天井の方に振ってみる。
 硬質の羽ばたき音とともに、複数の影が飛び交った。
「……コウモリの類ですか」
 骸骨化した蝙蝠が、芽亜に場所を譲るように逃げていく。
 闇の住人の去った場所には、壁画があった。入口にあった古いそれと同様のものらしい。
「中世のカトリック教会では、文字が読めない信者に『聖書』の内容を説くためにステンドグラスが使われましたが、これもその類ですかね?」
 彼らなりの歴史書なのかもしれません。芽亜は、物語を秘めた壁画を眺めつつ、進む。
 成立時代は定かでこそないが、人類が百獣族を滅ぼした後のものであるようだ。
 壁画が語るのは、人造竜騎が『ピース』に似た骸骨獣騎を蹂躙するさま。人類の象徴であるはずの人造竜騎が、まるで悪魔のように描かれているのが印象的だ。
 一方で、ピースが人々に食べ物を配ったり、踊りを披露したりしている場面もある。
 つまりこれらは、人々がかつて百獣族……ピースに対して行った所業を悔い、戒めとして遺したものなのだろう。
「人間達が過去の罪を忘れぬようにと……おや、この辺りは少し新しいものでしょうか?」
 これまでとは明らかに画風の違うそれは、人々とピースが仲良く踊っているようす。
 すみっこに署名を見つけて、芽亜は納得した。
「……ピースさんの落書きですね、これは」
 ピースサインをしたピースの似顔絵が、芽亜に笑いかけていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

スイート・シュガーボックス
この洞窟の先にピースさんが待っているんだね。
「さっそく探検開始だし☆」

「…とは言ったものの、めちゃ真っ暗じゃんッ!?」
このままじゃ探検もままならないね。ディオちゃん、ちょっと待ってて。【菓子錬金術】ッ!
『魔法の灯りを灯すキャンディカンテラ(解読Lv100)』を作ったよ。これで先に進もう。

「スイート君。神機的な直感で闇の中から妙な気配を感じるし。」
なるほど、俺に任せて(スッとお皿に乗っけた『美味しいお菓子』詰め合わせを置く)
きっと気配の主もお菓子が食べたいに違いない(ガッツポーズ)
「さっすがスイート君☆」

過去の伝承っぽい壁画もあるね。全部は無理だろうけど解読してみようかな。


【アドリブ歓迎】



 スイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)は、ぽっかり口を開け、挑戦者を待ち受ける洞窟の入り口と対峙した。
「この先にピースさんが待っているんだね」
「さっそく探検開始だし☆」
 ディオニュソスと一緒にいざ冒険! キャバリア系は入れなくとも、ギャルモードなら問題無し。
「……とは言ったものの、めちゃ真っ暗じゃんッ!?」
 入り口から差し込む日の光も、すぐに途切れて闇の世界。ちょっぴりビビりなディオにとっては天敵だ。
「このままじゃ探検もままならないね。ディオちゃん、ちょっと待ってて。【菓子錬金術】ッ!」
 ぽんっ!
 スイートが、パーティ用クラッカーのような音とエフェクト付きで創造したのは、『魔法の灯りを灯すキャンディカンテラ』。
 周囲の闇が、柔らかい光に照らされ、領域を狭めた。無骨な通路の姿も露わになり、うっかり壁と激突する事態は避けられそう。
「これで先に進もう」
 分かれ道に出会う度、2人で行き先を話し合いながら、スイート達は道を選択し、洞窟を踏破していく。
 不意に、ぴた、とディオニュソスが足を止めた。
「スイート君。闇の中から妙な気配を感じるし」
 ギャルになっても、神機的な直感は健在らしい。
「なるほど、それじゃ俺に任せて」
 スッ。
 スイートが取り出したのは、お皿に乗せた『美味しいお菓子』詰め合わせ。
 それを、そっ、と地面に置いてみる。
「きっと気配の主もお菓子が食べたいに違いない」
「さっすがスイート君☆」
 ガッツポーズを決めるスイートに、ディオが拍手。
 さてさて、気配の主は、甘いモノにつられてくれるだろうか……。
『ウニャッ』
 つられた。
 なんかコウモリっぽい羽を生やした猫型モンスターが、お菓子にかじりついていた。
『うまうま……ハッ』
 クッキーをかじっていたコウモリ猫が、急に顔を上げた。
 自分を生暖かいまなざしで見守っていたスイートとディオに気づくと、一目散に逃げていった。お菓子を持てるだけ持って。
「猫でよかったね~。あ、こっちには過去の伝承っぽい壁画もあるね」
 スイートは、カンテラを壁に向けた。創造時に解読のスキルを込めてある。高レベルで発揮されたその力は、欠落した壁画の意図を、スイート達に伝えてくれる。
「この絵、ピースっち、昔から唄って踊ってたんだ☆」
「こっちは人間に騙し討ちに遭って倒されてる……ええと、『人類との共存を望む骸骨獣騎について記す』、だって」
 それは、討ち倒されしピースの物語。
 人類が、自らの罪を忘れまいと遺した昔話だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アーク・パンドーラ
※アドリブ歓迎、共闘可(UCで残した道を仲間も渡れる)

【作戦】
『妖精の外套』の力で「空中浮遊」しながら【虹歩橋架】を発動
自身が歩いた跡を虹色の光で照らしながら「占星術」で行先を決め、
迷路を進む。

【心情】
(壁画を見ながら)
これは、かつての我らの罪の記録か……
|人造竜騎《キャバリア》を狩り、|百獣族《バルバロイ》を殺戮せしめたと言われる遥かな昔の伝承を残したもの。
骸の海より蘇りし彼ら百獣族に、我は一体何ができるのであろうか……
それは都度一人ひとりに向き合い、その術を見出していくしかあるまい
かのピース殿にもそうせねばな。



 暗き試練の洞窟を、アーク・パンドーラ(希望の担い手・f44764)がゆく。『妖精の外套』をまとい、地面を浮遊しながらの探検行。
 【虹歩橋架】……アークが歩いた跡には、虹色の光。輝く軌跡が漆黒を照らし、後に進むもの達の視界を照らす。
 しかし、アークの行軍を阻むのは、視界封じの暗闇だけではない。
「また、選択を求めるか」
 アークの前に立ちはだかる、三叉路。分岐点に出くわすのは、これでもう何度目かになる。
 どれが正解か。ピースの待つ城につながる道か。
 アークは、占星術に、自らの行先をゆだねた。闇中に光を求める……星の導きは、正しくアークを洞窟の出口へと誘ってくれる。
 虹の輝きは、闇にひそむもの達にも作用したのだろうか? 骸骨のコウモリ達がアークを気にするように岩陰からうかがっていたものの、こちらに姿を現わそうとはしない。
 何かを感じたアークが、骸骨達の方へ踏み出すと、彼らはさっ、と飛び去った。
 どこかへと誘うような意図を察したアークは、コウモリの消えた方へと足を向けた。
 悪意はない……そんなアークの直感の裏付けとなるように、人工物が、青い瞳に映り込んだ。
「これを我に見せようとしたのか?」
 虹光に照らされ、露わになったのは、古びた壁画。そこに描かれたのは、様々な種族が相争うようす。
「これは、かつての我らの罪の記録か……」
 |人造竜騎《キャバリア》を狩り、|百獣族《バルバロイ》を殺戮せしめたと言われる、遥かな昔の伝承を残したもの。
 事実を隠蔽するのではなく、あえて人類の罪を記すことで、同じ過ちを繰り返すまいと、自戒の意味を込めて遺されたものだろう。
「骸の海より蘇りし彼ら百獣族に、我は一体何ができるのであろうか……」
 大勢の人造竜騎に囲まれ、骸骨獣騎が追い込まれる光景が、アークの心を締め付ける。周りの人類が巻き込まれぬように庇う百獣族の姿に。
 かのピースに、人類の罪を追求するつもりはないらしい。
 だが、百獣族の大半は違う。聖なる決闘というルールに則りつつも、過去の人類の行いに対する恨みや怒りをたたえている。それをどのように鎮めるのか?
「……都度一人ひとりに向き合い、その術を見出していくしかあるまい」
 かのピース殿にもそうせねばな。
 誠実に相手と向き合う事。それこそが、今自分達に出来ることであり為すべき事。
 アークは改めて心に刻むと、決闘の地へ急ぐのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
いっそ城まで案内してくれればとも思うが、試練も含めての聖なる決闘か

燃える鉛を付加した【武器改造】短剣を随時【投擲】、光源として視界を確保し洞窟へ突入
大部分は【第六感】頼みになるが【環境耐性】と【悪路走破】をもってじっくりと進む。あの骸骨獣騎ならば急かしもするまい

道中、兆しの鈴をつけた短剣によるUC【心暴き唄う音叉剣】で【情報収集】
壁画に切っ先当てれば残留思念、過去の何かしらを知れるやもしれん
あるいは闇の中の"妙な気配"に触れられればとも思うが……成果が無ければ構わず進もう

殺し殺され、ましてや知り合いと殺し合いは御免、か。
それが奴の土俵なら上がるとしよう。柄ではないが……これもまた騎士道だな



 試練与えし洞窟に、金属質の音が響き渡る。
 足音の主、ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は、短剣を闇へと投擲しながら、通路を進んでいた。
 短剣に付加されたルパートの燃える鉛が、灯りとして充分な働きをみせてくれる。
「いっそ城まで案内してくれればとも思うが、試練も含めての聖なる決闘か」
 ほのかなぼやきをこぼしながら、ルパートは、洞窟を進む。
 洞窟自体の複雑な地形が、ルパートを試すように行く手を阻む。
 落とし穴やトラップは存在しないようだが、用心に越したことはない。
 ルパートは、その技能を存分に発揮して、快適とはいえぬ足場を確実に攻略していく。頼りにするのは、自身の第六感だ。
 そうした進軍は、通常よりも速度を大分欠き、時間を要することになるが、
「あの骸骨獣騎ならば急かしもするまい」
 ルパートの脳裏に浮かぶ陽気な骸骨の笑顔が、その考えを、確信に変えてくれる。
 孤独、かつ、静寂とも戦いながら、歩み進むルパート。
 やがて、無骨だった壁面の表情が変わる。それはただの模様ではなく、入り口付近にも存在した、壁画だ。
 ルパートが、短剣を新たに取り出す。灯りに照らされ、兆しの鈴が白銀に揺れる。
 その切っ先を、壁画に軽く触れさせると、刃が異なる形を見せた。ルパートの中に流れ込んで来たのは、複数の思念。
 壁画に宿る、人類に滅ぼされし百獣族の恨みや無念。
 一方で、壁画を作り出したであろう、人類自身の悔恨や戒めの念。そして何より、騙し討ちに遭ったピースの悲しみ……。
 思念に飲み込まれようとしたルパートの背後で、何かが蠢く気配を感じた。
 短剣を壁画から離し、今へと立ち戻ったルパートを見ていたのは、コウモリの形をした骸骨達。
『ワスレナイデ……ナニガアッタノカ……』
『ソウスレバ、ミンナ、ヘイワ……タブン……』
 いくつかを言い残すと、骸骨コウモリ達は闇に消えた。
 それは、ピースの残留思念の一部、あるいはオブリビオンとして蘇ることのなかった百獣族の亡霊のようなもの、だったのかもしれない。
 もしかするとピースにとって決闘とは、同族の無念を鎮める儀式としての意味合いもあるのかもしれぬ。
「殺し殺され、ましてや知り合いと殺し合いは御免、か」
 復讐心、そうした負の感情ではなく、また別種の心残り。それが、あの骸骨獣騎をオブリビオンとして蘇らせたのだろう。
「それが奴の土俵なら上がるとしよう。柄ではないが……これもまた騎士道だな」
 ルパートは、決意も新たに、洞窟を突破していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
疾駆する神発動中

…本来なら壁とかぶっ壊して突き進むのもありだが…
「聖なる決闘を考えるとあんまりよくなさそうだよね?」
まぁ問題はねー
ダンジョン探索は盗賊の仕事って奴だ

何よりちょいと気になる事もあるしな

【情報収集・視力・戦闘知識】
試練の洞窟の壁画について調査
UC発動
あらゆる知識を利用して内容を推測

同時に洞窟の構造と気配についても捕捉

【念動力】
後は進むが同じような壁画や伝承も無いかも確認しつつ
念動力を広げ罠や仕掛けの捕捉に努める

………もしかすると此処で判るのはこの世界の人類の罪科かもしれねーがな

常に五感を研ぎ澄ませ
メルシーを盾にするのも手だが…やめておくべきか
「あれ意外☆」
聖なる決闘らしいからな



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)とメルクリウスは、暗闇を突き進んでいた。
「……本来なら壁とかぶっ壊して突き進むのもありだが……」
 ちらり、カシムがうかがった相方の機神は、本来の巨躯とは程遠い。それに何より、
「聖なる決闘を考えるとあんまりよくなさそうだよね?」
 メルシーの言う通り。
 もっとも、あのピースなら笑って許してくれそうだが、厚意に甘えるのは良くない。
「まぁ問題はねー。ダンジョン探索は盗賊の仕事って奴だ」
 何よりちょいと気になる事もあるしな。
 自信たっぷりのカシムの後に、メルシーが続いた。
「あいつを待たせるわけにはいかねーしな」
 ピースの顔が、カシムの脳裏をよぎる。
 五感を研ぎ澄ませながら、念動力の範囲を広げ、洞窟に干渉するカシム。用心に越したことはない。
「なにかあったらメルシーを盾にするのも手だが……やめておくべきか」
「あれ意外☆」
「聖なる決闘らしいからな」
 幸い、罠や厄介ごとの類は、補足されなかった。
 代わりに、知覚の網に、何かが引っかかる。石や岩陰からこちらをうかがっているのは、骸骨姿の小さき獣。
『アッ』
『ミツカッチャッタ』
 何かを訴えるようなまなざしを一瞬向けたかと思うと、ひょい、とどこかへ去ってしまう。
 引っかかるものを感じ、彼らを追いかけた先に、カシムの興味を惹いた対象……壁画があった。
 さっそく調査開始だ。
「………もしかすると此処で判るのはこの世界の人類の罪科かもしれねーがな」
 ともあれここはメルシーの出番である。
 演算スタート。あらゆる知識を動員して、内容を推測。損傷などにより遺失した部分も含めて、本来の在り様を補完する。
 そうして、疑似再現された壁画の全貌、示される物語とは、
「百獣族と人類の決戦のようすってわけか」
 決戦、と呼んでいいものか。カシム達が向き合った壁画は、百獣族を騙し討ちし、初期人造竜騎にて一方的に蹂躙する様子が描かれたものであった。
 中でもピースと思しき獣騎と、人造竜騎との対決場面が興味を惹いた。襲撃されながらも、ピースは武器を捨て、敵意がないことを示そうとしている……。
 予想通り、ではあったが、人類に絶望せずに済んだともいえる。
 過去の所業を改ざんすることなく、人類の非道をしかと後世に伝えようとしている事に、良心を感じたからだ。
 他にも、ピースが人類と交流する様子……昨日と変わらず、やたら陽気に……を描いた壁画を確認しながら、カシムとメルシーは、ピースの待つ地へと向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

玄羽・レン
◆SPD、極力不殺

洞窟探検程度で音は上げていられませんね
【病院】所属時は斥候も任されたのです

愛用の眼鏡をさっと折り畳み重ね合わせて
〔オデット・ロットバルト:右目用モノクル形態〕へ変形
橙色のレンズに宿る〈暗視〉機能を以て視界を確保
ついでに意味深な壁画も撮影しておきましょう
勇士ピースの考えを深く知るには必要です

妙な気配を感じたらUC【恩讐の氷雨】起動
五感強化で周囲を伺いつつ熱源他の可視化機能で『視認』捕捉
危険生物ならば右手の〔ドルンレースヒェン〕から『|冷たい炎《コールドファイア》』の刃を放出

そんな〈凍結攻撃〉による氷壁で退けつつ進軍しましょう
足場が必要なら〈錬金術Lv100〉で作る事も厭いません



 猟兵がそれぞれの力、あるいは知や道具を用いて洞窟を進んでいく中、玄羽・レン(『元』対歯車のコッペリア・f44108)もまた、果敢に立ち向かっていた。
「洞窟探検程度で音は上げていられませんね。【病院】所属時は斥候も任されたのです」
 過去の経歴が、異世界で役立つ時が来ようとは。まこと縁は異なもの味なもの。
 レンは、愛用の眼鏡をさっと折り畳み重ね合わせると、『|智姫の双輪《オデット・ロットバルト》:右目用モノクル形態』へ変形させた。
 暗闇にキラリ光る橙色のレンズ。そこに宿る〈暗視〉機能にて、黒き世界を克服したレンは、洞窟を進軍する。
 見えているのならば、多少険しい地形であろうと、迷路めいた複雑構造であろうと、踏破は不可能ではない。
「ついでに意味深な壁画も撮影しておきましょう」
 これこそが、勇士ピースの考えを深く知るには必要だと、レンは考えていた。
 実際、古びた壁画は、レンに歴史の真実、そのいくばくかを伝えてくれた。
 壁画はいくつか発見されたが、大まかな内容はどれも共通していた。すなわち、人造竜騎……人類が、百獣族を一方的に蹂躙する光景だ。
 レンは、その中でも1つに見入った。ピースらしき骸骨族の姿。同族ばかりか、人造竜騎の攻撃に巻き込まれようとする人類をも守ろうと、矢面に立っている……
 人類が悪に据えられた物語。しかしこの作者は、ほかならぬ人類自身らしい。
「過去の所業を悔やみ、同じ過ちを繰り返さぬようと後世に伝える目的ですか」
 レンが、人類の後悔の深さに感じ入っていると、何やら気配を感じ取った。
 レンは迷わなかった。
 即座にユーベルコードを起動。気配の主を知覚する。
「コウモリ……の骸骨ですか」
 コウモリの骨格が、肉をまとった状態と同じく羽ばたいている。それは、まるでピースに似て。
「勇士ピースの残留思念から生まれた魔物でしょうか」
『コワクナイヨ』
 骸骨コウモリが喋った。
 ピースが喋るのだから同じ骸骨が言葉を発したところで驚くことではない。レンは平然とその事実を受け入れた。
 敵対の意志がないことを悟ると、レンは一瞬励起しかけた『|冷たい炎《コールドファイア》』をキャンセルした。
 すると、骸骨コウモリたちは、暗闇の中へと飛び去った。それがまるでこちらを導くようであったので、レンは素直に従った。
 ただしその道筋は、あくまで飛行可能なコウモリにとっての正解なので……。
「……足場が必要ですね」
 錬金術で足場を錬成すると、レンは先を急いだ。示された道の先……洞窟の出口へと。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『絶骨獣騎『ピース』』

POW   :    「歌で勝負をするぞ!ボクの美声を見せてやる!」
【歌唱対決をしよう!】の主張を込めて歌う事で、レベルm半径内の敵全てに【楽しい気分】の状態異常を与える。
SPD   :    「弾幕対決だ!ボクの骨弾幕を避けられるかな!」
【手に持ってる大きな骨】からレベル個の【骨型バルーン(爆発しても痛くない)】を召喚する。[骨型バルーン(爆発しても痛くない)]は誰かが触れると爆発し、【おねむにゃん】の状態異常を与える。
WIZ   :    「オマエ達のやり方で勝負だ!ゲームを選べ!」
【マシン改造】と【流行知識】と【世界知識】と【魔力具現化】を組み合わせた独自の技能「【聖なる決闘ゲーム作成(怪我はしない)】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。

イラスト:8みつ.

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はテラ・ウィンディアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「待ってたよ~! さあ決闘の時間だ!」
 決闘の地、古城で待ち受けていた『ピース』が、猟兵を歓迎した。
 案内されたのは、開けた場所……騎士の訓練場。この広さならば、人造竜騎も運用できそうだ。
 というわけで、ピースも、獣騎へと変形を遂げた。満を持して!
「何で対決する? 『歌勝負』? それとも『弾幕対決』? あとは、用意しといた『コレ』でもいいよ!」
 ピースが取り出したのは、スゴロクやプレイングカードといった、ゲームの類。
「どう? 宴会で、人間さん達と遊んだゲームを元に、ボクも自分で作ってみたんだ~!」
 ピースお手製。
 先に決闘場に移動したのは、これを準備するためだったのだろうか?
「『スゴロク』は先にゴールした方が勝ちだし、こっちのカードは、『ババ抜き』っていうゲームで先に手札をなくした方が勝ちってことで! まあ、みんななら知ってると思うけどね!」
 ピースはノリノリだった。
 提示された対決方法は、どれも聖なる決闘のイメージからはいささか遠いが、名誉をかけたものである事に違いはない。
 騎士道精神に則り、恥じるところのない勝利を収めるのだ!
儀水・芽亜
すごく平和的な|聖なる決闘《トーナメント》ですね。この方、満足したら自分で骸の海へ還っていくのでしょうか?

私がここで選ばなければ嘘でしょう。もちろん歌唱対決です。よろしくお願いしますね。

先にも使った竪琴を取り出し、インカムとアリアデバイスを使って、歌声を広げます。「集中力」をもって「楽器演奏」「歌唱」し、「瞬間思考力」でメロディの流れを読んで合わせていきます。
こちらの歌は、銀誓館学園の校歌にしましょう。世の中、踏んではいけない地雷が多いですから。

さて、ピースさんはどんな歌を歌われることやら。まあ、上手い具合にそちらの主題に寄せていきますよ。
旅の吟遊詩人を舐めないでくださいね。



 第一の挑戦者。
 儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)が、『ピース』と相対すべく、踏み出した。
 決闘特有の緊張感こそあるものの、しかし、殺伐とは無縁の雰囲気。
「歌にゲーム……そうした対決種目でいいのですか? すごく平和的な|聖なる決闘《トーナメント》ですね」
「誉め言葉と受け取っておくよ! 殺し合いとか疲れるでしょ~?」
 おどけて見せるピースだが、それが本心であることは、芽亜も了承済だ。
(「この方、満足したら自分で骸の海へ還っていくのでしょうか?」)
 成仏、というか、浄化に近いものかもしれない。
「で、キミはどれで勝負する?」
 ピースの問いに、芽亜は即答した。
「もちろん歌唱対決です」
「へえ!」
「私がここで選ばなければ嘘でしょう。よろしくお願いしますね」
 芽亜が取り出した竪琴を見て、ピースは目を細めた……ような気配を発した。
 芽亜の演奏の腕前は、先の宴でピースもよく知っているからだ。
「先によろしいですか?」
「望むところだ♪」
 歌声を広げるためのサポートデバイス……インカムとアリアデバイスの調子を確かめると、心を込めて竪琴を奏で、歌を紡ぐ。
 芽亜が唄うのは、銀誓館学園校歌。
「世の中、踏んではいけない地雷が多いですから」
「??」
 ピースが首を傾げたが、深掘りするところではないので、芽亜は歌に専念した。
 異世界にて高らかに響き渡る校歌。
「よし、ボクも負けてられないな!」
 ピースは、手にした骨棒をくるりと回した。それを振るって、自らの身体を打つ。
 すると、摩訶不思議な音階が流れ出す。骨そのものを楽器に見立てて演奏を始めたのだ。
 腕や足、打ち鳴らす箇所によって異なる音が響き、それを連ねて曲とする。骸骨獣騎ならではの演奏法。
 ピースが唄うは生命賛歌。
 風や空、大地。その中で生きる百獣族や人類の生命力を歌い上げる。
 思いのほか壮大なそのメロディの流れを、芽亜は瞬時に読み取った。
 おおっ、と、ピースが表情を動かした。芽亜の歌やメロディが徐々に転調し、ピースの側の主題に寄り添い始めたからだ。
 二者の歌が同時に響き、しかしぶつかり合う事はない。
 ……やるね。
 ……旅の吟遊詩人を舐めないでくださいね。
 視線で意志を交わすピースと芽亜。
「……まいったよ!」
 からん、と乾いた打音で歌を締めくくったピースが、両手を挙げた。
「いきなりですか?」
「しょうがないよ、だってキミの歌が……良かったからさ!」
 相変わらずの骸骨らしからぬ朗らかさで、ピースは芽亜を賞賛したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーク・パンドーラ
※アドリブ歓迎

WIZ判定

【内容】
相手と話をしながら「ババ抜き」をプレイする
自身も「魔力具現化、魔力操作、正体を隠す」で
キャバリアの前の手札をシャッフルするなど
観客を飽きさせないように見栄えを重視したプレイングをする
ただしゲームの勝敗に関してはUCを使わずに天に運を任せます

【セリフ】
ババ抜きは最後にジョーカーを残した相手が負けるルールだ

他の札遊びでは万能の力を持つ札として
切り札にも成り得る道化師の札だが
ババ抜きにおいては対になる札の無い、孤独な札だ

決闘儀式においてこの遊戯を選んだ貴殿は
何を思い、何を伝えたいのであろうか……

我はそれを知りたい、
それはかつて過ちを犯した我らの義務であると思うのだ……



 今まさに、アーク・パンドーラ(希望の担い手・f44764)と『ピース』による聖なる決闘が行われていた。
 キャバリアと獣騎。決闘の姿にて対峙する2人が交えるのは、刃ではなく、カード。
 ババ抜き……ピースによって用意されたカードを使った対戦だが、仕掛けがないのはアークも確認済みだ。
 初手でジョーカーが手元に来たのは、アーク。
「ババ抜きは最後にジョーカーを残した相手が負けるルールだ」
「そうだね、全部の札を捨てきった方が勝ちになる……あ、揃った」
 一対一ゆえ、淡々としたゲーム進行になりがち。ゆえにアークは、趣向を凝らす。
 キャバリアの前の手札を、魔力でシャッフルしてみせ、駆け引きを演出する。
「他の札遊びでは万能の力を持つ札として切り札にも成り得る道化師の札だが」
 そろったペアを捨て札の山に積みながら、アークが話を差し挟む。
「ババ抜きにおいては対になる札の無い、孤独な札だ」
「孤独、かあ~。それはちょっとイヤだな……」
 アークの手札を見定めるピース。
 殺し合いや戦いを嫌うピースは、同族の中でも浮いた……それこそ孤独な存在であったかもしれない。
「これに決めた! ………ッ」
 引いた札を睨み、ピースがあからさまに気配を変えた。
 ジョーカーを引いたのだ。もっとも、アークにもわかっているので、勝敗に影響はないのだが、そんなに正直でいいのだろうかと心配にもなった。
 さて、聖なる決闘において、ユーベルコードの使用が禁止されているわけではない。それでも、アークは、素の運と実力のみでの勝負に出た。
 命のやり取りならいざ知らず、ババ抜き。しかも、相手もイカサマなしで来ている以上、これが礼儀であると思うからだ。
「決闘儀式においてこの遊戯を選んだ貴殿は何を思い、何を伝えたいのであろうか……」
 手札をシャッフルし、こちらへと差し出すピースに、アークは疑問を投げかけた。
「我はそれを知りたい、それはかつて過ちを犯した我らの義務であると思うのだ……」
「命を奪った方が勝ち、っていうのは、確かにわかりやすい決着方法さ」
 けれど、
「そうして得た勝利は、虚しいだけだと思うんだ。そして勝者には責任が伴うもの……それは、人類さん達がよく知ってるんじゃないかな」
 騎士道。勝者となった人類が、自らの非道を悔いて抱きし精神……。
 やがて、幾度もの駆け引きを経て、やがてアークの手札は一枚。ピースは二枚。
「手番は我か」
「これで決まるかな?」
 最後は、運を天に任せる。アークが選んだのは……右の札。
「……ボクの負けだ! けど、いい勝負だったよ!」
 ピースは、最後に残されたジョーカーをアークに示すと、握手を求めたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スイート・シュガーボックス
よーし、このスゴロクで勝負だよ。
「おっし!ピースっちもスイート君も負けないんだからッ☆」
ディオちゃんもやる気満々だねッ!

早速ゲームスタート…と、言いたい所だけど準備が足りないね。
そう、ボードゲームをやりながら摘むお菓子やドリンクが足りないねッ!
と言うわけで『美味しいお菓子』を取り出すよ。ポテチにマシュマロ、クッキー…ピースさんも摘めるように獣騎サイズのも用意したよ。
飲み物も『ティーセットコレクション』から獣騎が使えるサイズのカップを用意、『不思議なティーポット』で好きな飲み物をどうぞ。
さー準備完了だ。ゲームスタートッ!

ボードゲームの勝敗は何か?
それは、存分に楽しんだ人こそが真の勝者さ。



「次の挑戦者はキミ達か! 待ってたよ~」
 『ピース』が来訪を喜んだのは、スイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)と、相棒ディオニュソス。
「どれで勝負してくれる? あ、こっちのゲームもおすすめさ」
「よーし、じゃあこのスゴロクで勝負だよ」
 スイートが選んだのは、獣騎も安心な、ビッグサイズのゲーム。
「おっし! ピースっちもスイート君も負けないんだからッ☆」
「うんうん、ディオちゃんもやる気満々だねッ!」
 ピースが、プレイヤーを表す駒を配る。スイート達がそれを手にした瞬間、自分自身に似たカタチへと変化した。魔法ギミックのようだ。
「早速ゲームスタート……と、言いたい所だけど準備が足りないね」
「足りない?」
「そう、ボードゲームの大事なお供、一緒に摘むお菓子やドリンクが足りないねッ!」
 と、いうわけでスイートは、ポテチにマシュマロ、クッキー……『美味しいお菓子』達を取り出した。
「ピースさんも摘めるように獣騎サイズのも用意したよ」
「うわあ、これは美味しそう!」
 『ティーセットコレクション』から、獣騎も使えるサイズのカップを用意すると、『不思議なティーポット』で、それぞれお好みの飲み物を注ぐ。
 ジャンケンで、スイート、ディオちゃん、ピースの順番に決まった。
「さー準備完了だ。ゲームスタートッ!」
 何が出るカナ? 力いっぱい、サイコロを投じるスイート。
「3だね。……あ、何か指示がある」
「『人造竜騎を手に入れた。次から移動の出目に+2する』だって! んじゃ次はウチの番☆」
 ディオちゃんが進んだ先は、『決闘』マス。
「『1か2か3が出たら賞金ゲット』だって、ディオちゃん」
「ウチの豪運見せちゃうぞ☆ えいやっ……1! ウチの勝ちッ☆」
 順調に進む2人に負けじと、ピースもサイコロに念を込め、一投!
「もぐもぐ。ボクのサイコロ運だって凄いさ! ほら6! どうだい……あっ」
 『一回休み』。
「「「…………」」」
 ゲームは続いた。
 スイートが(ゲーム内で)お茶会を開いて2回休みになったり、ディオちゃんが人造竜騎をパワーアップさせてショートカットしたり、ピースがリアルに歌を披露したりした。
 果たして、結末は……。
「ウチが一番乗りだし☆」
「俺が二番だね! それで……」
「ボクがビリだ! うう……この決闘はボクの負けだね……」
 肩を落とすピースに、スイートとディオちゃんが、新たなお菓子とお茶を振る舞った。
「確かに、決闘は俺達の勝ちかもしれないけど」
 ボードゲームの勝敗を決めるのは何か? 所持金? ゴールした順?
「いいや、存分に楽しんだ人こそが真の勝者さ」
 きりっ。
 スイートがかっこよく決めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玄羽・レン
◆WIZ、愛騎外見は全身絵準拠

蝙蝠のお友達が案内してくれました
戦えない人々を庇い、今も武勇の巷に抗う
ピースさん、あなたも立派な勇士ですよ

「万物は一時姿を変え、我が傍の姫機士として凜と起つ」
〔ラ・プーペ・ガラテ〕で愛騎『ガラテ』を錬成/搭乗

私は魔法使い、頭を使う勝負…ババ抜きで
ガラテ用〔アルフィーネ〕を脇に立て準備完了
UC【新しき極星】で杖に籠めるは【白銀の思案/青銀の想起/(他省略)】
問われれば知恵を高める儀式と正直に伝えます

確率論の知見を活かした5倍の探知力を元に
事象予測を積み重ねた強力な勝負勘を駆使
ですが互いの表情は読めず、地の利はあちら
楽しい雑談の一方、白熱した戦になりそうですね…ふふっ



 休憩を挟みつつ、新たな決闘者を待っていた『ピース』の元に到着したのは、玄羽・レン(『元』対歯車のコッペリア・f44108)。
「キミも洞窟を抜けられたんだね!」
「蝙蝠のお友達が案内してくれました」
 レンは、入り口で見送ってくれた魔物への感謝をにじませた。
「それと、戦えない人々を庇い、今も武勇の巷に抗う。ピースさん、あなたも立派な勇士ですよ」
「あ、見た? 見たんだね? 壁画……」
 少しくすぐったそうに体をよじったピースは、獣騎化して万全。
 対するレンは、手にした『|対機甲戦用魔道書《ラ・プーペ・ガラテ》』から光を放つ。
「万物は一時姿を変え、我が傍の姫機士として凜と起つ」
 神秘の力により錬成されたのは、凛々しき蒼銀のゴーレムキャバリア……『ガラテ』。
 颯爽と愛騎に搭乗したレンは、決闘の手段を選択した。
「私は魔法使い、頭を使う勝負……ババ抜きで」
 ガラテ用の金属杖〔アルフィーネ〕を脇に立て、決闘の準備の完了とする。
 【新しき極星】で、杖には5つのユーベルコード……【白銀の思案】や【青銀の想起】を籠めてある。これで演算能力では、おそらくレンの方が上。
(「ですが互いの表情は読めず、地の利はあちら。白熱した戦になりそうですね……ふふっ」)
 思わずこぼしたレンの笑みを知ってか知らずか、ピースの声も心なしか楽し気。
「その準備……全力を出してくれるんだね?」
「ええ。知恵を高める儀式です」
 それは面白そう。ピースは、むしろレンの行動を歓迎しているように見えた。
「じゃあ、カードはボクがシャッフルさせてもらうよ?」
 了承するレン。
 カードはピースが用意したものだ。イカサマするつもりなら、既に済ませているはず。
 しかしそもそも、ピースが不正行為をするとは、レンにはとても思えなかった。
 配られた手札の整理を終え、決闘開始!
(「初手でジョーカーはこちらに来ましたか。では……」)
 レンは、杖の加護を存分に発揮した。
 確率論の知見を活かした5倍の探知力を元に、事象予測を積み重ねた強力な勝負勘を駆使して、札を引き合っていく。
「聖なる決闘、みんなこういうゲームにすればいいのにね~」
「それもありかもしれませんね……あ、そろいました」
「早いな~! まあボクも負けてないけど! ほいっと!」
 たわいないやり取りを差し挟みつつ、順調に手札を減らしていく両者。
 やがて、レンの手札は残すところあと一枚。ピースは二枚。
「これで決着するかな? 引くのはキミだ。さあどっち♪」
 右か左か。
 レンは思考力に、学習したピースの癖を加味した上で、幸運の女神への祈りをこめる。
「私が選ぶのは……こちらです」
「……やられたー!」
 最後に残ったジョーカー。
 ピースは、その札をレンに示して、愉快そうに笑ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
UC【炎吹きて蒼駆せし半身】発動、愛機を召喚し【騎乗】
黄金魔剣は放し、代わりに適当な物を焼いて出した煤で指先を汚しておく

弾幕勝負だ、ピース。
だが避けるだけと思うなよ?

敵UCのバルーンの軌道を【見切り】、青く燃える鉛の翼を展開した高速【空中機動】【ダッシュ】も駆使し潜り抜け接近
すれ違いざまに煤つけた指で一筆書きの【アート】を書いて離脱、このヒット&アウェイを繰り返す
これでも【騎士道】かけた【決闘】だ、一撃二撃程度は【覇気】をもって耐える

まずは一筆。
壁画代わりにその身を落書き塗れにしてくれよう。
お前が|負けを認める《満足する》か当方が先に音をあげるか
いざ、勝負だ。忘れようがない程に徹底的に、な



「待たせたな」
 次なる決闘者として名乗りを上げたのは、ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)。その鎧身へと、『ピース』が問いかける。
「キミはどの勝負を選ぶ?」
「そうだな」
 ピースが見たルパートは、既に黄金魔剣を放し、その指先を煤で汚している。
「カード対決、とかじゃなさそうだね」
「ああ。弾幕勝負だ、ピース」
 対決種目を決定すると、金属質の愛機を呼び寄せるルパート。青鉛を纏ったトライクに騎乗し、迎撃態勢を万全とする。
 対するピースも、リクエストに応えんと、骨型バルーンを召喚する。
「当たっても眠くなるだけだから安心して。けれど、喰らい続ければ、この決闘の敗者はキミになる」
「心得ているとも。だがただ避けるだけと思うなよ?」
 ルパートの言葉が、開幕の合図。
 骨バルーンが中空を踊り回った。
 不気味だけれど愉快なダンス。それぞれに個別の意志があるかのように、全く別の動きを見せるバルーン群。
 戦いを好まぬとはいえ、ピースも獣騎の端くれ。もし本気で命のやりとりをするようなことがあれば、間違いなく強敵……ルパートは、ピースの隠された実力の片鱗を見抜いていた。
 しかし、決闘である以上、負けるつもりはない。こちらを眠りと敗退へと誘おうと、襲来するバルーン群。その軌道を見切っていく。
 スタンドプレーで、またある時は、連携して迫りくるバルーン達を、突破していくルパート。
「もらったよ!」
 ピースが声を上げる。ルパートの背後を、バルーンが捉えていた。
 ついに包囲網が完成する……かに見えた時、ルパートは青く燃える鉛の翼を広げた。
「飛んだー!?」
 戦場を空中へと拡張したルパートは、バルーン達を潜り抜けると、ピースへと肉薄を果たした。
 すれ違いざま、煤をつけた指が、ピースに触れる。
「まずは一筆」
 着弾をかわして離脱したルパートが残したのは、一筆書きのアート。
「壁画代わりにその身を落書き塗れにしてくれよう。お前が|負けを認める《満足する》か当方が先に音をあげるか、いざ、勝負だ。そう、忘れようがない程に徹底的に、な」
「そうか、洞窟のコウモリ達と……ふふん、ボクだって望むところさ!」
 ヒット&アウェイ。
 ルパートとピースの攻防は続いた。両者の動きは、まるでバルーンを交えて踊るようでもあった。
 ピースが楽しな雰囲気をまとっているのを見て、ルパートは安堵にも似た感情を得る。
 そして……。
「降参降参、ボクの負けだよ! 弾幕も形無しだ~」
 ピースが白旗を上げた時、その身はすっかり芸術的。ルパートのアートに彩られていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
機神搭乗
【情報収集・視力・戦闘知識】
ピースの能力と動き
そして攻撃の性質を冷徹に分析…その結果…

………あー…うん
弾幕対決をやろうか(嘘だろ…全部の技に殺傷力皆無だぞこれ…!?

…だが…少しばかりほっとするな
聖なる決闘つってもどいつもこいつも殺し合いばっかりだ
【瞬間思考・見切り】
UC不使用!
骨バルーンの動きを高速思考で解析しその動きを見切り回避しながら

僕は人類のやった事を否定しねーよ
殺し合いなら…自分達が生き続けるなら…手段は選べない
そしてその結果…周りを殺し尽くさねば…潰されてたのは人類だろうからな

ルールを破れば皆容赦なんぞしなかっただろうからな

避け続けながらも呟き

壁画に残っていたピースの行動を思い出し

…なぁ…お前は許せなくねーのか…?流石の僕さえ過去の人類のやらかしは引くレベルなんだが

「(ご主人サマちょっと涙でそうになってたよね…)」

尚此方は攻撃しない
この対決はあくまで弾幕を避ける勝負のようだからな

僕にとっては之こそが本当の聖なる決闘と思えるよ

闘いに聖を抱くなら…殺しはあっちゃならねーから



「ますます楽しくなってきたぞ。それで……次の決闘者はキミ達かい!」
 『ピース』と新たに相対したのは、一体の機神。
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の搭乗する『メルクリウス』だ。
「わア、あの子、人造竜騎みたいな存在だったんだね! さあ、何で勝負する?」
 骨杖を構える獣騎ピースを、カシムは分析した。
 宴での交流で、情は湧いている。しかしこれは聖なる決闘。あくまで冷徹に……その結果……。
「……あー……うん。弾幕対決をやろうか」
「じゃあそれで!」
 喜々として戦闘態勢を整えるピースを、カシムは驚愕の眼差しで見つめていた。
(「嘘だろ……全部の技に殺傷力皆無だぞこれ……!?」)
 しかし一方で、カシムは、どこかほっとしている自分に気づいていた。
「聖なる決闘つってもどいつもこいつも殺し合いばっかりだ。まあ、それが勝敗を決めるのに一番シンプルな方法だってのはわからなくもないんだが……」
 くるり、と回した骨の棒。ピースは、奇術の如く、骨型のバルーンを虚空に複数展開した。
 バルーン、といっても緩い形状ではなく、ピースの武器と同様のディテールを有する、れっきとした兵器だ。
「死にはしない、眠くなるだけ。でも、何度も当たればキミの負け! いくよ!」
 中空に浮遊していた骨型バルーンが、ピースの指揮に合わせて、射出された。
 カシムの逃げ場を封じるように、異なるタイミング、異なる速度で、攻撃を仕掛けたのだ。
 同時に、カシムも動いていた。ユーベルコードを使って、弾幕を突破する事も出来る。だが!
「使わないのかい、ユーベルコード!?」
 ピースが刮目した。
 カシムは、自身の技能、メルシーの機動力のみにて、弾幕に抗った。
 鬼ごっこのように飛び回る骨バルーンの軌道を、高速思考で解析。その動きを見切り、回避していく。
「僕は人類のやった事を否定しねーよ」
 変幻自在に舞うバルーンを切り抜けながら、カシムは言う。
「殺し合いなら……自分達が生き続けるなら……手段は選べない。そしてその結果…周りを殺し尽くさねば……潰されてたのは人類だろうからな」
「…………」
 ピースの、武器を持つ手が、ぎり、と音を立てた。
「ルールを破れば皆容赦なんぞしなかっただろうからな」
 攻性こそなくとも、数と機動力は本気なバルーンを間断なく避けながらも、カシムの呟きは続く。
 その脳裏に描き出されるのは、試練の洞窟。壁画に残っていたピースの行動。
「……なぁ……お前は許せなくねーのか……? 流石の僕さえ過去の人類のやらかしは引くレベルなんだが」
「(ご主人サマちょっと涙でそうになってたよね……)」
 メルシーがカシムを案じる。
 それは、その時代を生き、そして殺されたであろうピース自身がよく知っているはずだ。
 防御の手段としてさえ、一切の攻撃を封じるカシム。この対決は、あくまで弾幕を避ける勝負。ならばそのルールに従うまでだ。
「僕にとっては之こそが本当の聖なる決闘と思えるよ」
「……そう言ってくれる?」
「ああ。闘いに聖を抱くなら……殺しはあっちゃならねーから」
 そしてカシムは遂に、バルーン最後の1つを避けきった。
「なんとも思ってない、って言ったらもちろんウソさ」
 静かに武器を降ろすピースの声が、微かに震える。
「けど、ボクらを殺して生き延びた人類さんも、呪いみたいに後悔に縛られているのを見たら……チャラにした方が絶対いいって思わない?」
 ケタケタ、と元通りの陽気さで、場の陰気を吹き飛ばすピース。
「この勝負、キミの勝ちだ! 色々な意味でね!」

 数々の決闘を経て、ピースは、獣騎への変形を解いた。
「ボクの負けだ! あっぱれだね!」
 すると、ピースの姿が希薄化を始めた。骸の海へと連れていくのは、無念ではなく、喜び。
「キミ達みたいなひとがいるなら、もう二度とあんな悲しい事は繰り返されないって、そう信じられるよ」
 本当に楽しかった。ありがとう!
 光の粒になって、ピースは消えた。心からの『笑顔』を残して。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年12月09日


挿絵イラスト